(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022058278
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】有機変性粘土鉱物、オイルゲル化剤及び化粧料
(51)【国際特許分類】
C01B 33/44 20060101AFI20220404BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20220404BHJP
A61Q 1/14 20060101ALI20220404BHJP
C09K 3/00 20060101ALI20220404BHJP
C11D 1/62 20060101ALI20220404BHJP
C11D 3/12 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
C01B33/44
A61K8/25
A61Q1/14
C09K3/00 103M
C11D1/62
C11D3/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021160556
(22)【出願日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】P 2020166499
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000221797
【氏名又は名称】東邦化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】宇野 大貴
(72)【発明者】
【氏名】露崎 浩太
(72)【発明者】
【氏名】薙野 恵
【テーマコード(参考)】
4C083
4G073
4H003
【Fターム(参考)】
4C083AB441
4C083AB442
4C083AC022
4C083AC352
4C083AC422
4C083BB23
4C083BB25
4C083CC02
4C083CC22
4C083DD23
4C083DD30
4C083DD41
4C083EE01
4C083EE06
4C083EE07
4C083FF01
4G073BA02
4G073BA62
4G073BA69
4G073BA81
4G073BB03
4G073BB24
4G073BB28
4G073BB48
4G073BC02
4G073BD16
4G073BD21
4G073CM14
4G073CM15
4G073CN04
4G073FB29
4G073FC19
4G073FD01
4G073GA27
4G073UA08
4G073UB31
4H003AE06
4H003DA02
4H003EA27
4H003FA21
4H003FA30
(57)【要約】 (修正有)
【課題】水で洗い流しやすいオイルゲルを形成し、洗浄後に皮膚にみずみずしい感触を与えることのできる新規な有機変性粘土鉱物を提供すること。
【解決手段】水膨潤性粘土鉱物(A)を下記一般式(1):
〔式中、R
1は、直鎖又は分岐した炭素数12~24の飽和もしくは不飽和炭化水素基、R
2、R
3、R
4は炭素数1~3のアルキル基、nは1~5の整数、Xはハロゲン原子又は炭素数1~3のアルキル硫酸基を示す。〕
により表される第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤(B)で変性した有機変性粘土鉱物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水膨潤性粘土鉱物(A)を下記一般式(1):
〔式中、R
1は、直鎖又は分岐した炭素数12~24の飽和もしくは不飽和炭化水素基、R
2、R
3、R
4は炭素数1~3のアルキル基、nは1~5の整数、Xはハロゲン原子又は炭素数1~3のアルキル硫酸基を示す。〕
により表される第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤 (B) で変性した有機変性粘土鉱物。
【請求項2】
水膨潤性粘土鉱物(A)の無機カチオンの一部又は全部が、前記第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤(B)でイオン交換されていることを特徴とする、請求項1に記載の有機変性粘土鉱物。
【請求項3】
前記水膨潤性粘土鉱物が、スメクタイトを主成分として含有する粘土鉱物である、請求項1又は2に記載の有機変性粘土鉱物。
