(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022057446
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】非空調の建物
(51)【国際特許分類】
F24F 7/007 20060101AFI20220404BHJP
F24F 13/22 20060101ALI20220404BHJP
E04B 1/70 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
F24F7/007 B
F24F7/007 101
F24F13/22 221
E04B1/70 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020165716
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】特許業務法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下町 浩二
(72)【発明者】
【氏名】工藤 隆一
(72)【発明者】
【氏名】本間 瑞基
(72)【発明者】
【氏名】黒木 洋
(72)【発明者】
【氏名】中垣 康平
【テーマコード(参考)】
2E001
3L056
【Fターム(参考)】
2E001DB02
2E001DB05
2E001FA24
2E001NA05
2E001ND11
2E001QA02
3L056BD02
3L056BD03
3L056BG02
3L056BG04
(57)【要約】
【課題】土間床の結露を効果的に防止することができる非空調の建物を提供すること。
【解決手段】非空調の建物の倉庫(1)は、土間床(11)を有する。倉庫(1)は、屋内空間(10)に配置され、土間床(11)側に送風可能な送風機(20)と、土間床(11)の表面温度を検知する土間床温度センサ(42)と、土間床(11)の表面温度が屋内空間(10)の温度よりも低い場合に、送風機(20)を駆動する制御装置(50)とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土間床を有する非空調の建物であって、
屋内空間に配置され、前記土間床側に送風可能な送風機と、
前記土間床の表面温度を検知する土間床温度センサと、
前記土間床の表面温度が前記屋内空間の温度よりも低い場合に、前記送風機を駆動する制御装置とを備える、非空調の建物。
【請求項2】
前記制御装置は、前記土間床の表面温度が前記屋内空間の温度よりも低く、かつ、前記屋内空間の露点温度が前記土間床の表面温度よりも低い場合に、前記送風機を駆動して結露乾燥運転を行う、請求項1に記載の非空調の建物。
【請求項3】
前記制御装置は、前記土間床の表面温度が前記屋内空間の露点温度よりも高い場合であっても、前記土間床の表面温度と前記屋内空間の露点温度との差が所定温度以下である場合に、前記送風機を駆動させて結露予防運転を行う、請求項2に記載の非空調の建物。
【請求項4】
前記結露予防運転は、前記結露乾燥運転よりも弱運転である、請求項3に記載の非空調の建物。
【請求項5】
前記屋内空間の空気を換気するための換気扇をさらに備え、
前記制御装置は、所定の換気条件を満たし、かつ、前記土間床の表面温度が屋外の露点温度よりも高い場合に、前記換気扇を駆動する、請求項1~4のいずれかに記載の非空調の建物。
【請求項6】
前記送風機は、前記土間床に向かって送風するシーリングファンである、請求項1~5のいずれかに記載の非空調の建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非空調の建物に関し、特に、土間床を有する非空調の建物に関する。
【背景技術】
【0002】
物流倉庫などの倉庫には一般的に冷暖房設備がなく、複数の物品が常温で保管される。このような常温倉庫の多くは、屋内空間の空気を換気するための換気扇、および、屋内空間の空気を循環させる送風機を備えているものの、除湿機などは備えていない。
【0003】
特開2019-49400号公報(特許文献1)には、換気扇と、保管物間の隙間に空気流を送り込むエアサーキュレータとが設けられ、屋内空間の相対湿度および絶対湿度、屋外の絶対湿度などに基づいて、換気扇およびエアサーキュレータの駆動を制御して、屋内空間の湿気を減少させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術では、屋内空間の湿気を減少させることが可能であるものの、所定の時期に突発的に発生する土間床の結露対策としては十分な効果が得られていない。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、土間床の結露を効果的に防止することができる非空調の建物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明のある局面に従う非空調の建物は、土間床を有し、屋内空間に配置され、土間床側に送風可能な送風機と、土間床の表面温度を検知する土間床温度センサと、土間床の表面温度が屋内空間の温度よりも低い場合に、送風機を駆動する制御装置とを備える。
