IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富佳生技股▲ふん▼有限公司の特許一覧 ▶ 深超光電(深セン)有限公司の特許一覧

<>
  • 特開-誘電湿潤装置及び液滴検出方法 図1
  • 特開-誘電湿潤装置及び液滴検出方法 図2
  • 特開-誘電湿潤装置及び液滴検出方法 図3
  • 特開-誘電湿潤装置及び液滴検出方法 図4
  • 特開-誘電湿潤装置及び液滴検出方法 図5
  • 特開-誘電湿潤装置及び液滴検出方法 図6
  • 特開-誘電湿潤装置及び液滴検出方法 図7
  • 特開-誘電湿潤装置及び液滴検出方法 図8
  • 特開-誘電湿潤装置及び液滴検出方法 図9
  • 特開-誘電湿潤装置及び液滴検出方法 図10
  • 特開-誘電湿潤装置及び液滴検出方法 図11
  • 特開-誘電湿潤装置及び液滴検出方法 図12
  • 特開-誘電湿潤装置及び液滴検出方法 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022058180
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】誘電湿潤装置及び液滴検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/00 20060101AFI20220404BHJP
   G01N 27/22 20060101ALI20220404BHJP
   G01N 35/08 20060101ALI20220404BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20220404BHJP
   C12M 1/34 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
G01N27/00 Z
G01N27/22 B
G01N35/08 B
G01N37/00 101
C12M1/34 Z
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021127840
(22)【出願日】2021-08-03
(31)【優先権主張番号】63/085385
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/085368
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/137597
(32)【優先日】2021-01-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520480382
【氏名又は名称】富佳生技股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】520352481
【氏名又は名称】深超光電(深セン)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】特許業務法人SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黄 鴻運
(72)【発明者】
【氏名】黄 志倫
(72)【発明者】
【氏名】謝 仁欽
(72)【発明者】
【氏名】李 俊畿
(72)【発明者】
【氏名】翁 裕復
【テーマコード(参考)】
2G058
2G060
4B029
【Fターム(参考)】
2G058DA02
2G058DA09
2G058EA14
2G058GE10
2G060AA05
2G060AA15
2G060AA19
2G060AD06
2G060AF10
2G060AG11
2G060AG14
2G060FA10
2G060HC10
2G060KA05
4B029AA07
4B029BB20
4B029CC01
4B029FA12
4B029HA05
(57)【要約】
【課題】持参する回路により液滴の位置及び大きさを正確に判断することができる誘電湿潤装置及び液滴検出方法を提供する。
【解決手段】前記誘電湿潤装置は、検出チップと、電源切換モジュールと、検出モジュールと、判断モジュールと、を備える。検出チップは、複数の駆動電極及び検出電極を含み、各駆動電極は、検出電極と結合して駆動回路を構成する可能である。電源切換モジュールは、第1電圧、第2電圧及び第3電圧の中の少なくとも1つを指定された駆動電極に出力する。検出モジュールは、検出電圧をリアルタイムに取得し、且つ1つの電圧サイクルにおいて検出電圧がピーク電圧から基準電圧に回復するまでの回復時間を算出する。判断モジュールは、前記回復時間を取得し、且つ前記回復時間に基づいて液滴の位置及び大きさを判断する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出チップと、電源切換モジュールと、検出モジュールと、判断モジュールと、を備え、
前記検出チップは、液滴を担持するためのチャンネルと、前記チャンネルの対向する両側に設けられる駆動回路と、を含み、
前記駆動回路は、前記チャンネルの一方側に設けられた複数の駆動電極と、前記チャンネルの前記駆動電極と反対する側に設けられる検出電極とを含み、
各前記駆動電極は、前記検出電極と結合して、前記駆動回路を形成することが可能であり、
前記電源切換モジュールは、複数の前記駆動電極と電気的に接続され、指定された前記駆動電極に対して第1電圧、第2電圧及び第3電圧の中の少なくとも1つを出力し、
