IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テイ・エス テック株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-乗り物用シート 図1
  • 特開-乗り物用シート 図2
  • 特開-乗り物用シート 図3
  • 特開-乗り物用シート 図4
  • 特開-乗り物用シート 図5
  • 特開-乗り物用シート 図6
  • 特開-乗り物用シート 図7A
  • 特開-乗り物用シート 図7B
  • 特開-乗り物用シート 図7C
  • 特開-乗り物用シート 図7D
  • 特開-乗り物用シート 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022058110
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】乗り物用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20220404BHJP
   B60N 2/54 20060101ALI20220404BHJP
   A47C 7/62 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
B60N2/90
B60N2/54
A47C7/62 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021049235
(22)【出願日】2021-03-23
(31)【優先権主張番号】63/085,249
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100195453
【弁理士】
【氏名又は名称】福士 智恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100205501
【弁理士】
【氏名又は名称】角渕 由英
(72)【発明者】
【氏名】郭 裕之
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
【Fターム(参考)】
3B084JC01
3B087DD12
3B087DE03
3B087DE08
3B087DE09
(57)【要約】
【課題】着座者と生体センサの密着性を確保することが可能な乗り物用シートを提供する。
【解決手段】乗り物用シートSは、クッション材1a(2a)と、クッション材1a(2a)を被覆する表皮材1b(2b)と、クッション材1aと表皮材1bの間に取り付けられ、着座者の生体信号を検出する生体センサ30(40)とを備えている。表皮材1bは、乗り物用シートの着座面において表皮材1bの表面に形成される装飾ステッチ部60を有している。生体センサ30は、着座面において装飾ステッチ部60を避けた位置に配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クッション材と、前記クッション材を被覆する表皮材と、前記クッション材と前記表皮材の間に取り付けられ、着座者の生体信号を検出する生体センサと、を備えた乗り物用シートであって、
前記表皮材は、前記乗り物用シートの着座面において前記表皮材の表面に形成される装飾部を有し、
前記生体センサは、前記着座者の生体信号を検出するセンサ検出部を有し、
前記センサ検出部は、前記着座面において前記装飾部を避けた位置に配置されていることを特徴とする乗り物用シート。
【請求項2】
前記装飾部は、前記表皮材に部分的に縫合することで形成される装飾ステッチ部であって、
前記装飾ステッチ部は、前記着座面において所定方向に長尺に延びていることを特徴とする請求項1に記載の乗り物用シート。
【請求項3】
前記装飾ステッチ部は、前記着座面において複数形成され、それぞれ所定方向に長尺に延びており、
前記センサ検出部は、複数の前記装飾ステッチ部の間に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の乗り物用シート。
【請求項4】
前記クッション材の表面には、前記表皮材の端末を吊りこむための表皮吊り込み溝が形成され、
複数の前記センサ検出部と、複数の前記装飾ステッチ部とが、前記表皮吊り込み溝を避けた位置に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の乗り物用シート。
【請求項5】
前記表皮吊り込み溝は、シート幅方向の左右側方に配置され、それぞれシート幅方向とは交差する方向に長尺に延びており、
複数の前記装飾ステッチ部は、シート幅方向において左右の前記表皮吊り込み溝の間に配置され、それぞれシート幅方向に沿って長尺に延びており、
複数の前記センサ検出部は、シート幅方向において左右の前記表皮吊り込み溝の間に配置され、かつ、シート幅方向とは交差する方向において複数の前記装飾ステッチ部の間に配置されていることを特徴とする請求項4に記載の乗り物用シート。
【請求項6】
前記生体センサによって検出された前記生体信号を処理する制御装置を備え、
前記生体センサは、前記センサ検出部と前記制御装置を電気的に接続するための伝送路と、を備え、
前記伝送路は、
前記クッション材の表面において複数の前記センサ検出部と接続され、
前記装飾ステッチ部を跨るように延びていることを特徴とする請求項4又は5に記載の乗り物用シート。
【請求項7】
