(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022057439
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】電動アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
H02K 7/116 20060101AFI20220404BHJP
F16H 1/32 20060101ALI20220404BHJP
F16H 57/021 20120101ALI20220404BHJP
H02K 7/00 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
H02K7/116
F16H1/32 A
F16H57/021
H02K7/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020165702
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】日本電産トーソク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】白井 寛
(72)【発明者】
【氏名】小牧 親夫
【テーマコード(参考)】
3J027
3J063
5H607
【Fターム(参考)】
3J027GC02
3J027GC22
3J027GD04
3J027GD08
3J063AC01
3J063CD42
5H607AA12
5H607BB01
5H607BB07
5H607BB14
5H607CC03
5H607CC09
5H607DD04
5H607EE33
5H607GG01
5H607GG08
5H607HH01
5H607HH09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】小型の電動アクチュエータを提供する。
【解決手段】電動アクチュエータ10は、中心軸を中心としてモータ部20により回転駆動され軸方向に貫通穴25を備えたモータシャフト21と、貫通穴に軸方向一方側が通され、モータシャフトの回転が伝達される出力シャフト41と、を有する。モータシャフトの軸方向他方側には、貫通穴につながる軸方向の窪み部26が設けられる。出力シャフトの軸方向他方側には、出力シャフトの回転が伝達される被駆動体が軸方向他方側から連結される連結部42が設けられる。連結部の軸方向一方側は、窪み部に挿入されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸を中心としてモータ部により回転駆動され軸方向に貫通穴を備えたモータシャフトと、
前記貫通穴に軸方向一方側が通され、前記モータシャフトの回転が伝達される出力シャフトと、
を有し、
前記モータシャフトの軸方向他方側には、前記貫通穴につながる軸方向の窪み部が設けられ、
前記出力シャフトの軸方向他方側には、前記出力シャフトの回転が伝達される被駆動体が軸方向他方側から連結される連結部が設けられ、
前記連結部の軸方向一方側は、前記窪み部に挿入されている、電動アクチュエータ。
【請求項2】
前記出力シャフトは、軸方向一方側の端部および他方側端部が前記モータシャフトから突出し、
前記出力シャフトの軸方向一方側の端部は、第1ベアリングを介してケースに支持され、
前記出力シャフトの軸方向他方側の端部は、前記連結部が第2ベアリングを介して前記ケースに支持される、請求項1に記載の電動アクチュエータ。
【請求項3】
前記モータ部は、前記中心軸を中心として回転可能なロータを備え、
前記モータシャフトは、
前記ロータに固定される第1軸部と、
前記第1軸部の軸方向他方側に位置し、前記第1軸部よりも直径が大きい第2軸部と、
を有し、
前記窪み部は、前記第2軸部に設けられている、請求項1または2に記載の電動アクチュエータ。
【請求項4】
前記連結部は筒部を有し、
前記筒部の内径に前記被駆動体が連結される連結凹部を有する、請求項3に記載の電動アクチュエータ。
【請求項5】
前記モータシャフトは、前記第2軸部で第3ベアリングに支持される、請求項3または4に記載の電動アクチュエータ。
【請求項6】
前記モータ部は、前記ロータと隙間を介して径方向に対向するステータを有し、
前記ステータは、
周方向に沿った環状のステータコアと、
前記ステータコアに装着されるインシュレータと、
を有し、
前記第3軸受の軸方向一方側の端部は、前記ロータの軸方向他方側の端部と、前記インシュレータの軸方向他方側の端部との間に位置する、請求項3から5のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
【請求項7】
前記モータシャフトの軸方向他方側の部分に連結される減速機構を備え、
前記出力シャフトは、前記減速機構を介して前記モータシャフトの回転が伝達される、請求項1から6のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
