(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022057705
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】管継手
(51)【国際特許分類】
F16L 19/08 20060101AFI20220404BHJP
【FI】
F16L19/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020166096
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 薫
(72)【発明者】
【氏名】籾山 美咲
【テーマコード(参考)】
3H014
【Fターム(参考)】
3H014GA08
(57)【要約】
【課題】外筒が樹脂製とされ、コレットが金属製とされた管継手において、カバーナットの締付け時における外筒の拡径を抑制して締付けトルクの増大を抑制すると共に、コレットによる管体の十分な締付けを可能にする。
【解決手段】管継手10は、管状の芯材16と、芯材16を覆い、芯材16との間に管体15を挿入可能とされ、軸線方向端部の外周に雄ねじ部42Bが形成されると共に軸線方向端部の内周に該軸線方向端部の端面に向かって拡径して開口するテーパ部42Aが形成された樹脂製の外筒42と、外筒42の雄ねじ部42Bに締め付けられるカバーナット46と、芯材16の溝部に嵌め込まれた止水部材と、外筒42のテーパ部42Aと芯材16との間に配置され、芯材16との間に管体15を挟持するための金属製のコレット44と、外筒42のテーパ部42Aとコレット44との間に配置され外筒42を補強する金属製の中間リング52と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
周方向に沿った環状の溝部が軸線方向に沿って所定の間隔で複数形成された管状の芯材と、
前記芯材を覆い、前記芯材との間に管体を挿入可能とされ、軸線方向端部の外周に雄ねじ部が形成されると共に、前記軸線方向端部の内周に該軸線方向端部の端面に向かって拡径して開口するテーパ部が形成された樹脂製の外筒と、
前記外筒の前記雄ねじ部に締め付けられるカバーナットと、
前記芯材の前記溝部に嵌め込まれた止水部材と、
前記外筒の前記テーパ部と前記芯材との間に配置され、前記芯材との間に前記管体を挟持するための金属製のコレットと、
前記外筒の前記テーパ部と前記コレットとの間に配置され前記外筒を補強する金属製の中間リングと、
を有する管継手。
【請求項2】
前記中間リングは、前記外筒における前記軸線方向端部の端面から突出しないように、前記テーパ部の範囲内に配置されている請求項1に記載の管継手。
【請求項3】
前記中間リングは、前記テーパ部と面状に接する形状とされている請求項1又は請求項2に記載の管継手。
【請求項4】
前記中間リングは、前記テーパ部に沿うテーパ外周面と、前記コレットに沿うテーパ内周面を有している請求項3に記載の管継手。
【請求項5】
前記中間リングの最小径は、前記管体の外径よりも大きく設定されている請求項1~請求項4の何れか1項に記載の管継手。
【請求項6】
前記中間リングを構成する金属は、前記コレットを構成する金属よりも硬い請求項1~請求項5の何れか1項に記載の管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
芯材、外筒、カバーナット及びコレットがそれぞれ金属で構成された管継手が開示されている(特許文献1参照)。カバーナットを外筒の雄ねじ部に締め付けるとコレットが外筒のテーパ部に進入して縮径し、コレットと芯材の間に管体を挟むことが可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、軽量化や原価低減の観点から外筒を樹脂製とした場合、外筒が金属製である場合と比較して、外筒のテーパ部に対する金属製のコレットの食い込みにより外筒の雄ねじ部が拡径し易く、カバーナットの締付けトルクの増大が懸念される。更に、金属と樹脂の摩擦による締付けトルクの増大も懸念される。
【0005】
また、外筒を樹脂製とした場合、外筒のテーパ部に金属製のコレットが当接するため、外筒に対するカバーナットの締付け時にコレットにより外筒のテーパ部が削られることが懸念される。テーパ部が削られるとコレットの縮径量が減少するため、外筒が金属製の場合と比較して、コレットによる管体の締付けが少なくなる。
【0006】
