(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022057861
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】ノートパソコンカバー
(51)【国際特許分類】
A45C 11/00 20060101AFI20220404BHJP
G06F 1/16 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
A45C11/00 E
G06F1/16 312Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020166316
(22)【出願日】2020-09-30
(71)【出願人】
【識別番号】501067193
【氏名又は名称】株式会社カウネット
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(72)【発明者】
【氏名】武林 宏記
(72)【発明者】
【氏名】有井 宏
【テーマコード(参考)】
3B045
【Fターム(参考)】
3B045AA42
3B045CB03
3B045CE07
3B045CE09
3B045DA23
3B045EA02
3B045EA06
3B045EB11
3B045FA01
3B045HA01
3B045HB05
3B045HB06
3B045IA01
3B045JA02
3B045JB01
3B045LA01
3B045LA10
3B045LB01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ノートパソコンを開いても邪魔にならないようにノートパソコンに適切に付帯する機能をカバーに付与することによって、携帯先でカバーを直ぐに開いて使用環境を整えられる、使い勝手に優れたノートパソコン用カバーを提供する。
【解決手段】キーボードが配置されるパソコン本体部Paに画面部Pbが開閉可能に接続されたノートパソコンPを収容するためのものであって、ノートパソコンPを開いたときに画面部Pb側に付帯する表カバー1、及びパソコン本体部Pa側に付帯する裏カバー2を備え、表カバー1及び裏カバー2はファスナ3によって開閉可能とされていて、ファスナ3と表カバー1と裏カバー2の開き元である背部c3との間に、表カバー1と裏カバー2が一定角度を越えて開く動作に規制を加える規制部5を設けた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キーボードが配置されるパソコン本体部に画面部が開閉可能に接続されたノートパソコンを収容するためのものであって、
前記ノートパソコンを開いたときに画面部側に付帯する表カバー、及びパソコン本体部側に付帯する裏カバーを備え、
前記表カバー及び前記裏カバーはファスナによって開閉可能とされていて、
前記ファスナと前記表カバーと前記裏カバーの開き元である背部との間に、表カバーと裏カバーが一定角度を越えて開く動作に規制を加える規制部を設けていることを特徴とするノートパソコンカバー。
【請求項2】
前記規制部は、前記ファスナを構成するスライダの開き方向の移動終端位置を表カバーと裏カバーの開き元である背部近くの側部に設定することによって実現されている、請求項1に記載のノートパソコンカバー。
【請求項3】
キーボードが配置されるパソコン本体部に画面部が開閉可能に接続されたノートパソコンを収容するためのものであって、
前記ノートパソコンを開いたときに画面部側に付帯する表カバー、及びパソコン本体部側に付帯する裏カバーを備え、
前記表カバー及び前記裏カバーは接続部において開閉可能に接続され、
前記接続部が、前記表カバー及び前記裏カバーの背部、及び側部の一部に亘って形成されることで、表カバーと裏カバーが一定角度を越えて開く動作に規制を加える規制部を設けていることを特徴とするノートパソコンカバー。
【請求項4】
前記表カバーは更に、前記ノートパソコンの画面部に係合する係合部を備えている、請求項1~3の何れかに記載のノートパソコンカバー。
【請求項5】
前記表カバー内には芯材が配置されている、請求項1~4の何れかに記載のノートパソコンカバー。
【請求項6】
