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特開2022-58085ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ2阻害剤とアセチル-CoAカルボキシラーゼ阻害剤との組合せ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022058085
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ2阻害剤とアセチル-CoAカルボキシラーゼ阻害剤との組合せ
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/506 20060101AFI20220404BHJP
   A61K 31/438 20060101ALI20220404BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20220404BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20220404BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20220404BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20220404BHJP
   A61P 9/04 20060101ALI20220404BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20220404BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20220404BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
A61K31/506
A61K31/438
A61P1/16
A61P3/06
A61P3/10
A61P9/00
A61P9/04
A61P9/10
A61P3/04
A61P43/00 121
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【請求項の数】37
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021023813
(22)【出願日】2021-02-18
(31)【優先権主張番号】62/980845
(32)【優先日】2020-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】593141953
【氏名又は名称】ファイザー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100133927
【弁理士】
【氏名又は名称】四本 能尚
(74)【代理人】
【識別番号】100147186
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 眞紀
(74)【代理人】
【識別番号】100174447
【弁理士】
【氏名又は名称】龍田 美幸
(74)【代理人】
【識別番号】100185960
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 理愛
(72)【発明者】
【氏名】ニータ バークリシャン エーミン
(72)【発明者】
【氏名】アーサー ジェイムズ バーグマン
(72)【発明者】
【氏名】ロバート アーノルド カル
(72)【発明者】
【氏名】ロバート グレゴリー デュリア
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ジェームズ エドモンズ
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ポール エズラー
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン ジェイムズ フィリプスキ
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ リチャード ゴセット
(72)【発明者】
【氏名】アルバート ミュン キム
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー アレン フェファーコーン
(72)【発明者】
【氏名】パトリック ロバート ヴァーホスト
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC42
4C086CB05
4C086GA07
4C086GA08
4C086GA14
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA36
4C086ZA37
4C086ZA45
4C086ZA70
4C086ZA75
4C086ZC20
4C086ZC33
4C086ZC35
4C086ZC75
(57)【要約】
【課題】DGAT2阻害活性を有し、病気の処置、予防またはその兆候の削減において有用な医薬作用物質を提供すること。
【解決手段】本明細書において記述されるのは、肝疾患およびそれに関連する疾患の処置のための、2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドまたは薬学的に許容できるその塩を含む医薬組成物である。肝疾患およびそれに関連する疾患の処置のための、2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドまたは薬学的に許容できるその塩と、4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸または薬学的に許容できるその塩とを含む組成物も記述される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療有効量の約10mgから約1000mgまでの2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドまたは薬学的に許容できるその塩と、薬学的に許容できる添加剤とを含む医薬組成物。
【請求項2】
前記2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドまたは薬学的に許容できるその塩の前記治療有効量が、約10mgである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドまたは薬学的に許容できるその塩の前記治療有効量が、約20mgである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドまたは薬学的に許容できるその塩の前記治療有効量が、約40mgである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドまたは薬学的に許容できるその塩の前記治療有効量が、約80mgである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項6】
2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドまたは薬学的に許容できるその塩と、4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸または薬学的に許容できるその塩とを含む医薬組成物。
【請求項7】
治療有効量約10mgから約1000mgまでの2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドまたは薬学的に許容できるその塩と、治療有効量の約5mgから約60mgまでの4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸または薬学的に許容できるその塩とを含む医薬組成物。
【請求項8】
1日に1回投与される、請求項1から7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
1日に2回投与される、請求項1から8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドが、構造:
【化1】
を有する結晶または薬学的に許容できるその塩である、請求項1から9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記結晶が、前記化合物のp-トルエンスルホン酸塩を含む、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
(CuKα放射線、1.54056Åの波長)7.2±0.2、14.5±0.2、15.8±0.2および27.7±0.2の2シータ値を含む粉末x線回折パターンを有する、請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項13】
(CuKα放射線、1.54056Åの波長)3.8±0.2、7.7±0.2、8.8±0.2、22.4±0.2および24.6±0.2の2シータ値を含む粉末x線回折パターンを有する、請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸が、構造:
【化2】
の結晶性固体または薬学的に許容できるその塩である、請求項1から13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記結晶性固体が、4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸の2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3-ジオール塩である、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
脂肪肝、非アルコール性脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、肝線維症を伴う非アルコール性脂肪性肝炎、肝硬変を伴う非アルコール性脂肪性肝炎または肝硬変および肝細胞癌を伴う非アルコール性脂肪性肝炎を処置する方法であって、そのような処置を必要とするヒトに、治療有効量の請求項1に記載の組成物を投与するステップを含む方法。
【請求項17】
非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)活性スコア(NAS)の重症度におけるベースラインからの少なくとも1ポイントの低減のための方法であって、ヒトにおけるベースラインNASを測定するステップと、前記ヒトに治療有効量の請求項1に記載の組成物を投与するステップと、前記ヒトの前記NASを測定するステップとを含む方法。
【請求項18】
非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)活性スコア(NAS)の重症度におけるベースラインからの少なくとも2ポイントの低減のための方法であって、ヒトにおけるベースラインNASを測定するステップと、前記ヒトに治療有効量の請求項1に記載の組成物を投与するステップと、前記ヒトの前記NASを測定するステップとを含む方法。
【請求項19】
アテローム性動脈硬化、脳卒中、心筋梗塞、大動脈血管疾患、脳血管疾患、腎臓血管疾患、心不全、心房細動または冠状動脈性心疾患から選択される心血管疾患または状態を処置する方法であって、それを必要とするヒトに、治療有効量の、請求項1に記載の組成物と、約5mgから約60mgまでの4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸または薬学的に許容できるその塩とを含む組成物を投与するステップを含む方法。
【請求項20】
肥満、脂質異常症、2型真性糖尿病、2型真性糖尿病患者における血糖コントロール、耐糖能異常(IGT)の状態、空腹時血漿グルコース異常の状態、代謝症候群、症候群X、高血糖症、高インスリン血症、インスリン抵抗性またはグルコース代謝異常から選択される代謝性疾患または状態を処置するための方法であって、そのような処置を必要とするヒトに、治療有効量の請求項1に記載の組成物を投与するステップと、前記ヒトのNASを測定するステップとを含む方法。
【請求項21】
脂肪肝、非アルコール性脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、肝線維症を伴う非アルコール性脂肪性肝炎、肝硬変を伴う非アルコール性脂肪性肝炎、ならびに肝硬変および肝細胞癌または代謝関連疾患を伴う非アルコール性脂肪性肝炎から選択される疾患または状態を処置するための方法であって、それを必要とするヒトに、治療有効量の、請求項1に記載の組成物と、約5mgから約60mgまでの4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸または薬学的に許容できるその塩とを含む組成物を投与するステップを含む方法。
【請求項22】
脂肪肝、アルコール性脂肪肝疾患、アルコール性脂肪性肝炎、肝線維症を伴うアルコール性脂肪性肝炎、肝硬変を伴うアルコール性脂肪性肝炎、ならびに肝硬変および肝細胞癌または代謝関連疾患を伴うアルコール性脂肪性肝炎から選択される疾患または状態を処置するための方法であって、それを必要とするヒトに、治療有効量の、請求項1に記載の組成物と、約5mgから約40mgまでの4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸または薬学的に許容できるその塩とを含む組成物を投与するステップを含む方法。
【請求項23】
アテローム性動脈硬化、脳卒中、心筋梗塞、大動脈血管疾患、脳血管疾患、腎臓血管疾患、心不全、心房細動または冠状動脈性心疾患から選択される心血管疾患または状態を処置するための方法であって、それを必要とするヒトに、治療有効量の、請求項1に記載の組成物と、約5mgから約60mgまでの4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸または薬学的に許容できるその塩とを含む組成物を投与するステップを含む方法。
【請求項24】
肥満、脂質異常症、2型真性糖尿病、2型真性糖尿病患者における血糖コントロール、耐糖能異常(IGT)の状態、空腹時血漿グルコース異常の状態、代謝症候群、症候群X、高血糖症、高インスリン血症、インスリン抵抗性またはグルコース代謝異常から選択される代謝性疾患または状態を処置するための方法であって、それを必要とするヒトに、治療有効量の、請求項1に記載の組成物と、約5mgから約60mgまでの4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸または薬学的に許容できるその塩とを含む組成物を投与するステップを含む方法。
【請求項25】
2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドまたは薬学的に許容できるその塩の前記治療有効量が、約80mgである、請求項16、17、18、19、20、21、22、23または24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記組成物が、1日に1回投与される、請求項16、17、18、19、20、21、22、23または24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記組成物が、1日に2回投与される、請求項16、17、18、19、20、21、22、23または24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドが、構造:
【化3】
を有する結晶または薬学的に許容できるその塩である、請求項16、17、18、19、20、21、22、23または24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記結晶が、前記化合物のp-トルエンスルホン酸塩を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記結晶が、(CuKα放射線、1.54056Åの波長)7.2±0.2、14.5±0.2、15.8±0.2および27.7±0.2の2シータ値を含む粉末x線回折パターンを有する、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記結晶が、(CuKα放射線、1.54056Åの波長)3.8±0.2、7.7±0.2、8.8±0.2、22.4±0.2および24.6±0.2の2シータ値を含む粉末x線回折パターンを有する、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸が、構造:
【化4】
の結晶性固体または薬学的に許容できるその塩である、請求項16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30または31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記結晶性固体が、4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸の2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3-ジオール塩である、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
脂肪肝、非アルコール性脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、肝線維症を伴う非アルコール性脂肪性肝炎、肝硬変を伴う非アルコール性脂肪性肝炎または肝硬変および肝細胞癌を伴う非アルコール性脂肪性肝炎を処置するための方法であって、そのような処置を必要とするヒトに、治療有効量の2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドまたは薬学的に許容できるその塩を含む第1の組成物を、治療有効量の4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸または薬学的に許容できるその塩を含む第2の組成物と組み合わせて投与するステップを含む方法。
【請求項35】
前記第1および第2の組成物が、同時に投与される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記第1および第2の組成物が、順次に投与される、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
高トリグリセリド血症、アテローム性動脈硬化、心筋梗塞、脂質異常症、冠状動脈性心疾患、高アポBリポタンパク質血症、虚血性脳卒中、2型真性糖尿病、2型真性糖尿病患者における血糖コントロール、耐糖能異常(IGT)の状態、空腹時血漿グルコース異常の状態、代謝症候群、症候群X、高血糖症、高インスリン血症、インスリン抵抗性、グルコース代謝異常を処置する方法であって、そのような処置を必要とするヒトに、治療有効量の請求項1に記載の組成物を投与するステップを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肝疾患およびそれに関連する疾患の処置のための、2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドまたは薬学的に許容できるその塩を含む新たな医薬組成物に関する。本発明は、肝疾患およびそれに関連する疾患の処置のための、2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドまたは薬学的に許容できるその塩と、4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸または薬学的に許容できるその塩とを含む、新たな医薬組成物にも関する。
【背景技術】
【0002】
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は、全死因死亡率、肝硬変および末期肝疾患の増大、心血管死亡率の増大、ならびに肝臓関連および非肝臓関連がん両方の発生率の増大に関連する、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD、5%以上の肝臓脂肪症の存在として定義される)の臨床的および組織学的サブセットである(Sanyalら、Hepatology 2015;61(4):1392~1405)。NAFLDは、代謝症候群の肝臓の兆候であり、脂肪症、NASH、線維症、肝硬変および最終的に肝細胞癌を包含する一連の肝臓の状態である。NAFLDおよびNASHは、肝臓の脂質の上昇がある個体の最も大きな割合を占めることから、原発性脂肪肝疾患とみなされる。NAFLD/NASHの重症度は、脂質、炎症性細胞浸潤、肝細胞風船化の存在、および線維症の程度に基づく。現時点では、処置の選択肢は関連状態の管理に限定される(EASL-EASD-EASO Clinical Practice Guidelines、J.Hepatol.2016;64(6):1388~1402)。
【0003】
脂質代謝の変化が、NAFLDおよびNASHの分子病因に寄与すると仮定されてきた。脂肪症は、NASHの病因の、必要だが十分ではない構成要素である(Day CおよびJames O.、Hepatology.1998;27(6):1463~6)。これと一致して、複数の研究が、脂肪症の重症度により、併発する脂肪性肝炎のリスクおよび肝硬変への進行のリスクが予測されることを実証している(Sorensenら、Lancet.1984;2(8397):241~4;Wanless IおよびLentz J、Hepatology 1990;12(5):1106~10;Reeves Hら、J.Hepatol.1996;25(5):677~83)。肝臓脂肪症は、トリグリセリド生成/肝臓への取り込みおよびクリアランス/除去における不均衡の結果である(Cohen JCら、Science.2011;332(6037):1519~1523)。NAFLD/NASHの発生を支持する代謝原動力である脂肪症を低減させることは、肝臓炎症および線維症におけるその後の改善をもたらすであろうという仮説が立てられている。
【0004】
アセチル-CoAカルボキシラーゼ(ACC)およびジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ2(DGAT2)は、脂質代謝を調節する2つの主要な酵素である。ACCは、デノボ脂質生成(DNL)のプロセスにおける必須かつ律速なステップを触媒する(Saggerson D、Annu.Rev.Nutr.2008;28:253~72)。さらに、ACCは、酵素カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ1(CPT1)のアロステリック調節により、脂肪酸のミトコンドリアベータ酸化も調節する(Saggerson、2008;Waite MおよびWakil SJ.J.Biol.Chem.1962;237:2750~2757)。新たに出現したデータは、ACC阻害によるDNLの抑制が、Tヘルパー17系統の炎症性インターロイキン-17(IL-17)分泌T細胞(Th17細胞)の形成を制限し、抗炎症FoxP3(+)調節T(Treg)細胞の発生を有利にすることによって、炎症を直接低減させ得ることも示唆する(Berod Lら、Nat.Med.2014;20(11):1327~33)。
【0005】
ACC活性の阻害は、少なくとも2つの独立した機序により、NASH患者にとって有益であると仮定される。上記でまとめた通り、NAFLDを持つヒトは、肝臓のDNLの著しい上昇を示し、薬理学的な肝臓ACC阻害によるこのフラックス増大の正常化は、脂肪症を低減させると仮定される。加えて、脂肪酸酸化を増大させるACC阻害剤の効果は、肝臓脂肪含有量を低減させることにも寄与し得る。これと一致して、ACC阻害剤は、DNLを阻害することが示されている。Griffith DAら、J.Med.Chem.2014;57(24):10512~10526;Kim CWら、Cell Metab.2017;26、394~406;Stiede Kら、Hepatology.2017;66(2):324~334;Lawitz EJら、Clin Gastroenterol Hepatol.2018(https://doi.org/10.1016/j.cgh.2018.04.042)を参照されたい。加えて、IL-17分泌T細胞におけるDNLの阻害は、NASH病因において重要となり得る経路である(Rau Mら、J.Immunol.2016;196(1):97~105)炎症性Th17細胞の形成を制限し(Berodら、2014)、抗炎症Treg細胞の発生を有利にすることによって、肝臓炎症を抑制することが期待されている。さらに、ACC阻害は、星状細胞活性化および線維症を低減させ得る(Rossら、2019)。
【0006】
トリグリセリドまたはトリアシルグリセロール(TG)は、哺乳動物におけるエネルギー貯蔵の主要な形態を表す。TGは、グリセロールと、様々な鎖長および飽和度の3つの脂肪酸との順次エステル化によって形成される(Coleman,R.A.およびMashek,D.G.2011.Chem.Rev.111:6359~6386)。腸または肝臓において合成されたTGは、カイロミクロンまたは超低比重リポタンパク質(VLDL)にそれぞれ包まれ、末梢組織に移出され、そこで、リポタンパク質リパーゼ(LPL)によって、それらの構成要素である脂肪酸およびグリセロールに加水分解される。結果として生じた非エステル化脂肪酸(NEFA)は、さらに代謝されてエネルギーを生成するか、または再エステル化され、貯蔵されるかのいずれかであり得る。
【0007】
正常な生理的条件下では、エネルギー密度の高いTGは、それを放出する需要があるまで、種々の脂肪蓄積部内に隔離されたままであり、需要があるとすぐに、グリセロールおよび遊離脂肪酸に加水分解され、次いで、これが血流中に放出される。このプロセスは、種々の生理的条件下でTG貯蔵の沈着および動員を促進する、インスリン、およびカテコールアミン等のホルモンの反対作用によって、厳密に調節される。食後の状況では、インスリンが脂肪分解を阻害する作用をし、それにより、NEFAの形態でのエネルギーの放出を制限し、脂肪蓄積部における食事中の脂質の適切な貯蔵を確実にする。しかしながら、2型糖尿病患者では、脂肪分解を抑制するインスリンの能力が向上し、脂肪細胞からのNEFAフラックスが不適切に上昇する。これが今度は、筋肉および肝臓等の組織への脂質の送達の増大をもたらす。エネルギー需要の非存在下では、TGおよびジアシルグリセロール(DAG)等の他の脂質代謝物が蓄積し、インスリン感受性の喪失を引き起こし得る(Erion,D.M.およびShulman,G.I.2010.Nat Med 16:400~402)。筋肉におけるインスリン抵抗性は、グルコース取り込みおよびグリコーゲン貯蔵の低減を特徴とするのに対し、肝臓では、インスリンシグナル伝達の喪失が、グルコース生産量の調節不全、および2型糖尿病の特質であるTGリッチVLDLの過剰生成を生み出す(Choi,S.H.およびGinsberg,H.N.2011.Trends Endocrinol.Metab.22:353~363)。TGが豊富なVLDL、いわゆるVLDL1粒子の分泌の上昇は、冠状動脈性心疾患のリスク上昇に関連するLDLのアテローム生成促進的な亜画分であるスモールデンス低比重リポタンパク質(sdLDL)の生成を刺激すると考えられる(St-Pierre,A.C.ら、2005.Arterioscler.Thromb.Vasc.Biol.25:553~559)。
【0008】
ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(DGAT)は、トリアシルグリセリド(TAG)合成における最終ステップ、具体的には、ジアシルグリセロールによる脂肪酸のエステル化を触媒して、TAGの形成をもたらす。哺乳動物では、2つのDGAT酵素(DGAT1およびDGAT2)が特徴付けられている。これらの酵素は、同じ酵素反応を触媒するが、それらのそれぞれのアミノ酸配列は無関係であり、異なった遺伝子ファミリーを占有する。DGAT2は、肝臓および脂肪において高度に発現され、DGAT1とは異なり、ジアシルグリセリド(DAG)に対する申し分ない基質特異性を呈する。げっ歯類におけるDGAT2遺伝子の欠失は、子宮内発育不良、重度の脂肪血症、皮膚バリア機能異常および出生後早期死亡をもたらす。DGAT2の抑制は、ステロール応答エレメント結合タンパク質1c(SREBP1c)およびステアロイルCoA-デサチュラーゼ1(SCD1)を含む、脂質生成(lipogensis)に関与するタンパク質をコードする複数の遺伝子の発現の下方調節をもたらすことが明らかである。並行して、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ1(CPT1)等の遺伝子の発現増大から明らかなように、酸化的経路が誘導される。これらの変化の最終結果は、肝臓DAGおよびTAG脂質のレベルを減少させることであり、これが今度は、肝臓におけるインスリン応答性の改善につながる。さらに、DGAT2阻害は、肝臓VLDL TAG分泌を抑制し、循環コレステロールレベルの低減につながる。最後に、おそらく新たに合成されたAPOBタンパク質の脂質化のためのTAGの供給の減少により、血漿アポリポタンパク質B(APOB)レベルが抑制される。血糖コントロールおよび血漿コレステロールプロファイルの両方に対するDGAT2阻害の有益な効果は、この標的が代謝性疾患の処置において貴重であることを示唆している(Choi,C.S.ら、2007.J Biol Chem 282:22678~22688)。
【0009】
加えて、DGAT2活性の抑制が肝臓の脂質蓄積の低減をもたらすという観察は、この酵素の阻害剤が、肝臓における過剰な脂肪の沈着を特徴とする高度にまん延している肝疾患である非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の処置において有用性を有するかもしれないことを示唆している。
【0010】
近年では、DGAT2のいくつかの低分子阻害剤(inhbitors)が、文献および特許出願(WO2013150416、WO2013137628、US20150259323、WO2015077299、WO2016036633、WO2016036638、WO2016036636)において報告されている。最近、同一出願人によるPCT出願PCT/IB2017/054862が、2018年2月22日にWO2018/033832として公開され、DGAT2の低分子阻害剤を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】WO2013150416
【特許文献2】WO2013137628
【特許文献3】US20150259323
【特許文献4】WO2015077299
【特許文献5】WO2016036633
【特許文献6】WO2016036638
【特許文献7】WO2016036636
【特許文献8】PCT出願PCT/IB2017/054862
【特許文献9】WO2018/033832
【特許文献10】国際出願公開第PCT/IB2011/054119号
【特許文献11】US8,859,577
【特許文献12】WO2019/102311
【特許文献13】国際特許出願公開第PCT/IB2018/058966号
【特許文献14】WO2016/112305
【特許文献15】WO2010023594
【特許文献16】WO2018109607
【特許文献17】PCT/IB2019/054867
【特許文献18】PCT/IB2019/054961
【特許文献19】米国特許出願第62/868,057号
【特許文献20】米国特許出願第62/868,542号
【特許文献21】WO2005116014
【特許文献22】WO2010103437
【特許文献23】WO2010103438
【特許文献24】WO2010013161
【特許文献25】WO2007122482
【特許文献26】WO2010140092
【特許文献27】WO2010128425
【特許文献28】WO2010128414
【特許文献29】WO2010106457
【特許文献30】WO2011005611
【特許文献31】米国特許第5,612,359号
【特許文献32】米国特許第6,043,265号
【特許文献33】WO00/01389
【特許文献34】欧州特許出願公開第0901786A2号
【特許文献35】米国特許第5,456,923号
【特許文献36】米国特許第5,939,099号
【特許文献37】米国特許第5,340,591号
【特許文献38】米国特許第4,673,564号
【特許文献39】米国特許第5,707,646号
【特許文献40】米国特許第4,894,235号
【特許文献41】米国特許第4,485,045号
【特許文献42】米国特許第4,544,545号
【特許文献43】米国特許第5,013,556号
【特許文献44】米国特許第3,773,919号
【特許文献45】米国特許第9,809,579号
【特許文献46】米国特許第10,071,992号
【特許文献47】米国仮特許出願第62/377,137号
【特許文献48】WO2009016462
【特許文献49】WO1999/57125
【非特許文献】
【0012】
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【非特許文献3】Day CおよびJames O.、Hepatology.1998;27(6):1463~6
【非特許文献4】Sorensenら、Lancet.1984;2(8397):241~4
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【非特許文献6】Reeves Hら、J.Hepatol.1996;25(5):677~83
【非特許文献7】Cohen JCら、Science.2011;332(6037):1519~1523
【非特許文献8】Saggerson D、Annu.Rev.Nutr.2008;28:253~72
【非特許文献9】Waite MおよびWakil SJ.J.Biol.Chem.1962;237:2750~2757
【非特許文献10】Berod Lら、Nat.Med.2014;20(11):1327~33
【非特許文献11】Griffith DAら、J.Med.Chem.2014;57(24):10512~10526
【非特許文献12】Kim CWら、Cell Metab.2017;26、394~406
【非特許文献13】Stiede Kら、Hepatology.2017;66(2):324~334
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【非特許文献57】Klein,S.2010、The AAPS Journal、12、397~406
【非特許文献58】Di,L.ら、2012、Drug Disc.Today、17.486~495
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
それにもかかわらず、DGAT2阻害活性を有し、本明細書において記述される病気の処置、予防またはその兆候の削減において有用な医薬作用物質が依然として必要である。その上、本明細書において記述されるDGAT2化合物(DGAT2阻害剤)の組合せを含有し、同じまたは別個の組成物中に、ACC阻害剤4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸または薬学的に許容できるその塩を含む医薬、例えば経口医薬が依然として必要である。本明細書において記述される具体的な組合せは、既存のニーズを満たす。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、治療有効量の約10mgから約1000mgまでの2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドまたは薬学的に許容できるその塩と、薬学的に許容できる添加剤とを含む医薬組成物を対象とする。
【0015】
本発明は、2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドまたは薬学的に許容できるその塩と、4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸または薬学的に許容できるその塩とを含む医薬組成物も対象とする。
【0016】
本発明は、治療有効量約10mgから約1000mgまでの2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドまたは薬学的に許容できるその塩と、治療有効量の約5mgから約60mgまでの4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸または薬学的に許容できるその塩とを含む医薬組成物も対象とする。
【0017】
本発明は、脂肪肝、非アルコール性脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、肝線維症を伴う非アルコール性脂肪性肝炎、肝硬変を伴う非アルコール性脂肪性肝炎または肝硬変および肝細胞癌を伴う非アルコール性脂肪性肝炎を処置するための方法であって、そのような処置を必要とするヒトに、治療有効量の2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドまたは薬学的に許容できるその塩を含む第1の組成物を、治療有効量の4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸または薬学的に許容できるその塩を含む第2の組成物と組み合わせて投与するステップを含む方法も対象とする。
【0018】
先述の概要および下記の詳細な記述はいずれも、例示的かつ説明的なものにすぎず、特許請求される通りの本発明の制限ではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】Cu放射線源が装備されたBruker AXS D4エンデバー回折計で行われた実施例26(化合物A)の形態1の例証的なPXRDパターンを示す図である。
図2】FT-IRベンチに取り付けられたNicolet NXR FT-ラマンアクセサリーを使用して収集した実施例26(化合物A)の形態1の例証的なラマンスペクトルを示す図である。
図3】BrukerバイオスピンアバンセIII 500MHz(H周波数)NMR分光計内に位置付けられたBrukerバイオスピンCPMASプローブで行われた実施例26(化合物A)の形態1の例証的な13C ssNMRパターンを示す図である。
図4】Cu放射線源が装備されたBruker AXS D4エンデバー回折計で行われた実施例26(化合物A)の形態2の例証的なPXRDパターンを示す図である。
図5】FT-IRベンチに取り付けられたNicolet NXRFT-ラマンアクセサリーを使用して収集した実施例26(化合物A)の形態2の例証的なラマンスペクトルを示す図である。
図6】BrukerバイオスピンアバンセIII 500MHz(H周波数)NMR分光計内に位置付けられたBrukerバイオスピンCPMASプローブを使用して行われた実施例26(化合物A)の形態2の例証的な13C ssNMRパターンを示す図である。
図7】実施例26(化合物A)の形態2の例証的な単結晶構造を示す図である。
図8】給餌状態で測定された、西洋食給餌スプラーグドーリーラットにおける血漿トリグリセリドレベルに対する、化合物Aおよび化合物Dの単剤療法としてのおよび組み合わせた経口投与の効果をまとめた図である。
図9】絶食状態で測定された、西洋食給餌スプラーグドーリーラットにおける血漿トリグリセリドレベルに対する、化合物Aおよび化合物Dの単剤療法としてのおよび組み合わせた経口投与の効果をまとめた図である。
図10】西洋食給餌ラットにおけるSREBP-1核局在化に対する、単剤療法としてのおよび組み合わせた化合物Aおよび化合物Dの投与の効果をまとめた図である。
図11】西洋食給餌ラットにおける肝臓の脂質生成遺伝子発現、具体的にはアセチル-CoAカルボキシラーゼ(ACC1)に対する、単剤療法としてのおよび組み合わせた化合物Aおよび化合物Dの投与の効果をまとめた図である。
図12】西洋食給餌ラットにおける肝臓の脂質生成遺伝子発現、具体的には脂肪酸シンターゼ(FASN)に対する、単剤療法としてのおよび組み合わせた化合物Aおよび化合物Dの投与の効果をまとめた図である。
図13】西洋食給餌ラットにおける肝臓の脂質生成遺伝子発現、具体的にはステロール-CoAデサチュラーゼ(SCD1)に対する、単剤療法としてのおよび組み合わせた化合物Aおよび化合物Dの投与の効果をまとめた図である。
図14】西洋食給餌ラットにおける肝臓の脂質生成遺伝子発現、具体的にはステロール応答エレメント結合タンパク質1c(SREBP-1c)に対する、単剤療法としてのおよび組み合わせた化合物Aおよび化合物Dの投与の効果をまとめた図である。
図15】西洋食給餌ラットにおける肝臓の脂質生成遺伝子発現、具体的にはプロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に対する、単剤療法としてのおよび組み合わせた化合物Aおよび化合物Dの投与の効果をまとめた図である。
図16】西洋食給餌スプラーグドーリーラットにおける肝臓トリグリセリドレベルに対する化合物Aおよび化合物Dの単剤療法としてのおよび組み合わせた経口投与の効果をまとめた図である。
図17】コリン欠乏および高脂肪食(CDAHFD)給餌雄ウィスターハンラットにおける肝臓炎症および線維症のマーカーである肝臓の弾性に対する、化合物Aおよび化合物Dの単剤療法としてのおよび組み合わせた経口投与の効果をまとめた図である。
図18】CDAHFD給餌雄ウィスターハンラットにおける筋線維芽細胞活性化および線維形成のマーカーである肝臓のアルファ平滑筋アクチン(αSMA)免疫組織化学に対する、化合物Aおよび化合物Dの単剤療法としてのおよび組み合わせた、経口投与の効果をまとめた図である。
図19】CDAHFD給餌雄ウィスターハンラットにおける肝臓のピクロシリウス(Picosirius)レッド染色に対する、化合物Aおよび化合物Dの単剤療法としてのおよび組み合わせた経口投与の効果をまとめた図である。
図20】CDAHFD給餌雄ウィスターハンラットにおける肝臓のアルファ平滑筋アクチン(αSMA)遺伝子発現に対する、化合物Aおよび化合物Dの単剤療法としてのおよび組み合わせた経口投与の効果をまとめた図である。
図21】CDAHFD給餌雄ウィスターハンラットにおける肝臓のコラーゲン1A1遺伝子発現に対する、化合物Aおよび化合物Dの単剤療法としてのおよび組み合わせた経口投与の効果をまとめた図である。
図22】CDAHFD給餌雄ウィスターハンラットにおけるイオン化カルシウム結合アダプター分子1染色に対する、化合物Aおよび化合物Dの単剤療法としてのおよび組み合わせた経口投与の効果をまとめた図である。
図23a】本明細書において記述される第2A相研究のための処置アーム(arm)によるWLFデータの箱ひげ図を示す図である。
図23b】30%以上の肝臓脂肪の低減がある対象の%を示す図である。
図23c】50%以上の肝臓脂肪の低減がある対象の%を示す図である。
図24】本明細書において記述される第2A相研究のための血清トリグリセリドにおけるベースラインからのパーセント変化を表す最小二乗平均値および90%CIのプロットを示す図である。
図25a】本明細書において記述される第2A相研究のためのアラニン(alaninine)アミノトランスフェラーゼ(ALT)におけるベースラインからのパーセント変化を表す最小二乗平均値および90%CIのプロットを示す図である。
図25b】本明細書において記述される第2A相研究のためのアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)におけるベースラインからのパーセント変化を表す最小二乗平均値および90%CIのプロットを示す図である。
図25c】本明細書において記述される第2A相研究のためのアルカリフォスファターゼ(phosphotase)におけるベースラインからのパーセント変化を表す最小二乗平均値および90%CIのプロットを示す図である。
図25d】本明細書において記述される第2A相研究のためのガンマグルタミルトランスフェラーゼ(GGT)におけるベースラインからのパーセント変化を表す最小二乗平均値および90%CIのプロットを示す図である。
図26】実施例4、形態1を示す特徴的なx線粉末回折パターンの図である(縦軸:強度(CPS);横軸:2シータ(度))。
図27】実施例4、塩酸塩形態1を示す特徴的なx線粉末回折パターンの図である(縦軸:強度(CPS);横軸:2シータ(度))。
図28】実施例4、p-トルエンスルホン酸塩、無水物、形態1を示す特徴的なx線粉末回折パターンの図である(縦軸:強度(CPS);横軸:2シータ(度))。
図29】西洋食給餌スプラーグドーリーラットにおける血漿トリグリセリドに対する実施例4の複数回用量効果をプロットした図である(縦軸:血漿トリグリセリド(mg/dL)、横軸:西洋食BID投薬(mg/kg))。
図30】西洋食給餌スプラーグドーリーラットにおける肝臓トリグリセリドに対する実施例4の複数回用量効果をプロットした図である(縦軸:肝臓トリグリセリド(μg/mg)、横軸:西洋食BID投薬(mg/kg))。
図31】調製P1、形態1を示す特徴的なx線粉末回折パターンの図である(縦軸:強度(CPS);横軸:2シータ(度))。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、本発明の例示的な実施形態の下記の詳細な記述およびその中に含まれる例を参照することにより、より容易に理解され得る。
【0021】
本発明は、作製のための具体的な合成方法に限定されず、それらは当然変動し得ることを理解されたい。本明細書において使用される術語は、特定の実施形態を記述することのみを目的とし、限定的であることを意図したものではないことも理解されたい。本明細書においておよびこの後の請求項において、若干数の用語を参照することになり、これらは下記の意味を有すると定義されるものとする。
【0022】
本明細書において使用される場合、「a」または「an」は、1つまたは複数を意味し得る。請求項において使用される場合、語「を含む」と併せて使用される際は、語「a」または「an」は、1つまたは1つ超を意味し得る。本明細書において使用される場合、「別の」は、少なくとも第2またはそれ以上を意味し得る。
【0023】
用語「約」は、それが表す公称値のプラスまたはマイナス10%の近似を表示する相対的な用語を指す。本開示の分野では、このレベルの近似は、該値がより狭い範囲を必要とするように具体的に述べられているのでない限り、適切である。
【0024】
「化合物」は、本明細書において使用される場合、本明細書において記述される化合物、または、配座異性体(例えば、シスおよびトランス異性体)およびすべての光学異性体(例えば、鏡像異性体およびジアステレオマー)、そのような異性体のラセミ、ジアステレオマーおよび他の混合物、ならびに溶媒和物、水和物、同形体、多形体、互変異性体、エステル、塩形態およびプロドラッグを含む、任意の薬学的に許容できる誘導体もしくは変化物を含む。表現「プロドラッグ」は、投与後に何らかの化学的または生理的プロセスを介してインビボで薬物を放出する薬物前駆体である化合物を指す(例えば、プロドラッグが生理的pHにされてまたは酵素作用を介して所望の薬物形態に変換される)。例示的なプロドラッグは、開裂時に対応する遊離酸を放出し、本発明の化合物のそのような加水分解性エステル形成残基は、カルボキシル部分を有するものを含むがこれらに限定されず、ここで、遊離水素は、(C~C)アルキル、(C~C)アルカノイルオキシメチル、4から9個までの炭素原子を有する1-(アルカノイルオキシ)エチル、5から10個までの炭素原子を有する1-メチル-1-(アルカノイルオキシ)-エチル、3から6個までの炭素原子を有するアルコキシカルボニルオキシメチル、4から7個までの炭素原子を有する1-(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、5から8個までの炭素原子を有する1-メチル-1-(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、3から9個までの炭素原子を有するN-(アルコキシカルボニル)アミノメチル、4から10個までの炭素原子を有する1-(N-(アルコキシカルボニル)アミノ)エチル、3-フタリジル、4-クロトノラクトニル、ガンマ-ブチロラクトン-4-イル、ジ-N,N-(C~C)アルキルアミノ(C~C)アルキル(β-ジメチルアミノエチル等)、カルバモイル-(C~C)アルキル、N,N-ジ(C~C)アルキルカルバモイル-(C~C)アルキルおよびピペリジノ-、ピロリジノ-またはモルホリノ(C~C)アルキルによって置きかえられている。
【0025】
用語「アルキル」は、単独でまたは組み合わせて、直鎖状または分枝鎖状であってよい、式CnH2n+1の非環式飽和炭化水素基を意味する。そのような基の例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソブチルおよびt-ブチルを含むがこれらに限定されない。アルキルおよび種々の他の炭化水素含有部分からなる炭素原子は、該部分における炭素原子の下限および上限の数字を指定する接頭辞によって指し示される、すなわち、接頭辞Ci~Cjは、境界も含めて整数「i」から整数「j」炭素原子の部分を指し示す。故に、例えば、C~Cアルキルは、境界も含めて1から3個の炭素原子のアルキルを指す。
【0026】
「フルオロアルキル」は、1、2または3個のフルオロ原子で置換されている、本明細書で定義されている通りのアルキルを意味する。例示的な(C)フルオロアルキル化合物は、フルオロメチル、ジフルオロメチルおよびトリフルオロメチルを含み、例示的な(C)フルオロアルキル化合物は、1-フルオロエチル、2-フルオロエチル、1,1-ジフルオロエチル、1,2-ジフルオロエチル、1,1,1-トリフルオロエチル、1,1,2-トリフルオロエチル等を含む。
【0027】
「ヒドロキシアルキル」は、1個の原子で置換されている、本明細書で定義されている通りのアルキルを意味する。例示的なヒドロキシアルキル化合物は、ヒドロキシメチル、1-ヒドロキシエチル、2-ヒドロキシエチル等を含む。
【0028】
「アルコキシ」が意味するのは、オキシを介して結合している直鎖飽和アルキルまたは分枝鎖飽和アルキルである。そのようなアルコキシ基(指定された長さは特定の例を包含すると仮定する)の例示は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、第三級ブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、第三級ペントキシ、ヘキソキシ、イソヘキソキシ、ヘプトキシおよびオクトキシである。
【0029】
「フルオロアルコキシ」が意味するのは、1、2または3個のフルオロ原子で置換されている、本明細書で定義されている通りのアルコキシである。例示的な(C)フルオロアルコキシ化合物は、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシおよびトリフルオロメトキシを含み、例示的な(C)フルオロアルキル化合物は、1-フルオロエトキシ、2-フルオロエトキシ、1,1-ジフルオロエトキシ、1,2-ジフルオロエトキシ、1,1,1-トリフルオロエトキシ、1,1,2-トリフルオロエトキシ等を含む。
【0030】
「患者」は、例えば、モルモット、マウス、ラット、スナネズミ、ネコ、ウサギ、イヌ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、サル、チンパンジーおよびヒト等の温血動物を指す。
【0031】
用語「薬学的に許容できる」は、患者への投与に好適である、物質(例えば、本発明の化合物)およびその任意の塩、または本発明の物質もしくは塩を含有する組成物を意味する。
【0032】
本明細書において使用される場合、表現「反応不活性溶媒」および「不活性溶媒」は、所望生成物の収量に悪影響を及ぼす方式で、出発材料、試薬、中間体または生成物と相互作用しない、溶媒またはその混合物を指す。
【0033】
本明細書において使用される場合、下記の用語は、医薬作用物質の投与のための一般的な意味を有する:QDは1日1回を意味し、BIDは1日2回を意味する。
【0034】
本明細書において使用される場合、用語「選択性」または「選択的」は、第2のアッセイにおける同じ化合物の効果と比較した、第1のアッセイにおける化合物のより優れた効果を指す。例えば、「消化管選択的」化合物では、第1のアッセイは腸における化合物の半減期についてのものであり、第2のアッセイは肝臓における化合物の半減期についてのものである。
【0035】
「治療有効量」は、(i)特定の疾患、状態もしくは障害を処置するもしくは予防する、(ii)特定の疾患、状態もしくは障害の1つもしくは複数の症状を減衰させる、向上させるもしくは排除する、または(iii)本明細書において記述される特定の疾患、状態もしくは障害の1つもしくは複数の症状の発症を予防するもしくは遅延させる、本発明の化合物の量を意味する。
【0036】
用語「処置すること」、「処置する」または「処置」は、本明細書において使用される場合、予防的、すなわち、防護的;緩和的処置、すなわち、患者の疾患(または状態)または疾患(または状態)に関連する任意の組織損傷の進行を、和らげる、緩和するまたは減速させる;処置が開始されたら患者の疾患(または状態)が緩和されるだけでなく疾患(または状態)に関連する任意の組織損傷がより良好な状態になる好転を内包する。この後者は、例えば、限定ではないが、下記のいずれか1つまたは複数から起こり得る:肝生検に基づくNASH消散のおよび/もしくは線維症スコアにおける改善からの実証;肝硬変、肝細胞癌および/もしくは他の肝臓関連の転帰への進行の発生率が低いこと;非アルコール性脂肪性肝炎活性の血清もしくは撮像ベースのマーカーのレベルの低減もしくは改善;非アルコール性脂肪性肝炎疾患活動性の低減もしくは改善;または非アルコール性脂肪性肝炎の医学的結果における低減。
【0037】
組成物
第1の態様では、本発明は、式(I)の化合物
【0038】
【化1】
[式中、
は、Hまたはフルオロであり、
、R、RおよびRは、H、(C~C)アルキル、(C~C)フルオロアルキル、(C~C)ヒドロキシアルキルおよび-(C~C)アルキル-(C~C)アルコキシからそれぞれ独立して選択され、
、R、RおよびRは、H、フルオロ、ヒドロキシル、(C~C)アルキル、(C~C)フルオロアルキル、(C~C)ヒドロキシアルキル、(C~C)アルコキシ、(C~C)フルオロアルコキシおよび-(C~C)アルキル-(C~C)アルコキシからそれぞれ独立して選択され、
、R、R、R、R、R、RおよびRのうちの0、1または2つは、H以外である]
または薬学的に許容できるその塩を含む組成物を対象とする。
【0039】
第2の態様では、本発明は、式(II)の化合物
【0040】
【化2】
[式中、
は、Hまたはフルオロであり、
、R、RおよびRは、H、(C~C)アルキル、(C~C)フルオロアルキル、(C~C)ヒドロキシアルキルおよび-(C~C)アルキル-(C~C)アルコキシからそれぞれ独立して選択され、
、R、RおよびRは、H、フルオロ、ヒドロキシル、(C~C)アルキル、(C~C)フルオロアルキル、(C~C)ヒドロキシアルキル、(C~C)アルコキシ、(C~C)フルオロアルコキシおよび-(C~C)アルキル-(C~C)アルコキシからそれぞれ独立して選択され、