本発明は、外筒が樹脂製とされ、コレットが金属製とされた管継手において、カバーナットの締付け時における外筒の拡径を抑制して締付けトルクの増大を抑制すると共に、コレットによる管体の十分な締付けを可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様に係る管継手は、周方向に沿った環状の溝部が軸線方向に沿って所定の間隔で複数形成された管状の芯材と、前記芯材を覆い、前記芯材との間に管体を挿入可能とされ、軸線方向端部の外周に雄ねじ部が形成されると共に、前記軸線方向端部の内周に該軸線方向端部の端面に向かって拡径して開口するテーパ部が形成された樹脂製の外筒と、前記外筒の前記雄ねじ部に締め付けられるカバーナットと、前記芯材の前記溝部に嵌め込まれた止水部材と、前記外筒の前記テーパ部と前記芯材との間に配置され、前記芯材との間に前記管体を挟持するための金属製のコレットと、前記外筒の前記テーパ部と前記コレットとの間に配置され前記外筒を補強する金属製の中間リングと、を有する。
【0008】
この管継手では、樹脂製の外筒のテーパ部と金属製のコレットとの間に金属製の中間リングが配置され、樹脂製の外筒が金属製の中間リングにより補強されている。したがって、外筒に対するカバーナットの締付け時において、外筒のテーパ部に対するコレットの食込みによる外筒の雄ねじ部の拡径が抑制される。したがって、カバーナットの締付けトルクの増大が抑制される。また、中間リングにより、金属製のコレットと樹脂製の外筒との直接接触が抑制される。したがって、金属と樹脂の摩擦によるカバーナットの締付けトルクの増大も抑制される。更に、金属製のコレットと樹脂製の外筒との直接接触が抑制されることで、コレットと外筒との摩擦により外筒のテーパ部が削られることも抑制される。したがって、カバーナットの締付け時におけるコレットの縮径量も確保される。
【0009】
第2の態様は、第1の態様に係る管継手において、前記中間リングが、前記外筒における前記軸線方向端部の端面から突出しないように、前記テーパ部の範囲内に配置されている。
【0010】
この管継手では、中間リングが、外筒における軸線方向端部の端面から突出しないように、テーパ部の範囲内に配置されているので、外筒に対するカバーナットの締付け時におけるカバーナットと中間リングとの干渉が抑制される。したがって、コレットの縮径量を確保できる。
【0011】
第3の態様は、第1の態様又は第2の態様に係る管継手において、前記中間リングが、前記テーパ部と面状に接する形状とされている。
【0012】
この管継手では、中間リングが、テーパ部と面状に接する形状とされているので、カバーナットの締付け時に外筒のテーパ部に局所的に力が作用することを抑制できる。
【0013】
第4の態様は、第3の態様に係る管継手において、前記中間リングが、前記テーパ部に沿うテーパ外周面と、前記コレットに沿うテーパ内周面を有している。
【0014】
この管継手では、中間リングが、テーパ部に沿うテーパ外周面と、コレットに沿うテーパ内周面を有しているので、カバーナットの締付け時にコレットと中間リングが局所的に当接したり、中間リングと外筒のテーパ部とが局所的に当接したりすることを抑制できる。
【0015】
第5の態様は、第1~第4の態様の何れか1態様に係る管継手において、前記中間リングの最小径が、前記管体の外径よりも大きく設定されている。
【0016】
この管継手では、中間リングの最小径が、管体の外径よりも大きく設定されているので、外筒と芯材の間に管体を挿入して管継手に接続する際における中間リングの干渉が抑制される。このため、管体の接続の作業性を確保できる。
【0017】
第6の態様は、第1~第5の態様の何れか1態様に係る管継手において、前記中間リングを構成する金属が、前記コレットを構成する金属よりも硬い。
【0018】
この管継手では、中間リングを構成する金属がコレットを構成する金属よりも硬いので、コレットと中間リングの摩擦により中間リングが削られることが抑制される。このため、カバーナットの締付け時におけるコレットの縮径量が確保される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、外筒が樹脂製とされ、コレットが金属製とされた管継手において、カバーナットの締付け時における外筒の拡径を抑制して締付けトルクの増大を抑制すると共に、コレットによる管体の十分な締付けを可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施形態に係る管継手の組付け状態を示す半断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る管継手の組付け途中の状態を示す半断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る管継手の組付け前の状態を示す半断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る管継手のコレットを示す半断面図である。
【
図6】中間リングが取り付けられた外筒とコレットを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づき説明する。各図面において同一の符号を用いて示される構成要素は、同一又は同様の構成要素であることを意味する。なお、以下に説明する実施形態において重複する説明及び符号については、省略する場合がある。