【0008】
好ましくは、制御装置は、土間床の表面温度が屋内空間の温度よりも低く、かつ、屋内空間の露点温度が土間床の表面温度よりも低い場合に、送風機を駆動して結露乾燥運転を行う。
【0009】
好ましくは、制御装置は、土間床の表面温度が屋内空間の露点温度よりも高い場合であっても、土間床の表面温度と屋内空間の露点温度との差が所定温度以下である場合に、送風機を駆動させて結露予防運転を行う。
【0010】
好ましくは、結露予防運転は、結露乾燥運転よりも弱運転である。
【0011】
好ましくは、屋内空間の空気を換気するための換気扇をさらに備え、制御装置は、所定の換気条件を満たし、かつ、土間床の表面温度が屋外の露点温度よりも高い場合に、換気扇を駆動する。
【0012】
好ましくは、送風機は、土間床に向かって送風するシーリングファンである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、非空調の建物の土間床の結露を効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態に係る倉庫の概略構成を示す縦断面図である。
【
図2】本発明の実施の形態における制御装置が実行する処理を示すフローチャートである。
【
図3】倉庫内の屋内空間の温度、土間床の表面温度、屋内空間の露点温度および屋外の温度の遷移を示すグラフである。
【
図4】本発明の実施の形態における制御装置が実行する処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0016】
(構成について)
はじめに、
図1を参照して、本実施の形態に係る非空調の建物の構成例について説明する。
図1は、本実施の形態に係る非空調の建物の概略構成を示す縦断面図である。非空調の建物は、典型的には空調設備が設けられていない倉庫であり、たとえば空調設備が設けられていない工場などの建物であってもよい。本実施の形態では、非空調の建物は、倉庫であるとして説明する。
【0017】
倉庫1は、土間床11、天井12、および外壁13によって囲まれた屋内空間10を有している。この屋内空間10には、多数の保管物(図示せず)が常温で収容されている。保管物は、土間床11上に積み上げられている。
【0018】
保管物は、たとえば物品とそれを梱包する段ボール箱とによって構成される。段ボール箱は、湿気に弱いため、土間床11に結露が生じると、劣化するおそれがある。また、保管物は、フォークリフトなどで移動されるものの、土間床11に結露が生じると、運転に支障が生じる場合がある。そのため、倉庫1の土間床11の結露を防止することが望まれている。
【0019】
土間床11は、たとえばコンクリートなどを打設することにより形成される。土間床11の表面温度は、屋内空間10の温度変化よりも遅れて変化する。
【0020】
土間床11の結露は、たとえば数日間低温な気候が続くことで土間床11が冷却され、冷却された土間床11に高湿な外気が接触することで発生する。この事象が発生する時期は、たとえば3月から9月の間などである。
【0021】
倉庫1の屋根は、たとえば折板屋根である。折板屋根の裏面が天井12であり、天井12には送風機20が設けられている。送風機20は、屋内空間10に配置され、土間床11側に送風可能である。換言すると、送風機20は、土間床11の表面付近で空気流を起こすものである。送風機20は、典型的には土間床11に向かって送風するシーリングファンである。シーリングファンは、複数の羽部を有している。その羽部の長手方向の長さは、長いほど好ましく、たとえば2~4mである。シーリングファンを駆動させることで、土間床11に向かう上方から下方への空気流(風)を起こすことができる。
【0022】
なお、送風機20は、天井12に設けられるシーリングファンに限定されず、土間床11に載置され、土間床11の表面付近で土間床11の延在方向に沿って左右に風を起こす扇風機などであってもよい。
【0023】
