(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022056933
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】搬送装置及びシートの搬送方法
(51)【国際特許分類】
B65H 3/12 20060101AFI20220404BHJP
B65H 7/02 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
B65H3/12 310B
B65H7/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020164939
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】390002129
【氏名又は名称】デュプロ精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138014
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 香織
(72)【発明者】
【氏名】植木 数馬
(72)【発明者】
【氏名】瀧本 健太
【テーマコード(参考)】
3F048
3F343
【Fターム(参考)】
3F048AA00
3F048AB01
3F048BA02
3F048BB02
3F048BB05
3F048CB05
3F048DA01
3F048DC09
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3F048EB06
3F343FA02
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3F343JB20
3F343KB04
3F343KB20
3F343LA03
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3F343MA13
3F343MA23
3F343MB03
3F343MB13
3F343MC18
3F343MC27
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、載置台の上方に設置された吸引部によって、シートを適正に吸引搬送できる搬送装置及びシートの搬送方法を提供することである。
【解決手段】搬送装置はシートSを載置する載置台61と、前記載置台61上の前記シートSを下方より支持しつつ下流側へ移動させる移動部67と、前記載置台61の上方に設置され、前記載置台61上に載置された前記シートSを吸引し、下流側へ搬送する吸引部62と、前記吸引部62によって前記載置台61上の最後のシートSが吸引されたことを検出する検出部14と、前記検出部14の検出結果に基づいて、前記移動部67の動作を制御する制御部とを備えた。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを載置する載置台と、
前記載置台上の前記シートを下方より支持しつつ下流側へ移動させる移動部と、
前記載置台の上方に設置され、前記載置台上に載置された前記シートを吸引し、下流側へ搬送する吸引部と、
前記吸引部によって前記載置台上の最後のシートが吸引されたことを検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて、前記移動部の動作を制御する制御部とを備えた搬送装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記検出部が前記最後のシートが吸引されたことを検出すると、前記移動部を作動し、前記吸引部とともに前記移動部を用いて、前記最後のシートを下流側へ搬送する請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記移動部は、搬送ベルトを備える請求項1または請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記検出部は、前記シートとの接触によって揺動する揺動部材を備える請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記揺動部材は、前記吸引部の下方に設置され、載置台上面より突出し、前記シートに接触可能な接触部を備える請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項6】
載置台上に載置された複数のシートのうち、最上位のシートを吸引部によって上方より吸引し、下流側へ搬送するとき、
前記載置台上の最後のシートが吸引された際、前記最後のシートを、載置台に設けられた移動部によって下方より支持しつつ下流側へ移動させるシートの搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置及びシートの搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
載置台に積載された複数のシートを順次下流側へ搬送し、載置台上に最後の1枚が残存する状態となったことを検出する方法が知られている。下記特許文献1には、載置台の中央部に、シートの下面に接触し、このシートの下流側への移動に伴って回転する円板を設置する方法が記載されている。円板に複数の穴を設けて、光学センサによって円板の穴を通過する光の量を検出し、これによって円板の回転量を読み取る。そして、最後のシートが搬送されているかどうかを判断している。
【0003】
