(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022057775
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】建築板梱包体および建築板梱包体製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 81/02 20060101AFI20220404BHJP
【FI】
B65D81/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020166200
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000110860
【氏名又は名称】ニチハ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】橋本 雄大
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕明
【テーマコード(参考)】
3E066
【Fターム(参考)】
3E066AA24
3E066CA03
3E066DB01
3E066HA05
3E066JA13
3E066MA09
3E066NA29
(57)【要約】 (修正有)
【課題】建築板表面の塗膜における押圧起因の光沢の発生を抑制するのに適した建築板梱包体、およびその製造方法を提供する。
【解決手段】建築板梱包体X2は、第1建築板10と、第1建築板と重ね合わされた合紙20とを備える。第1建築板は、合紙側の第1面11と、第1面とは反対側の第2面12とを有する。第1面は、第1塗膜面11Aを含む。合紙は、第1建築板側の第3面21と、第3面とは反対側の第4面22とを有する。第3面は、第1塗膜面と接触する。第1塗膜面の60度光沢度と第3面の60度光沢度との差の絶対値は3.0以下であり、且つ、第1塗膜面の85度光沢度と第3面の85度光沢度との差の絶対値は3.0以下である。本発明の建築板梱包体製造方法は、第1塗膜面と第3面とが接触するように第1建築板と合紙とを重ね合わせる工程を含む。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1建築板と、当該第1建築板と重ね合わされた合紙と、を備える建築板梱包体であっ
て、
前記第1建築板は、第1塗膜面を含む第1面と、当該第1面とは反対側の第2面とを有
し、
前記合紙は、前記第1建築板側の第3面と、当該第3面とは反対側の第4面とを有し、
前記第3面は前記第1塗膜面と接触し、
前記第1塗膜面の60度光沢度と、前記第3面の60度光沢度との差の絶対値が、3.
0以下であり、且つ、前記第1塗膜面の85度光沢度と、前記第3面の85度光沢度との
差の絶対値が、3.0以下である、建築板梱包体。
【請求項2】
前記合紙を介して前記第1建築板と重ね合わされた第2建築板を更に備え、
前記第2建築板は、前記第1建築板側の第5面と、当該第5面とは反対側の第6面とを
有し、前記第5面は第2塗膜面を含み、
前記合紙における前記第2建築板側の前記第4面は、前記第2塗膜面と接触し、
前記第2塗膜面の60度光沢度と、前記第4面の60度光沢度との差の絶対値が、3.
0以下であり、且つ、前記第2塗膜面の85度光沢度と、前記第4面の85度光沢度との
差の絶対値が、3.0以下である、請求項1に記載の建築板梱包体。
【請求項3】
前記第3面は、前記第1建築板側に突出する複数の微小凸部が均等配置された凹凸形状
を有する、請求項1または2に記載の建築板梱包体。
【請求項4】
前記第3面は、前記第1建築板側に突出する複数の微小凸部が均等配置された凹凸形状
を有し、
前記第4面は、前記複数の微小凸部に対応した位置に複数の微小凹部を含む凹凸形状を
有する、請求項2に記載の建築板梱包体。
【請求項5】
第1塗膜面を含む第1面と当該第1面とは反対側の第2面とを有する第1建築板、およ
び、第3面と当該第3面とは反対側の第4面とを有する合紙を、用意する工程と、
前記第1塗膜面と前記第3面とが接触するように前記第1建築板と前記合紙とを重ね合
わせる工程とを含み、
前記第1塗膜面の60度光沢度と、前記第3面の60度光沢度との差の絶対値が、3.
0以下であり、且つ、前記第1塗膜面の85度光沢度と、前記第3面の85度光沢度との
差の絶対値が、3.0以下である、建築板梱包体製造方法。
【請求項6】
第2塗膜面を含む第5面と、当該第5面とは反対側の第6面とを有する、第2建築板を
、前記第2塗膜面と前記合紙の前記第4面とが接触するように、前記合紙を介して前記第
1建築板と重ね合わせる工程を、更に含み、
前記第2塗膜面の60度光沢度と、前記第4面の60度光沢度との差の絶対値が、3.
