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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022057122
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】ヒータ基板及び圧電発振器
(51)【国際特許分類】
   H03B 5/32 20060101AFI20220404BHJP
   H01L 23/02 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
H03B5/32 A
H03B5/32 H
H01L23/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020165220
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000149734
【氏名又は名称】株式会社大真空
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】森脇 徹
【テーマコード(参考)】
5J079
【Fターム(参考)】
5J079AA04
5J079BA02
5J079BA43
5J079CA04
5J079CA12
5J079FA14
5J079FA22
5J079HA04
5J079HA07
5J079HA16
5J079HA25
5J079HA29
(57)【要約】
【課題】抵抗値を容易に調整できるヒータ基板及びそれを備えた圧電発振器を提供する。
【解決手段】絶縁基板上に、抵抗発熱体からなるヒータパターンが形成されたヒータ基板であって、ヒータパターンは、抵抗発熱体に給電する給電端子部として選択可能な少なくとも3つ以上のパッド部を有し、3つ以上のパッド部から給電端子部として、いずれか2つのパッド部を選択することによって、ヒータ基板の抵抗値を調整できるようにしている。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板上に、抵抗発熱体からなるヒータパターンが形成されたヒータ基板であって、
前記ヒータパターンは、前記抵抗発熱体に給電する給電端子部として選択可能な少なくとも3つ以上のパッド部を有する、
ことを特徴とするヒータ基板。
【請求項2】
前記ヒータパターンは、一端と他端とを有し、
前記一端側及び前記他端側の少なくともいずれか一方側には、前記給電端子部として選択可能な複数の前記パッド部が形成されている、
請求項1に記載のヒータ基板。
【請求項3】
前記請求項1または2に記載のヒータ基板、圧電振動子、集積回路素子、収納凹部を有するベース、及び、蓋体を備え、
前記ヒータ基板、前記圧電振動子及び前記集積回路素子は、前記ベースの収納凹部に収納されて、前記蓋体によって気密に封止されている、
ことを特徴とする圧電発振器。
【請求項4】
絶縁基板に配線パターンが形成された搭載基板を備え、
前記ヒータ基板、前記圧電振動子及び前記集積回路素子が搭載された前記搭載基板が、前記ベースの収納凹部に収納されて、前記蓋体によって気密に封止され、
前記ヒータ基板の前記少なくとも3つ以上のパッド部の内、前記給電端子部として選択された2つのパッド部が、ボンディングワイヤーによって、前記搭載基板の前記配線パターンに電気的に接続されている、
請求項3に記載の圧電発振器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒータ基板及び圧電発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
圧電発振器には、例えば、特許文献1に記載されているように、ヒータパターンが形成された台座を有し、ヒータパターンの発熱を制御することによって、台座上に載置された圧電振動片の温度を所定の温度に保持して、圧電振動片の振動特性の安定化を図るようにしたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6382532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のヒータパターンを構成する薄膜を、例えば、真空蒸着法等によって形成する場合、薄膜の厚みや幅にばらつきを生じ、このため、抵抗値がばらつくという課題がある。
【0005】
本発明は、上記のような点に鑑みてなされたものであって、抵抗値を容易に調整できるヒータ基板及びそれを備えた圧電発振器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、上記目的を達成するために、次のように構成している。
【0007】
(1)本発明のヒータ基板は、絶縁基板上に、抵抗発熱体からなるヒータパターンが形成されたヒータ基板であって、前記ヒータパターンは、前記抵抗発熱体に給電する給電端子部として選択可能な少なくとも3つ以上のパッド部を有する。
【0008】
