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特開2022-57621データ生成プログラム及び三次元造形システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022057621
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】データ生成プログラム及び三次元造形システム
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/386 20170101AFI20220404BHJP
   B29C 64/40 20170101ALI20220404BHJP
   B33Y 50/00 20150101ALI20220404BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20220404BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20220404BHJP
   B22F 3/16 20060101ALI20220404BHJP
   B22F 3/24 20060101ALI20220404BHJP
   B22F 3/105 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
B29C64/386
B29C64/40
B33Y50/00
B33Y30/00
B33Y10/00
B22F3/16
B22F3/24 G
B22F3/105
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020165974
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100143960
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 早百合
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 宏明
【テーマコード(参考)】
4F213
4K018
【Fターム(参考)】
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL55
4F213WL62
4F213WL85
4F213WW02
4F213WW23
4F213WW24
4K018CA33
4K018CA44
4K018EA51
4K018EA60
4K018FA06
(57)【要約】
【課題】三次元製品と、三次元製品に連結する支柱とを、三次元造形装置を用いて造形するための三次元造形データを、支柱が三次元製品から除去されることを考慮して生成可能なデータ生成プログラム及び造形システムを提供すること。
【解決手段】データ生成プログラムは、コンピュータの制御部に、三次元データを取得し、三次元製品に連結する支柱の配置条件を取得し(S1)、支柱の延伸方向、幅方向、及び高さ方向を設定し、被切削面に切削代を付加し(S16)、付加された切削代に、延伸方向の一端部が連結する支柱を設定し(S19)、延伸方向において、三次元製品と離隔し、幅方向に延び、支柱の延伸方向の他端部と連結する梁を設定し(S20)、被造形物を三次元造形装置を用いて造形するための三次元造形データを生成(S21)、出力させる(S25)ための指示を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータの制御部に、
三次元製品の三次元形状を表す三次元データを取得するデータ取得ステップと、
前記三次元製品に連結する支柱を、前記三次元製品に対して配置する配置条件を取得する条件取得ステップと、
前記支柱の延伸方向、幅方向、及び高さ方向を設定する方向設定ステップと、
前記三次元製品の前記高さ方向の一方側の被切削面に所定の厚みの切削代を付加する切削代付加ステップと、
前記配置条件に従って前記延伸方向に延び、前記三次元製品に付加された前記切削代に、前記延伸方向の一端部が連結する前記支柱を設定する支柱設定ステップと、
前記延伸方向において、前記切削代が付加された前記三次元製品と離隔し、前記幅方向に延び、前記支柱の前記延伸方向の他端部と連結する梁を設定する梁設定ステップと、
前記三次元製品、前記切削代、前記支柱、及び前記梁を含む被造形物を、三次元造形装置を用いて造形するための三次元造形データを生成する造形データ生成ステップと、
前記三次元造形データを出力する出力ステップと
を実行させるための指示を含むことを特徴とするデータ生成プログラム。
【請求項2】
前記被造形物の内の、前記切削代及び前記支柱の前記一端部を切削装置で切削除去するための三次元切削データを生成する切削データ生成ステップを前記制御部に実行させるための指示を更に含み、
前記出力ステップは、前記三次元造形データと前記三次元切削データとを出力することを特徴とする請求項1に記載のデータ生成プログラム。
【請求項3】
前記高さ方向の前記一方側の前記被切削面の指定を受け付ける受付ステップを前記制御部に実行させるための指示を更に含み、
前記方向設定ステップは、指定された前記被切削面に従って、前記支柱の前記延伸方向、前記幅方向、及び前記高さ方向を設定することを特徴とする請求項1又は2に記載のデータ生成プログラム。
【請求項4】
前記配置条件は、前記支柱の前記幅方向の長さ、前記高さ方向の長さ、及び隣合う前記支柱の間隔に応じた長さを含むことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のデータ生成プログラム。
【請求項5】
前記配置条件に基づき前記支柱の前記幅方向の延設範囲を設定する範囲設定ステップと、
前記三次元データに基づき、前記支柱の前記幅方向の前記延設範囲内の前記被切削面の外周縁部を特定する縁部特定ステップを前記制御部に実行させるための指示を更に含み、
前記支柱設定ステップは、前記延伸方向の前記一端部が連結する前記三次元製品に付加された前記切削代の内の、前記縁部特定ステップで特定された前記被切削面の前記外周縁部に応じた位置に、前記高さ方向の前記長さだけ延びる前記支柱を設定することを特徴とする請求項4に記載のデータ生成プログラム。
【請求項6】
前記外周縁部に応じた位置は、前記支柱の前記延伸方向の前記一端部の少なくとも一部が前記外周縁部に接した位置であることを特徴とする請求項5に記載のデータ生成プログラム。
【請求項7】
前記縁部特定ステップは、前記支柱の前記幅方向の前記延設範囲内の前記三次元データの内の、前記延伸方向の最大値又は最小値に応じて、前記切削代が付加された前記三次元製品の前記被切削面の前記外周縁部を特定することを特徴とする請求項5又は6に記載のデータ生成プログラム。
【請求項8】
三次元製品の三次元形状を表す三次元データを取得するデータ取得部と、
前記三次元製品に連結する支柱を、前記三次元製品に対して配置する配置条件を取得する条件取得部と、
前記支柱の延伸方向、幅方向、及び高さ方向を設定する方向設定部と、
前記三次元製品の前記高さ方向の一方側の被切削面に所定の厚みの切削代を付加する切削代付加部と、
前記配置条件に従って前記延伸方向に延び、前記切削代が付加された前記三次元製品に、前記延伸方向の一端部が連結する前記支柱を設定する支柱設定部と、
前記延伸方向において、前記切削代が付加された前記三次元製品と離隔し、前記幅方向に延び、前記支柱の前記延伸方向の他端部と連結する梁を設定する梁設定部と、
前記三次元製品、前記切削代、前記支柱、及び前記梁を含む被造形物を、三次元造形装置を用いて造形するための三次元造形データを生成する造形データ生成部と、
前記被造形物の内の、前記切削代及び前記支柱の前記一端部を切削装置で切削除去するための三次元切削データを生成する切削データ生成部と、
前記三次元造形データと前記三次元切削データとを出力する出力部と、
前記三次元造形データに従って、前記被造形物を造形する三次元造形装置と、
前記三次元切削データに従って、前記被造形物を切削し、前記三次元製品を削り出す
切削装置と
