(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022057839
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】インクタンク及び画像記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20220404BHJP
【FI】
B41J2/175 309
B41J2/175 141
B41J2/175 131
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020166292
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】刑部 吉記
(72)【発明者】
【氏名】白野 太一
(72)【発明者】
【氏名】北川 孝
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA29
2C056EB51
2C056KB05
2C056KC13
2C056KC16
2C056KC17
2C056KC30
(57)【要約】 (修正有)
【課題】センサの誤検知を低減できるインクタンクを提供する。
【解決手段】インクタンクは、液体消費部に供給する液体を貯留する第1液体貯留室と、第1液体貯留室と連通路で連通されており、液体消費部に液体を供給する液体流出口を有する第2液体貯留室と、第1液体貯留室内で且つ上記連通路の上方に少なくとも2本の電極棒331A、331Bを有する検知部と、第1液体貯留室に液体を供給可能な開口を備える注入部と、インクタンクの外部と上記第2液体貯留室とを連通する大気連通路と、注入部に対して開位置と閉位置とに移動可能であって、閉位置のときに第1液体貯留室を密封するキャップと、連通路に対して上下動することで上記連通路を開閉するバルブ機構407と、バルブ機構を上下動させるリンク機構と、リンク機構で上下動される上記バルブ機構をガイドするガイド部と、を備え、上記ガイド部のうち、少なくとも一部はバルブ機構に設けられている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体消費部を有する装置に液体を供給するインクタンクであって、
上記液体消費部に供給する液体を貯留する第1液体貯留室と、
当該第1液体貯留室と連通路で連通されており、上記液体消費部に液体を供給する液体流出口を有する第2液体貯留室と、
上記第1液体貯留室内で且つ上記連通路の上方に少なくとも2本の電極棒を有する検知部と、
上記第1液体貯留室に液体を供給可能な開口を備える注入部と、
当該インクタンクの外部と上記第2液体貯留室とを連通する大気連通路と、
当該注入部に対して開位置と閉位置とに移動可能であって、閉位置のときに第1液体貯留室を密封するキャップと、
上記連通路に対して上下動することで上記連通路を開閉するバルブ機構と、
当該バルブ機構を上下動させるリンク機構と、
当該リンク機構で上下動される上記バルブ機構をガイドするガイド部と、
を備え、
上記ガイド部のうち、少なくとも一部はバルブ機構に設けられていることを特徴とするインクタンク。
【請求項2】
上記バルブ機構に設けられているガイド部の延出方向の長さは、上記ガイド機構が設けられているバルブ機構の部位と、インクタンクの壁間の長さに略等しいことを特徴する請求項1に記載のインクタンク。
【請求項3】
上記バルブ機構に設けられているガイド部の延出方向は、鉛直方向成分を有することを特徴とする請求項1に記載のインクタンク。
【請求項4】
上記バルブ機構に設けられているガイド部の延出方向は、水平方向成分と鉛直方向成分とを有することを特徴とする請求項1に記載のインクタンク。
【請求項5】
上記バルブ機構に設けられていないガイド部は、第1液体貯留室内に設けられており、上記電極棒の被覆部材と一体に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のインクタンク。
【請求項6】
上記バルブ機構に設けられているガイド部の延出方向の長さは、上記バルブ機構に設けられていないガイド部の延出方向の長さと、上記被覆部材とインクタンクの壁間を足した長さに略等しいことを特徴とする請求項5に記載のインクタンク。
【請求項7】
液体消費部と、
当該液体消費部に液体を供給する請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のインクタンクと、
を備えたことを特徴とする画像記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクを貯留可能なインクタンク及びそのインクタンクを備えた画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクの充填や再充填が可能なインクタンクを備えた画像記録装置が存在している。
