(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022057200
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】手洗い装置
(51)【国際特許分類】
A47K 1/00 20060101AFI20220404BHJP
E03C 1/05 20060101ALI20220404BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20220404BHJP
E05C 1/04 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
A47K1/00 Z
E03C1/05
E05B49/00 Z
E05C1/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020165330
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】518371799
【氏名又は名称】株式会社衣川製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100170449
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 英彦
(72)【発明者】
【氏名】石井 達夫
【テーマコード(参考)】
2D060
2E250
【Fターム(参考)】
2D060AB10
2D060BA03
2D060BB02
2D060BC30
2D060BE20
2D060CA01
2D060CA04
2D060CA11
2D060CA20
2D060CC18
2D060CC20
2E250AA01
2E250BB09
2E250CC16
2E250DD06
2E250FF08
2E250FF18
2E250FF25
(57)【要約】
【課題】本発明は、庭など屋外に設置可能としつつ、不特定多数の者による使用を制限することができる手洗い装置の提供を目的とした。
【解決手段】本発明の手洗い装置10は、散水栓1から供給される水を放出する吐水部14と、吐水部14が配置される筐体12と、筐体12に対して開閉可能に取り付けられたカバー体30と、カバー体30をロックするためのロック装置40と、を有し、ロック装置40には、カバー体30が開閉不能となるロック状態を解除する解除部46が設けられており、カバー体30が閉じられた状態においてカバー体30に取り囲まれる領域をカバー領域Rとした場合、吐水部14が、カバー領域Rに配置されていることを特徴とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
散水栓から供給される水を放出する吐水部と、
前記吐水部が配置される筐体と、
前記筐体に対して開閉可能に取り付けられたカバー体と、
前記カバー体をロックするためのロック装置と、を有し、
前記ロック装置には、前記カバー体が開閉不能となるロック状態を解除する解除部が設けられており、
前記カバー体が閉じられた状態において前記カバー体に取り囲まれる領域をカバー領域とした場合、前記吐水部が、前記カバー領域に配置されていることを特徴とする、手洗い装置。
【請求項2】
前記解除部が、所定のコードを読み込んで前記ロック状態を解除するものである、請求項1に記載の手洗い装置。
【請求項3】
前記ロック装置が、
進退するように変位可能とされた爪部と、
前記爪部を嵌め込み可能な嵌合部と、を備え、
前記爪部及び前記嵌合部のうち、一方が前記筐体側に設けられ、他方が前記カバー体側に設けられており、
前記爪部が進出して前記嵌合部に嵌め込まれることで前記ロック状態とし、前記爪部が後退することで前記ロック状態を解除する、請求項1又は2に記載の手洗い装置。
【請求項4】
前記カバー体が、
ヒンジ部を介して前記筐体に対して取り付けられており、
前記ヒンジ部を支点として前記カバー体が姿勢を変化させることで、前記カバー体が前記吐水部を覆わない姿勢となる開状態と、前記カバー体が前記吐水部を覆う姿勢となる閉状態とに切り替え可能である、請求項1~3のいずれかに記載の手洗い装置。
【請求項5】
前記吐水部から水を放出させるフットバルブを備え、