外壁13には、屋内空間10の空気を換気するための換気扇30が設けられている。換気扇30は、たとえば給気ファンであり、具体的には有圧扇である。外壁13と対向する外壁(図示せず)には、たとえばガラリなどの排気口が設けられてもよい。そのため、換気扇30の駆動によって屋内空間10に外気が供給され、屋内空間10の空気が排気口から屋外に排気される。換気扇30と排気口とは、略同じ高さに設けられていることが好ましい。
【0024】
なお、屋内空間10の換気のための換気扇は、給気ファンに限定されず、排気ファンにより構成されてもよい。あるいは、給気ファンおよび排気ファンの双方を含んでもよい。
【0025】
本実施の形態に係る倉庫1は、屋内空間10に設けられる屋内センサ41と、土間床11の表面温度(以下、土間表面温度という)を計測するための土間床温度センサ42と、屋外空間60に設けられる屋外センサ43とを備えている。
【0026】
屋内センサ41は、屋内空間10の温度(以下、屋内温度という)および屋内相対湿度を検知する。検知された屋内温度および屋内相対湿度に基づいて、屋内露点温度を算出する。
【0027】
土間床温度センサ42は、倉庫1の屋内空間10の端部を除く領域に設けられ、たとえば屋内空間10の略中央に設けられる。換言すると、土間床温度センサ42は、送風機20からの風が当たる領域に設けられる。
【0028】
屋外センサ43は、屋外空間60の屋外温度(以下、屋外温度という)および屋外相対湿度を検知する。検知された屋外温度および屋外相対湿度に基づいて、屋外露点温度を算出する。
【0029】
送風機20、換気扇30、およびこれらのセンサ41,42,43は、制御装置50と電気的に接続されている。制御装置50は、センサ41,42,43から得られる検知信号に基づいて、送風機20および換気扇30の駆動(ON/OFF)を制御する。制御装置50は、メモリおよびプロセッサを含む一般的なコンピュータにより構成される。なお、センサ41,42,43に含まれる算出部の機能、すなわち絶対湿度の算出機能は、このコンピュータによって実現されてもよい。
【0030】
(送風機の制御について)
次に、
図2を参照して、送風機20の制御方法について説明する。
図2は、制御装置50が実行する送風機20の処理を示すフローチャートである。
【0031】
制御装置50は、屋内センサ41からの信号に基づいて、屋内空間10の屋内温度および屋内相対湿度を検出し、検出した屋内温度と屋内温度上限値とを比較する(ステップS1)。屋内温度上限値とは、異常に高湿な場合を除いて結露が発生しない温度であり、たとえば、26℃程度に設定することができる。26℃であれば、倉庫1内に滞在する作業員が不快に感じない。
【0032】
検出した屋内温度が屋内温度上限値(たとえば26℃)より高い場合は、送風機20を駆動させる(ステップS1にてYES、S4)。屋内温度が屋内温度上限値(たとえば26℃)より高くなると、送風機20を駆動させたとしても土間床11の表面温度は26℃程度にしかならない。異常に高湿な場合を除き、屋内露点温度は26℃程度であるため、土間床11に結露が発生することはまずない。しかし、屋内温度が屋内温度上限値(たとえば26℃)より高くなると、倉庫1内に滞在する作業員が不快に感じることがあるため、その不快感を軽減させるために、送風機20を駆動させる。
【0033】
一方で、検出した屋内温度が屋内温度上限値(たとえば26℃)より低い場合(ステップS1にてNO)、土間床温度センサ42からの信号に基づいて、土間床11の表面温度を検出し、土間表面温度と屋内温度とを比較する(ステップS2)。土間表面温度が屋内温度よりも高い場合は、送風機20の運転を行わない(ステップS2にてNO、S5)。
【0034】
土間表面温度が屋内温度よりも低い場合は、土間床11に結露が発生するおそれがあるため、次のステップに移動する(ステップS2にてYES)。制御装置50は、屋内センサ41で検出した屋内温度および屋内相対湿度から屋内露点温度を算出し、土間表面温度と屋内露点温度とを比較する(ステップS3)。土間表面温度が屋内露点温度よりも高い場合は、土間床11が結露する環境ではないため、送風機20の運転を行わない(ステップS3にてNO、S5)。
【0035】
一方で、土間表面温度が屋内露点温度よりも低い場合は、土間床11が結露する環境であるため、送風機20の運転を行う(ステップS3にてYES、S4)。屋内温度が土間表面温度よりも高いため、屋内空間10の空気を土間床11に当てて土間床11の温度を上昇させて、土間床11の結露を防止するためである。以上の運転は、結露を乾燥させるための「結露乾燥運転」である。
【0036】
また、
