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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022057033
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】ダックビル弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 15/14 20060101AFI20220404BHJP
【FI】
F16K15/14 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020165087
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】517417717
【氏名又は名称】株式会社TOKIO Lab
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】服部 英明
(72)【発明者】
【氏名】花房 薫
【テーマコード(参考)】
3H058
【Fターム(参考)】
3H058AA16
3H058BB35
3H058CA02
3H058CA22
3H058EE04
3H058EE05
3H058EE06
3H058EE12
(57)【要約】
【課題】出口部が設けられた先端部付近で発生する共振音を低減することができるダックビル弁を提供する。
【解決手段】ダックビル弁100は、先端部100aに開閉可能な出口部105を形成する第1リップ部110及び第2リップ部120を備え、第1リップ部と第2リップ部は、出口部が閉じた状態において先端部で互いに密着するように基端側から先端側へ向けて傾斜して延びており、第1リップ部の先端部の少なくとも一部を含む領域には、出口部から離間する方向へ突出した第1リブ115が設けられており、第2リップ部の先端部の少なくとも一部を含む領域には、出口部から離間する方向へ突出した第2リブ125が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部に開閉可能な出口部を形成する第1リップ部及び第2リップ部を備えるダックビル弁であって、
前記第1リップ部と前記第2リップ部は、前記出口部が閉じた状態において前記先端部で互いに密着するように基端側から先端側へ向けて傾斜して延びており、
前記第1リップ部の先端部の少なくとも一部を含む領域には、前記出口部から離間する方向へ突出した第1リブが設けられており、
前記第2リップ部の先端部の少なくとも一部を含む領域には、前記出口部から離間する方向へ突出した第2リブが設けられている、ダックビル弁。
【請求項2】
前記第1リブ及び前記第2リブは、前記出口部の左右方向の略中心位置を含む領域に少なくとも設けられている、請求項1に記載のダックビル弁。
【請求項3】
前記第1リブ及び前記第2リブは、前記第1リップ部及び前記第2リップ部の延在方向の略全長に沿って連続的に延びている、請求項1又は請求項2に記載のダックビル弁。
【請求項4】
前記第1リブ及び前記第2リブは、前記出口部を基準にして、略対称な形状及び略対称な位置に設けられている、請求項1~3のいずれか1項に記載のダックビル弁。
【請求項5】
前記第1リブ及び前記第2リブは、前記出口部の開閉方向に沿う断面において、各前記リップ部から最も離間する位置に配置された頂部と、前記頂部から各前記リップ部の外表面に延びる稜部と、を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載のダックビル弁。
【請求項6】
前記第1リブは、前記第1リップ部と一体的に形成された樹脂材料からなる中実構造を有し、
前記第2リブは、前記第2リップ部と一体的に形成された樹脂材料からなる中実構造を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載のダックビル弁。
【請求項7】
前記出口部の開閉に伴って気体を含む流体の移動を制御する、請求項1~6のいずれか1項に記載のダックビル弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダックビル弁に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な産業分野において、流体の流れを制御するための一方弁としてダックビル弁が使用されている。ダックビル弁には、設置される製品や使用用途などに応じて種々の構造のものが存在する。例えば、特許文献1では、ダックビル弁の応答性(ダックビル弁内部への流体の流入に伴う出口部の閉状態から開状態への応答速度)を向上させるために、ダックビル弁の出口部を形成する嘴状のリップ部にスリット(溝)を設けた構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-97651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、ダックビル弁に求められる性能の一つとして、例えば、応答性が挙げられるが、ダックビル弁にはその仕様や用途等に応じて他の性能が求められることもある。その一つとして、ダックビル弁内部への流体の流入に伴って発生する「共振音の低減」が挙げられる。
