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特開2022-57294アンカーボルト検査システム及び測定装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022057294
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】アンカーボルト検査システム及び測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 21/00 20060101AFI20220404BHJP
   E04G 21/12 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
G01B21/00 D
E04G21/12 105Z
E04G21/12 ESW
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020165471
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 大樹
(72)【発明者】
【氏名】有馬 冬樹
【テーマコード(参考)】
2F069
【Fターム(参考)】
2F069AA02
2F069AA03
2F069AA83
2F069GG01
2F069GG07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】アンカーボルトの位置の検査を容易に行うことができるアンカーボルト検査システムを提供する。
【解決手段】基礎の柱型に設けられるアンカーボルトの位置を検査するアンカーボルト検査システム1Bであって、軸線方向が上下方向を向くように柱型に設けられる軸部材(簡易アンカー)と、軸部材(簡易アンカー)から、アンカーボルトまでの平面視における距離を測定する距離測定部(制御部430、距離測定部480)と、軸部材の平面視中心を通る基準方向から、軸部材(簡易アンカー)の平面視中心とアンカーボルトの平面視中心とを通る方向までの回転角を測定する回転角測定部(制御部430、回転角測定部490)と、距離測定部による測定結果と、回転角測定部による測定結果と、に基づいて、アンカーボルトの位置を測定する測定部(制御部430)と、を具備する。
【選択図】図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎の柱型に設けられるアンカーボルトの位置を検査するアンカーボルト検査システムであって、
軸線方向が上下方向を向くように前記柱型に設けられる軸部材と、
前記軸部材から、前記アンカーボルトまでの平面視における距離を測定する距離測定部と、
前記軸部材の平面視中心を通る基準方向から、前記軸部材の平面視中心と前記アンカーボルトの平面視中心とを通る方向までの回転角を測定する回転角測定部と、
前記距離測定部による測定結果と、前記回転角測定部による測定結果と、に基づいて、前記アンカーボルトの位置を測定する測定部と、
を具備するアンカーボルト検査システム。
【請求項2】
予め設計された前記アンカーボルトの位置情報を記憶する記憶部と、
前記アンカーボルトの位置情報と、前記測定部による測定結果と、に基づいて、前記アンカーボルトの位置を検査する検査部と、
を具備する、
請求項1に記載のアンカーボルト検査システム。
【請求項3】
前記柱型には、第一の方向及び当該第一の方向に直交する第二の方向に沿って引かれた通り芯と、前記通り芯と平行に引かれた逃げ墨と、が設けられ、
前記軸部材は、前記逃げ墨の前記第一の方向及び前記第二の方向の交点に設けられ、
前記柱型の通り芯の位置情報と、前記通り芯から前記逃げ墨までの距離と、を記憶する記憶部を具備し、
前記測定部は、
前記柱型の通り芯の位置情報と、前記通り芯から逃げ墨までの距離と、を用いて前記アンカーボルトの位置を測定する、
請求項1又は請求項2に記載のアンカーボルト検査システム。
【請求項4】
前記逃げ墨の前記第一の方向及び前記第二の方向の交点は、前記通り芯の前記第一の方向及び前記第二の方向の交点よりも、前記柱型の平面視中心側に位置する、
請求項3に記載のアンカーボルト検査システム。
【請求項5】
前記軸部材の軸線を中心として回転可能なように、当該軸部材に設置される筐体部と、
前記筐体部から引き出されるストリング部と、
前記ストリング部の先端に設けられ、前記アンカーボルトに係合する係合部と、
を具備し、
前記距離測定部は、
前記係合部を前記アンカーボルトに係合させた状態で、前記ストリング部が引き出された量に基づいて、前記距離を測定し、
前記回転角測定部は、
前記係合部を前記アンカーボルトに係合させた状態で、前記筐体部が前記基準方向に対して回転した量に基づいて、前記回転角を測定する、
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のアンカーボルト検査システム。
【請求項6】
基礎の柱型に設けられるアンカーボルトの位置を測定する測定装置であって、
軸線方向が上下方向を向くように前記柱型に設けられた軸部材に、前記軸線を中心として回転可能なように設置される筐体部と、
前記筐体部から引き出されるストリング部と、
前記ストリング部の先端に設けられ、前記アンカーボルトに係合する係合部と、
前記係合部を前記アンカーボルトに係合させた状態で、前記ストリング部が引き出された量に基づいて、前記軸部材から、前記アンカーボルトまでの平面視における距離を測定する距離測定部と、
前記係合部を前記アンカーボルトに係合させた状態で、前記筐体部が前記軸部材の平面視中心を通る基準方向に対して回転した量に基づいて、前記基準方向から、前記軸部材の平面視中心と前記アンカーボルトの平面視中心とを通る方向までの回転角を測定する回転角測定部と、
を具備する測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンカーボルト検査システム及び測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の基礎に、鉄骨柱等の構造体の固定に用いられるアンカーボルトを設ける場合、上記アンカーボルトの位置が適切であるか否かの検査を行うことが知られている。上記検査の方法の一例として、アンカーボルトが設けられた基礎に、設計図面に基づく基準線(通り芯や逃げ墨等)を引き、当該基準線からアンカーボルトまでの距離を測定する方法が知られている。上記距離の測定には、測定用の冶具が用いられる。
【0003】
特許文献1には、プレートの水平面の一辺に、距離の測定に用いる目盛と、アンカーボルトを嵌合可能な切欠と、を設けた検査冶具が記載されている。上記検査冶具の切欠をアンカーボルトに嵌合させると共に、基礎に引かれた基準線に目盛を当てることで、基準線に対するアンカーボルトの距離を測定することができる。
【0004】
しかしながら、基礎には、数多くのアンカーボルトが設けられる。このため、基礎に設けられたアンカーボルト毎に、検査者の目により目盛を読む作業は困難であることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平6-18903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、アンカーボルトの位置の検査を容易に行うことができるアンカーボルト検査システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0008】
即ち、請求項1においては、基礎の柱型に設けられるアンカーボルトの位置を検査するアンカーボルト検査システムであって、軸線方向が上下方向を向くように前記柱型に設けられる軸部材と、前記軸部材から、前記アンカーボルトまでの平面視における距離を測定する距離測定部と、前記軸部材の平面視中心を通る基準方向から、前記軸部材の平面視中心と前記アンカーボルトの平面視中心とを通る方向までの回転角を測定する回転角測定部と、前記距離測定部による測定結果と、前記回転角測定部による測定結果と、に基づいて、前記アンカーボルトの位置を測定する測定部と、を具備するものである。
【0009】
請求項2においては、予め設計された前記アンカーボルトの位置情報を記憶する記憶部と、前記アンカーボルトの位置情報と、前記測定部による測定結果と、に基づいて、前記アンカーボルトの位置を検査する検査部と、を具備するものである。
【0010】
請求項3においては、前記柱型には、第一の方向及び当該第一の方向に直交する第二の方向に沿って引かれた通り芯と、前記通り芯と平行に引かれた逃げ墨と、が設けられ、前記軸部材は、前記逃げ墨の前記第一の方向及び前記第二の方向の交点に設けられ、前記柱型の通り芯の位置情報と、前記通り芯から前記逃げ墨までの距離と、を記憶する記憶部を具備し、前記測定部は、前記柱型の通り芯の位置情報と、前記通り芯から逃げ墨までの距離と、を用いて前記アンカーボルトの位置を測定するものである。
【0011】
請求項4においては、前記逃げ墨の前記第一の方向及び前記第二の方向の交点は、前記通り芯の前記第一の方向及び前記第二の方向の交点よりも、前記柱型の平面視中心側に位置するものである。
【0012】
請求項5においては、前記軸部材の軸線を中心として回転可能なように、当該軸部材に設置される筐体部と、前記筐体部から引き出されるストリング部と、前記ストリング部の先端に設けられ、前記アンカーボルトに係合する係合部と、を具備し、前記距離測定部は、前記係合部を前記アンカーボルトに係合させた状態で、前記ストリング部が引き出された量に基づいて、前記距離を測定し、前記回転角測定部は、前記係合部を前記アンカーボルトに係合させた状態で、前記筐体部が前記基準方向に対して回転した量に基づいて、前記回転角を測定するものである。
【0013】
請求項6においては、基礎の柱型に設けられるアンカーボルトの位置を測定する測定装置であって、軸線方向が上下方向を向くように前記柱型に設けられた軸部材に、前記軸線を中心として回転可能なように設置される筐体部と、前記筐体部から引き出されるストリング部と、前記ストリング部の先端に設けられ、前記アンカーボルトに係合する係合部と、前記係合部を前記アンカーボルトに係合させた状態で、前記ストリング部が引き出された量に基づいて、前記軸部材から、前記アンカーボルトまでの平面視における距離を測定する距離測定部と、前記係合部を前記アンカーボルトに係合させた状態で、前記筐体部が前記軸部材の平面視中心を通る基準方向に対して回転した量に基づいて、前記基準方向から、前記軸部材の平面視中心と前記アンカーボルトの平面視中心とを通る方向までの回転角を測定する回転角測定部と、を具備するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0015】
