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  • 特開-二人用ブース 図1
  • 特開-二人用ブース 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022057731
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】二人用ブース
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/12 20060101AFI20220404BHJP
   A47B 83/02 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
E04H1/12 302Z
A47B83/02
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020166126
(22)【出願日】2020-09-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-02-10
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 淳一
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 響平
【テーマコード(参考)】
3B260
【Fターム(参考)】
3B260AB01
3B260AB06
3B260AB07
3B260AC02
(57)【要約】
【課題】限られたスペース内でより多くの利用者が良好な音環境下で作業することが可能な二人用ブースを提供する。
【解決手段】左側板3と右側板2との間の空間を上下二つの空間に分ける上下仕切板4と、上下仕切板4の上側の空間を手前側の空間と奥側の空間とに分ける垂直仕切板5と、垂直仕切板5の手前側の空間に、右側板2から水平に突出して設けられたテーブル板6と、垂直仕切板5の左側板3に近い側の下部に開けられ、垂直仕切板5と上下仕切板4とが接する箇所を底辺とする開口部4aと、垂直仕切板5の手前側の空間に設けられ、開口部4aを開口端とする中空の箱状部材7と、を備え、テーブル板6と箱状部材7とは一対の第一のテーブルと椅子をなし、上下仕切板4の上面の、垂直仕切板5の奥側の領域及び箱状部材7の底面となる領域は、第二のテーブルをなす。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに向かい合う左側板及び右側板と、
前記左側板と前記右側板との間に水平に設けられ、前記左側板と前記右側板との間の空間を上下二つの空間に分ける上下仕切板と、
前記上下仕切板の、手前側から見て前記左側板と前記右側板との間に、前記上下仕切板と前記左側板と前記右側板とのそれぞれと垂直に設けられ、前記上下仕切板の上側の空間を手前側の空間と奥側の空間とに分ける垂直仕切板と、
前記垂直仕切板の手前側の空間に、前記右側板及び前記左側板の一方から水平に突出して設けられたテーブル板と、
前記垂直仕切板の前記右側板及び前記左側板の他方に近い側の下部に開けられ、当該垂直仕切板と前記上下仕切板とが接する箇所を底辺とする開口部と、
前記垂直仕切板の手前側の空間に設けられ、前記開口部を開口端とする中空の箱状部材と、
を備え、
前記テーブル板と前記箱状部材とは、一対の第一のテーブルと椅子とをなし、
前記上下仕切板の上面の、前記垂直仕切板の奥側の領域及び前記箱状部材の底面となる領域は、第二のテーブルをなすことを特徴とする二人用ブース。
【請求項2】
前記垂直仕切板は、上垂直板と下垂直板とを含み、平面視で、前記上垂直板は前記下垂直板よりも奥側に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の二人用ブース。
【請求項3】
平面視で、前記上垂直板の前記右側板側及び前記左側板側の一方は、他方よりも奥側に膨らんで形成されていることを特徴とする請求項2に記載の二人用ブース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二人用ブースに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、働き方改革による、テレワークやリモートワーク等の多様な働き方の推進、また、コロナウィルスの影響等により、自宅やサテライトオフィスでのテレワークが加速している。また、コロナウィルスの影響を受けて、企業によっては、事務所を縮小する傾向にあり、テレワークの比率が増大すると予想される。
