(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022057639
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】荷受台
(51)【国際特許分類】
B60P 1/46 20060101AFI20220404BHJP
【FI】
B60P1/46 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020166001
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】特許業務法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安部 慎二
(72)【発明者】
【氏名】更家 拓弥
(72)【発明者】
【氏名】石井 貴之
(57)【要約】
【課題】荷箱に設けられて荷箱と地面又はプラットフォーム間での荷物受け渡しに使用され、且つその使用時には略水平な張出姿勢に置かれる荷受台であって、張出姿勢で上面が平坦な荷受面となる表板を備え、その表板の先端部に、先端に向かって下側に傾斜した傾斜部が形成されるものにおいて、傾斜部の先端部を下面側より補強できるようにして、傾斜部が外力を受けて変形するのを効果的に抑制可能とし、しかも傾斜部の上面側のスロープ形態は維持されるようにして、荷物のスムーズな積み降ろしを可能とする。
【解決手段】前記荷受台1において、表板40の先端部に形成されて先端に向かって下側に傾斜した傾斜部42の下面には、その傾斜部42の少なくとも先端部42aを補強する傾斜部補強板Stが固定される。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷箱(V)に設けられて該荷箱(V)と地面又はプラットフォーム(P)間での荷物受け渡しに使用され、且つその使用時には略水平な張出姿勢に置かれる荷受台(1)であって、
前記張出姿勢で上面が平坦な荷受面(1a)となる表板(40)を備え、前記表板(40)の先端部には、前記張出姿勢で先端に向かって下側に傾斜した傾斜部(42)が形成されるものにおいて、
前記傾斜部(42)の下面には、該傾斜部(42)の少なくとも先端部(42a)を補強する傾斜部補強板(St,St′,St″)が固定されることを特徴とする荷受台。
【請求項2】
前記傾斜部補強板(St,St′,St″)は、前記傾斜部(42)の長手方向両端部に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の荷受台。
【請求項3】
前記表板(40)の裏側に固定される裏板(50)又はスチフナ(Sl1 ,Sl2 ,Sw1 ~Sw3 )と、前記傾斜部補強板(St)の下面に重ね合わされる緩衝パッド(61L)とを備え、
前記緩衝パッド(61L)は、前記傾斜部補強板(St)と共に前記裏板(50)又は前記スチフナ(Sl1 ,Sl2 ,Sw1 ~Sw3 )にボルト止めされることを特徴とする、請求項1又は2に記載の荷受台。
【請求項4】
前記表板(40)の裏側には、該表板(40)に重なり合う裏板(50)が結合されると共に、それら裏板(50)と表板(40)とで複数のスチフナ(Sl1 ,Sl2 ,Sw1 ~Sw3 )が形成され、
前記裏板(50)の先端部は、前記張出姿勢で前記表板(40)の先端に向かって下側に傾斜するよう折曲されていて、その折曲部(52′)が、前記表板(40)の傾斜部(42)に固定され且つ前記傾斜部補強板(St″)の少なくとも一部を構成することを特徴とする、請求項1~3の何れか1項に記載の荷受台。
【請求項5】
前記表板(40)の裏側には、該表板(40)に重なり合う裏板(50)がボルトにより結合されると共に、それら裏板(50)と表板(40)とで複数のスチフナ(Sl1 ,Sl2 ,Sw1 ~Sw3 )が形成され、
前記裏板(50)は、前記張出姿勢で前記表板(40)の先端から遠ざかる方向に向かって上側に傾斜した立ち上がり部(52)を該裏板(50)の先端部に有していて、該立ち上がり部(52)が前記表板(40)の前記傾斜部(42)に直接重なり合わされた状態で、又は該傾斜部(42)との間で前記傾斜部補強板(St′)を挟んだ状態で、ボルト止めされることを特徴とする、請求項1~3の何れか1項に記載の荷受台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷箱に設けられて荷箱と地面又はプラットフォーム間での荷物受け渡しに使用され、且つその使用時には略水平な張出姿勢に置かれる荷受台に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載の荷箱と、地面又はプラットフォーム間での荷物の積み降ろしに用いられる荷受台において、張出姿勢で上面が平坦な荷受面となる表板の先端部に、先端に向かって下側に傾斜した傾斜部が形成される構造は、従来より知られている(例えば、特許文献1の
図8を参照)。
【0003】
この従来構造で表板の傾斜部は、荷物の上記積み降ろしを案内して作業の円滑化を図るためのスロープとして用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが荷受台を用いて荷物の積み降ろしを行う集荷場において、特に地面よりも高いプラットフォームが設置される場合には、例えば
図16に鎖線Aで示すように荷受台の先端部をプラットフォーム上に載せた状態(即ち荷受台を渡し板としてプラットフォームと荷箱間を接続した状態)で荷物の積み降ろし作業が行われる。この場合、プラットフォームの高さは集荷場により異なるため、ドライバーが目測を誤り、荷受台をプラットフォームの高さよりも低い状態で車両を後退(
図16の実線B参照)させてしまうことがあり、このときは荷受台先端の傾斜部が、
図16の鎖線Cで示すようにプラットフォームの側壁に当たって変形する虞れがある。
【0006】
尚、このような荷受台先端の変形防止のために、例えば特許文献1の
図19に示されるような延長ブラケットBRを荷受台先端に設けて荷受台先端を補強した場合には、その延長ブラケットBRの先端面が、荷物の積み降ろしの際に地面又はプラットフォームとの間で垂直の段差面を形成して、スムーズな積みおろし作業を阻害する不都合がある。
【0007】
本発明は、上記に鑑み提案されたもので、従来構造の問題を簡単な構造で解決可能とした荷受台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明は、荷箱に設けられて該荷箱と地面又はプラットフォーム間での荷物受け渡しに使用され、且つその使用時には略水平な張出姿勢に置かれる荷受台であって、前記張出姿勢で上面が平坦な荷受面となる表板を備え、前記表板の先端部には、前記張出姿勢で先端に向かって下側に傾斜した傾斜部が形成されるものにおいて、前記傾斜部の下面には、該傾斜部の先端部を補強する傾斜部補強板が固定されることを第1の特徴とする。
