(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022057364
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】給水装置
(51)【国際特許分類】
A61C 17/02 20060101AFI20220404BHJP
【FI】
A61C17/02 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020165577
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】515279946
【氏名又は名称】株式会社ジーシー
(74)【代理人】
【識別番号】100129838
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 典輝
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 祐二
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コップが置かれていない状態ではより確実に給水が禁止できるとともに、給水については適切な水位まで給水を安定して行うことができる給水装置を提供する。
【解決手段】超音波センサ21及び給水の制御手段を備え、超音波センサは発振部と、反射波を検知する検知部と、を備え、制御手段は、検知部からの信号を電圧として受信し、コップの有無の判断及び給水中の水位を得る演算処理を行うものであり、コップの有無の判断は、検知部からの信号を受信し、所定の時間内に受信した信号の平均値を得て当該平均値が予め決められた閾値に対する大小により行われ、給水中の水位は、検知部からの信号を受信し、所定の時間内に受信した信号の中から電圧が低い順に選ばれる信号を複数抽出し、当該抽出された複数の信号から平均値を得て当該平均値が現在の水位を表しているとする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
置かれたコップに給水する給水装置であって、
超音波センサ及び給水の制御手段を備え、
前記超音波センサは超音波の発振部と、前記発振部から発振された超音波の反射波を検知する検知部と、を備え、
前記制御手段は、前記検知部からの信号を電圧として受信し、コップの有無の判断及び給水中の水位を得る演算処理を行うものであり、
前記コップの有無の判断は、前記検知部からの信号を受信し、所定の時間内に受信した信号の平均値を得て当該平均値が予め決められた閾値に対する大小により行われ、
前記給水中の水位は、前記検知部からの信号を受信し、所定の時間内に受信した前記信号の中から前記電圧が低い順に選ばれる信号を複数抽出し、当該抽出された複数の前記信号から平均値を得て当該平均値が前記コップに給水された水の現在の水位を表しているとする、給水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科治療の際に使用される各種設備を備える歯科ユニットには、患者がうがい等をするときのために、コップに対して自動的に給水する装置(給水装置)が具備されている。
特許文献1、及び特許文献2には、超音波を用いて給水中の水の表面位置(水位)を把握することで、コップに適量の水がたまると自動的に給水が停止する給水装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-285092号公報
【特許文献2】特開平7-67892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の給水装置では、コップが配置されていないときにコップが配置されていないことを検知するために、例えばコップを置く部分に傾斜部分を設けて超音波が検知器に反射して戻ってこないようにする形態が用いられている。
ところが、このような形態を用いたとしてもコップを置く部分に水滴や汚れが存在し、又は、そのようなことなくても誤動作により、コップが無くても給水が始まってしまうことがある。
【0005】
また、給水中の水面は必ずしも平滑ではなく、波や泡の発生により、水面で反射した反射波が適切に検知器に戻ってこないことがあるため、水面を適切に検知することができないことがあった。これにより、コップに注がれる水量に過不足が生じたり、毎回水位が異なって不安定な給水になったりする虞がある。
【0006】