前記フットバルブに対する操作により、前記吐水部から水を放出する、請求項1~4のいずれかに記載の手洗い装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、庭など屋外に設置される手洗い装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、新型コロナウイルスの感染拡大によりこまめな手洗いが推奨されており、帰宅時などの手洗いが定着しつつある。しかしながら、帰宅時など、屋内で手洗いをするまでに手が触れざるを得ない対象(ドアノブなど)も多い。このような状況に鑑み、屋内に入る前に手洗いを行いたいとの要望がある。また、従来、庭など屋外に設置される手洗い装置が提供されている。例えば、下記特許文献1には、屋外に設置されるガーデンシンクが開示されている。このようなガーデンシンクを設置すれば、帰宅時に家に入る前に手洗いを済ませることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来提供されている屋外用(庭用)の手洗い装置は、不特定多数の者による使用が制限されていない。その一方、帰宅した際の手洗いなどは、庭など屋外に設置可能としつつ、不特定多数の者による使用が制限されることが望ましい。
【0005】
そこで本発明は、庭など屋外に設置可能としつつ、不特定多数の者による使用を制限することができる手洗い装置の提供を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上述の課題を解決すべく提供される本発明の手洗い装置は、散水栓から供給される水を放出する吐水部と、前記吐水部が配置される筐体と、前記筐体に対して開閉可能に取り付けられたカバー体と、前記カバー体をロックするためのロック装置と、を有し、前記ロック装置には、前記カバー体が開閉不能となるロック状態を解除する解除部が設けられており、前記カバー体が閉じられた状態において前記カバー体に取り囲まれる領域をカバー領域とした場合、前記吐水部が、前記カバー領域に配置されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の手洗い装置によれば、庭など屋外に設置可能としつつ、カバー体により吐水部を覆いロックすることで、不特定多数の者による使用を制限することができる。
【0008】
(2)本発明の手洗い装置は、前記解除部が、所定のコードを読み込んで前記ロック状態を解除するものであるとよい。
【0009】
(3)本発明の手洗い装置は、前記ロック装置が、進退するように変位可能とされた爪部と、前記爪部を嵌め込み可能な嵌合部と、を備え、前記爪部及び前記嵌合部のうち、一方が前記筐体側に設けられ、他方が前記カバー体側に設けられており、前記爪部が進出して前記嵌合部に嵌め込まれることで前記ロック状態とし、前記爪部が後退することで前記ロック状態を解除するものであるとよい。
【0010】
(4)本発明の手洗い装置は、前記カバー体が、ヒンジ部を介して前記筐体に対して取り付けられており、前記ヒンジ部を支点として前記カバー体が姿勢を変化させることで、前記カバー体が前記吐水部を覆わない姿勢となる開状態と、前記カバー体が前記吐水部を覆う姿勢となる閉状態とに切り替え可能であるとよい。
【0011】
(5)本発明の手洗い装置は、前記吐水部から水を放出させるフットバルブを備え、前記フットバルブに対する操作により、前記吐水部から水を放出するものであるとよい。
【0012】
上述の構成によれば、利用者が手を触れることなく吐水させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、庭など屋外に設置可能としつつ、不特定多数の者による使用を制限することができる手洗い装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係る手洗い装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る手洗い装置10について、図面を参照しつつ説明する。
【0016】
手洗い装置10は、庭や玄関先など、屋外に設置されるものであり、利用者が屋内に入る前に手洗いを行うためのものである。なお、手洗い装置10は、庭などの屋外に設けられた散水栓1(
図2参照)と接続されて、水が供給される。
【0017】
図1に示すとおり、手洗い装置10は、吐水部14、シンク16、ソープディスペンサ17、給水管20、排水管22、フットバルブ26、及び筐体12を備えている。また、手洗い装置10は、カバー体30、及びロック装置40を備えている。手洗い装置10は、散水栓1から供給される水を吐水部14から放出可能とされている。
【0018】
筐体12は、手洗い装置10の本体をなしており、上方面となるテーブル部13には、吐水部14、シンク16、及びソープディスペンサ17が配置されている。また、筐体12の内部には、散水栓1と吐水部14とを連結する給水管20や、シンク16から水を排出する排水管22が収容されている。
