(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022057571
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】誘起電圧波形生成装置及び回転方向判定装置
(51)【国際特許分類】
H02P 23/14 20060101AFI20220404BHJP
【FI】
H02P23/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020165896
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】眞砂 秀基
(72)【発明者】
【氏名】下野 聖仁
(72)【発明者】
【氏名】長田 侑大
【テーマコード(参考)】
5H505
【Fターム(参考)】
5H505AA04
5H505BB03
5H505CC01
5H505DD03
5H505HA01
5H505HB01
5H505JJ03
5H505LL25
5H505LL37
(57)【要約】
【課題】3相モータの空転時の回転方向の判定を行うコントローラの入力ポート数を削減すること。
【解決手段】誘起電圧波形生成装置30は、振幅調整部と、合成部とを有し、コントローラ40が有する入力ポートINへ入力される誘起電圧波形を生成する。振幅調整部は、3相モータにおける3相の誘起電圧のうち何れか1相に発生する誘起電圧から生成した第一誘起電圧波形の振幅と、3相のうちの他の1相に発生する誘起電圧から生成した第二誘起電圧波形の振幅とを異ならせ、合成部は、第一誘起電圧波形と第二誘起電圧波形とを合成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3相モータの空転時に発生する誘起電圧から誘起電圧波形を生成すると共に、回転方向を判定するコントローラへ前記誘起電圧波形を入力する誘起電圧波形生成装置であって、
前記3相モータにおける3相のうち何れか1相に発生する誘起電圧から生成した第一誘起電圧の波形である第一波形の振幅と、前記3相のうちの他の1相に発生する誘起電圧から生成した第二誘起電圧の波形である第二波形の振幅とを異ならせる振幅調整部と、
前記第一波形と前記第二波形とを合成する合成部と、
を有する誘起電圧波形生成装置。
【請求項2】
前記振幅調整部は、前記誘起電圧に電圧降下を生じさせる抵抗を有する、
請求項1に記載の誘起電圧波形生成装置。
【請求項3】
前記振幅調整部は、
前記第一誘起電圧に電圧降下を生じさせる第一抵抗と、
前記第二誘起電圧に電圧降下を生じさせる第二抵抗と、
前記第一誘起電圧と前記第二誘起電圧のそれぞれを分圧する第三抵抗と、を有し、
前記第一抵抗の第一抵抗値と前記第二抵抗の第二抵抗値とが異なる、
請求項1に記載の誘起電圧波形生成装置。
【請求項4】
前記合成部は、
前記第一抵抗が配置されている第一経路と、
前記第二抵抗が配置されている第二経路と、
前記第一経路と前記第二経路との合流点を始点し、前記コントローラへと接続する第三経路と、を有する、
請求項3に記載の誘起電圧波形生成装置。
【請求項5】
前記第一抵抗値と前記第二抵抗値との比は3:1である、
請求項3に記載の誘起電圧波形生成装置。
【請求項6】
請求項1から5の何れか一つに記載の誘起電圧波形生成装置と、
前記誘起電圧波形を用いて前記回転方向を判定する前記コントローラと、
を具備する回転方向判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、誘起電圧波形生成装置及び回転方向判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機の室外機は、熱交換機と、熱交換機用のファン(以下では「室外機ファン」と呼ぶことがある)と、室外機ファンを回転させるモータ(以下では「ファンモータ」と呼ぶことがある)とを有する。
【0003】
室外機のファンモータは、ファンモータが停止している間に室外機ファンが風などの外力を受けて空転することにより、正転方向とは逆方向、つまり逆転方向に回転する(以下では「逆転」と呼ぶことがある)ことがある。ファンモータは正転方向で起動するため、ファンモータの起動前に室外機ファンが空転することにより、ファンモータが逆転方向に回転している状態でファンモータを起動させてしまうと、ファンモータの起動に失敗したり、ファンモータが破損してしまったりすることがある。そこで、ファンモータの起動前にファンモータの回転方向と回転数とを検出する技術が提案されている。
