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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022057460
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/24 20060101AFI20220404BHJP
   E02F 9/26 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
E02F9/24 B
E02F9/26 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020165734
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】岡部 一慶
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015GA03
2D015GB06
2D015GB07
2D015HA03
(57)【要約】
【課題】より適正に障害物の検出を行うことが可能な作業機械を提供すること。
【解決手段】ホイールローダ100は、車両本体1と、複数のレーダ装置30と、を備える。車両本体は、フロントフレーム11と、リアフレーム12と、を有する。フロントフレーム11には、フロントタイヤ4が配置されている。リアフレーム12には、リアタイヤ7が配置されている。リアフレーム12は、アーティキュレート機構でフロントフレーム11に相対的に動作可能に接続されている。複数のレーダ装置30は、リアフレーム12の前後方向に沿った中心軸Aの右側と左側に位置し、車両本体1の後部に設置されている。レーダ装置30は、物体を検出する検出器32を有する。検出器32は、中心軸Aと平行な方向よりも外側に向けて設置されている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行輪が配置されたフロントフレームと、走行輪が配置され、アーティキュレート機構で前記フロントフレームに相対的に動作可能に接続されたリアフレームと、を有する車両本体と、
前記リアフレームの前後方向に沿った中心軸の右側と左側に位置し、前記車両本体の後部に設置された複数のレーダ装置と、を備え、
前記レーダ装置は、物体を検出する検出器を有し、
前記検出器は、前記中心軸と平行な方向よりも外側に向けて設置されている、
作業機械。
【請求項2】
前記車両本体は、前記リアフレームの後部に配置されたカウンタウェイトを更に有し、
前記レーダ装置は、前記カウンタウェイトの後端よりも前側に設置されている、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記検出器は、前記リアフレームの水平軸よりも下方に向けて設置されている、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項4】
前記検出器は、検出範囲の上端が、前記水平軸に沿うように設置されている、
請求項3に記載の作業機械。
【請求項5】
前記車両本体は、
前記リアフレームに配置され、エンジンを収容するエンジンルームと、
前記リアフレームの後部に配置されたカウンタウェイトと、を更に有し、
前記エンジンルームは、
後端に開口を有する本体部と、
前記本体部の前記開口を塞ぐように、前記カウンタウェイトの上方に配置されたグリルと、を有し、
前記カウンタウェイトの一部は、前記エンジンルームより後方に位置し、
前記レーダ装置は、前記グリルに装着されている、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項6】
前記レーダ装置は、前記グリルの金属製の構造部材に取り付けられている、
請求項5に記載の作業機械。
【請求項7】
前記レーダ装置は、前記検出器を収容する筐体を更に有する、
請求項1に記載の作業機械。
【請求項8】
前記作業機械はホイールローダであり、
前記フロントフレームの前方に配置された作業機と、
前記エンジンルームの前方に配置されたキャブと、を更に備えた、
請求項5に記載の作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