本発明に係るヒータ基板によると、ヒータ基板のヒータパターンは、給電端子部として選択可能な少なくとも3つの以上のパッド部を有するので、その内の2つのパッド部を、給電端子部として選択して給電することができる。この場合、給電端子部として、どの2つのパッド部を選択するかによって、当該ヒータ基板の抵抗値を調整することができるので、ヒータ基板の抵抗値のばらつきを低減することができる。
【0009】
(2)本発明の好ましい実施態様では、前記ヒータパターンは、一端と他端とを有し、前記一端側及び前記他端側の少なくともいずれか一方側には、前記給電端子部として選択可能な複数の前記パッド部が形成されている。
【0010】
この実施態様によると、ヒータパターンの一端側又は他端側のいずれか一方側の複数のパッド部の内、いずれかのパッド部を給電端子部として選択すると共に、いずれか他方側のパッド部を給電端子部として選択して給電することによって、当該ヒータ基板の抵抗値を調整することができる。
【0011】
(3)本発明の圧電発振器は、上記(1)または(2)のヒータ基板、圧電振動子、集積回路素子、収納凹部を有するベース、及び、蓋体を備え、前記ヒータ基板、前記圧電振動子及び前記集積回路素子は、前記ベースの収納凹部に収納されて、前記蓋体によって気密に封止されている。
【0012】
本発明に係る圧電発振器によると、ヒータ基板、圧電振動子、集積回路素子を、ベースの収納凹部に収納して蓋体によって気密に封止するので、外部の温度変化等の影響を抑制することができ、外部の温度等が変化しても、圧電発振器の特性変動を抑制して発振周波数の安定化を図ることができる。
【0013】
また、ヒータ基板の3つ以上のパッド部から2つのパッド部を給電端子部として選択することによって、その抵抗値を調整できるので、当該ヒータ基板の抵抗値のばらつきを低減することができる。
【0014】
(4)本発明の好ましい実施態様では、絶縁基板に配線パターンが形成された搭載基板を備え、前記ヒータ基板、前記圧電振動子及び前記集積回路素子が搭載された前記搭載基板が、前記ベースの収納凹部に収納されて、前記蓋体によって気密に封止され、前記ヒータ基板の前記少なくとも3つ以上のパッド部の内、前記給電端子部として選択された2つのパッド部が、ボンディングワイヤーによって、前記搭載基板の前記配線パターンに電気的に接続されている。
【0015】
この実施態様によると、搭載基板に搭載されたヒータ基板の3つ以上のパッド部の内、給電端子部として選択された2つのパッド部を、搭載基板の配線パターンに、ワイヤーボンディングによって容易に接続して給電することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ヒータパターンの3つの以上のパッド部の内、給電端子部として、どの2つのパッド部を選択するかによって、当該ヒータ基板の抵抗値を調整することができるので、ヒータ基板の抵抗値のばらつきを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る水晶発振器の概略構成図である。
図2図2は水晶基板が搭載されたベースの概略平面図である。
図3図3はICチップ及びコンデンサが搭載されたベースの概略平面図である。
図4図4は、図1の水晶振動子の上下を反転させて、その側方から見た拡大断面図である。
図5図5図4の水晶振動板の両主面の概略平面図である。
図6図6図4の第1封止部材の両主面の概略平面図である。
図7図7図4の第2封止部材の両面の概略平面図である。
図8図8は水晶振動子が搭載されたベースの概略平面図である。
図9図9は水晶振動子に搭載される本発明の一実施形態に係るヒータ基板の平面図である。
図10図10はヒータ基板が搭載され、ワイヤーボンディングされた状態を示すベースの概略平面図である。
図11図11は本発明の他の実施形態の図1に対応する概略構成図である。
図12図12は本発明の更に他の実施形態の図1に対応する概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
本実施形態では、圧電発振器として、外部の温度変化に影響されることなく高安定な周波数を出力する恒温槽型の水晶発振器に適用して説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係る恒温槽型の水晶発振器の概略構成図である。
【0021】
この実施形態の水晶発振器1は、配線パターンが形成された搭載基板としての水晶基板4と、この水晶基板4上にフリップチップ実装された集積回路素子としてのICチップ3と、水晶基板4上に搭載された受動部品であるコンデンサ7と、ICチップ3上に搭載された水晶振動子2と、この水晶振動子2上に搭載されて、水晶振動子2を加熱する本発明の一実施形態に係る後述のヒータ基板5と、それらを気密に封止するパッケージ6とを備えている。水晶振動子2は、後述のように、水晶振動板14及びこの水晶振動板14の振動部を気密に封止する第1,第2封止部材15,16を備えている。
【0022】
