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特開2022-58065アクチン再編成阻害剤、ファゴサイトーシス阻害剤、該阻害剤を含有するシミ形成抑制剤、並びに該抑制剤を含有する皮膚外用剤
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022058065
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】アクチン再編成阻害剤、ファゴサイトーシス阻害剤、該阻害剤を含有するシミ形成抑制剤、並びに該抑制剤を含有する皮膚外用剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9789 20170101AFI20220404BHJP
   A61K 8/9794 20170101ALI20220404BHJP
   A61K 8/9717 20170101ALI20220404BHJP
   A61K 8/65 20060101ALI20220404BHJP
   A61K 8/64 20060101ALI20220404BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20220404BHJP
   A61Q 19/02 20060101ALI20220404BHJP
   A61K 36/48 20060101ALI20220404BHJP
   A61K 36/886 20060101ALI20220404BHJP
   A61K 36/539 20060101ALI20220404BHJP
   A61K 36/73 20060101ALI20220404BHJP
   A61K 36/185 20060101ALI20220404BHJP
   A61K 36/78 20060101ALI20220404BHJP
   A61K 36/258 20060101ALI20220404BHJP
   A61K 36/53 20060101ALI20220404BHJP
   A61K 36/758 20060101ALI20220404BHJP
   A61K 36/899 20060101ALI20220404BHJP
   A61K 36/77 20060101ALI20220404BHJP
   A61K 36/26 20060101ALI20220404BHJP
   A61K 36/04 20060101ALI20220404BHJP
   A61K 36/736 20060101ALI20220404BHJP
   A61K 36/61 20060101ALI20220404BHJP
   A61K 36/28 20060101ALI20220404BHJP
   A61K 36/74 20060101ALI20220404BHJP
   A61K 36/54 20060101ALI20220404BHJP
   A61K 36/65 20060101ALI20220404BHJP
   A61K 38/01 20060101ALI20220404BHJP
   A61K 38/02 20060101ALI20220404BHJP
   A61K 38/10 20060101ALI20220404BHJP
   A61K 31/70 20060101ALI20220404BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220404BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61K8/9794
A61K8/9717
A61K8/65
A61K8/64
A61K8/60
A61Q19/02
A61K36/48
A61K36/886
A61K36/539
A61K36/73
A61K36/185
A61K36/78
A61K36/258
A61K36/53
A61K36/758
A61K36/899
A61K36/77
A61K36/26
A61K36/04
A61K36/736
A61K36/61
A61K36/28
A61K36/74
A61K36/54
A61K36/65
A61K38/01
A61K38/02
A61K38/10
A61K31/70
A61P43/00 111
A61P17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2020175651
(22)【出願日】2020-09-30
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】399091120
【氏名又は名称】株式会社ピカソ美化学研究所
(72)【発明者】
【氏名】中橋 浩
(72)【発明者】
【氏名】藤江 建志
【テーマコード(参考)】
4C083
4C084
4C086
4C088
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AD201
4C083AD411
4C083AD441
4C083BB51
4C083CC02
4C083EE16
4C084AA01
4C084AA02
4C084BA18
4C084BA43
4C084BA44
4C084CA14
4C084CA22
4C084CA59
4C084DA40
4C084NA14
4C084ZA89
4C084ZC41
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA01
4C086MA63
4C086NA14
4C086ZA89
4C086ZC41
4C088AA14
4C088AB12
4C088AB14
4C088AB18
4C088AB26
4C088AB33
4C088AB38
4C088AB47
4C088AB51
4C088AB52
4C088AB57
4C088AB58
4C088AB59
4C088AB62
4C088AB66
4C088AB76
4C088AB86
4C088AC01
4C088BA08
4C088CA03
4C088MA63
4C088NA14
4C088ZA89
4C088ZC41
(57)【要約】
【課題】表皮角化細胞に線維芽細胞の順化培地を接触させ、該表皮角化細胞のアクチン再編成およびファゴサイトーシスの誘導を阻害するアクチン再編成阻害剤、ファゴサイトーシス阻害剤の提供。また、前記阻害剤を含有するシミ形成抑制剤、並びに前記抑制剤を含有する皮膚外用剤を提供。
【解決手段】表皮角化細胞に線維芽細胞の順化培地を接触させ、該表皮角化細胞のアクチン再編成およびファゴサイトーシスの誘導を阻害する阻害剤であって、特定の植物抽出物や特定の化合物を有効成分として含有する。また、前記阻害剤からなるシミ形成抑制剤、並びに前記抑制剤を含有する皮膚外用剤とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表皮角化細胞に線維芽細胞の順化培地を接触させ、該表皮角化細胞のアクチンが再編成することを阻害する阻害剤であって、ルイボス抽出物、アロエ抽出物、オウゴン抽出物、キイチゴ抽出物、キウイ抽出物、ドクダミ抽出物、オタネニンジン抽出物、ヒキオコシ抽出物、ビワ抽出物、モモ抽出物、ユキノシタ抽出物、サンショウ抽出物、竹酢抽出物、レイシ抽出物、ウスバサイシン抽出物、加水分解コムギタンパク、ゴレンシ抽出物、ホップ抽出物、紅藻抽出物、ソメイヨシノ抽出物、フトモモ抽出物、キバナオランダセンニチ抽出物、ケラチン、アセンヤク抽出物、カシア樹皮抽出物、オリゴペプチド-20、異性化糖、ボタン抽出物、ライチ抽出物、ハス抽出物、ブリンガラージ抽出物、ピテセロビウム抽出物から選択される1種又は2種以上を有効成分として含有することを特徴とするアクチン再編成阻害剤。
【請求項2】
請求項1に記載のアクチン再編成阻害剤を含有することを特徴とするシミ形成抑制剤。
【請求項3】
表皮角化細胞に線維芽細胞の順化培地を接触させ、該表皮角化細胞のアクチンが再編成することを阻害する阻害剤であって、ルイボス抽出物、アロエ抽出物、オウゴン抽出物、キイチゴ抽出物、キウイ抽出物、ドクダミ抽出物、オタネニンジン抽出物、ヒキオコシ抽出物、ビワ抽出物、モモ抽出物、ユキノシタ抽出物、サンショウ抽出物、竹酢抽出物、レイシ抽出物、ウスバサイシン抽出物、加水分解コムギタンパク、ゴレンシ抽出物、ホップ抽出物、紅藻抽出物、ソメイヨシノ抽出物、フトモモ抽出物、キバナオランダセンニチ抽出物、ケラチン、アセンヤク抽出物、カシア樹皮抽出物、オリゴペプチド-20、異性化糖、ボタン抽出物、ライチ抽出物、ハス抽出物、ブリンガラージ抽出物、ピテセロビウム抽出物から選択される1種又は2種以上を有効成分として含有することを特徴とするファゴサイトーシス阻害剤。
【請求項4】
請求項3に記載のファゴサイトーシス阻害剤を含有することを特徴とするシミ形成抑制剤。
【請求項5】
請求項2又は請求項4に記載のシミ形成抑制剤を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規アクチン再編成阻害剤、ファゴサイトーシス阻害剤、該阻害剤を含有するシミ形成抑制剤、並びに該抑制剤を含有する皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
年齢とともに現れる色素性斑点(日光黒子)は、特に女性にとって肌の美しさにおいて重要な課題である。UVB誘発の色素沈着過剰症(UVBメラノーシス)は、UVB曝露後2週間から数か月以内に消失する。一方、日光黒子は日光にさらされた皮膚、特に顔に発生し、病変の表皮に繰り返しUVB照射を行うことによる表皮角化細胞のDNA損傷の可能性があるため、消えることはない。実際、個人のUV曝露の履歴が日光黒子の出現の原因であることが知られている(例えば、非特許文献1を参照)。したがって、日光黒子の予防と改善は、化粧品、特にアジアと白人の女性にとって重要な課題である。
【0003】
日光黒子の組織学的特徴として、基底膜の破壊および発達した網状隆起による表皮の厚さの増加などが報告されている(例えば、非特許文献2および非特許文献3を参照)。さらに、色素細胞特異的マーカーMART-1を使用した免疫組織化学的分析により、日光黒子(老人性色素班)中の色素細胞数の増加が明らかとなっている(例えば、非特許文献4を参照)。また、チロシナーゼ抗体を使用すると、日光黒子の病変表皮でチロシナーゼ陽性色素細胞が2倍に大幅に増加することが明らかとなっている(例えば、非特許文献5を参照)。
【0004】
UV照射によって開始される色素沈着スポットの基になるメカニズムは、色素細胞のメラニン形成の増強と隣接する表皮角化細胞へのメラノソームの移動に大別される。メラニン形成の増強については、表皮角化細胞から産生されるエンドセリン-1や顆粒球単球コロニー刺激因子などの様々なサイトカインが色素細胞に作用し、メラニン形成を促進することが報告されている(例えば、非特許文献6および非特許文献7を参照)。基底膜の破壊は、色素細胞と表皮角化細胞の間だけでなく、真皮と表皮の間のクロストークを促進することが期待されている。実際、いくつかの研究では、日光黒子の開始と維持に対する線維芽細胞の寄与が強調されている(例えば、非特許文献8を参照)。