請求項1においては、アンカーボルトの位置の検査を容易に行うことができる。
【0016】
請求項2においては、アンカーボルトの位置の検査を好適に行うことができる。
【0017】
請求項3においては、柱型に引かれた逃げ墨を用いて、アンカーボルトの位置の検査を容易に行うことができる。
【0018】
請求項4においては、アンカーボルトの位置の検査を好適に行うことができる。
【0019】
請求項5においては、アンカーボルトの位置の検査を好適に行うことができる。
【0020】
請求項6においては、アンカーボルトの位置の検査を好適に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第一実施形態に係るアンカーボルト検査システム及び基礎を示した斜視図。
図2】柱型及びアンカーボルトを示した平面図。
図3】鉄骨柱を固定したアンカーボルトセットを示した側面断面図。
図4】コンクリート打設前のアンカーボルトセットを示した側面断面図。
図5】アンカーボルトセットを示した平面図。
図6】コンクリート打設後のアンカーボルトセットを示した側面断面図。
図7】コンクリート硬化後のアンカーボルトセットを示した側面断面図。
図8】第一実施形態に係るアンカーボルト検査システムの構成を示したブロック図。
図9】第一実施形態に係るアンカーボルト検査システムが実行する処理を示したフローチャート。
図10】第一実施形態に係るコンクリート打設前検査処理を示したフローチャート。
図11】本発明の第二実施形態に係るアンカーボルト検査システムの構成を示したブロック図。
図12】第二実施形態に係るコンクリート硬化後検査処理を示したフローチャート。
図13】第二実施形態に係るアンカーボルト検査システムによるアンカーボルトの位置の測定の様子を示した側面断面図。
図14】第二実施形態に係るアンカーボルト検査システムによるアンカーボルトの位置の測定の様子を示した平面図。
図15】本発明の第三実施形態に係るアンカーボルト検査システムの構成を示したブロック図。
図16】第三実施形態に係るアンカーボルト検査システムによるアンカーボルトの位置の測定の様子を示した側面断面図。
図17】第三実施形態に係るアンカーボルト検査システムによるアンカーボルトの位置の測定の様子を示した平面図。
図18】第三実施形態に係るコンクリート硬化後検査処理を示したフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、本発明の第一実施形態に係るアンカーボルト検査システム1について説明する。また、以下では、図中の矢印に基づいて、前後方向、左右方向及び上下方向を定義して説明を行う。
【0023】
アンカーボルト検査システム1は、施工段階の建物の基礎Aに設けられると共に鉄骨柱2の固定に用いられるアンカーボルト31の位置の検査を行うものである。
【0024】
以下では、まず、図1から図5までを用いて、建物の鉄骨柱2及び基礎Aについて説明する。
【0025】
図3に示す鉄骨柱2は、建物の柱を構成する部材である。鉄骨柱2の下端部には、後述するアンカーボルト31を介して柱型10に固定されるベースプレート2aが設けられている。ベースプレート2aは、厚さ方向を上下方向に向けた略板形状に形成される。ベースプレート2aには、アンカーボルト31が挿通される孔部2bが形成される。
【0026】
図1から図3までに示す基礎Aは、鉄骨柱2等の鉄骨造の建物の構造体を支持するものである。なお、図1及び図2では、鉄骨柱2を設けていない状態の基礎Aを示し、図3では、鉄骨柱2を設けた状態の基礎Aを示している。図3に示すように、基礎Aは、敷地に設けられた捨てコンクリート3の上に設けられる。本実施形態では、図1に示すように、基礎Aの形状を、四方枠形状に形成した例を示している。基礎Aは、鉄筋コンクリートにより形成される。基礎Aは、当該基礎Aの形状に応じて形成された型枠4に所定の鉄筋(不図示)が配置された状態で、型枠4にコンクリート5が打設されることで形成される(図4を参照)。基礎Aは、柱型10、基礎梁20及びアンカーボルトセット30を具備する。
【0027】
図1から図3までに示す柱型10は、鉄骨柱2を支持するものである。柱型10は、基礎Aの四隅に位置するように4つ形成される。柱型10は、略直方体形状に形成される。柱型10の上面には、アンカーボルト31の一部が突出するように設けられる。なお、アンカーボルト31の詳細な説明は後述する。
【0028】
図1に示す基礎梁20は、隣り合う柱型10同士を連結するものである。基礎梁20は、一方向(前後方向又は左右方向)に長尺な略直方体形状に形成される。
【0029】
図3から図5までに示すアンカーボルトセット30は、柱型10に対する鉄骨柱2の固定に用いられるものである。なお、図3では、コンクリート5の打設後に鉄骨柱2を設けた状態のアンカーボルトセット30を示し、図4では、コンクリート5を打設する前の状態のアンカーボルトセット30を示している。アンカーボルトセット30は、柱型10に設けられる。アンカーボルトセット30は、アンカーボルト31、アンカーフレーム32及びアンカープレート33を具備する。
【0030】
アンカーボルト31は、鉄骨柱2のベースプレート2aが固定されるものである。アンカーボルト31は、上下に長尺な円柱形状(棒形状)に形成されている。アンカーボルト31には、ベースプレート2aを固定するためのナットが螺合される雄ねじ部が形成されている。アンカーボルト31の上部は、柱型10の上面から上方に突出する。アンカーボルト31の下部は、柱型10に埋め込まれる。
【0031】
図1及び図2に示すように、アンカーボルト31は、柱型10の上面における外周部分に沿って複数設けられる。本実施形態では、アンカーボルト31を、柱型10の上面の四隅と、当該四隅に設けられた隣り合うアンカーボルト31の間と、にそれぞれ1本(合計8本)設けた例を示している。なお、アンカーボルト31の本数としては、上述した例に限られず、例えば、アンカーボルト31を柱型10の上面の四隅にのみ(合計4本)設けてもよい。アンカーボルト31の本数は、鉄骨柱2の種類に応じて適宜設定可能である。
【0032】
図3に示すように、アンカーボルト31の上部は、鉄骨柱2(ベースプレート2a)の孔部2bに挿通される。アンカーボルト31の上部を孔部2bに挿通させた状態で、当該アンカーボルト31に適宜のナットを螺合することで、鉄骨柱2が固定される。
【0033】
図4に示すアンカーフレーム32は、アンカーボルト31を下方から支持するものである。アンカーフレーム32は、平面視における中央部に矩形状の開口が形成された四方枠形状に形成される。アンカーフレーム32は、捨てコンクリート3の上面に設置される。アンカーフレーム32は、柱型10に埋め込まれる。アンカーフレーム32は、固定部32aを具備する。
【0034】
固定部32aは、アンカーボルト31の下端部を固定するものである。固定部32aは、アンカーボルト31の下端部と螺合することで、当該アンカーボルト31を固定する。固定部32aは、複数のアンカーボルト31に応じた位置に複数(本実施形態では8つ)設けられる。固定部32aに固定された状態では、アンカーボルト31は、長手方向がアンカーフレーム32の厚さ方向(上下方向)に向くように姿勢が保持される。
【0035】
図4及び図5に示すアンカープレート33は、アンカーボルト31の上部に固定されるものである。アンカープレート33は、厚さ方向を上下方向に向けた、平面視矩形状の板形状に形成される。アンカープレート33は、平面視における中央部に、矩形状の開口が形成されている。アンカープレート33の平面視における外形は、アンカーフレーム32の平面視における外形と概ね同形状である。アンカープレート33は、柱型10の上面よりも上方に位置する。また、アンカープレート33には、複数のアンカーボルト31の上部が挿通される孔部が複数(本実施形態では8つ)形成されている。上記孔部に挿通されたアンカーボルト31の上部を適宜のナットにより螺合することで、アンカープレート33はアンカーボルト31に固定される。また、アンカープレート33は、鉄骨柱2を固定する前に、アンカーボルト31から取り外される(図3及び図7を参照)。アンカープレート33は、ガイドライン33aを具備する。
【0036】
図5に示すガイドライン33aは、アンカープレート33(アンカーボルトセット30)の平面視における中心の位置を示すものである。本実施形態では、ガイドライン33aを、アンカープレート33の上面に引かれた直線状のマーキング(目印)とした例を示している。ガイドライン33aは、アンカープレート33の前後方向中央に引かれた直線と、アンカープレート33の左右方向中央に引かれた直線と、により形成される。上記ガイドライン33aを形成する各直線を延長した仮想線の交点(以下では「ガイドライン33aの交点」と称する)が、アンカープレート33の平面視における中心を示す。なお、ガイドライン33aとしては、上述したような直線状のマーキングに限られず、例えば適宜の図柄や凹凸等、アンカープレート33の平面視における中心の位置を表示可能な種々の構成を採用可能である。
【0037】
また、柱型10の上面には、柱型10に設置される鉄骨柱2の上下位置を調整可能なスペーサー部(不図示)が設けられる。スペーサー部は、上下方向に伸縮可能に形成され、上部が柱型10の上面から突出するように、下部が柱型10に埋め込まれる。
【0038】
次に、図3から図7までを用いて、上述した柱型10(基礎A)及び鉄骨柱2の施工手順について説明する。
【0039】
図4は、コンクリート5が、柱型10の型枠4に打設される前の状態を示している。型枠4は、捨てコンクリート3の上に設けられる。型枠4の内部には、所定の鉄筋(不図示)が配置される。また、型枠4内の捨てコンクリート3の上には、アンカーボルトセット30が配置される。
【0040】
ここで、型枠4内でのアンカーボルトセット30の位置決めには、図5に示すアンカープレート33のガイドライン33aが用いられる。より詳細には、捨てコンクリート3の上には、予め設計された位置(設計位置)に基づく鉄骨柱2の中心(柱芯)を示す所定の目印が設けられる。平面視において、ガイドライン33aの交点が上記目印と一致するようにアンカーボルトセット30を配置することで、アンカーボルトセット30の位置決めを行うことができる。
【0041】
