(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022058163
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】液体移送装置
(51)【国際特許分類】
F04B 9/14 20060101AFI20220404BHJP
【FI】
F04B9/14 B
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021117241
(22)【出願日】2021-07-15
(31)【優先権主張番号】63/085,368
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520480382
【氏名又は名称】富佳生技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】特許業務法人SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鄭 順耀
(72)【発明者】
【氏名】江 哲維
(72)【発明者】
【氏名】張 ▲よ▼昇
(72)【発明者】
【氏名】王 裕民
(72)【発明者】
【氏名】蔡 佳樺
(72)【発明者】
【氏名】黄 川慈
【テーマコード(参考)】
3H075
【Fターム(参考)】
3H075AA01
3H075BB04
3H075CC33
3H075CC35
3H075CC36
3H075DA02
3H075DA05
3H075DB13
3H075DB14
3H075DB38
(57)【要約】 (修正有)
【課題】構造が簡単で、定量的な液体の吸収が可能であり、微量の液体の移送を実現できる液体移送装置を提供する。
【解決手段】液体移送装置100は、押圧機構10と、採液アセンブリ3とを備え、押圧機構は、上ケース1と、下ケース2とを備えている。採液アセンブリは、弾性採液管と採液ヘッドとを連通する第1接続部を備え、第1接続部は、第2頂壁に着脱可能に設けられ、採液ヘッドは、収容室の外側に位置し、上ケースは、収容室の中心軸に沿って往復移動し、押出部を弾性採液管に対して往復移動させて、弾性採液管を押出部に押しつけたり緩めたりして、弾性採液管が液体を放出または吸収する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
押圧機構と採液アセンブリを備え、
前記押圧機構は、上ケースと、下ケースとを備え、前記上ケースは、第1側壁と、前記第1側壁に接続された第1頂壁と、を含み、前記第1頂壁には、押出部が設けられ、前記下ケースは、第2側壁及び第2頂壁を含み、前記第2側壁は、前記第2頂壁と連結して取り囲むように収容室を形成し、前記上ケースは、前記収容室内に収容され、
前記採液アセンブリは、弾性採液管と、採液ヘッドと、前記弾性採液管と前記採液ヘッドとを連通する第1接続部と、を備え、前記採液アセンブリは、前記弾性採液管が前記押出部に対応して設けられるように、前記第2頂壁から前記収容室に進入し、前記第1接続部は、前記第2頂壁に着脱可能に設けられ、前記採液ヘッドは、前記収容室の外側に位置し、
前記上ケースは、前記収容室の中心軸に沿って往復移動し、前記押出部を前記弾性採液管に対して往復移動させて、前記弾性採液管を前記押出部に押出したり緩めたりして、前記弾性採液管が液体を放出するかまたは吸収することを特徴とする液体移送装置。
【請求項2】
前記下ケースは、前記第2頂壁に設けられた第1採液通孔および第2接続部をさらに有し、
前記第2接続部は、前記第2頂壁に設けられ、前記第1採液通孔の周囲に位置し、
前記第1採液通孔を介して前記弾性採液管が前記収容室に進入すると、前記第1接続部は、前記第2接続部と着脱可能に接続されることを特徴とする請求項1に記載の液体移送装置。
【請求項3】
前記第1接続部は、前記第2接続部に係合又は螺合で接続されることを特徴とする請求項2に記載の液体移送装置。
【請求項4】
前記第1接続部は、接続部本体と、前記接続部本体に設けられた第1係止部と、前記接続部本体に設けられたガイドバーと、前記ガイドバーに設けられた係合体と、を含み、
前記第2接続部は、前記第2頂壁を貫通する第1係止口と、前記第2頂壁を貫通し前記第1係止口に連通する第2係止口と、第2係止部と、を含み、
前記ガイドバーは、前記第2頂壁から前記第1係止口に進入して前記第2係止口内に係入され、
