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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022057763
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】表示システム及び車両
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0482 20130101AFI20220404BHJP
   G06F 3/04817 20220101ALI20220404BHJP
   G06F 3/04842 20220101ALI20220404BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20220404BHJP
   B62J 50/22 20200101ALI20220404BHJP
   B62K 23/02 20060101ALI20220404BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
G06F3/0482
G06F3/0481 170
G06F3/0484 120
B60R16/02 640K
B62J50/22
B62K23/02
B60K35/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020166174
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉山 雄一
【テーマコード(参考)】
3D344
5E555
【Fターム(参考)】
3D344AA16
3D344AA26
3D344AA27
3D344AB00
3D344AC01
3D344AD13
5E555AA02
5E555BA06
5E555BA23
5E555BB23
5E555BC04
5E555BE10
5E555CA17
5E555CB20
5E555CB57
5E555CC01
5E555CC03
5E555DB03
5E555DB11
5E555DC02
5E555DC09
5E555DC21
5E555DC85
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】車両に搭載された表示システムのユーザビリティを向上させる。
【解決手段】表示システムは、前記車両のハンドルスイッチに対する運転者の操作に応じて、前記表示部の表示モードを第1表示モードから第2表示モードに切り替え、前記第1表示モードにおいて、前記表示部にメイン表示画面を表示し、前記第2表示モードにおいて、前記表示部にランチャー表示画面を表示する。前記ランチャー表示画面では、各々が前記携帯端末の機能又は前記車両の機能に関連付けられた複数のアイコンの少なくとも一部が所定方向に沿って並んで表示される。前記表示システムは、バックボタンが現在選択された状態での前記ハンドルスイッチに対する前記運転者の操作に応じて、前記ランチャー表示画面の階層を現在の階層よりも上位の階層に変更する又は前記表示部の表示モードを前記第2表示モードから前記第1表示モードに変更するように構成されている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鞍乗型の車両に搭載されると共に、表示部と、携帯端末に通信可能に接続された通信部とを備えた表示システムであって、
前記表示システムは、
前記車両のハンドルスイッチに対する運転者の操作に応じて、前記表示部の表示モードを第1表示モードから第2表示モードに切り替え、
前記第1表示モードにおいて、前記表示部にメイン表示画面を表示し、
前記第2表示モードにおいて、前記表示部に少なくともランチャー表示画面を表示し、
前記ランチャー表示画面では、各々が前記携帯端末の機能又は前記車両の機能に関連付けられた複数のアイコンの少なくとも一部が所定方向に沿って並んで表示され、
前記ランチャー表示画面では、前記運転者によって現在選択されている第1アイコンと、前記運転者によって前回選択された第2アイコンと、前記運転者によって次回選択される第3アイコンと、前記第1アイコンに隣接するバックボタンが、前記所定方向に沿って表示され、
前記第1アイコンは、前記第2アイコンと前記第3アイコンとの間に配置され、
前記表示システムは、前記バックボタンが現在選択された状態での前記ハンドルスイッチに対する前記運転者の操作に応じて、前記ランチャー表示画面の階層を現在の階層よりも上位の階層に変更する又は前記表示部の表示モードを前記第2表示モードから前記第1表示モードに変更するように構成されている、
表示システム。
【請求項2】
前記表示システムは、
前記ハンドルスイッチに対する前記運転者の一回の操作に応じて、前記表示部の表示モードを前記第1表示モード又は前記第2表示モードに切り替える、
請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
前記第2表示モードにおいて、前記表示部に前記ランチャー表示画面と前記メイン表示画面が表示され、
前記表示モードが前記第1表示モードから前記第2表示モードに切り替わる場合に、前記ランチャー表示画面が強調表示されるように前記メイン表示画面の表示態様が変更される、
請求項1又は2に記載の表示システム。
【請求項4】
前記複数のアイコンは、前記ランチャー表示画面に表示される一以上のアイコンと、前記ランチャー表示画面に表示されない一以上のアイコンとを含む、
請求項1から3のうちいずれか一項に記載の表示システム。
【請求項5】
前記表示システムは、
前記ハンドルスイッチに対する前記運転者の操作に応じて、前記複数のアイコンを前記所定方向に沿って移動させることで前記ランチャー表示画面に表示されるアイコンを変更する、
請求項1から4のうちいずれか一項に記載の表示システム。
【請求項6】
前記表示システムは、前記運転者によって現在選択されている第1アイコンを強調表示する、
請求項1から7のうちいずれか一項に記載の表示システム。
【請求項7】
前記表示システムは、
前記バックボタンが現在選択された状態での前記ハンドルスイッチに対する前記運転者の短押し操作に応じて、前記ランチャー表示画面の現在の階層を当該現在の階層よりも1つ上位の階層に変更し、
前記バックボタンが現在選択された状態での前記ハンドルスイッチに対する前記運転者の長押し操作に応じて、前記表示部の表示モードを前記第2表示モードから前記第1表示モードに切り替える、
請求項1から6のうちいずれか一項に記載の表示システム。
【請求項8】
前記複数のアイコンが前記所定方向に沿って移動する中で、前記バックボタンは、前記第1アイコンと前記第2アイコンとの間に位置した状態で前記ランチャー表示画面に表示される、
請求項5に記載の表示システム。
【請求項9】
前記ランチャー表示画面の階層が現在の階層よりも1つ上位の階層に変更された場合に、前記バックボタンは、最初に選択された状態で前記ランチャー表示画面に表示される、
請求項1から8ののうちいずれか一項に記載の表示システム。
【請求項10】
前記表示モードが前記第1表示モードから前記第2表示モードに切り替わる場合に、前記ランチャー表示画面が前記メイン表示画面にスライドインする、
