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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022057824
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】家具及びその例としての椅子
(51)【国際特許分類】
   A47C 7/50 20060101AFI20220404BHJP
【FI】
A47C7/50 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020166273
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100099966
【弁理士】
【氏名又は名称】西 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100134751
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 隆一
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 宏樹
(57)【要約】
【課題】脚装置を複数本の棒状足で構成すると共に足載せリングを備えた椅子において、デザイン性や強度の向上、製造工程の手間軽減などを図る。
【解決手段】各棒状足1は傾斜姿勢になっており、上部はベース3を介して一体に連結されている。棒状足1の群には足載せリング8が内接状態で溶接されているが、各棒状足1に足載せリング8が部分的に嵌合する切欠き部49を形成している。足載せリング8と棒状足1とが噛み合っているため、両者の一体性が高まってデザイン的に優れると共に、足載せリングの高さが自動的に規定されるため製造工程での手間を軽減できる。足載せリング8に作用した荷重は棒状足1の切欠き部49で支持されるため、過剰に肉盛りして溶接しなくても高い強度を確保できる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
座又は天板若しくは他の上部材を3本以上の棒状足で支持しており、前記棒状足の群の少なくとも隣り合った2本の棒状足に、当該棒状足に内接又は外接するステー材が接合されている家具であって、
前記棒状足とステー材とのうちいずれか一方又は両方に、当該棒状足とステー材とを嵌め合わせる切欠き部が形成されている、
家具。
【請求項2】
前記棒状足は、下に行くに従って外側に向かうように傾斜しており、前記棒状足に、前記リング体が嵌まり込む前記切欠き部を形成している、
請求項1に記載した家具。
【請求項3】
前記ステー材は、家具の使用者が足を載せうる足載せリングである、
請求項1又は2に記載した家具。
【請求項4】
前記上部材は人が腰掛ける座であり、前記各棒状足は下方に向けて外側に広がるように傾斜している一方、前記ステー材は着座した人が足を載せ得る足載せリングであり、前記各棒状足に、前記足載せリングが外側から部分的に嵌合する切欠き部を形成している、
請求項1~3のうちのいずれかに記載した椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、棒状足を備えた家具及びその例としての椅子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数本(4本が多い)の棒状足で座を支持した椅子において、棒状足の群に足載せ用や補強用のリングを連結することが提案されている。リングは、棒状足の群に外側から内接する場合と内側から外接する場合とがあり、特許文献1,2には内接タイプが開示され、特許文献3~5には外接タイプが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】意匠登録第1154329号公報
【特許文献2】特許第3463922号公報
【特許文献3】意匠登録第1558150号公報
【特許文献4】意匠登録第1564711号公報
【特許文献5】意匠登録第1571585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、特許文献1~5では、リング体は棒状足に溶接されていると推測されるが、リング体は棒状足に当接した状態で溶接されているに過ぎないため、荷重が溶接部に集中する現象が生じやすく、このため、強度を担保するためには溶接の肉盛りを厚くするなどして対処せねばならず、このため、溶接作業に手間が掛かったり、溶接の肉盛り部が人目に触れやすくなって美観を損ねたりすることが懸念される。
【0005】
