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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022057662
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】ポリエーテル重合体架橋物
(51)【国際特許分類】
   C08G 65/04 20060101AFI20220404BHJP
   C08G 65/32 20060101ALI20220404BHJP
   G03G 15/08 20060101ALI20220404BHJP
   G03G 15/16 20060101ALI20220404BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
C08G65/04
C08G65/32
G03G15/08 235
G03G15/16 103
G03G15/08 221
G03G15/00 551
G03G15/00 552
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020166040
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000108993
【氏名又は名称】株式会社大阪ソーダ
(72)【発明者】
【氏名】矢嶋 尚也
(72)【発明者】
【氏名】大北 祐也
【テーマコード(参考)】
2H077
2H171
2H200
4J005
【Fターム(参考)】
2H077AC04
2H077AD06
2H077FA22
2H077FA25
2H077GA03
2H171FA30
2H171GA25
2H171UA06
2H171UA10
2H171UA23
2H171XA02
2H200FA02
2H200HB12
2H200HB45
2H200HB46
2H200JA25
2H200JA26
2H200JB10
2H200MA03
2H200MA11
2H200MA20
2H200MB02
2H200MB06
4J005AA04
4J005AA05
4J005AA10
4J005BD00
(57)【要約】
【課題】コピー機、プリンター等に使用される電子写真用プロセスの現像、帯電、転写などの半導電ゴムロールおよび半導電性無端ベルトに用いられるゴム材料であって、通電耐久性に優れたゴム架橋物を提供する。
【解決手段】融解ピーク温度が40~150℃であり、20~150℃における示差走査熱量測定における融解エンタルピー変化(ΔH)が4J/g以上であるポリエーテル重合体架橋物を用いる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
融解ピーク温度が40~150℃であり、20~150℃における示差走査熱量測定における融解エンタルピー変化(ΔH)が4J/g以上であるポリエーテル重合体架橋物。
【請求項2】
ポリエーテル系重合体がエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エピクロルヒドリン、アリルグリシジルエーテルから選択される化合物に由来する構成単位を少なくとも1つ以上含む請求項1に記載のポリエーテル重合体架橋物。
【請求項3】
定伸長引張永久ひずみ(伸び100%、試験時間24時間)が30%以内である請求項1又は2に記載のポリエーテル重合体架橋物。
【請求項4】
請求項1~3いずれかに記載のポリエーテル重合体架橋物を使用した電子写真機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導電性ゴム材料に用いられるポリエーテル重合体の架橋物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエーテル重合体はコピー機、プリンター等に使用される電子写真用プロセスの現像、帯電、転写などの半導電ゴムロールおよび半導電性無端ベルト等に用いられている。
【0003】
電子写真機器等の画像形成装置において、感光体や誘電体等の被帯電体面を帯電処理する手段として、近年では直接接触帯電方式が採用されている。直接接触帯電方式においては、電圧を印加した帯電部材を被帯電体面に直接接触させて被帯電体面を帯電処理する。帯電部材としては、一般的には金属製等の心棒の軸上に半導電性の弾性体層が形成されたローラー等が使用される。近年、接触型帯電方式に用いられる帯電ロール、転写ロール、現像ロールにおいて、高画質化や高速化等の要求から、基材部分であるゴム材料の更なる物性向上が求められている。
【0004】
半導電性の弾性体層には従来、導電性を有する添加物が配合され、半導電化された電子導電系の半導電性組成物、ゴム架橋体を使用する方法が知られている。
【0005】
しかし、こうして得られたゴム材料の電気抵抗は、導電性を有する添加物の添加量や分散状態によって 大きく左右される。例えば、ゴム成分にカーボンブラックを添加した場合は、わずかな添加量の差異や、カーボンブラックの分散不良等により、電気抵抗が著しく変化する問題や、得られるゴム材料が剛直になるといった問題がある。また、ゴム成分にイオン導電剤を添加する方法も公知であるが、添加によるゴム物性の低下、ゴム材料からのブリードによる表面汚染が生じやすい等の本質的な欠点がある。
【0006】
従って、電子写真機器等に用いられる材料においては、添加物等の改良だけでは十分ではなく、添加物等の配合に関する研究に加えて、ポリマー自身の改良が求められている。
【0007】
