(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022057198
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】画像形成装置、画像形成処理プログラム、及び表示処理プログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/42 20060101AFI20220404BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20220404BHJP
B41J 29/46 20060101ALI20220404BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
B41J29/42 F
B41J29/38 204
B41J29/46 Z
G06F3/12 310
G06F3/12 334
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020165326
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】特許業務法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】服部 佑香
【テーマコード(参考)】
2C061
【Fターム(参考)】
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AR01
2C061AR03
2C061AS02
2C061CQ04
2C061CQ24
2C061CQ33
2C061CQ34
2C061HK11
2C061HN15
2C061HV01
2C061HV32
(57)【要約】
【課題】契約を締結して使用するユーザによる消耗品の誤装着を回避する。
【解決手段】複合機200は、インクカートリッジ50が装着されるカートリッジホルダ51と、インクカートリッジ50を用いて用紙PAに画像を形成する印刷部290と、インクカートリッジ50の識別情報を表示する表示部240と、プロセッサ210と、を備え、プロセッサ210は、インクカートリッジ50の型番を表示部240に表示させる処理と、所定の印刷契約が成立した場合は、当該契約に対応した契約カートリッジ50の型番を表示部240に表示させる処理と、を実行する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消耗品が装着される装着部と、
前記消耗品を用いて被記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
前記消耗品の識別情報を表示する表示部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記消耗品の第1識別情報を前記表示部に表示させる第1表示処理と、
所定の契約が成立した場合は、前記契約に対応した特定消耗品の第2識別情報を前記表示部に表示させる第2表示処理と、
を実行することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部により実行される前記第1表示処理に連携して、外部表示装置において前記消耗品の前記第1識別情報が表示されるとともに、
前記制御部により実行される前記第2表示処理に連携して、前記契約が成立した場合は、外部表示装置において当該契約に対応した前記特定消耗品の前記第2識別情報が表示される
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、
所定の契約が成立した場合は、第1表示処理を実行しない
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、
所定の契約が成立した場合は、前記第1表示処理を継続し、前記第1表示処理で前記表示部に表示済の前記第1識別情報を契約非対応であることを表す第1表示態様で表示し、前記第2識別情報を契約対応であることを表す第2表示態様で表示する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、さらに、
前記契約が成立した場合は、前記特定消耗品を使用した前記画像形成部による画像形成を許容し、前記契約が成立していない場合は、前記特定消耗品を使用した前記画像形成部による画像形成を禁止する可否制御処理
を実行することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、
契約がされていない場合において、第1表示処理を実行し第2表示処理を実行せず、
前記第1表示処理と第2表示処理とのうち、実行した表示処理に対応する消耗品に前記画像形成部による画像形成を許容し、前記第1表示処理と第2表示処理とのうち、実行しない表示処理に対応する消耗品は前記画像形成部による画像形成を許容せず、
前記契約が成立した場合は、第2表示処理のみ又は第1表示処理と第2表示処理との両方を実行し、
前記第1表示処理と第2表示処理とのうち、実行した表示処理に対応する消耗品に前記画像形成部による画像形成を許容し、前記第1表示処理と第2表示処理とのうち、実行しない表示処理に対応する消耗品は前記画像形成部による画像形成を許容しない
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、さらに、
前記契約が成立している場合においてサーバから前記契約の解除通知を受信した場合は、前記第2表示処理を実行せず、前記第1表示処理を実行させる表示復帰処理を実行し、
前記第2識別情報にて表示される前記特定消耗品を使用した前記画像形成部による画像形成を禁止し、前記第1識別情報にて表示される前記消耗品を使用した前記画像形成部による画像形成を許容する
ことを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、さらに
識別情報が前記表示部に表示されている消耗品とは異なる消耗品が前記装着部に装着された場合に、所定の警告表示を表示部に表示させる警告表示処理
を実行する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記契約が成立した場合は、前記第1表示処理と前記第2表示処理とを実行し、
前記装着部に前記特定消耗品以外の消耗品が装着された場合には所定の警告報知を行うとともに、前記特定消耗品が装着された場合には前記警告報知を行わない
ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項10】
操作部をさらに備え、
前記制御部は、さらに、
前記契約が成立するより前において、前記操作部を介した所定操作を受け付けることで、前記画像形成部により前記第1識別情報を前記被記録媒体に形成する第1印刷処理と、
前記契約が成立した場合において、前記操作部を介した前記所定操作の受け付けを停止する受付停止処理と、
を実行することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項11】
操作部をさらに備え、
前記制御部は、さらに、
前記契約が成立するより前において、前記操作部を介した所定操作を受け付けることで、前記画像形成部により前記第1識別情報を前記被記録媒体に形成する第1印刷処理と、
前記契約が成立した場合において、前記操作部を介した所定操作を受け付けることで、前記画像形成部により前記第2識別情報を前記被記録媒体に形成するか、若しくは、前記表示部に前記契約の成立済であることを表す表示を行う報知処理と、
を実行することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項12】
操作部をさらに備え、
前記制御部は、さらに、
前記契約が成立するより前において、前記操作部を介した所定操作を受け付けることで、前記画像形成部により前記第1識別情報を前記被記録媒体に形成する第1印刷処理と、
前記契約が成立した場合において、前記操作部を介した所定操作を受け付けることで、前記画像形成部により、前記契約の成立前の情報であることを併記した前記第1識別情報と前記契約の成立以降の情報であることを併記した前記第2識別情報とを前記被記録媒体に形成する第2印刷処理と、
を実行することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記制御部は、
前記契約の完了通知を前記画像形成装置がサーバから受信した時に、前記契約が成立したとして、前記第2表示処理を実行する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記制御部は、
