(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022057728
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】天井埋込型空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 13/20 20060101AFI20220404BHJP
【FI】
F24F1/0007 401D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020166123
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】野口 浩章
【テーマコード(参考)】
3L051
【Fターム(参考)】
3L051BJ10
(57)【要約】
【課題】天井裏の空気が本体ユニットに形成された吸込開口に進入することを抑制できる天井埋込式の室内機を備えた空気調和機を提供する。
【解決手段】吹出開口15と吸込開口14とを有する本体ユニット2と、本体ユニット2に配置され電装備品を収容する電装箱30と、本体ユニット2の底面に取り付けられ吹出口6及び吸込口5が形成された化粧パネル3と、を備え、本体ユニット2が建屋の天井裏に設置される天井埋込型空気調和機において、吸込口5の内周面27が本体ユニット2の側面を外方側に越えて配置されている側の化粧パネル3の内側面28と本体ユニット2の底面との間に、天井空間と吸込開口14との連通を妨げる遮風板25が設けられている天井埋込型空気調和機。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方側の底面に形成される吹出開口と、後方側の底面に形成される吸込開口と、内部の前方側に配置する熱交換器室と、内部の後方側に配置する送風機室と、を有する本体ユニットと、
前記本体ユニットに配置され電装備品を収容する電装箱と、
前記本体ユニットの底面に取り付けられ吹出口及び吸込口が形成された化粧パネルと、を備え、
前記本体ユニットが建屋の天井裏に設置される天井埋込型空気調和機において、
前記吸込口の内周面が前記本体ユニットの側面を外方側に越えて配置されている側の前記化粧パネルの内側面と前記本体ユニットの底面との間に、天井空間と前記吸込開口との連通を妨げる遮風板が設けられていることを特徴とする天井埋込型空気調和機。
【請求項2】
前記遮風板の上面は前記本体ユニットの底面に近接することを特徴とする請求項1に記載の天井埋込型空気調和機。
【請求項3】
前記遮風板の前面側と後面側とが前記化粧パネルに支持されて、前記遮風板は前記化粧パネルに取り付けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の天井埋込型空気調和機。
【請求項4】
前記遮風板の底面と前記化粧パネルの内側面との間には、クリアランスが設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の天井埋込型空気調和機。
【請求項5】
前記電装箱は前記本体ユニットの一方の側面側に配置され、
前記本体ユニット一方の側面側の、前記化粧パネルの内側面と前記本体ユニットの底面との間に前記遮風板が設けられている請求項1から4のいずれか1項に記載の天井埋込型空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井埋込型空気調和機であって、本体ユニットの底面に化粧パネルを備えた天井埋込型空気調和機の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、天井内に収容される天井埋込型室内機を備えた空気調和装置(空気調和機)が開示されている。この室内機は、箱型の本体(本体ユニット)の底面に化粧パネルを備え、この化粧パネルは、本体ユニットの吸込口(吸込開口)、吹出口(吹出開口)にそれぞれ連通する吸込口、吹出口と、吸込口を覆う開閉自在な吸込グリルを有している。そして、本体ユニットの内部には、図示されていない送風機ユニット、熱交換器等が配置されており、電気制御部品が収容された電装箱が本体内部の一方の側面側に配置されている。
【0003】
特許文献1に開示された、本体、電装箱、パネルを備えている天井埋込型室内機において、部品の共通化のため電装箱の側面に点検口が設けてある場合がある。その場合、点検作業用の作業スペースを確保するために、本体の幅よりパネルの幅を大きくして、