モータ部の回転が減速機を介して伝達される電動アクチュエータが知られている。例えば、特許文献1には、モータ軸、減速ギヤおよび車両側とのインターフェースであるスプラインが一軸上に構成され、当該スプラインが突出した電動アクチュエータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一軸上に多くの機能部品を構成するため、軸方向の体格が大きくなるという問題があった。
【0005】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、小型の電動アクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電動アクチュエータの一つの態様は、中心軸を中心としてモータ部により回転駆動され軸方向に貫通穴を備えたモータシャフトと、前記貫通穴に軸方向一方側が通され、前記モータシャフトの回転が伝達される出力シャフトと、を有し、前記モータシャフトの軸方向他方側には、前記貫通穴につながる軸方向の窪み部が設けられ、前記出力シャフトの軸方向他方側には、前記出力シャフトの回転が伝達される被駆動体が軸方向他方側から連結される連結部が設けられ、前記連結部の軸方向一方側は、前記窪み部に挿入されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、小型の電動アクチュエータを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態の電動アクチュエータを示す断面図である。
【
図2】
図2は、本実施形態の電動アクチュエータを示す断面図であって、
図1におけるII-II断面図である。
【
図3】
図3は、本実施形態の電動アクチュエータの一部を示す概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る電動アクチュエータについて説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
【0010】
各図においてZ軸方向は、正の側を上側とし、負の側を下側とする上下方向である。各図に適宜示す中心軸J1の軸方向は、Z軸方向、すなわち上下方向と平行である。以下の説明においては、特に断りのない限り、中心軸J1の軸方向と平行な方向を単に「軸方向」と呼ぶ。また、特に断りのない限り、中心軸J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸J1を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
【0011】
本実施形態において、上側は、軸方向一方側に相当し、下側は、軸方向他方側に相当する。なお、上側および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0012】
図1から
図3に示す本実施形態の電動アクチュエータ10は、例えば、車両に搭載される電動アクチュエータである。
図1および
図3に示すように、電動アクチュエータ10は、ケース11と、仕切部材15と、中心軸J1を中心として回転するモータシャフト21を有するモータ部20と、第1ベアリング53と、第2ベアリング51と、第3ベアリング52と、減速機構30と、出力シャフト41と、磁気センサ63と、回路基板70と、バスバーホルダ140と、を備える。
【0013】
図1に示すように、ケース11は、仕切部材15、モータ部20、モータシャフト21、減速機構30、出力シャフト41、磁気センサ63、回路基板70およびバスバーホルダ140を収容している。ケース11は、上側に開口する下ケース11Aと、下ケース11Aの開口部に固定された上ケース11Bとを有する。
【0014】
下ケース11Aは、中心軸J1を中心として軸方向に延びる円筒状である。下ケース11Aは、基板収容部13aと、ケース筒部13bと、出力部収容部13cと、ベアリング保持部13dとを有する。基板収容部13aは、回路基板70およびバスバーホルダ140を収容する部分である。基板収容部13aは、上側に開口する。基板収容部13aは、下ケース11Aの上側部分の径方向内側に構成される。基板収容部13aの底面は、回路基板70およびバスバーホルダ140を支持して固定する支持面12である。支持面12は、上側に向いている。
【0015】
ケース筒部13bは、モータ部20の径方向外側を囲む。出力部収容部13cは、後述する出力部46を収容する部分である。ベアリング保持部13dは、第3ベアリング52を保持する。ベアリング保持部13dは、中心軸J1を中心としてケース11の下端部から上側に延びている。
【0016】