前記契約の完了通知を前記画像形成装置がサーバから受信し、対応する応答を前記サーバに送信した時に、前記契約が成立したとして、前記第2表示処理を実行する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項15】
消耗品が装着される装着部と、前記消耗品を用いて被記録媒体に画像を形成する画像形成部と、前記消耗品の識別情報を表示する表示部と、プロセッサと、を備える画像形成装置の前記プロセッサに対し、
前記消耗品の第1識別情報を前記表示部に表示させる第1表示ステップと、
所定の契約が成立した場合は、前記契約に対応した特定消耗品の第2識別情報を前記表示部に表示させる第2表示ステップと、
を実行させるための、画像形成処理プログラム。
【請求項16】
消耗品を装着して被記録媒体に画像を形成する画像形成装置に接続された端末に備えられるプロセッサに対し、
前記消耗品の第1識別情報を表示する第1表示ステップと、
所定の契約が成立した場合は、前記契約に対応した第2識別情報を表示する第2表示ステップと、
を実行させるための、表示処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を被記録媒体に形成する画像形成装置、画像形成処理プログラム、及び表示処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載のように、プリンタ装置で使用しているインクカートリッジのインク残量が所定値より小さくなった時に、そのプリンタ装置で使用可能なインクカートリッジの型番を印刷により報知するプリンタ装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術では、現在使用しているインクカートリッジのインクがなくなるときに備えて、プリンタ装置に装着して使用可能な次のインクカートリッジの型番が検索され、注文票に印刷される。これにより、ユーザが次のインクカートリッジを新たに購入するときの利便性が向上する。
【0005】
一方、近年、画像形成装置を使用するユーザがその画像形成装置を所有するサービス業者に対し印刷内容に応じた課金料金を支払う、所定の契約が結ばれる場合がある。このような契約が締結された場合は、ユーザは、そのような契約のない通常時に使用するカートリッジとは異なる種類のカートリッジを使用する必要がある。上記従来技術ではこのような点に配慮されていないため、上記契約の締結後においても、ユーザは報知された通常時用のカートリッジを誤って装着してしまう恐れがある。
【0006】
また、上記のような契約以外にも、何らかの形で互いに異なる種類のカートリッジを使用すべき複数の契約が結ばれる可能性があり、この場合も上記同様の課題がある。
【0007】
本発明の目的は、契約を締結して使用する消耗品のユーザによる誤装着を回避できる画像形成装置、画像形成処理プログラム、及び表示処理プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本願発明は、消耗品が装着される装着部と、前記消耗品を用いて被記録媒体に画像を形成する画像形成部と、前記消耗品の識別情報を表示する表示部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記消耗品の第1識別情報を前記表示部に表示させる第1表示処理と、所定の契約が成立した場合は、前記契約に対応した特定消耗品の第2識別情報を前記表示部に表示させる第2表示処理と、を実行することを特徴とする。
【0009】
本願発明の画像形成装置は、装着部と、画像形成部と、表示部と、制御部と、を有する。制御部は、第1表示処理を実行し、消耗品の第1識別情報、例えば型番や種類情報等を表示部に表示する。
【0010】
そして、本願発明においては、所定の契約が結ばれた場合には、それに対応し、制御部によって第2表示処理が行われる。この処理により、上記契約が成立した後は、当該契約に対応した特定消耗品の第2識別情報が表示部に表示される。これにより、ユーザが、契約締結前に使用する消耗品を誤って契約締結後に装着部に装着するのを回避することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、契約を締結して使用するユーザによる消耗品の誤装着を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態による印刷システムの全体概略構成を表す機能ブロック図である。
【
図2】情報端末、複合機、情報管理サーバ、配送サーバにより実行される処理を表すシーケンスフローである。
【
図3】複合機の表示部において通常カートリッジの型番を表示させるための操作及び画面遷移を表す説明図である。
【
図4】複合機の表示部において契約カートリッジの型番を表示させるための操作及び画面遷移を表す説明図である。
【
図5】複合機における表示制御の詳細を表すフローチャートである。
【
図6】複合機の表示部において表示される警告表示の一例を表す説明図である。
【
図7】契約了承通知を情報管理サーバへ送信後、契約カートリッジ型番を表示する変形例において、情報端末、複合機、情報管理サーバ、配送サーバにより実行される処理を表すシーケンスフローである。
【
図8】契約成立後、通常カートリッジ及び契約カートリッジの型番を併せて表示する変形例において、複合機の表示部において契約カートリッジの型番を表示させるための操作及び画面遷移を表す説明図である。
【
図9】複合機における表示制御の詳細を表すフローチャートである。
【
図10】印刷契約成立後に「Print」ボタンを操作可能とする変形例(その1)において、型番表示画面において「Print」ボタンを操作した場合の挙動を表す説明図である
【
図11】印刷契約成立後に「Print」ボタンを操作可能とする変形例(その2)において、型番表示画面において「Print」ボタンを操作した場合の挙動を表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態に係る印刷システムを
図1に示す。本実施形態は、顧客であるユーザが料金を支払って複合機200の印刷機能を使用するサービス、詳細には、特定期間の印刷数に応じた課金額を請求する印刷契約に基づく印刷サービスを提供可能な、印刷システム1の実施形態である。
【0014】
<印刷システムの概要>
図1において、この印刷システム1は、情報管理サーバ100と、複合機200と、モバイル端末300と、配送管理サーバ400と、を含んでいる。これら情報管理サーバ100、複合機200、モバイル端末300、及び配送管理サーバ400は、ネットワークNTに接続されており、互いに通信可能である。なお、複合機200が画像形成装置の一例である。
【0015】
<情報管理サーバ>
情報管理サーバ100は、例えば複合機200のメーカーが設置及び管理するサーバであり、プロセッサ110と、記憶装置115と、インタフェース190と、を有している。これらプロセッサ110、記憶装置115、及びインタフェース190は、バス105を介して互いに接続されている。
【0016】
記憶装置115は、揮発性記憶装置120と、不揮発性記憶装置130と、を備えている。
揮発性記憶装置120は、例えば、DRAMであり、ユーザID記憶領域121を有している。揮発性記憶装置120は、複合機200から受信した契約ページカウント値を保存する。不揮発性記憶装置130は、例えば、ハードディスクドライブ、あるいはソリッドステートドライブであり、プログラム記憶領域131と、料金テーブル記憶領域132と、を有している。
【0017】
料金テーブル記憶領域132には、印刷に対応してユーザに課金される料金を計算するための所定の相関が記憶されている。この相関には、例えば、カバレッジ、用紙サイズ、カラーかモノクロか、等に応じた印刷ページ数あたりの課金料金が対応付けられている。
【0018】
プロセッサ110は、データ処理を行う装置であり、例えば、CPUである。プロセッサ110は、プログラム記憶領域131に格納されたプログラムを実行することによって、ネットワークNTに接続されたモバイル端末300、複合機200、配送管理サーバ400に対するデータ通信を含む、後述の
図2、
図7等に示す各種の処理を実行する。
【0019】
インタフェース190は、他の装置と通信するための有線LANインタフェース又は無線インタフェースであり、ネットワークNTに接続されている。
【0020】
<配送管理サーバ>
配送管理サーバ400は、例えば各種物品の配送サービスを行う会社に設置されており、プロセッサと、記憶装置と、ネットワークNTに接続するためのインタフェースと、を有している(図示省略)。