【0005】
ダックビル弁の基端部側(出口部が設けられた位置と反対側の端部側)からダックビル弁内部に流体が流入すると、ダックビル弁のすぼまった嘴形状に形成された先端部付近では基端部側で生じた振動が増幅されて、より大きな振動が発生する。この振動が要因となってダックビル弁から共振音が発生する。ダックビル弁から共振音が発生すると、ダックビル弁が組み込まれた装置や設備を使用するユーザー等に対して不快感を与えることになる。
【0006】
本発明は上記の課題を鑑みてなされたものであり、出口部が設けられた先端部付近で発生する共振音を低減することができるダックビル弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るダックビル弁は、先端部に開閉可能な出口部を形成する第1リップ部及び第2リップ部を備えるダックビル弁であって、前記第1リップ部と前記第2リップ部は、前記出口部が閉じた状態において前記先端部で互いに密着するように基端側から先端側へ向けて傾斜して延びており、前記第1リップ部の先端部の少なくとも一部を含む領域には、前記出口部から離間する方向へ突出した第1リブが設けられており、前記第2リップ部の先端部の少なくとも一部を含む領域には、前記出口部から離間する方向へ突出した第2リブが設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明のダックビル弁によれば、該ダックビル弁の内部に流体が流入した際、第1リップ部に設けられた第1リブ及び第2リップ部に設けられた第2リブにより、先端部付近で生じる振動を低減することができる。そのため、振動に起因して発生する共振音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係るダックビル弁を示す斜視図である。
図2】ダックビル弁の側面図である。
図3図1の矢印3A-3A線に沿うダックビル弁の断面図である。
図4】出口部が閉じた状態のダックビル弁の正面図である。
図5】出口部が開いた状態のダックビル弁の正面図である。
図6図1の矢印6A-6A線に沿うダックビル弁の断面図である。
図7】出口部が開いた状態の図6に相当するダックビル弁の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、以下の記載は特許請求の範囲に記載される技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。また、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0011】
図1図7は実施形態に係るダックビル弁100を示す図である。
【0012】
図1はダックビル弁100の斜視図、図2はダックビル弁100の側面図、図3図1に示す矢印3A-3A線に沿うダックビル弁100の断面図、図4及び図5はダックビル弁100の正面図、図6及び図7図1に示す矢印6A-6A線に沿うダックビル弁100の断面図である。図1図2図3図4図6ではダックビル弁100の出口部105が閉じた状態を示しており、図5図7ではダックビル弁100の出口部105が開いた状態を示している。
【0013】
実施形態の説明では、ダックビル弁100において出口部105が設けられた側を先端側と称し、各基部141、142が設けられた側を基端側と称する。明細書内で説明でする「先端部」とは、ダックビル弁100の最先端から基端側に至る一定の範囲を意味し、「基端部」とは、ダックビル弁100の最基端から先端側に至る一定の範囲を意味する。
【0014】
明細書に添付した各図面において、ダックビル弁100の長手方向(図3に示す流路130が延在する方向)を矢印Xで示し、ダックビル弁100の奥行方向(幅方向)を矢印Yで示し、ダックビル弁100の高さ方向(厚さ方向)を矢印Zで示す。
【0015】
本実施形態に係るダックビル弁100は、例えば、産業機械、電化製品、その他各種の機械・器具に使用することができ、具体的な用途は特に限定されない。一例として、ダックビル弁100は、該ダックビル弁100の出口部105を開閉させることにより、気体を含む流体(例えば、気体のみ、気体と液体の混合流体等)の移動を制御するための一方弁として利用することができる。また、そのような用途でダックビル弁100を利用する場合の適用例の一つとして、電化製品である炊飯器内で生じる蒸気の移動の制御を挙げることができる。
【0016】
以下、本実施形態に係るダックビル弁100について詳述する。
【0017】
<ダックビル弁>
ダックビル弁100は、図1図4図5に示すように、先端部100aに開閉可能な出口部105を形成する第1リップ部110及び第2リップ部120を備えるダックビル弁として構成している。