図9に示す概略図のように、本体の右方よりも電装箱が配置されている本体の左方にパネルを片寄らせて配置する。また、現場での取り付け作業を容易にするため、本体は出来るだけコンパクトにし、パネルは他の機種に使用されていたパネルを使用する場合などは、本体の幅よりパネルの幅が大きくなり、同様に、本体の右方よりも本体の左方にパネルを片寄らせて配置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図9に示すように、本体ユニットの幅より化粧パネルの幅を大きくして、本体の電装箱側に化粧パネルを片寄らせて配置する場合、電装箱側の本体側面と天井開口の内周面との間に大きな隙間が出来てしまい、その隙間から、空気調和される室内の空気ではなく天井裏の空気が吸込開口に流れてしまうという問題があった。
上記課題に鑑み、本発明の目的は、天井裏の空気が本体ユニットに形成された吸込開口に進入することを抑制できる天井埋込型室内機を備えた天井埋込型空気調和機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、前方側の底面に形成される吹出開口と、後方側の底面に形成される吸込開口と、内部の前方側に配置する熱交換器室と、内部の後方側に配置する送風機室と、を有する本体ユニットと、本体ユニットに配置され電装備品を収容する電装箱と、本体ユニットの底面に取り付けられ吹出口及び吸込口が形成された化粧パネルと、を備え、本体ユニットが建屋の天井裏に設置される天井埋込型空気調和機において、吸込口の内周面が本体ユニットの側面を外方側に越えて配置されている側の化粧パネルの内側面と本体ユニットの底面との間に、天井空間と吸込開口との連通を妨げる遮風板が設けられている天井埋込型空気調和機である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、天井裏の空気が本体ユニットに形成された吸込開口に進入することを抑制できる天井埋込型室内機を備えた空気調和機を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】本発明の実施形態に係る天井埋込型空気調和機の室内機であって、下方の背面側から見た斜視図である。
【
図1B】本発明の実施形態に係る天井埋込型空気調和機の室内機であって、上方の前面側から見た斜視図である。
【
図2A】本発明の実施形態に係る天井埋込型空気調和機の室内機から化粧パネルを取り外した状態であって、本体ユニットに吹出チャンバが取付いた状態を下方の前面側から見た斜視図である。
【
図2B】本発明の実施形態に係る天井埋込型空気調和機の室内機から化粧パネルを取り外した状態であって、本体ユニットと吹出チャンバが分離した状態を下方の前面側から見た斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る天井埋込型空気調和機の電装箱を下方の背面側から見た斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る天井埋込型空気調和機の吹出チャンバを下方の背面側から見た斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る天井埋込型空気調和機の室内機であって、天井に取り付いた本体ユニットに化粧パネルを吊り下げた状態を下方の前面側から見た斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る天井埋込型空気調和機の室内機であって、天井に取り付いた本体ユニットに化粧パネルを吊り下げる前の状態を下方の前面側から見た斜視図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る天井埋込型空気調和機の室内機であって、室内機の化粧パネルに遮風板を設けた断面概略図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る天井埋込型空気調和機の室内機であって、天井に取り付いた室内機から化粧パネルを吊り下げた場合の天井開口を下方の前面側から見た斜視図である。
【