前記係合体は、前記第2係止部の前記収容室に近い側に引っ掛かり、前記第1係止部は、前記第2係止部の前記収容室から遠い側に引っ掛かり、前記第1接続部と前記第2接続部とは、着脱可能に接続されることを特徴とする請求項3に記載の液体移送装置。
【請求項5】
前記押出部は、第3側壁を含み、前記第3側壁の一端は、前記第1頂壁に接続され、前記第3側壁は、第2採液通孔を囲むように設けられ、前記第2採液通孔は、前記第1採液通孔と連通して、前記収容室と同軸であり、
前記第2採液通孔の孔径は、前記第2採液通孔から離れた方向に漸減し、前記弾性採液管は、前記第2採液通孔に進入または退出し、
前記第3側壁は、前記弾性採液管に当接するかまたは緩めることを特徴とする請求項2に記載の液体移送装置。
【請求項6】
前記弾性採液管における前記収容室の中心軸に垂直な内径は、前記採液ヘッドに近い端から遠い端の方向に漸減していることを特徴とする請求項5に記載の液体移送装置。
【請求項7】
前記第3側壁の内面には、押出ブロックが設けられ、
前記押出ブロックは、前記弾性採液管に当接するかまたは緩めることを特徴とする請求項5に記載の液体移送装置。
【請求項8】
前記押圧機構は、前記収容室に収容される弾性部材をさらに備え、前記弾性部材の一端は、前記第1頂壁に当接し、他端は前記第2頂壁に当接し、
前記弾性部材の弾性復元力は、前記上ケースを前記下ケースから離れる方向へ移動させることを特徴とする請求項2に記載の液体移送装置。
【請求項9】
前記弾性部材は、複数であり、複数の前記弾性部材は、前記弾性採液管を囲むように設けられ、
前記弾性部材は、前記押出部の外側に設けられることを特徴とする請求項8に記載の液体移送装置。
【請求項10】
前記液体移送装置は、更に、前記上ケースにおける前記下ケースから離れる一端に設けられた押圧ボタンを備えることを特徴とする請求項1に記載の液体移送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体移送技術分野に関し、特に、液体移送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の生体反応に関わる多くの診断試験は、専門実験室内で完了する必要があり、かつ設備が複雑で体積が大きく、コストが高く、操作が煩雑であり、特に検体移転・サンプリング過程は、作業員の専門レベルの要求が高く、熟練した技術者による操作が必要であり、ホーム携帯型検出ができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、上記課題の少なくとも1つを解決するために、液体移送装置の提供が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る液体移送装置は、押圧機構と、採液アセンブリとを備え、前記押圧機構は、上ケースと、下ケースとを備え、前記上ケースは、第1側壁と、前記第1側壁に接続された第1頂壁と、を含み、前記第1頂壁には、押出部が設けられ、前記下ケースは、第2側壁及び第2頂壁を含み、前記第2側壁は、前記第2頂壁と連結して取り囲むように収容室を形成し、前記上ケースは、前記収容室内に収容され、前記採液アセンブリは、弾性採液管と、採液ヘッドと、前記弾性採液管と前記採液ヘッドとを連通する第1接続部と、を備え、前記採液アセンブリは、前記弾性採液管が前記押出部に対応して設けられるように、前記第2頂壁から前記収容室に進入し、前記第1接続部は、前記第2頂壁に着脱可能に設けられ、前記採液ヘッドは、前記収容室の外側に位置し、前記上ケースは、前記収容室の中心軸に沿って往復移動し、前記押出部を前記弾性採液管に対して往復移動させて、前記弾性採液管を前記押出部に押しつけたり緩めたりして、前記弾性採液管が液体を放出または吸収する。
【0005】
さらに、前記下ケースは、前記第2頂壁に設けられた第1採液通孔および第2接続部をさらに有し、前記第2接続部は、前記第2頂壁に設けられ、前記第1採液通孔の周囲に位置し、前記第1採液通孔を介して前記弾性採液管が前記収容室に進入すると、前記第1接続部は、前記第2接続部と着脱可能に接続される。
【0006】
さらに、前記第1接続部は、前記第2接続部に係合又は螺合で接続する。
【0007】
さらに、前記第1接続部は、接続部本体と、前記接続部本体に設けられた第1係止部と、接続部本体に設けられたガイドバーと、前記ガイドバーに設けられた係合体と、を含み、前記第2接続部は、前記第2頂壁を貫通する第1係止口と、前記第2頂壁を貫通し前記第1係止口に連通する第2係止口と、第2係止部と、を含み、前記ガイドバーは、前記第2頂壁から前記第1係止口に進入して前記第2係止口内に係入され、前記係合体は、前記第2係止部の前記収容室に近い側に引っ掛かり、前記第1係止部は、前記第2係止部の前記収容室から遠い側に引っ掛かり、前記第1接続部と前記第2接続部とは、着脱可能に接続される。
