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特開2022-57412情報取得方法、評価指標算出方法、評価指標算出システム、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022057412
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】情報取得方法、評価指標算出方法、評価指標算出システム、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61G 7/05 20060101AFI20220404BHJP
【FI】
A61G7/05
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020165657
(22)【出願日】2020-09-30
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和元年度 国立研究開発法人情報通信研究機構「高度通信・放送研究開発委託研究/(データ連携・利活用による地域課題解決のための実証型研究開発(第2回) 副題:LPWAと3次元センシングを活用した病院・介護現場における負担の軽減)」、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】若元 友輔
(72)【発明者】
【氏名】小幡 光一
(72)【発明者】
【氏名】岸 啓補
(72)【発明者】
【氏名】中里 正行
(72)【発明者】
【氏名】白井 尚美
【テーマコード(参考)】
4C040
【Fターム(参考)】
4C040AA30
(57)【要約】      (修正有)
【課題】介助スキルを定量的に評価することが可能となる情報取得方法、評価指標算出方法、評価指標算出システム、及びプログラムを提供する。
【解決手段】情報取得方法は、介助者40が寝台Bの上の人間(被介助者30)または人形の体位変換を介助する動作を評価する評価指標を算出する際に用いられる情報を取得する情報取得方法であって、センサ情報取得部が、前記介助する動作が行われた期間において、前記寝台の複数個所のそれぞれに設けられた荷重センサ10-1~10-4によって測定された、前記寝台から床面に作用した荷重の時系列変化を示すセンサ情報を取得する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
介助者が寝台の上の人間または人形の体位変換を介助する動作を評価する評価指標を算出する際に用いられる情報を取得する情報取得方法であって、
センサ情報取得部が、前記介助する動作が行われた期間において、前記寝台の複数個所のそれぞれに設けられた荷重センサによって測定された、前記寝台から床面に作用した荷重の時系列変化を示すセンサ情報を取得する、
情報取得方法。
【請求項2】
前記センサ情報取得部は、前記寝台の複数の脚部と床面との間にそれぞれ配置された荷重センサから前記センサ情報を取得する、
請求項1に記載の情報取得方法。
【請求項3】
前記センサ情報取得部が、請求項1又は請求項2に記載の情報取得方法を用いて、介助者が行った複数の介助の各々に対応する複数の前記センサ情報を取得し、
評価指標算出部が、前記センサ情報取得部によって取得された複数の前記センサ情報から、評価の基準とする基準情報、及び前記基準情報とは異なる評価対象情報を選択し、選択した前記基準情報及び前記評価対象情報を用いて、前記評価対象情報に対応する介助を評価する評価指標情報を算出する、
評価指標算出方法。
【請求項4】
前記評価指標算出部は、前記基準情報及び前記評価対象情報を互いに比較可能な態様にて示す画像、又は前記基準情報の代表値及び前記評価対象情報の代表値を互いに比較可能な態様にて示す画像を、前記評価指標情報として算出し、
前記代表値は、前記センサ情報に含まれる複数の荷重センサによる測定値を代表する値である、
請求項3に記載の評価指標算出方法。
【請求項5】
前記評価指標算出部は、前記基準情報と前記評価対象情報が類似する度合、又は前記基準情報の代表値と前記評価対象情報の代表値が類似する度合を、前記評価指標情報として算出し、
前記代表値は、前記センサ情報に含まれる複数の荷重センサによる測定値を代表する値である、
請求項3に記載の評価指標算出方法。
【請求項6】
前記評価指標算出部は、学習済モデルに、前記評価対象情報を入力することによって前記学習済モデルから出力される出力値を、前記評価指標情報として算出し、
前記学習済モデルは、前記基準情報を入力、前記基準情報に対応する介助の評価値を出力とする学習用データセットにおける入出力の関係を学習したモデルである、
請求項3に記載の評価指標算出方法。
【請求項7】
前記評価指標算出部は、学習済モデルに、前記評価対象情報の代表値を入力することによって前記学習済モデルから出力される出力値を、前記評価指標情報として算出し、
前記代表値は、前記センサ情報に含まれる複数の荷重センサによる測定値を代表する値であり、
前記学習済モデルは、前記基準情報の代表値を入力、前記基準情報の代表値に対応する介助の評価値を出力とする学習用データセットにおける入出力の関係を学習したモデルである、
請求項3に記載の評価指標算出方法。
【請求項8】