前記第1電圧と前記第2電圧とは、前記液滴の移動を駆動するためのものであり、
前記第3電圧は、前記駆動電極と前記検出電極との間を結合させて、前記検出電極に検出電圧を出力させ、
前記検出モジュールは、前記検出電極に電気的に接続され、前記検出電圧をリアルタイムに取得し、且つ1つの電圧サイクル内において、前記検出電圧がピーク電圧から基準電圧に回復するまでの回復時間を算出し、
前記判断モジュールは、前記検出モジュールと通信可能に接続されて、前記回復時間を取得し、且つ前記回復時間の長短に基づいて前記液滴の位置を判断することを特徴とする誘電湿潤装置。
【請求項2】
前記判断モジュールは、前記液滴の位置を判断する時に、さらに前記液滴の大きさを確定することを特徴とする請求項1に記載の誘電湿潤装置。
【請求項3】
前記第1電圧は、正の電圧であり、前記第2電圧は、負の電圧であり、前記第3電圧は、連続四角波パルス電圧であることを特徴とする請求項1に記載の誘電湿潤装置。
【請求項4】
前記駆動電極のそれぞれは、第1タイミング、第2タイミング及び第3タイミングのいずれか1つにあり、
前記電源切換モジュールは、前記第1タイミングにある前記駆動電極に前記第1電圧を出力し、前記電源切換モジュールは、前記第2タイミングにある前記駆動電極に前記第2電圧を出力し、前記電源切換モジュールは、前記第3タイミングにある前記駆動電極に前記第3電圧を出力することを特徴とする請求項3に記載の誘電湿潤装置。
【請求項5】
各々の前記駆動電極は、第4タイミング又は第5タイミングにあり、前記電源切換モジュールは、前記第4タイミングにある前記駆動電極に前記第1電圧及び前記第3電圧を出力し、前記電源切換モジュールは、前記第5タイミングにある前記駆動電極に前記第2電圧及び前記第3電圧を出力することを特徴とする請求項3に記載の誘電湿潤装置。
【請求項6】
前記駆動回路は、前記駆動電極の前記検出電極に近い側に設けられる第1誘電層と、前記検出電極の前記駆動電極に近い側に設けられる第2誘電層と、を含むことを特徴とする請求項1に記載の誘電湿潤装置。
【請求項7】
前記検出チップは、チップケースをさらに含み、前記チップケースは、第1蓋板と、スペーサー層と、第2蓋板とを含み、前記スペーサー層の対向する両面は、それぞれ、前記第1蓋板と前記第2蓋板とに隣接しており、前記第1蓋板と、前記スペーサー層と、前記第2蓋板とは、共同で前記チャンネルを取り囲むように形成し、
複数の前記駆動回路は、前記第2蓋板における前記チャンネルに近い側の表面にアレイ状に配列され、
前記検出電極は、前記第2蓋板における前記チャンネルに近い側の表面に設けられることを特徴とする請求項1に記載の誘電湿潤装置。
【請求項8】
請求項1~7の何れか一項に記載の誘電湿潤装置の液滴検出方法であって、
前記液滴検出方法は、液滴移動の制御ステップと液滴検出の制御ステップとを含み、
前記液滴移動の制御ステップは、前記駆動電極の各々に前記第1電圧及び前記第2電圧を供給し、前記第1電圧及び前記第2電圧によって前記液滴を移動させることを含み、
前記液滴検出の制御ステップは、前記検出電極と前記駆動電極とが結合するように指定された前記駆動電極に第3電圧を供給し、且つ前記検出電極を介して検出電圧を出力すること、
前記検出電圧をリアルタイムに取得し、且つ1つの電圧サイクル内において、前記検出電圧がピーク電圧から基準電圧に回復するまでの回復時間を算出すること、及び
前記回復時間を取得し、且つ前記回復時間の長短に基づいて前記液滴の位置を判断することを含むことを特徴とする液滴検出方法。
【請求項9】
前記液滴の位置を判断する時に、さらに前記液滴の大きさを確定することを特徴とする請求項8に記載の液滴検出方法。
【請求項10】
前記第1電圧は、正の電圧であり、前記第2電圧は、負の電圧であり、前記第3電圧は、連続四角波パルス電圧であることを特徴とする請求項8に記載の液滴検出方法。
【請求項11】
前記駆動電極の各々は、第1タイミングと、第2タイミングと、第3タイミングとのいずれかにあり、前記液滴移動の制御ステップと前記液滴検出の制御ステップとが時間分けに行われ、
前記液滴移動の制御ステップは、前記第1タイミングにある前記駆動電極に前記第1電圧を出力し、前記第2タイミングにある前記駆動電極に前記第2電圧を出力して、前記液滴が前記第2タイミングにある前記駆動電極から前記第1タイミングにある前記駆動電極まで移動するように前記液滴を駆動し、
前記液滴検出の制御ステップは、
前記検出電極と前記駆動電極とが結合するように、前記第3タイミングにある前記駆動電極に前記第3電圧を供給し、且つ前記検出電極を介して検出電圧を出力することと、
前記検出電圧をリアルタイムに取得し、且つ1つの電圧サイクル内において、前記検出電圧がピーク電圧から基準電圧に回復するまでの回復時間を算出することと、
前記回復時間を取得し、且つ前記回復時間の長短に基づいて前記液滴の移動が成功したか否かを判断することと、
を含むことを特徴とする請求項10に記載の液滴検出方法。
【請求項12】
前記駆動電極の各々は、第4タイミングまたは第5タイミングにあり、前記液滴移動の制御ステップと前記液滴検出の制御ステップとが同時に行われ、
前記液滴移動の制御ステップは、前記第4タイミングにある前記駆動電極に前記第1電圧と前記第3電圧とを出力し、前記第5タイミングにある前記駆動電極に前記第2電圧と前記第3電圧とを出力して、前記液滴が前記第5タイミングにある前記駆動電極から前記第4タイミングにある前記駆動電極まで移動するように前記液滴を駆動し、