0以下であり、且つ、前記第2塗膜面の85度光沢度と、前記第4面の85度光沢度との
差の絶対値が、3.0以下である、請求項5に記載の建築板梱包体製造方法。
【請求項7】
前記第3面は、前記第1建築板側に突出する複数の微小凸部が均等配置された凹凸形状
を有する、請求項5または6に記載の建築板梱包体製造方法。
【請求項8】
前記第3面は、前記第1建築板側に突出する複数の微小凸部が均等配置された凹凸形状
を有し、
前記第4面は、前記複数の微小凸部に対応した位置に複数の微小凹部を含む凹凸形状を
有する、請求項6に記載の建築板梱包体製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築板の梱包体およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の外壁や内壁を構成する建築板としては、例えば、窯業系サイディングボードや
セラミックボード等の無機質板が用いられる。建築板を用いての壁部の施工にあたっては
、複数枚の建築板が上下方向や左右方向に継ぎ合わされる。このような建築板は、所定数
の建築板が梱包され且つ当該梱包体が運搬パレット上に積載された状態で、保管および運
搬されることが多い。このような建築板の梱包に関する技術については、例えば下記の特
許文献1には、建築板の塗膜表面を、合紙と呼ばれる薄いシートで覆い保護することが記
載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建築板では、その意匠面等に塗装が施されることがある。塗装が施された建築板におい
て、その塗装面の塗膜が押圧されると、その押圧箇所では、塗膜表面の質感が変化して新
たな光沢を生ずる場合がある(即ち、押圧箇所では、それに隣接する非押圧箇所よりも、
正味の外光反射率が高くなる場合がある)。これは、塗膜表面において、所定の質感に対
応する微視的な凹凸形状が、押圧によって微視的に変形(例えば平坦化)するためである
と考えられる。運搬パレット上に多段に積載された建築板や建築板梱包体(以下、梱包体
と略す)では、最下段に位置して最も大きな負荷を受ける建築板において特に、意図しな
い新たな光沢が塗膜に生じやすい。
【0005】
塗膜の押圧に起因する上述の光沢が生じた建築板が、外壁や内壁を構成する建築板に含
まれると、太陽光や照明光など照射光の照射角度によっては、その光沢が目立ち、外壁や
内壁の外観を損なうことがある。特に、建築板表面の塗膜が艶消し塗膜である場合には、
意図しない上記光沢は、目立ちやすく、外壁や内壁の外観を損なうことがある。
【0006】
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであり、その目的は、建築板表面
の塗膜における押圧起因の光沢の発生を抑制するのに適した梱包体、およびその製造方法
を、提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の側面によると、梱包体が提供される。この梱包体は、第1建築板と、当
該第1建築板と重ね合わされた合紙とを備える。第1建築板は、第1塗膜面を含む第1面
と、当該第1面とは反対側の第2面とを有する。合紙は、第1建築板側の第3面と、当該
第3面とは反対側の第4面とを有する。第3面は、第1塗膜面と接触する。第1塗膜面の
60度光沢度と第3面の60度光沢度との差の絶対値は3.0以下であり、且つ、第1塗
膜面の85度光沢度と第3面の85度光沢度との差の絶対値は3.0以下である。
【0008】
本梱包体において、互いに接触する第1塗膜面および第3面は、それぞれの光沢に対応
した微視的凹凸形状を有する。そして、光沢度測定において入射角が比較的小さな60度
光沢度を測定した場合の第1塗膜面と第3面の差と、入射角が比較的大きな85度光沢度
を測定した場合の第1塗膜面と第3面の差が共に3.0以下であるほどに、第1塗膜面の
微視的凹凸形状と第3面の微視的凹凸形状とは、近似している。
【0009】
このような梱包体においては、第1建築板の第1塗膜面が合紙の第3面によって押圧さ
れて微視的に変形する場合であっても、その変形は、当該押圧箇所の変形前の微視的凹凸
形状と近似する第3面の微視的凹凸形状によってもたらされる(例えば、第3面の微視的
凹凸形状が第1塗膜面に転写される)。そのため、第1塗膜面における当該押圧箇所では
、質感の変化が抑制され、新たな光沢が生じにくい。
【0010】
以上のように、本発明の第1の側面に係る梱包体は、建築板表面の塗膜における押圧起
因の光沢の発生を抑制するのに適する。
【0011】
本発明の梱包体は、好ましくは、合紙を介して第1建築板と重ね合わされた第2建築板
を更に備える。第2建築板は、第1建築板側の第5面と、当該第5面とは反対側の第6面
とを有する。第5面は、第2塗膜面を含む。合紙における第2建築板側の第4面は、第2
塗膜面と接触する。第2塗膜面の60度光沢度と第4面の60度光沢度との差の絶対値は
3.0以下であり、且つ、第2塗膜面の85度光沢度と第4面の85度光沢度との差の絶
対値は3.0以下である。
【0012】
このような構成において、第2建築板および合紙にて互いに接触する第2塗膜面および
第4面は、それぞれの光沢に対応した微視的凹凸形状を有する。そして、光沢度測定にお
いて入射角が比較的小さな60度光沢度を測定した場合の第2塗膜面と第4面の差と、入
射角が比較的大きな85度光沢度を測定した場合の第2塗膜面と第4面の差とが共に3.
