(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022057732
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】作業用ブース
(51)【国際特許分類】
E04H 1/12 20060101AFI20220404BHJP
E04H 5/02 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
E04H1/12 305
E04H5/02 B
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020166127
(22)【出願日】2020-09-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 淳一
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 響平
(57)【要約】
【課題】音環境の向上を図り、良好な作業環境を提供することの可能な作業用ブースを提供する。
【解決手段】前後左右の縦壁2~5を有する平面視が矩形の作業用ブース1であって、前縦壁2、左縦壁4及び右縦壁5の内側の面に沿って水平に設けられたテーブル板8を有し、右縦壁5には扉51を備える。さらに、作業用ブース1の内側の、前縦壁2には調音パネル64が設けられ、左右の縦壁4、5には、吸音材65が設けられている。作業用ブース1内は、四方が壁で囲まれているため外部の音を遮断しやすい。また作業用ブース1内には調音パネル64と吸音材65が設けられているため、作業用ブース1内の利用者自身が騒音源として発する音による音環境を改善することができると共に、利用者が発する音が外部に漏れることを回避することができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
4つの壁状部材を有し平面視が矩形の作業用ブースであって、
前記4つの壁状部材のうちの一の壁状部材及び当該一の壁状部材の両側の壁状部材それぞれの内側の面に沿って水平に設けられたテーブル板を有し、
前記4つの壁状部材のうち、前記一の壁状部材を除くいずれかの壁状部材は、開閉可能な出入り口を含み、
前記4つの壁状部材のうちの少なくとも一つの壁状部材の内側の面には調音パネルが設けられ、且つ少なくとも一つの壁状部材の内側の面には吸音材が設けられていることを特徴とする作業用ブース。
【請求項2】
前記調音パネルは、前記一の壁状部材の内側の面に設けられ、
前記吸音材は、前記一の壁状部材の両側の壁状部材それぞれの内側の面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の作業用ブース。
【請求項3】
前記4つの壁状部材のうちの少なくとも一つには採光部が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の作業用ブース。
【請求項4】
前記4つの壁状部材の上端に天井板が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の作業用ブース。
【請求項5】
前記天井板には採光部が設けられていることを特徴とする請求項4に記載の作業用ブース。
【請求項6】
前記4つの壁状部材及び前記天井板の少なくとも一つには、開口部が設けられていることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の作業用ブース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業用ブースに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、働き方改革による、テレワークやリモートワーク等の多様な働き方の推進、また、コロナウィルスの影響等により、自宅やサテライトオフィスでのテレワークが加速している。また、コロナウィルスの影響を受けて、企業によっては、事務所を縮小する傾向にあり、テレワークの比率が増大すると予想される。
【0003】
市場では、テレワーク用の商品、例えば机、椅子、イヤホン、マイクロホン等が販売されている。しかしながら、外部からの騒音を遮音すること、自らが騒音源として発する音を吸音すること、等といったテレワーク中の環境に配慮する商品は少ない。テレワーク中の環境に配慮した家中テレブースとして、BOX型等が提案されている。また、テレブースの簡易タイプとしては、テント型等のブース、また、ダンボールを使用した家具、ライティングデスクの様な家具、または収納家具等が提案されている。また、サテライトオフィス用等としてカプセル型(例えば、特許文献1参照)のブース等も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のテレワーク用の商品においては、会議時の声が家人に聞こえたり、家中のしゃべり声が聞こえたりする等、集中して作業することが困難であり、外部からの騒音の遮断や自らが騒音源として発する音等の吸音など、音環境に配慮した作業用スペースが望まれていた。