10、R11、R12、R13およびR14は、Hおよび重水素からそれぞれ独立して選択され、
、R、R、R、R、R、RおよびRのうちの0、1または2つは、H以外である]
または薬学的に許容できるその塩を含む組成物にさらを対象とする。
【0041】
本発明の第1および第2の態様の一実施形態は、式(I)もしくは(II)の化合物[式中、R、R、RおよびRは、Hおよび(C)フルオロアルキルからそれぞれ独立して選択され、R、R、RおよびRは、H、(C)フルオロアルキルおよびフルオロからそれぞれ独立して選択され、R、R、R、R、R、R、RおよびRのうちの0、1または2つは、H以外である]または薬学的に許容できるその塩を含む組成物を含む。
【0042】
本発明の別の実施形態は、式(I)もしくは(II)の化合物[式中、R、R、R、R、RおよびRは、Hであり、RおよびRは、H、(C)フルオロアルキルおよびフルオロから独立して選択され、RおよびRのうちの少なくとも一方は、(C)フルオロアルキルまたはフルオロである]または薬学的に許容できるその塩を含む組成物を含む。
【0043】
本発明の第1および第2の態様の別の実施形態は、式(I)もしくは(II)の化合物[式中、R、R、R、R、RおよびRは、Hであり、RおよびRは、H、(C)フルオロアルキルおよびフルオロからそれぞれ独立して選択され、RおよびRのうちの少なくとも一方は、(C)フルオロアルキルまたはフルオロである]または薬学的に許容できるその塩を含む組成物を含む。
【0044】
本発明の第1および第2の態様の別の実施形態は、式(I)もしくは(II)の化合物[式中、R、R、R、R、RおよびRは、Hであり、RおよびRは、H、(C)フルオロアルキルおよびフルオロからそれぞれ独立して選択され、RおよびRのうちの少なくとも一方は、(C)フルオロアルキルまたはフルオロである]または薬学的に許容できるその塩を含む組成物を含む。
【0045】
本発明の第1および第2の態様の別の実施形態は、式(I)もしくは(II)の化合物[式中、R、R、R、R、R、RおよびRは、Hであり、Rは、(C)フルオロアルキルまたはフルオロである]または薬学的に許容できるその塩を含む組成物を含む。
【0046】
本発明の第1および第2の態様の別の実施形態は、式(I)もしくは(II)の化合物[式中、R、R、R、R、R、RおよびRは、Hであり、Rは、フルオロである]または薬学的に許容できるその塩を含む組成物を含む。
【0047】
本発明の第1および第2の態様の別の実施形態は、
2-(5-((3-エトキシ-5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)ピリジン-3-イル)-N-((3R,4S)-4-フルオロピペリジン-3-イル)ピリミジン-5-カルボキサミド;
2-(5-((3-エトキシ-5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)ピリジン-3-イル)-N-((3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル)ピリミジン-5-カルボキサミド;
2-(5-((3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ)ピリジン-3-イル)-N-((3R,4S)-4-フルオロピペリジン-3-イル)ピリミジン-5-カルボキサミド;
2-(5-((3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ)ピリジン-3-イル)-N-((3R,4R)-4-フルオロピペリジン-3-イル)ピリミジン-5-カルボキサミド;
2-(5-((3-エトキシ-5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ)ピリジン-3-イル)-N-((3R,4R)-4-フルオロピペリジン-3-イル)ピリミジン-5-カルボキサミド;および
2-(5-((3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ)ピリジン-3-イル)-N-((3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル)ピリミジン-5-カルボキサミド;
から選択される化合物または薬学的に許容できるその塩を含む組成物を含む。
【0048】
本発明の第1および第2の態様の別の実施形態は、構造:
【0049】
【化3】
を有する化合物または薬学的に許容できるその塩を含む組成物と、前記化合物または薬学的に許容できるその塩を含む結晶とを含む。
【0050】
別の実施形態では、組成物は、2-(5-((3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ)ピリジン-3-イル)-N-(5-フルオロピペリジン-3-イル)ピリミジン-5-カルボキサミドである化合物を含む。
【0051】
あらゆる例または薬学的に許容できるその塩は、個々に、または、任意の数の本明細書において記述されるありとあらゆる実施形態と任意の組合せで一緒に群分けされて、特許請求され得る。
【0052】
本発明の第1および第2の態様の別の実施形態は、医薬として使用するための、特に、前記医薬が、そのような処置を必要とするヒト等の哺乳動物に、治療有効量を投与することを含む、脂肪肝、非アルコール性脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、肝線維症を伴う非アルコール性脂肪性肝炎、肝硬変を伴う非アルコール性脂肪性肝炎または肝硬変および肝細胞癌を伴う非アルコール性脂肪性肝炎の処置における使用のためのものである、式(I)もしくは(II)の化合物または前記化合物の薬学的に許容できる塩を含む組成物の使用を含む。
【0053】
本発明の第1および第2の態様の別の実施形態は、そのような処置を必要とするヒト等の哺乳動物に、治療有効量を投与することを含む、脂肪肝、非アルコール性脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、肝線維症を伴う非アルコール性脂肪性肝炎、肝硬変を伴う非アルコール性脂肪性肝炎または肝硬変および肝細胞癌を伴う非アルコール性脂肪性肝炎を処置する際の医薬の製造のための、式(I)もしくは(II)の化合物または前記化合物の薬学的に許容できる塩を含む組成物の使用を含む。
【0054】
本発明の第1および第2の態様の別の実施形態は、医薬として使用するための、特に、前記医薬が、そのような処置を必要とするヒト等の哺乳動物に、治療有効量の式(I)もしくは(II)の化合物または前記化合物の薬学的に許容できる塩を投与することを含む、心不全、うっ血性心不全、冠状動脈性心疾患、末梢血管疾患、腎血管疾患、肺高血圧症、血管炎、急性冠症候群および心血管リスクの修正の処置における使用のためのものである、式(I)もしくは(II)の化合物または前記化合物の薬学的に許容できる塩を含む組成物の使用を含む。
【0055】
本発明の第1および第2の態様の別の実施形態は、そのような処置を必要とするヒト等の哺乳動物に、治療有効量の式(I)もしくは(II)の化合物または前記化合物の薬学的に許容できる塩を投与することを含む、心不全、うっ血性心不全、冠状動脈性心疾患、末梢血管疾患、腎血管疾患、肺高血圧症、血管炎、急性冠症候群および心血管リスクの修正を処置する際の医薬の製造のための、式(I)もしくは(II)の化合物または前記化合物の薬学的に許容できる塩を含む組成物の使用を含む。
【0056】
本発明の第1および第2の態様の別の実施形態は、医薬として使用するための、特に、前記医薬が、そのような処置を必要とするヒト等の哺乳動物に、治療有効量の式(I)もしくは(II)の化合物または前記化合物の薬学的に許容できる塩を投与することを含む、I型糖尿病、II型真性糖尿病、特発性I型糖尿病(Ib型)、成人潜在性自己免疫性糖尿病(LADA)、早期発症型2型糖尿病(EOD)、若年発症型非定型糖尿病(YOAD)、若年発生成人型糖尿病(MODY)、栄養不良関連糖尿病、妊娠性糖尿病、冠状動脈性心疾患、虚血性脳卒中、血管形成術後の再狭窄、末梢血管疾患、間欠性跛行、心筋梗塞、脂質異常症、食後脂肪血症、耐糖能異常(IGT)の状態、空腹時血漿グルコース異常の状態、代謝性アシドーシス、ケトン症、関節炎、糖尿病性網膜症、黄斑変性、白内障、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、慢性腎不全、糖尿病性神経障害、代謝症候群、症候群X、高血糖症、高インスリン血症、高トリグリセリド血症、インスリン抵抗性、グルコース代謝異常、皮膚および結合組織障害、足潰瘍および潰瘍性結腸炎、内皮機能不全および血管コンプライアンス異常、高アポBリポタンパク質血症、ならびにメープルシロップ尿症の処置における使用のためのものである、式(I)もしくは(II)の化合物または前記化合物の薬学的に許容できる塩を含む組成物の使用を含む。
【0057】
本発明の第1および第2の態様の別の実施形態は、そのような処置を必要とするヒト等の哺乳動物に、治療有効量の式(I)もしくは(II)の化合物または前記化合物の薬学的に許容できる塩を投与することを含む、I型糖尿病、II型真性糖尿病、特発性I型糖尿病(Ib型)、成人潜在性自己免疫性糖尿病(LADA)、早期発症型2型糖尿病(EOD)、若年発症型非定型糖尿病(YOAD)、若年発生成人型糖尿病(MODY)、栄養不良関連糖尿病、妊娠性糖尿病、冠状動脈性心疾患、虚血性脳卒中、血管形成術後の再狭窄、末梢血管疾患、間欠性跛行、心筋梗塞、脂質異常症、食後脂肪血症、耐糖能異常(IGT)の状態、空腹時血漿グルコース異常の状態、代謝性アシドーシス、ケトン症、関節炎、糖尿病性網膜症、黄斑変性、白内障、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、慢性腎不全、糖尿病性神経障害、代謝症候群、症候群X、高血糖症、高インスリン血症、高トリグリセリド血症、インスリン抵抗性、グルコース代謝異常、皮膚および結合組織障害、足潰瘍および潰瘍性結腸炎、内皮機能不全および血管コンプライアンス異常、高アポBリポタンパク質血症、ならびにメープルシロップ尿症を処置する際の医薬の製造のための、式(I)もしくは(II)の化合物または前記化合物の薬学的に許容できる塩を含む組成物の使用を含む。
【0058】
本発明の第1および第2の態様の別の実施形態は、医薬として使用するための、特に、前記医薬が、そのような処置を必要とするヒト等の哺乳動物に、治療有効量の式(I)もしくは(II)の化合物または前記化合物の薬学的に許容できる塩を投与することを含む、肝細胞癌、腎臓腎明細胞癌、頭頸部扁平上皮細胞癌、結腸直腸腺癌、中皮腫、胃腺癌、副腎皮質癌、乳頭状腎細胞癌、頸部および子宮頚管内の癌(cervical and endocervical carcinoma)、膀胱尿路上皮癌、または肺腺癌の処置における使用のためのものである、式(I)もしくは(II)の化合物または前記化合物の薬学的に許容できる塩を含む組成物の使用を含む。
【0059】
本発明の第1および第2の態様の別の実施形態は、そのような処置を必要とするヒト等の哺乳動物に、治療有効量の式(I)もしくは(II)の化合物または前記化合物の薬学的に許容できる塩を投与することを含む、肝細胞癌、腎臓腎明細胞癌、頭頸部扁平上皮細胞癌、結腸直腸腺癌、中皮腫、胃腺癌、副腎皮質癌、乳頭状腎細胞癌、頸部および子宮頚管内の癌、膀胱尿路上皮癌、または肺腺癌を処置する際の医薬の製造のための、式(I)もしくは(II)の化合物または前記化合物の薬学的に許容できる塩を含む組成物の使用を含む。
【0060】
本発明の組成物は、不斉またはキラル中心に本明細書において記述される化合物を含有してよく、したがって、異なる立体異性形態で存在し得る。別段の定めがない限り、本発明の化合物のすべての立体異性形態およびラセミ混合物を含むそれらの混合物は、本発明の一部を形成することが意図されている。加えて、本発明は、すべての幾何および位置異性体を内包する。例えば、本発明の化合物が二重結合または縮合環を組み込む場合、シスおよびトランス形態の両方ならびに混合物は、本発明の範囲内に内包される。
【0061】
キラル化合物(およびそのキラル前駆体)は、不斉固定相を持つ、ならびに、0から50%までのイソプロパノール、典型的には2から20%まで、および0から5%までのアルキルアミン、典型的には0.1%のジエチルアミン(DEA)またはイソプロピルアミンを含有する炭化水素、典型的にはヘプタンまたはヘキサンからなる移動相を持つ樹脂上で、クロマトグラフィー、典型的には高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)または超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)を使用して、鏡像異性的に富化された形態で取得され得る。溶離液の濃縮は、富化混合物をもたらす。SFCが使用される場合、移動相は、2~50%のアルコール、例を挙げると、メタノール、エタノールまたはイソプロパノールを含有する、超臨界流体、典型的には二酸化炭素からなっていてよい。
【0062】
ジアステレオマー混合物は、クロマトグラフィーおよび/または分別結晶によって等、当業者に周知の方法によって、それらの物理化学的差異に基づいてそれらの個々のジアステレオ異性体に分離され得る。鏡像異性体は、適切な光学活性化合物(例えば、キラルアルコールまたはモーシェル酸クロリド等のキラル補助基)との反応によって鏡像異性混合物をジアステレオマー混合物に変換し、ジアステレオ異性体を分離し、個々のジアステレオ異性体を対応する純粋な鏡像異性体に変換する(例えば、加水分解する)ことによって、分離することができる。鏡像異性体は、キラルHPLCカラムの使用によって分離することもできる。代替として、特異的な立体異性体は、光学活性出発材料を使用することによって、光学活性試薬、基質、触媒もしくは溶媒を使用する不斉合成によって、または1つの立体異性体を不斉転換によって他のものに変換することによって、合成されてよい。
【0063】
本発明の組成物が、2つ以上の立体中心を保有し絶対または相対立体化学が名称に記されている化合物を含有する場合、呼称RおよびSは、各分子について従来のIUPAC番号スキームに従う番号の昇順(1、2、3等)の各立体中心をそれぞれ指す。本発明の化合物が、1つまたは複数の立体中心を保有し、立体化学が名称にも構造にも記されていない場合、該名称または構造は、ラセミ形態を含む化合物のすべての形態を包含するように意図されていることが理解される。
【0064】
本発明の組成物に含有される化合物は、オレフィン様二重結合を含有してよい。そのような結合が存在する場合、本発明の化合物は、シスおよびトランス配置としてならびにそれらの混合物として存在する。用語「シス」は、2つの置換基の互いおよび環平面に対する配向(両方「上」または両方「下」のいずれか)を指す。同様に、用語「トランス」は、2つの置換基の互いおよび環平面に対する配向(置換基は環の反対側にある)を指す。
【0065】
本明細書において記述される中間体および化合物は、異なる互変異性形態で存在し得ることも可能であり、すべてのそのような形態は本発明の範囲内に内包される。用語「互変異性体」または「互変異性形態」は、低エネルギー障壁を介して相互交換可能である異なるエネルギーの構造異性体を指す。例えば、プロトン互変異性体(プロトトロピック互変異性体としても公知)は、ケト-エノールおよびイミン-エナミン異性化等のプロトンの移動を介する相互変換を含む。
【0066】
原子価互変異性体は、結合性電子のいくつかの再編成による相互変換を含む。
【0067】
本明細書において記述されるすべての化合物の範囲内に含まれ、本発明の組成物に含有されるものは、複数種の異性を呈する化合物およびその1つまたは複数の混合物を含む、式(I)または(II)の化合物のすべての立体異性体、幾何異性体および互変異性形態を含む。対イオンが光学活性である酸付加もしくは塩基塩、例えば、D-乳酸もしくはL-リジン、またはラセミである該塩、例えば、DL-酒石酸またはDL-アルギニンも含まれる。
【0068】
本発明の組成物は、1個または複数の原子が、同じ原子数であるが自然界において通常見られる原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子によって置きかえられている、式(I)または(II)のすべての薬学的に許容できる同位体標識化合物を含む。
【0069】
本発明の化合物への包含に好適な同位体の例は、HおよびH等の水素、11C、13Cおよび14C等の炭素、36Cl等の塩素、18F等のフッ素、123I、124Iおよび125I等のヨウ素、13Nおよび15N等の窒素、15O、17Oおよび18O等の酸素、32P等のリン、ならびに35S等の硫黄の同位体を含む。
【0070】
式(I)または(II)のある特定の同位体標識化合物、例えば、放射性同位体を組み込んだものは、薬物および/または基質組織分布研究において有用である。放射性同位体トリチウム、すなわちH、および炭素-14、すなわち14Cは、それらの組み込みの容易性および即時の検出手段を考慮すると、この目的のために特に有用である。
【0071】
重水素、すなわちH等のより重い同位体による置換は、より優れた代謝安定性から生じるある特定の治療上の利点、例えば、インビボ半減期の増大または必要投薬量の低減をもたらし得、故にいくつかの状況において好ましい場合がある。
【0072】
11C、18F、15Oおよび13N等の陽電子放出同位体による置換は、基質受容体占有率を検査するための陽電子放出断層撮影(PET)研究において有用となり得る。
【0073】
式(I)または(II)の同位体標識化合物は、概して、当業者に公知である従来の技術によって、または添付の実施例および調製において記述されているものに類似のプロセスによって、先に用いた非標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を使用して調製することができる。
【0074】
本発明の組成物に含有される化合物は、単離され、それ自体、または可能な場合その薬学的に許容できる塩の形態で使用され得る。用語「塩」は、本発明の化合物の無機および有機塩を指す。これらの塩は、化合物の最終単離および精製中にインサイチュで、または化合物を好適な有機もしくは無機酸で別個に処理し、このように形成された塩を単離することによって、調製することができる。
【0075】
用語「薬学的に許容できる塩」内に包含される塩は、概して、遊離塩基を好適な有機または無機酸と反応させて、患者への投与に好適な本発明の化合物の塩を提供することによって調製される、本発明の化合物を指す。好適な酸付加塩は、非毒性塩を形成する酸から形成される。例は、酢酸塩、アジピン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、べシル酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、ホウ酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、シクラミン酸塩、エジシル酸塩、エシル酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グロクロン酸塩、六フッ化リン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフチル酸塩、2-ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロチン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、ピログルタミン酸塩、糖酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、トリフルオロ酢酸塩およびキシナホ酸塩(xinofoate)を含む。例えば、Bergeら、J.Pharm.Sci.66、1~19(1977);Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use、StahlおよびWermuth著(Wiley-VCH、2002)を参照されたい。
【0076】
本発明の組成物に含有される式(I)または(II)の化合物および薬学的に許容できるその塩は、非溶媒和および溶媒和形態で存在し得る。用語「溶媒和物」は、本明細書において、式(I)もしくは(II)の化合物または薬学的に許容できるその塩と、1つまたは複数の薬学的に許容できる溶媒分子、例えばエタノールを含む分子錯体を記述するために使用される。用語「水和物」は、前記溶媒が水である場合に用いられる。
【0077】
有機水和物のための現在認可されている分類システムは、単離された部位、チャネルまたは金属イオン配位水和物を定義するものである。Polymorphism in Pharmaceutical Solids、K.R.Morris著(H.G.Brittain編、Marcel Dekker、1995)を参照されたい。単離部位水和物は、有機分子を介在させることによって水分子が互いの直接接触から単離されているものである。チャネル水和物では、水分子が格子チャネルにあり、ここで水分子は他の水分子に隣接している。金属イオン配位水和物では、水分子は金属イオンと結合している。
【0078】
溶媒または水が密接に結合している場合、錯体は、湿度とは無関係な明確に定義された化学量論を有し得る。しかしながら、溶媒または水がチャネル溶媒和物および吸湿性化合物のように弱く結合している場合、水/溶媒含有量は、湿度および乾燥条件に依存し得る。そのような場合は、非化学量論が標準となる。
【0079】
本発明の範囲内には、薬物および少なくとも1つの他の成分が化学量論または非化学量論量で存在する、組成物における多成分錯体(塩および溶媒和物以外)の使用も含まれる。この種類の錯体は、クラスレート(薬物宿主包接錯体)および共結晶を含む。後者は、典型的には、非共有相互作用を介して互いに結合した中性分子構成要素の結晶性錯体として定義されるが、中性分子と塩との錯体であってもよい。共結晶は、融解結晶化によって、溶媒からの再結晶によって、または成分を一緒に物理的に細砕することによって調製され得る。Chem Commun、17、1889~1896、O.AlmarssonおよびM.J.Zaworotko著(2004)を参照されたい。多成分錯体の一般的総説については、J Pharm Sci、64(8)、1269~1288、Haleblian著(1975年8月)を参照されたい。
【0080】
本発明の組成物は、上記で定義されている通りの式(I)または(II)の化合物、下記で定義する通りの多形体およびそれらの異性体(光学、幾何および互変異性異性体を含む)、ならびに式(I)または(II)の同位体標識化合物を含む。
【0081】
本発明の組成物に含有される化合物は、プロドラッグとして投与され得る。故に、それら自体は薬理活性をほとんどまたは全く有さない場合がある式(I)または(II)の化合物のある特定の誘導体は、体内または体表に投与されると、例えば加水分解開裂によって、所望の活性を有する式(I)または(II)の化合物に変換され得る。そのような誘導体を、「プロドラッグ」と称する。[プロドラッグの使用についてのさらなる情報は、「Pro-drugs as Novel Delivery Systems、第14巻、ACS Symposium Series(T HiguchiおよびW Stella)ならびに「Bioreversible Carriers in Drug Design」、Pergamon Press、1987(E.B.Roche編、American Pharmaceutical Association)において見ることができる。]
【0082】
プロドラッグは、例えば、式(I)または(II)の化合物中に存在する適切な官能基を、例えば、「Design of Prodrugs」、H.Bundgaard著(Elsevier、1985)において記述されている通りの「プロ部分」として当業者に公知のある特定の部分で置きかえることによって、生成することができる。
【0083】
そのようなプロドラッグのいくつかの例は、
(i)式(I)または(II)の化合物がアルコール官能基(-OH)、そのエステルを含有する場合、例えば、水素の(C~C)アルカノイルオキシメチルによる置きかえ、またはリン酸エステル(PO)もしくは薬学的に許容できるその塩、および
(ii)アミノNH基の水素が(C~C10)アルカノイルまたは(C~C10)アルコキシカルボニルでそれぞれ置きかえられている、式(I)または(II)中に存在するアミノ官能基のアミドまたはカルバメート
を含む。
【0084】
式(I)または(II)の化合物(プロドラッグを含む)、すなわち、薬物の投与時に、多くの場合、酸化または脱アルキル化によってインビボで形成される化合物の活性代謝物を含有する組成物も、本発明の範囲内に含まれる。本発明に従う代謝物のいくつかの例は、
(i)式(I)または(II)の化合物がメチル基を含有する場合、そのヒドロキシメチル誘導体(-CH→-CHOH)、および
(ii)式(I)または(II)の化合物がアルコキシ基を含有する場合、そのヒドロキシ誘導体(-OR→-OH)
を含む。
【0085】
本発明の組成物は、1つまたは複数の結晶形態の化合物(概して「多形体」と称する)を含有してよい。多形体は、種々の条件下、例えば、再結晶のための異なる溶媒もしくは異なる溶媒混合物を使用する結晶化;異なる温度での結晶化;ならびに/または結晶化中の非常に速いから非常に遅い冷却に及ぶ種々の冷却モードによって調製され得る。多形体は、本発明の化合物を加熱または融解すること、続いて、徐または急速冷却によって取得してもよい。多形体の存在は、固体プローブNMRスペクトル法、IRスペクトル法、示差走査熱量測定、粉末X線回折またはそのような他の技術によって決定され得る。
【0086】
概して、本発明の組成物に含有される化合物は、化学分野で公知のものに類似のプロセスを含むプロセスによって、特に本明細書に含有される記述を踏まえて、作製することができる。本発明の化合物の製造のためのある特定のプロセスは、本発明のさらなる特色として提供され、下記の反応スキームによって例証される。他のプロセスは、実験の項において記述され得る。式(I)または(II)の化合物の調製のための具体的な合成スキームは、以下で概説する。テトラゾールは概して高エネルギー官能基であり、テトラゾール含有分子の合成および取り扱いにおいては注意を払うべきであることに留意されたい。
【0087】
式(I)または(II)化合物の調製における最初の注記として、本明細書において記述される化合物の調製に有用な調製方法のいくつかは、遠隔官能基(例えば、式(I)または(II)前駆体中の第一級アミン、第二級アミン、カルボキシル)の保護を必要とし得ることに留意されたい。そのような保護の必要性は、遠隔官能基の性質および調製方法の条件に応じて変動することになる。そのような保護の必要性は、当業者によって容易に決定される。そのような保護/脱保護方法の使用も、当業者が備える技能の範囲内である。保護基の概要およびそれらの使用については、T.W.Greene、Protective Groups in Organic Synthesis、John Wiley&Sons、New York、1991を参照されたい。
【0088】
例えば、ある特定の化合物は、保護しないまま放置すると、分子の他の部位における反応に干渉し得る第一級アミンまたはカルボン酸官能基を含有する。したがって、そのような官能基は、その後のステップで除去され得る適切な保護基によって保護されてよい。アミンおよびカルボン酸保護のための好適な保護基は、ペプチド合成において一般的に使用される保護基(アミンにはN-tert-ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルおよび9-フルオレニルメチレンオキシカルボニル(fluorenylmethylenoxycarbonyl)、ならびにカルボン酸には低級アルキルまたはベンジルエステル等)を含み、これらは概して、記述されている反応条件下では化学的に反応性でなく、典型的には、式(I)または(II)化合物中の他の官能基を化学的に変化させることなく除去され得る。
【0089】
本発明の組成物に含有される化合物は、化学分野で周知のものに類似のプロセスを含む合成ルートによって、特に本明細書に含有される記述を踏まえて、合成され得る。出発材料は、概して、MilliporeSigma(Milwaukee、WI)等の商業的供給源から入手可能であるか、または当業者に周知の方法を使用して容易に調製される(例えば、Louis F.FieserおよびMary Fieser、Reagents for Organic Synthesis、第1~19巻、Wiley、New York(1967~1999年版)、またはBeilsteins Handbuch der organischen Chemie、第4版、Springer-Verlag編、Berlin、付録を含む(Beilsteinオンラインデータベースを介しても利用可能)に概して記述されている方法によって調製される)。本明細書において使用される化合物の多くは、大きな科学的関心および実需がある化合物に関連するまたはそれに由来し、したがって、多くのそのような化合物が、市販されているか、または文献において報告されているか、または文献において報告されている方法によって他の市販されている物質から簡単に調製される。
【0090】
個々の反応ステップの詳細な記述は、以下の実施例の項において提供される。当業者ならば、他の合成ルートを使用して化合物を合成してよいことが分かるであろう。具体的な出発材料および試薬について以下で論じるが、様々な誘導体および/または反応条件を提供するために他の出発材料および試薬で簡単に代用することができる。加えて、後述する方法によって調製される化合物の多くは、本開示を踏まえ、当業者に周知である従来の化学を使用して、さらに修飾することができる。
【0091】
本発明の第3の態様は、治療有効量の約10mgから約1000mgまでの2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドまたは薬学的に許容できるその塩と、薬学的に許容できる添加剤とを含む医薬組成物を対象とする。ある特定の実施形態では、2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドまたは薬学的に許容できるその塩の治療有効量は、約10mgである。ある特定の実施形態では、2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドまたは薬学的に許容できるその塩の治療有効量は、約20mgである。ある特定の他の実施形態では、2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドまたは薬学的に許容できるその塩の治療有効量は、約40mgである。ある特定の他の実施形態では、2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドまたは薬学的に許容できるその塩の治療有効量は、約80mgである。
【0092】
本発明の第4の態様は、2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドまたは薬学的に許容できるその塩と、4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸または薬学的に許容できるその塩とを含む医薬組成物を対象とする。
【0093】
本発明の第5の態様は、治療有効量約10mgから約1000mgまでの2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドまたは薬学的に許容できるその塩と、治療有効量の約5mgから約60mgまでの4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸または薬学的に許容できるその塩とを含む医薬組成物を対象とする。ある特定の実施形態では、2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドまたは薬学的に許容できるその塩は、約10mgから、約20mgから、約40mgから、または約80mgからの量で投与される。ある特定の他の実施形態では、4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸または薬学的に許容できるその塩は、約5mgから、約10mgから、約15mgから、または約20mgからの量で投与される。ある特定の他の実施形態では、医薬組成物は、1日に1回投与される。ある特定の他の実施形態では、医薬組成物は、1日に2回投与される。
【0094】
本発明の上記で言及した態様のいずれか1つでは、医薬組成物は、2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドを、構造:
【0095】
【化4】
を有する結晶または薬学的に許容できるその塩として含有してよい。ある特定の実施形態では、上記の結晶構造は、(CuKα放射線、1.54056Åの波長)7.2±0.2、14.5±0.2、15.8±0.2および27.7±0.2の2シータ値を含む粉末x線回折パターンを有する。ある特定の実施形態では、結晶は、化合物のp-トルエンスルホン酸塩を含む。ある特定の他の実施形態では、結晶は、(CuKα放射線、1.54056Åの波長)3.8±0.2、7.7±0.2、8.8±0.2、22.4±0.2および24.6±0.2の2シータ値を含む粉末x線回折パターンを有する。
【0096】
本発明の上記で言及した態様のいずれか1つでは、医薬組成物は、4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸を、構造:
【0097】
【化5】
の結晶性固体または薬学的に許容できるその塩としてさらに含む。ある特定の実施形態では、結晶性固体は、4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸の2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3-ジオール塩である。
【0098】
4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸(「化合物A」とも称される)は、選択的ACC阻害剤であり、国際出願公開第PCT/IB2011/054119号の米国国内移行であるUS8,859,577の実施例9において遊離酸として調製され、これらのすべては、あらゆる目的のための参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。該化合物の結晶形態は、2019年5月31日にWO2019/102311として公開された国際特許出願公開第PCT/IB2018/058966号において記述されている。
【0099】
ACC阻害剤の投与は、肝臓のトリグリセリドを低下させるプラス効果およびNASHの処置に対する潜在的に他の有益な効果を有し得るように思われる。循環トリグリセリドレベルの増大は、肝臓ACC阻害の機械的な結果であると報告されているが(Kimら、2017)、DNLを部分的にしか阻害しないACC阻害剤の用量は、循環トリグリセリドの上昇を生成しないことがある(Bergmanら、(2018)J.of Hepatology、第68巻、S582)。WO2016/112305は、ACC阻害剤を単独でまたは1つもしくは複数の追加の治療剤と組み合わせて使用して、非アルコール性脂肪肝疾患を処置する、安定させるまたはその重症度もしくは進行を減らす方法を提供する。薬学的に許容できる塩として投与されていてもよい4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸の投与は、ヒト対象で観察されたように、西洋食給餌スプラーグドーリーラットにおいて循環トリグリセリドの上昇(概して血漿から測定される)をもたらす潜在性を有することが発見された。加えて、血小板の減少が4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸の投与で報告されている(Bergman,A.ら、「Safety, tolerability, pharmacokinetics and pharmacodynamics of a liver-targerting ACC inhibitor following single and multiple oral doses」、J.Hepatology、2018年4月、第68巻、付録1、S582頁。
【0100】
処置方法
肝生検は、依然としてNASH患者の同定のための標準であるが、炎症性肝疾患患者を同定するための非侵襲的方法が、Drescher,H.ら(「Current status in testing for nonalcoholic fatty liver disease(NAFLD)and non-alcoholic steatohepatitis (NASH)、Cells 2019、8、845)によって記述されている。これらの非侵襲的代理マーカーは、炎症性肝疾患(肝臓脂肪症、脂肪性肝炎および線維症)を同定するための手段および特異的療法の効能の尺度として信頼を得ることに成功している、血液検査、肝機能検査および撮像を含む。
【0101】
肝臓脂肪症(脂肪症)は、NAFLDにおける主要な要因である。現在存在する特異的な血清マーカーはないが、脂肪症を評価するために利用され得るいくつかの血液バイオマーカーパネルがある。これらの血液バイオマーカーは、i)NAFLDリッジスコア(パラメーターは、ALT、HDL、コレステロール、トリグリセリド、HbA1c、白血球数高血圧症を含む);ii)NAFLD肝臓脂肪スコア(NLFS)(パラメーターは、肝臓脂肪含有量、代謝症候群、2型糖尿病、AST、AST:ALT、空腹時インスリンを含む);iii)肝臓脂肪症指数(HIS)(パラメーターは、AST、ALT、BMI、糖尿病、性別を含む);iv)脂肪肝指数(FLI)(パラメーターは、BMI、胴囲、トリグリセリド、γ-グルタミルトランスフェラーゼを含む);v)脂肪蓄積量指数(LAP)(パラメーターは、性別、トリグリセリド、重量周囲を含む);vi)脂肪肝の進行阻害(FLIP)アルゴリズム(パラメーターは、組織学的脂肪症、疾患活動性、線維症スコアを含む);vii)CHekスコア(パラメーターは、年齢、HbA1c、γ-グルタミルトランスフェラーゼ、アディポネクチン、M30を含む);viii)NAFLD線維症スコア(NFS)(パラメーターは、AST:ALT、アルブミン、血小板数、年齢、BMI、高血糖症を含む);ix)線維症-4-スコア(FIB-4)(パラメーターは、AST、ALT、血小板数、年齢を含む);x)AST対血小板比指数(APRI)(パラメーターは、AST、血小板数を含む);xi)BARDスコア(パラメーターは、BMI、AST:ALT、糖尿病を含む);xii)強化された肝線維症パネル(ELF)(パラメーターは、年齢、TIMP-1、PIIINP、ヒアルロン酸を含む);xiii)Hepaスコア(パラメーターは、ビリルビン、γ-グルタミルトランスフェラーゼ、ヒアルロン酸、αマクログロブリン(macroglobilin)、年齢、ジェンダーを含む);xiv)フィブロテスト-フィブロSURE/アクチテスト(パラメーターは、αマクログロブリン、ハプトグロビン、γ-グルタミルトランスフェラーゼ、総ビリルビン、アポリポタンパク質A1、ALT、年齢、ジェンダーを含む);ならびに、xv)フィブロメーターNAFLD指数(パラメーターは、血小板数、プロトロンビン指数、フェリチン、AST、ALT、体重、年齢、バイブレーションコントロールドトランジエントエラストグラフィによって決定される肝臓剛性を含む)を含み得るがこれらに限定されない。各バイオマーカーについて同定されたパラメーターは、肝臓損傷/機能不全(例えば、AST、ALT、γ-GT、血小板数、ハプトグロビン)、脂質代謝障害(例えば、コレステロール、トリグリセリド)、糖尿病(例えば、HbA1c、空腹時(fastin)インスリンレベル)、炎症(例えば、αマクログロブリン、フェリチン)の評価を援助する。
【0102】
撮像技術は、NAFLD/NASH患者を同定するために生検および血液バイオマーカーと併せて使用することもできる。撮像技術は、超音波(例えば、造影超音波(CEUS));超音波ベースのエラストグラフィ(例えば、バイブレーションコントロールドトランジエントエラストグラフィ(VCTE;フィブロスキャン)、リアルタイムせん断波エラストグラフィ(SWE)、音響放射力インパルスエラストグラフィ(ARFI)、超音速せん断撮像(SSI));制御減衰パラメーター;MRIプロトン密度脂肪率(MRI-PDFF)等の磁気共鳴撮像(MRI);ならびに磁気共鳴エラストグラフィ(MRE)を含むがこれらに限定されない。
【0103】
患者において炎症性肝疾患を同定するための上記で言及した方法および手段に加えて、NASHにおける第III相研究のための規制当局に認められた条件付承認は、肝生検によって取得される組織学的代理マーカーに基づく。これらの一般に許容されている代理は、i)線維症の悪化(すなわち、線維症段階における数値的増大)のないNASHの消散;ii)NASHの悪化のない線維症における1つまたは複数の段階低減である。詳細は、Ratziu、A critical review of endpoints for non-cirrhotic NASH therapeutic trials、Journal of Hepatology、2018、68.353~361およびその中の参考文献において見られ得る。
【0104】
加えて、規制当局は、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)活性スコア(NAS)におけるベースラインからの変化に目を向けている。NAFLD活性スコア(NAS)は、肝生検の一元化された病理学者スコアリングからの、脂肪症グレード(0~3)、小葉炎症グレード(0~3)および肝細胞風船化グレード(0~2)の和に等しい複合スコアである。NASの全体的な規模は0~8であり、より高いスコアはより重度の疾患を指し示す。転帰尺度、NAFLD活性スコア(NAS)におけるベースラインからの変化は、-8から+8までの可能な範囲を有し、負の値はより良好な転帰(改善)を指し示し、正の値はより悪い転帰を指し示す。NASの構成要素は、次の通りにスコア付けされる:脂肪症グレード0=5%未満脂肪症、1=5~33%脂肪症、2=34~66%脂肪症、3=66%超脂肪症。小葉炎症グレード=小葉炎症の量(単核、脂肪肉芽腫および多形核(pmn)病巣を合わせたもの):0=0、1=20倍の倍率で2未満、2=20倍の倍率で2~4、3=20倍の倍率で4超。肝細胞風船化0=なし、1=軽度、2=軽度を超える。
【0105】
ある特定の実施形態では、本発明は、脂肪肝、非アルコール性脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、肝線維症を伴う非アルコール性脂肪性肝炎、肝硬変を伴う非アルコール性脂肪性肝炎または肝硬変および肝細胞癌を伴う非アルコール性脂肪性肝炎を処置する方法であって、そのような処置を必要とするヒトに、治療有効量の、上記の態様1~5において記述されている組成物のいずれかを投与するステップを含む方法を対象とする。
【0106】
ある特定の実施形態では、本発明は、脂肪肝、アルコール性脂肪肝疾患、アルコール性脂肪性肝炎、肝線維症を伴うアルコール性脂肪性肝炎、肝硬変を伴うアルコール性脂肪性肝炎または肝硬変および肝細胞癌を伴うアルコール性脂肪性肝炎を処置する方法であって、そのような処置を必要とするヒトに、治療有効量の、上記の態様1~5において記述されている組成物のいずれかを投与するステップを含む方法を対象とする。
【0107】
ある特定の実施形態では、本発明は、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)活性スコア(NAS)の重症度におけるベースラインからの少なくとも1ポイントの低減のための方法であって、ヒトにおけるベースラインNASを測定するステップと、前記ヒトに、治療有効量の、上記の態様1~5において記述されている組成物のいずれかを投与するステップと、前記ヒトのNASを測定するステップとを含む方法を対象とする。
【0108】
ある特定の実施形態では、本発明は、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)活性スコア(NAS)の重症度におけるベースラインからの少なくとも2ポイントの低減のための方法であって、ヒトにおけるベースラインNASを測定するステップと、前記ヒトに、治療有効量の、上記の態様1~5において記述されている組成物のいずれかを投与するステップと、前記ヒトのNASを測定するステップとを含む方法を対象とする。
【0109】
ある特定の実施形態では、本発明は、アテローム性動脈硬化、脳卒中、心筋梗塞、大動脈血管疾患、脳血管疾患、腎臓血管疾患、心不全、心房細動または冠状動脈性心疾患から選択される心血管疾患または状態を処置する方法であって、そのような処置を必要とするヒトに、治療有効量の、上記の態様1~5において記述されている組成物を投与するステップと、前記ヒトのNASを測定するステップとを含む方法を対象とする。
【0110】
ある特定の実施形態では、本発明は、肥満、脂質異常症、2型真性糖尿病、2型真性糖尿病患者における血糖コントロール、耐糖能異常(IGT)の状態、空腹時血漿グルコース異常の状態、代謝症候群、症候群X、高血糖症、高インスリン血症、インスリン抵抗性またはグルコース代謝異常から選択される代謝性疾患または状態を処置する方法であって、そのような処置を必要とするヒトに、治療有効量の、上記の態様1~5において記述されている組成物を投与するステップと、前記ヒトのNASを測定するステップとを含む方法を対象とする。
【0111】
ある特定の実施形態では、本発明は、高トリグリセリド血症、アテローム性動脈硬化、心筋梗塞、脂質異常症、冠状動脈性心疾患、高アポBリポタンパク質血症、虚血性脳卒中、2型真性糖尿病、2型真性糖尿病患者における血糖コントロール、耐糖能異常(IGT)の状態、空腹時血漿グルコース異常の状態、代謝症候群、症候群X、高血糖症、高インスリン血症、インスリン抵抗性、グルコース代謝異常を処置する方法であって、そのような処置を必要とするヒトに、治療有効量の、上記の態様1~5において記述されている組成物を投与するステップと、前記ヒトのNASを測定するステップとを含む方法を対象とする。
【0112】
固定用量組合せによる処置
第6の態様では、本発明は、脂肪肝、非アルコール性脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、肝線維症を伴う非アルコール性脂肪性肝炎、肝硬変を伴う非アルコール性脂肪性肝炎、ならびに肝硬変および肝細胞癌または代謝関連疾患を伴う非アルコール性脂肪性肝炎から選択される疾患または状態を処置するための方法であって、それを必要とするヒトに、治療有効量約10mgから約1000mgまでの2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドまたは薬学的に許容できるその塩と、約5mgから約60mgまでの4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸または薬学的に許容できるその塩とを含む、治療有効量の組成物を投与するステップを含む方法を対象とする。
【0113】
第7の態様では、本発明は、脂肪肝、アルコール性脂肪肝疾患、アルコール性脂肪性肝炎、肝線維症を伴うアルコール性脂肪性肝炎、肝硬変を伴うアルコール性脂肪性肝炎、ならびに肝硬変および肝細胞癌または代謝関連疾患を伴うアルコール性脂肪性肝炎から選択される疾患または状態を処置するための方法であって、それを必要とするヒトに、治療有効量約10mgから約1000mgまでの2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドまたは薬学的に許容できるその塩と、約5mgから約60mgまでの4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸または薬学的に許容できるその塩とを含む、治療有効量の組成物を投与するステップを含む方法を対象とする。
【0114】
第8の態様では、本発明は、アテローム性動脈硬化、脳卒中、心筋梗塞、大動脈血管疾患、脳血管疾患、腎臓血管疾患、心不全、心房細動または冠状動脈性心疾患から選択される心血管疾患または状態を処置するための方法であって、それを必要とするヒトに、治療有効量約10mgから約1000mgまでの2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドまたは薬学的に許容できるその塩と、約5mgから約60mgまでの4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸または薬学的に許容できるその塩とを含む、治療有効量の組成物を投与するステップを含む方法を対象とする。
【0115】
第9の態様では、本発明は、肥満、脂質異常症、2型真性糖尿病、2型真性糖尿病患者における血糖コントロール、耐糖能異常(IGT)の状態、空腹時血漿グルコース異常の状態、代謝症候群、症候群X、高血糖症、高インスリン血症、インスリン抵抗性またはグルコース代謝異常から選択される代謝性疾患または状態を処置するための方法であって、それを必要とするヒトに、治療有効量約10mgから約1000mgまでの2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドまたは薬学的に許容できるその塩と、約5mgから約60mgまでの4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸または薬学的に許容できるその塩とを含む、治療有効量の組成物を投与するステップを含む方法を対象とする。
【0116】
態様6から9のいずれか1つにおけるある特定の実施形態では、組成物は、1日に1回投与される。ある特定の他の実施形態では、組成物は、1日に2回投与される。
【0117】
態様6から9のいずれか1つにおけるある特定の実施形態では、医薬組成物は、2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドを、構造:
【0118】
【化6】
を有する結晶または薬学的に許容できるその塩として含有する。ある特定の実施形態では、上記の結晶構造は、(CuKα放射線、1.54056Åの波長)7.2±0.2、14.5±0.2、15.8±0.2および27.7±0.2の2シータ値を含む粉末x線回折パターンを有する。
【0119】
ある特定の実施形態では、結晶は、化合物のp-トルエンスルホン酸塩を含む。ある特定の他の実施形態では、結晶は、(CuKα放射線、1.54056Åの波長)3.8±0.2、7.7±0.2、8.8±0.2、22.4±0.2および24.6±0.2の2シータ値を含む粉末x線回折パターンを有する。
【0120】
態様6から9のいずれか1つにおけるある特定の実施形態では、医薬組成物は、4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸を、構造:
【0121】
【化7】
の結晶性固体または薬学的に許容できるその塩として含有する。ある特定の実施形態では、結晶性固体は、4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸の2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3-ジオール塩である。
【0122】
態様6から9のいずれか1つにおけるある特定の実施形態では、2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドまたは薬学的に許容できるその塩の治療有効量は、約10mgである。ある特定の実施形態では、2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドまたは薬学的に許容できるその塩の治療有効量は、約20mgである。ある特定の他の実施形態では、2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドまたは薬学的に許容できるその塩の治療有効量は、約40mgである。ある特定の他の実施形態では、2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドまたは薬学的に許容できるその塩の治療有効量は、約80mgである。
【0123】
組合せによる処置
第10の態様では、本発明は、脂肪肝、非アルコール性脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、肝線維症を伴う非アルコール性脂肪性肝炎、肝硬変を伴う非アルコール性脂肪性肝炎または肝硬変および肝細胞癌を伴う非アルコール性脂肪性肝炎を処置するための方法であって、そのような処置を必要とするヒトに、治療有効量の2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドまたは薬学的に許容できるその塩を含む第1の組成物を、治療有効量の4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸または薬学的に許容できるその塩を含む第2の組成物と組み合わせて投与するステップを含む方法も対象とする。ある特定の実施形態では、第1および第2の組成物は、同時に投与される。ある特定の他の実施形態では、第1および第2の組成物は、順次に投与される。
【0124】
第11の態様では、本発明は、ヒトにおける、非アルコール性脂肪肝疾患もしくは非アルコール性脂肪性肝炎等級付けスコアリングシステムの重症度における少なくとも1ポイントの低減、非アルコール性脂肪性肝炎活性の血清マーカーのレベルの低減、非アルコール性脂肪性肝炎疾患活動性の低減または非アルコール性脂肪性肝炎の医学的結果における低減のための方法であって、そのような低減を必要とする患者に、治療有効量の2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドまたは薬学的に許容できるその塩を、少なくとも治療有効量の4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸または薬学的に許容できるその塩と組み合わせて投与するステップを含む方法も対象とする。
【0125】
第12の態様では、本発明は、ヒトにおける、脂肪肝、非アルコール性脂肪肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、肝線維症を伴う非アルコール性脂肪性肝炎、肝硬変を伴う非アルコール性脂肪性肝炎、または肝硬変および肝細胞癌を伴う非アルコール性脂肪性肝炎を処置するための方法であって、そのような処置を必要とするヒトに、治療有効量の第1および第2の組成物を投与し、第3の組成物を投与してもよいステップを含み、ここで、
i.第1の組成物は、2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドまたは薬学的に許容できるその塩と、薬学的に許容できる添加剤とを含み、
ii.第2の組成物は、4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸または薬学的に許容できるその塩と、薬学的に許容できる添加剤とを含み、
iii.第3の組成物は、抗炎症剤、抗糖尿病剤、抗線維化剤、抗脂肪症剤、コレステロール/脂質修飾剤および抗糖尿病剤からなる群から選択される医薬作用物質と、薬学的に許容できる添加剤とを含む、
方法も対象とする。
【0126】