請求項1から9のうちいずれか一項に記載の表示システム。
【請求項11】
前記表示モードが前記第2表示モードから前記第1表示モードに切り替わる場合に、前記ランチャー表示画面が前記メイン表示画面からスライドアウトする、
請求項1から10のうちいずれか一項に記載の表示システム。
【請求項12】
前記第2表示モードにおいて、前記ハンドルスイッチが前記運転者によって一定期間の間操作されなかった場合に、前記表示モードが前記第2表示モードから前記第1表示モードに自動的に切り替わる、
請求項1から11のうちいずれか一項に記載の表示システム。
【請求項13】
前記複数のアイコンは、互いに異なる機能に関連付けられている、
請求項1から12のうちいずれか一項に記載の表示システム。
【請求項14】
前記表示部は、タコメータ及び速度メータとの間に配置されている、
請求項1から13のうちいずれか一項に記載の表示システム。
【請求項15】
前記メイン表示画面は、前記携帯端末から送信されたインフォテイメント情報を含む、
請求項1から14のうちいずれか一項に記載の表示システム。
【請求項16】
前記ハンドルスイッチは、上ボタンと、下ボタンと、前記上ボタンと前記下ボタンとの間に配置された決定ボタンの3つのボタンのみから構成される、
請求項1から15のうちのいずれか一項に記載の表示システム。
【請求項17】
前記ランチャー表示画面が前記表示部に表示されている場合であって且つ前記ハンドルスイッチの上ボタン又は下ボタンが前記運転者によって操作された場合に、前記表示システムは、前記ランチャー表示画面に前記バックボタンを表示する、
請求項1から15のうちいずれか一項に記載の表示システム。
【請求項18】
前記表示システムは、
前記上ボタンに対する前記運転者の操作に応じて、前記バックボタンが前記第1アイコンの下端に隣接するように前記バックボタンを前記ランチャー表示画面に表示し、
前記下ボタンに対する前記運転者の操作に応じて、前記バックボタンが前記第1アイコンの上端に隣接するように前記バックボタンを前記ランチャー表示画面に表示する、
請求項17に記載の表示システム。
【請求項19】
請求項1から18のうちのいずれか一項に記載の表示システムを備えた鞍乗型の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示システム及び当該表示システムを備えた鞍乗型の車両に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、車両に関する各種設定を変更するためのメニュー画面を表示するディスプレイユニットを備えた鞍乗型の車両が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-085851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示された鞍乗型の車両では、運転者は、ディスプレイユニット上にメニュー画面を表示させるために、物理スイッチから構成される設定操作部(ハンドルスイッチ)に対する操作を何回も行う必要がある。さらに、運転者は、メニュー画面の下層画面である車両特性画面上に表示された各種アイコンの選択を通じて、車両に関する各種設定を変更することが可能となる。一方で、運転者は、車両に関する各種設定の変更を完了させるために、設定操作部の物理スイッチを何度も操作する必要があり、設定操作部に対する運転者の操作量が多くなってしまう。特に、ディスプレイユニットに表示された表示画面を車両特性画面からメニュー画面に戻すために、運転者は、設定操作部を通じて現在選択されているアイコンから所定のアイコンまでカーソルを移動させる必要がある。上記観点より、車両に搭載された表示システムのユービリティを改善する余地がある。
【0005】
本開示は、車両に搭載された表示システムのユーザビリティを向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の表示システムは、鞍乗型の車両に搭載されると共に、表示部と、携帯端末に通信可能に接続された通信部とを備える。
前記表示システムは、
前記車両のハンドルスイッチに対する運転者の操作に応じて、前記表示部の表示モードを第1表示モードから第2表示モードに切り替え、
前記第1表示モードにおいて、前記表示部にメイン表示画面を表示し、
前記第2表示モードにおいて、前記表示部に少なくともランチャー表示画面を表示する。
前記ランチャー表示画面では、各々が前記携帯端末の機能又は前記車両の機能に関連付けられた複数のアイコンの少なくとも一部が所定方向に沿って並んで表示される。
前記ランチャー表示画面では、前記運転者によって現在選択されている第1アイコンと、前記運転者によって前回選択された第2アイコンと、前記運転者によって次回選択される第3アイコンと、前記第1アイコンに隣接するバックボタンが、前記所定方向に沿って表示される。
前記第1アイコンは、前記第2アイコンと前記第3アイコンとの間に配置される。
前記表示システムは、前記バックボタンが現在選択された状態での前記ハンドルスイッチに対する前記運転者の操作に応じて、前記ランチャー表示画面の階層を現在の階層よりも上位の階層に変更する又は前記表示部の表示モードを前記第2表示モードから前記第1表示モードに変更するように構成されている。
【0007】
上記構成によれば、ハンドルスイッチに対する運転者の操作に応じて、表示部の表示モードをメイン表示画面が表示される第1表示モードから少なくともランチャー表示画面が表示される第2表示モードに切り替えることができる。さらに、バックボタンが現在選択された状態でのハンドルスイッチに対する運転者の操作に応じて、ランチャー表示画面の階層を素早く現在の階層よりも上位の階層に変更することができる又は表示部の表示モードを第2表示モードから第1表示モードに変更することができる。このように、ハンドルスイッチに対する運転者の操作に応じて、表示部の表示モードを切り替えることができると共に、ランチャー表示画面の階層を素早く変更することができるため、表示システムのユーザビリティを向上させることができる。
【0008】
また、前記表示システムは、
前記ハンドルスイッチに対する前記運転者の一回の操作に応じて、前記表示部の表示モードを前記第1表示モード又は前記第2表示モードに切り替えてもよい。
【0009】
上記構成によれば、ハンドルスイッチに対する運転者の一回の操作に応じて表示部の表示モードが切り替わるので、表示システムの利便性や操作性を向上させることができる。
【0010】
また、前記第2表示モードにおいて、前記表示部に前記ランチャー表示画面と前記メイン表示画面が表示されてもよい。
前記表示モードが前記第1表示モードから前記第2表示モードに切り替わる場合に、前記ランチャー表示画面が強調表示されるように前記メイン表示画面の表示態様が変更されてもよい。
【0011】
上記構成によれば、ランチャー表示画面が強調表示されるため、ランチャー表示画面に対する視認性が向上する。
【0012】
また、前記複数のアイコンは、前記ランチャー表示画面に表示される一以上のアイコンと、前記ランチャー表示画面に表示されない一以上のアイコンとを含んでもよい。
【0013】
