(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022057374
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】内視鏡及び内視鏡装置
(51)【国際特許分類】
A61B 1/07 20060101AFI20220404BHJP
A61B 1/06 20060101ALI20220404BHJP
G02B 23/26 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
A61B1/07 731
A61B1/06 611
G02B23/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020165593
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 伶
【テーマコード(参考)】
2H040
4C161
【Fターム(参考)】
2H040BA10
2H040BA11
2H040CA06
2H040CA10
2H040CA11
2H040GA02
2H040GA06
2H040GA11
4C161CC06
4C161DD03
4C161LL02
4C161NN01
4C161QQ02
4C161QQ07
4C161QQ09
4C161RR05
4C161RR13
(57)【要約】
【課題】一つの側面では、同一のライトガイドに対し、2つの異なる光を出射することができる内視鏡等を提供する。
【解決手段】内視鏡は、先端部に出射口が設けられている挿入部と、前記挿入部の内部に設けられ、前記出射口まで延設されるライトガイドと、前記ライトガイドを介して照明光を体内に照射する光源ユニットとを備える内視鏡であって、前記照明光は、第1照明光と、第1照明光と異なる波長範囲の第2照明光とを含み、前記光源ユニットは、前記第1照明光を出射する第1光源と、前記第2照明光を出射する第2光源と、前記第1照明光及び前記第2照明光のそれぞれを異なる振動方向に偏光する偏光部とを含み、前記ライトガイドの光路は、前記偏光部によって偏光された前記第1照明光及び前記第2照明光を導光するにあたり共用される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部に出射口が設けられている挿入部と、
前記挿入部の内部に設けられ、前記出射口まで延設されるライトガイドと、
前記ライトガイドを介して照明光を体内に照射する光源ユニットとを備える内視鏡であって、
前記照明光は、第1照明光と、第1照明光と異なる波長範囲の第2照明光とを含み、
前記光源ユニットは、前記第1照明光を出射する第1光源と、前記第2照明光を出射する第2光源と、前記第1照明光及び前記第2照明光のそれぞれを異なる振動方向に偏光する偏光部とを含み、
前記ライトガイドの光路は、前記偏光部によって偏光された前記第1照明光及び前記第2照明光を導光するにあたり共用される
内視鏡。
【請求項2】
前記偏光部によって偏光された前記第1照明光及び前記第2照明光のそれぞれの振動方向は、直交し、
前記ライトガイドの光路は、前記偏光部によって偏光された前記第1照明光及び前記第2照明光を偏波多重化して導光するにあたり共用される
請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記偏光部は、入射された前記照明光をP偏光とS偏光に分離する偏光ビームスプリッタであり、
前記第1光源及び前記第2光源は、前記偏光ビームスプリッタの偏光膜を介在させて、出射方向を互いに直交させて配置されており、
前記光源ユニットは、前記偏光部を介して前記ライトガイドの光路にて導光される照明光以外の照明光を遮断する光学アッテネータを含む
請求項1又は請求項2に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記ライトガイドは、異なる光路となる第1ライトガイド及び第2ライトガイドを含み、
前記偏光部は、入射される前記照明光をP偏光とS偏光に分離する3つの偏光ビームスプリッタを含み、
前記3つの偏光ビームスプリッタは、
前記第1照明光の出射方向において、前記第1光源の直前に位置する第1偏光ビームスプリッタと、
前記第2照明光の出射方向において、前記第2光源の直前に位置し、前記第1偏光ビームスプリッタとは異なる偏光特性を有する第2偏光ビームスプリッタと、
前記第1偏光ビームスプリッタ及び前記第2偏光ビームスプリッタの前方に位置し、前記第1偏光ビームスプリッタと同じ偏光特性を有する第3偏光ビームスプリッタとを含み、
前記第1ライトガイドの光路は、前記第1偏光ビームスプリッタ及び前記第3偏光ビームスプリッタを透過した第1照明光と、前記第2偏光ビームスプリッタを透過し前記第3偏光ビームスプリッタにて反射された第2照明光とによって共用され、
前記第2ライトガイドの光路は、前記第1偏光ビームスプリッタにて反射され前記第2偏光ビームスプリッタを透過した第1照明光と、前記第2偏光ビームスプリッタにて反射された第2照明光とによって共用される
請求項1又は請求項2に記載の内視鏡。
【請求項5】
前記第1ライトガイド及び前記第2ライトガイドは、単一の前記ライトガイドが分割されることにより構成される
請求項4に記載の内視鏡。
【請求項6】
内視鏡の操作者によって操作される操作部を含み、
前記光源ユニットは、前記操作部の外殻を成す外殻部の内部に収納されている
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の内視鏡。
【請求項7】
内視鏡及び、前記内視鏡に接続される内視鏡用プロセッサとを備える内視鏡装置であって、
前記内視鏡は、
先端部に出射口が設けられている挿入部と、
前記挿入部の内部に設けられ、前記出射口まで延設されるライトガイドと、
前記ライトガイドを介して照明光を体内に照射する光源ユニットとを備え、
前記照明光は、第1照明光と、第1照明光と異なる波長範囲の第2照明光とを含み、
前記光源ユニットは、前記第1照明光を出射する第1光源と、前記第2照明光を出射する第2光源と、前記第1照明光及び前記第2照明光のそれぞれを異なる振動方向に偏光する偏光部とを含み、
前記内視鏡用プロセッサは、前記内視鏡によって行われる複数の観察モードを制御する制御部を備え、
前記複数の観察モードは、
前記偏光部によって偏光された前記第1照明光及び前記第2照明光によって前記ライトガイドの光路が共用されることにより、前記第1照明光と前記第2照明光とが合成された合成光を用いて観察する第1観察モード、又は前記偏光部によって偏光された前記第1照明光及び前記第2照明光を交互に出射することにより観察する第2観察モードのすくなくともいずれかの観察モードを含む
