(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022057616
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】口腔内モニタリング装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/01 20060101AFI20220404BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
A61B5/01 250
A61B5/00 102A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020165961
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005038
【氏名又は名称】セイコーホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】592019213
【氏名又は名称】学校法人昭和大学
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】吉田 宜史
(72)【発明者】
【氏名】磯谷 亮介
(72)【発明者】
【氏名】槇 宏太郎
(72)【発明者】
【氏名】塩津 瑠美
【テーマコード(参考)】
4C117
【Fターム(参考)】
4C117XB01
4C117XB11
4C117XD08
4C117XE23
4C117XG05
4C117XG18
4C117XG19
4C117XH02
4C117XJ13
4C117XJ48
4C117XN07
4C117XQ20
(57)【要約】
【課題】消費電力を低減させつつ、歯列矯正に対する患者の意欲を高めることを目的とする。
【解決手段】口腔内モニタリング装置は、センサ装置に含まれており、患者の口腔内の温度を検出する検出処理を実行し、検出処理の結果を示す第一検出データを生成する処理を実行する温度センサと、検出処理に関する内容を示しており、第一検出データよりもデータ量が少ない第二検出データを第一検出データに基づいて生成する処理を実行する生成部と、第二検出データを患者に対応付けられている端末に送信する処理を実行する通信部と、センサ装置が患者の口腔内に存在していると判定部により判定された場合、通信部に第二検出データを端末に送信する処理を実行させる制御部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ装置に含まれており、患者の口腔内の温度を検出する検出処理を実行し、前記検出処理の結果を示す第一検出データを生成する処理を実行する温度センサと、
前記センサ装置により実現され、前記検出処理に関する内容を示しており、前記第一検出データよりもデータ量が少ない第二検出データを前記第一検出データに基づいて生成する処理を実行する生成部と、
前記センサ装置により実現され、前記第二検出データを前記患者に対応付けられている端末に送信する処理を実行する通信部と、
前記センサ装置が前記患者の口腔内に存在しているか否かを前記第一検出データ及び前記第二検出データの少なくとも一方に基づいて判定する判定部と、
前記センサ装置が前記患者の口腔内に存在していると判定された場合、前記通信部に前記第二検出データを前記端末に送信する処理を実行させる制御部と、
を備える口腔内モニタリング装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記センサ装置が前記患者の口腔内に存在していないと判定された場合、前記通信部に前記第二検出データを前記端末に送信する処理を停止させる、
請求項1に記載の口腔内モニタリング装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記センサ装置が前記患者の口腔内に存在していると判定された場合、前記第二検出データを第一周期で前記端末に送信するように前記通信部を制御する、
請求項1又は請求項2に記載の口腔内モニタリング装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記センサ装置が前記患者の口腔内に存在していないと判定された場合、前記第二検出データを前記第一周期よりも短い第二周期で前記端末に送信するように前記通信部を制御する、