上記構成によれば、ランチャー表示画面には全てのアイコンのうち一部のアイコンが表示される。このため、全てのアイコンがランチャー表示画面に表示される状況と比較して、ランチャー表示画面に表示されたアイコンの視認性が向上する。
【0014】
また、前記表示システムは、
前記ハンドルスイッチに対する前記運転者の操作に応じて、前記複数のアイコンを前記所定方向に沿って移動させることで前記ランチャー表示画面に表示されるアイコンを変更してもよい。
【0015】
上記構成によれば、運転者はハンドルスイッチを操作することでランチャー表示画面に表示されたアイコンを所定方向に沿って移動させることができる。このように、表示システムの操作性を向上させることができる。
【0016】
また、前記表示システムは、前記運転者によって現在選択されている第1アイコンを強調表示してもよい。
【0017】
上記構成によれば、運転者は、強調表示された第1アイコンを視認することで、現在選択されている第1アイコンを直ちに把握することができる。
【0018】
また、前記表示システムは、
前記バックボタンが現在選択された状態での前記ハンドルスイッチに対する前記運転者の短押し操作に応じて、前記ランチャー表示画面の現在の階層を当該現在の階層よりも1つ上位の階層に変更し、
前記バックボタンが現在選択された状態での前記ハンドルスイッチに対する前記運転者の長押し操作に応じて、前記表示部の表示モードを前記第2表示モードから前記第1表示モードに切り替えてもよい。
【0019】
上記構成によれば、バックボタンが現在選択された状態でのハンドルスイッチに対する短押し操作を通じて、ランチャー表示画面の現在の階層を1つの上位の階層に変更することができる。また、バックボタンが現在選択された状態でのハンドルスイッチに対する長押し操作を通じて、表示部の表示モードを第2表示モードから第1表示モードに変更することができる。このように、表示システムの操作性を向上させることができる。また、物理的なバックボタンをハンドルスイッチに設ける必要がないため、ハンドルスイッチの全体のサイズを小型化することができる。
【0020】
また、前記複数のアイコンが前記所定方向に沿って移動する中で、前記バックボタンは、前記第1アイコンと前記第2アイコンとの間に位置した状態で前記ランチャー表示画面に表示されてもよい。
【0021】
上記構成によれば、バックボタンが現在選択されている第1アイコンと前回選択された第2アイコンとの間に位置するため、複数のアイコンが所定方向に沿って移動する中で第1アイコンに隣接したバックボタンが常に選択されてしまうといった状況を防止することが可能となる。
【0022】
また、前記ランチャー表示画面の階層が現在の階層よりも1つ上位の階層に変更された場合に、前記バックボタンは、最初に選択された状態で前記ランチャー表示画面に表示されてもよい。
【0023】
上記構成によれば、ランチャー表示画面の現在の階層が1つ上位の階層に変更された場合にバックボタンが最初に選択されている。このため、運転者は、ハンドルスイッチに対する簡単な操作のみ(例えば、短押し操作のみ)によってランチャー表示画面の階層を更に変更することができる。
【0024】
また、前記表示モードが前記第1表示モードから前記第2表示モードに切り替わる場合に、前記ランチャー表示画面が前記メイン表示画面にスライドインしてもよい。
【0025】
上記構成によれば、運転者は、ランチャー表示画面のスライドイン動作を通じて、表示部の表示モードが第1表示モードから第2表示モードに切り替わったことを直感的に把握することができる。
【0026】
また、前記表示モードが前記第2表示モードから前記第1表示モードに切り替わる場合に、前記ランチャー表示画面が前記メイン表示画面からスライドアウトしてもよい。
【0027】
上記構成によれば、運転者は、ランチャー表示画面のスライドアウト動作を通じて、表示部の表示モードが第2表示モードから第1表示モードに切り替わったことを直感的に把握することができる。
【0028】
また、前記第2表示モードにおいて、前記ハンドルスイッチが前記運転者によって一定期間の間操作されなかった場合に、前記表示モードが前記第2表示モードから前記第1表示モードに自動的に切り替わってもよい。
【0029】
上記構成によれば、運転者からのハンドル操作が一定期間ない場合に、表示部の表示モードが第2表示モードから第1表示モードに自動的に切り替わるので、表示システムの操作性が向上する。
【0030】
また、前記複数のアイコンは、互いに異なる機能に関連付けられてもよい。
【0031】
上記構成によれば、複数のアイコンが互いに異なる機能に関連付けられているため、表示システムの操作性が向上する。
【0032】
また、前記表示部は、タコメータ及び速度メータとの間に配置されてもよい。
【0033】
上記構成によれば、タコメータ又は速度メータから表示部に表示された表示画面に運転者の視線が移動する場合、又は当該表示画面からタコメータ又は速度メータに運転者の視線が移動する場合において、運転者の視線の移動量を減らすことができる。
【0034】
また、前記メイン表示画面は、前記携帯端末から送信されたインフォテイメント情報を含んでもよい。
【0035】
また、前記ハンドルスイッチは、上ボタンと、下ボタンと、前記上ボタンと前記下ボタンとの間に配置された決定ボタンの3つのボタンのみから構成されてもよい。
【0036】
上記構成によれば、運転者は、ハンドルスイッチに設けられた上ボタンと、下ボタンと、決定ボタンの3つのボタンによって、表示システムを操作することが可能となる。
また、ハンドルスイッチに設けられたボタンが3つである場合であっても、ランチャー表示画面上に表示されたバックボタンの存在によって、表示システムのユーザビリティが損なわれることが好適に防止される。
さらに、バックボタンの存在によりハンドルスイッチに物理的なホームボタンを別途設ける必要がないため、ハンドルスイッチのサイズの小型化を実現することができる。
【0037】
また、前記ランチャー表示画面が前記表示部に表示されている場合であって且つ前記ハンドルスイッチの上ボタン又は下ボタンが前記運転者によって操作された場合に、前記表示システムは、前記ランチャー表示画面に前記バックボタンを表示してもよい。
【0038】
また、前記表示システムは、
前記上ボタンに対する前記運転者の操作に応じて、前記バックボタンが前記第1アイコンの下端に隣接するように前記バックボタンを前記ランチャー表示画面に表示し、
前記下ボタンに対する前記運転者の操作に応じて、前記バックボタンが前記第1アイコンの上端に隣接するように前記バックボタンを前記ランチャー表示画面に表示してもよい。
【0039】
上記構成によれば、上ボタン又は下ボタンに対する運転者の連続的な操作を通じて、第1アイコンに隣接したバックボタンが常に選択されてしまうといった状況を防止することが可能となる。
【0040】
前記表示システムを備えた鞍乗型の車両が提供されてもよい。
【発明の効果】
【0041】
本開示によれば、車両に搭載された表示システムのユーザビリティを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本実施形態に係る表示システムを備えた鞍乗型車両の前側部を示す図である。
図2】本実施形態に係る表示システムを含む鞍乗型車両のシステム構成図である。
図3】ハンドルスイッチの構成の一例を概略的に示す図である。
図4】表示部のスクリーン上に表示されたメイン表示画面の一例を示す図である。