【請求項4】
前記水膨潤性粘土鉱物が、ベントナイト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、ラポナイト、ヘクトライト、合成ヘクトライト及び合成ベントナイトから選ばれる1種又は2種以上を主成分として含有する粘土鉱物である、請求項1~3のいずれか1項に記載の有機変性粘土鉱物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の有機変性粘土鉱物を主成分として含有するオイルゲル化剤。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1項に記載の有機変性粘土鉱物を含有する化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カチオン界面活性剤によって変性された有機変性粘土鉱物及びそれを含有するオイルゲル化剤及び化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧品原料として用いられる有機変性粘土鉱物は、なめらかでべたつかないオイルゲルを形成するという他のオイルゲル化剤にない優位性を持ち、ハンドクリームやアイライナー、ファンデーションなど様々な用途で使用されている。
【0003】
有機変性粘土鉱物は、粘土鉱物に含まれる無機カチオンの一部又は全部を有機カチオンでイオン交換することで得られる物質であり、有機カチオンに含まれる疎水基が、油分などの疎水性の有機物と親和性を有するため、疎水性の有機物中に容易に分散することができる。また有機変性粘土鉱物は、オイルなどの疎水性の有機物中でネットワーク構造を形成することで、疎水性の有機物の粘度を増加させ、ゲル化することができる。
【0004】
このような有機変性粘土鉱物としては、水膨潤性粘土鉱物に、有機アンモニウムイオンなどの有機カチオンを生じるカチオン界面活性剤を反応させて、水膨潤性粘土鉱物に含まれる無機カチオンを、有機カチオンでイオン交換して得られる有機変性粘土鉱物が広く用いられている。水膨潤性粘土鉱物にカチオン界面活性剤を反応させて得られる有機変性粘土鉱物の例は多数存在するが、例えば、スメクタイト型粘土鉱物の層間に存在するカチオンが4級カチオン性窒素を含むカチオン性界面活性剤でカチオン交換されており、且つその結晶端面が親水化処理されている変性粘土鉱物が特許文献1に開示されている。特許文献1に開示される変性粘土鉱物は、油剤に対し優れたゲル化能を有し、高い増粘性、チキソトロピー性を付与することができることも開示されている。さらに、特許文献1に開示される上記の変性粘土鉱物を含有する、保存安定性及び使用性に優れた化粧料も開示されている。
【0005】
粘土鉱物の変性に使用されるカチオン界面活性剤の例として、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩等の第四級アンモニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、イミダゾリウム塩、及びピリジニウム塩が挙げられる(特許文献2~5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9-2816号公報
【特許文献2】特開平7-187657号公報
【特許文献3】特開2003-95640号公報
【特許文献4】特開2009-173496号公報
【特許文献5】特開2014-051419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の有機変性粘土鉱物を配合したオイルゲルは、水で洗い流しにくく、皮膚に油性感が残るため、適用される化粧料はマスカラや日焼け止めクリームなどに限定されていた。
そこで、本発明は、水で洗い流しやすいオイルゲルを形成し、洗浄後に皮膚にみずみずしい感触を与えることのできる新規な有機変性粘土鉱物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
油分が増粘する機構としては、有機変性粘土鉱物の他、界面活性剤と複合体を形成することでオイルゲルを構築すると考えられている。本発明者らは、粘土表面を変性するカチオン界面活性剤を変更することでオイルゲルの特性を変化させることを着想し、ヒドロキシエーテル型カチオン界面活性剤を使用して粘土表面を変性させた場合、従来の有機変性粘土鉱物より、しっとり感やみずみずしさ等の感触の改良が期待できると考え、本発明に至った。