請求項3に記載の口腔内モニタリング装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記センサ装置が前記患者の口腔内に存在していなかった時間を前記第一検出データ及び前記第二検出データの少なくとも一方に基づいて算出し、前記時間が所定の閾値を超えているか否かを更に判定し、
前記制御部は、前記時間が所定の閾値を超えていると判定された場合、前記第二周期を長くする、
請求項4に記載の口腔内モニタリング装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記センサ装置が前記患者の口腔内に存在していなかった時間を前記第一検出データ及び前記第二検出データの少なくとも一方に基づいて算出し、前記時間が所定の閾値を超えているか否かを更に判定し、
前記生成部は、前記時間が所定の閾値を超えていると判定された場合、前記センサ装置が前記患者の口腔内に存在している状態にすることを前記患者に推奨する情報を出力する処理を前記端末に実行させるための推奨データを生成し、
前記通信部は、前記推奨データを前記端末に送信する、
請求項1又は請求項2に記載の口腔内モニタリング装置。
【請求項7】
前記通信部は、前記第二検出データを前記端末に送信する要求を受けること無く前記第二検出データを前記端末に送信する、
請求項1から請求項6のいずれか一つに記載の口腔内モニタリング装置。
【請求項8】
前記センサ装置を前記患者の口腔内に固定する固定部を更に備える、
請求項1から請求項7の少なくとも一つに記載の口腔内モニタリング装置。
【請求項9】
前記固定部は、前記患者に使用される歯列矯正器具、義歯、インプラント又はスプリントに接続されている、
請求項8に記載の口腔内モニタリング装置。
【請求項10】
前記第一検出データを記憶する記憶部を更に備える、
請求項1から請求項9のいずれか一つに記載の口腔内モニタリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔内モニタリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在では、センサを保持するマウスピース等を患者の口腔内に設置して患者からデータを収集し、患者の治療等に役立てる技術の開発が進展している。
【0003】
例えば、特許文献1には、センサと、読取部と、送信部と、電源部とを備える生体情報測定装置が開示されている。センサは、口腔内に取り付けられ、ユーザの生体情報を測定する。読取部は、口腔内に備えられ、口腔外に存在する情報発信装置から外部情報を読み取る。送信部は、センサが検出した生体情報と読み取った外部情報を送信する。電源部は、これら送信部およびセンサに電源を供給する。また、読取部は、ユーザが生活用品を口腔に近づけたときに当該生活用品に付された情報発信装置から当該情報発信装置が記憶する識別子情報を読み取る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【0005】
しかし、上述した生体情報測定装置は、ユーザの口腔内に取り付けられているか否かに関わらず、センサによりユーザの生体情報を測定し、読取部により情報発信装置から外部情報を読み取り、送信部によりセンサが検出した生体情報と読み取った外部情報を送信する。このため、上述した生体情報測定装置は、電源部が供給可能な電力を早期に減少させてしまうことがある。また、上述した生体情報測定装置は、ユーザに生体情報の測定に関する情報を通知しないため、生体情報の計測、生体情報を使用した治療等に対するユーザの意欲を高めることができないことがある。また、このような問題は、例えば、治療に比較的長い期間を要し、患者が自ら歯列矯正器具を装着する必要がある等の理由により、歯科医師が患者に歯列矯正を施す場合において特に顕著になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、消費電力を低減させつつ、歯列矯正に対する患者の意欲を高めることができる口腔内モニタリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一態様に係る口腔内モニタリング装置は、センサ装置に含まれており、患者の口腔内の医学的な状態を検出する検出処理を実行し、前記検出処理の結果を示す第一検出データを生成する処理を実行する温度センサと、前記センサ装置により実現され、前記検出処理に関する内容を示しており、前記第一検出データよりもデータ量が少ない第二検出データを前記第一検出データに基づいて生成する処理を実行する生成部と、前記センサ装置により実現され、前記第二検出データを前記患者に対応付けられている端末に送信する処理を実行する通信部と、前記センサ装置が前記患者の口腔内に存在しているか否かを前記第一検出データ及び前記第二検出データの少なくとも一方に基づいて判定する判定部と、前記センサ装置が前記患者の口腔内に存在していると判定された場合、前記通信部に前記第二検出データを前記端末に送信する処理を実行させる制御部と、を備える。
