(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022057488
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】ストーブ用載置台
(51)【国際特許分類】
F24B 15/00 20060101AFI20220404BHJP
【FI】
F24B15/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020165773
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】520381517
【氏名又は名称】有限会社トムグリーン
(74)【代理人】
【識別番号】100094156
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 民安
(72)【発明者】
【氏名】成田 力
(57)【要約】
【課題】薪ストーブ等を容易に移動することができるばかりではなく、使用時においては外観を損なうことがなく、薪ストーブ等の下方に塵埃や灰等が侵入することを防止し、清掃作業その他を必要とせず極めて使い勝手の良いストーブ用載置台を提供する。
【解決手段】薪ストーブS等が載置される載置台本体2の下面に固定され該薪ストーブS等が設置される床面上を転動する複数のキャスター3と、上記載置台本体2を内側面で囲むフレーム部材4と、を備え、上記載置台本体2の側面には、上記フレーム部材4を支持する複数のフレーム支持部材が5該載置台本体2に対して着脱可能に配置され、上記複数のフレーム支持部材5を上記載置台本体2から取り除いた際には、上記フレーム部材4の下端は上記床面に当接し、該フレーム部材4により上記載置台本体2の下方の空間が閉塞される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薪ストーブ又はペレットストーブのように木質素材を燃料とするストーブが載置される載置台本体と、この載置台本体の下面に固定され該ストーブが設置される床面上を転動する複数のキャスターと、上記載置台本体を内側面で囲むフレーム部材と、を備え、
上記フレーム部材は、少なくとも下端が床面上に当接した際においては上端が上記載置台本体の上面と面一又は該載置台本体の上面よりも上方に位置する高さを備えてなるとともに、
上記載置台本体の側面には、上記フレーム部材を支持する複数のフレーム支持部材が該載置台本体に対して着脱可能に配置されてなり、
上記複数のフレーム支持部材を上記載置台本体から取り除いた際には、上記フレーム部材の下端は上記床面に当接し、該フレーム部材により上記載置台本体の下方に形成された空間が閉塞されることを特徴とするストーブ用載置台。
【請求項2】
前記載置台本体上には、石、タイル、レンガ、土、鉄、コンクリート等の耐火性を有する板体が載置又は固定されてなることを特徴とする請求項1記載のストーブ用載置台。
【請求項3】
前記それぞれのキャスターは、側方からの操作により前記床面上における転動が規制される構造を備えたものであることを特徴とする請求項1又は2記載の何れかのストーブ用載置台。
【請求項4】
前記それぞれのキャスターは、ホイールと下面が前記床面に当接する脚部と、この脚部を昇降させる昇降操作部とを備えてなるとともに、上記昇降操作部の操作により上記脚部が下降するとともに、それまで床面に接地されていたホイールが該床面から離間するものであることを特徴とする請求項1,2又は3記載の何れかのストーブ用載置台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストーブが載置されるストーブ用載置台に関するものであり、特に、木質素材(植物由来)の原料である薪又は木質ペレットを燃料として使用する薪ストーブやペレットストーブが載置されるストーブ用載置台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