【0009】
即ち本発明は、以下の<1>~<6>に関するものである。
<1>水膨潤性粘土鉱物(A)を下記一般式(1):
〔式中、R
1は、直鎖又は分岐した炭素数12~24の飽和もしくは不飽和炭化水素基、R
2、R
3、R
4は炭素数1~3のアルキル基、nは1~5の整数、Xはハロゲン原子又は炭素数1~3のアルキル硫酸基を示す。〕
により表される第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤 (B) で変性した有機変性粘土鉱物。
<2>水膨潤性粘土鉱物(A)の無機カチオンの一部又は全部が、前記第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤(B)でイオン交換されていることを特徴とする、<1>に記載の有機変性粘土鉱物。
<3>前記水膨潤性粘土鉱物が、スメクタイトを主成分として含有する粘土鉱物である、<1>又は<2>に記載の有機変性粘土鉱物。
<4>前記水膨潤性粘土鉱物が、ベントナイト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、ラポナイト、ヘクトライト、合成ヘクトライト及び合成ベントナイトから選ばれる1種又は2種以上を主成分として含有する粘土鉱物である、<1>~<3>のいずれか1項に記載の有機変性粘土鉱物。
<5><1>~<4>のいずれか1項に記載の有機変性粘土鉱物を主成分として含有するオイルゲル化剤。
<6><1>~<4>のいずれか1項に記載の有機変性粘土鉱物を含有する化粧料。
【発明の効果】
【0010】
本発明の有機変性粘土鉱物をオイルの増粘剤又はゲル化剤として使用することで、水で洗い流しやすく、皮膚にみずみずしい感触を与えるオイルゲルを形成し、クレンジングオイルを始め、様々な形態の化粧料に配合することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0012】
まず、本発明による有機変性粘土鉱物について説明する。本発明による有機変性粘土鉱物においては、水膨潤性粘土鉱物の無機カチオンの一部又は全部が、第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤でイオン交換されている。
【0013】
本発明による有機変性粘土鉱物に使用される水膨潤性粘土鉱物(A)は、結晶性ケイ酸塩を含む層と、Al、Mg等の金属を中心とした層とが積み重なった、層状結晶性ケイ酸塩鉱物であり、例えば、ベントナイト、モンモリロナイト、バイデライト、へクトライト、サポナイト、スチブンサイト、ソーコナイト、ノントロナイト等のスメクタイト系粘土鉱物、または、バーミキュライト、ハロイサイト、膨潤性雲母などの天然粘土又は合成粘土を挙げることができる。水膨潤性粘土鉱物としては、ポーラゲル(アメリカンコロイド社製)、ラポナイト(日本シリカ社製)、ベンゲル(豊順鉱業社製)、ルーセンタイト(コープケミカル社製)、クニピア(クニミネ工業社製)、ベンクレイ(水澤化学工業社製)、ビーガム(バンダービルト社製)等の商品名で市販されているものを使用することができる。ここで、本発明に使用される粘土鉱物は、上記粘土鉱物を単独または組み合わせて用いることができる。
【0014】
水膨潤性粘土鉱物は、一般に層状の結晶構造を有し、層間にはNa+、K+、Mg2+、Ca2+などの無機カチオンが存在する。これら粘土鉱物の無機カチオンの一部又は全部は、粘土鉱物のSi-O-基の酸素原子にイオン結合しているか、又は遊離の無機カチオンとして粘土鉱物の層間に存在する。有機変性粘土鉱物においては、これらの無機カチオンの一部又は全部が、特定の有機カチオンでイオン交換される。このような有機カチオンも、粘土鉱物のSi-O-基の酸素原子にイオン結合しているか、又は遊離の有機カチオンとして粘土鉱物の層間又は表面に存在する。
【0015】
次に、本発明による有機変性粘土鉱物において、粘土鉱物の無機カチオンの一部又は全部をイオン交換する有機カチオンは、下記一般式(1)で表される第4級アンモニウム塩型のカチオン界面活性剤(B)(以下、「ヒドロキシエーテル型カチオン界面活性剤」ともいう。)から生じる有機カチオンである。
〔式中、R
1は、直鎖又は分岐した炭素数12~24の飽和もしくは不飽和炭化水素基、R
2、R
3、R
4は炭素数1~3のアルキル基、nは1~5の整数、Xはハロゲン原子又は炭素数1~3のアルキル硫酸基を示す。〕