【0006】
そこで、この発明は、上記従来の未解決の課題に着目してなされたものであり、音環境の向上を図り、良好な作業環境を提供することの可能な作業用ブースを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するべく、本発明の一態様によれば、4つの壁状部材を有し平面視が矩形の作業用ブースであって、4つの壁状部材のうちの一の壁状部材及びこの一の壁状部材の両側の壁状部材それぞれの内側の面に沿って水平に設けられたテーブル板を有し、4つの壁状部材のうち、一の壁状部材を除くいずれかの壁状部材は、開閉可能な出入り口を含み、一の壁状部材の内側の面には調音パネルが設けられ、一の壁状部材の両側の壁状部材それぞれの内側の面には吸音材が設けられている作業用ブースが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、音環境の向上を図り、良好な作業環境を提供する作業用ブースを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る作業用ブースの一例を示す外観図である。
【
図2】第一実施形態に係る作業用ブースの一例を示す、(a)は平面図、(b)は背面図、(c)は右側面図である。
【
図3】本発明の第二実施形態に係る作業用ブースの一例を示す外観図である。
【
図4】第二実施形態に係る作業用ブースの一例を示す、(a)は平面図、(b)は背面図、(c)は右側面図である。
【
図5】第一実施形態に係る作業用ブースの変形例を示す、(a)は平面図、(b)は背面図、(c)は右側面図である。
【
図6】第二実施形態に係る作業用ブースの変形例を示す、(a)は平面図、(b)は背面図、(c)は右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
ここで、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各厚みの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造等が下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0011】
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態を説明する。
[構成]
図1は、第1実施形態に係る作業用ブース1の一例を示す外観図であって、(a)は扉を開けた状態、(b)は扉を閉めた状態を示す。
図2は、作業用ブース1の一例を示した構成図であって、(a)は平面図、(b)は背面図、(c)は右側面図である。
図2に示すように、作業用ブース1は、平面視が矩形であって、4枚の縦壁(壁状部材)2~5を有し、具体的には、同一形状を有する前縦壁2及び後縦壁3と、前後の縦壁2、3よりも幅の広い左縦壁4及び右縦壁5と、を備え、右縦壁5は、扉51と壁部52とを備える。また、各縦壁2~5の上端には、縦壁2~5からなる矩形の開口部を塞ぐ天井板7が設けられている。扉51及び壁部52は略同一幅を有する。
【0012】
作業用ブース1は、例えば、高さは1800mmであり、前後の縦壁2、3の幅は900mm、左右の縦壁4、5の幅は1350mmである。
作業用ブース1の内側には、テーブル板8が設けられている。テーブル板8は、作業用ブース1の底部から720mmの高さの位置が上面となるように設けられている。テーブル板8は、略矩形状を有し、前縦壁2及び左右の縦壁4、5に3つの辺が接して水平に固定されている。また、テーブル板8の、例えば左端奥の角部には、図示しない配線孔又はコンセントが設けられている。
【0013】
前縦壁2、左縦壁4及び右縦壁5の壁部52のそれぞれには、テーブル板8を支持する受け材61が設けられ、テーブル板8は3方を受け材61により支持されている。テーブル板8の奥行は、ノート型パソコンやマウス等を載置して作業ができる程度の長さを有し、例えば600mmの長さを有する。
左縦壁4及び壁部52のそれぞれには、棚板62を取り付けるための一対のダボ柱63が奥行方向に間隔を空けて2組取り付けられ、銀ダボの取り付け位置を調整することによって、テーブル板8の上方の任意の位置に、前縦壁2に接して、取り外し可能に棚板62を取り付けられるようになっている。
【0014】
