IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 凸版印刷株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-吸着装置 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022057392
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】吸着装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 43/30 20060101AFI20220404BHJP
【FI】
B65B43/30 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020165621
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】細馬 哲也
【テーマコード(参考)】
3E030
【Fターム(参考)】
3E030AA04
3E030BB02
3E030BC01
3E030CA02
3E030CB01
3E030GA04
(57)【要約】
【課題】自動梱包機によってプラスチックフィルムの包装袋に、物品や商品を収納する際に、自動梱包機内で包装袋を開口させ、包装袋への自動収納を行うための吸着を、より確実に行うことのできる吸着装置の提供を課題とする。
【解決手段】プラスチックフィルムからなる包装袋を、自動梱包機内で開口させるための吸着装置であって、プラスチックフィルムに直接接触する吸盤と、吸盤の内側窪みに連続した吸引ノズルとからなり、吸盤は、可撓性を有する軟質材料からなり、その周縁の形状が複数の突き出し部分を有した星形形状であり、吸引ノズルは、吸盤の内側窪みからエアーを吸引することが可能な中空の管であって、対象となる包装袋に、その周囲から複数個が接近して接触し、接触した部分に吸盤で吸付いて密着し、そのまま放射状に離開して包装袋を開口することが可能であることを特徴とする、吸着装置である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックフィルムからなる包装袋を、自動梱包機内で開口させるための吸着装置であって、
プラスチックフィルムに直接接触する吸盤と、吸盤の内側窪みに連続した吸引ノズルとからなり、
前記吸盤は、可撓性を有する軟質材料からなり、
前記吸盤は、その周縁の形状が複数の突き出し部分を有した星形形状であり、
前記吸引ノズルは、吸盤の内側窪みからエアーを吸引することが可能な中空の管であって、
対象となる包装袋に、その周囲から複数個が接近して接触し、接触した部分に吸盤で吸付いて密着し、そのまま放射状に離開して包装袋を開口することが可能であることを特徴とする、吸着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着装置に関するものである。特に、自動梱包機によって例えばポリエチレンなどのプラスチックフィルムの包装袋に、単数もしくは複数の物品、商品を収納する際に、自動梱包機内で包装袋を開口させ、包装袋への自動収納を行うための、吸着装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、飲料缶などの収納袋として、可撓性シートを折りたたんで構成される包装袋に、放射状に開口させた開口部から、飲料缶などを複数個挿入して収納することのできる収納袋が提案されている。
【0003】
これは例えば、缶に入れられた物品や商品を、自動梱包機を用いて包装袋への自動収納を行う場合に用いることができる。その場合には、包装袋をロボットによって吸着して収納装置に渡し、ワークの向きをそろえて袋に挿入することが、自動梱包機上で行われるシステムである。
【0004】
この自動梱包機の例では、一般に作業の順序は、下記のように順を追って行われる。まず、包装袋用ロボットにて、バケットから袋を吸着して開口装置の仮置台へ袋を搬送し吸着させる。
【0005】
次に仮置台が回転し、両側から開口用吸盤で吸着して袋を開口、ワーク挿入ガイドを入れて待機させる。
【0006】
さらに、搬送ライン上流から搬送された、段ボール場に入れられた缶をワーク用ロボットにて吸着して取り出し、缶を商品のロゴが所定の位置に来るように回転位置決めをして包装袋に挿入して梱包する。
【0007】
最後に袋詰めが完了した缶入りの袋を、次工程の作業者の元へ搬送する。という順で作業が進行する。
【0008】
ところが実生産においては、吸着装置の吸盤で吸着して包装袋に開口部を形成しようとして、吸着に失敗するケースがしばしば発生して問題とされてきた。
【0009】
これは包装袋の変形するなどの原因で、包装袋と吸着装置の吸盤の密着が不十分となり、吸着しようとしたときにエアー漏れが生じて吸着ができなくなって、開口が不十分になる現象である。
【0010】
一般に吸着装置の吸盤は、可撓性を有する軟質素材で作られた、内側窪みを有する円形のものが用いられている。
【0011】
自動梱包機による梱包工程の運転中において、万一吸着不良が起きる場合には、ラインの停止やそれに伴う生産の低下が生じ、材料の無駄が生じるほか、復旧のための煩雑な作業を行う必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】実用新案第3056125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、かかる状況に鑑みてなされたものであり、自動梱包機によってプラスチックフィルムの包装袋に、物品や商品を収納する際に、自動梱包機内で包装袋を開口させ、包装袋への自動収納を行うための吸着を、より確実に行うことのできる吸着装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、
プラスチックフィルムからなる包装袋を、自動梱包機内で開口させるための吸着装置であって、