木質素材(植物由来)の原料である薪や木質ペレットを燃料として使用される薪ストーブやペレットストーブは、近年我が国においても暖房器具の一種として普及している。とりわけ、これらのストーブはエアコン等に比べて短時間で広い室内を温めることができる一方、石油ストーブのように化石燃料を使用するものではないことから、最近ではエコロジーに貢献する暖房器具として注目を集めつつある。他方、こうしたストーブは、内部で薪や木質ペレットを燃焼させるものであり、防火上の観点から、石、タイル、レンガ、土、鉄、コンクリート等の耐火性を有する炉台上に設置されるとともに、屋内の壁面に近接した場所に設置される場合には、タイルや煉瓦等の耐火性の素材からなる炉壁を該ストーブの背面側に配置・施工されている。また、こうした防火上の観点からは、その設置位置が消防法の関連法規や建築基準法の関連法規により詳細な条件が規定されている。
【0003】
ところで、上述した薪ストーブ等は、主に冬季に使用されるものであることから、気温が上昇した季節(温かい気候となった場合)には使用されることはなく、一般的な薪ストーブ等は、それが高重量であることもあって、容易に移動することはできない構造とされている。このため、薪ストーブ等の設置場所は、室内空間を有効に活用したいとのニーズとも相俟って、部屋の隅又は壁に近接した位置に設置される場合が多い。しかし、他方では暖房器具として使用する際には、部屋の中央付近に移動させたり、逆に使用しない季節では、室内から他所に撤去したり、室内の中央付近から壁際に移動させたりしたいニーズも少なくない。
【0004】
そこで従来では、ストーブの下方に複数のキャスターを配置し、これらのキャスターが床面を転動することにより、その位置を自由に移動することができるようにしたものが開示・提案されている(特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許開2005-201575号公報
【特許文献2】実用新案登録第3142324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記各特許文献に開示されたものでは、上記キャスターの配置によりストーブ全体を他所に容易に移動させることができる反面、それぞれのキャスターが外部に露出していることから、外観を大きく損なうものであるばかりではなく、上記特許文献1に記載されたベース(12)と床面との間や、上記特許文献2に記載される燃焼室(19)と床面との間には、それぞれ空間が形成されることから、これらの空間内に塵埃、灰、木屑又はペレット等が侵入し易く、適宜これらの清掃作業を要することとなり極めて使い勝手が悪い。
【0007】
そこで、本発明は、上述した従来の薪ストーブ等が有する課題を解決するために提案されたものであって、薪ストーブ等のストーブを容易に移動することができるばかりではなく、外観を損なうことがないとともに、ストーブの下方に塵埃や灰等が侵入することを防止し、清掃作業その他を必要とせず極めて使い勝手の良く、ひいては薪ストーブ等の導入を促進することができる新規なストーブ用載置台を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであり、第1の発明(請求項1記載の発明)は、薪ストーブ又はペレットストーブのように木質素材を燃料とするストーブが載置される載置台本体と、この載置台本体の下面に固定され該ストーブが設置される床面上を転動する複数のキャスターと、上記載置台本体を内側面で囲むフレーム部材と、を備え、上記フレーム部材は、少なくとも下端が床面上に当接した際においては上端が上記載置台本体の上面と面一又は該載置台本体の上面よりも上方に位置する高さを備えてなるとともに、上記載置台本体の側面には、上記フレーム部材を支持する複数のフレーム支持部材が該載置台本体に対して着脱可能に配置されてなり、上記複数のフレーム支持部材を上記載置台本体から取り除いた際には、上記フレーム部材の下端は上記床面に当接し、該フレーム部材により上記載置台本体の下方に形成された空間が閉塞されることを特徴とするものである。
【0009】
この第1の発明に係るストーブ用載置台は、上記載置台本体上に薪ストーブ又はペレットストーブが載置されるものであり、冬季等のように上記薪ストーブ等を使用する際には、上記フレーム支持部材は上記載置台本体から取り除かれ、上記フレーム部材の下端は上記床面に当接していることから、該フレーム部材により上記載置台本体の下方に形成された空間が閉塞されている。したがって、このように薪ストーブ等を使用する際においては、上記載置台本体の下方にキャスターは露出しない。また、この状態においては、薪ストーブ等の使用中に、上記載置台本体の下方に塵埃や、灰、木屑又はペレット等が侵入することがない。また、こうした状態から薪ストーブ等を移動させる場合には、上記フレーム部材を持ち上げる等して、上記載置台本体の側面に上記複数のフレーム支持部材をそれぞれ装着し、その後に該載置台本体をこれらのフレーム支持部材に支持させる。