前記表カバーは更に、少なくともノートパソコンの周辺機器を収容する表カバー収納部を有する、請求項5に記載のノートパソコンカバー。
【請求項7】
前記裏カバー内にも芯材が配置されている、請求項5又は6に記載のノートパソコンカバー。
【請求項8】
前記裏カバーの外面に、扁平に折りたたんだ状態から展開することによってパソコン本体を傾斜状態で支持するスタンドを付帯させている、請求項7に記載のノートパソコンカバー。
【請求項9】
前記表カバーと前記裏カバーはファスナによって開閉可能とされ、ファスナを構成する裏カバー側のエレメントは、ファスナを開いた状態でノートパソコンの側面に設けられた周辺機器接続部よりも低い位置に配されている、請求項1~8の何れかに記載のノートパソコンカバー。
【請求項10】
前記ファスナの内側には、柔軟性のある起立壁がファスナに沿ってパソコン本体を囲むように配置される、請求項9に記載のノートパソコンカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノートパソコンを携帯可能かつ携帯先で直ぐに使えるようにしたノートパソコンカバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ノートパソコンの携帯に用いるものとして、例えば特許文献1に示すバッグが知られている。
【0003】
このバッグは、ノートパソコンを出し入れ可能に納め入れて携帯するものであって、その外面側に、ノートパソコンを載せて操作をするための載置面を備えていると共に、この載置面に載せ置かれるパソコン本体部における側部の少なくとも一部の差入れられる被差込み部と、その載置面に載せ置かれたノートパソコンの載置面に沿った載置面からの外れ出し移動を被差込み部と協働して阻止する外れ出し阻止手段とを備えて構成されている。
【0004】
このように構成されるバッグにあっては、随時、随意に、随意の場所で、当該バッグから収納されているノートパソコンを取り出すと共に、このノートパソコンの側部を被差込み部に差入れるように該バッグにおける載置面に載置して、該ノートパソコンを被差込み部と外れ出し阻止手段とで当該載置面からの外れ出し移動を阻止した状態にして安定且つ確実に操作することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このようなバッグだと、ノートパソコンをその都度バッグから取り出してバッグ上にセットする必要があるため、携帯先で直ぐに使えないという不便さがある。
【0007】
そこで、ノートパソコンを携帯可能かつ携帯先で直ぐに使えるようにするために、常にブックカバー的にノートパソコンに付帯させておき、カバーを開くときにノートパソコンも同時又は前後に開くことができて、カバーから出さずにノートパソコンを使用できるという、新たなノートパソコンカバーの利用が有効な手段として考えられる。
【0008】
しかしながら、そのような構成を実現するためには、単にノートパソコンを包むカバーというだけでなく、周辺機器の収容機能を備えるほか、携帯先でカバーを直ぐに開いて使用環境を整えられる機能を備えておくことが重要である。
【0009】
本発明はその一環として、ノートパソコンを開いても邪魔にならないようにノートパソコンに適切に付帯する機能をカバーに付与することによって、上記の目的を達成しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0011】
すなわち、本発明のノートパソコンカバーは、キーボードが配置されるパソコン本体部に画面部が開閉可能に接続されたノートパソコンを収容するためのものであって、前記ノートパソコンを開いたときに画面部側に付帯する表カバー、及びパソコン本体部側に付帯する裏カバーを備え、前記表カバー及び前記裏カバーはファスナによって開閉可能とされていて、前記ファスナと前記表カバーと前記裏カバーの開き元である背部との間に、表カバーと裏カバーが一定角度を越えて開く動作に規制を加える規制部を設けていることを特徴とする。
【0012】
このようにすれば、ノートパソコンを開いても表カバーを画面部の背後に付帯させておくことができるので、画面部の後方に倒れて見栄えを損ねたり、机上の場所をとる等の不都合が防止され、ノートパソコンを閉じる際も画面部の動きに追従して表カバーが閉じ易いものになる。そして、画面部に紐などの係合部を用いて表カバーを引っ掛けることが必ずしも必要ないため、画面の視認性を損ねず、規制部自体が外観に現れないのでノートパソコンの外観や機能を棄損することも回避することができる。