通電耐久性を向上させる方法として特許第6224975号は、イオン導電材と表面処理炭酸カルシウムを含む導電材料が提案されている。同提案には、イオン導電材のアニオン種および炭素数と表面処理炭酸カルシウムの脂肪酸の炭素数を調整することで通電耐久性が良好になると提案されている。
【0008】
しかし、ポリマー中にイオン導電材を用いる場合、イオン導電材のブリードに伴い、感光体を汚染する可能性があるため、ブリードアウトの懸念が拭いきれていない。
【0009】
特許第4187754号には、融解エンタルピー変化が40~70mJ/mgであるエチレンオキサイド-プロピレンオキサイド-アリルグリシジルエーテル3元共重合体を添加することで通電耐久性に優れる材料の提案がなされているが、融解ピーク温度が20~30℃であり、電子写真使用環境の温度範囲と結晶の融解ピーク温度が重なる。つまり、結晶融解によるポリマー運動性の急激な変化が、抵抗値の変動へもたらす影響を無視できず、本質的な改善には至っていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第6224975号
【特許文献2】特許第4187754号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の課題は、コピー機、プリンター等に使用される電子写真用プロセスの現像、帯電、転写などの半導電ゴムロールおよび半導電性無端ベルトに用いられるゴム材料であって、通電耐久性に優れたゴム架橋物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記課題について鋭意研究の結果、融解ピーク温度が40~150℃であり、20~150℃における示差走査熱量測定における融解エンタルピー変化(ΔH)が4J/g以上であるポリエーテル重合体架橋物を用いることで、上記の課題を解決できることを見出した。
【0013】
本発明は、以下のように記載することもできる。
項1 融解ピーク温度が40~150℃であり、20~150℃における示差走査熱量測定における融解エンタルピー変化(ΔH)が4J/g以上であるポリエーテル重合体架橋物。
項2 ポリエーテル系重合体がエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エピクロルヒドリン、アリルグリシジルエーテルから選択される化合物に由来する構成単位を少なくとも1つ以上含む項1に記載のポリエーテル重合体架橋物。
項3 定伸長引張永久ひずみ(伸び100%、試験時間24時間)が30%以内である項1又は2に記載のポリエーテル重合体架橋物。
項4 項1~3いずれかに記載のポリエーテル重合体架橋物を使用した電子写真機器。
【発明の効果】
【0014】
本発明のポリエーテル重合体架橋物はこれまで帯電ロール、現像ロール、転写ロール等に使用されてきた半導電性ゴム材料と同様に半導電性を有するだけでなく、材料の長寿命化につながり、コピー機、プリンター等の半導電性ゴムロールおよびベルト等の電子写真機器用ゴム材料に非常に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明について詳細に説明する。
【0016】
本発明のポリエーテル重合体架橋物は、ポリエーテル重合体を架橋して得られ、融解ピーク温度が40~150℃であり、20~150℃における示差走査熱量測定における融解エンタルピー変化(ΔH)が4J/g以上である架橋物である。
【0017】
ポリエーテル重合体架橋物は、融解ピーク温度が40~150℃であり、融解ピーク温度が50~150℃であることが好ましく、融解ピーク温度が60~130℃であることがより好ましい。融解ピーク温度は、示差走査熱量測定(DSC)により測定され、融解曲線からブランクラインを引いた曲線において、最も吸熱量が多い温度である。
【0018】
ポリエーテル重合体架橋物は、20~150℃における示差走査熱量測定における融解エンタルピー変化(ΔH)が4J/g以上であり、5J/g以上であることが好ましく、5.5J/g以上であることが特に好ましく、上限は50J/g以下であることが好ましく。40J/g以下であることが好ましく、30J/g以下であることがより好ましく、15J/g以下であることが更に好ましく、12J/g以下であることが特に好ましい。
【0019】
本発明のポリエーテル重合体架橋物の定伸長引張永久ひずみは、30%以下であることが好ましく、25%以下であることがより好ましく、20%以下であることがより好ましく、15%以下であることが特に好ましい。伸長引張永久ひずみはJIS K6273に従い測定し、100%伸長させたのち23℃50%RHの環境で24時間静置した条件で行う。
【0020】
ポリエーテル重合体の架橋物は、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、n-ブチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイド類、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、n-グリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテルなどのグリシジル類、エピクロロヒドリン、エピブロムヒドリンなどのエピハロヒドリン類、スチレンオキサイドなどから選択される化合物を重合させて得られる重合体を架橋して得られることが好ましく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エピクロロヒドリン、アリルグリシジルエーテルから選択される化合物を重合させて得られる重合体を架橋して得られることがより好ましい。
