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  • 特開-遠心圧縮機 図1
  • 特開-遠心圧縮機 図2
  • 特開-遠心圧縮機 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022056948
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】遠心圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/28 20060101AFI20220404BHJP
【FI】
F04D29/28 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020164959
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】楳山 亮
(72)【発明者】
【氏名】中根 芳之
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB27
3H130AB47
3H130AC30
3H130BA22C
3H130BA97C
3H130CB05
3H130CB14
3H130DA02X
3H130DD01Z
3H130EB01C
3H130EB02C
(57)【要約】
【課題】インペラの慣性モーメントの低減と、ハブへの応力分布の不均一の発生の抑制と、の双方を達成可能な遠心圧縮機を提供すること。
【解決手段】遠心圧縮機であって、インペラ100は、ハブ110と、複数のブレード120と、を備える。各ブレード120は、外周面112の一方側から他方側に向けて延在し、インペラ100の回転時に正圧となる正圧面122及び負圧となる負圧面124を有する。ハブ110は、複数のブレード120の正圧面122と負圧面124の間に外周面112に開口する肉抜部117を有する。肉抜部117は、ブレード120の負圧面124よりも正圧面122に近づけて設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と、前記回転軸に固定されており前記回転軸と一体回転するインペラと、を備える遠心圧縮機であって、
前記インペラは、
前記回転軸の一方側から他方側に向かうにしたがって次第に拡径する形状を有する外周面と、前記他方側に形成された背面と、を有するハブと、
前記ハブの前記外周面に設けられた複数のブレードと、を備え、
前記複数のブレードの各々は、
前記外周面の一方側から他方側に向けて延在し、前記インペラの回転時に正圧となる正圧面及び負圧となる負圧面を有し、
前記ハブは、前記複数のブレードの前記正圧面と前記負圧面の間に前記外周面に開口する肉抜部を有し、
前記肉抜部は、前記ブレードの前記負圧面よりも前記正圧面に近づけて設けられている、遠心圧縮機。
【請求項2】
前記肉抜部は、前記外周面から前記背面に通じる貫通孔で構成されている、請求項1に記載の遠心圧縮機。
【請求項3】
前記ハブの周方向における各前記肉抜部の長さは、前記周方向における前記正圧面と前記負圧面の長さの半分以下である、請求項1又は2に記載の遠心圧縮機。
【請求項4】
前記ブレードは、前記外周面の一方側から他方側に向けて延在する第1ブレードと、前記外周面の径方向における中央部から他方側に向けて延在する第2ブレードとを有し、
前記肉抜部は、前記第1ブレードの前記負圧面よりも前記正圧面に近づけて設けられているとともに、前記第2ブレードの前記負圧面よりも前記正圧面に近づけて設けられている、請求項1から3のいずれか1項に記載の遠心圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、遠心圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開2009-133267号公報には、インペラを備える遠心圧縮機が開示されている。この遠心圧縮機におけるインペラは、外周面及び背面を有するハブと、複数の翼と、を有している。ハブには、外周面と背面とを連通させる貫通孔が形成されている。この貫通孔の形成により、インペラの慣性モーメントが低減されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-133267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開2009-133267号公報に記載される遠心圧縮機では、インペラの回転時にハブに生じる応力分布には、改善の余地がある。
【0005】