また、リング体が棒状足の群に内接又は外接しただけの態様では、リング体と棒状足との一体性が見られないためデザイン的な統一性に欠けるおそれがある問題や、リング体の高さ位置を規定するためには治具を使用せねばならないため、溶接作業に手間が掛かるという問題も懸念される。
【0006】
本願発明は、このような現状を契機にして成されたものであり、棒状足より成る脚装置を備えた家具に関し、改良された形態を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明は様々な構成を含んであり、その典型例を各請求項で特定している。このうち請求項1の発明は家具に関するものであり、
「座又は天板若しくは他の上部材を3本以上の棒状足で支持しており、前記棒状足の群の少なくとも隣り合った2本の棒状足に、当該棒状足に内接又は外接するステー材が接合されている家具であって、
前記棒状足とステー材とのうちいずれか一方又は両方に、当該棒状足とステー材とを嵌め合わせる切欠き部が形成されている」、
前記棒状足とステー材とのうちいずれか一方又は両方に、当該棒状足とステー材とを嵌め合わせる切欠き部が形成されている」
という構成になっている。
【0008】
請求項2の発明は請求項1の展開例であり、
「前記棒状足は、下に行くに従って外側に向かうように傾斜しており、前記棒状足に、前記ステー材が嵌まり込む前記切欠き部を形成している」
という構成になっている。
【0009】
請求項3の発明はステー材の用途と形態を特定したものであり、請求項1又は2において、
「前記ステー材は、家具の使用者が足を載せうる足載せリングである」
という構成になっている。
【0010】
請求項4の発明は椅子に適用している。すなわち、請求項1~3のうちのいずれかにおいて、
「前記上部材は人が腰掛ける座であり、前記各棒状足は下方に向けて外側に広がるように傾斜している一方、前記ステー材は着座した人が足を載せ得る足載せリングであり、前記各棒状足に、前記足載せリングが外側から部分的に嵌合する切欠き部を形成している」
という構成になっている。
【発明の効果】
【0011】
本願発明では、ステー材と棒状足とが噛み合っているため、両者を溶接等によって強固に固定できる。また、棒状足とステー材とのいずれに切欠き部を形成しても、両者の重合面積を大きくして溶接に際しての肉盛り代を大きくすることができるため、溶接の強度アップに貢献できる。また、ステー材と棒状足とが噛み合うことによって両者の一体性が高まるため、ステー材と棒状足との統一性を高めてデザイン性の向上にも貢献できる。
【0012】
請求項2のように、棒状足に切欠き部を形成すると、ステー材に作用した下向きの荷重は棒状足の切欠き部で支えられるため、溶接部に負担が掛かることを大幅に抑制して、高い支持強度を確保できる利点がある。更に、棒状足に切欠き部を形成すると、切欠き部がステー材の高さを規定するストッパ部として機能するため、寸法精度に優れた家具を能率よく製造できる利点もある。
【0013】
ステー材は補強の目的のみであってもよいが、請求項3,4のようにステー材をリングに形成して足載せ用に利用すると、足載せリングを利用して脚装置の堅牢性を高めることができるため、構造の簡素化という面で好ましい。また、足載せリングには下向きの荷重が掛かるため、本願発明の真価が強く発揮されると云える。
【0014】
また、椅子の足載せリングは人目に触れる部位に配置されるため、その態様は椅子全体のデザイン性に大きく影響するが、本願発明を適用することにより、足載せリングと棒状足との一体性を高めて美観を向上できるため、椅子の商品価値の向上にも貢献できる。この点、本願発明を椅子に適用すると、真価が強く発揮されると云える。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】椅子に適用した第1実施形態を示す図で、(A)は全体の斜視図、(B)は足載せリングを上昇させた状態の斜視図、(C)は分離斜視図である。
図2】(A)は下方から見た部分斜視図、(B)は脚装置の斜視図、(C)は一部分離斜視図である。
図3】座部の部材の配置を示す斜視図である。
図4】座部の部材の配置を示す斜視図である。
図5】カバーを示す図で、(A)は平面図、(B)は上から見た分離斜視図、(C)は下方から見た分離斜視図である。
図6】(A)は図1(A)のVI-VI 視断面図、(B)は背もたれを取り付けていない状態での下方からの部分斜視図である。
図7図1(A)の VII-VII視方向から見た一部破断立面図である。
図8】(A)は第2実施形態の模式図、(B)は(A)の部分斜視図、(C)は第3実施形態の平断面図、(D)は第4実施形態の平断面図、(E)は(D)のE-E視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(1).第1実施形態の概要