0以下であるほどに、第2塗膜面の微視的凹凸形状と第4面の微視的凹凸形状とは、近似
している。このような梱包体においては、第2建築板の第2塗膜面が合紙の第4面によっ
て押圧されて微視的に変形する場合であっても、その変形は、当該押圧箇所の変形前の微
視的凹凸形状と近似する第4面の微視的凹凸形状が第2塗膜面に例えば転写されることに
よってもたらされる。そのため、第2塗膜面における当該押圧箇所では、質感の変化が抑
制され、新たな光沢が生じにくい。
【0013】
本発明の第1の側面の好ましい一の態様において、合紙の第3面は、第1建築板側に突
出する複数の微小凸部が均等配置された凹凸形状を有する。合紙の第3面に微小凸部が均
等配置された構成は、微小凸部が第1建築板の第1塗膜と均一に点接触するのに適し、第
1建築板の第1塗膜面が合紙の第3面によって押圧される場合に、その押圧力を効率的に
分散化するのに適し、従って、当該押圧箇所の変形を抑制するのに適する。また、合紙の
第3面は、いずれの箇所も第1建築板の第1塗膜面の微視的凹凸形状と類似した凹凸形状
となるため、第1建築板の第1塗膜面が合紙の第3面によって押圧されて微視的に変形す
る場合であっても、その変形は、当該押圧箇所の変形前の微視的凹凸形状と近似する第3
面の微視的凹凸形状が第1塗膜面に例えば転写されることによってもたらされることとな
り、第1塗膜面における当該押圧箇所では、質感の変化が抑制され、新たな光沢が生じに
くい。
【0014】
本発明の第1の側面の好ましい一の態様において、合紙の第3面は、第1建築板側に突
出する複数の微小凸部が均等配置された凹凸形状を有し、且つ、第4面は、複数の微小凸
部に対応した位置に複数の微小凹部が配置された凹凸形状を有する。合紙の第3面に微小
凸部が均等配置された構成は、微小凸部が第1建築板の第1塗膜と均一に点接触するのに
適し、第1建築板の第1塗膜面が合紙の第3面によって押圧される場合に、その押圧力を
効率的に分散化するのに適し、従って、当該押圧箇所の変形を抑制するのに適する。また
、合紙の第4面に微小凹部が均等配置された構成は、合紙の第4面が第2建築板の第2塗
膜と均一に点接触するのに適し、第2建築板の第2塗膜面が合紙の第4面によって押圧さ
れる場合に、その押圧力を効率的に分散化するのに適し、従って、当該押圧箇所の変形を
抑制するのに適する。更に、合紙の第3面は、いずれの箇所も第1建築板の第1塗膜面の
微視的凹凸形状と類似した凹凸形状となるため、第1建築板の第1塗膜面が合紙の第3面
によって押圧されて微視的に変形する場合であっても、その変形は、当該押圧箇所の変形
前の微視的凹凸形状と近似する第3面の微視的凹凸形状が第1塗膜面に例えば転写される
ことによってもたらされることとなり、第1塗膜面における当該押圧箇所では、質感の変
化が抑制され、新たな光沢が生じにくい。更に、合紙の第4面は、いずれの箇所も第2建
築板の第2塗膜面の微視的凹凸形状と類似した凹凸形状となるため、第2建築板の第2塗
膜面が合紙の第4面によって押圧されて微視的に変形する場合であっても、その変形は、
当該押圧箇所の変形前の微視的凹凸形状と近似する第4面の微視的凹凸形状が第2塗膜面
に例えば転写されることによってもたらされることとなり、第2塗膜面における当該押圧
箇所では、質感の変化が抑制され、新たな光沢が生じにくい。
【0015】
本発明の第2の側面によると、梱包体製造方法が提供される。この製造方法は、用意工
程と、重ね合わせ工程とを含む。用意工程では、第1塗膜面を含む第1面と当該第1面と
は反対側の第2面とを有する第1建築板、および、第3面と当該第3面とは反対側の第4
面とを有する合紙を、用意する。重ね合わせ工程では、第1塗膜面と第3面とが接触する
ように第1建築板と合紙とを重ね合わせる。第1塗膜面の60度光沢度と第3面の60度
光沢度との差の絶対値は3.0以下であり、且つ、第1塗膜面の85度光沢度と第3面の
85度光沢度との差の絶対値は3.0以下である。
【0016】
本製造方法において、第1建築板の第1塗膜面および合紙の第3面は、微視的凹凸形状
を有する。そして、光沢度測定において入射角が比較的小さな60度光沢度を測定した場
合の第1塗膜面と第3面の差と、入射角が比較的大きな85度光沢度を測定した場合の第
1塗膜面と第3面の差が共に3.0以下であるほどに、第1塗膜面の微視的凹凸形状と第
3面の微視的凹凸形状とは、近似している。
【0017】
微視的凹凸形状が近似している第1建築板の第1塗膜面と合紙の第3面とが接触するよ
うに重ね合わせ、第1建築板の第1塗膜面を合紙の第3面によって保護すると、第1建築
板の第1塗膜面が合紙の第3面によって押圧されて微視的に変形する場合であっても、そ
の変形は、当該押圧箇所の変形前の微視的凹凸形状と近似する第3面の微視的凹凸形状が
第1塗膜面に例えば転写されることとなる。そのため、第1塗膜面における当該押圧箇所
では、質感の変化が抑制され、新たな光沢が生じにくい。
【0018】
本製造方法は、好ましくは、第2塗膜面を含む第5面と当該第5面とは反対側の第6面
とを有する第2建築板を、第2塗膜面と合紙の第4面とが接触するように、合紙を介して
第1建築板と重ね合わせる工程を更に含む。第2塗膜面の60度光沢度と第4面の60度
光沢度との差の絶対値は3.0以下であり、且つ、第2塗膜面の85度光沢度と第4面の
85度光沢度との差の絶対値は3.0以下である。
【0019】
このような構成において、第2建築板および合紙にて互いに接触する第2塗膜面および
第4面は、それぞれの光沢に対応した微視的凹凸形状を有する。そして、光沢度測定にお
いて入射角が比較的小さな60度光沢度を測定した場合の第2塗膜面と第4面の差と、入
射角が比較的大きな85度光沢度を測定した場合の第2塗膜面と第4面の差とが共に3.