を備えることを特徴とする三次元造形システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ生成プログラム及び三次元造形システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、三次元造形データに基づいて三次元造形を行なう三次元造形装置と、三次元造形された被造形物をNCデータに従って切削加工して三次元製品を作製する加工装置と、を備える三次元製品作製システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。NCデータは、三次元造形データに基づき生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-136605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記造形装置が生成する三次元造形データは、支柱を造形するためのデータを含む。支柱は、三次元製品と連結して延び、三次元造形時に三次元製品の位置を規制する。三次元造形装置は、ユーザの操作を受けて、三次元製品の形状に合わせて、三次元製品を造形するための三次元造形データに、支柱を造形するためのデータを付加する。支柱は、三次元製品から除去されることを考慮して三次元製品に対して配置されることが好ましい。しかしながら、三次元製品から除去されることを考慮して三次元製品に対して支柱を配置することは、設計者にとっては煩雑な作業である。
【0005】
本発明は、三次元製品と、三次元製品に連結する支柱とを、三次元造形装置を用いて造形するための三次元造形データを、支柱が三次元製品から除去されることを考慮して生成可能なデータ生成プログラム及び造形システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一態様に係るデータ生成プログラムは、コンピュータの制御部に、三次元製品の三次元形状を表す三次元データを取得するデータ取得ステップと、前記三次元製品に連結する支柱を、前記三次元製品に対して配置する配置条件を取得する条件取得ステップと、前記支柱の延伸方向、幅方向、及び高さ方向を設定する方向設定ステップと、前記三次元製品の前記高さ方向の一方側の被切削面に所定の厚みの切削代を付加する切削代付加ステップと、前記配置条件に従って前記延伸方向に延び、前記三次元製品に付加された前記切削代に、前記延伸方向の一端部が連結する前記支柱を設定する支柱設定ステップと、前記延伸方向において、前記切削代が付加された前記三次元製品と離隔し、前記幅方向に延び、前記支柱の前記延伸方向の他端部と連結する梁を設定する梁設定ステップと、前記三次元製品、前記切削代、前記支柱、及び前記梁を含む被造形物を、三次元造形装置を用いて造形するための三次元造形データを生成する造形データ生成ステップと、前記三次元造形データを出力する出力ステップとを実行させるための指示を含む。
【0007】
第一態様のデータ生成プログラムによれば、コンピュータは、データ生成プログラムを実行することで、三次元製品、切削代、支柱、及び梁を含む被造形物を、三次元造形装置を用いて造形するための三次元造形データを生成できる。支柱は、配置条件に従って延伸方向に延び、三次元製品に付加された切削代に、延伸方向の一端部が連結する。支柱は、切削装置により切削代が三次元製品から除去されることで切削代と一緒に除去される。このためユーザは、被造形物から三次元製品を得るために、被造形物から切削代を除去する工程とは別に、支柱を除去する工程を設ける必要がない。つまり、データ生成プログラムは、三次元製品と、三次元製品に連結する支柱とを、三次元造形装置を用いて造形するための三次元造形データを、支柱が三次元製品から除去されることを考慮して生成できる。
【0008】
本発明の第二態様に係る三次元造形システムは、三次元製品の三次元形状を表す三次元データを取得するデータ取得部と、前記三次元製品に連結する支柱を、前記三次元製品に対して配置する配置条件を取得する条件取得部と、前記支柱の延伸方向、幅方向、及び高さ方向を設定する方向設定部と、前記三次元製品の前記高さ方向の一方側の被切削面に所定の厚みの切削代を付加する切削代付加部と、前記配置条件に従って前記延伸方向に延び、前記切削代が付加された前記三次元製品に、前記延伸方向の一端部が連結する前記支柱を設定する支柱設定部と、前記延伸方向において、前記切削代が付加された前記三次元製品と離隔し、前記幅方向に延び、前記支柱の前記延伸方向の他端部と連結する梁を設定する梁設定部と、前記三次元製品、前記切削代、前記支柱、及び前記梁を含む被造形物を、三次元造形装置を用いて造形するための三次元造形データを生成する造形データ生成部と、前記被造形物の内の、前記切削代及び前記支柱の前記一端部を切削装置で切削除去するための三次元切削データを生成する切削データ生成部と、前記三次元造形データと前記三次元切削データとを出力する出力部と、前記三次元造形データに従って、前記被造形物を造形する三次元造形装置と、前記三次元切削データに従って、前記被造形物を切削し、前記三次元製品を削り出す切削装置とを備える。
【0009】
第二態様の三次元造形システムは、第一態様のデータ生成プログラムと同様の効果を奏する。三次元造形システムは、三次元造形データとは別途三次元切削データを生成するためのユーザの手間を省くことができる。三次元造形システムは、三次元造形データを生成するのに必要な処理を利用して三次元切削データを生成できるので、三次元造形データとは別途三次元切削データを生成する場合に比べ、処理を簡単にできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】、3Dプリンタ11、切削装置12、及びデータ生成装置1を備える三次元造形システム9の構成を示すブロック図である。
図2】データ生成装置1が実行する第一実施形態のデータ生成処理のフローチャートである。
図3】三次元データ20、三次元データ20によって表される三次元製品40、及び表示部7に表示される設定画面30の説明図である。
図4】(A)はデータ生成処理によって生成される具体例1の三次元造形データによって表される被造形物121の斜視図であり、(B)は具体例2の三次元造形データによって表される被造形物122の斜視図であり、(C)は具体例3の三次元造形データによって表される被造形物123の斜視図である。
図5】第一実施形態のデータ生成処理で実行される支柱設定処理のフローチャートである。
図6】データ生成処理で具体例1の三次元製品40に、四本の柱71から74、切削代56、支柱81から88、及び梁111、112が順に設定される過程を、マトリクス状に示した説明図。
図7】データ生成処理で具体例2の三次元製品40に、四本の柱71から74、切削代57、支柱91から98、及び梁113、114が順に設定される過程を、マトリクス状に示した説明図。
図8】データ生成処理で具体例3の三次元製品40に、四本の柱71から74、切削代58、支柱101から108、及び梁115、116が順に設定される過程を、マトリクス状に示した説明図。
図9】具体例1において三次元製品61に支柱を設定する処理の説明図である。
図10】具体例1の三次元製品61と、具体例2の三次元製品62との各々に、支柱を設定する過程をマトリクス状に示した説明図である。
図11図10のS33の欄のB-B線における矢視方向断面を用いた、具体例1の三次元製品61に支柱25、26を仮設定する処理の説明図である。
図12図10のS33の欄のC-C線における矢視方向断面を用いた、具体例2の三次元製品62に支柱27、28を仮設定する処理の説明図である。
図13図10のS33の欄のB-B線における矢視方向断面を用いた、具体例1の三次元製品61に支柱84、88を設定する処理の説明図である。
図14図10のS33の欄のC-C線における矢視方向断面を用いた、具体例2の三次元製品62に支柱91、95を設定する処理の説明図である。
図15】第二実施形態のデータ生成処理で実行される支柱設定処理のフローチャートである。