前記センサ検出部は、前記クッション材の表面側に取り付けられ、
前記制御装置は、前記クッション材の裏面側に取り付けられており、
前記クッション材は、前記着座面において前記センサ検出部とは異なる位置に設けられ、前記クッション材の厚み方向に貫通し、前記伝送路を挿通させるためのセンサ挿通穴を有し、
前記伝送路は、前記センサ挿通穴を通過しながら、前記センサ検出部と前記制御装置を接続していることを特徴とする請求項6に記載の乗り物用シート。
【請求項8】
前記センサ挿通穴は、前記着座面においてシート幅方向又はシート幅方向とは交差する方向において複数の前記センサ検出部の間に配置され、かつ、前記着座面において前記装飾ステッチ部と重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項7に記載の乗り物用シート。
【請求項9】
骨格となるクッションフレームに前記クッション材を載置して前記表皮材を被覆して構成されるシートクッションを備え、
前記クッションフレームは、シート幅方向の左右側方に配置されるクッションサイドフレームと、左右の前記クッションサイドフレームの前方部分に架設される架設フレームと、左右の前記クッションサイドフレームの後方部分を連結する連結フレームと、前記架設フレーム及び前記連結フレームに掛け止めされ、シート前後方向に延びている複数の弾性バネと、を有し、
前記センサ挿通穴は、シート幅方向において複数の前記弾性バネの間に配置され、
前記センサ検出部は、前記弾性バネと上下方向で重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の乗り物用シート。
【請求項10】
骨格となるバックフレームに前記クッション材を載置して前記表皮材を被覆して構成されるシートバックを備え、
前記バックフレームは、シート幅方向の左右側方に配置されるバックサイドフレームと、左右の前記バックサイドフレームにそれぞれ掛け止めされ、シート幅方向に延びている複数のワイヤ部材と、複数の前記ワイヤ部材によって保持され、前記着座者を支持する支持プレートと、を有し、
前記センサ検出部は、前記ワイヤ部材及び前記支持プレートとシート前後方向で重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載の乗り物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗り物用シートに係り、特に、クッション材と表皮材の間に生体センサを備えた乗り物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両運転時において運転者の生体情報を計測する機能を備えた車両用シートが知られており、例えば、運転者の生体信号を検出する生体センサを用いて運転者の心拍を計測し、心拍の変化に異常が生じた場合に運転者に素早く報知することが可能な機能を備えたシートが知られている(具体的には、特許文献1参照)。
また、運転者の着座姿勢を検出する生体センサを用いて運転者の身体状態を推定し、推定結果に応じてシートのシート運動を制御し、運転者を疲労した状態から回復させる機能を備えたシートが知られている(具体的には、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-123359号公報
【特許文献2】特開2017-65504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1、2のような乗り物用シートの中には、乗り物用シートの商品性(意匠性)を高めるべく、乗り物用シートの表面に(厳密には表皮材の表面に)装飾ステッチ部が形成されていることがある。
このとき、シートクッションの厚み方向において生体センサ(センサ検出部)と装飾ステッチ部が重なってしまうと、運転者と生体センサの密着性が損なわれ、生体センサのセンシング性能に影響する虞があった。
一方で、装飾ステッチ部の配置パターンの自由度を損ねてしまうと、乗り物用シートの意匠性に影響する虞もあった。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、着座者と生体センサの密着性を確保することが可能な乗り物用シートを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、装飾部(装飾ステッチ部)が表面に形成された乗り物用シートにおいて、生体センサのセンシング性能を確保し、かつ、意匠性を高めることが可能な乗り物用シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、本発明の乗り物用シートによれば、クッション材と、前記クッション材を被覆する表皮材と、前記クッション材と前記表皮材の間に取り付けられ、着座者の生体信号を検出する生体センサと、を備えた乗り物用シートであって、前記表皮材は、前記乗り物用シートの着座面において前記表皮材の表面に形成される装飾部を有し、前記生体センサは、前記着座者の生体信号を検出するセンサ検出部を有し、前記センサ検出部は、前記着座面において前記装飾部を避けた位置に配置されていること、により解決される。
上記構成により、着座者と生体センサ(センサ検出部)の密着性を確保することが可能な乗り物用シートを実現することができる。具体的には、装飾部が表面に形成された乗り物用シートにおいて、生体センサのセンシング性能を確保することができる。
【0007】