【0021】
<複合機>
複合機200は、例えば、上記印刷サービスを提供する事業者によって保有されている。複合機200は、スキャナ部280と、印刷部290と、プロセッサ210と、記憶装置215と、表示部240と、操作部250と、ページカウンタ260と、通信部285と、通信インタフェース270と、を有している。これらスキャナ部280、印刷部290、プロセッサ210、記憶装置215、表示部240、操作部250、ページカウンタ260、通信部285、及び通信インタフェース270は、バス205を介して互いに接続されている。
【0022】
記憶装置215は、揮発性記憶装置220と、不揮発性記憶装置230とを、含んでいる。揮発性記憶装置220は、例えば、DRAMである。不揮発性記憶装置230は、例えば、フラッシュメモリである。不揮発性記憶装置230は、カートリッジ型番記憶領域231と、プログラム記憶領域232を備えている。プログラム記憶領域232には各種プログラムが格納されており、それら各種プログラムには、後述の
図2、
図5、
図7、
図9、等のシーケンスフローの実行に係わる本実施形態の画像形成処理プログラムが含まれる。この画像形成処理プログラムは、例えば、ファームウェアとしてプログラム記憶領域に予め格納されている。カートリッジ型番記憶領域231については後述する。
【0023】
プロセッサ210は、データ処理を行う装置であり、例えば、CPUである。なおプロセッサ210が制御部の一例である。プロセッサ210は、プログラム記憶領域232に格納された上記印刷処理プログラムを実行し、本実施形態の印刷システム1による印刷方法をプロセッサ110と協働して実行する。
【0024】
表示部240は、例えば、液晶ディスプレイである。操作部250は、ユーザによる操作を受け付ける装置である。ユーザは、操作部250を操作することによって、種々の指示を複合機200に入力可能である。通信インタフェース270は、他の装置と通信するための有線または無線のネットワークインタフェースであり、ネットワークNTに接続されている。
【0025】
スキャナ部280は、CCDやCMOSなどの光電変換素子を用いて光学的に読取り対象物である原稿を読み取ることによって、読み取った画像を表すスキャンデータを生成する。
【0026】
印刷部290は、図示しない搬送機構により給紙トレイ中の用紙を取り出して搬送しつつ、その搬送される用紙に対して所定の方式で画像を印刷する。以下は、インクジェット方式で印刷が行われる場合を例にとって説明する。すなわち、印刷部290は、カートリッジホルダ51に着脱可能に装着されるインクカートリッジ50のインクを用いて、用紙に対し画像の形成を行う。なお、印刷部290が画像形成部の一例であり、用紙が被記録媒体の一例であり、インクカートリッジ50が消耗品の一例であり、カートリッジホルダ51が装着部の一例である。なお、詳細には、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインク、それぞれのインクカートリッジ50が含まれるが、以下、便宜上、特に断らない限り、それらを区別せず単に「インクカートリッジ50」と表記して説明する。
【0027】
通信部285は、例えば端子などであり、カートリッジホルダ51に装着されたインクカートリッジ50が有するカートリッジメモリ(ICチップ)に電気的に接続される。すなわち、前述したように、本実施形態の複合機200は、所定の印刷契約に基づく印刷サービスにおいて使用することができる。このような契約に基づいて使用されるインクカートリッジ50(以下適宜、単に「契約カートリッジ50」と称する)は、例えば複合機200の所有者が自ら購入して使用する通常のインクカートリッジ50(以下適宜、単に「通常カートリッジ50」と称する)とは異なる仕様となっている。そこでこれに対応し、インクカートリッジ50には、それぞれカートリッジメモリ(図示省略)が備えられ、このカートリッジメモリに、カートリッジ情報が記憶されている。このカートリッジ情報は、当該インクカートリッジ50が、契約カートリッジ50であるか通常カートリッジ50であるかを表すカートリッジ種類情報を含む。プロセッサ210は、通信部285によって接続された各インクカートリッジ50のカートリッジメモリから上記カートリッジ情報を取得する。これにより、プロセッサ210は、その取得結果に基づき、カートリッジホルダ51に装着されたインクカートリッジ50が契約カートリッジ50であるか通常カートリッジ50であるかを識別することができる。
【0028】
このとき複合機200では、プロセッサ210の処理により非表示等とされる後述の例外を除き、操作部250での適宜の操作に基づき、カートリッジホルダ51に装着すべきインクカートリッジ50の識別情報、本実施形態では型番が、表示部240において表示可能である。これにより、ユーザが上記カートリッジホルダ51にインクカートリッジ50を装着するときの便宜が図られる。なお、この表示部240での表示は、一般のユーザに合わせる形で、当該複合機200に対応する通常カートリッジ50の型番が表示されるように、複合機200の製造・出荷時に初期設定されている。そのために、上記カートリッジ型番記憶領域231には、カートリッジホルダ51に装着することで印刷部290により画像形成を実行可能な、複合機200に適合する通常カートリッジ50の型番及び契約カートリッジ50の型番が予め記憶されている。なお、それら通常カートリッジ50の型番及び契約カートリッジ50の型番は、情報管理サーバ100の不揮発性記憶装置130、若しくは、後述する情報端末300の記憶装置に記憶され、それらが読み出されて複合機200において取得されるようにしてもよい。本実施形態における、表示部240でのそれらインクカートリッジ50の型番の表示の詳細については後述する。
【0029】
ページカウンタ260は、プロセッサ210の制御に基づき、印刷部290により印刷が実行された際にその印刷数の累積値をカウントアップすなわち加算する機能を有する。印刷数は、詳細には印刷ページ数であり、例えばシート状の上記用紙1枚に片面印刷するときは1ページ、その1枚に両面印刷するときは2ページとしてカウントされる。またこのときのページカウント値は、例えば複合機200の製造及び出荷時にゼロリセットされており、その後印刷が行われるたびに例外なくカウントアップされる。プロセッサ210は、ページカウンタ260に対し上記カウントアップを実行させ、そのページカウント値を取得することで、後述の種々の処理を行うことができる。
【0030】
<モバイル端末>
モバイル端末300は、ユーザの所有するスマートフォン等のモバイル端末であり、無線通信を介してネットワークNTに接続される。モバイル端末300は、プロセッサと、記憶装置と、ネットワークNTに接続するためのインタフェースと、を有している(図示省略)。記憶装置に備えられたプログラム記憶領域には各種プログラムが記憶されており、それら各種プログラムには、後述の
図2、
図7等のシーケンスフローの実行に係わる本実施形態の表示処理プログラムが含まれている。なお、モバイル端末300に代えて、例えばパソコンやタブレットコンピュータ、等の他の情報端末を用いてもよい。以下適宜、それら情報端末を総称して、単に「情報端末300」と称する。情報端末300が端末の一例であり、外部表示装置の一例でもある。
【0031】
<実施形態の特徴>
上記構成の印刷システム1において、本実施形態の特徴は、前述の印刷契約が締結された際の、前述のインクカートリッジ50の型番の表示内容にある。
【0032】
すなわち、上述したように印刷契約が締結された場合は、ユーザは、そのような契約のない通常時に使用する通常カートリッジ50ではなく、契約カートリッジ50をカートリッジホルダ51に装着する必要がある。前述したように表示部240に通常カートリッジ50のカートリッジ型番を表示したままだと、上記契約の締結後においても、ユーザが誤って通常カートリッジ50をカートリッジホルダ51に装着してしまう恐れがある。
【0033】
<処理の流れ>
そこで、上記に対応するために、本実施形態において、複合機200のプロセッサ210と、情報管理サーバ100のプロセッサ110と、配送管理サーバ400のプロセッサと、情報端末300のプロセッサと、により実行される処理を表す制御手順を、
図2に示すシーケンス図により説明する。なお、以下、
図2等に関する説明においては、各プロセッサの記述を省略し、「複合機200のプロセッサにおいて」「複合機200のプロセッサにより」等、を単に「複合機200において」「複合機200により」等で記載する。
【0034】