また、左縦壁4は2枚の板材を幅方向に繋げて形成され、木ダボで位置出しし、内側からフラットバー等の補強材4aで固定することにより、一体に形成される。
また、壁部52の左端には、戸当たり52aが取り付けられている。戸当たり52aと補強材4aとは同一形状を有し、意匠的に左右で同じ形状となっている。
【0015】
棚板62の奥行は、例えば300mmであり、棚板62の前縦壁2側の縁には、幅方向中央部分から左右の端部寄りの位置にかけて切欠き62aが形成されている。この切欠き62aは、前縦壁2に後述の調音パネル64を取り付けるための切欠きである。切欠き62aの左右方向の長さは、前縦壁2に取り付ける調音パネル64の幅に応じて決定され、切欠き62a部分に調音パネル64が収まるようにして棚板62を前縦壁2に取り付けることによって、調音パネル64を容易に前縦壁2に取り付けることができる。
【0016】
扉51は、右縦壁5の長さの2/3程度の長さを有し、上端が右縦壁5の上端と同一位置となるように背面側からみて後縦壁3の右端に、回動可能に取り付けられている。扉51は、例えば、丁番やスライドヒンジにより、2箇所又は3箇所固定することによって、後縦壁3に取り付けられている。また、扉51は、閉じた状態で、扉51と壁部52とが面一となるように取り付けられる。
扉51を閉じた状態では、扉51の下部に開口部が形成され、この開口部は通気口としての機能を有する。
【0017】
扉51の略中央部には、上下方向に長い長方形の採光部51aが設けられている。この採光部51aは、例えば、扉51をなす板材をくり抜き、透明板を嵌め込むこと等により形成される。
また、右側面側から見て、扉51の上下方向略中央の右端寄りの位置には、扉51を開閉するための取っ手51bが取り付けられている。また、扉51の内側にも取っ手51b′が取り付けられている。
【0018】
また、前縦壁2の、作業用ブース1の内側となる面には、調音パネル64が設けられている。調音パネル64は、音響障害を改善するものであって、「吸音」と「散乱」とのバランスを調整することによって、音響障害のない音響空間を実現する。音響障害としては、残響過多、響きの周波数のバランスが悪い、フラッターエコーの発生、ブーミングの発生等がある。
また、左縦壁4及び右縦壁5の、作業用ブース1の内側となる面には、吸音材65が設けられている。
【0019】
吸音材65としては、フェルトタイプのものや再生ポリエステル成形タイプのもの等を用いることができる。フェルトタイプのものとしては、例えば、厚さ9mm、定型サイズ600mm×900mm、素材はポリエステル製フェルトであって、印刷可能な不織布により、袋貼り(4方巻き込み)されているもの等がある。また、再生ポリエステル成形タイプのものとしては、例えば、厚さ7mm、サイズ3×6(900mm×1800mm)、素材はPETボトル再生ポリエステル材であって、印刷可能な不織布により、平貼り(4方巻き込みなし)されており、現場でのカットが可能なものであって、音響性能として、周波数1600Hz以上4000Hz以下で吸音率が0.6以上となる特性を有するもの等を用いることができる。具体的には、左縦壁4、また、扉51及び壁部52を含む右縦壁5は、例えば合板の表裏に、MDF(Medium Density Fiberboard:中密度繊維板)を張り合わせ、さらに、表面はオレフィンシートにて加飾を行い、裏面については、PETボトル再生ポリエステル材からなるホワイトキューオン(登録商標)の上に、インクジェット方式により印刷を行った不織布をラミネートした板材からなる。
また、フェルトタイプの吸音材としては、例えば、ポリエステル製フェルト吸音材であるフェルメノン(登録商標)を適用することができる。フェルメノンは周波数が1600Hz以上8000Hzの範囲では、吸音率が0.60以上となる特性を有している。
【0020】
後縦壁3には、上端から150mm程度下の位置に、左右方向に長い長方形の採光部3aが設けられている。この採光部3aは、例えば、後縦壁3をなす板材をくり抜き、透明板を嵌め込むこと等により形成される。
天井板7には、後縦壁3寄りの長手方向略1/2の領域の略中央部に、左右に長い長方形の採光部7aが設けられている。採光部7aは、例えば、天井板7をなす板材をくり抜き、透明板からなる採光パネル7bを嵌め込むこと等によって形成される。この採光パネル7bは、取り外し可能に天井板7に取り付けられている。
【0021】
また、
図1に示すように、天井板7の前後方向略中央部には、LED等の光源7cを取り付けることが可能である。光源7cへの配線は、例えば、前縦壁2の左下端や左縦壁4の幅方向略中央の下端に配線孔加工を行うこと(図示せず)によって、電源を確保するようになっている。