【0005】
一方、メラノソームの転移については、表皮角化細胞のToll様受容体3の活性化により、Rhoファミリーの活性化を介してメラノソームのファゴサイトーシスが促進されることが報告されている(例えば、非特許文献9を参照)。また、表皮角化細胞増殖因子/表皮角化細胞増殖因子受容体などのその他因子の作用も報告されている(例えば、非特許文献10を参照)。
【0006】
色素細胞から表皮角化細胞へのメラノソームの移動を阻害することによるシミ形成抑制作用が知られている。この際、表皮角化細胞がファゴサイトーシス(貪食作用)によりメラノソームを取り込むことが報告されている。また、前記表皮角化細胞によるファゴサイトーシスは、不飽和脂肪酸誘導体を含有するシソ科メリッサ属に属する植物より得られる植物抽出物により抑制されることが知られている(例えば、特許文献1を参照)。しかしながら、表皮角化細胞に線維芽細胞の順化培地を接触させ、該表皮角化細胞のアクチン再編成およびファゴサイトーシスを誘導する作用機序について全く知られていない。また、該作用機序を抑制するアクチン再編成阻害剤、ファゴサイトーシス阻害剤、これらの阻害剤を含有するシミ形成抑制剤についても全く知られていない。ましてや、特定の植物抽出物や特定の化合物に該抑制剤の作用があることなど全く知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011-68575号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】E.Holzle,Br J Dermatol.,127 Suppl 41,48―50(1992)
【非特許文献2】S.Iriyama,T.Ono,H.Aoki,S.Amano,J Dermatol Sci.,64(3),223-228(2011)
【非特許文献3】H.Hattori,M.Kawashima,Y.Ichikawa,G.Imokawa,J Invest Dermatol.,122(5),1256-65(2004)
【非特許文献4】W.Choi,L.Yin,C.Smuda,J.Batzer,V.J.Hearing,L.Kolbe,Exp Dermatol.,26(3),242-248(2017)
【非特許文献5】S.Kadono,I.Manaka,M.Kawashima,T.Kobayashi,G.Imokawa,J Invest Dermatol.,116(4),571-7(2001)
【非特許文献6】G.Imokawa,M.Miyagishi,Y.Yada,J Invest Dermatol.,105(1),32-7(1995)
【非特許文献7】G.Imokawa,Y.Yada,M.Kimura,N.Morisaki,Biochem J.,313(2):625-31(1996)
【非特許文献8】N.Chen,Y.Hu,W.H.Li,M.Eisinger,M.Seiberg,C.B.Lin,Exp Dermatol.,19(10),865-72(2010)
【非特許文献9】S.Koike,K.Yamasaki,T.Yamauchi,R.Shimada-Omori,K.Tsuchiyama,H.Ando,S.Aiba,J Dermatol Sci.96(3),168-177(2019)
【非特許文献10】G.Cardinali,S.Ceccarelli,D.Kovacs,N.Aspite,L.V.Lotti,M.R.Torrisi,M.Picardo,J.Invest.Dermatol.125,1190-1199(2005)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明は、表皮角化細胞に線維芽細胞の順化培地を接触させ、該表皮角化細胞のアクチン再編成およびファゴサイトーシスの誘導を阻害するアクチン再編成阻害剤、ファゴサイトーシス阻害剤を提供することにある。また、本発明は、上記阻害剤を含有するシミ形成抑制剤、並びに上記抑制剤を含有する皮膚外用剤を提供することにある。
【0010】
この様な実情に鑑みて、本発明者らは、表皮角化細胞に線維芽細胞の順化培地を接触させた後のシミ形成の発生を予防又は改善する方法を求め、鋭意努力を重ねた結果、ルイボス抽出物、アロエ抽出物、オウゴン抽出物、キイチゴ抽出物、キウイ抽出物、ドクダミ抽出物、オタネニンジン抽出物、ヒキオコシ抽出物、ビワ抽出物、モモ抽出物、ユキノシタ抽出物、サンショウ抽出物、竹酢抽出物、レイシ抽出物、ウスバサイシン抽出物、加水分解コムギタンパク、ゴレンシ抽出物、ホップ抽出物、紅藻抽出物、ソメイヨシノ抽出物、フトモモ抽出物、キバナオランダセンニチ抽出物、ケラチン、アセンヤク抽出物、カシア樹皮抽出物、オリゴペプチド-20、異性化糖、ボタン抽出物、ライチ抽出物、ハス抽出物、ブリンガラージ抽出物、ピテセロビウム抽出物に、シミ形成の予防又は改善に直結する要因である、アクチン再編成阻害作用、ファゴサイトーシス阻害作用を見出し、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は以下に示す通りである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、本発明は、
(1)表皮角化細胞に線維芽細胞の順化培地を接触させ、該表皮角化細胞のアクチンが再編成することを阻害する阻害剤であって、ルイボス抽出物、アロエ抽出物、オウゴン抽出物、キイチゴ抽出物、キウイ抽出物、ドクダミ抽出物、オタネニンジン抽出物、ヒキオコシ抽出物、ビワ抽出物、モモ抽出物、ユキノシタ抽出物、サンショウ抽出物、竹酢抽出物、レイシ抽出物、ウスバサイシン抽出物、加水分解コムギタンパク、ゴレンシ抽出物、ホップ抽出物、紅藻抽出物、ソメイヨシノ抽出物、フトモモ抽出物、キバナオランダセンニチ抽出物、ケラチン、アセンヤク抽出物、カシア樹皮抽出物、オリゴペプチド-20、異性化糖、ボタン抽出物、ライチ抽出物、ハス抽出物、ブリンガラージ抽出物、ピテセロビウム抽出物から選択される1種又は2種以上を有効成分として含有することを特徴とするアクチン再編成阻害剤、
(2)上記(1)に記載のアクチン再編成阻害剤を含有することを特徴とするシミ形成抑制剤、
(3)表皮角化細胞に線維芽細胞の順化培地を接触させ、該表皮角化細胞のファゴサイトーシスを阻害する阻害剤であって、ルイボス抽出物、アロエ抽出物、オウゴン抽出物、キイチゴ抽出物、キウイ抽出物、ドクダミ抽出物、オタネニンジン抽出物、ヒキオコシ抽出物、ビワ抽出物、モモ抽出物、ユキノシタ抽出物、サンショウ抽出物、竹酢抽出物、レイシ抽出物、ウスバサイシン抽出物、加水分解コムギタンパク、ゴレンシ抽出物、ホップ抽出物、紅藻抽出物、ソメイヨシノ抽出物、フトモモ抽出物、キバナオランダセンニチ抽出物、ケラチン、アセンヤク抽出物、カシア樹皮抽出物、オリゴペプチド-20、異性化糖、ボタン抽出物、ライチ抽出物、ハス抽出物、ブリンガラージ抽出物、ピテセロビウム抽出物から選択される1種又は2種以上を有効成分として含有することを特徴とするファゴサイトーシス阻害剤、
(4)上記(3)に記載のファゴサイトーシス阻害剤を含有することを特徴とするシミ形成抑制剤、
(5)(2)又は(4)に記載のシミ形成抑制剤を含有することを特徴とする皮膚外用剤、
に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の有効成分である特定の植物抽出物や特定の化合物は、表皮角化細胞に線維芽細胞の順化培地を接触させた後の該表皮角化細胞のアクチン再編成およびファゴサイトーシス誘導に対して格段に優れた阻害効果を有しており、該阻害効果がシミ形成抑制に対して有効に作用するという格段に優れた効果を発揮する。
【0013】
また、シミの形成に関与するアクチン再編成およびファゴサイトーシス誘導に対して格段に優れた阻害効果を発揮することから、シミをつくらない美白剤などの皮膚外用剤として好適に用いることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】 (a)は、試験例1において、正常ヒト表皮角化細胞に正常ヒト線維芽細胞からの順化培地を接触させずに合成メラニンを投与した細胞群を示す図面代用写真である。(b)は、試験例1において、正常ヒト表皮角化細胞に正常ヒト線維芽細胞からの順化培地を接触させて合成メラニンを投与した細胞群を示す図面代用写真である。なお、本明細書の図面において、上記正常ヒト表皮角化細胞を「NHEK」と略記する。因みに、「NHEK」とは、Normal Human Epidermal Keratinocytesの略である。
図2】 (a)は、試験例2において、正常ヒト表皮角化細胞に正常ヒト線維芽細胞からの順化培地を接触させずに蛍光ビーズを投与した細胞群を示す図面代用写真である。(b)は、試験例2において、正常ヒト表皮角化細胞に正常ヒト線維芽細胞からの順化培地を接触させて蛍光ビーズを投与した細胞群を示す図面代用写真である。
図3】 試験例3において、正常ヒト表皮角化細胞に正常ヒト線維芽細胞からの順化培地を接触させるか否かによる蛍光強度の差を示すグラフである。
図4】 (a)は、試験例4において、正常ヒト表皮角化細胞に正常ヒト線維芽細胞からの順化培地を接触させずに、染色させた図面代用写真である。(b)は、試験例4において、正常ヒト表皮角化細胞に正常ヒト線維芽細胞からの順化培地を2時間接触させて染色させた図面代用写真である。(c)は、試験例4において、正常ヒト表皮角化細胞に正常ヒト線維芽細胞からの順化培地を4時間接触させて染色させた図面代用写真である。(d)は、試験例4において、正常ヒト表皮角化細胞に正常ヒト線維芽細胞からの順化培地を6時間接触させて染色させた図面代用写真である。
図5】 試験例5において、BAPTA-AM(キレート剤)がファゴサイトーシスを阻害したことを示すグラフである。
図6】 試験例6において、Cytochalasin D(アクチン重合阻害剤)がファゴサイトーシスを阻害したことを示すグラフである。
図7】 試験例7において、ルイボス抽出物又はアロエ抽出物におけるファゴサイトーシスを阻害したことを示すグラフである。
図8】 試験例8において、オウゴン抽出物がファゴサイトーシスを阻害したことを示すグラフである。
図9】 試験例9において、キイチゴ抽出物又はキウイ抽出物におけるファゴサイトーシスを阻害したことを示すグラフである。
図10】 試験例10において、ドクダミ抽出物又はオタネニンジン抽出物におけるファゴサイトーシスを阻害したことを示すグラフである。
図11】 試験例11において、ヒキオコシ抽出物又はビワ抽出物におけるファゴサイトーシスを阻害したことを示すグラフである。
図12】 試験例12において、モモ抽出物又はユキノシタ抽出物におけるファゴサイトーシスを阻害したことを示すグラフである。
図13】 試験例13において、サンショウ抽出物、竹酢抽出物又はレイシ抽出物におけるファゴサイトーシスを阻害したことを示すグラフである。
図14】 試験例14において、ウスバサイシン抽出物がファゴサイトーシスを阻害したことを示すグラフである。
