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特開2022-57487壁材用補助部材、壁構造、および壁材施工方法
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  • 特開-壁材用補助部材、壁構造、および壁材施工方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022057487
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】壁材用補助部材、壁構造、および壁材施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04G 5/04 20060101AFI20220404BHJP
【FI】
E04G5/04 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020165772
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000110860
【氏名又は名称】ニチハ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】越智 督夫
(72)【発明者】
【氏名】浅見 俊介
(57)【要約】
【課題】リフォーム等の際に再度壁つなぎの施工が容易にでき、また壁材について表面側だけでなく裏面側からの穴への水の侵入を防ぐ、壁材用補助部材を提供する。
【解決手段】補助部材1は、予め穴60が形成された外壁材3の裏面3B側から挿入される受け材7と、外壁材3の表面3A側から受け材7に挿入される挿入材20を備えている。受け材7は穴60の内壁面に、少なくとも一部が当接する筒部12と、筒部12の端部から筒部12の径方向に延び、外壁材裏面3Bと当接するつば部11を備えている。挿入材20は、筒部12に挿入され、筒部12に形成された穴14の内壁面に着脱可能な挿入部22と、挿入部12の端部から挿入部22の径方向に延び、直径の大きさが筒部12の穴14以上の大きさである覆い部21とを備えている。
【選択図】図2


【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁材に形成された穴に用いられる、壁材用補助部材であって、
前記壁材用補助部材は
予め前記穴が形成された前記壁材の一方側の面から挿入される受け材と、
前記壁材の他方側の面から前記受け材に挿入される挿入材とを備え、
前記受け材は
前記穴の内壁面に、少なくとも一部が当接する筒部と、
前記筒部の端部から前記筒部の径方向に伸び、前記壁材の前記一方側の面と当接するつば部とを備え、
前記挿入材は、
前記筒部に挿入され、前記筒部に形成された穴の内壁面に着脱可能な挿入部と
前記挿入部の端部から前記挿入部の径方向に伸び、直径の大きさが前記筒部の前記穴以上の大きさである覆い部とを備える、壁材用補助部材。
【請求項2】
前記筒部と、前記挿入部にはそれぞれネジ山が形成されている、請求項1記載の壁材用補助部材。
【請求項3】
前記挿入部は、前記覆い部がある一方の端部側から、前記覆い部と反対側の端部側に向かうに従い、前記挿入部の直径が小さくなる縮小部が形成されており、
前記縮小部にはネジ山が形成されていない、請求項1記載の壁材用補助部材。
【請求項4】
予め壁材に形成された穴に、壁材補助部材が挿入される壁構造であって、
前記壁材用補助部材は
前記壁材の一方側の面から前記穴に挿入される受け材と、
前記壁材の他方側の面から前記受け材に挿入される挿入材とを備え、
前記受け材は
前記穴の内壁面に、少なくとも一部が当接する筒部と、
前記筒部の端部から前記筒部の径方向に伸び、前記壁材の前記一方側の面と当接するつば部とを備え、
前記挿入材は、
前記筒部に形成された穴の内壁面に対して着脱可能であり、前記筒部に当接する挿入部と、
前記挿入部の端部から前記挿入部の径方向に伸び、直径の大きさが前記筒部の前記穴以上の大きさである覆い部を備えている、壁構造。
