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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022057704
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】マッサージ用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/73 20060101AFI20220404BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20220404BHJP
   A61K 8/20 20060101ALI20220404BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20220404BHJP
   A61K 8/26 20060101ALI20220404BHJP
   A61K 8/27 20060101ALI20220404BHJP
   A61K 8/23 20060101ALI20220404BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20220404BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20220404BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20220404BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
A61K8/73
A61K8/34
A61K8/20
A61K8/19
A61K8/26
A61K8/27
A61K8/23
A61K8/36
A61K8/365
A61K8/46
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020166094
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100107733
【弁理士】
【氏名又は名称】流 良広
(74)【代理人】
【識別番号】100115347
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 奈緒子
(72)【発明者】
【氏名】加藤 佐和子
(72)【発明者】
【氏名】筒井 葉月
(72)【発明者】
【氏名】代田 亜衣梨
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 英輔
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AB211
4C083AB212
4C083AB311
4C083AB312
4C083AB321
4C083AB322
4C083AB331
4C083AB332
4C083AB341
4C083AB342
4C083AB351
4C083AB352
4C083AB361
4C083AB362
4C083AC111
4C083AC112
4C083AC122
4C083AC171
4C083AC172
4C083AC291
4C083AC292
4C083AC301
4C083AC302
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC791
4C083AC792
4C083AC852
4C083AD042
4C083AD132
4C083AD282
4C083AD631
4C083AD632
4C083BB36
4C083CC02
4C083DD06
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】皮膚への塗布のしやすさ、心地良い温熱感、及びきしみのなさに優れ、かつ2剤の混ぜ合わせやすさに優れるマッサージ用組成物の提供。
【解決手段】(A)多価アルコールと、(B)塩化マグネシウム、酸化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、塩化第二鉄、塩化亜鉛、硫酸第一鉄、炭酸カルシウム、及び炭酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも1種の無機金属塩の無水物と、を含有し、水の含有量が2質量%以下である第1剤と、(C)水溶性高分子と、(D)パラフェノールスルホン酸亜鉛、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、クエン酸、コハク酸、タンニン酸、及び次没食子酸ビスマスからなる群より選択される少なくとも1種と、を含有する第2剤と、を含有するマッサージ用組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)多価アルコールと、
(B)塩化マグネシウム、酸化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、塩化第二鉄、塩化亜鉛、硫酸第一鉄、炭酸カルシウム、及び炭酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも1種の無機金属塩の無水物と、
を含有し、水の含有量が2質量%以下である第1剤と、
(C)水溶性高分子と、
(D)パラフェノールスルホン酸亜鉛、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、クエン酸、コハク酸、タンニン酸、及び次没食子酸ビスマスからなる群より選択される少なくとも1種と、
を含有する第2剤と、
を含有することを特徴とするマッサージ用組成物。
【請求項2】
(D)成分の含有量(質量%)に対する(A)成分の含有量(質量%)の質量比[(A)/(D)]が、20~900であること請求項1に記載のマッサージ用組成物。
【請求項3】
第2剤が、(E)バニリルブチルエーテル、サリチル酸エチレングリコール、オランダガラシエキス、及びスピラントールからなる群より選択される少なくとも1種を更に含有する請求項1から2のいずれかに記載のマッサージ用組成物。
【請求項4】
第2剤が、(F)クリサンテルムインジクムエキス、グルブラリアコルジホリアカルス培養エキス、ハナショウガエキス、カフェイン、セイヨウトチノ種子エキス、イチョウ葉エキス、ガラナ種子エキス、クダモノトケイソウ果実エキス、L-カルニチン、センブリエキス、ジオウエキス、トウキンセンカエキス、及びボタンエキスからなる群より選択される少なくとも1種を更に含有する請求項1から3のいずれかに記載のマッサージ用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージ用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マッサージ用組成物は、皮膚へ塗布しやすく、心地良い温熱感が得られ、きしみを感じないなどの使用感が求められている。