内視鏡装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、内視鏡及び内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡は、被検者の体腔内に挿入することで所望の箇所の観察、処置を可能とする医療用機器であり、体腔内に挿入される挿入管の先端部に組み込まれた撮像部と、該撮像部の撮像視野を照明する照明装置とを備えている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1の内視鏡は、発光素子から放射する光を観察部位に伝送するためのライトガイドを備えている。特許文献1の内視鏡は、ライトガイドに対し単一の発光素子が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の内視鏡においては、同一のライトガイドに対し、2つの異なる光を出射することに関する点が考慮されていないという問題点がある。
【0006】
一つの側面では、同一のライトガイドに対し、2つの異なる光を出射することができる内視鏡等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様における内視鏡は、先端部に出射口が設けられている挿入部と、前記挿入部の内部に設けられ、前記出射口まで延設されるライトガイドと、前記ライトガイドを介して照明光を体内に照射する光源ユニットとを備える内視鏡であって、前記照明光は、第1照明光と、第1照明光と異なる波長範囲の第2照明光とを含み、前記光源ユニットは、前記第1照明光を出射する第1光源と、前記第2照明光を出射する第2光源と、前記第1照明光及び前記第2照明光のそれぞれを異なる振動方向に偏光する偏光部とを含み、前記ライトガイドの光路は、前記偏光部によって偏光された前記第1照明光及び前記第2照明光を導光するにあたり共用される。
【0008】
本開示の一態様における内視鏡装置は、内視鏡及び、前記内視鏡に接続される内視鏡用プロセッサとを備える内視鏡装置であって、前記内視鏡は、先端部に出射口が設けられている挿入部と、前記挿入部の内部に設けられ、前記出射口まで延設されるライトガイドと、前記ライトガイドを介して照明光を体内に照射する光源ユニットとを備え、前記照明光は、第1照明光と、第1照明光と異なる波長範囲の第2照明光とを含み、前記光源ユニットは、前記第1照明光を出射する第1光源と、前記第2照明光を出射する第2光源と、前記第1照明光及び前記第2照明光のそれぞれを異なる振動方向に偏光する偏光部とを含み、前記内視鏡用プロセッサは、前記内視鏡によって行われる複数の観察モードを制御する制御部を備え、前記複数の観察モードは、前記偏光部によって偏光された前記第1照明光及び前記第2照明光によって前記ライトガイドの光路が共用されることにより、前記第1照明光と前記第2照明光とが合成された合成光を用いて観察する第1観察モード、又は前記偏光部によって偏光された前記第1照明光及び前記第2照明光を交互に出射することにより観察する第2観察モードのすくなくともいずれかの観察モードを含む。
【発明の効果】
【0009】
一つの側面では、同一のライトガイドに対し、2つの異なる光を出射することができる内視鏡等を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1(1つのライトガイド)に係る内視鏡装置の概要を示す模式図である。
【
図2】内視鏡装置の構成例を示すブロック図である。
【
図4】光源ユニットの内部構造を例示する説明図である。
【
図5】実施形態2(2つのライトガイド)に係る挿入管の先端部を例示する説明図である。
【
図6】光源ユニットの内部構造を例示する説明図である。
【
図7】実施形態3(ライトガイドを分割)に係るライトガイドを例示する説明図である。
【
図8】実施形態4(観察モードの制御)の内視鏡装置(内視鏡用プロセッサ)の制御部による処理手順(メイン)の一例を示すフローチャートである。
【
図9】制御部による処理手順(白色光観察モード)の一例を示すフローチャートである。
【
図10】制御部による処理手順(特殊光観察モード)の一例を示すフローチャートである。
【
図11】制御部による処理手順(合成光観察モード)の一例を示すフローチャートである。
【
図12】制御部による処理手順(合成光ツイン観察モード)の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施形態1)
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
図1は、実施形態1(1つのライトガイド7)に係る内視鏡装置の概要を示す模式図である。
図2は、内視鏡装置10の構成例を示すブロック図である。内視鏡装置10は、内視鏡用プロセッサ20と、内視鏡40と、表示装置50とを含む。表示装置50は、例えば液晶表示装置、又は、有機EL(Electro Luminescence)表示装置である。
【0012】
内視鏡装置10は、内視鏡40の撮像素子によって撮影した画像(撮影画像)を内視鏡用プロセッサ20に伝送し、内視鏡用プロセッサ20によってガンマ補正、ホワイトバランス補正、シェーディング補正等の各種画像処理を行うことにより、操作者が目視し易い状態にした内視鏡画像を生成する。
【0013】
表示装置50はキャスター付きの収容棚16の上段に設置されている。内視鏡用プロセッサ20は、収容棚16の中段に収容されている。収容棚16は、図示を省略する内視鏡検査用ベッドの近傍に配置される。収容棚16は内視鏡用プロセッサ20に接続されたキーボード15を搭載する、引き出し式の棚を有する。
【0014】
内視鏡用プロセッサ20は、略直方体形状であり、一面にタッチパネル25を備える。タッチパネル25の下部に、読取部28が配置されている。読取部28は、例えばUSBコネクタ、SD(Secure Digital)カードスロット、又はCD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)ドライブ等の、可搬型記録媒体の読み書きを行なう接続用インターフェイスである。
【0015】
内視鏡40は、挿入部44、操作部43、ユニバーサルコード49及びスコープコネクタ48を有する。操作部43は、例えば筒状の筐体から成り、当該操作部43の外殻を構成する外殻部430を備える。外殻部430には、内視鏡40に関する操作又は制御を行うための制御ボタン431が設けられている。操作部43の外殻部430の内部には、体腔等の観察物(観察箇所)に照射される照明光を、出力する光源ユニット6が、設けられている。
【0016】
挿入部44は長尺であり、一端が折止部45を介して操作部43に接続されている。挿入部44は、軟性部441、湾曲部442及び先端部443を有し、これら構成部位は、操作部43の側から、この順番にて設けられている。湾曲部442は、湾曲ノブ433の操作に応じて湾曲する。挿入部44には、3軸加速度センサ、ジャイロセンサ、地磁気センサ、磁気コイルセンサ又は内視鏡挿入形状観測装置(コロナビ)等の物理検出装置が実装され、内視鏡40が被検者の体内に挿入された際、これら物理検出装置からの検出結果を取得するものであってもよい。