このとき、前記装飾部は、前記表皮材に部分的に縫合することで形成される装飾ステッチ部であって、前記装飾ステッチ部は、前記着座面において所定方向に長尺に延びていると良い。
また、前記装飾ステッチ部は、前記着座面において複数形成され、それぞれ所定方向に長尺に延びており、前記センサ検出部は、複数の前記装飾ステッチ部の間に配置されていると良い。
上記構成により、装飾ステッチ部の配置パターンの自由度を確保することができる。そのため、装飾ステッチ部が表面に形成された乗り物用シートにおいて、生体センサのセンシング性能を確保し、かつ、意匠性を高めることが可能となる。
【0008】
このとき、前記クッション材の表面には、前記表皮材の端末を吊りこむための表皮吊り込み溝が形成され、複数の前記センサ検出部と、複数の前記装飾ステッチ部とが、前記表皮吊り込み溝を避けた位置に配置されていると良い。
上記構成により、表皮吊り込み溝との関係によって生体センサのセンシング性能に影響が生じることを避けることができる。
また、表皮吊り込み溝との関係によって装飾ステッチ部の模様に影響することを避けることができる。
【0009】
このとき、前記表皮吊り込み溝は、シート幅方向の左右側方に配置され、それぞれシート幅方向とは交差する方向に長尺に延びており、複数の前記装飾ステッチ部は、シート幅方向において左右の前記表皮吊り込み溝の間に配置され、それぞれシート幅方向に沿って長尺に延びており、複数の前記センサ検出部は、シート幅方向において左右の前記表皮吊り込み溝の間に配置され、かつ、シート幅方向とは交差する方向において複数の前記装飾ステッチ部の間に配置されていると良い。
上記構成により、表皮吊り込み溝との干渉を避けながら、生体センサのセンシング性能を確保し、かつ、装飾ステッチ部の配置パターンの自由度を確保することができる。
【0010】
このとき、前記生体センサによって検出された前記生体信号を処理する制御装置を備え、前記生体センサは、前記センサ検出部と前記制御装置を電気的に接続するための伝送路と、を備え、前記伝送路は、前記クッション材の表面において複数の前記センサ検出部と接続され、前記装飾ステッチ部を跨るように延びていると良い。
上記のように、伝送路は、センサ検出部とは異なって装飾ステッチ部を跨るように延びていても良く、センシング性能に影響することがない。そのため、上記構成により、伝送路の配置自由度と、装飾ステッチ部の配置自由度とを確保することができる。
【0011】
このとき、前記センサ検出部は、前記クッション材の表面側に取り付けられ、前記制御装置は、前記クッション材の裏面側に取り付けられており、前記クッション材は、前記着座面において前記センサ検出部とは異なる位置に設けられ、前記クッション材の厚み方向に貫通し、前記伝送路を挿通させるためのセンサ挿通穴を有し、前記伝送路は、前記センサ挿通穴を通過しながら、前記センサ検出部と前記制御装置を接続していると良い。
上記構成により、センサ検出部と制御装置を接続するための伝送路をシンプルな形で配置することができる。
【0012】
このとき、前記センサ挿通穴は、前記着座面においてシート幅方向又はシート幅方向とは交差する方向において複数の前記センサ検出部の間に配置され、かつ、前記着座面において前記装飾ステッチ部と重なる位置に配置されていると良い。
上記のように、センサ挿通穴は、センサ検出部とは異なって装飾ステッチ部と重なるように配置されていても良く、センシング性能に影響することがない。そのため、上記構成により、センサ挿通穴の配置自由度と、装飾ステッチ部の配置自由度とを確保することができる。
【0013】
このとき、骨格となるクッションフレームに前記クッション材を載置して前記表皮材を被覆して構成されるシートクッションを備え、前記クッションフレームは、シート幅方向の左右側方に配置されるクッションサイドフレームと、左右の前記クッションサイドフレームの前方部分に架設される架設フレームと、左右の前記クッションサイドフレームの後方部分を連結する連結フレームと、前記架設フレーム及び前記連結フレームに掛け止めされ、シート前後方向に延びている複数の弾性バネと、を有し、前記センサ挿通穴は、シート幅方向において複数の前記弾性バネの間に配置され、前記センサ検出部は、前記弾性バネと上下方向で重なる位置に配置されていると良い。
また、骨格となるバックフレームに前記クッション材を載置して前記表皮材を被覆して構成されるシートバックを備え、前記バックフレームは、シート幅方向の左右側方に配置されるバックサイドフレームと、左右の前記バックサイドフレームにそれぞれ掛け止めされ、シート幅方向に延びている複数のワイヤ部材と、複数の前記ワイヤ部材によって保持され、前記着座者を支持する支持プレートと、を有し、前記センサ検出部は、前記ワイヤ部材及び前記支持プレートとシート前後方向で重なる位置に配置されていると良い。
上記構成により、伝送路が弾性バネに干渉してしまうことを避けることができ、伝送路の変形や位置ずれを抑制することができる。また、生体センサのセンシング性能を好適に確保することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、着座者と生体センサの密着性を確保可能な乗り物用シートを実現することができる。具体的には、装飾部が表面に形成された乗り物用シートにおいて、生体センサのセンシング性能を確保できる。
また本発明によれば、装飾ステッチ部の配置パターンの自由度を確保することができる。そのため、装飾ステッチ部が施された乗り物用シートにおいて、生体センサのセンシング性能を確保し、かつ、意匠性を高めることが可能となる。