【0003】
ところで、日本の住宅環境においては、テレワークが可能な書斎等のスペースを持っている世帯は少なく、共働き比率も増加するなか、自宅にテレワークブースを作ることは困難である。
【0004】
市場では、テレワーク用の商品、例えば机、椅子、イヤホン、マイクロホン等が販売されている。しかしながら、外部からの騒音を遮音すること、自らが騒音源として発する音を吸音すること等といった、テレワーク中の環境に配慮する商品は少ない。テレワーク中の環境に配慮した家中テレブースとして、BOX型等が提案されている。また、テレブースの簡易タイプとしては、テント型等のブース、また、ダンボールを使用した家具、ライティングデスクの様な家具、または収納家具等が提案されている。また、サテライトオフィス用等としてカプセル型(例えば、特許文献1参照)のブース等も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3298479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、日本の住宅環境の観点から、限られたスペース内でより多くの利用者が作業することができ、良好な音環境を提供することの可能なブースが望まれていた。
【0007】
そこで、この発明は、上記従来の未解決の課題に着目してなされたものであり、限られたスペース内でより多くの利用者が良好な音環境下で作業することが可能な二人用ブースを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するべく、本発明の一態様によれば、互いに向かい合う左側板及び右側板と、左側板と右側板との間に水平に設けられ、左側板と右側板との間の空間を上下二つの空間に分ける上下仕切板と、上下仕切板の、手前側から見て左側板と右側板との間に、上下仕切板と左側板と右側板とのそれぞれと垂直に設けられ、上下仕切板の上側の空間を手前側の空間と奥側の空間とに分ける垂直仕切板と、垂直仕切板の手前側の空間に、右側板及び左側板の一方から水平に突出して設けられたテーブル板と、垂直仕切板の右側板及び左側板の他方に近い側の下部に開けられ、垂直仕切板と上下仕切板とが接する箇所を底辺とする開口部と、垂直仕切板の手前側の空間に設けられ、開口部を開口端とする中空の箱状部材と、を備え、テーブル板と箱状部材とは、一対の第一のテーブルと椅子とをなし、上下仕切板の上面の、垂直仕切板の奥側の領域及び箱状部材の底面となる領域は、第二のテーブルをなす二人用ブースが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、限られたスペース内で、良好な音環境下で複数の利用者が作業を行うことの可能な二人用ブースを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る二人用ブースの一例を示す外観図である。
図2】二人用ブースの一例を示す図であって、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は背面図、(d)は(a)正面図のA-A′面における断面図、(e)は(a)正面図のB-B′面における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
ここで、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各厚みの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造等が下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0012】
[構成]
図1は、本発明に係る二人用ブース(以下、単にブースとも言う。)1の一例を示す外観図である。図1において、(a)は一人目の利用者の作業空間を見た外観図、(b)は二人目の利用者の作業空間を見た外観図である。
図2は二人用ブース1の一例を示した構成図であって、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は背面図である。また、(d)は正面図(図1(a))のA-A′面における断面図、(e)は正面図(図1(a))のB-B′面における断面図である。
図2に示すようにブース1は、右側板2と、左側板3と、上下仕切板4と、垂直仕切板5と、テーブル板(第一のテーブル)6と、箱状部材(椅子)7と、を備える。