図5】表示部のスクリーン上に表示されたランチャー表示画面及びメイン表示画面の一例を示す図である。
図6】ランチャー表示画面上に表示されたアイコンが図5に示す状態から+D2方向に移動する様子を示す図である。
図7】ランチャー表示画面上に表示されたアイコンが図5に示す状態から-D2方向に移動する様子を示す図である。
図8】車両設定に関連する各種アイコンの一例を示す図である。
図9】ランチャー表示画面上に表示されたバックボタンが選択された状態を示す図である。
図10】下ボタン操作を通じてランチャー表示画面上に表示されたバックボタンが選択された状態を示す図である。
図11】ランチャー表示画面上に表示されたアイコンが図10に示す状態から+D2方向に移動する様子を示す図である。
図12】風よけスクリーンの高さ調整に関連するアイコンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明の実施形態(以下、本実施形態という。)について図面を参照しながら説明する。本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0044】
最初に、図1及び図2を参照して、本実施形態に係る表示システム2を備えた鞍乗型車両1(以下、単に車両1という。)の構成について以下に説明する。図1は、表示システム2を備えた車両1の前側部を示す図である。図2は、表示システム2を含む車両1のシステム構成図である。
【0045】
図1に示すように、車両1は、例えば、運転者が車体を傾動させることで旋回可能な自動二輪車である。車両1には、運転者に車両1の走行情報及びインフォテイメント情報を提示するための表示システム2が設けられている。表示システム2は、表示部20を備えている。表示部20は、車両1の前後方向において風よけスクリーン210とハンドル220との間に設けられていると共に、車両1の左右方向において左サイドミラー232と右サイドミラー233との間に設けられている。
【0046】
ハンドル220は、左ハンドル226と、右ハンドル227を有している。左ハンドル226にはハンドルスイッチ3とブレーキレバー225が設けられている。右ハンドル227には、アクセルとして機能するスロットルグリップ229及びブレーキレバー228が設けられている。ハンドル220の下方には車両1の駆動をオン又はオフするためのメインスイッチキー230が設けられている。
【0047】
表示部20は、車両1の左右方向において、メータユニット6の速度メータ62とタコメータ60との間に配置されている。速度メータ62は、車両1の速度情報を運転者に提示するように構成されている。タコメータ60は、駆動源10(図2参照)の回転数を示す情報を運転者に提示するように構成されている。表示部20が速度メータ62とタコメータ60との間に配置されているため、運転者の視線が速度メータ62又はタコメータ60から表示部20の表示画面に移動する場合又は運転者の視線が表示部20の表示画面から速度メータ62又はタコメータ60に移動する場合において、運転者の視線の移動量を減らすことが可能となる。
【0048】
図1において、車両1は、スクータ型の自動二輪車として例示されているが、車両1のタイプはスクータに限定されるものではない。車両1は、スクータ以外のタイプの自動二輪車であってもよい。さらに、車両1は二輪車に限定されるものではなく、鞍乗型の三輪車又は四輪車であってもよい。
【0049】
次に、図2を参照して車両1のシステム構成図について以下に説明する。図2では、説明の便宜上、車両1を構成する構成要素の一部のみが図示されている。図2に示すように、車両1は、表示システム2と、ハンドルスイッチ3と、メータユニット6と、車両制御ユニット4とを備える。車両1は、車速センサ5と、駆動源10と、駆動源回転数センサ7と、冷却水温度センサ8と、燃料計センサ9とをさらに備える。表示システム2は、表示部20と、通信部22と、入出力インターフェース23と、制御部24とを備える。
【0050】
表示システム2は、車両制御ユニット4から車両1の走行情報データを受信した上で、車両1の走行情報(例えば、車両1の速度情報等)を表示するように構成されている。さらに、表示システム2は、運転者によって携帯された携帯端末30からインフォテイメント情報を受信した上で、当該受信したインフォテイメント情報(例えば、地図情報)を表示するように構成されている。また、表示システム2は、車両制御ユニット4から送信された車両1の走行情報データを携帯端末30に送信するように構成されてもよい。表示システム2は、SDL(Smart Device Link:登録商標)等の規格に基づいて携帯端末30に通信可能に接続されてもよい。
【0051】
表示部20は、上記したように、車両1の前側部に設けられている。表示部20は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイにより構成されている。通信部22は、携帯端末30に通信可能に接続されている。通信部22は、例えば、無線により携帯端末30に通信可能に接続された無線通信部として構成されてもよい。無線通信部は、高周波回路(RF回路)と、送受信アンテナとを有しており、Wi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)等の無線通信規格に基づいて携帯端末30に接続されてもよい。また、通信部22は、USBケーブル等の有線ケーブルを介して携帯端末30に通信可能に接続されてもよい。
【0052】
携帯端末30は、例えば、スマートフォン、携帯電話、タブレット又はウェアラブルデバイスである。携帯端末30は、無線により無線基地局40に通信可能に接続されている。この点において、携帯端末30は、データ通信用のSIMカードを備えていると共に、第4世代(4G)又は第5世代(5G)移動通信システムを通じて無線基地局40に通信可能に接続されてもよい。携帯端末30は、無線基地局40、携帯端末用のコアネットワーク(図示せず)及びIP(Internet Protocol)ネットワーク50を介して外部サーバ70に接続されている。例えば、携帯端末30は、外部サーバ70からインフォテイメント情報(地図情報、音楽情報、メッセージ情報、天気情報など)を受信した上で、当該受信したインフォテイメント情報を表示システム2に送信してもよい。一方で、携帯端末30は、表示システム2から車両1の走行情報を受信した上で、当該受信した車両1の走行情報を外部サーバ70に送信してもよい。また、携帯端末30は、携帯端末30の現在位置情報を受信するGPS(Global Positioning System)を備えてもよい。携帯端末30は、外部サーバ70から受信した地図情報とGPSによって取得された現在位置情報とを表示システム2に送信してもよい。
【0053】
入出力インターフェース23は、表示システム2と外部装置(例えば、メータユニット6や車両制御ユニット4)とを接続するように構成されている。例えば、車両制御ユニット4及びメータユニット6は、CANケーブル等の通信ケーブルを介して入出力インターフェース23に接続されている。
【0054】