【0009】
また本発明は、第1の特徴に加えて、前記傾斜部補強板は、前記傾斜部の長手方向両端部に配置されることを第2の特徴とする。
【0010】
また本発明は、第1又は第2の特徴に加えて、前記表板の裏側に固定される裏板又はスチフナと、前記傾斜部補強板の下面に重ね合わされる緩衝パッドとを備え、前記緩衝パッドは、前記傾斜部補強板と共に前記裏板又は前記スチフナにボルト止めされることを第3の特徴とする。
【0011】
また本発明は、第1~第3の何れかの特徴に加えて、前記表板の裏側には、該表板に重なり合う裏板が結合されると共に、それら裏板と表板とで複数のスチフナが形成され、前記裏板の先端部は、前記張出姿勢で前記表板の先端に向かって下側に傾斜するよう折曲されていて、その折曲部が、前記表板の傾斜部に固定され且つ前記傾斜部補強板の少なくとも一部を構成することを第4の特徴とする。
【0012】
また本発明は、第1~第3の何れかの特徴に加えて、前記表板の裏側には、該表板に重なり合う裏板がボルトにより結合されると共に、それら裏板と表板とで複数のスチフナが形成され、前記裏板は、前記張出姿勢で前記表板の先端から遠ざかる方向に向かって上側に傾斜した立ち上がり部を該裏板の先端部に有していて、該立ち上がり部が前記表板の前記傾斜部に直接重なり合わされた状態で、又は該傾斜部との間で前記傾斜部補強板を挟んだ状態で、ボルト止めされることを第5の特徴とする。
【0013】
本発明において、「傾斜部の下面に傾斜部補強板を固定」とは、実施形態及び変形例のように傾斜部の下面に傾斜部補強板をボルト・ナットで固定するものが含まれることは元より、ボルト・ナット以外の固定手段(例えば溶接、接着、カシメ等)で固定するものも含まれる。また傾斜部の下面に傾斜部補強板を直接、固定するものが含まれることは元より、表板の下面に結合される裏板に傾斜部補強板が固定されることで、その裏板を介して傾斜部補強板を表板の下面に間接的に固定するものも含まれ、その場合に、傾斜部補強板を表板の下面に単に沿わせる(重なり合わせる)だけで、直接は固定されないものも含まれる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、表板の先端部に、先端に向かって下側に傾斜した傾斜部が形成される荷受台において、傾斜部の下面には、その傾斜部の少なくとも先端部を補強する傾斜部補強板が固定されるので、この傾斜部補強板で傾斜部の少なくとも先端部を下面側より補強でき、これにより、傾斜部が外力、例えばプラットフォームとの接触圧を受けて変形するのを効果的に抑制可能となる。また傾斜部補強板の特設によっても傾斜部の上面側のスロープ形態は維持されるため、傾斜部の本来的な荷物案内機能は確保できて荷物のスムーズな積み降ろしが可能となる。
【0015】
また第2の特徴によれば、傾斜部補強板は、傾斜部の長手方向両端部に配置されるので、荷受台を張出姿勢でプラットフォームと接近させるような場合に、傾斜部の長手方向一端側で傾斜部先端がプラットフォームと片当たりしても、その先端部の変形を効果的に抑制可能となる。
【0016】
また第3の特徴によれば、表板の裏側に固定される裏板又はスチフナと、傾斜部補強板の下面に重ね合わされる緩衝パッドとを備え、緩衝パッドは、傾斜部補強板と共に裏板又はスチフナにボルト止めされるので、緩衝パッドを裏板又はスチフナに固定するボルトを、傾斜部補強板の固定手段に兼用でき、それだけ構造簡素化、延いてはコスト節減に寄与することができる。
【0017】
また第4の特徴によれば、表板の裏側には、表板に重なり合う裏板が結合されると共に、それら裏板と表板とで複数のスチフナが形成され、裏板の先端部は、張出姿勢で表板の先端に向かって下側に傾斜するよう折曲されていて、その折曲部が、表板の傾斜部に固定され且つ傾斜部補強板の少なくとも一部を構成するので、スチフナを形成する裏板の先端の折曲部を傾斜部補強板に兼用でき、それだけ構造簡素化、延いてはコスト節減に寄与することができる。
【0018】
また第5の特徴によれば、表板の裏側には、表板に重なり合う裏板がボルトにより結合されると共に、それら裏板と表板とで複数のスチフナが形成され、裏板は、張出姿勢で表板の先端から遠ざかる方向に向かって上側に傾斜した立ち上がり部を裏板先端部に有していて、この立ち上がり部が表板の傾斜部に直接重なり合わされた状態で、又は傾斜部との間で傾斜部補強板を挟んだ状態で、ボルト止めされるので、裏板先端の立ち上がり部を表板の傾斜部(即ち傾斜部の先端からやや離れた部位)にボルト結合して表板より取外し可能な構造としながら、表板傾斜部の先端部を傾斜部補強板で補強することができて、その先端部の変形を効果的に抑制可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態に係る荷受台及び荷受台昇降装置を備えた荷役車両の全体側面図および一部後方斜視図
【
図2】
図1の2線矢視より見た荷受台及び荷受台昇降装置の拡大斜視図
【
図7】
図3の7矢視方向から見た荷受台の拡大裏面図
【
図11】傾斜部補強板の変形例を示す
図10対応断面図であって、(A)は第1変形例を、(B)は第2変形例をそれぞれ示す
【
図13】ロック機構の操作レバー周辺部を、裏板の一部を破断して示す拡大裏面図(
図7の13矢視部の拡大図)
【
図16】荷受台を介して荷箱とプラットフォーム間で荷物積み降ろし作業を行う際の従来技術の課題を説明するための説明図
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態を、添付図面により以下に具体的に説明する。
【0021】
この実施形態は、本発明に係る荷受台1を荷受台昇降装置を介して荷箱Vに昇降可能に設けた荷役車両Tの一例を示す。
【0022】
即ち、
図1~
図4において、車両としての荷役車両Tの車体枠F上には、後面開放の荷箱Vが架装されており、この荷箱Vの後端面には、垂直昇降式の荷受台昇降機構Lが設けられ、その昇降機構Lにより、使用時(即ち荷物積み降ろし時)には略水平な張出姿勢にある荷受台1を地面と荷箱Vの床面間で昇降可能に支持する荷受台支持部としてのスライダ14が昇降作動される。そして、後述する駆動装置としての油圧シリンダCYの駆動力により、荷受台昇降機構Lを介してスライダ14(従って荷受台1)を強制的に昇降させることで、荷受台1上に載置される荷物を荷箱Vと、地面又はプラットフォームP(
図16を参照)との間で積み降ろしできるようになっている。
【0023】