第13の態様では、本発明は、心不全、うっ血性心不全、冠状動脈性心疾患、末梢血管疾患、腎血管疾患、肺高血圧症、血管炎、急性冠症候群および心血管リスクの修正を処置する方法であって、そのような処置を必要とするヒトに、治療有効量の2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドまたは薬学的に許容できるその塩を、少なくとも治療有効量の4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸または薬学的に許容できるその塩と組み合わせて投与するステップを含む方法も対象とする。
【0127】
第14の態様では、本発明は、肥満、I型糖尿病、II型真性糖尿病、特発性I型糖尿病(Ib型)、成人潜在性自己免疫性糖尿病(LADA)、早期発症型2型糖尿病(EOD)、若年発症型非定型糖尿病(YOAD)、若年発生成人型糖尿病(MODY)、栄養不良関連糖尿病、妊娠性糖尿病、冠状動脈性心疾患、虚血性脳卒中、血管形成術後の再狭窄、末梢血管疾患、間欠性跛行、心筋梗塞、脂質異常症、食後脂肪血症、耐糖能異常(IGT)の状態、空腹時血漿グルコース異常の状態、代謝性アシドーシス、ケトン症、関節炎、糖尿病性網膜症、黄斑変性、白内障、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、慢性腎不全、糖尿病性神経障害、代謝症候群、症候群X、高血糖症、高インスリン血症、高トリグリセリド血症、インスリン抵抗性、グルコース代謝異常、皮膚および結合組織障害、足潰瘍および潰瘍性結腸炎、内皮機能不全および血管コンプライアンス異常、高アポBリポタンパク質血症ならびにメープルシロップ尿症を処置する方法であって、そのような処置を必要とするヒトに、治療有効量の2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドまたは薬学的に許容できるその塩を、少なくとも治療有効量の4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸または薬学的に許容できるその塩と組み合わせて投与するステップを含む方法も対象とする。
【0128】
第15の態様では、本発明は、肝細胞癌、腎臓腎明細胞癌、頭頸部扁平上皮細胞癌、結腸直腸腺癌、中皮腫、胃腺癌、副腎皮質癌、乳頭状腎細胞癌、頸部および子宮頚管内の癌、膀胱尿路上皮癌、肺腺癌を処置する方法であって、そのような処置を必要とするヒトに、治療有効量の2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドまたは薬学的に許容できるその塩を、少なくとも治療有効量の4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸または薬学的に許容できるその塩と組み合わせて投与するステップを含む方法も対象とする。
【0129】
態様10から15のいずれか1つにおけるある特定の実施形態では、2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドまたは薬学的に許容できるその塩および4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸または薬学的に許容できるその塩は、1日に1回投与される。
【0130】
態様10から15のいずれか1つにおける別の実施形態では、2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドまたは薬学的に許容できるその塩および4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸または薬学的に許容できるその塩は、1日に2回投与される。
【0131】
態様10から15のいずれか1つにおける別の実施形態では、2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドまたは薬学的に許容できるその塩および4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸または薬学的に許容できるその塩は、同時に(simulataneously)投与される。ある特定の実施形態では、2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドまたは薬学的に許容できるその塩および4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸または薬学的に許容できるその塩は、順次におよび任意の順序で投与される。
【0132】
上記で言及した態様6から15のいずれかでは、組合せの投与は、全肝臓脂肪におけるベースラインから約30%以上の変化を実現する。他の事例では、組合せの投与は、全肝臓脂肪におけるベースラインから約50%以上の変化を実現する。
【0133】
上記で言及した態様6から15のいずれかでは、患者の同定は、1つまたは複数の血液マーカーパネルの使用によるものであってよい。好適な血液マーカーパネルは、NAFLDリッジスコア、NAFLD肝臓脂肪スコア(NLFS)、肝臓脂肪症指数(HIS)、脂肪肝指数(FLI)、脂肪蓄積量指数(LAP)、脂肪肝の進行阻害(FLIP)アルゴリズム、CHeKスコア、NALFD線維症スコア(NFS)、線維症-4スコア(Fib-4)、AST対血小板比指数(APRI)、BARDスコア、強化された肝線維症パネル(ELF)、Hepaスコア、フィブロテスト-フィブロSURE/アクチテスト、フィブロメーターNAFLD指数、および先述の任意の組合せからなる群を含むがこれらに限定されない。
【0134】
ある特定の実施形態では、患者が肝臓脂肪症を有すると同定される場合、利用される血液マーカーパネルは、NAFLDリッジスコアである。別の実施形態では、血液マーカーパネルは、NAFLD肝臓脂肪スコア(NLFS)である。別の実施形態では、血液マーカーパネルは、脂肪肝指数(FLI)である。
【0135】
ある特定の実施形態では、患者が脂肪性肝炎を有すると同定される場合、利用される血液マーカーパネルは、脂肪肝の進行阻害(FLIP)アルゴリズムである。別の実施形態では、血液マーカーパネルは、CHeKスコアである。
【0136】
ある特定の実施形態では、患者が線維症を有すると同定される場合、利用される血液マーカーパネルは、NAFLD線維症スコア(NFS)である。別の実施形態では、血液マーカーパネルは、線維症-4スコア(Fib-4)である。別の実施形態では、血液マーカーパネルは、AST対血小板比指数(APRI)である。別の実施形態では、血液マーカーパネルは、BARDスコアである。
【0137】
上述した方法におけるある特定の他の実施形態では、肝臓脂肪症、脂肪性肝炎または両方を持つ患者を同定するステップは、撮像の使用をさらに含む。撮像は、超音波、超音波ベースのエラストグラフィ、制御減衰パラメーター(CAP)、磁気共鳴撮像(MRI)、磁気共鳴エラストグラフィ、または先述の組合せを含み得るがこれらに限定されない。一実施形態では、撮像は、造影超音波(CEUS)である。別の実施形態では、撮像は、超音波ベースのエラストグラフィであり、バイブレーションコントロールドトランジエントエラストグラフィ(VCTE)、音響放射力インパルスエラストグラフィ(ARFI)、超音速せん断撮像(SSI)、または先述の組合せから選択される。別の実施形態では、撮像は、磁気共鳴撮像(MRI)であり、MRIプロトン密度脂肪率(MRI-PDFF)である。別の実施形態では、撮像は、磁気共鳴エラストグラフィである。
【0138】
上記で言及した態様のいずれかでは、方法は、抗炎症剤、抗糖尿病剤およびコレステロール/脂質修飾剤からなる群から選択される少なくとも1つの追加の医薬作用物質の投与をさらに含む。
【0139】
組合せ剤
本発明の組成物は、単独でまたは1つもしくは複数の追加の治療剤と組み合わせて投与され得る。「組み合わせて投与される」または「併用療法」が意味するのは、本発明の組成物および1つまたは複数の追加の治療剤が、処置されている哺乳動物に同時発生的に投与されることである。組み合わせて投与される場合、各成分は、同時にまたは異なる時点にて任意の順序で順次に投与されてよい。故に、各成分は、所望の治療効果を提供するように、別個にではあるが時間的に十分に近くなるように投与されてよい。語句「同時発生的投与」、「共投与」、「同時投与」および「同時に投与される」は、化合物が組み合わせて投与されることを意味する。故に、本明細書において記述される予防および処置の方法は、組合せ剤の使用を含む。
【0140】
組合せ剤は、哺乳動物に治療有効量で投与される。「治療有効量」が意味するのは、単独でまたは追加の治療剤と組み合わせて哺乳動物に投与される場合に、所望の疾患/状態(例えば、NASH、心不全または糖尿病)を処置するために有効な、本発明の化合物の量である。
【0141】
本発明の組成物のNASH/NAFLD活性を考慮すると、それらは、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)および/または非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)ならびに関連疾患/状態の処置のための他の作用物質、例を挙げると、オルリスタット、TZDおよび他のインスリン感作剤、FGF21類似体、メトホルミン、オメガ-3-酸エチルエステル(例えば、ロバザ)、フィブレート、HMG CoA-レダクターゼ阻害剤、エゼチミブ、プロブコール、ウルソデオキシコール酸、TGR5アゴニスト、FXRアゴニスト、ビタミンE、ベタイン、ペントキシフィリン、CB1アンタゴニスト、カルニチン、N-アセチルシステイン、還元グルタチオン、ロルカセリン、ナルトレキソンとブプロピオン(buproprion)との組合せ、SGLT2阻害剤(ダパグリフロジン、カナグリフロジン、エンパグリフロジン、トフォグリフロジン、エルツグリフロジン、ASP-1941、THR1474、TS-071、ISIS388626およびLX4211ならびにWO2010023594におけるものを含む)、フェンテルミン、トピラメート、GLP-1受容体アゴニスト、GIP受容体アゴニスト、デュアルGLP-1受容体/グルカゴン受容体アゴニスト(例えば、OPK88003、MEDI0382、JNJ-64565111、NN9277、BI456906)、デュアルGLP-1受容体/GIP受容体アゴニスト(例えば、チルゼパチド(LY3298176)、NN9423)、アンジオテンシン受容体遮断薬アセチル-CoAカルボキシラーゼ(ACC)阻害剤、BCKDK阻害剤、ケトヘキソキナーゼ(KHK)阻害剤、ASK1阻害剤、分枝鎖アルファケト酸デヒドロゲナーゼキナーゼ阻害剤(BCKDK阻害剤)、CCR2および/もしくはCCR5の阻害剤、PNPLA3阻害剤、DGAT1阻害剤、FGF21類似体、FGF19類似体、PPARアゴニスト、FXRアゴニスト、AMPK活性化因子(例えば、ETC-1002(ベンペド酸))、SCD1阻害剤またはMPO阻害剤と共投与されてよい。
【0142】
例示的なGLP-1受容体アゴニストは、リラグルチド、アルビグルチド、エキセナチド、アルビグルチド、リキシセナチド、デュラグルチド、セマグルチド、HM15211、LY3298176、Medi-0382、NN-9924、TTP-054、TTP-273、エフェグレナタイド、下記を含む、WO2018109607において記述されているもの、2019年6月11日に出願されたPCT/IB2019/054867において記述されているもの、および2019年6月13日に出願されたPCT/IB2019/054961において記述されているもの:
2-({4-[2-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[2-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-7-フルオロ-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[(2S)-2-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[(2S)-2-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-7-フルオロ-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[2-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[2-(4-シアノ-2-フルオロフェニル)-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[2-(5-クロロピリジン-2-イル)-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[2-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-3-(1,3-オキサゾール-2-イルメチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-5-カルボン酸;
2-({4-[2-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-1-[(1-エチル-1H-イミダゾール-5-イル)メチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[2-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-1-(1,3-オキサゾール-4-イルメチル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[2-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-1-(ピリジン-3-イルメチル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[2-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-1-(1,3-オキサゾール-5-イルメチル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[2-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-1-[(1-エチル-1H-1,2,3-トリアゾール-5-イル)メチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[2-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-1-(1,3-オキサゾール-2-イルメチル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[2-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-7-フルオロ-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[2-(4-シアノ-2-フルオロフェニル)-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-1-(1,3-オキサゾール-2-イルメチル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[(2S)-2-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-7-フルオロ-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[(2S)-2-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[(2S)-2-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-7-フルオロ-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[(2S)-2-(4-シアノ-2-フルオロフェニル)-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[(2S)-2-(5-クロロピリジン-2-イル)-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[(2S)-2-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-1-[(1-エチル-1H-イミダゾール-5-イル)メチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[(2R)-2-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-1-[(1-エチル-1H-イミダゾール-5-イル)メチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[2-(5-クロロピリジン-2-イル)-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[(2S)-2-(5-クロロピリジン-2-イル)-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[(2R)-2-(5-クロロピリジン-2-イル)-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-({4-[2-(5-クロロピリジン-2-イル)-2-メチル-1,3-ベンゾジオキソール-4-イル]ピペリジン-1-イル}メチル)-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸、DIAST-X2;
2-[(4-{2-[(4-クロロ-2-フルオロベンジル)オキシ]ピリジン-3-イル}ピペリジン-1-イル)メチル]-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-[(4-{2-[(4-クロロ-2-フルオロベンジル)オキシ]ピリジン-3-イル}ピペリジン-1-イル)メチル]-1-(1,3-オキサゾール-2-イルメチル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-[(4-{2-[(4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ]ピリジン-3-イル}ピペリジン-1-イル)メチル]-1-(1,3-オキサゾール-2-イルメチル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-[(4-{2-[(4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ]ピリジン-3-イル}ピペリジン-1-イル)メチル]-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-[(4-{3-[(4-クロロ-2-フルオロベンジル)オキシ]ピラジン-2-イル}ピペリジン-1-イル)メチル]-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-(6-{6-[(4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ]ピリジン-2-イル}-6-アザスピロ[2.5]オクタ-1-イル)-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-(6-{2-[(4-クロロ-2-フルオロベンジル)オキシ]-5-フルオロピリミジン-4-イル}-6-アザスピロ[2.5]オクタ-1-イル)-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-(6-{2-[(4-クロロ-2-フルオロベンジル)オキシ]-5-フルオロピリミジン-4-イル}-6-アザスピロ[2.5]オクタ-1-イル)-1-(1,3-オキサゾール-2-イルメチル)-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-(6-{6-[(4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ]-5-フルオロピリジン-2-イル}-6-アザスピロ[2.5]オクタ-1-イル)-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-(6-{6-[(4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ]-3-フルオロピリジン-2-イル}-6-アザスピロ[2.5]オクタ-1-イル)-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-[(4-{2-[(4-クロロ-2-フルオロベンジル)オキシ]ピリミジン-4-イル}ピペリジン-1-イル)メチル]-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-{[(2S)-4-{2-[(4-クロロ-2-フルオロベンジル)オキシ]-5-フルオロピリミジン-4-イル}-2-メチルピペラジン-1-イル]メチル}-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;
2-{[(2S)-4-{2-[(4-クロロ-2-フルオロベンジル)オキシ]ピリミジン-4-イル}-2-メチルピペラジン-1-イル]メチル}-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸;および
2-[(4-{6-[(4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ]ピリジン-2-イル}ピペリジン-1-イル)メチル]-1-[(2S)-オキセタン-2-イルメチル]-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボン酸、ならびに薬学的に許容できるその塩を含む。
【0143】
例示的なACC阻害剤は、4-(4-[(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロ-1’H-スピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-イル)カルボニル]-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸、ゲムカベンおよびフィルソコスタット(GS-0976)ならびに薬学的に許容できるその塩を含む。
【0144】
例示的なFXRアゴニストは、トロピフェクサー(tropifexor)(2-[(1R,3R,5S)-3-({5-シクロプロピル-3-[2-(トリフルオロメトキシ)フェニル]-1,2-オキサゾール-4-イル}メトキシ)-8-アザビシクロ[3.2.1]オクタン-8-イル]-4-フルオロ-1,3-ベンゾチアゾール-6-カルボン酸)、シロフェクサール(cilofexor)(GS-9674)、オベチコール酸、LY2562175、Met409、TERN-101およびEDP-305ならびに薬学的に許容できるその塩を含む。
【0145】
例示的なKHK阻害剤は、[(1R,5S,6R)-3-{2-[(2S)-2-メチルアゼチジン-1-イル]-6-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4-イル}-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ-6-イル]酢酸および薬学的に許容できるその塩を含む。
【0146】
例示的なBCKDK阻害剤は、下記を含む、2019年6月28日に出願された米国特許出願第62/868,057号および2019年6月28日に出願された米国特許出願第62/868,542号において記述されているもの:
5-(5-クロロ-4-フルオロ3-メチルチオフェン-2-イル)-1H-テトラゾール;
5-(5-クロロ-3-ジフルオロメチルチオフェン-2-イル)-1H-テトラゾール;
5-(5-フルオロ-3-メチルチオフェン-2-イル)-1H-テトラゾール;
5-(5-クロロ-3-メチルチオフェン-2-イル)-1H-テトラゾール;
5-(3,5-ジクロロチオフェン-2-イル)-1H-テトラゾール;
5-(4-ブロモ-3-メチルチオフェン-2-イル)-1H-テトラゾール;
5-(4-ブロモ-3-エチルチオフェン-2-イル)-1H-テトラゾール;
5-(4-クロロ-3-エチルチオフェン-2-イル)-1H-テトラゾール;
3-クロロ-5-フルオロチエノ[3,2-b]チオフェン-2-カルボン酸;
3-ブロモ-5-フルオロチエノ[3,2-b]チオフェン-2-カルボン酸;
3-(ジフルオロメチル)-5-フルオロチエノ[3,2-b]チオフェン-2-カルボン酸;
5,6-ジフルオロチエノ[3,2-b]チオフェン-2-カルボン酸;および
3,5-ジフルオロチエノ[3,2-b]チオフェン-2-カルボン酸;
または薬学的に許容できるその塩を含む。
【0147】
本発明の組成物の抗糖尿病活性を考慮すると、それらは、他の抗糖尿病剤と共投与されてよい。好適な抗糖尿病剤は、インスリン、メトホルミン、GLP-1受容体アゴニスト(本明細書で上述したもの)、アセチル-CoAカルボキシラーゼ(ACC)阻害剤(本明細書で上述したもの)、SGLT2阻害剤(本明細書で上述したもの)、モノアシルグリセロールO-アシルトランスフェラーゼ阻害剤、ホスホジエステラーゼ(PDE)-10阻害剤、AMPK活性化因子(例えば、ETC-1002(ベンペド酸))、スルホニル尿素(例えば、アセトヘキサミド、クロルプロパミド、ダイアビニーズ、グリベンクラミド、グリピジド、グリブリド、グリメピリド、グリクラジド、グリペンチド、グリキドン、グリソラミド(glisolamide)、トラザミドおよびトルブタミド)、メグリチニド、α-アミラーゼ阻害剤(例えば、テンダミスタット、トレスタチンおよびAL-3688)、α-グルコシドヒドロラーゼ阻害剤(例えば、アカルボース)、α-グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アジポシン(adiposine)、カミグリボース、エミグリテート、ミグリトール、ボグリボース、プラディマイシン-Qおよびサルボスタチン)、PPARγアゴニスト(例えば、バラグリタゾン、シグリタゾン、ダルグリタゾン、エングリタゾン、イサグリタゾン、ピオグリタゾンおよびロシグリタゾン)、PPARα/γアゴニスト(例えば、CLX-0940、GW-1536、GW-1929、GW-2433、KRP-297、L-796449、LR-90、MK-0767およびSB-219994)、タンパク質チロシンホスファターゼ-1B(PTP-1B)阻害剤(例えば、トロズスクエミン、ヒルチオサール(hyrtiosal)抽出物、およびZhang,S.ら、Drug Discovery Today、12(9/10)、373~381(2007)によって開示されている化合物)、SIRT-1活性化因子(例えば、レスベラトロル、GSK2245840またはGSK184072)、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP-IV)阻害剤(例えば、WO2005116014におけるもの、シタグリプチン、ビルダグリプチン、アログリプチン、デュトグリプチン、リナグリプチンおよびサクサグリプチン)、インスリン分泌促進剤(secreatagogues)、脂肪酸酸化阻害剤、A2アンタゴニスト、c-junアミノ末端キナーゼ(JNK)阻害剤(inhibitosr)、グルコキナーゼ活性化因子(GKa)、例を挙げると、WO2010103437、WO2010103438、WO2010013161、WO2007122482において記述されているもの、TTP-399、TTP-355、TTP-547、AZD1656、ARRY403、MK-0599、TAK-329、AZD5658またはGKM-001、インスリン、インスリン模倣物質、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤(例えば、GSK1362885)、VPAC2受容体アゴニスト、グルカゴン受容体モジュレーター、例を挙げると、Demong,D.E.ら、Annual Reports in Medicinal Chemistry 2008、43、119~137において記述されているもの、GPR119モジュレーター、特にアゴニスト、例を挙げると、WO2010140092、WO2010128425、WO2010128414、WO2010106457、Jones,R.M.ら、Medicinal Chemistry 2009、44、149~170において記述されているもの(例えば、MBX-2982、GSK1292263、APD597およびPSN821)、FGF21誘導体または類似体、例を挙げると、Kharitonenkov,A.ら、Current Opinion in Investigational Drugs 2009、10(4)359~364において記述されているもの、TGR5(GPBAR1とも称される)受容体モジュレーター、特にアゴニスト、例を挙げると、Zhong,M.、Current Topics in Medicinal Chemistry、2010、10(4)、386~396において記述されているものおよびINT777、GPR40アゴニスト、例を挙げると、TAK-875を含むがこれに限定されない、Medina,J.C.、Annual Reports in Medicinal Chemistry、2008、43、75~85において記述されているもの、GPR120モジュレーター、特にアゴニスト、高親和性ニコチン酸受容体(HM74A)活性化因子、およびSGLT1阻害剤、例を挙げるとGSK1614235を含む。本発明の化合物と組み合わせることができる抗糖尿病剤のさらなる代表的な一覧は、例えば、WO2011005611の28頁35行から30頁19行において見ることができる。
【0148】
他の抗糖尿病剤は、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ酵素の阻害剤またはモジュレーター、フルクトース1,6-ジホスファターゼの阻害剤、アルドースレダクターゼの阻害剤、ミネラルコルチコイド受容体阻害剤、TORC2の阻害剤、CCR2および/またはCCR5の阻害剤、PKCアイソフォーム(例えば、PKCα、PKCβ、PKCγ)の阻害剤、脂肪酸シンターゼの阻害剤、セリンパルミトイルトランスフェラーゼの阻害剤、GPR81、GPR39、GPR43、GPR41、GPR105、Kv1.3、レチノール結合タンパク質4、グルココルチコイド受容体、ソマトスタチン(somatostain)受容体(例えば、SSTR1、SSTR2、SSTR3およびSSTR5)のモジュレーター、PDHK2またはPDHK4の阻害剤またはモジュレーター、MAP4K4の阻害剤、IL1ベータを含むIL1ファミリーのモジュレーター、RXRアルファのモジュレーターを含み得る。加えて、好適な抗糖尿病剤は、Carpino,P.A.、Goodwin,B.Expert Opin.Ther.Pat、2010、20(12)、1627~51によって収載されている機序を含む。
【0149】
本発明の組成物は、ACE阻害剤(例えば、カプトプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル、トランドラプリル)、アンジオテンシンII受容体遮断薬(例えば、カンデサルタン、ロサルタン、バルサルタン)、アンジオテンシン受容体-ネプリライシン阻害剤(サクビトリル/バルサルタン)、Iチャネル遮断薬イバブラジン、ベータ-アドレナリン遮断剤(例えば、ビソプロロール、コハク酸メトプロロール、カルベジロール)、アルドステロンアンタゴニスト(例えば、スピロノラクトン、エプレレノン)、ヒドララジンおよび二硝酸イソソルビド、利尿薬(例えば、フロセミド、ブメタニド、トルセミド、クロロチアジド、アミロライド、ヒドロクロロチアジド、インダパミド、メトラゾン、トリアムテレン)、またはジゴキシン等の抗心不全剤と共投与されてよい。
【0150】
本発明の組成物は、下記の例示的な作用物質を含むコレステロールまたは脂質低下剤と共投与されてもよい:HMG CoAレダクターゼ阻害剤(例えば、プラバスタチン、ピタバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、シンバスタチン、フルバスタチン、NK-104(別名イタバスタチン、またはニスバスタチン(nisvastatin)もしくはニスバスタチン(nisbastatin))およびZD-4522(別名ロスバスタチン、またはアタバスタチンもしくはビサスタチン(visastatin));スクアレンシンターゼ阻害剤;フィブレート(例えば、ゲムフィブロジル、ペマフィブレート、フェノフィブレート、クロフィブレート);胆汁酸捕捉剤(クエストラン、コレスチポール、コレセベラム等);ACAT阻害剤;MTP阻害剤;リポオキシゲナーゼ阻害剤;コレステロール吸収阻害剤(例えば、エゼチミブ);ニコチン酸剤(例えば、ナイアシン、ナイアコール、スロナイアシン);オメガ3脂肪酸(例えば、エパノバ(epanova)、魚油、エイコサペンタエン酸);コレステリルエステル輸送タンパク質阻害剤(例えば、オビセトラピブ(obicetrapib))ならびにPCSK9モジュレーター(例えば、アリロクマブ、エボロクマブ、ボコシズマブ、ALN-PCS(インクリシラン))。
【0151】
本発明の組成物は、抗高血圧剤と組み合わせて使用されてもよく、そのような抗高血圧活性は、標準的なアッセイ(例えば、血圧測定)に従って、当業者により容易に決定される。好適な抗高血圧剤の例は、アルファアドレナリン作動性遮断薬;ベータアドレナリン作動性遮断薬;カルシウムチャネル遮断薬(例えば、ジルチアゼム、ベラパミル、ニフェジピンおよびアムロジピン);血管拡張剤(例えば、ヒドララジン)、利尿薬(diruetics)(例えば、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、フルメチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンドロフルメチアジド、メチルクロロチアジド、トリクロロメチアジド、ポリチアジド、ベンズチアジド、エタクリン酸チクリナフェン(tricrynafen)、クロルタリドン、トルセミド、フロセミド、ムソリミン(musolimine)、ブメタニド、トリアムテレン(triamtrenene)、アミロライド、スピロノラクトン);レニン阻害剤;ACE阻害剤(例えば、カプトプリル、ゾフェノプリル、フォシノプリル、エナラプリル、セラノプリル、シラザプリル(cilazopril)、デラプリル、ペントプリル、キナプリル、ラミプリル、リシノプリル);AT-1受容体アンタゴニスト(例えば、ロサルタン、イルベサルタン、バルサルタン);ET受容体アンタゴニスト(例えば、シタクスセンタン、アトラセンタン(atrsentan)ならびに米国特許第5,612,359号および同第6,043,265号で開示されている化合物);デュアルET/AIIアンタゴニスト(例えば、WO00/01389で開示されている化合物);中性エンドペプチダーゼ(NEP)阻害剤;バソペプチダーゼ(vasopepsidase)阻害剤(デュアルNEP-ACE阻害剤)(例えば、ゲモパトリラトおよびニトレート)を含む。例示的な抗狭心症剤は、イバブラジンである。
【0152】
好適なカルシウムチャネル遮断薬(L型またはT型)の例は、ジルチアゼム、ベラパミル、ニフェジピンおよびアムロジピンならびにミベフラジル(mybefradil)を含む。
【0153】
好適な強心配糖体の例は、ジギタリスおよびウアバインを含む。
【0154】
一実施形態では、式(I)または(II)化合物を含有する組成物は、1つまたは複数の利尿薬と共投与されてよい。好適な利尿薬の例は、(a)ループ利尿薬、例を挙げると、フロセミド(LASIX(商標)等)、トルセミド(DEMADEX(商標)等)、ブメタニド(bemetanide)(BUMEX(商標)等)およびエタクリン酸(EDECRIN(商標)等);(b)チアジド系利尿薬、例を挙げると、クロロチアジド(DIURIL(商標)、ESIDRIX(商標)またはHYDRODIURIL(商標)等)、ヒドロクロロチアジド(MICROZIDE(商標)またはORETIC(商標)等)、ベンズチアジド、ヒドロフルメチアジド(SALURON(商標)等)、ベンドロフルメチアジド、メチクロルチアジド(methychlorthiazide)、ポリチアジド、トリクロルメチアジドおよびインダパミド(LOZOL(商標)等);(c)フタルイミジン系利尿薬、例を挙げると、クロルタリドン(HYGROTON(商標)等)およびメトラゾン(ZAROXOLYN(商標)等);(d)キナゾリン系利尿薬、例を挙げると、キネタゾン;ならびに(e)カリウム保持性利尿薬、例を挙げると、トリアムテレン(DYRENIUM(商標)等)およびアミロライド(MIDAMOR(商標)またはMODURETIC(商標)等)を含む。
【0155】
別の実施形態では、式(I)または(II)の化合物を含有する組成物は、ループ利尿薬と共投与されてよい。また別の実施形態では、ループ利尿薬は、フロセミドおよびトルセミドから選択される。また別の実施形態では、式(I)または(II)の1つまたは複数の化合物は、フロセミドと共投与されてよい。また別の実施形態では、式(I)または(II)の1つまたは複数の化合物は、トルセミドと共投与されてよく、これは、トルセミドの制御または調節放出形態であってもよい。
【0156】
別の実施形態では、式(I)または(II)の化合物を含有する組成物は、チアジド系利尿薬と共投与されてよい。また別の実施形態では、チアジド系利尿薬は、クロロチアジドおよびヒドロクロロチアジドからなる群から選択される。また別の実施形態では、式(I)または(II)の1つまたは複数の化合物は、クロロチアジドと共投与されてよい。また別の実施形態では、式(I)または(II)の1つまたは複数の化合物は、ヒドロクロロチアジドと共投与されてよい。
【0157】
別の実施形態では、式(I)または(II)の1つまたは複数の化合物を含有する組成物は、フタルイミジン系利尿薬と共投与されてよい。また別の実施形態では、フタルイミジン系利尿薬は、クロルタリドンである。
【0158】
好適なミネラルコルチコイド受容体アンタゴニストの例は、スピロノラクトン(sprionolactone)およびエプレレノンを含む。
【0159】
好適なホスホジエステラーゼ阻害剤の例は、PDE III阻害剤(シロスタゾール等)およびPDE V阻害剤(シルデナフィル等)を含む。
【0160】
当業者ならば、本発明の化合物を含有する組成物が、PCI、ステント留置術、薬剤溶出ステント、幹細胞療法および植え込み型ペースメーカー、除細動器等の医療機器、または心臓再同期療法を含む、他の心血管または脳血管処置と併せて使用されてもよいことを認識するであろう。
【0161】
特に、単一の投薬量単位として提供される場合、組み合わさった活性原料間に化学的相互作用の潜在性が存在する。この理由から、式(I)または(II)化合物および第2の治療剤を含有する組成物を単一の投薬量単位中で組み合わせる場合、それらは、活性原料を単一の投薬量単位中で組み合わせても、活性原料間の物理的接触が最小化される(すなわち、低減される)ように製剤化される。例えば、1つの活性原料は、腸溶コーティングされてよい。活性原料の1つを腸溶コーティングすることにより、組み合わさった活性原料間の接触を最小化することが可能なだけでなく、これらの成分が胃では放出されず腸で放出されるように、胃腸管内のこれらの成分のうちの1つの放出を制御することも可能である。活性原料のうちの1つを、胃腸管全体を通して持続放出を達成し、組み合わさった活性原料間の物理的接触を最小化する働きもする材料でコーティングしてもよい。さらに、この成分の放出が腸でのみ起こるように、持続放出成分を追加で腸溶コーティングすることもできる。また別のアプローチは、活性成分をさらに分離するために、1つの成分が、持続および/または腸溶放出ポリマーでコーティングされ、他の成分も、低粘度グレードのヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等のポリマーまたは当技術分野で公知の通りの他の適切な材料でコーティングされている、組合せ製品の製剤化を伴うであろう。ポリマーコーティングは、他の成分との相互作用に対する追加の障壁を形成する働きをする。
【0162】
本発明の組合せ製品の成分間の接触を最小化するこれらおよび他の手法は、単一剤形で投与されるか、別個の形態であるが同じ方式によって同時に投与されるかにかかわらず、本開示を理解すれば、当業者には容易に明らかとなるであろう。
【0163】
併用療法処置では、本発明の化合物および他の薬物療法の両方が、従来の方法によって哺乳動物(例えば、ヒト、男性または女性)に投与される。式(I)または(II)化合物およびその塩はいずれも、哺乳動物、特にヒトにおいてジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ2を阻害する作用物質としての治療的使用に適応しており、故に、そのような作用が関係する種々の状態(例えば、本明細書において記述されるもの)の処置に有用である。
【0164】
本発明に従って処置され得る疾患/状態は、心血管状態、糖尿病(例えば、II型)および糖尿病性合併症、血管状態、NASH(非アルコール性脂肪性肝炎(steatatohepatitis))、NAFLD(非アルコール性脂肪肝疾患)ならびに腎疾患を含むがこれらに限定されない。
【0165】
DGAT2阻害は、血糖コントロールおよび血漿コレステロールプロファイルの両方に対して有益な効果を呈し、そのため、この標的は代謝性疾患の処置において貴重であると考えられる(Choi,C.S.ら、2007.J Biol Chem 282:22678~22688)。DGAT2の阻害と代謝性および関連疾患/状態との間の正の相関を考慮すると、式(I)または(II)化合物を含有する組成物は、薬理作用のおかげで、代謝性および関連病状(例えば、II型糖尿病、NASH、NAFLD)の予防、停止および/または退縮に有用である。
【0166】
肝臓トリグリセリド(TG)は、3つの主要供給源:デノボ脂質生成(DNL)、脂肪によって供給される脂肪酸(FA)からの再エステル化、および食事摂取に由来する(Cohen J.C.ら、2011、Science、332、1519~1523)。肝臓TGプールへの最大の寄与は、脂肪細胞に起因する脂肪分解生成物に由来するように思われるが、脂質生成経路は、NAFLDの発生およびNASHへの進行において重要な役割を果たす。NAFLDにおける疾患進行へのDNLの寄与は、NAFLDありおよびなしの対象におけるTGのFA組成を分析することによって裏付けられる。データは、NAFLDありの対象における飽和FAのレベル増大を実証し、飽和FAがDNLの一次生成物を代表することから、肝臓脂肪症への重要な寄与因子としてのDNL経路を暗示している。これらの所見は、NAFLDのVLDL粒子におけるDNL由来TGの包含増大と一致し、典型的な西洋食を消費している健常対象においてはわずか2から5%であったのと比較して、TGの15%がDNLに起因して生成された(Sanders,F.W.B.およびGriffin J.L.、2016、Biol.Rev.、91、452~468)。加えて、肝臓DNL率の上昇は、NAFLDの顕著な特徴であることが報告されている。肝臓脂肪が上昇しているヒト対象は、正常な肝臓脂肪を持つ対象と比べて肝臓DNL率における3倍超の増大を示したが、脂肪遊離脂肪酸(adipose free fatty acid)(FFA)フラックスにおいてもFFAからのVLDLの生成においても、群間の差異は検出されなかった。その結果として、VLDL TGに組み込まれたFAの絶対的供給源を比較すると、肝臓DNLの上昇は、高い肝臓脂肪を持つ対象において有意に上昇した唯一の供給源であった(Lambert J.E.およびRamos-Roman,M.A.、2014、Gastroenterology、146、726~735)。
【0167】
ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ(DGAT)は、TG合成における最終ステップ、具体的にはジアシルグリセロール(DAG)による脂肪酸(FA)のエステル化を触媒し、TGの形成をもたらす(Yen,C.L.ら、2008、J.Lipid Res.、49、2283~2301)。哺乳動物では、2つの構造的に無関係なDGAT酵素(DGAT1およびDGAT2)が特徴付けられている。DGAT1は、腸において高度に発現され、脂肪吸収において中心的役割を果たす(Buhman,K.K.ら、2002、J.Biol.Chem.、277、25474~25479)。DGAT2は、肝臓および脂肪において高度に発現される(Cases,S.ら、2001、J.Biol.Chem.、276、38870~38876)。前臨床モデルでは、アンチセンスオリゴヌクレオチドを使用する肝臓DGAT2の遮断は、脂質生成に関与するタンパク質をコードする複数の遺伝子の発現の下方調節および酸化的経路における並行誘導の両方をもたらす。これらの変化の最終結果は、肝臓DAGおよびTG脂質のレベルの減少であり、これが今度は、肝細胞脂質負荷を低減させ、肝臓の超低比重リポタンパク質(VLDL)TG分泌を減少させる(Choi,C.S.ら、2007.J Biol Chem 282:22678~22688およびYu,X.X.ら、2005、Hepatology、42、362~371)。故に、DGAT2の薬理学的阻害は、NAFLD/NASHならびに血糖コントロールおよび血漿コレステロールを含む他の代謝性疾患の処置に有益な効果を呈するであろうと考えられる。
【0168】
特に、DGAT2の阻害とNASH/NAFLDおよび関連疾患/状態との間の正の相関を考慮すると、式(I)または(II)化合物を含有する組成物は、薬理作用のおかげで、NASH/NAFLDおよび関連病状の予防、停止および/または退縮に有用である。
【0169】
さらに、NASHにおける第III相研究のための規制当局に認められた条件付承認は、肝生検によって取得される組織学的代理マーカーに基づく。これらの一般に許容されている代理は、i)線維症の悪化(すなわち、線維症段階における数値的増大)のないNASHの消散;ii)NASHの悪化のない線維症における1つまたは複数の段階低減である。詳細は、Ratziu、A critical review of endpoints for non-cirrhotic NASH therapeutic trials、Journal of Hepatology、2018、68.353~361およびその中の参考文献において見られ得る。
【0170】
加えて、規制当局は、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)活性スコア(NAS)におけるベースラインからの変化に目を向けている。NAFLD活性スコア(NAS)は、肝生検の一元化された病理学者スコアリングからの、脂肪症グレード(0~3)、小葉炎症グレード(0~3)および肝細胞風船化グレード(0~2)の和に等しい複合スコアである。NASの全体的な規模は0~8であり、より高いスコアはより重度の疾患を指し示す。転帰尺度、NAFLD活性スコア(NAS)におけるベースラインからの変化は、-8から+8までの可能な範囲を有し、負の値はより良好な転帰(改善)を指し示し、正の値はより悪い転帰を指し示す。NASの構成要素は、次の通りにスコア付けされる:脂肪症グレード0=5%未満脂肪症、1=5~33%脂肪症、2=34~66%脂肪症、3=66%超脂肪症。小葉炎症グレード=小葉炎症の量(単核、脂肪肉芽腫および多形核(pmn)病巣を合わせたもの):0=0、1=20倍の倍率で2未満、2=20倍の倍率で2~4、3=20倍の倍率で4超。肝細胞風船化0=なし、1=軽度、2=軽度を超える。
【0171】
その薬理作用により、式(I)または(II)化合物を含有する組成物は、高脂血症、I型糖尿病、II型真性糖尿病、特発性I型糖尿病(Ib型)、成人潜在性自己免疫性糖尿病(LADA)、早期発症型2型糖尿病(EOD)、若年発症型非定型糖尿病(YOAD)、若年発生成人型糖尿病(MODY)、栄養不良関連糖尿病、妊娠性糖尿病、冠状動脈性心疾患、虚血性脳卒中、血管形成術後の再狭窄、末梢血管疾患、間欠性跛行、心筋梗塞、脂質異常症、食後脂肪血症、耐糖能異常(IGT)の状態、空腹時血漿グルコース異常の状態、代謝性アシドーシス、ケトン症、関節炎、肥満、骨粗しょう症、高血圧症、うっ血性心不全、左室肥大、末梢動脈疾患、糖尿病性網膜症、黄斑変性、白内障、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、慢性腎不全、糖尿病性神経障害、代謝症候群、症候群X、月経前症候群、狭心症、血栓症、アテローム性動脈硬化、一過性虚血発作、脳卒中、血管再狭窄、高血糖症、高インスリン血症、高トリグリセリド血症(hypertrygliceridemia)、インスリン抵抗性、グルコース代謝異常、勃起不全、皮膚および結合組織障害、足潰瘍および潰瘍性結腸炎、内皮機能不全および血管コンプライアンス異常、高アポBリポタンパク質血症、アルツハイマー病、統合失調症、認知障害、炎症性腸疾患、潰瘍性結腸炎、クローン病および過敏性腸症候群、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)または非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)を処置するために有用である。
【0172】
本発明の組成物の投与は、本発明の化合物を全身におよび/または局部的に送達する任意の方法を介することができる。これらの方法は、経口ルート、非経口、十二指腸内ルート、口腔、鼻腔内等を含む。概して、本発明の組成物は、経口的に投与されるが、例えば、経口投与が標的に不適切である場合または患者が薬物を摂取することができない場合には、非経口投与(例えば、静脈内、筋肉内、皮下または髄内)が利用され得る。
【0173】
ヒト患者への投与では、本明細書における組成物の経口1日用量は、当然ながら、投与のモードおよび頻度、病状、ならびに患者の年齢および状態等に応じて、1mgから5000mgの範囲内であってよい。経口1日用量は、使用され得る3mgから2000mgの範囲内である。さらなる経口1日用量は、5mgから1000mgの範囲内である。便宜上、本発明の組成物は、単位剤形で投与され得る。所望ならば、1日当たり複数回用量の組成物を使用して、総1日用量を増大させることができる。組成物は、例えば、約0.1、0.5、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、125、150、175、200、250、300、500または1000mgの本発明の組成物を含有する、錠剤またはカプセル剤であってよい。総1日用量は、単回または分割用量で投与されてよく、内科医の裁量で、本明細書で記される典型的な範囲外となり得る。
【0174】
ヒト患者への投与では、本明細書における組成物の注入1日用量は、当然ながら、投与のモードおよび頻度、病状、ならびに患者の年齢および状態等に応じて、1mgから2000mgの範囲内であってよい。さらなる注入1日用量は、5mgから1000mgの範囲内である。総1日用量は、単回または分割用量で投与されてよく、内科医の裁量で、本明細書で記される典型的な範囲外となり得る。
【0175】
各治療剤、例えば、化合物A、化合物Dおよび実施例4の化合物、ならびに任意の追加の治療剤の投薬量は、概して、処置されている対象の健康、所望される処置の程度、もしあれば、併用療法の性質および種類、ならびに所望される処置の頻度および効果の性質を含む若干数の要因に依存する。概して、各治療剤の投薬量範囲は、1日当たり個体の体重1キログラムにつき約0.001mgから約100mgまで、好ましくは1日当たり個体の体重1キログラムにつき約0.1mgから約10mgまでの範囲内である。しかしながら、処置されている対象の年齢および体重、意図されている投与ルート、投与されている特定の抗肥満剤等に応じて、一般的な投薬量範囲におけるいくらかの可変性が必要とされることもある。特定の患者のための投薬量範囲および最適投薬量の決定も、十分に本開示の利益を有する当業者の能力の範囲内である。
【0176】
本発明の処置方法によれば、本発明の組成物または本発明の組成物と少なくとも1つの追加の医薬作用物質との組合せ(本明細書では「組合せ」と称される)は、そのような処置を必要とする対象に、好ましくは医薬組成物の形態で投与される。本発明の組合せ態様では、本発明の組成物および少なくとも1つの他の医薬作用物質(例えば、別の抗肥満剤)は、別個にまたは両方を含む医薬組成物でのいずれかで投与されてよい。そのような投与は経口であることが概して好ましい。
【0177】
本発明の組成物と少なくとも1つの他の医薬作用物質との組合せが一緒に投与される場合、そのような投与は、時間的に順次であっても同時であってもよい。薬物組合せの同時投与が概して好ましい。順次投与では、本発明の組成物および追加の医薬作用物質は、任意の順序で投与されてよい。そのような投与は経口であることが概して好ましい。そのような投与は経口かつ同時であることがとりわけ好ましい。本発明の組成物および追加の医薬作用物質が順次に投与される場合、それぞれの投与は、同じまたは異なる方法によるものであってよい。
【0178】
本発明の方法によれば、本発明の組成物は、好ましくは、医薬組成物の形態で投与される。したがって、本発明の化合物または組合せは、任意の従来の経口、直腸、経皮、非経口(例えば、静脈内、筋肉内または皮下)、大槽内、膣内、腹腔内、局所(例えば、散剤、軟膏剤、クリーム剤、スプレー剤またはローション剤)、口腔または鼻腔内剤形(例えば、スプレー剤、液滴剤または吸入剤)で、別個にまたは一緒に、患者に投与され得る。
【0179】
本発明の組成物または組合せに含有される化合物は、単独で投与され得るが、概して、当技術分野において公知である1つまたは複数の好適な医薬添加剤、アジュバント、賦形剤または担体との混和物で投与され、意図されている投与ルートおよび標準的な医薬実務に関して選択されることになる。本発明の組成物または組合せは、治療必要性に見合った、所望の投与ルートおよび放出プロファイルの特異性に応じて、即時、遅延、調節、持続、パルスまたは制御放出剤形を提供するように製剤化されてよい。
【0180】
医薬組成物は、本発明の化合物または組合せを、概して組成物の約1%から約75%、80%、85%、90%またはさらには95%(重量で)の範囲内、通常は約1%、2%または3%から約50%、60%または70%の範囲内、より頻繁には約1%、2%または3%から50%未満、例を挙げると約25%、30%または35%の範囲内の量で含む。
【0181】
具体的な量の活性化合物を用いて種々の医薬組成物を調製する方法は、当業者に公知である。例えば、Remington:The Practice of Pharmacy、Lippincott Williams and Wilkins、Baltimore Md、第20版、2000を参照されたい。
【0182】
非経口注射に好適な組成物は、概して、薬学的に許容できる滅菌水溶液もしくは非水溶液、分散体、懸濁液、または乳剤、および滅菌注射用溶液または分散体への復元のための滅菌粉末を含む。好適な水性および非水性担体または賦形剤(溶媒およびビヒクルを含む)の例は、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール等)、それらの好適な混合物、オリーブ油等の植物油を含むトリグリセリド、およびオレイン酸エチル等の注射用有機エステルを含む。好ましい担体は、Condea Vista Co.、Cranford、N.J.から入手可能な、グリセリンまたはプロピレングリコールを加えたMiglyol(登録商標)ブランドカプリル/カプリン酸エステル(例えば、Miglyol(登録商標)812、Miglyol(登録商標)829、Miglyol(登録商標)840)である。妥当な流動性は、例えば、レシチン等のコーティングの使用によって、分散体の場合には必要とされる粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって、維持することができる。
