(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022057521
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】位置測定補助具及び位置測定方法
(51)【国際特許分類】
G01C 15/06 20060101AFI20220404BHJP
【FI】
G01C15/06 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020165823
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【弁理士】
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】馬場 峰雄
(72)【発明者】
【氏名】中村 知行
(57)【要約】
【課題】レーザー測定装置から照射されたレーザーポイントの位置を容易に確認可能な位置測定補助具を提供する。
【解決手段】位置測定補助具1は、測定対象物の位置を測定する際に用いられ、レーザー測定装置Dから照射されたレーザー光Lによって形成されるレーザーポイントL1の位置を確認するための補助具である。当該補助具は、レーザー光Lを透過するレーザー透過部20と、レーザー光Lを反射する反射面31を有し、レーザーポイントL1を反射面31に表示することが可能なレーザー反射部30とを備えている。レーザー透過部20の透過面21と、レーザー反射部30の反射面31とが、それぞれ所定の幅を有し、かつ、交互に並ぶように配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物の位置を測定する際に用いられ、レーザー測定装置から照射されたレーザー光によって形成されるレーザーポイントの位置を確認するための位置測定補助具であって、
前記レーザー光を透過するレーザー透過部と、
前記レーザー光を反射する反射面を有し、前記レーザーポイントを前記反射面に表示することが可能なレーザー反射部と、を備え、
前記レーザー透過部の透過面と、前記レーザー反射部の前記反射面とが、それぞれ所定の幅を有し、かつ、前記透過面及び前記反射面の幅方向において交互に並ぶように配置されていることを特徴とする位置測定補助具。
【請求項2】
前記透過面と、前記反射面とが、それぞれ同じ幅を有し、かつ、前記幅方向において互いに隣接するように交互に並んで配置されていることを特徴とする請求項1に記載の位置測定補助具。
【請求項3】
前記位置測定補助具は、前記測定対象物に取り付けられた前記レーザー測定装置から照射された前記レーザー光によって形成されるドット状の前記レーザーポイントの芯位置を確認するための治具であって、
前記透過面及び前記反射面の幅が、前記レーザーポイントの直径又は幅よりも小さいことを特徴とする請求項1又は2に記載の位置測定補助具。
【請求項4】
前記位置測定補助具の表面には、前記位置測定補助具の厚み方向において突出した凸部又は窪んだ凹部が所定の間隔を空けて形成され、
前記反射面が、前記凸部又は前記凹部の表面に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の位置測定補助具。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の位置測定補助具を用いた位置測定方法であって、
前記測定対象物に前記レーザー測定装置を取り付ける装置取り付け工程と、
前記レーザー測定装置から前記レーザー光を照射するレーザー照射工程と、
照射された前記レーザー光の照射位置に前記位置測定補助具を配置する補助具配置工程と、を含み、
前記補助具配置工程では、
前記照射位置に前記位置測定補助具の前記反射面を配置し、前記レーザーポイントを前記反射面に表示させることを特徴とする位置測定方法。
【請求項6】
前記照射位置の周辺位置に、目盛り表示部を有する距離測定具を配置する測定具配置工程をさらに含み、
前記補助具配置工程又は前記測定具配置工程では、前記反射面の幅と、前記目盛り表示部の目盛り間隔とを対応させて前記位置測定補助具及び前記距離測定具を配置することを特徴とする請求項5に記載の位置測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置測定補助具及び位置測定方法に係り、特に、測定対象物の位置を測定する際に用いられ、レーザー測定装置から照射されたレーザーポイントの位置を確認するための位置測定補助具及び位置測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物を建築するにあたって建物の柱の鉛直位置を測定することや、梁の水平位置を測定することで、建物の施工精度を管理することが行われている。
