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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022057490
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】電磁弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/06 20060101AFI20220404BHJP
【FI】
F16K31/06 305L
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020165775
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】日本電産トーソク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179969
【弁理士】
【氏名又は名称】駒井 慎二
(74)【代理人】
【識別番号】100173532
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 彰文
(72)【発明者】
【氏名】中西 智彦
(72)【発明者】
【氏名】坂下 純一
【テーマコード(参考)】
3H106
【Fターム(参考)】
3H106DA07
3H106DA13
3H106DA23
3H106DB02
3H106DB23
3H106DB32
3H106DC02
3H106DD05
3H106EE24
3H106GB06
3H106KK18
(57)【要約】
【課題】弁体が円滑に移動することができる電磁弁を提供すること。
【解決手段】電磁弁1は、軸O1方向に沿って移動可能に支持されたプランジャ22を有するソレノイド2と、流体通過流路46と弁体収容部49とを有し、ソレノイド2に連結される流路部材4と、弁体収容部49内に配置され、プランジャ22とともに軸O1方向に沿って移動可能な弁体5とを備える。弁体5は、軸O1方向一端側を閉塞する壁部511と、軸O1方向他方側に開口した開口部512とを有する筒状の本体部51と、壁部511の軸O1方向一方側に固定され、プランジャ22との移動に伴って流体通過流路46を開閉する弁部53と、本体部51の内側で軸O1方向に沿って移動可能に配置され、軸O1方向一方側で壁部511に接し、軸O1方向他方側でプランジャ22に接する柱状の芯部材55とを有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に沿って貫通した貫通孔を有する筒状のボビンと、前記貫通孔に挿入され、軸方向に沿って移動可能に支持されたプランジャと、前記ボビンの外周部に巻回され、通電に伴い磁力を生じて前記プランジャを軸方向に移動させるコイルとを有するソレノイドと、
第1流路と、第2流路と、前記第1流路と前記第2流路との間に配置され、前記第1流路と前記第2流路とを繋ぐ中継流路とを有する流体通過流路と、前記中継流路に繋がる筒状空間を有する弁体収容部とを備え、前記ソレノイドに連結される流路部材と、
前記弁体収容部内に配置され、前記プランジャとともに軸方向に沿って移動可能な弁体とを備え、
前記弁体は、軸方向一端側を閉塞する壁部と、軸方向他方側に開口した開口部とを有する筒状の本体部と、
前記壁部の軸方向一方側に固定され、前記プランジャとの移動に伴って前記中継流路を開閉する弁部と、
前記本体部の内側で軸方向に沿って移動可能に配置され、軸方向一方側で前記壁部に接し、軸方向他方側で前記プランジャに接する柱状の芯部材とを有することを特徴とする電磁弁。
【請求項2】
前記弁部が前記中継流路を閉状態とする際、前記芯部材は、前記プランジャからの押圧力を前記壁部を介して前記弁部に伝達する請求項1に記載の電磁弁。
【請求項3】
前記本体部と前記芯部材とは、すきまばめの関係にある請求項1または2に記載の電磁弁。
【請求項4】
前記芯部材の外径は、前記プランジャの外径よりも大きい請求項1~3のいずれか1項に記載の電磁弁。
【請求項5】
前記本体部は、樹脂材料で構成され、前記芯部材は、金属材料で構成される請求項1~4のいずれか1項に記載の電磁弁。
【請求項6】
前記弁体収容部は、その内周部に、軸方向一方側で内径が縮径した縮径部と、軸方向他方側で内径が拡径した拡径部とを有する請求項1~5のいずれか1項に記載の電磁弁。
【請求項7】