【0021】
ポリエーテル重合体は、エチレンオキサイドに基づく構成単位を45mol%以上有することが好ましく、50mol%以上有することがより好ましく、55mol%以上有することが特に好ましく、90mol%以下有することが好ましく、85mol%以下有することがより好ましく、80mol%以下有することが特に好ましい。
【0022】
ポリエーテル重合体は、エピクロロヒドリンに基づく構成単位を9mol%以上有することが好ましく、12mol%以上有することがより好ましく、14mol%以上有することが特に好ましく、49mol%以下有することが好ましく、43mol%以下有することがより好ましく、40mol%以下有することが特に好ましい。
【0023】
ポリエーテル重合体は、エチレンオキサイドに基づく構成単位とエピクロロヒドリンに基づく構成単位の合計が、90mol%以上有することが好ましく、93mol%以上有することがより好ましく、97mol%以上有することが特に好ましい。
【0024】
ポリエーテル重合体は、プロピレンオキサイド、アリルグリシジルエーテルに基づく構成単位を1mol%以上有していてもよく、2mol%以上有していてもよく、3mol%以上有していてもよく、15mol%以下有していてもよく、10mol%以下有していてもよく、7mol%以下有していてもよい。
【0025】
本発明のポリエーテル重合体においては、用いられる重合体の重量平均分子量は特に限定されないが、重量平均分子量の下限は20万以上であることが好ましく、30万以上であることがより好ましく、重量平均分子量の上限は300万以下であることが好ましく、200万以下であることがより好ましい。ポリエーテル重合体の重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)、示差屈折計(RI検出器)を用いて測定し、溶剤としてテトラヒドロフラン(THF)を使用し、ポリスチレン換算により測定する。
【0026】
本発明のポリエーテル重合体架橋物は、製造方法に特に限定されないが、ポリエーテル重合体を含有するポリエーテル重合体含有組成物を架橋反応させることにより得られ、ポリエーテル重合体としては、単独のポリエーテル重合体を用いてもよいが、結晶性の異なるポリエーテルをブレンドさせてもよい。
【0027】
ポリエーテル重合体の結晶性は、使用するモノマー種、重合条件による配向等により変更することができるが、モノマー種、配向性をランダムにすることにより、ポリエーテルの結晶性を低下させることができる。
【0028】
ポリエーテル重合体の結晶性を低下させるには、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、n-ブチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイド類、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、n-グリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテルなどのグリシジル類、エピクロロヒドリン、エピブロムヒドリンなどのエピハロヒドリン類、スチレンオキサイドなどから選択される化合物をランダムに共重合させることが好ましく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エピクロロヒドリン、アリルグリシジルエーテルから選択されるモノマー種をランダムに重合させることが好ましい。
【0029】
ポリエーテル重合体のランダム重合体は、エチレンオキサイドに基づく構成単位を45mol%以上有することが好ましく、50mol%以上有することがより好ましく、55mol%以上有することが特に好ましく、90mol%以下有することが好ましく、85mol%以下有することがより好ましく、80mol%以下有することが特に好ましい。
【0030】
ポリエーテル重合体のランダム重合体は、エピクロロヒドリンに基づく構成単位を9mol%以上有することが好ましく、12mol%以上有することがより好ましく、14mol%以上有することが特に好ましく、49mol%以下有することが好ましく、43mol%以下有することがより好ましく、40mol%以下有することが特に好ましい。
【0031】
ポリエーテル重合体のランダム重合体は、プロピレンオキサイド、アリルグリシジルエーテルに基づく構成単位を1mol%以上有していてもよく、2mol%以上有していてもよく、3mol%以上有していてもよく、15mol%以下有していてもよく、10mol%以下有していてもよく、7mol%以下有していてもよい。
【0032】
ポリエーテル重合体のランダム重合体の製造方法としては、オキシラン化合物を開環重合させ得るものを触媒として使用し、モノマーを重合させることによって製造できる。重合温度は、例えば、-20~100℃の範囲である。この重合は、溶液重合、スラリー重合のいずれでもよい。前記触媒としては、例えば、有機アルミニウムを主体としこれに水やリンのオキソ酸化合物やアセチルアセトン等を反応させた触媒系、有機亜鉛を主体としこれに水を反応させた触媒系、有機錫-リン酸エステル縮合物触媒系等が挙げられる。
【0033】
ポリエーテル重合体の結晶性は、重合させるモノマーの一つに基づく構成単位を過大に含有させることにより高まる傾向にあり、重合時に用いる触媒として特定の触媒を用いることにより、その傾向はより顕著となる。
【0034】