次に荷受台昇降機構Lの構造を説明する。荷箱Vの後端の左右両側縁には、略垂直方向に延びる、左右一対の、支持体としての昇降支柱2,2が固定されている。各昇降支柱2は中空の角筒体よりなり、その開口上端に天板2aが固定され、また、昇降支柱2内の中央部には、中間板2bが縦方向に一体に設けられる。昇降支柱2,2の後壁には、後述するスライダ14を昇降案内するための縦スリット4が開口されている。また各昇降支柱2の下端には、後述のインナコラム3の昇降作動を案内するための、一対の案内ローラ5が回転自在に軸支され、さらに、昇降支柱2,2の上端には、後述するワイヤ32,33をそれぞれ案内するためのトップ固定シーブ36,37が回転自在に軸支され、さらに昇降支柱2,2の下端に、インナコラム3の下端が当接するストッパ10,10が固定されている。
【0024】
一対の昇降支柱2,2内には、左右一対のインナコラム3,3がそれぞれ昇降自在に嵌挿される。各インナコラム3は、中空の角筒体により構成され、その後壁に前記昇降支柱2の縦スリット4と一致するように他の縦スリット7が開口されている。
図3に示すように、各インナコラム3の上端には、ブラケット9を介して一対の案内ローラ8,8が回転自在に軸支され、これらの案内ローラ8,8は、インナコラム3,3の昇降作動時に、昇降支柱2,2の後壁内面を転動してインナコラム3,3の昇降を案内する。
【0025】
図3に示すように、各インナコラム3の下端にはブラケット11を介して弾性ストッパ12が設けられ、このストッパ12は、昇降支柱2下端のストッパ10に当接してインナコラム3の最上昇位置を規制する。
【0026】
一対のインナコラム3,3には、スライダ14,14がそれぞれ昇降自在に挿入されており、それらのスライダ14,14の後縁は、前記インナコラム3,3および昇降支柱2,2に形成した縦スリット4,4;7,7をそれぞれ貫通してそれらの後方に延出しており、それらの縦スリット4,4;7,7に案内されて昇降支柱2,2およびインナコラム3,3に対して昇降可能である。スライダ14,14の上、下部には、上、下案内ローラ15,16が回転自在に軸支され、これらの案内ローラ15,16は、スライダ14,14がインナコラム3,3に対して昇降するとき、インナコラム3,3の内面を転動する。各スライダ14の上縁にはストッパゴム17が設けられ、このストッパゴム17は、インナコラム3,3上端のベースプレート3aと係合して、スライダ14のインナコラム3,3に対する相対的な上昇位置を規制する。
【0027】
一対のスライダ14,14の外面下端には、ブラケット18,18がそれぞれ固定され、これらのブラケット18,18に、後述のヒンジ具80,80を介して荷受台1が略水平な張出位置と、略鉛直な格納位置間を回動できるように、軸支19,19されている。また、各スライダ14の下端に固定したステー21には、荷受台1の基端と係合してこれを張出位置に係止するためのストッパボルト22が上下位置を調節できるように取り付けられている。
【0028】
前記一対の昇降支柱2,2の上下方向の中間部には、前記荷箱Vの床面と略一致した位置に横方向に延びるクロスメンバー24が横架固定されている。
【0029】
図4に示すように、このクロスメンバー24は、中空の角筒体により構成されており、横断面コ字状のクロスメンバー本体24Aの開口面にカバー体24Bを、複数のボルト・ナット23により一体に固定して構成されている。そして、クロスメンバー24の内部に、駆動装置としての油圧シリンダCYが設けられている。前記油圧シリンダCYは、クロスメンバー24の内において、その長手方向に沿って配設されており、そのシリンダバレル26の基端が、クロスメンバー24の一端(左端)内部に溶接したリブプレート25に連結ピン28およびボルト29をもって取り付けられている。このリブプレート25は、クロスメンバー24内の一端(
図4左端)の幅方向中央部を上下方向に延び、その上下縁が、クロスメンバー24の上下内面に溶接されている。また、油圧シリンダCYのシリンダロッド27の先端は、クロスメンバー24の途中まで延びていて、そこにブラケット30を介して車幅方向に移動可能な左右可動シーブ31l,31rが並列して回転自在に取り付けられており、前記ブラケット30は、クロスメンバー24内に長手方向に沿って固定されるガイドレール38に摺動可能に支持されている。
【0030】
図2に示すように、クロスメンバー24の左端には、一対の左右サイド固定シーブ34l,34rが並列して回転自在に取り付けられ、またクロスメンバー24の右端には、右サイド固定シーブ35が回転自在に取り付けられており、さらに、左右の昇降支柱2,2の上部には、左右トップ固定シーブ36,37がそれぞれ回転自在に取り付けられる。
【0031】
図2~4に示すように、前記油圧シリンダCYには、左右2系統のワイヤ32,33が連接されている。すなわち、左系統のワイヤ32は、その一端がクロスメンバー24の中間部に結着32aされて該クロスメンバー24に沿って延びており、前記左可動シーブ31l、左サイド固定シーブ34lおよび左トップ固定シーブ36を順次に巻き掛けられて、その他端が左側のスライダ14に結着されている。同じく右系統のワイヤ33は、その一端が、クロスメンバー24の中間部に結着33aされて該クロスメンバー24に沿って延びており、前記右可動シーブ31r、右サイド固定シーブ34r,35および右トップ固定シーブ37を順次に巻き掛けられて、その他端が右側のスライダ14に結着されている。
【0032】
したがって、前記油圧シリンダCYを伸縮作動すれば、2系統のワイヤ32,33を介して、荷受台支持部としての左右一対のスライダ14,14が同調して昇降作動され、これに連結される荷受台1を昇降作動することができる。
【0033】
つぎに、一対のスライダ14,14により支持される、本発明に係る荷受台1の構造について、
図5~
図15を併せて参照して説明する。
【0034】
なお、以下の説明において、「前後」および「左右」とは、荷役車両に対して言うものとする。
【0035】
荷受台1は、前述のように使用時には略水平な張出姿勢に置かれるものであるが、それは、上記張出姿勢で上面が平坦な荷受面1aとなる鋼板製の表板40と、その表板40の下側に重ね合わされる同じく鋼板製の裏板50とを主要部とする。それら表板40及び裏板50は、互いに一体的に結合されて平面視長方形状の扁平体に形成されており、その長辺側の前側部1fが、荷役車両の支持体として昇降支柱2,2に荷受台昇降機構Lを介して昇降可能に支持される。即ち、荷受台1の前側部1fの左右コーナー部1c,1cに設けた、後述するヒンジ具80,80が、荷受台支持部としてのスライダ14,14に固定のブラケット18,18に、略水平な張出位置と、略鉛直な格納位置との間を回動できるように軸支19,19され、その荷受台支持部としてのスライダ14,14が荷受台昇降機構Lを介して、荷箱Vに固定の昇降支柱2,2(従って荷役車両)に昇降可能に設けられることで、スライダ14,14に追従する荷受台1が荷箱V(車両)に対し昇降動作可能となっている。