【0013】
具体的な構成としては、前記規制部は、前記ファスナを構成するスライダの開き方向の移動終端位置を表カバーと裏カバーの開き元である背部近くの側部に設定することによって実現しているものが挙げられる。
【0014】
また、他の構成に係る本発明のノートパソコンカバーは、キーボードが配置されるパソコン本体部に画面部が開閉可能に接続されたノートパソコンを収容するためのものであって、前記ノートパソコンを開いたときに画面部側に付帯する表カバー、及びパソコン本体部側に付帯する裏カバーを備え、前記表カバー及び前記裏カバーは接続部において開閉可能に接続され、前記接続部が、前記表カバー及び前記裏カバーの背部、及び側部の一部に亘って形成されることで、表カバーと裏カバーが一定角度を越えて開く動作に規制を加える規制部を設けていることを特徴とする。
このようにすれば、ファスナと併用すれば規制部の機能が高くなるし、開閉手段がファスナではなく例えば表カバーと裏カバーの中央部同士をベルトで閉止するような構造の場合にも、規制部の作用効果が奏される。
【0015】
規制部を補助するためには、前記表カバーは更に、前記ノートパソコンの画面部に係合する係合部を備えていることが好ましい。
【0016】
規制部の効果をより高めるためには、前記表カバー内には芯材が配置されていることが好ましい。
【0017】
表カバー内に芯材が配置される場合には、前記表カバーは更に、少なくともノートパソコンの周辺機器を収容する表カバー収納部を設けておくことが望ましい。
【0018】
表カバーの芯材を利用して開け閉めがし易いものにするためには、前記裏カバー内にも芯材が配置されていることが好ましい。
【0019】
利用者がノートパソコンを使い易くするためには、前記裏カバーの外面に、扁平に折りたたんだ状態から展開することによってパソコン本体を傾斜状態で支持するスタンドを付帯させていることが好ましい。
【0020】
ノートパソコンに周辺機器を接続し易くするためには、前記表カバーと前記裏カバーはファスナによって開閉可能とされ、ファスナを構成する裏カバー側のエレメントは、ファスナを開いた状態でノートパソコンの側面に設けられた周辺機器接続部よりも低い位置に配されていることが好ましい。
【0021】
ノートパソコンやファスナを保護しつつ、ノートパソコンに周辺機器を接続し易くするためには、前記ファスナの内側に、柔軟性のある起立壁がファスナに沿ってパソコン本体を囲むように配置されることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、以上説明した構成であるから、ノートパソコンを開いても邪魔にならないようにノートパソコンに適切に付帯する機能をカバーに付与することによって、携帯先でカバーを直ぐに開いて使用環境を整えられる、使い勝手に優れたノートパソコン用カバーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態に係るノートパソコンカバーをノートパソコンとともに開いた状態で示す斜視図。
【
図2】
図1のノートパソコンカバーを開いた状態で示す正面図。
【
図3】
図1のノートパソコンカバーを閉じた状態で示す平面図。
【
図4】
図1のノートパソコンカバーを閉じた状態で示す正面図。
【
図5】
図1のノートパソコンカバーを閉じた状態で示す裏面図。
【
図6】
図1のノートパソコンカバーを構成する表カバーと裏カバーの部分断面図。
【
図7】
図1のノートパソコンカバーの開きを規制する規制部を示す後方部分拡大斜視図。
【
図8】
図7の状態から表カバーを開いた状態を示す後方部分拡大斜視図。
【
図9】
図1のノートパソコンカバーに収容されたノートパソコンの周辺機器接続部と周辺機器接続ケーブルの関係を比較例とともに示す図。
【
図10】
図2の付箋ボードを引き出した状態を示す正面図。
【
図12】
図1のノートパソコンカバーに付帯するスタンドの説明図。
【
図13】
図1のノートパソコンカバーの使用状態を示す図。
【