【0022】
図1から
図3において、本実施形態に係る管継手10は、基体12と、外筒42と、カバーナット46と、止水部材の一例としてのOリング24、26と、コレット44と、中間リング52とを有している。
【0023】
基体12は、ナット14と管状の芯材16とを有している。ナット14は配管13に締結可能とされている。芯材16は、例えば樹脂製の部材である。芯材16には、管体15を接続可能となっている。管体15は、パイプ、ホース、チューブ等である。
【0024】
より具体的に説明すると、ナット14の内周形状と芯材16の外周形状は円形となっている。ナット14における内周の軸線方向に沿った一方の端部(図面右側端部)には、係合部14Aが形成されている。また、ナット14における内周の軸線方向に沿った他方の部位(図面左側の部位)には、雌ねじ部14Bが形成されている。雌ねじ部14Bは、配管13の外周端部に形成される雄ねじ部13Aに締結可能とされている。
【0025】
芯材16における外周部の軸線方向に沿った一方の端部(図面左側端部)には、当接部16Aが形成されている。芯材16の当接部16Aとナット14の係合部14Aとが当接し、芯材16がナット14から抜け落ちないようになっている。また、芯材16の当接部16Aとナット14の係合部14Aとが摺動することで、芯材16とナット14とが軸線回り方向へ回転可能となっている。
【0026】
芯材16の軸心部には、軸線方向に沿って貫通孔となった流路17が形成されている。芯材16における軸線方向の当接部16A側の端面16Bには、シール材21が配置されている。このシール材21は、芯材16と配管13との間の水密性を確保するために設けられている。
【0027】
一方、芯材16における外周部の軸線方向に沿った他方の部位(図面右側の部位)は、ナット14から突出する内筒部16Cとなっている。芯材16の内筒部16Cの外径は、使用される管体15の内径とほぼ同じ径の外径をなす筒状とされている。また、芯材16の内筒部16Cの外周部には軸線方向に沿ってそれぞれ所定の間隔を開けて例えば2本の周溝20、22が形成されている。これらの周溝20、22には、それぞれOリング24、26が嵌め込まれている。また、内筒部16Cの外周部における周溝20、22を除いた部位は、それぞれ周方向に沿った環状の山部63とされている。周溝20、22は、周方向に沿った環状の複数の溝部の一例である。
【0028】
また、芯材16の内筒部16Cに対し、軸径方向の外側に一定の隙間をもって樹脂製の外筒42が配置されている。外筒42は、芯材16の少なくとも内筒部16Cを覆い、芯材16との間に管体15を挿入可能とされている。外筒42の軸線方向端部(図面右側端部)の外周には雄ねじ部42Bが形成されている。外筒42の軸線方向端部(図面右側端部)の内周には該軸線方向端部の端面(図面右側方向の端面)に向かって拡径して開口するテーパ部42Aが形成されている。外筒42の軸線方向における雄ねじ部42Bと反対側の端部42C(図面左側端部)の外周形状は、六角形となっている。
【0029】
外筒42の内周には、凸部42Dが形成されている。この凸部42は、例えば軸線回りに環状に形成されている。芯材16の外周には、環状の凹部16Dが形成されており、凸部42は該凹部16に嵌め込まれている。これにより、外筒42が芯材16に取り付けられている。
【0030】
カバーナット46は、外筒42の雄ねじ部42Bに締め付けられる、例えば金属製の部材である。カバーナット46の内周における軸線方向に沿った他方の端部(図面左側端部)側には、雌ねじ部46Bが形成されており、該雌ねじ部46Bが外筒42の雄ねじ部42Bに締結されるようになっている。また、カバーナット46の内周における軸線方向に沿った一方の端部(図面右側端部)側には、軸先端方向(図面右側方向)に向かって縮径するテーパ部46Aが形成されている。なお、カバーナット46の外周部における軸線方向に沿った一方の端部46C(図面左側端部)の外周形状は六角形となっている。また、カバーナット46の外周部における軸線方向に沿った他方の端部46D(図面右側端部)は端部先端方向(図面右側方向)に向かって縮径する円錐台形状となっている。
【0031】
コレット44は、外筒42のテーパ部と芯材16との間に配置され、芯材16との間に管体15を挟持するための金属製の部材である。具体的には、コレット44は、外筒42と、芯材16の内筒部16Cとの間に配置されている。
図4に示すように、コレット44は、円筒形とされたコレット本体50を備えている。コレット本体50の長手方向中央に形成された中央部54は、外周54Aがコレット本体50の軸線50Aと平行になっており、外径D1の円筒形となっている。
【0032】
また、コレット本体50の中央部54からは、コレット本体50の長手方向(軸線50Aに沿った方向)の両端部に向かってそれぞれ一対のテーパ部56、58が形成されている。テーパ部56、58は、コレット本体50の中央部54から長手方向両端部に向かってそれぞれの外径D2、D3が小さくなる方向に傾斜している。更に、軸線50Aに対するテーパ部56の傾斜角度θ1と、軸線50Aに対するテーパ部58の傾斜角度θ2とは、互いに等しくなっている。