【0017】
挿入部44の内部には、長尺状のライトガイド7が設けられており、ライトガイド7の一端部(入射端701)は光源ユニット6に接続され、ライトガイド7の他端部(出射端702)は、挿入部44の先端部443に形成されている出射口444(
図3、
図4参照)の内縁に固定されている。すなわち、ライトガイド7は、挿入部44の内部に設けられる光源ユニット6を基端とし、当該光源ユニット6から、挿入部44の先端部443(出射口444)まで、延設されている。光源ユニット6及びライトガイド7の構成等の詳細は、後述する。
【0018】
ユニバーサルコード49は長尺であり、第一端が操作部43に、第二端がスコープコネクタ48にそれぞれ接続されている。ユニバーサルコード49は、軟性である。スコープコネクタ48は略直方体形状である。スコープコネクタ48には、送気送水用のチューブを接続する送気送水口金36が設けられている。
【0019】
内視鏡用プロセッサ20は、制御部21、主記憶装置22、補助記憶装置23、通信部24、タッチパネル25、表示装置I/F26、入力装置I/F27、読取部28、内視鏡用コネクタ31(電気コネクタ311)、ポンプ34、送水タンク35、及び送気送水口金36を備える。
【0020】
制御部21には、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)又はマルチコアCPU等が使用される。制御部21は、バスを介して内視鏡用プロセッサ20を構成するハードウェア各部と接続されている。
【0021】
主記憶装置22は、例えば、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の記憶装置である。主記憶装置22には、制御部21が行なう処理の途中で必要な情報及び制御部21で実行中のプログラムが一時的に保存される。補助記憶装置23は、例えば、SRAM、フラッシュメモリ又はハードディスク等の記憶装置であり、主記憶装置22よりも大容量の記憶装置である。補助記憶装置23には、例えば、取得した撮影画像、生成した内視鏡画像が、中間データとして保存されるものであってもよい。
【0022】
通信部24は、有線又は無線によりネットワークを介して、外部サーバ等の情報処理装置と通信するための通信モジュール又は通信インターフェイスであり、例えばwifi(登録商標)、 Bluetooth(登録商標)等の狭域無線通信モジュール、又は4G、LTE等の広域無線通信モジュールである。タッチパネル25は、液晶表示パネル等の表示部と、表示部に積層された入力部を含む。通信部24は、CT装置、MRI装置(
図5参照)又は、これら装置から出力されたデータを保存するストレージ装置(図示せず)と通信するものであってもよい。
【0023】
表示装置I/F26は、内視鏡用プロセッサ20と表示装置50とを接続するインターフェイスである。入力装置I/F27は、内視鏡用プロセッサ20とキーボード15等の入力装置とを接続するインターフェイスである。
【0024】
ポンプ34は、内視鏡40の送気・送水機能用の圧力を発生させる。ポンプ34は、図示を省略するドライバを介してバスに接続されている。ポンプ34のオン、オフ及び圧力の変更は、制御部21により制御される。ポンプ34は、送水タンク35を介して、スコープコネクタ48に設けられた送気送水口金36に接続される。
【0025】
内視鏡用プロセッサ20に接続された内視鏡40の機能の概略を説明する。スコープコネクタ48、ユニバーサルコード49、操作部43及び挿入部44の内部に、ライトガイド7、ケーブル束、送気チューブ及び送水チューブ等が挿通されている。操作部43(外殻部)の内部に設けられた光源ユニット6から出射した照明光は、ライトガイド7の入射端701に入射され、当該ライトガイド7を介して、先端部443に設けられた出射口444(照明窓)から照射される。照明光により照らされた範囲(観察箇所)を、先端部443に設けられた撮像素子で撮影する。撮像素子により撮影された撮影画像は、撮像素子からケーブル束及び電気コネクタ311を介して、内視鏡用プロセッサ20の制御部21に伝送される。
【0026】
内視鏡用プロセッサ20の制御部21は、主記憶装置22に記憶されているプログラムを実行することにより、画像処理部211として機能する。画像処理部211は、内視鏡40から出力された画像(撮影画像)をガンマ補正、ホワイトバランス補正、シェーディング補正等の各種画像処理を行い、内視鏡画像として出力する。
【0027】
内視鏡用プロセッサ20の制御部21は、主記憶装置22に記憶されているプログラムを実行することにより、光源ユニット6から出射される照明光の輝度調整等、調光制御を行う調光制御部として機能する。本実施形態おいては、光源ユニット6は、例えば、白色光及び特殊光等による異なる2種類の照明光を出力する。内視鏡用プロセッサ20の制御部21は、主記憶装置22に記憶されているプログラムを実行することにより、これら異なる種類の照明光による複数の観察モードを制御する観察モード制御部として機能する。
【0028】
図3は、挿入部44の先端部443を例示する説明図である。
図4は、光源ユニット6の内部構造を例示する説明図である。挿入部44は、円筒状の長尺からなる可撓管であり、操作部43を基点として延設されている。挿入部44の先端に設けられる先端部443は、例えば円形の板部材により構成される。
【0029】
先端部443には、対物レンズ445、送気ノズル446、送水ノズル447、副送水ノズル448及びチャネル449が設けられている。対物レンズ445の内側(奥側)には、観察箇所を撮像する撮像素子が設けられている。先端部443には、更に、円形の孔部から成る出射口444(照明窓)が、設けられている。
【0030】
出射口444の内縁には、ライトガイド7の出射端702の外縁が篏合してあり、ライトガイド7の出射端702は出射口444に固定されている。これにより、ライトガイド7の出射端702は、出射口444を介して挿入部44の外部から露出しており、ライトガイド7の出射端702から出射された照明光によって、体腔等の観察箇所に対する照明が行われる。
【0031】
光源ユニット6は、操作部43(外殻部430)の内部に設けられており、当該光源ユニット6から出射された照明が、挿入部44内に設けられるライトガイド7の入射端701に入射されるように、光源ユニット6及びライトガイド7は、接合されて設けられている。
【0032】
ライトガイド7は、長尺状の管体を成し、外装チューブ703及び光路70を含む。光路70は、複数の光ファイバを束にして構成される。外装チューブ703は、例えば樹脂製であり、光路70を構成する複数の光ファイバの束を被覆する。ライトガイド7(光路70)における光源ユニット6側の一端は、入射端701に相当し、挿入部44の先端部443側の他端は、出射端702に相当する。光源ユニット6から出射された照明光は、ライトガイド7の入射端701から入射し、光路70によって導光され、出射端702から出射されることにより、出射口444(照明窓)を介して観察箇所に照射される。