【0016】
ヒドロキシエーテル型カチオン界面活性剤としては、前記一般式(1)中のR1が炭素数12~24のアルキル基、特に炭素数18~22のアルキル基であるものが好ましく、R2~R4が炭素数1~3のアルキル基、特にメチル基が好ましく、nが1~5、特に1であるものが好ましく、X-はハロゲンイオン又は炭素数1~3のアルキル硫酸イオンであるものが好ましい。具体的には、ラウリルPGトリモニウムクロリド、ミリスチルPGトリモニウムクロリド、パルミチルPGトリモニウムクロリド、セチルPGトリモニウムクロリド、セトステアリルPGトリモニウムクロリド、ステアリルPGトリモニウムクロリド、アラキルPGトリモニウムクロリド、ベヘニルPGトリモニウムクロリド、カルナービルPGトリモニウムクロリド、オレイルPGトリモニウムクロリド、エライジルPGトリモニウムクロリド、リノレイルPGトリモニウムクロリド、リノレニルPGトリモニウムクロリド、ラウリルPGトリモニウムブロミド、ミリスチルPGトリモニウムブロミド、パルミチルPGトリモニウムブロミド、セチルPGトリモニウムブロミド、セトステアリルPGトリモニウムブロミド、ステアリルPGトリモニウムブロミド、アラキルPGトリモニウムブロミド、ベヘニルPGトリモニウムブロミド、カルナービルPGトリモニウムブロミド、オレイルPGトリモニウムブロミド、エライジルPGトリモニウムブロミド、リノレイルPGトリモニウムブロミド、リノレニルPGトリモニウムブロミド、ラウリルPGトリモニウムエトサルフェート、ミリスチルPGトリモニウムエトサルフェート、パルミチルPGトリモニウムエトサルフェート、セチルPGトリモニウムエトサルフェート、セトステアリルPGトリモニウムエトサルフェート、ステアリルPGトリモニウムエトサルフェート、アラキルPGトリモニウムエトサルフェート、ベヘニルPGトリモニウムエトサルフェート、カルナービルPGトリモニウムエトサルフェート、オレイルPGトリモニウムエトサルフェート、エライジルPGトリモニウムエトサルフェート、リノレイルPGトリモニウムエトサルフェート、リノレニルPGトリモニウムエトサルフェート、ラウリルPGトリモニウムメトサルフェート、ミリスチルPGトリモニウムメトサルフェート、パルミチルPGトリモニウムメトサルフェート、セチルPGトリモニウムメトサルフェート、セトステアリルPGトリモニウムメトサルフェート、ステアリルPGトリモニウムメトサルフェート、アラキルPGトリモニウムメトサルフェート、ベヘニルPGトリモニウムメトサルフェート、カルナービルPGトリモニウムメトサルフェート、オレイルPGトリモニウムメトサルフェート、エライジルPGトリモニウムメトサルフェート、リノレイルPGトリモニウムメトサルフェート、リノレニルPGトリモニウムメトサルフェート等のヒドロキシエーテル型カチオンが挙げられる。本発明では、上記一般式(1)で表されるヒドロキシエーテル型カチオンの1種又は2種以上を任意に用いることができる。
【0017】
ヒドロキシエーテル型カチオン界面活性剤の製造方法としては、例えば特開2004-323496号公報に記載されている方法で製造することができるが、その他公知の方法を用いても良い。
【0018】
次に、本発明による有機変性粘土鉱物の製造方法について説明する。原料の粘土鉱物とヒドロキシエーテル型カチオン界面活性剤を反応させる方法は特に限定されないが、水等の水系溶媒中で粘土鉱物とカチオン界面活性剤を混合して反応を行う方法や、粘土鉱物が分散した水系溶媒とカチオン界面活性剤が溶解した有機溶媒の2相の界面で接触反応させる方法、あるいは原料の粘土とカチオン界面活性剤を無溶媒で反応させる方法等が挙げられ、それぞれ公知の種々の方法を採用できる。
【0019】
本発明の有機変性粘土鉱物は、エステル油や炭化水素油、シリコーン油などの常温(25℃)で液状の油分中において容易に分散し、その粘度を増加させることができるため、液状油分に対する増粘剤又はゲル化剤などに利用することができる。例えば、本発明による有機変性粘土鉱物を化粧料に含まれるオイルの増粘剤又はゲル化剤として使用することで、化粧料として好適に使用できるオイルゲルを形成する。オイルゲル中の有機変性粘土鉱物の配合量は、ゲル化能の観点から好ましくは1~12質量%であり、より好ましくは2~10質量%であり、さらに好ましくは3~8質量%である。
【0020】