ホイールローダ等の作業機械において、後方の障害物を検出し衝突を抑制する衝突抑制システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような衝突抑制システムでは、作業機械の後端に固定されたレーダ装置等によって、キャブから視認し難いエンジンルームの後方に存在する障害物を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3219005号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような固定式のレーダ装置では、検出範囲には限界があるが、ホイールローダ等のアーティキュレート機構を有する車両は旋回半径が小さくなるため旋回走行時に検出範囲を広くする必要があり、適切に障害物の検出を行うことが難しかった。
【0006】
本開示は、より適正に障害物の検出を行うことが可能な作業機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示の作業機械は、車両本体と、複数のレーダ装置と、を備える。車両本体は、フロントフレームと、リアフレームと、を有する。フロントフレームには、走行輪が配置されている。リアフレームには、走行輪が配置されている。リアフレームは、アーティキュレート機構でフロントフレームに相対的に動作可能に接続されている。複数のレーダ装置は、リアフレームの前後方向に沿った中心軸の右側と左側に位置し、車両本体の後部に設置されている。レーダ装置は、物体を検出する検出器を有する。検出器は、中心軸と平行な方向よりも外側に向けて設置されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、より適正に障害物の検出を行うことが可能な作業機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示にかかる実施の形態のホイールローダの側面図。
図2A図1のホイールローダの背面図。
図2B図1のホイールローダの後部を示す側面図。
図2C図1のホイールローダの後部を示す斜視図。
図3図2Aにおいて本体部に対してグリルが上方に回動した状態を示す側面図。
図4図2Cのレーダ装置近傍の斜視断面図。
図5】(a)図4のレーダ装置を後方から視た斜視図、(b)図5(a)に示すレーダ装置から検出器を露出させた状態を示す斜視図。
図6図5(b)に示すレーダ装置を上方からみた平面図。
図7図1のホイールローダが屈曲している状態を示す平面図。
図8図2Aのレーダ装置近傍を示す拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示にかかる作業機械の一例としてのホイールローダについて図面を参照しながら以下に説明する。
【0011】
(ホイールローダの概要)
図1は、本実施の形態のホイールローダ100(作業機械の一例)を示す側面図である。
【0012】
本実施の形態のホイールローダ100は、車両本体1と、複数のレーダ装置30と、を備えている。車両本体1は、アーティキュレート機構を有する。複数のレーダ装置30は、車両本体1の後部に配置されている。
【0013】
車両本体1は、車体フレーム2と、作業機3と、一対のフロントタイヤ4(走行輪の一例)、キャブ5、エンジンルーム6、一対のリアタイヤ7(走行輪の一例)、およびステアリングシリンダ9と、カウンタウェイト10と、を備えている。
【0014】
なお、以下の説明において、「前」、「後」、「右」、「左」、「上」、及び「下」とは運転席から前方を見た状態を基準とする方向を示す。また、「車幅方向」と「左右方向」は同義である。図1では、前後方向をXで示し、前方向を示すときはXf、後方向を示すときはXbで示す。
【0015】
ホイールローダ100は、作業機3を用いて土砂積み込み作業などを行う。
【0016】
車体フレーム2は、いわゆるアーティキュレート式であり、フロントフレーム11とリアフレーム12と、連結軸部13と、を有している。フロントフレーム11は、リアフレーム12の前方に配置されている。連結軸部13は、車幅方向の中央に設けられており、フロントフレーム11とリアフレーム12を互いに揺動可能に連結する。一対のフロントタイヤ4は、フロントフレーム11の左右に取り付けられている。また、一対のリアタイヤ7は、リアフレーム12の左右に取り付けられている。
【0017】
作業機3は作業機ポンプ(図示せず)からの作動油によって駆動される。作業機3は、フロントフレーム11の前部に揺動可能に取り付けられている。作業機3は、ブーム14と、バケット15と、リフトシリンダ16と、バケットシリンダ17と、ベルクランク18と、を有する。
【0018】