また、下記特許文献2には、シートの上面に接触する接触部材を設置し、最後のシートが下流側へ搬送されると、この接触部材が載置台上面に形成された穴に落ち込む構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公昭62-22893号公報
【特許文献2】特開平6―305601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の装置では、シートが載置台上の円板に接触し、該円板を回転させることによって、最後のシートを検出するので、シートが、載置台から離れてしまうと、最後のシートを検出できなくなる。よって、載置台の上方に設置された吸引部によってシートが吸引搬送されるときに、最後のシートを検出することができない。
【0006】
また、特許文献2に記載の機構では、シートの後端が載置台に設けられた穴の位置まで搬送されなければ、載置台上のシートが最後の1枚であるかどうかを判断できない。そのシートが載置台上の最後の1枚であることを、該シートの搬送開始前に検出できない。このため、載置台上に1枚のシートが残存するときに、移動部によって該シートを搬送するのが困難となる場合には、適正にその最後のシートを搬送できない場合がある。
【0007】
本発明の目的は、載置台の上方に設置された吸引部によって、シートを適正に吸引搬送できる搬送装置及びシートの搬送方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の搬送装置はシートを載置する載置台と、前記載置台上の前記シートを下方より支持しつつ下流側へ移動させる移動部と、前記載置台の上方に設置され、前記載置台上に載置された前記シートを吸引し、下流側へ搬送する吸引部と、前記吸引部によって前記載置台上の最後のシートが吸引されたことを検出する検出部と、前記検出部の検出結果に基づいて、前記移動部の動作を制御する制御部とを備えた。
【0009】
また、前記構成において、前記制御部は、前記検出部が前記最後のシートが吸引されたことを検出すると、前記移動部を作動し、前記吸引部とともに前記移動部を用いて、前記最後のシートを下流側へ搬送する。
【0010】
そして、前記各構成において、前記移動部は、搬送ベルトを備える。
【0011】
更に、前記各構成において、前記検出部は、シートとの接触によって揺動する揺動部材を備える。
【0012】
更に、前記各構成において、前記揺動部材は、前記吸引部の下方に設置され、載置台上面より突出し、前記シートに接触可能な接触部を備える。
【0013】
また、本発明にかかるシートの搬送方法は、載置台上に載置された複数のシートのうち、最上位のシートを吸引部によって上方より吸引し、下流側へ搬送するとき、前記載置台上の最後のシートが吸引された際、前記最後のシートを、載置台に設けられた移動部によって下方より支持しつつ下流側へ移動させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、シートを載置する載置台と、前記載置台上の前記シートを下方より支持しつつ下流側へ移動させる移動部と、前記載置台の上方に設置され、前記載置台上に載置された前記シートを吸引し、下流側へ搬送する吸引部と、前記吸引部によって前記載置台上の最後のシートが吸引されたことを検出する検出部と、前記検出部の検出結果に基づいて、前記移動部の動作を制御する制御部とを備えたので、吸引部によって吸引されたシートを適切に下流側へ搬送できる。
【0015】
また、前記制御部は、前記検出部が前記最後のシートが吸引されたことを検出すると、前記移動部を作動し、前記吸引部とともに前記移動部を用いて、前記最後のシートを下流側へ搬送する場合は、移動部を用いて吸引されたシートを適切に下流側へ搬送できる。
【0016】
そして、前記移動部は、搬送ベルトを備える場合は、搬送ベルトによってシートを適切に下流側へ搬送できる。
【0017】
更に、前記検出部は、前記シートとの接触によって揺動する揺動部材を備える場合は、揺動部材によって容易に載置台上の最後のシートを検出できる。
【0018】
更に、前記揺動部材は、前記吸引部の下方に設置され、載置台上面より突出し、前記シートに接触可能な接触部を備える場合は、接触部がシートに接触することで、より確実に載置台上の最後のシートの有無を検出できる。
【0019】
本発明にかかるシートの搬送方法は、載置台上に載置された複数のシートのうち、最上位のシートを吸引部によって上方より吸引し、下流側へ搬送するとき、前記載置台上の最後のシートが吸引された際、前記最後のシートを、載置台に設けられた移動部によって下方より支持しつつ下流側へ移動させるので、吸引部によって吸引されたシートを適切に下流側へ搬送できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態に係る搬送装置を備えた加工システムの概略構成を示す平面図である。
【
図5】前記加工システムによって加工処理されるシートを示す平面図である。
【
図6】他の実施形態に係る搬送装置の検出部の拡大図である。
【
図7】更に他の実施形態に係る搬送装置の検出部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明の一実施形態にかかる搬送装置を備えた加工システム100の全体構成を示す平面図である。本実施形態の加工システム100は、主たる加工機構として、搬送方向上流側から順に、供給装置2、裁断装置3、クロスコンベア装置4、加工装置7、コンベアスタッカ装置8により構成される。また、加工システム100全体の動作を制御する図示しない制御部を備える。
【0022】
近年、汎用的な印刷機における印刷可能な最大シートSの大きさが大きくなる傾向にあり、B3サイズを超える印刷サイズも印刷可能となる場合が多くなってきている。