前記液滴検出の制御ステップは、
前記検出電極と前記駆動電極とが結合するように、前記第4タイミングにある前記駆動電極と前記第5タイミングにある前記駆動電極とにそれぞれ前記第3電圧を出力し、且つ前記検出電極を介して検出電圧を出力することと、
前記検出電圧をリアルタイムに取得し、且つ1つの電圧サイクル内において、前記検出電圧がピーク電圧から基準電圧に回復するまでの回復時間を算出することと
前記回復時間を取得し、且つ前記回復時間の長短に基づいて前記液滴が前記第5タイミングにある前記駆動電極から前記第4タイミングにある前記駆動電極まで移動されたか否かを判断することと、
を含むことを特徴とする請求項10に記載の液滴検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、核酸検出の技術分野に関し、特に、誘電湿潤装置及び液滴検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の核酸拡張反応は、通常、誘電湿潤(Electrowetting-On-Dielectric)原理を用いて検査待ちの液体の移動を実現している。EWOD装置における検体を含む液滴は、電極により駆動されて所定の経路で移動し、核酸拡張などの関連措置を完了する。
【0003】
従来のEWOD装置は、使用過程において、液滴の位置をモニタリングすることができず、液滴が所定経路で移動しているか否かを確保できない。EWOD装置に異常状況(例えば、液滴のサイズが大きすぎたり、小さすぎたり、異常電荷が持ち込まれたり、環境への不純物導入や静電気、温湿度の変化など)が発生して、液滴が所定の経路で移動できなくなるが、オペレータが知ることができず、EWOD装置が運転し続けると、核酸拡張反応が完了せず、デバイスの信頼性が低下することを招く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、上記欠陥の少なくともいずれかを克服するために、誘電湿潤装置を提供する必要がある。
【0005】
また、本発明は、上記の誘電湿潤装置を用いた液滴検出方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る誘電湿潤装置は、検出チップと、電源切換モジュールと、検出モジュールと、判断モジュールと、を備え、前記検出チップは、液滴を担持するためのチャンネルと、前記チャンネルの対向する両側に設けられる駆動回路と、を含み、前記駆動回路は、前記チャンネルの一方側に設けられた複数の駆動電極と、前記チャンネルの前記駆動電極と反対する側に設けられる検出電極とを含み、各前記駆動電極は、前記検出電極と結合して、前記駆動回路を形成することが可能であり、前記電源切換モジュールは、複数の前記駆動電極と電気的に接続され、指定された前記駆動電極に対して第1電圧、第2電圧及び第3電圧の中の少なくとも1つを出力し、前記第1電圧と前記第2電圧とは、前記液滴の移動を駆動するためのものであり、前記第3電圧は、前記駆動電極と前記検出電極との間を結合させて、前記検出電極に検出電圧を出力させる。前記検出モジュールは、前記検出電極に電気的に接続され、前記検出電圧をリアルタイムに取得し、且つ1つの電圧サイクル内において、前記検出電圧がピーク電圧から基準電圧に回復するまでの回復時間を算出し、前記判断モジュールは、前記検出モジュールと通信可能に接続されて、前記回復時間を取得し、且つ前記回復時間の長短に基づいて前記液滴の位置を判断する。
【0007】
本願の実施形態では、前記判断モジュールは、前記液滴の位置を判断する時に、さらに前記液滴の大きさを確定する。
【0008】
本願の実施形態では、前記第1電圧は、正の電圧であり、前記第2電圧は、負の電圧であり、前記第3電圧は、連続四角波パルス電圧である。
【0009】
本願の実施形態では、前記駆動電極のそれぞれは、第1タイミング、第2タイミング及び第3タイミングのいずれか1つにあり、
前記電源切換モジュールは、前記第1タイミングにある前記駆動電極に前記第1電圧を出力し、前記電源切換モジュールは、前記第2タイミングにある前記駆動電極に前記第2電圧を出力し、前記電源切換モジュールは、前記第3タイミングにある前記駆動電極に前記第3電圧を出力する。
【0010】
本願の実施形態では、各々の前記駆動電極は、第4タイミング又は第5タイミングにあり、前記電源切換モジュールは、前記第4タイミングにある前記駆動電極に前記第1電圧及び前記第3電圧を出力し、前記電源切換モジュールは、前記第5タイミングにある前記駆動電極に前記第2電圧及び前記第3電圧を出力する。
【0011】
本願の実施形態では、前記駆動回路は、前記駆動電極の前記検出電極に近い側に設けられる第1誘電層と、前記検出電極の前記駆動電極に近い側に設けられる第2誘電層と、を含む。
【0012】
本願の実施形態では、前記検出チップは、チップケースをさらに含み、前記チップケースは、第1蓋板と、スペーサー層と、第2蓋板とを含み、前記スペーサー層の対向する両面は、それぞれ、前記第1蓋板と前記第2蓋板とに隣接しており、前記第1蓋板と、前記スペーサー層と、前記第2蓋板とは、共同で前記チャンネルを取り囲むように形成し、
複数の前記駆動回路は、前記第1蓋板における前記チャンネルに近い側の表面にアレイ状に配列され、
前記検出電極は、前記第2蓋板における前記チャンネルに近い側の表面に設けられる。
【0013】
また、本発明に係る上述したような誘電湿潤装置の液滴検出方法は、液滴移動の制御ステップと液滴検出の制御ステップとを含み、
