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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022056939
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】ホース引上げ装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 75/40 20060101AFI20220404BHJP
   E03C 1/304 20060101ALI20220404BHJP
   E03F 9/00 20060101ALI20220404BHJP
   B08B 9/043 20060101ALI20220404BHJP
   B65H 75/38 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
B65H75/40 C
E03C1/304
E03F9/00
B08B9/043 433
B65H75/38 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020164946
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】393023536
【氏名又は名称】フジクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101878
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 茂
(72)【発明者】
【氏名】大津 芳永
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 淳一
(72)【発明者】
【氏名】八木下 徹哉
(72)【発明者】
【氏名】▲崎▼口 清富
【テーマコード(参考)】
2D061
2D063
3B116
3F068
【Fターム(参考)】
2D061AA04
2D061AE03
2D063FA04
3B116AA13
3B116AB54
3B116BB22
3F068AA05
3F068BA05
3F068BA20
3F068CA02
3F068DA05
3F068EA07
3F068FA06
3F068HA03
3F068HA08
3F068HB01
3F068JA05
3F068JA06
(57)【要約】
【課題】配水管洗浄作業の現場の状況に応じて、外形サイズを選択可能にするホース引上げ装置を提供する。
【解決手段】集合住宅等に敷設された配水管の洗浄に用いられるホース引上げ装置であって、メインフレーム2に対して、サブフレーム12を有するドラムユニット11が搭載され、ドラムユニット11には、サブフレーム12の上部に回転可能に軸支されてホースが巻回されるドラム11aと、ドラムに対して正転および逆転の駆動力を与えるモータ11eとが備えられる。メインフレーム2に対して、ドラムユニット11のサブフレーム12が分離可能に構成され、ドラムユニット11は単独でホース引上げ装置として利用可能になされる。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集合住宅等に敷設された配水管の洗浄に用いられるホース引上げ装置であって、
メインフレームに対して、サブフレームを有するドラムユニットが搭載され、前記ドラムユニットには、前記サブフレームの上部に回転可能に軸支されて前記ホースが巻回されるドラムと、前記ドラムに対して正転および逆転の駆動力を与える原動機とが備えられ、
前記メインフレームに対して、前記ドラムユニットのサブフレームが分離可能に構成されていることを特徴とするホース引上げ装置。
【請求項2】
前記メインフレームおよび前記ドラムユニットを構成するサブフレームには、それぞれキャスターが取り付けられ、前記メインフレームの上部から、前記ドラムユニットがメインフレームに対して着脱可能に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載のホース引上げ装置。
【請求項3】
前記ドラムユニットを構成するサブフレームには、前記メインフレームから前記ドラムユニットを分離した状態において、ドラムユニットの位置を固定する踏み板として機能する固定板の連結部が配置されている請求項1または2に記載のホース引上げ装置。
【請求項4】
前記メインフレームの一側面に、前記固定板の搭載スペースが形成されている請求項3に記載のホース引上げ装置。
【請求項5】