図1(A)には、一例の画像記録装置300が記載されている。
図1(A)に示されるように、インクジェット記録装置の一例である画像記録装置300は、概ね直方体形状である。画像記録装置300は、その上部に、用紙などの原稿に記録された画像をイメージセンサ(不図示)によって読み取って画像データを取得するスキャナ部を備えている。また、画像記録装置300の下部には、シートに画像を記録するプリンタ部を備えている。このプリンタ部は、液体消費部の一例としてのインクジェット記録方式の記録ヘッドを備えている。
【0003】
以下の説明では、画像記録装置300に据え付けられたインクタンクが使用可能に水平面に設置された姿勢(
図1の姿勢であって、「使用姿勢」と表記することがある。)を基準として上下方向が定義され、開閉カバー307が設けられている側を手前側(正面)として前後方向が定義され、画像記録装置300を手前側(正面)から見て左右方向が定義される。本実施形態では、使用姿勢において、上下方向が鉛直方向に相当し、前後方向及び左右方向が水平方向に相当する。
【0004】
図1(A)の画像記録装置300は、開閉可能な開閉カバー307が開位置にある。この画像記録装置300は、装置の前方左側にCMY(Cyan, Magenta, Yellow)3色のインクがそれぞれ1色ずつ収容される3つのインクタンク303が配置されている。この3つのインクタンク303のうち、最も左側のインクタンク303のキャップ304が開位置にあり、その他2つのインクタンク303のキャップ304は閉位置にある。一方、この画像記録装置300の前方右側にはBK(Black)インクが収容されるインクタンク303が配置されている。このBK用のインクタンク303のキャップ304は閉位置にある。開閉カバー307が開位置にあるとき、使用者はこれらのインクタンク303へのアクセス、すなわちインクの補給や補充等が可能になる。
図1(B)は、前方左側に配置されている3つのインクタンク303の前部302の拡大図である。
【0005】
この画像記録装置300に搭載されているインクタンク303の概略構造を
図2乃至
図7を参照しつつ以下に説明する。
【0006】
図2は、インクタンク303を左側面から見た側面図である。なお、インクタンク303の左側面には透明なフィルム110が溶着されているので、インクタンク303の内部構造を視認できる。
【0007】
図3は、キャップ304が閉位置にある状態の従来のインクタンク303の右側面図である。ただし、右側面からは視認できないセンサの2本の電極棒331A,331Bと第1案内リブ332の配置が理解できるようにそれらの位置が強調して示されている。
【0008】
図4は、このインクタンク303に使用されているリンク機構200のみを記載した斜視図である。
【0009】
図5(A)は、キャップ304が開位置にあることで、バルブが密閉された状態のインクタンク303を示す概略図であり、
図5(B)は、キャップ304が閉位置にあることで、バルブが開放された状態のインクタンク303を示す概略図である。ただし
図5には、第1インク室301の下方に設けられている第2インク室401は図示されていない。
【0010】
図6は、従来のバルブ本体207及びシール部材209の概略構造を示す図であり、(A)には従来のバルブ本体207及びシール部材209の概略平面図とVIA-VIA線で切断した概略断面図が示されており、(B)には従来のバルブ本体207及びシール部材209の概略側面図とVIB-VIB線で切断した概略断面図が示されている。
【0011】
図7は、従来のバルブ本体207及びシール部材209が連通路220を開閉する動作を示す概略図と連通路220周囲の各種部材の配置を示す概略図であり、(A)には
図6(A)で示した従来のバルブ本体207及びシール部材209が連通路220を閉じている状態が示されており、(B)には
図6(A)で示した従来のバルブ本体207及びシール部材209が連通路220を開放している状態が示されており、(C)には連通路220周囲の各種部材の配置を示す概略図が示されている。
【0012】
このインクタンク303は、
図2に示すように、注入筒305を密閉可能なキャップ304がインクタンク本体306に回動可能に装着されている。このキャップ304は図示しない弾性体(一例として、ラバー製のOリング)によって常には閉位置から開位置に向かって付勢されており、キャップ304を閉位置に保持する係合を解除すると、キャップ304は注入筒305を密閉していた閉位置から開位置へと自ら回動する。更にキャップ304は、
図4に示すように、閉位置にあるときに下方に向かって延びる突部201を備えている。キャップ304が開位置にあるときは、この突部201は後述するスライダ部材202から離間しているが、キャップ304が閉位置にあるときは、この突部201はスライダ部材202を下方に向けて押圧する。
【0013】
次に、