例えば、柱の鉛直位置を測定するために、柱の側面にレーザー測定装置(具体的には、レーザー下げ振り装置)を取り付けて、当該測定装置から上方及び下方に照射されたレーザー光によって形成されるレーザーラインやレーザーポイントの位置(具体的には、柱からの水平距離)を物差しでそれぞれ測定し、各測定値の差分を算出する。そして、当該差分が基準範囲内に収まっているか否かを確認する作業が行われている。
【0003】
そうしたなかで、レーザー測定装置から照射されたレーザー光によって形成されるレーザーラインの位置を確認し易くするために、特許文献1に記載のレーザー受光器や、特許文献2に記載のレーザー反射板の技術が提案されているところである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-132931号公報
【特許文献2】実用新案登録第3121780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2のような位置測定補助具は、あくまでレーザーラインの位置を確認し易くするものであって、レーザーポイントの位置を確認し易くするものではなかった。
そのため、レーザーポイントの位置(具体的には、芯の位置)を確認し易くするための工夫がなされた新規な位置測定補助具が求められていた。
詳しく述べると、レーザー測定装置から照射されたレーザーポイントの位置を確認するときには物差しを通常用いているところ、レーザー測定装置の性能によってはレーザーポイントの形状が幾分ぼやけて表示されてしまい、レーザーポイントの芯の位置を確認することが難しいことがあった。その結果、測定対象物の位置を精度良く測定できないことがあった。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、レーザー測定装置から照射されたレーザーポイントの位置(芯の位置)を容易に確認することが可能な位置測定補助具及び位置測定方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、シンプルな構成でレーザーポイントの位置(芯の位置)を簡易的に確認することが可能な位置測定補助具及び位置測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題は、本発明の位置測定補助具によれば、測定対象物の位置を測定する際に用いられ、レーザー測定装置から照射されたレーザー光によって形成されるレーザーポイントの位置を確認するための位置測定補助具であって、前記レーザー光を透過するレーザー透過部と、前記レーザー光を反射する反射面を有し、前記レーザーポイントを前記反射面に表示することが可能なレーザー反射部と、を備え、前記レーザー透過部の透過面と、前記レーザー反射部の前記反射面とが、それぞれ所定の幅を有し、かつ、前記透過面及び前記反射面の幅方向において交互に並ぶように配置されていること、により解決される。
【0008】
上記構成により、シンプルな構成で、レーザー測定装置から照射されたレーザーポイントの位置(芯の位置)を容易に確認することが可能な位置測定補助具を実現できる。
詳しく述べると、レーザー透過部の透過面と、レーザー反射部の反射面とが、それぞれ所定の幅を有し、かつ、透過面及び反射面の幅方向において交互に並ぶように配置されているため、上記透過面及び反射面にレーザーポイントを照射することで、レーザーポイントの形状を容易に把握することができる。具体的には、反射面上にはレーザーポイントが表示され、透過面上ではレーザーポイントが透過し非表示となるため、レーザーポイントの表示態様にメリハリを付けることができる。その結果、レーザーポイントを鮮明に表示することができ、レーザーポイントの芯の位置を容易に確認することができる。
また、反射面及び透過面が、それぞれ所定の幅(例えば、1mm)を有しているため、レーザーポイントの位置、すなわち測定対象物からレーザーポイントまでの距離を容易に測定することができる。なお、距離を測定する際には、目盛り付きの物差しを併用すると良い。あるいは、位置測定補助具の表面に目盛りを付しておくことで物差しを不要とすることもできる。