化粧料に含まれるオイルとしては、流動パラフィン、スクワラン、オレフィンオリゴマー、軽質イソパラフィンなどの炭化水素油、2-エチルヘキサン酸トリグリセリド、2-エチルヘキサン酸セチル、2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、パルミチン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソセチル、ミリスチン酸イソプロピルなどのエステル油、ホホバ油、オリーブ油、マカデミアナッツ油、綿実油、茶実油、サフラワー油、米糠油などの天然系植物油、デカメチルペンタシクロシロキサン、オクタメチルテトラシクロシロキサン、ジメチルシロキサン、メチルフェニルシロキサンなどのシリコーン油などが例示され、これらの1種または2種以上が用いられる。オイルゲル中のオイルの配合量は、好ましくは40~90質量%であり、より好ましくは50~80質量%である。
【0021】
本発明の有機変性粘土鉱物とノニオン界面活性剤とを併用することにより、オイルに対してさらに優れた増粘ゲル化効果が得られる。ノニオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンプロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンフィトスタノールエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロースエーテル、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、アルキルグリセリルエーテル変性シリコーン、ポリオキシアルキレン変性シリコーン、ポリオキシアルキレン・アルキル共変性シリコーン、ポリオキシアルキレン・フルオロアルキル共変性シリコーン等が挙げられる。オイルゲル中のノニオン界面活性剤の配合量は、好ましくは7~40質量%であり、より好ましくは10~20質量%である。
【0022】
ヒドロキシエーテル型カチオン界面活性剤は、分子中にヒドロキシ基を有することで、オイルゲルを水で洗い流しやすくすることができると考えられ、皮膚にみずみずしい感触を与えることができるため、クレンジングオイルとして好適に使用できる。また、例えば、乳液、クリーム、化粧下地、ファンデーション、マッサージオイル、ハンドクリーム、ヘアジェル、アイライナー、マスカラ、アイブロー、リップライナー等の様々な形態の化粧料として提供するのに適している。
【0023】
本発明に係る化粧料には、界面活性剤、水、クエン酸、クエン酸ナトリウムなどの緩衝剤、EDTAなどのキレート剤、BHT、ビタミンEなどの酸化防止剤、保湿剤、増粘剤、色素、紫外線吸収剤、防腐剤、香料など、化粧料として一般的に配合される成分を配合することができる。
【実施例0024】
以下に本発明を実施例及び比較例によって更に具体的かつ詳細に説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるものではない。なお、粘土鉱物の変性に使用したヒドロキシエーテル型カチオン界面活性剤1と2の構造を表1に示す。
【0025】
【0026】
(実施例1)
精製モンモリロナイト(製品名:クニピアF、クニミネ工業(株)社製)を0.1質量%分散させた水層100g(55℃)に対し、ヒドロキシエーテル型カチオン界面活性剤1(ステアリルPGトリモニウムクロリド、製品名:カチナールSHC-65ET、東邦化学工業(株)社製)をクロロホルムに0.1質量%分散させた無極性有機溶媒層100g(55℃)を羽付攪拌機にて攪拌させながら滴下し、20分間反応させることで有機変性粘土鉱物を作製した。得られた有機変性粘土鉱物はろ過し減圧下において乾燥させ、有機変性粘土鉱物1を得た。
【0027】
(実施例2)
精製モンモリロナイト(製品名:クニピアF、クニミネ工業(株)社製)を0.1質量%分散させた水層100g(55℃)に対し、ヒドロキシエーテル型カチオン界面活性剤2(ベヘニルPGトリモニウムクロリド、製品名:カチナールBHC-60BE、東邦化学工業(株)社製)をクロロホルムに0.1質量%分散させた無極性有機溶媒層100g(55℃)を羽付攪拌機にて攪拌させながら滴下し、20分間反応させることで有機変性粘土鉱物を作製した。得られた有機変性粘土鉱物はろ過し減圧下において乾燥させ、有機変性粘土鉱物2を得た。
【0028】
(比較例1)