こうした操作により、上記載置台本体上に載置された薪ストーブ等は、該薪ストーブ等を横方向から力を加えることにより、上記複数のキャスターが床面上を転動することにより極めて容易に移動させることができる。言うまでもなく、こうした薪ストーブ等の移動の際には、該薪ストーブと連結されたストーブ側排煙ダクトは、該薪ストーブ等から取り外しておく。また、このストーブ側排煙ダクトが家屋又は室内の天井に固定された排煙ダクトから取り外すことが可能であれば、該排煙ダクトとストーブ側排煙ダクトから取り外し、該ストーブ側ダクトと共にこの薪ストーブ等が載置された状態のまま倉庫その他に保管することも可能である。
【0010】
このように、上記第1の発明に係る薪ストーブ用載置台によれば、暖房器具として使用する際には、上記フレーム部材により各キャスターは外部に露出することがないことから、外観を良好なものとすることができるばかりではなく、載置台本体の下方に塵埃や灰等が侵入したり堆積したりすることもなく、これらを適宜掃除する作業からも解放される。また、この第1の発明によれば、これまでの薪ストーブ等の構造や形状を変更する(設計変更する)必要はなく、これまでの使用している薪ストーブ等をそのままの状態で使用することができ、極めて低コストにより薪ストーブ等を移動可能な状態とすることができる。
【0011】
なお、上記第1の発明を構成する載置台本体の形状は、薪ストーブ又はペレットストーブが載置される機能を備えていれば、特に限定されるものではなく、例えば平面形状が長方形又は正方形或いは円形その他任意の形状とされたものであっても良い。また、上記載置台本体の素材は、特に限定されるものではないが、鉄などの不燃性又は難燃性のものを使用することが望ましい。こうした不燃性又は難燃性の素材を用いた載置台本体を構成要素とすることにより、該載置台本体を炉台とすることができる。また、上記フレーム部材は、少なくとも上記載置台本体を内側面で囲む機能を有するものであれば良く、載置台本体の平面形状が方形状であればこの形状に対応した方形状の開口が形成され、また、該載置台本体が円形状であればその形状に対応した開口が形成されていれば良い。
【0012】
また、第2の発明(請求項2記載の発明)は、上記第1の発明において、前記載置台本体上には、石、タイル、レンガ、土、鉄、コンクリート等の耐火性を有する板体が載置又は固定されてなることを特徴とするものである。
【0013】
この第2の発明は、上記載置台本体上に上記耐火性を有する板体が載置又は固定されていることを特徴とするものであり、言わばこれまで使用されてきた炉台と同じ性質を有するものである。こうした耐火性を有する板体を構成要素とすることにより、より一層火災予防効果を高めことができるとともに、例えば所定の釉薬が塗布されたタイル等を用いることにより、更に外観を向上させることができる。
【0014】
また、第3の発明(請求項3記載の発明)は、上記第1の発明又は第2の発明の何れかにおいて、前記それぞれのキャスターは、側方からの操作により前記床面上における転動が規制される構造を備えたものであることを特徴とするものである。
【0015】
この第3の発明では、前記それぞれのキャスターは、側方からの操作により前記床面上における転動が規制される構造を備えたものであり、こうした操作は、先に記載したように、上記載置台本体の側面に上記複数のフレーム支持部材を装着し、その後に該載置台本体をこれらのフレーム支持部材に支持させた状態で可能となる。換言すれば、この第3の発明では、上記フレーム支持部材により載置台本体を支持させることにより、上記それぞれのキャスターが露出するとともに、該キャスターの側方から床面上における転動が規制される操作が可能となる。それぞれのキャスターに対してこうした操作を行うことにより、薪ストーブ等に外力が作用した場合であっても容易に移動してしまう危険性を有効に防止することができる。
【0016】
なお、側方からの操作により前記床面上における転動が規制される構造とは、例えば、所定のレバーを回動操作することにより、該レバーがキャスターを構成するホイール又は該ホイールに軸支された回動軸に係合し又は該ホイールに抵抗を付与するものや、ホイールの側方から脚部を下降させ該ホイールを上昇させることが可能な構造(第4の発明(請求項4記載の発明)参照)としても良い。
【0017】