図9】従来技術に係る天井埋込型空気調和機の室内機の断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明に係る天井埋込型空気調和機の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例0010】
図1A、1B、
図2A、2Bを参照して、室内機1及び本体ユニット2について説明する。
図1Aは、室内機1が室内の天井に設置されて室内を空調する天井埋込型空気調和機であって、室内機1の本体ユニット2が天井裏に設置される実施形態を下方から見た斜視図である。室内機1は、本体ユニット2の四隅にある吊り金具22に係止されるボルト(図視無し)によって、建屋の天井上壁から吊り下げて設置する。
【0011】
まず、室内機1について説明する。室内機1は、天井裏に設置される本体ユニット2と、本体ユニット2の前面に取り付く吹出チャンバ40と、本体ユニット2の左方側に配置され図示しない電装部品を収納する電装箱30と、天井の室内側に配置されて本体ユニット2の底面に取り付く化粧パネル3を有している。化粧パネル3は、後方側に室内の空気を本体ユニット2内に吸い込む吸込口5と、前方側に本体ユニット2からの空気流を吹き出す開閉可能な吹出口6を備えている。本体ユニット2は内部に室内熱交換器19(
図2B参照)と送風機としてのシロッコファン20とを備え、室内熱交換器19を流れる冷媒と化粧パネル3の吸込口5から吸い込まれた空気が熱交換し、熱交換した空気が、後述する吹出チャンバ40の底面側に形成されたチャンバ吹出口46を介して化粧パネル3の吹出口6から吹き出される。吸込口5は、塵やごみなどを取り除くフィルタ7が取付けられた吸込グリル4で覆われている。
【0012】
なお、
図1Aにおける室内機1において、化粧パネル3側の方向を底面または下方、化粧パネル3と反対側となる方向を上面または上方、吹出口6側を前面または前方、吸込口5側を背面側または後方、電装箱30が取付く側の側面を左側面または左方、電装箱30が取付く側の反対の側面を右側面または右方として以下説明する。以下の図においても同様である。
【0013】
図1Bは、室内機1を上方の前面側から見た斜視図である。本体ユニット2の前面には、本体ユニット2の前面
後方から前方に向かって吹き出された空気流を底面側に向かって吹き出させるように、空気流の方向を変える吹出チャンバ40が配置されている。電装箱30は、本体ユニット2の背面と左方の側面で形成される隅部の内側に配置されている。化粧パネル3は、本体ユニット2の底面、吹出チャンバ40の底面及び電装箱30の底面を覆うように、本体ユニット2の底面に取り外し可能に取り付いており、本体ユニット2の底面に化粧パネル3が取り付いた状態では、化粧パネル3の吸込グリル4が吸込開口14を覆うように位置し、化粧パネル3の吹出口6が後述する吹出チャンバ40に形成されたチャンバ吹出口46連通するように位置している。化粧パネル3を取り外すと、本体ユニット2の底面、吹出チャンバ40の底面及び電装箱30の底面が、室内側に露出するようになっている。
【0014】
また、電装箱30の底面と対向する位置の化粧パネル3の上面には、遮風板25が取り付けられており、遮風板25が、化粧パネル3が本体ユニット2に取り付いたときに形成される化粧パネル3と電装箱30との間の隙間を埋める。この遮風板25によって、空気調和される室内の空気ではない天井裏の空気が後述する送風機室18の吸込開口14に吸い込まれるのを抑制することができる。
【0015】
次に、本体ユニット2について説明する。
図2Aは、室内機1から化粧パネル3を取外した状態の本体ユニット2に吹出チャンバ40が取付いた状態を、下方の前面側から見た斜視図であり、
図2Bは、本体ユニット2と吹出チャンバ40が分離した状態を下方の前面側から見た斜視図である。本体ユニット2は、上面を形成する天板9、左右の側面を形成する一対の側板10、底面を形成する底板11、前面を形成する前面板12、背面を形成する背面板13、及び、前面板12と背面板13の前後方向中間に位置する仕切板26(
図3を参照)を備えた筐体8を有し、左方側の側板10は右方側の側板10より前後方向の長さが短く形成されている。筐体8の前方側に熱交換器室17、後方側に送風機室18が配置され、熱交換器室17と送風機室18とは仕切板26によって仕切られている。電装箱30は、筐体8の背面と左方の側面とで形成される隅部の内側であって天板9の内部面に配置されている。
【0016】