制御部24は、表示システム2に設けられた各構成要素を制御するように構成されている。制御部24は、1以上のプロセッサと1以上のメモリを含むコンピュータシステムと、アクティブ素子及びパッシブ素子から構成される電子回路を含む。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)のうちの少なくとも一つを含む。メモリは、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)を含む。RAMは、VRAM(Video RAM)を含んでもよい。ROMは、フラッシュメモリを含んでもよい。プロセッサは、ROMに記憶された制御プログラムをRAM上に展開し、RAMとの協働で各種処理を実行するように構成されてもよい。また、コンピュータシステムは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)を含んでもよい。
【0055】
制御部24は、車両制御ユニット4から車両1の走行情報を受信した上で、当該走行情報を表示部20に表示させる。また、制御部24は、携帯端末30からインフォテイメント情報を受信した上で、当該インフォテイメント情報を表示部20に表示させる。この点において、表示システム2の表示モードがプロジェクションモードである場合には、制御部24は、携帯端末30から送信された画像データを表示部20に表示させる。この場合、制御部24は、携帯端末30から送信された画像データを調整した上で、当該調整した画像データを表示部20に表示させてもよい。一方で、表示システム2の表示モードがテンプレートモードである場合には、制御部24は、携帯端末30から送信されたインフォテイメント情報とROMに保存されたテンプレート画像データに基づいて、画像データを生成した上で、当該生成した画像データを表示部20に表示させる。
【0056】
尚、図2に示す表示システム2は、単一のモジュールにより構成されてもよいし、互いに分離した2以上のモジュールにより構成されてもよい。
【0057】
ハンドルスイッチ3は、左ハンドル226に設けられており、運転者の操作に応じた操作信号を生成した上で、当該操作信号をメータユニット6に送信するように構成されている。運転者がハンドルスイッチ3を通じて表示システム2を操作する場合には、ハンドルスイッチ3によって生成された操作信号は、メータユニット6を介して表示システム2に送信される。図3に示すように、ハンドルスイッチ3は、ハウジング39と、決定ボタン32と、上ボタン33と、下ボタン34とを有する。決定ボタン32は、上ボタン33と下ボタン34との間に配置されている。本実施形態では、ハンドルスイッチ3は、決定ボタン32と、上ボタン33と、下ボタン34との3つのボタンのみから構成されている。つまり、ハンドルスイッチ3にホームボタンを別途設ける必要がないため、ハンドルスイッチ3の外形サイズが小型化されている。尚、図3に示すハンドルスイッチ3の構成は一例である点に留意されたい。
【0058】
メータユニット6は、速度メータ62及びタコメータ60により構成されている。メータユニット6は、ハンドルスイッチ3と、燃料計センサ9と、表示システム2と、車両制御ユニット4とにそれぞれ接続されている。特に、メータユニット6は、CAN通信ケーブルによって表示システム2及び車両制御ユニット4に通信可能に接続されている。
【0059】
車両制御ユニット4は、車両1の走行を制御するように構成されている。特に、車両制御ユニット4は、スロットルグリップやブレーキレバー等のHMI(Human Machine Interface)から出力されたアクセル操作信号やブレーキ操作信号に基づいて、駆動源10を制御するように構成されている。車両制御ユニット4は、例えば、少なくとも一つの電子制御ユニット(ECU)により構成されている。ECUは、1以上のプロセッサと1以上のメモリを含むコンピュータシステムと、アクティブ素子及びパッシブ素子から構成される電子回路を含んでもよい。車両制御ユニット4は、CAN通信ケーブルを通じて、車両1に設けられた各種センサから出力された検出信号を表示システム2及びメータユニット6に送信するように構成されている。
【0060】
車速センサ5は、車両1の速度を検出すると共に、車両1の速度を示す検出信号を車両制御ユニット4に送信するように構成されている。駆動源回転数センサ7は、駆動源10の回転数を検出すると共に、駆動源10の回転数を示す検出信号を車両制御ユニット4に送信するように構成されている。駆動源10は、車両1の駆動力を生成するように構成されており、エンジン及び/又はモータである。
【0061】
冷却水温度センサ8は、駆動源10を冷却する冷却水の温度を検出すると共に、冷却水の温度を示す検出信号を車両制御ユニット4に送信するように構成されている。尚、駆動源10が水冷式エンジンでない場合には冷却水温度センサ8は車両1に設けられなくてもよい。この場合には、冷却水温度センサ8に代わって、エンジン温度を検出するように構成されたエンジン温度センサが車両1に設けられてもよい。
【0062】
燃料計センサ9は、駆動源10の燃料残量(例えば、ガソリン残量)を検出すると共に、燃料残量を示す検出信号をメータユニット6に送信するように構成されている。尚、駆動源10がモータである場合には燃料計センサ9の代わりにバッテリ残量を検出するバッテリ残量センサが車両1に設けられてもよい。
【0063】
(メイン表示画面とランチャー表示画面)
次に、図4及び図5を参照して、表示部20のスクリーン上に表示されるメイン表示画面100及びランチャー表示画面140について以下に説明する。図4は、表示部20のスクリーン上に表示されたメイン表示画面100の一例を示す図である。図5は、表示部20のスクリーン上に表示されたメイン表示画面100及びランチャー表示画面140の一例を示す図である。
【0064】
以下の説明では、表示部20のスクリーンのD1方向及びD2方向について適宜言及する場合がある。D1方向とD2方向は互いに直交している。D1方向は、図1に示す車両1の左右方向に平行であってもよいし、平行でなくてもよい。D2方向は、+D2方向(矢印方向)と、+D2方向とは反対方向である-D2方向とを含む。また、以下の説明では、表示システム2の制御主体は制御部24である。
【0065】
最初に、図4に示すメイン表示画面100について説明する。メイン表示画面100は、表示部20のスクリーン上に表示される初期画面となる。制御部24は、表示部20の第1表示モードにおいて、メイン表示画面100を表示部20のスクリーン上に表示する。メイン表示画面100は、車両1の走行情報と、携帯端末30から送信されたインフォテイメント情報(例えば、地図情報、音楽情報、メッセージ情報、天気情報など)とを含んでもよい。図4に示す例では、インフォテイメント情報の一例として地図情報がメイン表示画面100に表示されている。また、冷却水の温度を示す冷却水温度メータ120と、駆動源10の燃料残量を示す燃料残量メータ130と、車両1の平均速度を示す平均速度メータ150とが車両1の走行情報の一例としてメイン表示画面100に表示されている。
【0066】
次に、運転者によってハンドルスイッチ3の決定ボタン32が一回だけ短押し操作されると、図5に示すように表示部20のスクリーン上にメイン表示画面100とランチャー表示画面140が表示される。即ち、制御部24は、決定ボタン32に対する運転者の一回の短押し操作に応じて、表示部20の表示モードを図4に示す第1表示モードから図5に示す第2表示モードに切り替える。表示部20の第2表示モードでは、図5に示すように、メイン表示画面100とランチャー表示画面140が表示部20に表示される。