【0033】
光源ユニット6は、第1光源61、第2光源62、偏光部63、及び光学アッテネータ64を含み、これら構成部品は、光源ユニット6の筐体を成す鏡面筒60の内部に収納されている。鏡面筒60の内壁は、例えば鏡面塗装されており、第1光源61及び第2光源62から出射される照明光は、鏡面筒60の内壁により全反射される。
【0034】
第1光源61及び第2光源62は、異なる波長範囲を有するものであるが、それぞれの波長範囲において、同一の波長成分(重複する波長範囲)を有する照明光を出射する光源である。本実施形態においては、第1光源61は、例えば白色光LEDである。第2光源62は、特殊光を出射する特殊光LEDであり、例えば、狭帯域光を出射する狭帯域光LEDである。特殊光は、狭帯域光に限定されず、蛍光観察や赤外光観察に用いられる光であってもよい。これら光源はLEDに限定されず、キセノンランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ等の高輝度ランプであってもよい。
【0035】
第1光源61は第1基板610に実装され、第2光源62は第2基板620に実装されている。第1基板610及び第2基板620は、第1光源61及び第2光源62を収納する鏡面筒60の開口端を塞ぐ蓋体として機能するものであってもよい。第1基板610及び第2基板620は、操作部43の制御ボタン431、又はユニバーサルコード49を介して内視鏡用プロセッサ20の制御部21と通信可能に接続されており、当該制御部21等からの制御信号に基づき、第1光源61及び第2光源62の駆動制御を行う。
【0036】
第1光源61と偏光部63との間には、第1光源61用のコリメートレンズ65が設けられている。第1光源61から出射された照明光(第1照明光/白色光)は、コリメートレンズ65によって平行状態となるように光学調整され、偏光部63に入射される。本実施形態の図示においては、第1照明光は、偏光部63の下面から入射される。
【0037】
第2光源62と偏光部63との間には、第2光源62用のコリメートレンズ65が設けられている。第2光源62から出射された照明光(第2照明光/特殊光)は、コリメートレンズ65によって平行状態となるように光学調整され、偏光部63に入射される。本実施形態の図示においては、第2照明光は、偏光部63の左面から入射される。
【0038】
偏光部63は、例えば、2つの直角プリズムにより構成されるキューブ型の偏光ビームスプリッタである。キューブ型から成る偏光部63(偏光ビームスプリッタ)は、一方のプリズムの斜面に、ビームスプリッタとして機能するため偏光膜630(光学薄膜)を蒸着し、2つの直角プリズムの斜面同士を接合してキューブ型に構成される。偏光膜630に対し、45度の入射角で入射される照射光は、透過又は、入射光軸に対し90度(偏光膜630に対し45度)に反射することにより偏光され、互いに振動方向が直交するP偏光及びS偏光に分光される。偏光部63が、P偏光を透過しS偏光を反射する偏光ビームスプリッタである場合、偏光部63に入射した照明光は、透過した偏光された照明光(P偏光)と、反射して偏光された照明光(S偏光)とに、分光(分離)される。本実施形態において、偏光部63はキューブ型の偏光ビームスプリッタとしたがこれに限定されず、偏光部63は、プレート型の偏光ビームスプリッタであってもよい。
【0039】
第1光源61(白色光LED)と、第2光源62(特殊光LED)とは、それぞれから出射される第1照明光(白色光)及び第2照明光(特殊光)の光軸が、直交(90度)するように設けられている。偏光部63は、第1光源61及び第2光源62のそれぞれの光軸が交差する点が、自部の中心に位置するように設けられており、偏光膜630は、第1光源61及び第2光源62のそれぞれの光軸に対し、45度の入射角となるように位置している。
【0040】
偏光部63と、ライトガイド7の入射端701との間には、ボールレンズ66が介在して設けられている。偏光部63によって偏光された第1照明光(白色光/P偏光)及び第2照明光(特殊光/S偏光)は、ボールレンズ66によって、適切なNA(開口数)となるように集光され、ライトガイド7の入射端701に入射される。
【0041】
第1光源61、偏光部63、ボールレンズ66、及びライトガイド7の入射端701は、直線状に位置するように設けられている。すなわち、第1光源61からの第1照明光(白色光)の光軸に沿って、偏光部63、ボールレンズ66、及びライトガイド7の入射端701は、配置されている。
【0042】
偏光部63は、例えば、P偏光を透過しS偏光を反射する偏光ビームスプリッタ(P透過/S反射)であり、偏光部63に入射した第1照明光(白色光)はP偏光及びS偏光に分光され、P偏光は偏光膜630を透過し、S偏光は偏光膜630によって入射光軸に対し90度に反射(右方向に屈曲)される。偏光部63に入射した第2照明光(特殊光)は、P偏光及びS偏光に分光され、P偏光は偏光膜630を透過し、S偏光は偏光膜630によって入射光軸に対し90度に反射(左方向に屈曲)される。
【0043】
第1照明光(白色光)から分光されたP偏光と、第2照明光(特殊光)から分光されたS偏光とは、ボールレンズ66を介して、ライトガイド7の入射端701に入射され、光路70により導光され、ライトガイド7の出射端702、すなわち先端部443の出射口444から、観察箇所に照射される。第1照明光(白色光)から分光されたP偏光と、第2照明光(特殊光)から分光されたS偏光とは、振動方向が直交するため偏波多重されるものとなり、互いに干渉することなくライトガイド7の光路70にて導光される。
【0044】
第1照明光(白色光)から分光されたS偏光と、第2照明光(特殊光)から分光されたP偏光とは、光学アッテネータ64に入射する。当該S偏光及びP偏光は、光学アッテネータ64によって、遮断又は吸収される。
【0045】
第2光源62、偏光部63、及び光学アッテネータ64は、直線状に位置するように設けられている。すなわち、第2光源62からの第2照明光(特殊光)の光軸に沿って、偏光部63、及び光学アッテネータ64は、配置されている。
【0046】
光学アッテネータ64は、偏光板641、波長板642、及び鏡部643を含む。偏光板641、波長板642、及び鏡部643は、偏光部63の側から、この順番にて設けられている。偏光板641は、S偏光のみを透過させ、P偏光を遮断する。第2照明光(特殊光)から分光されたP偏光は、偏光板641により遮断(吸収)される。第1照明光(白色光)から分光されたS偏光は、偏光板641を透過して、光学アッテネータ64に入射する。波長板642は、λ/4板であり、偏光板641を透過したS偏光を、円偏光に変換する。鏡部643は、波長板642(λ/4板)によって変換された円偏光を反射する。反射した円偏光は、もと来た経路を戻り、再度、波長板642(λ/4板)を通過することにより、P偏光に変換される。波長板642(λ/4板)によって変換されたP偏光は、もと来た経路を戻り、偏光板641に当たり、当該偏光板641によって遮断(吸収)される。