具体的には、ポリエーテル重合体において、重合させるモノマーの一つに基づく構成単位を95~100mol%であるが好ましく、97~100mol%であってもよく、99~100mol%であってもよく、100mol%であってもよい。
【0035】
重合させるモノマーは、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、n-ブチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイド類、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、n-グリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテルなどのグリシジル類、エピクロロヒドリン、エピブロムヒドリンなどのエピハロヒドリン類、スチレンオキサイドなどから選択される化合物であることが好ましく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エピクロロヒドリン、アリルグリシジルエーテルから選択される化合物であることがより好ましい。
【0036】
過大に含有させる構成単位としては、エチレンオキサイド、又はエピクロロヒドリンに基づく構成単位であることが好ましい。
【0037】
結晶性の高いポリエーテル重合体の製造方法としては、重合させるモノマーの一つに基づく構成単位を過大となるように、使用量を調整した上で、日本国特許第4923946号(特開2008-106104)の実施例の項で用いられた重合用触媒を用いて製造できる。重合温度は、例えば、-20~100℃の範囲である。この重合は、溶液重合、スラリー重合のいずれでもよい。
【0038】
本発明のポリエーテル重合体がエピクロロヒドリン、アルキレンオキサイド、アリルグリシジルエーテルをモノマー種とする場合の重合組成については、塩素含有量、ヨウ素価により求められる。
塩素含有量はJIS K7229に記載の方法に従い、電位差滴定法によって測定する。得られた塩素含有量からエピクロロヒドリンに基づく構成単位のモル分率を算出する。
ヨウ素価はJIS K6235に準じた方法で測定する。得られたヨウ素価からアリルグリシジルエーテルに基づく構成単位のモル分率を算出する。
アルキレンオキサイドに由来する構成単位のモル分率は、エピクロロヒドリンに基づく構成単位のモル分率、アリルグリシジルエーテルに基づく構成単位のモル分率より算出する。
【0039】
本発明のポリエーテル重合体架橋物を得るためにポリエーテル重合体含有組成物に用いられる架橋剤としては、塩素原子の反応性を利用する公知の架橋剤、側鎖二重結合の反応性を利用する公知の架橋剤を挙げることができる。塩素原子の反応性を利用する公知の架橋剤としては、ポリアミン系架橋剤、チオウレア系架橋剤、チアジアゾール系架橋剤、メルカプトトリアジン系架橋剤、ピラジン系架橋剤、キノキサリン系架橋剤、ビスフェノール系架橋剤を例示することができ、側鎖二重結合の反応性を利用する公知の架橋剤としては、硫黄系架橋剤、有機過酸化物系架橋剤を例示することができる。
【0040】
ポリアミン系架橋剤としては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ヘキサメチレンテトラミン、p-フェニレンジアミン、クメンジアミン、N,N,‘-ジシンナミリデン-1,6-ヘキサンジアミン、エチレンジアミンカーバメート、ヘキサンメチレンジアミンカーバメート等があげられる。
【0041】
チオウレア系架橋剤としては、エチレンチオウレア、1,3-ジエチルチオウレア、1,3-ジブチルチオウレア、トリメチルチオウレア等があげられる。
【0042】
チアジアゾール系架橋剤としては、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール、2-メルカプト-1,3,4-チアジアゾール-5-チオベンゾエート等があげられる。
【0043】
メルカプトトリアジン系架橋剤としては、2,4,6-トリメルカプト-1,3,5-トリアジン、2-ヘキシルアミノ4,6-ジメルカプトトリアジン、2-ジエチルアミノ-4,6-ジメルカプトトリアジン、2-シクロヘキシルアミノ-4,6ジメルカプトトリアジン、2-ジブチルアミノ-4,6-ジメルカプトトリアジン、2-アニリノ-4,6-ジメルカプトトリアジン、2-フェニルアミノ-4,6-ジメルカプトトリアジン等があげられる。
【0044】
ピラジン系架橋剤としては、2,3-ジメルカプトピラジン誘導体等があげられ、2,3-ジメルカプトピラジン誘導体を例示すると、ピラジン-2,3-ジチオカーボネート、5-メチル-2,3-ジメルカプトピラジン、5-エチルピラジン-2,3-ジチオカーボネート、5,6-ジメチル-2,3-ジメルカプトピラジン、5,6-ジメチルピラジン-2,3-ジチオカーボネート等があげられる。
【0045】
キノキサリン系架橋剤としては、2,3-ジメルカプトキノキサリン誘導体等があげられ、2,3-ジメルカプトキノキサリン誘導体を例示すると、キノキサリン-2,3-ジチオカーボネート、6-メチルキノキサリン-2,3-ジチオカーボネート、6-エチル-2,3-ジメルカプトキノキサリン、6-イオプロピルキノキサリン-2,3-ジチオカーボネート、5,8-ジメチルキノキサリン-2,3-ジチオカーボネート等があげられる。
【0046】
