(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022057570
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】上肢障害者用の傘保持具
(51)【国際特許分類】
A45B 11/02 20060101AFI20220404BHJP
【FI】
A45B11/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020165895
(22)【出願日】2020-09-30
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 試験日 令和1年10月8日 試験場所 大阪府堺市東区北野田139-3
(71)【出願人】
【識別番号】319013300
【氏名又は名称】木上 秀幸
(74)【代理人】
【識別番号】100117374
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 真一
(72)【発明者】
【氏名】木上 秀幸
(57)【要約】
【課題】片腕が不自由な上肢障害者であっても、傘を片手で装着することのできる傘保持具を提供することにある。
【解決手段】
両肩に掛けるための肩掛け50を左右に有するリュックサックRのいずれかの前記肩掛け50の前面に装着される上肢障害者用の傘保持具であって、いずれかの前記肩掛け50に着脱自在に装着される傘保持具本体10と、傘のハンドル部を挿入して固定すべく前記前記傘保持具本体10に取り付けられる筒状のハンドル固定部材20と、前記ハンドル固定部材20の上方位置で前記傘のシャフト部を保持すべく前記傘保持具本体10に取り付けられるシャフト保持部材30とを備え、前記ハンドル固定部材20及び前記前記シャフト保持部材30の取り付け位置は、上下に変更可能に構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両肩に掛けるための肩掛けを左右に有するリュックサックの前記いずれかの肩掛けの前面に装着される上肢障害者用の傘保持具であって、
前記いずれかの肩掛けに着脱自在に装着される傘保持具本体と、
傘のハンドル部を挿入して固定すべく前記傘保持具本体に取り付けられる筒状のハンドル固定部材と、
前記ハンドル固定部材の上方位置で前記傘のシャフト部を保持すべく前記傘保持具本体に取り付けられるシャフト保持部材とを備え、
前記ハンドル固定部材及び前記シャフト保持部材の取り付け位置は、上下に変更可能に構成されていることを特徴とする上肢障害者用の傘保持具。
【請求項2】
前記傘保持具本体は、長さ方向に所定間隔を有して複数の取り付け孔が形成された長尺の金属板からなり、
前記ハンドル固定部材は、その側面に形成された通孔及び前記傘保持具本体の取り付け孔に挿通されるネジにナットを螺合して固定され、
前記シャフト保持部材は、半円状の半割体が支軸を介して開閉自在に連結される保持部材本体と、前記保持部材本体の閉鎖状態を維持するための固定手段と、前記一方の半割体に外向きに突設される長ネジとを備えると共に、前記取り付け孔に挿通される前記長ネジにナットを螺合して固定されてなることを特徴とする請求項1に記載の上肢障害者用の傘保持具。
【請求項3】
前記傘保持具本体は、荷物を吊下可能なフックを備えてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の上肢障害者用の傘保持具。
【請求項4】
前記リュックサックの肩掛けが、チェストベルトを備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一に記載の上肢障害者用の傘保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、片腕に上肢障害のある障害者であっても、傘を片手で装着することのできる傘保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、傘保持具としては、例えば、特開2004-229785号(特許文献1)に示すような傘保持具が公知である。前記公報記載の傘保持具は、身体の胴部形状に倣った幅広の曲状の硬質プラスチック製の胴当て板と、該胴当て板の外曲面に固定具備せしめた垂直方向の傘保持用の硬質プラスチック製の伸縮保持筒及び該伸縮保持筒に平行な傘収納用の硬質プラスチック製の収納筒と、該胴当て板に取り付けた胴部装着用の水平方向に設けたバンドとから傘保持具を形成し、該伸縮保持筒を外筒と外筒内を上下に伸縮保持可能で傘の手元装着用の手元挿入口を上端部に配した内筒から形成し、かつ、該手元挿入口から内筒内に装着した傘の手元を内筒内壁との間に挟持固定するネジ挿入の押付け棒を内筒上部内壁側部に配したことを特徴とする傘保持具であり、胴部にしっかりと固定して装着でき、軽量でありながら、風等であおられることなく、不使用時には傘を折り畳んで収納できる折畳み傘用の傘保持である。