【請求項5】
前記つば部、及び前記つば部周辺の前記壁材の前記一方側の面を覆うように貼付される第1シールと、
前記覆い部、及び前記覆い部周辺の前記壁材の前記他方側の面を覆うように貼付される第2シールとを備えた、請求項4記載の壁構造。
【請求項6】
壁材に形成された穴に、壁材用補助部材の受け材を用いた、壁材の施工方法であって、
前記受け材は、
前記壁材に形成された前記穴の内壁面に、少なくとも一部が当接する筒部と、
前記筒部の端部から前記筒部の径方向に伸び、前記壁材の一方側の面と当接するつば部とを備え、
予め形成された前記壁材の前記穴に前記壁材の前記一方側の面から前記受け材を挿入し、前記壁材の前記一方側の面とつば部を当接させる、第1工程と、
前記壁材を施工する第2工程と、
アンカーを下地に対して直接的または間接的に固定する第3工程と、
前記アンカーに、壁つなぎを接続したのちに、前記壁つなぎに足場を接続する第4工程とを備える、壁材の施工方法。
【請求項7】
壁材に形成された穴に、壁材用補助部材の挿入材を用いた、壁材の施工方法であって、
前記壁材の他方側の面から前記受け材に挿入される前記挿入材は、
前記筒部に対して着脱可能であり、前記筒部に当接する挿入部と、
前記挿入部の端部から前記挿入部の径方向に伸び、直径の大きさが前記筒部以上の大きさである覆い部を備えており、
前記足場、前記壁つなぎ、前記アンカーを順番に取り外す、第5工程と、
前記筒部に前記挿入部を挿入する第6工程とを備える、請求項6記載の壁材の施工方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁材に設けられた壁つなぎ用の穴に用いられる壁材用補助部材、壁構造、および壁材施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高所等に壁材を施工する場合は、前段階として、壁材や下地に穴を開け、その穴に壁つなぎを施工し、その壁つなぎを通じて足場を組み立てている。また足場での作業が完了後は、足場、及び壁つなぎを外し、開いた穴を埋めている。
【0003】
壁つなぎ用の穴を埋める方法として、例えば特許文献1に開示されたものがある。特許文献1の方法は、穴にシーリング等を充填し、その上にシールを貼付するものである。
【0004】
また特許文献2には、壁つなぎ用の穴の補助部材が開示されている。特許文献2の補助部材は、下地(柱)に固着釘部材を取り付け、固着釘部材の先端が壁材に穴から突出するよう壁材を取り付ける。その後、固着釘部材と壁材の穴の隙間に充填剤を充填したうえで、固着釘部材に挿入材(化粧キャップ)を取り付けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019―218704
【特許文献2】特開平9-256629
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の方法で、リフォーム等の際に穴にシーリング等の充填剤を埋めた部分を壁つなぎとして再利用しようとすると、充填剤を除去する必要がある。穴に埋まった充填剤の除去は、時間等の手間がかかるとともに、接着剤の機能を有する充填剤の除去は難しく、除去の際に穴周りの壁材を傷つける恐れがあり、美観を損ねる。
【0007】
特許文献2の補助部材は、壁材の表面側から充填剤の充填を行うため、壁材の裏面側の穴を十分に埋めることができない。その結果、壁材と充填剤の間に隙間が空いてしまう。また壁材の表面側は穴周りに挿入材があることで防水が可能だが、裏面側は穴周りに何も配されていない。このため、壁材は表面に比べ裏面の方が、穴に水が入りやすい。穴が形成された壁材の部分は、壁材の基材が外へむきだしとなっており、この分、壁材の表面や裏面に比べ水を吸収しやすく、この部分を通じて壁材の劣化につながる可能性がある。
【0008】