図2のフローチャートでの図示は省略するが、ステップS3において、制御装置50は、土間表面温度が屋内露点温度よりも高い場合であっても、土間表面温度と屋内露点温度との差が所定温度以下である場合に、送風機20を駆動させて「結露予防運転」を行う。結露予防運転は、実際に土間床11に結露は発生していないが、気候の変化によりもう少しで結露が発生しそうと思われる場合に行われ、土間床11に結露が発生することを予防するために行われる。ここで、所定温度とは、-0.5℃以上-3℃以下であることが好ましく、典型的には-1℃である。
【0037】
結露予防運転は、結露乾燥運転よりも弱運転であることが好ましい。具体的には、結露乾燥運転では、送風機20を風量の大きい強運転にし、結露予防運転では、送風機20を風量の小さい弱運転にする。これにより、常に送風機20を強運転にするのではなく、気候に合わせて送風機20の運転を変えることができるため、ランニングコストを低減することができる。
【0038】
(結露の発生と温度などとの関係について)
次に、
図3を参照して、倉庫1内の土間床11に結露が発生する際の屋内温度、土間表面温度、屋内露点温度および屋外温度との関係を説明する。
図3は、秋期におけるそれぞれの温度の遷移を示すグラフである。
【0039】
T1の日時は、土間表面温度が屋内温度および屋内露点温度よりも高い。そのため、そもそも土間床11に結露が発生しないし、送風機20を駆動させると、土間表面温度よりも温度の低い屋内空間10の空気で土間床11の温度が低くなり、土間床11が結露する可能性があるため、送風機20の運転を行わない(送風機OFF)。
【0040】
T5の日時は、土間表面温度が屋内温度よりも低い。しかし、土間表面温度が屋内露点温度よりも高く、土間床11に結露が発生しないため、送風機20の運転を行わない(送風機OFF)。
【0041】
T2の日時は、土間表面温度が屋内温度および屋内露点温度よりも低い。そのため、土間床11に結露が発生する可能性があるため、送風機20を運転する(送風機ON)。送風機20を運転することで、土間表面温度よりも温かい屋内空間10の空気が土間床11の表面に当たり、土間床11に結露が発生することを抑制することができるからである。この運転は「結露乾燥運転」である。
【0042】
T3の日時は、屋内露点温度が上昇してきて、上述した土間表面温度に近づいてきており、屋内露点温度と土間表面温度との差が所定温度(たとえば、1℃)になり、もうすぐで土間床11に結露が発生しそうな状態である。このような状態で送風機20を運転することで、土間表面温度よりも温かい屋内空間10の空気を土間床11の表面に当てることができるため、土間床11の結露の発生を抑制することができる。この運転は、「結露予防運転」である。
【0043】
また、T4の日時は、屋内露点温度が下降してきているものの、土間表面温度と屋内露点温度との差がまだ所定温度(たとえば、1℃以下)しか差がない状態である。このような状態においても、送風機20を運転することで、土間表面温度よりも温かい屋内空間10の空気を土間床11の表面に当てて、土間表面温度を屋内露点温度よりも1℃以上高くすることで、土間床11の結露が再度の発生することを抑制することができる。この運転も「結露予防運転」である。
【0044】
本実施の形態は、土間表面温度が屋内温度よりも低い場合に送風機20を駆動することで、屋内空間10の温かい空気を土間床11の表面に当てることで、土間床11の表面温度を上昇させることができ、土間床11の結露の発生を効果的に抑制することができる。さらに、土間表面温度が屋内温度よりも低く、かつ、屋内露点温度が土間表面温度よりも低い場合に、送風機20を駆動して結露乾燥運転を行うことで、より確実に土間床11の結露の発生を抑制することができる。
【0045】
また、土間表面温度が屋内露点温度よりも高い場合であっても、土間表面温度と屋内露点温度との差が所定温度以下である場合に、送風機20を駆動させて結露予防運転を行うことで、土間床11に結露が発生する前後の状態で、結露が発生しそうな場合に予防として送風機20を運転することで、より確実に土間床11の結露の発生を抑制することができる。さらに、結露乾燥運転を強運転、結露予防運転を弱運転にすることで、ランニングコストを低減することもできる。
【0046】
このように、倉庫1内の既存の設備である送風機20を用いて土間床11での結露の発生を抑制することができるため、除湿機などの新たな設備を導入する必要がない。土間床11での結露の発生を抑制することで、フォークリフトなどの事故を防止することができ、段ボールが湿気で倒壊することなどを防止することができる。さらに、土間床11の結露を抑制することで、カビの発生を防止することができ、作業者の健康被害のリスクを低減することができる。
【0047】
(換気扇の制御について)
次に、
図4を参照して、換気扇30の制御方法について説明する。