【0036】
而して、本明細書において、荷受台1(即ち主要部たる表板40及び裏板50)における「基端部」とは軸支19部位に近い端部を、また「先端部」とは軸支19部位より遠い端部をいう。
【0037】
表板40の表面は、縞模様の粗面を形成した荷受面1aに形成され、また、その裏面は、略平滑な平坦面に形成される。尚、本実施形態で表板40は、荷受台1として組み立てられたときに、その中央部から外側に向かって極く僅かに上方に凸となる湾曲面に形成されるが、表板40の上面を水平な平坦面に形成してもよい。
【0038】
図5、
図6、
図8に示すように、前記表板40の前側部1f(スライダ14,14への取付側)には前側の第1延出部41が、また、その後側部には後側の第2延出部42がそれぞれ一体に形成されている。前側の第1延出部41は、略平坦な荷受面1 aに対して下向きに略直角に屈曲形成される。
【0039】
また、後側の第2延出部42、即ち表板40の先端部は、
図2,
図5,
図6に示すように荷受台1が前記張出姿勢にある状態で、水平な荷受面1aに対して後方(即ち表板41の先端側)に向かって下側に傾斜する本発明の傾斜部を構成する。そして、この第2延出部42(即ち傾斜部)の上面は、荷受け面1aと、地面又はプラットフォームP(
図16)との間での荷物積み降ろしをスムーズに行うための積み降ろし案内用斜面(即ちスロープ)として機能する。
【0040】
前記裏板50は、表板40と平面視で略同じ大きさに形成されて、表板40の裏面に重ね合わされる。この裏板50には、これが表板40と協働して荷受台1に2つの左右の縦スチフナSl
1 ,Sl
2 および3つの上下および中央の横スチフナSw
1 ,Sw
2 ,Sw
3 を形成するための一対の支持部54,54がプレス成形される。具体的には、
図6,
図7,
図8に示すように、裏板50の中間領域の、前半部と後半部に、その裏面より表面に向かって対をなす台形状の前記支持部54,54が一体に膨出成形される。一対の支持部54,54は、裏板50の前後方向に間隔をあけて互いに略平行に左右方向に長く延びており、それらの支持部54,54の上面は、平坦に形成され、また、それらの側面は、それらの下端から上端に向かって上り勾配よりなる傾斜面に形成されており、一対の支持部54,54の側面の各コーナー部は、滑らかな湾曲面54bに形成されている。
【0041】
そして、
図7に最も明瞭に示すように、前記一対の支持部54,54のプレス成形により、裏板50及び表板40の結合体である荷受台1には、支持部54,54を囲むように、前記複数のスチフナ群が一体に形成される。即ち、裏板50及び表板40により、裏板50の左右両側において、その前後方向に延びる2つの左右の縦スチフナSl
1 ,Sl
2 が、また一対の支持部54,54の間と、それらの支持部54,54前側および後側において、左右方向に略平行に延びる3つの上下および中央の横スチフナSw
1 ,Sw
2 ,Sw
3 がそれぞれ形成される。
【0042】
尚、本実施形態で裏板50は、荷受台1として組み付けられたときに、その中央部から外側に向かって極く僅かに下方に凸となる湾曲面に形成されるが、裏板50を、スチフナ部分(支持部54,54)を除いて平坦面に形成してもよい。
【0043】
図5、
図6、
図8に示すように、裏板50の前側部と後側部には、表板40の前側の第1延出部41および後側の第2延出部42にそれぞれ対応して、前側の第1延出部51および後側の第2延出部52が一体に形成されている。前側の第1延出部51は、上向きに略直角に屈曲形成され、且つ表板40の第1延出部41と重ね合わされて、後述するように着脱可能にボルト結合される。
【0044】
また、後側の第2延出部52、即ち裏板50の先端部は、荷受台の前記張出姿勢で表板40の先端から遠ざかる方向(即ち前方)に向かって上側に傾斜した折返しフランジ状の立ち上がり部を構成するものであって、その第2延出部52(立ち上がり部)の上面が表板40の後側の第2延出部42(即ち傾斜部)下面に当接し、後述するように着脱可能にボルト結合される。
【0045】
また、裏板50の左右両側部には、断面L字状の左右側板57,58が内向きの起立形成されている。その左右側板57,58の先部側は、前記立ち上がり部としての第2延出部52の折返し形態に対応して上縁が先端に向かって表板40側に傾斜している。
【0046】
図6に示すように、一対の支持部54,54の上面には、複数の短冊状の、クッション体としての複数のクッションゴム60が、それらの支持部54,54の長手方向に間隔をあけての梯子状に両面テープなどの貼着手段により貼着されており、これらのクッションゴム60は、表板40と裏板50との間に圧縮状態で挟着される。
【0047】
荷受台1の組立てに際しては、裏板50上に表板40を重ね合わせ、それらの四辺は、複数の、ボルト70とナット71(実施形態はカシメナット)とで一体に締結される。すなわち、互いに当接する、表板40の前側の第1延出部41と裏板50の前側の第1延出部51とは、それらに穿設した複数のボルト孔を通して複数組のボルト70とナット71とにより着脱可能に連結される(
図8参照)。同じく互いに当接される、表板40の後側の第2延出部42(傾斜部)と、裏板50の後側の第2延出部52(立ち上がり部)とは、それらに穿設した複数のボルト孔を通して複数のボルト70とナット71とにより着脱可能に連結される(
図8,
図10参照)。
【0048】
さらに、左右側板57,58と表板40の左右側部とは、それらに穿設した複数のボルト孔を通して複数組のボルト70とナット71(実施形態はカシメナット)とにより一体に連結される。表板40と裏板50の左右側部間に形成される間隙は、左右側板57,58により閉じられる。これにより、裏板50上に表板40が一体に重ね連結され、一対の支持部54,54上の複数のクッションゴム60は、裏板50と表板40との間に圧縮状態で挟着され、それらに作用する振動を吸収することができる。
【0049】
尚、以上説明したナット71は、裏板50にカシメにより固定されるカシメナットが使用されるが、少なくとも一部のカシメナット71を、裏板50に溶接により固定されるウエルドナットに置換してもよい。
【0050】
図5~
図7に示すように、表板40と裏板50とを一体に結合した荷受台1の前側部1fの左右コーナー部1c,1cには、ヒンジ具80,80がそれぞれ一体に連結される。各ヒンジ具80は、荷受台1のコーナー部1cをそれぞれ囲むL状のヒンジ部としてのヒンジフレーム81を、三角状の補強部としての補強板82により補強して構成されており、ヒンジ具80,80は、荷受台1の前側の左右コーナー部1c,1cに、その外側から一体に連結される。裏板50において前記前側の第1延出部51の左右端部の内面および左右側板57,58の前部の内面には、それぞれナットプレート84,84;85,85が固定され、これらのナットプレート84,84;85,85に、ヒンジフレーム81,81のボルト孔を貫通したボルト70を締結することにより、荷受台1の前側の左右コーナー部1c,1cに、対をなす左右のヒンジ具80,80がそれぞれ固定される。左右ヒンジ具80,80の前面は、表板40及び裏板50の各第1延出部41,51の左右両端部に、ボルト70およびナットプレート84とで共締めされる。