【0004】
ファンモータが回転しているとき、ファンモータに生じる誘起電圧(以下では「モータ誘起電圧」と呼ぶことがある)に基づいて、ファンモータの回転方向と、ファンモータの回転数とを検出する技術がある。例えば、3相のモータ誘起電圧(以下では「3相誘起電圧」と呼ぶことがある)のうち、何れか2相のモータ誘起電圧のそれぞれの位相に基づいてファンモータの回転方向を判定し、何れか1相のモータ誘起電圧の周期に基づいてファンモータの回転数を検出する技術がある。これにより、ファンモータが逆転していることと、ファンモータが逆転しているときの回転数とを検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記のように、ファンモータの回転方向の判定には、3相誘起電圧のうちの2相のモータ誘起電圧が必要であるため、回転方向の判定を行うコントローラには、2相のモータ誘起電圧の各波形がそれぞれ入力される2つの入力ポートが必要であった。
【0007】
そこで、本開示は、3相モータの回転方向の判定を行うコントローラの入力ポート数を削減できる技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の誘起電圧波形生成装置は、3相モータの空転時に発生する誘起電圧から誘起電圧波形を生成すると共に、回転方向を判定するコントローラへ前記誘起電圧波形を入力する。また、本開示の誘起電圧波形生成装置は、振幅調整部と、合成部とを有する。前記振幅調整部は、前記3相モータにおける3相のうち何れか1相に発生する誘起電圧から生成した第一誘起電圧の波形である第一波形の振幅と、前記3相のうちの他の1相に発生する誘起電圧から生成した第二誘起電圧の波形である第二波形の振幅とを異ならせる。前記合成部は、前記第一波形と前記第二波形とを合成する。
【発明の効果】
【0009】
開示の技術によれば、3相モータの回転方向の判定を行うコントローラの入力ポート数を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の実施例の回転方向判定装置の構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施例の正転方向での空転時の3相の誘起電圧波形の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施例の正転方向での空転時の2相の誘起電圧波形の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本開示の実施例の正転方向での空転時の誘起電圧波形生成装置の出力波形の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本開示の実施例の逆転方向での空転時の3相の誘起電圧波形の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本開示の実施例の逆転方向での空転時の2相の誘起電圧波形の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、本開示の実施例の逆転方向での空転時の誘起電圧波形生成装置の出力波形の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施例を図面に基づいて説明する。以下の実施例において同一の構成には同一の符号を付す。
【0012】
[実施例]
<回転方向判定装置の構成>
図1は、本開示の実施例の回転方向判定装置の構成例を示す図である。
図1において、回転方向判定装置20は、IPM(Intelligent Power Module)10とファンモータMとの間に接続され、誘起電圧波形生成装置30とコントローラ40とを有する。ファンモータMは、3相モータである。コントローラ40の一例として、MCU(Micro Control Unit)が挙げられる。
【0013】
コントローラ40は、単一の入力ポートINを有し、ファンモータMの起動前に、単一の入力ポートINに入力される後述の誘起電圧波形に基づいてファンモータMの回転方向が正転方向であるか逆転方向であるかを判定する。なお、ここ以降で「回転」とは、ファンモータMが停止している間(起動前)に室外機ファンが風などの外力を受けて空転することにより、ファンモータMが回転する状態を示すことがある。また、このときのファンモータMが回転する状態を室外ファンの場合と同様に空転とも呼ぶ。