【0033】
コレット本体50の内周50Bには、コレット本体50の周方向に沿ってリング状の溝部としての周溝60が複数形成されており、これらの周溝60は、コレット本体50の長手方向に沿って所定の間隔で形成されている。なお、本実施形態では、コレット本体50の長手方向中央を挟んで2本の周溝60が形成されている。
【0034】
なお、コレット本体12の内周における周溝60を除く部位は、コレット本体50の軸線50Aと平行で、かつそれぞれコレット本体50の軸線50Aに向かって突出する凸部62となっている。この凸部62は、コレット本体50の内周に沿って弧状に形成されている。言い換えれば、コレット本体50の内周には、コレット本体50の周方向に沿った弧状の凸部62が、コレット本体50の長手方向(軸線50A方向)に沿って所定の間隔で形成されている。
【0035】
図1に示すように、外筒42の雄ねじ部42Bにカバーナット46を締め付けた状態で、コレット44の凸部62が、管体15を挟んで芯材16の周溝20、22に嵌め込まれたOリング24、26の半径方向外側と、芯材16の山部63の半径方向外側に配置されるようになっている。コレット44の複数の凸部62によって、管体15の経時変形(へたり)による締め代の低下を防止できると共に、芯材16の周溝20、22からOリング24、26がはみ出すのを防止できるようになっている。
【0036】
図5に示すように、コレット本体50には2本の第1スリット64と4本の第2スリット66とが形成されており、各スリットがコレット本体50の周方向に等間隔で形成されている。なお、2本の第1スリット64は互いに対向する位置(直径上の位置)に配置されている。また、
図4に示すように、第1スリット64は、コレット本体50の一方のテーパ部56の端部56Aに開口部64Aを備え、開口部64Aからコレット本体50の軸線50Aに沿ってコレット本体50の中央部54を越えて形成されており、その先端部64Bがコレット本体50の他方のテーパ部58に達している。一方、第2スリット66は、第1スリット64と反対側のテーパ部58の端部58Aに開口部66Aを備え、開口部66Aからコレット本体50の軸線50Aに沿ってコレット本体50の中央部54を越えて形成されており、その先端部66Bがコレット本体50の他方のテーパ部56に達している。
【0037】
第1スリット64及び第2スリット66は、それぞれ複数の周溝60と交差している。また、第1スリット64が先端部64Bから開口部64Aに向かって同一幅W1になっていると共に、第2スリット66が先端部66Bから開口部66Aに向かって同一幅W2になっている。第1スリット64の幅W1と第2スリット66のW2とは、互いに等しくてもよい。つまり、W1=W2でもよい。
【0038】
図1から
図3、
図6において、中間リング52は、外筒42のテーパ部42Aとコレット44との間に配置され、外筒42を補強する金属製の部材である。中間リング52を、スリーブ等と言い換えることもできる。この中間リング52は、外筒42における軸線方向端部の端面42Eから突出しないように、テーパ部42Aの範囲内に配置されてもよい。中間リング52は、テーパ嵌合によりテーパ部42Aに取り付けられていてもよいし、接着剤によりテーパ部42Aに取り付けられていてもよい。
【0039】
また、中間リング52は、テーパ部42Aと面状に接する形状とされてもよい。具体的には、中間リング52は、例えばテーパ部42Aに沿うテーパ外周面52Aと、コレット44に沿うテーパ内周面52Bを有している(
図3)。このテーパ外周面52Aとテーパ内周面52Bとは、それぞれ互いに平行な円錐面である。換言すれば、芯材16の軸線方向に対するテーパ部42Aの傾斜角度と、該軸線方向に対するテーパ外周面52Aの傾斜角度とが、互いに等しくてもよい。
【0040】
中間リング52の最小径dは、管体15の外径Dよりも大きく設定されてもよい。つまり、d>Dであってもよい。
【0041】
中間リング52を構成する金属は、例えば黄銅である。この金属は、コレット44を構成する金属よりも硬くてもよい。この硬さとは、例えばJIS Z 2244に規定されるビッカース硬さである。
【0042】
(作用)
本実施形態は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。
図1、
図2において、本実施形態に係る管継手10では、配管13に基体12のナット14を締結し、配管13に基体12の芯材16を連結する。また、芯材16の軸線方向の他方の端部がナット14から突出した内筒部16Cとされており、内筒部16Cに管体15を連結し、外筒42の雄ねじ部42Bにカバーナット46を締結することで、コレット44が管体15を挟んで芯材16の内筒部16Cに締め付けられ、内筒部16Cに管体15が連結される。