各採光部に用いられる透明板としては、アクリル板や、PET-G(グリコール変性ポリエチレンテレフタレート)製等の板等を適用することができる。また、扉51に設けられる採光部51aは、例えば、298mm×398mmの大きさに形成される。また、天井板7及び後縦壁3に設けられる採光部7a、3aは、例えば、598mm×348mmの大きさに形成される。
【0022】
前後左右の縦壁2~5は、前縦壁2及び後縦壁3を、左縦壁4及び右縦壁5で挟むように、木ダボで位置出ししてビス止めされている。同様に、天井板7は、前後の縦壁2及び3、左縦壁4及び壁部52から木ダボで位置出しして天井板7側からビス止めすることにより固定される。
なお、作業用ブース1の組立時には、左右の縦壁4、5に取り付けられる吸音材65を、予め必要なサイズにカットしておく。これにより、両面テープ、面ファスナー、専用部品等によって、吸音材を左右の縦壁4、5に容易に取り付けることができる。
【0023】
各縦壁2~5及び天井板7は、MDF(中密度繊維板)2.5mmとLVL(単板積層材)又はPB(パーティクルボード)18mmとMDF2.5mmとを、貼り合わせて形成される。また、テーブル板8及び棚板62は、MDF2.5mmとLVLやPB20mmとMDF2.5mmとを、貼り合わせて形成される。これら部材は、製品の輸送や、組み立てを考慮し、各部を軽くし、取り扱いを容易にするため、フラッシュ構造を有することが望ましい。
また、作業用ブース1の表面となる箇所に、化粧シートやラッピング等を行うことにより、意匠性を高めてもよい。
【0024】
[効果]
このような構成を有する作業用ブース1を使用するときには、利用者は、テーブル板8の上にノート型パソコン等、作業道具を載置し、前縦壁2に向かって椅子に座って作業を行う。この状態で扉51を閉じると、
図1(b)に示すように、少なくとも略椅子の座面よりも上方は四方を縦壁2~5で囲まれ、また上部は天井板7で塞がれた状態となる。そのため、作業用ブース1内の利用者に対する、作業用ブース1外の人の視線を遮ることができると共に、作業用ブース1外の音が騒音として利用者に伝わることを抑制することができる。そのため、利用者が集中できる環境を容易に作り出すことができる。
【0025】
また、作業用ブース1内で作業する際に利用者自身が騒音源となり発する音は、電話での会話や、ノート型パソコン等を操作することによる操作音等が主であって、上述のように、利用者自身が発する音の騒音源は、四方及び天井が縦壁2~5及び天井板7で囲まれている。さらに、作業用ブース1内の左右の縦壁4、5には、吸音材65を設けている。そのため、利用者自身が騒音源となって発する音が、開口部から外部に漏れにくくすることができる。
【0026】
一方、
図1に示すような比較的小空間においては、壁や床、天井等の材質や、気密性等が原因となって、音響障害が生じる可能性がある。しかしながら、作業用ブース1の内側となる前縦壁2の面に、調音パネル64を設けている。そのため、音響障害を低減することができる。その結果、音響障害を抑制することができると共に、作業用ブース1の外部の音を利用者が騒音と感じることを抑制することができ、作業環境として良好な空間を実現することができる。
また、前後左右の縦壁2~5や天井板7の取り付けは、木ダボで位置出しをすることで、簡易的な組み立てが可能となっている。そしてその後ビスを行うようになっているため、組み立て作業に不慣れな人であっても簡単に組み立てを行うことができる。
【0027】
また、天井板7に設けた採光部7aは、採光パネル7bを取り外し可能に設けている。そのため、例えば、採光パネル7bを取り外すことによって作業用ブース1内の換気を容易に行うことができる。また扉51を開けずに換気を行うことができるため、利用者が騒音源となって発する音が漏れること、或いは外部の音が利用者に与える影響をある程度抑制したまま、換気を行うことができる。そのため、作業用ブース1内での作業を継続したまま換気を行うことができ、使い勝手を向上させることができる。
【0028】
また、作業用ブース1には、扉51の下部に開口部が設けられているため、吸音材65や調音パネル64を設けたとしても、開口部を通して外部の雑音が作業用ブース1内に伝わったり、作業用ブース1内の雑音が外部に漏れたりするように思われる。しかしながら、吸音材65や調音パネル64を設けることによって作業上の音や会話の音が外部に漏れにくくしているため、作業用ブース1内の音環境を良好な環境に維持することができる。
【0029】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る作業用ブース101を説明する。
[構成]
図3は、第2実施形態に係る作業用ブース101の一例を示す外観図であって、背面側から見た図である。第2実施形態に係る作業用ブース101は、
図1に示す第1実施形態に係る作業用ブース1において、背面側に扉を設けたものである。