皮膚への塗布時に温熱感を付与することができる組成物として、多量のグリセリン等の多価アルコールを含有させ、この多価アルコールが、使用時に塗布面上及び周囲の水分と水和する際に生じる水和熱を利用した組成物が提案されている(特許文献1~3参照)。
しかしながら、多価アルコールの水和熱は発生量が小さいため、感じる温熱感が充分ではないという課題があった。また、皮膚に塗布する組成物に高濃度の多価アルコールを含有させると、肌に不快なきしみ感を有するという課題もあった。
【0003】
一方、多価アルコールよりも水和時の発熱量の大きい無水の無機塩類の水和熱を利用した組成物も提案されている(特許文献4参照)。無水の無機塩類を含む組成物は、使用時まで水に触れないことが重要であり、皮膚への塗布性をよくするために非水系溶媒に分散させる必要がある。そのため、前記提案の組成物は、無水の無機塩類を含有する第1剤と、水及び多価アルコールを含有する第2剤とよりなり、第1剤と第2剤とが互いに分離された状態で2液混合型エアゾール容器内に充填されてなるものである。
しかしながら、前記提案の組成物は、不快なきしみ感を有するという課題があった。
【0004】
したがって、均一に皮膚へ塗布しやすく、心地良い温熱感が得られ、きしみがないなどの使用感に優れ、かつ手のひらの上で2剤が混ぜ合わせやすいマッサージ用組成物は未だ提供されておらず、その速やかな提供が強く望まれているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平07-215835号公報
【特許文献2】特開2001-323258号公報
【特許文献3】特開2000-336023号公報
【特許文献4】特開平10-306276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、皮膚への塗布のしやすさ、心地良い温熱感、及びきしみのなさに優れ、かつ2剤の混ぜ合わせやすさに優れるマッサージ用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、高濃度の多価アルコールを増粘できる水溶性高分子は少なく、更に多価アルコールで縮退を起こさない水溶性高分子であっても、多価アルコール中に無機金属塩の無水物が存在する場合、水溶性高分子の縮退が起こり、粘度が低下してしまうため、多価アルコール及び無機金属塩の無水物を含有する第1剤と、水溶性高分子を含有する第2剤とを混ぜ合わせて、皮膚に塗布できる程度に組成物の粘度を保つことが困難であるという課題を見出した。
これに対し、本発明者らは、前記目的を達成すべく鋭意検討を行い、(A)多価アルコールと、(B)塩化マグネシウム、酸化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、塩化第二鉄、塩化亜鉛、硫酸第一鉄、炭酸カルシウム、及び炭酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも1種の無機金属塩の無水物と、を含有し、水の含有量が2質量%以下である第1剤と、(C)水溶性高分子と、(D)パラフェノールスルホン酸亜鉛、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、クエン酸、コハク酸、タンニン酸、及び次没食子酸ビスマスからなる群より選択される少なくとも1種と、を含有する第2剤と、を含有するマッサージ用組成物が、皮膚への塗布のしやすさ、心地良い温熱感、及びきしみのなさに優れ、かつ2剤の混ぜ合わせやすさに優れることを見出し、本発明の完成に至った。
【0008】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> (A)多価アルコールと、
(B)塩化マグネシウム、酸化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、塩化第二鉄、塩化亜鉛、硫酸第一鉄、炭酸カルシウム、及び炭酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも1種の無機金属塩の無水物と、
を含有し、水の含有量が2質量%以下である第1剤と、
(C)水溶性高分子と、
(D)パラフェノールスルホン酸亜鉛、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、クエン酸、コハク酸、タンニン酸、及び次没食子酸ビスマスからなる群より選択される少なくとも1種と、
を含有する第2剤と、
を含有することを特徴とするマッサージ用組成物である。
<2> (D)成分の含有量(質量%)に対する(A)成分の含有量(質量%)の質量比[(A)/(D)]が、20~900であること前記<1>に記載のマッサージ用組成物である。
<3> 第2剤が、(E)バニリルブチルエーテル、サリチル酸エチレングリコール、オランダガラシエキス、及びスピラントールからなる群より選択される少なくとも1種を更に含有する前記<1>から<2>のいずれかに記載のマッサージ用組成物である。
<4> 第2剤が、(F)クリサンテルムインジクムエキス、グルブラリアコルジホリアカルス培養エキス、ハナショウガエキス、カフェイン、セイヨウトチノ種子エキス、イチョウ葉エキス、ガラナ種子エキス、クダモノトケイソウ果実エキス、L-カルニチン、センブリエキス、ジオウエキス、トウキンセンカエキス、及びボタンエキスからなる群より選択される少なくとも1種を更に含有する前記<1>から<3>のいずれかに記載のマッサージ用組成物である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、皮膚への塗布のしやすさ、心地良い温熱感、及びきしみのなさに優れ、かつ2剤の混ぜ合わせやすさに優れるマッサージ用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(マッサージ用組成物)
本発明のマッサージ用組成物は、第1剤と、第2剤とを含有し、必要に応じて、更にその他の成分を含有する。
【0011】
<第1剤>
前記第1剤は、(A)多価アルコールと、(B)無機金属塩の無水物と、を含有し、必要に応じて、更にその他の成分を含有する。
前記第1剤は、水の含有量が2質量%以下である。
【0012】
<<(A)多価アルコール>>
前記(A)成分としての多価アルコールは、2剤の混ぜ合わせやすさ及び皮膚への塗布のしやすさを向上させるために含有される。
【0013】
前記(A)成分の多価アルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、濃グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、平均分子量が200~1,000のポリエチレングリコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、前記(A)成分としては、2剤の混ぜ合わせやすさ及び皮膚への塗布のしやすさの点から、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ヘキシレングリコールが好ましい。