0以下であるほどに、第2塗膜面の微視的凹凸形状と第4面の微視的凹凸形状とは、近似
している。微視的凹凸形状が近似している第2建築板の第2塗膜面と合紙の第4面とが接
触するように重ね合わせ、第2建築板の第2塗膜面を合紙の第4面によって保護すると、
第2建築板の第2塗膜面が合紙の第4面によって押圧されて微視的に変形する場合であっ
ても、その変形は、当該押圧箇所の変形前の微視的凹凸形状と近似する第4面の微視的凹
凸形状が第2塗膜面に例えば転写されることとなる。そのため、第2塗膜面における当該
押圧箇所では、質感の変化が抑制され、新たな光沢が生じにくい。
【0020】
本発明の第1の側面の好ましい一の態様において、合紙の第3面は、第1建築板側に突
出する複数の微小凸部が均等配置された凹凸形状を有する。合紙の第3面に微小凸部が均
等配置された構成は、微小凸部が第1建築板の第1塗膜と均一に点接触するのに適し、第
1建築板の第1塗膜面が合紙の第3面によって押圧される場合に、その押圧力を効率的に
分散化するのに適し、従って、当該押圧箇所の変形を抑制するのに適する。また、合紙の
第3面は、いずれの箇所も第1建築板の第1塗膜面の微視的凹凸形状と類似した凹凸形状
となるため、第1建築板の第1塗膜面が合紙の第3面によって押圧されて微視的に変形す
る場合であっても、その変形は、当該押圧箇所の変形前の微視的凹凸形状と近似する第3
面の微視的凹凸形状が第1塗膜面に例えば転写されることによってもたらされることとな
り、第1塗膜面における当該押圧箇所では、質感の変化が抑制され、新たな光沢が生じに
くい。
【0021】
本発明の第1の側面の好ましい一の態様において、合紙の第3面は、第1建築板側に突
出する複数の微小凸部が均等配置された凹凸形状を有し、且つ、第4面は、複数の微小凸
部に対応した位置に複数の微小凹部が配置された凹凸形状を有する。合紙の第3面に微小
凸部が均等配置された構成は、微小凸部が第1建築板の第1塗膜と均一に点接触するのに
適し、第1建築板の第1塗膜面が合紙の第3面によって押圧される場合に、その押圧力を
効率的に分散化するのに適し、従って、当該押圧箇所の変形を抑制するのに適する。また
、合紙の第4面に微小凹部が均等配置された構成は、合紙の第4面が第2建築板の第2塗
膜と均一に点接触するのに適し、第2建築板の第2塗膜面が合紙の第4面によって押圧さ
れる場合に、その押圧力を効率的に分散化するのに適し、従って、当該押圧箇所の変形を
抑制するのに適する。更に、合紙の第3面は、いずれの箇所も第1建築板の第1塗膜面の
微視的凹凸形状と類似した凹凸形状となるため、第1建築板の第1塗膜面が合紙の第3面
によって押圧されて微視的に変形する場合であっても、その変形は、当該押圧箇所の変形
前の微視的凹凸形状と近似する第3面の微視的凹凸形状が第1塗膜面に例えば転写される
ことによってもたらされることとなり、第1塗膜面における当該押圧箇所では、質感の変
化が抑制され、新たな光沢が生じにくい。更に、合紙の第4面は、いずれの箇所も第2建
築板の第2塗膜面の微視的凹凸形状と類似した凹凸形状となるため、第2建築板の第2塗
膜面が合紙の第4面によって押圧されて微視的に変形する場合であっても、その変形は、
当該押圧箇所の変形前の微視的凹凸形状と近似する第4面の微視的凹凸形状が第2塗膜面
に例えば転写されることによってもたらされることとなり、第2塗膜面における当該押圧
箇所では、質感の変化が抑制され、新たな光沢が生じにくい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る梱包体の概略断面図である。
【
図5】
図1に示す梱包体がパレット上で多段に積載された場合を表す。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係る建築板梱包体の概略断面図である。
【
図8】
図6に示す梱包体がパレット上で多段に積載された場合を表す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る梱包体X1の概略断面図である。梱包体X1は
、第1建築板10と、当該第1建築板10と重ね合わされた合紙20とを備える。
【0024】
第1建築板10は、合紙20側の第1面11と、当該第1面11とは反対側の第2面1
2とを有する。第1面11は、第1塗膜面11Aを含む。
【0025】
第1塗膜面11Aは、例えば、塗料を塗布および乾燥して塗膜を形成することにより、
形成される。塗料としては、例えば、アクリル樹脂塗料、シリコンアクリル樹脂塗料、シ