前記メインフレームには、前記ドラムユニットが搭載された状態において、ドラムユニットの前記ドラムの前後に位置する第1ガイドローラと第2ガイドローラが備えられる請求項1または2に記載のホース引上げ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は集合住宅等に敷設された排水管内を洗浄する際に、好適に用いることができるホース引上げ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
土地の有効活用等の観点から、都市部やその近郊において高層ビル形式の集合住宅が多数建設されている。このビル形式の集合住宅から排出される生活排水(汚水)は、個別の宅内に敷設された専用配水管から、ビル内部に設けられた共用の排水管(縦管とも言う。)を介して、屋外の排水管(横引き管)に排出され、これにより良好な生活環境が維持されるようになされている。
【0003】
ところで、この生活排水(汚水)には多量の残渣、油脂等が含まれているために、この残渣、油脂等が共用排水管の管壁に固形物となって付着し、相当の期間の経過により排水管を閉塞させることもある。また、この固形物から悪臭が放され、生活環境を悪化させることがある。このような生活環境の悪化を防止し、良好な生活環境を維持するために、一定期間ごとに共用排水管の清掃が必要となる。
【0004】
従来より、このように排水管内に付着した固形物を洗浄して除去する一つの方法として、高圧水噴射洗浄法が採用されている。この高圧水噴射洗浄法は、ホースの先端に取り付けられたノズルから排水管内に付着した固形物に向けて、高圧水を噴射し、前記固形物を除去するものである。
【0005】
これには、ビルの屋上に設けられた共用排水管の上端開口部から、前記したノズルを先端部に取り付けたホースを挿入して、共用排水管の洗浄が行われる。
この場合、ビル屋上の共用排水管の上端開口部より前記ノズルを挿入し、高圧水を噴射させない状態でホースを繰り出して、先端のノズルを最下層の前記した横引き管に至るまで降ろす。この状態で高圧水をノズルより噴射させつつ、ホースを定速度で引き上げることで、共用排水管内を洗浄することができる。
【0006】
前記した配水管の洗浄工法によれば、ホースの引き上げに多大な労力が必要となり、特に超高層化された集合住宅での作業は、ホースの長さが増大して重量も嵩むことになり、その洗浄作業はかなりの重労働となる。
そこで本出願人は、モータ等の原動機によって定速回転されるドラムを備え、このドラムにホースを1~2周程度巻回させることによるドラムとホースとの間の摩擦力によって、ホースを容易に引き上げることができるホース引上げ装置について提案をしており、これは特許文献1に開示されている。
【0007】
図7は、特許文献1に開示されたホース引上げ装置を示しており、このホース引上げ装置をビル屋上に搬送し、ビルに敷設された共用排水管31の上端開口部から高圧水の噴射ノズルを先端に取り付けたホース32を、ホース引上げ装置によって巻き上げる状態を示している。
このホース引上げ装置は、アングル材などの鋼材を、立体形状に組み上げて基台(フレーム)33を形成し、この基台33の中央上部にドラム34を搭載し、このドラム34を定速で正転および逆転駆動するモータ35が備えられる。
そして、ドラム34の前方および後方には、それぞれ周面が凹曲面にされた第1ローラ36および第2ローラ37が前記基台33に取り付けられて配置され、前後の第1および第2ローラ36,37によって、ホース32の位置をガイドすることで、ドラム34の適正な位置にホース32が接触するように構成されている。
【0008】
このホース引上げ装置によると、ドラム34にホース32を1~2周程度巻回させることによる摩擦力によって、ホース32を容易に引き上げること、もしくはホース32を繰り出すことができるので、洗浄作業者に多大な労力をかけることなく、ホース先端部のノズル本体を所定の速度で縦管内を移動させることができる。
したがって、ノズル本体に、高圧水の噴射による反作用によりノズル位置が回転する回転噴射ノズルを用いることで、回転噴射される高圧水によって、前記排水管(縦管)内を効率良く満遍なく洗浄することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3694243号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、昨今における集合住宅においては、その屋上階に各種の設備等が設置されている場合が多く、これらの設備等に各種配管が接続されると共に、電力線や通信線等も屋上階の床面に沿って配される。これにより、特許文献1に開示されたような比較的大型のホース引上げ装置を、屋上階の所定の場所に運び入れるのが困難となる場合が生ずる。