ビスフェノール系架橋剤としては、4,4-ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4‘-ジヒドロキシジフェニルスルホン(ビスフェノールS)、1,1-シクロヘキシリデン-ビス(4-ヒドロキシベンゼン)、2-クロロ-1,4-シクロヘキシレン-ビス(4-ヒドロキシベンゼン)、2,2-イソプロピリデン-ビス(4-ヒドロキシベンゼン)(ビスフェノールA)、ヘキサフルオロイソプロピリデン-ビス(4-ヒドロキシベンゼン)(ビスフェノールAF)、および2-フルオロ-1,4-フェニレン-ビス(4-ヒドロキシベンゼン)等があげられる。
【0047】
硫黄系架橋剤としては、硫黄、モルホリンジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、N,N‘-ジメチル-N,N’-ジフェニルチウラムジスルフィド、ジペンタンメチレンチウラムテトラスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、ジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィド等があげられる。
【0048】
有機過酸化物系架橋剤としては、tert-ブチルヒドロペルオキシド、1,1,3,3,-テトラメチルブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、tert-ブチルクミルペルオキシド、1,1-tert-ブチルペルオキシシクロヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジtert-ブチルペルオキシヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジtertジブチルペルオキシヘキシン-3、1,3-ビスtert-ブチルペルオキシイソプロピルベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジベンゾイルペルオキシヘキサン、1,1-ビスtert-ブチルペルオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビスtert-ブチルペルオキシバレレート、ベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルペルオキシドイソブチレート、tert-ブチルペルオキシ2-エチルヘキサノエート、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、tert-ブチルペルオキシイソプロピルカルボナート、tert-ブチルペルオキシアリルモノカルボナート、p-メチルベンゾイルペルオキシドがあげられる。
【0049】
架橋剤の配合量は、ポリエーテル重合体100質量部に対して0.1~20質量部であることが好ましく、0.2~10質量部であることがより好ましく、0.3~5質量部であることが特に好ましい。
【0050】
架橋促進剤
また、架橋剤と共に用いられる公知の促進剤(即ち、架橋促進剤)を本発明のポリエーテル重合体含有組成物に、そのまま用いることができる。
【0051】
前記架橋促進剤の例としては、チウラム系架橋促進剤、チアゾール系架橋促進剤、モルホリンスルフィド系架橋促進剤、スルフェンアミド系架橋促進剤、グアニジン系架橋促進剤、チオウレア系架橋促進剤、アルデヒド-アンモニア系架橋促進剤、ジチオカルバミン酸塩系架橋促進剤、キサントゲン酸塩系架橋促進剤、脂肪酸アルカリ金属塩系架橋促進剤、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7(以下DBUと略)塩系架橋促進剤、1,5-ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン-5(以下DBNと略)塩系架橋促進剤等をあげることができる。
【0052】
チウラム系架橋促進剤としては、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、ジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等があげられる。
【0053】
チアゾール系架橋促進剤としては、メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジル・ジスルフィド、2-メルカプトベンゾチアゾールの各種金属塩、2-メルカプトベンゾチアゾールのシクロヘキシルアミン塩、2-(N,N-ジエチルチオ・カルバモイルチオ)ベンゾチアゾール、2-(4‘-モノホリノ・ジチオ)ベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド等があげられる。
【0054】
モルホリンスルフィド系架橋促進剤としては、モルホリンジスルフィドがあげられる。
【0055】
スルフェンアミド系架橋促進剤としては、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジル・スルフェンアミド、N,N-ジシクロヘキシル-2-ベンゾチアジル・スルフェンアミド、N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアジル・スルフェンアミド、N-第三ブチル-2-ベンゾチアジル・スルフェンアミド、N-第三ブチルージ(2-ベンゾチアゾール)スルフェンイミド等があげられる。
【0056】
グアニジン系架橋促進剤としては、ジフェニルグアニジン、ジトリルグアニジン等があげられる。
【0057】
チオウレア系架橋促進剤としては、エチレンチオウレア、ジエチレンチオウレア、ジブチルチオウレア、ジラウリルチオウレア、トリメチルチオウレア、ジフェニルチオウレア等があげられる。
【0058】
アルデヒド-アンモニア系架橋促進剤としては、ヘキサメチレンテトラミン等があげられる。