図14】本発明の規制部を備えたノートパソコンカバーの変形例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0025】
図1~
図5に示す本実施形態のノートパソコンカバーCは、ノートパソコンPを収容するためのものである。
図1に示すノートパソコンPは、キーボードが配置されるパソコン本体部Paに画面部Pbが開閉可能に接続されている。ノートパソコンカバーCは、ノートパソコンPのサイズに応じて構成され、ノートパソコンPを開いたときに画面部Pb側に付帯する表カバー1、及びパソコン本体部Pa側に付帯する裏カバー2を備えている。
【0026】
表カバー1は、略矩形状のもので、
図6に示すように内部にクッション材11及び芯材12を内包した状態で表地13と裏地14の縁部同士がファスナ3を構成するテープ31の縁部とともに縫合帯15で束ねた状態で縫い合わされている。テープ31にはファスナ3を構成するエレメント31aが設けられ、エレメント31aは
図2に示すように表カバー1の周縁に沿って配置されている。前述した縫合帯15は、
図1、
図2及び
図6に示すようにエレメント31aの内側において柔軟性のある起立壁15として存在し、この起立壁15が画面部Pbの周囲を包囲する位置に配置されている。
【0027】
裏カバー2も、表カバー1に対応して略矩形状のもので、
図6に示すように内部にクッション材21及び芯材22を内包した状態で表地23と裏地24の縁部同士がファスナ3を構成するテープ32とともに縫合帯25で束ねた状態で縫い合わされている。テープ32にはファスナ3を構成するエレメント32aが設けられ、エレメント32aは
図2に示すように裏カバー2の周縁に沿って配置されている。前述した縫合帯25は、
図1、
図2及び
図6に示すようにエレメント32aの内側において
図2等に示すように柔軟性のある起立壁25として存在し、この起立壁25がパソコン本体Paの周囲を包囲する位置に配置されている。
【0028】
この実施形態では、芯材12、22は例えばクッション材11、21よりも薄肉な樹脂シートによって構成されている。
【0029】
表カバー1と裏カバー2は、
図1及び
図7等に示すように、ノートパソコンカバーCの開き元である背部c3側及び側部c2の一部において接続部4によって開閉可能に接続されている。接続部4は強度のある素材、例えば布地によって構成されたもので、
図6に示した表カバー1を構成する表地13及び裏地14の縁部、裏カバー2を構成する表地23及び裏地24の縁部とともに図示しない縫合帯によって縫い込まれている。接続部4はノートパソコンカバーCのマチを構成する。
図8に示すようにノートパソコンカバーCを開くと、表カバー1の裏地14と裏カバー2の裏地24の間が接続部4で閉止されている。
【0030】
そして、
図7等に示すように、表カバー1のエレメント31aと裏カバー2のエレメント32aに取手33aを有するスライダ33を係合させることによって、表カバー1と裏カバー2を開閉可能とするファスナ3を構成している。
【0031】
図3に示すように、スライダ33は一対に設けられ、両スライダ33、33がノートパソコンカバーCの前部c1で突き合った状態で表カバー1と裏カバー2が閉止状態とされる。そして、そこからスライダ33、33が前部c1に沿って図中矢印Vに示すように互いに離れる方向に移動し、更にノートパソコンカバーCの側部c2に回り込んで移動することで、表カバー1と裏カバー2のあいだを開くことができるように構成されている。
【0032】
図3及び
図7に示すように、接続部4は、ノートパソコンカバーCの背部c3の全域に位置する背部接続部41と、ノートパソコンカバーCの側部c2の一部に位置する側部接続部42とによって構成され、ノートパソコンカバーCの背部c3の全域及び側部c2の一部に亘る領域Aにおいて表カバー1と裏カバー2を接続している。これに伴い、ファスナ3を構成するスライダ33の開き方向の移動終端位置Nは、ノートパソコンカバーCの背部c3近くの側部c2において、表カバー1と裏カバー2のエレメント31a、32aの終端同士をストッパSTで連結することによって構成されている。すなわち、
図7に示すようにスライダ33を矢印V方向に開いたときに、スライダ33が側部c2から背部c3に回り込む手前で動作端に到達するように構成されている。
