(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022058282
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】洗浄料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/37 20060101AFI20220404BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20220404BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20220404BHJP
A61Q 1/14 20060101ALI20220404BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20220404BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
A61K8/37
A61Q5/02
A61Q19/10
A61Q1/14
A61K8/46
A61K8/31
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021160874
(22)【出願日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】P 2020166012
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】593012228
【氏名又は名称】株式会社希松
(74)【代理人】
【識別番号】100110766
【弁理士】
【氏名又は名称】佐川 慎悟
(74)【代理人】
【識別番号】100165515
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 清子
(74)【代理人】
【識別番号】100169340
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 陽輔
(74)【代理人】
【識別番号】100195682
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 陽子
(74)【代理人】
【識別番号】100206623
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 智行
(72)【発明者】
【氏名】宮原 裕平
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 嘉純
(72)【発明者】
【氏名】小松 令以子
(72)【発明者】
【氏名】三栖 大介
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AC012
4C083AC232
4C083AC242
4C083AC332
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC662
4C083AC792
4C083AD152
4C083AD172
4C083BB05
4C083BB11
4C083CC22
4C083CC23
4C083CC38
4C083DD23
4C083DD31
4C083EE01
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】 油性原料を多く配合していても安定性が高く、泡立ちが良好な洗浄料を提供する。
【解決手段】 (a)油性原料、(b)アニオン界面活性剤ならびに(c)カプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリル、ウンデシレン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルから選択されるモノグリセリン脂肪酸エステルを含有し、かつ、(b)および(c)を所定の質量比で含有する洗浄料。本発明の洗浄料によれば、油性原料を多く配合できることから、顔や身体用あるいは毛髪用の洗浄料とした場合は、使用後の皮膚または毛髪に対してしっとりした感触を与えることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)油性原料、(b)アニオン界面活性剤ならびに(c)カプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリル、ウンデシレン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルから選択される1種のモノグリセリン脂肪酸エステルを含有し、かつ、(b)および(c)を下記の質量比で含有する、洗浄料;
(c)がカプリル酸グリセリルである場合(b):(c)=1:10超30未満、
(c)がカプリン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.67超9未満、
(c)がウンデシレン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.25超9未満、
(c)がラウリン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.43超9未満、
(c)がミリスチン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.67超2.33未満。
【請求項2】
(a)油性原料、(b)アニオン界面活性剤ならびに(c)カプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリル、ウンデシレン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルから選択される2種のモノグリセリン脂肪酸エステルを含有し、かつ、(b)および(c)を下記の質量比で含有する、洗浄料;
(c)がカプリル酸グリセリルおよびカプリン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.67超30未満、
(c)がカプリル酸グリセリルおよびウンデシレン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.25超30未満、
(c)がカプリル酸グリセリルおよびラウリン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.43超30未満、
(c)がカプリル酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.67超30未満、
(c)がカプリン酸グリセリルおよびウンデシレン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.25超9未満、
(c)がカプリン酸グリセリルおよびラウリン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.43超9未満、
(c)がカプリン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.67超9未満、
(c)がウンデシレン酸グリセリルおよびラウリン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.25超9未満、
(c)がウンデシレン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.25超9未満、
(c)がラウリン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.43超9未満。
【請求項3】
(a)油性原料、(b)アニオン界面活性剤ならびに(c)カプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリル、ウンデシレン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルから選択される3種のモノグリセリン脂肪酸エステルを含有し、かつ、(b)および(c)を下記の質量比で含有する、洗浄料;
(c)がカプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリルおよびウンデシレン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.25超30未満、
(c)がカプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリルおよびラウリン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.43超30未満、