図4は、作業用ブース101の一例を示した構成図であって、(a)は平面図、(b)は背面図、(c)は右側面図である。
【0030】
図4に示すように、作業用ブース101は、前縦壁102と、同一形状を有する左右の縦壁103及び104とを備えると共に、観音開き式の扉105を備える。また、各縦壁102~104の上端には、縦壁102~104及び扉105からなる矩形の開口部を塞ぐ天井板107が設けられている。
作業用ブース101は、例えば、高さは1800mmであり、縦壁102及び扉105の幅は900mm、左右の縦壁103、104の幅は1350mmである。また、作業用ブース101の内側には、作業用ブース101の底部から720mmの高さの位置が上面となるように、テーブル板108が設けられている。
【0031】
テーブル板108は、略矩形状を有し、前縦壁102及び左右の縦壁103、104に3つの辺が接して固定されている。縦壁102、縦壁103、104のそれぞれには、受け材161が設けられ、テーブル板108は3方を受け材161により支持されている。テーブル板108の奥行は、ノート型パソコンやマウス等を載置して作業ができる程度の長さを有し、例えば600mmの長さを有する。また、テーブル板108の例えば左端奥の角部には、図示しない配線孔又はコンセントが設けられている。
【0032】
左右の縦壁103、104のそれぞれには、棚板162を取り付けるための一対の棚柱163が棚板162の奥行方向に間隔を空けて2箇所に設けられ、図示しない棚受の取り付け位置を調整することによって、テーブル板108の上方の任意の位置に、縦壁102に接して、取り外し可能に棚板162を取り付けられるようになっている。棚板162の奥行は、例えば300mmである。上記第1実施形態に係る作業用ブース1と同様に、棚板162の前縦壁102側の縁には、幅方向中央部分から左右の端部寄りの位置にかけて切欠き162aが形成され、棚板162を取り付けることによって、調音パネル164を前縦壁102と一体に固定するようになっている。
また、左右の縦壁103、104は2枚の板材を幅方向に繋げて形成され、木ダボで位置出しし、内側からフラットバー等の補強材103a、104aで固定することにより、一体に形成される。
【0033】
扉105は、作業用ブース101の長さの2/3程度の長さを有し、左扉105a及び右扉105bの上端が左右の縦壁103、104の上端と同一位置となるように、左右の縦壁103、104の端部それぞれに、回動可能に取り付けられている。左右の扉105a、105bは、例えば、丁番やスライドヒンジにより、2箇所又は3箇所固定することによって、左右の縦壁103、104それぞれに取り付けられている。
また、扉105を閉じた状態では、扉105の下部に開口部が形成され、この開口部は通気口の機能を有する。
左扉105aの右端寄り及び右扉105bの左端寄りの上下方向略中央部には、左右の扉105a、105bを開閉するための取っ手105cがそれぞれに設けられている。また、扉105a、105bの内側にも取っ手105c′が設けられている。
【0034】
また、前縦壁102の、作業用ブース101の内側となる面には、第1実施形態における作業用ブース1と同様の調音パネル164が設けられている。
また、左右の縦壁103、104の、作業用ブース101の内側となる面には、第1実施形態における作業用ブース1と同様の吸音材165が設けられている。
右縦壁104の、扉105側の幅方向略1/2の領域であり、上端から150mm程度下の位置に、上下方向に長い長方形の採光部104bが設けられている。この採光部104bは、例えば、右縦壁104をなす板材をくり抜き、透明板を嵌め込むこと等により形成される。
【0035】
同様に天井板107には、扉105側の長手方向略1/2の領域の略中央部に、左右に長い長方形の採光部107aが設けられている。採光部107aは、例えば、天井板107をなす板材をくり抜き、透明板からなる採光パネル107bを嵌め込むこと等によって形成される。この採光パネル107bは、取り外し可能に天井板107に取り付けられている。
【0036】
また、
図3に示すように、天井板107の前後方向略中央部には、第1実施形態における作業用ブース1と同様に、LED等の光源107cを設けることが可能である。
各採光部に用いられる透明板としては、アクリル板や、PET-G(グリコール変性ポリエチレンテレフタレート)製等の板等を適用することができる。また、右縦壁104に設けられる採光部104bは、例えば、298mm×398mmの大きさに形成される。また、天井板107に設けられる採光部107aは、例えば、598mm×348mmの大きさに形成される。
【0037】