【0059】
ジチオカルバミン酸塩系架橋促進剤としては、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルカルバミン酸亜鉛、N-ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛等があげられる。
【0060】
キサントゲン酸塩系架橋促進剤としては、イソプロピルキサントゲン酸亜鉛、ブチルキサントゲン酸亜鉛等があげられる。
【0061】
脂肪酸アルカリ金属塩系架橋促進剤としては、ステアリン酸ナトリウム、さて亜リン酸カリウム等があげられる。
【0062】
DBU塩系架橋促進剤としては、DBU-炭酸塩、DBU-ステアリン酸塩、DBU-2-エチルヘキシル酸塩、DBU-安息香酸塩、DBU-サリチル酸塩、DBU-3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸塩、DBU-フェノール樹脂塩、DBU-2-メルカプトベンゾチアゾール塩、DBU-2-メルカプトベンズイミダゾール塩等があげられる。
【0063】
DBN塩系架橋促進剤としては、DBN-炭酸塩、DBN-ステアリン酸塩、DBN-2-エチルヘキシル酸塩、DBN-安息香酸塩、DBN-サリチル酸塩、DBN-3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸塩、DBN-フェノール樹脂塩、DBN-2-メルカプトベンゾチアゾール塩、DBN-2-メルカプトベンズイミダゾール塩等があげられる。
【0064】
架橋促進剤の配合量は、ポリエーテル重合体100質量部に対して0.1~15重量部であることが好ましく、0.1~10重量部であることがより好ましく、0.1~5重量部であることが特に好ましい。
【0065】
本発明のポリエーテル重合体含有組成物に対しては、本発明の効果を損なわない限り、上記の他に当該技術分野で行われる各種の受酸剤、充填剤、可塑剤、加工助剤、難燃剤、顔料、老化防止剤、導電剤等を任意で配合することができる。
【0066】
本発明で用いられる受酸剤としては、公知の受酸剤を使用できるが、好ましくは金属化合物および/または無機マイクロポーラス・クリスタルである。金属化合物としては、周期表第II族(2族および12族)金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、カルボン酸塩、ケイ酸塩、ホウ酸塩、亜リン酸塩、周期表III族(3族および13族)金属の酸化物、水酸化物、カルボン酸塩、ケイ酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、周期表第IV族(4族および14族)金属の酸化物、塩基性炭酸塩、塩基性カルボン酸塩、塩基性亜リン酸塩、塩基性亜硫酸塩、三塩基性硫酸塩等の金属化合物があげられる。
【0067】
前記金属化合物の具体例としては、マグネシア、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、生石灰、消石灰、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フタル酸カルシウム、亜リン酸カルシウム、亜鉛華、酸化錫、リサージ、鉛丹、鉛白、二塩基性フタル酸鉛、二塩基性炭酸鉛、ステアリン酸錫、塩基性亜リン酸鉛、塩基性亜リン酸錫、塩基性亜硫酸鉛、三塩基性硫酸鉛等を挙げることができ、炭酸ナトリウム、マグネシア、水酸化マグネシウム、生石灰、消石灰、ケイ酸カルシウム、亜鉛華などが好ましい。
【0068】
前記無機マイクロポーラス・クリスタルとは、結晶性の多孔体を意味し、無定型の多孔体、例えばシリカゲル、アルミナ等とは明瞭に区別できるものである。このような無機マイクロポーラス・クリスタルの例としては、ゼオライト類、アルミノホスフェート型モレキュラーシーブ、層状ケイ酸塩、合成ハイドロタルサイト、チタン酸アルカリ金属塩等があげられる。特に好ましい受酸剤としては、合成ハイドロタルサイトがあげられる。
【0069】
前記ゼオライト類は、天然ゼオライトの外、A型、X型、Y型の合成ゼオライト、ソーダライト類、天然ないしは合成モルデナイト、ZSM-5などの各種ゼオライトおよびこれらの金属置換体であり、これらは単独で用いても2種以上の組み合わせで用いても良い。また金属置換体の金属はナトリウムであることが多い。ゼオライト類としては酸受容能が大きいものが好ましく、A型ゼオライトが好ましい。
【0070】
前記合成ハイドロタルサイトは下記一般式(1)で表される。
MgZnAl(OH)(2(X+Y)+3Z-2)CO・wHO (1)
[式中、xとyはそれぞれx+y=1~10の関係を有する0~10の実数、zは1~5の実数、wは0~10の実数をそれぞれ示す。]
【0071】
前記一般式(1)で表されるハイドロタルサイト類の例として、Mg4.5Al(OH)13CO・3.5HO、Mg4.5Al(OH)13CO、MgAl(OH)12CO・3.5HO、MgAl(OH)16CO・4HO、MgAl(OH)14CO・4HO、MgAl(OH)10CO・1.7HO、MgZnAl(OH)12CO・3.5HO、MgZnAl(OH)12CO等をあげることができる。
【0072】
受酸剤の配合量は、ポリエーテル重合体100質量部に対して0.1~15質量部であることが好ましく、0.5~10質量部であることがより好ましく、1~5質量部であることが特に好ましい。
【0073】