また本発明によれば、表皮吊り込み溝との干渉を避けながら、生体センサのセンシング性能を確保し、かつ、装飾ステッチ部の配置自由度を確保することができる。
また本発明によれば、伝送路の配置自由度と、装飾ステッチ部の配置自由度とを確保することができる。また、伝送路をシンプルな形で配置することができる。
また本発明によれば、センサ挿通穴の配置自由度と、装飾ステッチ部の配置自由度とを確保することができる。
また本発明によれば、伝送路が弾性バネに干渉することを避けて、伝送路の変形や位置ずれを抑制できる。また、生体センサのセンシング性能を好適に確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態の乗り物用シートを示す外観斜視図である。
図2】骨格となるシートフレームを示す斜視図である。
図3】シートクッションを示す上面図であって、センサ、伝送路及び装飾ステッチ部の配置パターンを説明する図である。
図4】シートバックを示す正面図であって、センサ、伝送路及び装飾ステッチ部の配置パターンを説明する図である。
図5】シートフレーム、クッション材、生体センサ及び伝送路の組み付け状態を説明する斜視図である。
図6】生体センサ、制御装置及び電源のブロック図である。
図7A】シートクッションを示す上面図であって、生体センサ、装飾ステッチ部の配置パターンの変形例1を示す図である。
図7B】生体センサ、装飾ステッチ部の配置パターンの変形例2を示す図である。
図7C】生体センサ、装飾ステッチ部の配置パターンの変形例3を示す図である。
図7D】生体センサ、装飾ステッチ部の配置パターンの変形例4を示す図である。
図8】シートバックを示す正面図であって、生体センサ、装飾ステッチ部の配置パターンの変形例5を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る実施形態について図1図8を参照して説明する。
本実施形態は、クッション材と表皮材の間に取り付けられ、着座者の生体信号を検出する生体センサを備えた乗り物用シートであって、表皮材は、乗り物用シートの着座面において表皮材の表面に形成される装飾部(装飾ステッチ部)を有しており、生体センサは、着座者の生体信号を検出するセンサ検出部を有しており、センサ検出部は、着座面において装飾部を避けた位置に配置されていることを主な特徴とする乗り物用シートの発明に関するものである。
なお、乗り物用シートのシートバックに対して着座者が着座する側がシート前方側となる。
【0017】
本実施形態の乗り物用シートSは、図1に示すように、車両用シートであって、シートクッション1と、シートバック2と、ヘッドレスト3とを備えるシート本体と、シート本体の内部に取り付けられ、シート本体に着座している着座者の生体電位に応じた電気信号(生体信号)を検出するシート状の生体センサ30、40と、生体センサ30、40によって検出された生体信号を受信し、受信した生体信号を外部(例えば、着座者が所有する携帯端末M)へ送信する制御装置50と、から主に構成されている。
また、シートクッション1、シートバック2の表面には、それぞれ装飾ステッチ部60が形成されている。
【0018】
シートクッション1は、図1図3に示すように、着座者を下方から支持する着座部であって、骨格となる図2に示すクッションフレーム10上にクッション材1aを載置して表皮材1bで被覆されて構成されている。
クッション材1aは、発泡ウレタン等からなるパッド部材であって、シート幅方向の中央部分にあるクッション中央部1Aと、クッション中央部のシート幅方向の外側にある左右のクッションサイド部1B(サイドボルスター部)と、から構成されている。
クッション材1aの表面上には、クッション中央部1Aと左右のクッションサイド部1Bを区分けするようにシート前後方向に延びている左右の表皮吊り込み溝1aaが形成されている。
またクッション材1aの表面上には、左右の表皮吊り込み溝1aaの間に設けられ、クッション材1aの厚み方向に貫通して形成され、生体センサ30の一部を通すためのセンサ挿通穴1abが形成されている。
なお、クッション材1aの表面上のうち、生体センサ30に対向する部分には、着座フィーリングを確保すべく、生体センサ30の外形に対応したクッション凹部が形成されていても良い。
【0019】
シートバック2は、図1図4に示すように、着座者の背中を後方から支持する背もたれ部であって、骨格となる図2に示すバックフレーム20にクッション材2aを載置して表皮材2bで被覆されて構成されている。
クッション材2aは、シート幅方向の中央部分にあるクッション中央部2Aと、シート幅方向の外側にある左右のクッションサイド部2Bと、から構成されている。
クッション材2aの表面上には、クッション中央部2Aと左右のクッションサイド部2Bを区分けするように上下方向に沿って延びている左右の表皮吊り込み溝2aaが形成されている。
【0020】
クッションフレーム10は、図2に示すように、略矩形状の枠状体からなり、左右側方に配置されるクッションサイドフレーム11と、各クッションサイドフレーム11の前端部分に架設される板状のパンフレーム12(架設フレーム)と、各クッションサイドフレーム11の後方部分を連結する後方連結フレーム13と、パンフレーム12及び後方連結フレーム13に掛け止めされ、シート前後方向に蛇状に延びている複数の弾性バネ14(弾性支持部材)と、から主に構成されている。