【0018】
第1リップ部110と第2リップ部120は、図1図2に示すように、出口部105が閉じた状態において、先端部100aで互いに密着するように基端側から先端側へ向けて傾斜して延びている。
【0019】
第1リップ部110の先端部111の少なくとも一部を含む領域には、図1図2図4に示すように、出口部105から離間する方向(図4の上方向)へ突出した第1リブ115が設けられている。
【0020】
上記の「第1リップ部110の先端部111の少なくとも一部を含む領域に第1リブ115が設けられる」とは、「第1リップ部110の先端部111の少なくとも一部に第1リブ115の少なくとも一部が配置されている」ことを意味する。なお、第1リップ部110における第1リブ115の奥行方向の長さ、第1リブ115の長手方向の長さ、第1リブ115の高さ方向の突出長等について特に制限はない。
【0021】
第2リップ部120の先端部121の少なくとも一部を含む領域には、図1図2図4に示すように、出口部105から離間する方向(図4の下方向)へ突出した第2リブ125が設けられている。
【0022】
上記の「第2リップ部120の先端部121の少なくとも一部を含む領域に第2リブ125が設けられる」とは、「第2リップ部120の先端部121の少なくとも一部に第2リブ125の少なくとも一部が配置されている」ことを意味する。なお、第2リップ部120における第2リブ125の奥行方向の長さ、第2リブ125の長手方向の長さ、第2リブ125の高さ方向の突出長等について特に制限はない。
【0023】
ダックビル弁100は、図3に示すように、ダックビル弁100の内部を長手方向に沿って延びる流路130(空間)を有する。ダックビル弁100の基端部100bには、流路130に連通する流入口106が形成されている。
【0024】
ダックビル弁100の基端部100b付近には、略円筒形状に形成された第1基部141と、第1基部141の基端側に配置され、第1基部141よりも外方側に広がる第2基部142が形成されている。
【0025】
図1図4に示すように、第1リップ部110と第2リップ部120は、出口部105を基準にして、略対象な形状を有する。
【0026】
第1リップ部110は、第1基部141側から先端部100a側に向けて、かつ、第2リップ部120側に向けて所定の角度で傾斜して延びている。同様に、第2リップ部120は、第1基部141側から先端部100a側に向けて、かつ、第1リップ部110側に向けて所定の角度で傾斜して延びている。
【0027】
第1リップ部110の傾斜角度θ1及び第2リップ部120の傾斜角度θ2(図3を参照)は特に限定されず、任意の大きさで形成することができる。
【0028】
第1リップ部110の長手方向に沿う長さL1及び第2リップ部120の長手方向に沿う長さL2(図3を参照)は特に限定されず、任意の大きさで形成することができる。
【0029】
閉じた状態における出口部105の左右方向の寸法L3(図4を参照)は特に限定されず、任意の大きさで形成することができる。
【0030】
第1基部141の長手方向に沿う長さ、内径、外径、及び、第2基部142の長手方向に沿う長さ、内径、外径についても特に制限はなく、製品仕様等に応じて任意のものとすることができる。
【0031】
ダックビル弁100は、流入口106を介して流路130内に流入した流体によって出口部105をなす各リップ部110、120の内壁面に対して所定の圧力が付与されると、第1リップ部110の先端部111と第2リップ部120の先端部121が互いに離間するように可動し、出口部105を開く(図5図7を参照)。ダックビル弁100は、出口部105を開くことにより、流入口106、流路130、出口部105を通じた流体の移動を可能にする。
【0032】
ダックビル弁100は、各リップ部110、120の内壁面に対して上記所定の圧力が付与されていない状態では、各リップ部110、120を閉じた状態に維持する(図1図2図4を参照)。これにより、流入口106、流路130、出口部105を通じた流体の移動を制限する。
【0033】
上記のように、ダックビル弁100は、流路130内に流入した流体の圧力に応じて出口部105を開閉することにより、ダックビル弁100を通じた流体の移動と遮断を制御する。
【0034】
図1図4に示すように、第1リップ部110は、該第1リップ部110に第1リブ115が設けられているため、第1リップ部110の先端部111付近が部分的に肉厚に形成されている。そのため、出口部105が開いて流路130から流体が流出する際、第1リブ115によって先端部111付近(出口部105付近)が上下方向(高さ方向)に振動することを抑制できる。同様に、第2リップ部120は、該第2リップ部120に設けられた第2リブ125により、先端部121付近(出口部105付近)が上下方向(高さ方向)に振動することを抑制できる。したがって、本実施形態に係るダックビル弁100は、出口部105を開いて流体を流出させている間、各リップ部110、120が振動して両者が互いに接触することを抑制でき、振動に伴って発生する共振音を低減することができる。