図2において、まず複合機200において、ユーザが操作部250を介し適宜の操作を行うことで、前述のカートリッジ型番記憶領域231の記憶内容に基づき、当該複合機200に適合した通常カートリッジ50の型番が表示部240で表示される(S1)。なお、このときに表示される通常カートリッジ50の型番が第1識別情報の一例であり、このS1が複合機200が実行する第1表示ステップの一例であり、S1で実行される処理が第1表示処理の一例である。なおこの時点では、後述の印刷契約は締結されておらず、カートリッジホルダ51には通常カートリッジ50が装着されているか、あるいはカートリッジ50が何も装着されていない状態である。このときの表示部240での表示内容の一例を
図3により説明する。
【0035】
<複合機での通常カートリッジ型番の表示例>
図3において、表示部240は、操作部250を兼ねたタッチパネルとして構成されている。以下適宜、「タッチパネル240」と称する。タッチパネル240に表示された初期画面240Aにおいて、
図3(a)に示すように、「Fax」「Copy」「Scan」等の各操作メニューを表すアイコンが表示される。それらの中でユーザが「Ink」アイコンを操作することで、
図3(b)に示す各種設定画面240Bが表示される。
【0036】
各種設定画面240Bには、設定を行える項目を表すボタンとして、「Ink Volume」「Ink Cartridge」「Improve Print Quality」の各ボタンが表示される。それらの中でユーザが「Ink Cartridge」ボタンを操作することで、
図3(c)に示す型番表示画面240Cが表示される。
【0037】
型番表示画面240Cでは、「Ink Cartridge Model」の項目表記と、この複合機200に適合する通常カートリッジ50の型番が表示されている。本実施形態では、各インク色ごとに、ブラックインクについては「LC401BKS」、シアンインクについては「LC401CS」、マゼンタインクについては「LC401MS」、イエローインクについては「LC401YS」、の型番がそれぞれ表示されている。型番表示画面240Cの下部には「Print」ボタン、「Back」ボタンも併せて表示されている。
【0038】
このとき、ユーザが上記「Print」ボタンを操作すると、プロセッサ210の制御に基づき、印刷部290により、用紙に対し、型番表示画面240Cにおける通常カートリッジ50の型番表示内容が印刷される。すなわち、
図3(d)に示すように、印刷された用紙PAにおいて、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクそれぞれについて、型番「LC401BKS」「LC401CS」「LC401MS」「LC401YS」が印字される。この「Print」ボタンの操作が所定操作の一例であり、このときにプロセッサ210が実行する処理が、第1印刷処理の一例である。
【0039】
<情報端末での通常カートリッジ型番の表示>
図2に戻り、また情報端末300では、ユーザが操作部250を介し適宜の操作を行うことで、S1の処理に連携して、複合機200から取得された上記同様のブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクそれぞれの型番(図示省略)が表示される(S3)。このS3が情報端末300が実行する第1表示ステップの一例である。
【0040】
この型番の表示の際は、情報端末300において、例えば、所定URLによりアクセスされるWebページに含めるファイル形式、いわゆるEWS(Embedded Web Server)用のファイル形式による表示が行われる。すなわち、このS3において、情報端末300におけるユーザの適宜の操作により上記URLへのアクセスがなされることで、複合機200から情報端末300のブラウザへと上記EWSファイル形式の表示データが出力される。この結果、上記通常カートリッジ50の型番を含む各情報が記載されたWebページが表示される。
【0041】
なお、情報端末300における通常カートリッジ50の型番表示は、上記のような、EWS用のファイル形式のウェブページには限られない。すなわち、情報管理サーバ100内に予め各ユーザに対応して備えられるユーザ別情報に基づき、情報端末300からアクセスすることでマイページを表示させ、そのユーザごとのマイページにおいて同様の情報を表示してもよい(図示省略)。
【0042】
<印刷契約の成立>
図2に戻り、以上のようなS1,S3が行われた後の状態で、ユーザが、前述の印刷契約に基づき複合機200を使用する意図で情報端末300における適宜の操作を行うことにより、情報端末300から情報管理サーバ100へ契約要求が送信され、情報管理サーバ100において受信される(S5)。
【0043】
これに対応して、情報管理サーバ100では、ページカウンタ260によるページカウント値に基づく、月額枚数カウンタ機能の準備が行われる(S7)。この月額枚数カウンタ機能は、後述の印刷契約が成立した後の特定期間にページカウンタ260によりカウントされるページカウント値のうち、印刷契約に対応した印刷が正しく行われた印刷ページ数のみをカウントする機能である。なお本実施形態では、特定期間は「1か月」となっており、特定期間の印刷数の一例として、1か月ごとの印刷ページ数(以下適宜、単に「月額枚数」と称する)のカウントが行われる。この月額枚数カウンタ機能は、当該情報端末300に対応するユーザIDと紐づけられた状態で情報管理サーバ100内に備えられる。
【0044】
その後、情報管理サーバ100から契約開始情報すなわちActivation指示が送信され、複合機200において受信される(S9)。これにより、前述の印刷契約が成立した状態となる。なおこの契約開始情報が、契約の完了通知の一例である。
【0045】
<複合機での契約カートリッジの型番表示>
その後、複合機200では、契約成立に対応し、プロセッサ210の制御に基づき、S10で開始した通常カートリッジ50の型番表示が中止される。つまり表示されない(S10)。そして、前述のカートリッジ型番記憶領域231の記憶内容に基づき、当該複合機200に適合した契約カートリッジ50の型番が新たに表示部240で表示される(S11)。なお、契約カートリッジ50が特定消耗品の一例であり、契約カートリッジ50の型番が第2識別情報の一例である。またこのS11が複合機200が実行する第2表示ステップの一例であり、S11でプロセッサ210が実行する処理が第2表示処理の一例である。
【0046】
<複合機での契約カートリッジ型番の表示例>
S11での表示が行われるときの流れは、具体的には、例えば以下の通りである。複合機200の表示部240における表示の流れを、前述の
図3に対応する
図4により説明する。
図3(a)~(c)と同様の
図4(a)~(c)に示すように、初期画面240Aの「Ink」アイコン操作→各種設定画面240Bの「Ink Cartridge」ボタン操作を経て、
図4(c)に示す型番表示画面240Cが表示される。このとき、
図3(c)の型番表示画面240Cとは異なり、この複合機200に適合する契約カートリッジ50の型番が表示されている。本実施形態では、各インク色ごとに、ブラックインクについては「LC401BKR」、シアンインクについては「LC401CR」、マゼンタインクについては「LC401MR」、イエローインクについては「LC401YR」、の型番がそれぞれ表示されている。なお、
図4(c)の型番表示画面240Cの下部には「Back」ボタンのみが表示され、前述の「Print」ボタンは表示されず、前述のような型番表示内容が印刷される操作は不可能となっている。言い換えれば、ユーザが前述のように用紙PAにカートリッジ50の型番を印刷する指示をしようとしても当該指示は受け付けられない。したがって、プロセッサ210による、この「Print」ボタンを表示しないようにする処理が受付停止処理の一例である。なお、このように「Print」ボタンを表示させない手法のほかに、「Print」ボタンを表示はするが操作できないようにしたり、表示されていた「Print」ボタンをグレーアウト等により隠蔽するようにしてもよい。
【0047】
<情報端末での契約カートリッジの型番表示>
図2に戻り、また、情報端末300においても、契約成立に対応しS11の処理に連携して、S3で開始した通常カートリッジ50の型番表示が中止され中止される。つまり表示されない(S12)。そして、上記同様、複合機200に適合した契約カートリッジ50の型番が新たに表示される(S13)。
【0048】