プラスチックフィルムに直接接触する吸盤と、吸盤の内側窪みに連続した吸引ノズルとからなり、
前記吸盤は、可撓性を有する軟質材料からなり、
前記吸盤は、その周縁の形状が複数の突き出し部分を有した星形形状であり、
前記吸引ノズルは、吸盤の内側窪みからエアーを吸引することが可能な中空の管であって、
対象となる包装袋に、その周囲から複数個が接近して接触し、接触した部分に吸盤で吸付いて密着し、そのまま放射状に離開して包装袋を開口することが可能であることを特徴とする、吸着装置である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、自動梱包機によってプラスチックフィルムの包装袋に、物品や商品を収納する際に、自動梱包機内で包装袋を開口させ、包装袋への自動収納を行うための吸着を、より確実に行うことのできる吸着装置の提供が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は本発明による吸着装置の一実施態様を説明するための、吸盤を正面から見た平面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を図1を参照しながら、更に詳しい説明を加える。ただし本発明は、ここに示す例にのみ限定されるものではない。本発明は、請求項によって特定されるものである。
【0018】
図1は本発明による吸着装置の一実施態様を説明するための、吸盤を正面から見た平面模式図である。
【0019】
本発明は、プラスチックフィルムからなる包装袋を、自動梱包機内で開口させるための吸着装置(10)である。
【0020】
吸着装置(10)は、プラスチックフィルムに直接接触する吸盤(1)と、吸盤(1)の内側窪みに連続した吸引ノズル(2)とからなる。
【0021】
図1においては、吸盤(1)を正面から見た図であって、吸盤(1)は図の奥側に向かって中央部が凹んだ形状をしている。
【0022】
吸盤(1)は、可撓性を有する軟質材料からなり、その周縁の形状が複数の突き出し部分(3)を有した星形形状である。軟質材料には例えば、軟質のプラスチックやゴム素材
を用いることができる。
【0023】
この部分は本発明において特徴のひとつであって、我々は本発明を鋭意検討する過程において、吸盤(1)の周縁部分が、複数の突き出し部分(3)を有する星形形状であることによって、吸着の際の吸着ミスをなくし、安定した吸着とすることに効果的であることを見出した。
【0024】
また吸引ノズル(2)は、吸盤(1)の内側窪みからエアーを吸引することが可能な中空の管であって、図1においては、吸引ノズル(2)は吸盤(1)の中央部に接続しており、その円形の断面が示されている。エアーの吸引は、この断面が円形の管によって行われる。
【0025】
吸着装置(10)は、対象となる包装袋に、その周囲から接近して接触し、接触した部分に吸盤(1)で吸付いて密着し、そのまま放射状に離開して包装袋に開口部を形成することが可能である。
【0026】
このようにして、本発明によれば自動梱包機によってプラスチックフィルムの包装袋に、物品や商品を収納する際に、自動梱包機内で包装袋を開口させ、包装袋への自動収納を行うための吸着を、より確実に行うことのできる吸着装置(10)を提供することが可能である。
【実施例0027】
以下本発明を、実施例及び比較例によって更に具体的な説明を加える。ただし本発明は、ここに示す例にのみ限定されるものではない。本発明は、請求項によって特定されるものである。
【0028】
吸着装置の評価をした。
評価をするための、自動梱包機全体の構成は下記のとおりである。
【0029】
この自動梱包機は包装袋をロボットによって、吸着して受け渡し、開口させた後ワークの向きを揃えて包装袋に袋詰めして梱包するシステムである。
【0030】
評価は粉ミルク缶の自動梱包を行うものとした。自動梱包の詳細な工程は以下のとおりである。
【0031】
まず、包装袋用ロボットにてバケットから包装袋を吸着して取り出し、開口装置の仮置き場へ袋を搬送し、吸着装置の吸盤で吸着して包装袋に開口部を形成して、ワーク挿入ガイドを入れて待機状態とする。
【0032】
一方、搬送ライン上流から段ボール箱に入った粉ミルク缶を、ワーク用ロボットで吸着して取り出し、粉ミルク缶を、袋詰めした状態で正面に商品ロゴが来るよう回転位置決めをして、待機している包装袋に挿入する。袋詰めされた粉ミルク缶は、次工程へと搬送される。
【0033】
評価は、包装袋の開口部を形成する際の、吸着ミスの発生頻度を比較した。
【0034】
<実施例>
包装袋用ロボットの吸着装置の吸盤(1)を、その周縁の形状が複数の突き出し部分(3)を有した星形形状とした。
星形形状の吸盤メーカー:(株)妙徳
型番:PMG-24L
とした。
【0035】
<比較例>
包装袋用ロボットの吸着装置の吸盤を、その周縁の形状が円形のものとした。
円形形状の吸盤メーカー:(株)日本ビスコ
型番:VPA30PBS43-6J-FF
とした。
【0036】
評価結果を、表1に示す。
なお、吸着ミスの発生頻度は、吸着ミス回数/吸着回数 とした。
【0037】
【表1】
【0038】
表1に示す結果から見て取れるように、本発明による吸着装置を用いた実施例においては、500回の吸着回数に対して、吸着ミスは発生しなかったのに対して、本発明による吸着装置を用いない比較例においては、100回の吸着回数に対して、吸着ミスが1回発生した。
【0039】
これは、吸盤に突き出し部分があることによって、柔軟である包装袋の変形にも追随して補足し、吸盤が確実に包装袋に密着して吸着するためであると考えられる。
【0040】
すなわち、本発明によれば、自動梱包機によってプラスチックフィルムの包装袋に、物品や商品を収納する際に、自動梱包機内で包装袋を開口させ、包装袋への自動収納を行うための吸着を、より確実に行うことのできる吸着装置の提供が可能であることを検証することができた。
【符号の説明】
【0041】
1・・・吸盤
2・・・吸引ノズル
3・・・突き出し部分
10・・・吸着装置
図1