本実施形態では、上記目印として、図4及び図5に示すベンチマークシャフト40を用いている。ベンチマークシャフト40は、上下方向に長尺な棒形状の部材である。ベンチマークシャフト40は、予め設計された位置(設計位置)に基づく鉄骨柱2の中心(柱芯)に位置するように、柱型10に対して設けられる。ベンチマークシャフト40は、捨てコンクリート3以深の地盤に定着するように設けられる。ベンチマークシャフト40は、長手方向が鉛直方向(上下方向)に向くように設けられる。また、ベンチマークシャフト40は、上端部が、型枠4内に打設されるコンクリート5の上面(柱型10の上面)よりも上方に位置するように設けられる。ベンチマークシャフト40の下部は、柱型10に埋め込まれる。ベンチマークシャフト40は、基礎Aの四隅の柱型10のうち、一つの柱型10(図1に示す左後側の柱型10)に対して設けられる。
【0042】
図5に示すように、アンカーボルトセット30は、平面視において、ガイドライン33aの交点が、ベンチマークシャフト40の中心と一致するように配置される。この状態では、アンカーボルトセット30の位置決めが適切に行われ、ひいては、アンカーボルト31の位置(鉄骨柱2が取り付けられる位置)が所定の設計位置に位置する。このようにして、ベンチマークシャフト40及びガイドライン33aを用いたアンカーボルトセット30の位置決めが可能となる。なお、ベンチマークシャフト40が設けられない柱型10については、捨てコンクリート3に設けられた所定の目印と、ガイドライン33aの交点と、が一致するようにアンカーボルトセット30を配置することで、アンカーボルトセット30の位置決めを行う。
【0043】
上述のようにアンカーボルトセット30を設置した状態で、型枠4内へのコンクリート5の打設が行われる。
【0044】
次に、コンクリート5の硬化後、型枠4を解体し、柱型10(基礎A)の躯体を露出させる。また、図7に示すように、柱型10の上面から突出するアンカーボルト31から、アンカープレート33を取り外す。この状態では、鉄骨柱2の設置が可能となる。
【0045】
また、図2に示すように、コンクリート5の硬化後、柱型10(基礎A)の上面には、鉄骨柱2等の建物の構造体を施工する際の基準となる通り芯が引かれる。通り芯は、建物の設計図面に基づく壁等の中心線を示す。通り芯は、墨つぼ等の道具を用いた墨出し作業により引かれる。通り芯は、X方向及びY方向(左右方向及び前後方向)に沿って引かれる。図2に示す例では、X方向の通り芯をX1、Y方向の通り芯をY1として示している。
【0046】
また、後の作業の利便性を図る観点から、柱型10(基礎A)の上面には、上記通り芯に平行な線であって、当該通り芯に対してX方向又はY方向に所定距離分離間した逃げ墨が引かれる。図2に示す例では、通り芯X1の逃げ墨をX1´、通り芯Y1の逃げ墨をY1´として示している。逃げ墨X1´、Y1´の交点は、通り芯X1、Y1の交点よりも、柱型10の平面視中心側に位置するように設けられる。
【0047】
ここで、上述の如きアンカーボルト31の位置が、当初の設計位置と大きくずれた場合、鉄骨柱2を適切な位置に設置し難くなることが考えられる。そこで、一般的には、コンクリート5の硬化後、鉄骨柱2の取り付け前に、アンカーボルト31の位置が適切であるか否かの検査が行われる。アンカーボルト31の位置の検査の一般的な方法としては、例えば、コンベックス(スケール)等の測定具を用いて、逃げ墨X1´、Y1´からアンカーボルト31までの距離を測定する方法がある。また、アンカーボルト31の位置に応じた孔部が形成された板形状(シート形状)の検査用のテンプレートを用いる方法がある。
【0048】
次に、図7に示すように、鉄骨柱2のベースプレート2aに形成された孔部2bに、アンカーボルト31の上部を挿通させる。この際、ベースプレート2aは、柱型10の上面に設けられたスペーサー部(不図示)に載置される。次に、アンカーボルト31に螺合されたナットを締結することで、アンカーボルト31に対して鉄骨柱2(ベースプレート2a)を固定する。
【0049】
次に、図3に示すように、柱型10の上面と、鉄骨柱2の下面との隙間に、二点鎖線で示す適宜のモルタル(例えば無収縮モルタル)を充填し、上記隙間を埋める。以上により、柱型10(基礎A)及び鉄骨柱2の施工が完了する。
【0050】
本実施形態に係るアンカーボルト検査システム1は、上述したアンカーボルト31の位置を測定すると共に、上記位置が適切であるか否かを検査する処理(後述するコンクリート打設前検査処理、コンクリート打設直後検査処理、コンクリート硬化後検査処理)を実行可能なものである。以下では、アンカーボルト検査システム1の詳細について説明する。図1及び図8に示すように、アンカーボルト検査システム1は、主として、測定装置100、無人航空機200及び制御装置300を具備する。
【0051】
測定装置100は、柱型10に設けられたアンカーボルト31の位置を測定するものである。測定装置100は、通信部110、記憶部120、制御部130、表示部140、入力部150及びカメラ部160を具備する。
【0052】
通信部110は、後述する無人航空機200や制御装置300に対して情報の送受信等を行うものである。
【0053】
記憶部120は、各種のプログラムや通信部110により受信された情報等が記憶されるものである。記憶部120は、HDD、RAM、ROM等により構成される。
【0054】
制御部130は、記憶部120に記憶されたプログラムを実行するものである。制御部130は、アンカーボルト31の位置を測定する制御を実行可能である。なお、制御部130による制御の詳細については後述する。
【0055】
表示部140は、各種の情報を表示するものである。表示部140は、液晶ディスプレイ等により構成される。
【0056】
入力部150は、各種の情報を入力するためのものである。入力部150は、所定のボタン等により構成される。
【0057】
カメラ部160は、所定のレンズ部(不図示)を介して撮影した映像データを取得するものである。カメラ部160により撮影された映像データは、記憶部120に記憶される。カメラ部160は、測定装置100が後述する無人航空機200に搭載された状態で、下方を向くように設けられる。
【0058】
無人航空機200は、ドローンやUAVとも呼ばれる人が搭乗しない小型の航空機である。無人航空機200は、複数のローター(回転翼)を具備し、安定した飛行を行うことができる。無人航空機200は、測定装置100を搭載している。
【0059】
図1に示すように、無人航空機200は、柱型10の近傍を飛行することができる。また、無人航空機200は、飛行した状態で、上下方向に沿う軸線を中心として回転することができる。無人航空機200は、適宜のGPS受信機や、高度センサを備えている。無人航空機200は、適宜の操作手段からの情報や、GPS受信機、高度センサから取得した情報、測定装置100のカメラ部160から取得した情報、制御装置300から取得した情報に基づいて、所定の位置まで飛行することができる。
【0060】
制御装置300は、各種の情報の処理が可能なものである。制御装置300は、通信部310、記憶部320、制御部330、表示部340及び入力部350を具備する。
【0061】
通信部310は、測定装置100や無人航空機200に対して情報の送受信等を行うものである。
【0062】
記憶部320は、各種のプログラムや通信部310により受信された情報等が記憶されるものである。記憶部320は、HDD、RAM、ROM等により構成される。記憶部320には、基礎Aの設計図面の図面データが記憶されている。上記図面データには、柱型10及び基礎梁20の平面視における形状の寸法や、隣り合う柱型10同士の間の距離(柱芯間距離)の値、通り芯X1、Y1の位置情報、予め設計されたアンカーボルト31の位置情報等が含まれる。
【0063】
制御部330は、記憶部320に記憶されたプログラムを実行するものである。制御部330は、CPUにより構成される。
【0064】
表示部340は、各種の情報を表示するものである。表示部340は、液晶ディスプレイ等により構成される。
【0065】
入力部350は、各種の情報を入力するためのものである。入力部350は、キーボード、マウス等により構成される。
【0066】
このように、制御装置300としては、一般的なパーソナルコンピュータ等を用いることができる。また、制御装置300としては、パーソナルコンピュータ等に限られず、タブレットやスマートフォン等の情報端末を用いることができる。
【0067】
上述の如きアンカーボルト検査システム1は、図9に示すように、コンクリート5の打設前、打設直後及び硬化後のそれぞれの状態で、アンカーボルト31(アンカーボルトセット30)の位置の検査を行うコンクリート打設前検査処理(ステップS10)、コンクリート打設直後検査処理(ステップS20)及びコンクリート硬化後検査処理(ステップS30)を実行可能である。上記各処理は、制御部130や制御部330により実行される。
【0068】
以下では、コンクリート打設前検査処理(ステップS10)について説明する。コンクリート打設前検査処理は、測定装置100のカメラ部160による映像データを用いて、コンクリート打設前のアンカーボルト31(アンカーボルトセット30)の位置の検査を行う処理である。
【0069】
コンクリート打設前検査処理を実行する場合、検査者は、まず、当該処理に用いる情報を入力する。具体的には、検査者は、制御装置300に、ベンチマークシャフト40が設けられる柱型10の情報を入力する。この際には、例えば、表示部340に基礎Aの設計図面を表示させ、当該設計図面中のどの柱型10にベンチマークシャフト40が設けられているかを、入力部350を介した操作により指定するようにしてもよい。また、上記情報を制御装置300に入力する態様に代えて、測定装置100に入力するようにしてもよい。この場合は、入力部150を介して上記情報を入力可能である。また、この際には、上記情報の入力の際に必要な情報を、表示部140に表示させることができる。
【0070】
また、コンクリート打設前検査処理を実行する場合、検査者は、図1に示すように、無人航空機200を、ベンチマークシャフト40の上方へ飛行させる。なお、図1は、コンクリート5が硬化した状態の基礎Aを示す図であるが、ここでは便宜上、図1を用いてコンクリート5の打設前の状態を説明する。上記飛行は、適宜の操作手段を介して行うようにしてもよく、適宜のGPS受信機や、高度センサを用いた無人航空機200の自律制御により行うようにしてもよい。
【0071】
以下では、図10のフローチャートを用いて、コンクリート打設前検査処理(ステップS10)において、制御部130や制御部330が行う処理について説明する。
【0072】