【0021】
クッションサイドフレーム11は、シート前後方向に長尺な板状フレームである。
なお、クッションサイドフレーム11の後方部分にはリクライニング装置4が取り付けられており、その下方部分にはハイトリンク装置5を介してレール装置6が取り付けられている。
【0022】
パンフレーム12は、着座者の大腿部を支持するフレームであって、矩形状のプレート体からなり、シート幅方向の両端部分が、クッションサイドフレーム11の上面に載置されて取り付けられている。
弾性バネ14は、着座者の臀部を支持する弾性支持部材であって、シート幅方向において所定の間隔を空けて複数設けられている。
弾性バネ14は、その前端部分がパンフレーム12上面に形成された不図示の掛け止め穴の縁に掛け止めされ、その後端部分が後方連結フレーム13に不図示のフック部材を介して掛け止めされて構成されている。
【0023】
バックフレーム20は、図2に示すように、略矩形状の枠状体からなり、左右側方に配置されるバックサイドフレーム21と、各バックサイドフレーム21の上端部分を連結する逆U字形状の上部フレーム22と、各バックサイドフレーム21の下端部分を連結するプレート形状の下部フレーム23と、各バックサイドフレーム21にそれぞれ掛け止めされ、シート幅方向に蛇状に延びている複数の弾性ワイヤ24(ワイヤ部材)と、複数の弾性ワイヤ24によって保持され、着座者を支持する支持プレート25と、から主に構成されている。
【0024】
バックサイドフレーム21は、上下方向に延出し、横断面略C字形状からなる板金部材であって、その下端部分がリクライニング装置4を介してクッションサイドフレーム11の後端部分に連結されている。
上記構成においてバックフレーム20は、クッションフレーム10に対して相対回動することが可能となっている。
【0025】
生体センサ30は、図1図3に示すように、着座者がシートに着座した際にシートクッション1の着座面に加わる着座圧を検出するシート状の圧力センサであって、クッション材1aと表皮材1bの間に取り付けられ、シート幅方向の中央部分に配置されている。具体的には、シート幅方向において左右の表皮吊り込み溝1aaの間に配置されている。
また、生体センサ40は、図4に示すように、シートバック2の着座面に加わる着座圧を検出する圧力センサであって、クッション材2aと表皮材2bの間に取り付けられ、シート幅方向の中央部分に配置されている。具体的には、シート幅方向において左右の表皮吊り込み溝2aaの間に配置されている。
ここで「着座圧」とは、着座者がシートクッション1上に着座した状態において当該着座者の生理的活動、具体的には呼吸に応じて周期に変化する値であり、圧力センサによって検出される対象値である。
【0026】
生体センサ30は、図3に示すように、複数からなり、シートクッション1の中央部分に配置される前方生体センサ30aと、シートクッション1の後方部分に配置される後方生体センサ30bと、を有している。
生体センサ30a、30bは、着座者のヒップポイントの位置又はヒップポイント近辺に相当する位置にそれぞれ配置されている。また、それぞれ独立して着座圧を検出し、当該着座圧の検出結果に基づく検出信号を出力する。
【0027】
生体センサ30a、30bは、図3図5に示すように、着座者による着座圧を検出するセンサ検出部31と、センサ検出部31が着座圧を検出した際に検出信号を出力するための伝送路(第1伝送路32、第2伝送路33)と、を有している。
センサ検出部31は、導電シート上に接着される感圧スイッチである。
第1伝送路32は、導電シート上に伝送路となる導電線が接着されたものである。
第2伝送路33は、導電シート上に導電線が接着されてなる第1部分33aと、導電線が束ねられてワイヤーハーネスとなる第2部分33bと、から構成されている。そして、第1伝送路32と、検出信号を受信する制御装置50とを連結するために、クッション材1aのセンサ挿通穴1abを通過して延びている。
【0028】
前方生体センサ30aは、第1センサ検出部31a、第2センサ検出部31b、第3センサ検出部31c及び第4センサ検出部31dを有している。
第1センサ検出部31aと第2センサ検出部31bは、シート前後方向において同じ位置(重なる位置)に配置され、かつ、シート幅方向において異なる位置に配置されている。
第3センサ検出部31cと第4センサ検出部31dは、第1センサ検出部31a(第2センサ検出部31b)よりも後方位置に配置され、シート前後方向において同じ位置(重なる位置)に配置され、かつ、シート幅方向において異なる位置に配置されている。
【0029】
また、前方生体センサ30aは、第1伝送路32として、第1センサ検出部31a及び第2センサ検出部31bを連結する第1部分32aと、第3センサ検出部31c及び第4センサ検出部31dを連結する第2部分32bと、第1部分32a及び第2部分32bを連結し、センサ挿通穴1abに向かって延びている第3部分32cと、を有している。
第1部分32a、第2部分32bは、シート幅方向に沿って延びている。第3部分32cは、シート前後方向に沿って延びている。
【0030】
後方生体センサ30bは、第5センサ検出部31e及び第6センサ検出部31fを有している。第5センサ検出部31eと第6センサ検出部31fは、シート前後方向において同じ位置(重なる位置)に配置され、かつ、シート幅方向において異なる位置に配置されている。