図16】(A)は第二実施形態のデータ生成処理に従って、具体例1の三次元製品61に設定される支柱131から138の説明図であり、(B)は第二実施形態のデータ生成処理に従って、具体例2の三次元製品62に設定される支柱141から148の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の第一、第二実施形態の三次元造形システム9(以下、単に「システム9」という。)を、図面を参照して順に説明する。図1及び図2を参照して、第一、第二実施形態のシステム9に共通するシステム9構成を説明する。図1に示すように、システム9は、3Dプリンタ11、切削装置12、及びデータ生成装置1を備える。3Dプリンタ11は、三次元造形データに基づき立体造形物を造形できる装置である。3Dプリンタ11の種類は、公知の粉末床溶融型、指向性エネルギー型、結合剤噴射型、シート積層型、光重合硬化(光造形)型、材料押出型、及び材料噴射型等の何れでもよく、特に限定されない。切削装置12は三次元切削データに基づき立体造形物を、切断刃等の工具を用いて所定形状に切削加工できる装置である。切削装置12は例えば、立体造形物に対して工具を三次元的に相対移動して、立体造形物を切削加工する。
【0012】
データ生成装置1は、公知のパーソナルコンピュータであり、後述のデータ生成プログラムを実行することで、三次元製品の形状を表す三次元データに基づき、三次元造形データと、三次元切削データとを生成できる。データ生成装置1は、CPU2、ROM3、RAM4、記憶装置5、外部通信IF6、表示部7、操作部8、及びバス10を備える。CPU2は、データ生成装置1の制御を司り、バス10を介し、ROM3、RAM4、記憶装置5、外部通信IF6、表示部7、及び操作部8と電気的に接続されている。ROM3は、CPU2が実行するBIOS等のプログラムを記憶する。RAM4は、各種データを一時的に記憶する。記憶装置5は不揮発性の記憶装置であり、データ生成装置1の動作を制御するためのプログラム及び各種設定値が記憶される。表示部7は、画像を表示する装置であり、例えば液晶ディスプレイである。操作部8は、ユーザによる操作に応じた信号をCPU2に入力可能な装置である。操作部8は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、及びジョイスティックの少なくとも何れかである。外部通信IF6は、データ生成装置1を3Dプリンタ11及び切削装置12等の外部機器に接続する。
【0013】
図3及び図4に示す具体例1から3を用いて、システム9のデータ生成装置1が実行するデータ生成処理の概要を説明する。具体例1から3は各々、切削装置12による被切削面の設定が互いに異なり、図3の三次元製品40の三次元形状を表す三次元データ20に基づき、データ生成装置1が図4の被造形物121から123を造形するための三次元造形データを生成する例である。三次元データは、三次元CAD、三次元モデラー、及び三次元スキャナ等で生成されたデータであり、例えば、STL(Standard Triangulated Language)形式、IGES(Initial Graphics Exchange Specification)形式、STEP(Standard for the Exchange of Product model data)形式、AMF(Additive Manufacturing)形式等の任意の形式のデータを用いることができる。三次元データはデータ生成装置1で生成されてもよいし、外部機器で生成されてもよい。図3に示すように、三次元製品40は、例えば、全体として、所定の厚みを有する、一方側に凸となる立体造形物であり、凸面41、凹面42、及び切欠き部52、53を備える。凸面41は、平面部411、側面部412、及び外周縁部413を備える。平面部411は平面状に延びる。三次元製品40の平面部411には、厚み方向に貫通する孔43から45が形成されている。孔43は、円状であり、孔44、45は矩形状である。側面部412は、平面部411の外周と連結し、平面部411の延設面に交差する方向、且つ、平面部411から離れる程、平面部411の中心から離れる方向に延びる。外周縁部413は、側面部412の内の、平面部411と離れる側の端部である。凹面42は凸面41の反対側の面である。凹面42は、平面部411に対応する平面部421、側面部412に対応する側面部422、外周縁部413に対応する内周縁部423を備える。切欠き部52、53は、側面部412、422に形成された縁部413、423から平面部421側に切欠かれた部分である。
【0014】
図4(A)に示す具体例1は、三次元製品40の凸面41が被切削面に設定される例であり、データ生成処理により、三次元製品40に対し、切削代56、四本の柱71から74、板状部分75、支柱81から88、及び梁111、112が付加された被造形物121を造形するための三次元造形データを生成がされる。切削代56は、被切削面に所定の厚みで付加される。支柱81から88は、三次元造形時に、特に切削加工時において、三次元製品40の位置を規制する。データ生成装置1は切削装置12により支柱81から88が三次元製品40から除去されることを考慮し、支柱81から88の一端部を切削代56に連結するよう設定する。本実施形態のデータ生成装置1は一例として、支柱81から88の一端部の少なくとも一部が三次元製品61の外周縁部66に接した位置に設定する。同様に図4(B)に示す具体例2は、三次元製品40の凹面42が被切削面に設定される例であり、データ生成処理により、三次元製品40に対し、切削代57、四本の柱71から74、板状部分75、支柱91から98、及び梁113、114が付加された被造形物122を造形するための三次元造形データを生成がされる。データ生成装置1は一例として、支柱91から98の一端部の少なくとも一部が三次元製品62の外周縁部67に接した位置に設定する。図4(C)に示す具体例3は、三次元製品40の凸面41及び凹面42の双方が被切削面に設定され、且つ、凸面41が最後に切削される例であり、データ生成処理により、三次元製品40に対し、切削代58、四本の柱71から74、板状部分75から77、支柱101から108、及び梁115、116が付加された被造形物123を造形するための三次元造形データを生成がされる。データ生成装置1は一例として、支柱101から108の一端部の少なくとも一部が三次元製品63の外周縁部68に接した位置に設定する。
【0015】
図2から図14を参照し、具体例1から3を用いて、第一実施形態のデータ生成装置1のCPU2によって実行されるデータ生成処理について説明する。データ生成処理は、処理の対象となる三次元データ20を指定された状態で、操作部8を介して処理を開始する指示が検出された場合に、CPU2が記憶装置5に記憶されたプログラムをRAM4に読み出して実行することによって開始される。具体例1から3の各々のデータ生成処理は、互いに異なるタイミングで実行されるが、説明を簡単にするために、並列に説明する。以下の説明では、三次元製品40に対して立体造形物(例えば、支柱)が付加、設定された場合、設定された立体構造物の三次元形状を表す三次元データが、三次元製品40の三次元データ20に付加されてもよいし、三次元データ20とは別途生成され、三次元データ20と対応付けて記憶されてもよい。データ生成処理で参照される各種設定値は、予め設定されてもよいし、三次元製品40の形状、大きさ等に応じて複数種類の値の中から所定の値が自動的に設定されてもよいし、操作部8を介してユーザによって設定されてもよい。
【0016】
図2に示すように、CPU2は、三次元製品40の三次元形状を表す三次元データ20を取得する(S1)。一例として、CPU2は図3に模式的に示すSTL形式の三次元データ20を外部機器から有線又は無線で取得する。STL形式の三次元データ20は、三次元製品40の三次元形状を表す三角形群の頂点の三次元座標データを含む。
【0017】