【0183】
非経口注射のためのこれらの組成物は、保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤等の添加剤も含有してよい。組成物の微生物汚染の予防は、種々の抗菌および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸等を用いて遂行することができる。等張剤、例えば、砂糖、塩化ナトリウム等を含むことも望ましい場合がある。吸収を遅延させることができる作用物質、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの使用によって、注射用医薬組成物の持続的吸収を起こすことができる。
【0184】
経口投与のための固体剤形は、カプセル剤、錠剤、チュアブル錠、キャンディー剤、丸剤、散剤およびマルチ微粒子調製物(顆粒剤)を含む。そのような固体剤形では、本発明の化合物または組合せは、少なくとも1つの不活性添加剤、賦形剤または担体と混和される。好適な添加剤、賦形剤または担体は、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウム等の材料、ならびに/または(a)1つもしくは複数の充填剤もしくは増量剤(例えば、微結晶性セルロース(FMC Corp.からAvicel(商標)として入手可能)デンプン、ラクトース、スクロース、マンニトール、ケイ酸、キシリトール、ソルビトール、デキストロース、リン酸水素カルシウム、デキストリン、アルファ-シクロデキストリン、ベータ-シクロデキストリン、ポリエチレングリコール、中鎖脂肪酸、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等);(b)1つもしくは複数の結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ゼラチン、アラビアゴム、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、プルラン、アルファ化デンプン、寒天、トラガカント、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、アカシア等);(c)1つもしくは複数の保湿剤(例えば、グリセロール等);(d)1つもしくは複数の崩壊剤(例えば、寒天、炭酸カルシウム、バレイショもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、ある特定の複合ケイ酸塩、炭酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム(Edward Mendell Co.からExplotab(商標)として入手可能)、架橋ポリビニルピロリドン、クロスカルメロースナトリウムA型(Ac-di-sol(商標)として入手可能)、ポリアクリリンカリウム(polyacrilin potassium)(イオン交換樹脂)等);(e)1つもしくは複数の溶液緩染剤(例えば、パラフィン等);(f)1つもしくは複数の吸収加速剤(例えば、第四級アンモニウム化合物等);(g)1つもしくは複数の湿潤剤(例えば、セチルアルコール、モノステアリン酸グリセロール等);(h)1つもしくは複数の吸着剤(例えば、カオリン、ベントナイト等);ならびに/または(i)1つもしくは複数の滑沢剤(例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸ポリオキシル、セタノール、タルク、水素化ヒマシ油、ショ糖脂肪酸エステル、ジメチルポリシロキサン、微結晶性ワックス、黄蝋、白蝋、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム等)を含む。カプセル剤および錠剤の場合には、剤形は緩衝剤も含み得る。
【0185】
同様の種類の固体組成物は、ラクトースまたは乳糖等の添加剤および高分子量ポリエチレングリコール等を使用して、軟質または硬質充填ゼラチンカプセル剤における充填剤としても使用され得る。
【0186】
錠剤、糖衣錠剤、カプセル剤および顆粒剤等の固体剤形は、腸溶コーティングおよび当技術分野において周知である他のもの等のコーティングおよび外殻を用いて調製され得る。それらは、乳白剤を含有してもよく、本発明の化合物および/または追加の医薬作用物質を遅延方式で放出するような組成のものであってもよい。使用され得る包埋組成物の例は、ポリマー性物質およびワックスである。薬物は、適切な場合、上記で言及した添加剤の1つまたは複数を加えた、マイクロカプセル形態であってもよい。
【0187】
錠剤では、活性剤は、典型的には、製剤の50%未満(重量で)、例えば、重量で5%または2.5%等の約10%未満を構成することになる。製剤の主部は、充填剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤を含み、香味剤を含んでいてもよい。これらの添加剤の組成は、当技術分野において周知である。高頻度で、充填剤/賦形剤は、下記の成分:微結晶性セルロース、マンニトール、ラクトース(全種類)、デンプンおよびリン酸二カルシウムのうちの2つ以上の混合物を含むことになる。充填剤/賦形剤混合物は、典型的には、製剤の98%未満、好ましくは95%未満、例えば93.5%を構成する。好ましい崩壊剤は、Ac-di-sol(商標)、Explotab(商標)、デンプンおよびラウリル硫酸ナトリウムを含む。存在する場合、崩壊剤は、通常、製剤の10%未満または5%未満、例えば約3%を構成することになる。好ましい滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムである。存在する場合、滑沢剤は、通常、製剤の5%未満または3%未満、例えば約1%を構成することになる。
【0188】
錠剤は、標準的な錠剤化プロセス、例えば、直接圧縮または湿式、乾式もしくは融解造粒、融解凝固プロセスおよび押出によって製造され得る。錠剤核は、単または多層であってよく、当技術分野において公知の適切な保護膜でコーティングされ得る。
【0189】
経口投与のための液体剤形は、薬学的に許容できる乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤を含む。本発明の化合物または組合せに加えて、液体剤形は、当技術分野において一般的に使用される不活性賦形剤、例を挙げると、水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(例えば、綿実油、落花生油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、ゴマ種子油等)、Miglyole(登録商標)(CONDEA Vista Co.、Cranford、N.J.から入手可能)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタン脂肪酸エステル、またはこれらの物質の混合物等を含有してよい。
【0190】
そのような不活性賦形剤のほかに、組成物は、湿潤剤、乳化および懸濁化剤、甘味、香味および着香剤等の添加剤も含み得る。
【0191】
本発明の組成物または組合せの経口液体形態は、活性化合物が完全に溶解する溶液を含む。溶媒の例は、経口投与に好適なすべての薬学的に先例のある溶媒、特に、本発明の化合物が良好な溶解度を示すもの、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、食用油ならびにグリセリルおよびグリセリドベースの系を含む。グリセリルおよびグリセリドベースの系は、例えば、下記のブランド製品(および対応するジェネリック製品):Captex(商標)355EP(トリカプリル酸/カプリン酸グリセリル、Abitec製、Columbus Ohio)、Crodamol(商標)GTC/C(中鎖トリグリセリド、Croda製、Cowick Hall、UK)またはLabrafac(商標)CC(中鎖トリグリセリド(triglyides)、Gattefosse製)、Captex(商標)500P(三酢酸グリセリル、すなわちトリアセチン、Abitec製)、Capmul(商標)MCM(中鎖モノおよびジグリセリド、Abitec製)、Migyol(商標)812(カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、Condea製、Cranford N.J.)、Migyol(商標)829(カプリル酸/カプリン酸/コハク酸トリグリセリド、Condea製)、Migyol(商標)840(ジカプリル酸/ジカプリン酸プロピレングリコール、Condea製)、Labrafil(商標)M1944CS(オレオイルマクロゴール-6グリセリド、Gattefosse製)、Peceol(商標)(モノオレイン酸グリセリル、Gattefosse製)およびMaisine(商標)35-1(モノオレイン酸グリセリル、Gattefosse製)を含み得る。特に興味深いのは、中鎖(約C.sub.8からC.sub.10)トリグリセリド油である。これらの溶媒は、高頻度で、組成物の主部、すなわち、約50%超、通常は、約80%、例えば約95%または99%超を構成する。アジュバントおよび添加物が、溶媒とともに、主に矯味剤、嗜好性および香味剤、酸化防止剤、安定剤、質感および粘度調整剤ならびに可溶化剤として含まれていてもよい。
【0192】
懸濁剤は、本発明の化合物または組合せに加えて、懸濁化剤、例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、アルミニウムメタ水酸化物、ベントナイト、寒天、ならびにトラガカント、またはこれらの物質の混合物等の担体をさらに含んでよい。
【0193】
直腸または膣内投与のための組成物は、好ましくは、坐剤を含み、これは、本発明の化合物または組合せを、通常の室温では固体であるが体温では液体であり、したがって、直腸または膣腔内で融解し、それにより、活性成分を放出する、ココアバター、ポリエチレングリコールまたは坐剤ワックス等の好適な非刺激性添加剤または担体と混合することによって調製され得る。
【0194】
本発明の組成物または組合せの局所投与のための剤形は、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、散剤およびスプレー剤を含む。薬物は、薬学的に許容できる添加剤、賦形剤または担体、および、必要とされ得る任意の保存剤、緩衝液または噴射剤と混和される。
【0195】
本発明の組成物に含有される本発明の化合物のいくつかは、水への溶解度が乏しい、例えば約1μg/mL未満であってよい。したがって、上記で論じた中鎖トリグリセリド油等の可溶化非水性溶媒中の液体組成物は、これらの化合物のための好ましい剤形である。
【0196】
スプレー乾燥プロセスによって形成された分散体を含む固体非晶質分散体も、本発明の組成物に含有される溶解度が乏しい化合物のための好ましい剤形である。「固体非晶質分散体」が意味するのは、溶解度が乏しい化合物の少なくとも一部が非晶質形態であり、水溶性ポリマー中に分散されている、固体材料である。「非晶質」が意味するのは、溶解度が乏しい化合物が結晶性ではないことである。「結晶性」が意味するのは、化合物が各次元において少なくとも100の繰り返し単位の三次元の長距離秩序を呈することである。故に、非晶質という用語は、本質的に秩序を有さない材料だけでなく、わずかな程度の秩序を有し得るがその秩序が三次元未満であるおよび/または短距離しかない材料も含むように意図されている。非晶質材料は、当技術分野において公知の技術、例を挙げると、粉末x線回折(PXRD)結晶学、固体状態NMR、または示差走査熱量測定(DSC)等の熱的技術によって特徴付けられ得る。
【0197】
好ましくは、固体非晶質分散体中の溶解度が乏しい化合物の少なくとも大部分(すなわち、少なくとも約60wt%)が非晶質である。化合物は、比較的純粋な非晶質ドメインまたは領域中の固体非晶質分散体内に、ポリマー全体に均質に分布している化合物の固溶体またはこれらの状態もしくはそれらの間の中間にある状態の任意の組合せとして、存在することができる。好ましくは、固体非晶質分散体は実質的に均質であり、そのため、非晶質化合物はポリマー全体に可能な限り均質に分散されている。本明細書において使用される場合、「実質的に均質」は、固体非晶質分散体内の比較的純粋な非晶質ドメインまたは領域中に存在する化合物の割合が比較的小さく、薬物の総量のおよそ20wt%未満、好ましくは10wt%未満であることを意味する。
【0198】
固体非晶質分散体における使用に好適な水溶性ポリマーは、溶解度が乏しい化合物と有害な方式で化学的に反応せず、薬学的に許容できるものであり、生理的に関連するpH(例えば、1~8)で水溶液への少なくともいくらかの溶解度を有するという意味で、不活性であるべきである。ポリマーは、中性またはイオン化可能であることができ、1~8のpH範囲の少なくとも一部を上回る、少なくとも0.1mg/mLの水溶解度を有するべきである。
【0199】
本発明での使用に好適な水溶性ポリマーは、セルロースであっても非セルロースであってもよい。ポリマーは、水溶液中で中性またはイオン化可能であってよい。これらのうち、イオン化可能およびセルロースポリマーが好ましく、イオン化可能セルロースポリマーがより好ましい。
【0200】
例示的な水溶性ポリマーは、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCP)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、トリメリト酸酢酸セルロース(CAT)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、メチルセルロース(MC)、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのブロックコポリマー(PEO/PPO、ポロキサマーとしても公知である)、ならびにそれらの混合物を含む。とりわけ好ましいポリマーは、HPMCAS、HPMC、HPMCP、CMEC、CAP、CAT、PVP、ポロキサマー、およびそれらの混合物を含む。最も好ましいのは、HPMCASである。欧州特許出願公開第0901786A2号を参照されたく、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0201】
固体非晶質分散体は、溶解度が乏しい化合物の少なくとも大部分(少なくとも60%)が非晶質状態であるという結果をもたらす固体非晶質分散体を形成するための任意のプロセスに従って調製され得る。そのようなプロセスは、機械的、熱的および溶媒プロセスを含む。例示的な機械的プロセスは、製粉および押出;高温溶融、溶媒修飾溶融(solvent-modified fusion)および融解凝固プロセスを含む融解プロセス;ならびに非溶媒沈殿、スプレーコーティングおよびスプレー乾燥を含む溶媒プロセスを含む。例えば、下記の米国特許を参照されたく、その関連する開示は、参照により本明細書に組み込まれる:押出プロセスにより分散体を形成することを記述する第5,456,923号および第5,939,099号;製粉プロセスにより分散体を形成することを記述する第5,340,591号および第4,673,564号;ならびに融解凝固プロセスにより分散体を形成することを記述する第5,707,646号および第4,894,235号。好ましいプロセスでは、固体非晶質分散体は、欧州特許出願公開第0901786A2号で開示される通り、スプレー乾燥によって形成される。このプロセスでは、化合物およびポリマーが、アセトンまたはメタノール等の溶媒に溶解され、次いで、スプレー乾燥によって溶媒が溶液から迅速に除去されて、固体非晶質分散体を形成する。固体非晶質分散体は、化合物の最大約99wt%、例えば、所望される通りに1wt%、5wt%、10wt%、25wt%、50wt%、75wt%、95wt%、または98wt%を含有するように調製され得る。
【0202】
固体分散体は、それ自体が剤形として使用されてもよいし、またはカプセル剤、錠剤、液剤もしくは懸濁剤等の他の剤形の調製において製造使用製品(MUP)としての働きをしてもよい。水性懸濁剤の例は、2%ポリソルベート-80中に2.5mg/mLの化合物を含有する1:1(w/w)化合物/HPMCAS-HFスプレー乾燥分散体の水性懸濁剤である。錠剤またはカプセル剤において使用するための固体分散体は、概して、典型的にはそのような剤形において見られる他の添加剤またはアジュバントと混合されることになる。例えば、カプセル剤のための例示的な充填剤は、2:1(w/w)化合物/HPMCAS-MFスプレー乾燥分散体(60%)、ラクトース(高速流)(15%)、微結晶性セルロース(例えば、アビセル.sup.(R0-102)(15.8%)、ナトリウムデンプン(7%)、ラウリル硫酸ナトリウム(2%)およびステアリン酸マグネシウム(1%)を含有する。
【0203】
HPMCASポリマーは、日本、東京の信越化学工業株式会社からそれぞれAqoa(登録商標)-LF、Aqoat(登録商標)-MFおよびAqoat(登録商標)-HFとして、低、中および高グレードで入手可能である。より高いMFおよびHFグレードが概して好ましい。
【0204】
下記の段落は、非ヒト動物に有用な、例示的な製剤、投薬量等について記述するものである。化合物Aまたは薬学的に許容できるその塩の、化合物Dまたは薬学的に許容できるその塩と組み合わせた、2つの作用物質としてのまたは別の作用物質と組み合わせた投与は、経口的にまたは非経口的に達成され得る。
【0205】
有効用量が受けられるような量の、4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸または薬学的に許容できるその塩が、2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドまたは薬学的に許容できるその塩とともに、一緒にまたは別の作用物質と組み合わせて投与される。概して、動物に経口的に投与される1日用量は、体重1kg当たり約0.01から約1,000mgの間、例えば、約0.01から約300mg/kgの間、または約0.01から約100mg/kgの間、または体重1kg当たり約0.01から約50mgの間、または約0.01から約25mg/kg、または約0.01から約10mg/kgまたは約0.01から約5mg/kgの間である。投与される4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸または薬学的に許容できるその塩(化合物A)の1日用量は、2mg、3mg、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、または50mgであってよい。1日用量は、1日に2回(例えば、「BID」または「q12」時間投薬間隔)等の複数回用量に分割されてよい。例えば、ある特定の事例では、化合物Aの1日用量は、15mgを1日に2回(例えば、q12時間)として投与されてよい。投与される2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドまたは薬学的に許容できるその塩(実施例4の化合物)の1日用量は、10mg、20mg、40mg、または80mgであってよい。1日用量は、1日に2回(例えば、「BID」または「q12時間投薬間隔」等の複数回用量に分割されてよい。例えば、ある特定の事例では、化合物Dの1日用量は、300mgを1日に2回(例えば、q12時間)として投与されてよい。
【0206】
好都合なことに、本発明の組成物(または組合せ)は、治療投薬量の化合物が日常の給水とともに摂取されるように、飲用水中に担持され得る。組成物は、好ましくは液体の水溶性濃縮物(水溶性塩の水溶液等)の形態で、飲用水に直接計り入れることができる。
【0207】
これらの組成物を、例えば上記で詳述した適応症のために、ヒト以外の動物に投与してもよい。各活性原料の投与される正確な投薬量は、処置されている動物の種類および病状の種類、動物の年齢、ならびに投与ルートを含むがこれらに限定されない任意の数の要因に応じて変動することになる。
【0208】
処置されている適応症に有効である、式(I)または(II)化合物を含有する組成物の投薬量が使用される。そのような投薬量は、上記で参照したおよび本明細書で提供されるもの等の標準的なアッセイによって決定することができる。
【0209】
これらの投薬量は、約60kgから70kgの重量を有する平均的なヒト対象に基づく。内科医は、乳児および高齢者等、その重量がこの範囲外となる対象のための用量を決定することが容易にできるであろう。
【0210】
投薬量レジメンは、最適な所望の応答を提供するように調整され得る。例えば、単回ボーラスが投与されてよく、数回の分割用量が経時的に投与されてよく、または、用量が、治療状況の緊急事態によって指し示されるように比例的に低減もしくは増大されてよい。投与の容易さおよび投薬量の均一性のために投薬量単位形態で非経口組成物を製剤化することがとりわけ有利である。投薬量単位形態は、本明細書において使用される場合、処置される哺乳動物対象のための単位投薬量として適した物理的に不連続な単位を指し、所定分量の活性化合物を含有する各単位は、所望の治療効果を、必要とされる医薬担体と一緒に生成するように算出した。本発明の投薬量単位形態についての仕様は、(a)化学療法剤の独自の特徴および実現される特定の治療または予防効果、ならびに(b)個体における感受性の処置のためにそのような活性化合物を化合物化する技術分野に固有の限定によって決定付けられ、それらに直接依存する。
【0211】
故に、当業者ならば、本明細書で提供される開示に基づき、用量および投薬レジメンが治療技術分野において周知の方法に従って調整されることが分かるであろう。すなわち、最大耐量を容易に確立することができ、検出可能な治療的利益を患者に提供するために各作用物質を投与する一次的な要求と同様に、患者に検出可能な治療的利益を提供する有効量も決定され得る。したがって、ある特定の用量および投与レジメンが本明細書において例示されているが、これらの例は、本発明を実践する際に患者に提供され得る用量および投与レジメンを何ら限定するものではない。
【0212】
用量値は、緩和すべき状態の種類および重症度とともに変動し得、単回または複数回用量を含み得ることに留意されたい。任意の特定の対象では、個々の必要性および組成物を投与するまたはその投与を監督する人物の専門的判定に従って、具体的な投薬量レジメンが経時的に調整されるべきであること、ならびに、本明細書において明記されている投薬量範囲は例示的なものにすぎず、特許請求されている組成物の範囲も実践も制限することを意図していないことを、さらに理解されたい。例えば、用量は、薬物動態または薬力学的パラメーターに基づいて調整されてよく、該パラメーターは、毒性効果および/または検査値等の臨床効果を含み得る。故に、本発明は、当業者によって決定される通りの患者内の用量漸増を包含する。化学療法剤の投与のための適切な投薬量およびレジメン(regiments)を決定することは、関連技術分野において周知であり、本明細書において開示される教示が提供されれば、当業者により、包含されると理解されるであろう。
【0213】
本発明はさらに、医薬(単位投薬量錠剤または単位投薬量カプセル剤等)として使用するための式(I)または(II)の化合物の使用を含む。別の実施形態では、本発明は、処置方法について論じた上記の項において先に同定された状態の1つまたは複数を処置するための医薬(単位投薬量錠剤または単位投薬量カプセル剤等)の製造のための、式(I)または(II)の化合物の使用を含む。
【0214】
本発明の医薬組成物は、単回単位用量として、または複数の単回単位用量として、調製、包装またはバルク販売されてよい。本明細書において使用される場合、「単位用量」は、所定量の活性原料を含む医薬組成物の不連続な量である。活性原料の量は、概して、対象に投与されるであろう活性原料の投薬量、または、例えばそのような投薬量の2分の1もしくは3分の1等、そのような投薬量の好都合な割合に等しい。
【0215】
これらの作用物質および本発明の化合物を、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液等の薬学的に許容できるビヒクルと組み合わせることができる。特定の投薬量レジメン、すなわち、用量、タイミングおよび繰り返しは、特定の個体およびその個体の病歴によって決まることになる。
【0216】
許容できる担体、添加剤または安定剤は、用いられる投薬量および濃度でレシピエントに非毒性であり、緩衝液、例を挙げると、ホスフェート、シトレートおよび他の有機酸;塩、例を挙げると、塩化ナトリウム;アスコルビン酸およびメチオニンを含む酸化防止剤;保存剤(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルもしくはベンジルアルコール;アルキルパラベン、例を挙げると、メチルもしくはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾール等);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例を挙げると、血清アルブミン、ゼラチンまたはIg;親水性ポリマー、例を挙げると、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例を挙げると、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニンもしくはリジン;単糖、二糖、およびグルコース、マンノースまたはデキストリンを含む他の炭水化物;キレート化剤、例を挙げると、EDTA;糖、例を挙げると、スクロース、マンニトール、トレハロースもしくはソルビトール;塩を形成する対イオン、例を挙げると、ナトリウム;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);ならびに/または非イオン性界面活性剤、例を挙げると、TWEEN(商標)、PLURONICS(商標)もしくはポリエチレングリコール(PEG)を含んでよい。
【0217】
これらの作用物質および/または本発明の化合物を含有するリポソームは、米国特許第4,485,045号および同第4,544,545号において記述されているもの等、当技術分野において公知の方法によって調製される。循環時間が強化されたリポソームは、米国特許第5,013,556号において開示されている。特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロールおよびPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)を含む脂質組成物を用いる逆相蒸発法によって産生され得る。リポソームは、定義された細孔径のフィルターを通して押出されて、所望の直径を持つリポソームを産出する。
【0218】
これらの作用物質および/または本発明の化合物は、例えば、コアセルベーション技術によって、または、界面重合、例えば、ヒドロキシメチルセルロースもしくはゼラチンマイクロカプセルおよびポリ-(メチルメタクリレート)マイクロカプセルによって、それぞれコロイド状薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子およびナノカプセル)もしくはマクロエマルション中に調製されたマイクロカプセルに封入されてもよい。そのような技術は、Remington、The Science and Practice of Pharmacy、第20版、Mack Publishing(2000)で開示されている。
【0219】
持続放出調製物が使用され得る。持続放出調製物の好適な例は、本発明の化合物を含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスを含み、このマトリックスは、造形品、例えば、フィルムまたはマイクロカプセルの形態である。持続放出マトリックスの例は、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)または’ポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸およびL-グルタミン酸エチルのコポリマー、非分解性エチレン-酢酸ビニル、分解性乳酸-グリコール酸コポリマー、例を挙げると、LUPRON DEPOT(商標)(乳酸-グリコール酸コポリマーおよび酢酸ロイプロリドで構成される注射用マイクロスフェア)で使用されているもの、イソ酪酸酢酸スクロース、ならびにポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸を含む。
【0220】
静脈内投与に使用される製剤は、無菌でなくてはならない。これは、例えば、滅菌濾過膜に通す濾過によって容易に遂行される。本発明の化合物は、概して、無菌アクセスポートを有する容器、例えば、皮下注射針によって貫通可能な栓を有する静脈注射溶液バッグまたはバイアルに入れられる。
【0221】
好適な乳剤は、市販されている脂肪乳剤、例を挙げると、Intralipid(商標)、Liposyn(商標)、Infonutrol(商標)、Lipofundin(商標)およびLipiphysan(商標)を使用して調製され得る。活性原料は、予め混合されたエマルション組成物に溶解されるか、または代替として、油(例えば、大豆油、サフラワー油、綿実油、ゴマ油、コーン油またはアーモンド油)およびリン脂質(例えば、卵リン脂質、大豆リン脂質または大豆レシチン)と水との混合時に形成されたエマルションに溶解されるかのいずれかであってよい。乳剤の等張性を調整するために、他の原料、例えば、グリセロールまたはグルコースを添加してよいことが分かるであろう。好適な乳剤は、典型的には、最大20%、例えば、5から20%の間の油を含有することになる。脂肪乳剤は、0.1から1.0μm、特に0.1から0.5μmの間の脂肪小滴を含み、5.5から8.0の範囲内のpHを有することができる。
【0222】
エマルション組成物は、本発明の化合物を、Intralipid(商標)またはその成分(大豆油、卵リン脂質、グリセロールおよび水)と混合することによって調製されるものであることができる。
【0223】
吸入または吹送のための組成物は、薬学的に許容できる、水性もしくは有機溶媒またはそれらの混合物中の溶液および懸濁液、ならびに粉末を含む。液体または固体組成物は、上記で明記した通りの好適な薬学的に許容できる添加剤を含有してよい。一部の実施形態では、組成物は、局部的または全身的効果のために経口または鼻呼吸ルートによって投与される。好ましくは無菌の薬学的に許容できる溶媒中の組成物は、ガスの使用によって噴霧され得る。噴霧溶液は、噴霧デバイスから直接吸い込まれ得るか、または、噴霧デバイスを、フェイスマスク、テントもしくは間欠陽圧呼吸器に取り付けてよい。溶液、懸濁液または粉末組成物は、製剤を適切な方式で送達するデバイスから、好ましくは経口的にまたは鼻内に投与され得る。
【0224】
本明細書における組成物は、経口、口腔、鼻腔内、非経口(例えば、静脈内、筋肉内または皮下)もしくは直腸投与のために、または吸入による投与に好適な形態で、製剤化され得る。本発明の組成物は、持続送達のために製剤化されてもよい。
【0225】
ある特定の量の活性原料を用いて種々の医薬組成物を調製する方法は、公知であるか、または、本開示を踏まえて、当業者には明らかとなるであろう。医薬組成物を調製する方法の例については、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第20版(Lippincott Williams&Wilkins、2000)を参照されたい。
【0226】
本発明に従う医薬組成物は、0.1%~95%、好ましくは1%~70%の本発明の化合物を含有してよい。いずれにせよ、投与される組成物は、ある分量の本発明に従う化合物を、処置されている対象の疾患/状態を処置するために有効な量で含有することになる。
【0227】
本発明は、別個に投与され得る活性原料の組成物を用いる本明細書において記述される疾患/状態の処置に関する態様を有することから、本発明は、別個の医薬組成物をキット形態で組み合わせることにも関する。キットは、2つの別個の医薬組成物:式(I)または(II)の化合物、そのプロドラッグまたはそのような化合物もしくはプロドラッグの塩と、上述した通りの第2の化合物とを含む。キットは、容器、分割されたボトルまたは分割されたホイル小包等の別個の組成物を含有するための手段を含む。典型的には、キットは、別個の成分の投与指示書を含む。キット形態は、別個の成分が好ましくは異なる剤形(例えば、経口および非経口)で投与され、異なる投薬間隔で投与される場合、または、組合せの個々の成分の滴定が処方医師によって所望される場合に、特に有利である。
【0228】
そのようなキットの例は、いわゆるブリスターパックである。ブリスターパックは、包装業界において周知であり、医薬単位剤形(錠剤、カプセル剤等)の包装に広く使用されている。ブリスターパックは、概して、好ましくは透明なプラスチック材料のホイルで覆われた比較的剛性の材料のシートからなる。包装プロセス中に、陥凹がプラスチックホイル中に形成される。陥凹は、錠剤またはカプセル剤が梱包されるサイズおよび形状を有する。次に、錠剤またはカプセル剤が陥凹に入れられ、比較的剛性の材料のシートが、陥凹が形成された方向とは反対のホイルの面で、プラスチックホイルに対して密封される。結果として、錠剤またはカプセル剤は、プラスチックホイルとシートとの間の陥凹内に密封される。好ましくは、シートの強さは、陥凹に圧力を手動で印加することによって錠剤またはカプセル剤をブリスターパックから除去することができ、それにより、シート内の陥凹の場所に開口部が形成されるようなものである。次いで、錠剤またはカプセル剤を、前記開口部を介して除去することができる。
【0229】
キットへの記憶補助を、例えば、錠剤またはカプセル剤の隣に、そのように指定されている錠剤またはカプセル剤を摂取すべきレジメンの日数の数字と一致する数字の形態で提供することが望ましい場合がある。そのような記憶補助の別の例は、例えば、例えば次の通りにカードに印刷されたカレンダーである:「第一週、月曜日、火曜日等・・・第二週、月曜日、火曜日、・・・」等。記憶補助の他の変形形態は容易に明らかとなるであろう。「1日用量」は、所与の日に服用される単一の錠剤もしくはカプセル剤または数個の丸剤もしくはカプセル剤であることができる。また、式(I)または(II)化合物の1日用量は、1個の錠剤またはカプセル剤からなっていてもよく、一方、第2の化合物の1日用量は、数個の錠剤またはカプセル剤からなっていてもよく、逆も然りである。記憶補助はこれを反映すべきである。
【0230】
本発明の別の具体的な実施形態では、1日用量を一度に1回分ずつそれらの意図された使用順序で分注するように設計されたディスペンサーが提供される。好ましくは、ディスペンサーは、レジメンへのコンプライアンスをさらに容易にするように、記憶補助を装備している。そのような記憶補助の例は、分注された1日用量の数を指し示す機械的計数器である。そのような記憶補助の別の例は、液晶表示器と、または、例えば、前回の1日用量が服用された日付を読み出し、かつ/または次の用量を服用すべき日付を思い出させる、可聴リマインダーシグナルと連結された、電池式マイクロチップメモリである。
【0231】
また、本発明は、一緒に投与され得る活性原料の組成物を用いる、本明細書において記述される疾患/状態の処置に関する態様を有するため、本発明は、別個の医薬組成物を、単一の錠剤もしくはカプセル剤、二重層もしくは多層の錠剤もしくはカプセル剤等の(であるがこれらに限定されない)単一剤形で、または、錠剤もしくはカプセル剤内の隔離された成分もしくは区画の使用によって組み合わせることにも関する。
【0232】
活性原料は、薬学的に許容できる賦形剤、添加剤、ビヒクルまたは担体から選択される追加の溶媒、共溶媒、添加剤または錯体形成剤を加えてまたは加えずに、水性または非水性ビヒクル中の溶液として送達され得る。
【0233】
活性原料は、薬学的に許容できる添加剤を加えて、固体分散体としてまたは自己乳化薬物送達系(SEDDS)として製剤化され得る。
【0234】
活性原料は、即時放出または徐放出の錠剤またはカプセル剤として製剤化され得る。代替として、活性原料は、追加の添加剤を加えずに、カプセル殻内の活性原料として単独で送達され得る。
【実施例0235】
実験手順
別段の定めがない限り、出発材料は、概して、Aldrich Chemicals Co.(Milwaukee、WI)、Lancaster Synthesis,Inc.(Windham、NH)、Acros Organics(Fairlawn、NJ)、Maybridge Chemical Company,Ltd.(Cornwall、England)およびTyger Scientific(Princeton、NJ)等の商業的供給源から入手可能である。ある特定の一般的な略語および頭字語が用いられており、それらは、AcOH(酢酸)、DBU(1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン)、CDI(1,1’-カルボニルジイミダゾール)、DCM(ジクロロメタン)、DEA(ジエチルアミン)、DIPEA(N,N-ジイソプロピルエチルアミン)、DMAP(4-ジメチルアミノピリジン)、DMF(N,N-ジメチルホルムアミド)、DMSO(ジメチルスルホキシド)、EDCI(1-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-3-エチルカルボジイミド塩酸塩)、EtO(ジエチルエーテル)、EtOAc(酢酸エチル)、EtOH(エタノール)、Gまたはg(グラム)、HATU(O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)、HBTU(O-ベンゾトリアゾール-1-イル-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート)、HOBT(1-ヒドロキシベンゾトリアゾール)、Hまたはh(時間)、IPA(イソプロピルアルコール)、iPrOH(2-プロパノール)、KHMDS(カリウムビス(トリメチルシリル)アミド)、MeOH(メタノール)、MTBE(tert-ブチルメチルエーテル)、NaBH(OAc)(トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム)、NaHMDS(ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド)、NMP(N-メチルピロリドン)、RH(相対湿度)、RTまたはrt(周囲温度(約20から25℃)と同じである室温)、SEM([2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル)、TEA(トリエチルアミン)、TFA(トリフルオロ酢酸)、THF(テトラヒドロフラン)、およびTP(プロパンホスホン酸無水物;2,4,6-トリプロピル-1,3,5,2,4,6-トリオキサトリホスフィナン2,4,6-トリオキシド)を含み得る。
【0236】
H核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、いずれの場合も、推定構造と一致していた。特徴的な化学シフト(δ)は、重水素化溶媒中の残留プロトンシグナル(7.27ppmのCHCl、3.31ppmのCDHOD)に対するパーツパーミリオン(ppm)で記され、主要ピークの呼称を表す従来の略語:例えば、s、一重線;d、二重線;t、三重線;q、四重線;m、多重線;br、広域を使用して報告される。
【0237】
ssNMRは、固体状態NMRを意味する。
【0238】
PXRDは、粉末X線回折を意味する。
【0239】
用語「実質的に同じ」は、X線粉末回折パターンについて記述するために使用される場合、そのピークが+/-0.2°2θの標準偏差内であるパターンを含むことを意味する。
【0240】
本明細書において使用される場合、特定の結晶形態に対する用語「実質的に純粋な」は、該結晶形態が、重量で10%未満、好ましくは5%未満、好ましくは3%未満、好ましくは1%未満の、化合物Aまたは化合物Dの任意の他の物理的形態を含むことを意味する。
【0241】
反応は、空気中で、または、酸素もしくは水分に感受性の試薬もしくは中間体を用いる場合には、不活性雰囲気(窒素またはアルゴン)下で、実施した。適切な場合、反応装置は、ヒートガンを使用して動的真空下で乾燥させ、無水溶媒(Aldrich Chemical Company、Milwaukee、WisconsinのSure-Seal(商標)製品、またはEMD Chemicals、Gibbstown、NJのDriSolv(商標)製品)を用いた。一部の場合には、下記の水のQC基準に到達するまで、4Å分子篩を詰めたカラムに市販の溶媒を通過させた:a)ジクロロメタン、トルエン、N,N-ジメチルホルムアミドおよびテトラヒドロフランについては100ppm未満;b)メタノール、エタノール、1,4-ジオキサンおよびジイソプロピルアミンについては180ppm未満。非常に感受性が高い反応では、溶媒を、金属ナトリウム、水素化カルシウムまたは分子篩でさらに処理し、使用直前に蒸留した。他の市販の溶媒および試薬は、さらに精製することなく使用した。他の実施例または方法における手順を参照する合成では、反応条件(反応時間および温度)は変動し得る。生成物は、概して、真空下で乾燥させた後、さらなる反応に持ち越すか、または生物学的検査に送った。
【0242】
指示されている場合、BiotageイニシエーターまたはPersonal Chemistryエムリーズオプティマイザーマイクロ波を使用するマイクロ波照射によって、反応物を加熱した。反応進行は、薄層クロマトグラフィー(TLC)、液体クロマトグラフィー-質量分析(LCMS)および/または高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用してモニターした。TLCは、蛍光指示薬(254nm励起波長)を用いるプレコートシリカゲルプレートで実施し、UV光下でならびに/またはI、KMnO、CoCl、リンモリブデン酸および/もしくはモリブデン酸セリウムアンモニウム染色を用いて可視化した。LCMSデータは、Leap Technologiesオートサンプラー、ジェミニC18カラム、MeCN/水勾配、および、TFA、ギ酸または水酸化アンモニウム調整剤のいずれかを用いて、アジレント1100シリーズ機器で獲得した。カラム溶離液は、Waters ZQ質量分析計走査を、100から1200Daまでの正および負イオンモード両方で使用して分析した。他の同様の機器も使用した。HPLCデータは、ジェミニまたはクロスブリッジC18カラム、MeCN/水勾配、および、TFAまたは水酸化アンモニウム調整剤のいずれかを使用して、アジレント1100シリーズ機器で獲得した。試料は、電子イオン化を使用して、50から550DaまでHP5973質量選択検出器走査で分析した。精製は、Iscoコンビフラッシュコンパニオン、AnaLogixインテリフラッシュ280、Biotage SP1、またはBiotageアイソレラワン機器およびプレパックIscoレディセップもしくはBiotageスナップシリカカートリッジを使用する中速液体クロマトグラフィー(MPLC)によって実施した。キラル精製は、BergerまたはThar機器;キラルパック-AD、-AS、-IC、キラルセル-ODまたは-OJカラム;および、単独のまたはTFAもしくはiPrNHを使用して修飾された、MeOH、EtOH、iPrOHまたはMeCNを加えたCO混合物を使用する、キラル超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)によって実施した。UV検出を使用して、分別捕集を誘引した。他の実施例または方法における手順を参照する合成では、精製は変動し得、概して、溶離液/勾配に使用する溶媒および溶媒比は、適切なRまたは保持時間を提供するように選択した。
【0243】
質量分析データは、LCMS分析により報告される。質量分析(MS)は、大気圧化学イオン化(APCI)、エレクトロスプレーイオン化(ESI)、電子衝撃イオン化(EI)または電子散乱(ES)イオン化源を介して実施した。プロトン磁気共鳴スペクトル法(H NMR)化学シフトは、テトラメチルシランから低磁場のパーツパーミリオンで記され、300、400、500または600MHzのVarian、BrukerまたはJeol分析計で記録した。化学シフトは、重水素化溶媒残留ピーク(クロロホルム、7.26ppm;CDHOD、3.31ppm;アセトニトリル-d、1.94ppm;ジメチルスルホキシド-d、2.50ppm;DHO、4.79ppm)を参照して、パーツパーミリオン(ppm、δ)で表現される。ピーク形状は、次の通りに記述される:s、一重線;d、二重線;t、三重線;q、四重線;quin、五重線;m、多重線;brs、広域一重線;app、見掛け。分析的SFCデータは、上述した通りにBerger分析機器で獲得した。旋光度データは、1dmセルを使用してPerkinElmerモデル343偏光計で獲得した。シリカゲルクロマトグラフィーは、BiotageおよびISCOを含む種々の商業的供給業者によって予め包装されたカラムを使用して、中圧BiotageまたはISCOシステムを主として使用し実施した。微量分析は、Quantitative Technologies Inc.によって実施され、算出された値の0.4%以内であった。
【0244】
別段の注記がない限り、化学反応は、室温(摂氏約23度)で実施した。
【0245】
別段の注記がない限り、すべての反応物質は、さらに精製することなく商業的に入手した、または文献において公知の方法を使用して調製した。
【0246】
用語「濃縮した」、「蒸発させた」および「真空で濃縮した」は、60℃未満の浴温度を持つロータリーエバポレーターにおける、減圧での溶媒の除去を指す。略語「min」および「h」は、それぞれ「分」および「時間」を表す。用語「TLC」は薄層クロマトグラフィーを指し、「室温または周囲温度」は、18から25℃の間の温度を意味し、「LCMS」は、液体クロマトグラフィー-質量分析を指し、「UPLC」は、超高速液体クロマトグラフィーを指し、「HPLC」は、高速液体クロマトグラフィーを指し、「SFC」は、超臨界流体クロマトグラフィーを指す。
【0247】
水素化は、加圧水素ガス下、Parrシェーカー内で、または、完全水素および1~2mL/分の間の流速で、指定された温度にて、Thales-nano Hキューブフロー式水素化装置内で、実施され得る。
【0248】
HPLC、UPLC、LCMSおよびSFC保持時間は、手順において注記されている方法を使用して測定した。
【0249】
いくつかの例では、キラル分離を行って、本発明のある特定の化合物の鏡像異性体を分離した(いくつかの例では、分離された鏡像異性体は、それらの溶離の順序に従って、ENT-1およびENT-2と指定され、同様に、分離されたジアステレオマーは、それらの溶離の順序に従って、DIAST-1およびDIAST-2と指定される)。いくつかの例では、鏡像異性体の旋光度は、偏光計を使用して測定した。その観察された回転データ(またはその比旋光度データ)に従って、時計回りの回転を持つ鏡像異性体を(+)-鏡像異性体と指定し、反時計回りの回転を持つ鏡像異性体を(-)-鏡像異性体と指定した。ラセミ化合物は、描かれたもしくは記述された立体化学の非存在によって、または構造に隣接する(+/-)の存在によってのいずれかで指し示され、この後者の場合、指し示された立体化学は、ラセミ混合物を構成する2つの鏡像異性体のうちの一方のみを表す。
【0250】
下記は、本発明の種々の化合物の合成を例証するものである。本発明の範囲内の追加の化合物は、これらの実施例において例証される方法を使用して、単独でまたは当技術分野において概して公知である技術と組み合わせてのいずれかで調製され得る。これらの調製および実施例におけるすべての出発材料は、市販されているか、または当技術分野において公知のもしくは本明細書において記述される通りの方法によって調製できるかのいずれかである。
【0251】
後述する化合物および中間体は、ACD/ケムスケッチ2017.2.1、ファイルバージョンC40H41、ビルド99535(Advanced Chemistry Development,Inc.、Toronto、Ontario、Canada)が提供する命名規則を使用して命名した。ACD/ケムスケッチ2017.2.1が提供する命名規則は、当業者に周知であり、ACD/ケムスケッチ2017.2.1が提供する命名規則は、概して、有機化合物の命名法におけるIUPAC(国際純正応用化学連合)勧告およびCASインデックスルールに適合すると考えられる。
【0252】
調製P1
2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}ピリミジン-5-カルボン酸(P1)
【0253】
【化8】
ステップ1. 2-[(5-ブロモピリジン-3-イル)オキシ]-3-エトキシピリジン(C1)の合成。
N,N-ジメチルホルムアミド(5.4L)中の2-ブロモ-3-エトキシピリジン(841g、4.16mol)の溶液に、臭化銅(I)(538g、3.75mol)、続いて、炭酸カリウム(1.04kg、7.52mol)を添加した。得られた混合物を25℃で撹拌し、5-ブロモピリジン-3-オール(652g、3.75mol)を一度に添加し、その後すぐに、反応混合物を120℃で16時間にわたって加熱した。次いでこれを30℃に冷却し、クラッシュアイス(9.0kg)および水中アンモニアの10%溶液(7.0L)の混合物にゆっくりと注ぎ入れた。得られた懸濁液を1時間にわたって撹拌した後、沈殿物を濾過によって収集し、濾過ケーキを水(3×5L)で洗浄した。次いでこれを酢酸エチル(8L)中で1時間にわたって撹拌し、濾過し、濾液を飽和塩化ナトリウム水溶液(5L)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。残留物を石油エーテル(2L)中で撹拌し、固体を濾過によって収集して、C1を提供した。濾液を減圧下で濃縮し、残留物を石油エーテル(200mL)で粉砕して、追加のC1を得た。2つのバッチを合わせて、C1を黄色固体として提供した。収量:835g、2.83mol、75%。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 8.48 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 8.44 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 7.71 (dd, J =
4.9, 1.5 Hz, 1H), 7.69 (dd, J = 2.2, 2.1 Hz, 1H), 7.24 (dd, J = 7.9, 1.5 Hz,
1H), 7.03 (dd, J = 7.9, 4.9 Hz, 1H), 4.14 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 1.47 (t, J = 7.0
Hz, 3H).
【0254】
ステップ2. 5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-カルボニトリル(C2)の合成。
N,N-ジメチルホルムアミド(3.0L)中のC1(324g、1.10mol)の溶液に、フェロシアン化カリウム(II)三水和物(697g、1.65mol)を一度に、続いて、水(300mL)を添加した。得られた懸濁液を真空下で脱気し、次いで、窒素でパージし、この排気-パージサイクルを合計4回行った。次いで、酢酸パラジウム(II)(4.94g、22.0mmol)および2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル(XPhos;18.7g、39.2mmol)を添加し、排気-パージサイクルを5回行い、反応混合物を105℃で18時間にわたって加熱した。反応混合物を50℃に冷却した後、これを濾過し、濾液を氷水(3L)に注ぎ入れ、次いで、およそ1時間にわたって撹拌した。得られた固体を濾過によって収集し、酢酸エチル(1.5L)に溶解し、飽和塩化ナトリウム水溶液(1L)で洗浄し、乾燥させ、濾過し、真空で濃縮して、C2(209g)を黄色固体として提供した。上記からの水性濾液をtert-ブチルメチルエーテル(2×3L)で抽出し、合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(0.5L)で洗浄し、乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、追加のC2(20g)を提供した。合わせた収量:229g、0.949mol、86%。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 8.71 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 8.68 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 7.80 (dd, J =
2.7, 1.7 Hz, 1H), 7.70 (dd, J = 4.9, 1.5 Hz, 1H), 7.29 - 7.25 (m, 1H, 推定; 溶媒ピークにより一部不明確), 7.08 (dd, J = 8.0, 4.9 Hz, 1H), 4.16 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 1.49
(t, J = 7.0 Hz, 3H).
【0255】
ステップ3. 5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-カルボキシミドアミド、塩酸塩(C3)の合成。
メタノール(1.3L)中のC2(180g、0.746mol)の0℃から5℃懸濁液に、メタノール中ナトリウムメトキシドの溶液(5M;30mL、150mmol)を添加した。メタノール(500mL)を添加して撹拌を容易にし、その後すぐに、反応混合物を室温(18℃)に加温させ、20時間にわたって撹拌した。次いでこれを-40℃に冷却し、塩化アンモニウム(48.0g、897mmol)で一度に処理し、その後すぐに、混合物を室温(18℃)に加温し、40時間にわたって撹拌した。真空で濃縮してメタノールのおよそ半分を除去した後、得られた白色沈殿物(無機塩)を、濾過を介して除去した。濾液を酢酸エチル(400mL)で希釈し、減圧下で濃縮して、およそ400mLの体積とした。この酢酸エチル希釈-濃縮手順を2回繰り返して、メタノールの酢酸エチルとの交換を達成した。得られた懸濁液の濾過により、C3を白色固体として得た。収量:175g、0.594mol、80%。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.82 (d, J = 2 Hz, 1H), 8.77 (d, J = 2.6
Hz, 1H), 8.05 (dd, J = 2, 2 Hz, 1H), 7.66 (dd, J = 4.9, 1.5 Hz, 1H), 7.57 (dd,
J = 7.9, 1.5 Hz, 1H), 7.18 (dd, J = 7.9, 4.9 Hz, 1H), 4.17 (q, J = 7.0 Hz, 2H),
1.37 (t, J = 7.0 Hz, 3H).