ステップS11において、制御部130は、カメラ部160を介した映像データを取得すると共に、当該映像データに含まれるベンチマークシャフト40の画像の中心点を基準点として検出する。ここで、上記映像データを取得する際には、カメラ部160は、ベンチマークシャフト40及びアンカープレート33のガイドライン33aの両方を、上方から撮影した画像を撮影する。また、基準点とは、アンカーボルト31(アンカーボルトセット30)の位置の検査を行う際の基準となる点である。制御部130は、上記検出結果を、通信部110を介して制御装置300へ送信する。制御部130は、ステップS11の処理を実行した後、ステップS12の処理へ移行する。
【0073】
ステップS12において、制御部130は、カメラ部160を介した映像データに含まれるアンカープレート33のガイドライン33aの画像を検出すると共に、当該ガイドライン33aの交点を検出する。制御部130は、上記検出結果を、通信部110を介して制御装置300へ送信する。制御部130は、ステップS12の処理を実行した後、ステップS13の処理へ移行する。
【0074】
ステップS13において、制御部330は、ステップS11及びステップS12の検出結果を取得すると共に、当該検出結果に基づいて、ガイドライン33aの交点の位置が、基準点に基づく所定の範囲内であるか否かを判定する。ここで、上記所定の範囲とは、設計値(予め設計された基準点とガイドライン33aの交点との位置関係を示す値)に対して、X方向及びY方向それぞれ±3mm以内の範囲である。また、上記判定を行う際には、制御部330は、映像データの画像の縮尺を読み取ることで、上記範囲(±3mm以内の範囲)を測定する。この際には、制御部330は、測定装置100とアンカープレート33との間の距離や、アンカープレート33の寸法等に基づいて映像データの画像の縮尺を読み取ることができる。なお、上記範囲としては、±3mm以内に限られず、鉄骨柱2を適切な位置に設置する観点から、適宜の位置を採用可能である。
【0075】
制御部330は、ガイドライン33aの交点の位置が、基準点に基づく所定の範囲内であると判定した場合は、ステップS14の処理へ移行する。一方、制御部330は、ガイドライン33aの交点の位置が、基準点に基づく所定の範囲外であると判定した場合には、ステップS15の処理へ移行する。
【0076】
ステップS14において、制御部330は、合格判定を行う。この場合、制御部330は、柱型10のアンカーボルト31(アンカーボルトセット30)の位置が、所定の範囲内である旨を、表示部340に表示する。制御部330は、ステップS14の処理を実行した後、コンクリート打設前検査処理を終了する。
【0077】
ステップS15において、制御部330は、不合格判定を行う。この場合、制御部330は、柱型10のアンカーボルト31(アンカーボルトセット30)の位置が、所定の範囲外である旨を、表示部340に表示する。制御部330は、ステップS15の処理を実行した後、コンクリート打設前検査処理を終了する。
【0078】
また、上記アンカーボルト31の位置の合否判断が不能であると判定した場合、制御部330は、合否判断が不能である旨の警告を、表示部340に表示可能である。この場合、制御部330は、検査者に対して、再検査することを促す表示を実行可能である。
【0079】
なお、上述した例では、ステップS13からステップS15までの処理を、制御装置300の制御部330により行う構成としたが、このような態様に限られず、上記処理を測定装置100の制御部130により行うようにしてもよい。
【0080】
以上により、ベンチマークシャフト40が設けられた柱型10(図1に示す左後側の柱型10)のアンカーボルト31(アンカーボルトセット30)の位置が適切であるか否かを、コンクリート5の打設前に自動で判定することができる。また、この際に、アンカーボルト31の位置が、所定の範囲外であると判定された場合でも、コンクリート5の打設前にアンカーボルトセット30を適切な位置に移動することで、アンカーボルト31の位置の是正が可能である。
【0081】
ここで、アンカーボルト検査システム1は、上記柱型10と異なる柱型10のアンカーボルト31についても、上述した例と同様なコンクリート打設前検査処理を行う。本実施形態では、上方から見て時計回りに、全ての柱型10のアンカーボルト31について順番にコンクリート打設前検査処理を行う。具体的には、アンカーボルト検査システム1は、次に、ベンチマークシャフト40が設けられた柱型10の右隣の柱型10(以下では、図1に示す右後側の柱型10)のアンカーボルト31についてコンクリート打設前検査処理を行う。
【0082】
この場合、無人航空機200は、右後側に位置する柱型10の上方へ飛行する。具体的には、無人航空機200は、左後側の柱型10の上方から、右方へ基礎Aの柱芯間距離分移動する。上記移動は、基礎Aの寸法の情報や、GPS受信機の情報に基づいて、自動で行われる。
【0083】
図10に示すステップS11において、制御部130は、基準点を検出する。ここで、制御部130は、ベンチマークシャフト40の中心から、右方へ基礎Aの柱芯間距離分移動した点を、基準点として検出(設定)する。上記柱芯間距離は、記憶部320に記憶された図面データに基づくものである。制御部130は、上記検出結果を、通信部110を介して制御装置300へ送信する。制御部130は、ステップS11の処理を実行した後、ステップS12の処理へ移行する。なお、ステップS12からステップS15までの処理は、上述した左後側の柱型10のアンカーボルト31について実行した処理と同様であるので、説明を省略する。
【0084】
以上により、ベンチマークシャフト40が設けられていない柱型10のアンカーボルト31についても、位置が適切であるか否かを自動で判定することができる。また、上述した右後側の柱型10のアンカーボルト31と同様、当該右後側の柱型10から前方に基礎Aの柱芯間距離分移動した前右側の柱型10のアンカーボルト31や、当該右前側の柱型10から左方に基礎Aの柱芯間距離分移動した左前側の柱型10のアンカーボルト31についても、コンクリート打設前検査処理を行う。
【0085】
なお、上述した例では、無人航空機200が、各柱型10のアンカーボルト31の上方へ移動する毎に、アンカーボルト31の位置が適切であるか否かの判定(ステップS13~ステップS15の処理)を行う例を示したが、このような態様に限られない。例えば、一の柱型10のアンカーボルト31についてステップS11及びステップS12の処理を実行した後、他の柱型10のアンカーボルト31へ無人航空機200を移動させる構成とし、全ての柱型10のアンカーボルト31についてステップS11及びステップS12の処理が完了した後に、ステップS13からステップS15までの処理を実行するようにしてもよい。
【0086】
次に、図9に示すコンクリート打設直後検査処理(ステップS20)において、制御部130や制御部330が行う処理について説明する。コンクリート打設直後検査処理は、コンクリート5の打設の直後、当該コンクリート5が硬化する前の状態で、アンカーボルト31(アンカーボルトセット30)の位置の検査を行う処理である。コンクリート打設直後検査処理は、コンクリート5の打設中にアンカーボルト31(アンカーボルトセット30)の移動が生じることがあることから実施する。
【0087】
コンクリート打設直後検査処理は、コンクリート5の打設の直後に実行される点を除いて、コンクリート打設前検査処理と概ね同様の内容である。具体的には、コンクリート打設直後検査処理では、図10のフローチャートに示すステップS11からステップS15までの処理が行われる。従って、コンクリート打設直後検査処理で行われる具体的な処理の説明は省略する。また、コンクリート打設直後検査処理は、コンクリート打設前検査処理と同様、基礎Aの全ての柱型10のアンカーボルト31に行われる。
【0088】
コンクリート打設直後検査処理を実行することで、コンクリート5の打設直後に、アンカーボルト31(アンカーボルトセット30)の位置が適切であるか否かを自動で判定することができる。また、コンクリート5の硬化前であれば、打設後であってもアンカーボルトセット30の位置の是正が可能である。従って、アンカーボルト31の位置が、所定の範囲外であると判定された場合でも、アンカーボルトセット30を適切な位置に移動することで、アンカーボルト31の位置の是正が可能である。
【0089】
次に、図9に示すコンクリート硬化後検査処理(ステップS30)において、制御部130や制御部330が行う処理について説明する。コンクリート硬化後検査処理は、コンクリート5の硬化後、アンカーボルト31(アンカーボルトセット30)の位置の検査を行う処理である。
【0090】
コンクリート硬化後検査処理は、コンクリート5の硬化後に実行される点を除いて、コンクリート打設前検査処理と概ね同様の内容である。具体的には、コンクリート硬化後検査処理では、図10のフローチャートに示すステップS11からステップS15までの処理が行われる。従って、コンクリート硬化後検査処理で行われる具体的な処理の説明は省略する。また、コンクリート硬化後検査処理は、コンクリート打設前検査処理と同様、基礎Aの全ての柱型10に行われる。
【0091】
コンクリート硬化後検査処理を実行することで、コンクリート5の打設直後に、アンカーボルト31(アンカーボルトセット30)の位置が適切であるか否かを自動で判定することができる。これにより、例えば、コンベックス(スケール)等の測定具や、検査用のテンプレートを用いて、検査者の手によりアンカーボルト31の位置の検査を行う場合と異なり、検査者の負担を軽減することができる。
【0092】
上述したように、アンカーボルト検査システム1によれば、コンクリート5の打設前、打設直後及び硬化後のそれぞれの状態で、アンカーボルト31の位置が適切であるか否かを自動で判定することができる。これにより、アンカーボルト31の位置ずれの防止を図ることができる。
【0093】
また、制御部330は、上述したコンクリート打設前検査処理、コンクリート打設直後検査処理及びコンクリート硬化後検査処理の検査結果を、記憶部320に記憶させる。また、制御部330は、上記各検査結果を、所定の出力装置を用いて出力することができる。この際には、基礎Aの図面データに上記各検査結果を記載したものを出力するようにしてもよい。
【0094】
以上のように、本発明の第一実施形態に係るアンカーボルト検査システム1は、
基礎Aの柱型10に設けられるアンカーボルト31の位置を検査するアンカーボルト検査システム1であって、
飛行可能な無人航空機200と、