前記本体部は、その外周部に、前記縮径部に案内される第1ガイド部と、前記拡径部に案内される第2ガイド部とを有する請求項6に記載の電磁弁。
【請求項8】
前記第1ガイド部は、前記壁部の径方向外側に位置する請求項7に記載の電磁弁。
【請求項9】
前記第1流路は、前記弁体収容部を介して、前記中継流路に繋がれており、
少なくとも前記弁部が前記中継流路を開状態としたとき、前記芯部材の前記壁部との接触面は、前記縮径部の前記第1流路との接続部より軸方向他端側に位置する請求項6~8のいずれか1項に記載の電磁弁。
【請求項10】
前記弁体収容部内には、前記弁体を軸方向他方側に付勢する付勢部材を備える請求項6~9のいずれか1項に記載の電磁弁。
【請求項11】
前記弁体は、前記付勢部材によって付勢されることにより、前記弁体収容部の内周部に接しつつ、前記弁体を軸方向他方に向かって移動する請求項10に記載の電磁弁。
【請求項12】
前記付勢部材は、前記弁体収容部内で前記弁体の外周側に該弁体と同心状に配置され、軸方向一方側で前記縮径部と前記拡径部との境界部に接するとともに、軸方向他方側で前記第2ガイド部に接して、前記弁体を軸方向に沿って付勢するバネである請求項10または11に記載の電磁弁。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁弁に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスまたは水や油等の流体の流れを切り換える、すなわち、流体の通過と遮断とを切り換える電磁弁が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の電磁弁は、例えば、エンジン等の内燃機関を備える車両に搭載されて、ブローバイガスの通過と遮断とを切り換えることができる。
この特許文献1に記載の電磁弁は、流体が通過する流路を開閉する弁体を有するノズル部と、弁体に接して、当該弁体を移動させる励磁によってプランジャを有するソレノイド部とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-56419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の電磁弁では、柱状をなす弁体の端面にプランジャが接して、当該弁体を押圧する。この場合、弁体は、流路を開閉する部分(弾性体部)から遠い箇所が押圧されることとなり、弁体の姿勢が保たれず、弁体の軸ズレが生じて、円滑な移動が困難となるおそれがある。
本発明の目的は、弁体が円滑に移動することができる電磁弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の電磁弁の一つの態様は、軸方向に沿って貫通した貫通孔を有する筒状のボビンと、前記貫通孔に挿入され、軸方向に沿って移動可能に支持されたプランジャと、前記ボビンの外周部に巻回され、通電に伴い磁力を生じて前記プランジャを軸方向に移動させるコイルとを有するソレノイドと、
第1流路と、第2流路と、前記第1流路と前記第2流路との間に配置され、前記第1流路と前記第2流路とを繋ぐ中継流路とを有する流体通過流路と、前記中継流路に繋がる筒状空間を有する弁体収容部とを備え、前記ソレノイドに連結される流路部材と、
前記弁体収容部内に配置され、前記プランジャとともに軸方向に沿って移動可能な弁体とを備え、
前記弁体は、軸方向一端側を閉塞する壁部と、軸方向他方側に開口した開口部とを有する筒状の本体部と、
前記壁部の軸方向一方側に固定され、前記プランジャとの移動に伴って前記中継流路を開閉する弁部と、
前記本体部の内側で軸方向に沿って移動可能に配置され、軸方向一方側で前記壁部に接し、軸方向他方側で前記プランジャに接する柱状の芯部材とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の電磁弁の一つの態様によれば、本体部の弁部に近い箇所にプランジャからの押圧力を伝達することができるので、弁体は、その軸ズレが防止されて、円滑に移動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明の電磁弁(開状態)の使用状態の一例を示す図である。
図2図2は、本発明の電磁弁(閉状態)の使用状態の一例を示す図である。
図3図3は、本発明の電磁弁の実施形態を示す断面図である。