前記液滴移動の制御ステップは、前記駆動電極の各々に前記第1電圧及び前記第2電圧を供給し、前記第1電圧及び前記第2電圧によって前記液滴を移動させることを含み、
前記液滴検出の制御ステップは、前記検出電極と前記駆動電極とが結合するように指定された前記駆動電極に第3電圧を供給し、且つ前記検出電極を介して検出電圧を出力すること、
前記検出電圧をリアルタイムに取得し、且つ1つの電圧サイクル内において、前記検出電圧がピーク電圧から基準電圧に回復するまでの回復時間を算出すること、及び
前記回復時間を取得し、且つ前記回復時間の長短に基づいて前記液滴の位置を判断する。
【0014】
本願の実施形態では、前記液滴検出方法は、前記液滴の位置を判断する時に、さらに前記液滴の大きさを確定する。
【0015】
本願の実施形態では、前記第1電圧は、正の電圧であり、前記第2電圧は、負の電圧であり、前記第3電圧は、連続四角波パルス電圧である。
【0016】
本願の実施形態では、前記駆動電極の各々は、第1タイミングと、第2タイミングと、第3タイミングとのいずれかにあり、前記液滴移動の制御ステップと前記液滴検出の制御ステップとが時間分けに行われ、
前記液滴移動の制御ステップは、前記第1タイミングにある前記駆動電極に前記第1電圧を出力し、前記第2タイミングにある前記駆動電極に前記第2電圧を出力して、前記液滴が前記第2タイミングにある前記駆動電極から前記第1タイミングにある前記駆動電極まで移動するように前記液滴を駆動し、
前記液滴検出の制御ステップは、前記検出電極と前記駆動電極とが結合するように、前記第3タイミングにある前記駆動電極に前記第3電圧を供給し、且つ前記検出電極を介して検出電圧を出力することと、
前記検出電圧をリアルタイムに取得し、且つ1つの電圧サイクル内において、前記検出電圧がピーク電圧から基準電圧に回復するまでの回復時間を算出することと、
前記回復時間を取得し、且つ前記回復時間の長短に基づいて前記液滴の移動が成功したか否かを判断することと、を含む。
【0017】
本願の実施形態では、前記駆動電極の各々は、第4タイミングまたは第5タイミングにあり、前記液滴移動の制御ステップと前記液滴検出の制御ステップとが同時に行われ、
前記液滴移動の制御ステップは、前記第4タイミングにある前記駆動電極に前記第1電圧と前記第3電圧とを出力し、前記第5タイミングにある前記駆動電極に前記第2電圧と前記第3電圧とを出力して、前記液滴が前記第5タイミングにある前記駆動電極から前記第4タイミングにある前記駆動電極まで移動するように前記液滴を駆動し、
前記液滴検出の制御ステップは、
前記検出電極と前記駆動電極とが結合するように、前記第4タイミングにある前記駆動電極と前記第5タイミングにある前記駆動電極とにそれぞれ前記第3電圧を出力し、且つ前記検出電極を介して検出電圧を出力することと、
前記検出電圧をリアルタイムに取得し、且つ1つの電圧サイクル内において、前記検出電圧がピーク電圧から基準電圧に回復するまでの回復時間を算出することと、
前記回復時間を取得し、且つ前記回復時間の長短に基づいて前記液滴が前記第5タイミングにある前記駆動電極から前記第4タイミングにある前記駆動電極まで移動されたか否かを判断することと、を含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明によって提供される誘電湿潤装置100は、従来技術に比べ、持参する回路によって、自容式容量誘導技術を用いてチャンネル内の液滴aを自分で検出する。具体的には、駆動回路3における検出電圧Voutの回復時間Tの長短に基づいて、検出チップ10における液滴aが所定の経路に沿って移動に成功したか否か、及び、液滴aの具体的な位置や液滴の大きさを正確に判定することができる。この誘電湿潤装置100の液滴検出原理が簡単であり、検出方法が簡単であり、操作し易く、検査が精確であり、効率が高い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る検出チップの概略構成図である。
図2】本発明の一実施形態に係る誘電湿潤装置の回路構成を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に係る誘電湿潤装置の電気回路の模式図である。
図4】本発明の一実施形態に係る誘電湿潤装置における駆動回路の等価回路の模式図である。
図5】本発明の一実施形態に係る誘電湿潤装置における駆動回路の電圧が時間とともに変化する曲線図である。
図6】本発明の一実施形態に係る電源電圧がそれぞれ第1タイミング、第2タイミング及び第3タイミングにあるときの電源電圧の曲線図である。
図7】本発明の一実施形態による液滴駆動と液滴検出との過程を示す模式図である。
図8】本発明の他の実施形態による液滴駆動と液滴検出との過程を示す模式図である。
図9】本発明の一実施形態に係る電源電圧がそれぞれ第4タイミング及び第5タイミングにある時の電源電圧の曲線図である。
図10】本発明のさらに別の実施形態による液滴駆動及び液滴検出の過程を示す模式図である。
図11】本発明の一実施形態による液滴の大きさを検出する場合の模式図である。
図12】本発明の一実施形態による液滴の大きさを検出する場合の模式図である。
図13】本発明の一実施形態による液滴の大きさを検出する場合の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態における図面を参照しながら、本発明の実施形態における技術的な態様を明確にし、完全に説明するが、説明した実施形態は、全ての実施形態ではなく、本発明の一部の実施形態にすぎないことは明らかである。