前記無人航空機200に搭載され、前記柱型10に対して設けられる第一の目印(ベンチマークシャフト40)と、前記アンカーボルト31に対して設けられる第二の目印(ガイドライン33a)と、を撮影可能な撮影部(カメラ部160)と、
前記撮影部(カメラ部160)により撮影された画像から、前記第一の目印(ベンチマークシャフト40)の画像及び前記第二の目印(ガイドライン33a)の画像と、を検出する検出部(制御部330)と、
前記第一の目印(ベンチマークシャフト40)の画像及び前記第二の目印(ガイドライン33a)の画像に基づいて、前記第一の目印(ベンチマークシャフト40)に対する前記第二の目印(ガイドライン33a)の位置関係により前記アンカーボルト31の位置を検査する検査部(制御部330)と、
を具備するものである。
【0095】
このような構成により、アンカーボルト31の位置の検査を容易に行うことができる。すなわち、撮影部(カメラ部160)による第一の目印(ベンチマークシャフト40)の画像及び第二の目印(ガイドライン33a)の画像とに基づいて、アンカーボルト31の位置の検査を自動で行うことができる。これにより、検査者の手によりアンカーボルト31の位置の検査を行う場合と異なり、検査者の負担を軽減することができる。
【0096】
また、前記柱型10は、型枠4内に打設されるコンクリート5により形成され、
前記アンカーボルト31及び前記第一の目印(ベンチマークシャフト40)は、一部が前記柱型10に埋め込まれるように設けられ、
前記撮影部(カメラ部160)は、
前記コンクリート5の打設前に、前記型枠4内に設けられた前記第一の目印(ベンチマークシャフト40)及び前記第二の目印(ガイドライン33a)を撮影し、
前記検査部(制御部330)は、
前記コンクリート5の打設前における前記アンカーボルト31の位置を検査するものである。
【0097】
このような構成により、コンクリート5の打設前に、アンカーボルト31の位置の検査を行うことができる。これにより、アンカーボルト31の位置が所定の範囲外である場合でも、アンカーボルトセット30を適切な位置に移動することで、アンカーボルト31の位置の是正が可能である。
【0098】
また、前記柱型10は、型枠4内に打設されるコンクリート5により形成され、
前記アンカーボルト31及び前記第一の目印(ベンチマークシャフト40)は、一部が前記柱型10に埋め込まれるように設けられ、
前記撮影部(カメラ部160)は、
前記コンクリート5の打設後、当該コンクリート5の硬化前に、前記第一の目印(ベンチマークシャフト40)及び前記第二の目印(ガイドライン33a)を撮影し、
前記検査部(制御部330)は、
前記コンクリート5の打設後、当該コンクリート5の硬化前における前記アンカーボルト31の位置を検査するものである。
【0099】
このような構成により、コンクリート5の打設後、硬化前に、アンカーボルト31の位置の検査を行うことができる。また、コンクリート5の硬化前であれば、アンカーボルトセット30の位置の是正が可能である。従って、アンカーボルト31の位置が所定の範囲外である場合でも、アンカーボルトセット30を適切な位置に移動することで、アンカーボルト31の位置の是正が可能である。
【0100】
また、前記柱型10は、型枠4内に打設されるコンクリート5により形成され、
前記アンカーボルト31及び前記第一の目印(ベンチマークシャフト40)は、一部が前記柱型10に埋め込まれるように設けられ、
前記撮影部(カメラ部160)は、
前記コンクリート5の硬化後に、前記第一の目印(ベンチマークシャフト40)及び前記第二の目印(ガイドライン33a)を撮影し、
前記検査部(制御部330)は、
前記コンクリート5の硬化後における前記アンカーボルト31の位置を検査するものである。
【0101】
このような構成により、コンクリート5の硬化後のアンカーボルト31の位置の検査を容易に行うことができる。
【0102】
また、前記柱型10は、
前記第一の目印(ベンチマークシャフト40)が設けられる第一の柱型10と、前記第一の目印(ベンチマークシャフト40)が設けられない第二の柱型10と、を具備し、
前記基礎Aの図面データを記憶する記憶部320と、
前記図面データと、前記第一の目印(ベンチマークシャフト40)の位置情報と、に基づいて、前記第二の柱型10における基準点を設定する設定部(制御部330)と、
を具備し、
前記検査部(制御部330)は、
前記基準点と、前記第二の柱型10に設けられる第二の目印(ガイドライン33a)の画像と、に基づいて、前記基準点に対する前記第二の目印(ガイドライン33a)の位置関係により前記アンカーボルト31の位置を検査するものである。
【0103】
このような構成により、アンカーボルト31の位置の検査をより容易に行うことができる。すなわち、第一の目印(ベンチマークシャフト40)を一箇所に設けるだけで、当該第一の目印(ベンチマークシャフト40)を設けていない柱型10のアンカーボルト31の位置の検査を自動で行うことができる。
【0104】
以上、本発明の第一実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0105】
例えば、本実施形態では、基礎Aの四隅の柱型10のうち、一つの柱型10(図1に示す左後側の柱型10)にベンチマークシャフト40を設けた例を示したが、このような態様に限られない。例えば、四隅の柱型10の全てにベンチマークシャフト40を設けてもよい。この場合は、全てのベンチマークシャフト40に基づいて、各柱型10ごとに図10のステップS11に示す基準点を検出するようにしてもよい。
【0106】
また、本実施形態では、コンクリート打設前検査処理、コンクリート打設直後検査処理及びコンクリート硬化後検査処理の三段階で、アンカーボルト31の位置の検査を行う構成としたが、このような態様に限られない。例えば、コンクリート打設前検査処理、コンクリート打設直後検査処理及びコンクリート硬化後検査処理のうち、少なくとも一つの検査を行うようにしてもよい。
【0107】
また、本実施形態では、コンクリート硬化後検査処理(ステップS30)において、ベンチマークシャフト40を基準として、アンカーボルト31の位置が適切であるか否かの検査を行う構成を採用したが、このような構成に限られない。例えば、以下の図11から図13までに示す本発明の第二実施形態に係るアンカーボルト検査システム1Aの構成を採用してもよい。
【0108】
第二実施形態に係るアンカーボルト検査システム1Aは、ベンチマークシャフト40に代えて、簡易アンカー60を基準として、アンカーボルト31の位置が適切であるか否かの検査を行う点で、第一実施形態に係るアンカーボルト検査システム1の構成と異なる。また、第二実施形態に係るアンカーボルト検査システム1Aは、測定装置100Aの構成が、第一実施形態に係る測定装置100の構成と異なる。以下では、主として第一実施形態に係るアンカーボルト検査システム1と異なる点について説明する。また、第一実施形態に係るアンカーボルト検査システム1と共通する点は、第一実施形態と同様な符号を付すと共に、説明を適宜省略する。
【0109】
図11に示すように、測定装置100Aは、第一実施形態に係る測定装置100の構成に加えて、距離測定部170及び回転角測定部180を具備する。
【0110】
距離測定部170は、対象物までの距離を測定するものである。距離測定部170は、非接触での距離測定を実行可能である。距離測定部170は、対象物へ向けて超音波を発信し、対象物から反射してくる超音波を受信することで、発信から受信までの時間に基づいて対象物までの距離を測定する。距離測定部170は、測定装置100Aの平面視における中心から、アンカーボルト31の外面までの距離(図14に示す距離L1)を測定可能である。なお、距離測定部170としては、上述した構成に限られず、赤外線やレーザーを用いて距離を測定するもの等、非接触で距離を測定可能な種々の構成を採用可能である。
【0111】
回転角測定部180は、水平方向の回転角(上下方向に向く回転軸を中心とした回転角)を測定可能なものである。回転角測定部180は、測定装置100Aが、基準となる一の方向を向く状態から他の方向を向く状態まで、上下方向に向く回転軸を中心として回転した場合の回転角を測定することができる。回転角測定部180としては、適宜の角速度センサや加速度センサを用いることができる。
【0112】
以下では、本実施形態に係るアンカーボルト検査システム1Aを用いたコンクリート硬化後検査処理について説明する。アンカーボルト検査システム1Aは、測定装置100Aのカメラ部160による映像データや、距離測定部170及び回転角測定部180の測定結果を用いて、コンクリート5の硬化後のアンカーボルト31の位置の検査を行う。
【0113】
本実施形態では、図13及び図14に示すように、アンカープレート33が取り外され、通り芯X1、Y1及び逃げ墨X1´、Y1´が上面に引かれた状態の柱型10について検査を行う。また、本実施形態では、図14に示すように、柱型10の上面における中央に、鉄骨柱2のベースプレート2aが載置されるスペーサー部50を設けた例を示している。
【0114】
本実施形態に係るコンクリート硬化後検査処理を実行する際には、検査者は、柱型10の上面に、簡易アンカー60を設ける。簡易アンカー60は、図14に示すように、逃げ墨X1´及び逃げ墨Y1´の交点に位置するように、硬化後のコンクリート5に打ち込まれる。簡易アンカー60は、基礎Aの四隅の柱型10のうち、一つの柱型10に設けられる。簡易アンカー60は、軸部61及び頭部62を具備する。
【0115】
軸部61は、コンクリート5に打ち込まれる部分である。軸部61は、上下方向に長尺な略円柱形状に形成される。軸部61は、下端部が尖るように形成されている。
【0116】
頭部62は、軸部61の上端部において拡径する部分である。頭部62は、円形板形状に形成される。
【0117】
なお、簡易アンカー60としては、上述した形状に限られない。例えば、簡易アンカー60を、頭部62を有さない略杭状に形成してもよい。
【0118】
また、本実施形態では、コンクリート硬化後検査処理を実行する際に、検査者は、制御装置300に通り芯X1、Y1から逃げ墨X1´、Y1´までの距離の情報を入力する。上記情報の入力は、入力部350を介して行うことができる。また、検査者は、制御装置300に、簡易アンカー60を設けた柱型10の情報を入力する。この際には、例えば、表示部340に基礎Aの設計図面を表示させ、当該設計図面中のどの柱型10に簡易アンカー60が設けられているかを、入力部350を介した操作により指定するようにしてもよい。また、検査者は、制御装置300に、柱型10のアンカーボルト31の外径寸法を入力する。