本願はこのような事情に鑑みたものであり、壁材について表面側だけでなく裏面側からの穴への水の侵入を防ぎ、さらにリフォーム等の際に再度壁つなぎの施工が容易にできるものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様の壁材用補助部材は、壁材に形成された穴に用いられる壁材用補助部材であって、壁材用補助部材は、予め穴が形成された壁材の一方側の面から挿入される受け材と、壁材の他方側から受け材に挿入される挿入材とを備え、受け材は穴の内壁面に、少なくとも一部が当接する筒部と、筒部の端部から筒部の径方向に伸び、壁材の一方側の面と当接するつば部とを備え、挿入材は、筒部に挿入され、筒部に形成された穴の内壁面に着脱可能な挿入部と挿入部の端部から挿入部の径方向に伸び、直径の大きさが筒部の前記穴以上の大きさである覆い部とを備えている。
【0010】
本発明の第1の態様の壁材用補助部材は、穴が形成された壁材に用いられるものであり、受け材のつば部が壁材の一方側の面と当接することで、一方側の面から基材がむき出しとなった壁材の穴に水が浸入することを防ぐことができる。
【0011】
また、受け材の筒部の穴の内壁面に対して、挿入材の挿入部は着脱可能である。このため、リフォーム等で再度壁つなぎの施工をする際に、容易に壁つなぎの施工ができる。
【0012】
本発明の第2の態様として、壁材用補助部材は、筒部と挿入部には、それぞれネジ山が形成されていることが望ましい。
【0013】
この場合、受け材の筒部に、挿入材の挿入部が挿入される際に、挿入材を例えば時計回りに回すだけで簡単に挿入できる。また互いのネジ山に沿った挿入が可能になるとともに、このような仕様は受け材に対して挿入材が入りやすく、また外れにくい。
【0014】
本発明の第3の態様として、壁材用補助部材は、挿入部は、覆い部がある一方の端部側から、覆い部と反対側の端部側に向かうに従い、挿入部の直径が小さくなる縮小部が形成されており、縮小部にはネジ山が形成されていないことが望ましい。
【0015】
この場合、筒部に挿入部を挿入する時において、挿入部すべてにネジ山があると挿入が容易に行えないが、ネジ山が形成されていない縮小部があることで縮小部は簡単に挿入でき、仮の位置合わせが可能になる。その結果その後の挿入作業が容易になる。
【0016】
本発明の第4の態様の建物の壁構造は、予め壁材に形成された穴に、壁材用補助部材が挿入される壁構造であって、壁材用補助部材は壁材の一方側の面から穴に挿入される受け材と、壁材の他方側から受け材に挿入される挿入材とを備え、受け材は、穴の内壁面に、少なくとも一部が当接する筒部と、筒部の端部から筒部の径方向に伸び、壁材の一方側の面と当接するつば部とを備え、挿入材は、筒部に形成された穴の内壁面に対して着脱可能であり、筒部に当接する挿入部と、挿入部の端部から挿入部の径方向に伸び、直径の大きさが筒部の穴以上の大きさである覆い部を備えている。
【0017】
本発明の第4の態様の建物の壁構造によれば、第1の態様の壁材用補助部材が奏する効果と、同様の効果を奏する。
【0018】
本発明の第5の態様として、壁構造は、つば部、及びつば部周辺の壁材の一方側の面を覆うように貼付される第1シールと、覆い部、及び覆い部周辺の壁材の他方の面を覆うように貼付される第2シールとを備えていることが望ましい。
【0019】
この場合、つば部、及びつば部周辺の壁材の一方側の面に第1シールが貼付されることで、壁材の一方側の面においてより多くの面積を防水できる。また、つば部と壁材の一方側の面が密着することにより、より壁材に形成された穴に水が入りにくくなる。覆い部、及び覆い部周辺の壁材の他方の面に第2シールが貼付されることで、壁材に形成された穴と覆い部の目立ちを軽減する。
【0020】
本発明の第6の態様の壁材の施工方法は、壁材に形成された穴に、壁材用補助部材の受け材を用いた、壁材の施工方法であって、受け材は、穴の内壁面に、少なくとも一部が当接する筒部と、筒部の端部から筒部の径方向に伸び、壁材の一方側の面と当接するつば部とを備え、予め形成された壁材の穴に前記壁材の一方側の面から受け材を挿入し、壁材の一方側の面とつば部を当接させる、第1工程と、壁材を施工する第2工程と、アンカーを下地に対して直接的または間接的に固定する第3工程と、アンカーに、壁つなぎを接続したのちに、壁つなぎに足場を接続する第4工程とを備える、