また、後方生体センサ30bは、第1伝送路32として、第5センサ検出部31e及び第6センサ検出部31fを連結する第4部分32dと、第4部分32dからセンサ挿通穴1abに向かって延びている第5部分32eと、を有している。
第4部分32dは、シート幅方向に沿って延びており、第5部分32eは、シート前後方向に沿って延びている。
【0031】
上記構成において、図5に示すように、第2伝送路33のうち第1部分33aは、第1伝送路32から連続して下方に屈曲してセンサ挿通穴1abを通過するように延びている。
そして第2伝送路34のうち第2部分33bは、第1部分33aから連続してシート前方に屈曲してパンフレーム12の底面に向かってさらに延出し、その延出先端部がコネクタを介して制御装置50と接続されている。
【0032】
生体センサ40は、図4に示すように、シートバック2の中央部分から下方部分にかけて配置されており、センサ検出部41と、伝送路(第1伝送路42、第2伝送路43)と、を有している。
第1伝送路42は、クッション材2aの表面上に配置されている。
第2伝送路43は、第1伝送路42から連続してシートクッション1に向かって延びている。そして、クッション材1a及びクッションフレーム10よりも下方位置を通過し、その延出先端部がコネクタを介して制御装置50と接続されている。
【0033】
生体センサ40は、第1センサ検出部41a、第2センサ検出部41b、第3センサ検出部41c、第4センサ検出部41d、第5センサ検出部41e及び第6センサ検出部41fを有している。
第1センサ検出部41aと第2センサ検出部41bは、上下方向において同じ位置(重なる位置)に配置され、かつ、シート幅方向において異なる位置に配置されている。
第3センサ検出部41cと第4センサ検出部41dは、第1センサ検出部31a(第2センサ検出部31b)よりも下方位置に配置され、上下方向において同じ位置(重なる位置)に配置され、かつ、シート幅方向において異なる位置に配置されている。
第5センサ検出部41eと第6センサ検出部41fは、第3センサ検出部41c(第4センサ検出部41d)よりも下方位置に配置され、上下方向において同じ位置(重なる位置)に配置され、かつ、シート幅方向において異なる位置に配置されている。
【0034】
また、生体センサ40は、第1伝送路42として、第1センサ検出部41a及び第2センサ検出部41bを連結する第1部分42aと、第3センサ検出部41c及び第4センサ検出部41dを連結する第2部分42bと、第5センサ検出部41e及び第6センサ検出部41fを連結する第3部分42cと、第1部分42a、第2部分42b及び第3部分42cを連結し、下方に向かって延びている第4部分42dと、を有している。
【0035】
制御装置50は、図2図5に示すように、生体センサ30、40によって検出された生体信号を処理する装置であって、パンフレーム12の底面に不図示のホルダーを介して取り付けられている。
詳しく述べると、制御装置50は、図6に示すように、生体センサ30、40によって検出された生体信号を受信し、外部へ無線送信するための通信部51と、生体センサ30、40で検出された生体信号を通信部51へ送信する処理を行う制御部52と、を有している。
【0036】
通信部51は、無線通信技術を利用して外部の端末、例えばタブレット端末、スマートフォン、PC等のコンピュータ、電気機器と接続し、電気信号(データ信号)の送受信をするものである。
制御部52は、マイクロコンピュータに相当し、電気制御を総合的に実行するものである。
制御装置50は、乗り物内に搭載された電源Pから電力の供給を受けることとしている。
なお、制御装置50は、乗り物用シートS内部に取り付けられていても良いし、乗り物用シートS外部に取り付けられていても良い。
【0037】
上記構成において、例えば、制御装置50が不図示の公知な心拍計測装置とネットワークを通じて接続されることで、心拍計測装置が生体センサ30、40から送信された着座者の呼吸信号に基づいて着座者の心拍を計測し、心拍の変化に異常が生じた場合に着座者に素早く報知することが可能となる。
なお、呼吸信号に基づいて心拍数を算出する具体的な方法については、公知の算出方法(例えば、特開2015-123359号公報に記載の算出方法)が利用可能であって、具体的な説明については省略する。
【0038】
そのほか、着座者の要望に応じて「生体センサの種類」を変更し、生体センサから検出される生体情報に基づく「アウトプット機能」を変更することもできる。
具体的には、圧力センサのほか、静電容量センサ、温度センサや音センサ、光センサ、臭いセンサ、加速度センサ等を採用しても良い。
また、「アウトプット機能」としては、着座者の心拍の変化を計測して心拍の異常(居眠り状態)を着座者に報知するほか、着座者の着座姿勢を計測してシートのシート運動を制御しリラックスモードや骨格矯正モードを演出すること、着座者の生体情報(例えば、心電図や血圧、体温、呼吸等)に基づいて着座者に対しゲームや映像の演出をすること等が想定される。
その場合、生体センサで得られた生体情報が、着座者の携帯端末Mにダウンロードされた専用アプリによって利用されると良い。そうすることで、当該生体情報を利用して専用アプリを操作することや、当該生体情報を専用アプリ内に蓄積することができる。
【0039】
<装飾ステッチ部の詳細>
装飾ステッチ部60は、図1図3図4に示すように、それぞれシートクッション1の表皮材1bの表面、シートバック2の表皮材2bの表面に形成される装飾部である。
詳しく述べると、装飾ステッチ部60は、表皮材1b、2bに部分的に糸で縫合することで形成される装飾用の縫い目である。