上ケース11Bは、下側に開口する凹部16aを有する容器状の部材である。上ケース11Bと下ケース11Aとは、上ケース11Bを軸方向に貫通する複数のボルトにより締結されている。本実施形態において上ケース11Bは、下ケース11Aの開口を上側から覆う蓋部に相当する。上ケース11Bは、ベアリング保持部16bを有する。ベアリング保持部16bは、第1ベアリング53を保持する。ベアリング保持部16bは、中心軸J1を中心として下側に延びている。
【0017】
モータ部20の中心軸は、中心軸J1である。
図1に示すように、モータ部20は、ロータ22と、ステータ23と、を有する。ロータ22は、モータシャフト21と、ロータコア22aと、マグネット40と、を有する。
【0018】
モータシャフト21は、第1軸部21aと、第2軸部21bと、貫通穴25と、を備えている。第1軸部21aは、軸方向に延びモータシャフト21の上側に位置する。第2軸部21bは、軸方向に延びモータシャフト21の下側に位置する。第2軸部21bの直径は、第1軸部21aの直径よりも大きい。より詳細には、第2軸部21bの外径は、第1軸部21aの外径よりも大きい。第2軸部21bは、中心軸J1に対して偏心した偏心軸J2を中心とする偏心軸部である。偏心軸J2は、中心軸J1と平行である。貫通穴25は、中心軸J1を中心として延びている。従って、第1軸部21aは、中心軸J1を中心として延びる円筒状である。第2軸部21bは、下側に軸方向の窪み部26を有する。窪み部26は、偏心軸J2を中心として延びている。従って、第2軸部21bは、偏心軸J2を中心として延びる円筒状である。窪み部26の上側は、貫通穴25の下側とつながっている。モータシャフト21は、第2軸部21bが第3ベアリング52によって、偏心軸J2回りに回転可能に支持される。
【0019】
出力シャフト41は、減速機構30を介してモータシャフト21の回転が伝達される。出力シャフト41は、軸部41aと連結部42とを有する。軸部41aは上側に位置し、連結部42は下側に位置する。軸部41aは、中心軸J1を中心として延びる円柱状である。軸部41aの上側は、モータシャフト21の貫通穴25に通されている。軸部41aの上側端部は、モータシャフト21の上側に突出している。モータシャフト21の上側に突出する軸部41aの上側端部は、第1ベアリング53によって、中心軸J1回りに回転可能に支持される。モータシャフト21の上側端部は、第1ベアリング53を介してケース11に支持される。
【0020】
連結部42の下側端部は、モータシャフト21の下側に突出している。モータシャフト21の下側に突出する連結部42の下側端部は、第2ベアリング51によって、中心軸J1回りに回転可能に支持される。モータシャフト21の下側端部は、第2ベアリング51を介してケース11に支持される。出力シャフト41は、軸方向の端部が第1ベアリング53および第2ベアリング51によって中心軸J1回りに回転可能に支持される。従って、貫通穴25に出力シャフト41の軸部41aが通されたモータシャフト21は、軸部41aによって、中心軸J1回りに回転可能に支持される。
【0021】
第1ベアリング53、第2ベアリング51および第3ベアリング52は、それぞれ内輪と内輪の径方向外側に位置する外輪とを有する転がり軸受である。本実施形態において第1ベアリング53、第2ベアリング51および第3ベアリング52は、例えば、内輪と外輪とが複数のボールを介して連結されるボールベアリングである。
【0022】
連結部42の上側は、モータシャフト21の窪み部26に挿入されている。連結部42の上側がモータシャフト21の窪み部26に挿入されていることにより、出力シャフト41の軸方向の長さを短くできる。従って、電動アクチュエータ10の軸方向の長さを短くして小型化できる。
【0023】
連結部42は、中心軸J1を中心として延びる円筒状の筒部44を有する。筒部44の内径には、連結凹部45が設けられている。連結凹部45は、出力シャフト41の下側の端部から上側に窪む。連結凹部45は、軸方向に沿って視て、中心軸J1を中心とする略円形状である。連結凹部45の内周面には、周方向に沿って複数のスプライン溝が設けられる。連結凹部45には、電動アクチュエータ10の駆動力が出力される他の部材が挿入されて連結される。他の部材は、例えば、車両におけるマニュアルシャフトである。電動アクチュエータ10は、運転者のシフト操作に基づいてマニュアルシャフトを駆動させ、車両のギアを切り換える。
【0024】
連結部42が上側に窪む連結凹部45を有することにより、連結部42が下側に突出した軸状である場合と比較して出力シャフト41の軸方向の長さを短くできる。従って、電動アクチュエータ10の軸方向の長さを短くして小型化できる。第1ベアリング53がケース11に設けられたベアリング保持部16bに保持され、第2ベアリング51がケース11に設けられたベアリング保持部13dに保持されることで、中心軸J1に対する出力シャフト41の同軸度を向上させることができる。第1ベアリング53がケース11に設けられたベアリング保持部16bに保持され、第2ベアリング51がケース11に設けられたベアリング保持部13dに保持されることで、第1ベアリング53および第2ベアリング51を保持する別途設ける必要がなくなり、コスト減および電動アクチュエータ10の小型化に寄与できる。