本加工システム100は、一定サイズ以上の大きい印刷済シートSを受け入れて、印刷済シートSの所定部分を切除し、印刷部分のみを残す加工処理を施している。
【0023】
加工装置7は、従来から市場で一般的によく用いられるシートの加工処理装置であって、加工可能な最大シートSの大きさは、例えば、B3サイズである。又、裁断装置3は、例えば、B2サイズを超えるサイズも加工可能である。
裁断装置3は、加工装置7が受入れ可能なシートSの大きさに、予め、裁断加工した上で、加工装置7に加工済みシートSを受け渡すように構成されている。
【0024】
〔供給装置2〕
供給装置2は、エア吸引ベルト式の図示しないエア給紙ユニットと、シートSの積載量に応じて上昇、下降するエレベータ式の給紙トレイ21と、エア給紙ユニットにより送り出されたシートSをさらに搬送方向下流側に搬送する図示しない搬送ローラ対と、を有している。尚、本実施例においては、B2サイズを超えるシートSの大きさも給紙できるように構成されている。
前記搬送ローラ対によりシートSが搬送され、下記裁断装置3の先端センサ31(PPS1)にシートSの先端が到達すると、供給装置2内の搬送ローラ対の圧着が解除され、下記裁断装置3内の搬送ローラ36だけでシートSが搬送される。
【0025】
また、供給装置2は、シートSの搬送方向の調整機構22を備える。調整機構22は、供給装置2によるシートSの裁断装置3への供給方向を、裁断装置3におけるシートSの搬送方向である第1方向Aに対し、調整する。調整機構22は、垂直軸23を備える。垂直軸23は、供給装置2全体を裁断装置3に対し、水平回転させるために用いられる。垂直軸23は、例えば、特開2005-314056に示される構成と同様のものを用いることができる。供給装置2を垂直軸23回りに回動させることによって、シートSの印刷画像の傾きに合わせて、シートSを裁断装置3における搬送方向である第1方向Aに対して傾斜して供給することができる。
【0026】
調整機構22は、手動により行う構成としても良いし、供給装置2を垂直軸23回りに回動させる傾斜調整モータを設けて電動により行う構成としても良い。
【0027】
〔裁断装置3〕
裁断装置3は、供給装置2から搬送されたシートSの先端が到達したことを検出する先端センサ31と、シートSの先端と予めシートSに付与されたレジマークの位置を検出し、シートSの搬送方向に対する印刷の傾斜角度を検出するレーザーセンサ32と、複数の搬送ローラ36と、複数の搬送ローラ36を駆動する図示しないモータとを有している。尚、先端センサ31とレーザーセンサ32は、それぞれ、シートSの搬送方向と直角方向の幅方向2箇所に配置されている。
【0028】
先端センサ31は、第1センサ311と第2センサ312を有している。第1センサ311と第2センサ312は、裁断装置3における搬送方向である第1方向Aにおいて同じ位置に設けられる。そして、第1センサ311と第2センサ312は、裁断装置3における搬送方向に直交する第2方向Bにおいて、所定距離X離れた位置に設けられている。
【0029】
先端センサ31は、第1センサ311と第2センサ312のそれぞれでシートSの先端を検出するタイミングに所定以上のズレが生じているときに、搬送中のシートSが斜行していることを検出する。
【0030】
具体的な斜行検出方法について、以下に説明する。
制御部は、第1センサ311と第2センサ312のうち、一方のセンサ311,312がシートSを検出した後、他方のセンサ312,311がシートSを検出するまでの間に、モータが駆動したステップ数をカウントする。制御部は、カウントにより得られたステップ数を距離に換算し、シートSの搬送直交方向(幅方向)における搬送方向のズレ量Yを算出する。
【0031】
このズレ量Yは、例えば、第1センサ311で先にシートSを検出した場合を、プラス(+)の値とし、第2センサ312で先にシートSを検出した場合を、マイナス(-)の値とすることができる。また、第1センサ311と第2センサ312で同時にシートS先端を検出した場合は、ズレ量Yが0(ゼロ)となる。第1センサ311と第2センサ312との間の距離は、所定距離Xであるため、斜行角度θは、以下の式により算出される。
斜行角度 θ=tan-1(Y/X)
【0032】
例えば、斜行と判断する際の許容値を-5°≦θ≦+5°に設定している場合には、斜行角度θが、θ<-5°またはθ>+5°のときに、制御部は、シートSが斜行していると判断する。
【0033】
また、シートS上の印刷画像の傾きに合わせて、供給装置2を垂直軸23回りに回動させて、供給装置2を裁断装置3における搬送方向である第1方向Aに対して傾斜させる場合には、供給装置2においてシートSが斜行せずに搬送されたとしても、供給装置2より搬送されたシートSの先端は、先端センサ31に対して傾いた状態で搬送され、斜行していると判断されるおそれがある。
【0034】
そこで、供給装置2を垂直軸23回りに回動させて、供給装置2の搬送方向を裁断装置3における搬送方向に対して傾斜させた場合には、当該傾斜角度に応じて、前記許容値の範囲を変更する。例えば、供給装置2の搬送方向を-2°傾斜させた場合、前記許容値の下限値が、-5°-2°=-7°、上限値が+5°-2°=+3°となる。そのため、斜行角度が、θ<-7°またはθ>+3°の場合に、シートSが斜行していると判断する。
【0035】
なお、調整機構22が手動の場合には、操作パネルなどから入力された傾斜角度の値に基づいて、前記許容値の範囲を変更する。また、調整機構22が電動の場合には、傾斜角度調整の際に検出される傾斜調整モータのパルス値に対応する傾斜角度の値に基づいて、前記許容値の範囲を変更する。
【0036】