ブーム14の基端は、フロントフレーム11の前部に回動可能に取り付けられている。ブーム14の先端は、バケット15の後部に回動可能に取り付けられている。バケット15の後部は、開口15bの反対側である。ブーム14の基端と先端の間には、リフトシリンダ16のシリンダロッドの先端が回動可能に取り付けられている。リフトシリンダ16のシリンダ本体は、フロントフレーム11に回動可能に取り付けられている。
【0019】
ベルクランク18は、一方の端部がバケットシリンダ17のシリンダロッドの先端に回動可能に取り付けられている。ベルクランク18の他方の端部は、バケット15の後部に回動可能に取り付けられている。ベルクランク18は、両端部の間においてブーム14の中央近傍のベルクランクサポート14dに回動可能に支持されている。バケットシリンダ17のシリンダ本体は、フロントフレーム11に回動可能に取り付けられている。バケットシリンダ17の伸縮力は、ベルクランク18によって回転運動に変換されてバケット15に伝達される。
【0020】
バケット15は、前方に向かって開口するようにブーム14の先端に回動可能に取り付けられている。バケットシリンダ17の伸縮によって、バケット15はブーム14に対して回動し、チルト動作およびダンプ動作を行う。
【0021】
キャブ5は、リアフレーム12上に載置されており、内部には、ステアリング操作のためのハンドルや、作業機3を操作するためのレバー、各種の表示装置等が配置されている。エンジンルーム6は、キャブ5の後側であってリアフレーム12上に配置されており、エンジン(図示せず)が収納されている。
【0022】
図2Aは、後部を示す側面図である。図2Bは、ホイールローダ100の背面図である。図2Cは、ホイールローダ100の後部を示す斜視図である。
【0023】
カウンタウェイト10は、リアフレーム12の後部に取り付けられている。カウンタウェイト10は、エンジンルーム6の下方から後方に突出するように配置されている。カウンタウェイト10の一部は、エンジンルーム6よりも後方に位置する。カウンタウェイト10の後方Xb側の端である後端10eが、ホイールローダ100の後端に相当する。
【0024】
リアフレーム12は、フレーム部材を組み合わせて構成されており、リアフレーム12の前部の上側にはキャブ5が配置されており、キャブ5後方のリアフレーム12の上側には、エンジンルーム6が配置されている。図2Aに示すように、カウンタウェイト10は、リアフレーム12の後部に取り付けられており、エンジンルーム6の後部の下方に位置し、カウンタウェイト10の後端10eはエンジンルーム6よりも後方に突出している。
【0025】
(エンジンルーム6)
図2Aから図2Cに示すように、エンジンルーム6は、本体部21と、本体部21に対して回動可能なグリル22と、を有する。図3は、本体部21に対してグリル22が上方に回動した状態を示す側面図である。
【0026】
本体部21は、リアフレーム12に配置されたエンジンの前方、および左右の側方を覆う側板と、上方を覆う天板を形成するように設けられている。図3に示すように、本体部21の後端には開口21aが設けられている。グリル22は、本体部21の後端の開口21aを塞ぐように配置されている。グリル22は、その後面に格子状部分22cを有しており、図2Aおよび図2Cに示すように、グリル22を通して、エンジンの冷却水を冷却するための空気がエンジンルーム6より外部へ吐き出される。
【0027】
図3に示すように、本体部21の後端の上部と、グリル22の上部の間にはヒンジ24が配置されている。ヒンジ24によって、グリル22は、本体部21の後端の上部を中心に上下方向に回動可能である。グリル22を上方に回動することによって、エンジンルーム6の内部のファン等を清掃することができる。
【0028】
図4は、グリル22の部分拡大図である。グリル22は、パネル部分22aと、構造部材22bと、を有している。パネル部分22aは、樹脂製であり、外表面を形成する、パネル部分22aは、その後面に設けられた格子状部分22cも含む。構造部材22bは、金属製であり、パネル部分22aを支持するように設けられている。図示していないが、構造部材22bは、格子状部分22cの周囲に枠状に設けられており、上述したヒンジ24は、構造部材22bに設けられている。
【0029】
図2Aに示すように、グリル22の位置は、カウンタウェイト10の後端10eよりも前方Xf側に配置されている。前後方向Xにおいてグリル22と後端10eの間にグリル22およびカウンタウェイト10に隙間を設けてレーダ装置30が配置される。
【0030】
(レーダ装置30)