【0025】
ロータコア22aは、モータシャフト21の外周面に固定される。より詳細には、ロータコア22aは、第1軸部21aの外周面に固定される。ロータコア22aの周縁部は、下ケース11Aに下側から支持された後述する仕切部材15に下側から支持される。仕切部材15は、ロータコア22aを下側から支持する支持部材である。マグネット40は、ロータコア22aの径方向外側に固定される。マグネット40は、周方向に間隔をあけて複数配置される。
【0026】
ステータ23は、ロータ22の径方向外側に位置する。ステータ23は、ステータコア23aと、複数のコイル23bと、を有する。ステータコア23aは、ロータ22の径方向外側を囲む円環状である。ステータコア23aの外周面24aは、ケース筒部13bの内周面に固定される。複数のコイル23bは、例えば図示しないインシュレータを介して、ステータコア23aのティースに装着される。
【0027】
ステータ23は、外周面24aよりも径方向内側に、
図2に示すように、外周面24bを有する。外周面24bは、磁極毎に配置されている。軸方向に見て外周面24bは、周方向の磁極中心と直交する。ステータ23の外周面24bには、径方向内側に窪む溝部27が設けられている。溝部27は、軸方向に延びている。溝部27は、ステータコア23aの外周面24aよりも上側と下側とにそれぞれ配置されている。溝部27は、周方向に間隔をあけて複数配置されている。
【0028】
バスバーホルダ140は、ロータ22の上側に配置されている。バスバーホルダ140は、円環板状である。
図1に示すように、バスバーホルダ140は、スペーサー143を有する。スペーサー143は、軸方向に延びる円筒状である。スペーサー143は、バスバーホルダ140の上側に突出する。スペーサー143の上端は、回路基板70の下側に接する。バスバーホルダ140と回路基板70とは、上側から回路基板70とスペーサー143とを貫通するボルト144により下ケース11Aの支持面12にネジ止めされている。ボルト144は、例えば、3つ設けられている。バスバーホルダ140と回路基板70とは、軸方向に見てスペーサー143と重なる位置でを上側からボルト144によりネジ止めされる。ネジ止めされた回路基板70は、バスバーホルダ140の上側に隙間をあけて配置される。回路基板70とバスバーホルダ140との隙間の寸法は、スペーサー143がバスバーホルダ140の上側に突出する寸法である。
【0029】
バスバーホルダ140は、下側に延びる周壁部141を有する。周壁部141は、ステータ23の外周面24bより径方向外側に位置する。周壁部141は、ステータ23の外周面24aより径方向内側に位置する。周壁部141の下側の端部は、バスバーホルダ140が支持面12にネジ止めされたときに、ステータ23の上側に接する。
【0030】
バスバーホルダ140が下ケース11Aの支持面12にネジ止めされたときに、周壁部141の下側の端部がステータ23の上側に接することで、仕切部材15に下側から支持されたステータ23は、下ケース11Aに軸方向に位置決めされて固定される。
【0031】
図2に示すように、バスバーホルダ140の周壁部141は、径方向内側に突出する突起部142を有する。突起部142は、軸方向に延びている。突起部142は、突起部142の周方向の位置は、ステータ23の溝部27の周方向の位置と同一である。突起部142は、溝部27と径方向で対向する。周壁部141の径方向内側に突出する突起部142は、溝部27に挿入される。突起部142が溝部27に挿入されたバスバーホルダ140は、ステータ23と周方向に位置決めされる。上側に開口する溝部27に対して、上側から突起部142を挿入しながらバスバーホルダ140を基板収容部13aに収容したときに、バスバーホルダ140をステータ23および下ケース11Aに対して周方向に位置決めできる。従って、バスバーホルダ140が下ケース11Aの支持面12にネジ止めされたときに、バスバーホルダ140、ステータ23および下ケース11Aを、周方向および軸方向に互いに位置決めできる。
【0032】
バスバーホルダ140は、磁気センサ63と、導電線64と、複数のバスバー150と、を保持する。本実施形態においてバスバーホルダ140と磁気センサ63と導電線64とスペーサー143と複数のバスバー150とは、樹脂成形されて一体化した成形体である。より詳細には、バスバーホルダ140は、磁気センサ63と導電線64とスペーサー143とバスバー150とをインサート部材とするインサート成形によって作られている。
【0033】
磁気センサ63は、マグネット40の磁界を検出可能である。磁気センサ63は、例えば、ホール素子である。磁気センサ63は、バスバーホルダ140の下側に固定されている。磁気センサ63は、マグネットの上側に隙間を介して対向して配置されている。