そして、前及び左右の縦壁102~104は、前縦壁102を、左右の縦壁103、104で挟むように、木ダボで位置だししてビス止めされている。また、木ダボで位置だしして天井板107の上側から前及び左右の縦壁102~104にビス止めすることにより、天井板107が固定される。
各縦壁102~104及び天井板107は、例えば、MDF(中密度繊維板)2.5mmとLVL(単板積層材)又はPB18mmとMDF2.5mmとを、貼り合わせて形成される。また、テーブル板108及び棚板162は、MDF2.5mmとLVLやPB20mmとMDF2.5mmとを、貼り合わせて形成される。これら部材は、製品の輸送や、組み立てを考慮し、各部を軽くし、取り扱いを容易にするため、フラッシュ構造を有することが望ましい。
【0038】
また、作業用ブース101の表面となる箇所に、化粧シートやラッピング等を行うことにより、意匠性を高めてもよい。また、第2実施形態に係る作業用ブース101の場合も、上記第1実施形態と同様に、天井の光源107cへの配線の引き回しを考慮して、配線孔等を形成してもよい。
【0039】
[効果]
このような構成を有する結果、作業用ブース101は、上記第1実施形態と同等の作用効果を得ることができる。
また、例えば、
図1に示す第1実施形態における作業用ブース1のように、右側に扉があると扉が開けられない等、設置場所に適合しない場合もある。そのような場合には、
図3に示すように、利用者の後側に扉105がある作業用ブース101を用いればよい。
【0040】
[変形例]
上記各実施形態においては、
図1、
図3に示すように、扉を、右縦壁5や、前縦壁102に対向する後縦壁相当の位置に設ける場合について説明したが、これに限るものではない。
図1に示す第1実施形態に係る作業用ブース1において、例えば、扉51を左縦壁4又は後縦壁3に設けてもよい。また、扉51を右縦壁5の前縦壁2側、つまり壁部52の位置に設けてもよい。同様に、
図3に示す第2実施形態に係る作業用ブース101において、右縦壁104又は左縦壁103の位置に観音開き式の扉105を設けてもよい。
また、
図1、
図3に示すように、扉を前後方向に回動させる場合に限らず、左右方向に引いて扉を開ける引き戸型の扉を設けてもよい。
【0041】
また、上記各実施形態においては、天井板7を設けた場合について説明したが、必ずしも天井板7、107は設けなくともよい。天井板7、107を設けない場合には、スプリンクラー等の消火設備や火災(熱・煙)等の探知設備を設ける必要がない。
図5に、第1実施形態に係る作業用ブース1において、天井板7を設けない作業用ブースの一例の構成図を示し、
図6に、第2実施形態に係る作業用ブース101において、天井板107を設けない作業用ブースの一例の構成図を示す。なお、
図5、
図6において、(a)は平面図、(b)は背面図、(c)は右側面図である。
図5、
図6に示すように、天井板7、107に代えて、フレーム201を設けている。
【0042】
例えば
図5に示す、右縦壁5に扉51を有する作業用ブース1′の場合、前後左右の縦壁2~5の上端の開口部に嵌められたフレーム201を設ける。フレーム201は、平面視で矩形状の枠部211と、桟部212とを有する。枠部211は、長尺の棒材を枠型に組み合わせて形成され、枠部211の外周は、前後左右の縦壁2~5により形成される開口端の外周と略一致する。桟部212は、長尺の薄い板状の部材で形成され、前縦壁2及び後縦壁3の間にこれらと平行に等間隔に2本設けられる。枠部211を構成する各棒材は、断面が鉤型状であって、縦壁2~5と対向する側の面に、枠部211に沿って凸部211aを備える。凸部211aは、枠部211の外周から縦壁2~5の厚み相当だけ内側に形成され、凸部211aの内周が、枠部211の内周と連続している。凸部211aを、縦壁2~5の開口部に嵌め込み、枠部211と縦壁2~5の開口部とを嵌合することにより、フレーム201を縦壁2~5により支持し、この状態で、フレーム201と縦壁2~5とをビス止め等により固定している。
【0043】
図6に示す、前縦壁102と対向する位置に観音開き式の扉105を備えた作業用ブース101′においても、同様にフレーム201を設ければよい。
なお、
図5、
図6では、天井板7、107を設けない場合の一例として、天井板7、107に代えてフレーム201を設ける場合について説明したが、これに限るものではない。
【0044】
また、上記各実施形態においては、扉の下方に開口部を備える場合について説明したが、例えば、扉の上方に開口部を備えていてもよく、また扉の上方及び下方に両方に開口部を備えていてもよい。少なくとも、作業用ブース1、101内で作業している利用者の視界を外部から遮る位置に扉があればよい。なお、天井板7を設けない場合には、必ずしも開口部を設けなくともよい。また、開口部を例えば、扉とは別の縦壁に設けてもよい。つまり例えば、