図15】 試験例15において、加水分解コムギタンパクがファゴサイトーシスを阻害したことを示すグラフである。
図16】 試験例16において、ゴレンシ抽出物がファゴサイトーシスを阻害したことを示すグラフである。
図17】 試験例17において、ホップ抽出物がファゴサイトーシスを阻害したことを示すグラフである。
図18】 試験例18において、紅藻抽出物がファゴサイトーシスを阻害したことを示すグラフである。
図19】 試験例19において、ソメイヨシノ抽出物又はフトモモ抽出物におけるファゴサイトーシスを阻害したことを示すグラフである。
図20】 試験例20において、キバナオランダセンニチ抽出物がファゴサイトーシスを阻害したことを示すグラフである。
図21】 試験例21において、ケラチンがファゴサイトーシスを阻害したことを示すグラフである。
図22】 試験例22において、アセンヤク抽出物又はカシア樹皮抽出物におけるファゴサイトーシスを阻害したことを示すグラフである。
図23】 試験例23において、オリゴペプチド-20がファゴサイトーシスを阻害したことを示すグラフである。
図24】 試験例24において、異性化糖がファゴサイトーシスを阻害したことを示すグラフである。
図25】 試験例25において、ボタン抽出物がファゴサイトーシスを阻害したことを示すグラフである。
図26】 試験例26において、ライチ抽出物がファゴサイトーシスを阻害したことを示すグラフである。
図27】 試験例27において、ハス抽出物、ブリンガラージ抽出物又はピテセロビウム抽出物におけるファゴサイトーシスを阻害したことを示すグラフである。
図28】 試験例28において、アルブチン、ニコチン酸アミド又はコウジ酸がファゴサイトーシスを抑制できなかったことを示すグラフである。
図29】 試験例29において、ハトムギ抽出物がファゴサイトーシスを阻害できなかったことを示すグラフである。
図30】 試験例30において、ヒバマタ抽出物又はゲットウ抽出物がファゴサイトーシスを阻害できなかったことを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0016】
本発明のアクチン再編成およびファゴサイトーシスの誘導を阻害する阻害剤、該阻害剤からなるシミ形成抑制剤、並びに該抑制剤を含有する皮膚外用剤は、特定の植物抽出物や特定の化合物を有効成分として含有するものである。
【0017】
〔アクチン再編成阻害〕
本発明者らは、表皮角化細胞に線維芽細胞からの馴化培地を接触させた場合、表皮角化細胞におけるアクチン再編成が誘導されることを見出した。さらに、本発明者らは、線維芽細胞からの馴化培地の接触によって誘導されるアクチン再編成が、アクチン再編成阻害剤によって阻害されることと、アクチン再編成阻害剤によるファゴサイトーシス阻害作用の発現とに相関性があることを見出した。本発明は、これらの知見に基づくものである。
【0018】
本発明におけるアクチン再編成阻害とは、表皮角化細胞に線維芽細胞からの順化培地を接触させることにより誘導されるアクチン再編成を阻害することを特徴とする。
【0019】
上記表皮角化細胞としては、例えば、ヒト又は非ヒト動物由来の何れかの表皮角化細胞が挙げられる。本発明において用いる表皮角化細胞は、ヒト皮膚への塗布を見据え、より精度良く被験物質を評価できる観点から、ヒト表皮角化細胞であることが好ましい。該ヒト表皮角化細胞は、正常ヒト表皮角化細胞であっても、不死化ヒト表皮角化細胞であっても特に限定されないが、アクチン再編成の現象をより的確に捉え、精度良く評価できる観点から、正常ヒト表皮角化細胞を用いることがより好ましい。
【0020】
上記線維芽細胞としては、例えば、ヒト又は非ヒト動物由来の何れかの線維芽細胞が挙げられる。本発明において用いる線維芽細胞は、ヒト皮膚への塗布を見据え、より精度良く被験物質を評価できる観点から、ヒト線維芽細胞であることが好ましい。該ヒト線維芽細胞は、正常ヒト線維芽細胞であっても、不死化ヒト線維芽細胞であっても特に限定されないが、アクチン再編成の現象をより的確に捉え、精度良く評価できる観点から、正常ヒト線維芽細胞を用いることがより好ましい。
【0021】
上記線維芽細胞の順化培地は、例えば、線維芽細胞が58cmシャーレにコンフレントになった状態から新鮮なKB2培地又はDMEM(5%FBS)培地に交換し、12時間から36時間培養した後、上清回収した培地を使用することができる。なお、順化培地は前述の調製方法に限定されるものではない。本発明においては、アクチン再編成の誘導を十分に行う観点から、18時間から30時間培養した後、上清回収した培地を使用することが好ましい。
【0022】
上記表皮角化細胞は、例えば、4チャンバースライドに500~5,000個/cmとなるよう播種することができる。本発明においては、アクチン再編成の誘導を観察し易くする観点から、2,000~4,000個/cmとなるよう播種することが好ましい。
【0023】
上記表皮角化細胞に上記線維芽細胞からの順化培地を接触させる時間は、特に限定されないが、線維芽細胞からの馴化培地の接触によるアクチン再編成の誘導を十分に行う観点から、線維芽細胞からの順化培地を2時間から24時間接触させることが好ましく、4時間から8時間接触させることがより好ましい。
【0024】
本明細書において、「線維芽細胞からの馴化培地の接触によるアクチン再編成の誘導」とは、上記線維芽細胞からの馴化培地による表皮角化細胞への刺激に応答して、該表皮角化細胞におけるアクチン再編成が、上記線維芽細胞からの馴化培地を接触していない表皮角化細胞におけるアクチン再編成と比べてアクチン再編成の誘導現象がより顕著に認められていることをいう。
【0025】
上記線維芽細胞からの馴化培地の接触によるアクチン再編成の誘導は、例えば、表皮角化細胞のアクチン重合を染色させ、蛍光顕微鏡で観察することで確認できる。アクチン重合を染色させることができる試薬は、特に限定されないが、例えば、ローダミンファロイジン、市販のアクチン抗体などが挙げられる。
【0026】
本発明は、表皮角化細胞に線維芽細胞からの馴化培地を接触させることにより、アクチン再編成が誘導される現象を精度良く観察・評価できることから、被験物質のアクチン再編成の阻害作用の有無を的確に評価することができる。すなわち、アクチン再編成阻害剤のスクリーニング方法として好適に用いることができる。
【0027】
〔ファゴサイトーシス阻害〕
本発明者らは、表皮角化細胞に線維芽細胞からの馴化培地を接触させた場合、表皮角化細胞において、上記したアクチン再編成のみならず、アクチン再編成からファゴサイトーシスが誘導されることも見出した。さらに、本発明者らは、線維芽細胞からの馴化培地の接触によって誘導されるファゴサイトーシスが、ファゴサイトーシス阻害剤、アクチン再編成阻害剤によって阻害されることと、ファゴサイトーシス阻害剤、アクチン再編成阻害剤によるシミ形成抑制作用の発現とに相関性があることを見出した。本発明は、これらの知見に基づくものである。
【0028】
上記ファゴサイトーシスとは、表皮角化細胞の食作用、貪食作用などを意味する。本発明におけるファゴサイトーシス阻害とは、表皮角化細胞に線維芽細胞からの順化培地を接触させることにより誘導されるファゴサイトーシスを阻害することを特徴とする。
【0029】
上記表皮角化細胞としては、例えば、ヒト又は非ヒト動物由来の何れかの表皮角化細胞が挙げられる。本発明において用いる表皮角化細胞は、ヒト皮膚への塗布を見据え、より精度良く被験物質を評価できる観点から、ヒト表皮角化細胞であることが好ましい。該ヒト表皮角化細胞は、正常ヒト表皮角化細胞であっても、不死化ヒト表皮角化細胞であっても特に限定されないが、ファゴサイトーシスの現象をより的確に捉え、精度良く評価できる観点から、正常ヒト表皮角化細胞を用いることがより好ましい。
【0030】
上記線維芽細胞としては、例えば、ヒト又は非ヒト動物由来の何れかの線維芽細胞が挙げられる。本発明において用いる線維芽細胞は、ヒト皮膚への塗布を見据え、より精度良く被験物質を評価できる観点から、ヒト線維芽細胞であることが好ましい。該ヒト線維芽細胞は、正常ヒト線維芽細胞であっても、不死化ヒト線維芽細胞であっても特に限定されないが、ファゴサイトーシスの現象をより的確に捉え、精度良く評価できる観点から、正常ヒト線維芽細胞を用いることがより好ましい。
【0031】
上記線維芽細胞の順化培地は、例えば、線維芽細胞が58cmシャーレにコンフレントになった状態から新鮮なKB2培地又はDMEM(5%FBS)培地に交換し、12時間から36時間培養した後、上清回収した培地を使用することができる。なお、順化培地は前述の調製方法に限定されるものではない。本発明においては、ファゴサイトーシスの誘導を十分に行う観点から、18時間から30時間培養した後、上清回収した培地を使用することが好ましい。
【0032】
上記表皮角化細胞は、例えば、96ウェルプレート又は24ウェルプレートに50,000~130,000個/cmとなるよう播種することができる。本発明においては、ファゴサイトーシスの誘導を十分に行う観点から、70,000~110,000個/cmとなるよう播種することが好ましい。
【0033】
上記表皮角化細胞に上記線維芽細胞からの順化培地を接触させる時間は、特に限定されないが、線維芽細胞からの馴化培地の接触によるファゴサイトーシスの誘導を十分に行う観点から、線維芽細胞からの順化培地を2時間から24時間接触させることが好ましく、4時間から8時間接触させることがより好ましい。
【0034】
本明細書において、「線維芽細胞からの馴化培地の接触によるファゴサイトーシスの誘導」とは、上記線維芽細胞からの馴化培地による表皮角化細胞への刺激に応答して、該表皮角化細胞における微粒子の取り込み量が、上記線維芽細胞からの馴化培地を接触していない表皮角化細胞における微粒子の取り込み量と比べて有意に多くなっていることをいう。なお、「有意」とは、t検定のp値が0.05未満、好ましくは0.01未満であることをいう。
【0035】
さらに、本明細書において、「ファゴサイトーシス阻害」とは、細胞生存率が90%以上(順化培地と接触した表皮角化細胞の細胞生存率を100%とした時との対比)であり、かつ、被験物質を含む順化培地を接触させた表皮角化細胞が、被験物質を含まない順化培地を接触させた表皮角化細胞と比べて蛍光強度が50%以下であることをいう。
【0036】
上記微粒子は、例えば、メラノソーム、メラニン又は発色物質などが挙げられる。
【0037】
上記メラノソームは、ヒト又は非ヒト動物由来の何れの色素細胞を用いてもよい。本発明においては、ヒト由来の色素細胞のホモジネートから調製したものを用いることが好ましい。
【0038】
上記メラニンは、天然メラニンであっても、合成メラニンであってもよい。また、市販品の合成メラニンを用いてもよい。用いられるメラニンの量は、96ウェルプレートに1ウェル(0.35cm)中、1μg以上100μg以下であることが好ましい。
【0039】
上記発色物質は、蛍光ビーズを用いることができる。蛍光ビーズである「FluoSpheresTM カルボキシレート修飾ミクロスフェア,0.2μm,青色蛍光(365/415),2%固形分」は、TherrmoFisher Scientific社(米国マサチューセッツ州ウォルサム)から入手することができる。用いられる蛍光ビーズの量は、96ウェルプレートに1ウェル(0.35cm)中、1μg以上100μg以下であることが好ましい。