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の傘保持具は、健常者が使用することを前提とするものであり、例えば隻腕の障害者等のような片腕が不自由な上肢障害者が使用するという観点で発明されたものではないため、このような上肢障害者には使用できない場合が生じる。特に、外出の際に、荷物を持っている場合等は、荷物を持った上で、片手で傘をさすことは、非常に困難である。
【0005】
本発明は、前記従来の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、片腕が不自由な上肢障害者であっても、傘を片手で装着することのできる傘保持具を提供することにある。
【0006】
また、本発明の他の目的は、外出の際等に荷物を持っている場合であっても、片手で容易に、傘を装着することのできる傘保持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の傘保持具は、両肩に掛けるための肩掛けを左右に有するリュックサックの前記いずれかの肩掛けの前面に装着される上肢障害者用の傘保持具であって、前記いずれかの肩掛けに着脱自在に装着される傘保持具本体と、傘のハンドル部を挿入して固定すべく前記傘保持具本体に取り付けられる筒状のハンドル固定部材と、前記ハンドル固定部材の上方位置で前記傘のシャフト部を保持すべく前記傘保持具本体に取り付けられるシャフト保持部材とを備え、前記ハンドル固定部材及び前記シャフト保持部材の取り付け位置は、上下に変更可能に構成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の傘保持具にあっては、予めその傘保持具本体をリュックサックの前記いずれかの肩掛けの前面に装着して使用される。そして、傘をさしたい場合には、使用者たる上肢障害者がリュックサックを担いだ状態で、まず障害のない片腕の方の手で傘を開き、そのハンドル部を傘保持具のハンドル固定部材に挿入して固定すると共に、傘のシャフト部を傘保持具のシャフト保持部材により保持する。これにより、傘がさされた状態で、傘保持具により固定保持されることになる。
【0009】
請求項2に記載の傘保持具は、請求項1に記載の傘保持具において、前記傘保持具本体は、長さ方向に所定間隔を有して複数の取り付け孔が形成された長尺の金属板からなり、前記ハンドル固定部材は、その側面に形成された通孔及び前記傘保持具本体の取り付け孔に挿通されるネジにナットを螺合して固定され、前記シャフト保持部材は、半円状の半割体が支軸を介して開閉自在に連結される保持部材本体と、前記保持部材本体の閉鎖状態を維持するための固定手段と、前記一方の半割体に外向きに突設される長ネジとを備えると共に、前記取り付け孔に挿通される前記長ネジにナットを螺合して固定されてなることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の傘保持具にあっては、そのハンドル固定部材は、傘保持具本体の取り付け孔に挿通したネジにナットを螺合して、傘保持具本体に固定される。また、シャフト保持部材は、傘保持具本体の取り付け孔に挿通した長ネジにナットを螺合して、傘保持具本体に固定される。傘保持具に傘を装着する場合は、シャフト保持部材を開放しつつ、傘のハンドル部をハンドル固定部材に固定すると共に、傘のシャフト部をシャフト保持部材内に配した状態でこれを閉鎖して保持し、この閉鎖状態を固定手段により維持すればよい。これにより、傘がさされた状態で、傘保持具により保持固定されることになる。
【0011】
請求項3に記載の傘保持具は、請求項1又は2に記載の傘保持具において、前記傘保持具本体は、荷物を吊下可能なフックを備えてなることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の傘保持具にあっては、上肢障害者の片手に持っている荷物をフックに吊下しておけば、その片腕を使って傘を傘保持具に固定保持することができる。
【0013】