【0033】
これによって、表カバー1を裏カバー2に対して
図8に矢印Xで示すように開こうとすると、ファスナ3の移動終端位置Nや側部接続部42の存在によって一定角度を越えて開く動作に規制が加えられる。ここで一定角度とは、ハードカバーであれば90°~130°程度の間にあることが好ましく、100°~120°の間にあることがより好ましいが、本実施形態のノートパソコンカバーCはソフトカバーであるため、80°あたりから徐々に開きにくくなるものの、表カバー1や裏カバー2、接続部4等の若干の変形を伴いつつ、
図1に示すように100°~120°あたりまで開くことが許容されている。勿論、この角度は移動終端位置Nや接続部4の領域Aの設定次第で異ならせることができる。
【0034】
すなわち、ファスナ3と表カバー1と裏カバー2の開き元である背部c3との間にファスナ3を利用して、また側部接続部42によって、表カバー1と裏カバー2が一定角度を越えて開く動作に規制を加える規制部5が構成されている。
【0035】
本実施形態では
図6に示したようにファスナ3の内周側に起立壁15、25が存するため、
図7に示すように、スライダ33を開き方向(図中V方向)に移動させる際には、起立壁15、25が矢印v1に示すように相離れる方向に開きながら、その外周位をファスナのスライダ33がエレメント31a、32a同士の噛み合わせを解除しつつ通過するように構成されている。
【0036】
また、スライダ33を閉止方向(図中矢印W方向)に移動させる際には、起立壁15、25が矢印w1に示すように相寄る方向に開きながら、その外周位をファスナ3のスライダ33がエレメント31a、32a同士を噛み合わせつつ通過するように構成されている。
【0037】
ファスナ3を開いた状態で、ファスナ3を構成する裏カバー2側のエレメント32aや起立壁25は、
図9(a)に示すようにノートパソコンPの側面に設けられた周辺機器接続部PSよりも低くなるように設けられている。
【0038】
また、本実施形態のノートパソコンカバーCは、スケジュール管理等の便のために、
図1、
図2及び
図10等に示すように、表カバー1の内側に付箋Tを取り付けることのできる付箋ボード6を配置している。
【0039】
具体的には、付箋ボード6は例えばポリプロピレン等の樹脂素材によって構成されている。一方、表カバー1は
図6に示すように、表地13と裏地14の間に付箋ボード収納部Sを有し、この付箋ボード収納部Sに付箋ボード6の一部を収容している。この付箋ボードは、
図10に示すように表カバー1の内面に設けたスリット状の開口OPを介して一部が付箋ボード収納部Sに差し込まれている。
【0040】
付箋ボード収納部S内には前述した表カバー1内の芯材12も配されていて、付箋ボード6と芯材12との間に、付箋ボードのガイド部71、72が構成されている。具体的には、
図11(a)に示すように、芯材12には一部にスリット12a、12bが設けられて、付箋ボード6をスリット12a、12bに挿し通した
図12(b)の状態で、両スリット12a、12bが付箋ボード6と協働して、付箋ボード6を水平スライド可能に支持するガイド部71、72を構成している。
【0041】
これにより付箋ボード6は、表カバー1に重なった
図2に示す収納位置6(m)と、表カバー1から引き出した
図10に示す引き出し位置6(n)との間で表カバー1の面方向に沿って略水平にスライド動作可能とされている。図では左方向に引き出すように構成されているが、勿論右方向に引き出すように構成されても構わない。
【0042】
図2に基づいて前述の開口OPにおいて、芯材12のスリット12aを表出させるために、表カバー1の裏地14の一部を破砕して、スリット12aよりも一回り大きいスリット表出部14aが形成されている。
【0043】
また、前記ガイド部71、72は、付箋ボード6の引き出し端において付箋ボード6の脱落を防止する抜け止め部としても機能している。付箋ボード6には、
図11に示すようにスリット12a、12bの長手方向に沿って部分的に幅広な係止部61、62が形成されており、付箋ボード6の引き出し端においてこれらの係止部61、62が
図10に示すようにスリット12a、12bまで移動した際にスリット12a、12bと協働して抜け止め部71、72として機能して、それ以上の付箋ボード6の引き出しを規制するように構成されている。