【0009】
このとき、前記透過面と、前記反射面とが、それぞれ同じ幅を有し、かつ、前記幅方向において互いに隣接するように交互に並んで配置されていると好ましい。
上記構成により、レーザーポイントをより鮮明に表示することができ、レーザーポイントの芯の位置をより容易に確認することができる。
【0010】
このとき、前記位置測定補助具は、前記測定対象物に取り付けられた前記レーザー測定装置から照射された前記レーザー光によって形成されるドット状の前記レーザーポイントの芯位置を確認するための治具であって、前記透過面及び前記反射面の幅が、前記レーザーポイントの直径又は幅よりも小さいと好ましい。
上記のように、ドット状のレーザーポイントの直径又は幅に対応させて透過面及び反射面の幅を設定しているため、レーザーポイントの芯の位置をより分かり易く確認することがきる。また、測定対象物からレーザーポイントまでの距離をより分かり易く測定することができる。
【0011】
このとき、前記位置測定補助具の表面には、前記位置測定補助具の厚み方向において突出した凸部又は窪んだ凹部が所定の間隔を空けて形成され、前記反射面が、前記凸部又は前記凹部の表面に形成されていると好ましい。
上記構成により、反射面上にレーザーポイントを表示するにあたって、当該レーザーポイントの表示態様により良くメリハリを付けることができる。その結果、レーザーポイントをより良く鮮明に表示することができる。
【0012】
また前記課題は、上記位置測定補助具を用いた位置測定方法であって、前記測定対象物に前記レーザー測定装置を取り付ける装置取り付け工程と、前記レーザー測定装置から前記レーザー光を照射するレーザー照射工程と、照射された前記レーザー光の照射位置に前記位置測定補助具を配置する補助具配置工程と、を含み、前記補助具配置工程では、前記照射位置に前記位置測定補助具の前記反射面を配置し、前記レーザーポイントを前記反射面に表示させること、によっても解決される。
【0013】
このとき、前記照射位置の周辺位置に、目盛り表示部を有する距離測定具を配置する測定具配置工程をさらに含み、前記補助具配置工程又は前記測定具配置工程では、前記投射面の幅と、前記目盛り表示部の目盛り間隔とを対応させて前記位置測定補助具及び前記距離測定具を配置すると好ましい。
上記構成により、レーザーポイントの位置、すなわち測定対象物からレーザーポイントまでの距離を、目盛り付きの距離測定具を利用して容易に測定することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の位置測定補助具及び位置測定方法によれば、レーザー測定装置から照射されたレーザーポイントの位置(芯の位置)を容易に確認することが可能となる。
また、シンプルな構成でレーザーポイントの位置(芯の位置)を簡易的に確認することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施形態の位置測定補助具を用いた位置測定方法を説明する斜視図である。
【
図3A】位置測定補助具の側面図であって、透過面、反射面を説明する模式図である。
【
図3B】位置測定補助具の変形例を示す側面図である。
【
図3C】位置測定補助具の変形例2を示す側面図である。
【
図3D】位置測定補助具の変形例3を示す側面図である。
【
図4】位置測定補助具及び距離測定具の上面図であって、レーザーポイントが表示された状態を示す図である。
【
図5A】
図4の要部拡大図であって、レーザーポイントの表示態様を示す図である。
【
図5B】レーザーポイントの別の表示態様を示す図である。
【
図5C】レーザーポイントの別の表示態様を示す図である。
【
図6】位置測定補助具を用いた位置測定方法を示す工程図である。
【
図7】第2実施形態の位置測定補助具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について
図1-
図7を参照して説明する。
本実施形態は、測定対象物の位置を測定する際に用いられ、レーザー測定装置から照射されたレーザー光によって形成されるレーザーポイントの位置を確認するための位置測定補助具であって、レーザー光を透過するレーザー透過部と、レーザー光を反射する反射面を有し、レーザーポイントを反射面に表示することが可能なレーザー反射部とを備えており、レーザー透過部の透過面と、レーザー反射部の前記反射面とが、それぞれ所定の幅を有し、かつ、透過面及び反射面の幅方向において交互に並ぶように配置されていることを主な特徴とする位置測定補助具の発明に関するものである。