【0008】
また、本発明の一態様に係る口腔内モニタリング装置において、前記制御部は、前記センサ装置が前記患者の口腔内に存在していないと判定された場合、前記通信部に前記第二検出データを前記端末に送信する処理を停止させる。
【0009】
また、本発明の一態様に係る口腔内モニタリング装置において、前記制御部は、前記センサ装置が前記患者の口腔内に存在していると判定された場合、前記第二検出データを第一周期で前記端末に送信するように前記通信部を制御する。
【0010】
また、本発明の一態様に係る口腔内モニタリング装置において、前記制御部は、前記センサ装置が前記患者の口腔内に存在していないと判定された場合、前記第二検出データを前記第一周期よりも短い第二周期で前記端末に送信するように前記通信部を制御する。
【0011】
また、本発明の一態様に係る口腔内モニタリング装置において、前記判定部は、前記センサ装置が前記患者の口腔内に存在していなかった時間を前記第一検出データ及び前記第二検出データの少なくとも一方に基づいて算出し、前記時間が所定の閾値を超えているか否かを更に判定し、前記制御部は、前記時間が所定の閾値を超えていると判定された場合、前記第二周期を長くする。
【0012】
また、本発明の一態様に係る口腔内モニタリング装置において、前記判定部は、前記センサ装置が前記患者の口腔内に存在していなかった時間を前記第一検出データ及び前記第二検出データの少なくとも一方に基づいて算出し、前記時間が所定の閾値を超えているか否かを更に判定し、前記生成部は、前記時間が所定の閾値を超えていると判定された場合、前記センサ装置が前記患者の口腔内に存在している状態にすることを前記患者に推奨する情報を出力する処理を前記端末に実行させるための推奨データを生成し、前記通信部は、前記推奨データを前記端末に送信する。
【0013】
また、本発明の一態様に係る口腔内モニタリング装置において、前記通信部は、前記第二検出データを前記端末に送信する要求を受けること無く前記第二検出データを前記端末に送信する。
【0014】
また、本発明の一態様に係る口腔内モニタリング装置は、前記センサ装置を前記患者の口腔内に固定する固定部を更に備える。
【0015】
また、本発明の一態様に係る口腔内モニタリング装置において、前記固定部は、前記患者に使用される歯列矯正器具、義歯、インプラント又はスプリントに接続されている。
【0016】
また、本発明の一態様に係る口腔内モニタリング装置は、前記第一検出データを記憶する記憶部を更に備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、消費電力を低減させつつ、歯列矯正に対する患者の意欲を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態に係る口腔内モニタリング装置の外観の一例を示す図である。
【
図2】実施形態に係る口腔内モニタリング装置が備えるセンサ装置及び固定部の断面の一例を示す図である。
【
図3】実施形態に係るセンサ装置、端末及びデータ取得機器の一例を示す図である。
【
図4】実施形態に係るセンサ装置の機能的な構成の一例を示す図である。
【
図5】実施形態に係るセンサ装置により生成された第二検出データに基づいて端末に搭載されているディスプレイに表示される画像の一例を示す図である。
【
図6】実施形態に係る口腔内モニタリング装置が通信部に処理を実行させる場合と、通信部に処理を実行させない場合とを含む一連の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】センサ装置が患者の口腔内に存在していないと判定された場合に実施形態に係る口腔内モニタリング装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】他の実施形態に係る口腔内モニタリング装置の外観の一例を示す図である。
【
図9】他の実施形態に係る口腔内モニタリング装置が備えるセンサ装置及びその周辺の断面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[実施形態]
図1から