【0021】
あるコンポーネントが他のコンポーネントに「固定される」と称される場合、それは他のコンポーネントに直接に存在してもよく、中間媒体が存在してもよい。あるコンポーネントが他のコンポーネントに「接続」と見なされる場合、それは直接に他のコンポーネントに接続されてもよく、同時に中間媒体が存在してもよい。あるコンポーネントが他のコンポーネントに「設けられる」と見なされる場合、それは直接に他のコンポーネントに設けられてもよく、同時に中間媒体が存在してもよい。本明細書で使用される用語「垂直」、「水平」、「左」、「右」及びそれに類似する表現は、説明の目的のためだけに使用される。
【0022】
以下に説明するシステムの実施形態は、単に概略的であり、前述のモジュールまたは回路の区分は、単なる論理的な機能の区分であり、実際に実現する場合は別の区分があってもよい。また、「含む」という語は他のユニットやステップを排除せず、単数は複数を排除しない。システム請求項に記載の複数のユニットまたは装置は、ソフトウェアまたはハードウェアを介して同じユニットまたはデバイスによっても実現されうる。第1、第2などの言葉は名前を表しているが、特定の順序を表していない。
【0023】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術及び科学用語は、本発明の技術分野に属する技術者が一般的に理解する意味と同じである。本明細書で使用される用語は、具体的な実施形態を説明する目的だけであり、本発明を限定することを意味するものではない。本明細書で使用される用語「及び/または」は、1つまたは複数の関連する列項目の任意及びすべての組み合わせを含む。
【0024】
図1に示すように、本発明の検出チップ10は、チップケース1と、チャンネル2と、駆動回路3と、を備える。チャンネル2は、チップケース1内に設けられて、検体(例えば核酸サンプル)を含む液滴aを載置するためのものである。液滴aは、チャンネル2内で核酸拡張反応を行なうことができる。チップケース1は、第1蓋板11と、スペーサー層12と、第2蓋板13と、を備える。スペーサー層12の対向する両面は、それぞれ、第1蓋板11と第2蓋板13とに隣接している。第1蓋板11と、スペーサー層12と、第2蓋板13とは、共同でチャンネル2を取り囲むように形成する。駆動回路3は、液滴aが所定の経路に沿って移動して、チャンネル2内で核酸拡張反応が完了するように、駆動する。
【0025】
駆動回路3は、第1蓋板11におけるチャンネル2に近い側の表面に設けられた複数の駆動電極31と、駆動電極31の第2蓋板13に近接する側に設けられる第1誘電層33と、第2蓋板13におけるチャンネル2に近い側の表面に設けられた検出電極32と、検出電極32の第1蓋板11に近接する側に設けられる第2誘電層34と、を含む。明らかに、駆動電極31と検出電極32とは、チャンネル2の両側に対向するように設けられている。駆動電極31と検出電極32とをオンまたはオフさせることにより、液滴aがチャンネル2内で所定の経路に沿って移動することを実現できる。
【0026】
本実施形態では、図1に示すように、駆動回路3は、アレイ状に配列された複数の駆動電極31と、第2蓋板13におけるチャンネル2に近い側の表面に設けられる導電層と、を含む。前述の導電層は、検出電極32として機能する。
【0027】
本実施形態では、駆動電極31は、第1蓋板11のチャンネル2に近い側に設けられている。具体的には、金属エッチング方法またはメッキの手法を用いて駆動電極31を形成することができる。
【0028】
具体的には、駆動回路3は、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor,TFT)駆動回路である。また、液滴aが導電性であるため、誘電濡れの原理を併せて、液滴aがチャンネル2内を所定の経路で移動することができる。TFTの原理により、ある駆動電極31と検出電極32との間の回路を選択的にオンまたはオフすることにより、駆動電極31と検出電極32との間の電圧を変化させ、さらに、液滴aと、第1誘電層33及び第2誘電層34との間の濡れ特性を変化させ、液滴aがチャンネル2内を所定の経路で移動するように制御する。以下の実施例においては、説明の便宜上、駆動電極31が3つの電極、例えば電極A、電極B及び電極Cを含むことを例として、液滴aがチャンネル2内を所定の経路で移動する原理について説明する。
【0029】
図1に示すように、液滴aは、電極A、電極B及び電極Cを移動することができる。液滴aが電極Aにある場合、電極Bと検出電極32との間に電圧が印加されることにより、電極Aと検出電極32との間の電圧を遮断するとともに、電極Bに電圧を印加する。このとき、液滴aと、第1誘電層33及び第2誘電層34との間の濡れ特性は変化し、電極Aと液滴aとの間の液-固接触角が大きくなり、電極Bと液滴aとの間の液-固接触角が小さくなり、電極Aから電極Bへの液滴aの移動を促す。
【0030】
明らかに、検出チップ10における液滴駆動の原理は、電圧によって誘電層の親疎水性を変化させ、さらに誘電層上の液滴aが誘電層を吸着する能力を変化させることにより、液滴aの移動を促す。従って、検出チップ10が使用中に、液滴aが所定の経路で移動すること及び液滴aの大きさを確保するために、液滴aを検出して液滴aの具体的な位置を特定する必要がある。
【0031】