【0014】
本明細書において、ポリエチレングリコールの平均分子量の測定は、医薬部外品原料規格2006(薬事日報社)収載のポリエチレングリコール200の試験法(p1378)を準用する。即ち、無水フタル酸42gを取り、新たに蒸留したピリジン300mLを正確に量って入れた1Lの遮光した共栓びんに加え、強く振り混ぜて溶かした後、16時間以上放置する。この液25mLを正確に量り、約200mLの耐圧共栓びんに入れ、これに測定する試料であるポリエチレングリコール約0.8gを精密に量って加え、密栓し、98℃±2℃に加熱した水浴中に入れる。98℃±2℃で30分間保った後、水浴からびんを取り出し、室温になるまで空気中に放置する。次に、0.5N水酸化ナトリウム溶液50mLを正確に加え、この液につき、0.5N水酸化ナトリウム溶液で滴定する。このときの指示薬はフェノールフタレイン・ピリジン溶液(1→100)を5滴用いる。ただし、滴定の終点は液が15秒間持続する淡赤色を呈するときとする。同様の方法で空試験をする。
得られた値を下記式(1)にあてはめ、平均分子量を算出する。
平均分子量={試料の量(g)×4,000}/(a-b) ・・・ 式(1)
ただし、前記式(1)において、「a」は、空試験における0.5N水酸化ナトリウム溶液の消費量(mL)を表し、「b」は、試料の試験における0.5N水酸化ナトリウム溶液の消費量(mL)を表す。
【0015】
前記(A)成分は、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記(A)成分の市販品としては、例えば、商品名で、PEG300(ポリエチレングリコール300、純正化学株式会社製)、グリセリン(関東化学株式会社製)、エチレングリコール(関東化学株式会社製)、プロピレングリコール(ダウ・ケミカル製)、プロピレングリコール(株式会社ADEKA製)、プロピレングリコール(AGC株式会社製)、1,3-ブチレングリコール(ダイセル株式会社製)、へキシレングリコール(三井化学株式会社製)などが挙げられる。
【0016】
前記(A)成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、その下限値としては、例えば、前記マッサージ用組成物全量に対して、38質量%以上、42質量%以上などが挙げられ、またその上限値としては、例えば、48質量%以下、44質量%以下などが挙げられるが、2剤の混ぜ合わせやすさ及び皮膚への塗布のしやすさの点から、前記マッサージ用組成物全量に対して、38質量%~48質量%が好ましく、42質量%~48質量%がより好ましく、42質量%~44質量%が特に好ましい。前記(A)成分の含有量が、38質量%以上又は48質量%以下であると、2剤の混ぜ合わせやすさ及び皮膚への塗布のしやすさが良好である。
【0017】
<<(B)無機金属塩の無水物>>
前記(B)成分としての無機金属塩の無水物は、心地よい温熱感、2剤の混ぜ合わせやすさ、及び皮膚への塗布のしやすさを向上させるために含有される。
【0018】
前記(B)成分の無機金属塩の無水物は、塩化マグネシウム、酸化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、塩化第二鉄、塩化亜鉛、硫酸第一鉄、炭酸カルシウム、及び炭酸ナトリウムからなる群より選択される少なくとも1種の無機金属塩の無水物である。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、前記(B)成分としては、2剤の混ぜ合わせやすさ及び皮膚への塗布のしやすさの点から、塩化マグネシウムの無水物、酸化マグネシウムの無水物、塩化カルシウムの無水物、硫酸マグネシウムの無水物、炭酸カルシウムの無水物が好ましい。
【0019】
前記(B)成分は、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記(B)成分の市販品としては、例えば、商品名で、塩化マグネシウム(富士フイルム和光純薬株式会社製)、酸化マグネシウム(富士フイルム和光純薬株式会社製)、塩化カルシウム(富士フイルム和光純薬株式会社製)、硫酸カルシウム(富士フイルム和光純薬株式会社製)、硫酸マグネシウム(富士フイルム和光純薬株式会社製)、硫酸アルミニウム(富士フイルム和光純薬株式会社製)、塩化アルミニウム(富士フイルム和光純薬株式会社製)、塩化第二鉄(富士フイルム和光純薬株式会社製)、塩化亜鉛(富士フイルム和光純薬株式会社製)、硫酸第一鉄(関東化学株式会社製)、炭酸カルシウム(富士フイルム和光純薬株式会社製)、炭酸ナトリウム(富士フイルム和光純薬株式会社製)などが挙げられる。
【0020】
前記(B)成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、その下限値としては、例えば、前記マッサージ用組成物全量に対して、2質量%以上、6質量%以上などが挙げられ、またその上限値としては、例えば、12質量%以下、8質量%以下などが挙げられるが、心地よい温熱感、2剤の混ぜ合わせやすさ、及び皮膚への塗布のしやすさの点から、前記マッサージ用組成物全量に対して、2質量%~12質量%が好ましく、2質量%~8質量%がより好ましく、6質量%~8質量%が特に好ましい。前記(B)成分の含有量が、2質量%以上又は12質量%以下であると、心地よい温熱感、2剤の混ぜ合わせやすさ、及び皮膚への塗布のしやすさが良好である。
【0021】
<<第1剤におけるその他の成分>>
前記第1剤には、前記(A)成分及び前記(B)成分以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、マッサージ用組成物に通常用いられる成分をその他の成分として配合することができる。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、界面活性剤、油分(例えば、シリコーン油、エステル油等)、シリコーン粉体、後述する(C)成分以外の高分子化合物又は保湿剤、包接化合物、ビタミン類、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、抗炎症剤、酸化防止剤、着色剤、香料、防腐剤、溶剤(例えば、エタノール等)、脂肪酸、無機粉体、粘土鉱物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0022】
また、前記第1剤は、前記その他の成分として水(例えば、精製水、イオン交換水等)を含んでいてもよいが、前記第1剤における水の含有量は2質量%以下であり、心地よい温熱感、2剤の混ぜ合わせやすさ、及び皮膚への塗布のしやすさの点から、0.5質量%以下が好ましく、0.05質量%以下がより好ましい。前記第1剤における水の含有量は2質量%を超えると、心地よい温熱感、2剤の混ぜ合わせやすさ、及び皮膚への塗布のしやすさが得られない。