熱交換器室17は、左方側の側板10、右方側の側板10、天板9、底板11、前面板12、仕切板26によって形成され、送風機室18は、右方側の側板10、天板9、仕切板26、背面板13、及び、筐体8に設置された電装箱30によって形成される。尚、筐体8が、ダクト型空気調和機の本体ユニットの筐体として使用できるように、背面板13は取り外し可能となっており、背面板13を取り外すことにより、筐体8の背面側に吸込開口が形成されるようになっている。熱交換器室17には、屋外に設置された室外機と接続される室内熱交換器19と、室内熱交換器19の下方に配置されるドレンパン21とが収容され、送風機室18には、化粧パネル3の吸込口5を介して室内の空気を吸い込む送風機としてのシロッコファン20が2台配置されている。
【0017】
本体ユニット2の後方側に配置された送風機室18の底面側には、化粧パネル3の吸込口5と連通する吸込開口14が形成されており、シロッコファン20の作動により室内からの空気を、吸込口5及び吸込開口14を介して本体ユニット2内に吸い込む。本体ユニット2の前方側に配置された熱交換器室17の前面には吹出開口15が形成され、吹出開口15から室内熱交換器19によって冷媒と熱交換した空気流が吹き出される。仕切板26には図示しない開口が形成されて送風機室18と熱交換器室17とを連通させ、シロッコファン20によって吸込開口14から吸い込まれた空気は、熱交換器室17へ送られ、室内熱交換器19と熱交換した空気は吹出開口15から吹き出される。
【0018】
次に、
図3を参照して電装箱30について説明する。電装箱30は送風機室18の左方側に隣接して筐体8に配置されている。電装箱30は、電装箱30が筐体8に配置された状態で、筐体8の背面側に位置する一方の電装箱側板32、筐体8の前面側に位置する他方の電装箱側板32、筐体8の左方側に位置する電装箱前面板34(天板9)、送風機室18側に位置する電装箱背面板33、筐体8の底面側に位置する電装箱底板31を有し、上方側の面は天板9で覆われている。電装箱背面板33は送風機室18の左方側を仕切る仕切板として機能する。
【0019】
電装箱底板31には電装箱底面開口35が形成されており、電装箱底面開口35は本発明において第1点検口として機能する。また、電装箱前面板34の下には電装箱前面開口36が形成されており、電装箱前面開口36は本発明において第2点検口として機能する。電装箱底面開口35と電装箱前面開口36との間には、支持部材として補強桟39が設けられている。補強桟39が設けられることによって、補強桟39が支持部材として機能し電装箱30の変形を抑制できる。また、電装箱底面開口35の開口面積は電装箱前面開口36の開口面積より小さく形成されている。電装箱底面開口35は、主に電装箱30内部の視認用に用いられるため、開口面積を大きくする必要がなく、電装箱底面開口35の開口面積を電装箱前面開口36の開口面積より小さくすることによって、電装箱30の強度を保ち変形を抑制できる。尚、本実施形態では、電装箱底面開口35と電装箱前面開口36との間に補強桟39が設けられているが、必ずしも補強桟39が設けられている必要はない。
【0020】
電装箱30が筐体8に配置された状態で、電装箱30の底面を構成する電装箱底板31が本体ユニット2の底面側に露出し、電装箱30の左方側の側面を構成する電装箱前面板34は本体ユニット2の側面側に露出する。尚、本実施形態では、電装箱30の左方側の側面と本体ユニット2の側面とが段差無く同一面高さとなるように配置されている。電装箱底板31に形成された電装箱底面開口(第1点検口)35には、電装箱底面開口35を塞ぐ第1点検蓋37が取り付けられている。また、電装箱前面板34に形成された電装箱前面開口36(第2点検口)には、電装箱前面開口36を塞ぐ第2点検蓋38が取り付けられており、第1点検蓋37と第2点検蓋38は互いに分離している。第1点検蓋37は、一端側が1個のネジ371によって、他端側は係止片372によって、電装箱底面開口35が形成された電装箱底板31に取り外し可能に取り付けられている。また、第2点検蓋38は、3個のネジによって、側板10と電装箱底板31に取り外し可能に取り付けられている。
【0021】
吹出チャンバ40は、側方側の両端に一対の端板を備え、底面側と背面側に開口を有した箱状に形成されており、本体ユニット2の前面に形成された吹出開口15を覆うように、本体ユニット2の前面に取り外し可能に取り付けられている。
図4は吹出チャンバ40を下方の背面側から見た斜視図である。