なお、図2及び図3に示すように、本発明の実施形態に係る誘電湿潤装置100は、検出チップ10と、電源切換モジュール20と、検出モジュール30と、判断モジュール40と、を備える。
【0032】
電源切換モジュール20は、複数の駆動電極31に電気的に接続されており、指定された駆動電極31に対して、第1電圧V、第2電圧V及び第3電圧Vの少なくとも1つを含む電源電圧Vinを出力する。第1電圧V及び第2電圧Vは、液滴aを移動させるために駆動する。第3電圧Vは、検出電極32が検出電圧Vout(即ち、結合電圧)を出力するように、駆動電極31と検出電極32との間にカップリングが発生させる。
【0033】
検出モジュール30は、検出電極32と電気的に接続され、検出電圧Voutをリアルタイムで取得し、且つ1つの電圧サイクル内で検出電圧Voutがピーク電圧Vから基準電圧Vに回復するまでの回復時間Tを算出する。
【0034】
判断モジュール40は、検出モジュール30と通信可能に接続されて、繰り返し時間Tを取得し、且つ繰り返し時間Tの長短に基づいて、液滴aの位置を判断する。判断モジュール40は、検出チップ10における液滴aの位置を判断する時に、液滴aの大きさをさらに判定してもよい(後に詳述する)。
【0035】
図4は、図3に示した回路の等価回路図である。勿論、本願では、誘電湿潤装置100は、上記した電源切換モジュール20、検出モジュール30、判断モジュール40を含む他に、検出チップ10内の第1誘電層33、第2誘電層34、及びチャンネル2内の空気が何れも駆動回路3において等価容量を形成する。具体的には、第1誘電層33は、駆動回路3において等価な第1誘電層容量Cdi-Bを形成する。第2誘電層34は、駆動回路3において等価な第2誘電層容量Cdi-Tを形成する。第1誘電層33と第2誘電層34との間のチャンネル2内にシリコーンオイルが充填されると、シリコーンオイルの添加により、形成された等価な液体容量Cliquid-1の値が変化する。駆動電極31に液滴aが存在すると、形成された等価な液体容量C1iquid-2の値は、液滴aの添加に応じて変化する。ここで、各々の駆動電極31が所在する駆動回路3において、第1誘電層容量Cdi-B、空気容量Cair、及び第2誘電層容量Cdi-Tがこの順に直列に接続される。第1誘電層容量Cdi-Bの空気容量Cairから遠い方の一端には、駆動電極31が接続される。第2誘電層容量Cdi-Tの空気容量Cairから遠い方の一端には、検出電極32が接続されている。
【0036】
本実施形態では、第1電圧Vは正の電圧であり、第2電圧Vは負の電圧である。液滴aが位置する駆動電極31に負の電圧を印加し、液滴aが位置する駆動電極31の次の駆動電極31に正の電圧を印加すると、誘電濡れの原理により、液滴aが所定の経路に従って移動する。第3電圧Vは、連続四角波パルス電圧であり、ある駆動電極31に連続四角波パルス電圧を印加することで、液滴aが駆動電極31にあるか否かを判断し、さらに、液滴aの位置及び大きさを確定することができる。
【0037】
なお、本願実施例では、電源切換モジュール20が、コントローラ(図示せず)の制御下で、いずれかの駆動電極31をONにすることで、全ての駆動電極31について逐次に検出し、正確な検出を行い、液滴aの位置及び液滴aの大きさを精確に判断することができる。
【0038】
なお、検出電極32が検出電圧Voutを検出モジュール30に出力する時に、検出モジュール30は、リアルタイムに取得される検出電圧Voutの相対時間を曲線とし、1つの電圧サイクル(パルス周期)において、検出電圧Voutがピーク電圧Vから基準電圧Vに回復するまでの回復時間Tを算出する。次に、検出モジュール30は、回復時間Tを判断モジュール40に出力する。判断モジュール40は、回復時間Tの長短に基づいて、チャンネル2内の液滴aが具体的にどの駆動電極31にあるかを判定し、且つ液滴aの大きさをさらに特定することができる。
【0039】
以下、図2~5を併せて参照しながら、本発明が提供する液滴検出の原理を詳細に説明する。
【0040】
本発明は、異なる駆動電極31に対応する駆動回路3の容量の差異を検知することで、容量の差異に基づいて液滴aの位置及び大きさを判断することができる自己内蔵容量の容量感応技術を採用している。
【0041】
具体的な容量の計算式は、以下の通りである。
【0042】
そのうち、C1iquidはチャンネル2内の液体の容量であり、D1iquidはチャンネル2内の液体の誘電率であり、Sは単一の駆動電極31の面積であり、dは、液体の厚さであり、通常、チャンネル2の高さである。D1iquid-1は、シリコーンオイルの誘電率であり、通常2.8程度である。D1iquid-2は、液滴aの誘電率であり、一般的な核酸液滴のD2は85程度である。Cは、異なる駆動電極31の総容量である。
【0043】
本発明は、異なる駆動電極31の総容量Cの差異に基づいて、駆動電極31には液滴aの有無を判断することができる。電極Aと電極Bを例にとると、電極Aにはシリコーンオイルがあり、電極Bには液滴aがあると、電極Aが位置する回路総容量CA=Cdi-B+Cdi-T+2.8であり、電極Bが位置する回路総容量CB=Cdi-B+Cdi-T+85であり、CAとCBとの間に大きな差があるため、電極Aと電極Bとが位置する回路の総容量の差を比較すれば、液滴aの具体的な位置を判定することができる。一方、総容量の間の差は、第3電圧Vが駆動電極31と検出電極32との結合を経て形成された検出電圧Voutが、1つの電圧サイクル内にピーク電圧Vから基準電圧Vに回復するまでの回復時間Tによって判断してもよい。液滴aの誘電係数がシリコーンオイルよりも大きく、液滴aが存在する駆動電極31が位置する回路総容量は大きく、検出電圧Voutがピーク電圧Vから基準電圧Vに回復するまでの回復時間Tが長いため、液滴aが存在する駆動回路3に対応する回復時間Tと、液滴aが存在しない駆動回路3に対応する回復時間Tとの間には、時間差ΔTが1つ存在するため、回復時間Tを比較すれば、液滴aの位置を判断することができる。また、回路総容量により、液滴aが占める駆動電極31の数をさらに判定し、単一の駆動電極31の面積S及びチャンネル2の高さdを合わせて、液滴aの体積の大きさを算出することもできる。