【0256】
ステップ4. メチル2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}ピリミジン-5-カルボキシレート(C4)の合成。
ナトリウム2-(ジメトキシメチル)-3-メトキシ-3-オキソプロパ-1-エン-1-オレート(201g、1.01mol)を、メタノール(1.75L)中のC3(249g、0.845mol)の溶液に一度に添加した。反応混合物である濃厚懸濁液を、18℃で20時間にわたって撹拌し、その後すぐに、沈殿物を濾過によって収集して、C4を白色固体として得た。収量:259g、0.735mol、87%。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.40 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 9.35 (s, 2H),
8.67 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 8.37 (dd, J = 2.8, 1.8 Hz, 1H), 7.69 (dd, J = 4.8,
1.5 Hz, 1H), 7.58 (dd, J = 8.0, 1.5 Hz, 1H), 7.19 (dd, J = 8.0, 4.8 Hz, 1H),
4.18 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 3.93 (s, 3H), 1.36 (t, J = 7.0 Hz, 3H).
【0257】
ステップ5. 2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}ピリミジン-5-カルボン酸(P1)の合成。
この反応は、2つの並列バッチで行った:C4(321g、0.911mol)をメタノール(1.6L)に懸濁し、氷水の浴中で冷却し、滴下方式にて水酸化ナトリウム溶液(2M;684mL、1.37mol)で処理した。添加の完了後、反応混合物を14℃で16時間にわたって撹拌し、その後すぐに、2つのバッチを合わせた。得られた懸濁液を水(3.2L)で希釈し、氷水浴で冷却し(およそ5℃から10℃)、1M塩酸の滴下添加によってpH3から4に調整した。混合物を14℃で2時間にわたって撹拌し、次いで濾過し、濾過ケーキを水(2×1L)および酢酸エチル(1L)で順次に洗浄して、P1を白色固体として得た。合わせた収量:557g、1.65mol、91%。LCMS m/z 338.9 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)
δ 9.39 (d, J = 1.8 Hz, 1H),
9.31 (s, 2H), 8.65 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 8.36 (dd, J = 2.7, 1.8 Hz, 1H), 7.68
(dd, J = 4.9, 1.5 Hz, 1H), 7.56 (dd, J = 8.0, 1.5 Hz, 1H), 7.17 (dd, J = 8.0,
4.8 Hz, 1H), 4.16 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 1.36 (t, J = 7.0 Hz, 3H).
【0258】
上述したものに類似の手順を使用して作製された調製P1材料を、Cu放射線源(K-α平均)が装備されたBruker AXS D8エンデバー回折計で行われる粉末X線回折分析を使用して、さらに分析した。発散スリットを、15mm連続照明に設定した。回折される放射線をPSD-リンクスアイ検出器によって検出し、検出器PSD開口部は3.00度に設定した。X線管電圧およびアンペア数は、それぞれ40kVおよび40mAに設定した。データは、0.01度のステップ幅および1.0秒のステップ時間を使用し、3.0から40.0度2シータまでのCu波長で、シータ-シータゴニオメーターに収集した。散乱線除去スクリーンは、1.5mmの固定距離に設定した。収集中、試料を15/分で回転させた。試料は、それらをシリコン低バックグラウンド試料ホルダーに入れ、収集中に回転させることによって調製した。
【0259】
データはBruker DIFFRACプラスソフトウェアを使用して収集し、分析はEVAディフラクトプラスソフトウェアによって実施した。PXRDデータファイルは、ピーク検索前には加工しなかった。EVAソフトウェアにおけるピーク検索アルゴリズムを使用して、1の閾値を持つ選択されたピークを使用して、予備的なピーク割り当てを行った。妥当性を確実にするために、調整を手動で行い、自動割り当ての出力を視覚的に確認し、ピーク位置をピーク最大値に調整した。3%以上の相対強度を持つピークを概して選択した。分離されなかったまたはノイズと一致するピークは選択しなかった。USPにおいて述べられているPXRDからのピーク位置に関連する典型的な誤差は、最大0.2°2θである(USP-941)。相対的なピークの高さにおけるいくらかの変動は、結晶サイズおよび形態学に伴う変化に基づいて予想される。特徴的なx線粉末回折パターンを、図31で提供する。この図からのPXRDデータについて、さらに後述する。
【0260】
【表1】
【0261】
【表2】
【0262】
C2の代替合成
5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-カルボニトリル(C2)
【0263】
【化9】
1,4-ジオキサン(250mL)中の2-ブロモ-3-エトキシピリジン(10.0g、49.5mmol)の溶液を、2分間にわたって窒素でフラッシュした。次いで、5-ヒドロキシピリジン-3-カルボニトリル(6.54g、54.4mmol)、酢酸パラジウム(II)(556mg、2.48mmol)、1,1’-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセン(1.41g、2.97mmol)および炭酸セシウム(32.3g、99.1mmol)を添加し、反応混合物を105℃で16時間にわたって撹拌し、その後すぐに、2-ブロモ-3-エトキシピリジン(7.00g、34.6mmol)を使用して行った同様の反応と合わせ、室温に冷却した。酢酸エチル(200mL)で希釈後、合わせた反応混合物を珪藻土に通して濾過し、真空で濃縮乾固した。残留物を酢酸エチル(200mL)で希釈し、飽和塩化ナトリウム水溶液(2×200mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:石油エーテル中0%から35%酢酸エチル)により、C2を黄色固体として得た。合わせた収量:18.0g、74.6mmol、89%。LCMS m/z 242.1 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 8.70 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 8.66 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 7.79 (dd, J =
2.7, 1.8 Hz, 1H), 7.69 (dd, J = 4.9, 1.5 Hz, 1H), 7.26 (dd, J = 8.0, 1.5 Hz,
1H), 7.07 (dd, J = 8.0, 4.9 Hz, 1H), 4.15 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 1.47 (t, J = 7.0
Hz, 3H).
【0264】
調製P2
2-{5-[(3-エトキシ-5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}ピリミジン-5-カルボン酸(P2)
【0265】
【化10】
ステップ1. 2-ブロモ-3-エトキシ-5-フルオロピリジン(C5)の合成。
炭酸カリウム(697g、5.04mol)を、N,N-ジメチルホルムアミド(4L)中の2-ブロモ-5-フルオロピリジン-3-オール(745g、3.88mol)の溶液に添加し、その後すぐに、反応ベッセルを排気し、窒素を投入した。この排気サイクルを2回繰り返し、次いで、反応混合物を35℃に加熱した。ヨードエタン(372mL、4.65mol)を30分間かけて滴下添加し、反応混合物を35℃で16時間にわたって撹拌した後、これを25℃に冷却し、水(6L)で希釈した。撹拌を25℃で15分間にわたって続け、得られた固体を、濾過を介して収集し、濾液をtert-ブチルメチルエーテル(3×1.5L)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。残留物を、1回目の濾過から取得された固体と合わせて、C5を褐色固体として得た。収量:756g、3.44mol、89%。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.88 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 6.90 (dd, J = 9.5, 2.5 Hz, 1H), 4.10 (q,
J = 7.0 Hz, 2H), 1.51 (t, J = 7.0 Hz, 3H).
【0266】
ステップ2. 5-[(3-エトキシ-5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-カルボニトリル(C6)の合成。
この反応は、4つの並列バッチで行った。5-ヒドロキシピリジン-3-カルボニトリル(112.6g、937.5mmol)および炭酸セシウム(389g、1.19mol)を、1,4-ジオキサン(2.5L)中のC5(187.5g、852.1mmol)の溶液に一度に添加した。反応ベッセルを排気し、窒素を投入した。この排気サイクルを2回繰り返し、その後すぐに、酢酸パラジウム(II)(9.57g、42.6mmol)および1,1’-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセン(20.2g、42.6mmol)を反応混合物に添加した。排気-窒素サイクルを上記の通りに繰り返し、次いで、反応混合物を85℃で16時間にわたって撹拌した。16時間後に完了していなかったあらゆる反応物を、追加の酢酸パラジウム(II)(9.57g、42.6mmol)および1,1’-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセン(20.2g、42.6mmol)で処理し、85℃で追加で16時間にわたって撹拌した。この時点で、4つの反応混合物を合わせ、濾過し、濾液を真空で濃縮し、残留物を酢酸エチル(3L)に溶解し、次いで、水(6L)で希釈した。得られた混合物を25℃で15分間にわたって撹拌し、その後すぐに、層を分離し、水性層を酢酸エチル(3×1L)で抽出した。合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(2×3L)で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。残留物を、tert-ブチルメチルエーテル(1L)および石油エーテル(2L)の混合物中、25℃で20分間にわたって撹拌し、得られた固体を、濾過を介して収集して、C6(813g)を固体として得た。濾液を真空で濃縮し、シリカゲル上でのクロマトグラフィー(勾配:石油エーテル中0から30%酢酸エチル)に供して、追加のC6(52g)を褐色固体として提供した。合わせた収量:865g、3.34mol、98%。LCMS m/z 259.8 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 8.73 - 8.64 (m, 2H), 7.77 (br s, 1H), 7.56 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.06
(dd, J = 9.0, 2.5 Hz, 1H), 4.14 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 1.50 (t, J = 7.0 Hz, 3H).
【0267】
ステップ3. 5-[(3-エトキシ-5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-カルボキシミドアミド、塩酸塩(C7)の合成。
酢酸エチル(3L)中のC6(919g、3.54mol)の溶液を、活性炭(およそ200g)で処理し、次いで、77℃で3時間にわたって撹拌した。得られた混合物を濾過した後、濾液を真空で濃縮して、C6(894g、3.45mol)を提供した。次いで、下記の反応を3つの並列バッチで行った。ナトリウムメトキシド(12.4g、230mmol)を、メタノール(2L)中のC6(298g、1.15mol)の0℃溶液に添加した。反応混合物を25℃に加温させ、次いで、25℃で20時間にわたって撹拌した後、-40℃に冷却し、塩化アンモニウム(67.6g、1.26mol)で処理した。この時点で、反応混合物を25℃に加温させ、25℃で40時間にわたって撹拌し、その後すぐに、3つのバッチを合わせ、真空で濃縮して、C7を褐色ガム状物(1.15kg)として得た。この材料を後続のステップにおいて直接使用した。LCMS m/z 276.8 [M+H]+.
【0268】
ステップ4. メチル2-{5-[(3-エトキシ-5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}ピリミジン-5-カルボキシレート(C8)の合成。
この反応は、3つの並列バッチで行った。ナトリウム2-(ジメトキシメチル)-3-メトキシ-3-オキソプロパ-1-エン-1-オレート(357g、1.80mol)を、メタノール(2.5L)中のC7(前ステップから;383g、1.15mol以下)の25℃溶液に一度に添加した。25℃で16時間にわたって撹拌した後、LCMS分析によって評価される通り、3つの反応物のうち2つが完了した。第3の(不完全な)反応物を追加のナトリウム2-(ジメトキシメチル)-3-メトキシ-3-オキソプロパ-1-エン-1-オレート(54.9g、277mmol)で処理し、撹拌を25℃で6時間にわたって続けた。この時点で、3つのバッチを合わせ、水(8L)で希釈し、濾過した。濾過ケーキを水(2×2L)で洗浄した後、これを、メタノール(1L)およびtert-ブチルメチルエーテル(1L)の混合物中、25℃で3時間にわたって撹拌し、その後すぐに、懸濁液を濾過して、C8を褐色固体として提供した。収量:2ステップにわたって1.0kg、2.7mol、78%。LCMS m/z 370.8 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 9.54 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 9.32 (s, 2H), 8.63 (d, J = 2.7 Hz, 1H),
8.55 (dd, J = 2.7, 1.8 Hz, 1H), 7.57 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.05 (dd, J = 9.2,
2.5 Hz, 1H), 4.16 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 4.00 (s, 3H), 1.51 (t, J = 7.0 Hz, 3H).
【0269】
ステップ5. 2-{5-[(3-エトキシ-5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}ピリミジン-5-カルボン酸(P2)の合成。
メタノール(2L)中のC8(500g、1.35mol)の懸濁液を、滴下方式にて水酸化ナトリウム溶液(2M;1.01L、2.02mol)で処理した。添加の完了後、反応混合物を25℃で16時間にわたって撹拌し、その後すぐに、これを水(2L)で希釈した。次いで、塩酸(1M;およそ1.5L)の滴下添加によってpHを3から4に調整し、得られた混合物を25℃で1時間にわたって撹拌し、固体を濾過によって収集した。濾過ケーキを水(2×1L)で洗浄して、P2をオフホワイトの固体として提供した。収量:405g、1.14mol、84%。LCMS m/z 356.8 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)
δ 9.39 (d, J = 1.7 Hz, 1H),
9.31 (s, 2H), 8.65 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 8.37 - 8.34 (m, 1H), 7.71 (d, AB四重線の成分, J = 2.6 Hz, 1H), 7.68 (dd, ABX系の成分, J = 9.8, 2.6 Hz, 1H), 4.19 (q, J = 7.0
Hz, 2H), 1.36 (t, J = 7.0 Hz, 3H).
【0270】
調製P3
tert-ブチル(3S,5S)-3-アミノ-5-フルオロピペリジン-1-カルボキシレート(P3)
【0271】
【化11】
このシーケンス全体は、大スケールで行った。概して、反応前および試薬の添加後に、反応器を-0.07MPa以下に排気し、次いで、窒素で充填して、常圧とした。このプロセスは、概して3回繰り返し、次いで、酸素含有量を評価して、それが1.0%以下であることを確実にした。クエンチング、抽出、および有機層の洗浄のプロセスのために、混合物を概して15から60分間にわたって撹拌し、次いで、15から60分間にわたって沈降させた後、層の分離を行った。
【0272】
ステップ1. メチル(2S,4R)-1-ベンジル-4-ヒドロキシピロリジン-2-カルボキシレート(D1)の合成。
トリエチルアミン(93.55kg、924.5mol)を、ジクロロメタン(968kg)およびメチル(2S,4R)-4-ヒドロキシピロリジン-2-カルボキシレート、塩酸塩(56.05kg、308.6mol)の15℃から25℃混合物に、80から120kg/時の基準速度で投入した。混合物を10から20分間にわたって撹拌した後、臭化ベンジル(79.00kg、461.9mol)を20から30kg/時の基準速度で添加した。反応混合物を15℃から25℃で撹拌し、12時間後、これを、HPLCを介する分析のために、出発材料の面積パーセントが2%未満になるまで2から6時間ごとに試料採取した(HPLC条件。カラム:WatersクロスブリッジBEH C18、4.6×150mm、3.5μm;移動相A:0.1%ヘプタフルオロ酪酸を含有する水;移動相B:アセトニトリル;勾配:3分間にわたって10%B、次いで、10分間かけて10%から40%B、次いで、5分間かけて40%から90%B;流速:1.0mL/分)。メチル(2S,4R)-4-ヒドロキシピロリジン-2-カルボキシレートの典型的な保持時間:3.8分。
【0273】
次いで、水(280kg)を反応器に、100から150kg/時の基準速度および15℃から25℃で添加した。水性層をジクロロメタン(372kg、281L、5体積)で1回抽出し、合わせた有機層を水(280kg)中の塩化ナトリウム(93.0kg)の溶液で洗浄し、次いで、温度を35℃未満に維持しながら、-0.08MPaで100から150Lの体積に濃縮した。テトラヒドロフラン(497kg)を得られた混合物に2回に分けて投入した。混合物を再度、温度を35℃未満に維持しながら、-0.08MPaで100から150Lの体積に濃縮した。残留ジクロロメタンについてカール・フィッシャー分析および試料採取を行って、含水量が0.30%以下であり、残留ジクロロメタンが4%以下であることを確実にした。得られた溶液を15℃から30℃に調整して、D1を含有する黄色溶液を得た。収量:D1(69.14kg、293.9mol、95%)を含有する136.8kgの溶液。HPLC純度:90%(HPLC条件。カラム:WatersクロスブリッジBEH C18、4.6×150mm、3.5μm;移動相A:水中10mM酢酸アンモニウム;移動相B:アセトニトリル;勾配:10分間かけて20%から95%B;流速:1.0mL/分)。D1の保持時間:4.72分。1H NMR (401 MHz, クロロホルム-d) δ 7.34 - 7.21 (m, 5H), 4.48 - 4.39 (m, 1H), 3.90 (d, J = 12.9 Hz,
1H), 3.65 (d, J = 12.9 Hz, 1H), 3.65 (s, 3H), 3.59 (dd, J = 7.9, 7.8 Hz, 1H),
3.32 (dd, J = 10.1, 5.7 Hz, 1H), 2.57 (br s, 1H), 2.45 (dd, J = 10.2, 4.1 Hz,
1H), 2.24 (ddd, J = 13.2, 7.7, 6.9 Hz, 1H), 2.07 (ddd, J = 13.3, 8.0, 3.2 Hz,
1H).
【0274】
ステップ2. メチル(2S,4S)-1-ベンジル-4-フルオロピロリジン-2-カルボキシレート(D2)の合成。
テトラヒドロフラン中D1の溶液(128.4kg、64.90kg、275.8molのD1を含有する)を、テトラヒドロフラン(575kg)を含有する反応器に15℃から25℃で添加した。次いで、トリエチルアミン(114.2kg、1129mol)を35から45kg/時の基準添加速度で添加した。混合物に、トリエチルアミントリヒドロフルオリド(66.70kg、413.7mol)、続いて、ノナフルオロブタン-1-スルホニルフルオリド(128.0kg、423.7mol)を60から80kg/時の基準速度で投入し、反応を15℃から25℃で進行させた。4時間後、反応混合物を、HPLCを介する分析のために、D1の面積パーセントが1%未満になるまで2から6時間ごとに試料採取した(HPLC条件。カラム:WatersクロスブリッジBEH C18、4.6×150mm、3.5μm;移動相A:水中10mM酢酸アンモニウム;移動相B:アセトニトリル;勾配:10分間かけて20%から95%B;流速:1.0mL/分)。D1の典型的な保持時間:5.0分。
【0275】
次いで、混合物を10℃から15℃に冷却し、水(325kg)を100から120kg/時の基準速度で、続いて、tert-ブチルメチルエーテル(240.5kg)を15℃から25℃で添加した。有機相を水(198kg)中の重炭酸ナトリウム(18.2kg、217mol)の溶液で2回洗浄し、次いで、水(130kg)中の塩化ナトリウム(47.2kg)の溶液で2回洗浄した。次いでこれを、温度を45℃未満に維持しながら、-0.08MPa以下で150から200Lの体積に濃縮した。得られた混合物を20℃から30℃に調整した後、tert-ブチルメチルエーテル(123kg、166L、2.5体積)およびn-ヘプタン(112kg、163L、2.5体積)を添加した。得られた混合物を、材料のほぼすべてが濾過されるまで、シリカゲルカラム(112kgのシリカゲル)に通して濾過した。次いで、反応器をtert-ブチルメチルエーテル(481kg、10体積)およびn-ヘプタン(444kg、10体積)により20℃から30℃ですすぎ、このすすぎ液もシリカゲルカラムに通して濾過した。合わせた濾液を、シリカゲル(40kg)を含有する新しいカラムに通して溶離し、溶離液を、温度を45℃未満に維持しながら、-0.08MPa以下で80から100Lの体積に濃縮した。得られた溶液を20℃から30℃に調整して、D2を含有する黄色溶液を得た。収量:D2(52.64kg、221.8mol、80%)を含有する104.3kgの溶液。HPLC純度:83%(HPLC条件。カラム:WatersクロスブリッジBEH C18、4.6×150mm、3.5μm;移動相A:水中10mM酢酸アンモニウム;移動相B:アセトニトリル;勾配:10分間かけて20%から95%B;流速:1.0mL/分)。D2の保持時間:7.34分。1H NMR (401 MHz, クロロホルム-d) δ 7.37 - 7.22 (m, 5H), 5.10 (br ddd, J = 54.8, 5, 5 Hz, 1H), 4.03 (d,
J = 13.0 Hz, 1H), 3.70 (s, 3H), 3.59 (d, J = 13.0 Hz, 1H), 3.34 - 3.21 (m, 2H),
2.65 - 2.42 (m, 2H), 2.29 (br ddd, J = 29.8, 14.8, 6.3 Hz, 1H).
【0276】
ステップ3. [(2S,4S)-1-ベンジル-4-フルオロピロリジン-2-イル]メタノール(D3)の合成。
テトラヒドロフラン(352kg)を、水素化アルミニウムリチウム(8.20kg、216mol)に、窒素下、15℃から25℃で添加した。添加の完了後、混合物を10から15分間にわたって撹拌し、反応器の下部ポートから窒素を3から5分間にわたって吹き込んで発泡させた。混合物を8℃から15℃に調整し、次いで、テトラヒドロフラン中D2の溶液(99.10kg、50.02kg、210.8molのD2を含有する)を、小分けにして35から45kg/時の基準速度にて8℃から15℃で添加した。基質の3分の1を添加した後、反応混合物を0.5から1時間にわたって撹拌し、次いで、分析のために試料採取した。投入したD2の残量が10%以下になるまで、追加の材料は添加しなかった。全D2の添加が完了したら、反応を8℃から15℃で進行させ、1時間後、これを、HPLC分析のために、2%以下のD2が観察されるまで1から3時間ごとに試料採取した(HPLC条件。カラム:WatersクロスブリッジBEH C18、4.6×150mm、3.5μm;移動相A:水中10mM酢酸アンモニウム;移動相B:アセトニトリル;勾配:10分間かけて20%から95%B;流速:1.0mL/分)。D2の典型的な保持時間:7.5分。
【0277】
次いで、反応物を、水(8.00kg)およびテトラヒドロフラン(44.5kg)の混合物の添加を介してクエンチし、これを、0℃から20℃で、6から8kg/時の基準速度にて添加した。次いで、水(30.0kg)中の水酸化ナトリウム(1.40kg、35mol)の溶液を、混合物に、10℃から25℃で、10から20kg/時の基準速度にて投入した。この添加後、混合物を0.5から1時間にわたって撹拌した。次いで、反応器の下部ポートから窒素を混合物に15℃から25℃で4から6時間にわたって吹き込んで発泡させた。混合物を濾過し、収集した固体をテトラヒドロフラン(317kg)とともに15℃から25℃で1から2時間にわたって撹拌し、次いで、この混合物を濾過した。合わせた濾液を、温度を45℃未満に維持しながら、-0.08MPa以下で1から1.2体積に濃縮した。温度を45℃未満に維持しながら、2-メチルテトラヒドロフラン(388kg)を小分けにして混合物に投入した。各添加後、混合物を5から10分間にわたって撹拌し、次いで、上記の通りに1から1.2体積に濃縮した。試料採取を行って、残留テトラヒドロフランが2%以下であり、含水量(カール・フィッシャー分析によって)が0.1%以下であることを確実にした。得られた混合物を15℃から25℃に調整し、2-メチルテトラヒドロフラン(43.0kg)で処理し、撹拌して、D3を含有する黄色溶液を提供した。収量:D3(41.05kg、196.2mmol、93%)を含有する102.7kgの溶液。HPLC純度:90%(HPLC条件。カラム:WatersクロスブリッジBEH C18、4.6×150mm、3.5μm;移動相A:水中10mM酢酸アンモニウム;移動相B:アセトニトリル;勾配:10分間かけて20%から95%B;流速:1.0mL/分)。D3の保持時間:5.38分。1H NMR (401 MHz, クロロホルム-d), 特徴的ピーク: δ 7.37 - 7.23 (m,
5H), 5.05 (br ddd, J = 54.5, 4.7, 4.5 Hz, 1H), 4.04 (d, J = 13.3 Hz, 1H), 3.54
- 3.45 (m, 1H), 3.33 (d, J = 13.3 Hz, 1H), 3.23 (br dd, J = 18.5, 11.7 Hz, 1H),
2.83 - 2.75 (m, 1H), 2.63 (br d, J = 9.2 Hz, 1H), 2.49 - 2.10 (m, 3H).
【0278】
ステップ4. (3R,5S)-1-ベンジル-5-フルオロピペリジン-3-オール(D4)の合成。
2-メチルテトラヒドロフラン中D3の溶液(102.6kg、41.03kg、196.1molのD3を含有する)を、2-メチルテトラヒドロフラン(160kg)に15℃から25℃で添加した。次いで、トリフルオロ酢酸無水物(42.20kg、200.9mol)を35から45kg/時の基準速度で、続いて、トリエチルアミン(61.1kg、604mol)を35から45kg/時の基準速度で添加した。反応混合物を15℃から25℃で1時間にわたって維持し、次いで、77℃から82℃に加熱した。12時間後、反応物を、HPLC分析のために、D3の面積パーセントが3%以下になるまで1から12時間ごとに試料採取した(HPLC条件。カラム:WatersクロスブリッジBEH C18、4.6×150mm、3.5μm;移動相A:水中10mM酢酸アンモニウム;移動相B:アセトニトリル;勾配:10分間かけて20%から95%B;流速:1.0mL/分)。D3の典型的な保持時間:5.8分。
【0279】
そのときに、反応混合物を10℃から20℃に冷却し、温度を10℃から30℃の間に維持しながら、水(41.1kg)中の水酸化ナトリウム(3.30kg、82mol)の溶液で、34から45kg/時の基準速度にて処理した。添加の完了後、混合物を1時間にわたって撹拌し、その後すぐに、これを15℃から30℃の水(82.2kg)中の塩化ナトリウム(23.1kg)の溶液で洗浄した。水性層を15℃から30℃のtert-ブチルメチルエーテル(150kg、203L、5体積)で1回抽出し、合わせた有機層を、温度を45℃未満に維持しながら、-0.08MPa以下で1から1.2体積に濃縮した。混合物を15℃から30℃の水(162kg)で2回洗浄し、トリエチルアミンについて有機相を試料採取して、トリエチルアミンレベルが3%以下であることを確実にした。次いでこれを、温度を45℃未満に維持しながら、-0.08MPa以下で1の体積から1.2体積に濃縮した。テトラヒドロフラン(110kg)を添加し、得られた混合物を再度、温度を45℃未満に維持しながら、-0.08MPa以下で1の体積から1.2体積に濃縮した。得られた材料を20℃から30℃に冷却して、D4を含有する暗褐色溶液を得た。収量:D4(36.50kg、174.4mmol、89%)を含有する153.5kgの溶液。HPLC純度:85%(HPLC条件。カラム:WatersクロスブリッジBEH C18、4.6×150mm、3.5μm;移動相A:水中10mM酢酸アンモニウム;移動相B:アセトニトリル;勾配:10分間かけて20%から95%B;流速:1.0mL/分)。D4の保持時間:5.88分。1H NMR (401 MHz, クロロホルム-d) δ 7.36 - 7.23 (m, 5H), 4.84 - 4.66 (m, 1H), 3.90 - 3.81 (m, 1H), 3.62
- 3.59 (m, 2H), 2.92 - 2.76 (m, 2H), 2.69 (dd, J = 11.5, 5.0 Hz, 1H), 2.54 -
2.39 (m, 2H), 2.10 - 1.98 (m, 1H), 1.95 - 1.78 (m, 1H).
【0280】
ステップ5. tert-ブチル(3S,5R)-3-フルオロ-5-ヒドロキシピペリジン-1-カルボキシレート(D5)の合成。
15℃から30℃の、テトラヒドロフラン中D4(30.03kg、143.5molのD4を含有する)、テトラヒドロフラン(218kg)および二炭酸ジ-tert-ブチル(47.10kg、215.8mol)の混合物を、地下パイプを介して窒素で0.2から0.3MPaまでパージし、次いで、0.02から0.05MPaまで通気した。このパージおよび通気手順を5から8回の間繰り返した。パラジウム炭(10%、3.00kg)を反応器に15℃から30℃で投入し、次いで、固体添加漏斗を水(0.26kg)ですすいだ。反応混合物を、地下パイプを介して窒素で0.1から0.2MPaまでパージし、次いで、15℃から30℃で0.02から0.05MPaまで通気し、このパージおよび通気手順を5から8回の間繰り返した。次いで、同一のパージ-通気プロトコールを、水素を使用して行った。最終水素交換の後、圧力を水素で0.1から0.2MPaに増大させた。次いで、反応混合物を1から3時間ごとに2回窒素と交換し、地下パイプを介して水素で0.1から0.2MPaまでパージし、続いて、0.02から0.05MPaまで通気した。交換後、水素圧を0.1から0.2MPaに増大させ、反応混合物を20℃から30℃で維持した。8時間後、反応物を、HPLC分析のために、D4のレベルが1.0%以下になるまで1から12時間ごとに試料採取した(HPLC条件。カラム:Watersエクセレクトフェニル-ヘキシル、4.6×150mm、3.5μm;移動相A:0.1%トリフルオロ酢酸を含有する水;移動相B:0.1%トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリル;勾配:15分間かけて5%から35%B;流速:1.0mL/分)。
【0281】
次いで、混合物を、地下パイプを介して窒素で0.2から0.3MPaまでパージし、15℃から30℃で0.02から0.05MPaまで通気し、このサイクルを9回以上繰り返した。反応混合物をステンレス鋼ヌッチェフィルターに20℃から30℃で通過させ、濾過ケーキをテトラヒドロフラン(26.6kg、29.9L、1体積)ですすぎ、合わせた濾液を、シリカゲル(15.1kg)をロードしたフィルターに通過させ、シリカ濾過ケーキをテトラヒドロフラン(52.7kg、59.3L、2体積)ですすいだ。これらの合わせた濾液をインラインフィルターに15℃から30℃で通過させ、温度を45℃未満に維持しながら、-0.08MPa以下で1.1の体積から1.4体積に濃縮した。得られた混合物をn-ヘプタン(102kg)で15℃から45℃にて処理し、10分間にわたって撹拌し、その後すぐに、混合物を試料採取して、残留テトラヒドロフランが8%未満であることを確実にした。テトラヒドロフラン(6.90kg)およびn-ヘプタン(101kg)を15℃から45℃で添加し、混合物を50℃から55℃に加熱し、次いで、18℃から25℃に冷却し、1時間にわたって撹拌した。D5の種晶(0.06kg;以下の起源を参照)を混合物に投入し、次いでこれを、温度を18℃から25℃に維持しながら、1から2時間にわたって撹拌した。結晶化のために撹拌を15℃から20℃で8から12時間にわたって続けた。反応器の下部ポートから窒素を2から3時間ごとに吹き込んで発泡させて、濃縮を達成した。次いで、ステンレス鋼ヌッチェフィルターを使用して混合物を濾過し、濾過ケーキをn-ヘプタン(20.4kg)およびテトラヒドロフラン(0.81kg)の混合物ですすぎ、次いで、試料採取が720ppm以下の残留テトラヒドロフランおよび5000ppm以下の残留n-ヘプタンを指し示すまで、20℃から30℃で乾燥させた。生成物D5がオフホワイトの固体として取得された。収量:アッセイにより12.15kg、97.5%;正量:11.84kg、54.00mol。母液回収による追加の材料:5.17kg、23.6mmol。合わせた収量:54%。HPLC純度:94%(HPLC条件。カラム:Watersエクセレクトフェニル-ヘキシル、4.6×150mm、3.5μm;移動相A:0.1%トリフルオロ酢酸を含有する水;移動相B:0.1%トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリル;勾配:15分間かけて5%から35%B;流速:1.0mL/分)。D5の保持時間:12.58分。1H NMR (401 MHz, クロロホルム-d) δ 4.69 (br d, JHF = 47.2 Hz, 1H), 3.86 - 3.76 (m, 1H),
3.62 - 3.35 (m, 3H), 2.64 - 2.44 (m, 1H), 2.18 - 1.92 (m, 2H), 1.46 (s, 9H).
【0282】
D5の種晶の調製:D4のより小さいスケールの水素化反応を、上記の通りに行い、パラジウム炭素の除去後、テトラヒドロフラン中のD5の得られた溶液を、およそ1から1.2体積に濃縮した(使用したD4の分量に基づいて)。得られた混合物をテトラヒドロフラン(0.2体積)およびn-ヘプタン(15体積)で処理し、50℃から55℃に加熱し、次いで、15℃から20℃に冷却させた。懸濁液を6から8時間にわたって撹拌した後、これを濾過してD5を固体として得、この材料を種晶として使用した。
【0283】
ステップ6. tert-ブチル(3S,5R)-3-フルオロ-5-[(メチルスルホニル)オキシ]ピペリジン-1-カルボキシレート(D6)の合成。
ジクロロメタン(229kg)を反応器に15℃から25℃で、続いて、D5(17.40kg;アッセイ結果から補正したもの:16.96kg、77.35mol)を添加し、次いで、下部ポートを経由して窒素を吹き込んで発泡させた。トリエチルアミン(9.80kg、96.8mol)を15℃から25℃で添加し、その後すぐに、反応混合物を0℃から5℃に冷却した。混合物を0℃から10℃に維持しながら、塩化メタンスルホニル(10.18kg、88.88mol)を添加し、反応を0℃から10℃で進行させた。1時間後、これを、D5の面積パーセントが1%未満になるまで1から3時間ごとに試料採取した(HPLC条件。カラム:WatersクロスブリッジBEH C18、4.6×150mm、3.5μm;移動相A:水中10mM酢酸アンモニウム;移動相B:アセトニトリル;勾配:10分間かけて30%から95%B;流速:1.0mL/分)。D5の典型的な保持時間:4.31分。
【0284】
その時点で、水(52.0kg)を混合物に、0℃から5℃で、20から38kg/時の基準速度にて投入した。得られた混合物の水性相を0℃から10℃のジクロロメタン(70.4kg、53.1L、3体積)で抽出し、合わせた有機層を、0℃から15℃の水(17.4kg)中の塩化ナトリウム(4.30kg)の溶液で洗浄し、その後、温度を30℃未満に維持しながら、-0.09MPa以下で2から3体積に濃縮した。残留物をtert-ブチルメチルエーテル(128kg)で、小分けにして0℃から30℃で希釈し、次いで、混合物を、温度を30℃未満に維持しながら、-0.09MPa以下で2から3体積に濃縮した。tert-ブチルメチルエーテル(65.0kg)を再度、混合物に小分けにして0℃から30℃で投入し、混合物を再度、温度を30℃未満に維持しながら、-0.09MPa以下で2から3体積に濃縮した。ジクロロメタンについての分析が2%以下の残留ジクロロメタンレベルを提供するまで、このプロトコールを繰り返した。次いで、混合物を35℃から40℃に加熱し、n-ヘプタン(116kg)を40から60kg/時の基準速度で添加し、その後すぐに、混合物を、0℃から10℃に10℃から15℃/時の基準速度でゆっくりと冷却した。次いでこれを、0℃から10℃で2時間にわたって撹拌した。濾過により濾過ケーキを提供し、これをn-ヘプタン(22.5kg)ですすぎ、次いで、窒素流下、35℃から40℃で乾燥させた。得られた固体をtert-ブチルメチルエーテル(59.4kg)と15℃から30℃で混合し、次いで、35℃から40℃に加熱した。n-ヘプタン(119kg)を35℃から40℃で、40から60kg/時の基準速度にて添加し、得られた混合物を0℃から10℃に、10℃から15℃/時の基準速度でゆっくりと冷却した。混合物を0℃から10℃で2時間にわたって撹拌した後、これを濾過し、濾過ケーキをn-ヘプタン(23.6kg)ですすいだ。収集した固体を、残留tert-ブチルメチルエーテルが5000ppm以下となり、残留n-ヘプタンが5000ppm以下となり、カール・フィッシャー分析が0.1%以下の含水量を明らかにするまで、35℃から40℃で乾燥させた。得られた材料を15℃から30℃に冷却して、D6を白色固体として得た。収量:アッセイにより19.35kg、98.3%;正量:19.02kg、63.97mol、83%。HPLC純度:99%(HPLC条件。カラム:WatersクロスブリッジBEH C18、4.6×150mm、3.5μm;移動相A:水中10mM酢酸アンモニウム;移動相B:アセトニトリル;勾配:10分間かけて30%から95%B;流速:1.0mL/分)。D6の保持時間:4.98分。1H NMR (401 MHz, クロロホルム-d) δ 4.79 - 4.52 (m, 2H), 3.72 - 3.53 (m, 4H), 3.06 (s, 3H), 2.36 - 2.11
(m, 2H), 1.46 (s, 9H).
【0285】
ステップ7. tert-ブチル(3S,5S)-3-アジド-5-フルオロピペリジン-1-カルボキシレート(D7)の合成。
N,N-ジメチルホルムアミド(174kg)およびD6(18.45kg;アッセイのために補正したもの18.14kg、61.01mol)を反応器に投入し、溶液が取得されるまで15℃から30℃で撹拌し、その後すぐに、アジ化ナトリウム(6.05kg、93.1mol)を15℃から30℃で添加した。反応混合物を78℃から88℃に、20℃から35℃/時の基準速度で加熱し、次いで、78℃から88℃で反応させた。6から12時間後、反応混合物を、HPLC分析のために、D6の面積パーセントが0.5%未満になるまで2から8時間ごとに試料採取した(HPLC条件。カラム:WatersクロスブリッジBEH C18、4.6×150mm、3.5μm;移動相A:0.1%酢酸アンモニウムを含有する水;移動相B:アセトニトリル;勾配:10分間かけて20%から95%B;流速:1.0mL/分)。D6の典型的な保持時間:6.4分。
【0286】
混合物を10℃から20℃に冷却した後、tert-ブチルメチルエーテル(68.7kg)および水(185kg)を35から85kg/時の基準速度で添加し、撹拌を10から20分間にわたって続けた。混合物を濾過し、濾液の水性層をtert-ブチルメチルエーテル(2×69kg、93L、5体積)で抽出した。合わせた有機層を水(2×56kg、56L、3体積)で洗浄して、D7をtert-ブチルメチルエーテル中の薄黄色溶液として得た。収量:185.4kg;14.90kg、61.01molのD7を含有すると推定されるtert-ブチルメチルエーテル中溶液、100%。HPLC純度:80%(HPLC条件。カラム:WatersクロスブリッジBEH C18、4.6×150mm、3.5μm;移動相A:0.1%酢酸アンモニウムを含有する水;移動相B:アセトニトリル;勾配:10分間かけて20%から95%B;流速:1.0mL/分)。D7の保持時間:8.37分。
【0287】
ステップ8. tert-ブチル(3S,5S)-3-アミノ-5-フルオロピペリジン-1-カルボキシレート(P3)の合成。
メタノール(30.2kg)およびD7(185.4kgの前ステップからのtert-ブチルメチルエーテル溶液;61.01mmolのD7を含有すると推定される)を、反応器に15℃から30℃で投入した。混合物を、地下パイプを介して窒素で0.2から0.3MPaまでパージし、次いで、0.02から0.05MPaまで通気し、このパージ/通気操作を、酸素含有量が1.0%未満になるまで5から8回行った。パラジウム炭(10%、0.95kg)を15℃から30℃で添加し、その後すぐに、添加漏斗を水(0.15kg)ですすいだ。得られた混合物を、地下パイプを介して窒素で0.2から0.3MPaまでパージし、次いで、15℃から30℃で0.02から0.05MPaまで通気した。このパージ/通気手順を9回以上繰り返した。次いで、窒素の代わりに水素を使用したことを除き、同じ手順を5から8回行った。次いで、反応混合物を、地下パイプを介して水素で0.1から0.2MPaまでパージし、20℃から30℃で反応させた。水素を1から3時間ごとに2回、下記の方式にて交換した:混合物を、地下パイプを介して水素で0.1から0.2MPaまでパージし、次いで、0.02~0.05MPaまで通気し、最後に、水素で0.1から0.2MPaまでパージした。20℃から30℃で6から12時間後、反応混合物を、HPLC分析のために、D7の面積パーセントが1.0%以下になるまで3から12時間ごとに試料採取した(HPLC条件。カラム:WatersクロスブリッジBEH C18、4.6×150mm、3.5μm;移動相A:0.1%酢酸アンモニウムを含有する水;移動相B:アセトニトリル;勾配:10分間かけて20%から95%B;流速:1.0mL/分)。D7の典型的な保持時間:8.6分。
【0288】
次いで、反応混合物を窒素で0.2から0.3MPaまでパージし、15℃から30℃で0.02から0.05MPaまで通気した。このパージ/通気手順を9回以上行った。20℃から30℃での濾過、続いて、tert-ブチルメチルエーテル(30.0kg、40.5L、D6に対して2体積)による濾過ケーキのすすぎにより、濾液を提供し、これを、温度を40℃未満に維持しながら、-0.08MPaで20から30Lの体積に濃縮した。n-ヘプタン(25.0kg)を15℃から30℃で添加し、得られた混合物を同じ方式にて19から30Lの体積に濃縮した。n-ヘプタン(25.0kg)を再度添加し、濃縮を同じ方式にて行って、35から40Lの体積とし、これを40℃から50℃に加熱し、その温度で1から2時間にわたって撹拌し、48℃から53℃で濾過した。収集した固体を、窒素流下、35℃から45℃で乾燥させた。6から12時間後、材料を、分析のために、残留tert-ブチルメチルエーテルが5000ppm以下、残留n-ヘプタンが5000ppm以下、残留メタノールが3000ppm以下になるまで2から12時間ごとに試料採取した。次いで、固体を15℃から30℃に冷却し、生成物の外観が均一になるまで篩過し、20℃から30℃のジクロロメタン(187kg)に溶解した。これを1から2時間にわたって撹拌した後、これを濾過し、有機層を、温度を40℃未満に維持しながら、-0.08MPaで25から35Lの体積に濃縮した。得られた混合物をn-ヘプタン(3体積)で希釈し、18から22Lの体積(およそ3体積)に濃縮し、この操作を合計3回繰り返して、n-ヘプタンのジクロロメタンへの交換を達成した。得られた混合物を、20℃から30℃で撹拌および結晶化させ、次いでこれを濾過して、P3をオフホワイトの固体として単離した。収量:アッセイにより5.60kg、98%;正量:2ステップにわたって5.48kg、25.1mol、41%。HPLC純度:99%(HPLC条件。カラム:WatersクロスブリッジBEH C18、4.6×150mm、3.5μm;移動相A:0.1%酢酸アンモニウムを含有する水;移動相B:アセトニトリル;勾配:10分間かけて20%から95%B;流速:1.0mL/分)。P3の保持時間:4.93分。1H NMR (401 MHz, クロロホルム-d), 特徴的ピーク: δ 4.78 (br d, JHF
= 46.7 Hz, 1H), 4.27 - 3.91 (m, 2H), 3.21 - 3.11 (m, 1H), 3.02 - 2.84 (m, 1H),
2.62 - 2.35 (m, 1H), 2.29 - 2.17 (m, 1H), 1.44 (s, 9H).
【0289】
調製P4
2-(5-((3-(エトキシ-d)ピリジン-2-イル)オキシ)ピリジン-3-イル)ピリミジン-5-カルボン酸(P4)
【0290】
【化12】
ステップ1. 3-(エトキシ-d)ピリジンの合成
反応は、2つの並列バッチで行った;バッチ調製例は次の通りである:トリ-n-ブチルホスフィン(8.40mL、33.6mmol、2.0当量)を、25℃のテトラヒドロフラン(60mL)中の3-ヒドロキシピリジン(1600mg、16.8mmol、1.0当量)およびエタノール-d(1.18mL、20.2mmol、1.2当量)の溶液に添加した。次いで、1,1’-(アゾジカルボニル)ジピペリジン(8490mg、33.6mmol、2.0当量)を添加し、黄色溶液を40℃で16時間にわたって撹拌した。反応混合物を濾過し、濾液に水(50mL)を添加し、混合物を酢酸エチル(2×50mL)で抽出した。有機層をブライン(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ISCO80g、石油エーテル中3%EtOAc)によって精製して、表題化合物を黄色油として得た。合わせたバッチは、3.70g(86%)を産出した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.29 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 8.19 (d, J = 4.0
Hz, 1H), 7.12-7.24 (m, 2H).
【0291】
ステップ2. 3-(エトキシ-d)ピリジン-1-オキシドの合成
m-クロロ過安息香酸(7620mg、37.5mmol、1.3当量)を、0℃のジクロロメタン(150mL)中の3-(エトキシ-d)ピリジン(3700mg、28.9mmol、1.0当量)の溶液に添加した。反応混合物を15℃で3日間にわたって撹拌した。チオ硫酸ナトリウム水溶液(100mL)を添加した。反応混合物を15℃で0.5時間にわたって撹拌した。混合物をジクロロメタン(100mL)で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗生成物を得た。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン-10:1 ジクロロメタン:メタノール)によって精製して、表題化合物(2500.0mg、60.1%)を赤色固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 7.93-8.00 (m, 1H), 7.86-7.92 (m, 1H),
7.15 (dd, J = 8.6, 6.4 Hz, 1H), 6.87 (ddd, J = 8.6, 2.2, 0.7 Hz, 1H).
【0292】
ステップ3. 2-((5-ブロモピリジン-3-イル)オキシ)-3-(エトキシ-d)ピリジンの合成
ジイソプロピルエチルアミン(11.3mL、65.0mmol、3.75当量)およびブロモトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(10.5g、22.5mmol、(1.3当量)を、0℃のテトラヒドロフラン(60mL)中の、3-(エトキシ-d)ピリジン-1-オキシド(2500mg、17.3mmol、1.0当量)および3-ブロモ-5-ヒドロキシピリジン(3020mg、17.3mmol、1.0当量)の撹拌溶液に添加した。反応混合物を15℃で18時間にわたって撹拌した。反応混合物を濃縮乾固し、ジクロロメタン(150mL)に溶解した。有機層を、1N水酸化ナトリウム(150mL)、水(100mL)およびブライン(100mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、油を得た。粗製油をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル-80:20 石油エーテル:酢酸エチル)によって精製して、生成物(3600.0mg、69.2%)を白色固体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 8.48 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 8.44 (d, J =
2.3 Hz, 1H), 7.65-7.74 (m, 2H), 7.19-7.29 (m, 1H), 7.03 (dd, J = 7.9, 4.9 Hz,
1H).