図4図4は、図3中の二点鎖線で囲まれた領域[A]の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1図4を参照して、本発明の電磁弁の実施形態について説明する。なお、以下では、説明の便宜上、互いに直交する3軸をX軸、Y軸およびZ軸を設定する。一例として、X軸とY軸を含むXY平面が水平となっており、Z軸が鉛直となっている。X軸と平行な方向を「軸方向(軸O1方向)」と言い、この軸を中心とする径方向を単に「径方向」と言い、前記軸を中心とする周方向を単に「周方向」と言うことがある。また、X軸方向正側を「軸方向一方側」または単に「一方側」と言い、X軸方向負側を「軸方向他方側」または単に「他方側」と言うことがある。本明細書中において、上下方向、水平方向、上側および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0009】
図1図2に示すように、電磁弁1は、例えば、エンジン等の内燃機関10を備える車両100に搭載して用いられる。内燃機関10は、燃焼室111、クランク室112およびバッファ室113を有するハウジング11と、燃焼室111内に移動可能に設けられたピストン12と、クランク室112内設けられ、ピストン12の往復運動を回転運動に変換するクランク13と備える。
また、ハウジング11内では、クランク室112とバッファ室113とが内部流路114を介して接続される。
【0010】
燃焼室111には、ハウジング11の外側から外部流路14が接続される。外部流路14の途中には、スロットル弁である電磁弁15が設置される。
外部流路14の電磁弁15よりも下流側と、クランク室112とは、第1補助流路16を介して、接続される。第1補助流路16の途中には、PCV弁である電磁弁17が設置される。
【0011】
外部流路14の電磁弁15よりも上流側と、バッファ室113とは、第2補助流路18を介して、接続される。そして、第2補助流路18には、外部流路14との境界部に本発明の電磁弁1が設置される。電磁弁1は、外部流路14の開閉を切り換える弁である。電磁弁1は、車両100の通常走行時には、外部流路14を開状態(図1参照)とし、混合気AR等の漏れ(以下単に「漏れ」と言う)を検出するリーク検出時には、外部流路14を閉状態(図2参照)とする。
【0012】
図1に示すように、開状態では、混合気ARは、外部流路14を通過して、燃焼室111に流入し、燃焼に供される。これにより、ピストン12が移動することができる。また、外部流路14を通過する混合気ARの一部は、外部流路14の途中から第2補助流路18に流入し、バッファ室113、内部流路114を順に経て、クランク室112に至る。クランク室112に流入した混合気ARは、第1補助流路16を経て、外部流路14に戻ることができる。
【0013】
図2に示すように、閉状態では、内燃機関10への混合気ARの供給が停止する。そして、燃焼室111が燃焼により高圧となった際に、燃焼室111内のブローバイガスQの一部がピストン12を越えてクランク室112に流入する。その後、クランク室112内のブローバイガスQは、第1補助流路16を経て、外部流路14に流入する。このとき、漏れが生じていないならば、クランク室112内の圧力が経時的に減少することなる。そして、クランク室112内の圧力が閾値を下回った場合、漏れが生じていないと判断される。一方、漏れが生じているならば、クランク室112内での圧力が減少せずに前記閾値を下回ることがないか、または、圧力の減少傾向が緩やかとなり、前記閾値を下回るまでに時間を費やすこととる。この場合、漏れが生じていると判断される。
【0014】
図3に示すように、電磁弁1は、X軸方向負側に配置されたソレノイド2と、X軸方向正側に配置された弁機構3とを備える。以下、各部の構成について説明する。
ソレノイド2は、ボビン21と、プランジャ22と、コイル23と、ケース24と、コア25と、ヨーク26とを有する。
【0015】
ボビン21は、貫通孔211を有する筒状の部材である。貫通孔211は、X軸方向と平行な軸O1方向に沿って貫通する。また、貫通孔211の内径は、軸O1方向に沿って一定である。ボビン21は、一方側で、径方向に突出したフランジ212と、他方側で、径方向に突出したフランジ213とを有する。ボビン21は、例えば、ポリエステル樹脂やポリイミド樹脂等の各種樹脂材料で構成される。
【0016】
ボビン21の外周部214には、導電性を有するコイル23が巻回される。そして、コイル23を通電状態とすることにより、すなわち、コイル23での通電に伴って、ボビン21とコア25とヨーク26とで磁気回路が構成されて、磁力が生じる。これにより、プランジャ22を軸O1方向に沿って移動させることができる。
【0017】