【0013】
右側板2と、左側板3とは同一長さ及び同一幅に形成され、天井近くまでの長さを有し、利用者1人の幅の2倍程度を有する。図2の場合、ブース1の長さは2000mm~2400mm程度であり、幅は900mm程度である。右側板2及び左側板3はそれぞれ上下2枚の板材からなり、上下2分割することにより、搬入性及び作業性を保っている。上板材と下板材とは、例えば木ダボ、固定金具、ビス止め等により固定されている。
また、右側板2及び左側板3の下端には、図示しないアジャスターが設けられ、高さの調整ができるようになっている。
【0014】
上下仕切板4は、右側板2と左側板3との間に水平に設けられる。上下仕切板4は、床に載置した椅子に着席した利用者が上下仕切板4をテーブルとして利用可能な高さに設けられ、例えば、上下仕切板4の上面が、ブース1の下端から720mmの位置となるように設けられる。上下仕切板4は、右側板2及び左側板3に、例えばビス、木ダボ、固定金具等により固定される。また、右側板2及び左側板3には、上下仕切板4を支持するための支持部材や、補強材等(図示せず)が設けられる。また、ブース1には、金属や木等からなる補強部品及び筋交い部品(図示せず)が設けられ、上下仕切板4に掛かる力を右側板2、左側板3を通じて床へ逃がす構造を取っている。
【0015】
垂直仕切板5は、下垂直板51と上垂直板52とからなる。下垂直板51は矩形の板状を有し、テーブル板6と上下仕切板4との間に設けられ、且つ右側板2及び左側板3の幅方向中央に、上下仕切板4と、右側板2と、左側板3とのそれぞれと垂直に設けられる。つまり、上下仕切板4の上に人が乗ることを想定し、上下仕切板4の幅方向中央に下垂直板51を設けている。
【0016】
上垂直板52は、テーブル板6の上面に設けられ、正面から見て矩形状を有し、幅方向略中央よりも右端寄りの位置に背面側に突出した段差を有し、上垂直板52の上端と、右側板2及び左側板3それぞれの上端とが同一高さとなる長さを有する。
下垂直板51の下端の左側板3側の端部には、開口部4aが設けられている。開口部4aの底辺は上下仕切板4の上面の一部をなし、開口部4aの左側板3側の辺は左側板3の内側の面の一部をなす。開口部4aは、少なくとも、ノート型パソコン等の端末を開口部4a内に載置可能な幅及び高さを有する。図2の場合には、開口部4aは、横約600mm程度、縦約400mm程度としている。
【0017】
テーブル板6は、後述の箱状部材7に着席した利用者がテーブル板6をテーブルとして作業しやすい位置に設けられ、例えば、上下仕切板4の上面から720mmの高さに設けられる。テーブル板6は、主領域61と、肘置き領域62とを含む。主領域61は、平面視で、右側板2と、上垂直板52の段差により背面側に膨らんだ幅広部52aとに囲まれ、利用者が右側板2に向かった状態でのテーブル板6の奥行が略同一となる領域であり、主領域61の奥行は、ノート型パソコンを置いて作業するのに十分な寸法である。肘置き領域62は、上垂直板52の幅広部52aを除く部分と、左側板3とで囲まれ、且つ、且つ肘置き領域62の上垂直板52とは逆側の端部が、平面視で箱状部材7の奥側の端部と重なるように形成される。利用者が右側板2に向かった状態において主領域61の手前側となる両端の角部分は、面取りされている。
テーブル板6は、右側板2から水平に突出するように右側板2に固定されると共に、後述の補助板8及び下垂直板51により下から支持される。なお、上垂直板52は、右側板2、左側板3、及びテーブル板6により支持される。
【0018】
箱状部材7は、テーブル板6と対をなし、テーブルとしてのテーブル板6と、椅子としての箱状部材7とで、一対のテーブルと椅子とをなす。箱状部材7は、上下仕切板4の左側板3側の端部に設けられる。箱状部材7は、上下仕切板4の手前側の端部から下垂直板51に達する長さを有する上板7a及び側板7bを有する。上板7aは開口部4aの上辺の一部をなし、側板7bは、開口部4aの左側板3とは逆側の辺の一部をなす。これにより、上板7aと側板7bと左側板3と上下仕切板4とが箱状部材7の4枚の側面を形成している。また、正面から見て箱状部材7の手前側の端部には、4枚の側面により形成される開口端を塞ぐ側板7cが設けられ、これにより、上板7aと側板7bと左側板3と上下仕切板4との4枚を側面とする中空の箱状部材であり,且つ正面から見て手前側の面が側板7cにより塞がれ、奥側の面の開口端を開口部4aとする直方体形状の箱状部材7が形成される。正面から見て箱状部材7の幅や奥行は、約600mm程度設けている。