本発明で用いられる老化防止剤としては、公知の老化防止剤を使用できるが、例としては、フェニル-α-ナフチルアミン、p-トルエンスルホニルアミド-ジフェニルアミン、4,4-α,α-ジメチルベンジルジフェニルアミン、ジフェニルアミンとアセトンの高温反応生成品、ジフェニルアミンとアセトンの低温反応生成品、ジフェニルアミン,アニリン,アセトンの低温反応品、ジフェニルアミンとジイソブチルレンの反応生成品、オクチル化ジフェニルアミン、置換ジフェニルアミン、アルキル化ジフェニルアミン、ジフェニルアミン誘導体、N,N´-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N-イソプロピル-N´-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N´-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N´-3-メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピル-p-フェニレンジアミン、N,N´-ビス1-メチルヘプチル-p-フェニレンジアミン、N,N´-ビス1,4-ジメチルペンチル-p-フェニレンジアミン、N-1,3-ジメチルブチル-N´-フェニル-p-フェニレンジアミン、ジアリル-p-フェニレンジアミンの混合品、フェニル,オクチル-p-フェニレンジアミン、フェニル-α-ナフチルアミンとジフェニル-p-フェニレンジアミンの混合品、2,2,4-トリメチル-1,2ジヒドロキノリンの重合物、6-エトキシ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン、2,5-ジ-tert-アミルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、1-オキシ-3-メチル-4-イソプロピルベンゼン、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2,6-ジ-tert-ブチル-α-ジメチルアミノ-p-クレゾール、2,6-ジ-tert-ブチルフェノールと2,4,6-トリ-tert-ブチルフェノールとオルト-tert-ブチルフェノールの混合物、スチレン化フェノール、アルキル化フェノール、アルキルおよびアラルキル置換フェノールの混合品、フェノール誘導体、2,2´-メチレン-ビス-4-メチル-6-tert-ブチルフェノール、2,2´-メチレン-ビス-4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール、2,2´-メチレン-ビス-4-エチル-6-tert-ブチルフェノール、4,4-メチレン-ビス-2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、メチレン架橋した多価アルキルフェノール、アルキル化ビスフェノール、p-クレゾールとジシクロペンタジエンのブチル化反応生成物、ポリブチル化ビスフェノールAの混合物、4,4-チオビス-6-tert-ブチル-3-メチルフェノール、4,4-ブチリデンビス-3-メチル-6-tert-ブチルフェノール、2,4-ビスオクチルチオメチル-O-クレゾール、ヒンダートフェノール、ヒンダートビスフェノール、2-メルカプトベンズイミダゾール、2-メルカプトメチルベンズイミダゾール、2-メルカプトベンズイメダゾールの亜鉛塩、2-メルカプトメチルベンズイミダゾールの亜鉛塩、4と5-メルカプトメチルベンズイミダゾール、4と5-メルカプトメチルベンズイミダゾールの亜鉛塩、ジオクタデシルジスルフィド、ジエチルジチオカルバミン酸ニッケル、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル、1,3-ビスジメチルアミノプロピル-2-チオ尿素、トリブチルチオ尿素、ビス2-メチル-4-3-n-アルキルチオプロピオニルオキシ-5-tert-ブチルフェニルスルフィド、ビス3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルスルフィド、混合ラウリルステアリンチオジプロピオネート、環状アセタール、ポリマーポリオール60%と水添シリカ40%の混合品、ポリエチレンとポリエチレングリコールの2分子構造による特殊ポリエチレングリコール加工品、不活性フィラーとポリマーポリオールの特殊設計混合品、複合系老化防止剤、エノールエーテル、1,2,3-ベンゾトリアゾール、3-N-サリチロイルアミノ-1,2,4-トリアゾル、トリアジン系誘導体複合物、デカメチレンジカルボン酸ジサリチロイルヒドラジド、N,N´-ビス3-3,5-ジ-tert-4-ヒドロキシフェニルプロピオニルヒドラジン、テトラキス-メチレン-3-3´,5´-ジ-tert-ブチル4´ヒドロキシフェニルプロピオネートメタン等があげられる。
【0074】
老化防止剤の配合量は、ポリエーテル重合体100質量部に対して0.1~15質量部であることが好ましく、0.2~10質量部であることがより好ましく、0.3~5質量部であることが特に好ましい。
【0075】
本発明における導電剤としては、公知の導電剤を使用できるが、例えば第四級アンモニウム塩、ホウ酸塩、過塩素酸塩、カリウム塩、界面活性剤、リチウム塩等が挙げられる。具体的には、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムパークロレート、エチルトリブチルアンモニウムエトサルフェート、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸カルシウム、ラウリルトリメチルアンモウニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、トリオクチルプロピルアンモニウムブロミド、ジメチルアルキルラウリルベタイン、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム等があげられる。