CPU2は、S1で取得された三次元データ20に関する設定画面30(図3参照)を表示部7に表示する(S2)。図3に示すように、設定画面30は、欄31から35、及びキー36を含む。欄31は、S1で取得された三次元データ20に基づく三次元製品40の三次元形状を表示する。CPU2は初期状態では、三次元データ20のX方向、Y方向、及びZ方向を各々、左右方向、前後方向、及び上下方向として、三次元製品40の三次元形状を欄31に表示させる。Xプラス側、Yプラス側、及びZマイナス側は各々、右方、後方、及び上方である。欄32は、S1で取得された三次元データ20に基づく三次元製品40のX方向、Y方向、及びZ方向の全体の大きさを表示する。欄33は、片面/両面設定を行うための欄である。片面/両面設定は、3Dプリンタ11により造形された被造形物を切削装置12により切削加工する場合、被造形物の高さ方向の一方側の面を被切削面とするか(片面)、それとも、被造形物の高さ方向の一方側の面と、他方側の面の両方を被切削面とするか(両面)をラジオボタン形式で選択、設定する。片面/両面設定の初期値は、片面である。被造形物の高さ方向の一方側、他方側は、切削装置12により最後に切削される最終被切削面に応じて設定される。欄34は、最終被切削面設定を行う欄である。最終被切削面設定は、最終被切削面を、Xプラス側の面、Xマイナス側の面、Yプラス側の面、Yマイナス側の面、Zプラス側の面、及びZマイナス側の面の中から選択でき、初期値はZプラス側の面である。欄35は、Z軸中心回転を指示する欄であり、欄31に表示されている三次元製品40をZ軸中心に回転する回転角度を入力する欄である。キー36は、設定画面30を用いた条件の設定を確定する指示する場合に選択される。CPU2は、S3からS9において、設定画面30を介して、各種設定の変更を受け付ける処理を行う。
【0018】
CPU2は、操作部8の出力に基づき、キー36の選択が検出されたか否かを判断する(S3)。キー36の選択が検出されない場合(S3:NO)、CPU2は、操作部8の出力に基づき、欄34の最終被切削面設定の選択が検出したかを判断する(S4)。最終被切削面設定の選択が検出された場合(S4:YES)、CPU2は、操作部8の出力に応じて、最終被切削面を設定し、最終被切削面が上側になるように欄31の三次元形状の表示を変更し(S5)、処理をS3に戻す。具体例1、3では、最終被切削面に、凸面41が設定される。具体例2では、最終被切削面に、凹面42が設定される。最終被切削面設定の選択が検出されない場合(S4:NO)、CPU2は、操作部8の出力に基づき、欄33の片面/両面設定の選択を検出したかを判断する(S6)。片面/両面設定の選択が検出された場合(S6:YES)、CPU2は、操作部8の出力に応じて、片面/両面設定に片面又は両面を設定し(S7)、処理をS3に戻す。具体例1及び具体例2では片面/両面設定に、片面が設定される。具体例3では、片面/両面設定に両面が設定される。片面/両面設定の選択が検出されない場合(S6:NO)、CPU2は、操作部8の出力に基づき、欄35のZ軸中心回転の指示を検出したかを判断する(S8)。Z軸中心回転の指示が検出された場合(S8:YES)、CPU2は、欄35に入力された回転角度に応じて、欄31に表示されている三次元製品40をZ軸中心に回転し、回転結果に応じて欄31に表示された三次元製品40を変更して(S9)、処理をS3に戻す。Z軸中心回転の指示が検出されない場合(S8:NO)、CPU2は、処理をS3に戻す。
【0019】
S3でキー36の選択が検出された場合(S3:YES)、CPU2は、設定画面30の設定に基づき、三次元造形データと三次元切削データとを生成し、生成したデータを出力する処理を行う。具体的には、CPU2は、設定画面30の設定に基づき、新たなZ軸を設定する(S10)。CPU2は、欄34で設定された最終被切削面を新たなZプラス方向に設定する。CPU2は、新たなX軸、Y軸を設定する(S11)。CPU2は、S11で設定されたZプラス方向から、Z軸に垂直な仮想XY平面に三次元製品40を投影した場合の、投影図形の長手方向を新たなX軸、短手方向を新たなY軸に設定する。CPU2は、S10、S11で設定された新たなX軸、Y軸、及びZ軸に基づき、S1で取得された三次元データを変換する。具体例1、3では図6のS11の欄に示すようにX軸、Y軸、及びZ軸が設定される。具体例2では図7のS11の欄に示すようにX軸、Y軸、及びZ軸が設定される。図6から図8では、対象をZプラス側から見た図を平面図、Xプラス側から見た図を右側面図、Xマイナス側から見た図を左側面図と表す。
【0020】
CPU2は、新たなX軸、Y軸、及びZ軸に従って変換された三次元データに基づき、三次元製品40に対して、四本の柱71から74を設定する(S12)。四本の柱71から74は、三次元製品40と離隔してZ方向に延び、3Dプリンタ11による三次元造形時に三次元製品40の位置決めするのに利用される。CPU2は、例えば次の手順で三次元製品40に対して四本の柱71から74を設定する。CPU2は、変換された三次元データのX座標の最小値、X座標の最大値、Y座標の最小値、Y座標の最大値、Z座標の最小値、及びZ座標の最大値に基づき、三次元製品40と内接する最小の直方体Jを定義する。直方体Jは、XY平面に平行な二面、YZ平面に平行な二面、及びZX平面に平行な二面を有する。CPU2は、XY平面に平行な一面の四頂点P1からP4の各々について、X方向に所定距離D1、Y方向に所定距離D2、三次元製品40の中心から離れる側に離隔した点を円柱の中心軸の位置に設定する。四頂点P1からP4の座標(X,Y)は各々、(X座標の最小値,Y座標の最小値)、(X座標の最小値,Y座標の最大値)、(X座標の最大値,Y座標の最小値)、及び(X座標の最大値,Y座標の最大値)である。四頂点P1からP4に対応する中心軸の座標(X,Y)は各々、(X座標の最小値-D1,Y座標の最小値-D2)、(X座標の最小値-D1,Y座標の最大値+D2)、(X座標の最大値+D1,Y座標の最小値-D2)、及び(X座標の最大値+D1,Y座標の最大値+D2)である。CPU2は、四本の柱71から74の各々のZ方向の延設範囲を、三次元製品40のZ座標の最小値よりも所定量D3小さい座標(Z座標の最小値-D3)から、三次元製品40のZ座標の最大よりも所定量D4大きい座標(Z座標の最大値+D4)までの範囲に設定する。CPU2は、設定された四本の柱71から74の各々のZ方向の延設範囲に亘って延設され、設定された円柱の中心軸から半径所定値の円柱を設定する。S12で設定される柱71から74の形状、配置、大きさ、及び延設範囲等は適宜変更されてよい。
【0021】
CPU2は、加工原点を設定する(S13)。加工原点は、3Dプリンタ11で被造形物を造形する際の基準となる機械原点であり、切削装置12で被造形物を切削加工する際の基準となる機械原点である。3Dプリンタ11の加工原点と、切削装置12の加工原点とは互いに異なっていてもよい。CPU2は、S12で設定された四本の柱71から74の内の、例えば、三次元製品40に対し、Xマイナス方向、Yマイナス方向に設定された、柱71の位置を加工原点に設定する。CPU2は、片面/両面設定が、片面に設定されているかを判断する(S14)。具体例1、2では、片面/両面設定が、片面に設定されていると判断される(S14:YES)。図6のS16の欄のように、具体例1では、CPU2は、加工原点の目印として、四本の柱71から74の内、三次元製品40に対し、Xマイナス方向、Yマイナス方向に設定された柱71に、Xプラス方向の幅が所定長さ、柱71の中心軸からYプラス方向に所定長さの板状部分75を付加する(S15)。CPU2は、三次元製品40のZプラス側の被切削面である凸面41全体に所定の厚みを含めた切削代56を付加する(S16)。具体例1において切削代56が付加された三次元製品40を単に三次元製品61と言い、切削代56が付加された外周縁部413を単に外周縁部66と言う。同様に具体例2では、図7のS16の欄に示すように、四本の柱71から74の内、柱71に板状部分75が付加され(S15)、凹面42全体、内周縁部423と外周縁部413との間の面に所定の厚みを含めた切削代57が付加される(S16)。具体例2において切削代57が付加された三次元製品40を単に三次元製品62と言い、切削代57が付加された外周縁部413を単に外周縁部67と言う。
【0022】
具体例3では、片面/両面設定が、両面に設定されていると判断される(S14:NO)。図8のS18の欄に示すようにCPU2は、加工原点の目印として、四本の柱71から74の内、三次元製品40に対し、Xマイナス方向、Yマイナス方向に設定された柱71に、Xプラス方向の幅が所定長さ、柱71の中心軸からYプラス方向及びYマイナス方向に所定長さの板状部分75、76を付加する。更にCPU2は、三次元製品40に対し、Xマイナス方向、Yプラス方向に設定された柱72に、Xプラス方向の幅が所定長さ、柱の中心軸からYマイナス方向に所定長さの板状部分77を付加する(S17)。CPU2は、三次元製品40のZプラス側及びZマイナス側の被切削面、つまり、凸面41全体に所定の厚みを含めた切削代58を付加し、且つ、凹面42全体に所定の厚みを含めた切削代58を付加する(S18)。具体例3において切削代58が付加された三次元製品40を単に三次元製品63と言い、切削代58が付加された外周縁部413を単に外周縁部68と言う。このように本実施形態では、三次元製品40の被切削面が凸面41であるか、凹面42であるか、凸面41及び凹面42の両面であるかに応じて、三次元製品40の外周縁部413に所定の厚みの切削代56から58の何れかが付加される。