又、裁断装置3は、前記レーザーセンサ32にて検出した印刷画像の傾斜角度を基に、クロスカット部の移動刃ユニット34の角度を、印刷画像に対して直角になるように角度調整することが可能な角度調整手段35を有する。角度調整手段35は、シートSの搬送中に、移動刃ユニット34の角度を調整可能である。前記移動刃ユニット34は、予め、設定した裁断位置にシートSを停止後、シートSを搬送する方向と直交する幅方向に裁断刃(上下一対の回転刃)を移動することによりシートSを裁断する。裁断後のシートSは、搬送ローラ対36によりクロスコンベア装置4に排出される。
【0037】
又、前記移動刃ユニット34によって裁断され、且つ前記シートSの裁断位置を通過したシート片が所定長さ以上の場合は、搬送経路上の搬送ガイドをリジェクト位置に退避させ、前記シート片をリジェクトすることのできる回転ガイド37を備える。
【0038】
〔クロスコンベア装置4〕
クロスコンベア装置4は、裁断装置3で裁断加工されて第1方向Aに搬送されて来たシートSを、受けて、第1方向Aに対して交差した第2方向Bに搬送して、加工装置7へ送り込むようになっている。
尚、クロスコンベア装置4は、裁断装置3の後段に配置されており、裁断装置3から排出されたシートSを無端状ベルト41(所定幅を有する一本ベルト)上に受け取り、受け取ったシートSの端縁をガイド壁42に沿わせるように、シートSをガイド壁42に向けて斜めに搬送しながら、搬送方向下流へ向けて搬送する、斜行搬送手段44を備える。
【0039】
〔加工装置7〕
加工装置7は、挿入ユニット71、シート加工部72を備えている。挿入ユニット71は、クロスコンベア装置4から受け渡されたシートSを一枚ずつシート加工部72へ送り出す。シート加工部72は、挿入ユニット71から送り出されたシートSを、予め設定したジョブ内容に基づいて、搬送しながら加工する。シート加工部72からコンベアスタッカ装置8に至る経路においては、複数の搬送手段によって、シート搬送路が形成されている。
【0040】
挿入ユニット71は、本発明の搬送装置を構成する。
図2は、挿入ユニット71の拡大縦断面図である。挿入ユニット71は、載置台61、突当部79,分離部63及び吸引部62を備える。載置台61は、シートSを載置する。
【0041】
載置台61は、図示しない昇降手段により昇降可能となっている。昇降手段は、載置台61上に、複数枚のシートSが載置される場合に、該載置台61を下降する。そして、この複数積載されたシートSを下流側へ搬送する際には、最上位のシートSが吸引部62によって吸引可能な所定の高さまで、シートSの吸引による搬送前に載置台61を上昇させる。特に、シートSの第2方向Bで前側となる下流側部分が吸引部62に容易に吸着されるようシートSの高さを吸引部62設置位置近傍まで上昇させる。
【0042】
また、クロスコンベア装置4からシートSが1枚ずつ搬送されてくる毎に、その都度吸引部62によって下流側へシートSを搬送する際には、昇降手段は、載置台61上の1枚のシートSを吸引搬送可能な所定の高さに維持する。
【0043】
載置台61には、移動部67が設けられる。移動部67は、載置台61上のシートSを下方より支持しつつ所定位置へ移動させる。移動部67は、搬送ベルト75及びローラ76を備える。ローラ76は、前後に所定量離間して設置される。搬送ベルト75は、一対のローラ76にかけ渡される。
【0044】
搬送ベルト75は合成ゴム、天然ゴム、合成樹脂、天然樹脂等が用いられる。これらのうち、搬送ベルト75は、天然ゴムまたは合成ゴムを用いることが好ましい。天然ゴムまたは合成ゴムを用いることによって、シートSが滑ることなく所定値以上の強い摩擦力によって搬送される。シートSの厚さが薄いときや、重量が軽いとき、光沢のある素材など、シートSが搬送ベルト75に対し滑りやすいときでも、シートSを搬送ベルト75上で滑らせることなく、適切に搬送可能である。
【0045】
載置台61の一方の側方にガイド壁57が立設される。ガイド壁57は、移動部67によるシートSの移動及び吸引部62によるシートSの吸引搬送の際、シートSの一方の側端縁が突き当たる。
【0046】
載置台61には、検出部11が設けられる。検出部11は、載置台61上のシートSの有無を検出する。検出部11は、第1検出部111及び第2検出部112を含む。第1検出部111は、載置台61上に1枚以上のシートSが載置されていることを検出する。第1検出部111は、第2検出部112設置位置よりシートSの吸引部62による搬送方向で所定量上流側の位置に設置される。
【0047】
第1検出部111は、光学センサ111により構成される。第1検出部111は、発光部及び受光部を載置台61のシートS載置面の上下に離間して設置された透過式センサ及び、載置台61の上方又は下方に発光部及び受光部の双方が設置される反射式センサのいずれも用いることができる。また、第2検出部112のようなアクチュエータ式であっても構わない。
【0048】
これらのセンサうち、反射式センサを載置台61のシートS載置面の下方に設置することが好ましい。これより、吸引搬送の際に、シートSの下流側部分が吸引部62に吸引され、該シートS下面が載置台61から浮き上がって、載置面から所定量離れた状態となっていても、シートSの上流側部分が載置台61にまだ存在することを第1検出部111によって適正に検出できる。
【0049】
第2検出部112は、吸引部62によって載置台61上の最後のシートが吸引されたことを検出する。平面視における第2検出部112の位置は、載置台61のシートS載置面の中央部付近、乃至、載置台61の中央部からシートSの搬送方向で所定量下流側、及び搬送方向に直交する幅方向で、基準となる一方の側端縁に所定量近い側の範囲とすることができる。例えば、
図1に示すように、平面視において、挿入ユニット71における搬送方向である第2方向Bについて、載置台61の略中央部から所定量下流側位置に設置することができる。
【0050】