この実施形態では、ICチップ3、水晶振動子2及びヒータ基板5は、その平面サイズが略等しく、図1に示されるように、水晶基板4上に積層されて搭載される。なお、ICチップ3、水晶振動子2及びヒータ基板5は、その平面サイズが互いに異なっていてもよい。
【0023】
パッケージ6は、上部が開口し、水晶振動子2等が搭載された水晶基板4を収容する収容凹部8aを有するパッケージ本体としてのベース8と、シールリング9を介してベース8に接合されて上部の開口を閉塞して収容凹部8aを気密に封止する蓋体としてのリッド10とを備えている。
【0024】
このパッケージ6は、直方体状であって、図2のベース8の概略平面図に示されるように平面視略矩形である。この実施形態の水晶発振器1は、平面視で、例えば、1.2mm×1.0mmである。なお、この平面サイズに限らず、それよりも小さい、例えば1.0mm×0.8mm、あるいは、それよりも大きい、例えば2.0mm×1.6mm、等の他のサイズの水晶発振器に適用してもよい。
【0025】
ベース8は、図1に示すように、平板状の底板部8bと、その外周上に形成された第1側壁部8cと、この第1側壁部8cの外周上に形成された第2側壁部8dとを備えており、内周壁に段部を有する収容凹部8aが構成される。
【0026】
気密封止は、真空雰囲気中または窒素ガス等の不活性ガス雰囲気中で行われ、パッケージ6の内部の空間は、真空または不活性ガス雰囲気とされる。
【0027】
ベース8は、アルミナ等のセラミック材料からなり、例えば、3枚のセラミックグリーンシートを積層して上部が開口した段部を有する凹状に一体焼成して構成される。
【0028】
水晶振動子2等が搭載される水晶基板4は、上面に配線パターンが形成されており、その下面が、ベース8の内底面に非導電性接着剤を介してダイボンディングされる。
【0029】
図2は、ベース8の内底面にダイボンディングされた水晶基板4の概略平面図である。水晶基板4の上面には、複数の配線パターン11が形成されている。
【0030】
この水晶基板4は、セラミックからなる平板、例えば、セラミック基板やセラミックパッケージの底板部に比べて、その平面の平坦度が良好である。
【0031】
このため、セラミックからなるベース8の内底面に反りがあっても、このベース8の内底面に、非導電性接着剤を介してダイボンディングされた水晶基板4の上面の平坦度は良好である。
【0032】
ICチップ3は、複数の電極パッドを備えており、水晶基板4の上面の配線パターン11に、図1に示されるように、金属バンプ13を介してフリップチップ接続される。
【0033】
上記のように水晶基板4は、平坦度が良好であるので、ICチップ3をフリップチップ実装する際に印加される荷重が、ICチップ3の複数の電極パッド間でばらつくのが抑制されて、安定な接続が可能となる。
【0034】
ベース8の第1側壁部8cの上面、すなわち、内周壁の段部の上面には、導体配線パターンからなる複数の接続電極12が形成されている。この接続電極12は、後述のようにボンディングワイヤー39によって、水晶基板4の配線パターン11に電気的に接続される。
【0035】
図3は、ベース8の内底面に接合された水晶基板4の上面に、フリップチップ実装されたICチップ3を示す図2に対応する概略平面図である。水晶基板4の上面の配線パターン11には、複数のコンデンサ7も半田等の接合材によって実装される。
【0036】
ICチップ3は、平面視矩形であって、発振回路、温度センサ、及び、温度センサの検出温度に基づいて、ヒータ基板5の発熱を制御する温度制御回路を内蔵している。
【0037】
なお、ICチップ(集積回路素子)は、1個に限らず、2個であってもよく、例えば、発振回路を内蔵した発振用のICチップと、温度センサ、温度制御回路及び発熱部を内蔵したヒータ用のICチップとの2個のICチップで構成してもよい。
【0038】
水晶振動子2は、図1に示されるように、ICチップ3上に搭載される。水晶振動子2は、後述の外部接続端子が上方に臨むように、上下を反転させた状態で搭載される。
【0039】
図4は、図1の水晶振動子2を側方から見た拡大断面図であって、図1の水晶振動子2の上下を反転させた拡大断面図である。水晶振動子2は、圧電振動板である水晶振動板14と、水晶振動板14の一方の主面側を覆って気密に封止する第1封止部材15と、水晶振動板14の他方の主面側を覆って気密に封止する第2封止部材16とを備えている。
【0040】
この水晶振動子2では、水晶振動板14の両主面側に、第1,第2封止部材15,16がそれぞれ接合されて、いわゆるサンドイッチ構造のパッケージが構成される。この水晶振動子2のパッケージは、直方体であって、平面視矩形である。
【0041】
次に、水晶振動子2を構成する水晶振動板14及び第1,第2封止部材15,16の各構成について説明する。
【0042】
図5(a)は図4の水晶振動板14の一方の主面(図4では上面)側を示す概略平面図であり、図5(b)は水晶振動板14の一方の主面側から透視した他方の主面(図4では下面)側を示す概略平面図である。
【0043】
この実施形態の水晶振動板14は、ATカット水晶板であり、その両主面が、XZ´平面である。