【0017】
本実施形態の位置測定補助具1は、
図1、
図2に示すように、建物Bを建築するにあたって建物Bの柱B1の鉛直位置を測定するために、レーザー測定装置D及び距離測定具Tとともに用いられる補助具である。
詳しく述べると、位置測定補助具1は、柱B1の側面に取り付けられたレーザー測定装置Dから照射されたレーザー光Lによって形成されるレーザーポイントL1の位置(芯位置)を確認するための補助具である。
なお、位置測定補助具1は、柱B1の鉛直位置を測定する際に用いられるほか、不図示の梁の水平位置を測定する際に用いられても良い。そのほか、建物Bの被施工体を測定対象物として当該測定対象物の位置(3次元的な位置)を測定する際に用いられても良い。
【0018】
レーザー測定装置Dは、例えばレーザー下げ振り装置であって、柱B1の内側面に取り付けプレートD1を介して着脱可能に取り付けられている。
レーザー測定装置Dは、その鉛直方向の上方及び下方に向かってドット状のレーザー光Lを照射することができ、当該レーザー光が照射対象面に照射されることで当該照射対象面にドット状のレーザーポイントL1を形成することができる。
レーザーポイントL1は、円形状を有していると好ましいが、特に限定されることなく、楕円形状を有しても良いし、三角形状や四角形状等の多角形状を有していても良い。あるいは、ドット状に限定されなくても良く、サークル状(丸状)やライン状(線状)のレーザーポイントであっても良い。
レーザーポイントL1の直径又は幅(最大幅)は、例えばレーザー測定装置Dから5m離れた照射対象位置において約2~4mmに設定されていると好ましい。
【0019】
距離測定具Tは、例えば金属製(アルミ製)の物差しであって、その表面上に印字された目盛り表示部T1を有している。
目盛り表示部T1によって表示される目盛りは、例えば1mmの目盛り間隔となるように設定されていると好ましい。
【0020】
上記構成において、柱B1の鉛直位置を測定する際には、柱B1の側面に取り付けられたレーザー測定装置Dの真下位置に位置測定補助具1及び距離測定具Tを配置する。
詳しく述べると、位置測定補助具1及び距離測定具Tを互いに隣り合うように配置し、かつ、柱B1の下端部(下方部)にそれぞれを当接させて配置する。
そして、レーザー測定装置Dから照射されたレーザー光Lを位置測定補助具1(レーザー反射部30)に照射することで、位置測定補助具1の表面にレーザーポイントL1を表示する。当該レーザーポイントL1の位置(柱B1からの水平距離)を距離測定具Tで測定する。
柱B1の上端部(上方部)においても同様に測定を行い、各測定値の差分を算出する。そして、当該差分が基準範囲内に収まっている場合には、所定の基準に適合して柱B1が鉛直に設置されているものとみなす。
なお、柱B1に取り付けられたレーザー測定装置Dから照射されるレーザー光Lの照射位置(柱B1からの水平距離)は、柱B1が鉛直に設置されていると仮定した場合におよそ40~60mmとなるように設定されていると好ましい。
【0021】
<位置測定補助具の詳細>
位置測定補助具1は、
図2-
図4に示すように、例えばアクリル製の補助具であって、略矩形板状の補助具本体10と、補助具本体10の表面部に形成され、レーザー光Lを透過することが可能なレーザー透過部20と、レーザー光Lを反射することが可能なレーザー反射部30と、から主に構成されている。
レーザー反射部30は、レーザー光Lを反射する反射面31を有しており、レーザーポイントL1を反射面31に表示することが可能となっている。
なお、レーザー反射部30は、例えばUVインクジェット印刷やシルクスクリーン印刷等の公知な手段によって補助具本体10の表面上に形成されている。
【0022】
レーザー透過部20の透過面21と、レーザー反射部30の反射面31は、
図2、
図3Aに示すように、それぞれ所定の幅を有しており、かつ、透過面21及び反射面31の幅方向において交互に並ぶように配置されている。
詳しく述べると、透過面21と反射面31は、それぞれ同じ幅を有しており、かつ、上記幅方向において互いに隣接するように交互に並んで配置されている。
言い換えれば、2つの平行する帯状の透過面21及び反射面31によって、補助具本体10の表面に縞模様(縞々模様)が形成されている。