【0040】
上記線維芽細胞からの馴化培地の接触によるファゴサイトーシスの誘導は、例えば、表皮角化細胞に取り込まれた蛍光ビーズを蛍光プレートリーダーで測定することで評価することができる。
【0041】
本発明は、表皮角化細胞に線維芽細胞からの馴化培地を接触させることにより、ファゴサイトーシスが誘導される現象を精度良く観察・評価できることから、被験物質のファゴサイトーシスの阻害作用の有無を的確に評価することができる。すなわち、ファゴサイトーシス阻害剤のスクリーニング方法として好適に用いることができる。
【0042】
本発明は、上記したとおり、表皮角化細胞に線維芽細胞からの馴化培地を接触させることにより誘導されるアクチン再編成、並びにファゴサイトーシスの現象を精度良く観察・評価できる。すなわち、本発明は、シミの形成に関与するアクチン再編成、並びにファゴサイトーシスの現象を精度良く観察・評価できるものであり、被験物質のアクチン再編成、並びにファゴサイトーシスの阻害作用の有無を的確に確認・評価することができるものである。
【0043】
また、本発明によれば、シミの形成に関与するアクチン再編成およびファゴサイトーシス誘導に対して格段に優れた阻害効果を発揮する阻害剤は、シミ形成抑制剤として有用であり、該抑制剤は、シミをつくらない美白剤などの皮膚外用剤として好適に用いることができるといえる。
【0044】
〔被験物質〕
本発明の阻害剤、抑制剤、外用剤は、特定の植物抽出物や特定の化合物を有効成分として含有するものである。本発明においては、これら特定の植物抽出物や特定の化合物の中でも、格段に優れた阻害効果を奏する観点から、ルイボス抽出物、アロエ抽出物、オウゴン抽出物、キイチゴ抽出物、キウイ抽出物、ドクダミ抽出物、オタネニンジン抽出物、ヒキオコシ抽出物、ビワ抽出物、モモ抽出物、ユキノシタ抽出物、サンショウ抽出物、竹酢抽出物、レイシ抽出物、ウスバサイシン抽出物、加水分解コムギタンパク、ゴレンシ抽出物、ホップ抽出物、紅藻抽出物、ソメイヨシノ抽出物、フトモモ抽出物、キバナオランダセンニチ抽出物、ケラチン、アセンヤク抽出物、カシア樹皮抽出物、オリゴペプチド-20、異性化糖、ボタン抽出物、ライチ抽出物、ハス抽出物、ブリンガラージ抽出物、ピテセロビウム抽出物から選択される1種又は2種以上の抽出物、並びに化合物を有効成分として含有することが好ましい。なお、本発明においては、これら抽出物、並びに化合物を含む混合原料を用いてもよい。
【0045】
本明細書における「抽出物」とは、各天然物などを抽出原料として種々の溶媒で抽出して得られる抽出液、該抽出液の希釈液、該抽出液の濃縮液、該抽出液を乾燥して得られる乾燥物、該抽出液を乾燥して得られる精製物などの何れの形態も包含する。
【0046】
本発明において使用する抽出物、並びに化合物は、ルイボス(学名:Aspalathus Linearis)、アロエ(学名:Aloe)、オウゴン(コガネバナ)(学名:Scutellaria Baicalensis)、キイチゴ(学名:Rubus)、キウイ(学名:Actinidia Chinensis)、ドクダミ(学名:Houttuynia Cordata)、オタネニンジン(学名:Panax Ginseng)、ヒキオコシ(学名:Isodon Japonicus)、ビワ(学名:Eriobotrya Japonica)、モモ(学名:Prunus Persica)、ユキノシタ(学名:Saxifraga Stolonifera)、サンショウ(学名:Zanthoxylum Piperitum)、竹酢、レイシ(学名:Ganodermataceae)、ウスバサイシン(学名:Asarum Sieboldii)、加水分解コムギタンパク、ゴレンシ(学名:Averrhoa Carambola)、ホップ(学名:Humulus Lupulus)、紅藻(学名:Rhodophyta)、ソメイヨシノ(学名:Prunus Yedoensis)、フトモモ(学名:Syzygium Jambos)、キバナオランダセンニチ(学名:Acmella Oleracea)、ケラチン、アセンヤク(ガンビールノキ)(学名:Uncaria Gambir)、カシア樹皮(Cinnamomum Cassia)、オリゴペプチド-20、異性化糖、ボタン(学名:Paeonia Suffruticosa)、ライチ(学名:Litchi Chinensis)、ハス(学名:Nelumbo Nucifera)、ブリンガラージ(タカサブロウ)(学名:Eclipta Prostrata)、ピテセロビウム(学名:Pithecellobium)である。
【0047】
ルイボス(学名:Aspalathus Linearis)は、南アフリカ共和国で栽培されており、この地域から容易に入手可能である。
【0048】
アロエ(学名:Aloe)は、南アフリカ共和国で栽培されており、この地域から容易に入手可能である。
【0049】
オウゴン(コガネバナ)(学名:Scutellaria Baicalensis)は、ロシア、中国、モンゴル、朝鮮半島で栽培されており、これらの地域から容易に入手可能である。
【0050】
キイチゴ(学名:Rubus)は、北半球の寒帯から温帯に多くみられる。これらの地域から容易に入手可能である。
【0051】
キウイ(学名:Actinidia Chinensis)は、イタリア、中国、ニュージーランド、日本で栽培されており、これらの地域から容易に入手可能である。
【0052】
ドクダミ(学名:Houttuynia Cordata)は、日本で栽培されており、この地域から容易に入手可能である。
【0053】
オタネニンジン(学名:Panax Ginseng)は、中国、朝鮮半島で栽培されており、これらの地域から容易に入手可能である。
【0054】
ヒキオコシ(学名:Isodon Japonicus)は、日本で栽培されており、この地域から容易に入手可能である。
【0055】
ビワ(学名:Eriobotrya Japonica)は、中国、日本で栽培されており、これらの地域から容易に入手可能である。
【0056】
モモ(学名:Prunus Persica)は、中国、アメリカ、イタリア、日本で栽培されており、これらの地域から容易に入手可能である。
【0057】
ユキノシタ(学名:Saxifraga Stolonifera)は、中国、日本で栽培されており、これらの地域から容易に入手可能である。
【0058】
サンショウ(学名:Zanthoxylum Piperitum)は、朝鮮半島、日本で栽培されており、これらの地域から容易に入手可能である。
【0059】
竹酢は、竹炭を焼くときに出来る煙を冷却して得られる液体であり、容易に入手可能である。
【0060】
レイシ(霊芝)(学名:Ganodermataceae)は、中国、日本で栽培されており、これらの地域から容易に入手可能である。
【0061】
ウスバサイシン(学名:Asarum Sieboldii)は、中国、朝鮮半島、日本で栽培されており、これらの地域から容易に入手可能である。
【0062】
加水分解コムギタンパクは、小麦たん白を酸、酵素又は他の方法で加水分解して得られるものであり、容易に入手可能である。
【0063】
ゴレンシ(学名:Averrhoa Carambola)は、中国、ブラジル、日本で栽培されており、これらの地域から容易に入手可能である。
【0064】
ホップ(学名:Humulus Lupulus)は、ドイツ、アメリカ、チェコ、イギリス、日本で栽培されており、これらの地域から容易に入手可能である。
【0065】
紅藻(学名:Rhodophyta)は、多くは沿岸域の岩礁に生育し、これらの地域から容易に入手可能である。
【0066】
ソメイヨシノ(学名:Prunus Yedoensis)は、日本で栽培されており、この地域から容易に入手可能である。
【0067】
フトモモ(学名:Syzygium Jambos)は、日本で栽培されており、この地域から容易に入手可能である。
【0068】
キバナオランダセンニチ(学名:Acmella Oleracea)は、日本で栽培されており、この地域から容易に入手可能である。
【0069】
ケラチンは、羊毛から得られるタンパクであり、容易に入手可能である。
【0070】
アセンヤク(ガンビールノキ)(学名:Uncaria Gambir)は、日本で栽培されており、この地域から容易に入手可能である。
【0071】
カシア樹皮(Cinnamomum Cassia)は、中国、インド、インドネシアで栽培されており、これらの地域から容易に入手可能である。
【0072】
オリゴペプチド-20は、アラニン、アルギニン、システイン、グルタミン酸、ロイシン、リシン、メチオニン、プロリン及びチロシンで構成された12個のアミノ酸からなる合成ペプチドであり、容易に入手可能である。
【0073】
異性化糖は、塩基触媒作用により糖類混合物を再配列して作られる炭水化物複合体であり、容易に入手可能である。
【0074】
ボタン(学名:Paeonia Suffruticosa)は、中国、日本で栽培されており、これらの地域から容易に入手可能である。
【0075】
ライチ(学名:Litchi Chinensis)は、中国で栽培されており、この地域から容易に入手可能である。
【0076】
ハス(学名:Nelumbo Nucifera)は、インド、日本で栽培されており、これらの地域から容易に入手可能である。
【0077】
ブリンガラージ(タカサブロウ)(学名:Eclipta Prostrata)は、中国、朝鮮半島、日本で栽培されており、これらの地域から容易に入手可能である。
【0078】
ピテセロビウム(学名:Pithecellobium)は、熱帯域に200種ほどが分化しているマメ科キンキジュ属の高木になる木本植物であり、容易に入手可能である。
【0079】
上記抽出原料として使用可能な部位としては、例えば、葉部、樹皮部、幹部、茎部、根部、花部、果実部、果皮部、種子部、全草又はこれらの部位の混合物などが挙げられる。
【0080】
例えば、上記原料を抽出する場合、乾燥した後、そのまま又は粗砕機を用いて粉砕し、抽出溶媒による抽出に供することにより得ることができる。乾燥は天日で行ってもよいし、通常使用される乾燥機を用いて行ってもよい。また、ヘキサンなどの非極性溶媒によって脱脂などの前処理を施してから抽出原料として使用してもよい。脱脂などの前処理を行うことにより、上記抽出原料の極性溶媒による抽出処理を効率よく行うことができる。
【0081】
抽出溶媒としては、極性溶媒を使用するのが好ましく、例えば、水、親水性有機溶媒などが挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて、室温又は溶媒の沸点以下の温度で使用することが好ましい。
【0082】
抽出溶媒として使用可能な水としては、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水などのほか、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、濾過、イオン交換、浸透圧調整、緩衝化などが含まれる。したがって、本発明において抽出溶媒として使用可能な水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水なども含まれる。