【0044】
水晶振動板14は、略矩形の振動部20と、この振動部20の周囲を、空間(隙間)21を挟んで囲む外枠部22と、振動部20と外枠部22とを連結する連結部23とを備えている。振動部20、外枠部22及び連結部23は、一体的に形成されている。図示していないが、振動部20及び連結部23は、外枠部22に比べて薄く形成されている。
【0045】
振動部20の両主面には、一対の第1,第2励振電極24,25がそれぞれ形成されている。第1,第2励振電極24,25からは、第1,第2引出し電極26,27がそれぞれ引出されている。一方の主面側の第1引出し電極26は、連結部23を経て外枠部22に形成された接続用接合パターン28まで引出されている。他方の主面側の第2引出し電極27は、連結部23を経て外枠部22に形成された接続用接合パターン30まで引出されている。
【0046】
水晶振動板14の一方の主面には、水晶振動板14を第1封止部材15に接合するための接合用金属膜としての第1封止用接合パターン31が、外枠部22の全周に亘って、水晶振動板14の外周縁に略沿うように環状に形成されている。水晶振動板14の他方の主面には、水晶振動板14を第2封止部材16に接合するための接合用金属膜としての第2封止用接合パターン32が、外枠部22の全周に亘って、水晶振動板14の外周縁に略沿うように環状に形成されている。
【0047】
水晶振動板14には、両主面間を貫通する第1貫通電極29が形成されている。第1貫通電極29は、貫通孔の内壁面に金属膜が被着されて構成されている。第1貫通電極29は、環状の第1,第2封止用接合パターン31,32の内側であって、平面視矩形の水晶振動板14の一方の短辺寄りの外枠部22に形成されている。水晶振動板14の一方の主面側の第1貫通電極29の周囲には、第1励振電極24から引出された第1引出し電極26に連なる上記接続用接合パターン28が延びている。第1貫通電極29は、接続用接合パターン28に電気的に接続されており、したがって、第1貫通電極29は、第1励振電極24に電気的に接続されている。
【0048】
水晶振動板14の第1,第2励振電極24,25、第1,第2引出し電極26,27、第1,第2封止用接合パターン31,32、及び、接続用接合パターン28,30は、例えば、TiまたはCrからなる下地層上に、例えば、Auが積層形成されて構成されている。
【0049】
図6(a)は図4の第1封止部材15の一方の主面(図4では上面)側を示す概略平面図であり、図6(b)は第1封止部材15の一方の主面側から透視した他方の主面(図4では下面)側を示す概略平面図である。
【0050】
第1封止部材15は、水晶振動板14と同様のATカット水晶板からなる直方体の基板である。この第1封止部材15の一方の主面には、図6(a)に示すように、外周縁を除いて全面に熱伝導用の配線パターン48が形成されている。第1封止部材15の他方の主面には、図6(b)に示すように、水晶振動板14の一方の主面の第1封止用接合パターン31に接合して封止するための接合用金属膜としての第1封止用接合パターン33が、第1封止部材15の全周に亘って、第1封止部材15の外周縁に略沿うように環状に形成されている。
【0051】
第1封止部材15には、その両主面間を貫通して、一方の主面の配線パターン48と他方の主面の第1封止用接合パターン33とを接続する貫通電極49が形成されている。この貫通電極49は、貫通孔の内壁面に金属膜が被着されて構成されている。
【0052】
配線パターン48及び第1封止用接合パターン33は、例えば、TiまたはCrからなる下地層上に、例えば、Auが積層形成されて構成されている。
【0053】
図7(a)は図4の第2封止部材16の一方の主面(図4では上面)側を示す概略平面図であり、図7(b)は第2封止部材16の一方の主面側から透視した他方の主面(図4では下面)側を示す概略平面図である。
【0054】
第2封止部材16は、水晶振動板14や第1封止部材15と同様のATカット水晶板からなる直方体の基板である。
【0055】
第2封止部材16の一方の主面には、図7(a)に示すように、水晶振動板14の他方の主面の第2封止用接合パターン32に接合して封止するための接合用金属膜としての第2封止用接合パターン34が、第2封止部材16の全周に亘って、第2封止部材16の外周縁に略沿うように環状にそれぞれ形成されている。
【0056】
第2封止部材16には、その両主面間を貫通する2つの第2,第3貫通電極42,43が、環状の第2封止用接合パターン34の内側に形成されている。各貫通電極42,43は、貫通孔の内壁面に金属膜が被着されて構成されている。
【0057】
第2封止部材16の環状の第2封止用接合パターン34の内側の一方の短辺寄りには、接続用接合パターン37が、水晶振動板14の他方の主面の第1貫通電極29に対応するように形成されている。水晶振動板14と第2封止部材16とが後述のように接合されることによって、第1貫通電極29は、接続用接合パターン37に接合されて電気的に接続される。第1貫通電極29は、図5(a)に示すように、水晶振動板14の第1励振電極24に電気的に接続されている。したがって、第2封止部材16の一方の主面の接続用接合パターン37は、水晶振動板14と第2封止部材16との接合によって、第1励振電極24に電気的に接続される。