そこで、本発明は、コップが置かれていない状態ではより確実に給水が禁止できるとともに、給水については適切な水位まで給水を安定して行うことができる給水装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の1つの態様は、置かれたコップに給水する給水装置であって、超音波センサ及び給水の制御手段を備え、超音波センサは超音波の発振部と、発振部から発振された超音波の反射波を検知する検知部と、を備え、制御手段は、検知部からの信号を電圧として受信し、コップの有無の判断及び給水中の水位を得る演算処理を行うものであり、コップの有無の判断は、検知部からの信号を受信し、所定の時間内に受信した信号の平均値を得て当該平均値が予め決められた閾値に対する大小関係により行われ、給水中の水位は、検知部からの信号を受信し、所定の時間内に受信した信号の中から電圧が低い順に選ばれる信号を複数抽出し、当該抽出された複数の信号から平均値を得て当該平均値がコップに給水された水の現在の水位を表しているとする、給水装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コップが置かれていない状態ではより確実に給水が禁止できるとともに、給水については適切な水位まで給水を安定して行うことができる給水装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】
図2は給水装置10の外観を説明する図である。
【
図3】
図3は制御手段25の構成を説明する図である。
【
図4】
図4は給水制御S10の流れを示す図である。
【
図5】
図5は水位の検知について基本的な考え方を説明する図である。
【
図11】
図11は区間Pにおけるコップの有無の判断を説明する図である。
【
図12】
図12は区間Rにおける水位の検知を説明する図である。
【
図13】
図13は区間Rにおける水位の検知の流れを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を図面に示す形態に基づき説明する。ただし本発明はこれら形態に限定されるものではない。
【0011】
図1は1つの形態にかかる歯科ユニット1の外観斜視図を示している。歯科ユニット1は、基台2、患者用椅子3、照明ユニット4、アシスタントユニット5、ドクターユニット6、及び、給排水ユニット7を備えている。
【0012】
基台2は患者用椅子3の下方に配置されており、患者用椅子3の土台となるものである。基台2は、筐体により外郭が形成されるとともに、該筐体内側には、各種制御機器が内包されている。ここに含まれる制御機器としては、例えば、患者用椅子3の昇降、傾倒起立等をさせるための油圧回路、及び該油圧回路を制御する油圧制御手段である。従って、基台2のうち、患者用椅子3の背面側には、
図1に表れるようにフットスイッチ2aが設けられる。施術者はこのフットスイッチ2aやドクターユニット6の操作パネルの操作スイッチを操作して油圧制御手段に対して指令を出し、油圧回路を制御して患者用椅子3の昇降、傾倒起立をさせることができる。
【0013】
本形態において患者用椅子3は、着座部3a、背もたれ3b、ヘッドレスト3c、レッグレスト3d、及びフットレスト3eを備えている。患者用椅子のこれら各部位は公知の通りであり、特に限定されることはない。
【0014】
照明ユニット4は、治療を行うときに的確に患者の口腔内を照明することができるように、照明ヘッド4aが自在継ぎ手等により自由度高く移動回動可能なアーム4bを介して取り付けられている。
【0015】
アシスタントユニット5は、患者用椅子3の側方に配置され、主にアシスタントが使用する器具が具備された部位である。アシスタントユニット5は、ハンガー部5aがアームに支えられてなり、ハンガー部5aには、各種器具が懸架されている。懸架される器具は、例えばバキューム、排唾管、シリンジ等のハンドピースである。
【0016】
ドクターユニット6は患者用椅子3の側方のうちアシスタントユニット5とは反対側の側方に設けられ、台6aがアームに支えられてなる。
台6aは、施術者が必要とするスイッチ類が備えられるとともに、ハンドピース群が懸架されている。ハンドピース群としては、例えば、エアタービン、マイクロモータ、スケーラ、シリンジ等がある。
【0017】
給排水ユニット7は、患者用椅子3の側方のうちのアシスタントユニット5側と同じ側に設けられ、スピットン7a、及び給水装置10を備えている。
【0018】
スピットン7aは、治療中や治療後に患者がうがいをした後の口腔内のから吐き捨てた水を排水する部位であり、鉢状とされている。そしてスピットン7aに排出された唾液や水は、ウオーターユニット中の排水トラップを介して排出される。
【0019】
給水装置10は、患者がうがいに利用するコップに対して水を自動的に供給する装置である。
図2に給水装置10の外観を表す図、
図3には、給水装置10の制御手段25を説明するための図を表した。
図2、
図3からわかるように給水装置10は、給水部11、コップ受け部15、超音波センサ21、及び、制御手段25を有している。
【0020】
給水部11は、コップに対して水を供給する部位であり、不図示の給水管及びその端部に設けられた給水口12を有している。また、給水部11は給水及びその停止を切り替える電磁弁13(