【0008】
さらに、前記押出部は、第3側壁を含み、前記第3側壁は、一端が前記第1頂壁に接続され、前記第3側壁は、第2採液通孔を囲むように設けられ、第2採液通孔は、第1採液通孔と連通して、前記収容室と同軸であり、前記第2採液通孔の孔径は、前記第2採液通孔から遠ざかる方向に漸減し、前記弾性採液管は、前記第2採液通孔に進入または退出し、第3側壁は、前記弾性採液管に当接または緩める。
【0009】
さらに、前記弾性採液管における前記収容室の中心軸に垂直な内径は、前記採液ヘッドに近い端から遠い端の方向に漸減している。
【0010】
さらに、前記第3側壁の内面には、押出ブロックが設けられ、前記押出ブロックは、前記弾性採液管に当接または緩める。
【0011】
さらに、前記押圧機構は、前記収容室に収容される弾性部材をさらに備え、前記弾性部材は、一端が前記第1頂壁に当接し、他端は前記第2頂壁に当接し、前記弾性部材の弾性復元力は、前記上ケースを前記下ケースから離れる方向へ移動させる。
【0012】
さらに、前記弾性部材は、複数であり、複数の前記弾性部材は、前記弾性採液管を囲むように設けられ、前記弾性部材は、前記押出部の外側に設けられる。
【0013】
さらに、前記液体移送装置は、更に、前記上ケースの前記下ケースから離れる端に設けられた押圧ボタンを備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明により提供される液体移送装置は、従来よりも構造が簡単で、操作が簡便で、定量的な液体の吸収が可能であり、微量の液体の移送を実現できる。また、液体採取手段と押圧手段とが取り外し可能に設けられ、押圧手段は複数回使用可能であり、液体採取手段は使い捨て消耗材であり、随時交換でき、コストを節約できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る液体移送装置が押圧されていない状態の概略構成図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る液体移送装置の押圧後の概略構成図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係る液体移送装置の分解図である。
【
図4】
図4は、
図1に係る液体移送装置のIV-IV断面図である。
【
図5】
図5は、
図2に係る液体移送装置のV-V断面図である。
【
図6】
図6は、
図1に係る液体移送装置のVI-VI断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の他の実施形態に係る液体移送装置の断面図である。
【
図8】
図8は、本発明の一実施形態に係る上ケースの概略構成図である。
【
図9】
図9は、本発明の一実施形態に係る上ケースの別の角度の概略構成図である。
【
図10】
図10は、本発明の一実施形態に係る下ケースの概略構成図である。
【
図11】
図11は、本発明の一実施形態に係る下ケースの別の角度の概略構成図である。
【
図12】
図12は、本発明の他の一実施形態に係る液体移送装置の概略構成図である。
【
図13】
図13は、本発明の他の実施形態に係る液体移送装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施例中の図面を参照しながら、本発明の実施例中の技術案について明確かつ完全に記述するが、当然ながら、記述される実施例は本発明の一部の実施例であるにすぎず、すべての実施例ではない。
【0017】
なお、1つの部材が他の部材に「固定される」との記載は、他の部材上に直接固定されるか、あるいは、介在する部材が存在してもよい。1つの部材が他の部材に「接続される」との記載は、他の部材上に直接接続されるか、あるいは、介在する部材が存在してもよい。1つの部材が他の部材に「設置される」との記載は、他の部材上に直接設置されるか、あるいは、介在する部材が存在してもよい。本文で用いる用語「垂直な」、「水平な」、「左」、「右」及び類似の表現は、説明の目的に過ぎない。以下に述べるシステムは模式的なものであり、上記モジュールや回路の分割は、論理的な機能分割のみであり、実際に実現するには別の分割方式があり得る。また、「含む」という用語は、他のユニット又はステップを排除するものではなく、単数は複数を排除するものではないことは明らかである。システム請求項に記述された複数のユニットまたは装置は、同一のユニットまたは装置によりソフトウェアまたはハードウェアで実現されてもよい。第1、第2等の用語は、名称を示すためのものであり、特定の順番はいずれも示さない。