リコン樹脂塗料、フッ素樹脂塗料、およびウレタン樹脂塗料が挙げられる。塗料は、樹脂
ビーズ、顔料、充填材を含有してもよい。前記塗膜の厚さは、例えば10~100μmで
ある。第1塗膜面11Aは、複数の樹脂膜を含む積層構造を有してもよい。第1塗膜面1
1Aは、例えば、下塗塗膜と、中塗塗膜と、クリヤー塗膜とをこの順で含む積層構造を有
してもよい。
【0026】
合紙20は、第1建築板10側の第3面21と、当該第3面21とは反対側の第4面2
2とを有する。第3面21は、第1塗膜面11Aと接触する。第3面21は、好ましくは
、第1建築板10側に突出する複数の微小凸部が均等配置された凹凸形状を有する。
【0027】
合紙20は、第1建築板10の第1塗膜面11Aを覆い、第1塗膜面11Aを保護する
薄いシートである。合紙20の形状は、第1塗膜面11Aを覆うことができる大きさであ
ればよく、1枚のシートでもよいし、2枚以上のシートを重ねてもよいし、チューブ形状
のシートでもよい。合紙20は第1塗膜面11Aのみを覆うように配置されてもよいし、
第1建築板10全体を包むように配置されてもよい。
【0028】
合紙20を構成する材料としては、例えば樹脂フィルムが挙げられる。樹脂フィルムと
しては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ナイロン、ポリエステル
、ポリビニルアルコール、エチレン酢酸ビニル共重合体、およびトリアセテートが挙げら
れる。合紙20は、複数の樹脂フィルムのラミネートフィルムであってもよい。また、合
紙20は、樹脂フィルムと布や紙とのラミネート体であってもよい。
【0029】
合紙20の凹凸形状は、合紙製造時の無機あるいは有機粒子の錬り込み、金属ロールの
表面形状の転写、砂などの吹き付けによる物理的エンボス加工、化学的エッチングなどの
方法で、造ることができる。
【0030】
合紙20の厚さは特に制限はないが、樹脂フィルムおよびラミネートフィルムの場合は
、好ましくは40~500μmであり、樹脂フィルムと布や紙とのラミネート体の場合は
、好ましくは100~500μmである。
【0031】
梱包体X1において、第1塗膜面11Aの60度光沢度と第3面21の60度光沢度と
の差の絶対値は3.0以下であり、且つ、第1塗膜面11Aの85度光沢度と第3面21
の85度光沢度との差の絶対値は3.0以下である。
【0032】
図4は、梱包体X1の製造方法を表す。本製造方法は、以下のような用意工程と重ね合
わせ工程とを含む。
【0033】
用意工程では、第1塗膜面11Aを含む第1面11と当該第1面11とは反対側の第2
面12とを有する第1建築板10、および、第3面21と当該第3面21とは反対側の第
4面22とを有する合紙20を、用意する。
【0034】
重ね合わせ工程では、第1塗膜面11Aと第3面21とが接触するように第1建築板1
0と合紙20とを重ね合わせる。上述のように、第1塗膜面11Aの60度光沢度と第3
面21の60度光沢度との差の絶対値は3.0以下であり、且つ、第1塗膜面11Aの8
5度光沢度と第3面21の85度光沢度との差の絶対値は3.0以下である。
【0035】
梱包体X1において、重ね合わされた第1建築板10および合紙20にて互いに接触す
る第1塗膜面11Aおよび第3面21は、それぞれの光沢に対応した微視的凹凸形状を有
する。そして、光沢度測定において入射角が比較的小さな60度光沢度を測定した場合の
第1塗膜面と第3面の差と、入射角が比較的大きな85度光沢度を測定した場合の第1塗
膜面と第3面の差とが共に3.0以下であるほどに、第1塗膜面11Aの微視的凹凸形状
と第3面21の微視的凹凸形状とは、近似している。
【0036】
このような梱包体X1においては、例えば
図5に示すように多段に積載された状態にお
いて、第1建築板10の第1塗膜面11Aが合紙20の第3面21によって押圧されて微
視的に変形する場合であっても、その変形は、当該押圧箇所の変形前の微視的凹凸形状と
近似する第3面21の微視的凹凸形状によってもたらされる(例えば、第3面21の微視
的凹凸形状が第1塗膜面11Aに転写される)。そのため、第1塗膜面11Aにおける当
該押圧箇所では、質感の変化が抑制され、新たな光沢が生じにくい。
図5は、パレットP
上に梱包体X1が四段に積載された状態を例示的に表すものである。
【0037】
以上のように、梱包体X1は、建築板表面の塗膜における押圧起因の光沢の発生を抑制
するのに適する。
【0038】
第3面21は、上述のように、好ましくは、第1建築板10側に突出する複数の微小凸