また、第4の発明(請求項4記載の発明)は、上記第1、第2又は第3の発明の何れかにおいて、前記それぞれのキャスターは、床面上を転動するホイールと下面が前記床面に当接する脚部と、この脚部を昇降させる昇降操作部とを備えてなるとともに、上記昇降操作部の操作により上記脚部が下降するとともに、それまで床面に接地されていた上記ホイールが該床面から離間するものであることを特徴とするものである。
【0018】
この第4の発明に係る薪ストーブ用載置台では、キャスターを構成する上記昇降操作部の操作により上記脚部を下降させるとともに、それまで床面に接地されていたホイールを該床面から離間させることにより、該薪ストーブ用載置台全体は、上記キャスターを構成する脚部により床上に支持され、ホイールは床面に接地されない状態となる。したがって、この第4の発明に係る薪ストーブ用載置台によれば、単に側方からの操作により前記床面上におけるホイールの転動が規制されるばかりではく、極めて安定した薪ストーブ等の設置状態を実現することが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
上記第1の発明(請求項1記載の発明)に係るストーブ用載置台によれば、暖房器具として使用する際には、上記フレーム部材により各キャスターは外部に露出することがないことから、外観を良好なものとすることができるばかりではなく、載置台本体の下方に塵埃や灰等が侵入したり堆積したりすることもなく、これらを適宜掃除する作業からも解放される。また、この第1の発明によれば、これまでの薪ストーブ等の構造や構成を変更する(設計変更する)必要はなく、これまでの使用している薪ストーブ等をそのままの状態で使用することができ、極めて低コストにより薪ストーブ等を移動可能な状態とすることができる。
【0020】
また、第2の発明(請求項2記載の発明)に係るストーブ用載置台によれば、耐火性を有する板体を構成要素とすることにより、より一層火災予防効果を高めことができるとともに、例えば所定の釉薬が塗布されたタイル等を用いることにより、更に外観を向上させることができる。
【0021】
また、第3の発明(請求項3記載の発明)に係るストーブ用載置台によれば、薪ストーブ等に外力が作用した場合であっても容易に移動してしまう危険性を有効に防止することができる。
【0022】
また、第4の発明(請求項4記載の発明)に係るストーブ用載置台によれば、単に側方からの操作により前記床面上におけるホイールの転動が規制されるばかりではく、極めて安定した薪ストーブ等の設置状態を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明に係る薪ストーブ用載置台を薪ストーブと共に示す分解斜視図である。
【
図2】載置台本体の裏面の構成を一部分解して示す斜視図である。
【
図3】キャスターの構成を示すものであり、(a)はキャスターの平面図、(b)はキャスターの側面図である。
【
図4】本発明に係る薪ストーブ用載置台に薪ストーブを載置した状態を示す斜視図である。
【
図5】フレーム部材をフレーム支持部材に支持させた状態を示す断面図である。
【
図6】室内において排煙ダクトに接続された薪ストーブの配置バリエーションを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための最良の形態に係るストーブ用載置台について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0025】
この実施の形態に係るストーブ用載置台は、本発明を、薪を燃料とする薪ストーブを載置するために使用される薪ストーブ用載置台に適用したものである。この薪ストーブ用載置台1は、
図1に示すように、平面形状が長方形状に成形され薪ストーブSが載置台本体2と、4つのキャスター3と、フレーム部材4と、4つのフレーム支持部材5とから構成されたものである。
【0026】
上記載置台本体2は、全体が鉄を素材とするものであり、長方形状に成形された鉄板部12と、この鉄板部12の外周に溶接された鉄枠部13とを備えている。上記鉄板部12は、鋼板からなる平板であり、また、上記鉄枠部13は、内側の中途部において上記鉄板部12の2つの長辺に溶接されてなる第1及び第2の鉄板13a,13bと、上記鉄板部12の2つの短辺に溶接されてなる第3及び第4の鉄板13c,13dとから構成されている。なお、上記鉄枠部13の上端は上記鉄板部12の上面よりも上方に位置し、また、該鉄枠部13の下端は、該鉄板部12の下面よりも下方に位置している。そして、上記第3及び第4の鉄板13c,13dの左右両端側中途部には、それぞれ二つのネジ穴13e,13fが形成されている。これらのネジ穴13e,13fは、上記フレーム支持部材5(の軸部5a)が螺着される部位である。