(c)がカプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.67超30未満、
(c)がカプリル酸グリセリル、ラウリン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.43超30未満、
(c)がカプリル酸グリセリル、ウンデシレン酸グリセリルおよびラウリン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.25超30未満、
(c)がカプリル酸グリセリル、ウンデシレン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.25超30未満、
(c)がカプリン酸グリセリル、ウンデシレン酸グリセリルおよびラウリン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.25超9未満、
(c)がカプリン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.43超9未満、
(c)がカプリン酸グリセリル、ウンデシレン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.25超9未満、
(c)がウンデシレン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.25超9未満。
【請求項4】
(a)油性原料、(b)アニオン界面活性剤ならびに(c)カプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリル、ウンデシレン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルから選択される4種のモノグリセリン脂肪酸エステルを含有し、かつ、(b)および(c)を下記の質量比で含有する、洗浄料;
(c)がカプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリル、ウンデシレン酸グリセリルおよびラウリン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.25超30未満、
(c)がカプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリル、ウンデシレン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.25超30未満、
(c)がカプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.43超30未満、
(c)がカプリル酸グリセリル、ウンデシレン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.25超30未満、
(c)がカプリン酸グリセリル、ウンデシレン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.25超9未満。
【請求項5】
(a)油性原料、(b)アニオン界面活性剤ならびに(c)カプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリル、ウンデシレン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルからなるモノグリセリン脂肪酸エステルを含有し、かつ、(b):(c)=1:0.25超30未満の質量比で含有する、洗浄料。
【請求項6】
前記(a)油性原料を0質量%以上75質量%未満含有する、請求項1~5のいずれかに記載の洗浄料。
【請求項7】
前記(b)アニオン界面活性剤および(c)モノグリセリン脂肪酸エステルを合計で7質量%超25質量%未満含有する、請求項1~6のいずれかに記載の洗浄料。
【請求項8】
前記洗浄料が起泡性の洗浄料である、請求項1~7のいずれかに記載の洗浄料。
【請求項9】
前記洗浄料が皮膚または毛髪に用いられる洗浄料である、請求項1~8のいずれかに記載の洗浄料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄料に関する。より詳細には、アニオン界面活性剤および所定のモノグリセリン脂肪酸エステルを所定の質量比で含有し、油性原料を多く配合していても安定性が高く、泡立ちが良好な洗浄料に関する。
【背景技術】
【0002】
顔や身体、髪などの汚れを落とすことを目的とした水性洗浄料には、洗浄後のしっとり感を付与することなどを目的として、油性原料を配合する場合がある。例えば、特許文献1には、炭化水素系ペースト状油剤と非炭化水素系ペースト状油剤とを、合計で0.1~20重量%含む水性皮膚洗浄料が開示されている。また、特許文献2には、油性成分を10~50質量%含有するとともに、脂肪酸アルカノールアミド20~50質量%と、アニオン界面活性剤とを含有する洗浄剤組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-335673号公報
【特許文献2】特開2007-16109号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、水性洗浄料に油性原料を多く配合すると、安定性が損なわれるという課題や、泡立ちが悪くなるという課題があった。この点、特許文献1に記載の水性皮膚洗浄料は、油剤を0.2~10重量%含有する洗浄料において、泡立ちが良好で、2ヶ月間安定であったことを確認しているものの、油剤をそれ以上含むものについて良好な泡立ちや保存安定性が得られるか否かは不明である。また、特許文献2に記載の洗浄剤組成物についても、油性成分を15または20重量%含有する洗浄料において、十分にクレンジングと洗顔ができたことを確認しているものの、泡立ちも保存時の安定性も検証されておらず、不明である。すなわち、これら特許文献を鑑みても、未だ、油性原料を多く配合していても安定性が高く、泡立ちが良好な洗浄料は十分に供給されている状況ではない。本発明は、係る課題を解決するためになされたものであって、油性原料を多く配合していても安定性が高く、泡立ちが良好な洗浄料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意研究の結果、アニオン界面活性剤と、カプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリル、ウンデシレン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルから選択されるモノグリセリン脂肪酸エステルとを所定の質量比で配合することにより、油性原料を多く含有していても安定性が高く、泡立ちが良好な洗浄料を製造できることを見出した。そこで、係る知見に基づいて下記の各発明を完成した。
【0006】
(1)本発明に係る洗浄料の第1の態様は、(a)油性原料、(b)アニオン界面活性剤ならびに(c)カプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリル、ウンデシレン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルから選択される1種のモノグリセリン脂肪酸エステルを含有し、かつ、(b)および(c)を下記の質量比で含有する;
(c)がカプリル酸グリセリルである場合(b):(c)=1:10超30未満、
(c)がカプリン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.67超9未満、
(c)がウンデシレン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.25超9未満、
(c)がラウリン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.43超9未満、
(c)がミリスチン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.67超2.33未満。
【0007】
(2)本発明に係る洗浄料の第2の態様は、(a)油性原料、(b)アニオン界面活性剤ならびに(c)カプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリル、ウンデシレン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルから選択される2種のモノグリセリン脂肪酸エステルを含有し、かつ、(b)および(c)を下記の質量比で含有する;
(c)がカプリル酸グリセリルおよびカプリン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.67超30未満、
(c)がカプリル酸グリセリルおよびウンデシレン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.25超30未満、