【0023】
前記第1剤における水以外の前記その他の成分の含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0024】
--粘度--
前記第1剤の粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、その下限値としては、1Pa・s以上などが挙げられ、その上限値としては、40Pa・s以下などが挙げられるが、1Pa・s~40Pa・sが好ましい。
前記第1剤の粘度は、例えば、BM型粘度計(株式会社東京計器製)を用いて、前記マッサージ用組成物の温度を25℃とし、20Pa・sまでの場合は、BMアダプター、回転数60回転/分間、No.3のローターにて1分間後の粘度を測定することにより得ることができる。20Pa・sより大きい場合は、BMアダプター、回転数12回転/分間、No.4のローターにて1分間後の粘度を測定することにより得ることができる。
【0025】
--pH--
前記第1剤のpHとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、その下限値としては、4.5以上などが挙げられ、その上限値としては、9.0以下などが挙げられるが、4.5~9.0が好ましい。
前記第1剤のpHは、例えば、pHメーター(装置名:HM-30G、東亜ディーケーケー株式会社製)により、25℃の環境下において測定することができる。
【0026】
<第2剤>
前記第2剤は、(C)水溶性高分子と、(D)パラフェノールスルホン酸亜鉛、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、クエン酸、コハク酸、タンニン酸、及び次没食子酸ビスマスからなる群より選択される少なくとも1種と、を含有し、更に後述する(E)成分及び(F)成分の少なくともいずれかを含むことが好ましく、必要に応じて、更にその他の成分を含有する。
【0027】
<<(C)水溶性高分子>>
前記(C)成分としての水溶性高分子は、2剤の混ぜ合わせやすさ及び皮膚への塗布のしやすさを向上させるために含有される。
【0028】
前記(C)成分の水溶性高分子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(「ヒプロメロース」とも称する)、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース、塩化ジアリルジメチルアンモニウム・ヒドロキシエチルセルロース、塩化グリシジルトリメチルアンモニウム・ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化セルロースなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、前記(C)成分としては、2剤の混ぜ合わせやすさ及び皮膚への塗布のしやすさの点から、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース、カチオン化セルロースが好ましい。
【0029】
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースの置換度タイプとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1828、2208、2906、2910などが挙げられる(第15改正日本薬局方参照)。
【0030】
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースのメトキシル基(-OCH)の置換度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースの重量平均分子量に対し、21.0%~30.0%の分子量であることが好ましい。
【0031】
前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースのヒドロキシプロポキシル基(-OCHCHOHCH)の置換度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースの重量平均分子量に対し、7.0%~12.0%が好ましい。
【0032】
本明細書において、前記ヒドロキシプロピルメチルセルロースのメトキシル基の置換度及びヒドロキシプロポキシル基の置換度は、第15改正日本薬局方の015-1712-2「ヒプロメロース」に記載の方法で測定することで決定することができる。
【0033】
前記ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロースの25℃における動粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、70mm/s~250mm/sが好ましい。
本明細書において、前記ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロースの25℃における動粘度は、ウベローデ型粘度計を用いて測定した値である。
【0034】
前記カチオン化セルロースのカチオン化度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.8meq/g~1.3meq/gが好ましい。
【0035】
本明細書において、前記カチオン化セルロースのカチオン化度は、下記式(2)及び下記式(3)より求めた値である。また、前記カチオン化度の単位である「meq/g」とは、試料1g当たりのカチオン基のミリ当量数を示す。
カチオン化度(meq/g)=(水溶性高分子1g中のカチオン化グルコースユニットのモル数)×1,000 ・・・ 式(2)
水溶性高分子1g中のカチオン化グルコースユニットのモル数=(水溶性高分子中の窒素含量)/(Nの原子量) ・・・ 式(3)
【0036】
なお、前記カチオン化セルロースのカチオン化度は、化学構造が明瞭であれば簡単に計算することができるが、モノマー比率等の構造が不明な場合であっても、ケルダール法等のN含量の測定値から計算することができる。本明細書で示したカチオン化度は、ケルダール法である化粧品原料基準の一般試験法の窒素定量法第2法で測定した値を基に算出した。
【0037】
前記(C)成分の重量平均分子量(Mw)としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40万~100万が好ましい。
本明細書において、前記(C)成分の重量平均分子量(Mw)は、静的光散乱測定により測定した値である。即ち、希釈した水溶性高分子の水溶液の、示唆屈折率計を用いた濃度-示唆屈折率曲線と、散乱強度測定装置を用いた散乱強度の濃度-角度依存性を測定し、Zimmプロットの濃度0、角度0に外挿することにより重量平均分子量(Mw)を測定することができる。
【0038】