【0027】
また、上記載置台本体2の裏面には、
図2に示すように、4つのキャスター固定部材14が上記鉄板部12の裏面及び第1又は第2の鉄板13a,13bに溶接されている。これらのキャスター固定部材14は、側面形状がコ字状に成形されてなるものであり、それぞれ中央に円形状の開口14aが開設された主板部14bと、この主板部14bの両端から垂下してなる一方及び他方の垂下板部14c,14dとから構成されている。そして、上記一方の垂下板部14cの外側面は、上記第1又は第2の鉄板13a,13bの内側面に溶接され、上記他方の垂下板部14dの上端は、それぞれ上記鉄板部12の裏面に溶接されている。
【0028】
そして、上記それぞれのキャスター固定部材14に取り付けられたキャスター3は、株式会社タツタ製造に係る「ホイールマスター(商標)WI-60S」であり、
図2又は
図3に示すように、ボディ15と、このボディ15に回転自在に装着されたホイール16と、上記ボディ15の上面に固定された固定ナット17と、上記ボディ15に回動自在に配置された回動軸18と、この回動軸18の下端側に螺着されたナット部材19と、このナット部材19に固定された脚部材20と、上記回動軸19に固定された第1の回動操作部21及び第2の回動操作部22と、を備えてなるものである。なお、上記脚部材20には、
図2に示すように、上記ホイール16の一部が挿通された切欠き部(符号は省略する。)が形成されている。そして、このように構成されたキャスタ―3は、上記第1の回動操作20を図示しないスパナを用いて回動操作し又は図示しないマイナスドライバの先端により上記第2の回動操作部22を回動操作することにより、上記脚部材20が昇降するものであり、この脚部材20が所定の長さ下降した際には、
図3(b)に示すように、上記ホイール16は、該脚部材20の下端よりも上方に位置される。そして、このように構成されたキャスター3は、
図2に示す固定ボルト24の軸部24aを、上記キャスター固定部材14の主板部14bに開設された上記開口14aに挿通するとともに上記固定ナット17の中心に螺着させることにより該主板部14bに取り付けられている。すなわち、上記それぞれキャスター固定部材14は、上記固定ボルト24を用いてキャスター3を取り付けた後に、上記鉄板部12及び鉄枠部13に溶接されている。
【0029】
そして、この実施の形態に係る薪ストーブ用載置台1では、
図1に示すように、上記載置台本体2を構成する鉄板部12の上面に長方形状に成形された陶板25が固定されている。この陶板25は複数のタイル25aから構成されている。なお、この陶板25は、本発明を構成する耐火性を有する板体であり、従来の炉台としての機能を有している。また、この陶板25の肉厚は、上記鉄板部12の上面から上記枠部13の上端までの長さと同等か又は該枠部13の上端までの長さよりも薄いものとされている。
【0030】
また、上記フレーム部材4は、鉄を素材としてなるものであって、平面視において長方形状の外形を有し、
図1に示すように、上記載置台本体2の枠部13を構成する第1の鉄板13aに対向してなる第1の外側鉄板27と、該枠板13を構成する第2の鉄板13bに対向してなる第2の外側鉄板28と、該枠板13を構成する第3の鉄板13cに対向してなる第3の外側鉄板29と、該枠板13を構成する第4の鉄板13dに対向してなる第4の外側鉄板30と、から構成されている。また、このフレーム部材4の高さは、
図4に示すように、該フレーム部材4を床面に載置した際において、その上端が上記枠部13の上端よりも上方に位置する程度のものとされている。
【0031】
また、上記フレーム支持部材5は、
図1に示すように、軸部5aと頭部5bとからなるボルトからなるものであり、この軸部5aは、それぞれ上記4つのネジ穴13e,13fに螺着される部位である。このようにそれぞれのフレーム支持部材5が各ネジ穴13e,13fに螺着されると、上記軸部5aが一部外部に露出するとともに、上記頭部5bは、上記枠部13を構成する第3及び第4の鉄板13c,13dの外側面から上記フレーム部材4の肉厚よりもやや長い距離に位置される。
【0032】