【0047】
本実施形態によれば、内視鏡40に含まれる光源ユニット6は、例えば、白色光による第1照明光を出射する第1光源61と、特殊光による第2照明光を出射する第2光源62とを含み、第1照明光及び第2照明光は、偏光部63により、例えば、P偏光及びS偏光等、互いに異なる振動方向に偏光される。これら第1照明光及び2照明光は、異なる波長範囲を有するものであるが、それぞれの波長範囲において、同一の波長成分(重複する波長範囲)を有するものであっても、互いに異なる振動方向に偏光された第1照明光及び第2照明光は、ライトガイド7における同一の光路70を共用し、干渉することなく導光させることができる。すなわち、これら2つの照明光を、例えばP偏光及びS偏光等の互いに直交する2つの偏光にて偏波多重することにより、同一の光路70を共用して導光させ、効率的に合成することができる。従って、第1照明光及び第2照明光による異なる光学系それぞれが、当該ライトガイド7における同一の光路70を共用(共有)するものとなり、それぞれの光学系が、それぞれの光路70を有する場合と比較して、内視鏡40におけるライトガイド7に関する部品点数の削減を図ることができる。
【0048】
本実施形態によれば、これら偏光した2つの照明光を、ライトガイド7における同一の光路70を共用して導光されることにより、当該ライトガイド7が延設される出射口444についても、これら2つの照明光により共用させることができる。従って、挿入部44の先端部443に設けられる同一の出射口444から、偏光部63により偏光された2つの照明光(白色光及び特殊光)それぞれを、出射させることができ、出射口444の位置ずれ(照明光の出射点の偏倚)が発生することを回避でき、当該位置ずれによる観察像の不鮮明化を抑制することができる。
【0049】
本実施形態によれば、偏光した2つの照明光(白色光及び特殊光)は、ライトガイド7における同一の光路70を共用するため、これら照明光(白色光及び特殊光)が入射される光路70の入端部についても、共用する。従って、ライトガイド7における同一の光路70の入端部を、当該光路70を光源(第1光源61及び第2光源62)ごとに分ける(分割して設ける)ことを不要とすることができる。これにより、それぞれの光源(第1光源61及び第2光源62)に対し、ライトガイド7の入端面積を比較的に広くとることができ、これら光源(第1光源61及び第2光源62)それぞれにおける導光効率を向上させることができる。
【0050】
本実施形態によれば、偏光部63は、入射された照明光をP偏光とS偏光に分離する偏光ビームスプリッタであり、これら照明光(白色光、特殊光)を効率的にP偏光及びS偏光に分離することができる。第1光源61及び第2光源62は、出射方向を互いに直交させて配置されており、第1光源61と第2光源62との間には、偏光ビームスプリッタの偏光膜630が介在するように、偏光ビームスプリッタは、設けられている。従って、偏光ビームスプリッタの偏光膜630を透過した偏光された第1照明光と、偏光ビームスプリッタの偏光膜630によって反射されて偏光された第2照明光とを、ライトガイド7の光路70に効率的に入射させ、当該光路70にて導光させることができる。
【0051】
偏光ビームスプリッタの偏光膜630によって反射されて偏光された第1照明光と、偏光ビームスプリッタの偏光膜630を透過した偏光された第2照明光とは、光学アッテネータ64に入射され、当該光学アッテネータ64によって、遮断又は吸収される。すなわち、ライトガイド7の光路70にて導光される照明光以外の照明光は、光学アッテネータ64により遮断等され、LED蛍光材の余計な励起又は反射によるスペクトルの変化を抑制することができる。
【0052】
本実施形態によれば、光源ユニット6は操作部43の外殻を成す外殻部430の内部に収納されているため、操作部43に光源を配置する内視鏡40においても、同一の出射口444から異なる分光特性を有する2種類の照明光を出射することができ、照明光出射点の位置ずれによる観察像の不鮮明化を回避することができる。
【0053】
(実施形態2)
図5は、実施形態2(2つのライトガイド7)に係る挿入管の先端部443を例示する説明図である。
図6は、光源ユニット6の内部構造を例示する説明図である。実施形態2の内視鏡40は、実施形態1と同様に、光源ユニット6及びライトガイド7を備える。実施形態2のライトガイド7は、第1ライトガイド71及び第2ライトガイド72を含む点で、実施形態1と異なる。
【0054】
ライトガイド7は、第1ライトガイド71及び第2ライトガイド72からなる2本の別体によって構成される。第1ライトガイド71及び第2ライトガイド72は、実施形態1のライトガイド7と同様に、それぞれにおいて、光路70、入射端701、出射端702、及び外装チューブ703を含む。
【0055】
挿入部44の先端部443には、実施形態1と同様に、対物レンズ445、送気ノズル446、送水ノズル447、副送水ノズル448及びチャネル449が設けられている。挿入部44の先端部443に設けられる出射口444は、2つであり、当該2つの出射口444それぞれは、第1ライトガイド71及び第2ライトガイド72のそれぞれに対応して設けられている。2つの出射口444の内、一方の出射口444の内縁には、第1ライトガイド71の出射端702の外縁が篏合してあり、第1ライトガイド71の出射端702は、当該一方の出射口444に固定されている。2つの出射口444の内、他方の出射口444の内縁には、第2ライトガイド72の出射端702の外縁が篏合してあり、第2ライトガイド72の出射端702は、当該他方の出射口444に固定されている。これにより、第1ライトガイド71及び第2ライトガイド72のそれぞれの出射端702は、これら出射口444を介して挿入部44の外部から露出しており、第1ライトガイド71及び第2ライトガイド72の出射端702から照射された照明光によって、体腔等の観察箇所に対する照明が行われる。
【0056】
光源ユニット6は、実施形態1と同様に操作部43(外殻部430)の内部に設けられており、当該光源ユニット6から出射された照明が、挿入部44内に設けられる第1ライトガイド71及び第2ライトガイド72のそれぞれの入射端701に入射されるように、光源ユニット6と、第1ライトガイド71及び第2ライトガイド72とは、接合されている。光源ユニット6は、実施形態1と同様に第1光源61(白色光LED)、第2光源62(特殊光LED)、偏光部63、コリメートレンズ65、及びボールレンズ66に加え、全反射部634を備え、これら構成部品は、光源ユニット6の筐体を成す鏡面筒60の内部に収納されている。
【0057】
偏光部63は、第1偏光ビームスプリッタ631、第2偏光ビームスプリッタ632、及び第3偏光ビームスプリッタ633を含む。第1偏光ビームスプリッタ631と、第2偏光ビームスプリッタ632とは、異なる偏光特性を有する。第1偏光ビームスプリッタ631と、第3偏光ビームスプリッタ633とは、同じ偏光特性を有する。