図5を参照しながら、実施形態に係る口腔内モニタリング装置、端末及びデータ取得機器の一例について説明する。
図1は、実施形態に係る口腔内モニタリング装置の外観の一例を示す図である。
図2は、実施形態に係る口腔内モニタリング装置が備えるセンサ装置及び固定部の断面の一例を示す図である。
図3は、実施形態に係るセンサ装置、端末及びデータ取得機器の一例を示す図である。
【0020】
図1及び
図2に示すように、口腔内モニタリング装置1は、センサ装置10と、固定部11とを備える。また、
図3に示すように、センサ装置10は、温度センサ12と、プロセッサ13と、記憶部14と、通信部15と、電池16とを備える。
【0021】
固定部11は、センサ装置10を患者の口腔内に固定する部材である。例えば、
図1及び
図2に示すように、固定部11は、一部が歯列矯正器具700に接続されており、センサ装置10を患者の下顎骨の下顎体の内側に固定する樹脂製の部材である。また、
図2に示すように、固定部11は、センサ装置10に患者の唾液等の水分が付着してしまうことを避ける目的でセンサ装置10を封止していることが好ましい。
【0022】
温度センサ12は、センサ装置10に含まれており、患者の口腔内の温度を検出する検出処理を実行し、検出処理の結果を示す第一検出データを生成する処理を実行する。第一検出データは、例えば、検出処理により検出された物理量を示すデータであり、検出処理が正常に実行されたか否かを示していてもよい。また、温度センサ12は、センサ装置10が患者の口腔内に存在しているか否かに関わらず、検出処理を実行し、第一データを生成する処理を実行する。なお、温度センサ12は、IC(Integrated Circuit)により制御され、間欠的に、例えば、十秒ごとに動作し続けてもよい。
【0023】
プロセッサ13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ13は、記憶部14により記憶されているプログラムを読み出して実行し、温度センサ12を制御する機能、通信部15を制御する機能その他の機能を実現する。また、プロセッサ13は、記憶部14に格納されているプログラムを読み出して実行し、後述する生成部131、判定部132及び制御部133を実現する。
【0024】
記憶部14は、例えば、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を備えている。また、記憶部14に含まれるROMには、例えば、プロセッサ13により読み出されて実行されるプログラムが格納されている。一方、記憶部14に含まれるRAMには、プロセッサ13により読み出されて実行されるプログラムが展開される。さらに、記憶部14は、温度センサ12により生成された第一検出データを記憶する。
【0025】
通信部15は、
図3に示した端末2、データ取得機器3その他の装置と通信を実行する。例えば、通信部15は、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)等の無線通信を使用して端末2、データ取得機器3その他の装置と通信する。この場合、通信部15は、BLE規格に対応した回路を有している。
【0026】
端末2は、口腔内モニタリング装置1が装着される患者に対応付けられているスマートフォン、タブレット等の端末である。このような端末としては、例えば、口腔内モニタリング装置1が装着される患者本人、当該患者の保護者又は当該患者の主治医に対応付けられている端末が挙げられる。また、端末2は、必要に応じて口腔内モニタリング装置1にスキャンレスポンスを実行し、口腔内モニタリング装置1に対して追加で第二検出データを送信するよう要求してもよい。
【0027】
データ取得機器3は、口腔内モニタリング装置1により生成された第一検出データを取得して患者の歯列矯正を担当している歯科医師、歯科衛生士等が使用するコンピュータに送信する。第一検出データは、当該コンピュータにおいて、例えば、患者に施した歯列矯正の効果の検討、今後の歯列矯正の方針の検討、患者の歯学的な状態の解析に使用される。
【0028】
電池16は、センサ装置10の各部、例えば、温度センサ12、プロセッサ13、記憶部14、通信部15に電力を供給する。
【0029】
図4は、実施形態に係る口腔内モニタリング装置の機能的な構成の一例を示す図である。
図4に示すように、口腔内モニタリング装置1は、生成部131と、判定部132と、制御部133とを備える。生成部131、判定部132及び制御部133は、プロセッサ13が記憶部14に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。