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1~7では椅子に適用した第1実施形態を示している。まず、この第1実施形態を説明する。
【0017】
図1(C)から理解できるように、本実施形態の椅子は、4本の棒状足1より成る脚装置2と、脚装置2の上端に固定された円形のベース3と、ベース3にスラストベアリング装置4を介して回転自在に保持された円形の座5と、座5に背支柱6を介して固定された背もたれ7とを備えている。
【0018】
本実施形態の椅子は、例えば高さが900mm以上あるハイテーブルやハイカウンターとセットで使用できるもので、人は座5に腰掛けた状態で床に足が届かないため、棒状足1の群の中途高さ位置に足載せリング8を外側から嵌め込んで(内接させて)、足載せリング8を各棒状足1に溶接によって固定している。
【0019】
足載せリング8は請求項に記載したステー材の一例であり、従って、本実施形態では、足載せリング8と棒状足1との接合構造が要点になるが、その説明に先立って、椅子全体の構成を説明する。
【0020】
図2に明瞭に現されているように、各棒状足1は、丸パイプ製又は中実棒材製であり、各棒状足1の上端1aは、互いに当接又は近接するように座5の回転軸心を囲うように周方向に90度間隔で配置されており、各棒状足1は下に向けて外側に広がるように傾斜姿勢で配置されて、下端に接地体9を取り付けている。
【0021】
そして、各棒状足1の上端1aに、放射方向に延びる上水平部1bが曲げ形成されており、上水平部1bの上面に円形のベース3が溶接されている。従って、本実施形態では、ベース3がアッパ連結材を兼用している。なお、厳密には、上水平部1bも棒状足1の一部と云えるので、棒状足1は、傾斜部とその上端に設けた上水平部1bとで構成されているというべきかもしれないが、本願では、棒状足1の上端に上水平部1bが曲げ形成されているという表現を採用している。
【0022】
隣り合った棒状足1の上端部1aを溶接によって互いに接合することは可能であるが、本実施形態では、各棒状足1は足載せリング8で補強されているため、上水平部1bをベース3の下面に溶接することにより、脚装置2は全体として必要な強度を確保できる。上水平部1bは2つ割り方式のカバー11で下方から覆われている。この点は後述する。
【0023】
図6(A)に示すように、座5は、下向き開口の凹所13を有する座板14と、その上面及び外周面に重ねたクッション材15と、クッション材15を覆う表皮材16と、凹所13の上底面に配置した基板17とで構成されている。基板17はビス18で座板14に固定されているが、座板14には、ビス18が螺合する鬼目ナット19(図4(B)も参照)を装着している。
【0024】
図3(A)及び図4(C)から理解できるように、スラストベアリング装置4は、ベース3にビス21で固定された下ブラケット20と、基板17にビス22で固定された上ブラケット23と、上下ブラケット20,23の間に介在したリテーナ24と、リテーナ24で保持されたボール(図示せず)の群とで構成されている。上下ブラケット20,23は、平面視正方形の形態を成している。
【0025】
図6(A)に示すように(図1(C)、図3(B)も参照)、上下ブラケット20,23は、両者の中央部に配置されたビス25とナット26とにより、上下離反不能で相対回転自在に保持されている。ナット26と下ブラケット20との間にはワッシャ27が配置されており、ビス25には、上下ブラケット20,23の間隔を保持するためのカラー28が外側から嵌まっている。
【0026】
(2).カバー・背もたれ
カバー11は上向きに開口した浅い椀状の形態であり、例えば図3に示す高ナット30を介して基板17に固定されている。すなわち、1つのカバー11に対して2本の高ナット30が配置されているが、高ナット30は溶接によって基板17に固定されており、カバー11は、これに下方から挿通したビス31(図2(C)、図5参照)を高ナット30にねじねじ込むことにより、基板17に固定されている。図5(B)に示すように、カバー11には、ビス31の頭を隠すボス32が上向きに突設されている。
【0027】
2つのカバー11は同一形状に形成されており、中心穴33を挟んだ一方の部位に、相手のカバー11の上面に重なる長い長さの第1重合片34と、第1重合片34を挟んで両側に位置した第1ピン35とが形成されて、中心穴33を挟んだ他方の部位に、相手のカバー11の上面に重なる短い長さの第2重合片36と、第2重合片36を挟んで両側に位置した第1ピン37とが形成されている。
【0028】