【0051】
図7に示すように、左右のヒンジ具80,80の補強部82,82は、互いに向かい合う方向に延びて、荷受台1の裏板50を支持しており、その支持スパンlが短くなることにより、荷物を支持したときの荷受台1の撓みを小さくすることができる。
【0052】
荷受台1は、左右のヒンジ具80,80を介してスライダ14,14のブラケット18,18に回動可能に軸支19,19される。
【0053】
図6,
図7に示すように、左右のヒンジ具80,80にそれぞれ設けたヒンジ孔87,87には、ブラケット18,18に固定したヒンジピン88,88が回動自在に嵌合され、荷受台1はヒンジピン88,88周りに起伏回動可能である。一方(
図6、右側)のヒンジピン88に形成した中空角筒部には、荷受台1を左右方向に延びるトーションバー89の一端(
図6、右端)の角軸部89sがヒンジ孔87を貫通して嵌着され、トーションバー89の一端は、一方のブラケット18に固定されている。
【0054】
また、トーションバー89の他端(
図6、左端)の角軸部89sは、荷受台1に固定されるトーションバーブラケットBtを介して相対回転不能に連結、支持されており、そのトーションバーブラケットBtは、荷受台1の回動軸線に沿う方向(即ち左右方向)で荷受台中央部から一方側(左側)にオフセット配置される。
【0055】
而して、
図3に示すように、荷受台1が略鉛直の格納位置にあるときにトーションバー89は自由状態またはそれに近い僅かな捩り状態にあり、また荷受台1が格納位置から張出位置に軸支19,19周りに回動すれば、トーションバー89は捩じられて捩り力が畜勢される。これにより、荷受台1の、手動による張出位置から格納位置への起立回動を、トーションバー89の捩り力の戻りにより助勢することができ、荷受台1の起立格納操作が軽快、容易になる。そして、トーションバー89が付勢手段を、またトーションバーブラケットBtが結合部材をそれぞれ構成する。
【0056】
また本実施形態では、トーションバーブラケットBtが表板40及び裏板50の何れにも締結されていて、トーションバーブラケットBtと対応する位置では表板40及び裏板50の相互間がトーションバーブラケットBtを介して結合される構造となっている。従って、荷受台1が特に張出位置にある時にトーションバー89から荷受台1へ少なからず作用する捩じり反力、即ち弾発付勢力が、トーションバーブラケットBtを介して表板40と裏板50とに分散して受け止められるため、表板40及び裏板50の一方側(例えば表板40)にトーションバー89の弾発付勢力が集中するのを回避できる。これにより、荷受台1の各部、特にトーションバー89との連結部周辺の荷重負担を効果的に軽減でき、耐久性向上が図られる。
【0057】
尚、裏板50の前端寄りの複数箇所には、点検口50xが形成されており、そのうちの1つの点検口50xは、トーションバーブラケットBtに対応する位置に在って、トーションバー89とトーションバーブラケットBtとの連結部及びその周辺の点検整備等のメンテナンス作業を容易に行えるようにしている。またこの点検口50xは、裏板50にビス201で着脱可能に固定される点検蓋200で平時は塞がれる。
【0058】
また、
図6,
図7に示すように、荷受台1の裏板50の4つのコーナー部の裏面には、ゴム材よりなる緩衝パッド61,61Lがそれぞれ固着される。これらの緩衝パッド61,61Lは、荷受台1が下降したとき、これを地面に緩衝的に着座可能としている。
【0059】
これら緩衝パッド61,61Lのうち特に荷受台1の先部側の左右一対の緩衝パッド61Lは、
図6,
図8~
図10に示すように接地面となる水平板部61aと、その水平板部61aの外端より鉛直に起立する起立板部61bとを一体に成形してL字状に構成される。そして、その各々の緩衝パッド61Lの水平板部61a及び起立板部61bは、それらに各々複数ずつ設けたボルト孔61ah,61bhに各々挿通されるパッド用ボルト90及びナット91により、裏板50の先部側の底部及び左右側板57,58にそれぞれ締結される。
【0060】
この場合、特に緩衝パッド61Lの水平板部61aと裏板50の先部との間には、
図8~
図10で明らかなように、表板40の第2延出部42(傾斜部)の先端部42aを補強するための傾斜部補強板Stの基板部Stmが挟持される。その基板部Stmは、これを貫通するパッド用ボルト90及びナット91により、緩衝パッド61Lの水平板部61aと共に裏板50の先部に締結される。
【0061】
また傾斜部補強板Stは、上記基板部Stmと、基板部Stmの先端に一体に連なる先端傾斜部Stkとを備えており、その先端傾斜部Stkは、第2延出部42(傾斜部)の先端部42a下面に当接するよう先端に向かって下側に傾斜している。而して、先端傾斜部Stkは、これが第2延出部42(傾斜部)の先端部42aの下面に重なり合うことで上記先端部42aを効果的に補強可能となる。
【0062】
更にその補強効果を高めるために、本実施形態では相互に重なり合う先端傾斜部Stkと第2延出部42(傾斜部)の先端部42aとの間が、その両者を貫通するボルト70及びナット72により結合される。尚、本実施形態では、傾斜部補強板Stの先端傾斜部Stkと上記先端部42aとの相互間を、ボルト・ナット以外の結合手段(例えば溶接、接着、カシメ等)で結合してもよい。或いはまた、上記先端傾斜部Stkと上記先端部42aとの相互間を固定しないで、単に重なり合せるだけの構造も実施可能である、この場合でも、傾斜部補強板Stによる上記先端部42aに対する一定の補強効果は得られる。
【0063】
前記ボルト孔61ah,61bhは、本実施形態では水平板部61a及び起立板部61bの外面及び内面にそれぞれ開口する大径孔部及び小径孔部から成る段付き孔に各々形成されており、その大径孔部の内底面(ボルト孔の中間段部)にパッド用ボルト90の頭部が係合する。尚、その大径孔部の内底面(前記段部)を補強するために、緩衝パッド61Lにワッシャを一体に埋設(即ちインサート成形)するようにしてもよい。また前記パッド用ナット91は、裏板50の先部及び左右側板57,58に溶接又はカシメにより固着される。
【0064】
また
図11には、傾斜部補強板Stの変形例が示される。
図10に示す実施形態では、傾斜部補強板Stの基板部Stmを緩衝パッド61Lの水平板部61aと裏板50の先部との間に挟持、固定したが、