その後、複合機200から契約了承通知すなわちActivation通知が送信され(S15)、情報管理サーバ100において受信される(S17)。なお、情報管理サーバ100から問い合わせを行い、それに対して複合機200から応答としてActivation通知が送信されるようにしてもよい。これにより、情報管理サーバ100において、前述の印刷契約が契約済であることが認識される。以降、複合機200は、情報管理サーバ100と定期的に契約に関する情報交換を行う通信を実施する。本実施例では12時間ごとに定期通信を行い情報を交換し、サービスに必要な情報を情報管理サーバ100にて管理する。その後、当該ユーザに対し契約カートリッジ50を配送するための配送情報が、情報管理サーバ100より配送管理サーバ400へ送信される(S19)。これにより、配送サービスを行う会社から当該ユーザへ契約カートリッジ50が配送される。なお、この契約カートリッジ50を用いて後述のS27による印刷処理が行われている間、契約カートリッジ50内のインクが消費され残量がなくなった若しくは少なくなったことが公知の手法で検出される。この時、情報管理サーバ100は、先に述べた定期通信のタイミングでインク残量の減少を把握する。情報管理サーバ100は、インク残量が少なくなったことを受け、上記S19と同様、当該ユーザに対し、追加の契約カートリッジ50を配送するための配送情報を配送管理サーバ400へ送信する。これによりユーザは自身でカートリッジの残量管理を気にすることなく複合機200を使うことができる。
【0049】
その後、ユーザが、S11からの表示部240の表示で確認しつつ、上記のようにして配送された契約カートリッジ50を複合機200のカートリッジホルダ51に装着すると(S21)、通信部285によってカートリッジ情報が取得される。取得されたカートリッジ情報は複合機200から送信され、情報管理サーバ100において受信される(S23)。
【0050】
その後、複合機200において、ページカウンタ260によるページカウント値に基づき、契約カウンタ機能によるカウントが開始される(S25)。この契約カウンタ機能は、前述の印刷契約が成立した後にページカウンタ260によりカウントされるページカウント値のうち、印刷契約に対応した印刷が正しく行われた印刷ページ数のみをカウントする機能である。したがって、例えば、いわゆるテスト印刷が行われた場合、両面印刷の契約であるのに片面しか印刷できなかった場合、用紙の搬送トラブル等の複合機200側に起因する理由で印刷不良となった場合、等の印刷ページ数は除外される。この契約カウンタ機能によりカウントされる印刷ページ数を以下適宜、「契約ページカウント値」と称する。
【0051】
複合機200において印刷部290により印刷処理が実行され(S27)、ページカウンタ260によりページカウント値が加算されるとき、印刷契約に対応した印刷が正しく行われるのに従って契約ページカウント値も同様に加算される。この契約ページカウント値を含む各種情報は、複合機200から情報管理サーバ100へと送信される(S29)。
【0052】
情報管理サーバ100では、S7で準備済の月額枚数カウンタ機能により、複合機200から受信された契約ページカウント値に基づき、月額枚数のカウントが行われる(S31)。以下、月額枚数のカウントについて詳細に説明する。先に述べたように、情報管理サーバ100は、定期サイクルである12時間ごとに複合機200と情報の受け渡しをする定期通信をしている。情報管理サーバ100は、定期通信にて複合機200から受信した契約ページカウント値を揮発性記憶装置120に保存する。ここで、情報管理サーバ100は、月額枚数のカウントを特定期間すなわち1か月ごとに更新している。つまり1か月毎に月額枚数をゼロにリセットしている。情報管理サーバ100は、リセットされた後に複合機200から定期通信にて受信した契約ページカウント値と、リセットされる前に複合機200から受信していた契約ページカウント値とを比較し、その差分を月額枚数として記憶する。情報管理サーバ100は、特定期間である1か月の期間が終わるまでこの処理を繰り返す。これによりユーザは、定期通信である12時間ごとに更新された最新の月額枚数を知ることができる。つまり月額枚数とはその月に使った印刷枚数である。なお、本実施形態では月額による印刷枚数を表示するために特定期間を1か月としたが、2か月であってもよいし、1週間であってもよい。それぞれのサービスの形態に合わせて期間は適宜変更が可能である。また、月額枚数の更新を定期通信である12時間ごとにしていたが、この限りではない。例えば1日おきなどなどのサイクルで定期通信を実施してもよく、印刷後などの不定期のタイミングで通信を行い契約ページカウント値を更新してもよい。
【0053】
その後、情報管理サーバ100では、S31でカウントされた月額枚数カウント値を複合機200へ送信し(S33)、複合機200は送信された月額枚数カウント値を受信し、取得する(S35)。また情報管理サーバ100では、S31でカウントされた月額枚数カウント値を情報端末300へも送信し(S33)、情報端末300は送信された月額枚数カウント値を受信し、取得する(S39)。情報端末300では、その取得された月額枚数カウント値が表示される(S41)。
【0054】
その後、所望の印刷を完了したユーザが、前述の印刷契約を解除する意図で情報端末300における適宜の操作を行うことにより、情報端末300から情報管理サーバ100へ退会要求が送信され(S43)、情報管理サーバ100において受信される(S45)。情報管理サーバ100では、これに対応して、S31で開始していた月額枚数カウンタ機能による月額枚数のカウントを終了し、その旨を複合機200へ通知する。複合機200では、これに対応して、S25で開始していた契約カウンタ機能による契約ページカウント値のカウントを終了する(S49)。
【0055】
その後、情報管理サーバ100からは契約終了情報すなわちInactivation指示が送信され、複合機200において受信される(S51)。これにより、前述の印刷契約が解除された状態となる。すなわち契約終了情報が契約の解除通知の一例である。複合機200では、これに対応して、S11で表示を実行していた契約カートリッジ50の型番表示を中止するとともに(S53)、S10で表示を中止していた通常カートリッジ50の型番表示を再開する(S54)。これらS53,S54で実行される処理が表示復帰処理の一例である。その後、このシーケンスを終了する。
【0056】
<複合機における表示制御の詳細>
なお、上述のような複合機200の表示部240で通常カートリッジ50又は契約カートリッジ50の表示の実行又は中止等を行うとき、それを視認したユーザがその表示内容に合わないインクカートリッジ50を誤って装着する場合もあり得る。本実施形態の複合機200では、そのような場合に備え、上記誤装着の場合には所定の警告表示を行う。このような手法を実現するために複合機200のプロセッサ210が実行する制御手順を、
図5のフローチャートにより説明する。
【0057】
図5において、まずS100で、前述の印刷契約が成立しているか否かが判定される。この時点で既に印刷契約が成立していればYes判定され、後述のS150へ移行する。この時点でまだ印刷契約が成立していなければNo判定され、S110へ移行する。なお、このS100は、
図2のS51で説明したように、締結されていた契約が解除された場合にもNo判定される。
【0058】
S110では、表示部240において通常カートリッジ50の型番が表示される(
図2のS1、
図3(c)参照)。その後、S120で、通信部285を介したカートリッジ情報の取得結果に基づき、カートリッジホルダ51に通常カートリッジ50が装着されているか否かが判定される。
【0059】
通常カートリッジ50が装着されていればYes判定され、S130へ移行し、操作部250を介した適宜の操作によるユーザの印刷指示が受け付けられる。すなわち、S110で表示された通常カートリッジ50を用いた印刷部290による画像形成が許容されることで、ユーザは所望の印刷を複合機200の印刷部290に実行させることができる。S130が完了したら前述のS100に戻り、同様の手順が繰り返される。
【0060】
また、S120において、通常カートリッジ50でなく、契約カートリッジ50、若しくは複合機200に適合しないその他のインクカートリッジ50、が装着されていればNo判定され、S140へ移行する。S140では、表示部240において、S110で型番を表示したインクカートリッジ50とは異なるインクカートリッジ50がカートリッジホルダ51に装着されている旨の、所定の警告表示が行われる。そして、S130と異なり、操作部250を介した適宜の操作によるユーザの印刷指示は受け付けられず、装着されている契約カートリッジ50を用いた印刷部290による画像形成は許容されない。言い換えれば印刷部290による画像形成は禁止される。このときの表示部240に表示される上記警告表示の一例の一例を