介助者が寝台の上の人間または人形の体位変換を介助する動作を評価する評価指標を算出する評価指標算出システムであって、
前記介助する動作が行われた期間において、前記寝台の複数個所のそれぞれから床面に作用した荷重の時系列変化を示すセンサ情報を取得するセンサ情報取得部と、
前記センサ情報取得部によって取得された複数の前記センサ情報から、評価の基準とする基準情報、及び前記基準情報とは異なる評価対象情報を選択し、選択した前記基準情報及び前記評価対象情報を用いて、前記評価対象情報に対応する介助を評価する評価指標情報を算出する評価指標算出部と、
を備える評価指標算出システム。
【請求項9】
介助者が寝台の上の人間または人形の体位変換を介助する動作を評価する評価指標を算出する評価指標算出力装置のコンピュータを、
前記介助する動作が行われた期間において、前記寝台の複数個所のそれぞれから床面に作用した荷重の時系列変化を示すセンサ情報を取得するセンサ情報取得手段、
前記センサ情報取得手段によって取得された複数の前記センサ情報から、評価の基準とする基準情報、及び前記基準情報とは異なる評価対象情報を選択し、選択した前記基準情報及び前記評価対象情報を用いて、前記評価対象情報に対応する介助を評価する評価指標情報を算出する評価指標算出手段、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報取得方法、評価指標算出方法、評価指標算出システム、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療や介護の現場における患者や被介護者の身体状態を知るために、ベッド上の被験者の生体情報を取得する技術がある。生体情報とは、例えば、荷重センサなどを用いて取得した被験者の体動や呼吸などを示す情報である。特許文献1には、ベッド又はベッドの脚下にそれぞれ設けられた複数の荷重センサを用いて、ベッド上の被験者の生体情報をモニターする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6105703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、医療や介護の現場においては、高齢者の増加に伴って介助者の育成が急務となっている。特許文献1の記述では、ベッド上の被験者の生体情報をモニターすることができるが、介助者の育成に用いることは想定されていない。介助スキルは、現場で被介護者に接しながら時間をかけて身に付けていくのが一般的で、介護職ではない一般の人が介助スキルを習得するまでに多くの時間が必要であった。このため、介助者の早期育成は困難であった。発明者は、介助者の早期育成を達成するための検討を進める過程で、介助スキルを定量的に評価するという課題を認識し、解決させた。
【0005】
本発明は、介助スキルを定量的に評価することが可能となる情報取得方法、評価指標算出方法、評価指標算出システム、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る情報取得方法は、介助者が寝台の上の人間または人形の体位変換を介助する動作を評価する評価指標を算出する際に用いられる情報を取得する情報取得方法であって、センサ情報取得部が、前記介助する動作が行われた期間において、前記寝台の複数個所のそれぞれに設けられた荷重センサによって測定された、前記寝台から床面に作用した荷重の時系列変化を示すセンサ情報を取得する。
【0007】
本発明の一態様に係る評価指標算出方法は、前記センサ情報取得部が、上記に記載の情報取得方法を用いて、介助者が行った複数の介助の各々に対応する複数の前記センサ情報を取得し、評価指標算出部が、前記センサ情報取得部によって取得された複数の前記センサ情報から、評価の基準とする基準情報、及び前記基準情報とは異なる評価対象情報を選択し、選択した前記基準情報及び前記評価対象情報を用いて、前記評価対象情報に対応する介助を評価する評価指標情報を算出する。
【0008】
本発明の一態様に係る評価指標算出システムは、介助者が寝台の上の人間または人形の体位変換を介助する動作を評価する評価指標を算出する評価指標算出システムであって、前記介助する動作が行われた期間において、前記寝台の複数個所のそれぞれから床面に作用した荷重の時系列変化を示すセンサ情報を取得するセンサ情報取得部と、前記センサ情報取得部によって取得された複数の前記センサ情報から、評価の基準とする基準情報、及び前記基準情報とは異なる評価対象情報を選択し、選択した前記基準情報及び前記評価対象情報を用いて、前記評価対象情報に対応する介助を評価する評価指標情報を算出する評価指標算出部と、を備える。
【0009】
本発明の一態様に係るプログラムは、介助者が寝台の上の人間または人形の体位変換を介助する動作を評価する評価指標を算出する評価指標算出力装置のコンピュータを、前記介助する動作が行われた期間において、前記寝台の複数個所のそれぞれから床面に作用した荷重の時系列変化を示すセンサ情報を取得するセンサ情報取得手段、前記センサ情報取得手段によって取得された複数の前記センサ情報から、評価の基準とする基準情報、及び前記基準情報とは異なる評価対象情報を選択し、選択した前記基準情報及び前記評価対象情報を用いて、前記評価対象情報に対応する介助を評価する評価指標情報を算出する評価指標算出手段、として機能させるプログラムである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、介助スキルを定量的に評価することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態における評価システム1の概略を示す図である。