【0018】
別途定義されている場合を除き、本文書で使用されるすべての技術・科学用語は、当業者が通常理解する意味と同じである。本文書において、本発明の明細書で使用される用語は、具体的な実施例を記述する目的のためのものにすぎず、本発明を限定する趣旨のものではない。本文書で使用される用語「および/または」は、1つまたは複数の、関連する列記された項目のいずれの組み合わせとすべての組み合わせを含む。
【0019】
図1~
図6を参照すると、本発明の実施例に係る液体移送装置100は、押圧機構10及び採液アセンブリ3を備える。押圧機構10は、上ケース1と下ケース2とを備え、上ケース1は、第1側壁11と、第1側壁11に接続された第1頂壁13とを含み、第1頂壁13には、押出部12が設けられ、下ケース2は、第2側壁21と第2頂壁22とを含み、第2側壁21は、該第2頂壁22と連結して収容室4を囲むように形成され、上ケース1は、収容室4内に収容される。採液アセンブリ3は、弾性採液管31と、採液ヘッド32と、弾性採液管31と採液ヘッド32とを連通する第1接続部33と、を備え、弾性採液管31が押出部12に対応して設けられるように、採液アセンブリ3は、第2頂壁22の収容室4から離れる側から収容室4に進入し、第1接続部33は、第2頂壁22に着脱可能に設けられ、採液ヘッド32は、第2頂壁22の収容室4から離れる側に位置する。このうち、上ケース1は、収容室4の中心軸aに沿って往復移動し、押出部12を弾性採液管31に対して往復移動させることにより、押出部12を弾性採液管31に当接させるか、または緩めさせ、弾性採液管31は、液体を放出するか、または吸収する。本発明の押圧機構10は予め組み立てられており、採液アセンブリ3が押圧機構10の外側から第1採液通孔23を介して収容室4に進入し、押圧機構10に着脱可能に取り付けられ、採液アセンブリ3は、便宜上、随時交換される。具体的には、採液アセンブリ3は使い捨て消耗品であってもよく、実際のニーズに応じて採液アセンブリ3を随時交換する必要があり、押圧機構10は繰り返し使用可能であり、コストを低減することができる。
【0020】
図10及び
図11を参照すると、下ケース2は、第2頂壁22上に設けられた第1採液通孔23と、第2頂壁22上に設けられ且つ前記第1採液通孔23の周囲に位置する第2接続部24と、を更に備える。弾性採液管31が第1採液通孔23を介して収容室4に進入すると、第1接続部33と第2接続部24とは着脱可能に接続される。
【0021】
本実施形態では、上記第1接続部33は、接続部本体331と、接続部本体331に設けられた第1係止部332と、接続部本体331に設けられたガイドバー333と、ガイドバー333に設けられた係合体334と、を有する。第2接続部24は、第2頂壁22を貫通する第1係止口241と、第2頂壁22を貫通し、第1係止口241に連通する第2係止口242及び第2係止部243と、を備える。ここで、ガイドバー333は、第2頂壁22の収容室4から離れる側から第1係止口241に進入して第2係止口242に係入し、前記係合体334は、第2係止部243の収容室4に近い側に引っ掛かり、第1係止部332は、第2係止部243の収容室4から離れる側に引っ掛かる。このとき、第1係止部332と係合体334は、第2係止部243と対向する両側から第2係止部243を係止することにより、第1接続部33と第2接続部24とは着脱可能に接続される。
【0022】
他の実施形態では、第1接続部33と第2接続部24とが螺合で接続するように、第1接続部33の外側壁には、雄ネジが設けられ、第2接続部24は、第1採液通孔23に近接する側壁に雌ネジが設けられる。
【0023】
図8と
図9を参照すると、
図4及び