レーダ装置30は、図1に示すように、車両本体1の後方における障害物Sの存在を検出する。図2Cに示すように、本実施の形態のホイールローダ100には、2つのレーダ装置30が設けられている。レーダ装置30は、カウンタウェイト10の上方に配置されている。図2Aに示すように、レーダ装置30は、グリル22の下部であってグリル22の後方Xb側に配置されている。
【0031】
また、図5は、2つのレーダ装置30の近傍を示す平面図である。図5に示すように、2つのレーダ装置30は、リアフレーム12の前後方向に沿った中心軸Aの右方向側と左方向側に配置されている。図5では、左右方向が矢印Yで示され、左右方向Yのうち左方向が矢印Ylで示され、右方向が矢印Yrで示されている。図2Aおよび図5に示すように、本実施の形態では、複数のレーダ装置30は、中心軸Aに対して左右対称に配置されている。
【0032】
レーダ装置30は、例えばミリ波レーダである。レーダ装置30は、送信アンテナから発したミリ波帯の電波が障害物の表面で反射して戻ってくる電波を受信アンテナで検出し、物体までの距離を測定することができる。レーダ装置30による検出結果が図示しないプロセッサに送信され、プロセッサは、後進時に所定範囲内に障害物が存在することを検出できる。送信アンテナは、上下方向より左右方向に広い角度に電波を放出する。
【0033】
図6(a)は、レーダ装置30の近傍を後方から視た斜視図である。図6(b)は、図6(a)に示す構成からカバー部31bを取り外した状態を示す図である。レーダ装置30は、筐体31と、検出器32と、を有している。筐体31は、検出器32を収容する。筐体31は、検出器32を支持する支持部31aと、検出器32の表面を覆うカバー部31bと、を有する。図6(b)に示すように、検出器32は、筐体31の支持部31aの表面に固定されている。検出器32に、送信アンテナおよび受信アンテナが設けられている。検出器32は、検出面32aが後方を向くように支持部31aに取り付けられている。なお、上述した図2図5に示すレーダ装置30は、いずれもカバー部31bが取り外された状態である。カバー部31bは、検出面32aを後方から覆うように支持部31aに取り付けられている。
【0034】
レーダ装置30は、グリル22に固定されている。このため、図3に示すように、グリル22が本体部21に対して上方に回動した際には、グリル22とともにレーダ装置30も上方に移動する。
【0035】
図4に示すように、レーダ装置30は、ブラケット33によってグリル22に固定されている。
【0036】
ブラケット33は、グリル22のうち金属製の構造部材22bに固定されている。ブラケット33は、例えば、グリル22の格子状部分22cよりも前側(エンジンルーム6の内側ともいえる)において構造部材22bに固定され、格子状部分22cの隙間を通って格子状部分22cの後側でレーダ装置30を支持する。
【0037】
例えば、ブラケット33は、1つの細長い板状部材が折れ曲げられて形成される。ブラケット33は、第1部分33aと、第2部分33bと、第3部分33cと、を有している。
【0038】
第1部分33aは、グリル22の格子状部分22cよりも前方向Xf側において、構造部材22bの水平な部分にボルト35によって固定されている。第2部分33bは、第1部分33aの後端から上方に向かって形成されている。第3部分33cは、第2部分33bの上端から格子状部分22cの隙間を通って後方向Xb側に延びグリル22の後側で支持部31aに取り付けられている。
【0039】
2つのレーダ装置30に設けられた各々の検出器32は、図5に示すように、リアフレーム12の中心軸Aと平行な方向よりも外側に向くように設置されている。
【0040】
中心軸Aの左方向Yl側に配置されているレーダ装置30の検出器32は、検出面32aが車両本体1の左方向Yl側を向くように前後方向Xに対して傾斜して配置されている。中心軸Aの右方向Yr側に配置されているレーダ装置30の検出器32は、検出面32aが車両本体1の右方向Yr側を向くように前後方向Xに対して傾斜して配置されている。
【0041】
詳細には、中心軸Aの左方向Yl側に配置されているレーダ装置30の検出器32は、検出面32aに対して垂直であって検出面32aから後方に延びる垂直線Bが、中心軸Aと平行な方向よりも後方に向かうに従って左方向Yl側に向かうように傾いて配置されている。中心軸Aの右方向Yr側に配置されているレーダ装置30の検出器32は、検出面32aに対して垂直であって検出面32aから後方に延びる垂直線Bが、中心軸Aと平行な方向よりも後方に向かうに従って右方向Yr側に向かうように傾いて配置されている。
【0042】