図2】実施形態における荷重センサ10と評価装置20の構成例を示すブロック図である。
図3】実施形態における評価対象情報250の構成例を示す図である。
図4】実施形態における基準情報251の構成例を示す図である。
図5】実施形態における評価対象情報250の一例を示す図である。
図6】実施形態における評価対象情報250の一例を示す図である。
図7】実施形態における評価指標情報252の一例を説明する図である。
図8】実施形態における評価指標情報252の一例を説明する図である。
図9】実施形態における評価指標情報252の一例を説明する図である。
図10】実施形態における評価指標情報252の一例を説明する図である。
図11】実施形態における評価指標情報252の一例を説明する図である。
図12】実施形態における評価システム1が行う処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳しく説明する。図1は、実施形態における評価システム1の概略を示す図である。評価システム1は、例えば、複数の荷重センサ10(荷重センサ10-1~10-4)と、評価装置20と、被介助者30と、介助者40と、ベッドBなどによって構成される。評価システム1において荷重センサ10と評価装置20とは通信可能に接続される。
【0013】
なお、図1の例では、ベッドBに四つの荷重センサ10が設けられた場合を例示しているが、ベッドBに設けられる荷重センサ10の数は複数であればよく、四つに限定されることはない。また、以下では、荷重センサ10のそれぞれがベッドBの四隅の脚部の下面に設置された場合を例に説明するが、これに限定されることはない。荷重センサ10は、少なくともベッドBのマットレス上面から下面方向に作用する荷重を測定できればよく、例えば、マットレスの下面と脚部の上面の間などに設置されていてもよい。
【0014】
介助者40は、ベッドBにいる被介助者30を介助する。ここでの介助は、被介助者30の体位変換である。体位変換は、被介助者30の体位を変換することであって、例えば、仰臥位(仰向けに寝た状態)、側臥位(横向きに寝た状態)、及び端座位(膝から下をベッドの下に降ろしてベッドの端に腰かける状態)のそれぞれを互いに変換することである。
【0015】
被介助者30がベッドBで長い間同じ姿勢のままでいると、身体の同じ箇所に体重がかかり続けてしまう。この場合、血行障害や褥瘡(じょくそう)が起こりやすくなる。通常の筋力を有する健康な被介助者30であれば、自ら寝返りなどを行うことによって体位変換を行い、同一の姿勢でいることによって起こる不快感の解消、褥瘡や血流障害の予防を行うことができる。しかし、被介助者30の筋力や体力が落ちている場合や、身体に障害のある場合には、定期的に体位変換がなされるように介助する必要がある。
【0016】
荷重センサ10のそれぞれは、ベッドBの四隅にそれぞれ配置される。具体的に、ベッドBに仰臥位の状態でいる被介助者30からみて、荷重センサ10-1はベッドBの左上に、荷重センサ10-2はベッドBの左下に、荷重センサ10-3はベッドBの右下に、荷重センサ10-4はベッドBの右上に、それぞれ配置される。
【0017】
荷重センサ10は、例えば、測定部と通信部とを備える。測定部は、荷重を測定する機能部であって、例えばロードセルなどの圧電素子で構成される。測定部は、センサに作用する圧力をその圧力に応じた電気信号に変換し、変換した電気信号を通信部に出力する。通信部は、評価装置20と通信を行う機能部であって、例えば、LAN(LocalAreaNetwork)等の有線接続、或いは無線LANやBluetooth等の無線接続を利用した通信モジュールで構成される。通信部は、測定部から取得した電気信号を評価装置20に送信する。
【0018】
評価装置20は、荷重センサ10のそれぞれから電気信号(荷重を示す情報)を取得し、取得した情報を解析する。評価装置20としては、PC(Personal Computer)等が用いられる。
【0019】
従来では、荷重センサ10によって測定された荷重の時系列変化(以下、センサ情報、或いは、波形ともいう)に基づいて、被介助者30の姿勢(体位)を推定したり、睡眠の状態を推定したりすることが行われてきた。これにより、被介助者30の健康状態を推定し、必要に応じて介助を行うことが可能となる。例えば、波形から寝返りの回数を把握することができる。これを用いて、例えば夜間の就寝時間における寝返りの回数が閾値以下である被介助者30には褥瘡が生じる可能性があると判定する。そして、褥瘡が生じる可能性のある被介助者30には、日中に介助者40による体位変換が行われるよう介護計画等を立てるようにする。これにより、被介助者30の褥瘡を予防することが可能である或いは、荷重センサ10からの荷重の時系列変化に基づいて、介助者40が介助した体位変換の内容や回数を判定することも可能である。判定結果を、例えば介護記録のエビデンスとして利用することができる。
【0020】