図5と関連して、押出部12は、第3側壁121を含む。第3側壁121の一端は、第1頂壁13に接続される。第3側壁121は、第2採液通孔122を囲むように設けられ、第2採液通孔122は、第1採液通孔23と同軸である。第2採液通孔122の孔径は、第1採液通孔23から離れた方向に漸減する。弾性採液管31は、第1採液通孔23を介して第2採液通孔122に進入するかまたは退出し、第3側壁121は、弾性採液管31の側壁に当接するかまたは緩め、弾性採液管31を変形させるかまたは復元変形させて液体を放出するかまたは吸収する。本実施形態では、第3側壁121には、第2採液通孔122に近接する表面に押出ブロック123が設けられる。弾性採液管31は、第1採液通孔23と収容室4とをこの順に貫通し、第2採液通孔122には最後に進入し、押出ブロック123は、弾性採液管31の側壁に当接することにより、弾性採液管31を変形させ、弾性採液管31の内部の空気または液体が排出される。弾性採液管31は、第2採液通孔122を逆方向に退出させると、変形が復元されて液体を吸収する。
【0024】
本実施形態では、押出ブロック123の数は2つであり、二つの押出ブロック123は、第3側壁121の対向する内面にそれぞれ設けられ、二つの押出ブロック123は、弾性採液管31の対向する両側から弾性採液管31を押出することにより、弾性採液管31を均一に変形させることができ、弾性採液管31の変形量により定量採液を実現できる。弾性採液管31の変形量は、二つの押出ブロック123間の距離により設定することができる。なお、押出ブロック123は、一体の押出ブロック123として設けられていてもよく、すなわち、第3側壁121に1ターンの押出ブロック123が設けられていてもよい。
【0025】
図8、
図9を参照すると、上ケース1は、第1側壁11における第1頂壁13から離れた一端に設けられた第4側壁14と、第4側壁14と第1側壁11とを繋ぐフラットテーブル部15と、を更に備える。下ケース2の第2側壁21は、上ケース1の第1側壁11の外側に嵌められ、第2側壁21の端面がフラットテーブル部15に当接して、上ケース1が収容室4の中心軸aに沿って下ケース2に対して往復移動する際にリミットとして機能する。
【0026】
図8、
図9を参照すると、上ケース1は、第1頂壁13に設けられた位置決め通孔16と、第1側壁11の外面に設けられたシュート17とを更に備える。下ケース2の第2側壁21には、シュート17に対応してガイドバー25が設けられ、ガイドバー25は、シュート17内に係入可能である。下ケース2の第2頂壁22には、位置決め通孔16に対応して位置決めレバー26が設けられて、位置決めレバー26は、位置決め通孔16内に進入して第2頂壁22の表面に係止可能である。上ケース1が下ケース2に対して往復移動すると、ガイドバー25は、シュート17に沿って移動可能となり、位置決めレバー26は、位置決め通孔16に沿って移動可能となり、上ケース1と下ケース2とが離脱しないようになっている。
【0027】
図3、
図6及び
図7を参照すると、押圧機構10はさらに弾性部材5を含む。弾性部材5の一端は、第1頂壁13に当接し、他端が第2頂壁22に当接している。上ケース1が下ケース2に対して下方に移動する過程で、弾性材5は圧縮され、上ケース1を外すと、弾性部材5の変形が復元され、上ケース1は、弾性部材5の変形回復力により自動的に位置復帰する。弾性部材5は、押圧機構10を組み立てる際に収容室4内に装着され、後述する採液アセンブリ3の交換に影響しない。
【0028】
本実施形態では、弾性部材5は、バネであってよく、弾性部材5を固定するために、第1頂壁13に第1位置決め溝18が設けられ、第2頂壁22にバネガイドレバー27が設けられ、バネガイドレバー27が第1位置決め溝18内に進入可能である。弾性部材5の一端がバネガイドレバー27に嵌め入れられ、他端が第1位置決め溝18内に進入している。第1位置決め溝18の深さと、そのバネガイドレバー27の高さとの和は、その弾性部材5の自然状態における長さと等しく、上ケース1が第1位置決め溝18を動かしてバネガイドレバー27に向かって移動すると、バネガイドレバー27が第1位置決め溝18に進入して弾性部材5が圧縮され、弾性部材5が圧縮される過程でズレが生じないように、第1位置決め溝18は、バネガイドレバー27に弾性部材5が嵌っていない部分を、リミットとして機能させることができる。
【0029】
本実施形態では、弾性部材5は複数でもよく、複数の弾性部材5は弾性採液管31を囲むように設けられることにより、押圧力をバランスさせて、弾性採液管31が受ける押圧力を均一にして、定量採液に寄与することができる。
【0030】