【0067】
表示部20の表示モードが図4に示す第1表示モードから図5に示す第2表示モードに切り替わる場合に、ランチャー表示画面140がD1方向においてメイン表示画面100内にスライドインする。このように、運転者は、ランチャー表示画面140のスライドイン動作を通じて、表示部20の表示モードが第1表示モードから第2表示モードに切り替わることを直ちに把握することができる。尚、ランチャー表示画面140がスライドインする方向は、D2方向であってもよい。
【0068】
また、図4及び図5に示すように、表示部20の表示モードが第1表示モードから第2表示モードに切り替わる場合に、メイン表示画面100のうち冷却水温度メータ120と燃料残量メータ130の表示位置が維持された状態でランチャー表示画面140がメイン表示画面100に重畳される。その一方で、平均速度メータ150の全部と地図画像(地図情報)の大部分がランチャー表示画面140によって隠蔽される。
【0069】
尚、ランチャー表示画面140がメイン表示画面100に重畳される場合に、冷却水温度メータ120と燃料残量メータ130がメイン表示画面100から消去されてもよい。
【0070】
さらに、表示部20の表示モードが第1表示モードから第2表示モードに切り替わる場合に、ランチャー表示画面140が強調表示されるようにメイン表示画面100の表示態様が変更されてもよい。具体的には、ランチャー表示画面140が強調表示されるように、メイン表示画面100に表示された地図画像の表示態様(例えば、明るさ、色相、明度、彩度、透明度等)が変更されてもよい。例えば、制御部24は、メイン表示画面100に表示された地図画像の表示色を薄くすることでランチャー表示画面140を強調表示してもよいし、地図画像をメイン表示画面100から消去してもよい(例えば、図6参照)。このように、第2表示モードにおいてランチャー表示画面140が強調表示されるため、ランチャー表示画面140に対する視認性が向上する。尚、図6以降に示すメイン表示画面100では、ランチャー表示画面140を強調表示するために地図画像がメイン表示画面100から消去されているものとする。
【0071】
(ランチャー表示画面のアイコン)
図5に示すように、ランチャー表示画面140では、3つのアイコンがD2方向に沿って並んで表示される。ランチャー表示画面140に表示される複数のアイコンの各々は、携帯端末30の機能又は車両1の機能に関連付けられている。各アイコンに対する運転者の選択操作を通じて車両1又は携帯端末30の機能を変更することが可能となる。また、各アイコンにはイラストや文字情報が表示されている。ランチャー表示画面140に表示される複数のアイコンの各々は、互いに異なる機能に関連付けられている。
【0072】
図5に示すランチャー表示画面140では、3つのアイコン42a~42cがD2方向に沿って並んで配置されている。アイコン42aは、車両1の風よけスクリーン210(図1参照)の高さ調整に関連付けられたアイコンである。アイコン42bは、車両1のグリップヒータの温度調整に関連付けられたアイコンである。アイコン42cは、車両1の各種設定に関連付けられたアイコンである。例えば、図5又は図11に示すようにアイコン42aが選択されている状態において運転者によってハンドルスイッチ3の決定ボタン32が操作されると、高さ調整ウィンドウ142aが表示部20に表示される(図12参照)。運転者は、高さ調整ウィンドウ142aに表示されたアイコン143を選択及び操作することで、風よけスクリーン210の高さを上げることができる一方で、アイコン144を選択及び操作することで、風よけスクリーン210の高さを下げることができる。
【0073】
図5に示すように、ランチャー表示画面140では、運転者によって現在選択されているアイコン42a(第1アイコンの一例)が、D2方向におけるランチャー表示画面140の中心に表示される。さらに、現在選択されているアイコン42aの視覚的態様が変化することでアイコン42aが強調表示される。この点において、図5に示すように、現在選択されているアイコン42aの外周部分が強調表示されてもよい。また、アイコン42aの強調表示の他の一例として、アイコン42aのサイズが拡大してもよいし、アイコン42aの表示色が変化してもよい。このように、運転者は、強調表示されたアイコン42aを視認することで、現在選択されているアイコン42a(換言すれば、現在フォーカスされているアイコン42a)を直ちに把握することが可能となる。
【0074】
また、ランチャー表示画面140に表示される全てのアイコンのうち一部のアイコンのみ(図5では、3つのアイコン42a~42c)がランチャー表示画面140上に表示される一方で、残りのアイコンはランチャー表示画面140上には表示されない。このように、ランチャー表示画面140には全てのアイコンのうち一部のアイコンのみが表示されるため、ランチャー表示画面140に表示されたアイコンの視認性が向上する。また、表示システム2が搭載される車両1の種類に応じて、ランチャー表示画面140に含まれるアイコンの個数が異なる場合が想定される。かかる場合であっても、ランチャー表示画面140上には全てのアイコンのうち一部のアイコン(本例では、3つのアイコン)のみが表示されるため、車両1の種類ごとにランチャー表示画面140のレイアウトを変更する必要がない。
【0075】
(ランチャー表示画面に表示されるアイコンの移動)
次に、図6及び図7を参照して、ランチャー表示画面140に表示されるアイコンの移動について説明する。図6は、ランチャー表示画面140上に表示されたアイコンが図5に示す状態から+D2方向に移動する様子を示す図である。図7は、ランチャー表示画面140上に表示されたアイコンが図5に示す状態から-D2方向に移動する様子を示す図である。
【0076】
最初に、制御部24は、メータユニット6を介してハンドルスイッチ3に対する運転者の操作に対応する操作信号をハンドルスイッチ3から受信する。その後、制御部24は、当該受信した操作信号に応じてランチャー表示画面140に表示されるアイコンを+D2方向又は-D2方向に沿って移動させることでランチャー表示画面140に表示されるアイコンを変更するように構成されている。特に、制御部24は、下ボタン34に対する運転者の操作に応じて、アイコンを+D2方向に移動させる一方で、上ボタン33に対する運転者の操作に応じて、アイコンを-D2方向に移動させる。
【0077】
図5及び図6に示すように、アイコン42aが現在選択されている状態で運転者がハンドルスイッチ3の下ボタン34を操作することで、運転者により選択されるアイコンがアイコン42aからアイコン42bに変更される。このとき、図6に示すように、ランチャー表示画面140に表示されるアイコンが+D2方向に移動する。特に、図5に示すアイコン42cがランチャー表示画面140から消える一方で、携帯端末30の電話機能に関連付けられたアイコン42dがランチャー表示画面140に出現する。また、アイコン42bが、運転者によって現在選択されているアイコンとして強調表示されると共に、D2方向においてランチャー表示画面140の中央に配置される。