【0083】
抽出溶媒として使用可能な親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコールなどの炭素数1~5の低級脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトンなどの低級脂肪族ケトン;1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの炭素数2~5の多価アルコールなどが挙げられる。
【0084】
抽出処理は、抽出原料に含まれる可溶性成分を抽出溶媒に溶出させることができれば特に限定されず、常法に従って行うことができる。例えば、抽出溶媒に、抽出原料を浸漬し、常温又は還流加熱下で可溶性成分を抽出させた後、濾過して抽出残渣を除去することにより抽出液を得ることができる。得られた抽出液から溶媒を留去するとペースト状の濃縮物が得られ、この濃縮物をさらに乾燥すると乾燥物が得られる。
【0085】
以上のようにして得られる抽出物は、優れたアクチン再編成阻害作用、並びにファゴサイトーシス阻害作用を有しているため、アクチン再編成阻害剤、ファゴサイトーシス阻害剤、該阻害剤からなるシミ形成抑制剤、並びに該抑制剤を含有する皮膚外用剤の有効成分として用いることができる。
【0086】
なお、本発明においては、ルイボス抽出物、アロエ抽出物、オウゴン抽出物、キイチゴ抽出物、キウイ抽出物、ドクダミ抽出物、オタネニンジン抽出物、ヒキオコシ抽出物、ビワ抽出物、モモ抽出物、ユキノシタ抽出物、サンショウ抽出物、竹酢抽出物、レイシ抽出物、ウスバサイシン抽出物、加水分解コムギタンパク、ゴレンシ抽出物、ホップ抽出物、紅藻抽出物、ソメイヨシノ抽出物、フトモモ抽出物、キバナオランダセンニチ抽出物、ケラチン、アセンヤク抽出物、カシア樹皮抽出物、オリゴペプチド-20、異性化糖、ボタン抽出物、ライチ抽出物、ハス抽出物、ブリンガラージ抽出物、ピテセロビウム抽出物のうちのいずれか一つを上記有効成分として用いてもよいし、これらを混合して上記有効成分として用いてもよい。
【0087】
本発明のシミ形成抑制剤は、ルイボス抽出物、アロエ抽出物、オウゴン抽出物、キイチゴ抽出物、キウイ抽出物、ドクダミ抽出物、オタネニンジン抽出物、ヒキオコシ抽出物、ビワ抽出物、モモ抽出物、ユキノシタ抽出物、サンショウ抽出物、竹酢抽出物、レイシ抽出物、ウスバサイシン抽出物、加水分解コムギタンパク、ゴレンシ抽出物、ホップ抽出物、紅藻抽出物、ソメイヨシノ抽出物、フトモモ抽出物、キバナオランダセンニチ抽出物、ケラチン、アセンヤク抽出物、カシア樹皮抽出物、オリゴペプチド-20、異性化糖、ボタン抽出物、ライチ抽出物、ハス抽出物、ブリンガラージ抽出物、ピテセロビウム抽出物のうちいずれか一つ又は、これらの混合物を製剤化したものでもよい。
【0088】
本発明のアクチン再編成阻害剤、並びにファゴサイトーシス阻害剤は、薬学的に許容し得るキャリアーその他任意の助剤を用いて、常法に従い、粉末状、顆粒状、錠剤状、液状などの任意の剤形に製剤化することができる。
【0089】
本発明のアクチン再編成阻害剤、並びにファゴサイトーシス阻害剤を製剤化した場合、ルイボス抽出物、アロエ抽出物、オウゴン抽出物、キイチゴ抽出物、キウイ抽出物、ドクダミ抽出物、オタネニンジン抽出物、ヒキオコシ抽出物、ビワ抽出物、モモ抽出物、ユキノシタ抽出物、サンショウ抽出物、竹酢抽出物、レイシ抽出物、ウスバサイシン抽出物、加水分解コムギタンパク、ゴレンシ抽出物、ホップ抽出物、紅藻抽出物、ソメイヨシノ抽出物、フトモモ抽出物、キバナオランダセンニチ抽出物、ケラチン、アセンヤク抽出物、カシア樹皮抽出物、オリゴペプチド-20、異性化糖、ボタン抽出物、ライチ抽出物、ハス抽出物、ブリンガラージ抽出物、ピテセロビウム抽出物のうちいずれか一つ又は、これらの混合物の含有量は、特に限定されるものではなく、目的に応じて適宜設定することができる。
【0090】
なお、本発明のアクチン再編成阻害剤、並びにファゴサイトーシス阻害剤は、必要に応じて、アクチン再編成阻害作用、並びにファゴサイトーシス阻害作用を有する他の天然抽出物などを、ルイボス抽出物、アロエ抽出物、オウゴン抽出物、キイチゴ抽出物、キウイ抽出物、ドクダミ抽出物、オタネニンジン抽出物、ヒキオコシ抽出物、ビワ抽出物、モモ抽出物、ユキノシタ抽出物、サンショウ抽出物、竹酢抽出物、レイシ抽出物、ウスバサイシン抽出物、加水分解コムギタンパク、ゴレンシ抽出物、ホップ抽出物、紅藻抽出物、ソメイヨシノ抽出物、フトモモ抽出物、キバナオランダセンニチ抽出物、ケラチン、アセンヤク抽出物、カシア樹皮抽出物、オリゴペプチド-20、異性化糖、ボタン抽出物、ライチ抽出物、ハス抽出物、ブリンガラージ抽出物、ピテセロビウム抽出物のうちいずれか一つ又は、これらの混合物とともに配合して有効成分として用いることができる。
【0091】
本発明のアクチン再編成阻害剤、並びにファゴサイトーシス阻害剤は、ルイボス抽出物、アロエ抽出物、オウゴン抽出物、キイチゴ抽出物、キウイ抽出物、ドクダミ抽出物、オタネニンジン抽出物、ヒキオコシ抽出物、ビワ抽出物、モモ抽出物、ユキノシタ抽出物、サンショウ抽出物、竹酢抽出物、レイシ抽出物、ウスバサイシン抽出物、加水分解コムギタンパク、ゴレンシ抽出物、ホップ抽出物、紅藻抽出物、ソメイヨシノ抽出物、フトモモ抽出物、キバナオランダセンニチ抽出物、ケラチン、アセンヤク抽出物、カシア樹皮抽出物、オリゴペプチド-20、異性化糖、ボタン抽出物、ライチ抽出物、ハス抽出物、ブリンガラージ抽出物、ピテセロビウム抽出物が有するアクチン再編成阻害作用、ファゴサイトーシス阻害作用を通じて、シミを予防、治療又は改善することができる。
【0092】
また、本発明のアクチン再編成阻害剤、並びにファゴサイトーシス阻害剤は、メラニンの異常産生に起因する疾患の予防・治療用医薬品又は医薬部外品の有効成分として用いることができる。ただし、本発明のアクチン再編成阻害剤、並びにファゴサイトーシス阻害剤は、これらの用途以外にもアクチン再編成阻害作用、ファゴサイトーシス阻害作用を発揮することに意義のあるすべての用途に用いることができる。
【0093】
加えて、本発明のアクチン再編成阻害剤、並びにファゴサイトーシス阻害剤は、優れたアクチン再編成阻害作用、ファゴサイトーシス阻害作用を有するため、例えば、皮膚外用剤に配合するのに好適である。この場合には、ルイボス抽出物、アロエ抽出物、オウゴン抽出物、キイチゴ抽出物、キウイ抽出物、ドクダミ抽出物、オタネニンジン抽出物、ヒキオコシ抽出物、ビワ抽出物、モモ抽出物、ユキノシタ抽出物、サンショウ抽出物、竹酢抽出物、レイシ抽出物、ウスバサイシン抽出物、加水分解コムギタンパク、ゴレンシ抽出物、ホップ抽出物、紅藻抽出物、ソメイヨシノ抽出物、フトモモ抽出物、キバナオランダセンニチ抽出物、ケラチン、アセンヤク抽出物、カシア樹皮抽出物、オリゴペプチド-20、異性化糖、ボタン抽出物、ライチ抽出物、ハス抽出物、ブリンガラージ抽出物、ピテセロビウム抽出物のうちいずれか一つ又は、これらの混合物を配合してもよい。
【0094】
上記植物抽出物を皮膚外用剤に配合して用いる場合の含有量は、所望の効果を発揮できるのであれば特に限定されないが、外用剤全量中に抽出原料として、0.00000001~5質量%配合することが好ましく、より好ましくは0.0000001~3質量%、さらに好ましくは0.000001~2質量%、特に好ましくは0.00001~1質量%である。
【0095】
ここで、皮膚外用剤としては、その区分に制限はなく、経皮的に使用される皮膚化粧料、医薬部外品、医薬品などを幅広く含むものであり、具体的には、例えば、軟膏、クリーム、乳液、美容液、ローション、パック、ファンデーション、リップクリーム、入浴剤などの皮膚外用剤が挙げられる。
【0096】
また、本発明のアクチン再編成阻害剤、並びにファゴサイトーシス阻害剤は、優れたアクチン再編成阻害作用、ファゴサイトーシス阻害作用を有するので、メラニンの産生機構に関連する研究のための試薬としても好適に利用することができる。
【0097】
次に、本発明の阻害効果、並びに抑制効果を評価する被験物質のスクリーニング方法について説明する。
【0098】
被験物質のスクリーニング方法の具体例としては、被験物質のシミ形成抑制作用を評価する被験物質のスクリーニング方法であって、(A)表皮角化細胞に微粒子および被験物質を接触させ、かつこの接触の前、同時、又は後に表皮角化細胞に線維芽細胞からの馴化培地を接触させるステップ、(B)前記ステップ(A)で得られた表皮角化細胞の微粒子取り込み活性から、表皮角化細胞の微粒子の取り込み量を測定するステップ、(C)前記ステップ(B)で測定された表皮角化細胞の微粒子の取り込み量に基づき、表皮角化細胞のファゴサイトーシスの阻害を調べ、前記被験物質のシミ形成抑制作用を評価するステップを例示することができる。
【0099】
上記スクリーニング方法によれば、表皮角化細胞に微粒子および被験物質を接触させ、かつ、この接触の前、同時、又は後に表皮角化細胞に線維芽細胞からの馴化培地を接触させることにより、上記被験物質が、表皮角化細胞のファゴサイトーシスを阻害するかどうかを迅速、かつ、簡便に評価することができる。また、表皮角化細胞のファゴサイトーシスの阻害の有無や上記阻害程度に基づいて、被験物質のシミ形成抑制作用を迅速、かつ、簡便に評価することができる。
【0100】
上記ステップ(A)では、表皮角化細胞に微粒子および被験物質を接触させ、かつ、この接触の前、同時、又は後に表皮角化細胞に線維芽細胞からの馴化培地を接触させる。
【0101】
上記表皮角化細胞としては、例えば、ヒト又は非ヒト動物由来の何れかの表皮角化細胞が挙げられる。上記スクリーニング方法において用いる表皮角化細胞は、ヒト皮膚への塗布を見据え、より精度良く被験物質を評価できる観点から、ヒト表皮角化細胞であることが好ましい。該ヒト表皮角化細胞は、正常ヒト表皮角化細胞であっても、不死化ヒト表皮角化細胞であっても特に限定されないが、ファゴサイトーシスの現象をより的確に捉え、精度良く評価できる観点から、正常ヒト表皮角化細胞を用いることがより好ましい。
【0102】
上記線維芽細胞としては、例えば、ヒト又は非ヒト動物由来の何れかの線維芽細胞が挙げられる。上記スクリーニング方法において用いる線維芽細胞は、ヒト皮膚への塗布を見据え、より精度良く被験物質を評価する観点から、ヒト線維芽細胞であることが好ましい。該ヒト線維芽細胞は、正常ヒト線維芽細胞であっても、不死化ヒト線維芽細胞であっても特に限定されないが、ファゴサイトーシスの現象をより的確に捉え、精度良く評価できる観点から、正常ヒト線維芽細胞を用いることがより好ましい。
【0103】
上記微粒子は、例えば、メラノソーム、メラニン又は発色物質等が挙げられる。
【0104】
上記メラノソームは、ヒト又は非ヒト動物由来の何れの色素細胞を用いてもよい。本発明においては、ヒト由来の色素細胞のホモジネートから調製したものを用いることが好ましい。
【0105】