部を含む凹凸形状であって均等配置された凹凸形状を有する。このような構成は、第1建
築板10の第1塗膜面11Aが合紙20の第3面21によって押圧される場合に、その押
圧力を効率的に分散化するのに適し、従って、当該押圧箇所の変形を抑制するのに適する
。
【0039】
図6は、本発明の第2の実施形態に係る梱包体X2の概略断面図である。梱包体X2は
、第1建築板10と、合紙20と、第2建築板30とを備える。梱包体X2は、更に第2
建築板30を備える点において、上述の梱包体X1と異なる。
【0040】
第2建築板30は、第1建築板10側の第5面31と、当該第5面31とは反対側の第
6面32とを有し、合紙20を介して第1建築板10と重ね合わされている。第5面31
は、第2塗膜面31Aを含む。
【0041】
本実施形態では、合紙20における第2建築板30側の第4面22は、第2塗膜面31
Aと接触する。本実施形態の合紙20において、その第3面は、第1建築板10側に突出
する複数の微小凸部を含む凹凸形状であって均等配置された凹凸形状を有し、且つ、第4
面22は、複数の微小凸部に対応した位置に複数の微小凹部を含む凹凸形状を有する。
【0042】
梱包体X2において、第2塗膜面31Aの60度光沢度と第4面22の60度光沢度と
の差の絶対値は3.0以下であり、且つ、第2塗膜面31Aの85度光沢度と第4面22
の85度光沢度との差の絶対値は3.0以下である。
【0043】
図7は、このような梱包体X2の製造方法を表す。本製造方法は、上述の用意工程と、
重ね合わせ工程(第1の重ね合わせ工程)と、
図7に示すような重ね合わせ工程(第2)
の重ね合わせ工程)とを含む。
【0044】
第2の重ね合わせ工程では、第2塗膜面31Aを含む第5面31と当該第5面31とは
反対側の第6面32とを有する第2建築板30を、第2塗膜面31Aと合紙20の第4面
22とが接触するように、合紙20を介して第1建築板10と重ね合わせる。上述のよう
に、第2塗膜面31Aの60度光沢度と第4面22の60度光沢度との差の絶対値は3.
0以下であり、且つ、第2塗膜面31Aの85度光沢度と第4面22の85度光沢度との
差の絶対値は3.0以下である。
【0045】
このようにして製造される梱包体X2において、第2建築板30および合紙20にて互
いに接触する第2塗膜面31Aおよび第4面22は、それぞれの光沢に対応した微視的凹
凸形状を有する。そして、光沢度測定において入射角が比較的小さな60度光沢度を測定
した場合の第2塗膜面31Aと第4面22の差と、入射角が比較的大きな85度光沢度を
測定した場合の第2塗膜面31Aと第4面22の差とが共に3.0以下であるほどに、第
2塗膜面31Aの微視的凹凸形状と第4面22の微視的凹凸形状とは、近似している。
【0046】
このような梱包体X2においては、例えば
図8に示すように多段に積載された状態にお
いて、第2建築板30の第2塗膜面31Aが合紙20の第4面22によって押圧されて微
視的に変形する場合であっても、その変形は、当該押圧箇所の変形前の微視的凹凸形状と
近似する第4面22の微視的凹凸形状によってもたらされる。そのため、第2塗膜面31
Aにおける当該押圧箇所では、質感の変化が抑制され、新たな光沢が生じにくい。
図8は
、パレットP上に梱包体X2が四段に積載された状態を例示的に表すものである。
【0047】
梱包体X2では、梱包体X1に関する上述の技術的効果に加えて以上のような技術的効
果が奏される。
【0048】
また、本実施形態の合紙20においては、上述のように、第3面21は、第1建築板1
0側に突出する複数の微小凸部を含む凹凸形状であって均等配置された凹凸形状を有し、
且つ、第4面22は、複数の微小凸部に対応した位置に複数の微小凹部を含む凹凸形状を
有する。このような構成は、第1建築板10の第1塗膜面11Aが合紙20の第3面21
によって押圧される場合や、第2建築板30の第2塗膜面31Aが合紙20の第4面22
によって押圧される場合に、その押圧力を効率的に分散化するのに適し、従って、当該押
圧箇所の変形を抑制するのに適する。
【実施例0049】
〔実施例1〕
〈建築板の作製〉
まず、フラット柄の意匠面を有する無機質板(1820mm×470mm×16mm,
17kg)の意匠面に、アクリル塗料を塗布および乾燥して、厚さ20μmの中塗塗膜を
形成した。次に、中塗塗膜上に、樹脂ビーズを含有するシリコンアクリル塗料を塗布およ
び乾燥して、厚さ10μmの艶無しクリヤー塗膜を形成した。以上のようにして、一方面
に艶無しクリヤー塗膜を有する建築板B1を2枚作製した。