【0078】
また、ハンドルスイッチ3の上ボタン33又は下ボタン34が運転者によって操作された場合に、制御部24は、バックボタン43をランチャー表示画面140に初めて表示する。即ち、上ボタン33又は下ボタン34に対する操作がバックボタン43の出現条件となる。バックボタン43がアイコン42aとアイコン42bとの間に位置した状態でランチャー表示画面140に表示される。バックボタン43は、ランチャー表示画面140の階層又は表示部20の表示モードを変更するためのボタンである。バックボタン43の機能については後述する。
【0079】
図6に示すランチャー表示画面140では、アイコン42bは、運転者によって現在選択されているアイコン(第1アイコンの一例)に相当する。アイコン42aは、運転者によって前回選択されたアイコン(第2アイコンの一例)に相当する。運転者が下ボタン34の操作を継続する場合に、アイコン42dは、運転者によって次回選択されるアイコン(第3アイコンの一例)に相当する。このように、ランチャー表示画面140において、現在選択されているアイコン42bと、前回選択されたアイコン42aと、次回選択されるアイコン42dと、アイコン42bに隣接するバックボタン43がD2方向に沿って表示される。さらに、バックボタン43が、現在選択されているアイコン42bと前回選択されたアイコン42aとの間に位置している。特に、バックボタン43は、下ボタン34に対する運転者の操作に応じて、アイコン42bの上端に隣接するようにランチャー表示画面140に表示される。
【0080】
また、図5及び図7に示すように、アイコン42aが現在選択されている状態で運転者がハンドルスイッチ3の上ボタン33を操作することで、運転者により選択されるアイコンがアイコン42aからアイコン42cに変更される。このとき、図7に示すように、ランチャー表示画面140に表示されるアイコンが-D2方向に移動する。特に、図5に示すアイコン42bがランチャー表示画面140から消える一方で、アイコン42eがランチャー表示画面140に出現する。アイコン42eは、携帯端末30によって提供される音楽に関連付けられたアイコンである。また、アイコン42cが、運転者によって現在選択されているアイコンとして強調表示されると共に、D2方向においてランチャー表示画面140の中央に配置される。また、バックボタン43がアイコン42aとアイコン42cとの間に位置した状態でランチャー表示画面140に表示される。
【0081】
図7に示すランチャー表示画面140では、アイコン42cは、運転者によって現在選択されているアイコン(第1アイコンの一例)に相当する。アイコン42aは、運転者によって前回選択されたアイコン(第2アイコンの一例)に相当する。運転者が上ボタン33の操作を継続する場合に、アイコン42eは、運転者によって次回選択されるアイコン(第3アイコンの一例)に相当する。このように、ランチャー表示画面140において、現在選択されているアイコン42cと、前回選択されたアイコン42aと、次回選択されるアイコン42eと、アイコン42cに隣接するバックボタン43がD2方向に沿って表示される。さらに、バックボタン43が、現在選択されているアイコン42cと前回選択されたアイコン42aとの間に位置している。特に、バックボタン43は、上ボタン33に対する運転者の操作に応じて、アイコン42cの下端に隣接するようにランチャー表示画面140に表示される。
【0082】
このように、運転者によって現在選択されているアイコンと、運転者によって前回選択されたアイコンと、運転者によって次回選択されるアイコンの3つのアイコンがランチャー表示画面140に表示されている。さらに、現在選択されているアイコンが、D2方向において、前回選択されたアイコンと次回選択されるアイコンとの間に配置されている。このため、運転者は、現在選択されているアイコンと、前回選択されたアイコンと、次回選択されるアイコンとを直感的に把握することができるため、表示システム2の操作性が向上する。
【0083】
また、図6及び図7に示す例において、バックボタン43は、現在選択されているアイコンに常に隣接するように表示されている。このため、運転者は、ハンドルスイッチ3に対する少ない操作量でバックボタン43を選択することができる。また、バックボタン43が現在選択されているアイコンと前回選択されたアイコンとの間に位置している。このため、運転者の操作に応じ3つのアイコンが+D2方向又は-D2方向に沿って移動する中でバックボタン43が常に選択されてしまうといった状況を防止することが可能となる。例えば、図6に示す例において、バックボタン43がアイコン42bとアイコン42aとの間に位置するため、アイコン42dが選択される前にバックボタン43が選択されてしまう状況を防止することが可能となる。
【0084】
(バックボタン)
次に、図7から図10を参照することで、バックボタン43の機能について以下に説明する。図8は、アイコン42cに関連付けられた車両設定に関連するアイコン44a~44dの一例を示す図である。図9は、ランチャー表示画面140上に表示されたバックボタン43が選択された状態を示す図である。図10は、下ボタン34の操作を通じてバックボタン43が選択された状態を示す図である。
【0085】
図7及び図8に示すように、アイコン42cが現在選択されている状態において決定ボタン32が運転者によって操作されると、車両設定に関連するアイコン44a~44dがD2方向に並んで表示されたランチャー表示画面140が表示部20のスクリーン上に表示される。アイコン44a~44dは、アイコン42cに対して下層のアイコンとなる。つまり、図8に示すランチャー表示画面140の階層は、図7に示すランチャー表示画面140の階層よりも一つ下位の階層となる。また、図8に示すように、バックボタン43は、運転者によって現在選択されているアイコン44aに常に隣接するように配置される。図8に示すバックボタン43が運転者によって選択された状態で決定ボタン32が短押し操作されると、図9に示すランチャー表示画面140が表示部20に表示される。このように、制御部24は、バックボタン43が現在選択された状態での決定ボタン32に対する短押し操作に応じて、ランチャー表示画面140の現在の階層(図8のランチャー表示画面)を現在の階層よりも一つ上位の階層(図9のランチャー表示画面)に変更する。以降では説明の便宜上、図7又は図9に示すランチャー表示画面140の階層を第1階層といい、図8に示すランチャー表示画面140の階層を第2階層という場合がある。
【0086】
一方で、図8に示すバックボタン43が運転者によって選択された状態で決定ボタン32が長押し操作されると、ランチャー表示画面140が消去され、図4に示すメイン表示画面100が表示部20のスクリーン上に表示される。換言すれば、図8に示すバックボタン43が運転者によって選択された状態で決定ボタン32が長押し操作されると、表示部20の表示モードが第2表示モードから図4に示す第1表示モードに切り替わる。表示部20の表示モードが第2表示モードから第1表示モードに切り替わる場合では、ランチャー表示画面140がD1方向においてメイン表示画面100からスライドアウトしてもよい。
【0087】