【0293】
ステップ4. (5-((3-(エトキシ-d)ピリジン-2-イル)オキシ)ピリジン-3-イル)ボロン酸の合成
ビス(ピナコラト)ジボロン(3800mg、15.0mmol、1.2当量)、酢酸カリウム(3670mg、37.4mmol、3.0当量)および[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(Pd(dppf)Cl;456mg、0.62mmol、0.05当量)を、ジオキサン(120mL)中の2-((5-ブロモピリジン-3-イル)オキシ)-3-(エトキシ-d)ピリジン(3740mg、12.5mmol、1.0当量)の溶液に添加した。得られた混合物を脱気し、窒素で3回パージし、次いで、N下、100℃で2時間にわたって撹拌した。得られた混合物を濃縮し、残留物を酢酸エチル(200mL)で希釈し、ブライン(100mL)で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮乾固して、粗生成物(7000.0mg)を褐色油として得、これを次のステップに直接使用した。MS (ES+) 265.8 (M+H).
【0294】
ステップ5. エチル2-(5-((3-(エトキシ-d)ピリジン-2-イル)オキシ)ピリジン-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレートの合成
反応は、2つの並列バッチで行った;バッチ調製例は次の通りである:エチル2-クロロピリミジン-5-カルボキシレート(1000mg、5.4mmol、1.5当量)、炭酸カリウム(980mg、7.1mmol、2.0当量)および[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)、ジクロロメタン錯体(130mg、0.18mmol、0.05当量)を、ジオキサン(25mL)および水(2.5mL)中の(5-((3-(エトキシ-d)ピリジン-2-イル)オキシ)ピリジン-3-イル)ボロン酸(1880mg、3.6mmol、1.0当量)の溶液に添加した。得られた混合物を窒素でフラッシュし、次いで、90℃で2時間にわたって撹拌した。反応物を濾過し、濾液を濃縮した。残留物を酢酸エチル(200mL)で希釈し、ブライン(2×100mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗生成物を得た。粗材料をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル:酢酸エチル;70:30)によって精製して、生成物を黄色固体として得た。合わせたバッチは、2.3g(50%)を産出した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 9.57 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 9.34 (s,
2H), 8.68 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 8.61 (dd, J = 2.6, 1.8 Hz, 1H), 7.73 (dd, J =
4.8, 1.6 Hz, 1H), 7.28-7.28 (m, 1H), 7.04 (dd, J = 8.1, 4.9 Hz, 1H), 7.00-7.08
(m, 1H), 4.48 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 1.46 (t, J = 7.1 Hz, 4H). MS (ES+) 372.1
(M+H).
【0295】
ステップ6:2-(5-((3-(エトキシ-d)ピリジン-2-イル)オキシ)ピリジン-3-イル)ピリミジン-5-カルボン酸(P4)
反応は、2つの並列バッチで行った;バッチ調製例は次の通りである:水酸化ナトリウム(1080mg、26.9mmol、5.0当量)を、15℃のテトラヒドロフラン(70mL)および水(35mL)中のエチル2-(5-((3-(エトキシ-d)ピリジン-2-イル)オキシ)ピリジン-3-イル)ピリミジン-5-カルボキシレート(2000mg、5.4mmol、1.0当量)の溶液に添加した。得られた溶液を15℃で1時間にわたって撹拌した。混合物を濃縮して、テトラヒドロフランを除去した。水性混合物を4M塩酸で4のpHに酸性化し、水(50mL)で希釈し、15℃で20分間にわたって撹拌した。固体を濾過し、水(3×10mL)で洗浄し、乾燥させて、2-(5-((3-(エトキシ-d)ピリジン-2-イル)オキシ)ピリジン-3-イル)ピリミジン-5-カルボン酸を緑色固体として産出した。合わせたバッチは、1.28g(60%)を産出した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ ppm 9.41 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 9.33 (s, 2H)
8.67 (d, J = 2.7 Hz, 1 H), 8.33-8.41 (m, 1H) 7.70 (dd, J = 4.9, 1.5 Hz, 1H),
7.58 (dd, J = 7.8, 1.5 Hz, 1H), 7.19 (dd, J = 7.8, 4.9 Hz, 1H). HRMS (TOF)
344.1402 (M+H).
【0296】
(実施例1)
2-{5-[(3-エトキシ-5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3R,4S)-4-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド、ビス(トリフルオロ酢酸)塩(1)
【0297】
【化13】
ステップ1. ベンジル(3R,4S)-3-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-4-フルオロピペリジン-1-カルボキシレート(C9)の合成。
クロロギ酸ベンジル(0.116mL、0.813mmol)を、テトラヒドロフラン(8mL)中のtert-ブチル[(3R,4S)-4-フルオロピペリジン-3-イル]カルバメート(150mg、0.69mmol)および炭酸ナトリウム(146mg、1.38mmol)の0℃混合物に添加し、反応混合物を25℃で3日間にわたって撹拌した。次いでこれを、水(20mL)で処理し、酢酸エチル(2×20mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮して、C9を無色油(290mg)として得た。H NMR分析により、この材料は不純物を含有していたが、さらに精製することなく次のステップにおいて使用した。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d), 特徴的ピーク: δ 4.95 - 4.76 (m,
2H), 3.87 - 3.68 (m, 1H), 3.12 - 2.99 (m, 1H), 2.11 - 1.96 (m, 1H), 1.45 (s,
9H).
【0298】
ステップ2. ベンジル(3R,4S)-3-アミノ-4-フルオロピペリジン-1-カルボキシレート、塩酸塩(C10)の合成。
C9(前ステップから;290mg、0.69mmol以下)および塩化水素(1,4-ジオキサン中4M溶液;6.0mL)の混合物を、15℃で1時間にわたって撹拌し、その後すぐに、これを真空で濃縮して、C10を白色固体として得た。収量:200mg、0.69mmol、2ステップにわたって定量的。1H NMR (400 MHz, 重水) δ 7.48 - 7.33 (m, 5H), 5.14 (s, 2H), 5.11 (br d, JHF = 48
Hz, 1H), 4.11 - 3.94 (m, 1H), 3.88 - 3.28 (m, 4H), 2.14 - 2.01 (m, 1H), 2.01 -
1.81 (m, 1H).
【0299】
ステップ3. ベンジル(3R,4S)-3-{[(2-{5-[(3-エトキシ-5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}ピリミジン-5-イル)カルボニル]アミノ}-4-フルオロピペリジン-1-カルボキシレート(C11)の合成。
N,N-ジメチルアセトアミド(3.0mL)中のP2(50.0mg、0.140mmol)の25℃溶液に、C10(48.6mg、0.168mmol)、トリエチルアミン(58.7μL、0.421mmol)および2-クロロ-1,3-ジメチル-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-3-イウムクロリド(71.2mg、0.421mmol)を添加した。反応混合物を50℃で1時間にわたって撹拌した後、これを水(20mL)で希釈し、酢酸エチル(20mL)で抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。シリカゲル上でのクロマトグラフィー(溶離液:9:1 酢酸エチル/石油エーテル)により、C11を黄色固体として提供した。収量:80.0mg、0.135mmol、96%。LCMS m/z 591.2 [M+H]+.
【0300】
ステップ4. 2-{5-[(3-エトキシ-5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3R,4S)-4-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド、ビス(トリフルオロ酢酸)塩(1)の合成。
10%パラジウム炭素(60.0mg)を、テトラヒドロフラン(10mL)中のC11(60.0mg、0.102mmol)の溶液に添加し、その後すぐに、混合物を真空下で脱気し、次いで、水素でパージし、この排気-パージサイクルを合計3回行った。次いで、反応混合物を、水素バルーン下、25℃で2時間にわたって撹拌し、このとき、C11(20.0mg、33.9μmol)を使用して行った同様の反応と合わせ、濾過した。濾液を真空で濃縮し、逆相HPLC(カラム:AgelaデュラシェルC18、5μm;移動相A:水中0.1%トリフルオロ酢酸;移動相B:アセトニトリル;勾配:14%から44%B)を使用して精製して、2-{5-[(3-エトキシ-5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3R,4S)-4-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド、ビス(トリフルオロ酢酸)塩を黄色ガム状物として得た。合わせた収量:28.1mg、41.1μmol、30%。LCMS m/z 457.4 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d), 特徴的ピーク: δ 9.52 (br s, 1H),
9.16 (br s, 2H), 8.80 (s, 1H), 8.78 - 8.57 (m, 2H), 7.54 (s, 1H), 7.06 (dd, J =
9.2, 2.3 Hz, 1H), 4.99 (br d, JHF = 50 Hz, 1H), 4.91 - 4.70 (m, 1H),
4.12 (q, J = 6.9 Hz, 2H), 2.41 - 2.09 (m, 2H), 1.48 (t, J = 6.9 Hz, 3H).
【0301】
(実施例2)
2-{5-[(3-エトキシ-5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド(2)
【0302】
【化14】
ステップ1. tert-ブチル(3S,5S)-3-{[(2-{5-[(3-エトキシ-5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}ピリミジン-5-イル)カルボニル]アミノ}-5-フルオロピペリジン-1-カルボキシレート(C12)の合成。
N,N-ジイソプロピルエチルアミン(2.79mL、16.0mmol)およびP3(500mg、2.29mmol)を、N,N-ジメチルホルムアミド(10mL)中のP2(816mg、2.29mmol)の室温溶液に添加した。得られた溶液を0℃に冷却した後、2,4,6-トリプロピル-1,3,5,2,4,6-トリオキサトリホスフィナン2,4,6-トリオキシド(T3P;酢酸エチル中50%溶液;1.6mL、2.7mmol)を添加し、反応混合物を室温で2時間にわたって撹拌させた。この時点でのLCMS分析は、C12の存在を指し示した:LCMS m/z 557.4 [M+H]+. 反応混合物を水と酢酸エチルとの間に分配し、水性層を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層を、水で2回、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で1回および飽和塩化ナトリウム水溶液で1回洗浄し、次いで、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮して、C12を黄色固体として提供した。収量:1.00g、1.80mmol、79%。
【0303】
ステップ2. 2-{5-[(3-エトキシ-5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド(2)の合成。
p-トルエンスルホン酸一水和物(684mg、3.60mmol)を、酢酸エチル(10mL)中のC12(1.00g、1.80mmol)の溶液に添加し、混合物を、溶液が取得されるまで室温で撹拌させた。反応混合物を、還流で2時間にわたって、次いで室温で2時間にわたって撹拌した後、得られたガム状物の溶媒をデカントして除き、ガム状物を、酢酸エチルで4回およびヘプタンで2回粉砕した。取得した固体を酢酸エチルと1M水酸化ナトリウム水溶液との間に分配し、水性層を酢酸エチルで4回抽出し、合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。得られた材料を酢酸エチル(およそ70mL)に還流で溶解し、混合物がわずかに濁るまで、ヘプタン(300mL)で処理し、その後すぐに、混合物を室温に冷却させ、終夜撹拌させた。濾過、続いて、濾過ケーキの1:1 酢酸エチル/ヘプタンによる洗浄により、2-{5-[(3-エトキシ-5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドを白色固体として得た。収量:580mg、1.27mmol、71%。LCMS m/z 457.2 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)
δ 9.38 (d, J = 1.7 Hz, 1H),
9.26 (s, 2H), 8.63 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 8.59 (br d, J = 7.8 Hz, 1H), 8.35 (dd,
J = 2.7, 1.7 Hz, 1H), 7.71 (d, AB四重線の半分, J = 2.7 Hz, 1H), 7.68 (dd, ABX系の成分, J = 9.8, 2.7 Hz, 1H), 4.82 (br d, JHF = 48 Hz, 1H),
4.20 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 4.18 - 4.08 (m, 1H), 3.02 - 2.86 (m, 2H), 2.77 - 2.62
(m, 1H), 2.5 - 2.43 (m, 1H, 推定;
溶媒ピークにより一部不明確), 2.19 - 2.08 (m,
1H), 1.91 - 1.72 (m, 1H), 1.37 (t, J = 7.0 Hz, 3H).
【0304】
(実施例3)
2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3R,4S)-4-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド、ビス(トリフルオロ酢酸)塩(3)
【0305】
【化15】
ステップ1. ベンジル(3R,4S)-3-{[(2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}ピリミジン-5-イル)カルボニル]アミノ}-4-フルオロピペリジン-1-カルボキシレート(C13)の合成。
N,N-ジメチルアセトアミド(3.0mL)中のP1(50.0mg、0.148mmol)の25℃溶液に、C10(51.2mg、0.177mmol)、2-クロロ-1,3-ジメチル-4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-3-イウムクロリド(75.0mg、0.444mmol)およびトリエチルアミン(61.8μL、0.443mmol)を添加した。反応混合物を50℃で1時間にわたって撹拌し、その後すぐに、水(20mL)を添加し、得られた混合物を酢酸エチル(20mL)で抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(溶離液:4:1 酢酸エチル/石油エーテル)に供して、C13を黄色固体として得た。収量:80.0mg、0.140mmol、95%。LCMS m/z 573.2 [M+H]+.
【0306】
ステップ2. 2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3R,4S)-4-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド、ビス(トリフルオロ酢酸)塩(3)の合成。
テトラヒドロフラン(10mL)中のC13(60.0mg、0.105mmol)の溶液に、10%パラジウム炭素(60.0mg)を添加し、その後すぐに、混合物を真空下で脱気し、次いで、水素でパージし、この排気-パージサイクルを合計3回行った。反応混合物を、水素バルーン下、25℃で5時間にわたって撹拌し、次いで、C13(20.0mg、34.9μmol)を使用して行った同様の反応と合わせた。この混合物を濾過した後、濾液を真空で濃縮し、逆相HPLC(カラム:YMC-アクタストライアートC18、5μm;移動相A:0.05%水酸化アンモニウムを含有する水;移動相B:アセトニトリル;勾配:24%から64%B)を使用して精製した。遊離塩基2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3R,4S)-4-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドが、白色固体として取得された。遊離塩基2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3R,4S)-4-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドの合わせた収量:12mg、27μmol、19%。LCMS m/z 439.1 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 9.52 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 9.17 (s, 2H), 8.65 (d, J = 2.7 Hz, 1H),
8.58 - 8.54 (m, 1H), 7.70 (dd, J = 4.9, 1.5 Hz, 1H), 7.27 - 7.23 (m, 1H, 推定; 溶媒ピークにより一部不明確), 7.02 (dd, J = 7.9, 4.9 Hz, 1H), 6.68 (br d, J = 8.8 Hz, 1H), 4.93
(br d, JHF = 49 Hz, 1H), 4.48 - 4.31 (m, 1H), 4.18 (q, J = 7.0 Hz,
2H), 3.10 (dd, J = 12.1, 4.5 Hz, 1H), 3.00 - 2.80 (m, 3H), 2.15 - 2.01 (m, 1H),
1.97 - 1.77 (m, 1H), 1.50 (t, J = 7.0 Hz, 3H).
【0307】
遊離塩基2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3R,4S)-4-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド(12mg、27μmol)を、トリフルオロ酢酸の水溶液(水中0.1%トリフルオロ酢酸;12mL)に溶解し、次いで、16時間にわたって凍結乾燥して、2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3R,4S)-4-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド、ビス(トリフルオロ酢酸)塩を黄色ガム状物として提供した。2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3R,4S)-4-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド、ビス(トリフルオロ酢酸)塩の合わせた収量:12.9mg、19.4μmol、14%。LCMS m/z 439.4 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 10.56 - 10.28 (br s, 1H), 9.80 - 9.55 (br s, 1H), 9.71 (s, 1H),
9.24 (s, 2H), 9.09 (br s, 1H), 8.86 (br d, J = 7.9 Hz, 1H), 8.77 (d, J = 2.5
Hz, 1H), 7.72 (dd, J = 4.9, 1.5 Hz, 1H), 7.32 (dd, J = 8.1, 1.5 Hz, 1H), 7.14
(dd, J = 8.0, 4.9 Hz, 1H), 4.97 (br d, JHF = 49 Hz, 1H), 4.96 - 4.78
(m, 1H), 4.18 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 3.83 - 3.72 (m, 1H), 3.5 - 3.2 (m, 3H), 2.42
- 2.11 (m, 2H), 1.50 (t, J = 7.0 Hz, 3H).
【0308】
(実施例4)
2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド(4)
【0309】
【化16】
ステップ1. tert-ブチル(3S,5S)-3-{[(2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}ピリミジン-5-イル)カルボニル]アミノ}-5-フルオロピペリジン-1-カルボキシレート(C14)の合成。
N,N-ジイソプロピルエチルアミン(53.1mL、305mmol)およびP3(9.50g、43.5mmol)を、アセトニトリル(210mL)中のP1(14.7g、43.4mmol)の溶液に添加した。混合物を0℃に冷却し、次いで、2,4,6-トリプロピル-1,3,5,2,4,6-トリオキサトリホスフィナン2,4,6-トリオキシド(T3P;酢酸エチル中50%溶液;30.5mL、51.2mmol)を、およそ4分間かけてシリンジを介して添加した。反応混合物を0℃で45分間にわたって撹拌した後、氷浴を除去し、反応混合物を室温にさせ、17時間にわたって撹拌させた。次いでこれを、真空で濃縮し、残留物を水と酢酸エチルとの間に分配し、水性層を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層を飽和重炭酸ナトリウム水溶液および飽和塩化ナトリウム水溶液で順次に洗浄し、飽和塩化ナトリウム水溶液洗浄中に出現した沈殿物を、濾過を介して除去し、廃棄した。飽和塩化ナトリウム水溶液層を酢酸エチルで1回抽出し、合わせた有機層を真空で濃縮した。残留物を塩化メチレンおよびメタノールの混合物に溶解し、シリカゲルに事前吸着させた。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:ヘプタン中30%から100%酢酸エチル)を行い、生成物は酢酸エチル/ヘプタン溶離液への溶解度が限られていることが観察された。この精製により、C14をオフホワイトの固体として得た。収量:19.1g、35.5mmol、82%。LCMS m/z 539.3 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 9.48 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 9.12 (s, 2H), 8.63 (d, J = 2.6 Hz, 1H),
8.55 (dd, J = 2.7, 1.8 Hz, 1H), 7.70 (dd, J = 4.9, 1.5 Hz, 1H), 7.26 (dd, J =
7.8, 1.5 Hz, 1H), 7.03 (dd, J = 7.9, 4.9 Hz, 1H), 6.97 - 6.37 (v br m, 1H),
4.78 (br d, JHF = 46.7 Hz, 1H), 4.46 - 4.33 (m, 1H), 4.18 (q, J =
7.0 Hz, 2H), 4.08 - 3.05 (v br m, 4H), 2.41 - 2.11 (m, 1H), 2.02 - 1.79 (m,
1H), 1.49 (t, J = 7.0 Hz, 3H), 1.49 (s, 9H).
【0310】
ステップ2. 2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド(4)の合成。
1,4-ジオキサン中塩化水素の溶液(4M;520mL、2.1mol)を、10分間かけて、テトラヒドロフラン(850mL)中のC14(159g、295mmol)の室温溶液に添加し、反応温度を35℃から40℃に増大させ、加熱マントルを使用してこの温度を維持した。添加が完了した後、反応混合物を35℃から40℃で3時間にわたって撹拌した。LCMS分析は、出発材料の20%が残っていることを指し示したため、1,4-ジオキサン中塩化水素の溶液(4M;150mL、600mmol)を反応混合物に再度添加し、撹拌を35℃から40℃で30分間にわたって続けた。この時点で、LCMS分析を介して出発材料の5%が残っており、反応混合物を1,4-ジオキサン中塩化水素の溶液(4M;60mL、240mmol)で処理した。35℃から40℃でさらに45分後、反応混合物を真空で濃縮し、得られた固体を水(1L)に溶解した。この溶液を水酸化ナトリウム水溶液(1M;900mL、900mmol)で処理し、次いで、水(400mL)で希釈して、撹拌を容易にし、室温で15分後、濾過を介して沈殿物を収集し、水(4×250mL)で洗浄した。この固体を、水の添加によって総体積800mLにし、次いで、オーバーヘッドスターラー下、室温で2時間にわたってメタノール(800mL)によりスラリー化した。スラリーを濾過し、濾過ケーキをメタノールおよび水の混合物(1:1、1L)で洗浄した。この固体を、C14(946mmol以下)を使用して行ったいくつかの同様の反応からの生成物と合わせ、合わせたバッチを酢酸エチル(1.1L)に懸濁し、機械的撹拌子を使用して室温で1時間にわたって撹拌した。固体を濾過によって収集した後、これを酢酸エチルで洗浄して、2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドをオフホワイトの固体として得た。収量:2ステップにわたって330g、753mmol、61%。LCMS m/z 439.3 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)
δ 9.38 (d, J = 1.8 Hz, 1H),
9.26 (s, 2H), 8.64 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 8.60 (br d, J = 7.9 Hz, 1H), 8.36 (dd,
J = 2.7, 1.8 Hz, 1H), 7.68 (dd, J = 4.9, 1.5 Hz, 1H), 7.56 (dd, J = 8.1, 1.5
Hz, 1H), 7.17 (dd, J = 8.0, 4.8 Hz, 1H), 4.81 (br d, JHF = 48.3 Hz,
1H), 4.22 - 4.07 (m, 1H), 4.17 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 3.02 - 2.86 (m, 2H), 2.69
(br dd, J = 35.1, 14.2 Hz, 1H), 2.5 - 2.38 (m, 2H, 推定; 溶媒ピークにより一部不明確),
2.19 - 2.07 (m, 1H), 1.91 - 1.72 (m, 1H), 1.37 (t, J = 7.0 Hz, 3H).
【0311】
粉末X線回折分析を、この例の固体に対し、Cu放射線源(K-α平均)が装備されたBruker AXS D8エンデバー回折計を使用して行った。発散スリットを、15mm連続照明に設定した。回折される放射線をPSD-リンクスアイ検出器によって検出し、検出器PSD開口部は3.00度に設定した。X線管電圧およびアンペア数は、それぞれ40kVおよび40mAに設定した。データは、0.01度のステップ幅および1.0秒のステップ時間を使用し、3.0から40.0度2シータまでのCu波長で、シータ-シータゴニオメーターに収集した。散乱線除去スクリーンは、1.5mmの固定距離に設定した。収集中、試料を15/分で回転させた。試料は、それらをシリコン低バックグラウンド試料ホルダーに入れ、収集中に回転させることによって調製した。
【0312】
データはBruker DIFFRACプラスソフトウェアを使用して収集し、分析はEVAディフラクトプラスソフトウェアによって実施した。PXRDデータファイルは、ピーク検索前には加工しなかった。EVAソフトウェアにおけるピーク検索アルゴリズムを使用して、1の閾値を持つ選択されたピークを使用して、予備的なピーク割り当てを行った。妥当性を確実にするために、調整を手動で行い、自動割り当ての出力を視覚的に確認し、ピーク位置をピーク最大値に調整した。3%以上の相対強度を持つピークを概して選択した。分離されなかったまたはノイズと一致するピークは選択しなかった。USPにおいて述べられているPXRDからのピーク位置に関連する典型的な誤差は、最大0.2°2θである(USP-941)。相対的なピークの高さにおけるいくらかの変動は、結晶サイズおよび形態学に伴う変化に基づいて予想される。特徴的なx線粉末回折パターンを、図26で提供する。この図からのPXRDデータについて、さらに後述する。
【0313】
【表3】
【0314】
【表4】
【0315】
実施例4、塩酸塩
2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド、塩酸塩(4、塩酸塩)
【0316】
【化17】
酢酸エチル(40mL)中の2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド(4.0g、9.1mmol)の懸濁液を、およそ50℃に加温し、その後すぐに、1,4-ジオキサン中塩化水素の溶液(4M;2.5mL、10mmol)を添加し、反応混合物を室温で4日間にわたって撹拌した。次いでこれを濾過し、濾過ケーキを温酢酸エチルで2回洗浄して、2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド、塩酸塩を白色固体として得た。収量:4.1g、8.6mmol、94%。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.90 (br d, J = 11 Hz, 1H), 9.39 (d, J =
1.8 Hz, 1H), 9.35 (s, 2H), 9.26 (br d, J = 7.7 Hz, 1H), 9.24 - 9.10 (m, 1H),
8.65 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 8.37 (dd, J = 2.7, 1.8 Hz, 1H), 7.69 (dd, J = 4.8,
1.5 Hz, 1H), 7.57 (dd, J = 8.0, 1.5 Hz, 1H), 7.18 (dd, J = 8.0, 4.9 Hz, 1H),
5.23 (br d, JHF = 45.3 Hz, 1H), 4.54 - 4.40 (m, 1H), 4.18 (q, J =
7.0 Hz, 2H), 3.53 - 3.41 (m, 1H), 3.39 - 3.15 (m, 2H), 3.03 - 2.88 (m, 1H),
2.35 - 2.21 (m, 1H), 2.13 - 1.90 (m, 1H), 1.37 (t, J = 7.0 Hz, 3H).
【0317】
粉末X線回折分析を、この実験の固体に対し、Cu放射線源が装備されたBruker AXS D4エンデバー回折計を使用して行った。発散スリットを0.6mmに設定し、一方、二次光学系は可変スリットを使用した。回折される放射線をPSD-リンクスアイ検出器によって検出した。X線管電圧およびアンペア数は、それぞれ40kVおよび40mAに設定した。データは、0.020度のステップ幅および0.3秒のステップ時間を使用し、3.0から40.0度2シータまでのCu波長で、シータ-2シータゴニオメーターに収集した。試料は、それらをシリコン低バックグラウンド試料ホルダーに入れ、収集中に回転させることによって調製した。データはBruker DIFFRACプラスソフトウェアを使用して収集し、分析はEVAディフラクトプラスソフトウェアによって実施した。特徴的なx線粉末回折パターンを、図27で提供する。
【0318】
実施例4、p-トルエンスルホン酸塩
2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド、p-トルエンスルホン酸塩(4、p-トルエンスルホン酸塩)
【0319】
【化18】
酢酸エチル(40mL)中の2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド(4.0g、9.1mmol)の懸濁液を、およそ50℃に加温し、その後すぐに、p-トルエンスルホン酸一水和物(1.9g、10mmol)を添加し、反応混合物を室温で3日間にわたって撹拌した。得られた塊状の固体をスパチュラで破壊し、懸濁固体を室温で1日間にわたって激しく撹拌した。濾過により濾過ケーキを提供し、これを温酢酸エチルで2回洗浄して、2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド、p-トルエンスルホン酸塩を白色固体として提供した。収量:5.3g、8.7mmol、96%。LCMS m/z 439.2 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)
δ 9.40 (d, J = 1.8 Hz, 1H),
9.28 (s, 2H), 9.24 - 9.03 (br m, 2H), 8.98 (br d, J = 7.6 Hz, 1H), 8.65 (d, J =
2.7 Hz, 1H), 8.37 (dd, J = 2.7, 1.8 Hz, 1H), 7.68 (dd, J = 4.9, 1.5 Hz, 1H),
7.57 (dd, J = 8.0, 1.5 Hz, 1H), 7.48 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.18 (dd, J = 8.0,
4.8 Hz, 1H), 7.11 (d, J = 7.9 Hz, 2H), 5.24 (br d, JHF = 45.1 Hz, 1H),
4.51 - 4.38 (m, 1H), 4.18 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 3.59 - 3.47 (m, 1H), 3.43 - 3.17
(m, 2H), 2.98 - 2.85 (m, 1H), 2.36 - 2.24 (m, 1H), 2.28 (s, 3H), 2.06 - 1.85
(m, 1H), 1.37 (t, J = 7.0 Hz, 3H).
【0320】
実施例4、p-トルエンスルホン酸塩の結晶化
2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド、p-トルエンスルホン酸塩(4、p-トルエンスルホン酸塩)
【0321】
【化19】
実施例4、p-トルエンスルホン酸塩(19.1g、31.3mmol)の、水およびエタノールの混合物(9:1、300mL)による処理、続いて、ヒートガンによる最小限の加温を、溶液が取得されるまで行った。これを室温に終夜冷却させ、次いで、追加で24時間にわたって撹拌し、その後すぐに、エタノール(35mL)の添加により、溶媒比をおよそ4:1 水/エタノールに調整した。得られた混合物を85℃に加熱して溶液を得、これを3時間かけて室温に冷却し、次いで、室温で終夜撹拌した。濾過を介する沈殿物の収集により固体を得、これを、窒素ブリードが装備され40℃に予熱した真空オーブン内で乾燥させた。2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド、p-トルエンスルホン酸塩が白色粉末として取得された。収量:11.8g、19.3mmol、62%。LCMS m/z 439.2 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6)
δ 9.39 (d, J = 1.8 Hz, 1H),
9.27 (s, 2H), 9.13 (br s, 2H), 8.99 (br d, J = 7.6 Hz, 1H), 8.65 (d, J = 2.7
Hz, 1H), 8.37 (dd, J = 2.7, 1.8 Hz, 1H), 7.68 (dd, J = 4.8, 1.5 Hz, 1H), 7.57
(dd, J = 8.1, 1.5 Hz, 1H), 7.49 (br d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.18 (dd, J = 8.0, 4.8
Hz, 1H), 7.11 (br d, J = 8.0 Hz, 2H), 5.24 (br d, JHF = 45.1 Hz,
1H), 4.52 - 4.38 (m, 1H), 4.18 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 3.59 - 3.47 (m, 1H), 3.44 -
3.18 (m, 2H), 2.92 (dd, J = 11.9, 11.8 Hz, 1H), 2.37 - 2.22 (m, 1H), 2.27 (s,
3H), 2.08 - 1.84 (m, 1H), 1.37 (t, J = 7.0 Hz, 3H).
【0322】
この材料のほとんど(11.6g)を、2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド、p-トルエンスルホン酸塩(7.4g)の別の試料と合わせ、個々の試料は、粉末X線回折分析により同じ回折パターンを呈していた。2つの試料の混合により、綿毛状白色固体(19.0g)を提供した。
【0323】
粉末X線回折分析を、この例の固体に対し、Cu放射線源(K-α平均)が装備されたBruker AXS D8エンデバー回折計を使用して行った。発散スリットを、15mm連続照明に設定した。回折される放射線をPSD-リンクスアイ検出器によって検出し、検出器PSD開口部は3.00度に設定した。X線管電圧およびアンペア数は、それぞれ40kVおよび40mAに設定した。データは、0.01度のステップ幅および1.0秒のステップ時間を使用し、3.0から40.0度2シータまでのCu波長で、シータ-シータゴニオメーターに収集した。散乱線除去スクリーンは、1.5mmの固定距離に設定した。収集中、試料を15/分で回転させた。試料は、それらをシリコン低バックグラウンド試料ホルダーに入れ、収集中に回転させることによって調製した。
【0324】
データはBruker DIFFRACプラスソフトウェアを使用して収集し、分析はEVAディフラクトプラスソフトウェアによって実施した。PXRDデータファイルは、ピーク検索前には加工しなかった。EVAソフトウェアにおけるピーク検索アルゴリズムを使用して、1の閾値を持つ選択されたピークを使用して、予備的なピーク割り当てを行った。妥当性を確実にするために、調整を手動で行い、自動割り当ての出力を視覚的に確認し、ピーク位置をピーク最大値に調整した。3%以上の相対強度を持つピークを概して選択した。分離されなかったまたはノイズと一致するピークは選択しなかった。USPにおいて述べられているPXRDからのピーク位置に関連する典型的な誤差は、最大0.2°2θである(USP-941)。相対的なピークの高さにおけるいくらかの変動は、結晶サイズおよび形態学に伴う変化に基づいて予想される。特徴的なx線粉末回折パターンを、図28で提供する。この図からのPXRDデータについて、さらに後述する。
【0325】
【表5】
【0326】
【表6】
【0327】
実施例4、p-トルエンスルホン酸塩の代替合成
2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド、p-トルエンスルホン酸塩(4、p-トルエンスルホン酸塩)
【0328】
【化20】
アセトニトリル(90.0mL)中の、C14(9.47g、17.6mmol)、p-トルエンスルホン酸一水和物(98%、3.58g、18.4mmol)および水(4.74mL、263mmol)の溶液を、10分間かけて90℃に加熱した(内部反応温度76℃)。12時間後、反応混合物を10分間かけて25℃に冷却し、終夜25℃で保持した。次いでこれを10℃に冷却し、濾過した。濾過ケーキを、10℃に冷却した1体積の95:5 アセトニトリル/水混合物で2回すすいで、2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3S,5S)-5-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド、p-トルエンスルホン酸塩を黄色固体として得た。収量:8.30g、13.6mmol、77%。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.40 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 9.27 (s, 2H),
9.17 - 9.07 (br s, 2H), 8.97 (br d, J = 7.6 Hz, 1H), 8.65 (d, J = 2.7 Hz, 1H),
8.37 (dd, J = 2.7, 1.7 Hz, 1H), 7.68 (dd, J = 4.9, 1.5 Hz, 1H), 7.57 (dd, J =
8.0, 1.5 Hz, 1H), 7.47 (br d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.18 (dd, J = 7.9, 4.9 Hz, 1H),
7.11 (br d, J = 7.9 Hz, 2H), 5.24 (br d, JHF = 45.1 Hz, 1H), 4.52 -
4.38 (m, 1H), 4.18 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 3.59 - 3.47 (m, 1H), 3.44 - 3.19 (m,
2H), 2.90 (dd, J = 11.8, 11.8 Hz, 1H), 2.36 - 2.25 (m, 1H), 2.28 (s, 3H), 2.06
- 1.84 (m, 1H), 1.37 (t, J = 7.0 Hz, 3H).
【0329】
(実施例5)
2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3R,4R)-4-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド(5)
【0330】
【化21】
ステップ1. ベンジル(3R,4R)-3-[(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-4-フルオロピペリジン-1-カルボキシレート(C15)の合成。
クロロギ酸ベンジル(258mg、1.51mmol)を、テトラヒドロフラン(15mL)および炭酸ナトリウム水溶液(1M;2.75mL、2.75mmol)中のtert-ブチル[(3R,4R)-4-フルオロピペリジン-3-イル]カルバメート(300mg、1.37mmol)の0℃混合物に添加した。反応混合物を15℃で16時間にわたって撹拌した後、水(20mL)を添加し、得られた混合物を酢酸エチル(2×30mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮して、C15を白色固体として提供した。収量:485mg、1.38mmol、定量的。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.43 - 7.28 (m, 5H), 5.14 (AB四重線, JAB = 12.3 Hz, ΔνAB = 14.2 Hz, 2H; 低磁場二重線が広がっている), 4.83 - 4.53 (m, 2H), 3.87 -
3.33 (m, 4H), 2.06 - 1.75 (m, 2H), 1.44 (s, 9H).
【0331】
ステップ2. ベンジル(3R,4R)-3-アミノ-4-フルオロピペリジン-1-カルボキシレート、塩酸塩(C16)の合成。
メタノール(6mL)中のC15(485mg、1.38mmol)の溶液を、塩化水素(酢酸エチル中溶液;12mL)で処理した。反応混合物を20℃で1時間にわたって撹拌した後、これを真空で濃縮して、C16を白色固体として得た。収量:370mg、1.28mmol、93%。1H NMR (400 MHz, 重水) δ 7.50 - 7.39 (m, 5H), 5.17 (s, 2H), 4.93 - 4.71 (m, 1H, 推定; 溶媒ピークにより一部不明確), 4.42 - 4.27 (m, 1H), 4.24 - 3.98 (m, 1H), 3.51 - 3.39 (m, 1H),
3.21 - 2.99 (m, 2H), 2.29 - 2.16 (m, 1H), 1.86 - 1.71 (m, 1H).
【0332】
ステップ3. ベンジル(3R,4R)-3-{[(2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}ピリミジン-5-イル)カルボニル]アミノ}-4-フルオロピペリジン-1-カルボキシレート(C17)の合成。
N,N-ジメチルホルムアミド(8mL)中の、P1(170mg、0.502mmol)、C16(145mg、0.502mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.263mL、1.51mmol)の混合物に、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU;287mg、0.755mmol)を添加した。反応混合物を18℃で2時間にわたって撹拌し、その後すぐに、これを、C16(42.7mg、0.148mmolおよび171mg、0.592mmol)を使用して行った2つの同様の反応と合わせ、水(50mL)で希釈し、酢酸エチル(30mL)で抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(勾配:石油エーテル中0%から100%酢酸エチル)時に、C17が黄色固体として取得された。合わせた収量:540mg、0.943mmol、76%。LCMS m/z 573.1 [M+H]+.
【0333】
ステップ4. 2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3R,4R)-4-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド(5)の合成。
エタノール(20mL)中のC17(300mg、0.524mmol)および10%パラジウム炭素(300mg)の混合物を、水素バルーン下、15℃で2時間にわたって撹拌した。反応混合物を、C17(200mg、0.349mmolおよび40mg、70μmol)を使用して行った2つの同様の反応と合わせた後、珪藻土のパッドに通して濾過した。濾液を濃縮し、残留物を、逆相HPLC(カラム:AgelaデュラシェルC18、5μm;移動相A:水中0.05%水酸化アンモニウム;移動相B:アセトニトリル;勾配:30%から50%B)を使用して精製して、2-{5-[(3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3R,4R)-4-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドを白色固体として得た。合わせた収量:174mg、0.397mmol、42%。LCMS m/z 439.2 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 9.52 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 9.20 (s, 2H), 8.65 (d, J = 2.8 Hz, 1H),
8.56 (dd, J = 2.7, 1.8 Hz, 1H), 7.71 (dd, J = 4.9, 1.5 Hz, 1H), 7.28 - 7.23 (m,
1H, 推定; 溶媒ピークにより一部不明確), 7.17 (br d, J = 8 Hz, 1H),
7.02 (dd, J = 7.9, 4.9 Hz, 1H), 4.86 - 4.66 (m, 1H), 4.37 - 4.26 (m, 1H), 4.18
(q, J = 7.0 Hz, 2H), 3.36 (ddd, J = 12.3, 3.4, 3.4 Hz, 1H), 3.09 - 2.99 (m,
1H), 2.86 - 2.75 (m, 2H), 2.11 - 1.81 (m, 2H), 1.50 (t, J = 7.0 Hz, 3H).
【0334】
(実施例6)
2-{5-[(3-エトキシ-5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3R,4R)-4-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド(6)
【0335】
【化22】
ステップ1. ベンジル(3R,4R)-3-{[(2-{5-[(3-エトキシ-5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}ピリミジン-5-イル)カルボニル]アミノ}-4-フルオロピペリジン-1-カルボキシレート(C18)の合成。
N,N-ジメチルホルムアミド(2mL)中の、P2(50mg、0.14mmol)、C16(40.5mg、0.140mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(73.3μL、0.421mmol)の混合物に、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU;80mg、0.21mmol)を添加した。反応混合物を18℃で2時間にわたって撹拌した後、これを、C16(24.3mg、84.2μmol)を使用して行った同様の反応と合わせ、次いで、水(20mL)でクエンチし、酢酸エチル(20mL)で抽出した。有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。分取薄層クロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル)を介する残留物の精製により、C18を黄色固体として得た。合わせた収量:90mg、0.152mmol、68%。LCMS m/z 591.1 [M+H]+.
【0336】
ステップ2. 2-{5-[(3-エトキシ-5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3R,4R)-4-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミド(6)の合成。
エタノール(20mL)中のC18(70mg、0.12mmol)および10%パラジウム炭素(100mg)の混合物を、水素バルーン下、15℃で2時間にわたって撹拌し、その後すぐに、これを、C18(20mg、34μmol)を使用して行った同様の反応と合わせ、珪藻土のパッドに通して濾過した。濾液を真空で濃縮した後、残留物を、逆相HPLC(カラム:AgelaデュラシェルC18、5μm;移動相A:水中0.05%水酸化アンモニウム;移動相B:アセトニトリル;勾配:30%から50%B)を使用して精製し、これにより、2-{5-[(3-エトキシ-5-フルオロピリジン-2-イル)オキシ]ピリジン-3-イル}-N-[(3R,4R)-4-フルオロピペリジン-3-イル]ピリミジン-5-カルボキサミドを白色固体として得た。収量:14.2mg、31.1μmol、20%。LCMS m/z 457.1 [M+H]+. 1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 9.52 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 9.20 (s, 2H), 8.63 (d, J = 2.7 Hz, 1H),
8.53 (dd, J = 2.7, 1.8 Hz, 1H), 7.58 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 7.16 - 7.09 (br m,
1H), 7.06 (dd, J = 9.2, 2.6 Hz, 1H), 4.86 - 4.68 (m, JHF = 47.2 Hz,
1H), 4.37 - 4.27 (m, 1H), 4.16 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 3.36 (ddd, J = 12.2, 3.5,
3.4 Hz, 1H), 3.09 - 2.99 (m, 1H), 2.87 - 2.76 (m, 2H), 2.11 - 1.82 (m, 2H),
1.51 (t, J = 7.0 Hz, 3H).
【0337】
(実施例7~25)
【0338】
【表7-1】
【0339】
【表7-2】
【0340】
【表7-3】
【0341】
【表7-4】
【0342】
【表7-5】
【0343】
【表7-6】
【0344】
【表8-1】
【0345】
【表8-2】
【0346】
【表8-3】
【0347】
【表8-4】
【0348】
【表8-5】
【0349】
【表8-6】
【0350】
【表8-7】
【0351】
(実施例D1~D3)
表3は、重水素化エチル基を組み込んだ3つの机上の実験例を含む。これらの化合物の調製は、当業者が備える通常の技量を使用する上述した方法の変形形態を用いるであろう。実施例D1は、中間体P3およびP4から、実施例4について記述されているものに類似の方式で調製され得る。実施例D2およびD3は、P2の重水素化バージョンから、それぞれ実施例2および1に用いられた方法を介して調製され得る。
【0352】
【表9】
【0353】
(実施例26)
4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸、化合物A(ACCi化合物)の調製:
4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸の調製は、あらゆる目的のための参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、US8,859,577の実施例9にある。[(1R,5S,6R)-3-{2-[(2S)-2-メチルアゼチジン-1-イル]-6-(トリフルオロメチル)ピリミジン-4-イル}-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサ-6-イル]酢酸(その結晶性遊離酸形態を含む)の調製は、米国特許第9,809,579号の実施例4において記述されている。
【0354】
化合物Aの調製では、本明細書において記述される調製方法のいくつかは、遠隔官能基(例えば、式I前駆体中の第一級アミン、第二級アミン、カルボキシル)の保護を必要とし得ることに留意されたい。そのような保護の必要性は、遠隔官能基の性質および調製方法の条件に応じて変動することになる。そのような保護の必要性は、当業者によって容易に決定される。そのような保護/脱保護方法の使用も、当業者が備える技能の範囲内である。保護基の概要およびそれらの使用については、T.W.Greene、Protective Groups in Organic Synthesis、John Wiley&Sons、New York、1991を参照されたい。さらに、本発明は、本明細書で提供される具体的な合成方法に限定されず、それらは変動し得る。
【0355】
中間体A1:1-イソプロピル-4,6-ジヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン(piperldin)]-7(1H)-オン、塩酸塩。
【0356】
【化23】
ステップ1. tert-ブチル9-オキソ-3-アザスピロ[5.5]ウンデカ-7-エン-3-カルボキシレート。
【0357】
【化24】
乾燥した反応器に、tert-ブチル4-ホルミルピペリジン-1-カルボキシレート(108Kg)、シクロヘキサン(1080L)およびピロリジン(64.8Kg)を25~30℃で投入した。混合物を5~10分間撹拌し、次いで、ディーン・スタークトラップを使用して水を収集しながら、12~16時間にわたって還流まで加熱した。次いで、反応混合物を50~60℃に冷却し、この温度で真空を印加して過剰なピロリジンおよびシクロヘキサンを蒸留した。次いで、反応混合物を25~30℃に冷却し、シクロヘキサン(648L)、続いて、メチルビニルケトン(49.63Kg)を投入した。混合物を12~16時間にわたって撹拌し、次いで濾過し、濾液を清潔で乾燥した反応器に投入した。溶液を10~15℃に冷却し、次いで、温度を15℃未満に維持しながら、水(54L)中の酢酸(54.75Kg)の溶液をゆっくりと添加した。添加の終わりに、混合物を25~30℃まで加温し、12~16時間にわたって撹拌した。層を分離し、水性物を酢酸エチル(324L)で抽出した。合わせた有機層を、水(324L)中の重炭酸ナトリウム(32.34Kg)の溶液で洗浄し、次いで、硫酸ナトリウムで乾燥させた。固体を酢酸エチル(54L)で洗浄し、合わせた濾液を、減圧下、40℃未満で濃縮した。n-ヘプタン(216L)を反応器に投入し、減圧下、40℃未満で、乾固するまで蒸留を続行した。混合物を25~30℃に冷却し、n-ヘプタン(216L)を反応器に投入した。固体の形成後、混合物を1~2時間にわたって撹拌した。次いで、固体を濾過し、n-ヘプタン(54L)で洗浄し、40~50℃で10~12時間にわたって乾燥させて、所望の材料(90.1Kg、67%収率)を産生した。
【0358】
ステップ2. (E)-tert-ブチル10-((ジメチルアミノ)メチレン)-9-オキソ-3-アザスピロ[5.5]ウンデカ-7-エン-3-カルボキシレート。
【0359】
【化25】
清潔で乾燥した反応器に、tert-ブチル9-オキソ-3-アザスピロ[5.5]ウンデカ-7-エン-3-カルボキシレート(50Kg)、N,N-ジメチルホルムアミド(500L)およびN,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(135Kg)を、窒素雰囲気下、25~30℃で投入した。反応混合物を5~10分間撹拌し、次いで、120~130℃に20時間にわたって加熱した。次いで、混合物を50~60℃に冷却し、溶媒を、高真空下、60℃未満で蒸留した。混合キシレン(200L)を45℃未満で投入し、溶媒を、高真空下、60℃未満で蒸留した。この操作を、別ロットの混合キシレン(200L)を用いて繰り返した。次いで、トルエン(200L)を反応器に投入し、溶媒を、高真空下、60℃未満で蒸留した。この操作を、第2のロットのトルエン(200L)を用いて繰り返した。次いで、メチルtert-ブチルエーテル(100L)を30℃未満で投入し、溶媒を、高真空下、40℃未満で蒸留した。混合物を15~20℃まで冷却し、メチルtert-ブチルエーテル(100L)を20℃未満で投入した。混合物を20~30分間にわたって撹拌し、固体を濾過し、メチルtert-ブチルエーテル(50L)で洗浄し、真空なし、50~55℃で10時間にわたって乾燥させて、所望の化合物(52.1Kg、87%収率)を提供した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 7.48 (s, 1H), 6.57 (d, J=9.97 Hz, 1H),
5.99 (d, J=10.16 Hz, 1H), 3.32-3.51 (m, 4H), 3.06 (s, 6H), 2.72 (s, 2H),
1.57-1.66 (m, 2H), 1.41-1.53 (m, 11H).