【0019】
フットバルブ26は、吐水部14から水を放出させるためのものである。フットバルブ26のペダル部27を踏み込む操作が行われると、踏み込み操作が行われている間、吐水部14から水が放出される。すなわち、本実施形態の手洗い装置10では、ハンドルなどを把手して回動させる操作を要さず(手を触れることなく)水を放出することができる。なお、本実施形態の手洗い装置10では、ロック状態では、フットバルブ26のペダル部27を踏み込む操作を行っても、吐水部14から水が放出されない。すなわち、手洗い装置10では、ロック状態が解除されることを条件として、フットバルブ26に対する操作により吐水部14から水が放出される。
【0020】
なお、本発明の手洗い装置は本実施形態に限定されない。例えば、本発明の手洗い装置は、吐水部近傍にセンサを設け、センサが人の手を検知した場合に水を放出させるものであってもよい。
【0021】
図3及び
図4に示すとおり、吐水部14、ソープディスペンサ17は、筐体12の上方側(テーブル部13)に配置されている。また、筐体12のテーブル部13は、カバー体30により取り囲まれている。言い方を換えれば、吐水部14やソープディスペンサ17は、閉状態においてカバー体30に取り囲まれて覆われる領域(カバー領域R)に配置されている。なお、ソープディスペンサ17にはセンサ(図示を省略)が設けられており、センサが利用者の手を検知することで液体石けんを放出する。
【0022】
カバー体30は、吐水部14等が配置される筐体12のテーブル部13を覆うカバー部材として設けられている。
図4に示すとおり、カバー体30は、ヒンジ部32を介して筐体12の上方側に取り付けられている。より詳細に説明すると、
図1に示すとおり、カバー体30は、筐体12の上方側においてテーブル部13を覆うように、筐体12に対して開閉可能に取り付けられている。
【0023】
カバー体30は、ヒンジ部32を支点として姿勢を変化させることで、カバー体30がテーブル部13や吐水部14を覆わない姿勢となる開状態と、カバー体30がテーブル部13や吐水部14を覆う姿勢となる閉状態とに切り替え可能とされている。別の観点で説明すると、手洗い装置10では、カバー体30がテーブル部13や吐水部14を覆わない状態(開状態)において、吐水部14が開放されて手洗いが可能となる。
【0024】
以下の説明では、カバー体30が閉じられた状態においてカバー体30に取り囲まれる領域を、単に「カバー領域R」と記載して説明する場合がある。なお、
図4等に示すとおり、吐水部14やシンク16はカバー領域Rに配置されている。
【0025】
ロック装置40は、カバー体30をロックするために設けられている。より具体的に説明すると、ロック装置40は、カバー体30がテーブル部13を覆う状態(閉状態)において、カバー体30を開閉可能にする非ロック状態と、カバー体30を開閉不能にするロック状態とに切り替えるために設けられている。なお、本実施形態のロック装置40は、電気錠とされている。
【0026】
図4に示すとおり、本実施形態のロック装置40は、爪部42と、嵌合部43とを備えている。爪部42は、筐体12に取り付けられたハウジング41に収容されており、ハウジング41から突出及び後退するように(進退するように)ストローク可能とされている。嵌合部43は、爪部42を嵌め込み可能とされており、カバー体30に取り付けられている。
【0027】
カバー体30が閉じた状態で爪部42が突出すると(進出すると)、嵌合部43に爪部42が嵌め込まれた状態となり、カバー体30の開閉が阻止される(規制される)。これにより、ロック装置40はカバー体30をロック状態とすることができる。また、ロック状態から爪部42が筐体12側に後退して爪部42が嵌合部43から退出するように後退すると、カバー体30のロック状態が解除されて(非ロック状態となり)、カバー体30の開閉が可能となる。
【0028】
ロック装置40は、ロック状態の解除を行うための解除部46を備えている。本実施形態の解除部46は、所定のコード(バーコードあるいは二次元コード)を読み取り可能なコードリーダとされている。具体的に説明すると、ロック装置40は、利用者のスマートフォンやカードなどに表示されているコードが解除部46により読み取られることでロック解除が行われる。すなわち、本実施形態のロック装置40は、利用者が筐体12などに手を触れることなく非接触でロック解除を行うことができる。
【0029】
なお、本発明の手洗い装置の解除部は本実施形態に限定されない。例えば、本発明の手洗い装置の解除部は、暗証番号を入力することでロック解除を行うものであってもよいし、遠隔操作によりロック解除可能なものであってもよい。