以下、上述した実施の形態に係る薪ストーブ用載置台1の使用方法を説明しながら、この薪ストーブ用載置台1の作用効果を説明する。先ず、この薪ストーブ用載置台1を構成する載置台本体2上に薪ストーブSを載置し暖房器具として使用する場合には、上記それぞれのフレーム支持部材5を上記枠部13から取り外し、
図4に示すように、上記フレーム部材4を床面に接地(載置)する。こうした状態では、上記載置台本体2はフレーム部材4により囲われた状態となるとともに、上記それぞれのキャスター3は外部に露出しない。したがって、この薪ストーブ用載置台1によれば、外観を損なうことはないばかりではなく、載置台本体2の下方に塵埃や灰或いは木屑等が侵入し、都度清掃する負担から解放される。また、上記載置台本体2の鉄板12上には陶板25が固定され、この陶板25は炉台としての機能を有することから、床上に炉台を施工する必要性はない。なお、この状態においては、上記それぞれのキャスター3は、脚部材20の下面が床面に接地されてなる一方、それぞれのホイール16は、床面よりも上方に位置した状態とされていることから、例えば上記薪ストーブSに側方から外力が作用した場合であっても容易に移動することがない。
【0033】
一方、上記薪ストーブSを使用せず、他所に移動したい場合には、先ず、上記フレーム部材4を上方に持ち上げるとともにやや回転させる等して、上記枠部13上に仮置きし、次いで、上記フレーム支持部材5の軸部5aをそれぞれ上記枠部13に形成されたネジ穴13e,13fに螺着させ、次いで、
図5に示すように、これらのフレーム支持部材5上に上記フレーム部材4を支持させる。こうした状態とした場合には、上記それぞれのキャスター3は外部に露出することから、それぞれのキャスター3を構成する第1の回動操作部21又は第2の回動操作部22を先に説明した方法で回動操作することにより、各脚部材20を上昇させる。こうした操作により、上記それぞれのホイール16は床面に接地されることから、元の位置から薪ストーブSを載置した状態で他所に移動させることが可能となる。なお、上記フレーム部材4は、上記4つのフレーム支持部材5により支持されているが、該フレーム部材4の下端は、該フレーム支持部材5の軸部5aに支持され、上記頭部5bと枠部13とにより言わば挟まれた状態で位置決めされていることから、移動中において、この薪ストーブ用載置台1全体に多少の揺れやがたつきが生じた場合であっても、フレーム部材4が脱落することはない。
【0034】
なお、上記実施の形態に係る薪ストーブ用載置台1に載置された薪ストーブSは、使用時において、例えば
図6に実線で示されるように、複数の排煙ダクトD1,D2,D3,D4等に接続される。上記排煙ダクトD1の下端は上記薪ストーブSに接続されるものであり、上記排煙ダクトD4は図示しない天井付近から屋根上方向に亘って配置されるものであり鉛直方向に長さを有している。また、上記排煙ダクトD2,D3は、上記排煙ダクトD1と排煙ダクトD4を互いに接続するものであり、該排煙ダクトD3は、上記排煙ダクトD4内に上端側が挿入された状態で接続されたものである。こうした排煙ダクトD1,D2,D3,D4の施工状態であり、そして該排煙ダクトD1,D2,D3,D4を互いの接続状態を解除することができる場合には、先に説明したように、薪ストーブSが薪ストーブ用載置台1に載置されたままの状態で、それまで配置されていた部屋又は空間から離れた倉庫等に上記排煙ダクトD1,D2,D3と共に保管することができる。また、離れた倉庫等ではなく、同じ部屋の中において移動させたい場合には、
図6において実線で示す位置から、破線で示す位置(すなわち、排煙ダクトD4の軸芯を中心とした任意の位置)に移動させて使用することができる。
【0035】
なお、以上説明した実施の形態に係る薪ストーブ用載置台1は、本発明を薪ストーブ用載置台に適用したものであるが、本発明は、こうした薪ストーブSではなく図示し無いペレットストーブが載置されるペレットストーブ用載置台に適用したものであっても良い。また、上記実施の形態に係る薪ストーブ用載置台1では、本発明を構成するキャスターとして、
図3に示すキャスター3を用いたが、本発明を構成するキャスターは、ホイールに軸支された回動軸に係合し又は該ホイールに抵抗を付与して転動を阻止するタイプのものを使用しても良い。
【符号の説明】
【0036】
1 薪ストーブ用載置台
2 載置台本体
3 キャスター
4 フレーム部材
5 フレーム支持部材
16 ホイール
20 脚部材
21 第1の回動操作部
22 第2の回動操作部
25 陶板
S 薪ストーブ