【0030】
生成部131は、温度センサ12が実行した検出処理に関する内容を示しており、第一検出データよりもデータ量が少ない第二検出データを第一検出データに基づいて生成する処理を実行する。また、生成部131は、センサ装置10が患者の口腔内に存在しているか否かに関わらず、第二検出データを生成する処理を実行する。なお、生成部131は、温度センサ12が検出処理を実行し続けている限り、第二検出データを生成する処理を実行し続けてもよい。
【0031】
第二検出データは、例えば、第一検出データにより示される内容の一部、第一検出データに基づいて算出された値、電池16が温度センサ12に供給可能な電力量を示している。また、第二検出データは、第一検出データと異なり、患者の歯列矯正を担当する歯科医師、歯科衛生士等が当該患者の歯列矯正、歯学の研究等に使用するデータではなく、患者が進めている歯列矯正の進捗に関する情報を患者に分かり易く通知する目的で使用されるデータである。したがって、第二検出データは、歯学的に正確な内容よりも患者にとって分かり易い内容を示していることが好ましい。
【0032】
第二検出データは、通信部15により端末2に送信される。この場合、通信部15は、第二検出データを端末2に送信する要求を受けること無く第二データを端末2に送信してもよい。例えば、通信部15は、アドバタイジングパケット、ビーコン又はブロードキャストにより端末2に第二検出データを送信してもよい。
【0033】
図5は、実施形態に係るセンサ装置により生成された第二検出データに基づいて端末に搭載されているディスプレイに表示される画像の一例を示す図である。
図5に示した画像Pは、表示領域A1及び表示領域A2を含んでいる。
【0034】
表示領域A1に表示されているドットハッチングが施されている領域は、複数の歯列矯正器具を使用した歯列矯正全体の進捗率を示している。例えば、当該領域は、歯列矯正全体に要する期間が2年であり、現時点で半年が経過している場合、歯列矯正全体の進捗率が25%であることを示す。また、表示領域A1に表示されている斜線ハッチングが施されている領域及び当該領域の内側に表示されている文字列は、センサ装置10が取り付けられている歯列矯正器具700を装着する必要がある三日のうち二日と五時間だけ患者の口腔内に歯列矯正器具700が取り付けられていたことを示している。
【0035】
表示領域A2は、患者の現在の体温「36.6℃」、歯列矯正器具700を取り外して別の歯列矯正器具を装着すべき日時「7月12日」、歯列矯正器具700を装着していた時間の合計「2日5時間」、歯列矯正器具700及び他の歯列矯正器具を装着していた時間の合計「12.5か月」を示している。また、表示領域A2に示されている装着時間及び総装着時間は、例えば、温度センサ12により測定された温度が患者の体温を含む所定の範囲内に含まれていた時間の合計として算出された時間である。
【0036】
判定部132は、センサ装置10が患者の口腔内に存在しているか否かを第一検出データ及び第二検出データの少なくとも一方に基づいて判定する。例えば、判定部132は、第一検出データにより示される温度及び第二検出データにより示される温度の少なくとも一方がヒトの体温に比較的近い場合、センサ装置10が患者の口腔内に存在していると判定する。一方、判定部132は、第一検出データにより示される温度及び第二検出データにより示される温度の少なくとも一方がヒトの体温から一定以上離れている場合、センサ装置10が患者の口腔内に存在していないと判定する。
【0037】
制御部133は、センサ装置10が患者の口腔内に存在していると判定された場合、通信部15に第二検出データを端末2に送信する処理を実行させる。一方、制御部133は、センサ装置10が患者の口腔内に存在していると判定された場合、通信部15に第二検出データを端末2に送信する処理を停止させる。
【0038】
また、制御部133は、センサ装置10が患者の口腔内に存在していると判定された場合、第二検出データを第一周期で端末2に送信するように通信部15を制御する。第一周期は、任意の長さに設定され得る周期であり、例えば、五分である。一方、制御部133は、センサ装置10が患者の口腔内に存在していないと判定された場合、第二検出データを第一周期よりも短い第二周期で端末2に送信するように通信部15を制御する。第二周期は、任意の長さに設定され得る周期であり、例えば、五秒である。
【0039】