上記メラニンは、天然メラニンであってもよく、合成メラニンであってもよい。用いられるメラニンの量は、96ウェルプレートに1ウェル(0.35cm)中、1μg以上100μg以下であることが好ましい。
【0106】
上記発色物質は、蛍光ビーズを用いることができる。蛍光ビーズである「FluoSpheresTM カルボキシレート修飾ミクロスフェア,0.2μm,青色蛍光(365/415),2%固形分」は、TherrmoFisher Scientific社(米国マサチューセッツ州ウォルサム)から入手することができる。用いられる蛍光ビーズの量は、96ウェルプレートに1ウェル(0.35cm)中、1μg以上100μg以下であることが好ましい。
【0107】
上記表皮角化細胞と被験物質を接触させるに際して、用いられる被験物質の種類は、特に限定されず、例えば、低分子化合物、植物抽出物、微生物などの天然物の抽出物、タンパク質、ペプチド、核酸、合成高分子化合物などが挙げられる。被験物質の量は、被験物質の種類などにより異なるので一概に決定することができない。
【0108】
上記線維芽細胞の順化培地は、例えば、線維芽細胞が58cmシャーレにコンフレントになった状態から新鮮なKB2培地又はDMEM(5%FBS)培地に交換し、12時間から36時間培養した後、上清回収した培地を使用することができる。なお、順化培地は前述の調製方法に限定されるものではない。本発明においては、ファゴサイトーシスの誘導を十分に行う観点から、18時間から30時間培養した後、上清回収した培地を使用することが好ましい。
【0109】
上記表皮角化細胞は、例えば、96ウェルプレート又は24ウェルプレートに50,000~130,000個/cmとなるよう播種することができる。本発明においては、ファゴサイトーシスの誘導を十分に行う観点から、70,000~110,000個/cmとなるよう播種することが好ましい。
【0110】
上記表皮角化細胞に上記線維芽細胞からの順化培地を接触させる時間は、特に限定されないが、線維芽細胞からの馴化培地の接触によるファゴサイトーシスの誘導を十分に行う観点から、線維芽細胞からの順化培地を2時間から24時間接触させることが好ましく、4時間から8時間接触させることがより好ましい。
【0111】
上記表皮角化細胞に上記線維芽細胞からの馴化培地を接触させるタイミングは、表皮角化細胞の微粒子および被験物質の接触前、同時又は後の何れであってもよい。本発明においては、スクリーニング方法の精度が高まる観点から、線維芽細胞からの馴化培地との接触中に、微粒子および被験物質を接触させるのが好ましい。すなわち、表皮角化細胞に線維芽細胞からの馴化培地を接触するタイミングは、表皮角化細胞の微粒子および被験物質の接触と同時に行うのが好ましい。この場合、微粒子および被験物質を線維芽細胞からの馴化培地に混合し、表皮角化細胞に接触させることにより行える。また、スクリーニング方法の精度が更に高まる観点から、2時間~24時間接触させることが好ましく、4時間から8時間接触させることがより好ましい。細胞の生育や生存に対する負荷を抑制する観点から、24時間以下であることが好ましい。
【0112】
つぎに、ステップ(B)では、上記ステップ(A)で得られた表皮角化細胞の微粒子取り込み活性から、表皮角化細胞の微粒子の取り込み量を測定する。
【0113】
上記表皮角化細胞の微粒子取り込み量を測定する方法としては、例えば、表皮角化細胞に取り込まれた蛍光ビーズを蛍光ブレートリーダーで測定する方法などが挙げられる。
【0114】
つぎに、ステップ(C)では、上記ステップ(B)で測定された表皮角化細胞の微粒子の取り込み量に基づき、表皮角化細胞のファゴサイトーシスの阻害を調べ、上記被験物質のシミ形成抑制作用を評価する。
【0115】
上記被験物質が、ファゴサイトーシスを阻害するか否かは、例えば、上記ステップ(B)で測定されたファゴサイトーシスの蛍光強度と、被験物質を接触させていないファゴサイトーシスの蛍光強度を比較することにより調べることができる。
【0116】
ステップ(C)では、上記ステップ(B)で測定されたファゴサイトーシスの蛍光強度が、例えば、被験物質を接触させていないファゴサイトーシスの蛍光強度よりも有意に少なくなっている場合、上記被験物質が、ファゴサイトーシスを阻害すると判断することができる。
【0117】
このように、上記被験物質が、ファゴサイトーシスを阻害すると判断した場合には、該被験物質がシミ形成抑制作用を示す物質であると評価することができる。また、上記ステップ(B)で測定されたファゴサイトーシスの蛍光強度と被験物質を接触させてない細胞群のファゴサイトーシスの蛍光強度との差が大きくなるほど、該被験物質がよりシミ形成抑制作用を有すると評価することができる。
【0118】
以上説明したように、上記スクリーニング方法によれば、ファゴサイトーシスの阻害の有無や抑制の程度に基づいて、被験物質のシミ形成抑制作用を簡便に評価することができることから、シミ形成抑制剤などに有用なシミ形成抑制剤のスクリーニングや、シミ形成抑制剤などのシミ形成抑制作用の評価を迅速、かつ、簡便な操作で行うことができる。
【実施例0119】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、かかる実施例に限定されるものではない。
【0120】
(製造例1)正常ヒト表皮角化細胞(NHEK)
58cmシャーレ(IWAKI社製)を用い、KG2培地(倉敷紡績社製)に、正常ヒト表皮角化細胞(倉敷紡績社製)を播種し、37℃、5%CO条件下で培養した。
【0121】
(製造例2)正常ヒト線維芽細胞(NHDF)
58cmシャーレ(IWAKI社製)を用い、10%FBSを含むDMEM培地(日水製薬社製)に、正常ヒト線維芽細胞(倉敷紡績社製)を播種し、37℃、5%CO条件下で培養した。
【0122】
(製造例3)正常ヒト線維芽細胞からの順化培地の調製
製造例2で培養した正常ヒト線維芽細胞がコンフレントになった状態から、新鮮なKB2培地(倉敷紡績社製)に交換し、24時間培養後、上清回収し、正常ヒト線維芽細胞からの順化培地とした。
【0123】
(製造例4)合成メラニン含有順化培地の調製
合成メラニン含有順化培地は、製造例3の順化培地中に合成メラニンを100μg/mLの濃度となるように調製した。
なお、合成メラニンは、原料名「メラニン」(MERCK社製)を用いた。
【0124】
(製造例5)蛍光ビーズ含有順化培地の調製
蛍光ビーズ含有順化培地は、蛍光ビーズ1質量部に対して製造例3の順化培地500倍量を加え調製した。
なお、蛍光ビーズは、「FluoSpheresTMカルボキシレート修飾ミクロスフェア、0.2μm、青色蛍光(365/415)、2%固形分」(TherrmoFisher Scientific社製)を用いた。
【0125】
(試験例1)正常ヒト表皮角化細胞に正常ヒト線維芽細胞からの順化培地を接触させることによる合成メラニンのファゴサイトーシスの検証
【0126】
製造例1で培養した正常ヒト表皮角化細胞を、96ウェルプレート(IWAKI社製)に90,000個/cmとなるように播種し、37℃、5%CO条件下で24時間培養した。その後、製造例4で調製した順化培地に置き換え、さらに37℃、5%CO条件下で6時間培養した。次いで、順化培地を除去し、PBS(-)で洗浄後、倍率100倍率光学顕微鏡(オリンパス社製)で細胞を目視観察した。結果を図1に示す。
【0127】
なお、対照は、製造例1で培養した正常ヒト表皮角化細胞を、96ウェルプレート(IWAKI社製)に90,000個/cmとなるように播種し、37℃、5%CO条件下で24時間培養後、KB2培地中に合成メラニンを100μg/mLの濃度となるように調製した培地に置き換え、さらに37℃、5%CO条件下で6時間培養したものを目視観察した。
【0128】
図1から明らかなように、正常ヒト表皮角化細胞に正常ヒト線維芽細胞からの順化培地を接触させた細胞では、接触させてない対照に比べ、合成メラニンの有無度合いに明確な差異が認められた。このことからも、正常ヒト表皮角化細胞に正常ヒト線維芽細胞からの順化培地を接触させることにより、ファゴサイトーシスが顕著に促進されていることが分かる。
【0129】
(試験例2)正常ヒト表皮角化細胞に正常ヒト線維芽細胞からの順化培地を接触させることによる蛍光ビーズのファゴサイトーシスを検証(蛍顕顕微鏡による観察)
【0130】
製造例1で培養した正常ヒト表皮角化細胞を、96ウェルプレートに90,000個/cmとなるように播種し、37℃、5%CO条件下で24時間培養した。その後、製造例5で調製した順化培地に置き換え、さらに37℃、5%CO条件下で6時間培養した。次いで、順化培地を除去し、PBS(-)で洗浄後、蛍光顕微鏡(製品名:IX71,OLYMPUS社製)で細胞を目視観察した。結果を図2に示す。
【0131】
なお、対照は、製造例1で培養した正常ヒト表皮角化細胞を、96ウェルプレート(IWAKI社製)に90,000個/cmとなるように播種し、37℃、5%CO条件下で24時間培養後、蛍光ビーズ1質量部に対して500倍量のKB2培地を加え調製した培地に置き換え、さらに37℃、5%CO条件下で6時間培養したものを目視観察した。
【0132】
図2から明らかなように、正常ヒト表皮角化細胞に正常ヒト線維芽細胞からの順化培地を接触させた細胞では、接触させてない対照に比べ、細胞内に取り込まれた蛍光強度が高いことが確認できた。このことからも、正常ヒト表皮角化細胞に正常ヒト線維芽細胞からの順化培地を接触させることにより、ファゴサイトーシスが顕著に促進されていることが分かる。
【0133】
(試験例3)正常ヒト表皮角化細胞に正常ヒト線維芽細胞からの順化培地を接触させることによる蛍光ビーズのファゴサイトーシスを検証(蛍顕プレートリーダーによる測定)
【0134】
製造例1で培養した正常ヒト表皮角化細胞を、96ウェルプレートに90,000個/cmとなるように播種し、37℃、5%CO条件下で24時間培養した。その後、製造例5で調製した順化培地に置き換え、さらに37℃、5%CO条件下で6時間培養した。次いで、順化培地を除去し、PBS(-)で洗浄後、蛍光プレートリーダー(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)で蛍光強度を測定(Ex:365nm,Em:415nm)した。結果を図3に示す。グラフ中の「***」は、t検定のp値が0.001未満であることを示している。
【0135】
なお、対照は、製造例1で培養した正常ヒト表皮角化細胞を、96ウェルプレート(IWAKI社製)に90,000個/cmとなるように播種し、37℃、5%CO条件下で24時間培養後、蛍光ビーズ1質量部に対して500倍量のKB2培地を加え調製した培地に置き換え、さらに37℃、5%CO条件下で6時間培養したものの蛍光強度を測定した。
【0136】
図3から明らかなように、正常ヒト表皮角化細胞に正常ヒト線維芽細胞からの順化培地を接触させた細胞では、接触させてない対照に比べ、蛍光強度が高いことが確認できた。このことからも、正常ヒト表皮角化細胞に正常ヒト線維芽細胞からの順化培地を接触させることにより、ファゴサイトーシスが顕著に促進されていることが分かる。
【0137】
(試験例4)正常ヒト表皮角化細胞に正常ヒト繊維芽細胞からの順化培地を接触させることによるアクチン再編成の検証