図2に示すように、磁気センサ63は、周方向に間隔をあけて三つ配置されている。磁気センサ63同士の周方向の間隔は、磁極の周方向の間隔と同一である。磁気センサ63は、マグネット40の磁界を検出することでマグネット40の回転位置を検出してモータシャフト21の回転を検出する。
【0034】
本実施形態の電動アクチュエータ10によれば、バスバーホルダ140に配置された磁気センサ63がマグネット40の磁界を検出するため、磁気センサを実装させるための余剰な基板を別途要さない。本実施形態の電動アクチュエータ10によれば、磁気センサ63とバスバーホルダ140とは樹脂成形されて一体化した成形体であり、バスバーホルダ140は下ケース11Aの支持面12にネジ止めして組み立てたときに、ステータ23と周方向および軸方向に位置決めできる。本実施形態の電動アクチュエータ10によれば、組み立て精度によっては進角ずれが生じ、モータの回転制御の精度が低下することを抑制できる。
【0035】
導電線64は、一端が磁気センサ63と電気的に接続されている。導電線64は、磁気センサ63から延びる端子であってもよいし、一端側が磁気センサ63に接続されたバスバーであってもよい。導電線64は、バスバーホルダ140の内部からバスバーホルダ140を貫通し、他端側がはんだ付け、溶接、圧入などの接続方法によって回路基板70に電気的に接続されている。
【0036】
回路基板70は、軸方向と直交する平面に拡がる板状である。回路基板70は、下ケース11Aに収容される。より詳細には、回路基板70は、基板収容部13a内に収容される。回路基板70は、モータ部20と電気的に接続される基板である。回路基板70は、例えば、モータ部20に供給される電流を制御する。すなわち、回路基板70には、例えば、インバータ回路が搭載される。
【0037】
図3に示すように、バスバー150の一方側の端部150aは、ステータ23のコイル23bから引き出されるコイル引出線を把持し、半田付けまたは溶接によりコイル23bと接続されている。バスバー150の他方側の端部150bは、バスバーホルダ140の上面から上側へ突出している。本実施形態においてバスバー150の他方側の端部150bは、回路基板70を下側から上側に貫通している。端部150bは、回路基板70を貫通する位置で、はんだ付け、溶接、圧入などの接続方法によって回路基板70と電気的に接続されている。これにより、回路基板70は、バスバー150を介してモータ部20と電気的に接続されている。
【0038】
減速機構30は、モータシャフト21における第2軸部21bの径方向外側と、出力シャフト41における連結部42の径方向外側とに配置される。減速機構30は、モータ部20の下側に配置される。仕切部材15は、ステータ23と減速機構30との軸方向の間に配置される。減速機構30は、外歯ギア31と、内歯ギア32と、出力部46と、複数の突出部43と、を有する。
【0039】
外歯ギア31は、偏心軸部21bの偏心軸J2を中心として、偏心軸J2の径方向に広がる円環板状である。外歯ギア31の径方向外側面には、歯車部が設けられている。外歯ギア31の歯車部は、外歯ギア31の外周に沿って並ぶ複数の歯部を有する。
【0040】
外歯ギア31は、モータシャフト21に連結されている。より詳細には、外歯ギア31は、モータシャフト21の偏心軸部21bに第3ベアリング52を介して連結されている。これにより、モータシャフト21は、減速機構30に連結されている。外歯ギア31は、第3ベアリング52の外輪に径方向外側から嵌め合わされている。偏心軸部21bは、第3ベアリング52の内輪に径方向外側から嵌め合わされている。これにより、第3ベアリング52は、モータシャフト21と外歯ギア31とを、偏心軸J2回りに相対的に回転可能に連結している。
【0041】
本実施形態において外歯ギア31は、複数の穴部31aを有する。本実施形態において穴部31aは、外歯ギア31を軸方向に貫通している。複数の穴部31aは、周方向に沿って配置されている。より詳細には、複数の穴部31aは、偏心軸J2を中心とする周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。穴部31aは、軸方向に見て円形状である。穴部31aは、内径が突出部43の外径よりも大きい。なお、穴部31aは、底部を有する穴であってもよい。
【0042】
内歯ギア32は、外歯ギア31の径方向外側に位置し、外歯ギア31を囲む環状である。本実施形態において内歯ギア32は、中心軸J1を中心とする円環状である。内歯ギア32の径方向外縁部は、ケース筒部13bの内周面に設けられた径方向内側に窪む段差部13eに配置されて固定される。これにより、減速機構30は、下ケース11Aに保持される。内歯ギア32は、外歯ギア31と噛み合っている。内歯ギア32の径方向内側面には、歯車部が設けられている。内歯ギア32の歯車部は、内歯ギア32の内周に沿って並ぶ複数の歯部を有する。本実施形態において内歯ギア32の歯車部は、周方向の一部のみにおいて外歯ギア31の歯車部と噛み合っている。