図4に示すように、吹出チャンバ40は、上面を形成するチャンバ天板41、端板としての左右の側面を形成するチャンバ側板42、前面を形成するチャンバ前面板43、背面を形成するチャンバ背面板44を備えている。チャンバ背面板44には、本体ユニット2の前面に形成された吹出開口15と連通し、吹出開口15の左右方向の幅L1と上下方向の幅L2(
図2B参照)が略同一であるチャンバ吸込口45が形成されている。吹出チャンバ40の底面側は全面に渡ってチャンバ吹出口46が形成されている。
【0022】
吹出チャンバ40の左右方向幅は、本体ユニット2を構成する筐体8の左右方向幅より長く設定され、吹出チャンバ40が筐体8に取り付けられた状態で、右側のチャンバ側板42は筐体8の右側の側板10から突出することなく同一面高さになり、左側のチャンバ側板42が筐体8の電装箱30が配置されている側である左側の側板10よりも突出するように、すなわち、電装箱30の左方側の側面よりも突出するようになっている。また、チャンバ吹出口46の左右方向幅L3は吹出開口15の左右方向幅L1より長く設定されている。
【0023】
チャンバ吸込口45を介して本体ユニット2から前方に吹き出した空気流は、吹出チャンバ40の内部に入り、チャンバ天板41、左右のチャンバ側板42、チャンバ前面板43によって、本体ユニット2の底面方向に向きを変えて、チャンバ吹出口46から吹き出されるため、吹出チャンバ40は空気流の向きを変更する風向ガイドとしての機能を有している。本実施形態では、チャンバ天板41、左右のチャンバ側板42、チャンバ前面板43がガイド部47として、空気流の向きを変更するガイド機能を果たしている。また、本体ユニット2の吹出開口15から前方に吹き出した空気流は、吹出開口15の左右方向の幅L1より長い幅L3であるチャンバ吹出口46から吹き出されるため、吹出チャンバ40は、空気流の幅を拡張させる機能を有している。
【0024】
次に、化粧パネル3と本体ユニット2の取付け構造について、
図5、
図6を参照して説明する。
図5は、天井に設置された室内機1のメンテナンスを行うめに、本体ユニット2の底面から化粧パネル3を取り外した状態を下方の前面側から見た斜視図であり、
図6は、本体ユニット2の底面の後方側に取り付いた後述する吊り部材100に化粧パネル3を取り付ける前の状態を下方の前面側から見た斜視図である。化粧パネル3は、図示しない係合部材によって、本体ユニット2の底面に脱着可能に取り付いている。化粧パネル3を本体ユニット2の底面に取り付けるための図示しない係合部材とは別に、化粧パネル3を本体ユニット2の底面から取り外した状態で、化粧パネル3を本体ユニット2から吊り下げるために、本体ユニット2の後方側の底面と化粧パネル3の上面の後方側との間には、同一長さである3本の吊り部材100が配置されている。吊り部材100は、化粧パネル3に取り付く輪状に形成され化粧パネル側端末103と、本体ユニット2に取り付く輪状に形成された本体ユニット側端末102と、化粧パネル側端末103と本体ユニット側端末102とに接続して可撓性を有する連結支持部材としての吊りワイヤー101を有している。本体ユニット側端末102は本体ユニット2の背面板13の内面に固定された吊り部材固定部104に係止され、化粧パネル側端末103は化粧パネル3の上面に取り付いた吊り部材係止部105に係止されている。
【0025】
吊りワイヤー101は金属製ワイヤーで可撓性を有しており、長さは、化粧パネル3が本体ユニット2から吊り下がった状態で、化粧パネル3の後方側端縁部が本体ユニット2に接触しないような十分な長さとなっている。本実施形態では、化粧パネル3を本体ユニット2の底面に取付けるための図示しない係合部材とは別に、化粧パネル3を本体ユニット2の底面から取り外した状態で、化粧パネル3を本体ユニット2から吊り下げるために、本体ユニット2の後方側の底面と化粧パネル3の上面の後方側との間に吊り部材100を設けている。そのため、吊り部材100は複雑な構造のヒンジを用いることなく簡単な構成で対応できる。しかも、吊りワイヤー101は金属製ワイヤーであり可撓性を有しているため、製品の大きさや形状に合わせて設計することが容易であり、安価に製作できる。吊り部材固定部104はネジを用いており、輪状の本体ユニット側端末102は吊り部材固定部104としてのネジによって本体ユニット2に固定されている。吊り部材係止部105もネジを用いており、輪状の化粧パネル側端末103は吊り部材係止部105としてのネジによって化粧パネル3に固定されている。