【0011】
また、超高層の集合住宅においては、ホースの長さが不足するために、前記縦管の途中階に設けられた通気口を利用してノズルを挿入し、縦管を長さ方向で別けて、個別に洗浄するなどの工夫を施す場合もある。この場合には、前記したホース引上げ装置を集合住宅の廊下内を搬送し、前記通気口付近に設置する作業が強いられることになる。
したがって、前記した屋内の廊下等に、特許文献1に開示されたような比較的大型のホース引上げ装置を運び込むことには困難を伴う場合があり、また基台(フレーム)が大型であるが故に、狭い空間においての洗浄作業にも支障を来すものとなる。
【0012】
この発明は、前記した実情に鑑みてなされたものであり、洗浄作業の現場の状況に応じて、外形サイズを選択可能にするホース引上げ装置を提供しようとするものであり、特に回転ドラムを含むホース引上げ装置の主要構成部(ドラムユニット)を、メインフレームから分離して、単独で利用することを可能にし、軽量な前記主要構成部を安定して稼働可能にする付加手段を備えたホース引上げ装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記した技術的課題を解決するためになされたこの発明にかかるホース引上げ装置は、集合住宅等に敷設された配水管の洗浄に用いられるホース引上げ装置であって、メインフレームに対して、サブフレームを有するドラムユニットが搭載され、前記ドラムユニットには、サブフレームの上部に回転可能に軸支されて前記ホースが巻回されるドラムと、前記ドラムに対して正転および逆転の駆動力を与える原動機とが備えられ、前記メインフレームに対して、前記ドラムユニットのサブフレームが分離可能に構成されていることを特徴とする。
【0014】
この場合、好ましくは前記メインフレームおよび前記ドラムユニットを構成するサブフレームには、それぞれキャスターが取り付けられ、前記メインフレームの上部から、前記ドラムユニットがメインフレームに対して着脱可能に取り付けられる。
【0015】
さらに、前記ドラムユニットを構成するサブフレームには、前記メインフレームから前記ドラムユニットを分離した状態において、ドラムユニットの位置を固定する踏み板として機能する固定板の連結部が配置されていることが望ましい。
【0016】
また、好ましい実施の形態においては、前記メインフレームの一側面に、前記固定板の搭載スペースが形成される。加えて、前記メインフレームには、前記ドラムユニットが搭載された状態において、ドラムユニットの前記ドラムの前後に位置する第1ガイドローラと第2ガイドローラが備えられる。
【発明の効果】
【0017】
この発明に係るホース引上げ装置によれば、メインフレームに対して、サブフレームを有するドラムユニットが搭載され、メインフレームに対してサブフレームが分離可能に構成されているので、ホース引上げ装置の設置場所の状態に応じて、メインフレームにドラムユニットを搭載した状態で、またはメインフレームから分離したドラムユニットを単独の状態で利用することが可能となる。
【0018】
また、ドラムユニットを単独の状態で利用する場合においては、軽量なドラムユニットは、ホース牽引時の反作用を受けて設置場所からずれ動く問題が発生し得る。
そこで、ドラムユニットの位置を固定する踏み板として機能する固定板を、サブフレームに配置された連結部に連結することで、固定板(踏み板)に搭乗する洗浄作業員の体重を利用して、ドラムユニットの位置を固定することができる。
これにより、軽量なドラムユニットを安定した状態で稼働させることが可能となり、洗浄作業の現場の状況に応じて、効率の高い配水管の洗浄作業を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】この発明に係るホース引上げ装置の全体構成を示した正面図である。
図2】同じく平面図である。
図3】同じく固定板(踏み板)を取り付けた状態の左側面図である。
図4図1に示すホース引上げ装置のメインフレームから分離した状態のドラムユニットの正面図である。
図5】ドラムユニットに固定板を取り付けた状態の平面図である。
図6】同じく固定板を取り付けた状態の左側面図である。
図7】従来のホース引上げ装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
この発明に係るホース引上げ装置について、図に示す実施の形態に基づいて説明する。