請求項4に記載の傘保持具は、請求項1乃至3のいずれか一に記載の傘保持具において、前記リュックサックの肩掛けが、チェストベルトを備えていることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の傘保持具にあっては、リュックサックを担いだ状態で、左右の肩掛けがチェストベルトにより連結される。このチェストベルトにより左右の肩掛けの離間が規制されるため、肩掛けに装着した傘保持具の不用意な移動も阻止されることになる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の傘保持具によれば、傘保持具への傘の取り付け操作、すなわち傘のハンドル部を傘保持具のハンドル固定部材に固定し、傘のシャフト部を傘保持具のシャフト保持部材に保持するという一連の取り付け操作はとても簡易なものであるため、上肢障害者に負担をかけることなく、片手で容易に行うことができる。しかも、傘は傘保持具により確実に固定保持されるため、上肢障害者が手で傘を保持する必要はなく、傘をさした状態で歩行することができる。
【0016】
また、請求項1に記載の傘保持具にあっては、ハンドル固定部材とシャフト保持部材の取り付け位置は上下に変更可能であるため、例えば使用する上肢障害者の体格や傘の大きさ等に応じて、使い易い位置に各部材を取り付けて使用することができる。
【0017】
請求項1に記載の傘保持具は、リュックサックの肩掛けに装着するものであるために、既存のリュックサックに対しても幅広く適用することができて、大変実用的である。
【0018】
請求項2に記載の傘保持具によれば、シャフト保持部材を開放しつつ、傘のハンドル部をハンドル固定部材に固定する操作、傘のシャフト部をシャフト保持部材内に配した状態でこれを閉鎖して保持し、この閉鎖状態を固定手段により維持するという一連の操作は、片手だけでも十分に行うことができる。したがって、片腕が不自由な上肢障害者であっても容易に行うことが可能である。
【0019】
請求項3に記載の傘保持具によれば、傘保持具本体は、荷物を吊下可能なフックを備えているために、このフックに上肢障害者が携帯する手荷物を吊下しておくことができる。これにより、障害のない腕を自由に使うことができるので、傘保持具への傘の一連の着脱操作が良好に行えることとなる。
【0020】
請求項4に記載の傘保持具によれば、リュックサックの肩掛けはチェストベルトを有しているために、チェストベルトにより左右の肩掛けは離間しないように連結されることになる。これにより、肩掛けに装着された傘保持具の不用意な移動が阻止されるために、傘保持具による傘の保持固定状態は良好に維持される。
【0021】
本発明に係る傘保持具は、全体の構成が極めて簡易であるために、安価に、かつ、容易に製作することできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態に係る傘保持具の斜視図である。
【
図2】傘保持具をリュックサックの肩掛けに取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図3】傘保持具とリュックサックの肩掛けとの取り付け状態を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)のA―A線断面図であり、(c)は(a)のB―B線断面図である。
【
図4】使用者がリュックサックを担いだ状態を示す正面図である。
【
図5】使用者が傘のハンドル部を把持している状態を示す斜視図である。
【
図6】使用者が傘を開いた状態を示す正面図である。
【
図7】使用者が傘のハンドル部を傘保持具のハンドル固定部材に固定する状態を示す正面図である。
【
図8】傘のハンドル部が傘保持具のハンドル固定部材に固定された状態を示す拡大斜視図である。
【
図9】傘が傘保持具に保持固定された状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係る傘保持具を実施するための実施形態について、図面にしたがって説明する。
【0024】
図1は本発明の実施形態に係る傘保持具の斜視図である。
図2は傘保持具をリュックサックの肩掛けに取り付けた状態を示す斜視図である。
図3は傘保持具とリュックサックの肩掛けとの取り付け状態を示し、(a)は平面図であり、(b)は(a)のA―A線断面図であり、(c)は(a)のB―B線断面図である。
図4は使用者がリュックサックを担いだ状態を示す正面図である。
図5は使用者が傘のハンドル部を把持している状態を示す斜視図である。
図6は使用者が傘を開いた状態を示す正面図である。
図7は使用者が傘のハンドル部を傘保持具のハンドル固定部材に固定する状態を示す正面図である。
図8は傘のハンドル部が傘保持具のハンドル固定部材に保持固定された状態を示す拡大斜視図である。
図9は傘が傘保持具に固定された状態を示す斜視図である。
図10は傘保持具の使用状態を示す正面図である。
【0025】
図1及び
図2に示すように、傘保持具1は、後述するリュックサックRの肩掛け50の前面に装着される傘保持具本体10と、同じく後述する傘Uのハンドル部Hを固定するためのハンドル固定部材20と、前記傘Uのシャフト部Sを保持するためのシャフト保持部材30とを備えている。
【0026】