精製モンモリロナイト(製品名:クニピアF、クニミネ工業(株)社製)を0.1質量%分散させた水層100g(55℃)に対し、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム(製品名:カチナールSTC-80、東邦化学工業(株)社製)をクロロホルムに0.1質量%分散させた無極性有機溶媒層100g(55℃)を羽付攪拌機にて攪拌させながら滴下し、20分間反応させることで有機変性粘土鉱物を作製した。得られた有機変性粘土鉱物はろ過し減圧下において乾燥させ、有機変性粘土鉱物3を得た。
【0029】
(比較例2)
精製モンモリロナイト(製品名:クニピアF、クニミネ工業(株)社製)を0.1質量%分散させた水層100g(55℃)に対し、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム(製品名:カチナールDC-80、東邦化学工業(株)社製)をクロロホルムに0.1質量%分散させた無極性有機溶媒層100g(55℃)を羽付攪拌機にて攪拌させながら滴下し、20分間反応させることで有機変性粘土鉱物を作製した。得られた有機変性粘土鉱物はろ過し減圧下において乾燥させ、有機変性粘土鉱物4を得た。
【0030】
<評価用クレンジングオイルゲルの作製>
流動パラフィン(製品名:70-S、中央化成(株)社製)を49.5gに対し、2-エチルヘキサン酸セチル(製品名:CEH、高級アルコール工業(株)社製)を20.0g、ミリスチン酸イソプロピル(製品名:IPM、日本精化(株)社製)を10.0g、イソステアリン酸PEG-8グリセリル(製品名:ペグノールIS―108G(S)、東邦化学工業(株)社製)20.0g、精製水0.5gを添加し、室温で攪拌することでクレンジングオイル1を作製した。
クレンジングオイル1の100質量部に対して、上記作製した有機変性粘土鉱物1~4を8.0質量部添加し、50℃に加温しながら攪拌することで簡易クレンジングオイルゲル1~4を作製した。
【0031】
次に、有機変性粘土鉱物1~4を用いて作製したクレンジングオイルゲル1~4の評価方法について説明する。
【0032】
<ゲル化能>
有機変性粘土鉱物のゲル化能について、下記の評価基準に基づいて評価した。結果を表2に示す。
(評価基準)
○:ゲル化能に優れる(系中の粘度が10000mPa・s(30℃)以上)
△:ゲル化能にやや劣る(系中の粘度が2000mPa・s以上10000mPa・s(30℃)未満)
×:ゲル化能に劣る(系中の粘度が2000mPa・s(30℃)未満)
【0033】
なお、組成物の系の粘度の測定は、試料を30℃ の恒温槽内で2時間静置し、試料が30℃になったことを確認したうえで、B型粘度計(芝浦システム(株)製ビスメトロン粘度計VS-A1)を用いてNo.3~4のローターにて回転数を6rpmに固定して測定した。
【0034】
<使用性(のび)>
パネル10名により、クレンジングオイルゲル1~4の使用時ののびについて、下記の評価基準に基づいて評価した。結果を表2に示す。
(評価基準)
○:のびに優れる(10名中6名以上が、使用時ののびがよいと回答)
△:のびにやや劣る(10名中3~5名が、使用時ののびがよいと回答)
×:のびに劣る(10名中2 名以下が、使用時ののびがよいと回答)
【0035】
<水洗性(水での洗い流しやすさ)>
パネル10名により、クレンジングオイルゲル1~4の水洗性について、下記の評価基準に基づいて評価した。結果を表2に示す。
(評価基準)
○:水洗性に優れる(10名中6名以上が、水で洗い流した際に、洗い流しやすいと回答)
△:水洗性にやや劣る(10名中3~5名が、水で洗い流した際に、洗い流しやすいと回答)
×:水洗性に劣る(10名中2名以下が、水で洗い流した際に、洗い流しやすいと回答)
【0036】
<感触(みずみずしさ)>
パネル10名により、クレンジングオイルゲル1~4の感触(みずみずしさ)について、下記の評価基準に基づいて評価した。結果を表2に示す。
(評価基準)
○:みずみずしさに優れる(10名中6名以上が、水で洗い流した際に、みずみずしいと回答)
△:みずみずしさにやや劣る(10名中3~5名が、水で洗い流した際に、みずみずしいと回答)
×:みずみずしさに劣る(10名中2名以下が、水で洗い流した際に、みずみずしいと回答)
【0037】
【0038】
上記の評価結果より明らかなように、実施例1~2で作製した有機変性粘土鉱物1、2を使用したクレンジングオイルゲル1、2は、比較例1~2で作製した有機変性粘土鉱物3、4を使用したクレンジングオイルゲル3、4より優れた水洗性と感触を示した。このことから、本発明の新規有機変性粘土鉱物は、オイルゲル化剤として使用することで、皮膚に優れた感触を付与することは明らかである。