図11(A)に示す第1変形例では、傾斜部補強板St′が表板40の先部下面に重なり合わされ且つボルト70及びナット71により結合されている。
【0065】
即ち、第1変形例の傾斜部補強板St′は、前記実施形態と同様、水平な基板部Stmと、基板部Stmの先端に一体に連なる先端傾斜部Stkとを備える。その先端傾斜部Stkは、表板40の第2延出部42(傾斜部)の下面全面に重ね合わされ、且つその第2延出部42(傾斜部)と、裏板50の折り返された第2延出部52(立ち上がり部)との間で、それらを貫通するボルト70及びナット71(実施形態はウエルドナット)により挟持、固定される。また第1変形例の傾斜部補強板St′は、これの基板部Stmが表板40の水平な先部下面に重ね合わされ、且つそれらを貫通するボルト70及びナット71(実施形態はカシメナット)により表板40の水平先部に結合される。
【0066】
而して、第1変形例によれば、前記実施形態と基本的に同様の作用効果が期待でき、更に裏板50先端の折り返された第2延出部52(立ち上がり部)を表板40の第2延出部42(傾斜部)の、特に先端部42aから離れた部位にボルト結合して表板40より取外し可能な構造としながら、傾斜部補強板St′で第2延出部42(傾斜部)を、これの先端部42aも含めて広範囲に亘り(即ち第2延出部42(傾斜部)の略全域に亘り)補強できるため、第2延出部42(傾斜部)の変形抑制に更に効果的である。
【0067】
尚、第1変形例では、表板40の第2延出部42(傾斜部)の先端部42aと、これに対応する傾斜部補強板St′の先端傾斜部Stkの先端部Stkaとは、単に重ね合わされるだけで固着されていないが、その両先端部42a,Stkaの相互間を、
図10に示す前記実施形態のようにボルト70及びナット71で結合したり、或いは他の結合手段(例えば溶接、接着、カシメ等)で固着、結合してもよい。
【0068】
また
図11(B)に示す第2変形例が示される。前記した実施形態及び第1変形例では、傾斜部補強板St,St′が表板40及び裏板50と別部品であったが、第2変形例では、傾斜部補強板St″が裏板40と一体に形成される。より具体的に言えば、裏板50の先端部が、荷受台1の張出姿勢で表板40の先端に向かって下側に傾斜するよう折曲されていて、その折曲部52′が傾斜部補強板St″の少なくとも一部(先端傾斜部Stk)を構成している。
【0069】
而して、第2変形例の傾斜部補強板St″も、前記実施形態及び第1変形例の傾斜部補強板St,St′と同様、水平な基板部Stmと、基板部Stmの先端に一体に連なる先端傾斜部Stkとを備えるが、その基板部Stmは、裏板50の水平先部に継ぎ目無く一体に連続しており、この基板部Stm及び裏板50の水平先部の下面に、緩衝パッド61Lが重ね合わされてボルト90及びナット91により結合される。また裏板50の上記折曲部52′は、傾斜部補強板St″の先端傾斜部Stkとして機能するものであって、表板40の第2延出部42(傾斜部)の先端部42a下面に重ね合わされてボルト70及びナット71により結合される。尚、その先端部42aと折曲部52′(傾斜部補強板St″の先端傾斜部Stk)との相互間は、ボルト・ナット以外の結合手段(例えば溶接、接着、カシメ等)で結合してもよい。
【0070】
而して、第2変形例では、前記実施形態と基本的に同様の作用効果が期待でき、更に傾斜部補強板St″が裏板40と一体に形成、即ち単一部品化されるため、部品点数の削減が図られる上、傾斜部補強板St″固定用の固定手段が省略可能となり、コスト節減と組立作業性の向上が図られる。
【0071】
図7~
図10,
図13に示すように、荷受台1には、これが格納位置に起立したとき、その荷受台1を格納位置にロックするためのロック機構100が設けられる。
図8に示すように、中央の横スチフナSw
3 は、上下の横スチフナSw
1 ,Sw
2 に比べて高さ(前後方向の寸法)が短く形成されている。前記ロック機構100は、前記一対の支持部54,54間において、その中央の横スチフナSw
3 に対応した荷受台1の中空部Cに設けられる。
【0072】
中央の横スチフナSw3 の左側端部において裏板50の外面には、ロック機構100の取付板としての矩形状のゲートロック板101の四隅が第4ボルトb4及びナットn4で着脱可能に締結され、このゲートロック板101には、ロック機構100の操作部としての操作レバー102が裏板50の外方側から回動操作可能として軸支される。前記中空部Cにおいて裏板50の内側には、操作レバー102と共に回動する回動板103が配置されており、この回動板103と操作レバー102間を一体的に連結するレバー枢軸102jが、裏板50に形成した開口50aを貫通する。
【0073】
その回動板103の両側に枢支される一対のリンク104,104の長孔105,105に、左右ロッド106,107が連接されている。左右ロッド106,107は、荷受台1を左右方向に延びて荷受台1の左右側部に摺動自在に支持されており、それらの先端部が、昇降支柱2,2に設けたロックブラケット108,108に穿設した係止孔108h,108hに抜差自在に嵌入、係止できるように構成されている。
【0074】
図7に示すように、荷受台1を昇降支柱1,2間に起立格納したのち、操作レバー102を、
図7、図示位置に回動すれば、左右ロッド106,107は、回動板103、リンク104,104を介してそれぞれ外方に摺動し、それらの先端部がロックブラケット108,108の係止孔108h,108hにそれぞれ嵌入して、荷受台1を格納位置にロックすることができる。また、操作レバー102を
図7矢印方向に回動すれば、そのロックが解除される。
【0075】
なお、前記ロック機構100は、従来公知のものであるので、その詳細な説明を省略する。
【0076】
図6,7,13に示すように、荷受台1の中央の横スチフナSw
3 内方の前記中空部Cには、表板40を補強しながら表板40と裏板50間の間隔を一定に保持する第1及び第2補強部材210,220が配設される。そのうち第1補強部材210は、
図13,14から明らかなように、相対向する一対の側壁210a,210bの基端間をそれらと直交する中間壁210cで一体に結合してなる断面コ字状の枠体より構成される。そして、その一側壁210aは、表板40の内面に重合して第5ボルトb5及びナットn5で表板40に締結され、また他側壁210bは、ロック機構100の取付板としての前記ゲートロック板101の四隅の一つを裏板50に締結する第4ボルトb4及びナットn4で、裏板50に共締めされる。尚、複数の第4ナットn4のうち3個は裏板50に、また残り1個は第1補強部材210の側壁210bにそれぞれ溶接又はカシメにより固着され、また第5ナットn5は表板40に溶接又はカシメにより固着される。
【0077】
また第2補強部材220は、