【0021】
本発明の第6の態様の壁材の施工方法によれば、受け材のつば部が壁材の一方側の面と当接することで、一方側から基材がむき出しとなった壁材の穴に水が浸入することを防ぐことができたまま、足場を施工できる。
【0022】
本発明の第7の態様として、壁材の施工方法は、壁材用補助部材の挿入材を用いた壁材の施工方法であって、壁材の他方側から前記受け材に挿入される挿入材は、筒部に対して着脱可能であり、筒部に当接する挿入部と、挿入部の端部から挿入部の径方向に伸び、直径の大きさが筒部以上の大きさである覆い部を備えており、足場、壁つなぎ、アンカーを順番に取り外す、第5工程と、筒部に挿入部を挿入する第6工程とを備えている。
【0023】
この場合、受け材の筒部に、挿入材の挿入部が着脱可能に挿入されることにより、リフォーム等、再度壁つなぎ等を施工する際に、新たに穴を開けず、挿入部を外すだけで再利用ができ、利便性が良い。
【発明の効果】
【0024】
リフォーム等の際に再度壁つなぎの施工が容易にでき、また壁材について表面側だけでなく裏面側からの穴への水の侵入を防ぐものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】壁材に形成された穴に壁材用補助部材が挿入された状態の壁構造の斜視図である。
図2図1のA-A断面を示す断面図である。
図3】挿入材の正面図である。
図4】挿入材の平面図である。
図5】受け材の底面図である。
図6図5のB-B断面を示す断面図である。
図7図5の受け材に第1シールを貼付した図である。
図8図2に対応する、壁材用補助部材が施工される状態を示す断面図である。
図9図2に対応する、第1の実施の形態の第3工程を示す断面図である。
図10図2に対応する、第1の実施の形態の第4工程を示す断面図である。
図11図2に対応する、第2の実施の形態の第3工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の第1の実施の形態を示す。図1には、壁材用補助部材(以下、補助部材1という)を用いた壁材の壁構造が示されている。壁材の一例である外壁材3には壁つなぎ用の穴60が形成されており、その穴60に補助部材1が挿入されている。なお、壁材は外壁材に限定されず、例えば、建物を外装する化粧板、屋内用構造パネル、内装板等であってもよい。
壁材の一方側である、外壁材3の裏面3B側において、補助部材1と、補助部材1の周辺の裏面3Bとには、第1シール30が貼られている。壁材の他方側である、外壁材3の表面3A側において、補助部材1と、補助部材1の周辺の表面3Aとには、第2シール40が貼られている。
【0027】
次に補助部材1について説明する。補助部材1は、図2に示すように受け材7と挿入材20を備えている。受け材7は、挿入材20に挿入される筒状の部材である。挿入材20は受け材7に対して挿入される部材であり、受け材7に対して、着脱可能となっている。
【0028】
図3に示すように、挿入材20は、挿入部22と、挿入部22の端部から挿入部22の径方向に延びる覆い部21とを備えている。本実施の形態では、挿入部22と反対側における、覆い部21の一方の端部から、挿入部22の端部と接続する覆い部21の他方の端部に向かうにつれて覆い部21の直径が小さくなっている。つまり本実施の形態では、覆い部21の正面視の断面は略等脚台形の形状である。覆い部21の正面視の断面形状は略等脚台形に限らず、例えば一方の端部の直径と他方の端部の直径が同じである長方形でも良い。
【0029】
挿入部22にはネジ山24が形成された部分を有する。挿入部22において、ネジ山24の先端側、即ち覆い部21と反対側の端部には、先端に向かうほど挿入部22の直径が小さくなる縮小部25が形成されている。なお、縮小部25にはネジ山24は形成されていない。挿入部22の直径は、後述する筒部12の内壁面のネジ山13と螺合する大きさである。挿入部22の直径は、例えば約14mm~約20mmであり、本実施の形態では17.0mmである。また挿入部22の大きさは、例えば約12mm~約23mmであり、本実施の形態では14.0mmである。