図3参照)を備えている。すなわち、給水管を流れる水が給水口12から流出してコップに水が注がれる。そして給水及びその停止が電磁弁13により切り替えられる。後述するように電磁弁13の作動は制御手段25により行われる。
【0021】
コップ受け部15は、コップが置かれ、患者が手に取るまで水が注がれた状態のコップを保持しておく部位である。コップ受け部15は、その外郭となる本体16及び、本体16のうち給水口12側に配置されコップが置かれる部位である板状の載置板17を備えている。
本形態の載置板17は、
図2に表れているようにコップが置かれていないときには水平に対して所定の傾斜を有するように本体16に配置されている。載置板17はコップが載置板17に乗せられたときに水平になり、コップが取り除かれたときに傾斜するように付勢されている。
【0022】
コップ受け部の形態はこれに限らず、コップを置くことができるものであればよい。上記の他の例としては例えば、コップ受け部の上面に凹部を設けておき、この凹部の内側に傾斜面が形成されており、コップを置くことによりこの凹部が隠れるように構成してもよい。これによれば、コップ受け部にコップが置かれていないときには凹部及び傾斜面が露出し、超音波センサから発振した超音波は傾斜面で反射して超音波センサの検知部に反射波が検知されない。一方、コップ受け部にコップを置くと凹部及び傾斜面がコップにより隠蔽され、コップの底部からの当該反射波を検知できるようになる。
さらには、本形態の制御手段25によれば、コップの有無の検知の精度を高めることができるためコップ受け部に上記のような傾斜部分を備えなくてもよい。すなわち、常に水平で平滑な面の載置板(載置部)であってもコップの有無の検知が可能である。
【0023】
超音波センサ21は、載置板17に向けて超音波を発振する発振部と、反射により戻ってきた超音波を検知する検知部を有している。本形態で超音波センサ21は給水部11の給水口12付近に配置されている。また、超音波センサ21は
図3からわかるように、制御手段25に電気的に接続されており、検知された超音波を電気信号(電圧)に変換し、制御手段25がこの当該電気信号を取得するように構成されている。
【0024】
制御手段25は、超音波センサ21からの電気信号に基づいてコップの有無、現在水位の確定、給水及びその停止を判定し、電磁弁13の作動をさせる命令を出す。
図3からわかるように、制御手段25は、演算子26、RAM27、記憶手段28、受信手段29、及び出力手段30を備えている。
【0025】
演算子26は、いわゆるCPU(中央演算子)により構成されており、上記した各構成部材に接続され、これらを制御することができる手段である。また、記憶媒体として機能する記憶手段28等に記憶された各種プログラムを実行し、これに基づいて各種データの生成やデータの選択をする手段として演算を行うのも演算子26である。
【0026】
RAM27は、演算子26の作業領域や一時的なデータの記憶手段として機能する構成部材である。RAM27は、SRAM、DRAM、フラッシュメモリ等で構成することができ、公知のRAMと同様である。
【0027】
記憶手段28は、各種演算の根拠となるプログラムやデータが保存される記憶媒体として機能する部材である。また記憶手段28には、プログラムの実行により得られた中間、最終の各種結果を保存することができてもよい。
【0028】
本形態では、この記憶手段28に記憶されたプログラムの1つに、後で説明するように、超音波センサ21からの信号に基づいてコップの有無、現在水位の確定、給水及びその停止を判断し、電磁弁13の作動をさせる命令をすることを含む、給水制御S10における各過程に対応する各ステップを有するプログラムが含まれる。
【0029】
受信手段29は、超音波センサ21からの信号を取り入れるための機能を有する構成部材である。従って、少なくとも超音波センサ21が電気的に接続されている。
【0030】
出力手段30は、得られた結果のうち外部に出力すべき情報を適切に外部に出力する機能を有する構成部材であり、本形態では電磁弁13が電気的に接続されている。これにより電磁弁13の開閉を制御し、水の供給及びその停止を切り替える。
【0031】
次に、給水の制御について説明する。
図4に流れを示した。
図4からわかるように、給水制御S10は過程S11~過程S16を含む。これら過程が上記制御手段25において演算され、給水装置10による水の供給及び停止が制御されている。従って各過程は制御手段25で実行されるプログラムの各ステップに対応する。
【0032】
各過程について説明する前に、この給水制御に関する本形態の概要について説明する。
図5乃至
図10に説明のための図を示した。
図5は横軸に時間、縦軸に超音波センサ21の検知した反射波による検知信号(本形態では検知電圧)の大きさを表している。
図5からわかるように、検知電圧の大きさの観点から時間の経過とともに区間P乃至区間Tに分けて考えることができる。