また、図7に示すランチャー表示画面140に表示されたバックボタン43が運転者によって選択された状態で決定ボタン32が短押し操作されると、表示部20の表示モードが第2表示モードから図4に示す第1表示モードに切り替わる。この場合も同様に、ランチャー表示画面140がD1方向においてメイン表示画面100からスライドアウトしてもよい。このように、運転者は、ランチャー表示画面140のスライドアウト動作を通じて、表示部20の表示モードが第2表示モードから第1表示モードに切り替わることを直ちに把握することができる。尚、ランチャー表示画面140がスライドアウトする方向は、D2方向であってもよい。
【0088】
このように、バックボタン43は、ランチャー表示画面140の階層を現在の階層よりも上位の階層に変更する又は表示部20の表示モードを第2表示モードから第1表示モードに変更するように構成されている。より具体的には、図8に示すようにランチャー表示画面140の階層が第2階層である場合には、バックボタン43は、決定ボタン32の短押し操作に応じて、ランチャー表示画面140の階層を第2階層から第1階層に変更するように機能する。この点において、ランチャー表示画面140の階層が第N階層(N>2)である場合には、バックボタン43は、決定ボタン32の短押し操作に応じて、ランチャー表示画面140の階層を第N階層から第(N-1)階層に変更するように機能する。
【0089】
一方で、バックボタン43は、決定ボタン32の長押し操作に応じて、表示部20の表示モードを第2表示モードから第1表示モードに変更する。また、図7又は図9に示すようにランチャー表示画面140の階層が第1階層である場合には、バックボタン43は、決定ボタン32の短押し操作に応じて、表示部20の表示モードを第2表示モードから第1表示モードに変更する。尚、表示部20の表示モードが第1表示モードである場合(つまり、表示部20にランチャー表示画面140に表示されない場合)、ランチャー表示画面140の階層は最上位の階層であると表現することも可能である。つまり、ランチャー表示画面140の最上位の階層では、表示部20のスクリーン上にランチャー表示画面140が表示されない。
【0090】
また、図9に示すように、バックボタン43の操作を通じてランチャー表示画面140の階層が第2階層から第1階層に変更された場合に、バックボタン43が最初に選択された状態(つまり、バックボタン43がフォーカスされた状態)でランチャー表示画面140に表示される。このため、運転者は、決定ボタン32の短押し操作のみでランチャー表示画面140の階層を更に変更することができる。図9に示す例では、運転者が決定ボタン32をさらに一回だけ短押しすることで、表示部20の表示モードを第1表示モードに変更することが可能となる。また、バックボタン43の操作を通じてランチャー表示画面140の階層が1つ上位の階層に変更された場合に、バックボタン43は、ランチャー表示画面140の中央に配置されたアイコンの左上コーナー部に常に隣接してもよい。
【0091】
図10に示すように、運転者が図7に示す状態から下ボタン34を操作する場合に、アイコン42aではなくバックボタン43が先に選択される。この場合、アイコン42aが選択されないため、ランチャー表示画面140に表示されたアイコンは+D2方向に移動しない。さらに、図11に示すように、運転者が図10に示す状態から下ボタン34を更に操作する場合に、アイコン42aが次に選択される。この場合、ランチャー表示画面140に表示されるアイコンが+D2方向に移動する。特に、図5に示すアイコン42eがランチャー表示画面140から消える一方で、アイコン42bがランチャー表示画面140に出現する。また、アイコン42aが、運転者によって現在選択されているアイコンとして強調表示されると共に、D2方向においてランチャー表示画面140の中央に配置される。バックボタン43は、アイコン42aとアイコン42cとの間に位置した状態でアイコン42aに隣接する。
【0092】
本実施形態によれば、決定ボタン32に対する運転者の一回の短押し操作に応じて、表示部20の表示モードをメイン表示画面100が表示された第1表示モードからランチャー表示画面140が表示された第2表示モードに切り替えることができる。さらに、バックボタン43が現在選択された状態での決定ボタン32に対する短押し操作に応じて、ランチャー表示画面140の階層を1つ上位の階層に変更することができる又は表示部20の表示モードを第2表示モードから第1表示モードに変更することができる。このように、表示システム2のユーザビリティを向上させることができる。
【0093】
特に、本実施形態では、バックボタン43の操作を通じてランチャー表示画面140の階層又は表示部20の表示モードを変更することができるため、ハンドルスイッチ3に別途ホームボタンを設けなくても表示システム2の操作性及び利便性を向上させることができる。このように、物理的なホームボタンをハンドルスイッチ3に別途設ける必要がないため、ハンドルスイッチ3の全体のサイズを小型化することが可能となる。
【0094】
また、本実施形態では、第2表示モードにおいてハンドルスイッチ3が運転者によって一定期間の間(例えば、5秒間)操作されなかった場合に、表示部20の表示モードが第2表示モードから第1表示モードに自動的に切り替わってもよい。この場合、運転者からのハンドル操作が一定期間の間に実行されなかった場合に、表示モードが第2表示モードから第1表示モードに自動的に切り替わるので、表示システム2の操作性が向上する。
【0095】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲及びその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【0096】
本実施形態では、表示部20の表示モードが第1表示モードから第2表示モードに切り替わる場合に、ランチャー表示画面140とメイン表示画面100の両方が表示部20のスクリーン上に表示されているが、本実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、表示部20の表示モードが第1表示モードから第2表示モードに切り替わる場合に、ランチャー表示画面140のみが表示部20のスクリーン上に表示されてもよい。
【0097】
また、本実施形態では、ランチャー表示画面140の階層の深さは特に限定されるものではなく、例えば、ランチャー表示画面140はN個(N≧2)の階層を有してもよい。
【符号の説明】
【0098】
1:鞍乗型車両(車両)
2:表示システム
3:ハンドルスイッチ
4:車両制御ユニット
5:車速センサ
6:メータユニット
7:駆動源回転数センサ
8:冷却水温度センサ
9:燃料計センサ
10:駆動源
20:表示部
22:通信部
23:入出力インターフェース
24:制御部
30:携帯端末
32:決定ボタン
33:上ボタン
34:下ボタン
39:ハウジング
40:無線基地局
42a,42b,42c,42d,42e:アイコン
43:バックボタン
44a,44b,44c,44d:アイコン
50:IPネットワーク
60:タコメータ
62:速度メータ
70:外部サーバ
100:メイン表示画面
120:冷却水温度メータ
130:燃料残量メータ
140:ランチャー表示画面
150:平均速度メータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12