発明者が、荷重センサ10から得られる波形について詳細に検討したところ、同じ体位変換を介助した場合であっても、それぞれの波形に特徴があることに気が付いた。例えば、左方向への寝返り(仰臥位から側臥位への変換)の介助が行われた場合、ある時には図5のデータHD1のような波形が得られ、別の時には図6のHD3のような波形が得られた。また、右方向への寝返りの介助が行われた場合、ある時には図5のデータHD2のような波形が得られ、別の時には図6のHD4のような波形が得られた。発明者は、体位変換を介助した場合に得られる波形の特徴について種々検討した。その結果、波形の特徴から介助の動作を評価する指標を導出できることを見出した。
【0021】
図2は、実施形態における荷重センサ10と評価装置20の構成例を示すブロック図である。評価装置20は、例えば、センサ情報取得部21と、評価指標算出部22と、算出結果出力部23と、装置制御部24と、記憶部25と、表示部26とを備える。
【0022】
センサ情報取得部21は、荷重センサ10のそれぞれからセンサ情報を取得する。センサ情報は、荷重センサ10によって測定された、ベッドBから床面に作用した荷重の時系列変化を示す情報である。具体的に、センサ情報取得部21は、荷重センサ10-1から、ベッドBの左側の上端部から床面に作用した荷重の時系列変化を示す情報、荷重センサ10-2から、ベッドBの左側の下端部から床面に作用した荷重の時系列変化を示す情報、荷重センサ10-3から、ベッドBの右側の下端部から床面に作用した荷重の時系列変化を示す情報、及び荷重センサ10-4から、ベッドBの右側の上端部から床面に作用した荷重の時系列変化を示す情報を、それぞれセンサ情報として取得する。
【0023】
評価指標算出部22は、センサ情報に基づいて評価指標を算出する。評価指標は、介助の動作を評価する指標である。評価指標算出部22は、評価指標として、基準とする介助の動作との差異を示す情報を出力する。基準とする介助の動作とは、介助の動作の手本となるような動作であって、例えば、介助の熟練者により行われた介助の動作、被介助者30が安心だと感じられた介助の動作、介助者40の負担が少ないと感じられた介助の動作、或いはこれらの組合せなどにより総合的に介助の見本とすることができると判断された動作である。
【0024】
本実施形態では、評価の基準とする介助の動作と、評価の対象となる介助の動作との差異が明確となるように、双方の動作を示す情報に、測定条件を共通にしたセンサ情報を用いる。すなわち、評価の基準とする介助の動作を示す情報として、介助の見本となる動作に対応するセンサ情報を用いる。また、評価の対象とする介助の動作を示す情報として、評価対象となる介助者40による介助の動作に対応するセンサ情報を用いる。
【0025】
評価指標算出部22は、例えば、基準とする介助の動作との差異を示す情報として、評価の基準とするセンサ情報(以下、基準情報という)と、評価の対象とするセンサ情報(以下、評価対象情報という)との一致する箇所、類似する箇所、或いは相違する箇所を示す情報を出力する。これにより、介助者40に、自身が行った介助の動作と、見本となる動作との差異を認識させ、自身が行った介助の動作の良し悪しや、改善すべきポイント等を把握させることが可能となる。
【0026】
評価指標算出部22は、評価指標を算出するにあたり、まず、評価の基準とするセンサ情報(基準情報)を選択する。例えば、評価指標算出部22は、複数の介助の動作のそれぞれに対応するセンサ情報を、センサ情報取得部21から取得する。評価指標算出部22は、取得した複数のセンサ情報から選択した1つ又は複数のセンサ情報を、基準情報とする。
【0027】
この場合において、評価指標算出部22は、任意の選択基準に基づいて、基準情報を選択するようにしてよい。例えば、評価指標算出部22は、操作者による操作入力によって選択されたセンサ情報を基準情報とする。或いは、評価指標算出部22は、熟練者が行った介助の動作に対応するセンサ情報を、基準情報として選択するようにしてもよい。この場合、評価指標算出部22は、センサ情報と共に、例えば、介助者40の熟練度を示す情報を取得し、取得した介助者40の熟練度を示す情報に基づいて、センサ情報取得部21から取得したセンサ情報を、基準情報として選択するか否かを判定する。
【0028】
また、評価指標算出部22は、評価の対象とするセンサ情報(評価対象情報)を選択する。例えば、評価指標算出部22は、複数の介助の動作のそれぞれに対応するセンサ情報を、センサ情報取得部21から取得する。評価指標算出部22は、取得した複数のセンサ情報のうち、基準情報としたセンサ情報を除いたものから選択した1つ又は複数のセンサ情報を、評価対象情報とする。
【0029】
例えば、評価指標算出部22は、操作者による操作入力によって選択されたセンサ情報を評価対象情報とする。この場合の操作者は、例えば介助者40であり、自身が介助を行った後に、その介助の動作に対応するセンサ情報を評価対象情報とする。これにより、介助者40は、自身が行った介助の動作の評価指標を取得することが可能である。
【0030】
評価指標算出部22は、評価指標として、例えば、基準情報、及び評価対象情報に対応する双方のセンサ情報を並べて(或いは、重ねて)表示する。これにより、見本となる動作との差異を、認識可能な態様にて提示することができる。この場合において、評価指標算出部22は、複数のセンサ情報のそれぞれに対応する四つの波形について、基準情報、及び評価対象情報の双方を並べて表示する(例えば、図8参照)。