【0119】
なお、上記情報を制御装置300に入力する態様に代えて、測定装置100Aに入力するようにしてもよい。この場合は、入力部150を介して上記情報を入力可能である。また、この際には、上記情報の入力の際に必要な情報を、表示部140に表示させることができる。
【0120】
また、検査者は、図13に示すように、無人航空機200を、簡易アンカー60が設けられた柱型10の上方へ飛行させる。また、検査者は、測定装置100Aの少なくとも一部が、水平方向のうちの所定方向に見てアンカーボルト31と重複する位置となるように、無人航空機200の高度を下降させる。上記飛行は、適宜の操作手段を介して行うようにしてもよく、適宜のGPS受信機や、高度センサを用いた無人航空機200の自律制御により行うようにしてもよい。
【0121】
以下では、図12のフローチャートを用いて、コンクリート硬化後検査処理において、制御部130や制御部330が行う処理について説明する。
【0122】
ステップS21において、制御部130は、カメラ部160を介した映像データを取得すると共に、当該映像データに含まれる簡易アンカー60の画像の中心点を、基準点として検出する。ここで、基準点とは、アンカーボルト31の位置の検査を行う際の基準となる点である。制御部130は、後述するステップS23で回転する無人航空機200回転中心と、簡易アンカー60の中心と、が上下方向に見て重複するように、無人航空機200の水平位置を適宜調整する。制御部130は、ステップS21の処理を実行した後、ステップS22の処理へ移行する。
【0123】
ステップS22において、制御部130は、基準方向を設定する。ここで、基準方向とは、後述する回転角測定部180による回転角の測定(ステップS25)を行う際の基準となる所定の方向(水平方向のうちの一方向)である。本実施形態では、基準方向を、逃げ墨Y1´に沿う方向(前後方向)のうちの一方向(例えば後方)としている。また、制御部130は、距離測定部170による距離が測定可能な方向を、基準方向に向けるように、無人航空機200の方向を適宜調整する。制御部130は、ステップS22の処理を実行した後、ステップS23の処理へ移行する。
【0124】
ステップS23において、制御部130は、平面視における簡易アンカー60の中心を回転軸として、測定装置100Aが回転するように、無人航空機200を所定の回転方向(例えば時計回り)に回転させる。測定装置100Aを回転させることで、距離測定部170を、所定のアンカーボルト31に対向させることができる。制御部130は、ステップS23の処理を実行した後、ステップS24の処理へ移行する。
【0125】
ステップS24において、制御部130は、簡易アンカー60の中心から、所定のアンカーボルト31の中心までの距離L3を測定する(図14参照)。上記距離の測定は、距離測定部170を用いて行われる。ここで、制御部130は、距離測定部170により測定された簡易アンカー60の中心から所定のアンカーボルト31の外面までの距離L1に、予め入力されたアンカーボルト31の外径寸法から得られるアンカーボルト31の半径L2を加えることで、上記距離L3を測定(算出)する。制御部130は、上記測定結果を、通信部110を介して制御装置300へ送信する。制御部130は、ステップS24の処理を実行した後、ステップS25の処理へ移行する。
【0126】
ステップS25において、制御部130は、ステップS22において設定された基準方向から、ステップS24において距離L3を測定した方向(簡易アンカー60の中心とアンカーボルト31の中心とを通る方向)までの回転角θを測定する(図14参照)。制御部130は、上記測定結果を、通信部110を介して制御装置300へ送信する。制御部130は、ステップS25の処理を実行した後、ステップS26の処理へ移行する。
【0127】
ここで、制御部130は、柱型10における全てのアンカーボルト31について、簡易アンカー60を基準とした距離L3及び回転角θを測定するまで、上記ステップS23からステップS25までを繰り返す。
【0128】
ステップS26において、制御部330は、距離L3と、回転角θと、通り芯X1、Y1の位置情報と、通り芯X1、Y1から逃げ墨X1´、Y1´までの距離と、に基づいて各アンカーボルト31の位置を測定する。ここで、アンカーボルト31の位置は、通り芯X1、Y1を基準とした位置(X方向及びY方向の位置)で示される。アンカーボルト31の位置を測定する際には、制御部330は、距離L3及び回転角θにより、逃げ墨X1´、Y1´の交点である簡易アンカー60を基準とした各アンカーボルト31の位置(X方向及びY方向の位置)を測定する。また、制御部330は、上記簡易アンカー60を基準とした各アンカーボルト31の位置と、通り芯X1、Y1から逃げ墨X1´、Y1´までの距離と、に基づいて、通り芯X1、Y1を基準としたアンカーボルト31の位置を測定する。制御部330は、ステップS26の処理を実行した後、ステップS27の処理へ移行する。
【0129】
ステップS27において、制御部330は、柱型10の全てのアンカーボルト31の位置が、所定の範囲内であるか否かを判定する。ここで、上記所定の範囲とは、設計値(予め設計された、通り芯X1、Y1を基準としたアンカーボルト31の位置を示す値)に対して、X方向及びY方向それぞれ±3mm以内の範囲である。なお、上記範囲としては、±3mm以内に限られず、鉄骨柱2を適切な位置に設置する観点から、適宜の位置を採用可能である。
【0130】
制御部330は、柱型10の全てのアンカーボルト31の位置が、所定の範囲内であると判定した場合は、ステップS28の処理へ移行する。一方、制御部130は、柱型10のアンカーボルト31に所定の範囲外のアンカーボルト31が含まれると判定した場合には、ステップS29の処理へ移行する。
【0131】
ステップS28において、制御部330は、合格判定を行う。この場合、制御部330は、柱型10の全てのアンカーボルト31の位置が、所定の範囲内である旨を、表示部340に表示する。制御部330は、ステップS28の処理を実行した後、コンクリート硬化後検査処理を終了する。
【0132】
ステップS29において、制御部330は、不合格判定を行う。この場合、制御部330は、柱型10のアンカーボルト31に所定の範囲外のアンカーボルト31が含まれる旨を、表示部340に表示する。また、この場合、制御部330は、上記表示部340に表示された画像において、所定の範囲外のアンカーボルト31を判別可能なように適宜の方法(例えば、当該アンカーボルト31の色を変えたり、所定の枠で囲む等)で示す表示を実行可能である。制御部330は、ステップS29の処理を実行した後、コンクリート硬化後検査処理を終了する。
【0133】
また、上記アンカーボルト31の位置の合否判断が不能であると判定した場合、制御部330は、合否判断が不能である旨の警告を、表示部340に表示可能である。この場合、制御部330は、検査者に対して、再検査することを促す表示を実行可能である。
【0134】
以上により、簡易アンカー60が設けられた柱型10のアンカーボルト31について、アンカーボルト31の位置が適切であるか否かを、コンクリート5の硬化後に自動で判定することができる。
【0135】
ここで、アンカーボルト検査システム1Aは、上記柱型10と異なる柱型10のアンカーボルト31についても、上述した例と同様なコンクリート硬化後検査処理を行う。この際、アンカーボルト検査システム1Aは、第一実施形態に係るアンカーボルト検査システム1と概ね同様、基礎Aの柱芯間距離分、無人航空機200を移動させると共に、簡易アンカー60の中心から、柱芯間距離分移動した点を、基準点として検出(設定)する。これにより、簡易アンカー60が設けられていない柱型10のアンカーボルト31についても、上述したステップS21からステップS29までの処理(コンクリート硬化後検査処理)を自動で行うことができる。
【0136】
上述したように、アンカーボルト検査システム1Aによれば、コンクリート5の硬化後に、アンカーボルト31の位置が適切であるか否かを自動で判定することができる。これにより、検査者の手により、アンカーボルト31の位置の検査を行う場合と異なり、検査者の負担を軽減することができる。
【0137】
以上のように、本発明の第二実施形態に係るアンカーボルト検査システム1Aは、
前記柱型に対して設けられる第三の目印(簡易アンカー60)と、
前記第三の目印(簡易アンカー60)から、前記アンカーボルト31までの平面視における距離を測定する距離測定部(制御部130、距離測定部170)と、
前記第三の目印(簡易アンカー60)の平面視中心を通る基準方向から、前記第三の目印(簡易アンカー60)の平面視中心と前記アンカーボルト31の平面視中心とを通る方向までの回転角を測定する回転角測定部(制御部130、回転角測定部180)と、
前記距離測定部(制御部130、距離測定部170)による測定結果と、前記回転角測定部(制御部130、回転角測定部180)による測定結果と、に基づいて、前記アンカーボルト31の位置を測定する測定部(制御部330)と、
予め設計された前記アンカーボルトの位置情報を記憶する記憶部120と、
を具備し、
前記検査部(制御部330)は、
前記アンカーボルト31の位置情報と、前記測定部(制御部330)による測定結果と、に基づいて、前記アンカーボルト31の位置を検査するものである。
【0138】
このような構成により、アンカーボルト31の位置の検査を容易に行うことができる。
すなわち、距離測定部(制御部130、距離測定部170)による測定結果と、回転角測定部(制御部130、回転角測定部180)による測定結果と、に基づいて、アンカーボルト31の位置が適切であるか否かを自動で判定することができる。これにより、検査者の手によりアンカーボルト31の位置の検査を行う場合と異なり、検査者の負担を軽減することができる。
【0139】
また、アンカーボルト検査システム1Aは、
前記柱型10には、第一の方向(X方向)及び当該第一の方向(X方向)に直交する第二の方向(Y方向)に沿って引かれた通り芯X1、Y1と、前記通り芯X1、Y1と平行に引かれた逃げ墨X1´、Y1´と、が設けられ、
前記第三の目印(簡易アンカー60)は、前記逃げ墨X1´、Y1´の前記第一の方向(X方向)及び前記第二の方向(Y方向)の交点に設けられ、
前記記憶部120は、前記柱型10の通り芯X1、Y1の位置情報と、前記通り芯X1、Y1から前記逃げ墨X1´、Y1´までの距離と、を記憶し、
前記測定部(制御部330)は、