【0019】
なお、正面から見て箱状部材7の端部を塞ぐ側板7cは、箱状部材7の補強の目的で設けているが、補強材として側板7cに限るものではなく、他の補強方法を用いて補強するようにしてもよい。また、箱状部材7が側板7cを設けなくとも十分、その形状を維持することができるのであれば、側板7cは必ずしも設けなくともよい。また、箱状部材7は、必ずしも直方体形状でなくともよく、例えば座る位置を表す窪み等が形成されていてもよく、利用者が椅子として利用できる形状であればよい。
【0020】
正面から見て箱状部材7の上板7aの手前側の端部近傍には上板7aの端部に沿って横型補助手すり7dが設けられている。この横型補助手すり7dは、上下仕切板4の上に昇る際の補助となると共に、箱状部材7を椅子として着席した利用者に、箱状部材7上面の端部であることを認識させる役目を持つ。
正面から見てテーブル板6の手前側の端部と、上下仕切板4の手前側の端部との間には、右側板2と接して矩形状の補助板8が取り付けられている。補助板8のテーブル板6側の端部であり且つ補助板8の右側板2とは逆側の端部の近傍には、端部に沿って縦型補助手すり8aが設けられている。この縦型補助手すり8aは、上下仕切板4の上に昇る際の補助となる。横型及び縦型の補助手すり7d、8aの長さは、例えば300mm程度である。
【0021】
また、右側板2のテーブル板6の上方には、図1に示すように、光源として例えばLED等を設置することも可能である。
また、例えば上垂直板52の背面側の下端には、光源として例えばLED等(図示せず)を設置することも可能である。
また、ブース1を構成する各部には、各部の接合部分等各部に受け材や補強材(図示せず)を設ける等、各部の接合を補強するための対策がなされている。また、光源9に電源供給を行うための配線コード孔を設ける等、邪魔にならないように配線を引き回すための図示しない対策がなされている。
また、上下仕切板4の上側の部分の右側板2及び上垂直板52それぞれの内壁面、また、箱状部材7の内壁面には、吸音材10が設けられている。吸音材10は、少なくとも着席した利用者の前面及び側面に設置すればよく、これによって、話しにくさや聞き取りにくさを解消し、ストレスフリーな音環境を提供することができる。
【0022】
吸音材10としては、フェルトタイプのものや再生ポリエステル成形タイプのもの等を用いることができる。フェルトタイプのものとしては、例えば、厚さ9mm、定型サイズ600mm×900mm、素材はポリエステル製フェルトであって、印刷可能な不織布により、袋貼り(4方巻き込み)されているもの等がある。また、再生ポリエステル成形タイプのものとしては、例えば、厚さ7mm,サイズ3×6(900mm×1800mm)、素材はPETボトル再生ポリエステル材であって、印刷可能な不織布により、平貼り(4方巻き込みなし)されており、現場でのカットが可能なものであって、音響性能として、周波数1600Hz以上4000Hz以下で吸音率が0.6以上となる特性を有するもの等を用いることができる。再生ポリエステル成形タイプの吸音材としては、例えば厚さ7mmのPETボトル再生ポリエステル材からなるホワイトキューオン(登録商標)等を用いることができる。また、フェルトタイプの吸音材としては、例えば、ポリエステル製フェルト吸音材であるフェルメノン(登録商標)を適用することができる。
【0023】
なお、ブース1において、上下仕切板4は、例えばハニカム入りのフラッシュ構造を有し、その他の板材は、例えばフラッシュ構造を有する。また、各部の表面に、化粧シートを添付し、意匠性をもたせてもよい。
また、ブース1の組立時には、吸音材10を、予め必要なサイズにカットしておく。これにより、両面テープ、面ファスナー、専用部品等によって、吸音材10を各部に容易に取り付けることができる。
【0024】
[利用方法]
このような構成を有するブース1は、図1に示すように、同時に2人が利用することができる。一人目の利用者Aは、上下仕切板4の上で作業し、二人目の利用者Bは、上下仕切板4をテーブルとして作業をする。
まず、上下仕切板4の上に昇るための階段11を用意する。この階段11は、使用しないときには、上下仕切板4の下の空間、或いは、箱状部材7の中空部に収納するようにしてもよい。また、階段11に替えて、例えば利用者が脚立や踏み台等を用意するようにしてもよく、ブース1の付属品として形成するようにしてもよい。階段11をブース1の付属品とした場合には、階段11をブース1の各部と同一の材料を用いて形成することができ、デザインが統一された製品を提供することができる。