なお、以下に説明する各図においては、紙面の都合により、図1図3には主にメインフレーム側に備えられる各部に符号を付けて説明し、図4図6にはメインフレームから分離された主にドラムユニット側を構成する各部に符号を付けて説明する。
【0021】
このホース引上げ装置1は、図1図3に示すようにアングル材などの鋼材を、立体形状に組み上げたメインフレーム2に対して、サブフレーム12を有するドラムユニット11が搭載されて、メインフレーム2に対してサブフレーム12が分離可能に構成される。
前記メインフレーム2には、前側の左右に立設されるアングル材による支柱材2a,2bと、後側の左右に立設される同じくアングル材による支柱材2c,2dが備えられる。
そして、四隅に立設する前後左右の支柱材2a~2dの上端部には、各支柱材2a~2dを水平方向に連結するアングル材による連結材、すなわち図2に示すように前側連結材2e、後側連結材2f、左側連結材2g、右側連結材2hにより連結されている。
【0022】
また、前記メインフレーム2は、四隅に立設する前後左右の前記支柱材2a~2dの中央部においても、各支柱材2a~2dを水平方向に連結するアングル材による連結材、すなわち図3に示すように前側連結材2i、後側連結材2j、左側連結材2k、右側連結材2lにより連結されている。さらに前記メインフレーム2は、四隅に立設する前後左右の前記支柱材2a~2dの下端部において、前側の左右支柱材2a,2bを連結する前側連結材2m、後側の左右支柱材2c,2dを連結する後側連結材2nにより連結されて構成されている。
【0023】
これにより前記メインフレーム2は、箱枠状の外装部を形成しており、この箱枠状のメインフレーム2における上半部の四側面には、外装板がそれぞれ取り付けられている。なお図1図3は、この外装板を透視した状態で示しており、したがって、各外装板についての符号の付記は省略する。
【0024】
前記したメインフレーム2の前後の上部中央には、第1ガイドローラ3と第2ガイドローラ4が配置されている。すなわち、第1ガイドローラ3は、メインフレーム2の前側上部に配置された連結材2eの中央部に、連結材2eの長手方向に沿った支軸によって回動可能に軸支されている。また、第2ガイドローラ4は、メインフレーム2の後側上部に配置された連結材2fの中央部に、連結材2fの長手方向に沿った支軸によって回動可能に軸支されている。
【0025】
これらの第1および第2のガイドローラ3,4の中央部は、それぞれ曲面状に凹ませて構成されており、これらはメインフレーム2に搭載された状態の後述するドラムユニット11のホース巻回用ドラム11aの前後に位置するように配置されている。
したがって、前記ドラム11aに巻き付けられて引き上げられるもしくは繰り出されるホースは、第1および第2のガイドローラ3,4の周面から外れ難く、ホースはドラム11aの適正な位置に接触するように作用する。
【0026】
前記第1および第2のガイドローラ3,4の内側には、それぞれ直線状に成形された円筒体または円柱体によるハンドル5が、左側連結材2gと右側連結材2hとの間に跨がるようにして取り付けられている。メインフレーム2の前後にそれぞれ水平方向に配置された前記ハンドル5は、ホース引上げ装置1を後述するキャスターを利用して搬送する際などに好適に利用される。
【0027】
そして、ハンドル5を前後に取り付けた左側連結材2gと右側連結材2hは、図2に示すようにドラムユニット11を搭載する支持体として機能する。すなわち、ドラムユニット11側の後述するサブフレームは、左側連結材2gと右側連結材2hにそれぞれ形成された左右4か所のサブフレーム締結部6としての開口に挿通されるボルト/ナットにより、メインフレーム2に搭載されて締結される。
【0028】
一方、前記したメインフレーム2の四隅の下底部、すなわち、下底部に配置された前側連結材2mと後側連結材2n(図3参照)の各端部には、それぞれブレーキ付きのキャスター7が取り付けられている。これらの前後左右の各キャスター7は、前記した支柱材2a~2dに加わるホース引上げ装置1の全体荷重を受けて、ホース引上げ装置1を搬送可能にするものである。
【0029】
また、図3に示すようにメインフレーム2の下底部の前側連結材2mに平行して、アングル材8aが取り付けられており、このアングル材8aの水平方向の折り曲げ部には、一対のボルト8bが上向きに取り付けられている。
この上向きの一対のボルト8bは、固定板21の連結部として機能するものであり、この固定板21は後で説明する軽量なドラムユニット11を単独で使用するに際して、特に有効に作用するものである。
したがって、この固定板21の構成および作用については、ドラムユニット11を単独で使用する状態を示す図4図6に基づいて、後で説明する。
【0030】