また、載置台61の側方には、シートSの側端縁が当接するガイド壁57が設置されている。第2方向Bに直交するシートSの幅方向、つまり第1方向Aについて、第2検出部112は、載置台61の中央部から、このガイド壁57に所定量近い位置に設置することができる。
【0051】
載置台61の下流側部分で、載置台61の上方に設置された吸引部62に対し、第2検出部112は、吸引部62によって載置台61上の最後のシートSが吸引されたとき、シートSが載置面から離れる範囲に設置される。第2検出部112は、平面視において、吸引部62の設置位置と重複する範囲乃至吸引部62の設置位置より、所定量上流側の位置までの範囲とすることができる。
【0052】
これよりシートSが所定サイズより小さい場合にもより確実に第2検出部112によってシートSの有無を検出できる。
【0053】
図3は、第2検出部112を拡大して示す図である。また、
図4は、第2検出部112をシートSの搬送方向下流側から見た拡大図である。第2検出部112は、光学センサ13、揺動部材14、支持部15を備える。光学センサ13は、発光部131及び受光部132を備える。発光部131と受光部132とは、揺動部材14を挟んで、左右に所定量離間して設置される。
【0054】
揺動部材14は、シートSとの接触によって揺動する。揺動部材14は、揺動軸17を軸心に揺動自在に軸支される。揺動軸17は、側面視揺動部材14の長手方向略中央部に位置する。
図3では、揺動部材14が待機位置にある状態を実線で、最下位のシートSを検出した検出位置にある状態を二点鎖線で示す。待機位置では、揺動部材14は、傾斜姿勢をとる。
図4に示すように、揺動軸17には、捩じりばね等の付勢部材18が挿通される。付勢部材18は、揺動部材14が待機位置をとるよう付勢する。
【0055】
揺動部材14は、揺動軸17よりシートSの搬送方向である第2方向Bで上流側に、遮光部19、脚部23及び係合部24を、下流側に接触部25及び停止部26を備える。遮光部19は、側面視矩形状に形成される。遮光部19は、揺動部材14が揺動し、
図3で二点鎖線で示す検出位置に位置したとき、発光部131と受光部132の間に挿通され、光学センサ13を遮光する。
【0056】
脚部23は遮光部19と揺動軸17の間に設けられる。脚部23は、側面視所定長さの矩形状に形成される。脚部23は、載置台61にシートSがない待機位置において、斜め下方に延在する。係合部24は、脚部23と遮光部19との境目のあたりに設けられる。係合部24は、支持部15に設けられた被係合部16に係合し、付勢部材18の付勢力を受けた揺動部材14を下方から支持する。
【0057】
接触部25は、載置台61上面より突出し、シートSに接触可能に構成される。接触部25は、吸引部62の下方に設置される。接触部25は、揺動部材14が待機位置に位置するとき、揺動軸17の斜め上方に位置する。接触部25は、揺動部材14が待機位置にあるとき、載置台61に設けられた開口部29から所定量突出するよう、付勢部材18により付勢されている。接触部25は、載置台61上にシートSが積載されたとき、当該シートSの下面に接触する。そして、載置台61上に積載されたシートSによって、接触部25は付勢部材18の付勢力に抗して下方へ移動し、開口部29から退避する。
【0058】
停止部26は、接触部25の下方位置に設けられる。停止部26は、揺動部材14が
図3において反時計方向に回転し、揺動した際、支持部15の
図3における左端部分に接触する。これより、揺動部材14が所定量以上回転しないよう揺動を停止させる。
【0059】
図3では、揺動軸17が、遮光部19及び接触部25と一体に形成される場合を示すが、個々の部材が組み合わされ、接着、螺合、嵌合されてもよい。
【0060】
図3において二点鎖線で示すように、揺動部材14が揺動軸17を軸心に反時計回りに回転すると、遮光部19が光学センサ13の発光部131と受光部132との間に挿入される。これより、光学センサ13が遮光となり、制御部に送信される。
【0061】
突当部79は、加工装置7の搬送方向、即ち、第2方向Bで載置台61より下流側に設置される。突当部79は突当板85を備える。突当板85には、シートSの下流側端縁の全部または一部が突き当たる。このシートSの下流側端縁が突当板85に突き当たった位置は、吸引部62によってシートSを吸引搬送するための載置台61上の位置となりえる。
【0062】
シートSが上流側の裁断装置3において、角度調整手段35によって、印刷画像の傾斜角度に対応して裁断された場合、裁断後のシートSの側端縁と下流側端縁とは、直交しないことがある。この場合、シートSの側端縁をガイド壁57に沿わせつつ移動部67によって下流側へ移動させると、該シートSの下流側端縁は突当板85に対し傾斜した状態となることがある。
【0063】
角度調整手段35によって、印刷画像の傾斜角度に対応して裁断されたシートSが載置台61上に複数枚載置される場合には、シートSの下流側端縁の一部のみが突当板85に突き当てられることがある。このように、シートSが、吸引部62によって吸引される際の、載置台61上の位置は、必ずしもシートSの下流側端縁の全てが突当板79に接触するとは限らない。
【0064】
分離部63は、突当板79の上部に設けられる。分離部63は、開口部29及び送風機631を備える。開口部29は、突当板79の上部に設けられた貫通孔により構成される。送風機631は、突当板79の第2方向Bで下流側、且つ、突当板79の開口部29に対応する位置に設置される。載置台61上のシートSの下流側部分に向けて送風機631により送風し、積載された複数のシートSから最上位のシートSを分離して吸引部62に吸着させ、下流側へ搬送させる。
【0065】