【0023】
S16又はS18の次に、CPU2は、支柱設定処理を実行する(S19)。支柱設定処理は、配置条件に従って延伸方向に延びる支柱であって、三次元製品40に付加された切削代に、支柱の延伸方向の一端部が連結する支柱を設定する処理が実行される。図5図9から図14を参照し、具体例1、2の場合の支柱設定処理を説明し、具体例3の場合の説明は具体例1の場合と同様であるので省略する。図5に示すように、CPU2は、三次元製品61、62に対し、支柱をどのような条件で配置するかを示す配置条件を取得する(S30)。配置条件は予め設定されてもよいし、三次元製品61、62の形状、大きさ等に応じて自動的に設定されてもよいし、ユーザが設定可能でもよい。本実施形態の配置条件は、三次元製品61、62の形状、大きさ等によらず、自動的に設定され、支柱の幅方向の長さQ、支柱の高さ方向の長さH、及び隣合う支柱の間隔に応じた長さである幅方向のピッチPを含む。隣合う支柱の幅方向のピッチPは、隣合う支柱の幅方向の長さを考慮した値であり、隣合う支柱の幅方向の長さを考慮しない場合、隣り合う支柱の幅方向の間隔であってもよい。CPU2は、支柱の幅方向及び延伸方向を設定する(S31)。支柱の幅方向及び延伸方向は、三次元製品40の形状、大きさ等に応じて自動的に設定されてもよいし、ユーザが設定可能でもよい。本実施形態のCPU2は、S10、S11で設定されたXYZ座標系に基づき自動的に設定し、X方向を支柱の延伸方向に設定し、Y方向を支柱の幅方向に設定し、Z方向を支柱の高さ方向に設定する。
【0024】
CPU2は、S30で取得された配置条件に応じて、三次元製品61、62に対して設定される支柱の幅方向の延設範囲を設定する(S32)。具体例1では図9及び図10のS33の欄に示すように、CPU2は、三次元製品61のY方向の中心Dを基準として、中心Dに隣接する支柱と中心Dとの距離E、隣合う支柱の幅方向のピッチP、及び支柱の幅方向の長さQに基づき、式(1)に従って支柱の延設範囲R1からR4を設定する。式(1)の変数は、式(2)を満たすように設定される。ただし、式(1)、式(2)においてnは整数である。
Y=D±E、D±(E+P×n) ・・・式(1)
Y方向の最大長/2>(E+P×n+Q) ・・・式(2)
三次元製品61にはY方向プラス側から順に延設範囲R1からR4が設定される。同様に具体例2では図10のS33の欄に示すように、CPU2は、支柱の延設範囲R1からR4を設定する。CPU2は、変数Nに1を設定する(S33)。変数Nは、S33で設定された支柱の延設範囲R1からR4をYプラス側に配置された範囲から順に読み出すための変数である。CPU2は、設定方向に延伸方向プラスを設定し、座標条件に延伸方向最大値を設定する(S34)。設定方向は、三次元製品61、62に対する支柱の延伸方向である。座標条件は、三次元製品61、62の外周縁部66、67を特定する条件である。設定方向が延伸方向プラスである場合、座標条件は延伸方向最大値であり、設定方向が延伸方向マイナスである場合、座標条件は延伸方向最小値である。
【0025】
CPU2は、N番目の支柱の延設範囲のY座標の最大値を、N番目の支柱の延設範囲の幅方向の一端部の座標として特定し、変数Mに1を設定する(S35)。変数Mは、S33で設定された各延設範囲R1からR4を幅Kで複数に分割した範囲をYプラス側に配置された範囲から順に読み出すための変数である。図9に示すように、本実施形態のCPU2は、一例として、各延設範囲R1からR4を、幅Kで10個に分割し、範囲U1からU10を順に読み出す。CPU2は、S35で特定された座標と、変数Mと、幅Kとに応じて、N番目の支柱の延設範囲のM番目の範囲を設定する(S36)。具体例1において、変数Nが1であり、変数Mが1である場合、図9に示す、N番目の支柱の延設範囲のM番目の範囲として範囲U1が設定される。CPU2は、S36で設定された範囲において、S34又はS48で設定された座標条件に基づき、具体例1では三次元製品61の外周縁部66を特定し、具体例2では三次元製品61の外周縁部67を特定する(S37)。図10の具体例1のS37の欄では、具体例1のS33の欄のB-B線における矢視方向断面図を示し、具体例2のS37の欄では、具体例2のS33の欄のC-C線における矢視方向断面図を示す。具体例1において変数Nが4であり、変数Mが1である時、図10の具体例1のS37の欄に示すように、CPU2は、三次元製品61のX座標の最大値を有する点Xmaxを、S36で設定された範囲における外周縁部66の座標として特定し、変数N、変数Mと対応付けて記憶する。同様に具体例2において変数Nが1であり、変数Mが10である時、図10の具体例2のS37の欄に示すように、CPU2は、三次元製品62のX座標の最大値を有する点Xmaxを、S36で設定された範囲における外周縁部67の座標として特定し、変数N、変数Mと対応付けて記憶する。CPU2は、S36で設定されたM番目の範囲が、N番目の支柱の延設範囲の幅方向の他端部を含むかを判断する(S38)。本実施形態のCPU2は、変数Mが10である場合に、N番目の支柱の延設範囲の幅方向の他端部を含むと判断する。設定されたM番目の範囲が、N番目の支柱の延設範囲の幅方向の他端部を含まない場合(S38:NO)、CPU2は、変数Mを1だけインクリメントして(S39)、処理をS36に戻す。繰り返し実行されるS37の処理により、N番目の支柱の延設範囲について、範囲U1からU10に対応する10個の座標が取得される。
【0026】
設定されたM番目の範囲が、N番目の支柱の延設範囲の幅方向の他端部を含む場合(S38:YES)、CPU2は、三次元製品61、62に対し、N番目の支柱の延設範囲内に、S34で設定された設定方向に延びるN番目の支柱を仮設定する(S40)。CPU2は、例えば、次の手順で、三次元製品61、62に対し、設定方向に延びるN番目の支柱を仮設定する。図11に示すように、具体例1においてNが4である時、CPU2は、S37で特定された複数の座標の各々について、X方向の最大値を含む点Xmaxから、Xマイナス側に所定距離G離れ、且つ、Zプラス側に高さH離れた点Fを設定する。CPU2は、支柱の高さ方向の延設範囲(Z方向の延設範囲)に、点Xmaxから点Fまでを設定し、延伸方向の延設範囲(Z方向の延設範囲)に、点Fから三次元製品61に対しXプラス側にある柱73、74の中心軸までを設定する。CPU2は、延伸方向の延設範囲、支柱の高さ方向の延設範囲、S32で設定された支柱の幅方向の延設範囲に亘って延びる立体造形物を、三次元製品61に対し、設定方向に延びる具体例1の4番目の支柱25として仮設定する。同様に図12に示すように、具体例2においてNが1である時、CPU2は、支柱の延伸方向の延設範囲、支柱の高さ方向の延設範囲、S32で設定された幅方向の延設範囲に亘って延びる立体造形物を、三次元製品62に対し、設定方向に延びる具体例2の1番目の支柱27として仮設定する。
【0027】
CPU2は、S40で仮設定された支柱25、27のZプラス側の面と、三次元製品61とに交点があるかを判断する(S41)。具体例1の支柱25のように、交点がある場合(S41:YES)、CPU2は、凸面41に支柱を設定する場合の処理を行う(S42)。具体的には、図13に示すように、CPU2は、S40で仮設定された支柱25と、三次元製品61とが交わる交差面を特定し、S40で仮設定された支柱25のXマイナス側の端部を特定された交差面に変更して、三次元製品61に対し、S34で設定された設定方向に延びるN番目の支柱84を設定する。つまり、支柱84は、支柱84のXマイナス側の端部が、三次元製品61の切削代56に連結するように設定される。具体例2の支柱27のように、交点がない場合(S41:NO)、CPU2は、凹面42に支柱を設定する場合の処理を行う(S43)。具体的には、図14に示すように、CPU2は、S40で仮設定された支柱27が、三次元製品62と交わる部分において、三次元製品62と交わる交差面を特定し、S40で仮設定された支柱27のXマイナス側の端部を特定された交差面に変更して、三次元製品62に対し、S34で設定された設定方向に延びる1番目の支柱91を設定する。S40で仮設定された支柱27が、三次元製品62と交わる部分がない場合には、CPU2は、S40で仮設定された支柱27のZマイナス側の面を、三次元製品62と接する位置まで、Zマイナス側に伸ばす。