そして、第1重合片34には、相手カバー11の第2ピン37が強制嵌合する第1くびれ溝38が切り開き形成されて、第2重合片36には、相手カバー11の第1ピン35が強制嵌合する第2くびれ溝39が切り開き形成されている。これら重合片34,36の上下の重なりと、ピン35,37とくびれ溝38,39との嵌合により、2つのカバー11は上下方向及び水平方向にガタ付きなく連結されており、その状態で、それぞれ2本ずつのビス31によって高ナット30に固定されている。
【0029】
図2(C)や図5(B)(C)に示すように、各カバー11の下面には、人が椅子を引いたり持ち上げたりするに際して指先を掛けることができる円弧状の凹所40を形成している。また、例えば図5(B)に示すように、カバー11の上面(内面)には、中心穴33を囲う円弧状リブ11aが形成されて、外周寄り部位には、放射方向に延びる支持リブ11bの群が周方向に断続的に形成されている。円弧状リブ11aは補強のために設けており、支持リブ11bは、図6(A)から理解できるように、座板14を支持するために設けている。
【0030】
背もたれ7は、例えば図3図6(A)に示すブラケット42を介して基板17に固定されている。図3に示すように、ブラケット42は鋼板製で上向き開口のコ字形に形成されており、側板42aの上端に一対ずつの係合突起43を形成している一方、基板17には、係合突起43が嵌まる係合穴44を形成しており、両者の嵌まり合いによって位置決めした状態で、ブラケット42を基板17に溶接している。
【0031】
そして、図6(A)に示すように(図3(C)、図5(A)も参照)、ブラケット42の底板に3つのナット45を溶接で固定し、背支柱6の前向き部6aに挿通したビス46をナット45にねじ込むことにより、背支柱6がカバー11を介してブラケット42に固定されている。すなわち、背支柱6とカバー11とがブラケット42に共締めされている。
【0032】
背もたれ7はオプション品であり、背もたれ7を取り付けない椅子も品揃えとして用意されている。そこで、本実施形態では、背支柱6をカバー11の下面に重ねて固定することにより、背もたれ7を設けた椅子と背もたれ7を設けない椅子とでカバー11を共用している。
【0033】
(3).足載せリング
足載せリング8は、金属中実棒材製又は金属パイプ製であり、円形(真円)に形成されている(四角形などの非円形に形成することも可能で)。そして、棒状足1に形成した切欠き部49に足載せリング8部分的に嵌め込むことにより、足載せリング8と棒状足1とを互いに噛み合わせ、その状態で両者を溶接で接合している。
【0034】
このように、足載せリング8を棒状足1と噛み合わせて溶接すると、両者が嵌合して一体化しているため、強固に固定できる。また、足載せリング8と棒状足1とが噛み合うことによって両者の一体性が高まるため、デザイン的に優れていると云える。
【0035】
また、足載せリング8に作用した下向きの荷重は棒状足1の切欠き部49で支えられるため、溶接部に負担が掛かることを大幅に抑制できる。この面でも、両者の固定強度を向上できる。なお、溶接に際しての肉盛り代を大きく確保できることによっても、溶接の強度アップに貢献できる。
【0036】
足載せリング8と棒状足1とを噛み合わせるに当たっては、足載せリング8に切欠き部49を形成することも可能であるが、実施形態のように棒状足1に切欠き部49を形成すると、足載せリング8の高さを正確に規定して高い寸法精度を確保できる利点がある。
【0037】
また、足載せリング8は、棒状足1の群に下方から当てて、足載せリング8を棒状足1の群で囲われた形態に配置することも可能であるが、実施形態のように、足載せリング8を棒状足1の群に上から当てて、足載せリング8で棒状足1の群を囲う態様を採用すると、足載せリング8に作用した荷重は、当該足載せリング8を棒状足1の切欠き部49に押し付けるように作用するため、溶接の肉盛り量を少なくしつつ高い強度を確保できる。
【0038】
足載せリング8は棒材で製造したが、金属板製や合成樹脂製とすることもできる。図7に一点鎖線で示すように、足載せリング8に板状のリング板50を設けてもよい。リング板50は、足載せリング8の内側に延ばすことも可能である。足載せリング8を上下に複数段設けることも可能である。従って、足載せ体の形態や配置位置は、必要に応じて任意に設定できる。
【0039】
(4).第1実施形態のまとめ
本実施形態において、ベース3は各棒状足1の上水平部1bに固定されているため、ベース3と上水平部1bとの溶接箇所に荷重が集中する現象は皆無であり、脚装置2は棒材製でありながら堅牢な構造になる。
【0040】
特に、本実施形態では、足載せリング8が棒状足1の群を一体化するロア連結材としても機能しており、棒状足1の群は上下2か所で互いに連結(接合)されているため、真上からの荷重に対する抵抗はもとより、斜め方向からの荷重やねじりの荷重に対しても極めて大きな抵抗を発揮する。従って、パイプ材や棒材で作られた脚装置2でありながら、極めて堅牢な構造を実現できる。