【0031】
或いは、評価指標算出部22は、複数のセンサ情報を代表する1つの波形について、基準情報、及び評価対象情報の双方を並べて表示するようにしてもよい(例えば、図9参照)。複数のセンサ情報を代表する1つの波形を選択する方法は、任意の方法であってよい。例えば、評価指標算出部22は、複数のセンサ情報から選択した1つのセンサ情報を、複数のセンサ情報を代表する1つの波形として選択してもよい。或いは、評価指標算出部22は、複数のセンサ情報の統計量を示す波形を、複数のセンサ情報を代表する1つの波形として選択してもよい。ここでのセンサ情報の統計量とは、例えば、同じ時刻に複数の荷重センサ10のそれぞれによって測定された荷重の統計量を時系列に示す情報である。また、ここでの統計量とは、複数の荷重によって形成された集合体の傾向を示す情報であり、統計的な手法を用いて算出された情報である。ここでの統計量は、例えば、複数の荷重或いは複数の荷重の変化量のそれぞれを用いて算出される、単純加算平均値、重み付け平均値、二乗平均値、二乗平均値の平方根、最大値、最小値、最頻値などを示す情報である。
【0032】
或いは、評価指標算出部22は、基準情報及び評価対象情報の双方の波形が類似する度合(類似度)を算出する。これにより、見本となる動作との差異を介助者40に認識させることが可能となる。
【0033】
評価指標算出部22は、類似度を算出するにあたり、まず、基準情報及び評価対象情報の双方の波形の特徴量を取得する。ここでの特徴量は、波形の特徴の度合いである。評価指標算出部22は、例えば、介助に要した時間、波形から抽出した荷重、荷重の変化量など、人が認知可能な特徴についての特徴量を波形の特徴量として取得する。或いは、評価指標算出部22は、後述する機械学習の手法を用いて取得される、人が認知できるとは限らない多次元の特徴についての特徴量を、波形の特徴量として取得するようにしてもよい。
【0034】
評価指標算出部22は、例えば、波形から取得した特徴量(基準情報及び評価対象情報の双方の波形の特徴量)をベクトル表現(数値化)し、ベクトル表現した特徴量を、ベクトル空間上に配置する。そして、評価指標算出部22は、ベクトル空間上に配置した双方の波形の特徴量に対応するベクトルの距離(例えば、コサイン類似度など)を、類似度として算出する(例えば、図10参照)。
【0035】
或いは、評価指標算出部22は、類似度を算出するにあたり、学習済みモデルを用いてもよい。この場合、評価指標算出部22は、まず、学習済みモデルを作成する。評価指標算出部22は、例えば、既に取得済みのセンサ情報(例えば、基本情報)に、そのセンサ情報に対応する介助の動作の良し悪しを示すラベルを対応づけた学習用のデータセットを作成する。センサ情報に対応する介助の動作の良し悪しは、介助者40の熟練度に応じて判断されたものであってもよいし、波形の形状に基づいて判断されたものであってもよい。
【0036】
評価指標算出部22は、例えば、CNN(Convolutional Neural Network)などの学習モデルに、学習用のデータセットを機械学習させることにより学習済みモデルを作成する。評価指標算出部22は、学習用のデータセットの入力(センサ情報)を学習モデルに入力し、学習モデルから出力される値を取得する。評価指標算出部22は、学習モデルから出力される値が、学習用のデータセットの出力(介助の動作の良し悪しを示すラベル)に近づくように、学習モデルの内部パラメータを調整する。評価指標算出部22は、例えば、誤差逆伝搬法により、学習モデルに内部パラメータを調整する。評価指標算出部22は、所定の終了条件を充足するように内部パラメータを調整したモデルを、学習済みモデルとして確定させることによって、学習済みモデルを作成する。ここでの所定の終了条件とは、例えば、学習モデルから出力される出力値と、学習用のデータセットの出力が一致する確率が所定の閾値以上となる等の条件である。
【0037】
評価指標算出部22は、作成した学習済みモデルを用いて、類似度を算出する。評価指標算出部22は、評価対象情報を学習済みモデルに入力し、学習済みモデルから出力される値を取得する。学習済みモデルは、入力(評価対象情報)における出力(介助の動作の良し悪しを示すラベル)を推定する情報を出力する。評価指標算出部22は、学習済みモデルから、介助の動作が良いと推定される確率が出力される場合、その確率を介助の動作が良いとするラベルが付与された学習データの波形群との類似度とする。
【0038】
算出結果出力部23は、評価指標(基本情報及び評価対象情報の波形、又は/及び類似度を示す情報)を出力する。算出結果出力部23は、例えば、評価指標を示す画像の情報を表示部26に出力し、表示部26の表示画面に波形を表示させる。これにより、基本情報及び評価対象情報の波形や類似度を、介助者40などに視認させることが可能となる。或いは、算出結果出力部23は、評価指標をプリンタ(不図示)などに出力することにより、評価指標を示す波形や類似度を印刷するようにしてもよい。或いは、算出結果出力部23は、評価指標をスピーカ(不図示)などに出力することにより、類似度を音声やアラーム音などで出力するようにしてもよい。
【0039】