吸引部62は、載置台61の上方に設置される。吸引部62は、加工装置7の搬送方向である第2方向Bで載置台61の下流側部分の上方に対向配置される。吸引部62は、載置台61上に載置されたシートSを吸引し、下流側へ搬送する。吸引部62は、吸引搬送ベルト64、ローラ65,66、負圧発生部68、吸引検出部69を備える。
【0066】
吸引搬送ベルト64は、加工装置7の搬送方向である第2方向Bに対し所定量傾斜して走行する。これより、シートSの右側端縁が、ガイド壁57に接触しつつ搬送される。シートSが載置台61上に斜めに載置された場合であってもシートSはガイド壁57に沿って、該ガイド壁57に平行に搬送されることとなる。吸引搬送ベルト64は、クロスコンベア装置4から受け取ったシートSの端縁をガイド壁57に沿わせるように、シートSをガイド壁57に向けて斜めにエア吸引搬送しながら、搬送方向下流へ向けて搬送する、斜行搬送手段58を構成する。
【0067】
〔コンベアスタッカ装置8〕
加工装置7の排出側にコンベアスタッカを結合してもよい。コンベアスタッカは、加工装置7から排出された裁断加工後の単票を、ベルトコンベアによってゆっくり搬送し、その端部に設けたスタッカーに斜めに立てた状態で単票を積み重ねるようにした装置である。尚、ベルトコンベアによる単票の搬送経路上には、単票を仕分けして整列する仕分けガイドを備えている。
【0068】
〔制御部〕
制御部は、搬送装置としての挿入ユニット71の搬送動作を制御する。制御部は、搬送装置の第2検出部112の検出結果に基づいて、移動部67の動作を制御する。制御部は、第2検出部112が最後のシートが吸引されたことを検出すると、移動部を作動し、吸引部62とともに移動部67を用いて、最後のシートSを下流側へ搬送する。
【0069】
[シートSの加工処理物配列パターン]
図5は、シートSの加工処理物Qの配列パターンの一例を示す平面図である。同図に示す加工処理物Qの配列パターンは、一枚のシートSから折り目のない16枚の加工処理物Qを製作するようになっている。まずは、第1方向Aに搬送されるシートSを、第1方向Aに直交する第2方向Bに沿って、シートSの第1方向Aにおける中央部Cで裁断する。
【0070】
シートSは2枚に裁断され、クロスコンベア装置4によって、シートSの搬送方向が第2方向Bへと変更され1枚ずつ搬送される。次に、第2方向Bに搬送されるシートSを第2方向Bに平行な3本の裁断線D1-D3で第2方向Bに沿って裁断する。そして、第2方向Bに直交する第1方向Aに沿って、裁断線E1-E8で順次裁断する。
【0071】
〔作用〕
加工システム100の動作について以下に説明する。使用者は図示しない操作パネルより、各種加工処理情報を入力する。なお、この手動入力の代わり、あるいは、手動入力と協働して、読取部等によって図示しないバーコード等の読み取りにより、加工処理情報を自動的に入力させることもできる。
【0072】
使用者は、給紙トレイ21上にシートSを積載する。シートSは、エア給紙ユニットにより送り出される。裁断装置3の先端センサ31にシートSの先端が到達すると、搬送ローラ対36によりシートSが搬送される。
【0073】
裁断装置3において、先端センサ31によって、第1方向Aに対するシートS自体の搬送時の傾斜角度が検出される。続いて、レーザーセンサ32によって、第1方向Aに対するシートSに形成された印刷画像の傾斜角度が検出される。尚、レーザーセンサ32によって印刷画像の傾斜角度に加え、シートS自体の傾斜角度を検出してもよい。
【0074】
裁断装置3は、検出された印刷画像の傾斜角度を元に、クロスカット部の移動刃ユニット34の角度を、搬送されるシートS自体の傾斜角度とは無関係に、印刷画像に対して適切な裁断が実施できるよう調整する。シートSの所定位置が裁断刃設置位置に至ると、シートSの搬送を停止し、シートSを裁断する。裁断後のシートSは、搬送ローラ対36によりクロスコンベア装置4に排出される。
【0075】
クロスコンベア装置4に至ったシートSは、ガイド壁42に沿って第2方向Bに搬送される。そして、加工装置7に至る。
【0076】
クロスコンベア装置4から、挿入ユニット71へ搬送されたシートSは、載置台61上で移動部67によって下方より支持されつつ下流側である第2方向Bへ移動される。シートSの先端が第1検出部111の検出位置に至ると、第1検出部111がシートSを検出し、制御部へ送信する。その後シートSの先端が第2検出部112の設置位置に至ると、シートSの先端が、待機位置にあり、シートS載置面から所定量突出した接触部25に接触する。接触部25はシートSによって押さえられ、下方へ移動し、開口部29から退避する。
【0077】
揺動部材14が
図3において二点鎖線で示す水平姿勢になると、遮光部19が発光部131と受光部132の間に挿通される。光学センサ13は遮光となり、制御部は、載置台61上にシートSがあると判断する。
【0078】
シートSは、搬送ベルト75の走行に伴い、側端縁をガイド壁57に沿わせつつ下流側へ移動される。クロスコンベア装置4から次々に送られてくるシートSを、載置台61上に一旦複数枚ためることなく、順次下流側へ搬送する場合には、搬送ベルト75の走行は停止されない。シートSが吸引部62設置位置に至ると、シートSは吸引部62によって吸引され、下流側へ搬送される。このとき載置台61は、昇降手段によって、吸引部62が載置台61上の1枚のシートSを吸引可能な所定の高さに維持される。
【0079】
一方、クロスコンベア装置4から次々に送られてくるシートSを、載置台61上に一旦複数枚ためる場合、載置台61上の所定位置には、複数枚のシートSが載置される。使用者は、必要な場合には裁断装置3で裁断されたシートSを回収し、クロスコンベア装置4を介在させずに、載置台61上に載置することも可能である。載置台61上で、複数のシートSの下流側端縁は、突当板85に突き当てられる。シートSの印刷画像の傾斜角度に合わせ、裁断装置3で斜めに裁断されていたときには、シートSの下流側端縁の全てが突当板79に接触しないことがあり、一部のみが突当板79に突き当たる。