図4を参照しつつ、リンク機構200について説明する。リンク機構200は、キャップ304の動作と、後述するバルブ本体207の動作を連動させるために、キャップ304と、バルブ本体207とを連結する機構である。
【0014】
リンク機構200は、スライダ部材202、第2レバーアーム203、第1レバーアーム206、圧縮バネ204、複数のラバー製Oリング等から構成されている。
【0015】
スライダ部材202と、第2レバーアーム203と、圧縮バネ204は、インクタンク303の外側、すなわちインクタンク303の右側壁に配設されている。一方、第1レバーアーム206の回転軸205は、第1インク室301を形成する右側壁に設けられている貫通孔205Aを第1インク室301内からインクタンク303外に向けて貫通している。貫通孔205Aから第1インク室301内のインクが漏出しないように、貫通孔205Aには図示しないOリング等が設けられている。そして、この第1レバーアーム206は、インクタンク303の右側壁に配設されている第2レバーアーム203の回動動作に連動して回転軸205を回動の中心として第1インク室301内で回動可能である。
【0016】
バルブ本体207は、第1インク室301と第2インク室401を連通する連通路220をシールするシール部材209を備えており、第1レバーアーム206に対して回転可能に結合されている。そして、キャップ304の開閉動作に伴うスライダ部材202の移動、第2レバーアーム203の回転、更には第1レバーアーム206の回転に伴って、バルブ本体207は上下動し、その結果、シール部材209が弁座210に着座/離間することで第1インク室301と第2インク室401を連通する連通路220を開閉する。
【0017】
なお、このインクタンク303は、図示しない記録ヘッドにインクを供給するためのインク流出口360と、第2インク室401の内部をインクタンク303の外部に連通するための大気連通口370とを備えている。インク流出口360は第2インク室401に設けられている。一方、大気連通口370はインクタンク303の上部に設けられているが、この大気連通口370と第2インク室401の内部とを連通するための大気連通路371が第2インク室401まで延びている。
【0018】
また、このインクタンク303は、インクタンク本体306の前方側に視認部350を備えている。インクタンク本体306は光を透過する樹脂や半透明の樹脂で形成されているので、使用者はこの視認部350を見るだけで、インクタンク303内のインク残量を確認できる。この視認部350には、上限指示部351と下限指示部352とが設けられている。上限指示部351は、インクタンク303内に貯留が許容される最大容量のインクの液面高さを表示している。一方、下限指示部352は、使用者にインクタンク303内へのインクの注入を促す液面高さを表示している。
【0019】
ここで、このインクタンク303から記録ヘッドへとインクを供給する際のインクタンク303の動作を説明する。記録ヘッドがインクを消費する動作、すなわち画像記録のためのインクの吐出やクリーニング等のためのインクの吐出廃棄等の動作を行った場合、記録ヘッド内のインクが不足する。すると、インクタンク303と記録ヘッドとを連結しているインクチューブを介してインクタンク303から記録ヘッドへインクが補給される。上述した通り、記録ヘッドに供給するインクを直接貯留しているのは第2インク室401である。この第2インク室401内のインクが徐々に減ってインクの液面が下がると、インクにより密閉されていた第2インク室401側の大気連通路371の開口371Aが開放される。すると第2インク室401の内部とインクタンク303の外部とを連通している大気連通路371から第2インク室401内に空気が流入する。ところで、上述した通り、第1インク室301と第2インク室401とは連通路220で連通されており、キャップ304が閉位置にあるとき、バルブ本体207は連通路220を開放している。しかし、第1インク室301の内部はキャップ304にて密閉されているので、第1インク室301内に貯留されているインクは、第2インク室401へと供給されない。しかし、記録ヘッドに供給されることで第2インク室401内に貯留されているインクの液面が下がると、大気連通路371から第2インク室401内に流入した空気が連通路220を介して第1インク室301へ移動する。第2インク室401内の空気が第1インク室301に移動することによって、いわゆる気液置換が発生し、第1インク室301内に貯留されているインクが連通路220を介して第2インク室401に流入する。第1インク室301から第2インク室401にインクが流入すると、第2インク室401内のインクの液面が高くなり、第2インク室401側の大気連通路371の開口371Aがインクで密閉される。この時点で大気連通路371から第2インク室401内への空気の流入が停止するので、第1インク室301から第2インク室401へのインクの流入も停止する。
【0020】