【0044】
なお、図3図4及び図6を参照しながら、誘電湿潤装置100内において液滴移動ステップと液滴検出ステップとを時間に分けて行なうように制御する際の原理を紹介する。
【0045】
ここで、複数の駆動電極31を3種類の電極に分け、3種類の電極がそれぞれ第1タイミングT1、第2タイミングT2及び第3タイミングT3にある。この3つのタイミングは、固定的である。第1タイミングT1にある時、電源切換モジュール20は駆動電極31に正の電圧(即ち、第1電圧V)を印加する。第2タイミングT2にある時、電源切換モジュール20は、駆動電極31に負の電圧(即ち、第2電圧V)を印加する。第3タイミングT3にある時、電源切換モジュール20は、駆動電極31に連続四角波パルス電圧(即ち、第3電圧V)を印加する。しかし、液滴aの移動に伴って、各タイミングにある駆動電極31は、変化している。液滴aの直下にある駆動電極31は、第2タイミングT2にあり、液滴aの移動経路の前方と後方にある2つの駆動電極31は、それぞれ第1タイミングT1と第3タイミングT3にある。説明の便宜上、以下の実施形態では、駆動電極31が電極A、電極B、電極C、電極D、電極E及び電極Fを含む場合を例にして、液滴aがチャンネル2内を所定の経路で移動する原理を説明する。
【0046】
図4図6及び図7に示すように、一実施形態では、全ての駆動電極31に対してグループ分けを行わず、駆動電極31ごとに個別に駆動される。例えば、駆動電極31は、電極Aと、電極Bと、電極Cと、電極Dと、電極Eと、電極Fとを含む。開始時に、液滴aが電極Aに位置すると、電極A、電極C、電極D、電極E及び電極Fはともに第2タイミングT2にあり、電極Bは第1タイミングT1にあり、電源切換モジュール20が電極Bに正の電圧を印加しながら電極A、電極C、電極D、電極E及び電極Fに負の電圧を印加すると、液滴aは電極Aから電極Bに移動する。さらに、電源切換モジュール20が電極Cに正の電圧を印加しながら、電極B、電極D、電極E及び電極Fに負の電圧を印加すると、液滴は電極Bから電極Cに移動する。その後、電源切換モジュール20は、電極Aに切り換えて、電極Aに対して連続四角波パルス電圧を印加する。上記の液滴検出原理により、回復時間Tにより、液滴aが電極Aにあるか否かを判断し、さらに液滴aが移動に成功したか否かを判断することができる。こうして、液滴aが所定の経路に従って移動して、核酸拡張反応を完了するまで終わる。図4図6及び図8に示すように、他の実施形態では、全ての駆動電極31に対してグループ分けし、各グループの駆動電極31ごとに3つの電極を含んでいる。例えば、各グループの駆動電極31は、電極A、電極B及び電極Cを含む。開始時に、液滴aが電極Aに位置すると、電極Aと電極Cが第2タイミングT2にあり、電極Bが第1タイミングT1にあり、電源切換モジュール20が電極Bに正の電圧を印加しながら電極Aと電極Cに負の電圧を印加すると、液滴aは電極Aから電極Bまで移動する。さらに、電源切換モジュール20が電極Bに負の電圧を印加しながら電極Cに正の電圧を印加すると、液滴は電極Bから電極Cに移動する。その後、電源切換モジュール20は、電極Aに切り換えて、電極Aに対して連続四角波パルス電圧を印加する。上述した液滴検出原理に基づいて、回復時間Tを利用して液滴aが電極Aにあるか否かを判断し、さらに液滴aが移動に成功したか否かを判断することができる。液滴aが次のグループの駆動電極31に移動する際に上記の処理を繰り返す。複数グループの駆動電極31におけるすべての電極A、すべての電極B及びすべての電極Cが同期してオンまたはオフされるので、制御端のピン数を削減し、コストを低減することができる。
【0047】
以下、図4図9及び図10を参照しながら、誘電湿潤装置100内において液滴移動ステップと液滴検出ステップとが同時に行われるように制御する原理を説明する。
【0048】
ここで、複数の駆動電極31を2種類の電極に分ける。この2種類の電極は、それぞれ第4タイミングT4及び第5タイミングT5にある。第4タイミングT4にある時、電源切換モジュール20は、駆動電極31に正の電圧(即ち、第1電圧V)と連続四角波パルス電圧(即ち、第3電圧V)とを同時に印加する。第5タイミングT5にある時、電源切換モジュール20は、駆動電極31に負の電圧(即ち、第2電圧V)と連続四角波パルス電圧(即ち、第3電圧V)とを同時に印加する。例えば、図10に示すように、駆動電極31は、電極Aと、電極Bと、電極Cと、電極Dと、電極Eと、電極Fとを含む。開始時に、液滴aが電極Aに位置すると、電極A、電極C、電極D、電極E及び電極Fはそれぞれ第5タイミングT5にあり、電極Bは第4タイミングT4にある。電源切換モジュール20が電極Bに正の電圧と連続四角波パルス電圧とを同時に印加しながら、電極A、電極C、電極D、電極E及び電極Fに負の電圧と連続四角波パルス電圧を印加すると、液滴aは電極Aから電極Bまで移動する。上記の液滴検出原理に基づいて、回復時間Tを利用して液滴aが移動に成功したか否かを判定することができる。こうして、液滴aが所定の経路で移動して、核酸拡張反応を完成するまで終わる。本実施形態によれば、液滴aの移動と検出とを同時に行うことができ、検出効率と検出精度とを効果的に高めることができる。