【0041】
また、上水平部1bは放射方向に広がっているため、製造工程で手間をかけることなくベース3を水平姿勢に保持できる。従って、スラストベアリング装置4を安定的に支持して、座5の回転をスムース化できる。更に述べると、本実施形態のスラストベアリング装置4は直径が大きくて座5の姿勢安定性に優れているが、上水平部1bが外向きに広がっていることによって外径が大きいベース3を採用できるため、外径が大きいスラストベアリング装置4を使用できて、高い品質を確保できる。
【0042】
さて、座5に作用した下向きの荷重は、棒状足1を軸心方向に圧縮する分力と、棒状足1を曲げる分力とに分かれるが、本実施形態のように棒状足1を真っ直ぐな姿勢に形成すると、特定の部位に曲げ力が集中することは無くて、全体に均等な曲げ力が作用する。
【0043】
そして、鉛直線に対する棒状足1の傾斜姿勢は20数度であって小さいため、荷重の大部分は棒状足1を軸方向に押す圧縮荷重(座屈荷重)として作用するが、圧縮強度は曲げ強度よりも遥かに大きいため、各棒状足1が足載せリング8を介して連結されていることと相まって、棒状足1を過剰に太くすることなく、脚装置2を堅牢な構造にすることができる。
【0044】
例えば図2(A)から理解できるように、足載せリング8の内径はベース3の外径よりも大径になっている。従って、先に各棒状足1の上水平部1bをベース3に溶接してから、足載せリング8を棒状足1の群に上から嵌め込で、両者を溶接することができる。従って、脚装置2の組み立てを容易に行える(足載せリング8で棒状足1を囲った状態で上水平部1bをベース3に溶接すると、足載せリング8が邪魔になって作業が面倒である。)。
【0045】
(5).他の実施形態・その他
次に、図8に示す他の実施形態を説明する。図8(A)(B)に示す第2実施形態はテーブル52に適用している。テーブル52は、天板53とこれを支持する脚装置54とを備えており、脚装置54は4本の棒状足55を備えて、4本の棒状足55の群に平面視四角形に形成された足載せリング56のコーナー部が内接している。そして、各棒状足55に、足載せリング56のコーナー部が嵌合する切欠き部57を形成している。
【0046】
この実施形態でも、足載せリング56は切欠き部57で支持されているため、大きな荷重が掛かっても溶接部が破断するようなことはなく、高い支持強度を実現できる。また、足載せリング56の高さも正確な位置に簡単に規定される。
【0047】
図8(C)に示す第3実施形態では、足載せ等のリング体58と棒状足59との両方に切欠き部60を形成している。この実施形態では、リング体58と棒状足59との噛み合わせ深さが大きくなるため、両者の一体性を高めてデザイン性(スリム感)を向上できると云える。
【0048】
図8(D)(E)に示す第4実施形態では、足載せ用等のリング体58にスペーサ61を溶接等で固定し、スペーサ61を棒状足59の切欠き部60に嵌合させている。本願発明は、リング体を棒状足に直接嵌め込む構造のみでなく、この実施形態のようにスペーサ61を介して嵌め込む構造も含んでいる。足載せ用等のリング体58を棒状足59から離す必要がある場合でも、リング体58を棒状足59に強固に固定できる。
【0049】
以上、本願発明の実施形態を説明したが、本願発明は他にも様々に具体化できる。例えば、棒状足は3本又は5本以上であってもよい。また、各棒状足は真っ直ぐな形態である必要性はないのであり、曲がった形態も採用できる。例えば、椅子に適用する場合、各棒状足を外向きに膨れた形態と成して、脚装置を全体として釣り鐘形に形成することができる。或いは、各棒状足を、外向きに反った弓形又は内向きに反った弓形に形成することも可能である。
【0050】
ステー材は、足載せに兼用するにしても補強のみを目的にするにしても、必ずしもリングの形態である必要はないのであり、少なくとも隣り合った2本の棒状足を連結する形態であったらよい。隣り合った棒状足をそれぞれ異なるステー材で連結して、ステー材の群によってリング状が形成されたような形態も採用できる。また、本願発明は、椅子やテーブルに限らず、物品載置台などの各種の家具に適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本願発明は、棒状足タイプの家具に適用できる。従って、産業上利用できる。
【符号の説明】
【0052】
1 棒状足
2 脚装置
3 ベース
5 座
7 背もたれ
8 リング体の一例としての足載せリング
49 切欠き部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8