【0035】
第1リブ115及び第2リブ125は、図1図4図5に示すように、出口部105の左右方向(図4図7の左右方向。出口部105の開閉方向と直交する方向と同方向)の略中心位置C1を含む領域に少なくとも設けることができる。
【0036】
出口部105の左右方向の略中心位置C1を含む領域は、図5に示すように、出口部105が開く際、上下方向に最も大きく開く。また、流体が出口部105から流出する際、上記領域に対しては、他の部位と比較して大きな圧力が掛かる。そのため、上記領域付近では各リップ部110、120の振動が大きくなる。本実施形態に係るダックビル弁100では、上記領域に第1リブ115及び第2リブ125を設けているため、上記領域で振動が発生することを抑制できる。そのため、ダックビル弁100から発生する共振音をより効果的に低減することができる。
【0037】
なお、出口部105の左右方向において各リブ115、125を設ける範囲は特に限定されないが、例えば、図4に示すように、略中心位置C1を含む領域及びその周辺部のみに設けることが好ましい。このような位置に各リブ115、125を配置することにより、各リップ部110、120から生じる共振音の低減を図りつつ、略中心位置C1以外の部分が不要に肉厚に形成されて各リップ部110、120の応答性が損われることを防止できる。
【0038】
ただし、各リブ115、125は、例えば、出口部105の左右方向の全範囲に亘って形成されていてもよい。また、各リブ115、125は、出口部105の左右方向の任意の位置に隙間を空けて断続的に複数個配置されていてもよい。各リブ115、125を出口部105の左右方向に複数個配置する場合、リブ毎に大きさや形状が異なっていてもよい。
【0039】
図1図2に示すように、第1リブ115及び第2リブ125は、第1リップ部110及び第2リップ部120の延在方向(ダックビル弁100の長手方向と同方向)の略全長に沿って連続的に延びている。このように第1リブ115及び第2リブ125が配置されているため、ダックビル弁100は、各リップ部110、120の延在方向の全長に亘って振動が発生することを抑制できる。そのため、ダックビル弁100から発生する共振音をより一層効果的に低減できる。
【0040】
なお、各リブ115、125は、例えば、各リップ部110、120の延在方向の一部のみに形成されていてもよい。また、各リブ115、125は、各リップ部110、120の延在方向の任意の位置に隙間を空けて断続的に複数個配置されていてもよい。各リブ115、125を各リップ部110、120の延在方向に複数個配置する場合、リブ毎に大きさや形状が異なっていてもよい。
【0041】
第1リブ115及び第2リブ125は、図1図4に示すように、出口部105を基準にして、略対称な形状及び略対称な位置に設けられている。
【0042】
前述したように、本実施形態では、第1リブ115は、図2図4に示すように、出口部105の左右方向の略中心位置C1を含む領域、及び、第1リップ部110の延在方向の略全長に亘って形成されている。また、第2リブ125は、出口部105の左右方向の略中心位置C1を含む領域、及び、第2リップ部120の延在方向の略全長に亘って形成されている。また、各リブ115、125の形状(図6に示す断面形状)は、出口部105を基準にして上下を略対称に反転させた同一形状を有する。
【0043】
各リブ115、125が上記のように配置及び構成されているため、ダックビル弁100は、出口部105から流体が流出する際、各リブ115、125が、各リップ部110、120の略対象な位置で、互いに略対称な方向(出口部105の上下方向)に向けて同様の挙動を示すため、各リップ部110、120において振動を効果的に抑制できる。そのため、各リップ部110、120同士の衝突を抑制することができ、両者の衝突に伴って発生する共振音をより一層効果的に低減することができる。
【0044】
第1リブ115は、図4図5に示すように、出口部105の開閉方向に沿う断面において、第1リップ部110から最も離間する位置に配置された頂部115aと、頂部115aから第1リップ部110の外表面に延びる第1稜部115b及び第2稜部115cと、を有する。
【0045】
前述したように、第1リブ115と第2リブ125は、出口部105を基準にして、出口部105の上下方向において略対称な形状を有する。そのため、第2リブ125は、第1リブ115と同様に、出口部105の開閉方向に沿う断面において、第2リップ部120から最も離間する位置に配置された頂部125aと、頂部125aから第2リップ部120の外表面に延びる第1稜部125b及び第2稜部125cと、を有する(図4図5を参照)。
【0046】