他の実施形態では、前記第1頂壁13が前記収容室4から反対側に向かって突起し、第2位置決め溝19が形成され、押出部12が第2位置決め溝19の底部を貫通し、弾性部材5が押出部12の外部に嵌められて第2位置決め溝19内に嵌め込まれ、一端が第2位置決め溝19の底面に当接し、他端が第2頂壁22に当接している。採液アセンブリ3の装着時には、弾性採液管31は、第1採液通孔23を介して、弾性部材5を通過し、押出部12の第2採液通孔122に進入する。このように設計されると、採液アセンブリ3を交換する際に、弾性部材5は影響を受けない。なお、
図7に示すように、第1位置決め溝18と第2位置決め溝19とに同時に弾性部材5を設けて、上ケース1が下方へ移動したときに、押出部12による弾性採液管31の押圧力をバランスさせて、採液精度を向上させることができる。
【0031】
図12を参照すると、
図4及び
図5と関連して、弾性採液管31は、一端が開口した中空管状構造で横断面が略円形であり、第1接続部33は、略円環であり、採液ヘッド32は、両端が開口した中空管状構造であり、第1接続部33の一端が採液ヘッド32の一端に接続され、他端が弾性採液管31の開口端に接続されることにより、弾性採液管31が第1接続部33を介して採液ヘッド32と連通している。
【0032】
本実施形態では、第1接続部33は、採液ヘッド32と一体構造であり、弾性採液管31が第1接続部33に着脱可能に取り付けられることにより、採液ヘッド32と弾性採液管31とが連通される。具体的には、射出成形工程によって採液アセンブリ3を一括して成形することができ、射出成形工程において、第1接続部33と採液ヘッド32とを成形するキャビティと、弾性採液管31を成形するキャビティとを連通させ、射出成形を同時に行うことができ、成形サイクルを短縮し、効率が高く、同時に採液アセンブリ3の製造コストを低減する。成形後に、弾性採液管31の開口端と第1接続部33の接続部本体331とは、プラスチックストリップで接続され、使用時にはプラスチックストリップが切断され、弾性採液管31が第1接続部33に覆われて、採液アセンブリ3が組み立てられて待機する。
【0033】
本実施形態では、弾性採液管31はゴム製であり、弾性採液管31の開口端外径が第1接続部33の内径よりも僅かに大きくなるように設計され、両者を締まり嵌めで封止接続することができる。
【0034】
本実施形態では、弾性採液管31は、収容室4の中心軸aに垂直な断面が、採液ヘッド32に近い方の端部から採液ヘッド32から遠い方の端部にかけて徐々に小さくなって、すなわち、弾性採液管31は、略倒置された円錐体構造になっている。
【0035】
図1~
図3を参照すると、採液アセンブリ3は、採液ヘッド32において弾性採液管31から離れる一端に覆われ、採液ヘッド32の汚染を防止する採液ヘッドカバー34をさらに備える。
【0036】
また、他の実施形態では、採液アセンブリ3の採液ヘッド(図示せず)は、一端が開口し、他端が閉塞した管状構造であってもよく、採液ヘッドの開口端が第1接続部33に接続され、さらに弾性採液管31に連通し、使用時に、採液ヘッドの閉鎖端を折断して液体を挿入することにより採液する。採液ヘッドの上記設計は、採液ヘッドカバーを個別に設計することを回避することができ、採液ヘッドは一回の型開きで成形でき、コスト低減に有利である。
【0037】
図4を参照すると、液体移送装置100は、押圧ボタン6をさらに備え、押圧ボタン6は、上ケース1の第4側壁14における第1側壁11から離間する一端に覆われ、上ケース1と係合して、押圧ボタン6を押すことにより、下ケース2に対する上ケース1の運動目的が達成される。
【0038】
図13を参照し、
図3~
図5も併せて参照すると、液体移送装置100の具体的な組立手順は以下の通りである。
【0039】
第1工程では、押圧機構10を組み立て、先に下ケース2内に弾性部材5を入れ、上ケース1と下ケース2とを係合させておき、弾性部材5を固定とした上で、押圧ボタン6を上ケース1に取り付ける。
【0040】
第2工程では、採液アセンブリ3を組み立て、弾性採液管31と第1接続部33との間のプラスチックストリップが切断され、弾性採液管31が第1接続部33に覆われる。
【0041】
第3工程では、第1採液通孔23を介して採液アセンブリ3を押圧機構10の収容室4に進入させ、第1接続部33を下ケース2の第2接続部24に係合させ、採液アセンブリ3を押圧機構10に固定して組み立てが完了する。
【0042】
なお、一回の採液が完了した後、採液アセンブリ3を交換する必要があり、採液アセンブリ3を押圧機構10から取り外し、新たな採液アセンブリ3を交換することができ、取付方法は、上記方法と同様である。
【0043】
図4と