【0028】
S42又はS43の処理の次に、CPU2は、設定方向が延伸方向プラスかを判断する(S44)。設定方向が延伸方向プラスである時(S44:YES)、CPU2は、設定方向に延伸方向マイナスを設定し、座標条件に延伸方向最小値を設定して(S48)、処理をS35に戻し、三次元製品61、62に対し延伸方向マイナス側に延びるN番目の支柱を設定する処理を行う(S35からS43)。
【0029】
三次元製品61、62に対し延伸方向マイナス側に延びるN番目の支柱を設定する場合のS37では、図10のS37の欄に示すように、CPU2は、具体例1、2において、三次元製品61、62のX座標の最小値を有する点Xminを、S36で設定された範囲における外周縁部66、67の座標として特定し、変数N、変数Mと対応付けて記憶する。具体例1について、図11に示すように、CPU2は、支柱26を仮設定する(S40)。図13に示すように、CPU2は、S40で仮設定された支柱26と、三次元製品61とが交わる交差面を特定し、S40で仮設定された支柱26のXプラス側の端部を特定された交差面に変更して、三次元製品61に対し、S48で設定された設定方向に延びる4番目の支柱88を設定する(S42)。つまり、支柱88は、支柱88のXプラス側の端部が、三次元製品61の切削代56に連結するように設定される。具体例2について、図12に示すように、CPU2は、支柱28を仮設定する(S40)。図14に示すように、S40で仮設定された支柱28は点Xmin以外で三次元製品62と交わる部分がないので、CPU2は、S40で仮設定された支柱28のZマイナス側の面を、三次元製品62と接する位置まで、Zマイナス側に伸ばし、三次元製品62に対し、S48で設定された設定方向に延びる1番目の支柱95を設定する(S42)。つまり、支柱95は、支柱95のXプラス側の端部のZマイナス側の面が、三次元製品62の切削代57に連結するように設定される。
【0030】
設定方向が延伸方向マイナスである時(S44:NO)、CPU2は、変数NがS32で設定された延設範囲の数であるかを判断する(S46)。具体例1、2では変数Nが4ではないとき(S46:NO)、CPU2は、変数Nを1だけインクリメントし(S47)、処理をS34に戻す。変数Nが4である時(S46:YES)、CPU2は、以上で支柱設定処理を終了し、処理を図2のデータ生成処理に戻す。支柱設定処理によって、具体例1について、図6のS19の欄に示すように、X方向を長手方向として延びる支柱81から88が設定される。支柱81から84のZプラス側の面及びZマイナス側の面は各々、外周縁部66の形状に応じて屈曲又は傾斜している。支柱85から88のZプラス側の面及びZマイナス側の面は各々、外周縁部66の形状に応じてXY平面と平行に延びる。同様に、具体例2について、図7のS19の欄に示すように、X方向を長手方向として延びる支柱91から98が設定される。具体例3について、図8のS19の欄に示すように、X方向を長手方向として延びる支柱101から108が設定される。
【0031】
CPU2は、三次元製品61から63に対し、梁を設定する(S20)。図6のS20の欄に示すように、具体例1の三次元製品61に対して設定される梁111、112は、支柱81から88の延伸方向において、三次元製品61と離隔し、支柱81から88の幅方向に延び、支柱81から88の延伸方向の両端部の内、三次元製品61と離れる側の他端部と連結する。本実施形態では、梁111のY方向の両端部は、S12で設定された柱73、74に連結し、梁112のY方向の両端部は、S12で設定された柱71、72に連結する。CPU2は以下の手順で梁111、112を設定する。CPU2は、梁111、112のX方向、Y方向の延設範囲を、S12で設定された四本の柱71から74に基づき設定する。CPU2は、柱71、72の間の梁のX方向の延設範囲のXマイナス方向の端部を、X方向の柱71、72の中心から、マイナス方向に長さD5の位置に設定する。長さD5は、0よりも大きく、柱71、73の半径よりも小さい。CPU2は、柱71、72の間の梁112のX方向の延設範囲のXプラス方向の端部を、柱71、72のXプラス方向の端部の位置に設定する。同様に、CPU2は、柱73、74間の梁111のX方向の延設範囲のXプラス方向の端部を、X方向の柱73、74の中心からマイナス方向に長さD5の位置に設定する。CPU2は、柱73、74の間の梁111のX方向の延設範囲のXマイナス方向の端部を、柱71、72のXマイナス方向の端部の位置に設定する。
【0032】
CPU2は、梁111のZ方向の延設範囲を、梁111と連結する複数の支柱81から84のZ方向の最小値から、最大値までに設定する。CPU2は、梁112のZ方向の延設範囲を、梁112と連結する複数の支柱85から88のZ方向の最小値から、最大値までに設定する。CPU2は、設定されたX方向、Y方向、及びZ方向の延設範囲に基づき、Y方向を長手方向として延びる四角柱状の梁111、112を設定する。具体例1において、三次元製品61、四本の柱71から74、板状部分75、支柱81から88、梁111、112を含む立体造形物を、被造形物121とも言う。同様な手順で具体例2について、図7のS20の欄に示すように、Y方向を長手方向とする梁113、114が設定される。具体例1において、三次元製品62、四本の柱71から74、板状部分75、支柱91から98、梁113、114を含む立体造形物を、被造形物122とも言う。具体例3について、図8のS20の欄に示すように、Y方向を長手方向とする梁115、116が設定される。具体例3において、三次元製品63、四本の柱71から74、板状部分75から77、支柱101から108、梁115、116を含む立体造形物を、被造形物123も言う。
【0033】
CPU2は、被造形物121から123を3Dプリンタ11で造形するための三次元造形データを生成する(S21)。三次元造形データの形式は、3Dプリンタ11の造形形式に応じて適宜定められればよい。例えば、具体例1の三次元造形データは、被造形物121を造形するためのデータ、即ち、三次元製品40と、S12で設定される四本の柱71から74と、S15で付加される目印形状である板状部分75と、S16で付加される切削代56と、S19で設定される支柱81から88と、S20で設定される梁111、112との各々の三次元形状を表すデータとを含む。CPU2は、切削加工により三次元製品40をするための三次元切削データを生成する(S22)。三次元切削データは、切削装置12によって切削加工された後に切削されずに残る立体造形物の形状を表すデータである。例えば具体例1の三次元切削データは、S12で設定される四本の柱71から74と、S15で付加される板状部分75と、三次元製品40との三次元形状を表すデータを含む。CPU2は、S21で生成された三次元造形データと、S22で生成された三次元切削データとの差分を取得する(S23)。例えば、具体例1ではCPU2は、S16で付加される切削代56と、S19で設定される支柱81から88と、S20で設定される梁111、112との各々の三次元形状を表すデータを取得する。CPU2は、S23で取得された差分に基づき、切削装置12を用いて、被造形物121から123を切削加工するためのNCデータを生成する(S24)。例えば、具体例1ではCPU2は、S23で取得された差分に含まれる、S16で付加される切削代56と、S19で設定される支柱81から88と、S20で設定される梁111、112との各々を被造形物121から切削除去するためのNCデータを生成する。CPU2は、S21で生成された三次元造形データを、3Dプリンタ11に出力し、S24で生成された切削装置12用のNCデータを切削装置12に出力する(S25)。CPU2は、以上でデータ生成処理を終了する。システム9において、3Dプリンタ11は、データ生成装置1から出力された三次元造形データに基づき、被造形物121から123を造形する処理を実行する。切削装置12では、3Dプリンタ11によって造形された被造形物121から123を、データ生成装置1から出力された切削装置12用NCデータに基づき切削加工して、被切削面が切削された三次元製品40を作成する。