【0050】
〈梱包体の作製〉
まず、一方の建築板B1の艶無しクリヤー塗膜上に、合紙S1(厚さ50μm,ポリエ
チレンフィルム)の裏面が対向して接触するように、合紙S1を載置した。合紙S1は、
エンボス加工処理が施され、当該エンボス加工により形成された複数の微小凸部(均等配
置されている)を含む凹凸形状を表面に有し、複数の微小凸部に対応した位置に複数の微
小凹部を含む凹凸形状を裏面に有する。合紙S1の表面には、310×410μmの楕円
を頂面に有し、高さ42μmの微小凸部が、略等間隔で千鳥状に配され、均一な凹凸が形
成されている。合紙S1の裏面には、微小凸部に対応した位置に、310×410μmの
楕円を底面に有し、深さ38μmの微小凹部が略等間隔で千鳥状に配され、均一な凹凸が
形成されている。次に、一方の建築板B1上に、合紙S1を介して他方の建築板B1を重
ね合わせて載置した。他方の建築板B1は、その艶無しクリヤー塗膜が合紙S1の他方面
に対向して接触するように載置した。以上のようにして、
図6に示したのと同様の積層構
成の梱包体を作製した。
【0051】
〔実施例2および比較例1,2〕
合紙S1の代わりに合紙S2(実施例2)、合紙S3(比較例1)、または合紙S4(
比較例2)を用いたこと以外は、実施例1の梱包体と同様にして、実施例2および比較例
1,2の各梱包体を作製した。
【0052】
合紙S2は、エンボス加工処理により梨地模様が施された合紙(厚さ80μm,ポリエ
チレンフィルム)である。合紙S2は、当該エンボス加工により形成された凹凸形状とし
ての梨地(均等配置された複数の微小凸部を含む)を表面に有し、複数の微小凸部に対応
した位置に複数の微小凹部を含む凹凸形状を裏面に有する。
【0053】
合紙S3は、炭酸カルシウムの微粒子を含有させた合紙(厚さ56μm,炭酸カルシウ
ム微粒子含有のポリエチレンフィルム)である。
【0054】
合紙S4は、クラフト原紙の両面をポリエチレン樹脂でラミネートした合紙(厚さ20
0μm)である。
【0055】
〔実施例3〕
〈建築板の作製〉
まず、レンガ柄の意匠面を有する無機質板(1820mm×470mm×16mm,1
7kg)の意匠面に、アクリル塗料を塗布および乾燥して、厚さ50μmの中塗塗膜を形
成した。次に、中塗塗膜上に、樹脂ビーズを含有するシリコンアクリル塗料を塗布および
乾燥して、厚さ40μmの艶無しクリヤー塗膜を形成した。以上のようにして、一方面に
艶無しクリヤー塗膜を有する建築板B2を2枚作製した。
【0056】
〈梱包体の作製〉
一方の建築板B2の艶無しクリヤー塗膜上に、合紙S1(厚さ50μm,ポリエチレン
フィルム)の裏面が対向して接触するように、合紙S1を載置した。次に、一方の建築板
B2上に、合紙S1を介して他方の建築板B2を重ね合わせて載置した。他方の建築板B
2は、その艶無しクリヤー塗膜が合紙S1の他方面に対向して接触するように載置した。
以上のようにして、
図6に示したのと同様の積層構成の梱包体を作製した。
【0057】
〔比較例3〕
合紙S1の代わりに合紙S4を用いたこと以外は、実施例3の梱包体と同様にして、比
較例3の梱包体を作製した。
【0058】
〔実施例4〕
〈建築板の作製〉
まず、フラット柄の意匠面を有する無機質板(1820mm×470mm×16mm,
17kg)の意匠面に、アクリル塗料を塗布および乾燥して、厚さ40μmの中塗塗膜を
形成した。次に、中塗塗膜上に、樹脂ビーズを含有しないシリコンアクリル塗料を塗布し
て塗膜を形成した。次に、この塗膜を乾燥して、厚さ5μmの艶有りクリヤー塗膜を形成
した。以上のようにして、一方面に艶有りクリヤー塗膜を有する建築板B3を2枚作製し
た。
【0059】
〈梱包体の作製〉
一方の建築板B3の艶有りクリヤー塗膜上に、合紙S5(厚さ60μm,ポリエチレン
フィルム)の裏面が対向して接触するように、合紙S5を載置した。合紙S5は、エンボ
ス加工処理が施され、当該エンボス加工により形成された複数の微小凸部(均等配置され
ている)を含む凹凸形状を表面に有し、複数の微小凸部に対応した位置に複数の微小凹部
を含む凹凸形状を裏面に有する。具体的には、合紙S5の表面には、約4×2mmの菱形
を頂面に有する、高さ70μmの微小凸部が略等間隔で千鳥状に配され、均一な凹凸が形
成されている。微小凸部の各頂面には、約300×500μmの楕円状の更に微小な凸部
が複数形成され、凹凸が形成されている。合紙S5の裏面には、微小凸部に対応した位置
に菱形状の微小凹部が略等間隔で千鳥状に配され、均一な凹凸が形成されている。次に、