【0030】
<手洗い装置の動作>
次に、手洗い装置10の動作について説明する。
【0031】
上述のとおり、手洗い装置10は、ヒンジ部32を支点としてカバー体30が開状態と閉状態とに切り替え可能(開閉可能)とされている。カバー体30が開いた状態(開状態)では、シンク16や吐水部14、ソープディスペンサ17が外部に露出して開放され、吐水部14から水を放出させて利用者の手洗いが可能となる。また、カバー体30は閉じた状態(閉状態)では、シンク16や吐水部14が覆われた状態となる。
【0032】
また、上述のとおり、本実施形態の手洗い装置10では、フットバルブ26の操作により吐水可能とされている。そのため、利用者が吐水部14等に手を触れることなく水を供給することができる。これにより、多数の者が吐水部14や開閉栓などに接触することを回避して、ウイルス等の感染を抑制することができる。
【0033】
上述のとおり、手洗い装置10では、ロック装置40によりカバー体30がロックされている場合、カバー体30により吐水部14が遮蔽された状態が維持される(開閉が規制される)。そのため、庭など不特定多数の者が出入り可能な場所に手洗い装置10を設置した場合であっても、不特定多数の者により手洗い装置10が利用されることを抑制することができる。
【0034】
また、本実施形態の手洗い装置10では、解除部46により所定のコードが読み取られることでロック解除される。すなわち、利用者が筐体12などに触れることなくロック解除することができる。そのため、複数の者が筐体12などに接触してウイルス等の感染の要因となることを回避することができる。
【0035】
なお、手洗い装置10では、図示を省略した開閉装置が設けられており、カバー体30のロックが解除されると、自動的にカバー体30が開く(開状態とされる)ように構成されている。また、カバー体30は、フットバルブ26に対する操作により吐水部14から放水された後、所定時間経過後に自動的に閉まる(閉状態となる)ように構成されている。さらに、カバー体30が開状態から閉状態となると、ロック装置40が作動してカバー体30がロックされる。
【0036】
以上、本発明の実施形態に係る手洗い装置10ついて説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されない。
【0037】
例えば、上述の実施形態に係る手洗い装置10では、ソープディスペンサ17を備えるものとした例を示したが、本発明の手洗い装置はソープディスペンサを備えないものであってもよい。
【0038】
また、上述の実施形態に係る手洗い装置10では、カバー体30がヒンジ部32を支点として揺動することで、カバー体30が開閉するものとした例を示したが、本発明の手洗い装置は上述の実施形態に限定されない。例えば、本発明の手洗い装置のカバー体は、スライド式で開閉可能なものであってもよい。
【0039】
さらに、上述の実施形態に係る手洗い装置10では、ロック装置40の爪部42の進退動作によりロック状態と非ロック状態とに切り替え可能なものとした例を示したが、ロック装置の構成は種々選択可能である。また、上述の実施形態に係る手洗い装置10では、筐体12側に爪部42を設け、カバー体30側に嵌合部43を設けた例を示したが、爪部42をカバー体30側に設けるとともに嵌合部43を筐体12側に設けてもよい。
【0040】
なお、カバー体30は、利用者がカバー体30を揺動させて開閉とするものとしてもよいし、フットバルブ26を踏むことでカバー体30が開閉するようにしてもよい。このとき、フットバルブ26はバルブとしての機能を有さず、フットバルブ26を踏んでも吐水しないようにしてもよい。
【0041】
また、非ロック状態からロック状態への切り替えは、利用者の操作によるものとしてもよいし、カバー体30が開状態から閉状態へと切り替えられた際に自動的にロック状態となるよう構成してもよい。
【0042】
さらに、吐水部にセンサを設け、センサにより手が検知されたことを条件として放水する構成とした場合には、カバー体は、手を検知しなくなってから所定時間後に閉じる構成としてもよい。
【0043】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、庭や玄関先などの屋外に設置して手洗いに利用するためのものとして、好適に採用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 散水栓
10 手洗い装置
12 筐体
14 吐水部
26 フットバルブ
30 カバー体
32 ヒンジ部
40 ロック装置
42 爪部
43 嵌合部
46 解除部