【0080】
このように、シートSの下流側端縁が突当板79に突き当たった状態で、複数のシートSが一旦載置台61上に上下に積載される。このとき搬送ベルト75の走行は停止されている。
【0081】
制御部は、昇降手段を駆動し、載置台61を適正な高さに昇降する。そして、制御部は分離部63を駆動する。載置台61上の複数のシートSは、分離部63より送風され、各シートSの下流側部分が上下に分離される。制御部が負圧発生部68を駆動すると、最上位のシートSの下流側部分は、上方より吸引され、シートSの上面が吸引搬送ベルト64にはり付けられる。吸引検出部69は、シートSが吸引されたことを検出する。一方、シートSの上流側部分は、吸引部62の設置位置に至るまでの間、下位にあるシートSに接触している。
【0082】
その後、吸引搬送ベルト64が走行されると、吸引した最上位のシートSが、第2方向Bへ搬送される。シートSの上流側部分は、やがて吸引部62の設置位置に至ると、吸引部62によって吸引され、下位にあるシートSから離れて、吸引搬送ベルト64にはりつきつつ下流側へ搬送される。
【0083】
シートSは、シート加工部72へ供給される。シート加工部72に至ったシートSは、加工処理され、コンベアスタッカ装置8へ排出される。
【0084】
載置台61上の後続の複数のシートSは、同様に、吸引部62によって吸引され、下流側へ搬送され、シート加工部72で加工処理される。載置台61上の各シートSは、吸引搬送開始直後、下流側部分が吸引部62に吸引されて載置台61から浮き上がり、上流側部分は下位にあるシートSの上面に接触したままである。
【0085】
このように、吸引搬送時、シートSの上流側部分が、下位のシートSに接触しているので、シートS同士の摩擦抵抗が大きい場合、シートSが適切に搬送されない恐れがある。しかし、通常シートS同士の摩擦抵抗は、シートSと搬送ベルト75との摩擦抵抗に比較して弱いので、シートSを下流側へ適切に搬送することができる。
【0086】
これに対し、載置台61上で、最下位であったために、最後の1枚として搬送されるシートSの場合は、この最後のシートSの上流側部分が、下位の他のシートSの上面ではなく、
図2において二点鎖線で示すように、搬送ベルト75に接触している。吸引搬送ベルト64は、前の工程で、クロスコンベア装置4から送られたシートSを下流側へ移動させる際、該搬送ベルト75上面にシートSを保持しつつ下流側へ搬送するので、シートSが滑らないようシートSに対し所定の摩擦抵抗を有する必要がある。
【0087】
このため、吸引部62による吸引搬送の際に、シートSの上流側部分が搬送ベルト75に接触したままであると、停止したままの搬送ベルト75は、当該シートSの下流側への搬送を阻害する恐れがある。シートSは適切に搬送されなかったり、シートSが搬送ベルト75との接触によって傷ついたりする危険性がある。
【0088】
そこで、載置台61上の最後のシートSを吸引搬送する際には、制御部は、移動部67を駆動し、吸引部62の搬送とともに、移動部67によってもシートSを下流側へ向けて移動させる。検出部11が、載置台61上で、最下位であったために、最後の1枚として搬送されるシートSが、吸引部62によって吸引されたことを検知すると、制御部は、移動部67を駆動させ、搬送ベルト75を走行させる。
【0089】
検出部11が、最後のシートSを検出する際、最後のシートSの下流側部分が吸引部62に吸引され、浮き上がると、シートSは接触部35から離れる。揺動部材14は、シートSに押さえられた状態から開放され、付勢部材18の付勢力によって
図3において時計回りに回転する。揺動部材14は、水平姿勢から傾斜姿勢へと揺動され、シートSの検出位置から待機位置へ復帰される。光学センサ13は、通光となり、制御部へ送信される。
【0090】
一方、第1検出部111は、載置台61上に依然としてシートSが有ることを検出したままである。
【0091】
このように、第2検出部112が、最後のシートSが吸引部62に吸引されたことを検出すると、制御部は、移動部67を作動する。このとき第1検出部111は、載置台61上になおシートSが有ることを検出しているので、これに基づき、制御部は、最後のシートSの上流側部分がまだ第1検出部111の設置位置にあり、これから吸引部62によって吸引搬送を開始するところであると判断する。
【0092】
シートSの下流側部分は、吸引部62によって吸引されつつ下流側へ搬送される一方、シートSの上流側部分が搬送ベルト75によって第2方向Bへと移動される。これら双方によって、載置台61上の最後のシートSが下流側へ適切に搬送される。移動部64がシートSの吸引搬送の妨げとなる場合であっても搬送ミスやシートSが傷つくのを抑制できる。
【0093】
シートSが、載置台61の上方に設置された吸引部62によって吸引され、シートSが載置台61から離れて浮き上がる場合であっても、第2検出部112によって、載置台61上の最後のシートSを検出できる。従来技術のように、載置台上の最後のシートの検出のために、載置台に円板を設置し、シートが円板に接触して円板を回転させることで、載置台上の最後のシートの搬送を検出する構成とは異なり、シートが円板に接触しなくても最後のシートを検出できる。
【0094】
また、載置台上の最後のシートを検出する他の方法として、載置台に設けた穴に、シートの上面に接触する接触部材が落ち込む構成のように、シートの上流側部分が載置台に設けた穴の形成位置まで搬送されるまでの間、最後のシートが搬送されている状態になっていることを検出できないという問題はない。停止中の搬送ベルト75上をシートSが搬送されるといったことがなく、シートSを傷つけることない。