【0033】
横軸に「無」と表示した区間Pは、コップ受け部15にコップが置かれていない状態が続く区間である。この場合には
図6に示したように超音波Aは超音波センサ21の発振部から出射し、載置板17で反射するが、本形態では載置板17は傾斜しているので超音波センサ21は反射波を検知することはできない。従ってこの区間Pでは高い検知電圧(無レベル)が検知される。
【0034】
横軸に「空」と表示した区間Qでは、コップ受け部15にコップ8を配置して
図7のようにした区間である。区間Pの終わりでは
図7に示したように超音波Aは超音波センサ21の発振部から出射し、コップ8の底で反射して検知部で検知される。この時の検知電圧の大きさは空レベルであり、上記無レベルより低い。なお、区間Qではコップ8を載置板17に置く際にコップの縁が一度超音波センサ21の真下を通過する。コップ8の縁部は超音波センサ21にかなり近い位置であるため、
図5からわかるようにその際には検知電圧が非常に低いコップ縁レベルに達する。コップ縁レベルの検知電圧は上記無レベル、空レベルに加え、この後に説明する規定値水位レベルよりも低い検知電圧となる。
【0035】
横軸に「給水」と表示した区間Rは、コップ8に給水されている状態で、徐々に水位が上がっている区間である。区間Rでは
図8に示したように超音波Aは超音波センサ21の発振部から出射し、コップ8に注がれた水の表面で反射して検知部で検知される。従って、区間Rでは
図5に示したように水位の上昇に伴って検知電圧が低下していく。
【0036】
横軸に「規定水位」と表示した区間Sは、コップ8に給水された水が規定の水位に達して給水が停止している区間である。この区間Sでは給水が停止しているので水位の変化はなく、
図9に示したように超音波Aは超音波センサ21の発振部から出射し、コップ8に注がれた水の表面で反射して検知部で検知される。従って、区間Sでは
図5に示したように検知電圧も一定である。区間Sにおける検知電圧は少なくとも無レベル、空レベルより低く、通常は区間Rの最も低い検知電圧と同じとなる。
【0037】
横軸に「取り出し」と表示した区間Tは、患者などが水の入ったコップをコップ受け部15から取り出す区間である。区間Tではコップ8をコップ受け部15から取り出す過程でコップ8の縁が一度超音波センサ21の真下を通過する。その際、
図10に示したようにコップ8の縁部は超音波センサ21にかなり近い位置であるため、
図5からわかるようにその際の検知電圧は非常に低くなり、コップ縁レベルに達する。このコップ縁レベルの信号電圧は上記無レベル、空レベル及び規定値水位レベルのいずれよりも低い検知電圧となる。
【0038】
本形態ではこのように検知電圧により給水の制御を行うため、
図5のように超音波センサからの距離が遠い位置による反射波ほど検知電圧が低い。ただしこれに限定されることはなく、逆に超音波センサからの距離が遠い位置による反射波ほど高くなるような検知信号を用いてもよい。この場合には検知信号の高低の関係は本形態の検知電圧とは反対となるが考え方は同じである。これは以下に説明する各過程のついても同様である。
以下に、
図4に戻り過程S11~過程S16のそれぞれについて説明する。
【0039】
過程S11では得られた検知電圧の平均値を得る。すなわち、予め決めておいた所定の時間内で得られた検知電圧を平均して平均値とする。ここで所定の時間は特に限定されることはないが、0.5秒以上2秒以下程度とすることができる。
【0040】
過程S12では、過程S11で得られた平均値に基づいてコップ8の有無を判断する。すなわち、過程S11で得られた平均値が、予め決められた閾値に対して大きいか小さいかによりコップ8の有無を判断する。本形態では予め決めておいた閾値電圧に対して、過程S11で得られた検知電圧の平均値の方が高い時にコップ8が置かれていないと判断する。
【0041】
ここで、過程S12において、コップ8の有無の判断に過程S11で得られた平均値を用いるのは、発明者による次のような知見に基づくものである。
図11に説明のための図を示した。
図11は
図5のうち区間Pにおける具体的な検知電圧の波形の一部を例示したものである。区間Pにおいては、基本的に無レベル(
図5参照)の検知電圧であるものの、
図11にIで示したように検知電圧が低くなる検知電圧Iが生じることがあり、この検知電圧Iが空レベルよりも低くなり、コップが置かれていると誤認して給水を始めてしまうことがあった。発明者の検討によれば、このような検知電圧Iは載置板17に水滴や異物があった時に発生するものである。歯科ユニットの利用環境を考えるとこのような水滴や異物が常に存在しないようにすることができるとは限らない。
【0042】
そこで
図11にV
Aで示したように、所定の時間内の検知電圧の平均値V
Aを求め、これを閾値電圧V
Sと対比して判断することにより誤作動による給水を回避することができる。従って閾値電圧V