図6に示す。
【0061】
図6において、本実施形態では、イエローインクのインクカートリッジ50に関する警告表示の例を示している。図示のように、プロセッサ210の制御に基づき、表示部240における警告画面240Dにおいて、「契約カートリッジが装着されています。通常カートリッジを装着して下さい。」のメッセージが表示されている。この警告画面240Dは、例えばインクカートリッジ50がカートリッジホルダ51に装着され、当該カートリッジホルダ51の開口部を開閉する開閉カバーが閉じられたときに表示部240に表示される。また、警告画面240Dには、使用可能なカートリッジ型番を表示してもよい。なお、プロセッサ210によりS140で実行される処理が、警告表示処理の一例に相当している。S140が完了したら前述のS100に戻り、同様の手順が繰り返される。
【0062】
一方、S100がYes判定されて移行したS150では、表示部240において契約カートリッジ50の型番が表示される(
図2のS11、
図4(c)参照)。その後、S160で、通信部285を介したカートリッジ情報の取得結果に基づき、カートリッジホルダ51に契約カートリッジ50が装着されているか否かが判定される。
【0063】
契約カートリッジ50が装着されていればYes判定され、S170へ移行し、操作部250を介した適宜の操作によるユーザの印刷指示が受け付けられる。すなわち、S150で表示された契約カートリッジ50を用いた印刷部290による画像形成が許容されることで、ユーザは所望の印刷を複合機200の印刷部290に実行させることができる。なお、S120でNo判定されたときにS140が実行される処理と、S160がYes判定されたときにS170が実行される処理とが、可否制御処理の一例に相当している。S170が完了したら前述のS100に戻り、同様の手順が繰り返される。
【0064】
また、S160において、契約カートリッジ50でなく、通常カートリッジ50、若しくは複合機200に適合しないその他のインクカートリッジ50、が装着されていればNo判定され、S180へ移行する。S180では、前述のS140と同様、表示部240において、S150で型番を表示したインクカートリッジ50とは異なるインクカートリッジ50がカートリッジホルダ51に装着されている旨の、所定の警告表示が行われる。なおこのとき、さらに細かく、通常カートリッジ50が装着されていた場合は、複合機200としては印刷部290による画像形成を実行可能であるが契約カートリッジ50ではない、旨のワーニング警告を行ってもよい。さらに、通常カートリッジ50及び契約カートリッジ50以外のインクカートリッジ50が装着されていた場合は、印刷部290による画像形成が不可能な不適合なインクカートリッジ50である、旨のエラー警告を行ってもよい。
【0065】
S180では、S170と異なり、操作部250を介した適宜の操作によるユーザの印刷指示は受け付けられず、装着されている通常カートリッジ50を用いた印刷部290による画像形成は許容されない。言い換えれば印刷部290による画像形成は禁止される。なお、プロセッサ210によりS180で実行される処理もまた、警告表示処理の一例に相当している。S180が完了したら前述のS100に戻り、同様の手順が繰り返される。
【0066】
なお、上記S150において、通常カートリッジ50及び契約カートリッジ50の両方を表示部240に表示するようにしてもよい。そしてその場合S160では、通常カートリッジ50及び契約カートリッジ50のいずれか一方、すなわちS150で型番を表示したインクカートリッジ50が装着されているか、が判定される。S150で型番を表示した通常カートリッジ50又は契約カートリッジ50が装着されていればYes判定されてS160が実行される。S150で型番が表示されていない、通常カートリッジ50及び契約カートリッジ50以外のその他のインクカートリッジ50が装着されていればNo判定されて、S180が実行される。
【0067】
<実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態においては、所定の印刷契約が結ばれた場合には、それに対応し、当該契約に対応した契約カートリッジ50の識別情報、本実施形態では型番が表示部240に表示される。これにより、ユーザが、契約締結前に使用する通常カートリッジ50を誤って契約締結後にカートリッジホルダ51に装着するのを回避することができる。なお、上記識別情報として、型番ではなく、複合機200の当該機種の仕向地を表す仕向け情報など、インクカートリッジ50の種類を直接又は間接的に表す、適宜の他の種類情報等を用いてもよい。
【0068】
また、本実施形態では特に、前述のように複合機200の表示部240においてS1で通常カートリッジ50の型番表示が行われるとき、それに連携して、情報端末300においても、通常カートリッジ50の型番が表示される。そして、印刷契約成立後は、複合機200の表示部240においてS11で契約カートリッジ50の型番表示が行われるのに連携して、情報端末300においてもS13で契約カートリッジ50の型番表示が行われる。これにより、前述と同様、ユーザが情報端末300の表示に基づきインクカートリッジ50を装着しようとする場合に、契約締結前に使用する通常カートリッジ50を誤って契約締結後にカートリッジホルダ51に装着するのを回避することができる。
【0069】
また、本実施形態では特に、上記印刷契約の成立前はS1で通常カートリッジ50の型番が表示され、その後印刷契約が成立すると、S11で契約カートリッジ50の型番が表示部240に表示され、表示されていた通常カートリッジ50の型番は表示されなくなる。これにより、契約成立後は、通常カートリッジ50の型番をユーザの目に触れないようにすることができるので、前述の誤装着を回避することができる。
【0070】
また、本実施形態では特に、印刷契約の存在を前提とする契約カートリッジ50の使用可否が、契約成立の前後で切り替えられる。すなわち、
図5のS140,S170に示したように、印刷契約成立前は契約カートリッジ50を使用した画像形成が禁止される一方、印刷契約成立後は契約カートリッジ50を使用した画像形成が許容される。これにより、印刷契約成立後は、画像形成を実行可能な契約カートリッジ50を使用するようユーザを促すことができるので、前述の誤装着を回避することができる。
【0071】
また、本実施形態では特に、
図5のS130,S140,S170,S180に示すように、インクカートリッジ50の表示及びその使用可否が連携される。すなわち、通常カートリッジ50及び契約カートリッジ50のうち、型番が表示されたインクカートリッジ50については印刷部290による画像形成が許容され、型番が表示されないインクカートリッジ50については印刷部290による画像形成が許容されない。
【0072】
印刷契約が成立すると、契約カートリッジ50の型番のみ、又は、通常カートリッジ50の型番と契約カートリッジ50の型番との両方が表示される。この結果、契約カートリッジ50の型番のみが表示される場合には契約カートリッジ50について画像形成が許容される一方、それ以外のインクカートリッジ50には画像形成が許容されない(S180)。通常カートリッジ50の型番と契約カートリッジ50の型番との両方が表示される場合には契約カートリッジ50も通常カートリッジ50も画像形成が許容される。これにより、印刷契約成立後は少なくとも契約カートリッジ50を用いた画像形成が許容されるので、契約成立後は契約カートリッジ50を使用するようユーザを促すことができ、前述の誤装着を回避することができる。
【0073】
また、本実施形態では特に、前述のようにして締結が完了した印刷契約がその後に解除された場合、表示部240に契約カートリッジ50の型番が表示されなくなり、通常カートリッジ50の型番が表示される。これにより、印刷契約の解除により前述の誤装着が生じ得なくなったことに対応して元の通常カートリッジ50の型番を表示部240に表示し、本来のユーザへの報知機能を発揮させることができる。
【0074】
また、本実施形態では特に、前述のようにして装着可能なインクカートリッジ50の型番が表示される一方で、それとは異なるインクカートリッジ50が装着された場合に警告が行われる(S140,S180)。これにより、ユーザによる前述の誤装着を回避することができる。
【0075】
また、本実施形態では特に、ユーザがタッチパネル240の型番表示画面240Cで「Print」ボタンの操作を行うと、用紙PAに通常カートリッジ50の型番が形成される(