【0360】
ステップ3. tert-ブチル1-イソプロピル-1,4-ジヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボキシレート。
【0361】
【化26】
清潔で乾燥した反応器に、(E)-tert-ブチル10-((ジメチルアミノ)メチレン)-9-オキソ-3-アザスピロ[5.5]ウンデカ-7-エン-3-カルボキシレート(80Kg)、トルエン(704L)およびトリメチルアミン(16L)を25~30℃で投入した。反応混合物を70~80℃まで加温し、メタノール中イソプロピルヒドラジン塩酸塩の溶液(1.25当量、合計141Kg)を4~5時間かけて添加した。次いで、反応混合物を70~80℃で8~10時間にわたって撹拌した後、15~25℃に冷却した。次いで、内部温度を25℃未満に維持しながら、水(480L)中のクエン酸(48Kg)の溶液をゆっくりと添加した。酢酸エチル(208L)を添加し、混合物を10分間にわたって撹拌した。層を分離し、有機層を、水(480L)中のクエン酸(48Kg)の溶液、次いで、水のみ(320L)で連続的に洗浄した。合わせた水性層を酢酸エチル(320L)で抽出した。次いで、合わせた有機層を硫酸ナトリウム(8Kg)で乾燥させ、溶媒を、減圧下、40℃未満で蒸発乾固させた。ジクロロメタン(240L)を反応器に投入し、混合物を25~30℃で透明になるまで撹拌した。活性炭(1.84Kg)、ケイ酸マグネシウム(1.84Kg)およびシリカゲル(32Kg、100~200メッシュ)を25~30℃で連続的に投入し、不均質混合物を1時間にわたって撹拌した。次いで、スラリーを、ハイフロスーパーセル(8Kg)およびジクロロメタン(40L)を混合することによって調製されたハイフロベッド上で濾過した。ケーキをジクロロメタン(3回120L)で洗浄した。合わせた濾液を反応器に戻し入れ、溶媒を、減圧下、40℃未満で蒸発させた。次いで、n-ヘプタン(160L)を投入し、減圧下、40℃未満で蒸留した。n-ヘプタン(200L)を反応器に投入し、混合物を0~5℃まで冷却した。12~15時間にわたって撹拌した後、固体を0℃で濾過し、冷やした(0~5℃)n-ヘプタン(160L)で洗浄し、真空下、40~50℃で乾燥させて、表題化合物(82.4Kg、75%)を提供した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 7.25 (s, 1H), 6.42 (dd, J=10.05, 0.49
Hz, 1H) 5.84 (d, J=9.95 Hz, 1H), 4.42-4.52 (m, 1H), 3.36-3.53 (m, 4H), 2.62 (s,
2H) 1.56-1.68 (m, 2H) 1.45-1.55 (m, 17H).
【0362】
ステップ4. 1-イソプロピル-4,6-ジヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-7(1H)-オン、塩酸塩。
【0363】
【化27】
清潔で乾燥した反応器に、tert-ブチル1-イソプロピル-1,4-ジヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボキシレート(60Kg)およびメタノール(600L)を25~30℃で投入した。N-ブロモコハク酸イミド(32.4Kg)を5回に分けて25~30℃で30~40分間かけて添加し、撹拌を30~60分間にわたって続けた。内部温度を30℃未満に維持しながら、水(102L)中のチオ硫酸ナトリウム五水和物(5.4Kg)の溶液をゆっくりと添加した。混合物を20~30分間にわたって撹拌し、次いで、溶媒を、減圧下、45℃未満で蒸発させた。残留物を25~30℃まで冷却し、2-メチルテトラヒドロフラン(methyltetrahydrofuan)(420L)を水(90L)とともに反応器に投入した。混合物を15~20分間にわたって撹拌し、次いで、層を分離し、水性層を2-メチルテトラヒドロフラン(120L)でさらに抽出した。合わせた有機抽出物を、水(120L)中の水酸化ナトリウム(4.8Kg)の溶液により、25~30℃で15~20分間にわたって処理した。層を分離し、有機層を、水(120L)、続いて、水(120L)中の塩化ナトリウム(12Kg)の溶液で洗浄し、次いで、硫酸ナトリウム(6Kg)で乾燥させた。濾過後、ケーキを2-メチルテトラヒドロフラン(30L)で洗浄し、合わせた濾液を反応器に戻し入れた。溶媒を、減圧下、45℃未満で完全に蒸留し、残留物を、テトラヒドロフラン(201L)中で可溶化した。別の清潔で乾燥した反応器に、カリウムtert-ブトキシド(60.6Kg)およびテトラヒドロフラン(360L)を25~30℃で投入した。その混合物に、温度を30℃未満に維持しながら、テトラヒドロフラン中の残留物の溶液をゆっくりと添加した。次いで、反応混合物を60~65℃まで加温し、1~2時間にわたってこの温度に保った。完了したら、混合物を0~10℃に冷却し、内部温度を10℃未満に維持しながら、塩酸の溶液(1N、196L)でゆっくりとクエンチした。反応混合物を25~30℃まで加温させ、酢酸エチル(798L)を投入した。15~20分間にわたって撹拌した後、層を分離し、水性層を酢酸エチル(160L)でさらに抽出した。合わせた有機層を水(160L)で洗浄し、硫酸ナトリウム(8Kg)で乾燥させ、濾過し、ケーキを酢酸エチル(300L)で洗浄した。溶媒を、減圧下、45℃未満で全面的に蒸留し、酢酸エチル(540L)を反応器に25~30℃で、続いて、メタノール(156L)を投入した。混合物を0~5℃に冷却し、この時点で、温度を指定された範囲内に維持しながら、塩化アセチル(79.8Kg)をゆっくりと添加した。次いで、混合物を20~25℃まで加温させ、撹拌しながら4~5時間にわたってこの温度に保った。得られたスラリーを濾過し、固体を酢酸エチル(120L)で洗浄し、次いで、40~45℃で8~10時間にわたって乾燥させて、所望の粗生成物(33.5Kg、65%)を得た。
【0364】
最終精製ステップは、この粗固体(56.8Kg)を、25~30℃の清潔で乾燥させた反応器内のメタノール(454.4L)中で可溶化することによって実施した。溶液を30~45分間にわたって撹拌し、次いで、0.2ミクロンのカートリッジフィルターに通過させて、25~30℃の清潔で乾燥した反応器に入れた。メタノールを、約1体積の溶媒が残るまで、減圧下、50℃未満で蒸留した。反応混合物を25~30℃に冷却し、0.2ミクロンのカートリッジフィルターを経由して新しいアセトニトリル(113.6L)を投入した。溶媒を、約1体積の溶媒が残るまで、減圧下、50℃未満で蒸留した。反応混合物を25~30℃に冷却し、0.2ミクロンのカートリッジフィルターを経由して、新しいアセトニトリル(190L)を反応器に投入した。混合物を65~70℃まで加温し、45分間にわたって撹拌し、次いで、25~30℃まで冷却し、1時間にわたって撹拌し、得られたスラリーを濾過し、ケーキを、冷やした(15℃)アセトニトリル(56.8L)で洗浄した。固体を、減圧下、40~50℃で8時間にわたって乾燥させて、中間体A1(36.4Kg、64%)を得た。1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ ppm 7.43 (s, 1H), 5.32-5.42 (m, 1H),
3.15-3.25 (m, 4H), 2.89 (s, 2H), 2.64 (s, 2H), 1.69-1.90 (m, 4H), 1.37-1.45 (m,
6H); ESI [M+H]+ =248.
【0365】
中間体A2:2-(4-(tert-ブトキシカルボニル)フェニル)-6-メトキシイソニコチン酸。
【0366】
【化28】
清潔で乾燥させた反応器に、2,6-ジクロロイソニコチン酸(30Kg)およびメタノール(120L)を20~25℃で投入した。スラリーを5分間にわたって撹拌し、次いで、65℃(還流)まで加熱した。次いで、メタノール中ナトリウムメトキシドの溶液(30%、87.2Kg)を、添加漏斗を介して、少なくとも4時間かけてゆっくりと投入した。漏斗をメタノール(15L)ですすぎ、撹拌を65℃で少なくとも15時間にわたって続行した。次いで、混合物を45℃まで冷却し、約90Lの残留体積になるまで減圧下で蒸留した。次いで、水(180L)中の重炭酸カリウム(28.2Kg)および炭酸カリウム(21.6Kg)の溶液を、反応器に40~45℃で投入した。水溶液を含有する反応器を、水(21L)ですすぎ、洗浄液を反応混合物に投入した。混合物を、約240Lの残留体積になるまで、減圧下、80℃未満で蒸留し、次いで、20~25℃まで冷却した。
【0367】
別の清潔で乾燥した反応器に、tert-ブチル4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキソボロラン(dioxoborolan)-2-イル)ベンゾエート(52.3Kg)およびジオキサン(340Kg)を投入し、完全に溶解するまで2~25℃で撹拌した。次いで、前者の反応器の内容物を40℃で加熱して、完全溶解度を確実にし、この新たな反応器に移した。反応混合物を20~25℃まで冷却し、真空/窒素サイクルを介して脱酸素ステップを実施した。混合物を0~10℃までさらに冷却し、反応器に、酢酸パラジウム(0.65Kg)、続いて、トリフェニルホスフィン(2.46Kg)を窒素流下で投入した。混合物を20~25℃まで加温し、真空/窒素サイクルを介して別の脱酸素ステップを実施した。次いで、混合物を80℃に加熱し、少なくとも18時間にわたってこの温度に維持した。混合物を20~25℃まで冷却し、次いで、メチルtert-ブチルエーテル(133.2Kg)および水(30L)を反応器に連続的に投入した。層を分離し、水性物を水(110L)で希釈し、次いで、メチルtert-ブチルエーテル(110L)で抽出した。合わせた有機抽出物を水(84L)中のクエン酸(52Kg)の溶液で洗浄し、層を分離した。水性層をメチルtert-ブチルエーテル(88.8Kg)でさらに抽出し、有機層を合わせ、次いで、水(80L)中の塩化ナトリウム(43Kg)の溶液の3分の1で3回洗浄した。最終層分離後、有機層を、チャコールカートリッジを含有するポールフィルターに通して濾過し、ケーキをメチルtert-ブチルエーテル(11.2Kg)で洗浄した。濾液を、減圧下、50℃未満で約90Lまで蒸留し、次いで、50℃未満で約120Lまで、ヘプタン(120L)と連続的に共蒸留した。次いで、混合物を20~25℃まで1時間かけて冷却し、次いで、この温度でもう1時間にわたって撹拌した。スラリーを濾過し、ケーキを、ヘプタン(3×18L)で3回、次いで、アセトニトリル(3×18L)で3回洗浄した。得られた湿った固体を、真空および窒素流下、45℃未満で少なくとも15時間にわたって乾燥させて、中間体A2(44.6Kg、87%収率)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 8.13 (s, 2H), 8.09 (s, 2H), 7.97 (d,
J=1.17 Hz, 1H), 7.34 (d, J=0.98 Hz, 1H), 4.08 (s, 3H), 1.61 (s, 9H); ESI [M+H]+
=330.
【0368】
中間体A3:tert-ブチル4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)ベンゾエート。
【0369】
【化29】
丸底フラスコに、2-(4-(tert-ブトキシカルボニル)フェニル)-6-メトキシイソニコチン酸(中間体A2、15.2g、46.2mmol)および酢酸エチル(140mL)を投入した。1,1’-カルボニルジイミダゾール(8.98g、55.4mmol)を一度に添加し、室温で1時間にわたって撹拌した。1-イソプロピル-4,6-ジヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-7(1H)-オン塩酸塩(中間体A1、14.8g、52.2mmol)、続いて、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(9.1mL、52.2mL)を添加し、反応物を室温で18時間にわたって撹拌した。2M HCl水溶液(40mL)、続いて、1M硫酸水素カリウム(40mL)および50mLのヘプタンを添加した。取得した混合物を室温で1時間にわたって撹拌した。混合物を分液漏斗に移した。有機相を分離し、水(20mL)、飽和重炭酸ナトリウム(30mL)、水(20mL)、ブライン(20mL)で連続的に洗浄し、20gの硫酸マグネシウムおよび10gのシリカゲルで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮した。濃縮の終わり頃に、固体が形成し始めた。残留物を、40mLの酢酸エチル中、80℃で撹拌し、ヘプタン(120mL)をゆっくりと滴下添加した。混合物を80℃で1時間にわたって撹拌し、次いで、1時間にわたって撹拌しながら室温にゆっくりと冷却し、室温で18時間にわたって撹拌した。濾過を介して固体を収集し、水および酢酸エチル-ヘプタン(1:3)で洗浄し、真空下、50℃で18時間にわたって乾燥させて、中間体A3(19.64g、76%収率)を取得した。
【0370】
中間体A3の代替調製:
清潔で乾燥した反応器に、アセトニトリル(219Kg)および2-(4-(tert-ブトキシカルボニル)フェニル)-6-メトキシイソニコチン酸(中間体A2、34.8Kg)を20~25℃で投入した。混合物を5分間にわたって撹拌し、次いで、1,1-カルボジイミダゾール(18.9Kg)を3回に分けて連続で投入した。スラリーを20~25℃で少なくとも1時間にわたってさらに撹拌し、次いで、1-イソプロピル-4,6-ジヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-7(1H)-オン塩酸塩(中間体A1、33.0Kg)を反応器に、続いて、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(20.5Kg)をポンプを介して投入した。試薬ポンプおよび反応器の壁をアセトニトリル(13.7Kg)で洗浄し、撹拌を20~25℃で少なくとも2時間にわたって続行した。完了したら、混合物にtert-ブチル4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)ベンゾエート(中間体A3、209g)を播種し、少なくとも30分間にわたって撹拌した。結晶化開始の確認後、水(257L)中のクエン酸一水和物(58.5Kg)の溶液を1時間かけて投入した。得られたスラリーを20~25℃で少なくとも2時間にわたってさらに撹拌し、次いで濾過し、ケーキをアセトニトリル(68.4Kg)および水(87L)の混合物で洗浄した。この洗浄液を使用して、反応器もすすいだ。固体を、減圧下、55℃未満で乾燥させて、中間体A3(43.44Kg、73%収率)を得た。
【0371】
化合物A(遊離酸として):4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸。
【0372】
【化30】
丸底フラスコに、tert-ブチル4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)ベンゾエート(3.7g、6.6mmol)およびトルエン(25mL)を投入した。撹拌しながら85%リン酸(3.0mL)を滴下添加し、反応物を60℃に4時間にわたって加熱した。無色濃厚ガム状物が形成された。反応物を室温に冷却し、水を添加した。白色固体が観察された。トルエン有機層を廃棄し、水性層および固体を保存した。酢酸エチルを添加し(60mL)、4N NaOH溶液を添加してpHを約7に調整した。層を分離し、水性物を酢酸エチル(50mL)で抽出した。合わせた酢酸エチル有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空で濃縮して、白色固体を提供した。これらを酢酸エチル(80mL)に50℃で溶解し、ヘプタン(90mL)をゆっくりと添加した。熱を除去し、混合物を室温に冷却し、16時間にわたって撹拌した。結果として生じた固体を濾過を介して収集し、母液ですすぎ、乾燥させて、表題化合物(化合物A遊離形態、2.15g、65%収率)を白色固体として提供した。
【0373】
化合物A(遊離酸として)の代替調製:
清潔で乾燥した反応器に、アセトニトリル(130.4Kg)およびtert-ブチル4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)ベンゾエート(中間体A3、20.72Kg)を20~25℃で投入した。混合物を5分間にわたって撹拌し、次いで、p-トルエンスルホン酸(8.5Kg)を、穏やかな窒素掃引下で投入した。反応混合物を70℃まで加温し、少なくとも6.5時間にわたってこの温度に維持した。完了したら、混合物を40℃まで冷却し、化合物A(104g)を播種し、水(83L)を少なくとも1時間かけてゆっくりと投入した。混合物を40℃で最低4時間にわたってさらに撹拌し、次いで、20~25℃まで2時間かけて冷却した。少なくとも2時間にわたるさらなる撹拌、続いて、濾過を行い、ケーキをアセトニトリル(33Kg)および水(41L)の溶液ですすいだ。この洗浄液を使用して、反応器もすすいだ。得られた固体を、減圧下、55℃未満で乾燥させて、化合物A(16.5Kg、89%収率)を得た。
【0374】
化合物Aの形態1の調製 - 化合物Aの無水モノ-トリス:
【0375】
【化31】
バイアルに、4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸(151mg、0.300mmol)および3mLのエタノールを投入した。混合物を80℃に5分間にわたって加熱して、固体を溶解し、次いで、室温に冷却した。トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(39mg、0.32mmol)を添加し、混合物を室温で終夜撹拌した。ヘプタン(2.25mL)を滴下添加してスラリーを生成し、これを50℃に加熱して、透明溶液を生成した。混合物を撹拌しながら室温に終夜冷却した。白色固体が観察され、混合物を追加で3日間にわたって撹拌した。材料を濾過し、50℃の真空オーブン内で終夜乾燥させて、形態1(151mg、0.242mmol、81%収率)を生成した。
【0376】
化合物Aの形態1の代替調製:化合物Aの無水モノ-トリス:
清潔で乾燥した反応器に、エタノール(83L)を投入し、続いて、混合物を20~25℃の温度に維持しながら、化合物A(9.43Kg)およびトリス(2.55kg)を添加した。タンク壁をエタノール(2L)ですすぎ、得られた混合物を65~70℃で加熱し、すべての固体が溶解するまで少なくとも30分間にわたってこの温度に維持し、次いで、45~50℃まで冷却した。10μmのインラインポリプロピレンフィルターに通す温濾過を実施し、反応器およびフィルターをエタノール(9L)で洗浄した。n-ヘプタン(24L)を同じインラインフィルターに通して温溶液に投入し、混合物に、45~50℃のエタノール(0.5L)中、4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸無水トリス塩(100g)を播種した。温度を少なくとも2時間にわたって保持した後、少なくとも2時間かけて20~25℃まで冷却した。撹拌を少なくとも5日間にわたって続行した。次いで、スラリーを濾過し、ケーキをエタノール(13L)およびn-ヘプタン(6L)の混合物で洗浄した。固体を、減圧下、45℃未満で少なくとも12時間にわたって乾燥させて、実施例26(11.7Kg、77%)を得た。
【0377】
化合物Aの形態2の調製 - 化合物Aのモノ-トリス塩の三水和物:
【0378】
【化32】
化合物Aの形態2は、化合物Aの形態1からの変換により取得した。50mLのイージーマックス反応器に、形態1(1.7214g、2.760mmol)、イソプロパノール(16.50mL、215.8mmol)および水(688μL、38.190mmol)を添加した。混合物を、25℃の反応器ジャケット温度で、約72時間にわたって撹拌(300rpm)した。次いで、反応混合物を40℃に15分間かけて加温し、40℃で約24時間にわたって保持し、20℃に一度冷却して、試験のために試料を除去した。PXRDにより形態の混合物が見られ、したがって、追加の水(688μL、38.190mmol)を添加した。撹拌速度を400rpmまで増大させ、スラリーを6時間にわたって撹拌させ、次いで、15℃に冷却した。固体を60mL/40Mフィルターで単離し、96/4 イソプロパノール/水で洗浄した。得られた材料は、PXRDにより、化合物Aの形態2と一致していた。
【0379】
化合物Aの形態2の代替調製 - 化合物Aのモノ-トリス塩の三水和物:
清潔で乾燥した反応器に、イソプロパノール(60.4Kg)を投入し、混合物を20~25℃の温度に維持しながら、化合物A(16.68Kg)およびトリス(4.42kg)を添加した。混合物を5分間にわたって撹拌し、次いで、水(6.7Kg)を投入し、スラリーを55℃まで加温した。ここで、透明溶液を、事前に加温した清潔で乾燥した反応器(50~55℃)中に、インライン10μmポリプロピレンフィルターに通して濾過した。次いで、溶液に、化合物Aのモノ-トリス塩を三水和物(167g)として播種した。播種が持続したことを確認後、混合物を少なくとも2時間かけて15℃まで冷却し、次いで、15℃で最低16時間にわたって維持した。スラリーを濾過し、ケーキを、冷やしたイソプロパノール(13.1Kg)で洗浄した。次いで、固体を、減圧下、25℃未満で乾燥させて、化合物Aの形態2(22.1Kg、98%収率)のみを得た。
【0380】
化合物Aの形態1は無水物であり、周囲温度にて、約0.2(20%RH)の水分活性未満で熱力学的に安定である。化合物Aの形態1は、化合物Aの図3に示されているものと実質的に同じPXRDパターンを有する。2θ±0.2°2θとして表現される化合物Aの形態1の特徴的なPXRDピークは、9.6、10.7および11.3である。図1におけるPXRDパターンについてのピーク場所および強度を、表4で提供する。
【0381】
【表10】
【0382】
化合物Aの形態1は、図2に示されているものと実質的に同じラマンスペクトルを有する。化合物Aの形態1は、568、698、989、1218、1511、1561および1615、±2cm-1で、cm-1として表現される特徴的なラマンピークシフトを有する。図2における化合物Aの形態1のピーク位置(±2cm-1)および正規化された強度(W=弱、M=中、S=強)を表5に収載する。
【0383】
【表11】
【0384】
化合物Aの形態1は、図3に示されているものと実質的に同じ13C ssNMRスペクトルを有する。化合物Aの形態1は、22.9、146.2、157.9、161.9および172.9、±0.2ppmで、ppmとして表現される特徴的な13C ssNMR化学シフトを有する。図3に示す通りの化合物Aの形態1の13C化学シフト(±0.2ppm)を、表6に収載する。
【0385】
【表12】
【0386】
化合物Aの形態2は、三水和物であり、周囲温度および20%RHにて、約0.2の水分活性超で熱力学的に安定である。化合物Aの形態2は、図4に示されているものと実質的に同じPXRDパターンを有する。2θ±0.2°2θとして表現される化合物Aの形態2の特徴的なPXRDピークは、8.4、9.0、10.5、15.0および24.7である。図4におけるPXRDパターンについてのピーク場所および強度を、表7で提供する。
【0387】
【表13】
【0388】
化合物Aの形態2は、図5に示されているものと実質的に同じラマンスペクトルを有する。化合物Aの形態2は、562、692、984、1225、1507、1557および1610±2cm-1で、cm-1として表現される特徴的なラマンピークシフトを有する。図5における化合物Aの形態2のピーク位置(±2cm-1)および正規化された強度(W=弱、M=中、S=強)を、表8に収載する。
【0389】
【表14】
【0390】
化合物Aの形態2は、図6に示されているものと実質的に同じ13C ssNMRスペクトルを有する。化合物Aの形態2は、19.2、149.5、155.6、163.8および188.3、±0.2ppmで、ppmとして表現される特徴的な13C ssNMR化学シフトを有する。図6に示されている通りの化合物Aの形態2の13C化学シフト(±0.2ppm)を、表9に収載する。
【0391】
【表15】
【0392】
本明細書で提供される開示に基づき、当業者は、化合物Aの各形態1および形態2が、様々な組合せにおけるいくつかの異なるスペクトルピークまたはパターンによって一意的に同定され得ることが分かるであろう。化合物Aの形態1および形態2を別個に同定するために使用され得る特徴的なピーク値の例示的な組合せについて後述するが、これらの例示的な組合せを、決して本明細書において開示される他のピーク値組合せを限定するものとみなすべきではない。
【0393】
化合物Aの形態2における3個の水分子の存在を確認するために、Bruker D8ベンチャー回折計を使用し、室温でデータを収集した。図7を参照されたい。単斜晶系クラスの空間群P2/cにおいてSHELXソフトウェアスイートを使用する固有位相決定法によって、構造を解明した(バージョン5.1、Bruker AXS、1997)。その後、全行列最小二乗法によって構造を精緻化した。異方性変位パラメーターを使用して、すべての非水素原子を発見し、精緻化した。
【0394】
窒素および酸素に位置する水素原子を、フーリエ差分マップから発見し、距離を制限して精緻化した。残りの水素原子を算出された位置に置き、それらの担体原子に乗せた。
【0395】
最終R指数は、7.2%であった。最終差分フーリエは、欠損も誤入電子密度(misplaced electron density)もないことを明らかにした。
【0396】
表10は、化合物Aの形態2に関して収集されたデータを提供する:
【0397】
【表16】
【0398】
4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸の結晶性2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3-ジオール塩。この結晶性塩は、概して、化合物Aのトリス塩と称される。
【0399】
4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸対塩の比が、1:1である、化合物Aの結晶性トリス塩。
【0400】
結晶性塩が、無水結晶性塩である、化合物Aの結晶性トリス塩。
【0401】
前記無水結晶性塩が、9.6、10.7および11.3 2θ、±0.2°2θの回折角にピークを含むPXRDパターンを有する、化合物Aの無水結晶性トリス塩。
【0402】
前記無水結晶性塩が、1511、1561および1615cm-1、±2cm-1にピークシフトを含むラマンスペクトルを有する、化合物Aの無水結晶性トリス塩。
【0403】
前記無水結晶性塩が、22.9、146.2および161.9ppm、±0.2ppmの化学シフトを含む13C ssNMRスペクトルを有する、化合物Aの無水結晶性トリス塩。
【0404】
前記無水結晶性塩が、1511および1615cm-1、±2cm-1にピークシフトを含むラマンスペクトル、ならびに22.9、146.2または161.9ppm、±0.2ppmの少なくとも1つの化学シフトを含む13C ssNMRスペクトルからなる群から選択される分析パラメーターを有する、化合物Aの無水結晶性トリス塩。
【0405】
前記無水結晶性塩が、実質的に純粋である、化合物Aの無水結晶性トリス塩。
【0406】
結晶性塩が、三水和物結晶性塩である、化合物Aの結晶性トリス塩。
【0407】
前記三水和物結晶性塩が、8.4、9.0および10.5 2θ、±0.2°2θの回折角にピークを含むPXRDパターンを有する、化合物Aの三水和物結晶性トリス塩。
【0408】
前記三水和物結晶性塩が、1507、1557および1610cm-1、±2cm-1にピークシフトを含むラマンスペクトルを有する、化合物Aの三水和物結晶性トリス塩。
【0409】
前記三水和物結晶性塩が、19.2、149.5および163.8ppm、±0.2ppmの化学シフトを含む13C ssNMRスペクトルを有する、化合物Aの三水和物結晶性トリス塩。
【0410】
前記三水和物結晶性塩が、
8.4および9.0 2θ、±0.2°2θの回折角にピークを含むPXRDパターン、
1557および1610cm-1、±2cm-1にピークシフトを含むラマンスペクトル、ならびに
19.2、149.5または163.8ppm、±0.2ppmの少なくとも1つの化学シフトを含む13C ssNMRスペクトル
からなる群から選択される分析パラメーターを有する、化合物Aの三水和物結晶性トリス塩。
【0411】
前記三水和物結晶性塩が、8.4および9.0 2θ、±0.2°2θの回折角にピークを含むPXRDパターン、ならびに1507、1557または1610cm-1、±2cm-1に少なくとも1つのピークシフトを含むラマンスペクトルからなる群から選択される分析パラメーターを有する、化合物Aの三水和物結晶性トリス塩。
【0412】
前記三水和物結晶性塩が、8.4および9.0 2θ、±0.2°2θの回折角にピークを含むPXRDパターン、ならびに19.2、149.5または163.8ppm、±0.2ppmの少なくとも1つの化学シフトを含む13C ssNMRスペクトルからなる群から選択される分析パラメーターを有する、化合物Aの三水和物結晶性トリス塩。
【0413】
(実施例27)
(DGAT2i化合物/化合物D):(S)-2-(5-((3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ)ピリジン-3-イル)-N-(テトラヒドロフラン-3-イル)ピリミジン-5-カルボキサミド
【0414】
【化33】
その結晶形態を含む実施例27の化合物(化合物D)およびその調製方法は、2018年9月11日に発行された米国特許第10,071,992号の実施例1において開示されたものであり、2016年8月19日に出願された米国仮特許出願第62/377,137号の優先権を主張するものであり、これらはいずれも、あらゆる目的のための参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0415】
薬理学的データ
下記のプロトコールは、当然ながら、当業者によって変動し得る。
【0416】
ヒトDGAT2(hDGAT2)コンストラクトの産生
hDGAT2のためのコンストラクトを、N末端FLAGタグ(AspTyrLysAspAspAspAspLysのアミノ酸配列を持つオクタペプチド)を用いて産生した。FLAGタグ付きhDGAT2コンストラクトでは、hDGAT2のためのcDNAをGenscriptでカスタム合成し、BamHI/XhoI制限酵素を使用してpFastBac1ベクター(Invitrogen)中にクローン化することによって、N末端にFLAGタグ付きpFastBac1-FLAG-hDGAT2コンストラクト(アミノ酸1~388)を産生した。コンストラクトは、両方向での配列決定によって確認した。
【0417】
DGAT2発現およびDGAT2膜画分の調製
FLAGタグ付きhDGAT2のための組換えバキュロウイルスを、SF9昆虫細胞において、Bac-to-Bacバキュロウイルス発現系(Invitrogen)を使用し、製造業者のプロトコールに従って産生した。hDGAT2の発現のために、Sf900II培地中で成長させたSF9細胞(20L)に、ウェーブバイオリアクターシステム20/50Pウェーブバッグ(GE Healthcare)内、hDGAT2バキュロウイルスを1の感染多重度で感染させた。感染の40時間後、次いで、細胞を5,000×gでの遠心分離によって収穫した。細胞ペレットをリン酸緩衝溶液(PBS)に再懸濁することによって洗浄し、5,000×gでの遠心分離によって収集した。細胞ペーストを液体N中で急速冷凍し、必要になるまで-80℃で貯蔵した。以下のすべての操作は、別段の注記がない限り、4℃で行った。細胞を、1mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)およびコンプリートプロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche Diagnostics)を含む溶解緩衝液(50mMのトリス-HCl、pH8.0、250mMのスクロース)に、1gの細胞ペースト当たり3mLの緩衝液の比で再懸濁した。細胞をダウンス型ホモジナイザーによって溶解させた。細胞残屑を、1,000×gで20分間にわたる遠心分離によって除去し、上清を、100,000×gで1時間にわたって遠心分離した。得られたペレットを、遠心管の縁まで氷冷PBSを注ぐことによって3回すすいだ後、デカントした。洗浄したペレットを、8mMの3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホネート(CHAPS)を含有する溶解緩衝液に、1gの元の細胞ペースト当たり1mLの緩衝液の比で、穏やかに撹拌しながら1時間にわたって再懸濁し、再度100,000×gで1時間にわたって遠心分離した。得られた上清をアリコートし、液体N中で急速冷凍し、使用するまで-80℃で貯蔵した。
【0418】
インビトロDGAT2アッセイおよびDGAT2阻害剤についてのIC50値の決定
IC50値の決定のために、反応を、384ウェル白色ポリプロピレンプレート(Nunc)中、総体積20μLで行った。100%DMSOに溶解し、各ウェルの底部にスポットした1μLの化合物に、5μLの0.04%ウシ血清アルブミン(BSA)(脂肪酸不含、Sigma Aldrich)を添加し、混合物を室温で15分間にわたってインキュベートした。hDGAT2膜画分を、100mMのHepes-NaOH、pH7.4、200nMのメチルアラキドニルフルオロホスホネート(Cayman Chemical;アルゴンガス下で、酢酸エチルストック溶液から乾燥させ、5mMのストックとしてDMSOに溶解したもの)を含有する20mMのMgCl中で希釈した。10μLのこの酵素ワーキング溶液をプレートに添加し、インキュベーションを室温で2時間にわたって続けた。12.5%アセトンに溶解した30μMの[1-14C]デカノイル-CoA(Perkin Elmerによってカスタム合成されたもの、50mCi/mmol)および125μMの1,2-ジデカノイル-sn-グリセロール(Avanti Polar Lipids)を含有する4μLの基質の添加により、DGAT2反応を開始した。反応混合物を室温で40分間にわたってインキュベートし、5μLの1%HPOの添加によって反応を停止した。45μLのマイクロシント-E(Perkin-Elmer)の添加後、プレートをトップシールAカバー(Perkin-Elmer)で密封し、HT-91100マイクロプレートオービタルシェーカー(Big Bear Automation、Santa Clara、CA)を使用して、基質および生成物の相分配を実現した。プレートを、アレグラ6R遠心分離機(Beckman Coulter)内、2,000×gで1分間にわたって遠心分離し、次いで、新しいカバーで再度密封した後、1450マイクロベータワラックトリラックスシンチレーションカウンター(Perkin Elmer)で読み取った。上部有機相中の産生された生成物[14C]トリデカノイルグリセロールを定量化することにより、DGAT2活性を測定した。
【0419】
DGAT2の完全阻害のために、50μMの((R)-1-(2-((S)-1-(4-クロロ-1H-ピラゾール-1-イル)エチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-5-イル)ピペリジン-3-イル)(ピロリジン-1-イル)メタノン(WO2013150416、実施例196-A)を使用して取得したバックグラウンド活性を、すべての反応から引いた。阻害剤を11の異なる濃度で試験して、各化合物についてIC50値を生成した。用いた11の阻害剤濃度は、典型的には、50、15.8、5、1.58、0.50、0.16、0.05、0.016、0.005、0.0016および0.0005μMを含んでいた。データを、阻害剤濃度に対する阻害のパーセンテージとしてプロットし、方程式y=100/[1+(x/IC50]に当てはめた[式中、IC50は、50%阻害における阻害剤濃度であり、zは、ヒル傾斜(その変曲点における曲線の傾斜)である]。
【0420】
以下の表11は、上述のアッセイに従うDGAT2の阻害についての実施例のIC50値を提供する。結果を幾何平均IC50値として報告し、反復の数(n)を示す。
【0421】
【表17】
【0422】
ヒト肝細胞におけるDGAT2阻害剤についてのIC50値の決定
細胞ベースの設定におけるDGAT2阻害剤の効果の評価のために、凍結保存されたヒト肝細胞(Lot DOO、Celsis、Baltimore、MD)を解凍し、I型コラーゲンでコーティングしたプレート上で製造業者の指示に従って平板培養した。18時間一晩の回復期間後、細胞に、250μg/mLのゲルトレックス基底膜マトリックス(Thermo Fisher)を含有する培地をかぶせた。翌日、培地を吸引し、400μMのドデカン酸ナトリウム(Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)および2mMのグルタマックス(Thermo Fisher)を含有する無血清ウィリアム培地E(Thermo Fisher)で置きかえた。45分後、選択的DGAT1阻害剤(実施例2、WO2009016462、25%DMSO、75%PBS中100倍ストックとして調製したもの)を、すべてのウェルに、内因性DGAT1活性を完全に抑制した最終濃度(3μM)で添加した。次いで、DGAT2阻害剤を所望の最終濃度まで添加した。15分間のプレインキュベーション後、0.2μCi[14C(U)]-グリセロール(Perkin Elmer)を各ウェルに添加し、続いて、3時間インキュベーションした。この時点で、培地を除去し、イソプロピルアルコール:テトラヒドロフラン(9:1)中での15分間にわたる軌道振とうを介して細胞を溶解させた後、3000rpmで10分間にわたって遠心分離した。薄層クロマトグラフィーにより溶媒系を使用して放射性標識脂質を展開し、ここで、溶媒はヘキサン:ジエチルエーテル:氷酢酸(75:23:2、v/v/v)からなっていた。分離後、タイフーン9500ホスホイメージングシステム(GE)を使用して放射性標識脂質を可視化した。グラフパッドプリズム(GraphPad Software,Inc.、La Jolla、CA)を使用する%阻害用量応答曲線の非線形回帰分析によって、半最大阻害濃度(IC50値)を決定した。
【0423】
以下の表12は、上述のアッセイに従うヒト肝細胞におけるDGAT2の阻害についての選択された実施例のIC50値を提供する。結果を幾何平均IC50値として報告し、反復の数(n)を示す。
【0424】
【表18】
【0425】
血漿および肝臓トリグリセリドレベルに対するDGAT2阻害剤のインビボ効果
ラット西洋食モデルを利用して、血漿トリグリセリド生成および肝臓トリグリセリド含有量に対するDGAT2阻害剤処置の効果をインビボで評価した。雄スプラーグドーリーラットを、標準的な実験室条件下、12時間明、12時間暗サイクル(6:00に点灯)で収容した。研究開始の2週間前に、動物に、高脂肪、高ショ糖、高コレステロール食(D12079b、Research Diets、New Brunswick、NJによって提供されるもの)を摂らせた。この食事は、炭水化物から約43%のキロカロリーおよび脂肪から約41%のキロカロリーを提供する。実施例4を、脱イオン水中0.5%メチルセルロース中の溶液(10mL/kg投薬体積)、pH7.0~7.5として経口的に投与した(メチルセルロースは、Sigma-Aldrich、St.Louis、MOから取得した)。ビヒクル処置動物には、脱イオン水中0.5%メチルセルロースの水溶液単独、pH7.0~7.5を受けさせた。各処置は、3、10、30および100mg/kgで08:00および16:00に1日2回、6、20、60および200mg/kg/日の総1日用量で、7日間にわたって経口的に投与した。8日目に、動物にビヒクルまたは実施例4を10:00に投薬し、投薬2時間後に屠殺した。ラットを二酸化炭素窒息によって屠殺し、側面尾静脈を介して血液を収集した。Roche日立化学分析装置を製造業者の指示(Roche Diagnostics Corporation、Indianapolis、IN)に従って使用して血漿TGレベルを決定し、グラフパッドプリズム(GraphPad Software,Inc.、La Jolla、CA)を使用してデータを分析した。屠殺時に肝臓トリグリセリドの決定のために肝臓を収集し、組織を液体窒素中で直ちに冷凍し、分析まで-80℃で保持した。肝臓トリグリセリドレベルの評価のために、アルミホイルで包んだ肝臓の切片を、液体窒素浴中のアルミ加熱ブロック上、ハンマーで細砕した。肝臓組織の細砕により、均質な粉末を生成した。均質化緩衝液、トリスpH7.4、98.9ミリリットルの0.9%NaClおよび100マイクロリットルのトリトンX100を、使用前に撹拌プレート上で10分間にわたって混合した。およそ100ミリグラムの試料重量の均質な肝臓組織を秤量し、1mLの均質化緩衝液とともにライシングマトリックスDチューブ(MP Biomedicals、カタログ番号6913-100)に入れた。次いで、すべての試料をファストプレップFP120(MP Biomedicals、カタログ番号6001-120)に2分間にわたってまたは組織が均質化されるまで入れた。次いで、すべての試料を10,000gで30秒間にわたってスピンさせて、均質化により透明な泡状物とした。50マイクロリットルの試料を滅菌混合プレートに、450マイクロリットルのダルベッコリン酸緩衝溶液(DPBS)とともに移して、1:10希釈を作成した。新たな試料の再懸濁時に、すべての試料を、SiemensアドヴィアXPT臨床分析装置用の試料採取管に移した。吸光度によりトリグリセリドアッセイを実施し、1デシリットル当たりのミリグラムとして報告した。次いで、トリグリセリドをMicrosoftエクセルにて組織1グラム当たりで正規化した。図29および30においてまとめられている通り、実施例4を投与したラットでは、血漿(最大約70%)および肝臓(最大48%)トリグリセリドにおける用量依存的低減があった。循環トリグリセリド応答の事例では、実施例4で観察された、得られたレベルは、チャウ(chow)給餌ビヒクル動物のものに接近した。
【0426】
図29は、西洋食給餌スプラーグドーリーラットにおける血漿トリグリセリドに対する実施例4の複数回用量効果をプロットしたものであり、ここで、血漿トリグリセリドレベルは、実施例4の最終用量の2時間後に側面尾静脈から抜き取られた血液から決定した。データは、平均±標準偏差として提示され、ここで、個々の点は独自の動物を表す。正規性を検定した後、データを対数変換し、ダネットのポストホック検定による不等分散を考慮してANOVAを実施し、次いで、西洋食ビヒクル処置群に対する多重比較を調整するために適用した。**=西洋食ビヒクル処置動物に対して0.01未満のp;=西洋食ビヒクル処置動物に対して0.05未満のp。
【0427】
図30は、西洋食給餌スプラーグドーリーラットにおける肝臓トリグリセリドに対する実施例4の複数回用量効果をプロットしたものであり、ここで、肝臓トリグリセリドレベルは、実施例4の最終用量の2時間後に側面尾静脈から抜き取られた血液から決定した。データは、平均±標準偏差として提示され、ここで、個々の点は独自の動物を表す。正規性を検定した後、データを対数変換し、ダネットのポストホック検定による不等分散を考慮してANOVAを実施し、次いで、西洋食ビヒクル処置群に対する多重比較を調整するために適用した。****=西洋食ビヒクル処置動物に対して0.0001未満のpおよび***=西洋食ビヒクル処置動物に対して0.001未満のp。
【0428】
pKaの決定
例示される化合物は、DGAT2の塩基性阻害剤であるように設計された。選択された例のpKaは、Shalaeva,M.ら、2008、J.Pharm.Sci.、97、2581~2606において記述されているキャピラリー電気泳動法に従って、Analiza,Inc.(Cleveland、OH)によって決定された。以下の表6は、例について決定された最も塩基性のpKaを示し、反復の数(n)とともに平均として提示される。塩基性化合物は、インビボでより高い分布容積に関連する(Obach,R.S.ら、2009、Drug Metab.Dispos.、36、1385~1405;Smith,D.A.ら、2015、J.Med.Chem.、58.5691~5698)。
【0429】
【表19】
【0430】
ヒト肝細胞における固有クリアランスの決定(リレー法)
固有クリアランス(CLint)測定には、肝細胞リレー法を使用した(Di,L.ら、2012、Drug Metab.Dispos.、40、1860~1865およびDi,L.ら、2013、Drug Metab.Dispos.、41、2018~2023)。凍結保存されたヒト肝細胞(BioreclamationIVT製のLot DCM)を使用した。解凍したら、肝細胞を、HepesおよびNaCOを補充したウィリアム培地E(カスタム式番号91-5233EA;Gibco、Grand Island、NY)に再懸濁した。トリパンブルー排除法を使用して細胞をカウントし、50万個の細胞/mLを含有する24ウェル肝細胞プレートを、0.50mLの最終インキュベーション体積にて、1μMの最終濃度の試験化合物(ジメチルスルホキシド、最終濃度0.025%;メタノール、最終濃度0.1125%)でスパイクした。プレートを、加湿インキュベーター内、150rpmにて、37℃、95%空気/5%CO、75%相対湿度で4時間にわたってインキュベートした。時間0および4時間で、25μLの肝細胞懸濁液をインキュベーションから除去し、50μLの氷冷アセトニトリル(メトプロロール、インドメタシンおよびテルフェナジンを内部標準として含有する)に添加して、反応をクエンチした。試料を、室温で10分間にわたって3000rpm(1439×g)にて遠心分離(Eppendorf、Hauppauge、NY)し、50μLの上清を清潔なプレートに移し、完全に乾燥させ、復元した後、液体クロマトグラフィー/タンデム質量分析(LC-MS/MS)分析を行った。インキュベーションプレート内に残った肝細胞懸濁液を遠心分離した(3000rpm、1439×g、10分、室温)。300μLの上清を清潔な24ウェルプレートに移し、次のリレー実験まで-80℃で貯蔵した。第2のリレー実験では、上清プレートを最初に室温に30分間にわたって、次いで、37℃に30分間にわたって加温し、肝細胞を試料に添加して、50万個の細胞/mLの最終細胞密度を得た。プレートを37℃で4時間にわたってインキュベートし、試料採取し、上述した通りに加工した。5つのリレーを実施して、(0、4、8、12、16および20時間)の試料採取点で20時間の総インキュベーション時間を得た。各時点でLC-MS/MS分析によって決定された試験化合物の濃度を使用して、固有クリアランスを算出した。