図4は、制御装置50が実行する換気扇30の処理を示すフローチャートである。制御装置50は、上述した送風機20の制御に加えて、換気扇30の制御を行うことができる。
【0048】
制御装置50は、屋内センサ41からの信号に基づいて、屋内空間10の屋内温度および屋内相対湿度を検出し、検出した屋内温度と屋内温度上限値とを比較する(ステップS11)。屋内温度上限値とは、送風機20の制御方法のステップS1で説明した値と同一である。検出した屋内温度が屋内温度上限値(たとえば、26℃)より低い場合、つまり暑くない場合は、換気扇30の運転を停止させる(ステップS11にてNO、S17)。検出した屋内温度が屋内温度上限値(たとえば、26℃)より高い場合、つまり暑い場合は、次のステップに移動する(ステップS11にてYES)。
【0049】
制御装置50は、屋外センサ43からの信号に基づいて、屋外温度および屋外相対湿度を検出し、検出した屋外温度と、前のステップで検出した屋内温度とを比較する(ステップS12)。屋内温度が屋外温度よりも低い場合は、屋外空間60の暑い空気を屋内空間10に取り入れることになるため、換気扇30の運転を停止させる(ステップS12にてNO、S17)。屋内温度が屋外温度よりも高い場合は、次のステップに移動する(ステップS12にてYES)。
【0050】
制御装置50は、屋外相対湿度上限値と前のステップで検出した屋外相対湿度とを比較する(ステップS13)。屋外相対湿度上限値とは、異常な気候である場合を除いて結露が発生しない湿度であり、たとえば、80%程度に設定することができる。検出した屋外相対湿度が屋外相対湿度上限値(たとえば、80%)より高い場合は、結露が発生する可能性があるので、他の条件を確認するために次のステップに移動する(ステップS13にてNO、S14)。
【0051】
屋内センサ41で検出した屋内温度および屋内相対湿度から屋内露点温度を算出し、屋外センサ43で検出した屋外温度および屋外相対湿度から屋外露点温度を算出し、屋内露点温度と屋外露点温度とを比較する(ステップS14)。屋内露点温度が屋外露点温度よりも低い場合は、屋外空間60の高湿な空気を屋内空間10に取り入れることになるため、換気扇30の運転を行わない(ステップS14にてNO、S17)。屋内露点温度が屋外露点温度よりも高い場合は、次のステップに移動する(ステップS14にてYES)。以上のステップが「所定の換気条件」である。
【0052】
これらの所定の換気条件を満たす場合に、次のステップに移動する。具体的には、屋外相対湿度が屋外相対湿度上限値(たとえば、80%)より小さい場合(ステップS13にてYES)、および、屋内露点温度が屋外露点温度よりも高い場合(ステップS14にてYES)は、ステップS15に移動する。
【0053】
制御装置50は、土間床温度センサ42からの信号に基づいて、土間表面温度を検出し、検出した土間表面温度と屋外露点温度とを比較する(ステップS15)。土間表面温度が屋外露点温度よりも高い場合は、屋外空間60の低温低湿な空気を屋内空間10に取り入れて、土間床11で結露が発生することを防止したいため、換気扇30を駆動させる(ステップS15にてYES、S16)。
【0054】
土間表面温度が屋外露点温度よりも低い場合は、換気扇30を駆動させると土間床11で結露が発生してしまうおそれがあるため、換気扇30の運転を停止させる(ステップS15にてNO、S17)。
【0055】
本実施の形態の制御装置50は、送風機20の制御に加えて換気扇30の制御を行うことができるため、土間床11の結露の発生をより効果的に抑制することができる。つまり、送風機20で屋内空間10の空気を循環させることができ、換気扇30で屋外空間60の空気を屋内空間10に取り入れることができるため、それらを連携させることで、相乗効果を発揮することができる。
【0056】
なお、上記実施の形態では、制御装置50は必要な数値(屋内温度、屋内相対湿度、床表面温度、屋外温度、屋外相対湿度、屋内露点温度および屋外露点温度)を各ステップでそれぞれ検出または算出していたが、すべてのステップの前にまとめて検出または算出してもよい。
【0057】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えら
れるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され
、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図され
る。
【符号の説明】
【0058】
1 倉庫(非空調の建物)、10 屋内空間、11 土間床、20 送風機、30 換気扇、42 土間床温度センサ、50 制御装置。