装置制御部24は、評価装置20を統合的に制御する。例えば、装置制御部24は、センサ情報取得部21によって取得されたセンサ情報を、評価指標算出部22に出力する。装置制御部24は、評価指標算出部22によって選択された評価対象情報を、評価対象情報250として、記憶部25に記憶させる。装置制御部24は、評価指標算出部22によって選択された基本情報を、基準情報251として、記憶部25に記憶させる。装置制御部24は、評価指標算出部22によって算出された評価指標を示す情報を、評価指標情報252として、記憶部25に記憶させる。装置制御部24は、評価指標を示す情報を、算出結果出力部23に出力する。
【0040】
記憶部25は、評価装置20の各種の処理を実行するためのプログラム、及び各種の処理を行う際に利用される一時的なデータを記憶する。記憶部25は、記憶媒体、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access read/write Memory)、ROM(Read Only Memory)、または、これらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成される。記憶部25は、例えば、評価対象情報250と、基準情報251と、評価指標情報252とを備える。基準情報251は、評価の基準となる情報であって、複数のセンサ情報のから選択された1つ又は複数のセンサ情報である(図4参照)。評価対象情報250は、評価の対象となる情報であって、複数のセンサ情報から基準情報としたセンサ情報を除いたものから選択された1つ又は複数のセンサ情報である(図3参照)。評価指標情報252は、評価の指標となる情報である。ここでの評価は、介助の動作の良し悪しに関する評価である。
【0041】
表示部26は、画像を表示する機能部である。表示部26は、例えば、液晶画面などのディスプレイを含んで構成される。表示部26は、例えば、算出結果出力部23から出力される画像の情報を取得し、取得した情報に基づいて画像を表示する。
【0042】
図3は、実施形態における評価対象情報250の構成例を示す図である。評価対象情報250は、例えば、測定IDと、介助者IDと、測定データなどの項目を備える。測定IDは測定対象情報を一意に識別する情報である。介助者IDは評価対象情報に対応する介助の動作を行った介助者40を一意に識別する情報である。測定データは、評価対象情報として測定された荷重の時系列変化を示す情報である。測定データは、例えば、時刻と測定値の項目を備える。時刻は、荷重が測定された時刻を示す情報である。測定値は、センサ10-1~10-4のそれぞれの項目を備える。センサ10-1は荷重センサ10-1によって測定された荷重を示す情報である。センサ10-2は荷重センサ10-2によって測定された荷重を示す情報である。センサ10-3、センサ10-4についても同様である。
【0043】
図4は、実施形態における基準情報251の構成例を示す図である。基準情報251は、例えば、基準IDと、介助種別と、基準データなどの項目を備える。基準IDは基準情報を一意に識別する情報である。介助種別は基準情報に対応する介助の動作の種別を示す情報であり、この例では、寝返りの介助であることが示されている。介助種別として、さらに詳細な情報が含まれていてもよい。例えば、介助種別として、左右の何れの側を下にする寝返りであるかを示す情報が含まれていてもよい。基準データは、基準情報として測定された荷重の時系列変化を示す情報である。基準データは、例えば、時刻と測定値の項目を備える。時刻は、荷重が測定された時刻を示す情報である。測定値は、センサ10-1~10-4のそれぞれの項目を備える。センサ10-1は荷重センサ10-1によって測定された荷重を示す情報である。センサ10-2は荷重センサ10-2によって測定された荷重を示す情報である。センサ10-3、センサ10-4についても同様である。
【0044】
図5、及び図6は、実施形態における評価対象情報250の例を示す図である。図5図6の横軸は時間T、縦軸は荷重Wを示している。図5図6において、凡例Aは左側の上端に設置されたセンサ(すなわち荷重センサ10-1)によって測定された波形を示している。凡例Bは右側の上端に設置されたセンサ(すなわち荷重センサ10-4)によって測定された波形を示している。凡例Cは左側の下端に設置されたセンサ(すなわち荷重センサ10-2)によって測定された波形を示している。凡例Dは右側の下端に設置されたセンサ(すなわち荷重センサ10-3)によって測定された波形を示している。
【0045】
図5には、ある介助者40が行った左方向への寝返りの介助の動作に対応するセンサ情報(符号HD1)と、左向きの寝返りの介助の動作に対応するセンサ情報(符号HD2)とが示されている。図6には、別の介助者40が行った左方向への寝返りの介助の動作に対応するセンサ情報(符号HD3)と、左向きの寝返りの介助の動作に対応するセンサ情報(符号HD4)とが示されている。
【0046】