【0044】
図3及び
図6に示した表カバー1の表地13は、撥水性に富んだポリエステル等の下地層13bの上に、撥水性や伸縮性に富んだネオプレーン等の上地層13aを重ねた二層構造になっている。上地層13aは部分的に縦横に下地層13bと縫い合わされて、ノートパソコンPの周辺機器等を収納するポケット状の表カバー収納部16を形成している。
【0045】
図示例では、周辺機器に関するアダプタ収納部16a、マウス収納部16b、イヤホン類収納部16cが、業務に必要な備品に関しては小物収納部16d、付箋収納部16e、ペン収納部16fが、それぞれ設けられている。勿論、収納部の形状や用途には種々の設定が可能であり、利用の仕方も自由である。
【0046】
表カバー1の裏地14は、例えばパイル生地のように手触りの良い生地が採用されている。
【0047】
裏カバー2の外面には、
図5及び
図12(a)に示すように、扁平に折りたたんだ状態でスタンド8を付帯させている。そして、この折りたたんだスタンド8を、
図5、
図12(a)~
図12(b)に示すように谷折り線8a、8bを谷折りしながら可動片8c、8dを紙面手前に起立させ、同時に山折り線8aを紙面手前下方に山折りし、谷折り線8bを谷折りした後、可動片8dを反転させてベース8g(
図12(c)参照)に当接させることによって、山折り線8eを頂部とし可動片8c、8hを斜面とする側面視V字状の状態に展開させることを可能にしている。
【0048】
そして、可動片8dとベース8gが吸着して展開状態を維持すべく、それらの内部の適宜位置にマグネット等が装着されている。勿論、このノートパソコンカバーCにはスタンド8は必ずしも設けなくてもよい。
【0049】
なお、
図2において符号2pで示すものは裏カバー2に設けられてパソコン本体aの2隅に係合する、弾性を有する紐等の係合部であり、符号1pで示すものは表カバー1に設けられて画面部Pbの2隅に係合する、弾性を有する紐等の係合部である。この実施形態は規制部5によって表カバー1の自立性が確保されるが、係合部1pを補助的に使用することを妨げるものではない。
【0050】
次に、この実施形態に係るノートパソコンPの使用方法について説明する。ノートパソコンPを収容している
図3~
図5の状態では、表カバー1と裏カバー2はファスナ3によって閉止されている。このノートパソコンカバーCはブックカバー的にパソコンPをカバーするものであり、表裏のカバー1、2でノートパソコンの厚み方向それぞれ略半分ずつをカバーする程度の薄肉に構成されている。
【0051】
表裏のカバー1、2には
図6に示したように芯材12、22が収容されており、両カバー1、2は
図3等に示したように背部c3等で接続部4において接続されているため、持ち手が無くとも、
図13に示すようにノートパソコンカバーCの背部c3に手指を掛けて簡単に携帯することができる。
【0052】
表カバー1には
図3に示したように表カバー収納部16が設けられ、収容物であるバッテリやマウスその他の周辺機器を収納できるため、これらをノートパソコンPと別々に持ち運ぶ必要がなく、利便性が高いものである。
【0053】
携帯先でノートパソコンPが入ったカバーCを
図3及び
図4に示すように平置きし、一対のスライダ33、33を
図3に矢印Vで示したように互いに離れる方向に終端まで操作すると、ファスナ3が開いてノートパソコンPの小口が表出する。そこで、ノートパソコンPの本体部Paに対して画面部Pbを
図1に示す状態に向かって起立させる操作を行うと、
図8に矢印Xで示したように表カバー1も一緒に開くことができる。
【0054】
このとき、ファスナ3のスライダ33は
図3及び
図8等に示したように規制部5を構成するストッパSTや側部接続部42で止められて背部c3には回り込まないため、それ以上の表カバー1と裏カバー2の開き動作に規制が加えられる。そして、引き続き多少の抵抗を受けながら、画面部Pbの開き操作とともに90°を越えて好みの角度(例えば
図1に示した通常の角度である100°~120°程度)に表カバー1を開くことができる。ハードカバーであれば、規制が掛かった位置でそれ以上の角度開かないように構成することもできる。
【0055】
表カバー1には