前記(C)成分は、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記(C)成分の市販品としては、例えば、商品名で、メトローズ(登録商標)60SH-10000(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メトキシル基の置換度:28.0%~30.0%、ヒドロキシプロポキシル基の置換度:7.0%~12.0%、信越化学工業株式会社製)、メトローズ(登録商標)65SH-15000(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メトキシル基の置換度:27.0%~30.0%、ヒドロキシプロポキシル基の置換度:4.0%~7.5%、信越化学工業株式会社製)、メトローズ(登録商標)90SH-30000(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メトキシル基の置換度:22.0%~24.0%、ヒドロキシプロポキシ基ルの置換度:8.5%~10.5%、信越化学工業株式会社製)、サンジェロース(登録商標)60L(ステアロイルヒドロキシプロピルメチルセルロース、メトキシル基の置換度:27.0%~30.0%、ヒドロキシプロポキシル基の置換度:7.0%~11.0%、25℃における動粘度:72mm/s~108mm/s、大同化成工業株式会社製)、サンジェロース(登録商標)90L(ステアロイルヒドロキシプロピルメチルセルロース、メトキシル基の置換度:21.5%~24.0%、ヒドロキシプロポキシル基の置換度:7.0%~11.0%25℃における動粘度:160mm/s~240mm/s、大同化成工業株式会社製)、カチナール HC-100(塩化O-〔2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル〕ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化度:1.3meq/g、重量平均分子量(Mw):40万、東邦化学工業株式会社製)、カチナール HC-200(塩化O-〔2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル〕ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化度:1.3meq/g、重量平均分子量(Mw):100万、東邦化学工業株式会社製)、カチナール LC-100(塩化O-〔2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル〕ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化度:0.8meq/g、重量平均分子量(Mw):40万、東邦化学工業株式会社製)、カチナール LC-200(塩化O-〔2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル〕ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化度:1.0meq/g、重量平均分子量(Mw):100万、東邦化学工業株式会社製)などが挙げられる。
【0039】
前記(C)成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、その下限値としては、例えば、前記マッサージ用組成物全量に対して、0.5質量%以上などが挙げられ、またその上限値としては、例えば、5質量%以下、2質量%以下などが挙げられるが、2剤の混ぜ合わせやすさ及び皮膚への塗布のしやすさの点から、前記マッサージ用組成物全量に対して、0.5質量%~5質量%が好ましく、0.5質量%~2質量%がより好ましい。前記(C)成分の含有量が、0.5質量%以上又は5質量%以下であると、2剤の混ぜ合わせやすさ及び皮膚への塗布のしやすさが良好である。
【0040】
<<(D)パラフェノールスルホン酸亜鉛、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、クエン酸、コハク酸、タンニン酸、及び次没食子酸ビスマスからなる群より選択される少なくとも1種>>
前記(D)成分としてのパラフェノールスルホン酸亜鉛、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、クエン酸、コハク酸、タンニン酸、及び次没食子酸ビスマスからなる群より選択される少なくとも1種は、きしみのなさを向上させるために含有される。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、前記(D)成分としては、きしみのなさ、2剤の混ぜ合わせやすさ、及び皮膚への塗布のしやすさの点から、パラフェノールスルホン酸亜鉛、タンニン酸が好ましい。
【0041】
前記(D)成分は、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記(D)成分の市販品としては、例えば、商品名で、スルホ石炭酸亜鉛(パラフェノールスルホン酸亜鉛、マツモトファインケミカル株式会社製)、酸化亜鉛(富士フイルム和光純薬株式会社製)、硫酸亜鉛(富士フイルム和光純薬株式会社製)、クエン酸(扶桑化学工業株式会社製)、コハク酸(扶桑化学工業株式会社製)、Gタンニン酸(タンニン酸、DSP五協フード&ケミカル株式会社製)、次没食子酸ビスマス(III)(次没食子酸ビスマス、富士フイルム和光純薬株式会社製)などが挙げられる。
【0042】
前記(D)成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、その下限値としては、例えば、前記マッサージ用組成物全量に対して、0.05質量%以上、0.1質量%以上などが挙げられ、またその上限値としては、例えば、2質量%以下、1質量%以下などが挙げられるが、きしみのなさ、2剤の混ぜ合わせやすさ、及び皮膚への塗布のしやすさの点から、前記マッサージ用組成物全量に対して、0.05質量%~2質量%が好ましく、0.1質量%~1質量%がより好ましい。前記(D)成分の含有量が、0.05質量%以上であると、きしみのなさが良好であり、2質量%以下であると、2剤の混ぜ合わせやすさ及び皮膚への塗布のしやすさが良好である。
【0043】
<<質量比[(A)/(D)]>>
前記マッサージ用組成物における前記(D)成分の含有量(質量%)に対する前記(A)成分の含有量(質量%)の質量比[(A)/(D)]としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、その下限値としては、例えば、20以上、40以上などが挙げられ、またその上限値としては、例えば、900以下、500以下、250以下などが挙げられるが、2剤の混ぜ合わせやすさ、皮膚への塗布のしやすさ、及びきしみのなさの点から、20~900が好ましく、20~500がより好ましく、40~250が特に好ましい。前記質量比[(A)/(D)]が、20以上であると、2剤の混ぜ合わせやすさ及び皮膚への塗布のしやすさが良好であり、900以下であると、きしみのなさが良好である。