本発明の目的は、インペラの慣性モーメントの低減と、ハブへの応力分布の不均一の発生の抑制と、の双方を達成可能な遠心圧縮機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の一局面に従った遠心圧縮機は、回転軸と、前記回転軸に固定されており前記回転軸と一体回転するインペラと、を備える遠心圧縮機であって、前記インペラは、前記回転軸の一方側から他方側に向かうにしたがって次第に拡径する形状を有する外周面と、前記他方側に形成された背面と、を有するハブと、前記ハブの前記外周面に設けられた複数のブレードと、を備え、前記複数のブレードの各々は、前記外周面の一方側から他方側に向けて延在し、前記インペラの回転時に正圧となる正圧面及び負圧となる負圧面を有し、前記ハブは、前記複数のブレードの前記正圧面と前記負圧面の間に前記外周面に開口する肉抜部を有し、前記肉抜部は、前記ブレードの前記負圧面よりも前記正圧面に近づけて設けられている。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、インペラの慣性モーメントの低減と、ハブへの応力分布の不均一の発生の抑制と、の双方を達成可能な遠心圧縮機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態の遠心圧縮機の構成を概略的に示す図である。
図2】インペラの斜視図である。
図3図2とは異なる角度におけるインペラの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態の遠心圧縮機の構成を概略的に示す図である。図1に示されるように、遠心圧縮機1は、インペラ100と、タービンホイール200と、回転軸310と、モータ320と、軸受け330と、ケーシング400と、を備えている。
【0011】
回転軸310は、インペラ100とタービンホイール200とを接続している。この回転軸310は、モータ320により回転駆動される。回転軸310は、軸受け330で受けられている。なお、モータ320は、ロータと、ステータ(図示略)と、を有している。
【0012】
ケーシング400は、インペラ100、タービンホイール200、回転軸310、モータ320及び軸受け330を収容している。ケーシング400は、コンプレッサハウジング410と、タービンハウジング420と、センターハウジング430と、を有している。
【0013】
コンプレッサハウジング410は、インペラ100を収容している。コンプレッサハウジング410は、吸込み口411と、吐出部412と、を有している。コンプレッサハウジング410内におけるインペラ100の吐出側には、ディフューザ(図示略)が設けられている。
【0014】
タービンハウジング420は、タービンホイール200を収容している。タービンハウジング420は、吸込み部421と、排出口422と、を有している。
【0015】
センターハウジング430は、コンプレッサハウジング410とタービンハウジング420との間に配置されている。センターハウジング430は、モータ320と軸受け330とを収容している。
【0016】
センターハウジング430は、リアハウジング440を有している。リアハウジング440は、インペラ100と軸受け330との間に設けられている。
【0017】
インペラ100は、吸込み口411から吸い込まれたガス(例えば空気)を吐出部412から吐出させる。図2及び図3に示されるように、インペラ100は、ハブ110と、複数のブレード120と、を備えている。
【0018】
ハブ110は、回転軸310に固定されており、軸芯Aまわりに回転可能である。本実施形態では、軸芯Aは、回転軸310の回転中心軸に相当する。ハブ110は、外周面112と、背面114と、正圧面側部116と、負圧面側部118と、を有している。
【0019】
外周面112は、回転軸310の一方側(図1における上側)から他方側(図1における下側)に向かうにしたがって次第に拡径する形状を有している。換言すれば、外周面112は、吸込み側の端部から吐出側の端部に向かうにしたがって次第に当該外周面112の外径が大きくなる形状を有している。外周面112は、前記一方側から前記他方側に向かうにしたがって回転軸310に近づく向きに凸となるように湾曲する形状を有している。
【0020】
背面114は、軸芯Aと直交している。背面114は、前記他方側(吐出側)に形成されている。背面114は、平坦に形成されている。
【0021】
各ブレード120は、ハブ110の外周面112に設けられている。各ブレード120は、ハブ110の外周面112の一方側から他方側に向けて延在している。各ブレード120は、ハブ110の回転方向に向けて傾倒している。複数のブレード120は、複数の第1ブレード120Aと、複数の第2ブレード120Bと、を有している。
【0022】
第1ブレード120Aは、外周面112の前記一方側の端部の近傍から前記他方側の端部に至るように延びる形状を有している。
【0023】
第2ブレード120Bは、外周面112のうち径方向における中央部から前記他方側の端部に至るように延びる形状を有している。
【0024】
図2に示されるように、各ブレード120は、正圧面122と、負圧面124と、を有している。
【0025】