図5図6とを比較すると、例えば、符号HD1、HD3の波形において最初に凡例A及び凡例Cの荷重Wが増大する点が共通する。しかしながら、符号HD1に示す波形では、荷重Wが増大する過程において、一旦増加した荷重が減少する状態が観測される。符号HD3に示す波形では、荷重Wが増大する過程において、一旦増加した荷重が減少するような状態は観測されない。符号HD1に示されるような一旦増加した荷重が減少する状態とは、例えば、介助者40が被介助者30を抱き上げるなどして、ベッドBにおいて被介助者30が横臥する位置を調整したりする介助を行ったことが考えられる。このような、介助者40が被介助者30を抱き上げるような介助は、介助者40に負担がかかることから、極力避けるように介助が行われる方が望ましい。一方、符号HD3では、荷重が安定しており途中で介助者40が被介助者30を抱き上げるなどの介助が行われることなく、スムーズな介助が行われたと考えられる。このように、同じ種別の介助が行われた場合であってもセンサ情報の特徴が異なる場合があり、この差異を利用することにより、介助の動作を評価する指標を算出することが可能となる。
【0047】
図7は、実施形態におけるセンサ情報の例を示す情報である。図7の横軸は時間T、縦軸は荷重Wを示している。図7の凡例Aは左側の上端に設置されたセンサ(すなわち荷重センサ10-1)、凡例Bは右側の上端に設置されたセンサ(すなわち荷重センサ10-4)、凡例Cは左側の下端に設置されたセンサ(すなわち荷重センサ10-2)、凡例Dは右側の下端に設置されたセンサ(すなわち荷重センサ10-4)によってそれぞれ測定された波形を示している。図7に示すように、例えば、センサ情報は、それぞれの荷重センサ10によって測定された荷重の時系列変化を示す情報である。
【0048】
図8から図11は、実施形態における評価指標情報252の例を示す図である。図8の横軸は時間T、縦軸は荷重Wを示している。図9の横軸は時間T、縦軸は合成荷重GWを示している。合成荷重GWは、複数のセンサ情報を代表する1つの波形の荷重を示す情報である。図8図9の凡例Aは左側の上端に設置されたセンサ(すなわち荷重センサ10-1)、凡例Bは右側の上端に設置されたセンサ(すなわち荷重センサ10-3)、凡例Cは左側の下端に設置されたセンサ(すなわち荷重センサ10-2)、凡例Dは右側の下端に設置されたセンサ(すなわち荷重センサ10-4)によってそれぞれ測定された波形を示している。
【0049】
図8に示すように、例えば、評価指標情報252は、基準とするセンサ情報の波形(基準情報251)と、評価対象とするセンサ情報の波形(評価対象情報250)とを横に並べて表示させた画像示す情報である。この例に示すように、評価指標情報252として、介助に要した時間(符号251T、及び符号250T)が表示されてもよい。
【0050】
図9に示すように、例えば、評価指標情報252は、基準とするセンサ情報を代表する1つの波形(符号251Z)と、評価対象とするセンサ情報を代表する1つの波形(符号250Z)とを重ねて表示させた画像示す情報である。
【0051】
図10には、評価指標情報252として類似度を算出する過程が模式的に示されている。この例に示すように、例えば、評価指標算出部22は、基準とするセンサ情報を代表する1つの波形(符号251Z)、またはその波形(符号251Z)から抽出した荷重の代表値(この例では、点a~d)に基づいたn次元ベクトルv=(a、b、c、d)を算出する。また、評価指標算出部22は、評価対象とするセンサ情報を代表する1つの波形(符号250Z)、またはその波形(符号250Z)から抽出した荷重の代表値(この例では、点a#~d#)に基づいたn次元ベクトルt=(a#、b#、c#、d#)を算出する。そして、評価指標算出部22は、n次元ベクトルv、及びtのコサイン類似度を、評価指標情報252として算出する。
【0052】
図11には、評価指標情報252として、学習済みモデルを用いて類似度を算出する過程が模式的に示されている。この例に示すように、例えば、評価指標算出部22は、基準とする複数のセンサ情報の波形(符号251Z-1、251Z-2、…)に、ラベルを付与した学習用のデータセットを生成する。ラベルは波形に対応する介助の動作の良し悪しを示す情報である。この例に示すように、ラベルは、良し悪しの2値ではなく、良い、やや良い、普通、悪い等、複数のレベルに対応する判断結果を示す情報であってもよい。評価指標算出部22は、生成した学習用のデータセットを学習モデルM1に機械学習させることにより、学習済みモデルM2を作成する。評価指標算出部22は、評価対象とするセンサ情報の波形(符号250Z)を学習済みモデルM2に入力して得られた出力(この例では、評価推定値:良い度合83%)を類似度とする。
【0053】
図12は、実施形態における評価システム1が行う処理の流れを示すシーケンス図である。評価システム1が行う処理には、センサ情報を取得する処理(ステップS100)と、取得したセンサ情報を用いて評価指標を算出する処理(ステップS200)とで構成される。例えば、センサ情報を取得する処理(ステップS100)が繰り返し行われ、複数のセンサ情報が蓄積された時点で、評価指標を算出する処理(ステップS200)が行われる。
【0054】
ステップS100において、まず、介助者40による介助が行われる(ステップS10)。この場合、例えば、荷重センサ10に、介助者40の識別情報を示す介助者IDが荷重センサ10に通知される。荷重センサ10は、介助者40による介助が行われる期間において、ベッドBから床面に作用する荷重を定期的に測定する(ステップS11)。荷重センサ10は、測定した荷重を、介助者IDなどと対応付けて評価装置20に送信する。評価装置20は、荷重センサ10によって測定された荷重を定期的に繰り返し受信することによってセンサ情報を取得する(ステップS12)。