【0431】
以下の表14は、上述した方法によって決定された際の選択された実施例についての固有クリアランスを示す。データを平均+/-標準偏差として提示し、反復の数(n)を示す。
【0432】
【表20】
【0433】
ヒト肝細胞における固有クリアランスのハイスループット決定
ハイスループットヒト肝細胞安定性アッセイは、384ウェルフォーマットで実施した(Di,L.ら、2012、Eur.J.Med.Chem.、57、441~448)。10人のドナーのプールした凍結保存されたヒト肝細胞を、BioreclamationIVT(Baltimore、MD、Lot DCM)から購入した。凍結保存されたヒト肝細胞を解凍し、HEPESおよびNaCOを補充したウィリアムE培地(WEM GIBCO、カスタム式番号A28859EA)に再懸濁した。トリパンブルー排除法を使用して細胞をカウントした。Multidrop(登録商標)液体ディスペンサー(Multidrop DW、Thermo Scientific、Waltham、MA)を使用して、肝細胞懸濁液を384ウェルプレートに添加した。細胞プレートを覆い、2つの6ポジションMecour熱交換器が装備されたSciclone(登録商標)ALH3000ワークステーション(Caliper Life Sciences、Hopkinton、MA)に移した。試験化合物をSciclone(登録商標)にて緩衝液で希釈し、肝細胞に添加した。最終インキュベーションは、50万個の細胞/mLおよび1μMの試験化合物を、0.01%DMSOを加えて総体積15μLで含有していた。インキュベーションは、37℃で行った。種々の時点(0、3、10、30、60、120、240分)において、反応物を、内部標準(実施例39A、WO1999/57125)を含有する冷アセトニトリルでクエンチした。試料を、3000rpmにて、4℃で5分間にわたって遠心分離(Eppendorf、Hauppauge、NY)した。上清を、BioMek(登録商標)FX液体ハンドラー(Beckman Coulter,Inc.Danvers MA)を使用して、水を加えた新たなプレートに移し、これを密封した後、LC-MS/MS分析を行った。以下の表15は、上述したハイスループットヒト肝細胞アッセイにおいて決定された際の選択された実施例についての固有クリアランスを示す。データを平均+/-標準偏差として提示し、反復の数(n)を示す。
【0434】
【表21】
【0435】
ヒト肝ミクロソームにおける固有クリアランスの決定
ハイスループットヒトミクロソーム安定性アッセイは、384ウェルフォーマットで実施した(Di,L.ら、2012、Eur.J.Med.Chem.、57、441~448)。すべての液体取り扱いおよびインキュベーションは、1つの3ポジションMecour加熱デッキポジションが装備されたバイオメックFX(Beckman Coulter,Inc.、Indianapolis、IN)で行った。50人のドナーのプールしたヒト肝ミクロソーム(ロット:HLM-103)を、BD Biosciences(Bedford、MA)から購入した。各インキュベーションは、試験化合物(1μM)、ヒト肝ミクロソーム(0.806mg/mLのタンパク質濃度に相当する0.25μMのCYPタンパク質)、NADPH 20.9mM、MgCl(3.3mM)およびリン酸カリウム緩衝液(pH7.4で100mM)を含有していた。最終反応体積は、0.1%DMSOを含有する45μLであった。インキュベーションは、37℃で行った。種々の時点(例えば、1、4、7、12、20、25、45および60分)において、冷アセトニトリルを質量分析(MS)内部標準(実施例39A、WO1999/57125)とともに添加して、反応物をクエンチした。プレートを、3000rpmにて、4℃で1分間にわたって遠心分離した(ソルバールRC 3Cプラス、Thermo Scientific、Waltham、MA)。プレートを密封し、その後、LC-MS/MSを使用して分析した。NADPH補因子を添加することなく同じ方式で対照プレートを調製して、あらゆる非CYP/FMO触媒による低下をモニターした。以下の表16は、上述したヒト肝ミクロソームアッセイにおいて決定された際の選択された実施例についての固有クリアランスを示す。データを平均+/-標準偏差として提示し、反復の数(n)を示す。
【0436】
【表22】
【0437】
種々の培地における熱力学的溶解度の決定
医薬品有効成分の溶解度は、薬物開発中の生物学的性能および製剤化の容易性を決定する際に重要な特徴であり、高い溶解度が好ましい(Klein,S.2010、The AAPS Journal、12、397~406;Di,L.ら、2012、Drug Disc.Today、17.486~495)。熱力学的溶解度は、表17に示す通り、種々の生体関連培地中で測定した。結晶性固体の試験試料(約7mg)を、1mLの関連緩衝溶液を加えたバイアル中で合わせ、混合物をボルテックスして合わせた。固体が完全に溶解したら、飽和溶液が取得されるまでボルテックスしながら、追加の固体を添加した。飽和溶液/固体混合物に蓋をし、次の通りの温度サイクリングに供した:25℃で1分;40℃で8時間;15℃で5時間および25℃で12時間。混合物を、遠心濾過デバイス(0.22μmのPVDFフィルター、MilliporeSigma、Milwaukee、WI)内、13,000rpmにて濾過し、濾液中の試験化合物の濃度を、HPLC/UPLCにより、3点標準曲線を参照して決定した。リン酸緩衝溶液(PBS、pH6.8、50mMのリン酸緩衝液、250mMのNaCl)。疑似胃酸(SGN pH1.2、USP処方箋)。絶食状態疑似腸液(FaSSIF、3mMのタウロコール酸ナトリウム、0.75mMの大豆レシチン由来リン脂質、50mMのリン酸緩衝液、NaClで250mMに調整されたイオン強度、pH6.8)および給餌状態疑似腸液(FeSSIF、15mMのタウロコール酸ナトリウム、3.75mMの大豆レシチン由来リン脂質、144mMの酢酸、50mMのリン酸緩衝液、NaClで250mMに調整されたイオン強度、pH6.8)。
【0438】
【表23】
【0439】
前臨床データ
無作為化、ビヒクル対照、並行8アーム間比較研究を、雄スプラーグドーリーラット(Charles River(Boston、MA))において行って、循環および肝臓TGレベルを取得した。標準的な実験室条件を使用して96匹のラット(約200g)を収容し、それらを二重収容し、12:12時間反転明暗スケジュール(8:00AMに消灯)下に保った。ラットを、到着次第、チャウまたは西洋食群および用量群に無作為化し、研究の開始前に、標準的なラットチャウまたは西洋食のいずれかで14日間の導入期間を与えた。標準的な実験室げっ歯類チャウ食5053は、LabDiet(PMI、St Louis、Missouri)製であった。西洋食D12079Biは、Research Diets(New Brunswick、NJ)製であった。
【0440】
これらの研究のために、ビヒクルを調製して、脱イオン水中0.5%(wt/体積)のメチルセルロース(MC、Sigma Aldrich;274429)を作製した。化合物A(トリス塩から調製したもの)または化合物Dのいずれかを加えたストック溶液を、それぞれの化合物で調製して、10mlの溶液が所望のmg/kg投薬量を送達するような濃度を提供し、ここで、使用したラットの平均重量は約200gであった。
【0441】
研究の1日目に開始して、ラットに、ビヒクル対照(脱イオン(dionized)水中0.5%MC(wt/体積%))、低もしくは高用量の化合物A(それぞれ1mg/kgまたは10mg/kg QD)、低もしくは高用量の化合物D(それぞれ5mg/kgまたは30mg/kg BID)、または低用量の共投与(1mg/kg QDの化合物Aおよび5mg/kg BIDの化合物D)、または高用量の共投与(10mg/kg QDの化合物Aおよび30mg/kg BIDの化合物D)のいずれかを、経口的に投薬した(10mL/kg)。
【0442】
給餌血漿分析物:給餌血漿TG濃度を決定するための血液を、投薬2時間後に(暗サイクルが始まって2時間)側面尾静脈を介して収集し、エチレンジアミン四酢酸二カリウム(KEDTA)(PN365974)でコーティングされたBDマイクロティナチューブに移し、4℃で遠心分離した。次いで、得られた血漿試料を、Siemensトリグリセリド_2アッセイ試薬(参照10335892)を使用してSiemens化学XPT臨床分析装置(Malven、PA)で分析した。
【0443】
絶食血漿分析物:絶食血漿TGを決定するための血液を、4時間の絶食後、投薬2時間後に(暗サイクルが始まって2時間)側面尾静脈を介して収集し、KEDTA(PN365974)でコーティングされたBDマイクロティナチューブに移し、4℃で遠心分離した。次いで、得られた血漿試料を、Siemensトリグリセリド2アッセイ試薬(参照10335892)を使用してSiemens化学XPT臨床分析装置(Malven、PA)で分析した。
【0444】
研究の最後の日(28日目)、4時間絶食後、投薬2時間後に、組織収集のためにラットを屠殺した:投薬2時間後、血漿分析物を決定するための血液を、側面尾静脈を介して収集し、次いで、動物をCO窒息によって屠殺した。血液を、KEDTA(PN365974)でコーティングされたBDマイクロティナチューブに移し、4℃で遠心分離し、血漿を96ウェルマイクロタイタープレートに移し、-20℃で貯蔵した。肝臓を迅速に除去し、アルミホイルで個々に包んだ液体N中で予冷したウォーレンベルグクランプ内でフリーズクランプし、その後、-80℃で貯蔵した。
【0445】
組織細砕:冷凍された肝臓を、液体N中で冷却したアルミブロック上で迅速に細砕して、細砕全体を通して組織が冷凍されたままであることを確実にした。細砕された組織を、7mLのポリプロピレン円錐管に移し、分析まで-80℃で貯蔵した。
【0446】
肝臓トリグリセリドの抽出:およそ50から100mgの細砕された組織を、800μLの氷冷1:1 CHCl:MEOHを含有する2mLのライシングマトリックスDチューブ(MP Bio)に添加した。試料を、QiagenティシューライザーII(Qiagenカタログ番号85300)を30Hzで4分間にわたって使用して、4℃で直ちに抽出した。次いで、ホモジネートを13×100mmのガラス管に移し、氷の上に置いた。次いで、溶解管を800μLの1:1 CHCl:MeOHですすぎ、30秒間にわたってボルテックスし、13×100mmのガラス管に添加した。氷の上にある間に、2.4mlの100%CHClをすべてのガラスバイアルに添加して、CHCl:MeOHの比を4:2にした。次いで、試料を-20℃の冷凍庫に終夜入れた。翌日、1.75mLの1M KCl HOを添加して、比を4:2:1.75比のCHCl:MeOH:HOにした。次いで、試料を30秒間にわたってボルテックスし、1500rpm×15分にて4℃で遠心分離した。遠心分離後、有機相を新しい13×100mmの抽出管に移し、N下、37℃で乾燥させ、750μLのCHClに再懸濁した。アミノプロピル固相抽出(SPE)カートリッジ(Watersカタログ番号054560、6mL、500mg)を湿らせ、5mLのヘキサンで洗浄した。洗浄後、CHCl中200μLの試料抽出物をカートリッジに塗布し、カラムを乾燥させることなく真空によって除去した。次いで、中性脂質を、5mlの2:1 CHCl:イソプロパノール/50μMのブチル化ヒドロキシトルエンで溶離した。次いで、試料を、N下、37℃で乾燥させ、1.75mlの98:2 イソオクタン:イソプロパノールに再懸濁した。試料を0.2μMのシリンジフィルターに通して濾過した後、HPLCシアノプロピル(Cyanopropy)カラム(3.5μMの粒径-4.6×150mmカラムAgilentゾルバックスエクリプスXBD-CN)に注入した。実行方法は、溶媒A(1000:1:2、イソオクタン:イソプロパノール:酢酸)および溶媒B(50:50 イソプロパノール:メチルtert-ブチルエーテル)を使用する27分の実行時間での4μL注入であった。0~3分まで、溶媒組成を100%溶媒Aに保持した。3~8分まで、溶媒組成を100%溶媒Aから95%溶媒Aおよび5%溶媒Bに変化させた。8~18分まで、溶媒組成を50:50比に変化させた。18~19分まで、溶媒組成を100%溶媒Aに戻し、その組成を19~27分まで保持した。
【0447】
核および膜画分は、処置群ごとにプールされた細砕された肝臓試料の一部から、標準的な方法を使用する超遠心分離によって調製した。核抽出物および膜画分由来の試料を、ウエスタンブロッティングによってSREBP1について分析した。カルネキシンについてのウエスタンブロットを膜画分についてのマーカーとして、アクチンを全試料ローディングについてのマーカーとして、およびヒストン2Bを核画分についてのマーカーとして使用した。核SREBP1レベルは相対単位を使用して定量化し、ヒストン2Bに対して正規化して、核分別およびゲルローディング中の試料喪失を制御した。
【0448】
細砕された肝臓の別の一部を加工し、脂質生成遺伝子発現について分析した。ACC1、FASN、SCD1、PCSK9およびSREBP-1cに対するラットタックマンプローブはすべて、Actbをハウスキーピング遺伝子として使用して、qPCRで評価した。
【0449】
(S)-2-(5-((3-エトキシピリジン-2-イル)オキシ)ピリジン-3-イル)-N-(テトラヒドロフラン-3-イル)ピリミジン-5-カルボキサミド(化合物D)または薬学的に許容できるその塩の、4-(4-(1-イソプロピル-7-オキソ-1,4,6,7-テトラヒドロスピロ[インダゾール-5,4’-ピペリジン]-1’-カルボニル)-6-メトキシピリジン-2-イル)安息香酸(化合物A)または薬学的に許容できるその塩と組み合わせた投与は、化合物Aを単剤療法として投与した場合の血漿および肝臓TGレベルと比較して、有意に減少した血漿(図8、9)および肝臓TG(図16)レベルをもたらした。
【0450】
西洋食給餌は、チャウ給餌ラットと比べて、給餌状態血漿TGにおける2.2倍の増大をもたらした(図8)。低用量(1mg/kg QD)または高用量(10mg/kg QD)いずれかの化合物Aのみ(単剤療法)の経口投与は、ビヒクル投与された西洋食給餌ラットと比べて、給餌状態での血漿TGにおけるそれぞれ1.7倍および1.3倍の増大をもたらした。逆に、低用量(5mg/kg BID)または高用量(30mg/kg BID)いずれかの化合物Dのみ(単剤療法)の経口投与は、ビヒクル投与された西洋食給餌ラットと比べて、給餌状態における血漿TGをそれぞれ55%および63%低減させた。化合物Aおよび化合物Dの共投与は、給餌状態での血漿TGにおける化合物A媒介性増大の完全遮断をもたらした。両方低用量または両方高用量のいずれかの、化合物Aおよび化合物Dの経口共投与は、ビヒクル投与された西洋食給餌ラットと比べて、給餌状態血漿TGレベルを37%および64%低減させた。
【0451】
西洋食給餌は、チャウ給餌ラットと比べて、絶食血漿TGにおける1.6倍の増大をもたらした(図9)。単剤療法としての低および高用量の化合物Aの経口投与は、ビヒクル投与された西洋食給餌ラットと比べて、絶食血漿TGにおけるそれぞれ2.4倍および1.7倍の増大をもたらした。逆に、単剤療法としての低および高用量の化合物Dの経口投与は、ビヒクル投与された西洋食給餌ラットに比べて、絶食血漿TGをそれぞれ20%および35%低減させた。両方低用量のそれぞれまたは高用量のそれぞれの、化合物Aおよび化合物Dの経口共投与は、化合物Aのみを投与した場合に観察される絶食血漿TGにおける化合物A媒介性増大を、完全に軽減した。共投与された化合物Aおよび化合物Dの低用量群(109mg/dl)および高用量群(81mg/dl)両方についての絶食血漿TGレベルは、ビヒクル投与された西洋食給餌ラット(96mg/dl)と同様であった。
【0452】
ビヒクル、高用量化合物A単剤療法、高用量化合物D単剤療法、または共投与された高用量化合物Aおよび高用量化合物Dを投与した西洋食給餌ラット由来の試料において、核SREBP-1局在化を比較した(図10)。ビヒクル処置西洋食給餌ラットと比べて、化合物Aの投与は、SREBP-1活性化の増大を指し示すSREBP-1の核局在化の増大を生成した。逆に、化合物Dの投与は、SREBP-1核局在化およびSREBP-1活性化を低減させた。化合物Aおよび化合物Dの共投与は核SREBP-1局在化における化合物A媒介性増大を遮断し、化合物Aのみの単剤療法と比較して50%減少を生成した。
【0453】
チャウ給餌ビヒクル処置ラットと比べて、西洋食を給餌およびビヒクルで処置した動物は、脂質生成遺伝子:ACC1(図11)、FASN(図12)、SCD1(図13)およびSREBP1(図14)の発現の増大を示す傾向があったが、PCSK9(図15)はなく、これは西洋食給餌ラットよりも低かった。化合物Aの投与は、西洋食給餌およびビヒクル処置動物と比べて、ACC1、FASN(化合物A高用量のみ)、SCDの発現をさらに増大させる傾向があったが、PCSK9およびSREBP1はなかった。逆に、化合物Dの投与は、脂質生成遺伝子のすべての発現を減少させた。化合物Aおよび化合物Dの共投与は、ビヒクル処置西洋食給餌ラットにおいて観察されたものと同等のまたはそれよりも低い発現レベルをもたらした。
【0454】
チャウ給餌ラットと比べて、ビヒクル投与された西洋食給餌ラットは、肝臓トリグリセリド蓄積における約2.7倍の増大を示した(図16)。低用量および高用量の化合物Aの経口投与は、ビヒクル投与された西洋食給餌ラットと比べて、脂肪症におけるそれぞれ36%および53%の低減を生成した。同様に、低用量および高用量の化合物Dの経口投与は、ビヒクル投与された西洋食給餌ラットと比べて、脂肪症をそれぞれ25%および30%低減させた。低または高用量いずれかの化合物Aおよび化合物D両方の経口共投与は、ビヒクル投与された西洋食給餌ラットと比べて、脂肪症をそれぞれ50%および73%低減させた。低用量または高用量いずれかの化合物Aおよび化合物Dの組合せの経口投与は、同じ用量レベルの単剤療法としての化合物Aまたは化合物Dいずれかの投与で観察されるものよりも、脂肪症におけるより大きい低減を生成した。
【0455】
無作為化、ビヒクル対照、並行5アーム間比較研究を、コリン欠乏および高脂肪食(CDAHFD)(Research diets;A16092003)を給餌した雄ウィスターハンラット(Charles River(Boston、MA))において行って、化合物Aまたは化合物Dのいずれかを、単剤療法として単独でまたは組み合わせて投与した場合の、肝臓炎症および線維症のマーカーの改善における差異を同定した。標準的な実験室条件を使用して60匹のラット(約200g)を収容し、それらを二重収容し、12:12時間反転明暗スケジュール(8:00AMに消灯)下に保った。ラットに、研究開始の6週間前から始めて、コリン欠乏および高脂肪食(CDAHFD)を給餌した。ラットを、4つの投薬群(n=12/群)に無作為化し、ビヒクル、化合物A(5mg/kg)単剤療法、化合物D(30mg/kg)単剤療法、または共投与化合物A(5mg/kg)および化合物D(30mg/kg)の1日2回投与を、6週間の期間にわたって受けさせた。研究全体を通して正常なチャウを続け、1日2回ビヒクルを投与した動物(n=12)を、対照群として使用した。循環マーカーの評価のために、化合物投与開始前ならびに化合物投与3および6週間後に、血液試料を収集した。せん断波エラストグラフィ(エクスプローラーアルティメット撮像装置、Supersonic imagine)測定を、-3週目、0週目(第1回用量の前)、3週目および6週目に行って、炎症および線維症進行を経時的に評価した。CDAHFDでの12週間に対応する薬物投与の6週間後、組織学を評価した。結果は、各投薬群ごとの動物の平均として提供される。
【0456】
CDAHFDでの12週間後、動物をCO窒息によって屠殺した。肝臓の、右外側、内側および左外側葉を収穫した。切片を、左外側、内側右および右外側葉から採取し、ホルマリン中で固定し、動物ごとにパラフィンブロックに加工した。動物1匹当たり左外側葉の1切片を、最適切削温度(OCT)化合物中で凍結保存した。各動物からの肝臓の残りを冷凍し、液体N中で冷却したアルミブロック上で迅速に細砕して、細砕全体を通して組織が冷凍されたままであることを確実にした。細砕された組織を移し、分析まで-80℃で貯蔵した。各動物由来の細砕された肝臓試料の一部を加工し、線維形成の遺伝子発現マーカーについて分析した。αSMAおよびCOL1A1に対するラットタックマンプローブはすべて、Actbをハウスキーピング遺伝子として使用して、qPCRで評価した。
【0457】
下記のエンドポイントを、専門医師会認定の獣医病理学者による定性的組織学的評価および定量的組織形態計測(histomorphometry)によって評価した:αSMA免疫組織化学(IHC)による肝星細胞活性化および筋線維芽細胞への分化;ピクロシリウスレッド染色による線維症の相関としてのコラーゲン。画像は、Visiopharmソフトウェアを使用して分析した。閾値パラメーター付きのVisiopharmアプリケーションを一様に適用して、組織切片を同定し、各IHC(DAB(3,3’-ジアミノベンジジン)陽性)または組織化学的に染色されたスライド上の標的をパーセント面積として定量化した:目的の染色面積/全組織ROI-空白部分)×100%。ノンパラメトリック統計を使用して、この研究からのデータを分析した。群の値を、平均+/-平均の標準誤差として報告した。
【0458】
チャウ食を給餌しビヒクルを投与した対照動物と比べて、CDAHFDを受けビヒクルを投与した動物は、研究期間中にわたり、肝臓剛性における著しい増大(せん断波エラストグラフィ(SWE)を使用して評価、キロパスカル(kPa)で測定)を示し、進行性肝臓炎症および線維症を指し示した(図17)。化合物Aまたは化合物Dの単剤療法としての投与はそれぞれ、肝臓剛性を低減させ、肝臓炎症および/または線維症の低減を示唆した。化合物Aおよび化合物Dの共投与は、単剤療法としてのいずれの作用物質よりも、肝臓剛性において大きい低減を生成した(図17)。
【0459】
チャウ食を給餌しビヒクルを投与した対照動物と比べて、CDAHFDを受けビヒクルを投与した動物は、肝臓アルファ平滑筋アクチン(αSMA)染色における著しい増大を示し、筋線維芽細胞活性化および線維形成を指し示した(図18)。化合物Aまたは化合物Dの単剤療法としての投与はそれぞれ、αSMA染色をそれぞれ41%および23%低減させ、肝臓の筋線維芽細胞活性化および線維形成の低減を示唆した。化合物Aおよび化合物Dの共投与は、単剤療法としてのいずれの作用物質よりも、αSMA染色において大きい低減を生成し、染色を72%低減させた(図18)。
【0460】
チャウ食を給餌しビヒクルを投与した対照動物と比べて、CDAHFDを受けビヒクルを投与した動物は、ピクロシリウスレッド(PSR)染色における著しい増大を示し、コラーゲン沈着および線維症を指し示した(図19)。化合物Aまたは化合物Dの単剤療法としての投与はそれぞれ、PSR染色をそれぞれ26%および20%低減させ、コラーゲン沈着および線維症の低減を示唆した。化合物Aおよび化合物Dの共投与は、単剤療法としてのいずれの作用物質よりも、PSR染色において大きい低減を生成し、染色を56%低減させた(図19)。
【0461】
チャウ食を給餌しビヒクルを投与した対照動物と比べて、CDAHFDを受けビヒクルを投与した動物は、イオン化カルシウム結合アダプター分子1(Iba1)染色における著しい増大を示し、肝マクロファージ活性化を指し示した(図22)。化合物Aの単剤療法としての投与は、Iba1染色を15%低減させ、肝臓の炎症トーンの低減を示唆した。一方、Dの単剤療法としての投与は、Iba1染色を変化させず、AおよびDの共投与は、単剤療法として投与された化合物Aよりも、Iba1染色において大きい低減を生成し、染色を33%減少させた(図22)。
【0462】
チャウ食を給餌しビヒクルを投与した対照動物と比べて、CDAHFDを受けビヒクルを投与した動物は、肝臓アルファ平滑筋アクチン(αSMA)(図20)およびコラーゲンA1A(COL1A1)(図21)遺伝子発現における著しい増大を示し、筋線維芽細胞活性化および線維形成を指し示した。化合物Aまたは化合物Dの単剤療法としての投与はそれぞれ、肝臓のαSMAおよびCOL1A1遺伝子発現を低減させ、肝臓の筋線維芽細胞活性化および線維形成の低減を示唆した。化合物Aおよび化合物Dの共投与は、単剤療法としてのいずれの作用物質よりも、肝臓のαSMA(図20)およびCOL1A1(図21)遺伝子発現において大きい低減を生成した。
【0463】
化合物D(実施例27および実施例4の化合物についての効力データを、以下の表18に示す:
【0464】
【表24】
【0465】
第II相薬力学、安全性および忍容性研究
第2A相、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間比較研究を行って、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)を持つ成人において6週間にわたって共投与された実施例26の化合物(化合物A)および実施例27の化合物(化合物D)の、薬力学、安全性および忍容性を評価した。化合物の共投与は、12時間ごとに300mg用量(100mgずつ3個の錠剤)としての化合物Dの経口投与および12時間ごとに15mg用量(5mgずつ3個の錠剤)として投与される化合物Aの経口投与を含んだ。
【0466】
化合物Aによるアセチル-CoA(補酵素A)カルボキシラーゼ1および2の阻害ならびに化合物Dによるジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ2の阻害は、脂質代謝を異なった補完的な手法でモジュレートするであろうと仮定され、2つの化合物の共投与が、単独で投与されたいずれかの作用物質と比較して改善されたベネフィット・リスクプロファイルにつながり得ることを示唆していた。全肝臓脂肪(WLF)の一次PDエンドポイント、安全性(血小板)および忍容性に関する主要な二次エンドポイント、ならびに脂質(例えば、トリグリセリド、TG)および肝機能検査(LFT)を含む主要な三次/診査PDおよびバイオマーカーエンドポイントについての結果を、以下の表19にまとめる:
【0467】
【表25】
【0468】
42日目における全肝臓脂肪(WLF)およびトリグリセリドについての主要な所見は、i)すべての処置アームが、WLFについての予め指定された決定基準(すなわち、処置アームがプラセボよりも良好であり;観察されたプラセボ調整低減が30%の目標値よりも大きいという95%以上の信頼)を満たしたこと;ii)化合物Aによる単剤療法が著しいトリグリセリド上昇を誘導し、化合物Dによる単剤療法がトリグリセリドにおける適度の減少につながったこと;ならびに、iii)化合物Aおよび化合物(Comound)Dの共投与が、プラセボと比較して最小限変化したトリグリセリド値につながり、化合物A単剤療法で見られるトリグリセリド上昇の強力な軽減をもたらしたことを示す。
【0469】
主要な安全性および忍容性所見は、i)すべての処置アームが概して安全であり、研究過程にわたって忍容性良好であったこと;およびii)いかなる処置アームにおいても血小板における臨床的に意味のある変化が観察されなかったことを示す。プラセボと比較して、化合物A単剤療法アームでは血小板における減少が観察された。これは、化合物Dでは明らかではなかった。驚くべきことに、血小板における減少が、化合物A/化合物D共投与アームにおいて向上した。
【0470】
まとめると、化合物A/化合物Dの共投与は、概して安全であり、忍容性良好であり、化合物D単独の投与よりも大きいWLF低減を提供し、化合物Aによる単剤療法に関連して誘導されるトリグリセリド上昇を実質的に軽減した。
【0471】
ベースライン特徴
以下の表20は、研究個体群の主要な人口統計学およびベースライン特徴についての情報を提供する。
【0472】
【表26】
【0473】
MRI-PDFFによる一次全肝臓脂肪
MRI-PDFFによるWLFにおけるベースラインから42日目までの対数変換された相対変化は、共分散分析法(ANCOVA)を使用して分析した。モデルは、MRI-PDFFによる対数変換されたベースラインWLFを共変量として含んでいた。モデルから導出された推定を対数スケールから逆変換し、パーセント変化に変換した。図23aは、処置アームによるWLFデータの箱ひげ図を示し、表21は、ANCOVAモデルからの結果を提供する。
【0474】
【表27】
【0475】
すべての処置アームは、数値的増大を示したプラセボと比較して、42日目におけるベースラインからのWLFにおける低減につながる。各処置アームは、プラセボに対するWLFについての予め指定された決定基準(すなわち、処置アームがプラセボよりも良好であり;観察されたプラセボ調整低減が30%の目標値よりも大きいという95%以上の信頼)を満たした。さらに、アーム間でのWLFにおける低減の規模の比較は、化合物Aおよび化合物D共投与が、化合物Dによる単剤療法よりも数値的に大きい低減および化合物Aによる単剤療法と同等の低減につながるという証拠を示した[-0.21%(50%CI-6.82、6.87)](表21を参照)。
【0476】
図23bおよび23cは、肝臓脂肪における30%以上または50%以上相対的低減の肝臓脂肪の低減閾値を満たす参加者の割合を実証する。
【0477】
血清トリグリセリド
血清トリグリセリドにおけるベースラインからの対数変換された相対変化は、反復測定の混合モデル(MMRM)を使用して分析した。モデルは、対数変換されたベースラインTGおよびベースライン全肝臓脂肪を共変量として含んでいた。モデルから導出された推定を対数スケールから逆変換し、パーセント変化に変換した。表22aは、血清トリグリセリドにおけるベースラインからのパーセント変化 - FASの統計的分析を提供する。図24は、血清トリグリセリドにおけるベースラインからのパーセント変化 - FASを表す最小二乗平均値および90%CIのプロットである。
【0478】
【表28】
【0479】
表22aは、各時点におけるMMRMモデルからの結果を示す。データは、ACCi誘導トリグリセリド上昇が化合物Aによる単剤療法投与で観察されたことを示す。しかしながら、研究仮説と一致して、化合物A/化合物Dの共投与は、トリグリセリド上昇の軽減につながった。42日目のトリグリセリドにおけるプラセボ調整増大は、化合物A処置アームにおいては47.30%(21.77%、78.19%)であったが、化合物A/化合物D組合せアームにおいてはわずか6.00%(-12.21%、27.99%)であった。これは、化合物A単剤療法アームと比べて、組合せアームのトリグリセリドレベルにおける28.03%(23.40%、32.39%)の統計学的に有意な低減に等しい。組合せアームにおける5日目および14日目のトリグリセリド上昇は、化合物A単剤療法アームにおいて見られたものよりも小さい規模であり、28日目および42日目の値はプラセボと同様であった(図24を参照)。
【0480】
加えて、表22bは、NAFLD患者におけるトリグリセリド異常のまとめを提供する。データは、トリグリセリド閾値を超える対象の総数(%)として提示される。データセットは、400mg/dl超、600mg/dl超および800mg/dl超の化合物A媒介性トリグリセリド異常の軽減を示す。具体的には、データは、化合物Aおよび化合物Dの共投与(co-administraton)による、化合物A媒介性トリグリセリド異常(600mg/dl超および800mg/dl超)の完全遮断を示す。
【0481】
【表29】
【0482】
他の脂質およびアポリポタンパク質
42日目における他の空腹時血清脂質パラメーターにおけるベースラインからのパーセント変化 - FASの統計的分析のまとめを、表23で提供する。
【0483】
【表30】
【0484】
3つの処置アーム(化合物A単剤療法、化合物D単剤療法および化合物A/化合物D共投与)の、主要な脂質パラメーター(総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール、非HDLコレステロール)に対する影響を、42日目について上記表13に示し、各アームをプラセボと、および化合物A/化合物D共投与アームを各単剤療法アームと比較する。総コレステロールについて、すべての処置アームは、プラセボよりも低い傾向があり、化合物A/化合物D共投与アームにおいて統計学的に有意な減少が見られた[-9.58%(-16.26、-2.38)]。各単剤療法アームを各組合せアームと比較した場合、統計学的に有意な差異は観察されなかった。HDLコレステロールは、すべての処置アームにおいて、プラセボと比較して同様の規模で減少した。化合物A/化合物Dの共投与は、HDLコレステロールを有意に各単剤療法よりも低く減少させなかった。LDLコレステロールは、化合物A単剤療法アームにおいて統計学的に有意に減少し、化合物D単剤療法および化合物A/化合物D共投与アームにおいて、統計学的に有意ではない、数値的に低下する傾向があった。非HDLコレステロールは、いずれの処置アームにおいてもプラセボと有意に異なっていなかった。
【0485】
3つの処置アーム(化合物A、化合物Dおよび化合物A/化合物D共投与)の、ApoA1、ApoBおよびApoC3に対する影響を測定した。42日目のアポリポタンパク質C3(ApoC3)におけるベースラインからのパーセント変化 - FASの統計的分析の結果を、表24に示し、各アームをプラセボと、および化合物A/化合物D共投与アームを各単剤療法アームと比較する。42日目におけるプラセボからのLS平均(および90%CI)パーセント変化が記される。
【0486】
【表31】
【0487】
ApoC3は、化合物A単剤療法アームにおいて統計学的に有意な方式で増大した[42.71%(22.86、65.77)]。驚くべきことに、ApoC3は、化合物D単剤療法アームでは増大せず[-8.19%(-20.75、6.36)]、ここではプラセボと同様のままであった。また驚くべきこと(Surpsingly)に、化合物A/化合物D共投与アームにおいては、ApoC3レベルもプラセボと同様であり[7.52%(-6.96、24.26)]、故に、ApoC3における化合物A誘導上昇は、化合物Dとの共投与によって軽減された。
【0488】
他の目的のエンドポイント - 肝機能検査
他の目的のエンドポイントのまとめを、表25で提供する。42日目におけるプラセボからのLS平均(および90%CI)パーセント変化が記される。表25は、42日目の肝機能検査におけるベースラインからのパーセント変化 - FASの統計的分析を提供する。図25a~25dは、肝機能検査におけるベースラインからのパーセント変化 - FASについての最小二乗平均値および90%CIのプロットを提供する。図25aは、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)についてのプロットを提供し、図25bは、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)についてのプロットを提供し、図25cは、アルカリホスファターゼ(phosphotate)についてのプロットを提供し、図25dは、ガンマグルタミルトランスフェラーゼ(GGT)についてのプロットを提供する。
【0489】
【表32】
【0490】
すべての処置アームで、最初の4週間にわたって、プラセボと比較してALTおよびASTにおける一過性増大が観察された。42日目までに、いずれもベースライン値未満になった。アルカリホスファターゼについては、プラセボアームにおいて適度の増大が認められ、化合物A単剤療法アームにおいて明確で統計学的に有意な上昇があった。驚くべきことに、アルカリホスファターゼにおける明確で統計学的に有意な減少が、化合物D処置アームにおいて認められた。化合物A/化合物D共投与アームでは、アルカリホスファターゼ値はベースライン値前後で推移し、研究全体を通して統計学的に有意な変化はなかった。GGTは、プラセボにおいても化合物D単剤療法(monotherpay)アームにおいてもベースラインからの有意な変化を示さず、一方、驚くべきことに、化合物A単剤療法アームおよび化合物A/化合物D共投与アームにおいては増大が観察された。共投与アームにおいて観察されたGGTの増大は、42日目のみ化合物A単剤療法アームよりも有意に低かった。
【0491】
安全性および忍容性
表26は、安全性解析対象集団における対象について、有害事象(すべての因果関係)の数を示す。具体的には、表26は、処置中に発生した有害事象(AE)(すべての因果関係) - 安全性解析対象集団を示す。
【0492】
【表33】
【0493】
AEの発生率は、化合物A/化合物D共投与アームと両方の単剤療法処置アームとの間で同様であった。「下顎膿瘍(Abcess)」の1つのSAEは、化合物A/化合物D共投与アームにおいて報告された(処置に関連するとはみなされなかった)。2人の対象がAEにより治験薬を中断した。化合物A単剤療法アームにおける1人の対象が、TG上昇の重度のAEにより中断し(処置に関連するとみなされた)、該対象は無症候性のままであった。化合物D単剤療法アームにおける別の対象は、クレアチンキナーゼおよびAST上昇の軽度のAEにより治験薬を中断した(処置に関連するとはみなされなかった)。上記したTG、CKおよびAST上昇を除いて、主要な検査所見の異常は認められなかった。全体として、すべての処置は安全であり、忍容性良好であった。
【0494】
他の目的の安全性エンドポイント
表27は、42日目の血小板におけるベースラインからのパーセント変化 - FASの統計的分析を提供する。
【0495】
【表34】
【0496】
プラセボと比較して、血小板における経時的な減少の数値的な傾向が、化合物A単剤療法処置アームにおいて観察された。化合物D単剤療法アームでは、血小板における減少は認められなかった。驚くべきことに、化合物A/化合物D共投与アームでも、プラセボと比べて、血小板における減少は観察されないことが発見された。
【0497】
本出願全体を通して、種々の刊行物が参照される。これらの刊行物の開示は、あらゆる目的のための参照によりその全体が本出願に組み込まれる。
【0498】
本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく、本発明において種々の修正および変形が為され得ることが、当業者には明らかであろう。本発明の他の実施形態は、本明細書の考察および本明細書において開示される発明の実践から、当業者に明らかであろう。本明細書および例は、例示的なものにすぎないとみなされ、本発明の真の範囲および趣旨は、下記の特許請求の範囲によって指し示されることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25-1】
図25-2】
図25-3】
図25-4】
図26
図27
図28
図29
図30
図31
【手続補正書】
【提出日】2022-03-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
図1】Cu放射線源が装備されたBruker AXS D4エンデバー回折計で行われた実施例26(化合物A)の形態1の例証的なPXRDパターンを示す図である。
図2】FT-IRベンチに取り付けられたNicolet NXR FT-ラマンアクセサリーを使用して収集した実施例26(化合物A)の形態1の例証的なラマンスペクトルを示す図である。
図3】BrukerバイオスピンアバンセIII 500MHz(H周波数)NMR分光計内に位置付けられたBrukerバイオスピンCPMASプローブで行われた実施例26(化合物A)の形態1の例証的な13C ssNMRパターンを示す図である。
図4】Cu放射線源が装備されたBruker AXS D4エンデバー回折計で行われた実施例26(化合物A)の形態2の例証的なPXRDパターンを示す図である。
図5】FT-IRベンチに取り付けられたNicolet NXRFT-ラマンアクセサリーを使用して収集した実施例26(化合物A)の形態2の例証的なラマンスペクトルを示す図である。
図6】BrukerバイオスピンアバンセIII 500MHz(H周波数)NMR分光計内に位置付けられたBrukerバイオスピンCPMASプローブを使用して行われた実施例26(化合物A)の形態2の例証的な13C ssNMRパターンを示す図である。
図7】実施例26(化合物A)の形態2の例証的な単結晶構造を示す図である。
図8】給餌状態で測定された、西洋食給餌スプラーグドーリーラットにおける血漿トリグリセリドレベルに対する、化合物Aおよび化合物Dの単剤療法としてのおよび組み合わせた経口投与の効果をまとめた図である。
図9】絶食状態で測定された、西洋食給餌スプラーグドーリーラットにおける血漿トリグリセリドレベルに対する、化合物Aおよび化合物Dの単剤療法としてのおよび組み合わせた経口投与の効果をまとめた図である。
図10】西洋食給餌ラットにおけるSREBP-1核局在化に対する、単剤療法としてのおよび組み合わせた化合物Aおよび化合物Dの投与の効果をまとめた図である。
図11】西洋食給餌ラットにおける肝臓の脂質生成遺伝子発現、具体的にはアセチル-CoAカルボキシラーゼ(ACC1)に対する、単剤療法としてのおよび組み合わせた化合物Aおよび化合物Dの投与の効果をまとめた図である。
図12】西洋食給餌ラットにおける肝臓の脂質生成遺伝子発現、具体的には脂肪酸シンターゼ(FASN)に対する、単剤療法としてのおよび組み合わせた化合物Aおよび化合物Dの投与の効果をまとめた図である。
図13】西洋食給餌ラットにおける肝臓の脂質生成遺伝子発現、具体的にはステロール-CoAデサチュラーゼ(SCD1)に対する、単剤療法としてのおよび組み合わせた化合物Aおよび化合物Dの投与の効果をまとめた図である。
図14】西洋食給餌ラットにおける肝臓の脂質生成遺伝子発現、具体的にはステロール応答エレメント結合タンパク質1c(SREBP-1c)に対する、単剤療法としてのおよび組み合わせた化合物Aおよび化合物Dの投与の効果をまとめた図である。
図15】西洋食給餌ラットにおける肝臓の脂質生成遺伝子発現、具体的にはプロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に対する、単剤療法としてのおよび組み合わせた化合物Aおよび化合物Dの投与の効果をまとめた図である。
図16】西洋食給餌スプラーグドーリーラットにおける肝臓トリグリセリドレベルに対する化合物Aおよび化合物Dの単剤療法としてのおよび組み合わせた経口投与の効果をまとめた図である。
図17】コリン欠乏および高脂肪食(CDAHFD)給餌雄ウィスターハンラットにおける肝臓炎症および線維症のマーカーである肝臓の弾性に対する、化合物Aおよび化合物Dの単剤療法としてのおよび組み合わせた経口投与の効果をまとめた図である。
図18】CDAHFD給餌雄ウィスターハンラットにおける筋線維芽細胞活性化および線維形成のマーカーである肝臓のアルファ平滑筋アクチン(αSMA)免疫組織化学に対する、化合物Aおよび化合物Dの単剤療法としてのおよび組み合わせた、経口投与の効果をまとめた図である。
図19】CDAHFD給餌雄ウィスターハンラットにおける肝臓のピクロシリウス(Picosirius)レッド染色に対する、化合物Aおよび化合物Dの単剤療法としてのおよび組み合わせた経口投与の効果をまとめた図である。
図20】CDAHFD給餌雄ウィスターハンラットにおける肝臓のアルファ平滑筋アクチン(αSMA)遺伝子発現に対する、化合物Aおよび化合物Dの単剤療法としてのおよび組み合わせた経口投与の効果をまとめた図である。
図21】CDAHFD給餌雄ウィスターハンラットにおける肝臓のコラーゲン1A1遺伝子発現に対する、化合物Aおよび化合物Dの単剤療法としてのおよび組み合わせた経口投与の効果をまとめた図である。
図22】CDAHFD給餌雄ウィスターハンラットにおけるイオン化カルシウム結合アダプター分子1染色に対する、化合物Aおよび化合物Dの単剤療法としてのおよび組み合わせた経口投与の効果をまとめた図である。
図23a】本明細書において記述される第2A相研究のための処置アーム(arm)によるWLFデータの箱ひげ図を示す図である。
図23b】30%以上の肝臓脂肪の低減がある対象の%を示す図である。
図23c】50%以上の肝臓脂肪の低減がある対象の%を示す図である。
図24】本明細書において記述される第2A相研究のための血清トリグリセリドにおけるベースラインからのパーセント変化を表す最小二乗平均値および90%CIのプロットを示す図である。
図25-1】本明細書において記述される第2A相研究のためのアラニン(alaninine)アミノトランスフェラーゼ(ALT)におけるベースラインからのパーセント変化を表す最小二乗平均値および90%CIのプロットを示す図である。
図25-2】本明細書において記述される第2A相研究のためのアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)におけるベースラインからのパーセント変化を表す最小二乗平均値および90%CIのプロットを示す図である。
図25-3】本明細書において記述される第2A相研究のためのアルカリフォスファターゼ(phosphotase)におけるベースラインからのパーセント変化を表す最小二乗平均値および90%CIのプロットを示す図である。
図25-4】本明細書において記述される第2A相研究のためのガンマグルタミルトランスフェラーゼ(GGT)におけるベースラインからのパーセント変化を表す最小二乗平均値および90%CIのプロットを示す図である。
図26】実施例4、形態1を示す特徴的なx線粉末回折パターンの図である(縦軸:強度(CPS);横軸:2シータ(度))。
図27】実施例4、塩酸塩形態1を示す特徴的なx線粉末回折パターンの図である(縦軸:強度(CPS);横軸:2シータ(度))。
図28】実施例4、p-トルエンスルホン酸塩、無水物、形態1を示す特徴的なx線粉末回折パターンの図である(縦軸:強度(CPS);横軸:2シータ(度))。
図29】西洋食給餌スプラーグドーリーラットにおける血漿トリグリセリドに対する実施例4の複数回用量効果をプロットした図である(縦軸:血漿トリグリセリド(mg/dL)、横軸:西洋食BID投薬(mg/kg))。
図30】西洋食給餌スプラーグドーリーラットにおける肝臓トリグリセリドに対する実施例4の複数回用量効果をプロットした図である(縦軸:肝臓トリグリセリド(μg/mg)、横軸:西洋食BID投薬(mg/kg))。
図31】調製P1、形態1を示す特徴的なx線粉末回折パターンの図である(縦軸:強度(CPS);横軸:2シータ(度))。
【外国語明細書】