【0034】
上記第一実施形態のデータ生成処理では、具体例1では三次元製品61の外周縁部66の形状に沿った支柱81から88が設定される。これに対し、第二実施形態のデータ生成処理のように、三次元製品61の外周縁部66によって特定される位置に、所定のXZ断面形状を有する支柱が設定されてもよい。図15及び図16を参照して、第二実施形態のデータ生成処理について説明する。第二実施形態のデータ生成処理は、S19の支柱設定処理において第一実施形態のデータ生成処理と互いに異なり、他の処理は第一実施形態のデータ生成処理と互いに同じである。図15では、図5に示す第一実施形態の支柱設定処理と同様の処理には同じステップ番号を付与している。図15に示すように、第一実施形態の支柱設定処理は、S35からS43の処理に替えて、S51からS56の処理を行う点で、第一実施形態の支柱設定処理と互いに異なり、他の処理は、第一実施形態の支柱設定処理と互いに同じである。第一実施形態の支柱設定処理と同様の処理については、説明を省略又は簡略化し、以下、第一実施形態の支柱設定処理と互いに異なるS51からS56の処理について、第一実施形態と同様の具体例1、2を用い説明する。
【0035】
S51では、CPU2はS33で設定されたN番目の支柱の延設範囲を取得する(S51)。CPU2は、S51で取得されたN番目の支柱の延設範囲の外周縁部66、67の内、所定条件に従って代表外周縁部を特定する(S52)。所定条件は適宜設定さればよい。例えば、S51で取得されたN番目の支柱の延設範囲の、Y方向の一端部、他端部、及び中心等の代表点における、座標条件を満たす座標が代表外周縁部として特定されてもよい。S51で取得されたN番目の支柱の延設範囲の座標条件を満たす座標が代表外周縁部として特定されてもよい。CPU2は、一例として、S51で取得されたN番目の支柱の延設範囲の、Y方向の一端部における座標条件を満たす座標で表される点と、Y方向の他端部における座標条件を満たす座標で表される点との内、Z座標が大きい方の点を、代表外周縁部として特定する。
【0036】
CPU2は、S52で特定された代表外周縁部と、代表外周縁部によって特定される位置の条件と、XZ断面形状の条件と、S30で設定された配置条件とに基づき、三次元製品61、62に対して、第一実施形態と同様のS34又はS48で設定された設定方向に延びるN番目の支柱を仮設定する(S53)。代表外周縁部によって特定される位置の条件は、代表外周縁部の特定条件に応じて適宜設定されればよく、例えば、支柱の延伸方向の一端部の少なくとも一部がS52で特定された代表外周縁部に接した位置である。XZ断面形状の条件は、例えば、矩形状、円状、楕円状、及び多角形状の何れかであってもよい。各条件はユーザが設定可能であってもよいし、予め設定されていてもよい。CPU2は、例えば、代表外周縁部が、N番目の支柱の延設範囲のYプラス方向の端部の点であるとき、XZ断面形状が、代表外周縁部をZマイナス側、Yプラス側の頂点とする矩形となる、四角柱状の支柱を設定する。CPU2は、N番目の支柱の設定方向とは反対側の端部の位置を、第一実施形態のS40の処理と同様に設定する。
【0037】
CPU2は、S53で設定された四角柱状のN番目の支柱の、Zプラス側においてX方向に延びる二辺の何れかと、三次元製品61、62との交点があるかを判断する(S54)。具体例1では交点があると判断され(S54:YES)、CPU2は、凸面41に支柱を設定する場合の処理を行う(S55)。CPU2は、支柱の延伸方向の両端部のうち三次元製品61側の一端部の少なくとも一部が、三次元製品61の切削代56に連結するように設定する。CPU2は、S53で仮設定された支柱の延伸方向の一端部の内、三次元製品61と交差する部分については、三次元製品61と交差する交差面を特定し、S53で仮設定された支柱の延伸方向の一端を特定された交差面に変更する。CPU2は、S53で仮設定された支柱の延伸方向の一端部の内、三次元製品61と交差しない部分については、仮設定時の条件のままとする。具体例1では支柱設定処理により、図16(A)に示すように、支柱131から138が設定される。支柱135から138は、三次元製品61のXマイナス方向の側面からX方向マイナス側に延び、Xプラス方向からは見えないため、図16(A)ではZ方向及びY方向の位置を仮想線で示している。支柱131から138のZプラス側の面及びZマイナス側の面は、三次元製品61の外周縁部66の形状によらず、XY平面と平行な平面である。具体例2では交点がないと判断され(S54:NO)、CPU2は、凹面42に支柱を設定する場合の処理を行う(S56)。第一実施形態のS43と同様な処理により、図16(B)に示すように、支柱141から148が設定される。支柱141から148のZプラス側の面及びZマイナス側の面は、三次元製品62の外周縁部67の形状によらず、XY平面と平行な平面である。
【0038】
上記第一及び第二実施形態のデータ生成装置1及びシステム9において、データ生成装置1、CPU2は、3Dプリンタ11、及び切削装置12は各々、本発明のコンピュータ、制御部、三次元造形装置、及び切削装置の一例である。S1の処理は、本発明のデータ取得ステップの一例である。S30の処理は、本発明の条件取得ステップの一例である。S31、S32は本発明の方向設定ステップの一例である。S42、S43、S55、S56の処理は、本発明の支柱設定ステップの一例である。S20の処理は本発明の梁設定ステップの一例である。S21の処理は本発明の造形データ生成ステップの一例である。S25の処理は、本発明の出力ステップの一例である。S22、S24の処理は、本発明の切削データ生成ステップの一例である。S4、S6の処理は本発明の受付ステップの一例である。S37、S52の処理は、本発明の縁部特定ステップの一例である。
【0039】
上記第一及び第二実施形態のデータ生成プログラム及びシステム9の効果を、第一実施形態の具体例1を主に用いて説明し、具体例2、3の場合及び第二実施形態の場合に同様の効果が得られる場合には説明を適宜省略する。第一及び第二実施形態のデータ生成プログラム及びシステム9によれば、データ生成装置1は、データ生成プログラムを実行することで、三次元製品40、切削代56、支柱81から88、及び梁111、112を含む被造形物121を、3Dプリンタ11を用いて造形するための三次元造形データを生成できる。支柱81から88は、配置条件に従って延伸方向に延び、三次元製品40に付加された切削代56に、延伸方向の一端部が連結する。支柱81から88は、切削装置12により切削代56が三次元製品40から除去されることで切削代56と一緒に除去される。このためユーザは、被造形物121から三次元製品40を得るために、被造形物121から切削代56を除去する工程とは別に、支柱81から88を除去する工程を設ける必要がない。つまり、データ生成プログラムは、三次元製品61と、三次元製品61に連結する支柱81から88とを、3Dプリンタ11を用いて造形するための三次元造形データを、支柱81から88が三次元製品40から除去されることを考慮して生成できる。データ生成プログラムは、支柱81から88に延伸方向の一端部が切削代56に連結するように、支柱81から88の配置を自動で設定できるので、従来のプログラムに比べユーザの負担を軽減できる。本実施形態のCPU2は、梁111の延設範囲を、梁111に接続する支柱81から84の延設範囲に基づき設定し、梁112の延設範囲を、梁112に接続する支柱85から88の延設範囲に基づき設定するので、梁111、112のZ方向の長さをY方向に亘って一定としつつ、Z方向の長さを最小限にできる。これによりデータ生成プログラムは、梁111のZ方向の長さが梁111に接続する支柱81から84の延設範囲を考慮せずに設定され、梁112のZ方向の長さが梁112に接続する支柱85から89の延設範囲を考慮せずに設定される場合に比べ、被造形物121の造形時間を短縮でき、及び被造形物121の材料の使用量を低減できる。
【0040】