【0058】
この接続用接合パターン37は、図7(a)に示すように、接続用配線パターン36を介して、他方の短辺寄りの第2貫通電極42に電気的に接続されている。したがって、第2貫通電極42は、水晶振動板14と第2封止部材16との接合によって、接続用配線パターン36、接続用接合パターン37、水晶振動板14の第1貫通電極29、接続用接合パターン28及び第1引出し電極26を介して第1励振電極24に電気的に接続される。
【0059】
第2封止部材16の一方の主面の第3貫通電極43は、水晶振動板14の他方の主面の接続用接合パターン30に対応するように形成されている。水晶振動板14の他方の主面の接続用接合パターン30は、図5(b)に示されるように、第2励振電極25に電気的に接続されている。したがって、水晶振動板14と第2封止部材16とが後述のように接合されることによって、第2封止部材16の第3貫通電極43は、水晶振動板14の接続用接合パターン30、第2引出し電極27を介して第2励振電極25に電気的に接続される。
【0060】
第2封止部材16の他方の主面には、図7(b)に示すように、外部に電気的に接続するための一対の第1,第2外部接続端子40,41が設けられている。第1,第2外部接続端子40,41は、第2封止部材16の長辺方向の両端側において、それぞれ短辺方向に沿って延びている。
【0061】
第1,第2外部接続端子40,41は、第2,第3貫通電極42,43にそれぞれ電気的に接続されている。第2,第3貫通電極42,43は、上記のように、水晶振動板14の第1,第2励振電極24,25にそれぞれ電気的に接続されるので、第1,第2外部接続端子40,41は、第1,第2励振電極24,25にそれぞれ電気的に接続される。
【0062】
第2封止部材16の第2封止用接合パターン34、接続用接合パターン37、接続用配線パターン36、及び、第1,第2外部接続端子40,41は、例えば、TiまたはCrからなる下地層上に、例えば、Auが積層形成されて構成されている。
【0063】
この実施形態の水晶振動子2は、水晶振動板14と第1封止部材15とが、それぞれの第1封止用接合パターン31,33を重ね合わせた状態で拡散接合されると共に、水晶振動板14と第2封止部材16とが、それぞれの第2封止用接合パターン32,34を重ね合わせた状態で拡散接合されて、図4に示すサンドイッチ構造のパッケージが製造される。これによって、水晶振動板14の振動部20が収容された収容空間が、両封止部材15,16によって気密に封止される。
【0064】
このように水晶振動板14及び第1,2封止部材15,16の3枚の水晶板を積層して、振動部20を収容したパッケージ構造の水晶振動子2が得られる。これによって、収容空間となる凹部を有する箱状のセラミックパッケージ内に、水晶振動片を収容して蓋を接合して封止するパッケージ構造の水晶振動子に比べて、薄型化(低背化)を図ることができる。
【0065】
図4に示される水晶振動子2は、第1封止部材15が下面、第2封止部材16が上面となるように上下が反転されて、ICチップ3の非能動面である上面に、非導電性接着剤を介して接合される。
【0066】
図8は、図3に示されるICチップ3の上面に接合された水晶振動子2を示すベース8の概略平面図である。ICチップ3上に搭載された水晶振動子2は、その第1,第2外部接続端子40,41が上方に露出している。
【0067】
図9は、この水晶振動子2上に搭載されるヒータ基板5を示す平面図である。
【0068】
この実施形態のヒータ基板5は、絶縁基板である水晶基板17上に、抵抗発熱体からなるヒータパターン18が線状に形成されて構成されている。このヒータパターン18には、例えば、ニクロム、クロム、タングステン等の金属が使用される。
【0069】
ヒータ基板5の厚みは、好ましくは、0.2mm以下であり、より好ましくは、0.05mm~0.15mmである。この実施形態のヒータ基板5の厚みは、0.1mm±0.05mmである。
【0070】
水晶基板17は、平面視略矩形の4つの角部の内の一つの角部が矩形に切欠かれた第1切欠き部17aと、一方の長辺の短辺寄りの部分が矩形に切欠かれた第2切欠き部17bとを有している。これら切欠き部17a,17bは、ヒータ基板5を、水晶振動子2上に搭載した状態で、水晶振動子2の第1,第2外部接続端子40,41の一部を、上方へ露出させるための切欠きである。なお、切欠き部17a,17bに代えて、貫通孔を形成し、貫通孔を介して水晶振動子2の第1,第2外部接続端子40,41の一部を、上方へ露出させてもよい。
【0071】
このヒータ基板5は、半導体製造プロセスを用いて製造されるものであり、1枚のウェハから多数枚のヒータ基板が製造される。この場合、ヒータ基板5のヒータパターン18は、例えば、真空蒸着等によって形成されるが、蒸着膜の厚みや幅にばらつきを生じ、抵抗値がばらついてしまう。このため、所望の抵抗値を得るために、真空蒸着等をやり直す必要が生じることがある。