以上の説明から明らかなとおり、記録ヘッドでインクが消費されると、第2インク室401から第1インク室301へは空気が流入する。しかしながら、第2インク室401から第1インク室301に一度に流入する空気量はそれほど多くないので、空気は細かい気泡になって第1インク室301に流入する。
【0021】
ところで、第2インク室401内に貯留されているインク量が所定の量を下回ると、インク流出口360から記録ヘッドに空気が供給されるという事態が発生する。インクタンクから記録ヘッドに空気が供給されると、記録ヘッドはインクを吐出できなくなるため、使用者は所望する画像が得られなくなる虞がある。そこで、インクタンク303においては、貯留されているインク量が所定の量まで減少するよりも前に、インク量を事前に検知する電極型のインク量センサ(以下、センサと称す。)を搭載している。このセンサは、インク室内に例えば2本の電極棒を直接挿入し、電極棒間の導通状態を検知することでインク室内のインク量が所定量以上あるか否かを検知する。
【0022】
各インクタンク303には、2本の電極棒331A,331Bがインクタンク303の外表面(上下方向に延びる側壁)から第1インク室301内に水平方向に圧入されている。2本の電極棒331A,331Bは、上下方向に5mm程度離間されている。この2本の電極棒331A,331Bの近傍には、第1レバーアーム206の連結突起208と、バルブ本体207の連結部とが配置されている。
【0023】
バルブ本体207は、平板部207Aと連通路案内部207Bとを備えている。バルブ本体207は、連通路案内部207Bが連通路220内で上下動することでとともに、平板部207Aが第1案内リブ332と第2案内リブ333に当接しながら上下動することでバルブ本体207はシール部材209で正確に連通路220を開閉できる。
【0024】
ここで、連通路220は、上述したとおり、第1インク室301と第2インク室401とを連通している。更に、インクタンク303は、大気連通口370をその一端部に備える大気連通路371を備えており、この大気連通路371の他端部の開口371Aは、第2インク室401とのみ連通しており、第1インク室301は大気連通路371には直接的には連通していない。
【0025】
このバルブ本体207が上下動する際に、バルブ本体207の移動を案内する2つの案内リブ332,333(
図7(C)参照)が第1インク室301内に設けられている。第1案内リブ332はフィルム110の対向面から第1インク室301内に向かって水平方向に延びている。更に、電極棒331Bが圧入されている下方の貫通部の外周壁からも第2案内リブ333が第1案内リブ332と同じ向きに延びている。フィルム110の対向面からの第1案内リブ332と第2案内リブ333の高さは略同一である。
【0026】
バルブ本体207は、平板部207Aと連通路案内部207Bとを備えている。バルブ本体207は、連通路案内部207Bが連通路220内で上下動することでとともに、平板部207Aが第1案内リブ332と第2案内リブ333に当接しながら上下動することでバルブ本体207はシール部材209で正確に連通路220を開閉できる。
【0027】
上述した通り、インクが記録ヘッドで消費されたとき、連通路220を介して第2インク室401から第1インク室301へと移動した空気(気泡)は、ほぼ鉛直上方に向けて上昇するので、これらの空気(気泡)はセンサの電極棒331A,331B近傍を通過していくことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【特許文献1】PCT特許公開第2019-078898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
しかしながら、上述したとおり、2本の電極棒331A,331Bの近傍には第1案内リブ332と第2案内リブ333が設けられているので、上昇した空気(気泡)がこれら第1案内リブ332や第2案内リブ333によって堰き止められる虞がある。もしも電極棒331A,331Bが多量の空気(気泡)で被覆された場合、センサが誤検知をする虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0030】
上述した課題を解決するために、本発明のインクタンクは、液体消費部を有する装置に液体を供給するインクタンクであって、上記液体消費部に供給する液体を貯留する第1液体貯留室と、当該第1液体貯留室と連通路で連通されており、上記液体消費部に液体を供給する液体流出口を有する第2液体貯留室と、上記第1液体貯留室内で且つ上記連通路の上方に少なくとも2本の電極棒を有する検知部と、上記第1液体貯留室に液体を供給可能な開口を備える注入部と、当該インクタンクの外部と上記第2液体貯留室とを連通する大気連通路と、当該注入部に対して開位置と閉位置とに移動可能であって、閉位置のときに第1液体貯留室を密封するキャップと、上記連通路に対して上下動することで上記連通路を開閉するバルブ機構と、当該バルブ機構を上下動させるリンク機構と、当該リンク機構で上下動される上記バルブ機構をガイドするガイド部と、を備え、上記ガイド部のうち、少なくとも一部はバルブ機構に設けられている。