【0040】
装飾ステッチ部60は、図3に示すように、シートクッション1において第1ステッチ部61と、第2ステッチ部62と、第3ステッチ部63と、を有しており、シート幅方向において左右の表皮吊り込み溝1aaの間に配置されており、それぞれ着座面においてシート幅方向に沿って長尺に延びている。
第1ステッチ部61は、第2ステッチ部62よりもシート前方位置に配置されている。第2ステッチ部62は、第3ステッチ部63よりもシート前方位置に配置されている。
ステッチ部61、62、63は、シート幅方向において左右の表皮吊り込み溝1aaの間に配置されている。
【0041】
ステッチ部61、62、63は並列に配置されている。
そして、第3センサ検出部41c、第4センサ検出部41dは、並列に配置された第1ステッチ部61及び第2ステッチ部62の間の中央位置に配置されている。
そして、第5センサ検出部41e、第6センサ検出部41fは、並列に配置された第2ステッチ部62及び第3ステッチ部63の間の中央位置からずれた位置に配置されている。
【0042】
また、装飾ステッチ部60は、図4に示すように、シートバック2において第4ステッチ部64と、第5ステッチ部65と、第6ステッチ部66と、を有しており、シート幅方向において左右の表皮吊り込み溝2aaの間に配置されており、それぞれ着座面においてシート幅方向に沿って長尺に延びている。
【0043】
上記構成において、図3に示すように、センサ検出部31は、シート前後方向において異なる位置に配置されている。また、第3センサ検出部31c(第4センサ検出部31d)は、シート前後方向において第1ステッチ部61と第2ステッチ部62の間に配置されている。
そのため、生体センサ30のセンシング性能を確保することができる。
【0044】
また上記構成において、伝送路(第1伝送路32)は、装飾ステッチ部60(61~63)を跨るように延びている。
第1伝送路32は、センサ検出部31とは異なって装飾ステッチ部60を跨っている場合であっても、センシング性能に影響しないからである。そうすることで、第1伝送路32の配置自由度と、装飾ステッチ部60の配置自由度とを確保することができる。
【0045】
また上記構成において、センサ挿通穴1abは、シートクッション1の着座面においてシート幅方向及び前後方向において複数のセンサ検出部31の間に配置されている。
そのため、センシング性能に影響することがない。また、センサ検出部31と制御装置50を接続するための伝送路をシンプルな形で配置することができる。
【0046】
また上記構成において、センサ挿通穴1abは、シートクッション1の着座面において装飾ステッチ部60と重なる位置に配置されている。
センサ挿通穴1abは、センサ検出部31とは異なって装飾ステッチ部60と重なるように配置されている場合であっても、センシング性能に影響しないからである。そうすることで、センサ挿通穴1abの配置自由度と、装飾ステッチ部60の配置自由度とを確保することができる。
【0047】
また上記構成において、図5に示すように、センサ挿通穴1abは、シート幅方向において複数の弾性バネ14の間に配置されている。また、センサ検出部31は、弾性バネ14と上下方向で重なる位置に配置されている。
そのため、伝送路(第2伝送路33)が弾性バネ14に干渉することを避けることができ、第2伝送路33の変形や位置ずれを抑制することができる。また、生体センサ30のセンシング性能を好適に確保することができる。
【0048】
また上記構成において、図2図4に示すように、センサ検出部41は、弾性ワイヤ24及び支持プレート25とシート前後方向で重なる位置に配置されることになる。そのため、生体センサ40のセンシング性能を好適に確保することができる。
【0049】
<生体センサ、装飾ステッチ部の配置パターン>
次に、生体センサ、装飾ステッチ部の配置パターンの変形例1-5について、図7A図7D図8に基づいて説明する。
なお、上述の生体センサ30、40、装飾ステッチ部60と重複する内容については説明を省略する。
【0050】
図7Aに示す変形例1は、シートクッション1における生体センサ30、装飾ステッチ部60の配置パターンであって、図3と比較してセンサ挿通穴1abの位置が異なっている。
すなわち、センサ挿通穴1abは、センサ検出部31とは異なる位置に配置されており、装飾ステッチ部60とも異なる位置に配置されている。
また、センサ検出部31は、装飾ステッチ部60に隣接して配置されている。
上記構成であっても、着座者と生体センサの密着性を確保することができる。また、装飾ステッチ部による意匠性を高めることが可能となる。
【0051】
図7Bに示す変形例2は、シートクッション1における生体センサ30、装飾ステッチ部60の配置パターンであって、図3と比較してセンサ挿通穴1abを有しておらず、伝送路(第1伝送路32)がシート後方に延びている。
すなわち、生体センサ30は、第1伝送路32として、第1センサ検出部31a及び第2センサ検出部31bを連結する第1部分32aと、第3センサ検出部31c及び第4センサ検出部31dを連結する第2部分32bと、第5センサ検出部31e及び第6センサ検出部31fを連結する第3部分32cと、第1部分32a、第2部分32b及び第3部分32cを連結し、シート後方に向かって延びている第4部分32dと、を有している。
なお、第2伝送路33は、第1伝送路32から連続して下方に延出し、その延出部分がシート前方に屈曲してパンフレーム12に向かってさらに延出し、制御装置50と接続されている。