前記傘保持具本体10は、長尺の金属板からなり、前記傘保持具本体10の幅は、前記肩掛け50の幅より幅狭となるように形成され、前記傘保持具本体10の長さは前記リュックサックRを背負った場合、前記肩掛け50が、身体の正面に位置した場合の長さよりも若干短く形成している。このように形成した場合、前記傘保持具本体10は、前記リュックサックRの肩かけに好適に収まって位置に取り付けることができる。そして、長さ方向には、所定間隔を有して複数の取り付け孔11が形成されている。前記傘保持具本体10の下端部には、フック12が上向きに折曲形成されている。
【0027】
前記ハンドル固定部材20は、前記傘Uの前記ハンドル部Hを上方から挿入して固定できるように、下端部側程小径となる円筒状に形成されており、背面には上下方向に所定間隔を有して複数の通孔21が形成されている。なお、この前記通孔21のピッチは、前記傘保持具本体10の前記取り付け孔11のピッチと略一致するように構成されている。前記ハンドル固定部材20の前記通孔21に内側から挿入された複数本のネジ22は、さらに前記傘保持具本体10の所望の前記取り付け孔11にそれぞれ挿通されており、これに複数のナット23を螺合して、前記ハンドル固定部材20が前記傘保持具本体10の前面に取り付けられている。
【0028】
前記シャフト保持部材30は、半円状の前記半割体31,32が支軸33を介して開閉自在に連結される保持部材本体34と、前記保持部材本体34の閉鎖状態を維持するための固定手段としての固定ピン35と、一方の前記半割体31に外向きに突設される長ネジ36とを備えている。前記長ネジ36は、前記傘保持具本体10の前記取り付け孔11に挿通され、これに複数のナット41を螺合して、前記シャフト保持部材30が前記傘保持具本体10の前面に取り付けられている。前記シャフト保持部材30は、前記ハンドル固定部材20の上方に配置されている。このように、前記ハンドル固定部材20及び前記シャフト保持部材30は、前記傘保持具本体10への取り付け位置を上下に変更することが可能である。
【0029】
前記保持部材本体34の一方の前記半割体31の先端には、ピン孔37を有する突片38が形成されると共に、他方の前記半割体32の先端には、ピン孔39を有する一対の突片40、40が上下に対向形成されており、前記保持部材本体34を閉鎖すると、突片40、40の間に突片38が嵌合して、その各前記ピン孔37,39の位置が上下方向に一致するように構成されている。この状態で、前記固定ピン35を前記各ピン孔37,39に挿入することにより、前記保持部材本体34の閉鎖状態が維持される。前記固定ピン35は取り付け紐42を介して前記傘保持具本体10の所定の前記取り付け孔11に取り付けられている。
【0030】
なお、前記傘保持具1が装着される前記リュックサックRは、両肩に掛けるための前記肩掛け50が左右に設けられたものであり、いずれか一方の前記肩掛け50の前面に装着具60を介して前記傘保持具本体10が着脱自在に装着される(
図4参照)。また、前記リュックサックRはウエストベルト52を備えており、さらにその前記肩掛け50には、脱着可能なチェストベルト51が設けられている。
【0031】
前記装着具60は、
図3に示すように、両端に形成された環状部61、61が、前記傘保持具本体10の上下に隣り合う前記取り付け孔11、11に挿通される紐状の固定具62と、前記環状部61、61に挿入して取り付けられる角カン63と、基端部が、前記角カン63の一方の長手部64aに固定されると共に、先端部が、前記角カン63の他方の長手部64bに下方から挿入されて折返した状態で着脱される固定バンド65とを備えており、前記固定バンド65は面ファスナーから構成されている。なお、前記角カン63の一方の前記長手部64aは一部が切断されているため、前記角カン63を前記固定具62の前記環状部61、61に挿着することができる。
【0032】
本実施形態に係る傘保持具は以上のような構成からなるが、次にこれを使用する場合について説明する。
【0033】
図2に示すように、予め前記傘保持具1は前記リュックサックRの左右いずれかの前記肩掛け50に装着しておくのであるが、いずれの前記肩掛け50に装着するかは、通常、使用者である上肢障害者により決定される。本実施形態においては、一例として不自由な腕の方に位置する前記肩掛け50に前記傘保持具1を装着する場合について説明する。
【0034】
まず、各前記装着具60の前記固定バンド65の接着状態を解除し、前記傘保持具本体10の背面を前記リュックサックRの前記肩掛け50の前面に重ね合わせる。
図3に示すように、この状態で、前記装着具60の前記固定バンド65を前記肩掛け50に巻くようにして、その先端部を前記角カン63内に下方から挿入し、さらに他方の前記長手部64bを巻き込むように折返して前記固定バンド65に接着する。本実施形態のおける前記傘保持具本体10は、前記装着具60により上下3箇所で前記肩掛け50に取り付けられている。