【発明の効果】
【0031】
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、バルブ本体自身が自らの動作を規制するためのリブを備えており、そのリブの延伸方向も鉛直方向成分を備えている。この構造により、電極棒近傍で空気(気泡)が堰き止められる可能性を低減できるので、センサの誤検知も低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、画像記録装置の斜視図であり、(A)には開閉カバー307が開いた状態の画像記録装置300の斜視図が示されており、(B)には画像記録装置300の部分拡大図が示されている。
【
図2】
図2は、キャップ304が閉位置にある状態の従来のインクタンク303の左側面図である。
【
図3】
図3は、キャップ304が閉位置にある状態の従来のインクタンク303の右側面図である。ただし、右側面からは視認できないセンサの2本の電極棒331A,331Bと第1案内リブ332の配置が理解できるようにそれらの位置が強調して示されている。
【
図4】
図4は、従来のインクタンク303に使用されているリンク機構200のみを抽出して記載した斜視図である。
【
図5】
図5は、従来のキャップ304とリンク機構の動作を簡略的に示した概略図であり、(A)にはキャップ304がリンク機構から離間した(バルブ部材が密閉された)状態の概略図が示されており、(B)には閉位置にあるキャップ304によりリンク機構が動作した(バルブ部材が開放された)状態の概略図が示されている。
【
図6】
図6は、従来のバルブ本体207及びシール部材209の概略構造を示す図であり、(A)には従来のバルブ本体207及びシール部材209の概略平面図とVIA-VIA線で切断した概略断面図が示されており、(B)には従来のバルブ本体207及びシール部材209の概略側面図とVIB-VIB線で切断した概略断面図が示されている。
【
図7】
図7は、従来のバルブ本体207及びシール部材209が連通路220を開閉する動作を示す概略図と連通路220周囲の各種部材の配置を示す概略図であり、(A)には
図6(A)で示した従来のバルブ本体207及びシール部材209が連通路220を閉じている状態が示されており、(B)には
図6(A)で示した従来のバルブ本体207及びシール部材209が連通路220を開放している状態が示されており、(C)には連通路220周囲の各種部材の配置を示す概略図が示されている。
【
図8】
図8は、本実施形態のバルブ本体407及びシール部材409の概略構造を示す図であり、(A)にはバルブ本体407及びシール部材409の概略平面図とVIIIA-VIIIA線で切断した概略断面図が示されており、(B)にはバルブ本体407及びシール部材409の概略平面図とVIIIB-VIIIB線で切断した概略断面図が示されている。
図9は、本実施形態のバルブ本体407及びシール部材409が連通路220を開閉する動作を示す概略図と連通路220周囲の各種部材の配置を示す概略図であり、(A)には
【
図9】
図9は、
図8(A)で示したバルブ本体407及びシール部材409が連通路220を閉じている状態をインクタンクの左側面から見たときの概略部分図であり、(B)には、上方から見たときの概略部分図が示されており、(B)には
図8(A)で示したバルブ本体407及びシール部材409が連通路220を開放している状態をインクタンクの左側面から見たときの概略部分図が示されており、(C)には連通路220周囲の各種部材の配置を示す概略図が示されている。
【
図10】
図10は、本実施形態のガイド部材408を備えたバルブ本体407の概略斜視図が示されている。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0034】
図8は、本実施形態のバルブ本体407及びシール部材409の概略構造を示す図であり、(A)にはバルブ本体407及びシール部材409の概略平面図とVIIIA-VIIIA線で切断した概略断面図が示されており、(B)にはバルブ本体407及びシール部材409の概略平面図とVIIIB-VIIIB線で切断した概略断面図が示されている。
【0035】
図9は、本実施形態のバルブ本体407及びシール部材409が連通路220を開閉する動作を示す概略図と連通路220周囲の各種部材の配置を示す概略図であり、(A)には
図8(A)で示したバルブ本体407及びシール部材409が連通路220を閉じている状態をインクタンクの左側面から見たときの概略部分図であり、(B)には、上方から見たときの概略部分図が示されており、(B)には
図8(A)で示したバルブ本体407及びシール部材409が連通路220を開放している状態をインクタンクの左側面から見たときの概略部分図が示されており、(C)には連通路220周囲の各種部材の配置を示す概略図が示されている。