【0043】
出力部46は、中心軸J1を中心として径方向に拡がる円環板状である。出力部46は、外歯ギア31の下側に位置する。出力部46は、出力シャフト41の外周面に固定される。より詳細には、出力部46は、出力シャフト41の連結部42の外周面に固定される。
【0044】
複数の突出部43は、出力部46に、例えば、溶接により固定されている。複数の突出部43は、出力部46から上側に突出する。すなわち、複数の突出部43は、出力部46から外歯ギア31に向かって突出する。突出部43は、円柱状である。複数の突出部43は、周方向に沿って配置される。より詳細には、複数の突出部43は、中心軸J1を中心とする周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。
突出部43の数は、例えば、8つである。
【0045】
複数の突出部43は、複数の穴部31aにそれぞれ挿入される。突出部43の外周面は、穴部31aの内周面と内接する。これにより、複数の突出部43は、穴部31aの内側面を介して、外歯ギア31を中心軸J1回りに揺動可能に支持する。
【0046】
本実施形態において穴部31aおよび突出部43は、径方向に沿って視て、第3ベアリング52および第2軸部21bと重なる。言い換えれば、穴部31aと突出部43と第3ベアリング52と第2軸部21bとのそれぞれは、軸方向において互いに同じ位置に位置する部分を有する。
【0047】
モータシャフト21が中心軸J1回りに回転されると、偏心軸部である第2軸部21bは、中心軸J1を中心として周方向に公転する。第2軸部21bの公転は第3ベアリング52を介して外歯ギア31に伝達され、外歯ギア31は、穴部31aの内周面と突出部43の外周面との内接する位置が変化しつつ、揺動する。これにより、外歯ギア31の歯車部と内歯ギア32の歯車部とが噛み合う位置が、周方向に変化する。したがって、内歯ギア32に、外歯ギア31を介してモータシャフト21の回転力が伝達される。
【0048】
ここで、本実施形態では、内歯ギア32は固定されているため回転しない。そのため、内歯ギア32に伝達される回転力の反力によって、外歯ギア31が偏心軸J2回りに回転する。このとき外歯ギア31の回転する向きは、モータシャフト21の回転する向きと反対向きとなる。外歯ギア31の偏心軸J2回りの回転は、穴部31aと突出部43とを介して、出力部46に伝達される。これにより、出力シャフト41が中心軸J1回りに回転する。このようにして、出力シャフト41には、減速機構30を介してモータシャフト21の回転が伝達される。
【0049】
出力シャフト41の回転は、減速機構30によって、モータシャフト21の回転に対して減速される。具体的に、本実施形態の減速機構30の構成では、モータシャフト21の回転に対する出力シャフト41の回転の減速比Rは、R=-(N2-N1)/N2で表される。減速比Rを表す式の先頭の負符号は、モータシャフト21の回転する向きに対して、減速される出力シャフト41の回転の向きが逆向きとなることを示している。N1は、外歯ギア31の歯数であり、N2は、内歯ギア32の歯数である。一例として、外歯ギア31の歯数N1が59で、内歯ギア32の歯数N2が60の場合、減速比Rは、-1/60となる。
【0050】
このように、本実施形態の減速機構30によれば、モータシャフト21の回転に対する出力シャフト41の回転の減速比Rを比較的大きくできる。そのため、出力シャフト41の回転トルクを比較的大きくできる。
【0051】
本発明が適用される電動アクチュエータは、電力が供給されることで対象となる物体を動かすことができる装置であればよく、減速機構を備えないモータであってもよい。また、電動アクチュエータは、モータ部によって駆動されるポンプ部を備える電動ポンプであってもよい。電動アクチュエータの用途は、特に限定されない。電動アクチュエータは、運転者のシフト操作に基づいて駆動されるシフト・バイ・ワイヤ方式のアクチュエータ装置に搭載されてもよい。また、電動アクチュエータは、車両以外の機器に搭載されてもよい。なお、本明細書において説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0052】
10…電動アクチュエータ、 12…支持面、 15…支持部材(仕切部材)、 20…モータ部、 21…モータシャフト、21a…第1軸部、 21b…第2軸部(偏心軸部)、 22…ロータ、 23…ステータ、 24b…外周面、 25…貫通穴、 30…減速機構、 40…マグネット、 41…出力シャフト、 45…連結凹部、 51…第2ベアリング、52…第3ベアリング、 53…第1ベアリング、 63…磁気センサ、 64…導電線、 70…回路基板、 140…バスバーホルダ、 141…周壁部、 142…突起部、 143…スペーサー、 150…バスバー、 J1…中心軸、 J2…偏心軸