図13,15から明らかなように、前記中空部Cを縦通するよう長く延びる断面コ字状の枠体より構成され、相対向する一対の側壁220a,220bと、それら側壁220a,220bの基端間をそれらと直交するよう接続する中間壁220cと、両側壁220a,220b及び中間壁220cの三者間に跨がる補強壁220dとを一体に結合して構成される。そして一対の側壁220a,220bのうち比較的幅の狭い一方の側壁220aのみが、表板40の内面に重合して第6ボルトb6及びナットn6で表板40に締結され、また比較的幅広の他方の側壁220bは、裏板50の内面に重合するよう当接している。尚、第6ナットn6は、第2補強部材220の側壁220aに溶接又はカシメにより固着される。また前記補強壁220dは省略してもよい。
【0078】
而して本実施形態では、表板40と裏板50との対向面間に形成される中空部Cに、表板40に各々締結されて該対向面間に介在する第1,第2補強部材210,220が配設されるので、それら補強部材210,220により表板40を効果的に補強できる。また特に第1補強部材210は、表板40及び裏板50にそれぞれ締結されているため、表板40を補強しながら表板40と裏板50間の間隔を一定に保持することができ、これにより、表板40の荷物積載時の変形を効果的に防止できて、その変形に起因した積載荷物の崩れや、その崩れた荷物で作業者が怪我をするのを未然に効果的に回避できる。
【0079】
また、裏板50には、荷受台1を格納位置に係止させるためのロック機構100の取付板としてのゲートロック板101が複数の結合手段(第4ボルトb4及びナットn4)で締結されているが、本実施形態では、その結合手段の一部を、第1補強部材210の裏板50への結合手段に兼用されているので、それだけ構造簡素化が図られ、コスト節減に寄与することができる。
【0080】
尚、本実施形態では、クッション体60は、圧縮されて表板40と裏板50との間に挟着されるものを示したが、荷受台1の自由状態で、表板40とクッション体60との間に間隙が形成されてもよい。この場合は、荷受台1上に荷物を載置したとき、表板40が撓み、荷物Gの荷重をクッション体60を介して支持部54,54で受ける。尚また、クッション体がなく、荷物Gの荷重を支持部54,54で直接受けるようにしてもよい。
【0081】
而して、本発明に係る荷受台1は、上面が荷受面1aとなる表板40と、この表板40の裏面に重ね合わせ連結される裏板50とを備え、裏板50には、複数のスチフナSl1 ,Sl2 ;,Sw1 ,Sw2 ,Sw3 が一体にプレス成形されるので、表板40の裏面を単に重ね合わせることで、荷受台1の強度を高めることができると共にその軽量化を可能とし、また、その組立を容易にすると共に部品点数の削減によるコストダウンを達成することができる。しかも縦スチフナSl1 ,Sl2 と横スチフナSw1 ,Sw2 ,Sw3 の交差部は、湾曲面54bにより滑らかに連結されているので、荷受台1に荷重が集中することがなく、荷受台1の損傷、破損を防止することができる。
【0082】
また本実施形態の裏板50には、表板40の裏面に向けて膨出し、複数のスチフナSl1 ,Sl2 ;Sw1 ,Sw2 ,Sw3 を形成するための複数の支持部54,54が一体にプレス成形され、支持部54,54の上面には、表板40を支持する支持面が形成されるので、表板40の受ける荷重を裏板50で直接支持することができ、表板40と裏板50とで荷受台1の強度を高めることができる。しかも支持部54,54の支持面上にクッション体60が設けられ、そのクッション体60を介して支持面上に表板40が支持されるので、クッション体60により、荷受台1の騒音を防止できる上に振動を吸収して荷受台の揺れを防止することができる。
【0083】
表板40と裏板50のコーナー部1c,1cには、それらを一体に連結するヒンジ具80が設けられので、ヒンジ具80は、表板40と裏板50とを強固に支持して、荷受台1の強度を一層高めることができる。しかもヒンジ具80は、ヒンジ部81とこれを補強する補強部82を有するので、荷受台1のコーナー部を保護しかつその強度を一層高めることができる。
【0084】
また以上説明した実施形態及び各変形例によれば、表板40の先端部に、先端に向かって下側に傾斜した第2延出部42(傾斜部)が形成される荷受台1において、第2延出部42(傾斜部)の下面には、その第2延出部42(傾斜部)の少なくとも先端部42aを補強する傾斜部補強板St,St′,St″が固定されるので、この傾斜部補強板St,St′,St″で第2延出部42(傾斜部)、特に先端部42aを下面側より補強でき、これにより、先端部42aが外力、例えばプラットフォームとの接触圧を受けて変形するのを効果的に抑制可能となる。また傾斜部補強板St,St′,St″を特設しても、表板40の第2延出部42(傾斜部)の上面側のスロープ形態は維持されるため、第2延出部42(傾斜部)の本来的な荷物案内機能は確保できて荷物のスムーズな積み降ろしが可能となる。
【0085】
また実施形態及び各変形例の傾斜部補強板St,St′,St″は、第2延出部42(傾斜部)の長手方向、即ち車両左右方向の両端部に配置されているので、荷受台1を張出姿勢でプラットフォームPと接近させる場合に、第2延出部42(傾斜部)の先端部42aがこれの長手方向一端側でプラットフォームと片当たりしても、その先端部42aの変形、損傷を効果的に抑制可能となる。
【0086】
尚、傾斜部補強板St,St′,St″は、これが第2延出部42(傾斜部)の長手方向の両端部以外の部位(例えば長手方向中央部、或いは長手方向全域又は大部分の領域)に配設されて、それら部位を補強するようにしてもよい。
【0087】
また特に実施形態(
図10参照)では、表板40の裏側に固定されてスチフナSl
1 ,Sl
2 ,Sw
1 ~Sw
3 を一体に形成した裏板50と、傾斜部補強板Stの下面に重ね合わされる緩衝パッド61Lとを備え、しかも緩衝パッド61Lは、傾斜部補強板Stと共に裏板50にボルト止め、即ち共締めされる。これにより、緩衝パッド61Lを裏板50に固定するボルト90・ナット91を、傾斜部補強板Stの固定手段に兼用できるため、それだけ構造簡素化、延いてはコスト節減が図られる。
【0088】
尚、実施形態(
図10参照)の更に別の変形例として、傾斜部補強板Stを、緩衝パッド61Lを裏板50に結合する緩衝パッド用ボルト90・ナット91とは別のボルト・ナットで裏板50に結合してもよいし、或いはボルト・ナット以外の結合手段(例えば接着、カシメ、溶接等)で裏板50に結合してもよい。
【0089】
また実施形態(
図10参照)及び第1変形例(
図11の(A)参照)によれば、互いに結合されて荷受台1を構成する表板40及び裏板50にスチフナSl
1 ,Sl
2 ,Sw
1 ~Sw