【0095】
このように、本願は、最後のシートSが上方より吸引されたときに、接触部25が移動して、最後のシートが吸引されたことを検出するので、最後のシートSを下流側へ搬送を開始する前に、吸引されたことを検出することができる。そして、制御部が第2検出部112の検出に基づいて移動部67を制御することで、搬送ベルト75によってシートSを傷つけることなく適切に下流側へ搬送できる。
【0096】
制御部が吸引部62の吸引搬送ベルト64を走行させると、シートSは下流側から上流側へ順次吸引部62によって吸引される。制御部は、シートSの上流側部分が吸引部62によって吸引され、搬送ベルト75から離れるまでの所定時間にわたり搬送ベルト75を走行させる。この所定時間は、予め計測しておき、設定することができる。その際、吸引搬送ベルト64の走行速度に応じて、複数の時間を設定してもよい。また、第1検出部111によるシートSの後端の検出時点に基づき、制御部が移動部67の停止を決定するようにしてもよい。
【0097】
尚、上記実施形態では、移動部は搬送ベルト75を備えたが、これに替えて、シート搬送面の下側のみに搬送ローラを設置してもよい。また、第2検出部112は、シートSとの接触によって揺動する揺動部材14を備えたが、光学センサによって最後のシートを検出してもよい。揺動に替えて、上下方向または水平方向の往復移動であってもよい。揺動または上下動する部材を用いた場合、誤検知することなくより確実に最後のシートを検出できる。
【0098】
また、揺動部材14は、吸引部62の下方に設置され、載置台61上面より突出し、シートSに接触可能な接触部25を備えたが、例えば、
図6に示すように、上下に昇降する昇降部材38を載置台61a上に設置し、この昇降部材38の頂部39に、シートが接触することで、最後のシートSを検出してもよい。昇降部材38は、付勢部材18aにより付勢され、頂部39にシートSが接触しなくなると、載置台61aのシートS載置面より突出する構成とすることができる。
【0099】
昇降部材38は円柱状又は角柱状に形成することができ、下部に貫通孔40が形成される。昇降部材38は、付勢部材18aを介し支持部15aによって支持される。頂部39にシートSが接触すると、昇降部材38は、開口部29aより下方へ退避し、光学センサ13aの発光部131aの光が貫通孔40を通って受光部32aに受信され、制御部へ送信される。
【0100】
また、第2検出部112は、揺動部材14の遮光部19が光学センサ13の発光部131と受光部132との間に挿入されると、光学センサ13が遮光となり、載置台61上にシートがあるのを検出したが、光学センサに替えて、スイッチやボタン等により構成し、これらの接触及び非接触によってシートSを検出する構成としてもよい。
【0101】
例えば、
図7に示すように、可撓性を有し、弾性変形する薄板で矩形状に形成された揺動部材14bが所定位置で曲折され、載置台61bの載置板611bの下面に貼り付けられている。載置台61bの開口部29bより上方に突出する揺動部材14bの先端部に、シートSに接触する接触部25bが設けられる。接触部25bの下方に押下部49が設けられる。
【0102】
揺動部材14bがシートSの検出位置となる水平姿勢のとき、押下部49に対向する位置に受部50が設けられる。載置台61bにシートSがあるときは、接触部25bにシートSが接触し、揺動部材14bを揺動させ、接触部25bが下方へ移動される。押下部49は、受部50に接触する。これより、シートSが載置台61b上にあることを検出し、制御部に送信する。上下動、水平移動等いずれかの方向への移動する部材によってスイッチまたはボタンに接触し、通電が切り換えられ、制御部に送信される。
【0103】
また、クロスコンベア装置4から挿入ユニット71へ順次送られる複数のシートSは、載置台61上で一旦集積され、先端が揃えられ、その後改めて最上位のシートSから逆順で下流側へ搬送した。しかし、これに替えて、挿入ユニット71へ1枚送られてくるごとに、吸引部によってそのまま下流側へ送り出してもよい。この場合、載置台上には常に1枚のシートが載置され、そのシートが最後のシートとなる。この最後のシートの吸引部による搬送の際には、制御部は移動部の動作を制御し、移動部を作動させる。
【0104】
このように、クロスコンベア装置から送られるシートを載置台上で一旦集積しないときは、載置台上でシートを重ねて搬送する必要がない。よって、クロスコンベア装置4の無端状ベルト41の走行速度は、挿入ユニット71の搬送ベルト75と同じ速度または遅い速度とすることが可能である。
【0105】
また、移動部がシートを下流側へ移動させる載置台上の位置は、シートSが突当板79に突き当たった位置であったが、これに限定されず、載置台上の他の位置であってもよい。シートは突当板に全く突き当らなくてもよく、突当板の直前でもよく、所定量手前の位置であってもよい。
【0106】
また、各種加工処理情報は、操作パネルより使用者が手動設定するかまたは読取部によりバーコードを読み取ることで自動的に入力したが、パソコンなど外部の情報処理装置と通信を行って設定してもよい。予め操作パネルからの手動入力によって、シートの配列パターンを複数記憶手段に記憶しておき、各パターンを番号などによって呼出して、設定することとしてもよい。
【0107】
また、加工処理装置は、シートの配列パターンは、
図5に例示したものに限定されず、裁断線や折線の数や位置について、他の種々のパターンが設定可能である。
【符号の説明】
【0108】
S シート、11 検出部、14 揺動部材、25 接触部、61 積載台、62 吸引部、67 移動部、75 搬送ベルト。