【0058】
例えば、第1偏光ビームスプリッタ631がP偏光を透過しS偏光を反射する偏光ビームスプリッタ(P透過/S反射)である場合、第2偏光ビームスプリッタ632は、P偏光を反射しS偏光を透過する偏光ビームスプリッタ(P反射/S透過)である。この場合、第3偏光ビームスプリッタ633は、P偏光を透過しS偏光を反射する偏光ビームスプリッタ(P透過/S反射)である。これら第1偏光ビームスプリッタ631、第2偏光ビームスプリッタ632、及び第3偏光ビームスプリッタ633の偏光特性は、上述の特性に限定されるものでなく、個々の偏光ビームスプリッタにおける偏光特性を反転させたものであってもよい。
【0059】
第1偏光ビームスプリッタ631、第2偏光ビームスプリッタ632、及び第3偏光ビームスプリッタ633のそれぞれの偏光膜630は、実施形態1と同様に、第1光源61及び第2光源62のそれぞれの光軸に対し、入射角が45度となるように、設けられている。
【0060】
第1光源61及び第2光源62は、実施形態1と同様に、それぞれの照明光の出射方向(光軸)を互いに直交させて配置されている。第1光源61、第1偏光ビームスプリッタ631、第3偏光ビームスプリッタ633、及び第1ライトガイド71の入射端701は、直線状に位置するように設けられている。第1光源61と第1偏光ビームスプリッタ631との間には、実施形態1と同様にコリメートレンズ65が設けられている。第3偏光ビームスプリッタ633と第1ライトガイド71の入射端701との間には、実施形態1と同様にボールレンズ66が介在して設けられている。
【0061】
第2光源62、第2偏光ビームスプリッタ632、及び第3偏光ビームスプリッタ633は、直線状に位置するように設けられている。第2光源62と第2偏光ビームスプリッタ632との間には、実施形態1と同様にコリメートレンズ65が設けられている。
【0062】
第3偏光ビームスプリッタ633は、第1光源61及び第2光源62のそれぞれの光軸が交差する点が、自部の中心に位置するように設けられている。
【0063】
第2ライトガイド72の入射端701は、第2光源62の光軸に対し、第2偏光ビームスプリッタ632を回転中心して、90度の方向(左方向)に設けられている。第2偏光ビームスプリッタ632と、第2ライトガイド72の入射端701との間には、実施形態1と同様にボールレンズ66が介在して設けられている。
【0064】
全反射部634は、例えば鏡により構成され、入射された照明光を全て反射する。全反射部634は、第1光源61の光軸に対し、第1偏光ビームスプリッタ631を回転中心して、90度の方向(左方向)に設けられている。全反射部634、第2偏光ビームスプリッタ632、及び第2ライトガイド72入射端701は、直線状に位置するように設けられている。
【0065】
第1光源61から出射された第1照明光(白色光)は、コリメートレンズ65を通過し、第1偏光ビームスプリッタ631(P透過/S反射)に入射する。第1照明光(白色光)は、第1偏光ビームスプリッタ631の偏光膜630により偏光され、P偏光とS偏光に分光される。P偏光は偏光膜630を透過し、S偏光は偏光膜630により入射光軸に対し90度に反射(左方向に屈曲)される。第1照明光(白色光)から分光されたP偏光は、第3偏光ビームスプリッタ633(P透過/S反射)に入射し、第3偏光ビームスプリッタ633の偏光膜630を透過して、第1ライトガイド71の入射端701に入射される。第1照明光(白色光)から分光されたS偏光は、全反射部634にて90度に反射(右方向に屈曲)される。全反射部634は、当該分光されたS偏光に対し、45度の入射角となるように設けられている。全反射部634にて反射されたS偏光(第1照明光(白色光)から分光されたS偏光)は、第2偏光ビームスプリッタ632(P反射/S透過)に入射し、第2偏光ビームスプリッタ632の偏光膜630を透過して、第2ライトガイド72の入射端701に入射される。
【0066】
第2光源62から出射された第2照明光(特殊光)は、コリメートレンズ65を通過し、第2偏光ビームスプリッタ632(P反射/S透過)に入射する。第2照明光(特殊光)は、第2偏光ビームスプリッタ632の偏光膜630により偏光され、P偏光とS偏光に分光される。P偏光は、偏光膜630により入射光軸に対し90度に反射(左方向に屈曲)され、S偏光は、偏光膜630を透過する。第2照明光(特殊光)から分光されたP偏光は、第2ライトガイド72の入射端701に入射される。第2照明光(特殊光)から分光されたS偏光は、第3偏光ビームスプリッタ633に入射し、第3偏光ビームスプリッタ633の偏光膜630により入射光軸に対し90度に反射(左方向に屈曲)され、第1ライトガイド71の入射端701に入射される。
【0067】
第1ライトガイド71の入射端701には、第1照明光(白色光)から分光されたP偏光と、第2照明光(特殊光)から分光されたS偏光とが、入射され、第1ライトガイド71の光路70は、これらP偏光及びS偏光を導光するにあたり共用される。第1ライトガイド71の光路70を共用して導光されたP偏光及びS偏光は、第1ライトガイド71の出射端702が位置する出射口444から、観察箇所に向けて照射させる。
【0068】
第2ライトガイド72の入射端701には、第2照明光(特殊光)から分光されたP偏光と、第1照明光(白色光)から分光されたS偏光とが、入射され、第2ライトガイド72の光路70は、これらP偏光及びS偏光を導光するにあたり共用される。第2ライトガイド72の光路70を共用して導光されたP偏光及びS偏光は、第2ライトガイド72の出射端702が位置する出射口444から、観察箇所に向けて照射させる。
【0069】
本実施形態によれば、第1光源61に対応する第1偏光ビームスプリッタ631及び第2光源62に対応する第2偏光ビームスプリッタ632にて、透過及び反射されて偏光及び分離した照明光(分光)それぞれを、第1ライトガイド71又は第2ライトガイド72のいずれかの光路70に入射させ、導光させることができる。従って、分光により無駄になる照明光が存在しないため、実施形態1にて用いたような光学アッテネータ64を不要とすることができ、観察像に対する光量を多くすることができる。
【0070】
(実施形態3)
図7は、実施形態3(ライトガイド7を分割)に係るライトガイド7を例示する説明図である。ライトガイド7は、実施形態1と同様に単一のライトガイド7で構成されつつ、長手方向における所定の場所にて、第1ライトガイド71を構成する部位と、第2ライトガイド72を構成する部位とに分割(分岐)されている。すなわちライトガイド7は、単一の出射端702が形成されているライトガイド7の本体部、第1ライトガイド71、第2ライトガイド72、及び当該本体部から第1ライトガイド71及び第2ライトガイド72に分割する分割部73を含む。
【0071】