【0030】
図4に示すように覆い部21には、中央部に、挿入部22に向かって凹へこみした直線状(マイナス記号形)の溝23が形成されている。後述する筒部12に挿入部22を接続する際に、溝23にドライバー等を挿入し、回すことで、挿入材20が、筒部12の内方に進むようになっている。溝23は本実施の形態の様に直線状の溝に限定されるものではなく、例えば十字状(プラス記号形)や四角形状や六角形状の溝であってもよい。また、溝23は本実施の形態のように覆い部21の中央部のみ限定されるものではなく、例えば、覆い部21の一端から他端まで直線状に延びても良い。さらに、覆い部21は本実施の形態では丸形状だが、これに限定されるものではなく、例えば四角等の角形状であってもよい。
【0031】
図5に示すように、受け材7は、筒部12と、筒部12の端部から筒部12の径方向に延びるつば部11を備えている。筒部12には穴14が形成されている。つば部11の形は十字状である。本実施の形態では、筒部11の端部から延びるつば部11の長さは、穴14の周囲を包囲する円形の部分の直径が5.0mmであり、十字状の部分の先端までの距離が13.0mmである。つば部11は穴14の周囲を保護できる長さである必要があり、穴14の周囲を包囲する円形の部分の直径は約3.0mm以上が望ましい。また、穴14の周囲を包囲する円形の部分の直径が約3.0mm以上あれば、つば部11は四角形状や星形状であってもよく、形状は問わない。
【0032】
図6に示すように筒部12の内壁面には、挿入材20のネジ山24と螺合するための、ネジ山13が形成されている。筒部12の直径は、例えば約17mm~約23mmであり、本実施の形態では20.0mmである。また、筒部12の大きさは、例えば、約12mm~約23mmであり、本実施の形態では14.0mmである。
【0033】
図2に示すように、外壁材3に形成された穴60に補助部材1を使用する時は第1シール30を使用する。第1シール30を用いた形態は、図7に示すように、つば部11を覆うようにつば部11の周りも含めて貼付するのに十分な大きさを有している。第1シール30には穴が形成されており、筒部12の穴14と第1シール30の穴は本実施の形態では重なるように配されるようになっている。また、筒部12の穴14の直径の大きさと、第1シール30の穴の直径の大きさは略同じである。
【0034】
次に下地2について説明する。図8に示すように、下地2には、ビス等の締結部材52でプレート50が固定されている。プレート50は下地2側と反対側に、突出した部分を有している。プレート50の突出した部分には部材接続用の穴が開いているととともに、内壁面にネジ山が形成されている。また、本実施の形態において、下地は木下地や鉄骨下地等、適宜適当なものを選択できる。
【0035】
次に外壁材3について説明する。図8に示すように、下地2との間に隙間(通気層)が形成された状態で施工される外壁材3には、穴60が形成されている。外壁材の厚みは例えば、約14mm~約25mmあり、本実施の形態では16.0mmである。本実施の形態では、外壁材の厚み(16.0mm)は、挿入部22の大きさ(14.0mm)や筒部12の大きさ(14.0mm)に比べて大きい。穴60の直径は、後述するアンカー54、55の一部が、穴60を貫通できる大きさが望ましく、例えば、約17mm~約23mmである。本実施の形態では、穴60の直径は20.0mmである。本実施の形態では図2に示すように、穴60は覆い部21の一方の端部と当接している。また、プレート50の部材接続用の穴が向く方向には、外壁材3の穴60が配されている。
【0036】