【0025】
利用者Aは、階段11を、正面から見て手前側に設置し、補助手すり7d、8aを利用して、上下仕切板4の上に昇る。このとき、正面から見てテーブル板6の手前側の角部は、面取りがなされている。そのため、利用者Aが上下仕切板4の上に昇る際に、テーブル板6の角で怪我すること等を防止することができる。
【0026】
利用者Aは、箱状部材7を椅子、テーブル板6をテーブルとして、ノート型パソコン等を用いて作業をすることができる。また、利用者Aが着席できる幅は600mm程度であって、利用者Aの体形等によっては多少狭いと感じる可能性もあるが、テーブル板6は、着席した利用者A側から見て利用者Aの左側にも続いているため、利用者Aが、その左側の領域つまり肘置き領域62を肘置きとして用いることにより、利用者Aが狭いと感じにくくすることができる。また、肘置き領域62の右側板2側の領域は正面から見て奥側に広がっているため、利用者Aは、テーブル板6の、利用者Aの手前側の幅よりもさらに左に奥まった領域までテーブルとして使用することができる。そのため、利用者Aがテーブルの幅が狭いと感じにくくすることができる。
また、利用者Aの作業空間をなす、右側板2、上垂直板52の内側の面には吸音材10を設けている。そのため、利用者Aの声や作業音を利用者Bに聞こえにくくすることができる。
【0027】
一方、利用者Bは、背面側から見て開口部4aの正面となる位置に椅子を配置し着席する。そして、開口部4aの奥の空間、つまり、箱状部材7の中空部を利用し、この空間にノート型パソコン等を載置し、作業を行う。つまり、開口部4aの正面に着席した利用者Bから見て、上下仕切板4の上面のうち、下垂直板51よりも利用者B側の領域と、箱状部材7の底面となる領域とをテーブル(第二テーブル)として作業を行う。そのため、下垂直板51よりも利用者B側の領域の奥行は約300mm程度であって、作業用のテーブルとしては奥行が短く、狭いと感じる可能性があるが、その分、箱状部材7の底面となる領域もテーブルとして利用することができるため、利用者Bが狭いと感じにくくすることができる。
【0028】
また、垂直仕切板5として、下垂直板51と上垂直板52とを設け、上垂直板52の方が、利用者B寄りの位置に配置している。ここで、垂直仕切板5は、利用者Aの作業空間となる領域と、利用者Bの作業空間となる領域とを分けるために設けられているため、上垂直板52を下垂直板51よりも利用者B寄りの位置に配置すると、利用者Bの作業領域は肘置き領域62相当だけ広くなるが、利用者Aの作業領域は肘置き領域62相当だけ狭くなる。しかしながら、図1(b)に示すように、肘置き領域62は、着席して作業する利用者Bにとっては、それほど作業に必要な領域ではない。つまり、利用者Bにとってはそれほど必要ではないデッドスペースを、肘置き領域62として利用者Aに提供することになる。そのため、ブース1内の空間を効率よく利用することができる。また、上垂直板52を、平面視で段差を有する形状にし、図1(b)に示すように、利用者Bの頭上部分は、その左側の部分よりも突出度合が小さく、切欠きを設けたような形状としている。そのため、上垂直板52に利用者Bが頭をぶつけにくくすることができる。
【0029】
また、利用者Bのテーブルとして、上下仕切板4の上面のうちの垂直仕切板5で分けられた背面側の領域だけでなく、箱状部材7の底面となる領域もテーブルとして利用している。ここで、利用者Aは、箱状部材7を椅子として利用しており、利用者Aにとっては座ることができればよい。つまり、上板7aをその位置に維持することができればよい。したがって、箱状部材7を中空とすることによって、利用者Aにとっては必要ではないデッドスペースを、利用者Bのテーブルの一部として提供することになり、ブース1内の空間を効率よく利用することができる。
また、箱状部材7の内側にも吸音材10を設けている。そのため、利用者Bの声や作業音を利用者Aに聞こえにくくすることができる。
【0030】
また、利用者A及び利用者Bのデッドスペースを互いに利用するようにしているため、一人用のブースと比較してそれほど大きさが替わることなく二人用のブースを得ることができる。そのため、より少ない占有面積で二人が作業できるワークスペースを確保することができ、例えばオフィス等、限られた空間を効率よく利用することができる。