ボビン21の貫通孔211には、コア25とヨーク26とが挿入され、さらに内側にプランジャ22が挿入される。
コア25は、軸O1方向一方側に配置され、ヨーク26は、軸O1方向他方側に配置される。
【0018】
コア25は、全体として円筒状であり、X軸方向と平行に配置される。また、ヨーク26も、全体として円筒状であり、X軸方向と平行に配置される。コア25およびヨーク26は、鉄のような軟磁性材料からなる、すなわち、軟磁性の金属材料で構成される。これにより、プランジャ22を十分に移動させることができる程度の磁気回路を生じさせることができる。
【0019】
また、ソレノイド2は、貫通孔211内で、コア25とヨーク26とを離間させた状態で連結する連結部材201を有する。連結部材201は、円筒状であり、内側にコア25の他端部とヨーク26の一端部とが嵌め込まれる。連結部材201は、非磁性であり、錆に対する耐性を有する、例えばオーステナイト系のステンレス鋼等の金属材料で構成される。
【0020】
プランジャ22は、コア25とヨーク26とにまたがって配置され、軸O1方向に沿って一方側と他方側とに交互に移動可能、すなわち、往復動可能に支持される。
プランジャ22は、円筒状のプランジャ本体222と、プランジャ本体222に挿入されたプランジャピン221を有する。プランジャピン221は、軸O1方向一方側および他方側の双方に突出する。また、ヨーク26の他方側は、壁部262によって閉塞しており、当該壁部262にプランジャピン221が接触する、すなわち、衝突することにより、プランジャ22の他方側への移動限界が規制される。
また、プランジャ22は、コア25内では、プランジャピン221がブッシュ202によって支持され、ヨーク26内では、プランジャピン221がブッシュ203によって支持される。これにより、プランジャ22は、円滑に往復動することができる。
【0021】
ケース24は、ボビン21、プランジャ22、コイル23、コア25およびヨーク26を収納する。ケース24は、ケース本体241と、コネクタ部材242と、リング部材243とを有する。
ケース本体241は、有底筒状である。すなわち、ケース本体241は、軸O1方向一方側が開口する開口部244と、他方側を閉塞させる壁部245とを有する筒状の部材である。壁部245には、一方側からヨーク26が接する。
【0022】
リング部材243は、円環状をなし、コア25の径方向外側で、当該コア25と同心状に配置される。リング部材243は、コア25に対して一方側から接する。
ケース本体241およびリング部材243は、コア25と同様に、鉄のような軟磁性の金属材料で構成される。
コネクタ部材242は、コイル23への通電を行うコネクタ(図示せず)が接続される。コネクタ部材242は、ボビン21と同様に、例えば、樹脂材料で構成される。
【0023】
また、ソレノイド2は、ケース24内で、リング部材243とボビン21のフランジ212との間に配置されたガスケット204と、ケース本体241の壁部245とボビン21のフランジ213との間に配置されガスケット205とを有する。
ガスケット204は、リング状をなし、コア25の外周側で、当該コア25と同心状に配置される。ガスケット204は、リング部材243とボビン21のフランジ212との間で圧縮された状態となっており、これにより、リング部材243とフランジ212との間を封止することができる。
【0024】
ガスケット205は、リング状をなし、ヨーク26の径方向外側で、当該ヨーク26と同心状に配置される。ガスケット205は、ケース本体241の壁部245とボビン21のフランジ213との間で圧縮された状態となっており、これにより、壁部245とフランジ213との間を封止することができる。
なお、ガスケット204およびガスケット205は、弾性材料で構成される。弾性材料としては、特に限定されず、例えば、ウレタンゴム、シリコーンゴム等の各種ゴム材料が挙げられる。
【0025】
弁機構3は、流路部材4と、弁体5と、バネ31と、連結部材32と、ガスケット33とを備える。
流路部材4は、ソレノイド2に連結される部材であり、内部に、流体であるブローバイガスQが通過可能な流体通過流路46と、流体通過流路46と繋がる弁体収容部49とを備える。なお、流路部材4は、ボビン21と同様に、例えば、樹脂材料で構成される。
【0026】
流体通過流路46は、第1流路41と、第2流路42と、第1流路41と第2流路42とを繋ぐ中継流路44とを有する。