前記柱型10の通り芯X1、Y1の位置情報と、前記通り芯X1、Y1から逃げ墨X1´、Y1´までの距離と、を用いて前記アンカーボルト31の位置を測定するものである。
【0140】
このような構成により、柱型10に引かれた逃げ墨X1´、Y1´を用いて、アンカーボルト31の位置の検査を容易に行うことができる。
【0141】
以上、本発明の第二実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0142】
例えば、上記第二実施形態では、簡易アンカー60の画像の中心点を基準点として検出する(ステップS21)構成としたが、このような態様に限られない。基準点として検出可能な目印は、簡易アンカー60に限られず、カメラ部160を介して検出可能な種々の目印を採用可能である。
【0143】
また、上記第二実施形態では、コンクリート硬化後検査処理において、無人航空機200を用いた構成を採用したが、このような構成に限られない。例えば、以下の図15から図18までに示す本発明の第三実施形態に係るアンカーボルト検査システム1Bの構成を採用してもよい。
【0144】
第三実施形態に係るアンカーボルト検査システム1Bは、無人航空機200を用いない点で、第二実施形態に係るアンカーボルト検査システム1Aの構成と異なる。また、第三実施形態に係るアンカーボルト検査システム1Bは、測定装置400の構成が、第二実施形態に係る測定装置100Aの構成と異なる。以下では、主として第二実施形態に係るアンカーボルト検査システム1Aと異なる点について説明する。また、第二実施形態に係るアンカーボルト検査システム1Aと共通する点は、第二実施形態と同様な符号を付すと共に、説明を適宜省略する。
【0145】
以下では、まず、図15から図17までを用いて、測定装置400について説明する。
【0146】
測定装置400は、柱型10に設けられたアンカーボルト31の位置を測定するものである。測定装置400は、筐体部401、通信部410、記憶部420、制御部430、表示部440、入力部450、ストリング部460、係合部470、距離測定部480及び回転角測定部490を具備する。なお、通信部410、記憶部420、制御部430、表示部440及び入力部450は、第一実施形態に係る測定装置100の通信部110、記憶部120、制御部130、表示部140及び入力部150と同様であるので、説明を省略する。
【0147】
筐体部401は、測定装置400の外形を構成するものである。図16及び図17に示すように、筐体部401は、略円柱形状に形成されている。なお、筐体部401の形状としては、略円柱形状に限られず、種々の形状を採用可能である。筐体部401には、通信部410、記憶部420、制御部430、表示部440及び入力部450が内蔵される。筐体部401は、凹部401aを具備する。
【0148】
凹部401aは、筐体部401の下端部から下方に向けて開口するものである。凹部401aは、上下方向に見て略円形状に形成されている。凹部401aの内径は、簡易アンカー60の頭部62の外径と概ね同寸法に形成される。凹部401aは、上下方向に見て、測定装置400の中央に形成される。
【0149】
図16に示すように、筐体部401(測定装置400)は、凹部401aに簡易アンカー60を挿通させるようにして配置される。この状態では、測定装置400は、簡易アンカー60の軸線を中心として(上下方向から見た中心を通る回動軸回りに)、回転可能に配置される。上記測定装置400の設置は、検査者の手により行われる。
【0150】
図16及び図17に示すストリング部460は、筐体部401から伸びる紐状の部材である。ストリング部460は、筐体部401に内蔵される適宜のリール状の部材(不図示)に巻かれており、必要に応じて、筐体部401の内部から引き出すことができる。
【0151】
係合部470は、アンカーボルト31に係合する部分である。係合部470は、ストリング部460の先端に設けられる。係合部470は、合成樹脂等の可塑性を有する材料で形成されている。係合部470は、開口部471を具備する。
【0152】
図17に示す開口部471は、係合部470の先端側(ストリング部460が設けられた側の反対側)において、開口する部分である。開口部471は、アンカーボルト31の外面に応じた形状に形成される。より詳細には、開口部471は、平面視において、略U字形状に形成される。開口部471の内面には、磁石が設けられている。これにより、上記磁石の磁力により係合部470をアンカーボルト31に固定することができ、係合部470をアンカーボルト31に係合させる際の利便性を向上させることができる。
【0153】
距離測定部480は、対象物までの距離を測定するものである。より詳細には、距離測定部480は、測定装置400の平面視における中心から、開口部471の底面までの距離(図17に示す距離L1)を測定可能である。距離測定部480は、筐体部401からストリング部460を引き出した量に基づいて距離を測定する。
【0154】
回転角測定部490は、水平方向の回転角(上下方向に向く回転軸を中心とした回転角)を測定可能なものである。回転角測定部490は、測定装置400が、基準となる一の方向(基準方向)を向く状態から他の方向を向く状態まで、上下方向に向く回転軸を中心として回転した場合、当該回転角を測定することができる。回転角測定部490としては、適宜の角速度センサや加速度センサを用いることができる。また、回転角測定部490としては、例えば、回転する部分と回転しない部分との間の回転の差分を検出する回転センサを用いることができる。
【0155】
上述の如きアンカーボルト検査システム1Bは、コンクリート硬化後検査処理を実行可能である。
【0156】
本実施形態では、図16及び図17に示すように、アンカープレート33が取り外され、通り芯X1、Y1及び逃げ墨X1´、Y1´が上面に引かれた状態の柱型10について検査を行う。
【0157】
また、本実施形態に係るコンクリート硬化後検査処理を実行する際には、検査者は、柱型10の上面に、簡易アンカー60を設ける。簡易アンカー60は、図14に示すように、逃げ墨X1´及び逃げ墨Y1´の交点に位置するように、硬化後のコンクリート5に打ち込まれる。また、本実施形態では、基礎Aの全ての柱型10に、簡易アンカー60を設ける。
【0158】
検査者は、図16及び図17に示すように、簡易アンカー60に対して測定装置400を取り付ける。この状態では、測定装置400の上下方向に見た中心と、簡易アンカー60の中心と、が上下方向に見て重複する。
【0159】
また、検査者は、測定装置400に、通り芯X1、Y1に対する逃げ墨X1´、Y1´の距離の情報や、柱型10のアンカーボルト31の外径寸法を入力する。上記情報の入力は、入力部450を介して行うことができる。また、この際には、上記情報の入力の際に必要な情報を、表示部440に表示させることができる。
【0160】
以下では、図18のフローチャートを用いて、コンクリート硬化後検査処理において、制御部430や制御部330が行う処理について説明する。
【0161】
ステップS31において、制御部430は、基準方向を設定する。本実施形態では、基準方向を、逃げ墨Y1´に沿う方向としている。上記設定は、測定装置400のストリング部460を引き出す方向を、基準方向に沿わせた状態で、検査者の手による入力部450を介した操作によって行われる。制御部430は、ステップS31の処理を実行した後、ステップS32の処理へ移行する。
【0162】
ステップS32において、制御部430は、簡易アンカー60の中心から、所定のアンカーボルト31の中心までの距離L3を測定する(図17参照)。上記距離の測定は、距離測定部480を用いて行われる。この際、検査者は、ストリング部460を筐体部401から水平方向に引き出すと共に、アンカーボルト31に、係合部470を係合させる。この状態では、アンカーボルト31の外面に係合部470の開口部471の内面(底面)が当接する。また、これに伴い、筐体部401(測定装置400)は、簡易アンカー60を回動軸として、ステップS31において設定された基準方向を向く状態から回転する。
【0163】
ここで、制御部430は、距離測定部480により測定された簡易アンカー60の中心から開口部471の底面(所定のアンカーボルト31の外面)までの距離L1に、予め入力されたアンカーボルト31の外径寸法から得られるアンカーボルト31の半径L2を加えることで、上記距離L3を測定(算出)する。制御部430は、上記測定結果を、通信部410を介して制御装置300へ送信する。制御部430は、ステップS32の処理を実行した後、ステップS33の処理へ移行する。
【0164】
ステップS33において、制御部430は、ステップS31において設定された基準方向から、ステップS32において距離L3を測定した方向(簡易アンカー60の中心とアンカーボルト31の中心とを通る方向)までの回転角θを測定する(図17参照)。制御部430は、上記測定結果を、通信部410を介して制御装置300へ送信する。制御部430は、ステップS33の処理を実行した後、ステップS34の処理へ移行する。
【0165】
ここで、検査者は、柱型10における全てのアンカーボルト31について、簡易アンカー60を基準とした距離L3及び回転角θを測定するまで、上記ステップS32及びステップS33を繰り返す。
【0166】
ステップS34において、制御部330は、距離L3と回転角θと、通り芯X1、Y1の位置情報と、通り芯X1、Y1から逃げ墨X1´、Y1´までの距離と、に基づいて、各アンカーボルト31の位置を測定する。ここで、アンカーボルト31の位置は、通り芯X1、Y1を基準とした位置(X方向及びY方向の位置)で示される。アンカーボルト31の位置を測定する際には、制御部330は、距離L3及び回転角θにより、逃げ墨X1´、Y1´の交点である簡易アンカー60を基準とした各アンカーボルト31の位置(X方向及びY方向の位置)を測定する。また、制御部330は、上記簡易アンカー60を基準とした各アンカーボルト31の位置と、通り芯X1、Y1から逃げ墨X1´、Y1´までの距離と、に基づいて、通り芯X1、Y1を基準としたアンカーボルト31の位置を測定する。制御部330は、ステップS34の処理を実行した後、ステップS35の処理へ移行する。
【0167】
ステップS35において、制御部330は、柱型10の全てのアンカーボルト31の位置が、所定の範囲内であるか否かを判定する。ここで、上記所定の範囲とは、設計値(予め設計された、通り芯X1、Y1を基準としたアンカーボルト31の位置を示す値)に対して、X方向及びY方向それぞれ±3mm以内の範囲である。なお、上記範囲としては、±3mm以内に限られず、鉄骨柱2を適切な位置に設置する観点から、適宜の位置を採用可能である。