このように、複数の検出器32の各々は、検出面32aに対して垂直であって検出面32aから後方に延びる垂直線Bが、中心軸Aと平行な方向よりも後方に向かうに従って車両本体1の外側に向かうように傾斜して配置されることによって、車両本体1の後方において幅方向(左右方向Y)における検出範囲を広くすることができる。
【0043】
図7は、ホイールローダ100が屈曲しながら後進している状態を示す図である。図7では、後進したホイールローダ100が二点鎖線で示されている。
【0044】
図7には、左側のレーダ装置30の検出範囲が30Dlで示され、右側のレーダ装置30の検出範囲が30Drで示されている。なお、検出範囲を左右のレーダ装置30で区別する必要がない場合には、検出範囲を30Dと示す。
【0045】
上述のように各々のレーダ装置30を検出器32が外側を向くように配置することによって、屈曲しながら後進する場合に、進行方向において左右方向における広い範囲の障害物を検出することができる。
【0046】
なお、図5に示すように、レーダ装置30の傾斜角度は、カウンタウェイト10の後端10eよりも後方に突出しないように設定されている。
【0047】
図8は、レーダ装置30近傍を示す側面図である。図8に示すように、レーダ装置30は、カウンタウェイト10の後端10eよりも前側に配置されている。なお、図8ではカバー部31bが設けられていないが、カバー部31bを支持部31aに組み合わせた場合であっても、レーダ装置30は、カウンタウェイト10の後端10eよりも前側に配置されている。
【0048】
レーダ装置30は、前後方向Xにおいてカウンタウェイト10の後端10eとグリル22の間に配置されている。レーダ装置30は、カウンタウェイト10よりも後方に突出しないように外向きに傾斜して配置されている。
【0049】
レーダ装置30は、検出器32の検出面32aが水平軸Hよりも下方を向くように配置されている。より具体的には、図8に示すように、左右各々のレーダ装置30の検出器32の検出面32aに対して垂直であって検出面32aから後方に延びる垂直線Bが水平軸Hよりも下方を向くように検出器32が配置されている。
【0050】
また、図1に示すように、レーダ装置30の検出器32の検出範囲30Dにおける上下範囲の上端30Duが、水平軸Hと平行になるようにレーダ装置30が設置されている。
【0051】
障害物を検出するためには、レーダ装置の上下方向における検出範囲においてある程度の範囲を占めることが必要であるが、図1に示すように、レーダ装置30を設置することによって車両本体1の後端からの検出可能な距離の長さを確保しながら適切に障害物を検出することができる。
【0052】
<特徴>
(1)
本実施の形態のホイールローダ100(作業機械の一例)は、車両本体1と、複数のレーダ装置30と、を備える。車両本体1は、フロントフレーム11と、リアフレーム12と、を有する。フロントフレーム11には、フロントタイヤ4(走行輪の一例)が配置されている。リアフレーム12には、リアタイヤ7(走行輪の一例)が配置されている。リアフレーム12は、アーティキュレート機構でフロントフレーム11に相対的に動作可能に接続されている。複数のレーダ装置30は、リアフレーム12の前後方向に沿った中心軸Aの右側と左側に位置し、車両本体1の後部に設置されている。レーダ装置30は、障害物S(物体の一例)を検出する検出器32を有する。検出器32は、中心軸Aと平行な方向よりも外側に向けて設置されている。
【0053】
このように、複数のレーダ装置30を設けることによって、左右方向における検出範囲を広くすることができる。このため、図7に示すように、旋回しながら後進するときでも、より適正に障害物の検出を行うことが可能となる。
【0054】
また、検出器32を、中心軸Aと平行な方向よりも外側に向けて設置することにより、車両本体1の後方において左右の検出範囲を広くすることができる。
【0055】
(2)
本実施の形態のホイールローダ100(作業機械の一例)では、車両本体1は、リアフレーム12の後部に配置されたカウンタウェイト10を更に有する。レーダ装置30は、カウンタウェイト10の後端10eよりも前側に設置されている。
【0056】
これにより、レーダ装置30がカウンタウェイト10よりも後方にはみ出すことを防ぎ、全長の長さを抑えることができる。
【0057】
(3)
本実施の形態のホイールローダ100(作業機械の一例)では、検出器32は、リアフレーム12の水平軸Hよりも下方に向けて設置されている。
【0058】