【0026】
化粧パネル3を本体ユニット2の底面から、図示しない係合部材の係合状態を外して、取り外すと、
図5に示すように、化粧パネル3の後方側が3本の吊り部材100によって本体ユニット2の後方側の底面から吊り下がった状態となり、本体ユニット2の底面全体が露出する。そのため、作業者は、フィルタ7の交換作業や、本体ユニット2のメンテナンス、例えば、電装箱30に収容された電装部品の交換、シロッコファン20のモータの交換などを含めたメンテナンス、または、本体ユニット2の底板11を取り外すことによって、室内熱交換器19やドレンパン21の交換を含めたメンテナンスも、容易に行うことができる。また、化粧パネル3の後方側が吊り部材100によって本体ユニット2の後方側底面から吊り下がっているため、取り外した化粧パネル3をわざわざ床に置きに行ったり、他の作業者に渡したりせずにメンテナンスを行えるので、作業の効率化が図れる。
【0027】
通常、工場出荷時において、本体ユニット2に化粧パネル3は取り付いておらず、本体ユニット2と化粧パネル3とは別々に現場に送られ、現場で、本体ユニット2を建屋に取り付け、本体ユニット2を建屋に取り付けた後、化粧パネル3を本体ユニット2に取り付ける作業が行われる。工場出荷時に、吊り部材100は本体ユニット2に取り付いている。まず、現場で本体ユニット2を建屋に取り付ける。本体ユニット2を建屋に取り付けると、
図6に示すように、吊り部材100の吊りワイヤー101は可撓性を有しているため、吊り部材100が本体ユニット2から吊り下がった状態となっている。次に、吊り下がった状態の吊り部材100に化粧パネル3を取り付ける。現場では、吊り下がった状態となっている吊り部材100に化粧パネル3を取り付けるだけの作業であるため、容易に化粧パネル3を吊りワイヤー101に取り付けることができる。
【0028】
本実施形態では、吊り部材100は可撓性を有する金属製ワイヤーを用いているが、可撓性を有し、化粧パネル3の重量を支えられる強度があれば、金属製ワイヤーに限らず、カーボン繊維の素材などが含まれた樹脂製部材であってもよい。また、金属製チェーンであってもよい。
【0029】
次に、
図6から
図8を参照して、本体ユニット2の底面に化粧パネル3が取り付いた構造について説明する。尚、
図6において、
図6の上側を上面(上方)、下側を底面(下方)、左側を右側面(右方)、右側を左側面(左方)、紙面の手前側を前面(前方)、紙面の奥側を後面(後方)として表現する。化粧パネル3は、本体ユニット2の底面に取り付けられた取付金具23にネジによって脱着自在に取り付いている。
図7に示すように、本体ユニット2の左右方向の幅より化粧パネル3の左右方向の幅は大きく、化粧パネル3は本体ユニット2の左右方向に対して右方よりも左方に片寄って取り付けられている。そのため、天井に取り付けられた本体ユニット2に化粧パネル3が取り付いた状態では、本体ユニット2の左側面と天井に形成された天井開口60の内周面との間に作業スペース50が大きく確保される。化粧パネル3には吸込口5が左右方向で対称になるように形成されており、化粧パネル3の下方面には、吸込口5を覆う吸込グリル4が左右方向で対称になるように取付けられている。
【0030】
本体ユニット2の左右方向の幅より化粧パネル3の左右方向の幅は大きく、化粧パネル3は本体ユニット2の左右方向に対して右方よりも左方に片寄って取り付けられ、また、化粧パネル3には吸込口5が左右方向で対称になるように形成されているため、吸込口5の内周面である吸込口内周面27は、電装箱30の側面と同一面高さとなる本体ユニット2の左側面よりも、外方側、
図7においては左方側を越えて配置されている。本体ユニット2の右方側の底面と化粧パネル3の内側面である化粧パネル内側面28との間には、天井裏の空間と吸込開口14との連通を妨げる断熱材24が化粧パネル内側面28に取り付けられている。一方、吸込口内周面27が本体ユニット2の左側面である電装箱30の側面(電装箱30の左方側の側面を構成する電装箱前面板34)よりも、外方側を越えて(
図7において、電装箱の側面より左方側)配置されているため、すなわち、本体ユニット2の左方側の底面と対向する化粧パネル内側には、吸込口5の開口によって化粧パネル内側面28がないため、本体ユニット2の左方側の底面と化粧パネル内側面28との間には、本体ユニット2の右方側のように断熱材24を取り付けることはできない。そのため、本体ユニット2の左方側の底面となる電装箱30の底面と化粧パネル内側面28との間には、天井裏の空間と吸込開口14との連通を妨げるための遮風板25が設けられている。