【0138】
正常ヒト表皮角化細胞を4チャンバースライド(BD Falcon社製)に2,500個/cmとなるように播種し、37℃、5%CO条件下で24時間培養後した。その後、製造例3で調製した順化培地に置き換え、さらに37℃、5%CO条件下で2時間から6時間培養した。次いで、順化培地を除去し、PBS(-)で洗浄した。その後、4%ホルムアルデヒドで固定し、0.5%Triton-100で処理し、1%BSAでブロッキングした。細胞にPBS(-)で溶解させた165nMローダミンファロイジン(富士フィルム和光純薬社製)および20μMヘキスト33258(タカラバイオ社製)を200μL添加し、30分間染色し、エンテランニュー(MERCK社製)で封入し、蛍光顕微鏡(製品名:IX71,OLYMPUS社製,ローダミンファロイジン Ex:550nm/Em:580nm、ヘキスト33258 Ex:360nm/Em:420nm)で細胞を目視観察し評価した。結果を図4に示す。なお、図中、スケールバーは、50μmを示す。
【0139】
なお、対照は、正常ヒト表皮角化細胞を4チャンバースライド(BD Falcon社製)に2,500個/cmとなるように播種し、37℃、5%CO条件下で24時間培養後、製造例3で調製した順化培地に置き換えず、上記と同様に細胞を目視観察し評価した。
【0140】
図4から明らかなように、正常ヒト表皮角化細胞に正常ヒト繊維芽細胞からの順化培地を接触させた細胞では、接触させてない対照に比べ、細胞近傍でローダミンファロイジンによりF-アクチン(繊維状アクチン)が染色されていることが確認できた。このことからも、正常ヒト表皮角化細胞に正常ヒト繊維芽細胞からの順化培地を接触させることにより、F-アクチン重合が増加していること(アクチン再編成)が分かる。
【0141】
(試験例5、6)アクチン再編成阻害剤によるファゴサイトーシス阻害作用の検証
【0142】
試験例5の被験物質として、キレート剤である、BAPTA-AM(富士フィルム和光純薬社製)を用いた(濃度:5.0μM、7.5μM)。
試験例6の被験物質として、アクチン阻害剤である、Cytochalasin D(富士フィルム和光純薬社製)を用いた(濃度:0.3μM、0.6μM)。
【0143】
製造例1で培養した正常ヒト表皮角化細胞を、96ウェルプレートに90,000個/cmとなるように播種し、37℃、5%CO条件下で24時間培養した。その後、試験例5、6の被験物質を含む製造例5で調製した順化培地に置き換え、さらに37℃、5%CO条件下で6時間培養した。次いで、順化培地を除去し、PBS(-)で洗浄後、蛍光プレートリーダー(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)で蛍光強度を測定(Ex:365nm,Em:415nm)した。結果を図5、6に示す。グラフ中の「***」は、t検定のp値が0.001未満であることを示している。また、「*」は、t検定のp値が0.05未満であることを示している。
【0144】
なお、上記試験例5、6と同様の試験方法で被験物質を含まないものを対照とし、同様に蛍光プレートリーダーで蛍光強度を測定した。
【0145】
図5および図6から明らかなように、アクチン再編成阻害剤を接触させた細胞は、接触させてない対照に比べ、蛍光強度が低いことが確認できた。このことから、アクチン再編成阻害剤を接触させることにより、ファゴサイトーシスを阻害できることが確認できた。
【0146】
(試験例7)正常ヒト表皮角化細胞に正常ヒト線維芽細胞からの順化培地を接触させることによるファゴサイトーシスの阻害作用試験
【0147】
被検物質として、ルイボス抽出物(商品名:アスパラサスリネアリス,リリース科学工業社製,濃度:1.0%)、アロエ抽出物(商品名:アスパラサスリネアリス,リリース科学工業社製,濃度:1.0%)をそれぞれ使用した。
【0148】
製造例1で培養した正常ヒト表皮角化細胞を、96ウェルプレートに90,000個/cmとなるように播種し、37℃、5%CO条件下で24時間培養した。その後、上記被験物質である植物抽出物を含む製造例5で調製した順化培地に置き換え、さらに37℃、5%CO条件下で6時間培養した。次いで、順化培地を除去し、PBS(-)で洗浄後、蛍光プレートリーダー(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)で蛍光強度を測定(Ex:365nm,Em:415nm)した。結果を図7に示す。
【0149】
なお、上記試験例7と同様の試験方法で被験物質を含まないものを対照とし、同様に蛍光プレートリーダーで蛍光強度を測定した。
【0150】
図7から明らかなように、被験物質を接触させた細胞は、接触させてない対照に比べ、蛍光強度が低いことが確認できた。これにより、被験物質を接触させることでファゴサイトーシスを阻害できることが確認できた。
【0151】
(試験例8)正常ヒト表皮角化細胞に正常ヒト線維芽細胞からの順化培地を接触させることによるファゴサイトーシスの阻害作用試験
【0151】
試験例7と同様の試験方法で被検物質として、オウゴン抽出物(商品名:オウゴン流エキスSP,小城製薬社製,濃度:1.0%)を使用した。結果を図8に示す。なお、上記試験例8と同様の試験方法で被験物質を含まないものを対照とした。
【0152】
図8から明らかなように、被験物質を接触させた細胞は、接触させてない対照に比べ、蛍光強度が低いことが確認できた。これにより、被験物質を接触させることでファゴサイトーシスを阻害できることが確認できた。
【0153】
(試験例9)正常ヒト表皮角化細胞に正常ヒト線維芽細胞からの順化培地を接触させることによるファゴサイトーシスの阻害作用試験
【0154】
試験例7と同様の試験方法で被検物質として、キイチゴ抽出物(商品名:Dermo Fruit Raspberry/N,香栄興業社製,濃度:1.0%)、キウイ抽出物(商品名:キウイ抽出液,香栄興業社製,濃度:1.0%)を使用した。結果を図9に示す。なお、上記試験例9と同様の試験方法で被験物質を含まないものを対照とした。
【0155】
図9から明らかなように、被験物質を接触させた細胞は、接触させてない対照に比べ、蛍光強度が低いことが確認できた。これにより、被験物質を接触させることでファゴサイトーシスを阻害できることが確認できた。
【0156】
(試験例10)正常ヒト表皮角化細胞に正常ヒト線維芽細胞からの順化培地を接触させることによるファゴサイトーシスの阻害作用試験
【0157】
試験例7と同様の試験方法で被検物質として、ドクダミ抽出物(商品名:ジュウヤク流エキス,小城製薬社製,濃度:1.0%)、オタネニンジン抽出物(商品名:ニンジン流エキスP,小城製薬社製,濃度:1.0%)を使用した。結果を図10に示す。なお、上記試験例10と同様の試験方法で被験物質を含まないものを対照とした。
【0158】
図10から明らかなように、被験物質を接触させた細胞は、接触させてない対照に比べ、蛍光強度が低いことが確認できた。これにより、被験物質を接触させることでファゴサイトーシスを阻害できることが確認できた。
【0159】
(試験例11)正常ヒト表皮角化細胞に正常ヒト線維芽細胞からの順化培地を接触させることによるファゴサイトーシスの阻害作用試験
【0160】
試験例7と同様の試験方法で被検物質として、ヒキオコシ抽出物(商品名:エンメイソウ抽出液,丸善製薬社製,濃度:1.0%)、ビワ抽出物(商品名:ビワ抽出液BG-J,丸善製薬社製,濃度:1.0%)を使用した。結果を図11に示す。なお、上記試験例11と同様の試験方法で被験物質を含まないものを対照とした。
【0161】
図11から明らかなように、被験物質を接触させた細胞は、接触させてない対照に比べ、蛍光強度が低いことが確認できた。これにより、被験物質を接触させることでファゴサイトーシスを阻害できることが確認できた。
【0162】
(試験例12)正常ヒト表皮角化細胞に正常ヒト線維芽細胞からの順化培地を接触させることによるファゴサイトーシスの阻害作用試験
【0163】
試験例7と同様の試験方法で被検物質として、モモ抽出物(商品名:モモ抽出液,丸善製薬社製,濃度:1.0%)、ユキノシタ抽出物(商品名:ユキノシタ抽出液BG,丸善製薬社製,濃度:1.0%)を使用した。結果を図12に示す。なお、上記試験例12と同様の試験方法で被験物質を含まないものを対照とした。
【0164】
図12から明らかなように、被験物質を接触させた細胞は、接触させてない対照に比べ、蛍光強度が低いことが確認できた。これにより、被験物質を接触させることでファゴサイトーシスを阻害できることが確認できた。
【0165】
(試験例13)正常ヒト表皮角化細胞に正常ヒト線維芽細胞からの順化培地を接触させることによるファゴサイトーシスの阻害作用試験
【0166】
試験例7と同様の試験方法で被検物質として、サンショウ抽出物(商品名:ファルコレックス サンショウ,一丸ファルコス社製,濃度:1.0%)、竹酢抽出物(商品名:T.P 竹エキス,立花バンブー社製,濃度:1.0%)、レイシ抽出物(商品名:レイシ抽出液K5,小城製薬社製,濃度:1.0%)を使用した。結果を図13に示す。なお、上記試験例13と同様の試験方法で被験物質を含まないものを対照とした。
【0167】
図13から明らかなように、被験物質を接触させた細胞は、接触させてない対照に比べ、蛍光強度が低いことが確認できた。これにより、被験物質を接触させることでファゴサイトーシスを阻害できることが確認できた。
【0168】
(試験例14)正常ヒト表皮角化細胞に正常ヒト線維芽細胞からの順化培地を接触させることによるファゴサイトーシスの阻害作用試験
【0169】
試験例7と同様の試験方法で被検物質として、ウスバサイシン抽出物(商品名:ファルコレックス サイシン E,一丸ファルコス社製,濃度:1.0%)を使用した。結果を図14に示す。なお、上記試験例14と同様の試験方法で被験物質を含まないものを対照とした。
【0170】
図14から明らかなように、被験物質を接触させた細胞は、接触させてない対照に比べ、蛍光強度が低いことが確認できた。これにより、被験物質を接触させることでファゴサイトーシスを阻害できることが確認できた。
【0171】
(試験例15)正常ヒト表皮角化細胞に正常ヒト線維芽細胞からの順化培地を接触させることによるファゴサイトーシスの阻害作用試験
【0172】
試験例7と同様の試験方法で被検物質として、加水分解コムギタンパク(商品名:TRITISOL-LQ-(WD),クローダジャパン社製,濃度:1.0%)
を使用した。結果を図15に示す。なお、上記試験例15と同様の試験方法で被験物質を含まないものを対照とした。
【0173】
図15から明らかなように、被験物質を接触させた細胞は、接触させてない対照に比べ、蛍光強度が低いことが確認できた。これにより、被験物質を接触させることでファゴサイトーシスを阻害できることが確認できた。
【0174】
(試験例16)正常ヒト表皮角化細胞に正常ヒト線維芽細胞からの順化培地を接触させることによるファゴサイトーシスの阻害作用試験
【0175】