図1の作業用ブース1の場合には、例えば、左縦壁4、後縦壁3、壁部52等の、利用者の視界に外部の様子が入らない位置に設けてもよい。
【0045】
また、上記各実施形態においては、例えば作業用ブース1では、棚板62、162に切欠き62a、162aを設け、この切欠き62a、162aに調音パネル64、164を取り付けることで、調音パネル64、164を前縦壁2、102に取り付ける場合について説明したが、切欠き62a、162aを設けずに、調音パネル64、164を直接前縦壁2、102に取り付けてもよい。
【0046】
また、上記各実施形態においては、作業用ブース内に、調音パネル及び吸音材を設ける場合について説明したが、さらに遮音材を設けるようにしてもよい。また、調音パネルを前縦壁に設け、吸音材を左右の縦壁に設けているが、作業用ブース内のいずれの位置に設けてもよく、例えば天井板、後縦壁等にも配置してもよく、例えば調音パネルは、作業用ブース内の音の反射状況等に応じて良好な音環境となる位置に配置すればよい。
また、棚板62、162は、必ずしも設けなくともよく、また、テーブル板8、108の上方ではなく、作業用ブース1、101内の他の箇所に設けてもよい。
【0047】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0048】
1、101 作業用ブース
1′、101′ 作業用ブース
2、102 前縦壁
3 後縦壁
3a 採光部
4、103 左縦壁
5、104 右縦壁
7、107 天井板
7a、107a 採光部
7b、107b 採光パネル
7c、107c 光源
8、108 テーブル板
51 扉
52 壁部
61 受け材
62、162 棚板
64、164 調音パネル
65、165 吸音材
105 扉
105a 左扉
105b 右扉
201 フレーム
211 枠部
212 桟部
【手続補正書】
【提出日】2021-01-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
4つの壁状部材を有し平面視が矩形の作業用ブースであって、
前記4つの壁状部材のうちの一の壁状部材及び当該一の壁状部材の両側の壁状部材それぞれの内側の面に沿って水平に設けられたテーブル板を有し、
前記4つの壁状部材のうち、前記一の壁状部材を除くいずれかの壁状部材は、開閉可能な扉を含み、
前記4つの壁状部材のうちの前記一の壁状部材の内側の面であって前記テーブル板よりも上側の部分には音響障害を改善する調音パネルが設けられ、且つ少なくとも前記一の壁状部材の両側の壁状部材それぞれの内側の面であって前記テーブル板よりも上側の部分には吸音する吸音材が設けられ、
前記4つの壁状部材については、前記扉を含む壁状部材にのみ開口部が設けられ、
前記扉は、前記壁状部材の上端から前記壁状部材の2/3程度の長さとなる位置にかけて設けられ、前記開口部は、前記扉の下端から前記壁状部材の1/3程度の長さとなる位置にかけて設けられ、
前記テーブル板は、前記扉の下端部近くの、当該下端部よりも上となる位置に設けられていることを特徴とする作業用ブース。
【請求項2】
前記4つの壁状部材のうちの少なくとも一つには採光部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の作業用ブース。
【請求項3】
前記4つの壁状部材の上端に天井板が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の作業用ブース。
【請求項4】
前記天井板には採光部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の作業用ブース。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上記目的を達成するべく、本発明の一態様によれば、4つの壁状部材を有し平面視が矩形の作業用ブースであって、4つの壁状部材のうちの一の壁状部材及びこの一の壁状部材の両側の壁状部材それぞれの内側の面に沿って水平に設けられたテーブル板を有し、4つの壁状部材のうち、一の壁状部材を除くいずれかの壁状部材は、開閉可能な扉を含み、4つの壁状部材のうちの一の壁状部材の内側の面であってテーブル板よりも上側の部分には音響障害を改善する調音パネルが設けられ、且つ少なくとも一の壁状部材の両側の壁状部材それぞれの内側の面であってテーブル板よりも上側の部分には吸音する吸音材が設けられ、4つの壁状部材については、扉を含む壁状部材にのみ開口部が設けられ、扉は、壁状部材の上端から壁状部材の2/3程度の長さとなる位置にかけて設けられ、開口部は、扉の下端から壁状部材の1/3程度の長さとなる位置にかけて設けられ、テーブル板は、扉の下端部近くの、下端部よりも上となる位置に設けられている作業用ブースが提供される。