第1流路41は、Z軸方向に沿って設けられ、Z軸方向負側に向かって開口する。また、第1流路41は、外部流路14に接続されており、当該外部流路14を介して燃焼室111に繋がる。また、流路部材4には、外部流路14を構成する配管との間を封止するガスケット45が外側から嵌められる。
【0027】
第2流路42もZ軸方向に沿って設けられ、Z軸方向正側に向かって開口する。なお、第2流路42の中心軸O42は、第1流路41の中心軸O41に対して、X軸方向正側に位置する。また、第2流路42は、例えば、第2補助流路18に接続される。
【0028】
第1流路41と第2流路42との間には、中継流路44がX軸方向、すなわち、軸O1方向に沿って設けられる。中継流路44は、第1流路41と第2流路42とを繋ぐ。例えば、電磁弁1が搭載された内燃機関10が自然吸気型のエンジンの場合、図3に示すように、ブローバイガスQは、第1流路41から中継流路44を経て第2流路42に向かって流れる。
【0029】
流体通過流路46のX軸方向負側には、弁体収容部49が隣り合って配置される。弁体収容部49は、X軸方向に沿って設けられた筒状空間48を有する。そして、筒状空間48には、弁体5がX軸方向(軸O1方向)に沿って移動可能に収容される。また、筒状空間48は、X軸方向正側で中継流路44と繋がり、Z軸方向負側(径方向外側)で第1流路41と繋がる。ブローバイガスQは、第1流路41から第2流路42に向かって流れる際、筒状空間48および中継流路44をこの順に経る。
【0030】
図4に示すように、弁体収容部49は、その内周部490に、内径が縮径した縮径部491と、内径が拡径した拡径部492とを有する。縮径部491は、内周部490の中で軸O1方向一方側に位置し、拡径部492は、内周部490の中で軸O1方向他方側に位置する。また、縮径部491には、第1流路41がZ軸方向負側から接続される。以下、縮径部491に第1流路41が接続された部分を「接続部493」と言う。
【0031】
また、図3に示すように、弁体収容部49のX軸方向負側には、連結部材32が配置される。連結部材32は、リング状をなし、弁体収容部49の外周側(径方向外側)に固定される。また、連結部材32には、ソレノイド2のケース本体241が例えばカシメによって固定される。これにより、ソレノイド2と流路部材4とが連結された状態となる。
【0032】
連結部材32とソレノイド2のリング部材243との間には、ガスケット33が圧縮された状態で配置される。また、ガスケット33は、リング状をなし、弁体収容部49と同心状に設けられる。ガスケット33により、連結部材32とリング部材243との間を封止することができ、よって、これらの間、すなわち、流路部材4とソレノイド2との間からのブローバイガスQの漏れを防止することができる。なお、ガスケット33は、ガスケット204と同様に、例えば、ウレタンゴム等の弾性材料で構成される。
【0033】
図4に示すように、弁体収容部49には、弁体5が収容、配置される。弁体5は、プランジャ22とともに軸O1方向に沿って移動することができる。そして、弁体5の移動により、中継流路44を開閉することができる、すなわち、中継流路44を開状態と閉状態とに切り換えることができる。開状態では、流体通過流路46内でのブローバイガスQの通過が可能となる。なお、図3は、開状態を示す。一方、閉状態では、流体通過流路46内でのブローバイガスQの通過が遮断される。
【0034】
弁体5は、本体部51と、弁部53と、ピン55とを有する。
本体部51は、軸O1方向一端側を閉塞する壁部511と、軸O1方向他方側に開口した開口部512とを有する筒状をなす、すなわち、有底筒状をなす。そして、本体部51は、その中心軸が軸O1と平行な姿勢で弁体収容部49(筒状空間48)内に配置される。本体部51は、ボビン21と同様に、例えば、樹脂材料で構成される。
【0035】
本体部51は、その外周部に、第1ガイド部513と、第2ガイド部514とを有する。
第1ガイド部513は、本体部51の外周部の軸O1方向一端側に設けられ、外径が軸O1に沿って一定の外径一定部である。第1ガイド部513は、弁体収容部49の縮径部491(内周部490)に接する。これにより、弁体5が軸O1方向に沿って移動する際、第1ガイド部513が縮径部491に案内されて摺動し、よって、弁体5が安定して移動することができる。
【0036】
第2ガイド部514は、本体部51の外周部の第1ガイド部513よりも軸O1方向他方側に設けられ、第1ガイド部513よりも外径が拡径したフランジ部である。第2ガイド部514は、弁体収容部49の拡径部492(内周部490)に接する。これにより、弁体5が軸O1に沿って移動する際、第2ガイド部514が拡径部492に案内されて摺動する。そして、第1ガイド部513の縮径部491での案内と相まって、弁体5がさらに安定して移動することができる。