試験例7と同様の試験方法で被検物質として、ゴレンシ抽出物(商品名:スターフルーツ葉抽出液BG30,丸善製薬社製,濃度:1.0%)を使用した。結果を図16に示す。なお、上記試験例16と同様の試験方法で被験物質を含まないものを対照とした。
【0176】
図16から明らかなように、被験物質を接触させた細胞は、接触させてない対照に比べ、蛍光強度が低いことが確認できた。これにより、被験物質を接触させることでファゴサイトーシスを阻害できることが確認できた。
【0177】
(試験例17)正常ヒト表皮角化細胞に正常ヒト線維芽細胞からの順化培地を接触させることによるファゴサイトーシスの阻害作用試験
【0178】
試験例7と同様の試験方法で被検物質として、ホップ抽出物(商品名:ホップ抽出液,丸善製薬社製,濃度:1.0%)を使用した。結果を図17に示す。なお、上記試験例17と同様の試験方法で被験物質を含まないものを対照とした。
【0179】
図17から明らかなように、被験物質を接触させた細胞は、接触させてない対照に比べ、蛍光強度が低いことが確認できた。これにより、被験物質を接触させることでファゴサイトーシスを阻害できることが確認できた。
【0180】
(試験例18)正常ヒト表皮角化細胞に正常ヒト線維芽細胞からの順化培地を接触させることによるファゴサイトーシスの阻害作用試験
【0181】
試験例7と同様の試験方法で被検物質として、紅藻抽出物(商品名:ベーターヘリン,テクノーブル社製,濃度:1.0%)を使用した。結果を図18に示す。なお、上記試験例18と同様の試験方法で被験物質を含まないものを対照とした。
【0182】
図18から明らかなように、被験物質を接触させた細胞は、接触させてない対照に比べ、蛍光強度が低いことが確認できた。これにより、被験物質を接触させることでファゴサイトーシスを阻害できることが確認できた。
【0183】
(試験例19)正常ヒト表皮角化細胞に正常ヒト線維芽細胞からの順化培地を接触させることによるファゴサイトーシスの阻害作用試験
【0184】
試験例7と同様の試験方法で被検物質として、ソメイヨシノ抽出物(商品名:サクラエキスB,一丸ファルコス社製,濃度:1.0%)、フトモモ抽出物(商品名:ローズアップルリーフエキスBG-30,香栄興業社製,濃度:1.0%)を使用した。結果を図19に示す。なお、上記試験例19と同様の試験方法で被験物質を含まないものを対照とした。
【0185】
図19から明らかなように、被験物質を接触させた細胞は、接触させてない対照に比べ、蛍光強度が低いことが確認できた。これにより、被験物質を接触させることでファゴサイトーシスを阻害できることが確認できた。
【0186】
(試験例20)正常ヒト表皮角化細胞に正常ヒト線維芽細胞からの順化培地を接触させることによるファゴサイトーシスの阻害作用試験
【0187】
試験例7と同様の試験方法で被検物質として、キバナオランダセンニチ抽出物(商品名:GATULINE EXPRESSION,GATTEFOSSE社製,濃度:1.0%)を使用した。結果を図20に示す。なお、上記試験例20と同様の試験方法で被験物質を含まないものを対照とした。
【0188】
図20から明らかなように、被験物質を接触させた細胞は、接触させてない対照に比べ、蛍光強度が低いことが確認できた。これにより、被験物質を接触させることでファゴサイトーシスを阻害できることが確認できた。
【0189】
(試験例21)正常ヒト表皮角化細胞に正常ヒト線維芽細胞からの順化培地を接触させることによるファゴサイトーシスの阻害作用試験
【0190】
試験例7と同様の試験方法で被検物質として、ケラチン(商品名:KERATEC(ケラテック) IFP-HMW,Keratec Ltd.社製,濃度:1.0%)を使用した。結果を図21に示す。なお、上記試験例21と同様の試験方法で被験物質を含まないものを対照とした。
【0191】
図21から明らかなように、被験物質を接触させた細胞は、接触させてない対照に比べ、蛍光強度が低いことが確認できた。これにより、被験物質を接触させることでファゴサイトーシスを阻害できることが確認できた。
【0192】
(試験例22)正常ヒト表皮角化細胞に正常ヒト線維芽細胞からの順化培地を接触させることによるファゴサイトーシスの阻害作用試験
【0193】
試験例7と同様の試験方法で被検物質として、アセンヤク抽出物(商品名:アセンヤク抽出液,丸善製薬社製,濃度:1.0%)、カシア樹皮抽出物(商品名:ケイヒ抽出液W-LA,丸善製薬社製,濃度:1.0%)を使用した。結果を図22に示す。なお、上記試験例22と同様の試験方法で被験物質を含まないものを対照とした。
【0194】
図22から明らかなように、被験物質を接触させた細胞は、接触させてない対照に比べ、蛍光強度が低いことが確認できた。これにより、被験物質を接触させることでファゴサイトーシスを阻害できることが確認できた。
【0195】
(試験例23)正常ヒト表皮角化細胞に正常ヒト線維芽細胞からの順化培地を接触させることによるファゴサイトーシスの阻害作用試験
【0196】
試験例7と同様の試験方法で被検物質として、オリゴペプチド-20(商品名:CG-IDP5 BG,Caregen社製,濃度:1.0%)を使用した。結果を図23に示す。なお、上記試験例23と同様の試験方法で被験物質を含まないものを対照とした。
【0197】
図23から明らかなように、被験物質を接触させた細胞は、接触させてない対照に比べ、蛍光強度が低いことが確認できた。これにより、被験物質を接触させることでファゴサイトーシスを阻害できることが確認できた。
【0198】
(試験例24)正常ヒト表皮角化細胞に正常ヒト線維芽細胞からの順化培地を接触させることによるファゴサイトーシスの阻害作用試験
【0199】
試験例7と同様の試験方法で被検物質として、異性化糖(商品名:PENTAVITIN(ペンタバイティン),DSM社製,濃度:1.0%)を使用した。結果を図24に示す。なお、上記試験例24と同様の試験方法で被験物質を含まないものを対照とした。
【0200】
図24から明らかなように、被験物質を接触させた細胞は、接触させてない対照に比べ、蛍光強度が低いことが確認できた。これにより、被験物質を接触させることでファゴサイトーシスを阻害できることが確認できた。
【0201】
(試験例25)正常ヒト表皮角化細胞に正常ヒト線維芽細胞からの順化培地を接触させることによるファゴサイトーシスの阻害作用試験
【0202】
試験例7と同様の試験方法で被検物質として、ボタン抽出物(商品名:ボタンピエキス-BG,ヤマダ薬研社製,濃度:1.0%)を使用した。結果を図25に示す。なお、上記試験例25と同様の試験方法で被験物質を含まないものを対照とした。
【0203】
図25から明らかなように、被験物質を接触させた細胞は、接触させてない対照に比べ、蛍光強度が低いことが確認できた。これにより、被験物質を接触させることでファゴサイトーシスを阻害できることが確認できた。
【0204】
(試験例26)正常ヒト表皮角化細胞に正常ヒト線維芽細胞からの順化培地を接触させることによるファゴサイトーシスの阻害作用試験
【0205】
試験例7と同様の試験方法で被検物質として、ライチ抽出物(商品名:ライチ種子エキス-LC,オリザ油化社製,濃度:1.0%)を使用した。結果を図26に示す。なお、上記試験例26と同様の試験方法で被験物質を含まないものを対照とした。
【0206】
図26から明らかなように、被験物質を接触させた細胞は、接触させてない対照に比べ、蛍光強度が低いことが確認できた。これにより、被験物質を接触させることでファゴサイトーシスを阻害できることが確認できた。
【0207】
(試験例27)正常ヒト表皮角化細胞に正常ヒト線維芽細胞からの順化培地を接触させることによるファゴサイトーシスの阻害作用試験
【0208】
試験例7と同様の試験方法で被検物質として、ハス抽出物(1.0%)、ブリンガラージ抽出物(1.0%)、ピテセロビウム抽出物(商品名:ピテセロビウムエキス,香栄興業社製,濃度:1.0%)を使用した。結果を図27に示す。なお、上記試験例27と同様の試験方法で被験物質を含まないものを対照とした。
【0209】
図27から明らかなように、被験物質を接触させた細胞は、接触させてない対照に比べ、蛍光強度が低いことが確認できた。これにより、被験物質を接触させることでファゴサイトーシスを阻害できることが確認できた。
【0210】
(試験例28)正常ヒト表皮角化細胞に正常ヒト線維芽細胞からの順化培地を接触させることによるファゴサイトーシスの阻害作用試験
【0211】
試験例7と同様の試験方法で被検物質として、アルブチン(日本精化社製,濃度:50μg/mL、100μg/mL)、ニコチン酸アミド(DSM社製,濃度:50μg/mL、100μg/mL)、コウジ酸(東京化成工業社製,濃度:50μg/mL、100μg/mL)、紅茶抽出物(商品名:紅茶リキッド,一丸ファルコス社製,濃度:0.1%)を使用した。結果を図28に示す。なお、上記試験例28と同様の試験方法で被験物質を含まないものを対照とした。
【0212】
図28から明らかなように、アルブチン、ニコチン酸アミド、コウジ酸を接触させた細胞は、接触させてない対照に比べ、蛍光強度が変わらないことが確認できた。すなわち、美白効果が公知のアルブチン、ニコチン酸アミド、コウジ酸では、表皮角化細胞に線維芽細胞の順化培地を接触させた後の該表皮角化細胞のファゴサイトーシス誘導に対して全く効果を示さないことが分かった。
【0213】
(試験例29、30)正常ヒト表皮角化細胞に正常ヒト線維芽細胞からの順化培地を接触させることによるファゴサイトーシスの阻害作用試験
【0214】
試験例7と同様の試験方法で被検物質として、ハトムギ抽出物(商品名:ヨクイニン抽出液,香栄興業社製,濃度:1%)、ヒバマタ抽出物(商品名:ファルコレックス ヒバマタ,一丸ファルコス社製,濃度:1%)、ゲットウ抽出物(商品名:月桃葉抽出液BG,丸善製薬社製,濃度:1%)を使用した。結果を図29、30に示す。なお、上記試験例29、30と同様の試験方法で被験物質を含まないものを対照とした。
【0215】
図29、30から明らかなように、ハトムギ抽出物、ヒバマタ抽出物、ゲットウ抽出物を接触させた細胞は、接触させてない対照に比べ、蛍光強度が変わらないことが確認できた。すなわち、メラニン生成抑制(チロシナーゼ阻害)が公知のハトムギ抽出物、ヒバマタ抽出物、ゲットウ抽出物は、表皮角化細胞に線維芽細胞の順化培地を接触させた後の該表皮角化細胞のファゴサイトーシス誘導に対して全く効果を示さないことが分かった。
【0216】
以上の結果から、本発明の有効成分である特定の植物抽出物や特定の化合物は、表皮角化細胞に線維芽細胞の順化培地を接触させた後の該表皮角化細胞のアクチン再編成、並びにファゴサイトーシス誘導に対して格段にすぐれた阻害効果を有しており、シミ形成抑制剤として有用であることが確認された。また、これを皮膚外用剤に応用することによりシミ形成抑制効果を提供できることが可能となった。
【0217】
一方、美白効果が知られているアルブチン、ニコチン酸アミド、コウジ酸、ハトムギ抽出物、ヒバマタ抽出物、ゲットウ抽出物は、表皮角化細胞に線維芽細胞の順化培地を接触させた後の該表皮角化細胞のファゴサイトーシス誘導に対して全く効果を示さなかった。
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