【0031】
化粧パネル3が本体ユニット2に取り付けられた状態で、遮風板25の上面が本体ユニット2の電装箱30の底面に近接するように、遮風板25の前面側に設けた前方側フランジ55、後面側に設けた後方側フランジ56の2方側が
図1Bおよび
図5に示すように化粧パネル3に支持されて、遮風板25は化粧パネル3にネジによって取り付けられている。そのため、天井裏の空間と吸込開口14との連通を妨げることができるため、天井裏の空気が吸込開口14に進入することを抑制できる。また、遮風板25の底面と化粧パネル3の内側面である化粧パネル内側面28との間には、クリアランス29が設けられている。クリアランス29が設けられているため、遮風板25の底面と化粧パネル3の内側面とで形成される空間が空気通路として機能し、吸込口5(
図6、7において網掛けで示す部分)の開口の全てを有効に使うことができる。尚、遮風板25には図示しない開口が形成され、その開口には蓋52が取り付けられている。その開口は化粧パネル3を本体ユニット2に取り付ける際に、ケーブルが本体ユニット2の底面と遮風板25の上面との間に挟まっていないかを確認するために用いられる。
【0032】
本実施形態では、遮風板25は化粧パネル3に取り付いているが、天井裏の空間と吸込開口14との連通を妨げる構造であれば、遮風板25は本体ユニット2に取り付いていても構わない。ただし、化粧パネル3を本体ユニットから取り外したとき、遮風板25が本体ユニット2に取り付いていると、本体ユニット2から遮風板25が飛び出ているため、作業の妨げになる場合があるので、遮風板25は化粧パネル3に取り付いていることが望ましい。また、遮風板25は板状の構成としているが、遮風板25は板状である必要はなく、板金などを曲げて形成した他の形状であってもよい。
【0033】
また、本実施形態では、電装箱30の底面と化粧パネル内側面28との間に、天井裏の空間と吸込開口14との連通を妨げるための遮風板25が設けられているが、電装箱30が配置されていない側の吸込口内周面27が、本体ユニット2の側面よりも外方側に越えて配置されている場合は、本体ユニット2の底面と化粧パネル内側面28との間に遮風板25を設けてもよい。電装箱30も本体ユニット2の一部であるため、遮風板25は本体ユニット2の底面と化粧パネル内側面28との間に配置されていればよい。
【0034】
図7は、天井に設置された本体ユニット2の底面から化粧パネル3を取り外し、化粧パネル3を吊り下げた状態を下方の前面側から見た斜視図である。
図7に示す二点鎖線は、室内機1を設置するために天井に設けられた天井開口60を示す。電装箱30の底面である電装箱底板31が本体ユニット2の底面側に露出し、電装箱30の側面を構成する第2点検蓋38が本体ユニット2の側面側に露出して、電装箱30が本体ユニット2に配置されているため、本体ユニット2から化粧パネル3を取外すと、電装箱30の電装箱底板31が露出する。また、本実施形態の室内機1は、本体ユニット2に対して吹出チャンバ40が電装箱30側に突出するように取付いているため、天井開口60には、
図7において網掛けで示すような作業スペース50が確保される。そのため、第2点検蓋38も天井開口60を通して露出していることが確認できる。
【0035】
次に、本実施形態の室内機1を点検する場合について説明する。天井に設置された本体ユニット2の底面から化粧パネル3を取り外し、化粧パネル3を吊り下げた状態にすると、天井開口60を通して電装箱30が露出するため、第1点検蓋37と第2点検蓋38を取り外して、電装箱底面開口35及び電装箱前面開口36が現れるようにし、電装箱前面開口36から工具等を入れ、電装箱底面開口35は視認用の窓として点検作業を行うことができる。
【0036】
従来のように、電装箱の底面または側面のいずれか一つにしか点検口が設けられていない場合は、一つの点検口に工具や手を入れるため、工具や手が邪魔になって、電装箱の内部を良く視認できないという問題があったが、本実施形態の室内機1では、電装箱底面開口35及び電装箱前面開口36の二つの点検口が設けられているため、電装箱前面開口36を作業用とし、電装箱底面開口35を視認用として用いることによって、工具や手が邪魔にならずに電装箱の内部を視認できるので、電装品を点検する際の作業性を向上させることができる。