なお、図1および図2に示すように、メインフレーム2の左側面には、メインフレーム2の下底部からL字状に立ち上がる立上げ板9aが取り付けられている。この立上げ板9aによってメインフレーム2の左側面との間に、狭い空間が形成されており、この空間は固定板21の搭載スペース9bとして利用される。
【0031】
図4図6は、前記したメインフレーム2に搭載されたドラムユニット11を分離し、ドラムユニット11を単独で使用する状態を示している。このドラムユニット11は、図2に基づいてすでに説明したとおり、メインフレーム2の左右の連結材2g,2hを利用して、メインフレーム2に搭載されている。
したがって、左右の連結材2g,2hに施された4か所のサブフレーム締結部(開口)6に挿通されるボルト/ナットを取り外すことにより、メインフレーム2の上部に向けてドラムユニット11を取り外すことができる。
【0032】
このドラムユニット11には、サブフレーム12の上部に回転可能に軸支されてホースが巻回されるドラム11aと、このドラム11aに対して正転および逆転の駆動力を与える原動機としてのモータ(ギヤードモータ)11e等が備えられる。
すなわち、前記サブフレーム12は、図4図5に示されるように、アングル材などの鋼材を利用した支柱材12a,12bが、右側の前後に立設されると共に、筐体状のドラムフレーム12cが左側に立設されることで、このドラムフレーム12cが支軸としての機能を果たしている。
【0033】
そして、支柱材12aとドラムフレーム12cとの間、支柱材12bとドラムフレーム12cとの間には、水平方向に連結するアングル材による連結材12d,12eが取り付けられて結合されている。
また、支柱材12a,12bとドラムフレーム12cの下底部には、矩形状に形成されたベース板12fが結合されて、立体構造のサブフレーム12を構成している。
【0034】
水平方向の2つの連結材12d,12eの各端部間には、コ字状に形成されたハンドル13がそれぞれ取り付けられており、この左右一対のハンドル13を利用して、ドラムユニット11を、メインフレーム2に対して、その上部から着脱操作をすることができる。
また、水平方向の2つの連結材12d,12eには、図5に示すように左右4か所に、サブフレーム締結部14としてのボルト/ナットの挿通開口が形成されており、このサブフレーム締結部14を利用して、ドラムユニット11をメインフレーム2に搭載させて締結することができる。
【0035】
前記したサブフレーム12の下底部に配置された矩形状のベース板12fには、その底面の隅角部にそれぞれブレーキ付きのキャスター15が取り付けられており、このキャスター15を利用してドラムユニット11を搬送することができる。
【0036】
一方、ドラムユニット11には、前記したとおりサブフレーム12の上部にホースが巻回されるドラム11aが配置されている。このドラム11aの両側には、ドラム11aよりも径の大きな一対の鍔部11bが形成されており、この一対の鍔部11bは、ドラム11aに巻回されるホースの外れ防止として機能する。
このドラム11aは、ドラムフレーム12cの上部に水平方向に配置された回転軸11cに取り付けられており、この回転軸11cにはドラムフレーム12c内において、スプロケット11dが取り付けられている。
【0037】
また、サブフレーム12の底部に配置されたベース板12f上には、ギヤードモータ11eが搭載されている。このギヤードモータ11eの駆動軸は、ドラムフレーム12cの下部に位置し、前記駆動軸にはドラムフレーム12c内において、スプロケット11fが取り付けられている。
そして、モータ側スプロケット11fとドラム側スプロケット11dとの間には、ドラムフレーム12c内において、図示せぬチェーンがかけ渡されており、この構成により、前記ドラム11aには、前記モータ11eにより正転および逆転の駆動力が与えられる。
【0038】
なお、前記したモータ11eの上部には、配電ボックス11gが取り付けられており、この配電ボックス11gには、図示せぬフットスイッチなどの接続端子が配置されている。洗浄作業者は前記フットスイッチを利用して、前記モータ11eヘの駆動電流のオン・オフおよびモータ11eの正転・逆転操作などを行うことができる。
【0039】
前記したドラムユニット11におけるベース板12fの前面側には、図5および図6に示すように一対のボルト16が上向きに取り付けられている。この上向きの一対のボルト16は、固定板21の連結部として機能するものであり、特に図4図6に示すように、ホース引上げ装置として、ドラムユニット11を単独で使用する場合においては、固定板21を併用することが望まれる。
【0040】