【0072】
このような製造時に生じるヒータ基板5の抵抗値のばらつきを低減するために、この実施形態のヒータ基板5では、次のようにして抵抗値を調整できるようにしている。
【0073】
水晶基板17上のヒータパターン18の一端には、該ヒータパターン18に給電する第1給電端子部を構成する第1パッド部18aが形成されている。ヒータパターン18の他端側には、第2給電端子部として選択可能な複数、この実施形態では、5つの第2~第6パッド部18b~18fが等間隔でそれぞれ形成されている。なお、他端側、あるいは、一端側とは、線状に延びるヒータパターン18の全長の中間位置よりも他端寄り、あるいは、一端寄りをいう。
【0074】
第6パッド部18fは、ヒータパターン18の他端に形成されており、ヒータパターン18は、一端である第1パッド部18aと他端である第6パッド部18fとに亘って連続的に形成されている。
【0075】
第1パッド部18aと第2パッド部18bとの間のヒータパターン18は、同じ線幅で曲線状に蛇行して形成されている。各パッド部18a~18fは、ヒータパターン18の蛇行している部分の線幅より広く、平面視略矩形にそれぞれ形成されている。
【0076】
各パッド部18a~18fは、ボンディングワイヤーによって、水晶基板4の配線パターン11に電気的に接続可能である。
【0077】
この実施形態では、第1パッド部18aは、第1給電端子部としてボンディングワイヤーによって、水晶基板4の配線パターン11に接続される。第2~第6パッド部18b~18fは、当該ヒータ基板5の抵抗値を調整するために、いずれかのパッド部が、第2給電端子部として選択され、ボンディンワイヤーによって、水晶基板4の配線パターン11に接続される。
【0078】
この選択された、いずれかのパッド部と第1パッド部18aとの間に、給電されて、その間のヒータパターン18が発熱する。
【0079】
この実施形態では、第1パッド部18aを第1給電端子部とし、第2~第6パッド部18b~18fの中間位置にある第4パッド部18dを第2給電端子部として選択した場合に、所望の抵抗値が得られるように設計されている。すなわち、製造上のばらつきが無ければ、第1パッド部18aを第1給電端子部とし、第4パッド部18dを第2給電端子部として選択したときに、ヒータ基板5の抵抗値は、所望の抵抗値となる。
【0080】
同一のウェハから製造された多数枚のヒータ基板は、同様の製造ばらつきで仕上がる、すなわち、同様に抵抗値がばらつくので、この抵抗値のばらつきを把握するために、ウェハに、抵抗値モニタ用のモニタ抵抗部が設けられている。
【0081】
この実施形態では、モニタ抵抗部の抵抗値のばらつきは、ヒータ基板5の抵抗値のばらつきと同様であるとして、モニタ抵抗部の抵抗値を測定し、その抵抗値に基づいて、同一のウェハから製造された多数枚の各ヒータ基板の第2~第6パッド部18b~18fのいずれのパッド部を、第2給電端子部として選択するかを決定するようにしている。
【0082】
例えば、モニタ抵抗部の抵抗値が所望の抵抗値であるときには、第4パッド部18dを、第2給電端子部として選択する。モニタ抵抗部の抵抗値が所望の抵抗値より低い場合は、その低さの程度に応じて、第4パッド部18dに比べて、抵抗値が高い第5パッド部18e、又は、更に抵抗値が高い第6パッド部18fを第2給電端子部として選択する。また、モニタ抵抗部の抵抗値が所望の抵抗値より高い場合は、その抵抗値の高さの程度に応じて、第4パッド部18dに比べて、抵抗値が低い第3パッド部18c、又は、更に抵抗値が低い第2パッド部18bを第2給電端子部として選択する。
【0083】
このようにモニタ抵抗部の抵抗値が所望の抵抗値よりも低いときには、第5パッド部18e又は第6パッド部18fを第2給電端子部として選択することによって、ヒータ基板5の抵抗値が高くなるように調整する。逆に、モニタ抵抗部の抵抗値が所望の抵抗値よりも高いときは、第3パッド部18c又は第2パッド部18bを第2給電端子部として選択することによって、ヒータ基板5の抵抗値が低くなるように調整する。これによって、製造時に生じるヒータ基板5の抵抗値のばらつきを低減して、所望の抵抗値に近づけるようにしている。
【0084】
このように同一のウェハに設けられたモニタ抵抗部の抵抗値に基づいて、ヒータ基板5の抵抗値のばらつきを低減するので、ウェハ単位で、ヒータ基板5の抵抗値を管理することができる。
【0085】
なお、抵抗値のばらつきを把握するためのモニタ抵抗部は、同一のウェハについて、一箇所に限らず、複数箇所に設けてもよい。複数箇所に設ける場合には、各箇所のモニタ抵抗部の抵抗値に基づいて、各箇所の周囲のヒータ基板5の抵抗値をそれぞれ調整してもよいし、あるいは、複数箇所のモニタ抵抗部の抵抗値の平均値等に基づいて、ヒータ基板5の抵抗値を調整してもよい。
【0086】
また、モニタ抵抗部を設けることなく、同一のウェハから製造された多数のヒータ基板から複数のヒータ基板を、サンプル基板として選択し、サンプル基板の抵抗値を測定し、その測定値に基づいて、第2~第6パッド部18b~18fのいずれのパッド部を、第2給電端子部として選択するかを決定してもよい。