【0037】
また、電装箱底面開口35及び電装箱前面開口36の二つの点検口が設けられているため、二つの点検口を通して照明の光を入れることができるため、点検口が一つの場合に比べて電装箱30の内部を明るく照らすことができるので、電装品を点検する際の作業性を向上させることができる。
【0038】
また、天井に設置された本体ユニット2の底面から化粧パネル3を取り外すと、化粧パネル3は吊り下がった状態となっているため、作業者が取り外した化粧パネル3を床に運ぶなどのために梯子などを降りることなく、化粧パネル3の吸込グリル4に設けられたフィルタ7の掃除や、フィルタ7の交換作業を容易に行うことができる。
【0039】
本実施形態の室内機1では、電装箱底面開口35に設けた第1点検蓋37と、電装箱前面開口36に設けた第2点検蓋38とは分離しているため、例えば、電装箱30の内部に設けられた電子表示機器の表示状態を確認するだけの作業の場合は、第2点検蓋38を取り外さず、底面側から第1点検蓋37だけを取り外すだけの簡単な作業で行えるので、電装品を点検する際の作業性を向上させることができる。
【0040】
本実施形態において、電装箱30は、筐体8の背面と左方の側面とで形成される隅部の内側、すなわち、本体ユニット2の内部に配置されているが、電装箱底面開口35が本体ユニット2の底面側に露出し、電装箱前面開口36が本体ユニット2の側面側に露出するように電装箱30が筐体8に配置されていれば、例えば、筐体8の側板10の外側面に電装箱30が取付いていてもよい。
【0041】
本実施形態において、吹出チャンバ40の一方のチャンバ側板42の端面は、本体ユニット2の電装箱30が配置されている側の側面よりも突出しているが、必ずしも突出していなくてもよい。ただし、点検する際の作業スペースを確保できるので、本実施形態のように、吹出チャンバ40の一方のチャンバ側板42の端面は、本体ユニット2の電装箱30が配置されている側の側面より突出していることが望ましい。
【0042】
また、本実施形態においては、吹出チャンバ40の他方のチャンバ側板42の端面は、本体ユニット2の電装箱30が配置されている側とは反対側の側面と段差がなく同一面高さとなっているが、両側のチャンバ側板42の端面が、本体ユニット2の両側の側面よりも突出していてもよい。ただし、本体ユニット2に吹出チャンバ40が取付いた状態で梱包材によって梱包する場合、突出する部分が少ない方が梱包材の構造が簡単になるため、吹出チャンバ40の一方のチャンバ側板42の端面だけが、本体ユニット2の電装箱30が配置されている側の側面より突出していることが望ましい。
【0043】
また、本実施形態において、吹出チャンバ40は、側方側の両端に端板を備え、底面側と背面側に開口を有した箱状に形成されているが、背面側のチャンバ吸込口45と、底面側のチャンバ吹出口46と、チャンバ吸込口45とチャンバ吹出口46の間に配置されるガイド部47を備えていれば、箱状である必要はなく、例えば、チャンバ吸込口45とチャンバ吹出口46の間を円弧状に曲げた板で構成した1/4円柱状、または、チャンバ吸込口45とチャンバ吹出口46の間を斜面状に形成した三角柱状であってもよい。
【0044】
以上、限られた数の実施形態を参照しながら説明したが、権利範囲はそれらに限定されるものではなく、上記の開示に基づく実施形態の改変は、当業者にとって自明のことである。
1…室内機、2…本体ユニット、3…化粧パネル、5…吸込口、6…吹出口、8…筐体、14…吸込開口、15…吹出開口、17…熱交換器室、18…送風機室、19…室内熱交換器、20…シロッコファン、24…断熱材、25…遮風板、26…仕切板、27…吸込口内周面、28…化粧パネル内側面、30…電装箱、31…電装箱底板、32…電装箱側板、33…電装箱背面板、34…電装箱前面板、35…電装箱底面開口(第1点検口)、36…電装箱前面開口(第2点検口)、37…第1点検蓋、38…第2点検蓋、39…補強桟、40…吹出チャンバ、41…チャンバ天板、42…チャンバ側板、43…チャンバ前面板、44…チャンバ背面板、45…チャンバ吸込口、46…チャンバ吹出口、47…ガイド部、50…作業スペース、52…蓋、55…前方側フランジ、56…後方側フランジ、60…天井開口、100…吊り部材、101…吊りワイヤー、102…本体ユニット側端末、103…化粧パネル側端末、104…吊り部材固定部、105…吊り部材係止部