【0014】
誘起電圧波形生成装置30は、ファンモータMの起動前に、3相誘起電圧に基づいて、入力ポートINへと入力される誘起電圧波形を生成する。
【0015】
IPM10は、ファンモータMの起動後に、スイッチング制御により、IPM10の外部から印加される直流電圧Vdcから、3相の交流電圧Vu,Vv,Vwを生成し、生成した各相の交流電圧をファンモータMのU相,V相,W相へ印加することによりファンモータMを駆動する。IPM10は、ファンモータMを駆動する駆動部の一例である。
【0016】
ファンモータMは、空転時にも、3相誘起電圧であるU相、V相、W相の各相の誘起電圧を発生する。以下では、U相の誘起電圧を「U相誘起電圧」と、V相の誘起電圧を「V相誘起電圧」と、W相の誘起電圧を「W相誘起電圧」と呼ぶことがある。
【0017】
誘起電圧波形生成装置30は、第一抵抗R1と、第二抵抗R2と、第三抵抗R3と、第一経路P1と、第二経路P2と、第三経路P3と、第四経路P4とを有する。
【0018】
第一抵抗R1は、ファンモータMのU相に接続された第一経路P1に配置され、U相誘起電圧を後述の第三抵抗R3とで分圧して電圧降下を生じさせる。
【0019】
第二抵抗R2は、ファンモータMのV相に接続された第二経路P2に配置され、V相誘起電圧を後述の第三抵抗R3とで分圧して電圧降下を生じさせる。
【0020】
第三抵抗R3は、第一経路P1と第二経路P2との合流点JPを始点とする第四経路P4に配置されて片側はグランド(GND)に接続される。
【0021】
また、合流点JPを始点とする第三経路P3は、コントローラ40の入力ポートINに接続されている。
【0022】
ここで、第一抵抗R1(以下では第一抵抗R1の抵抗値を「第一抵抗値」と呼ぶことがある)、及び、第二抵抗R2(以下では第二抵抗R2の抵抗値を「第二抵抗値」と呼ぶことがある)のそれぞれは、第三抵抗R3(以下では第三抵抗R3の抵抗値を「第三抵抗値」と呼ぶことがある)とともに、それぞれの相の誘起電圧を分圧し、分圧された電圧がコントローラ40の入力ポートINへ入力される。U相誘起電圧とV相誘起電圧との振幅値を異ならすために、第一抵抗値と第二抵抗値とを互いに異ならせる必要がある。例えば、第一抵抗値と第二抵抗値との比は「3:1」とする。
【0023】
<正転方向での空転時の波形>
図2、
図3及び
図4は、本開示の実施例の正転方向に空転した時の誘起電圧の波形の一例を示す図である。以下では、U相誘起電圧の波形を「U相波形」と、V相誘起電圧の波形を「V相波形」と、W相誘起電圧の波形を「W相波形」と呼ぶことがある。
【0024】
図2には、ファンモータMの正転方向での空転時(以下では「正転空転時」と呼ぶことがある)に、観測点MA(
図1)で観測されるU相波形WA1と、観測点MB(
図1)で観測されるV相波形WB1と、観測点MC(
図1)で観測されるW相波形WC1とが示されている。
図1に、観測点MA,MB,MCの基準点MR(GND)を示す。
図2に示すように、ファンモータMが正転方向で空転しているときには、U相波形→V相波形→W相波形→U相波形→V相波形→W相波形→…の順序で各相の誘起電圧の波形が出現する。
【0025】
そこで、
図3に示すように、U相波形WA1、V相波形WB1及びW相波形WC1のうち、U相波形WA1とV相波形WB1とに着目する。以下では、U相波形とV相波形とが合成された波形を「合成波形」と呼ぶことがある。
図4に、U相波形WA1とV相波形WB1との合成結果である合成波形WD1を示す。つまり、正転空転時には、
図4に示す合成波形WD1が観測点MD(
図1)において観測される。よって、正転空転時には、誘起電圧波形生成装置30によって生成される合成波形WD1(
図4)が入力ポートINに入力される。
【0026】
図4において、合成波形WD1の1周期T1には、ピークK11,K12,K13の3つのピークが存在する。
【0027】
ピークK11は、