【0044】
<<(E)バニリルブチルエーテル、サリチル酸エチレングリコール、オランダガラシエキス、及びスピラントールからなる群より選択される少なくとも1種>>
前記第2剤は、温熱感が持続する感じが得られる点で、更に(E)成分として、バニリルブチルエーテル、サリチル酸エチレングリコール、オランダガラシエキス、及びスピラントールからなる群より選択される少なくとも1種を含有することが好ましく、サリチル酸エチレングリコール、スピラントールを含有することがより好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記(E)成分は、温熱感持続剤として含有されることが好ましい。
【0045】
前記(E)成分は、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記(E)成分の市販品としては、例えば、商品名で、バニリルブチルエーテル(高砂香料株式会社製)、サリチル酸エチレングリコール(東京化成工業株式会社製)、オランダカラシ抽出液(香栄興業株式会社製)、スピラントール(高砂香料工業株式会社製)などが挙げられる。
【0046】
前記(E)成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、その下限値としては、例えば、前記マッサージ用組成物全量に対して、0.01質量%以上、0.05質量%以上などが挙げられ、またその上限値としては、例えば、3質量%以下、1質量%以下などが挙げられるが、温熱感が持続する感じの点から、前記マッサージ用組成物全量に対して、0.01質量%~3質量%が好ましく、0.05質量%~1質量%がより好ましい。前記(E)成分の含有量が、0.01質量%以上であると、温熱感が持続する感じが良好である。
【0047】
<<(F)クリサンテルムインジクムエキス、グルブラリアコルジホリアカルス培養エキス、ハナショウガエキス、カフェイン、セイヨウトチノ種子エキス、イチョウ葉エキス、ガラナ種子エキス、クダモノトケイソウ果実エキス、L-カルニチン、センブリエキス、ジオウエキス、トウキンセンカエキス、及びボタンエキスからなる群より選択される少なくとも1種>>
前記第2剤は、引き締まった感じが得られる点で、更に(F)成分として、クリサンテルムインジクムエキス、グルブラリアコルジホリアカルス培養エキス、ハナショウガエキス、カフェイン、セイヨウトチノ種子エキス、イチョウ葉エキス、ガラナ種子エキス、クダモノトケイソウ果実エキス、L-カルニチン、センブリエキス、ジオウエキス、トウキンセンカエキス、及びボタンエキスからなる群より選択される少なくとも1種を含有することが好ましく、クリサンテルムインジクムエキス、ハナショウガエキス、カフェイン、セイヨウトチノ種子エキス、クダモノトケイソウ果実エキスを含有することがより好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記(F)成分は、スリミング感付与剤として含有されることが好ましい。
【0048】
前記(F)成分は、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記(F)成分の市販品としては、例えば、商品名で、ラナクリス2B-PF(クリサンテルムインジクムエキス、アリスタヘルスアンドニュートリションサイエンス製)、レジステム(グルブラリアコルジホリアカルス培養エキス、クローダジャパン株式会社製)、LEGANCE(ハナショウガエキス、クローダジャパン株式会社製)、無水カフェイン(三菱ケミカルフーズ株式会社製)、ファルコレックス マロニエ B(セイヨウトチノ種子エキス、一丸ファルコス株式会社製)、ファルコレックス イチョウ(イチョウ葉エキス、一丸ファルコス株式会社製)、オプチベゲトール ガラナ P 107 ハイドロ(ガラナ種子エキス、Gattefoss▲e▼ s.a.s.製)、キュアパッション(クダモノトケイソウ果実エキス、一丸ファルコス株式会社製)、L-カルニチン 20% シクロシステムコンプレックス(L-カルニチン、I.R.A srl製)、センブリ抽出液HE-S55(センブリエキス、池田糖化工業株式会社製)、ジオウ抽出液BG-J(ジオウエキス、丸善製薬株式会社製)、トウキンセンカ抽出液BG-J(トウキンセンカエキス、丸善製薬株式会社製)、ボタンピ抽出液(ボタンエキス、丸善製薬株式会社製)などが挙げられる。
【0049】
前記(F)成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、その下限値としては、例えば、前記マッサージ用組成物全量に対して、0.001質量%以上、0.05質量%以上などが挙げられ、またその上限値としては、例えば、10質量%以下、5質量%以下などが挙げられるが、引き締まった感じの点から、前記マッサージ用組成物全量に対して、0.001質量%~10質量%が好ましく、0.05質量%~5質量%がより好ましい。前記(F)成分の含有量が、0.001質量%以上であると、引き締まった感じが良好である。
【0050】
<<第2剤におけるその他の成分>>
前記第2剤には、前記(C)成分、前記(D)成分、前記(E)成分、及び前記(F)成分以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、マッサージ用組成物に通常用いられる成分をその他の成分として配合することができる。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、界面活性剤、油分(例えば、シリコーン油、エステル油等)、シリコーン粉体、前記(C)成分以外の高分子化合物又は保湿剤、包接化合物、ビタミン類、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、アミノ酸類、抗炎症剤、酸化防止剤、着色剤、香料、防腐剤、溶剤(例えば、エタノール等)、脂肪酸、水(例えば、精製水、イオン交換水等)、pH調整剤、無機粉体、粘土鉱物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0051】
これらの中でも、前記第2剤は、水を含んでいることが、心地よい温熱感、2剤の混ぜ合わせやすさ、及び皮膚への塗布のしやすさの点で好ましい。前記第2剤における水の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、心地よい温熱感、2剤の混ぜ合わせやすさ、及び皮膚への塗布のしやすさの点から、前記第2剤に含まれる水の量は、前記マッサージ用組成物全量に対して、40質量%~50質量%となる量が好ましく、42質量%~49質量%となる量がより好ましい。前記第2剤における水の含有量が、前記マッサージ用組成物全量に対して、40質量%以上又は50質量%以下となる量であると、心地よい温熱感、2剤の混ぜ合わせやすさ、及び皮膚への塗布のしやすさが良好である。
【0052】
前記第2剤における水以外の前記その他の成分の含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0053】