図5とを再度参照すると、使用時に押圧ボタン6を押圧して、上ケース1を下向きに押し下げ、第1側壁11を第2側壁21に沿って下方に移動させ、押出部12は、弾性採液管31に対して下方に移動させる。その際、弾性部材5が圧縮され、押出ブロック123が弾性採液管31を押圧して弾性採液管31内部の空気を排出する。採液ヘッド32の一端を液体に挿入し、押圧ボタン6を開放し、上ケース1が弾性部材5の反発力で従動して元の位置に復帰し、押出ブロック123が弾性採液管31に対して弾性採液管31を上方に移動させて弾性採液管31を緩め、検出液が弾性採液管31内に吸い込まれ、定量採液の目的を実現する。押圧ボタン6を再度押圧して弾性採液管31内の液体を緩めることができる。
【0044】
図4、
図5を参照すると、具体的には液体移送装置100が定量的に液を採取する原理は、以下の通りである。弾性採液管31のテーパ部分は、採液ヘッド32から離れる一端の内径d1が小さく、小内径端bと呼ばれ、採液ヘッド32に近い一端の内径d2は大きく、大内径端cと呼ばれる。
図4に示すように、弾性採液管31が圧縮されないと、その小内径端bは二つの押出ブロック123の底部に位置し、二つの押出ブロック123の表面は弾性採液管31の先端に接触している。
図5に示すように、上ケース1が下方に移動すると、弾性採液管31の小内径端bが第2採液通孔122内に進入し、弾性採液管31が二つの押出ブロック123の間に進入し、二つの押出ブロック123が弾性採液管31の側壁を押圧することにより、弾性採液管31が圧縮される。弾性採液管31が第2採液通孔122内にさらに進入し、二つの押出ブロック123は、弾性採液管31の大内径端cにまで押出されることで、弾性採液管31内部の定量空気が排出される。採液ヘッド32を液体内部に挿入した後、上ケース1を緩め、弾性部材5の反発力で上ケース1を元の位置に跳ね戻すことで、弾性採液管31が二つの押出ブロック123の間から退出し、弾性採液管31の変形が回復し、液体を吸収するという目的が実現される。テーパ構造の弾性採液管31のd1とd2との値、二つの押出ブロック123の間の距離、二つの押出ブロック123と弾性採液管31との接触面積、上ケース1の下ケース2に対する移動ストロークなどのパラメータを設計することにより、定量採液の目的を実現する。
【0045】
本発明に係る液体移送装置100は、数種類の液体サンプルの移送を行うためのものであり、液体試料は、例えば生体試料、患者試料、獣医試料、又は環境試料を含んでもよい。
【0046】
いくつかの実施形態において、本発明に係る液体移送装置100は、体積1μl~5mlの間の量(例えば、1μl、2μl、4μl、5μl、10μl、20μl、50μl、100μl、200μl、500μl、1ml、2mlから5mlまでの任意の2つの数字の間の数)の液体を集めて調製するために用いられる。
【0047】
本発明に係る液体移送装置は、従来よりも構造が簡単で、操作が簡便で、定量的な液体の吸収が可能であり、微量の液体の移送を実現できる。また、液体採取手段と押圧手段とが取り外し可能に設けられ、押圧手段は複数回使用可能であり、液体採取手段は使い捨て消耗材であり、随時交換でき、コストを節約できる。
【0048】
上記は本発明の実施例であるにすぎず、これによって本発明の特許請求の範囲を限定するものではなく、本発明の明細書および図面の内容を用いて行われたすべての同等の構造または同等のプロセス変換、または他の関連する技術分野で直接的にもしくは間接的に用いたものは、いずれも同じ理由で本発明の特許保護の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
100 液体移送装置
10 押圧機構
1 上ケース
11 第1側壁
12 押出部
121 第3側壁
122 第2採液通孔
123 押出ブロック
13 第1頂壁
14 第4側壁
15 フラットテーブル部
16 位置決め通孔
17 シュート
18 第1位置決め溝
19 第2位置決め溝
2 下ケース
21 第2側壁
22 第2頂壁
23 第1採液通孔
24 第2接続部
241 第1係止口
242 第2係止口
243 第2係止部
25 ガイドバー
26 位置決めレバー
27 バネガイドレバー
3 採液アセンブリ
31 弾性採液管
32 採液ヘッド
33 第1接続部
331 接続部本体
332 第1係止部
333 ガイドバー
334 係合体
34 採液ヘッドカバー
4 収容室
5 弾性部材
6 押圧ボタン
a 中心軸
b 小内径端
c 大内径端