一方の建築板B3上に、合紙S5を介して他方の建築板B3を重ね合わせて載置した。他
方の建築板B3は、その艶有りクリヤー塗膜が合紙S5の他方面に対向して接触するよう
に載置した。以上のようにして、
図6に示したのと同様の積層構成の梱包体を作製した。
【0060】
〔比較例4~6〕
合紙S5の代わりに合紙S4(比較例4)、合紙S6(比較例5)、または合紙S7(
比較例6)を用いたこと以外は、実施例4の梱包体と同様にして、比較例4~6の各梱包
体を作製した。
【0061】
合紙S6は、無延伸ポリプロピレンシート(厚さ100μm)である。
【0062】
合紙S7は、炭酸カルシウム微粒子を含有させたポリエチレンフィルムをチューブ状に
形成した合紙(厚さ76μm)である。
【0063】
〈光沢度の測定〉
上述の建築板B1,B2の各艶無しクリヤー塗膜の表面、建築板B3の艶有りクリヤー
塗膜の表面、および、合紙S1~S7のそれぞれの表面および裏面について、JIS Z
8741に準拠して60度光沢度および85度光沢度を測定した。本測定には、光沢計(
商品名「micro-TRI-gloss with standard holder 型式 4430」,BYKガードナー社製)
を使用した。
【0064】
建築板B1の艶無しクリヤー塗膜の表面について、60度光沢度G60は4.0であり
、85度光沢度G85は1.7であった。建築板B2の艶無しクリヤー塗膜の表面につい
て、60度光沢度G60は3.3であり、85度光沢度G85は3.2であった。建築板B
3の艶有りクリヤー塗膜の表面について、60度光沢度G60は12.7であり、85度
光沢度G85は12.8であった。
【0065】
また、実施例1~4および比較例1~6のそれぞれについて、用いた合紙の表面および
裏面の各60度光沢度G60、用いた合紙の表面および裏面の各85度光沢度G85、建
築板塗膜表面と合紙の表面または裏面との60度光沢度の差の絶対値ΔG60、および、
建築板塗膜表面と合紙の表面または裏面との85度光沢度の差の絶対値ΔG85を、表1
に示す。
【0066】
〈光沢発生の評価〉
実施例1~4および比較例1~6の各梱包体について、次のようにして、建築板の塗膜
表面における光沢発生の評価を行った。まず、25体の梱包体を多段に積層した。次に、
24時間後、梱包体を開梱し、最下段に配置されていた梱包体の各建築板の塗膜の表面を
目視で観察し、新たな光沢の発生の有無を調べた。その結果を表1に示す。
【0067】
【0068】
実施例1では、建築板B1の塗膜表面と合紙S1の表面とは、60度光沢度の差の絶対
値G60も、85度光沢度の差の絶対値G85も、3.0以下であり、合紙S1の表面側
に配置されていた建築板B1の塗膜表面において、新たな光沢の発生は確認されなかった
。また、実施例1では、建築板B1の塗膜表面と合紙S1の裏面とは、60度光沢度の差
の絶対値G60も、85度光沢度の差の絶対値G85も、3.0以下であり、合紙S1の
裏面側に配置されていた建築板B1の塗膜表面において、新たな光沢の発生は確認されな
かった。
【0069】
実施例2では、建築板B1の塗膜表面と合紙S2の裏面とは、60度光沢度の差の絶対
値G60も、85度光沢度の差の絶対値G85も、3.0以下であり、合紙S2の裏面側
に配置されていた建築板B1の塗膜表面において、新たな光沢の発生は確認されなかった
。
【0070】
実施例3では、建築板B2の塗膜表面と合紙S1の表面とは、60度光沢度の差の絶対
値G60も、85度光沢度の差の絶対値G85も、3.0以下であり、合紙S1の表面側
に配置されていた建築板B2の塗膜表面において、新たな光沢の発生は確認されなかった
。また、実施例3では、建築板B2の塗膜表面と合紙S1の裏面とは、60度光沢度の差
の絶対値G60も、85度光沢度の差の絶対値G85も、3.0以下であり、合紙S1の
裏面側に配置されていた建築板B2の塗膜表面において、新たな光沢の発生は確認されな
かった。
【0071】
実施例4では、建築板B3の塗膜表面と合紙S5の表面とは、60度光沢度の差の絶対
値G60も、85度光沢度の差の絶対値G85も、3.0以下であり、合紙S5の表面側
に配置されていた建築板B3の塗膜表面において、新たな光沢の発生は確認されなかった
。また、実施例4では、建築板B3の塗膜表面と合紙S5の裏面とは、60度光沢度の差
の絶対値G60も、85度光沢度の差の絶対値G85も、3.0以下であり、合紙S5の
裏面側に配置されていた建築板B3の塗膜表面において、新たな光沢の発生は確認されな
かった。