図3に示すU相波形WA1とV相波形WB1が時間軸で交差している点に相当し、合成結果が他のピークより大きくなる。ピークK12は、時間軸上でU相波形WA1と重なりをもつV相波形WB1の1つのピーク(VP1)に相当し、ピークK13は、時間軸上でV相波形WB1と重なりをもたないU相波形WA1の1つのピーク(UP1)に相当する。ピークK13はピークK12より小さい。ピークK12,K13の大きさの比は、第一抵抗値と第二抵抗値との比、すなわち誘起電圧の分圧比に応じて決定される。例えば、ピークK12の大きさは3.69[V]であるのに対しピークK13の大きさは1.21[V]である。よって、ピークK13の大きさとピークK12の大きさとの比は約「1:3」となり、第一抵抗値と第二抵抗値との比の逆になる。
【0028】
また、正転空転時には、1周期T1において、各ピークは、ピークK13→ピークK11→ピークK12の順序で出現する。
【0029】
<逆転方向での空転時の波形>
図5、
図6及び
図7は、本開示の実施例の逆転方向での空転時の誘起電圧の波形の一例を示す図である。
【0030】
図5には、ファンモータMの逆転方向での空転時(以下では「逆転空転時」と呼ぶことがある)に、観測点MA(
図1)で観測されるU相波形WA2と、観測点MB(
図1)で観測されるV相波形WB2と、観測点MC(
図1)で観測されるW相波形WC2とが示されている。
図5に示すように、ファンモータMが逆転方向で空転しているときには、W相波形→V相波形→U相波形→W相波形→V相波形→U相波形→…の順序で各相の誘起電圧の波形が出現する。
【0031】
そこで、
図6に示すように、U相波形WA2、V相波形WB2及びW相波形WC2のうち、U相波形WA2とV相波形WB2とに着目し、U相波形WA2とV相波形WB2との合成結果である合成波形WD2を
図7に示す。つまり、逆転空転時には、
図7に示す合成波形WD2が観測点MD(
図1)において観測される。よって、逆転空転時には、誘起電圧波形生成装置30によって生成される合成波形WD2(
図7)が入力ポートINに入力される。
【0032】
図7において、合成波形WD2の1周期T2には、ピークK21,K22,K23の3つのピークが存在する。周期T2の長さは、回転数が
図4と等しいとき、周期T1(
図4)の長さと同一である。以下では、周期T1,T2を「周期T」と総称することがある。
【0033】
ピークK21は、
図6に示すU相波形WA2とV相波形WB2が時間軸で交差している点に相当し、合成結果が他のピークより大きくなる。ピークK22は、時間軸上でU相波形WA2と重なりをもつV相波形WB2の1つのピーク(VP2)に相当し、ピークK23は、時間軸上でV相波形WB2と重なりをもたないU相波形WA2の1つのピーク(UP2)に相当する。ピークK23はピークK22より小さい。例えば、ピークK22の大きさは3.69[V]であるのに対しピークK23の大きさは1.21[V]である。よって、ピークK23の大きさとピークK22の大きさとの比は約「1:3」となり、第一抵抗値と第二抵抗値との比の逆になる。
【0034】
また、逆転空転時には、1周期T2において、各ピークは、ピークK22→ピークK21→ピークK23の順序で出現する。
【0035】
<回転方向判定装置の動作>
以上のように、正転空転時でも逆転空転時でも、合成波形には、1周期Tの間に3つのピークが出現する。
【0036】
一方で、正転空転時と逆転空転時とでは、3つのピークの出現順序が相違する。以下では、1周期Tの間に出現する3つのピークのうち、大きさが最大のピークを「最大ピーク」と、大きさが最小のピークを「最小ピーク」と、最大ピークより小さく、かつ、最小ピークより大きいピークを「中間ピーク」と呼ぶことがある。
図4では、ピークK11が最大ピークに相当し、ピークK12が中間ピークに相当し、ピークK13が最小ピークに相当する。また、
図7では、ピークK21が最大ピークに相当し、ピークK22が中間ピークに相当し、ピークK23が最小ピークに相当する。
【0037】
つまり、正転空転時には、1周期Tにおいて、各ピークは、最小ピーク→最大ピーク→中間ピークの順序で出現するのに対し、逆転空転時には、1周期Tにおいて、各ピークは、中間ピーク→最大ピーク→最小ピークの順序で出現する。このように、正転空転時と逆転空転時とでは、1周期Tにおける最小ピークと中間ピークとの出現順序が相違する。すなわち、正転空転時には、1周期Tにおいて、最小ピークが出現した後に中間ピークが出現するのに対し、逆転空転時には、1周期Tにおいて、中間ピークが出現した後に最小ピークが出現する。
【0038】