図3(d)参照)。これによりユーザは、その用紙PAを、例えばインクカートリッジ50を店舗で購入するときの覚え書きメモとして活用することができる。
一方、前述のように印刷契約が結ばれた場合、その契約締結後に使用可能な契約カートリッジ50は通常カートリッジ50とは異なる種類であって例えばメーカから郵送で送られてくる等の場合も多いため、上記のようにユーザが店舗に買いに行くことは考えにくい。そこで本実施形態においては、前述のように契約が成立した後は、
図4(c)を用いて前述したように、上記のような「Print」ボタン操作の受け付けが停止される。これにより、本来必要のない機能が無駄に設けられるのを防止することができる。
【0076】
また、本実施形態では特に、契約開始情報が情報管理サーバ100から受信された後に、前述の印刷契約が成立したとして表示部240に契約カートリッジ50の型番が表示される。これにより、ユーザによる前述の誤装着を、上述の契約の完了後速やかに回避することができる。
【0077】
<変形例>
なお、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
【0078】
(1)契約了承通知を情報管理サーバへ送信後、契約カートリッジ型番を表示する場合
本変形例において、複合機200、情報管理サーバ100、配送管理サーバ400、情報端末300、により実行される処理を、上記
図2に対応する
図7のシーケンス図に示す。
【0079】
図7に示すように、本変形例では、
図2におけるS10,S11,S12,S13が、S15の後のタイミングで実行される。すなわち、情報管理サーバ100からの
契約開始情報が複合機200において受信されたら(S9)、複合機200から契約了承通知が送信され(S15)、情報管理サーバ100において受信される(S17)。その後、複合機200の表示部240における通常カートリッジ50の型番表示中止(S10)及び契約カートリッジ50の型番表示(S11)と、情報端末300における通常カートリッジ50の型番表示中止(S12)及び契約カートリッジ50の型番表示(S13)とが行われる。これ以外は
図2と同様であり、説明を省略する。
【0080】
本変形例によれば、印刷契約の契約開始情報を複合機200が情報管理サーバ100から受信してその応答を情報管理サーバ100へ送信した後に、印刷契約が成立したとして、複合機200の表示部240における契約カートリッジ50の型番表示(S11)が行われる。これにより、ユーザによる前述の誤装着を、回避することができる。
【0081】
(2)契約成立後、通常カートリッジ及び契約カートリッジの型番を併せて表示する場合
本変形例の複合機200の表示部240において通常カートリッジ50の型番を表示させるための操作及び画面遷移を、上記
図3に対応する
図8により説明する。
図3(a)と同様の
図8(a)に示す初期画面240Aで「Ink」アイコンが操作されて
図3(b)と同様の
図8(b)に示す各種設定画面240Bが表示され、さらに「Ink Cartridge」ボタンが操作されて
図8(c)の型番表示画面240Cが表示される。
【0082】
図8(c)において、この型番表示画面240Cでは、前述と同様の「Ink Cartridge Model」の項目表記のほかに、上段にはこの複合機200に適合する通常カートリッジ50の型番が表示され、下向き矢印を挟んで下段にはこの複合機200に適合し前述の印刷契約に対応した契約カートリッジ50の型番が表示される。
【0083】
上段の通常カートリッジ50の型番は、
図3(c)と同様、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクそれぞれに対応して「LC401BKS」「LC401CS」「LC401MS」「LC401YS」の型番が表示されている。そしてそれらの上部に、それらの型番が印刷契約成立前の通常カートリッジ50であることを表す、「ご契約前」の注記が付されている。なおこの注記を付した表示が第1表示態様の一例である。
下段の契約カートリッジ50の型番は、上記同様、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクそれぞれに対応して「LC401BKR」「LC401CR」「LC401MR」「LC401YR」の型番が表示されている。そしてそれらの上部に、それらの型番が印刷契約成立後の契約カートリッジ50であることを表す、「ご契約後」の注記が付されている。なおこの注記を付した表示が第2表示態様の一例である。
【0084】
なお、上述のように通常カートリッジ50の型番と契約カートリッジ50の型番とに異なる内容の注記を付すのに代え、例えば一方を太字で他方を細字で表示したり、一方を濃く他方を薄く表示する等、どちらかが分かるように適宜の表示態様の差をつけてもよい。この場合も、通常カートリッジ50の表示態様が第1表示態様の一例であり、契約カートリッジ50の表示態様が第2表示態様の一例である。
【0085】
本変形例において複合機200のプロセッサ210が実行する制御手順を、上記
図5に対応する
図9のフローチャートにより説明する。
図9において、
図5のS150に代えてS155が設けられる。すなわち、印刷契約が成立しておりS100がYes判定されると、新たに設けたS155へ移行する。S155では、表示部240において通常カートリッジ50の型番及び契約カートリッジ50の型番が表示される(
図8(c)参照)。その後は
図5と同様であり、S160において、通常カートリッジ50、若しくは複合機200に適合しないその他のインクカートリッジ50、が装着されていればNo判定され、S180において所定の警告表示が行われる。S160において契約カートリッジ50が装着されていればYes判定され、上記警告表示は行われることなく、S170でユーザの印刷指示が受け付けられる。
【0086】
本変形例によれば、印刷契約の成立後も通常カートリッジ50の型番が継続して表示部240に表示され、さらにこれに加えて新たに契約カートリッジ50の型番が表示される。その際、通常カートリッジ50の型番は、前述の印刷契約に対し非対応であることを表す注記が付され、契約カートリッジ50の型番は、印刷契約に対応していることを表す注記が付される(
図8(c)参照)。これにより、印刷契約の成立後は、表示されている通常カートリッジ50の型番が印刷契約に対応していないことを確実にユーザに認識させることができるので、前述の誤装着を回避することができる。
【0087】
また本変形例によれば、印刷契約の成立時には通常カートリッジ50の型番表示が行われるとともに契約カートリッジ50の型番表示も行われる。そして、カートリッジホルダ51に契約カートリッジ50が装着された場合には特に警告報知が行われず(
図9のS170参照)、契約カートリッジ50に契約カートリッジ50以外のインクカートリッジ50が装着された場合には、所定の警告報知が行われる(
図9のS180)。これにより、ユーザによる前述の誤装着を回避することができる。前述の通り、S160の判定により、契約カートリッジ50が装着されていれば印刷ができ、通常カートリッジ50が装着されていれば警告が出るフローとなっている。しかしながら、契約中でありながらも通常カートリッジ50を使用し印刷ができるようになっていてもよい。つまりは契約カートリッジ50がまだユーザの手元に届いていない場合であったり、契約の印刷枚数に加算したくない印刷を実行する場合に、通常カートリッジ50で印刷をすることが必要な場合がある。こういった用途に対応して、契約中に通常カートリッジ50が装着された場合には、所定の警告報知が行われながらも印刷は可能となるよう制御させてもよい。契約中は型番が表示されていないカートリッジが使用できるようになっていてもよい。
【0088】
(3)印刷契約成立後に「Print」ボタンを操作可能とする場合(その1)
すなわち、本変形例では、上記実施形態の
図4(c)に対応する
図10(a)に示すように、印刷契約後に前述と同様の操作により表示部240に型番表示画面240Cが表示される。この型番表示画面240Cでは、
図4(c)と同様の各インク色ごとの契約カートリッジ50の型番「LC401BKR」「LC401CR」「LC401MR」「LC401YR」及び「Back」ボタンに加え、
図3(c)で前述した「Print」ボタンが併せて表示される。
【0089】
ユーザが上記「Print」ボタンを操作すると、プロセッサ210の制御に基づき、例えば
図10(b)に示すように、印刷部290により、用紙に対し、型番表示画面240Cにおける契約カートリッジ50の型番表示内容が印刷される。すなわち、