なお、通信部15が端末2に送信する無線信号は、患者の口腔内、組織内等に存在する水分の影響により大きく減衰する。このため、通信部15は、センサ装置10が患者の体外に存在している場合よりもセンサ装置10が患者の口腔内に存在している場合の方が第二検出データを体外に送信するために無線信号の強度を上げる必要があり、より多くの電力を消費する。
【0040】
また、判定部132は、センサ装置10が患者の口腔内に存在していなかった時間を第一検出データ及び第二検出データの少なくとも一方に基づいて算出し、当該時間が所定の閾値を超えているか否かを更に判定してもよい。そして、制御部133は、当該時間が所定の閾値を超えていると判定された場合、第二周期を長くしてもよい。なお、この場合、制御部133は、第一周期の長さを越えない範囲で第二周期を長くしてもよいし、第一周期の長さに関わらず第二周期を長くしてもよい。
【0041】
また、判定部132は、センサ装置10が患者の口腔内に存在していなかった時間を第一検出データ及び第二検出データの少なくとも一方に基づいて算出し、当該時間が所定の閾値を超えているか否かを更に判定してもよい。そして、生成部131は、当該時間が所定の閾値を超えていると判定された場合、センサ装置10が患者の口腔内に存在している状態にすることを患者に推奨する情報を出力する処理を端末2に実行させるための推奨データを生成する。推奨データは、通信部15により端末2に送信され、端末2に搭載されているディスプレイ、スピーカ等を使用して当該情報を出力する目的で端末2に使用される。
【0042】
次に、
図6を参照しながら口腔内モニタリング装置1が通信部15に処理を実行させる場合と、通信部15に処理を実行させない場合とのいずれを選択するかについて説明する。
図6は、実施形態に係る口腔内モニタリング装置が通信部に処理を実行させる場合と、通信部に処理を実行させない場合とを含む一連の処理の一例を示すフローチャートである。
【0043】
ステップS61において、判定部132は、センサ装置10が患者の口腔内に存在しているか否かを判定する。判定部132は、センサ装置10が患者の口腔内に存在していると判定した場合(ステップS61:YES)、処理をステップS62に進める。一方、判定部132は、センサ装置10が患者の口腔内に存在していないと判定した場合(ステップS61:NO)、処理をステップS63に進める。
【0044】
ステップS62において、制御部133は、通信部15に第二検出データを端末2に送信する処理を実行させる。
【0045】
ステップS63において、制御部133は、通信部15に第二検出データを端末2に送信する処理を停止させる。
【0046】
次に、
図7を参照しながら実施形態に係る口腔内モニタリング装置が第二検出データを端末に送信する周期を決定する処理の一例を説明する。
図7は、センサ装置が患者の口腔内に存在していないと判定された場合に実施形態に係る口腔内モニタリング装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。また、
図7に示した処理は、温度センサ12及び生成部131が動作し続けていることを前提としている処理である。
【0047】
ステップS71において、判定部132は、センサ装置10が患者の口腔内に存在していなかった時間を第一検出データ及び第二検出データの少なくとも一方に基づいて算出する。
【0048】
ステップS72において、判定部132は、センサ装置10が患者の口腔内に存在していなかった時間が所定の閾値を超えているか否かを判定する。判定部132は、センサ装置10が患者の口腔内に存在していなかった時間が所定の閾値を超えていると判定した場合(ステップS72:YES)、処理をステップS73に進める。一方、判定部132は、センサ装置10が患者の口腔内に存在していなかった時間が所定の閾値以下であると判定した場合(ステップS72:NO)、処理をステップS75に進める。
【0049】
ステップS73において、制御部133は、第二周期を長くする。
【0050】
ステップS74において、制御部133は、第二検出データを第二周期で端末2に送信するように通信部15を制御する。
【0051】
ステップS75において、生成部131は、センサ装置10が患者の口腔内に存在している状態にすることを患者に推奨する情報を出力する処理を端末2に実行させるための推奨データを生成する。
【0052】
ステップS76において通信部15は、推奨データを端末2に送信する。
【0053】
以上、実施形態に係る口腔内モニタリング装置1について説明した。口腔内モニタリング装置1は、温度センサ12と、生成部131と、通信部15と、判定部132と、制御部133とを備える。