なお、透過面21及び反射面31は、それぞれレーザーポイントL1の直径又は幅よりも小さい幅となっていると良く、例えば、それぞれ1mmの幅となるように形成されていると好ましい。
【0023】
上記構成において、
図3Aに示すように、補助具本体10の表面は、平面状(略平面状)となるように形成され、レーザー反射部30が、補助具本体10の平面上に間隔を空けて形成されているが、特に限定されることなく変更可能である。
例えば、
図3Bに示すように、補助具本体10の表面に、位置測定補助具1の厚み方向において突出した凸部11が間隔を空けて形成され、レーザー反射部30が、当該凸部11の表面上に形成されていても良い。
詳しく述べると、レーザー反射部30が、凸部11の上面及び外側面に印刷されるように形成されていても良い。そうすることで、レーザー反射部30の反射面31にレーザーポイントL1をより鮮明に表示することができる。
あるいは、レーザー反射部30が、凸部11の表面のみに形成されていても良い。
【0024】
また例えば、
図3C、Dに示すように、補助具本体10の表面に、位置測定補助具1の厚み方向において窪んだ凹部12が間隔を空けて形成され、レーザー反射部30が、当該凹部12の表面上に形成されていても良い。
詳しく述べると、レーザー反射部30が、凹部12の底面及び内側面に印刷されるように形成されていても良い。そうすることで、レーザー反射部30の反射面31にレーザーポイントL1をより鮮明に表示することができる。
あるいは、レーザー反射部30が、補助具本体10の表面と略面一となるように凹部12の内部に形成されていても良い。そうすることで、略平坦な表面を有する位置測定補助具1を実現することができる。
【0025】
また上記構成において、
図2に示すように、レーザー透過部20の透過面21と、レーザー反射部30の反射面31とが、それぞれ同じ幅を有し、かつ、互いに隣接するように交互に並んで配置されている。
そうすると、
図4、
図5A‐Cに示すように、レーザー光Lが位置測定補助具1に照射されたときに、反射面31上にはレーザーポイントL1が表示され、透過面21上ではレーザーポイントL1が透過して非表示となる。そのため、レーザーポイントL1の表示態様にメリハリを付けることができる。その結果、レーザー測定装置Dの性能によってはレーザーポイントL1の円形状が幾分ぼやけて表示されるところ、レーザーポイントL1の外周部分の境界を視認し易くなり、レーザーポイントL1の芯の位置を確認し易くなる。
【0026】
レーザーポイントL1の表示態様について詳しく述べると、例えば、
図5A-Cのような表示パターンが考えられる。
図5Aでは、ドット状のレーザーポイントL1の芯の位置が、反射面31の幅方向の中央部に位置して表示されていることが分かる。
図5Bでは、レーザーポイントL1の芯の位置が、透過面21の幅方向の中央部に位置して表示されていることが分かる。
図5Cでは、レーザーポイントL1の芯の位置が、反射面31と透過面21の境界部に位置して表示されていることが分かる。
つまり、レーザーポイントL1の円形状が幾分ぼやけて表示される場合であっても、位置測定補助具1を併用することで、レーザーポイントL1の表示態様にメリハリを付けて、レーザーポイントL1の芯の位置を分かり易く表示することができる。
【0027】
<位置測定方法>
次に、位置測定補助具1を利用した位置測定方法について
図6に基づいて説明する。
当該位置測定方法では、まず、建物Bにおいて測定対象物となる柱B1の側面にレーザー測定装置Dを取り付ける装置取り付け工程(ステップS1)から始まる。
【0028】
その後、
図1に示すように、レーザー測定装置Dからその鉛直方向の上方及び下方に向かってドット状のレーザー光Lを照射し(ステップS2)、照射されたレーザー光Lの照射位置に位置測定補助具1を配置する(ステップS3)。
具体的には、レーザー光Lの照射位置に位置測定補助具1の反射面31を配置することとし、
図4に示すように、レーザーポイントL1を当該反射面31に表示させる。
より具体的には、上記照射位置に反射面31と透過面21が交互に並んだ部分を配置することとし、レーザーポイントL1を当該交互に並んだ部分に表示させる。
【0029】
その後、上記照射位置の周辺位置に、目盛り表示部T1を有する距離測定具Tを配置する(ステップS4)。
具体的には、
図4に示すように、位置測定補助具1に隣接させて距離測定具Tを配置することとする。