図10(b)に示すように、印刷された用紙PAにおいて、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクそれぞれについて、型番「LC401BKR」「LC401CR」「LC401MR」「LC401YR」が印字される。
【0090】
あるいは、
図10(c)に示すように、上記「Print」ボタンを操作すると、プロセッサ210の制御に基づき、「無効な操作」の項目表記を含む警告画面240Dにおいて、印刷契約の成立済であることを表す「既にご契約済です」の警告表示が行われるようにしてもよい。なお、上記用紙PAにおいて、この警告表示と同等の内容の印字を形成して表記するようにしてもよい。
【0091】
上記いずれの例においても、「Print」ボタンの操作が所定操作の一例であり、プロセッサ210が実行する上記の処理が、報知処理の一例である。
【0092】
本変形例においては、印刷契約の成立前にユーザが「Print」ボタンの操作を行うと、
図3(d)を用いて前述したように、用紙PAに通常カートリッジ50の型番が形成される。これによりユーザは、その用紙PAを、例えばインクカートリッジ50を店舗で購入するときの覚え書きメモとして活用することができる。
【0093】
一方、前述のように印刷契約が結ばれた場合、ユーザが「Print」ボタンを操作することで、用紙PAに契約カートリッジ50の型番が形成されるか(
図10(b))、若しくは、契約成立済を表す警告表示が表示部240の警告画面240Dにおいて行われる。これにより、ユーザによる前述の誤装着を確実に回避することができる。
【0094】
(5)印刷契約成立後に「Print」ボタンを操作可能とする場合(その2)
すなわち、本変形例では、上記実施形態の
図4(c)に対応する
図11(a)に示すように、印刷契約後に前述と同様の操作により表示部240に型番表示画面240Cが表示される。この型番表示画面240Cでは、
図10(a)と同様、各インク色ごとの契約カートリッジ50の型番「LC401BKR」「LC401CR」「LC401MR」「LC401YR」、「Back」ボタン、「Print」ボタンが表示される。
【0095】
ユーザが上記「Print」ボタンを操作すると、プロセッサ210の制御に基づき、例えば
図11(b)に示すように、印刷部290により、用紙に対し、通常カートリッジ50の型番と契約カートリッジ50の型番とが印刷される。すなわち、図示のように、印刷された用紙PAにおいて、上段には、この複合機200に適合する通常カートリッジ50の型番が表記され、下向き矢印を挟んで下段には、この複合機200に適合し前述の印刷契約に対応した契約カートリッジ50の型番が表記される。なお印刷部290によりこのような印刷を用紙PAに実行するプロセッサ210の処理が第2印刷処理の一例である。
【0096】
上段の通常カートリッジ50の型番は、前述と同様、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクそれぞれに対応して「LC401BKS」「LC401CS」「LC401MS」「LC401YS」の型番が表記されている。そしてそれらの上部に、それらの型番が印刷契約成立前の通常カートリッジ50であることを表す、「ご契約前」の注記が付されている。
【0097】
下段の契約カートリッジ50の型番は、上記同様、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクそれぞれに対応して「LC401BKR」「LC401CR」「LC401MR」「LC401YR」の型番が表記されている。そしてそれらの上部に、それらの型番が印刷契約成立後の契約カートリッジ50であることを表す、「ご契約後」の注記が付されている。
【0098】
本変形例においては、前述と同様、印刷契約の成立前にユーザが「Print」ボタンの操作を行うと、用紙PAに通常カートリッジ50の型番が形成される。これによりユーザは、その用紙PAを、例えばインクカートリッジ50を店舗で購入するときの覚え書きメモとして活用することができる。
【0099】
一方、前述のように印刷契約が結ばれた場合、ユーザが「Print」ボタンの操作を行うと、用紙PAに通常カートリッジ50の型番及び契約カートリッジ50の型番の両方が形成される。その際、通常カートリッジ50の型番には印刷契約の成立前の情報であることが併記される一方で、契約カートリッジ50の型番には印刷契約の成立以降の情報であることが併記されている(
図11(b)参照)。これにより、ユーザによる前述の誤装着を回避することができる。
【0100】
<多機能カートリッジ>
また、通常カートリッジ50及び契約カートリッジ50とは違う多機能カートリッジ50が使用される場合がある。ここでは多機能カートリッジ50について説明する。多機能カートリッジ50は、複合機200を購入した際に同梱される同梱カートリッジである(バンドルカートリッジとも言う)。多機能カートリッジ50は、通常カートリッジ50及び契約カートリッジ50とは違う型番を持つ。多機能カートリッジ50は、契約前は通常カートリッジ50として振舞い、契約後は契約カートリッジ50として振舞うことができる。これは、プロセッサ210が契約前は多機能カートリッジ50を通常カートリッジ50と同様であるとして扱い、契約後は多機能カートリッジ50を契約カートリッジ50と同様であるとして扱うためである。
【0101】
プロセッサ210は、契約前は、多機能カートリッジ50の型番を型番表示画面240Cに表示させない。また、契約後は、多機能カートリッジ50の型番を型番表示画面240Cに表示させない。しかしながらプロセッサ210は、契約前において多機能カートリッジ50を通常カートリッジ50と同様に、印刷を実行可能に制御する。また、契約後は契約カートリッジ50と同様に印刷を実行可能に制御する。プロセッサ210は、これら契約前、契約後のそれぞれにおいて、型番表示画面240Cに多機能カートリッジ50の型番が表示されていない場合でも、警告画面240Dを表示させない。
【0102】
なお、契約前の型番表示画面240Cに多機能カートリッジ50の型番を表示させてもよい。これによりユーザは契約前に多機能カートリッジが使用できることを認識することができる。また、契約後の型番表示画面240Cに多機能カートリッジ50の型番を表示させてもよい。これによりユーザは契約後に契約カートリッジとして多機能カートリッジが使用できることを認識することができる。また多機能カートリッジ50は通常カートリッジ50と同様の型番であってもよい。この場合においてプロセッサ210は、通常カートリッジ50と同じ型番が記載された同梱されたカートリッジである多機能カートリッジ50のみが、契約後に契約カートリッジ50として振舞えるよう制御する。
【0103】
(6)その他
なお、以上は、インクカートリッジ50として印刷契約に基づく契約カートリッジ50と印刷契約に基づかない通常カートリッジ50と、が存在し、それらの型番表示を適宜に制御することで、ユーザによるインクカートリッジ50の誤装着を回避する例であった。しかしながら、本願発明の適用はこれに限られるものではなく、何らかの形で互いに異なる種類のカートリッジを使用すべき複数の契約が結ばれる場合にも適用できる。例えば、複合機200において、種類aのインクカートリッジ50を使用する契約Aと、種類bのインクカートリッジ50を使用する契約Bと、が締結される場合にも適用できる。すなわち、契約Aが最初に締結されて表示部240に種類aの型番が表示され当該種類aのインクカートリッジ50が使用されている状態で、その後新たに契約Bが締結された場合に、表示部240に種類bの型番を表示するようにしてもよい。その場合、種類bのインクカートリッジ50の型番の表示後は、前述と同様、種類aのインクカートリッジ50の型番の表示を中止するようにしてもよい。この場合、各種類のインクカートリッジ50は、前述のように配送されなくてもよく、ユーザが通常通り販売店等において自ら購入してもよい。これらの場合も、前述と同様の効果を得る。
【0104】
また、
図2、
図5、
図7、
図9等に示すシーケンスやフローは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0105】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【符号の説明】
【0106】
50 インクカートリッジ(消耗品の一例)
51 カートリッジホルダ(装着部の一例)
200 複合機(画像形成装置の一例)
210 プロセッサ(制御部の一例)
240 表示部
290 印刷部(画像形成部の一例)
300 情報端末(外部表示装置の一例)
PA 用紙(被記録媒体の一例)