【0054】
温度センサ12は、センサ装置10に含まれており、患者の口腔内の温度を検出する検出処理を実行し、検出処理の結果を示す第一検出データを生成する処理を実行する。生成部131は、センサ装置10により実現され、検出処理に関する内容を示しており、第一検出データよりもデータ量が少ない第二検出データを第一検出データに基づいて生成する処理を実行する。通信部15は、センサ装置10により実現され、第二検出データを患者に対応付けられている端末2に送信する処理を実行する。
【0055】
判定部132は、センサ装置10が患者の口腔内に存在しているか否かを第一検出データ及び第二検出データの少なくとも一方に基づいて判定する。制御部133は、センサ装置10が患者の口腔内に存在していると判定された場合、通信部15に第二検出データを端末2に送信する処理を実行させる。一方、制御部133は、センサ装置10が患者の口腔内に存在していないと判定された場合、通信部15に第二検出データを端末2に送信する処理を停止させる。
【0056】
これにより、口腔内モニタリング装置1は、センサ装置10が患者の口腔内に存在していると判定された場合には、第二検出データを端末2に送信して患者に検出処理の内容を分かり易く通知し、歯列矯正に対する患者の意欲を高めることができる。また、これにより、口腔内モニタリング装置1は、センサ装置10が患者の口腔内に存在していないと判定された場合には、通信部15により実行される処理を停止させ、電池16から供給される電力を節約し、連続して動作可能な時間を延長することができる。
【0057】
また、口腔内モニタリング装置1は、第二検出データを端末2に送信する要求を受けること無く第二検出データを端末2に送信する。
【0058】
これにより、口腔内モニタリング装置1は、第二検出データを端末2に送信する前に端末2との通信を実行しないため、電池16から供給される電力を節約し、連続して動作可能な時間を延長することができる。
【0059】
また、口腔内モニタリング装置1は、センサ装置10が患者の口腔内に存在していると判定された場合、第二検出データを第一周期で端末2に送信するように通信部15を制御する。一方、口腔内モニタリング装置1は、センサ装置10が患者の口腔内に存在していないと判定された場合、第二検出データを第一周期よりも短い第二周期で端末2に送信するように通信部15を制御する。つまり、口腔内モニタリング装置1は、センサ装置10が患者の口腔内に存在していることにより第二検出データを端末2に送信するために多くの電力を消費する必要がある場合、第二検出データを送信する周期として第二周期よりも長い第一周期を採用する。
【0060】
これにより、口腔内モニタリング装置1は、第二検出データを端末2に送信するために多くの電力を消費する必要がある場合、第二周期よりも長い第一周期を採用することにより、電池16から供給される電力を節約し、連続して動作可能な時間を延長することができる。
【0061】
また、口腔内モニタリング装置1は、センサ装置10が患者の口腔内に存在していなかった時間を第一検出データ及び第二検出データの少なくとも一方に基づいて算出し、当該時間が所定の閾値を超えているか否かを判定する。そして、口腔内モニタリング装置1は、当該時間が所定の閾値を超えていると判定された場合、第二周期を長くする。
【0062】
これにより、口腔内モニタリング装置1は、センサ装置10が患者の口腔内に存在していないため、第二検出データを端末2に送信する必要が無い場合、第二周期を長くして電池16から供給される電力を節約し、連続して動作可能な時間を延長することができる。
【0063】
また、口腔内モニタリング装置1は、センサ装置10が患者の口腔内に存在していなかった時間を第一検出データ及び第二検出データの少なくとも一方に基づいて算出し、当該時間が所定の閾値を超えているか否かを判定する。次に、口腔内モニタリング装置1は、当該時間が所定の閾値を超えていると判定された場合、センサ装置10が患者の口腔内に存在している状態にすることを患者に推奨する情報を出力する処理を端末に実行させるための推奨データを生成する。そして、口腔内モニタリング装置1は、推奨データを端末2に送信する。
【0064】
これにより、口腔内モニタリング装置1は、センサ装置10が患者の口腔内に存在していない場合、患者に口腔内モニタリング装置1を装着するように促し、歯列矯正器具700を使用した歯列矯正の効果をより確実に引き出すことができる。
【0065】