すなわち、ドラムユニット11は、これを単独で使用する場合においては、キャスター15に備えたブレーキの機能を利用するものの、軽量なドラムユニット11は、ホース牽引時の反作用を受けて設置場所からずれ動く問題が発生し得る。
例えば、ドラムユニット11の設置場所の制約により、ホースの投入口からドラム11aまでの距離が、2~3m程度離れる場合には、ドラムユニット11がホースの牽引による反作用により、ずれ動く問題が顕著に発生する。
【0041】
ドラムユニット11を単独で利用するに際しては、前記した固定板21の連結部として機能するベース板12fに設けられた上向きの一対のボルト16を、固定板21の端部に形成された一対の開口に通すことで、固定板21を固定し、さらにボルト16に螺着する図示せぬナットにより固定板21を締結することが望ましい。
【0042】
この例に示す固定板21は、図5および図6に示すように、ほぼ同一寸法に形成された2枚の矩形状の鉄板を、両者の端部で例えばヒンジを用いて繋ぎ合わせて構成される。
そして、一対のボルト16がそれぞれ通される開口を備えた一方の固定板は、サブフレーム12のベース板12fから、ドラムユニット11が設置される床面に向かって傾斜した状態に配置される。これを傾斜連結板21aと称呼することにする。
【0043】
また、傾斜連結板21aにヒンジによって連結された他方の固定板は、床面に沿って密着した状態に配置され、これに洗浄作業員が搭乗することができる。これを搭乗板(踏み板)21bと称呼することにする。
これにより、搭乗板(踏み板)21bに搭乗する洗浄作業員の体重を利用して、ドラムユニット11の位置を効果的に固定することができ、軽量なドラムユニット11を、安定した状態でホース引上げ装置として稼働させることが可能となる。
【0044】
なお、前記した傾斜連結板21aの下底面には、図6に示すように傾斜に沿って高さの異なる脚部21c,21dが配置されている。これらの脚部21c,21dは、好ましくは傾斜連結板21aに対して、図示せぬヒンジによって連結しておくことで、固定板21を利用するに際して、脚部21c,21dを自重により、床面に向かって立設させることができる。
【0045】
固定板21は、前記したとおり、ドラムユニット11を単独で使用する場合において利用することが望ましいが、図3に示すように、メインフレーム2に対してドラムユニット11が搭載された状態のホース引上げ装置1においても、利用することができる。
これは、超高層化された集合住宅などにおける排水管の洗浄作業のように、ホースの長さが増大して重量が嵩む場合などにおいて有効である。
【0046】
なお、前記した固定板21は、傾斜連結板21aと搭乗板21bとを、前記したヒンジを介して二つ折りにすることで、図1および図2に示した固定板21の搭載スペース9bに収容することができる。
これにより、ホース引上げ装置1は、固定板21を含む付帯設備も備えた状態で、洗浄作業現場に搬送することができる。
【0047】
以上のとおり、この発明に係るホース引上げ装置によると、洗浄作業の現場の状況に応じて、メインフレーム2にドラムユニット11を搭載した状態で、またはメインフレームから分離したドラムユニット11を単独の状態で利用することができる。
特にドラムユニット11を単独の状態で利用するに際しては、ドラムユニットの位置を固定する踏み板として機能する固定板21を、サブフレームに配置された連結部16に連結することで、固定板21に搭乗する作業員の体重を利用して、ドラムユニット11の位置を固定させることができる。
したがって、軽量なドラムユニットを安定した状態で稼働させることが可能であるなど、前記した発明の効果の欄に記載した独自の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0048】
1 ホース引上げ装置
2 メインフレーム
3 第1ガイドローラ
4 第2ガイドローラ
5 ハンドル
6 サブフレーム締結部(ボルト/ナット)
7 キャスター
8b 固定板連結部(ボルト)
9b 固定板搭載スペース
11 ドラムユニット
11a ホース巻回用ドラム
11b 鍔部
11c 回転軸
11d ドラム側スプロケット
11e ギヤードモータ(原動機)
11f モータ側スプロケット
11g 配電ボックス
12 サブフレーム
12c ドラムフレーム
12f ベース板
13 ハンドル
14 サブフレーム締結部(ボルト/ナット)
15 キャスター
16 固定板連結部(ボルト)
21 固定板
21a 傾斜連結板
21b 搭乗板(踏み板)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7