次に、補助部材1を用いた外壁材3に関する施工手順について説明する。本実施の形態の壁構造では、図8の矢印Aが示すように、受け材7と第1シール30は、外壁材3の裏面3B側から穴60に向かって配されるようになっている。また矢印Bが示すように、挿入材20と第2シールは外壁材3の表面3A側から、穴60に向かって配されるようになっている。本実施の形態の外壁材3の施工は後述する、第1工程~第6工程の手順を備えている。第1工程の前段階として、図8に示すように、始めにビス等の締結部材52でプレート50を下地2に固定する。
【0037】
第1工程では、予め形成された外壁材3の穴60に外壁材3の裏面3B側から受け材7を挿入し、裏面3Bとつば部11を当接させる。なお、外壁材3の穴60を開ける際は、外壁材3を施工した際に、プレート50の部材接続用の穴が向く方向に、外壁材3の穴60が来るように予め位置関係を計測してから開けるようにする。
【0038】
また、このとき受け材7の筒部12は穴60の内壁面に当接している。なお、筒部12が当接するのは、穴60の内壁面全体ではなく一部だけでも構わない。また、つば部11に防水両面テープを貼付した状態で、つば部11を外壁材3の裏面3Bに当接してもよい。このような構成にすることで、つば部11と裏面3Bとの接着が強固になる。
【0039】
また、予め穴をあけた第1シール30を、受け材7と、受け材7の周辺の外壁材3の裏面3Bとに貼付しても構わない。この時、第1シール30の穴は、筒部12と略同じ位置に配され、重なっている。
【0040】
第2工程では、外壁材3を施工する。この時、プレート50の穴と外壁材3の穴60は、略一直線の位置にある。また、下地2と外壁材3の間には適宜通気層が形成されても良い。
【0041】
第3工程では、図9に示すようにアンカー54を、プレート50を介して、下地2に間接的に固定する。具体的には、予め下地2とプレート50は接続されている状態で、プレート50の穴にアンカー54を挿入し、接続する。なお、アンカー54はプレート50に挿入された方向と反対方向に部材接続用の穴が開いているとともに、その穴にはネジ山が形成されている。このとき、アンカー54の先端は、穴60を通じて、外壁材3の表面3Aよりも突出している位置にある。なお、本実施の形態と異なり、アンカー54先端の位置は、穴60の位置、又は外壁材3の裏面3Bよりも下地2側に位置してもよい。
【0042】
第4工程では、アンカー54に、壁つなぎ8を接続したのちに、壁つなぎ8に足場9を接続する。具体的には、図10に示すようにアンカー54の穴に壁つなぎ8を接続する。なお、壁つなぎ8はアンカー54に挿入された方向と反対方向に部材接続用のクランプを有している。壁つなぎ8とアンカー54を接続後、壁つなぎ8のクランプと足場9を接続する。
【0043】
第5工程では、足場9、壁つなぎ8、アンカー54を順番に取り外す。この工程は足場での作業が完了後の工程である。
【0044】
第6工程では、筒部12に挿入部22を挿入する。具体的には、挿入部22は筒部12の穴14の内壁面に挿入される。またこの時、挿入材20の覆い部21の表面と、外壁材3の表面3Aは図2に示すように同一平面上に配置されることが望ましい。表面3Aと覆い部21が同一平面上であることにとって、覆い部21が目立ちにくい。また第6工程の後に、挿入材20の覆い部21と、覆い部21周辺の表面3Aとに第2シール40を貼ってもよい。なお、第2シール40は、穴60及び覆い部21の目立ち軽減のため表面3Aと同じ色であることが望ましい。また板厚が厚い状態で、覆い部21と表面3Aが同一平面上を保つためには、図2に示すような挿入部22のネジ山24が筒部12から露出していない状態ではなく、挿入部22のネジ山24が、筒部12から一部露出していてもよい。また、ネジ山24には防水用のシールテープを覆うことも可能である。
【0045】
第1の実施の形態では、受け材7は、外壁材3に形成された穴60に挿入されている。受け材7が穴60に挿入された状態において、筒部12は穴60の内壁面と当接しており、外壁材3の裏面3Bはつば部11に当接している。つば部11は裏面3Bに当接していることで、裏面3B側から穴60に対して、水が入ることを防止している。さらに、つば部11とつば部11周辺の裏面3Bには、予め穴が形成された第1シールが貼付されている。第1シールがあることで、裏面3Bのより多くの面積を防水できる。また、つば部11と裏面3Bが密着することにより、より穴60に水が入りにくくなる。