【0035】
次に、前記傘Uをさす場合について説明する。ここで使用する前記傘Uは、いわゆる自動開閉可能な折りたたみ傘であり、
図5に示すように、その前記ハンドル部Hには開閉用のボタン70を備えている。なお、この場合において、前記傘保持具本体10は前記フック12を備えているために、この前記フック12に上肢障害者が携帯する手荷物を吊下しておくことができる。これにより、障害のない腕を自由に使うことができるので、以下に説明する一連の操作を良好に行えることとなる。
【0036】
図4のように、上肢障害者が前記リュックサックRを担いだ後、前記チェストベルト51及び前記ウエストベルト52を締める。この状態で、
図6に示すように、障害のない腕の方の手で前記傘Uの前記ハンドル部Hを把持しつつ、その前記ボタン70を押圧して前記傘Uを開く。そして、
図7及び
図8のように、前記傘Uの前記ハンドル部Hを前記傘保持具1の前記ハンドル固定部材20に挿入して固定する。この状態においては、前記シャフト保持部材30は開放されており、
図9に示すように、前記傘Uの前記シャフト部Sを前記シャフト保持部材30内に配して前記保持部材本体34を閉鎖した後、この閉鎖状態を維持するために、前記固定ピン35を前記各半割体31,32の前記ピン孔37,39に挿入して固定する。これにより、前記傘Uは前記傘保持具1に確実に固定保持されることになる。
図10のように、前記傘Uを手で保持せずに、さした状態で無理なく歩行することが可能になる。この場合において、前記リュックサックRの左右の前記肩掛け50は前記チェストベルト51により離間しないように連結されているため、前記傘保持具1の不用意な移動が規制されることになり、よって前記傘保持具1による前記傘Uの固定保持状態が良好に維持されるのである。
【0037】
一方、前記傘保持具1から前記傘Uを取り外す場合は、前記保持部材本体34から前記前記固定ピン35を取り外して前記保持部材本体34の開放した後、前記ハンドル固定部材20から前記傘Uの前記ハンドル部Hを取り外して、前記傘Uを折り畳めばよい。
【0038】
以上説明したように、前記傘Uと前記傘保持具1との一連の着脱操作は、片手だけでも極めて簡易に、かつ、確実に行うことができるため、使用者である上肢障害者に負担をかけるようなことはない。
【0039】
また、上記実施形態における前記ハンドル固定部材20及び前記シャフト保持部材30の取り付け位置は上下に変更可能であるため、例えば使用する上肢障害者の体格や傘の大きさ等に応じて、使い易い位置に各部材を取り付けておくことでき、またその後の変更も容易に行うことが可能である。
【0040】
本実施形態に係る前記傘保持具1は、手持ちの前記リュックサックRに対しても幅広く適用することができるという実用的な利点も有している。
【0041】
本実施形態の前記傘保持具1は、全体の構成が極めて簡易であるために、安価に、かつ、簡易に製作することできる。
【0042】
なお、上記実施形態における前記傘保持具1は前記装着具60を備えているが、例えば前記リュックサックRの前記肩掛け50が有する装着機能や、その他の装着手段を使用することも可能であり、かかる前記装着具60は必要に応じて備えさせればよいものである。
【0043】
上記実施形態においては、前記傘保持具本体10の下端部に前記フック12を形成したが、この前記フック12は必ずしも形成する必要はなく、省略することも可能である。ただし、前記傘保持具本体10に前記フック12を設ける場合は、たとえば前記傘保持具本体10の前記取り付け孔11を利用して、これに取り付けることのできるフック状のものを前記フック12として構成することも可能である。
【0044】
また、上記実施形態における前記リュックサックRの前記肩掛け50は、前記チェストベルト51を備えているが、本発明に係る前記傘保持具1は、前記チェストベルト51を備えない前記リュックサックRにも勿論適用可能である。
【0045】
その他、前記ハンドル固定部材20や前記シャフト保持部材30の前記傘保持具本体10への取り付け手段や、各部の形状等の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において任意に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0046】
10 傘保持具本体
12 フック
11 取り付け孔
20 ハンドル固定部材
21 通孔
22 ネジ
23 ナット
30 シャフト保持部材
31 半割体
32 半割体
33 支軸
36 長ネジ
41 ナット
35 固定手段(固定ピン)
50 肩掛け
51 チェストベルト
U 傘
H ハンドル部
S シャフト部
R リュックサック