図3に示したように表カバー収納部16が設けられ、収容物であるバッテリやマウスその他の周辺機器の重量によって表カバー1に負荷が掛かっても、表カバー1に芯材12が設けられ、かつ規制部5によって表カバー1の開き角度が制限されているため、
図1に示すように画面部Pbを開いても表カバー1が画面部Pbから離れて後方に倒れることはなく、また表カバー1が重みにより変形したりシワが寄ったりする不具合が防止され、画面部Pbの背後に適切に付帯した状態が維持される。
【0056】
パソコン本体Paの側部にある
図9(a)の周辺機器接続部PSに例えばUSBケーブル等の周辺機器接続ケーブルUを差し込む際は、ファスナ3を構成する裏カバー2のエレメント32aは起立壁25とともに周辺機器接続部PSよりも低い位置にあり、起立壁25にも柔軟性がもたせてあるため、周辺機器接続ケーブルUをエレメント32a等と干渉せずに周辺機器接続部PSに接続することができる。このため、例えば
図8(b)に示すようにノートパソコンカバーがハードカバーで構成されていてエレメント132aや起立壁125が周辺機器接続部PSよりも高い位置に設けられている場合のように、周辺機器接続ケーブルUがエレメント132aと干渉したり、起立壁125に乗り上げたり、これによって図中想像線で示すようにノートパソコンPが浮き上がるといった不具合を生じることが防止される。そして、
図9(a)に示す状態下にアダプタ等を差し込んだまま使用することができるので、長時間作業を行うことができる。
【0057】
パソコン本体Paのキーボード等を打ちやすくするためには、
図12(b)に示すように裏カバーに付帯しているスタンド8を起こすことによって、裏カバー2を傾斜させ、ノートパソコンPを使いやすい状態に傾斜させることができる。
【0058】
業務にはスケジュール管理等が不可欠である。ノートパソコンPには付箋を貼り付ける場所が殆んどないが、このノートパソコンカバーCには
図1等に示したように付箋ボード6が設けてあり、ノートパソコンPの画面部Pbの裏面側から
図10に矢印で示すように左右方向に付箋ボード6をスライドして出し入れすることができるので、直ぐに付箋Tを使える環境を整えることができる。付箋Tも
図3に示したように表カバー収納部16eに収納してあるので、直ぐに取り出して使用し、使い終わったら直ぐに収納することができる。勿論、バッテリやマウス等の周辺機器の出し入れに関しても同様である。
【0059】
よってこのノートパソコンカバーCは、フリーアドレスの社内における移動先で、また外勤時やテレワーク時の執務場所で、簡単に開いて場所をとらずに直ぐに業務を開始することができる。
【0060】
このノートパソコンカバーCにノートパソコンPを収納する際には、上記と逆の操作をすることによって、直ぐに収納が完了し、場所を移動できる状態になる。
【0061】
以上のように、本実施形態に係るノートパソコンカバーCは、キーボードが配置されるパソコン本体部Paに画面部Pbが開閉可能に接続されたノートパソコンPを収容するためのものであって、ノートパソコンPを開いたときに画面部Pb側に付帯する表カバー1、及びパソコン本体部Pa側に付帯する裏カバー2を備え、表カバー1及び裏カバー2はファスナ3によって開閉可能とされていて、ファスナ3と表カバー1と裏カバー2の開き元である背部c3との間に、表カバー1と裏カバー2が一定角度を越えて開く動作に規制を加える規制部5を設けていることを特徴とする。
【0062】
このようにすれば、ノートパソコンPを開いても表カバー1を画面部Pbの背後に付帯させておくことができるので、表カバー1が画面部Pbの後方に倒れて見栄えを損ねたり、机上の場所をとる等の不都合が防止され、ノートパソコンPを閉じる際も表カバー1が画面部Pbの閉じる動作に追従するため、閉じ易いものになる。そして、必ずしも係合部1pを画面部Pbに引っ掛ける必要がないため、画面部Pbの視認性を妨げず、規制部5自体が外観に現れないので、ノートパソコンPの外観や機能を棄損することも回避することができる。
【0063】
また、規制部5は、ファスナ3を構成するスライダ33aの開き方向の移動終端位置Nを表カバー1と裏カバー2の開き元である背部c3近くの側部c2に設定することによって実現しているため、ファスナ3を設ける範囲を限定するだけで規制部5を構成することができる。