【0049】
最後に、図4図11図13を参照しながら、誘電湿潤装置100内の液滴aの体積の大きさを検出する原理を説明する。
【0050】
ここで、駆動電極31毎に連続四角波パルス電圧(即ち、第3電圧V)を印加することで、前述した液滴検出原理から、回復時間Tを利用して液滴aが位置する駆動電極31の具体的な数を判断することができ、単一の駆動電極31の面積Sとチャンネル2の高さdとから、液滴aの体積の大きさを算出することができる。例えば、駆動電極31は、電極A、電極B、電極C、電極D、電極E及び電極Fを含む。そして、各駆動電極31の面積Sは、等しい。
【0051】
第1実施形態は、図11に示すように、液滴aが電極Cのみにあり、他の電極が液滴aを検出しなければ、液滴aの体積v=1S×dである。第2実施形態は、図12に示すように、液滴aが電極Cと電極Dとにあり、他の電極が液滴aを検出しなければ、液滴aの体積v=2S×dである。
【0052】
第3実施形態は、図13に示すように、液滴aの位置を検出する際に、対応する駆動電極31が位置する駆動回路3の総容量変化状況が得られ、総容量の変化状況(回復時間Tにより反映される)に応じて、駆動電極31に占める液滴aの面積の大きさを確定することができる。例えば、液滴aが電極C、電極D及び電極Eにあるが、電極Eにおける総容量の変化値が完全な液滴aの容量の半分程度であることを検出し、回復時間Tに反映されると、電極Eに対応する駆動回路3において、検出電圧Voutのピーク電圧Vが基準電圧Vに回復するまでの回復時間Tは、電極C又は電極Dに対応する回復時間Tの半分であり、液滴aの体積v=2.5S×dとなる。
【0053】
なお、液滴移動と液滴検出とが同時に行われる過程において、液滴aの体積の大きさを同期して確定でき、液滴aの体積の大きさを個別に検出する必要がなく、検出効率が高い。
【0054】
本願において、誘電湿潤装置100は、検出チップ10内の液滴aを自帯の回路で自己検出することができ、別途に検出装置を設ける必要がない。検出方法は簡単で、操作しやすく、検査が正確で、効率が高い。しかも、液滴aの具体的な位置及び液滴aの大きさの判断は、正確である。
【0055】
他の実施形態では、前述の液滴検出過程を実現可能な検出デバイスを単独で採用して、検出チップ10に対して液滴検出を行うことができる。
【0056】
また、本発明は、誘電湿潤装置100の液滴aを検出するための液滴検出方法をさらに提供する。検出する際に、液滴移動と液滴検出とが時間分けにまたは同時に行われるが、具体的な検出過程は、前述した液滴移動と液滴検出との原理説明を参照する。
【0057】
ここで、前述の液滴移動の制御ステップは、駆動電極31のそれぞれに第1電圧V及び第2電圧Vが供給されるように、電源切換モジュール20が制御され、前記第1電圧V及び第2電圧Vによって、チャンネル2内に位置する液滴aが移動するように制御することを含む。
【0058】
ここで、第1電圧Vは正の電圧、第2電圧Vは負の電圧である。電源切換モジュール20は、液滴aが位置する駆動電極31に負の電圧を供給し、液滴aの移動経路の次の駆動電極31に正の電圧を供給するとともに、他の駆動電極31に負の電圧を供給することにより、液滴aを移動させる。
【0059】
前述の液滴検出の制御ステップは、具体的に以下のステップを含む。
【0060】
第1ステップでは、検出電極32と駆動電極31とが結合するように電源切換モジュール20を制御して、指定された駆動電極31に第3電圧Vを供給し、且つ検出電極32を介して検出電圧Voutを出力する。
【0061】
第2ステップでは、検出モジュール30は、検出電極32が出力した検出電圧Voutをリアルタイムに取得し、且つ1つの電圧サイクル内において、検出電圧Voutがピーク電圧Vから基準電圧Vに回復するまでの回復時間Tを算出する。
【0062】
第3ステップでは、判断モジュール40は、回復時間Tを取得し、且つ回復時間Tの長短に基づいて、液滴aの位置を判断する。また、液滴aの位置を判断する際に、液滴aの大きさをさらに確定する。
【0063】
本発明によって提供される誘電湿潤装置100は、従来技術に比べ、持参する回路によって、自容式容量誘導技術を用いてチャンネル内の液滴aを自分で検出する。具体的には、駆動回路3における検出電圧Voutの回復時間Tの長短に基づいて、検出チップ10における液滴aが所定の経路に沿って移動に成功したか否か、及び、液滴aの具体的な位置や液滴の大きさを正確に判定することができる。この誘電湿潤装置100の液滴検出原理が簡単であり、検出方法が簡単であり、操作し易く、検査が精確であり、効率が高い。
【符号の説明】
【0064】
100 誘電湿潤装置
10 検出チップ
1 チップケース
11 第2蓋板
12 スペーサー層
13 第2蓋板
2 チャンネル
3 駆動回路
31 駆動電極
32 検出電極
33 第1誘電層
34 第2誘電層
20 電源切換モジュール
30 検出モジュール
40 判断モジュール
a 液滴
d 高さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13