--粘度--
前記第2剤の粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、その下限値としては、1Pa・s以上などが挙げられ、その上限値としては、40Pa・s以下などが挙げられるが、1Pa・s~40Pa・sが好ましい。
前記第2剤の粘度は、例えば、BM型粘度計(株式会社東京計器製)を用いて、前記マッサージ用組成物の温度を25℃とし、20Pa・sまでの場合は、BMアダプター、回転数60回転/分間、No.3のローターにて1分間後の粘度を測定することにより得ることができる。20Pa・sより大きい場合は、BMアダプター、回転数12回転/分間、No.4のローターにて1分間後の粘度を測定することにより得ることができる。
【0054】
--pH--
前記第2剤のpHとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、その下限値としては、4.5以上などが挙げられ、その上限値としては、9.0以下などが挙げられるが、4.5~9.0が好ましい。
前記第2剤のpHは、例えば、pHメーター(装置名:HM-30G、東亜ディーケーケー株式会社製)により、25℃の環境下において測定することができる。
【0055】
-剤型-
前記マッサージ用組成物の剤型としては、特に制限されるものではなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2剤の混ぜ合わせやすさの点から、ジェル状が好ましい。
【0056】
-粘度-
前記マッサージ用組成物の粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2剤の混ぜ合わせやすさ及び皮膚への塗布のしやすさの点から、1Pa・s~40Pa・sが好ましい。前記マッサージ用組成物の粘度が、1Pa・s以上又は40Pa・s以下であると、2剤の混ぜ合わせやすさ及び皮膚への塗布のしやすさが良好である。
前記マッサージ用組成物の粘度は、例えば、BM型粘度計(株式会社東京計器製)を用いて、前記マッサージ用組成物の温度を25℃とし、20Pa・sまでの場合は、BMアダプター、回転数60回転/分間、No.3のローターにて1分間後の粘度を測定することにより得ることができる。20Pa・sより大きい場合は、BMアダプター、回転数12回転/分間、No.4のローターにて1分間後の粘度を測定することにより得ることができる。
【0057】
-使用方法-
前記マッサージ用組成物は、前記第1剤と前記第2剤とを混ぜ合わせて使用する2剤式のマッサージ用組成物である。前記第1剤と前記第2剤とは、使用直前に混合されることが、心地良い温熱感の点で好ましい。
前記第1剤及び前記第2剤の配合割合としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記第1剤と前記第2剤とを混ぜ合わせる順序としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記第1剤に前記第2剤を混ぜ合わせてもよく、前記第2剤に前記第1剤を混ぜ合わせてもよい。
前記マッサージ用組成物の適用量や用法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、顔、体、腕、手、足、全身など、部位に拘わらず適量を塗布し、塗り伸ばして用いることができる。
【0058】
-容器-
前記マッサージ用組成物に用いられる容器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、チューブ容器、ポンプ容器、ボトル容器、シリンジ型容器、ディスペンパック型容器、スクイズ型容器などが挙げられる。
前記容器としては、前記第1剤と前記第2剤とを分離して収容できる容器であることが好ましい。このような容器としては、例えば、デュアルシリンジ(トミタエンジニアリング株式会社製)などが挙げられるが、前記チューブ容器等の容器を2つ用意し、前記第1剤と、前記第2剤とを別々に収容してもよい。
【0059】
-製造方法-
前記マッサージ用組成物の製造方法としては、特に制限はなく、公知のマッサージ用組成物の製造方法の中から目的に応じて適宜選択することができるが、第1剤と、第2剤とは別々に調製することが好ましい。
前記第1剤は、例えば、前記(A)成分及び前記(B)成分、更に必要に応じて前記第1剤における前記その他の成分を、スリーワンモーター及び攪拌羽根などを用いて均一に混合することで調製することができる。
前記第2剤は、例えば、前記(C)成分及び前記(D)成分、更に必要に応じて前記(E)成分、前記(F)成分、及び前記第2剤における前記その他の成分を、スリーワンモーター及び攪拌羽根などを用いて均一に混合することで調製することができる。
【実施例0060】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら制限されるものではない。なお、実施例及び比較例に記載の各成分の含有量は全て純分換算した値である。
【0061】
(実施例1及び比較例1~5)
下記表1及び表12に示す組成及び含有量(質量%)の通り、実施例1及び比較例1~5のマッサージ用組成物を、以下の製造方法に基づいて調製した。
【0062】
<マッサージ用組成物の調製>
-第1剤の調製-
(A)成分を、スリーワンモーター(商品名:HEIDON BL1200、新東科学株式会社製)及び攪拌羽根(プロペラ)を用いて攪拌しながら、(B)成分又は(B)成分の比較成分を添加し、第1剤を調製した。
【0063】
-第2剤の調製-
前記第1剤とは別の容器に、第2剤の全量の84質量%になる量の精製水を秤量し、(C)成分をままこにならないように投入し、膨潤させた。この(C)成分の水溶液の容器に、(D)成分又は前記(D)成分の比較成分を添加し、スリーワンモーター(商品名:HEIDON BL1200、新東科学株式会社製)及び攪拌羽根(プロペラ)を用いて溶解するまで攪拌した後、全量が100質量%となるように精製水を加え、第2剤を調製した。
【0064】
(実施例2~8及び10~84)
下記表2~表11に示す組成及び含有量(質量%)の通り、実施例2~8及び10~84のマッサージ用組成物を、以下の製造方法に基づいて調製した。
【0065】
<マッサージ用組成物の調製>
-第1剤の調製-
(A)成分を、スリーワンモーター(商品名:HEIDON BL1200、新東科学株式会社製)及び攪拌羽根(プロペラ)を用いて攪拌しながら、(B)成分を添加し、第1剤を調製した。
【0066】
-第2剤の調製-
前記第1剤とは別の容器に、第2剤の全量の84質量%になる量の精製水を秤量し、(C)成分をままこにならないように投入し、膨潤させた。この(C)成分の水溶液の容器に、(D)成分と、(E)成分と、(F)成分とを添加し、スリーワンモーター(商品名:HEIDON BL1200、新東科学株式会社製)及び攪拌羽根(プロペラ)を用いて溶解するまで攪拌した後、全量が100質量%となるように精製水を加え、第2剤を調製した。