正圧面122は、ブレード120のうち軸芯Aまわりにおけるハブ110の回転時に正圧となる面である。
【0026】
負圧面124は、ブレード120のうち軸芯Aまわりにおけるハブ110の回転時に負圧となる面である。
【0027】
図2及び図3に示されるように、ハブ110は、外縁部に、複数の正圧面側部116と、複数の負圧面側部118と、を有している。
【0028】
周方向における正圧面側部116の長さL1(図2を参照)は、周方向に互いに隣接する一対のブレード120間の距離L2(図2を参照)の半分以下に設定されている。各正圧面側部116は、径方向におけるハブ110の外縁部の近傍に形成されることが好ましい。
【0029】
各負圧面側部118は、各正圧面側部116からハブ110の周方向に沿って延びるとともに各ブレード120の負圧面124に接している。
【0030】
ハブ110は、複数のブレード120の正圧面122と負圧面124の間において、外周面112に開口する肉抜部117を有している。換言すれば、肉抜部117は、ハブ110の外周面112のうち、周方向に互いに隣接する第1ブレード120A及び第2ブレード120B間の部位に設けられている。肉抜部117は、ブレード120の負圧面124よりも正圧面122に近づけて設けられている。肉抜部117は、正圧面側部116のみに設けられている。肉抜部117は、負圧面側部118には設けられていない。本実施形態では、各肉抜部117は、外周面112から背面114に通じる貫通孔で構成されている。すなわち、本実施形態では、肉抜部117の厚みは、ゼロである。貫通孔は、軸芯Aと平行な方向にハブ110を貫通している。
【0031】
以上に説明した遠心圧縮機1が駆動されると、ハブ110のうち吐出側の近傍でかつブレード120の負圧面124と接する部位が遠心力によって相対的に高応力となる。本実施形態のインペラ100では、相対的に高応力となる負圧面側部118の厚みが確保され、かつ、相対的に低応力となる正圧面側部116の厚みが負圧面側部118の厚みよりも小さく設定されているため、インペラ100の慣性モーメントの低減と、インペラ100への応力分布の不均一の発生の抑制と、の双方が達成される。
【0032】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0033】
例えば、全てのブレード120は、互いに同じ形状に形成されてもよい。
【0034】
[態様]
上述した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0035】
この開示の一局面に従った遠心圧縮機は、回転軸と、前記回転軸に固定されており前記回転軸と一体回転するインペラと、を備える遠心圧縮機であって、前記インペラは、前記回転軸の一方側から他方側に向かうにしたがって次第に拡径する形状を有する外周面と、前記他方側に形成された背面と、を有するハブと、前記ハブの前記外周面に設けられた複数のブレードと、を備え、前記複数のブレードの各々は、前記外周面の一方側から他方側に向けて延在し、前記インペラの回転時に正圧となる正圧面及び負圧となる負圧面を有し、前記ハブは、前記複数のブレードの前記正圧面と前記負圧面の間に前記外周面に開口する肉抜部を有し、前記肉抜部は、前記ブレードの前記負圧面よりも前記正圧面に近づけて設けられている。
【0036】
この遠心圧縮機のインペラでは、相対的に高応力となるハブの負圧側部の厚みよりも、相対的に低応力となる正圧側部の厚みが小さいため、インペラの慣性モーメントの低減と、インペラへの応力分布の不均一の発生の抑制と、の双方が達成される。
【0037】
また、前記肉抜部は、前記外周面から前記背面に通じる貫通孔で構成されていることが好ましい。
【0038】
この態様では、インペラの慣性モーメントがより低減され、かつ、インペラの回転時に当該インペラに作用するスラスト荷重も低減される。
【0039】
また、前記ハブの周方向における各前記肉抜部の長さは、前記周方向における前記正圧面と前記負圧面の長さの半分以下であることが好ましい。
【0040】
また、前記ブレードは、前記外周面の一方側から他方側に向けて延在する第1ブレードと、前記外周面の径方向における中央部から他方側に向けて延在する第2ブレードとを有し、前記肉抜部は、前記第1ブレードの前記負圧面よりも前記正圧面に近づけて設けられているとともに、前記第2ブレードの前記負圧面よりも前記正圧面に近づけて設けられていることが好ましい。
【符号の説明】
【0041】
1 遠心圧縮機、100 インペラ、110 ハブ、112 外周面、114 背面、116 正圧面側部、117 肉抜部(貫通孔)、118 負圧面側部、120 ブレード、122 正圧面、124 負圧面、200 タービンホイール、310 回転軸、320 モータ、330 軸受け、400 ケーシング、410 コンプレッサハウジング、420 タービンハウジング、430 センターハウジング、440 リアハウジング、A 軸芯。
図1
図2
図3