【0037】
また、本体部51は、その内周部に、小径部515と、大径部516とを有する。
小径部515は、本体部51の内周部の軸O1方向一端側に設けられ、外径が軸O1に沿って一定である。なお、後述するように、小径部515には、芯部材55が配置される。小径部515の全長は、芯部材55の全長と同じである。
大径部516は、本体部51の内周部の小径部515よりも軸O1方向他方側に設けられ、小径部515よりも外径が拡径した部分である。大径部516も、小径部515と同様に、外径が軸O1に沿って一定であるが、全長が小径部515よりも短い。
【0038】
また、弁体5は、本体部51の軸O1方向一方側で弁部53を固定する固定部52を有する。固定部52は、壁部511から軸O1方向一方側に向かって柱状に突出した突出部521と、突出部521の外周部から径方向外側に向かって拡径した拡径部522とを有する。そして、弁部53は、固定部52に対し、径方向外側から噛み込む。これにより、弁部53は、固定部52に引っ掛かった状態となり、本体部51から離脱するのが防止される、すなわち、本体部51からの抜けが防止される。
【0039】
弁部53は、プランジャ22との移動に伴って、中継流路44に接近して、当該中継流路44を塞いだり、中継流路44から離れて、当該中継流路44を開放したりすることができる。従って、弁部53は、中継流路44を開閉する部材として機能する。
また、弁部53は、例えば柱状または板状をなす。そして、弁部53の外径φD53は、弁体収容部49の縮径部491に接する第1ガイド部513の外径φD513よりも小さい。これにより、弁部53が縮径部491に接するのが防止され、よって、弁部53で弁体5の移動が妨げられるのを防止することができる。
また、弁部53は、ガスケット204と同様に、例えば、ウレタンゴム等の弾性材料で構成される。
【0040】
本体部51の内側、すなわち、小径部515には、芯部材55が配置される。芯部材55は、柱状をなし、本体部51と同軸上で軸O1方向に沿って移動可能に配置される。そして、芯部材55は、軸O1方向一方側で壁部511に接し、軸O1方向他方側でプランジャ22のプランジャピン221に接する。これにより、プランジャ22が軸O1方向一方側に向かって移動した際、芯部材55は、プランジャ22からの押圧力を、壁部511を介して、弁部53に伝達することができる。よって、弁部53は、中継流路44に接近して、当該中継流路44を塞ぎ、閉状態とすることができる。
【0041】
また、本体部51に対しては、できる限り軸O1方向一方側を押圧するのが好ましい。本実施形態では、本体部51は、壁部511に接した芯部材55で押圧されており、上記の「できる限り軸O1方向一方側を押圧する」構成となっている。これにより、本体部51(弁体5)は、軸Oに対するブレが防止されて、安定して円滑に移動することができる。これにより、弁部53による中継流路44の開閉の切り換えを迅速に行うことができる。
また、第1ガイド部513は、壁部511の径方向外側に位置する。これにより、本体部51の軸Oに対するブレが第1ガイド部513でさらに防止されることとなり、よって、本体部51が移動する際の安定性が向上する。
【0042】
図4に示すように、少なくとも弁部53が中継流路44を開状態としたとき、芯部材55の壁部511との接触面551は、縮径部491の接続部493よりも軸O1方向他端側に位置する。これにより、例えば、弁部53を中継流路44から十分に離れさせることができ、ブローバイガスQが第1流路41から第2流路42に過不足なく円滑に通過することができる。なお、弁部53の厚さ(軸O1方向の長さ)にもよるが、閉状態で、接触面551は、縮径部491の接続部493よりも軸O1方向他端側に位置してもよいし、軸O1方向一方側に位置してもよいし、軸O1方向で接続部493と同じ位置に位置してもよい。
【0043】
芯部材55の外径φD55は、プランジャ22のプランジャピン221の外径φD221よりも大きい。これにより、芯部材55のプランジャピン221との接触面積を広く確保することができる。そして、芯部材55がプランジャピン221と繰り返し接触した場合でも、この接触による芯部材55の摩耗を低減することができる。
【0044】