【0067】
(実施例9)
下記表1に示す組成及び含有量(質量%)の通り、実施例9のマッサージ用組成物を、以下の製造方法に基づいて調製した。
具体的には、実施例9のマッサージ用組成物は、実施例2~8及び10~84のマッサージ用組成物の調製方法において、第1剤の調製方法を以下のように変更したこと以外は、実施例2~8及び10~82のマッサージ用組成物の調製方法と同様の方法で調製した。
また、実施例9のマッサージ用組成物は、デュアルシリンジ(トミタエンジニアリング株式会社製)に、第1剤と第2剤とを各シリンジに分けて充填した。
【0068】
-第1剤の調製-
(A)成分と水とを、スリーワンモーター(商品名:HEIDON BL1200、新東科学株式会社製)及び攪拌羽根(プロペラ)を用いて攪拌しながら、(B)成分を添加し、第1剤を調製した。
【0069】
<容器への充填>
調製した実施例1~82及び比較例1~5のマッサージ用組成物は、デュアルシリンジ(トミタエンジニアリング株式会社製)に、第1剤と第2剤とを各シリンジに分けて充填した。下記表1~表12において、デュアルシリンジに充填したマッサージ用組成物を「1」で示す。
調製した実施例83及び84のマッサージ用組成物は、チューブ容器(竹本容器株式会社製)に、第1剤と第2剤とをそれぞれ充填し、2つのチューブをテープで止めた。下記表11において、デュアル室チューブ容器に充填したマッサージ用組成物を「2」で示す。
【0070】
得られた実施例1比較例1~5のマッサージ用組成物について、下記評価方法に基づき、「2剤の混ぜ合わせやすさ」、「皮膚への塗布のしやすさ」、「心地良い温熱感」、及び「きしみのなさ」について評価した。
また、得られた実施例2~84のマッサージ用組成物については、「2剤の混ぜ合わせやすさ」、「皮膚への塗布のしやすさ」、「心地良い温熱感」、及び「きしみのなさ」の評価に加え、下記評価方法に基づき、「温熱感が持続する感じ」、及び「引き締まった感じ」について評価した。
これらの評価結果は、下記表1~表12に示した。
【0071】
<2剤の混ぜ合わせやすさ>
専門評価者が、実施例1~84及び比較例1~5のマッサージ用組成物を4g(第1剤2g及び第2剤2g)手に取り、手のひらで混ぜ合わせた時の「2剤の混ぜ合わせやすさ」について、下記評価基準に基づいて評価した。
-「2剤の混ぜ合わせやすさ」の評価基準-
◎ : 減粘せず、非常に2剤を混ぜ合わせやすい
○ : ほとんど減粘せず、2剤を混ぜ合わせやすい
△ : やや減粘し、やや2剤を混ぜ合わせにくい
× : 減粘し、2剤を混ぜ合わせにくい
【0072】
<皮膚への塗布のしやすさ>
専門評価者が、実施例1~84及び比較例1~5のマッサージ用組成物を4g(第1剤2g及び第2剤2g)手に取り、前腕内側部へ塗布した時の「皮膚への塗布のしやすさ」について、下記評価基準に基づいて評価した。
-「皮膚への塗布のしやすさ」の評価基準-
◎ : マッサージ用組成物が分離しておらず、均一に皮膚に塗布しやすい
○ : マッサージ用組成物がほとんど分離しておらず、を皮膚に塗布しやすい
△ : マッサージ用組成物に直径5mm以下の粒状の塊ができ、やや皮膚に塗布しにくい
× : マッサージ用組成物に直径5mmを超えるゴム状の塊ができ、皮膚に塗布しにくい
【0073】
<心地良い温熱感>
20名の専門評価者が、実施例1~84及び比較例1~5のマッサージ用組成物を4g(第1剤2g及び第2剤2g)手に取り、手のひらで混ぜ合わせた後、前腕内側部で使用した時の「心地良い温熱感」について、下記評価基準に基づいて評価した。
-「心地良い温熱感」の評価基準-
◎ : 「心地良い温熱感」と判断した人数が16名以上
◎~○ : 「心地良い温熱感」と判断した人数が13名以上15名以下
○ : 「心地良い温熱感」と判断した人数が11名以上12名以下
△ : 「心地良い温熱感」と判断した人数が6名以上10名以下
× : 「心地良い温熱感」と判断した人数が5名以下
【0074】
<きしみのなさ>
20名の専門評価者が、実施例1~84及び比較例1~5のマッサージ用組成物を4g(第1剤2g及び第2剤2g)手に取り、手のひらで混ぜ合わせた後、前腕内側部で使用した時の肌の「きしみのなさ」について、下記評価基準に基づいて評価した。
-「きしみのなさ」の評価基準-
◎ : 「きしみを感じない」と判断した人数が16名以上
◎~○ : 「きしみを感じない」と判断した人数が13名以上15名以下
○ : 「きしみを感じない」と判断した人数が11名以上12名以下
△ : 「きしみを感じない」と判断した人数が6名以上10名以下
× : 「きしみを感じない」と判断した人数が5名以下
【0075】
<温熱感が持続する感じ>
20名の専門評価者が、実施例2~84のマッサージ用組成物を4g(第1剤2g及び第2剤2g)手に取り、手のひらで混ぜ合わせた後、前腕内側部に塗り広げてから10分間後の「温熱感が持続する感じ」について、下記評価基準に基づいて評価した。
-「温熱感が持続する感じ」の評価基準-
◎ : 「温熱感が持続すると感じた」と判断した人数が16名以上
◎~○ : 「温熱感が持続すると感じた」と判断した人数が13名以上15名以下
○ : 「温熱感が持続すると感じた」と判断した人数が11名以上12名以下
△ : 「温熱感が持続すると感じた」と判断した人数が6名以上10名以下
× : 「温熱感が持続すると感じた」と判断した人数が5名以下
【0076】
<引き締まった感じ>
20名の専門評価者が、実施例2~84のマッサージ用組成物を4g(第1剤2g及び第2剤2g)手に取り、手のひらで混ぜ合わせた後、前腕内側部に塗り広げてから10分間後の塗布部の「引き締まった感じ」について、下記評価基準に基づいて評価した。
-「引き締まった感じ」の評価基準-
◎ : 「引き締まったと感じた」と判断した人数が16名以上
◎~○ : 「引き締まったと感じた」と判断した人数が13名以上15名以下
○ : 「引き締まったと感じた」と判断した人数が11名以上12名以下
△ : 「引き締まったと感じた」と判断した人数が6名以上10名以下
× : 「引き締まったと感じた」と判断した人数が5名以下
【0077】
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
【表3】
【0080】
【表4】
【0081】
【表5】
【0082】
【表6】
【0083】
【表7】
【0084】
【表8】
【0085】
【表9】
【0086】
【表10】
【0087】
【表11】
【0088】
【表12】
【0089】
実施例1~84及び比較例1~5のマッサージ用組成物の使用原料は、下記表13及び表14に示す通りである。
【0090】
【表13】
【0091】
【表14】
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明のマッサージ用組成物は、皮膚への塗布のしやすさ、心地良い温熱感、及びきしみのなさに優れ、かつ2剤の混ぜ合わせやすさに優れるため、顔、体、腕、手、足、全身などの皮膚のマッサージに好適に利用可能である。