各リブ115、125の各頂部115a、125aは、各リップ部110、120において最も肉厚が大きな部分を形成する。そのため、各リップ部110、120は、各頂部115a、125a付近において各リップ部110、120が振動することを抑制できる。特に、本実施形態では、振動が最も大きくなり得る出口部105の左右方向の略中心位置C1に各頂部115a、125aを配置しているため、各リップ部110、120の振動を効果的に抑制することができる。
【0047】
また、各リブ115、125の各稜部115b、115c、125b、125cでは、各リップ部110、120の外表面に向けて各リブ115、125の肉厚が漸減する。そのため、各頂部115a、125aから一定の距離だけ出口部105の左右方向に離れた位置では、各リップ部110、120の肉厚がダックビル弁100の応答性に影響を与えない程度に小さくなっている。したがって、ダックビル弁100は、応答性の低下が損われることを防止しつつ、共振音の発生を効果的に抑制できる。
【0048】
図4図5に示すように、各頂部115a、125aは、突出方向に湾曲した断面形状に形成することができるが、具体的な形状は特に限定されない。例えば、各頂部115a、125aは、矩形形状に形成してもよい。また、各稜部115b、115c、125b、125cは、各頂部115a、125aから各リップ部110、120の外表面に向けて緩やかに湾曲した断面形状を有するが、具体的な形状は特に限定されない。例えば、各稜部115b、115c、125b、125cは、略直線状に形成してもよい。
【0049】
第1リブ115の突出高さH1及び第2リブ125の突出高さH2(図3を参照)は特に限定されず、任意の大きさで形成することができる。
【0050】
第1リブ115は、図6図7に示すように、第1リップ部110と一体的に形成された樹脂材料からなる中実構造で構成することができる。例えば、第1リップ部110及び第1リブ115は、ABS、PC等の樹脂材料で構成することができる。また、第1リップ部110及び第1リブ115は、公知の射出成形等によって一体成型で製造することができる。
【0051】
また、第2リブ125は、図6図7に示すように、第2リップ部120と一体的に形成された樹脂材料からなる中実構造で構成することができる。例えば、第2リップ部120及び第2リブ125は、第1リップ部110及び第1リブ115と同様に、ABS、PC等の樹脂材料で構成することができる。また、第2リップ部120及び第2リブ125は、公知の射出成形等によって一体成形で製造することができる。
【0052】
上記のように各リブ115、125が各リップ部110、120と同一の樹脂材料で一体的に形成されているため、一体成形等の方法で容易に各リブ115、125をダックビル弁100に設けることができる。また、各リップ部110、120が樹脂で構成された中実構造を有するため、ダックビル弁100を使用している間、各リブ115、125が折れたり、形状が不用意に変形したりすることを防止できる。そのため、各リブ115、125の効果を長期に亘って維持することができる。
【0053】
なお、本実施形態では、第1リップ部110、第1リブ115、第2リップ部120、第2リブ125、第1基部141、第2基部142を樹脂材料を用いた一体成形で製造している。そのため、ダックビル弁100の製造が容易であり、かつ、製造コストを削減することが可能となっている。
【0054】
以上、実施形態を通じて本発明に係るダックビル弁を説明したが、本発明は実施形態で説明した内容のみに限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載に基づいて適宜変更することが可能である。
【0055】
第1リブ及び第2リブの形状(断面形状)は図示により示した形状に限定されない。第1リブ及び第2リブは、出口部から離間する方向に突出した部分を有している限り、任意に変更することができる。また、第1リブ及び第2リブは、互いに同一形状(出口部の上下方向で略対象な形状)を有していなくてもよい。
【0056】
第1リブ及び第2リブの相対的な位置関係は特に限定されない。例えば、各リブは、出口部を基準にして対象な位置に配置されていなくてもよく、各リップ部における任意の位置に配置することができる。
【0057】
各リブは、各リップ部とは別部材で構成してものを各リブに固定して配置してもよい。また、各リブは内部に部分的に隙間(空洞)が設けられていてもよい。また、各リブは、ダックビル弁とは別の材料で構成してもよい。
【符号の説明】
【0058】
100 ダックビル弁
100a ダックビル弁の先端部
100b ダックビル弁の基端部
105 出口部
106 流入口
110 第1リップ部
111 第1リップ部の先端部
115 第1リブ
115a 第1リブの頂部
115b、115c 第1リブの稜部
120 第2リップ部
121 第1リップ部の先端部
125 第2リブ
125a 第2リブの頂部
125b、125c 第2リブの稜部
30 流路
141 第1基部
142 第2基部
C1 出口部の左右方向の中心位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7