より具体的には、反射面31の幅と、目盛り表示部T1の目盛り間隔とを対応させて位置測定補助具1及び距離測定具Tを配置する。
【0030】
その後、位置測定補助具1の反射面31及び透過面21に表示されたレーザーポイントL1の位置(芯の位置)を確認し、レーザーポイントL1の位置(具体的には、柱B1からの水平距離)を距離測定具Tで測定して(ステップS5)、本作業工程を終了する。
【0031】
上記位置測定方法であれば、レーザー測定装置Dから照射されたレーザーポイントL1の位置(芯の位置)を容易に確認し、測定することができる。そして、測定対象物の施工精度を管理することができる。
【0032】
なお、上記位置測定方法において、ステップS3の「補助具配置工程」と、ステップS4の「測定具配置工程」の順番を逆にしても良い。その場合には、後工程となった補助具配置工程において、反射面31の幅と、目盛り表示部T1の目盛り間隔とを対応させて位置測定補助具1及び距離測定具Tを配置することになる。
また、ステップS2の「レーザー照射工程」よりも前に、「補助具配置工程」及び「測定具配置工程」を行っても良い。すなわち、位置測定補助具1及び距離測定具Tを予め設置しておき、レーザー測定装置Dからレーザー光Lを照射したときに設置位置を微調整しても良い。
【0033】
<位置測定補助具の第2実施形態>
次に、位置測定補助具の第2実施形態について、
図7に基づいて説明する。
なお、上述した位置測定補助具1と重複する内容は説明を省略する。
【0034】
第2実施形態の位置測定補助具101は、補助具本体110と、補助具本体110の表面部にそれぞれ形成されるレーザー透過部120と、レーザー反射部130と、目盛り表示部140と、補助具本体110の裏面に設けられ、測定対象物に取り付け可能な取り付け部150と、から主に構成されている。
【0035】
目盛り表示部140は、レーザー透過部120及びレーザー反射部130に対応する位置に配置されている。
詳しく述べると、目盛り表示部140の目盛り間隔と、透過面121及び反射面131それぞれの幅とが対応するように配置されている。
取り付け部150は、例えば磁石を有しており、柱B1の側面に対して位置測定補助具101を着脱可能に取り付けることができる。
【0036】
上記構成であっても、レーザー測定装置から照射されたレーザーポイントの位置(芯の位置)を容易に確認することができる。
また、距離測定具Tを併用しなくても良いことから、測定対象物の位置を容易に測定することができる。
また、測定対象物に位置測定補助具101を安定して取り付けることができる。
【0037】
<その他の実施形態>
上記実施形態では、
図2に示すように、レーザー透過部20の透過面21と、レーザー反射部30の反射面31とが、同じ幅を有し、かつ、透過面21及び反射面31の幅方向において互いに隣接するように交互に並んで配置されているが、特に限定されることなく変更可能である。
例えば、透過面21と反射面31が、それぞれ異なる幅を有していても良い。その場合には、反射面31の幅が、透過面21の幅よりも大きくなっていると好ましい。
また例えば、透過面21と反射面31が互いに接していなくても良く、透過面21と反射面31が幾分離れて配置されていても良い。その場合には、透過面21と反射面31の間に第3の面が形成されており、第3の面が透過面21及び反射面31の中間の透過率(反射率)を有していると好ましい。
【0038】
また上記実施形態では、透過面21及び反射面31の幅が、レーザーポイントL1の直径又は幅よりも小さくなっているが、特に限定されることなく、レーザーポイントL1の直径又は幅と略同じになっていても良い。その場合には、反射面31の幅のみが、レーザーポイントL1の直径又は幅と略同じになっていると好ましい。
【0039】
上記実施形態では、主として本発明に係る位置測定補助具及び位置測定方法に関して説明した。
ただし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0040】
B 建物
B1 柱(測定対象物)
D レーザー測定装置
D1 取り付けプレート
L レーザー光
L1 レーザーポイント
T 距離測定具
T1 目盛り表示部
1、101 位置測定補助具
10、110 補助具本体
11 凸部
12 凹部
20、120 レーザー透過部
21、121 透過面
30、130 レーザー反射部
31、131 反射面
140 目盛り表示部
150 取り付け部