【0168】
制御部330は、柱型10の全てのアンカーボルト31の位置が、所定の範囲内であると判定した場合は、ステップS36の処理へ移行する。一方、制御部130は、柱型10のアンカーボルト31に所定の範囲外のアンカーボルト31が含まれると判定した場合には、ステップS37の処理へ移行する。
【0169】
ステップS36において、制御部330は、合格判定を行う。この場合、制御部330は、柱型10の全てのアンカーボルト31の位置が、所定の範囲内である旨を、表示部340に表示する。制御部330は、ステップS36の処理を実行した後、コンクリート硬化後検査処理を終了する。
【0170】
ステップS37において、制御部330は、不合格判定を行う。この場合、制御部330は、柱型10のアンカーボルト31に所定の範囲外のアンカーボルト31が含まれる旨を、表示部340に表示する。また、この場合、制御部330は、上記表示部340に表示された画像において、所定の範囲外のアンカーボルト31を判別可能なように適宜の方法(例えば、当該アンカーボルト31の色を変えたり、所定の枠で囲む等)で示す表示を実行可能である。制御部330は、ステップS37の処理を実行した後、コンクリート硬化後検査処理を終了する。
【0171】
また、上記アンカーボルト31の位置の合否判断が不能であると判定した場合、制御部330は、合否判断が不能である旨の警告を、表示部340に表示可能である。この場合、制御部330は、検査者に対して、再検査することを促す表示を実行可能である。
【0172】
また、検査者は、上記柱型10と異なる柱型10の簡易アンカー60にも測定装置400を取り付けると共に、上述したステップS31からステップS37までの処理(コンクリート硬化後検査処理)を繰り返す。
【0173】
以上により、簡易アンカー60が設けられた柱型10について、コンクリート5の硬化後に、アンカーボルト31の位置が適切であるか否かを自動で判定することができる。これにより、例えば、コンベックス(スケール)等の測定具や、検査用のテンプレートを用いて、検査者の手によりアンカーボルト31の位置の検査を行う場合と異なり、検査者の負担を軽減することができる。
【0174】
なお、上述した例では、ステップS34からステップS37までの処理を、制御装置300の制御部330により行う構成としたが、このような態様に限られず、上記処理を測定装置400の制御部430により行うようにしてもよい。また、上述した例では、制御装置300の表示部340に判定結果を表示した例を示したが、このような態様に限られず、測定装置400の表示部440に判定結果を表示させるようにしてもよい。
【0175】
以上のように、本発明の第三実施形態に係るアンカーボルト検査システム1Bは、
基礎の柱型10に設けられるアンカーボルトの位置を検査するアンカーボルト検査システムであって、
軸線方向が上下方向を向くように前記柱型10に設けられる軸部材(簡易アンカー60)と、
前記軸部材(簡易アンカー60)から、前記アンカーボルト31までの平面視における距離を測定する距離測定部(制御部430、距離測定部480)と、
前記軸部材(簡易アンカー60)の平面視中心を通る基準方向から、前記軸部材(簡易アンカー60)の平面視中心と前記アンカーボルト31の平面視中心とを通る方向までの回転角を測定する回転角測定部(制御部430、回転角測定部490)と、
前記距離測定部(制御部430、距離測定部480)による測定結果と、前記回転角測定部(制御部430、回転角測定部490)による測定結果と、に基づいて、前記アンカーボルト31の位置を測定する測定部(制御部430)と、
を具備するものである。
【0176】
このような構成により、アンカーボルト31の位置の検査を容易に行うことができる。すなわち、距離測定部(制御部430、距離測定部480)による測定結果と、回転角測定部(制御部430、回転角測定部490)による測定結果と、に基づいて、アンカーボルト31の位置を自動で測定することができる。これにより、例えば、柱型10に設けられたアンカーボルト31毎に目盛が設けられた検査冶具を当てて、検査者の目により上記目盛を読むことで柱型10に引かれた逃げ墨X1´、Y1´からアンカーボルト31までの距離を測定するものとは異なり、検査者の負担を軽減することができる。
【0177】
また、アンカーボルト検査システム1Bは、
予め設計された前記アンカーボルトの位置情報を記憶する記憶部320と、
前記アンカーボルトの位置情報と、前記測定部(制御部430)による測定結果と、に基づいて、前記アンカーボルト31の位置を検査する検査部(制御部430)と、
を具備するものである。
【0178】
このような構成により、アンカーボルト31の位置の合否判定を容易に行うことができる。すなわち、距離測定部(制御部430、距離測定部480)による測定結果と、回転角測定部(制御部430、回転角測定部490)による測定結果と、に基づいて、アンカーボルト31の位置が適切であるか否かを自動で判定することができる。
【0179】
また、アンカーボルト検査システム1Bは、
前記柱型10には、第一の方向(X方向)及び当該第一の方向(X方向)に直交する第二の方向(Y方向)に沿って引かれた通り芯X1、Y1と、前記通り芯X1、Y1と平行に引かれた逃げ墨X1´、Y1´と、が設けられ、
前記軸部材(簡易アンカー60)は、前記逃げ墨X1´、Y1´の前記第一の方向(X方向)及び前記第二の方向(Y方向)の交点に設けられ、
前記柱型10の通り芯X1、Y1の位置情報と、前記通り芯X1、Y1から前記逃げ墨X1´、Y1´までの距離と、を記憶する記憶部320を具備し、
前記測定部(制御部430)は、
前記柱型10の通り芯X1、Y1の位置情報と、前記通り芯X1、Y1から逃げ墨X1´、Y1´までの距離と、を用いて前記アンカーボルト31の位置を測定するものである。
【0180】
このような構成により、柱型10に引かれた逃げ墨X1´、Y1´を用いて、アンカーボルト31の位置の検査を容易に行うことができる。
【0181】
また、前記逃げ墨X1´、Y1´の前記第一の方向(X方向)及び前記第二の方向(Y方向)の交点は、前記通り芯X1、Y1の前記第一の方向(X方向)及び前記第二の方向(Y方向)の交点よりも、前記柱型10の平面視中心側に位置するものである。
【0182】
このような構成により、アンカーボルト31の位置の検査を好適に行うことができる。すなわち、通り芯X1、Y1の交点よりも柱型10の平面視中心側に位置する逃げ墨X1´、Y1´の交点を用いて、アンカーボルト31の位置の検査を容易に行うことで、比較的アンカーボルト31の位置を測定し易い位置を基準として、アンカーボルト31の位置を測定することができる。
【0183】
また、アンカーボルト検査システム1Bは、
前記軸部材(簡易アンカー60)の軸線を中心として回転可能なように、当該軸部材(簡易アンカー60)に設置される筐体部401と、
前記筐体部401から引き出されるストリング部460と、
前記ストリング部460の先端に設けられ、前記アンカーボルト31に係合する係合部470と、
を具備し、
前記距離測定部(制御部430、距離測定部480)は、
前記係合部470を前記アンカーボルト31に係合させた状態で、前記ストリング部460が引き出された量に基づいて、前記距離を測定し、
前記回転角測定部(制御部430、回転角測定部490)は、
前記係合部470を前記アンカーボルト31に係合させた状態で、前記筐体部401が前記基準方向に対して回転した量に基づいて、前記回転角を測定するものである。
【0184】
このような構成により、アンカーボルト31の位置の検査を好適に行うことができる。
すなわち、ストリング部460と係合部470とを用いた比較的簡単な手順で、アンカーボルト31の位置の検査を行うことができる。
【0185】
また、本発明の第三実施形態に係る測定装置400は、
基礎の柱型10に設けられるアンカーボルト31の位置を測定する測定装置であって、
軸線方向が上下方向を向くように前記柱型10に設けられた軸部材(簡易アンカー60)に、前記軸線を中心として回転可能なように設置される筐体部401と、
前記筐体部401から引き出されるストリング部460と、
前記ストリング部460の先端に設けられ、前記アンカーボルト31に係合する係合部470と、
前記係合部470を前記アンカーボルト31に係合させた状態で、前記ストリング部460が引き出された量に基づいて、前記軸部材(簡易アンカー60)から、前記アンカーボルトまでの平面視における距離を測定する距離測定部(制御部430、距離測定部480)と、
前記係合部470を前記アンカーボルト31に係合させた状態で、前記筐体部401が前記軸部材(簡易アンカー60)の平面視中心を通る基準方向に対して回転した量に基づいて、前記基準方向から、前記軸部材(簡易アンカー60)の平面視中心と前記アンカーボルトの平面視中心とを通る方向までの回転角を測定する回転角測定部(制御部430、回転角測定部490)と、
を具備するものである。
【0186】
このような構成により、アンカーボルト31の位置の検査を好適に行うことができる。すなわち、ストリング部460と係合部470とを具備する測定装置400を用いた比較的簡単な手順で、アンカーボルト31の位置の検査を行うことができる。
【0187】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0188】
例えば、上記各実施形態では、図1に示すように、基礎Aの形状を、四方枠形状に形成した例を示しているが、このような態様に限られない。上記基礎Aの形状は一例であり、基礎Aの形状としては、建物の設計に応じて種々の形状を採用可能である。
【0189】
また、上記各実施形態では、アンカーボルトセット30を用いて、柱型10にアンカーボルト31を設けた例を示しているが、このような態様に限られない。例えば、アンカーボルトセット30を用いずに、アンカーボルト31を単体で柱型10に設けるようにしてもよい。
【0190】
また、上記第二実施形態及び第三実施形態では、測定の基準となる簡易アンカー60を、逃げ墨同士の交点に打ち込んだ例を示したが、このような態様に限られない。例えば、通り芯同士の交点や、通り芯と逃げ墨との交点に簡易アンカー60を打ち込むようにしてもよい。
【符号の説明】
【0191】
1、1A、1B アンカーボルト検査システム
10 柱型
31 アンカーボルト
100 測定装置
200 無人航空機
300 制御装置
400 測定装置
図1
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