【0064】
また本実施形態は、キーボードが配置されるパソコン本体部Paに画面部Pbが開閉可能に接続されたノートパソコンPを収容するにあたり、ノートパソコンPを開いたときに画面部Pb側に付帯する表カバー1、及びパソコン本体部Pa側に付帯する裏カバー2を備え、表カバー1及び裏カバー2は接続部4において開閉可能に接続され、接続部4が、表カバー1及び裏カバー2の背部c3、及び側部c2の一部に亘って形成されることで、表カバー1と裏カバー2が一定角度を越えて開く動作に規制を加える規制部5を設けている。
このようにすれば、ファスナ3による規制部5の機能を補強することができる。
【0065】
また、表カバー1は更に、ノートパソコンPの画面部Pbに係合する係合部1pを備えているので、規制部5の機能を補助することができ、特に表カバー収納部16に収納する物品が重い場合などに有効となる。
【0066】
また、表カバー1内には芯材12が配置されており、表カバー1の保形性が向上するので、表カバー1の一部を規制部5で規制するだけで、規制の効果を表カバー1全体に及ぼすことができる。
【0067】
また、表カバー1は更に、少なくともノートパソコンPの周辺機器を収容する表カバー収納部16を有しているが、表カバー1内に芯材12が配置されることで、表カバー1を柔らかい素材で作っても、ノートパソコンPの周辺機器を表カバー収納部16に収容することで表カバー1に負荷が掛かっても、表カバー1の形状が適切に維持されるものとなる。
【0068】
また、裏カバー2内にも芯材22が配置されているため、表カバー1と裏カバー2の開け閉めがし易いものとなる。
【0069】
また、裏カバー2の外面に、扁平に折りたたんだ状態から展開することによってパソコン本体Paを傾斜状態で支持するスタンド8を付帯させているので、ノートパソコンP自体に角度調整機能がない場合にも、ノートパソコンカバーCによってその機能を補完することができる。
【0070】
また、表カバー1と裏カバー2はファスナ3によって開閉可能とされ、ファスナ3を構成する裏カバー2側のエレメント32aは、ファスナ3を開いた状態でノートパソコンPの側面に設けられた周辺機器接続部PSよりも低い位置に配されているので、周辺機器を接続する際に周辺機器接続ケーブルUがエレメント32aと干渉したり、ノートパソコンPaが浮き上がるような不適切な状態となることを防止することができる。
【0071】
また、ファスナ3の内側には、柔軟性のある起立壁25がファスナ3に沿ってパソコン本体Paを囲むように配置されるので、スムーズなファスナ3の開閉動作を実現しつつ、起立壁25がエレメント32aと干渉したり、ノートパソコンPが浮き上がるような不適切な状態となることをここでも防止することができる。
【0072】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0073】
例えば、上記実施形態ではファスナ3の終端にストッパSTを設けることによってファスナ終端位置Nを構成し、またノートパソコンカバーCの表カバー1と裏カバー2を接続する接続部4に側部接続部42を設けることによって、表カバー1の開き方向の規制を行う規制部5としたが、
図14に示すように、表カバー101と裏カバー102をベルト103等で止めるタイプのノートパソコンカバーCであっても、側部接続部142を設けておくとによって同様に、表カバー1の開き方向の規制を行う規制部5の機能を備えることができる。
【0074】
また、上記実施形態ではファスナを構成するスライダが一対に設けられていたが、1個のスライダで一方の側部から他方の側部まで移動してファスナを開閉するように構成した場合にも、本発明を適用することによって同様の作用効果が奏される。
【0075】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0076】
1…表カバー
2…裏カバー
3…ファスナ
4…接続部
5…規制部
8…スタンド
12…芯材(表カバー側)
16…表カバー収納部
22…芯材(裏カバー側)
25…起立壁(裏カバー側)
32a…エレメント(裏カバー側)
33a…スライダ
C…ノートパソコンカバー
c2…側部
c3…背部
N…移動終端位置
Pa…パソコン本体部
Pb…画面部
PS…周辺機器接続部