【0055】
ステップS200において、評価装置20は、複数のセンサ情報から、評価対象情報250を選択する(ステップS20)。評価装置20は、例えば、複数のセンサ情報のうち、基準情報として選択したものを除いたセンサ情報から、1つ又は複数のセンサ情報を、評価対象情報250として選択する。次に、評価装置20は、複数のセンサ情報から、基準情報251を選択する(ステップS21)。評価装置20は、例えば、複数のセンサ情報のうち、熟練者によって行われた介助の動作に対応するセンサ情報から、1つ又は複数のセンサ情報を、基準情報251として選択する。評価指標算出部22は、選択した基準情報251と評価対象情報250を用いて、評価指標を算出する(ステップS22)。
【0056】
なお、上記では、評価対象情報250を選択した後に、基準情報251を選択する場合を例示して説明したが、これに限定されない。評価装置20は、基準情報251を選択した後に、評価対象情報250を選択するようにしてもよい。
【0057】
以上、説明したように、実施形態の評価システム1は、介助者40がベッドB(「寝台」の一例)の上の人間または人形の体位変換を介助する動作を評価する評価指標を算出する評価指標算出システムである。評価システム1は、センサ情報取得部21と、評価指標算出部22とを備える。センサ情報取得部21は、センサ情報を取得する。センサ情報は、介助する動作が行われた期間において、前記寝台の複数個所のそれぞれから床面に作用した荷重の時系列変化を示す情報である。評価指標算出部22は、センサ情報取得部21によって取得された複数のセンサ情報から、評価の基準とする基準情報251、及び基準情報とは異なる評価対象情報250を選択する。評価指標算出部22は、選択した基準情報251、及び評価対象情報250を用いて、評価指標情報252を算出する。評価指標情報252は、評価対象情報250に対応する介助を評価する情報である。
【0058】
また、実施形態では、センサ情報取得部21が、介助する動作が行われた期間において、ベッドBの複数個所のそれぞれに設けられた荷重センサ10によって測定された、ベッドBから床面に作用した荷重の時系列変化を示すセンサ情報を取得する。これにより、介助の動作を評価することが可能な定量的な情報を取得することが可能となる。しかもベッドBに荷重センサ10を設ける構成は、従来から被介助者30の生体情報を取得するために用いられている構成である。したがって、専用の設備を設けなくとも、既存の設備を流用して容易に、介助の動作を評価することが可能な情報を取得できる。
【0059】
また、実施形態では、センサ情報取得部21は、ベッドBの複数の脚部と床面との間にそれぞれ配置された荷重センサ10-1~10-4からセンサ情報を取得する。これにより、左右の寝返りなど、左右で異なる荷重が測定され得る介助の動作を、より精度よく評価することが可能な情報を取得することができる。
【0060】
また、実施形態の評価システム1では、評価指標算出部22は、基準情報251及び評価対象情報250を互いに比較可能な態様にて示す(波形の)画像を、前記評価指標情報として算出する。或いは、評価指標算出部22は、基準とする複数のセンサ情報を代表する1つの波形(「基準情報の代表値」の一例)、及び評価対象とする複数のセンサ情報を代表する1つの波形(「評価対象情報の代表値」の一例)を互いに比較可能な態様にて示す画像を、前記評価指標情報として算出する。これにより、実施形態の評価システム1では、介助の動作における、見本の動作との差異を介助者40などに認識させることが可能である。
【0061】
また、実施形態の評価システム1では、評価指標算出部22は、基準情報251及び評価対象情報250が互いに類似度(「類似する度合」の一例)を、前記評価指標情報として算出する。これにより、実施形態の評価システム1では、介助の動作における、見本の動作との類似度を介助者40などに認識させることが可能である。
【0062】
また、実施形態の評価システム1では、評価指標算出部22は、学習済モデルに、評価対象情報250を入力することによって学習済モデルから出力される出力値を、評価指標情報として算出する。学習済モデルは、評価対象情報250を入力、評価対象情報250に対応する介助の良し悪しを示すラベル(「評価値」の一例)を出力とする学習用データセットにおける入出力の関係を学習したモデルである。これにより、実施形態の評価システム1では、学習済みモデルを用いて推定される介助の動作の良し悪しを介助者40などに認識させることが可能である。
【0063】
上述した実施形態における評価システム1、及び評価装置20の全部または一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0064】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0065】
1…評価システム(評価指標算出システム)、10…荷重センサ、20…評価装置(評価指標算出装置)、21…センサ情報取得部、22…評価指標算出部、23…算出結果出力部、24…装置制御部、25…記憶部、250…評価対象情報、251…基準情報、252…評価指標情報、26…表示部
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