【0036】
図10は、本実施形態のガイド部材408を備えたバルブ本体407の概略斜視図が示されている。
【0037】
まず、
図8を参照しつつ本実施形態のバルブ本体407の構造を説明する。バルブ本体407は、平板部407Aと、案内部407Bと、ガイド部材408とを備えており、従来のバルブ本体207とは、ガイド部材408の存在を除いて同様の構造を備えている。
【0038】
ガイド部材408は、バルブ本体407の平板部407Aから平板部407Aに直交する方向且つ鉛直方向に延びている。また、ガイド部材408は、バルブ本体407と一体に成型されていても良いし、バルブ本体407とは別体の部材が平板部407Aに固定されていても良い。
【0039】
次に、
図9を参照して本実施形態のバルブ本体407及びシール部材409が連通路220を開閉する動作を説明する。
【0040】
本実施例のインクタンク500は、従来のインクタンク303に比して、第1案内リブ332以外は同一の構造である。すなわち、本実施例のインクタンク500には、第1案内リブ332が設けられていない。従って、本実施例のインクタンク500に関しては、従来のインクタンク303と構造の異なる部分のみ説明する。
【0041】
本実施形態のインクタンク500にも、従来のインクタンク303と同様に、2本の電極棒331A,331Bがインクタンク500の外表面(上下方向に延びる側壁)から第1インク室301内に水平方向に圧入されている。2本の電極棒331A,331Bは、上下方向に5mm程度離間されている。この2本の電極棒331A,331Bの近傍には、第1レバーアーム206の連結突起208と、バルブ本体407の連結部とが配置されている。
【0042】
上述した通り、このバルブ本体407が上下動する際に、第1インク室301内に設けられているのは第2案内リブ333のみである。従来の第1案内リブ332は設けられていない。その結果、バルブ本体407が上下動する際に第2案内リブ333にのみ片当たりしているのでは、バルブ本体407の動作が不安定となる。そこで、本実施形態のバルブ本体407は、上下動時の移動動作を安定させるためのガイド部材408を平板部407Aに備えている。ガイド部材408の長さL1は、
図9(A)(B)からも明らかなとおり、平板部407Aとインクタンク500の壁との間隔L2と略同一である。このガイド部材408の存在により、上下同時のバルブ本体407は第2案内リブ333との共働で安定して上下動が可能である。
【0043】
更に、
図9(C)からも明らかなとおり、電極棒331A,331Bの周囲からは、従来の第1案内リブ332のように空気(気泡)の進行を妨げる部材がなくなった。従来の第1案内リブ332は、
図7(C)の正面図及び平面図に示されているように、連通路22の一部を覆い隠すように鉛直上方に設けられており、且つ電極棒331Bに極めて近い位置に配置されていたため、連通路220からほぼ鉛直上方に上昇してくる空気(気泡)を滞留させてしまう。このため、電極棒331A,331B近傍に滞留した空気(気泡)によってセンサの誤検知が発生する虞があった。
【0044】
しかしながら、本実施形態のインクタンクでは、第1案内リブ332のような部材を削除し、バルブ本体407側にガイド部材408を設けた。このガイド部材408は
図9(C)からもあきらかなように、平面視で連通路220の鉛直上方に配置されていない。このため、従来の第1案内リブ332と同様にバルブ本体407の上下動は安定するとともに、センサ近傍での空気(気泡)の滞留を低減することができる。その結果、センサの誤検知も低減できる。
【0045】
[変形例]
上記の実施形態においては、ガイド部材408は、バルブ本体407の平板部407Aから平板部407Aに直交する方向且つ鉛直方向に延びている。しかしながら、上昇してきた空気(気泡)を堰き止めないという目的であれば、ガイド部材408は平板部407Aと交差する方向且つ鉛直方向成分を持つ方向に延びていれば良い。
更にこの鉛直方向成分は水平方向成分より角度を備えていればよい。
また、第1案内リブ332をなくしてガイド部材408を設けたが、第1案内リブ332を短く(高さを低く)して空気(気泡)の通過量を従来のインクタンクよりも多めに構成した上で、ガイド部材408との共働でバルブ本体407の上下動作を安定させても良い。
【0046】
また、シール部材409を支持するフランジ部の径を現状よりも大きくすれば、シール部材409の移動の可能性も低くなり、更にここに空気(気泡)を貯めておくことで電極棒への空気(気泡)移動も低減できる。
【符号の説明】
【0047】
303,500…インクタンク
300…画像記録装置
301…第1インク室(第1液体貯留室)
401…第2インク室(第2液体貯留室)
207,407…バルブ本体
207A,407A…平板部
332…第1案内リブ
333…第2案内リブ
408…ガイド部