3 が一体に形成されるが、裏板50は、荷受台1の張出姿勢で表板40の先端から遠ざかる方向に向かって上側に傾斜した折返しフランジ状の第2延出部52(立ち上がり部)を先端部に有していて、この立ち上がり部52が、実施形態の如く表板40の第2延出部42(傾斜部)下面に直接重なり合わされ、或いは第1変形例の如く第2延出部42(傾斜部)との間で傾斜部補強板St′を挟んだ状態でボルト止めされる。これにより、裏板50先端の立ち上がり部52を表板40の第2延出部42(傾斜部)、特に先端部42aよりやや離れた部位にボルト結合して表板40より取外し可能な構造としながら、その先端部42aを傾斜部補強板St,St′で補強でき、その先端部42aの変形を効果的に抑制可能である。
【0090】
また第2変形例(
図11の(B)参照)によれば、互いに結合されて荷受台1を構成する表板40及び裏板50にスチフナSl
1 ,Sl
2 ,Sw
1 ~Sw
3 が一体に形成されるが、特に裏板50の先端部が、荷受台1の張出姿勢で表板40の先端に向かって下側に傾斜するよう折曲され、且つその折曲部52′が、表板40の第2延出部42(傾斜部)の先端部42aに重合、固定されて傾斜部補強板St″の少なくとも一部(傾斜先端部Stk)を構成している。これにより、スチフナSl
1 ,Sl
2 ,Sw
1 ~Sw
3 を形成する裏板50の先端の折曲部52′を傾斜部補強板St″に兼用でき、それだけ構造簡素化、延いてはコスト節減に寄与することができる。
【0091】
ところで前述の第1変形例(
図11の(A)参照)では、裏板50先端の折返しフランジ状の第2延出部52(立ち上がり部)が、表板40の第2延出部42との間で傾斜部補強板St′を挟んだ状態で固定(ボルト止め)されるが、この第1変形例で傾斜部補強板St′が省略された従来構造(特許文献1の
図8参照)では、表板40の第2延出部42(傾斜部)が、これと裏板50先端の立ち上がり部52との間のボルト結合位置より先端方向に比較的長く延出してしまい、その先端(即ち第2延出部42の自由端)が外力で変形し易くなる。これに対し、第1変形例では、第2延出部42(傾斜部)の先端部42a下面に重なり合う傾斜部補強板St′により先端部42aが効果的に補強される。
【0092】
また第2変形例(
図11の(B)を参照)では、裏板50先端部の折返しフランジ状の第2延出部52(立ち上がり部)に代えて、裏板50先端部に先方に向かって下側に傾斜した折曲部52′(即ち傾斜部補強板St″の先端傾斜部Stk)を設けて、これを第2延出部42(傾斜部)の先端部42a下面に重ね且つボルト70・ナット71で結合している。これにより、その先端部42aに対する補強効果が期待できて、上記した従来構造の不利点が解消される反面、ボルト70・ナット71が地面に近くて地面と衝突する虞れがあるため、その衝突でボルト70・ナット71又は地面が損傷したり、ボルト70が緩んだりする懸念がある。これを踏まえて、上記した折曲部52′と先端部42aとの相互間を、ボルト70・ナット71以外の結合手段、例えば溶接、接着、カシメ等で結合すれば、ボルト70・ナット71のような下方への張出しが抑制され、上記懸念が解消又は軽減可能となる。
【0093】
以上、本発明の実施形態及びその変形例について説明したが、本発明はその実施形態及び変形例に限定されることなく、本発明の範囲内で種々の実施形態を実施可能である。
【0094】
たとえば、実施形態及び各変形例では、本発明に係る荷受台1を、荷役車両に設けた昇降支柱2に沿って垂直に昇降できるようにした垂直昇降式の荷受台昇降機構Lに連動連結した場合を説明したが、荷受台に対し平行リンク機構を用いたアーム式の荷受台昇降機構、或いは荷役車両の床下に格納できるようにした床下格納式の荷受台昇降機構に、本発明の荷受台を連動連結してもよい。尚、アーム式の昇降装置を用いた場合には、平行リンク機構の一部を構成して昇降作動するリンク部材、或いはこのリンク部材に一体的に昇降し得る他の部材を荷受台支持部とすることができる。
【0095】
また実施形態及び各変形例では、荷受台接地時の緩衝のために、裏板50の四隅底部に緩衝パッド61,61Lを付設したものを示したが、これら緩衝パッド61,61Lは省略可能である。
【0096】
また実施形態及び各変形例では、付勢手段としてトーションバー89を用いたものを示したが、付勢手段としては、荷受台1を回動付勢し得る付勢手段であれば実施形態に限定されず、例えば、トーションバーに代えて捩じりコイルばねを用いてもよく、或いはまたアクチュエータを用いて荷受台1を回動させてもよい。
【0097】
また実施形態及び各変形例では、荷受台1を昇降させる荷受台昇降機構Lを荷役車両に搭載の荷箱Vに設けたものを示したが、荷役車両の車体枠Fや荷箱V以外の車載固定物に荷受台昇降機構を設けるようにしてもよい。或いはまた、荷受台を、荷役車両以外の車両や、車両以外の荷物移送装置の荷受台に設けてもよい。
【0098】
本発明において、荷受台1に設けられる複数のスチフナの数、その形状、取付角度は、前記実施形態及び各変形例に限定されない。例えば、実施形態及び各変形例では、互いに結合されて荷受台1を構成する表板40及び裏板50にスチフナSl1 ,Sl2 ,Sw1 ~Sw3 が一体に形成される荷受台構造を示したが、表板40の下面に、表板40や裏板50とは別部品として製作され且つスチフナとして機能する補強枠(スチフナ形成用剛体枠)を後付けで固定(例えば溶接、ボルト止め、カシメ固定、接着等)してもよい。その場合は、スチフナとして機能する補強枠の下面に緩衝パッド61L、61を固定(例えばボルト止め、カシメ固定、接着等)するようにしてもよい。
【0099】
また実施形態及び各変形例において、表板40及び裏板50相互の結合手段、並びに傾斜部補強板St,St′,St″と、表板40又は裏板50との相互の結合手段は、前記したようにボルト・ナットを用いる他、ボルト・ナット以外の結合手段(例えば溶接、接着、カシメ等)を用いてもよい。また上記結合手段として特にボルト・ナットを用いる場合でも、ナットの、表板40又は裏板50への固定手段は、溶接、カシメの何れであってもよい。
【符号の説明】
【0100】
1・・・・・荷受台
1a・・・・荷受面
40・・・・表板
42・・・・表板の傾斜部としての第2延出部
42a・・・第2延出部(傾斜部)の先端部
50・・・・裏板
52・・・・裏板の立ち上がり部としての第2延出部
52′・・・傾斜部補強板を兼ねる、裏板先端の折曲部
P・・・・・プラットフォーム
St・・・・実施形態の傾斜部補強板
St′,St″・・第1,第2変形例の傾斜部補強板
Sl1 ・・・スチフナ(左縦スチフナ)
Sl2 ・・・スチフナ(右縦スチフナ)
Sw1 ・・・スチフナ(上スチフナ)
Sw2 ・・・スチフナ(下スチフナ)
Sw3 ・・・スチフナ(中央スチフナ)
V・・・・・荷箱