Sは、少なくとも
図5の空レベルの検知電圧より大きいものとする。
【0043】
すなわち、コップ8が載置板17に置かれていない場合に載置板17に水滴や異物があった時には検知電圧の一部に空レベルを下回るものが含まれる(
図11のI)が、平均値V
Aは閾値電圧V
Sを上回るため、誤って給水が始まるのを抑えることができる。一方、コップ8が載置板17に置かれた場合には検知電圧は基本的に無レベルよりも小さい検知電圧である空レベルとなるので平均値V
Aは閾値電圧V
Sを下回ることになる。
【0044】
このような判断基準により、過程S11で得た検知電圧の平均値が閾値電圧よりも高い場合にはコップ8がコップ受け部15に置かれていないとしてNoが選択され、給水は始まらず過程S11が繰り返される。
一方、過程S11で得た検知電圧の平均値が閾値電圧よりも低い場合には、コップ8がコップ受け部15に置かれているとしてYesが選択されて過程S13に移る。
【0045】
過程S13では、制御手段25により電磁弁13を開とする指令がされ、電磁弁が開かれて給水を開始する。これにより電磁弁13が開き、給水口12から水が出射し、コップ8に対して給水が始まって過程S14に移る。なお、過程S13ではコップへの給水の確実のため、区間Qを考慮して、過程S12でYesが選択されて少しの時間が経過してから給水を開始するように構成してもよい。この場合には区間Qの終わりと区間Rとの間に若干の時間だけ空レベルの電圧が持続する。
【0046】
過程S14は、水面検知をする過程である。水面検知は超音波センサ21により
図5の区間Rにおいて検知電圧を得て現在の水位を決定する。ただしこの過程においては
図12に示したように、ノイズを含むことがある。これは、水面の波や気泡が原因と考えられるが、このようなノイズにより現時点での水位を把握することができず、その結果コップに注がれる水量に過不足が生じたり、毎回水位が異なって不安定な給水になったりする虞がある。発明者は、鋭意検討の結果、ノイズは水位が低いとされる方向の検知(本形態では電圧が高くなる方向)となる知見を得た。すなわち、給水時において発生する波や泡により、その時には実際の水位より低い方向に水位があるようなノイズが出ると考えた。
そしてこれを解決して、より正確な現在水位の把握のため、区間Rでは次のように検知信号(検知電圧)の処理を行うことが好ましい。
図13に流れを示した。
【0047】
図13からわかるように、区間Rでの検知信号の処理は、過程S21、過程S22、及び過程S23を有している。
本形態で過程S21では、ある現時点において、当該現時点から遡って900ms(ミリ秒)の範囲に属する全データ(検知電圧データ)を抽出する。ただし、この遡る時間は900msに限定されることはなく、500ms以上1000ms以下であることが好ましい。
過程S22では、過程S21で抽出したデータからその検知信号が空レベルから遠い順に複数(本形態では4つ)のデータを抽出する。従って本形態では過程S21で抽出した検知電圧データから低い順に複数(4つ)を抽出する。なお、本形態では抽出データ数は4としたが、これに限定されることはなく、3以上5以下であることが好ましい。
過程S23では、過程S22で抽出した複数(4つ)の検知信号(本形態では検知電圧)を平均し、これを現時点における水位データを表す検知信号(検知電圧)とする。
【0048】
時間の経過による各現時点における水位データを表す検知信号(検知電圧)を上記のように処理することで、ノイズの影響を低減し、水位の過不足の抑制、及び、安定した水位での給水が可能である。
【0049】
図4に戻って過程S15について説明する。過程S15では現時点での水位が最終的に設定された規定水位に達しているかを判定する。
過程S15で規定水位に達しているとされ、Yesと判定されたときには過程S16に進み、制御手段25は電磁弁13に対して閉じる旨の信号を出し、電磁弁13が閉じられて給水が停止する。そしてコップが除去されて(区間T)次のコップがコップ受け部15に載置されるまで給水は禁止される。
一方、過程S15で規定水位に達していないとされ、Noと判定されて過程S14に戻り給水が続けられる。
【0050】
以上のように、給水制御S10を行う給水装置10によれば、コップの有無の判断と水面位置の検知とをいずれも検知信号により行う一方で、その信号処理は異なるものとすることで、コップ8が置かれていないときには誤動作による給水をより確実に抑制することができ、給水については適切な水面位置まで給水を安定して行うことができる。
【符号の説明】
【0051】
1 歯科ユニット
2 基台
3 患者用椅子
4 照明ユニット
5 アシスタントユニット
6 ドクターユニット
7 給排水ユニット
10 給水装置
11 給水部
12 給水口
13 電磁弁
15 コップ受け部
16 本体
17 載置板
21 超音波センサ
25 制御手段