【0043】
この際、
図1に示すように、外筒42の雄ねじ部42Bにカバーナット46を締め付けた状態で、コレット44の凸部62が、管体15を挟んで芯材16の周溝20、22に嵌め込まれたOリング24、26の半径方向外側に配置される。このため、管体15の経時変形による締め代の低下を防止できる。また、コレット44の凸部62が、管体15を挟んで芯材16の山部63の半径方向外側に配置されるため、芯材16の周溝20、22からOリング24、26がはみ出すのを防止できる。この結果、接続する管体15の柔軟性が高い場合にも、管体15の抜けやシール機能の低下を防止できる。また、本実施形態では、コレット44の周溝20、22に設ける止水部材をOリング24、26としたため、止水部材の取付けや調達が容易である。
【0044】
更に、本実施形態では、樹脂製の外筒42のテーパ部42Aと金属製のコレット44との間に金属製の中間リング52が配置され、樹脂製の外筒42が金属製の中間リング52により補強されている。したがって、外筒42に対するカバーナット46の締付け時において、外筒42のテーパ部42Aに対するコレット44の食込みによる外筒42の雄ねじ部42Bの拡径が抑制される。したがって、カバーナット46の締付けトルクの増大が抑制される。また、中間リング52により、金属製のコレット44と樹脂製の外筒42との直接接触が抑制される。したがって、金属と樹脂の摩擦によるカバーナット46の締付けトルクの増大も抑制される。更に、金属製のコレット44と樹脂製の外筒42との直接接触が抑制されることで、コレット44と外筒42との摩擦により外筒42のテーパ部42Aが削られることも抑制される。したがって、カバーナット46の締付け時におけるコレット44の縮径量も確保される。
【0045】
また、中間リング52が、外筒42における軸線方向端部の端面42Eから突出しないようにテーパ部42Aの範囲内に配置されている場合には、外筒42に対するカバーナット46の締付け時におけるカバーナット46と中間リング52との干渉が抑制される。したがって、コレット44の縮径量を確保できる。
【0046】
更に、中間リング52が、テーパ部42Aに沿うテーパ外周面52Aと、コレット44に沿うテーパ内周面52Bを有し、テーパ部42Aと面状に接する形状とされている場合には、カバーナット46の締付け時にコレット44と中間リング52が局所的に当接することを抑制できる。また、中間リング52と外筒42のテーパ部42Aとが局所的に当接したりすることを抑制できる。
【0047】
また、中間リング52の最小径dが、管体15の外径Dよりも大きく設定されている場合には、外筒42と芯材16の間に管体15を挿入して管継手10に接続する際における中間リング52の干渉が抑制される。このため、管体15の接続の作業性を確保できる。
【0048】
更に、中間リング52を構成する金属がコレット44を構成する金属よりも硬い場合には、コレット44と中間リング52の摩擦により中間リング52が削られることが抑制される。このため、カバーナット46の締付け時におけるコレット44の縮径量が確保される。
【0049】
このように、本実施形態によれば、コレット44が金属製とされた管継手10において、カバーナット46の締付け時における外筒42の拡径を抑制して締付けトルクの増大を抑制すると共に、コレット44による管体15の十分な締付けを可能にすることができる。
【0050】
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態の一例について説明したが、本発明の実施形態は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0051】
中間リング52が、外筒42における軸線方向端部の端面42Eから突出しないように、テーパ部42Aの範囲内に配置される場合について記載したが、これに限られない。例えば、中間リング52が、端面42Eから突出するように配置されていてもよい。
【0052】
また、中間リング52が、テーパ部42Aと面状に接する形状である場合について記載したが、中間リング52がテーパ部42Aと面状に接しない構成であってもよい。例えば、中間リング52のテーパ外周面52Aに多数の小突起を設けて、該小突起がテーパ部42Aに接する構成であってもよい。
【0053】
更に、中間リング52の最小径dが管体15の外径Dよりも大きく設定される(d>D)場合について記載したが、管体15の接続及び取外しに影響がなければ、d≦Dであってもよい。
【符号の説明】
【0054】
10…管継手、15…パイプ(管体)、16…芯材、20…周溝(溝部)、21…シール材、22…周溝(溝部)、24…Oリング(止水部材)、26…Oリング(止水部材)、42…外筒、42A…テーパ部、42B…雄ねじ部、42E…端面、44…コレット、46…カバーナット、52…中間リング、52A…テーパ外周面、52B…テーパ内周面、d…中間リングの最小径、D…管体の外径