レーダ装置30による検出では、障害物が、レーダ装置30の上下方向における検出範囲においてある程度の範囲を占めることが必要なため、上記のように検出器32を設置することによって車両本体1の後端からの検出可能な距離を確保しながら適切に障害物Sを検出することができる。
【0059】
(4)
本実施の形態のホイールローダ100(作業機械の一例)では、検出器32は、検出範囲30Dの上端30Duが、水平軸Hに沿うように設置されている。
【0060】
これにより、車両本体1の後端からの検出可能な距離を確保しながら適切に障害物を検出することができる。
【0061】
(5)
本実施の形態のホイールローダ100(作業機械の一例)では、車両本体1は、エンジンルーム6と、カウンタウェイト10と、を更に有する。エンジンルーム6は、リアフレーム12に配置され、エンジンを収容する。カウンタウェイト10は、リアフレーム12の後部に配置されている。エンジンルーム6は、本体部21と、グリル22と、を有する。本体部21は、後端に開口21aを有する。グリル22は、本体部21の開口21aを塞ぐように、カウンタウェイト10の上方に配置されている。カウンタウェイト10の一部は、エンジンルーム6より後方に位置している。レーダ装置30は、グリル22に装着されている。
【0062】
このようにグリル22に装着することにより、レーダ装置30を車両本体1の後端に取り付けることができる。
【0063】
(6)
本実施の形態のホイールローダ100(作業機械の一例)では、レーダ装置30は、グリル22の金属製の構造部材22bに取り付けられている。
これにより、レーダ装置30をグリル22に安定して配置することができる。また、グリル22が本体部21に対して回動可能な場合であっても、構造部材22bに装着することでレーダ装置30を安定して配置することができる。
【0064】
(7)
本実施の形態のホイールローダ100(作業機械の一例)では、レーダ装置30は、検出器32を収容する筐体31を更に有する。
【0065】
これにより、検出器32を保護することができる。
【0066】
(8)
本実施の形態では、作業機械はホイールローダ100である。ホイールローダ100は、作業機3と、キャブ5と、を備える。作業機3は、フロントフレーム11の前方に配置されている。キャブ5は、エンジンルーム6の前方に配置されている。
【0067】
これにより、ホイールローダ100において後方の左右方向における検出範囲を広くすることができる。
【0068】
<他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0069】
(A)
上記実施の形態では、レーダ装置30は2つ設けられているが、幅方向(左右方向Y)に3つ以上設けられていてもよい。
【0070】
(B)
中心軸Aよりも左側に設けられた1つのレーダ装置30の上方または下方に、1つまたは複数のレーダ装置30を配置してもよい。また、中心軸Aよりも右側に設けられた1つのレーダ装置30の上または下に更に1つまたは複数のレーダ装置30を配置してもよい。
【0071】
(C)
上記実施の形態では、複数のレーダ装置30は中心軸Aを基準に左右対称に配置されているが、左右対称でなくてもよい。
【0072】
(D)
上記実施の形態では、レーダ装置30は、グリル22の構造部材22bに固定されているが、これに限るものではなく、例えば、カウンタウェイト10に取り付けられてもよい。カウンタウェイト10に取り付けられる場合、カウンタウェイト10の表面に取り付けられることに限らず、埋め込まれていてもよい。
【0073】
(E)
上記実施の形態では、グリル22は本体部21に対して上方に回動可能に設けられているが、上方に限らず例えば、左または右方向に回動可能に設けられてもよい。
【0074】
(F)
上記実施の形態では、レーダ装置30はグリル22の金属製の構造部材22bに固定されているが、格子状部分22cが金属製の場合は格子状部分22cに取り付けられてもよい。
【0075】
(G)
上記実施の形態では、作業機械の一例としてホイールローダを用いて説明したが、アーティキュレート機構を有するダンプトラックやモータグレーダ等であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本開示の作業機械および作業機械の制御方法によれば、誤検出による警報を低減することが可能な効果を発揮し、ホイールローダ等として有用である。
【符号の説明】
【0077】
10 :カウンタウェイト
11 :フロントフレーム
12 :リアフレーム
30 :レーダ装置
100 :ホイールローダ
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8