【0087】
ヒータ基板5の所望の抵抗値は、例えば、7Ω~13Ωの範囲の抵抗値であるのが好ましく、この実施形態では、所望の抵抗値は、10Ωであり、所望の抵抗値の範囲は、10Ω±3Ωである。
【0088】
なお、給電端子部として選択可能なパッド部の数、及び、選択可能な複数のパッド部の間隔は、任意である。また、ヒータパターンの他端側に設けられる給電端子部として選択可能なパッド部の数は、所望の抵抗値が得られる基準のパッド部(この実施形態では第4パッド部18d)に対して、抵抗値の高低に応じた調整の選択肢の数を等しくできる3個以上の奇数個(この実施形態では第2~第6パッド部18b~18fの5個)が好適である。
【0089】
また、給電端子部として選択可能な複数のパッド部は、ヒータパターン18の他端側に限らず、一端側に形成してもよく、あるいは、一端側及び他端側に形成してもよい。
【0090】
ヒータパターン18は、曲線状に蛇行した形状であったが、蛇行以外の曲線状や直線状、その他の形状であってもよい。
【0091】
この実施形態では、水晶基板17にヒータパターン18を形成したが、水晶基板に限らず、ガラス基板やガラスエポキシ基板等の他の絶縁基板にヒータパターン18を形成してもよい。
【0092】
図10は、図8の水晶振動子2上に、ヒータ基板5を搭載し、ワイヤーボンディングを行った状態を示す平面図である。
【0093】
ヒータ基板5は、ヒータパターン18が形成されていない下面側を、非導電性接着剤によって、水晶振動子2に接合する。この状態では、ヒータ基板5の第1,第2切欠き部17a,17bから水晶振動子2の第2封止部材16の第1,第2外部接続端子40,41の一部が上方へ露出している。なお、ヒータ基板5と水晶振動子2との接合は、非導電性接着剤に代えて、導電性接着剤を用いてもよい。
【0094】
この水晶振動子2の第1,第2外部接続端子40,41、及び、ヒータ基板5の第1パッド部18aと、第2~第6パッド部18b~18fのいずれかのパッド部、図10では、第6パッド部18fとが、ボンディングワイヤ-38によって、水晶基板4の所要の配線パターン11にそれぞれ電気的に接続される。
【0095】
これによって、水晶基板4にフリップチップ実装されたICチップ3は、水晶基板4の配線パターン11を介して水晶振動子2及びヒータ基板5に電気的にそれぞれ接続される。
【0096】
また、水晶基板4の所要の配線パターン11が、ボンディングワイヤ-39によって、ベース8の第1側壁部8cの上面の所要の接続電極12にそれぞれ電気的に接続される。
【0097】
これによって、ICチップ3は、水晶基板4の配線パターン11、ボンディングワイヤー39、ベース8の接続電極12及びベース8の内部配線を介してベース8の外底面の図示しない電源端子、出力端子、制御端子、GND端子等の複数の外部接続端子、すなわち、当該水晶発振器1の実装用の複数の外部接続端子に電気的に接続される。
【0098】
ボンディングワイヤー38,39の素材としては、信頼性の観点からAuが好ましいが、Cuなどであってもよい。
【0099】
この実施形態の水晶発振器1では、ICチップ3によって、ヒータ基板5の発熱量が制御されて、水晶振動子2の温度が制御される。
【0100】
上記のように本実施形態の水晶発振器1によれば、ヒータ基板5は、第2給電端子部として、第2~第6パッド部18b~18fのいずれかのパッド部を選択することによって、抵抗値を調整することができるので、製造時に生じるヒータ基板5の抵抗値のばらつきを低減して、所望の抵抗値を得ることができる。これによって、所望の抵抗値にするために、真空蒸着等をやり直すといった必要がない。
【0101】
また、水晶振動板14の振動部20が、第1,第2封止部材15,16によって気密封止されると共に、水晶振動板2が、パッケージ6によって気密封止されているので、水晶振動板14の振動部20の周囲を、外部に対して極めて効果的に断熱した構造とすることができる。これによって、外部の温度変化等の影響を低減して、安定した発振周波数を得ることができる。
【0102】
また、水晶基板4上に、ICチップ3、水晶振動子2及びヒータ基板5が積層して搭載されるので、平面サイズを小さくして小型化を図ることができる。
【0103】
また、ICチップ3上に水晶振動子2が搭載されているので、水晶振動子2の温度を、ICチップ3の内蔵の温度センサによって正確に検出することができ、水晶振動子2の温度制御を高精度に行うことができる。
【0104】
水晶振動子2は、熱伝導用の配線パターン48が全面に形成された第1封止部材15の一方の主面が、ICチップ3に接合されているので、ICチップ3の発熱が、第1封止部材15の配線パターン48、貫通電極49、及び、第1封止用接合パターン33を介して水晶振動板14の第1封止用接合パターン31に伝導する。これによって、ICチップ3の発熱で水晶振動板14を効率的に加熱することができる。
【0105】