分割部73にて、出射端702が形成されて光路70は、第1ライトガイド71及び第2ライトガイド72のそれぞれの光路70に分割され、当該2つの光路70の端部それぞれには、入射端701が形成される。第1ライトガイド71及び第2ライトガイド72のそれぞれの入射端701と、光源ユニット6との配置関係は、実施形態2と同様である。内視鏡40の先端部443における構成及び、当該先端部443に設けられる出射口444と、ライトガイド7の本体部に形成される出射端702との配置関係は、実施形態1と同様である。
【0072】
本実施形態によれば、内視鏡40は、単一のライトガイド7を入射端701側にて2つに分割して、第1ライトガイド71及び第2ライトガイド72を構成する。第1ライトガイド71及び第2ライトガイド72のそれぞれの光路70には、異なる振動方向に偏光された第1照明光及び第2照明光が入射されるため、片方に同一波長光又は異種波長光が集中することなく、出射端面が半月状に分離して発光することを防止することができる。従って、本実施形態による偏光部63に対し、単一のライトガイド7を分割して構成される第1ライトガイド71及び第2ライトガイド72を、好適に適用することができる。
【0073】
(実施形態4)
図8は、実施形態4(観察モードの制御)の内視鏡装置10(内視鏡用プロセッサ20)の制御部21による処理手順(メイン)の一例を示すフローチャートである。内視鏡用プロセッサ20の制御部21は、例えば内視鏡40の制御ボタン431による操作者の操作に応じて、当該フローチャートの処理を開始する。
【0074】
制御部21は、観察モードを取得する(S11)。制御部21は、内視鏡40の制御ボタン431の押下に応じて出力される制御信号に基づき、観察モードを取得する。内視鏡装置10は、複数の観察モードによって体内を観察するように構成されており、制御部21は、内視鏡40によって行われる複数の観察モードを制御する。
【0075】
当該複数の観察モードは、通常観察モード(白色光観察モード)、特殊光観察モード、合成光観察モード、及び合成光ツイン観察モードを含む。通常観察モード(白色光観察モード)は、第1光源61(白色光LED)のみを用いて、観察箇所を照明する。特殊光観察モードは、第2光源62(特殊光LED)のみを用いて、観察箇所を照明する。合成光観察モード(第1観察モード)は、第1光源61(白色光LED)及び第2光源62(特殊光LED)の両光源を用い、白色光及び特殊光の合成光により、観察箇所を照明する。合成光ツイン観察モード(第2観察モード)は、第1光源61(白色光LED)及び第2光源62(特殊光LED)を交互に点灯させ、白色光及び特殊光を交互に出射することにより、観察箇所を照明する。
【0076】
制御部21は、取得した観察モードの種類を判定する(S12)。制御部21は、取得した観察モードが、通常観察モード(白色光観察モード)、特殊光観察モード、合成光観察モード、又は合成光ツイン観察モードのいずれの種類であるか、又は、全消灯指示であるかを判定する。取得した観察モードの種類の判定結果に基づき、いずれかの観察モードを選択及び実行する処理は、例えばcase文等による分岐処理にて行われるものであってもよい。
【0077】
取得した観察モードの種類が、通常観察モード(白色光観察モード)である場合、制御部21は、通常観察モード(白色光観察モード)を実行する(S13)。S13の処理の詳細は、
図9にて示される。
【0078】
制御部21は、第2光源62(特殊光LED)を消灯する(S131)。制御部21は、第1光源61(白色光LED)を点灯する(S132)。制御部21は、第1光源61(白色光LED)の調光制御を行う(S133)。制御部21は、スコープコネクタ48を介して、光源ユニット6に設けられる第1基板610及び第2基板620に、第1光源61(白色光LED)及び第2光源62(特殊光LED)を駆動制御するための信号を出力し、第2光源62(特殊光LED)を消灯し、第1光源61(白色光LED)を点灯する。更に、制御部21は、例えば撮像素子により撮像される内視鏡40画像に基づき、第1光源61(白色光LED)の輝度値の制御等、調光制御を行う。
【0079】
制御部21は、新たな観察モードを取得したか否かを判定する(S134)。制御部21は、内視鏡40の制御ボタン431の押下に応じて出力される制御信号を常に待ち受ける処理(待ち受け処理)を継続しており、当該制御信号の有無に基づき、新たな観察モードを取得したか否かを判定する。新たな観察モードを取得しなかった場合(S134:NO)、制御部21は、再度S133を実行すべく、ループ処理を行う。当該ループ処理を行うことにより、現在選択されている観察モードによる制御が、継続される。新たな観察モードを取得した場合(S134:YES)、制御部21は、再度S11を実行すべく、ループ処理を行う。
【0080】
取得した観察モードの種類が、特殊光観察モードである場合、制御部21は、特殊光観察モードを実行する(S14)。S14の処理の詳細は、
図10にて示される。
【0081】
制御部21は、第1光源61(白色光LED)を消灯する(S141)。制御部21は、第2光源62(特殊光LED)を点灯する(S142)。制御部21は、第2光源62(特殊光LED)の調光制御を行う(S143)。制御部21は、スコープコネクタ48を介して、光源ユニット6に設けられる第1基板610及び第2基板620に、第1光源61(白色光LED)及び第2光源62(特殊光LED)を駆動制御するための信号を出力し、第1光源61(白色光LED)を消灯し、第2光源62(特殊光LED)を点灯する。更に、制御部21は、例えば撮像素子により撮像される内視鏡40画像に基づき、第2光源62(特殊光LED)の輝度値の制御等、調光制御を行う。
【0082】
制御部21は、新たな観察モードを取得したか否かを判定する(S144)。制御部21は、内視鏡40の制御ボタン431の押下に応じて出力される制御信号を常に待ち受ける処理(待ち受け処理)を継続しており、当該制御信号の有無に基づき、新たな観察モードを取得したか否かを判定する。新たな観察モードを取得しなかった場合(S144:NO)、制御部21は、再度S143を実行すべく、ループ処理を行う。当該ループ処理を行うことにより、現在選択されている観察モードによる制御が、継続される。新たな観察モードを取得した場合(S144:YES)、制御部21は、再度S11を実行すべく、ループ処理を行う。
【0083】
取得した観察モードの種類が、合成光観察モードである場合、制御部21は、合成光観察モードを実行する(S15)。S15の処理の詳細は、
図11にて示される。
【0084】
制御部21は、第1光源61(白色光LED)を点灯する(S151)。制御部21は、第2光源62(特殊光LED)を点灯する(S152)。制御部21は、第1光源61及び第2光源62の調光制御を行う(S153)。制御部21は、スコープコネクタ48を介して、光源ユニット6に設けられる第1基板610及び第2基板620に、第1光源61(白色光LED)及び第2光源62(特殊光LED)を駆動制御するための信号を出力し、第1光源61(白色光LED)及び第2光源62(特殊光LED)を点灯する。制御部21は、第1光源61(白色光LED)の輝度値を、第2光源62(特殊光LED)の輝度値よりも小さい値にして、当該第1光源61(白色光LED)を点灯させるものであってもよい。更に、制御部21は、例えば撮像素子により撮像される内視鏡40画像に基づき、第1光源61(白色光LED)及び第2光源62(特殊光LED)の輝度値の制御等、調光制御を行う。