本体部51の小径部515と芯部材55とは、はめあいの関係にある。はめあいには、しまりばめ、中間ばめ、すきまばめがある。本実施形態では、小径部515と芯部材55とは、特に、すきまばめの関係にあるのが好ましい。小径部515の内径φD515は、芯部材55の外径φD55よりも大きい。そして、すきまばめの場合、例えば、内径φD515の公差域(寸法の許容誤差)を「H7」とすると、外径φD55の公差域を、「f6」、「h7」または「h6」とすることができる。このようなすきまばめにより、芯部材55は、小径部515内で軸O1方向に沿って容易に移動可能となる。
【0045】
なお、小径部515には、大径部516がつながる。これにより、芯部材55を開口部512から小径部515に挿入する際、芯部材55が一旦大径部516を経てから、当該芯部材55を小径部515に向かわせることができるため、芯部材55の挿入作業を容易に行うことができる。
【0046】
芯部材55の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ステンレス鋼等の金属材料を用いることができる。これにより、プランジャからの押圧力を安定して受けることができる。また、芯部材55がプランジャピン221と繰り返し接触しても、当該芯部材55の摩耗による損傷を防止することができる。
【0047】
また、弁体収容部内49には、バネ31が配置される。バネ31は、弁体5を軸O1方向他方側に向かって付勢する付勢部材である。弁体5は、コイル23に対する前記通電状態を解除した状態で、バネ31によって付勢されることにより、軸O1方向他方に向かって移動することができる。これにより、弁部53は、中継流路44から離れて、当該中継流路44を開放し、開状態とすることができる。
【0048】
また、バネ31としては、例えば、コイルバネを用いるのが好ましい。これにより、弁体収容部49内では、バネ31を、弁体5の外周側に弁体5と同心状に配置することができる。そして、バネ31は、軸O1方向一方側で縮径部491と拡径部492との境界部である段差部494に接するとともに、軸O1方向他方側で第2ガイド部514に接して、圧縮状態となる。これにより、弁体5を過不足なく安定して付勢することができる。
【0049】
以上、本発明の電磁弁を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、電磁弁を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、電磁弁1は、前記実施形態ではエンジン等の内燃機関10を備える車両100に搭載して用いられた場合となっているが、電磁弁の適用箇所は、車両100に限定されない。また、電磁弁1によって通過と遮断とが切り換えられる流体も、気体(ブローバイガスQ)に限定されず、液体または気体と液体との混合物であってもよい。
【0050】
また、電磁弁1は、前記実施形態ではブローバイガスQが第1流路41から第2流路42に向かって流れる構成となっているが、電磁弁1の使用状態によっては、ブローバイガスQを第2流路42から第1流路41に向かって流すこともできる。
【符号の説明】
【0051】
1…電磁弁、2…ソレノイド、21…ボビン、211…貫通孔、212…フランジ、213…フランジ、22…プランジャ、221…プランジャピン、222…プランジャ本体、23…コイル、24…ケース、241…ケース本体、242…コネクタ部材、243…リング部材、244…開口部、245…壁部、25…コア、26…ヨーク、262…壁部、201…連結部材、202…ブッシュ、203…ブッシュ、204…ガスケット、205…ガスケット、3…弁機構、31…バネ、32…連結部材、33…ガスケット、4…流路部材、41…第1流路、42…第2流路、44…中継流路、46…流体通過流路、48…筒状空間、49…弁体収容部、490…内周部、491…縮径部、492…拡径部、493…接続部、494…段差部、5…弁体、51…本体部、511…壁部、512…開口部、513…第1ガイド部、514…第2ガイド部、515…小径部、516…大径部、52…固定部、521…突出部、522…拡径部、53…弁部、55…芯部材、551…接触面、10…内燃機関、11…ハウジング、111…燃焼室、112…クランク室、113…バッファ室、114…内部流路、12…ピストン、13…クランク、14…外部流路、15…電磁弁、16…第1補助流路、17…電磁弁、18…第2補助流路、100…車両、AR…混合気、φD221…外径、φD513…外径、φD515…内径、φD53…外径、φD55…外径、O1…軸、O41…中心軸、O42…中心軸、Q…ブローバイガス

図1
図2
図3
図4