そこで、コントローラ40は、空気調和機(図示省略)が運転開始の指示を受けてファンモータMを起動させる前に、入力ポートINに入力される合成波形を観測する。そして、コントローラ40は、合成波形の1周期において最小ピークが出現した後に中間ピークが出現するときは、ファンモータMの回転方向を正転方向と判定する。一方で、合成波形の1周期において中間ピークが出現した後に最小ピークが出現するときは、コントローラ40は、ファンモータMの回転方向を逆転方向と判定する。なお、合成波形の観測は、空気調和機が停止している間、常に行われてもよい。
【0039】
このように、コントローラ40は、単一の入力ポートINに入力される合成波形を用いてファンモータMの回転方向を判定する。また、以上のように、単一の合成波形を用いてファンモータMの回転方向を判定可能なため、コントローラ40において、ファンモータMの回転方向の判定のために必要な入力ポート数は1つで足りる。
【0040】
なお、コントローラ40は、合成波形の周期Tに基づいて、周知の技術を用いて、ファンモータMの空転時の回転数を検出する。
【0041】
また、
図1における上記説明では、第一経路P1がファンモータMのU相に接続され、第二経路P2がファンモータMのV相に接続される場合を一例に挙げて説明した。しかし、第一経路P1がファンモータMのV相に接続され、第二経路P2がファンモータMのW相に接続されてもよい。また、第一経路P1がファンモータMのW相に接続され、第二経路P2がファンモータMのU相に接続されてもよい。このように、第一経路P1及び第二経路P2の接続先が
図1に示すものと異なる場合であっても、合成波形の1周期Tにおける中間ピークと最小ピークとの出現順序は、第一経路P1及び第二経路P2の接続形態に応じて特定される。よって、第一経路P1及び第二経路P2の接続先が
図1に示すものと異なる場合であっても、上記説明と同様にして、ファンモータMの回転方向を判定することができる。
【0042】
第一抵抗R1、第二抵抗R2、第三抵抗R3、第一経路P1、第二経路P2、及び、第四経路P4は、振幅調整部に相当する。合流部は、上記のように、第一経路P1及び第二経路P2の合流点とする。
【0043】
以上、実施例について説明した。
【0044】
以上のように、本開示の誘起電圧波形生成装置(実施例の誘起電圧波形生成装置30)は、第一抵抗(実施例の第一抵抗R1)と、第二抵抗(実施例の第二抵抗R2)と、第三抵抗(実施例の第三抵抗R3)と、第一経路(実施例の第一経路P1)と、第二経路(実施例の第二経路P2)と、第三経路(実施例の第三経路P3)と、第四経路(実施例の第四経路P4)とを有し、コントローラ(実施例のコントローラ40)が有する入力ポート(実施例の入力ポートIN)へ入力される誘起電圧波形(実施例の合成波形)を生成する。コントローラは、誘起電圧波形生成装置によって生成される波形を用いて、3相モータ(実施例のファンモータM)の起動前に3相モータの回転方向を判定する。
【0045】
また、誘起電圧波形生成装置は、振幅調整部(実施例の第一抵抗R1、第二抵抗R2、第三抵抗R3、第一経路P1、第二経路P2、及び、第四経路P4に相当)と、合成部(実施例の第一経路P1と第二経路P2との合流点に相当)とを有する。振幅調整部は、3相モータにおける3相のうち何れか1相に発生する誘起電圧から生成した第一誘起電圧波形の振幅と、前記3相のうちの他の1相に発生する誘起電圧から生成した第二誘起電圧波形の振幅とを異ならせる。合成部は、第一誘起電圧波形と第二誘起電圧波形とを合成する。
【0046】
誘起電圧波形生成装置が以上のような構成を採ることで、コントローラは、誘起電圧波形生成装置から入力される単一の波形を用いて3相モータの回転方向を判定することができるため、コントローラにおいて、3相モータの回転方向の判定のために必要な入力ポートは1ポートで足りる。よって、3相モータの回転方向の判定を行うコントローラの入力ポート数を削減できる。
【0047】
また、第一抵抗の抵抗値は第二抵抗の抵抗値より小さく、例えば、第一抵抗の抵抗値と第二抵抗の抵抗値との比は3:1である。
【0048】
こうすることで、コントローラは、コントローラに入力される単一の波形において、中間ピークと最小ピークとを明確に判別することができる。
【符号の説明】
【0049】
M ファンモータ
20 回転方向判定装置
30 誘起電圧波形生成装置
40 コントローラ
IN 入力ポート
R1 第一抵抗
R2 第二抵抗
R3 第三抵抗
P1 第一経路
P2 第二経路
P3 第三経路
P4 第四経路
JP 合流点