【0085】
制御部21は、新たな観察モードを取得したか否かを判定する(S154)。制御部21は、内視鏡40の制御ボタン431の押下に応じて出力される制御信号を常に待ち受ける処理(待ち受け処理)を継続しており、当該制御信号の有無に基づき、新たな観察モードを取得したか否かを判定する。新たな観察モードを取得しなかった場合(S154:NO)、制御部21は、再度S153を実行すべく、ループ処理を行う。当該ループ処理を行うことにより、現在選択されている観察モードによる制御が、継続される。新たな観察モードを取得した場合(S154:YES)、制御部21は、再度S11を実行すべく、ループ処理を行う。
【0086】
取得した観察モードの種類が、合成光ツイン観察モードである場合、制御部21は、合成光ツイン観察モードを実行する(S16)。S16の処理の詳細は、
図12にて示される。
【0087】
制御部21は、第1光源61(白色光LED)を消灯する(S161)。制御部21は、第2光源62(特殊光LED)を点灯する(S162)。制御部21は、第2光源62(特殊光LED)の調光制御を行う(S163)。制御部21は、S141からS143と同様に、S161からS163までの処理を行う。
【0088】
制御部21は、撮像素子から出力された内視鏡40画像を取得する(S164)。制御部21は、撮像素子により撮像され、第2照明光(特殊光)によって照明された観察箇所が含まれる内視鏡40画像(特殊光による照明)を取得する。制御部21によって取得される内視鏡40画像は、1フレームによる静止画であってもよい。制御部21は、取得した内視鏡40画像(特殊光による照明)を、例えば、補助記憶装置に記憶する。
【0089】
制御部21は、第2光源62(特殊光LED)を消灯する(S165)。制御部21は、第1光源61(白色光LED)を点灯する(S166)。制御部21は、第1光源61(白色光LED)の調光制御を行う(S167)。制御部21は、S131からS133と同様に、S165からS167までの処理を行う。
【0090】
制御部21は、撮像素子から出力された内視鏡40画像を取得する(S168)。制御部21は、撮像素子により撮像され、第1照明光(白色光)によって照明された観察箇所が含まれる内視鏡40画像(白色光による照明)を取得する。制御部21によって取得される内視鏡40画像は、1フレームによる静止画であってもよい。制御部21は、取得した内視鏡40画像(白色光による照明)を、例えば、補助記憶装置23に記憶する。
【0091】
制御部21は、取得した2つの内視鏡40画像を表示装置50に出力する(S169)。制御部21は、撮像素子から取得し、補助記憶装置23に記憶した内視鏡40画像(特殊光による照明)と、内視鏡40画像(白色光による照明)とを表示装置50に出力し、当該表示装置50にて、これら2つの内視鏡40画像を並べて表示させる。
【0092】
制御部21は、新たな観察モードを取得したか否かを判定する(S1691)。制御部21は、内視鏡40の制御ボタン431の押下に応じて出力される制御信号を常に待ち受ける処理(待ち受け処理)を継続しており、当該制御信号の有無に基づき、新たな観察モードを取得したか否かを判定する。新たな観察モードを取得しなかった場合(S1691:NO)、制御部21は、再度S161を実行すべく、ループ処理を行う。当該ループ処理を行うことにより、現在選択されている観察モードによる制御が、継続される。新たな観察モードを取得した場合(S1691:YES)、制御部21は、再度S11を実行すべく、ループ処理を行う。
【0093】
取得した観察モードの種類が、全消灯指示である場合、制御部21は、第1光源61及び第2光源62を消灯(全消灯を実行)する(S17)。制御部21は、第1光源61及び第2光源62を消灯することにより、全消灯を実行し、本フローチャートにおける一連の処理を終了する。
【0094】
本実施形態において、フローチャートの処理は、内視鏡用プロセッサ20の制御部21によって行われるものとして記載したが、これに限定されない。内視鏡40には、内視鏡用プロセッサ20の制御部21と同様の機能を発揮するマイコン等が設けられており、当該マイコンが、内視鏡40に設けられる制御ボタン431による操作者の操作に応じて、当該フローチャートの処理(観察モードの制御)を行うものであってもよい。
【0095】
本実施形態によれば、内視鏡装置10は、複数の観察モードによって体内を観察するように構成されており、制御部21は、内視鏡40によって行われる複数の観察モードを制御する。これら複数の観察モードは、白色光又は特殊光のいずれかによる単一種類の照明光によって、体内を観察する観察モードに加え、白色光及び特殊光の双方による合成光を用いて観察する合成光観察モードを含む。当該合成光観察モードにて観察する際、内視鏡40は、ライトガイド7における同一の光路70を、それぞれを異なる振動方向に偏光した白色光及び特殊光にて共用するため、当該合成光観察モードを効率的におこなうことができる。
【0096】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。各実施例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0097】
10 内視鏡装置
15 キーボード
16 収容棚
20 内視鏡用プロセッサ
21 制御部
211 画像処理部
22 主記憶装置
23 補助記憶装置
24 通信部
25 タッチパネル
26 表示装置I/F
27 入力装置I/F
28 読取部
31 内視鏡用コネクタ
311 電気コネクタ
34 ポンプ
35 送水タンク
36 送気送水口金
40 内視鏡
43 操作部
430 外殻部
431 制御ボタン
433 湾曲ノブ
44 挿入部
441 軟性部
442 湾曲部
443 先端部
444 出射口
445 対物レンズ
446 送気ノズル
447 送水ノズル
448 副送水ノズル
449 チャネル
45 折止部
48 スコープコネクタ
49 ユニバーサルコード
50 表示装置
6 光源ユニット
60 鏡面筒
61 第1光源(白色光LED)
610 第1基板
62 第2光源(特殊光LED)
620 第2基板
63 偏光部
630 偏光膜
631 第1偏光ビームスプリッタ
632 第2偏光ビームスプリッタ
633 第3偏光ビームスプリッタ
634 全反射部
64 光学アッテネータ
641 偏光板
642 波長板(λ/4板)
643 鏡部
65 コリメートレンズ
66 ボールレンズ
7 ライトガイド
70 光路
701 入射端
702 出射端
703 外装チューブ
71 第1ライトガイド
72 第2ライトガイド
73 分割部