データ生成プログラムは、被造形物121の内の、切削代56及び支柱81から88の一端部を切削装置12で切削除去するための三次元切削データを生成する処理(S22、S24)を実行させるための指示を含む。CPU2は、S25で三次元造形データと三次元切削データとを出力する(S25)。故にデータ生成プログラム及びシステム9は、三次元造形データとは別途三次元切削データを生成するためのユーザの手間を省くことができる。データ生成プログラム及びシステム9は、三次元造形データを生成するのに必要な処理を利用して三次元切削データを生成できるので、三次元造形データとは別途三次元切削データを生成する場合に比べ、三次元切削データを生成する処理を簡単にできる。
【0041】
データ生成プログラムは、三次元製品40の高さ方向の一方側の被切削面の指定を受け付ける処理を実行させるための指示を含む(S4、S6)。S31、S32では、指定された被切削面に従って、支柱81から88の延伸方向、幅方向、及び高さ方向が設定される。データ生成プログラムは、ユーザが被切削面を指定できないプログラムに比べ、ユーザの利便性を向上できる。データ生成プログラムは、被切削面とは別途、支柱81から88の延伸方向、幅方向、及び高さ方向を設定するユーザの手間を省くことができる。
【0042】
S30で取得される配置条件は、支柱81から88の幅方向の長さQ、支柱81から88の高さ方向の長さH、及び隣合う支柱の間隔に応じた長さであるピッチPを含む。故に、データ生成プログラムは、ユーザが配置条件を指定できないプログラムに比べ、支柱81から88の配置の自由度を向上できる。本実施形態のCPU2は、三次元製品61のY方向の中心Dを用い、支柱81から88の配置を設定するので、Y方向において、支柱81から88が偏った位置に配置される可能性を低減できる。
【0043】
データ生成プログラムは、S30で取得された配置条件に基づき支柱の幅方向の延設範囲を設定し(S32)、三次元製品61の三次元データに基づき、支柱81から88の幅方向の延設範囲内の被切削面の外周縁部66を特定する(S37、S52)に実行させるための指示を含む。三次元製品40に付加された切削代56の内の特定された被切削面の外周縁部66に応じた位置に、支柱81から88の高さ方向の長さHだけ延びる支柱81から88又は支柱131から138を設定する(S42、S43、S55、S56)。データ生成プログラムは、被切削面の中心部に応じた位置に支柱81から88を設定する場合に比べ、支柱81から88の延伸方向の長さを短く設定した三次元造形データを生成できる。これによりデータ生成プログラムは、被造形物121の造形時間を短縮でき、及び被造形物121の材料の使用量を低減できる。
【0044】
データ生成プログラムの外周縁部66に応じた位置は、支柱81から88の延伸方向の一端部の少なくとも一部が外周縁部66に接した位置である。故にデータ生成プログラムは、支柱81から88の延伸方向の一端部が、外周縁部66から離隔する場合に比べ、支柱81から88の延伸方向の長さを短く設定した三次元造形データを生成できる。これによりデータ生成プログラムは、被造形物121の造形時間を短縮でき、及び被造形物121の材料の使用量を低減できる。
【0045】
S37又はS52では、支柱81から88の幅方向の延設範囲内の三次元製品61の三次元データの内の、延伸方向の最大値又は最小値に応じて、切削代56が付加された三次元製品61の被切削面の外周縁部66を特定する。データ生成プログラムは、三次元製品61の三次元データ全体を走査して三次元製品61の外周縁部66を特定する場合に比べて、簡単な処理により切削代56の内の被切削面の外周縁部66を特定できる。
【0046】
本発明のデータ生成プログラム及び三次元造形システムは、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更が加えられてもよい。例えば、以下の変形が適宜加えられてもよい。
【0047】
(A)データ生成装置1及びシステム9の構成は適宜変更してよい。データ生成装置1は、三次元製品を表す三次元データに基づき三次元造形データを生成できればよく、専用の装置であってもよいし、汎用の装置であってもよい。システム9は、3Dプリンタ11と、切削装置12のみを備え、データ生成処理は、3Dプリンタ11及び切削装置12の少なくとも何れかの制御部により実行されてもよい。
【0048】
(B)図2のデータ生成処理を実行させるための指令を含むプログラムは、CPU2がプログラムを実行するまでに、システム9の記憶機器に記憶されればよい。従って、プログラムの取得方法、取得経路及びプログラムを記憶する機器の各々は、適宜変更してもよい。CPU2が実行するプログラムは、ケーブル又は無線通信を介して、他の装置から受信し、フラッシュメモリ等の記憶装置に記憶されてもよい。他の装置は、例えば、PC、及びネットワーク網を介して接続されるサーバを含む。
【0049】
(C)システム9で実行される処理の各ステップは、データ生成装置1によって実行される例に限定されず、システム9で実行される処理の一部又は全部は、システム9が有する他の電子機器(例えば、ASIC)によって実行されてもよい。データ生成処理の各ステップは、複数の電子機器(例えば、複数のCPU)によって分散処理されてもよい。データ生成処理の各ステップは、必要に応じて順序の変更、ステップの省略、及び追加が可能である。データ生成装置1上で稼動しているオペレーティングシステム(OS)等が、CPU2からの指令に基づきデータ生成処理の一部又は全部を行う態様も、本開示の範囲に含まれる。例えば、データ生成処理に以下の変更が適宜加えられてもよい
【0050】
S22からS24の少なくとも何れかの処理は、省略されてよいし、データ生成装置1ではなく、切削装置12で実行されてもよい。例えば、データ生成装置1で、S22の処理を実行し、S25で生成された三次元造形データ、三次元切削データを切削装置12に出力してもよい。切削装置12で、データ生成装置1から出力された三次元造形データ及び三次元切削データに基づき、S23、S24の処理を実行してもよい。
【0051】
支柱81から88、91から98、101から108、131から138、141から148、梁111から116、及び四本の柱71から74を設定する処理の少なくとも何れかは、適宜変更されてもよい。S12の処理は省略され、四本の柱71から74が設定されなくてもよい。この場合、例えば第一実施形態の具体例1で設定される支柱81から88の幅方向における、梁111、112の両端部は、柱71から74に連結せず、所定形状に形成されてもよい。支柱81から84の高さ方向において、梁111の延設範囲は、梁111に接続する支柱81から84の延設範囲によらず設定されてもよく、例えば、柱71から74と同様に三次元製品61の延設範囲に応じて設定されてもよい。S3からS9の処理の少なくとも何れかは、省略されてもよいし、設定方法が適宜変更されてもよい。S30で取得される配置条件は、支柱81から88の幅方向の長さ、支柱81から88の高さ方向の長さ、及び隣合う支柱81から88の間隔の少なくとも何れかを含まなくてもよいし、他の条件を含んでもよい。外周縁部66の特定方法は適宜変更されてもよい。三次元データを走査して、三次元製品61の外周面が特定され、外周縁部66が特定されてもよい。三次元製品40の三次元データに基づき、外周縁部413が特定され、特定された外周縁部413と、切削代56とに基づき外周縁部66が特定されてもよい。三次元製品61に対して設定される支柱81から88は、三次元製品61の外周縁部66に基づき、外周縁部66から所定距離離隔した位置に配置されてもよい。三次元製品61に対して設定される支柱81から88は、支柱81から88の延伸方向の両端部の内、三次元製品61側の支柱81から88の一端部の少なくとも一部が切削代56に連結していればよく、三次元製品61の外周縁部66を特定せずに、配置が決定されてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 :データ生成装置
2 :CPU
3 :ROM
4 :RAM
5 :記憶装置
7 :表示部
8 :操作部
9 :三次元造形システム
10 :バス
11 :3Dプリンタ
12 :切削装置
図1
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