また、口腔内モニタリング装置1は、センサ装置10を患者の口腔内に固定する固定部11を備える。これにより、口腔内モニタリング装置1は、センサ装置10を患者の口腔内に固定し、患者の口腔内の特定の位置で検出処理を実行し、より信頼性が高い第一検出データ及び第二検出データを生成することができる。
【0066】
また、口腔内モニタリング装置1は、患者に使用される歯列矯正器具700に接続されている固定部11を備える。これにより、口腔内モニタリング装置1は、患者の身体を侵襲すること無く、センサ装置10を患者の口腔内に固定することができる。
【0067】
また、口腔内モニタリング装置1は、第一検出データを記憶する記憶部14を備える。これにより、口腔内モニタリング装置1は、データ取得機器3から第一検出データを送信する要求を受けない限り、第一検出データを記憶部14に格納するだけでよいため、第一検出データを送信するために電池16に蓄えられている電力を消費する必要がなくなり、連続して動作可能な時間を延長することができる。
【0068】
なお、口腔内モニタリング装置1が有する機能の少なくとも一部は、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の回路部(circuitry)を含むハードウェアにより実現されてもよい。
【0069】
また、上述した実施形態では、口腔内モニタリング装置1が一つの装置である場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、口腔内モニタリング装置1の一部が第一の装置により実現されており、口腔内モニタリング装置1の他の一部が第一の装置とは別の第二の装置により実現されていてもよい。ただし、これらの装置は、いずれも固定部11により封止されていることが好ましい。
【0070】
また、上述した実施形態では、センサ装置10が固定部11により封止されている場合を例に挙げたが、これに限定されない。例えば、固定部11は、センサ装置10の一部を覆っているだけでもよい。
【0071】
また、上述した実施形態では、センサ装置10がCPU、ROM及びRAMを備える場合を例に挙げたが、これに限定されない。例えば、センサ装置10は、CPU、ROM及びRAMの代わりに、これら三つの機能を有するマイクロコントローラを備えていてもよい。
【0072】
また、上述した実施形態では、センサ装置10が固定部11により歯列矯正器具700に接続されている場合を例に挙げたが、これに限定されない。
【0073】
図8は、他の実施形態に係る口腔内モニタリング装置の外観の一例を示す図である。
図8に示すように、口腔内モニタリング装置1aは、固定部11aを備えていてもよい。固定部11aは、一部が歯列矯正器具800に接続されており、センサ装置10の患者の下顎骨の下顎体の外側に固定する樹脂製の部材である。
【0074】
図9は、他の実施形態に係る口腔内モニタリング装置が備えるセンサ装置及びその周辺の断面の一例を示す図である。
図9に示すように、センサ装置10bは、インプラント901と義歯902との間に挟み込まれた状態で固定されている。このような場合、口腔内モニタリング装置は、固定部を有している必要は無い。また、このような場合でも、口腔内モニタリング装置は、患者の身体を侵襲すること無く、センサ装置10を患者の口腔内に固定することができる。
【0075】
また、上述したセンサ装置10は、固定部11により歯列矯正器具700に固定されている必要はなく、固定部11aにより歯列矯正器具800に固定されている必要もない。例えば、センサ装置10は、患者により使用されるスプリントに固定されてもよい。また、この場合でも、口腔内モニタリング装置は、患者の身体を侵襲すること無く、センサ装置10を患者の口腔内に固定することができる。
【0076】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳述した。ただし、本発明の実施形態の具体的な構成は、上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の組み合わせ、変形、置換及び設計変更の少なくとも一つを上述した実施形態に加えたものであってもよい。
【符号の説明】
【0077】
1,1a…口腔内モニタリング装置、2…端末、3…データ取得機器、10,10b…センサ装置、11,11a…固定部、12…センサ、13…プロセッサ、14…記憶部、15…通信部、16…電池、131…生成部、132…判定部、133…制御部、700,800…歯列矯正器具、901…インプラント、902…義歯、A1,A2…表示領域、P…画像、G…歯茎