【0076】
加工助剤としては、具体的には、例えば、パラフィン・ワックス、炭化水素系ワックスなどのパラフィンおよび炭化水素樹脂;ステアリン酸、パルミチン酸などの脂肪酸;ステアロアミド、オレイル・アミドなどの脂肪酸アミド;n-ブチル・ステアレートなどの脂肪酸エステル;ソルビタンステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル;脂肪アルコール;等が挙げられ、これらは一種を単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0077】
加工助剤の配合量は、ポリエーテル系重合物100質量部に対して、0~20質量部であってよく、0.1~20質量部であってよく、0.3~10質量部であってよい。
【0078】
加工方法
本発明のポリエーテル重合体含有組成物の加工方法としては、従来ポリマー加工の分野において利用されている任意の手段、例えばミキシングロール、バンバリーミキサー、各種ニーダー類等を用いることができる。
【0079】
架橋方法
本発明のポリエーテル重合体含有組成物を架橋して得られる半導電性ゴム材料は、前記ポリエーテル重合体含有組成物に所定の架橋剤等を加えて、通常100~200℃に加熱する事で得られ、架橋時間は温度により異なるが、0.5~300分の間で行われるのが通常である。架橋成型の方法としては、金型による圧縮成型、射出成型、エアーバス、赤外線あるいはマイクロウェーブによる加熱等任意の方法を用いることができる。
【0080】
以下、本発明を実施例、比較例により具体的に説明する。但し、本発明はその要旨を逸脱しない限り以下の実施例に限定されるものではない。尚、実施例、比較例で用いた配合剤を以下に示す。
※1 株式会社大阪ソーダ製「ポリエーテル重合体1(ランダム重合体):エピクロマーCG-102」
※2 日油株式会社製「ステアリン酸さくら」
※3 大内新興化学株式会社製 ベンズイミダゾール系老化防止剤「ノクラックMB」
※4 大内新興化学株式会社製 チアゾール系架橋促進剤「ノクセラーDM」
※5 大内新興化学株式会社製 チウラム系架橋促進剤「ノクセラーTS」
※6 鶴見化学工業株式会社製「金華印コロイド硫黄」
【0081】
ポリエーテル重合用触媒の製造
重合用触媒として、日本国特許第4923946号(特開2008-106104)の実施例の項で用いられた重合用触媒を製造した。
【0082】
ポリエーテル重合体の製造
内容量5Lのジャケット付きステンレス製反応器の内部を窒素置換し、上記重合用触媒3g、ヘキサン962g、エピクロルヒドリン412gを仕込み、反応温度を25℃に維持したまま20時間反応させた。デカンテーションにより重合体を取り出した後、減圧下、60℃で5時間乾燥してポリエーテル重合体2を389g得た。
【0083】
実施例、比較例
表1、2に示される配合で、各材料をニーダーおよびオープンロールで混錬し、厚さ2~2.5mmの未架橋ゴムシートを作製した。また、未架橋ゴムシートを170℃で15分プレス架橋し、架橋シート(架橋物)とした。尚、単位は質量部とする。
【0084】
架橋物の分析
示差走査熱量測定方法としては、架橋物と基準物質の温度差から融解エンタルピー変化(ΔH)を求めた。すなわち、パーキン・エルマー社製の示差走査熱量計「DSC8000」を用いて、測定用アルミパンに試料20mgをつめて、10℃/分で20℃~150℃まで昇温した際のサーモグラムからΔHを求めた。なお、融解ピーク温度を融解曲線からブランクラインを引いた曲線において、最も吸熱量が多い温度である。結果を表3、表4に示す。
【0085】
通電耐久試験
架橋シートは23℃×50%RHの環境条件下に設定した恒温恒湿槽中に入れ、24時間以上放置した後、通電耐久試験に使用した。具体的には、デジタル超高抵抗/微小電流計R8340A(株式会社アドバンテスト製)を使用し、10V印加後1.5分後の値を初期抵抗値、そのまま1000V印加で1時間通電させ、電荷を除いたのちに、10V印加後1.5分後の値を通電後抵抗値とした。通電耐久性は、初期抵抗値の対数と通電後抵抗値の対数をとり、その差分により評価した。通電後抵抗値の対数-初期抵抗値の対数の値が小さいほど、又は0以下となる場合には、通電耐久性に優れる。結果を表3、表4に示す。
【0086】
定伸長引張永久ひずみ
JIS K6273に従い測定を実施した。すなわち、架橋シート(架橋物)を3号ダンベルで打ち抜いたサンプルを引張ひずみ保持具に取り付け、標線(20mm)を付け、100%伸長させたのち23℃50%RHの環境で24時間静置した。その後試験片を取り出し、標線間の距離を測定することで、定伸長引張永久ひずみの値を算出した。結果を表3、表4に示す。
【0087】
【表1】
【0088】
【表2】
【0089】
【表3】
【0090】
【表4】
【0091】
実施例1~6は比較例1~3と比較し、通電前後の抵抗値変化が小さく、通電耐久性が良好であることが示されている。また、実施例1~4では、良好な通電耐久性を維持しつつ、定伸長引張永久ひずみの値が小さく、良好なゴム弾性が得られていることが示されている。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明のポリエーテル重合体を用いた半導電性ゴム材料は、コピー機、プリンター等の半導電性ゴムロール、半導電性無端ベルト等に非常に有用である。