【0046】
挿入材20の挿入部22は、ネジ山24と、ネジ山が形成されていない縮小部25とを有している。縮小部25を有していることで、縮小部25は筒部12に容易にはめ込みやすくなり、その後の挿入作業が容易になる。また筒部12にはネジ山13が形成されている。このため、挿入部22のネジ山24を、ネジ山13と接続した際に、覆い部21を、例えば時計回りに回すことで、容易に挿入材20が受け材7に深く螺合していく。また、挿入部22は筒部12の内壁面に対して、例えば反時計回りに回すことで簡単に外すことができる。つまり、挿入材20は受け材7に対して、脱着可能である。
【0047】
挿入材20と受け材7を備えた、補助部材1を用いた本実施の形態の壁構造は、施工時においてシーリングを使わない。このため、例えば、壁つなぎ用の穴60をシーリングで覆って、リフォーム等で再度同じ穴60から壁つなぎ等の部材を施工しようとすると、シーリングを除去する必要がある。しかし、シーリングは接着剤であり、除去時に、外壁材の周りを傷つける恐れがある。本実施の形態の補助部材1は、リフォーム等の際に、新たに壁つなぎ用の穴を開けることなく、挿入部20を受け部7に対して容易に外すことができ、利便性が良い。また、サイディング材やタイル材等と下地との間に通気層を設ける、いわゆる乾式施工の場合は、通気層があるため、シーリングの施工が難しく、本発明はこの問題も解決するものである。
【0048】
また、挿入部22の覆い部21と覆い部21周辺の外壁材3の表面3Bは第2シール40で覆われている。第2シール40によって、外壁材3に形成された穴60と覆い部21は目立ちづらくなる。
【0049】
図11は第2の実施の形態の第3工程を示しているもので、アンカー55を下地2に対して直接固定している。第2の実施の形態は、プレート50を用いず、アンカー55を下地2に対して直接固定している以外は上述した第1の実施の形態と同様である。第2の実施の形態の施工手順は、上述した第1の実施の形態の第1工程から第6工程とは、第3工程のみが異なり、他の工程は共通である。第2の実施の形態の第3工程はアンカー55を下地2に対して、プレート50を介すことなく、直接的に固定するものである。
【0050】
なお、上述した形態は一例であり、本発明はこれらの記載に限定されるものではない。例えば、本実施の形態の補助部材1は樹脂製であるが、ゴム等の弾力性と可変性を有する素材でもよい。補助部材1がゴム製の場合において、筒部12と挿入部22には、どちらもネジ山13、24が形成されておらず、挿入部22の外周には弾力性の突起を有していいてもよい。この突起は、筒部12に挿入部22を挿入する際に、筒部12と当接しかつ押圧される程度の大きさであることが望ましい。この突起を有することで、挿入した後も挿入部22の突起は筒部12を押圧されているため、施工後、容易に外れはしない。また、挿入部22は弾力性があるので筒部12から容易に取り外すことができる。
【0051】
第1の実施の形態では、ネジ山24と縮小部25を備えた挿入部22が示されているが、挿入部22は全てにネジ山24が形成されて、縮小部25を備えていなくてもよい。また挿入部22と筒部12には、互いにネジ山24が形成されていなくても良い。このような場合、道具を使わず手で簡単に挿入部22を筒部12の穴14の内壁面に挿入できる。
【符号の説明】
【0052】
補助部材(壁材用補助部材) 1
外壁材 3
表面 3A
裏面 3B
穴(外壁材) 60
受け材 7
つば部 11
筒部 12
ネジ山(筒部) 13
穴(筒部) 14
挿入材 20
覆い部 21
挿入部 22
溝 23
ネジ山(挿入部) 24
縮小部 25
第1シール 30
第2シール 40
下地 7
壁つなぎ 8
足場 9
プレート 50
アンカー 54、55
締結部材 52

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11