また、利用者Aは右側板2に向かって作業し、利用者Bは右側板2と直交する下垂直板51に向かって作業することになり、作業する向きが異なる。また、利用者Aと利用者Bとは高さ方向に異なる位置で作業することになる。このように、利用者Aと利用者Bとは、発声方向、また高さの異なる作業位置で作業を行うため、お互いの声の干渉を軽減することができ、快適な作業環境を提供することができる。
[変形例]
【0031】
上記実施形態においては、上垂直板52は、平面視で段差を有する形状としているが、これに限るものではなく、段差を有さない平板形状としてもよい。また、垂直仕切板5は、下垂直板51と上垂直板52とを含む構成としているが、垂直仕切板5として、下垂直板51を下垂直板51が延びる方向に延伸した一枚の板で形成してもよい。
上垂直板52を平板形状とした場合、図2(e)において上垂直板52の右側板2側の位置に、平板形状の上垂直板を設ければ、上下仕切板4をテーブルとして作業する利用者Bの頭上付近に突出部が存在し、多少狭く感じる可能性がある。逆に、上下仕切板4の上で作業する利用者Aは、肘置き領域62が広くなるが、肘を置くために用いられる場所であるため、それほどメリットはない。
【0032】
一方、図2(e)において、上垂直板52の左側板3側の位置に、平板形状の上垂直板を設ければ、テーブル板6の肘置き領域62の右側板2側の領域が狭くなり、利用者Aは狭く感じる可能性がある。逆に、利用者Bは下垂直板51に向かって左側の頭上の領域が広くなるが利用者Bにはそれほど影響はない。
また、垂直仕切板5を、下垂直板51を下垂直板51が延びる方向に延伸した一枚の板で形成した場合、テーブル板6のうち肘置き領域62を確保することができないため、テーブル板6を用いて作業する利用者Aは狭さを感じる可能性がある。逆に上下仕切板4をテーブルとして作業する利用者Bは、図1(b)で利用者Bの頭上の突出した部分の無い、垂直に延びる一枚の板で仕切られた空間となるため、頭上により広い空間ができることになるが、利用者Bにはそれほどメリットはない。
【0033】
このように、垂直仕切板5の形状や位置によって、テーブル板6に向かって作業する利用者Aの左側の領域と、開口部4aに向かって作業する利用者Bの左側の領域との広さが変化し、一方が広くなると他方が狭くなる。したがって、作業中の利用者が必要とする作業空間の大きさに応じて垂直仕切板5の形状や位置を変更してもよい。
また、上垂直板52は平面視で段差を設けた形状としているが、これに限るものではなく、左側板3側よりも右側板2側の方が、正面から見て奥行き方向に突出していればよく、例えば、上垂直板52に複数の段差を設けてもよい。上述のように、上垂直板52の形状によって、上下仕切板4をテーブルとして利用する利用者Bの頭上に相当する部分の形状が変わることになるため、この形状も考慮して上垂直板52の形状等を決定すればよい。
【0034】
また、上下仕切板4の上の空間において、テーブル板6と左側板3で囲まれた領域が利用者Aが存在できる空間である。したがって、箱状部材7の左右の側板2、3方向の幅と、テーブル板6の主領域61の奥行き及び肘置き領域62の奥行きは、上下仕切板4の上の空間で作業する利用者Aの体形や、作業内容等に応じて設定してもよい。
また、上記実施形態において、箱状部材7の中空部を、例えば、棚、収納ボックス等として利用できるようにしてもよい。この場合には、側板7cを開閉可能又は取り外し可能に構成し、箱状部材7の中空部に正面側から格納できるようにしてもよい。
また、箱状部材7の中空部の中程に、正面側から見て手前側と奥行側との間を仕切る板状部材を設け、箱状部材7の一方の開口部側は上下仕切板4をテーブルとして作業する利用者B用のテーブルとして用い、他方の開口部側は、棚或いは収納ボックス等として利用するようにしてもよい。
【0035】
また、上記実施形態において、右側板2、左側板3、垂直仕切板5等に、フック等を設け、棚や壁掛け等を設けるようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、左側板3側に箱状部材7を設け、右側板2及び上垂直板52に沿ってテーブル板6を設けた場合について説明したが、これに限るものではない。図1に示すブース1において、各部を左右逆にし、上垂直板52の幅広部52aを左側に設け、右側板2側に箱状部材7を設け、左側板3及び上垂直板52に沿ってテーブル板6を設けてもよい。
【0036】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0037】
1 二人用ブース
2 右側板
3 左側板
4 上下仕切板
5 垂直仕切板
51 下垂直板
52 上垂直板
6 テーブル板
7 箱状部材
図1
図2