図11は、本発明の他の実施形態の図1に対応する概略構成図である。
【0106】
上記実施形態では、水晶基板4にフリップチップ実装されたICチップ3上に、水晶振動子2及びヒータ基板5を積層して搭載したが、この実施形態の水晶発振器1では、水晶基板4にフリップチップ実装されたICチップ3上には、水晶振動子2及びヒータ基板5を搭載することなく、水晶基板4上に、水晶振動子2を搭載し、この水晶振動子2上にヒータ基板5を搭載している。
【0107】
水晶基板4には、図示しないコンデンサ等の受動部品が搭載されている。
【0108】
その他の構成は、上記図1の実施形態と同様である。
【0109】
上記各実施形態では、ヒータ基板5に第1,第2切欠き部17a,17bを形成して、水晶振動子2の第1,第2外部接続端子40,41の一部を露出させたが、ヒータ基板5に切欠きを形成することなく、その平面サイズを小さくして、第1,第2外部接続端子40,41の一部を露出させるようにしてもよい。あるいは、水晶振動子2の平面サイズを、ヒータ基板5に比べて大きくして、第1,第2外部接続端子40,41を露出させてもよい。
【0110】
本発明の他の実施形態として、図12に示されるように、ICチップ(集積回路素子)を2個備える構成としてもよい。
【0111】
すなわち、図12の実施形態の水晶発振器1では、搭載基板としての水晶基板4上には、ヒータ用のICチップ45、水晶振動子2、発振用のICチップ3、及び、ヒータ基板5が、この順で積層されて搭載されている。
【0112】
2個のICチップの内、ヒータ用のICチップ45は、温度センサ、温度制御回路及び発熱部を内蔵しており、発振用のICチップ3は、発振回路を内蔵している。
【0113】
ヒータ用のICチップ45は、水晶基板4に、導電性接着剤を介して接合されると共に、ボンディングワイヤ-38によって、水晶基板4の所要の配線パターンに電気的に接続されている。
【0114】
この実施形態の水晶振動子2は、上記実施形態のように上下反転されておらず、その下面側はヒータ用のICチップ45の上面に非導電性接着剤を介して接合されている。水晶振動子2の上面に形成された実装用の配線パターンに、発振用のICチップ3を、金属バンプ13を介してフリップチップ実装している。この水晶振動子2は、ボンディングワイヤ-38によって、水晶基板4の所要の配線パターンに電気的に接続されている。
【0115】
ヒータ基板5は、発振用のICチップ3の上面に接合されており、このヒータ基板5の第1パッド部18aと、第2~第6パッド部18b~18fのいずれかのパッド部とが、ボンディングワイヤー46によって、ヒータ用のICチップ45の所要の配線パターンに電気的に接続されている。
【0116】
また、水晶基板4の所要の配線パターンが、導電性接着剤によって、ベース8の第1側壁部8cの上面の所要の接続電極にそれぞれ電気的に接続されている。
【0117】
この実施形態によれば、水晶振動子2を、ヒータ基板5及びヒータ用のICチップ45によって、上下から効率的に加熱することができる。
【0118】
更に、水晶基板4を、ベース8の収納凹部8aの底面ではなく、収納凹部8a内の段部、すなわち、収納凹部8aの底面の外周部に形成された第1側壁部8cに架け渡すように、第1側壁部8cの上面に接合しているので、水晶基板4の下面と、収納凹部8aの底面との間に、空間55が形成される。この空間55によって、水晶基板4に搭載されたヒータ用のICチップ45やヒータ基板5の熱が、ベース8を介して外部に放熱されるのを抑制することができ、水晶振動子2を一層効率的に加熱することができる。
【0119】
なお、上記実施形態と同様に、水晶基板4を、ベース8の収納凹部8aの底面に接合してもよい。
【0120】
また、ヒータ用のICチップ45は、発熱部及び温度センサを内蔵していなくてもよく、ヒータ基板5の発熱を制御する回路を内蔵するものであればよい。
【0121】
上記各実施形態では、第1,第2封止部材15,16には、水晶を用いたが、これに限定されるものではなく、ガラス等の他の絶縁性材料を用いてもよい。
【0122】
上記各実施形態では、水晶振動板14にATカット水晶を用いたが、これに限定されるものではなく、ATカット水晶以外の水晶を用いてもよい。
【0123】
上記実施形態では、各貫通電極29,42,43は、貫通孔の内壁面に金属膜が被着されて構成されているが、これに限らず、貫通孔を導電材料によって埋めてもよい。
【符号の説明】
【0124】
1,1,1 水晶発振器
2,2 水晶振動子
3 ICチップ(集積回路素子)
発振用のICチップ
4,4,17 水晶基板
5,5 ヒータ基板
6 パッケージ
7 コンデンサ(受動部品)
8 ベース
10 リッド(蓋体)
11 配線パターン
12 接続電極
13 金属バンプ
14 水晶振動板
15 第1封止部材
16 第2封止部材
18 ヒータパターン
18a~18d 第1~第6パッド部
38,39,46 ボンディングワイヤー
45 ヒータ用のICチップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12