【0052】
図7Cに示す変形例3は、シートクッション1における生体センサ30、装飾ステッチ部60の配置パターンであって、図3と比較してセンサ挿通穴1abを有しておらず、伝送路(第1伝送路32)がそれぞれシート後方に延びている。
すなわち、生体センサ30は、4つからなり、シートクッション1の中央部分に配置される左右の前方生体センサ30aと、シートクッション1の後方部分に配置される左右の後方生体センサ30bと、を有している。そして、4つの第1伝送路32が、それぞれシート後方に延びている。
なお、第2伝送路33は、4つの第1伝送路32を束ねた状態で下方に延出し、その延出部分がシート前方に向かってさらに延出し、制御装置50と接続されている。
【0053】
図7Dに示す変形例4は、シートクッション1における生体センサ30、装飾ステッチ部60の配置パターンであって、図3と比較してセンサ挿通穴1abの位置が異なっており、かつ、伝送路(第1伝送路32)のパターンが異なっている。また、装飾ステッチ部60のパターンが異なっている。
すなわち、生体センサ30は、シートクッション1の中央部分に配置されるT字形状の前方生体センサ30aと、シートクッション1の後方部分に配置される略T字形状の後方生体センサ30bと、を有している。そして、センサ挿通穴1abが、前方生体センサ30a及び後方生体センサ30bの間に配置されている。
また、装飾ステッチ部60において第3ステッチ部63が、第2ステッチ部62から連続してシート後方に向かって延びている。
第2ステッチ部62と第3ステッチ部63は交わるように配置されている。センサ検出部31は、第2ステッチ部62及び第3ステッチ部63の交点から離れた位置に配置されている。また、センサ検出部31は、各ステッチ部61、62、63の間に配置されている。
【0054】
図8に示す変形例5は、シートバック2における生体センサ40、装飾ステッチ部60の配置パターンであって、図4と比較して装飾ステッチ部60のパターンが異なっている。
すなわち、装飾ステッチ部60は、第4ステッチ部64と、第5ステッチ部65と、第6ステッチ部66と、を有しており、第4ステッチ部64が、第5ステッチ部65から連続して下方に向かって延びている。言い換えれば、第4ステッチ部64が、第1伝送路42と重なるように上下方向に延びている。
【0055】
上記変形例1~5の構成であっても、着座者と生体センサの密着性を確保することが可能となる。また、装飾ステッチ部60による意匠性を高めることが可能となる。
【0056】
<その他の別実施形態>
上記実施形態では、図3に示すように、センサ検出部31(31a~31f)は、シートクッション1の着座面において装飾ステッチ部60を避けた位置に配置されているが、特に限定されることなく変更可能である。
例えば、少なくとも一つのセンサ検出部31が装飾ステッチ部60を避けて配置されていれば良く、残りのセンサ検出部31がステッチ部と重なる位置に配置されていても良い。
【0057】
上記実施形態では、図3に示すように、表皮材1b(2b)が、表皮材1b(2b)の表面に部分的に縫合することで形成される装飾ステッチ部60を有しているが、ステッチ部以外の方法で装飾を施した装飾部であっても良い。
また、装飾ステッチ部60(装飾部)は、表皮材1bの表面に対して湾曲形状又は屈曲形状を有していても良い。
【0058】
上記実施形態では、具体例として自動車に用いられる車両用シートについて説明したが、特に限定されることなく、二輪車用の二輪シート、電車やバス等の車両用シート、飛行機や船等の乗り物用シートのほか、作業用の事務イス、車イス、ショッピングカートの子供用イス等の種々のシートに対して利用することができる。
【0059】
本実施形態では、主として本発明に係る乗り物用シートに関して説明した。
ただし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0060】
S 乗り物用シート
Sa シートフレーム
1 シートクッション
1A クッション中央部
1B クッションサイド部
1a、2a クッション材
1aa、2aa 表皮吊り込み溝
1ab センサ挿通穴
1b、2b 表皮材
2 シートバック
2A クッション中央部
2B クッションサイド部
3 ヘッドレスト
4 リクライニング装置
5 ハイトリンク装置
6 レール装置
10 クッションフレーム
11 クッションサイドフレーム
12 パンフレーム
13 後方連結フレーム
14 弾性バネ(弾性支持部材)
20 バックフレーム
21 バックサイドフレーム
22 上部フレーム
23 下部フレーム
24 弾性ワイヤ(ワイヤ部材)
25 支持プレート
30 生体センサ
30a 前方生体センサ(第1生体センサ)
30b 後方生体センサ(第2生体センサ)
31 センサ検出部
31a~31f 第1~第6センサ検出部
32 第1伝送路
32a~32e 第1~第5部分
33 第2伝送路
33a 第1部分
33b 第2部分
40 生体センサ
41 センサ検出部
41a~41f 第1~第6センサ検出部
42 第1伝送路
42a~42d 第1~第4部分
43 第2伝送路
50 制御装置
51 通信部
52 制御部
60 装飾ステッチ部(装飾部)
61~66 第1~第6ステッチ部
M 携帯端末
P 電源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図8