(c)がカプリル酸グリセリルおよびラウリン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.43超30未満、
(c)がカプリル酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.67超30未満、
(c)がカプリン酸グリセリルおよびウンデシレン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.25超9未満、
(c)がカプリン酸グリセリルおよびラウリン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.43超9未満、
(c)がカプリン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.67超9未満、
(c)がウンデシレン酸グリセリルおよびラウリン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.25超9未満、
(c)がウンデシレン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.25超9未満、
(c)がラウリン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.43超9未満。
【0008】
(3)本発明に係る洗浄料の第3の態様は、(a)油性原料、(b)アニオン界面活性剤ならびに(c)カプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリル、ウンデシレン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルから選択される3種のモノグリセリン脂肪酸エステルを含有し、かつ、(b)および(c)を下記の質量比で含有する;
(c)がカプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリルおよびウンデシレン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.25超30未満、
(c)がカプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリルおよびラウリン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.43超30未満、
(c)がカプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.67超30未満、
(c)がカプリル酸グリセリル、ラウリン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.43超30未満、
(c)がカプリル酸グリセリル、ウンデシレン酸グリセリルおよびラウリン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.25超30未満、
(c)がカプリル酸グリセリル、ウンデシレン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.25超30未満、
(c)がカプリン酸グリセリル、ウンデシレン酸グリセリルおよびラウリン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.25超9未満、
(c)がカプリン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.43超9未満、
(c)がカプリン酸グリセリル、ウンデシレン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.25超9未満、
(c)がウンデシレン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.25超9未満。
【0009】
(4)本発明に係る洗浄料の第4の態様は、(a)油性原料、(b)アニオン界面活性剤ならびに(c)カプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリル、ウンデシレン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルから選択される4種のモノグリセリン脂肪酸エステルを含有し、かつ、(b)および(c)を下記の質量比で含有する;
(c)がカプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリル、ウンデシレン酸グリセリルおよびラウリン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.25超30未満、
(c)がカプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリル、ウンデシレン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.25超30未満、
(c)がカプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.43超30未満、
(c)がカプリル酸グリセリル、ウンデシレン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.25超30未満、
(c)がカプリン酸グリセリル、ウンデシレン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルである場合(b):(c)=1:0.25超9未満。
【0010】
(5)本発明に係る洗浄料の第5の態様は、(a)油性原料、(b)アニオン界面活性剤ならびに(c)カプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリル、ウンデシレン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルからなるモノグリセリン脂肪酸エステルを含有し、かつ、(b):(c)=1:0.25超30未満の質量比で含有する。
【0011】
(6)本発明に係る洗浄料は、(a)油性原料を0質量%以上75質量%未満の割合で含有するものであってもよい。
【0012】
(7)本発明に係る洗浄料は、(b)アニオン界面活性剤および(c)モノグリセリン脂肪酸エステルを、合計で7質量%超25質量%未満含有するものであってもよい。
【0013】
(8)本発明に係る洗浄料は、起泡性の洗浄料であってもよい。
【0014】
(9)本発明に係る洗浄料は、皮膚または毛髪に用いられる洗浄料であってもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、油性原料を多く配合していても安定性が高く、泡立ちが良好な洗浄料を得ることができる。また、油性原料を多く配合でき、洗浄後は当該油性原料が適度に残ることから、顔や身体用の洗浄料とした場合は、使用後の皮膚に対してしっとりした感触を与えることができる。同様に、毛髪用の洗浄料とした場合は、使用後の毛髪にしっとりした感触やまとまり感、良好な指通りを与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の洗浄料における、アニオン界面活性剤およびモノグリセリン脂肪酸エステルの配合比(質量比)とモノグリセリン脂肪酸エステルの種類との関係を示す模式図である。図中、高い安定性および良好な泡立ちが得られる配合比の範囲を、右上がり斜線の塗り潰しで示す。
【
図3】カプリル酸グリセリルとアニオン界面活性剤との配合比率を変化させて製造した洗浄料における、組成と安定性の評価結果とを示す表である。
【
図4】カプリン酸グリセリルとアニオン界面活性剤との配合比率を変化させて製造した洗浄料における、組成と安定性の評価結果とを示す表である。
【
図5】ウンデシレン酸グリセリルとアニオン界面活性剤との配合比率を変化させて製造した洗浄料における、組成と安定性の評価結果とを示す表である。図中「-」は、「評価していない」ことを示す。
【
図6】ラウリン酸グリセリルとアニオン界面活性剤との配合比率を変化させて製造した洗浄料における、組成と安定性の評価結果とを示す表である。
【
図7】界面活性剤の配合量を変化させて製造した洗浄料における、組成と安定性の評価結果とを示す表である。
【
図8】種々の油性原料を用いて製造した洗浄料における、組成と安定性の評価結果とを示す表である。
【
図9】油性原料の配合量を変化させて製造した洗浄料における、組成と安定性の評価結果とを示す表である。
【
図10】洗浄料の組成と、それらを泡立てた際の泡の高さおよび手による泡立ちの良否の官能評価結果とを示す表である。
【
図11】洗浄料の組成と、それらを泡立てた際の泡の高さおよび手による泡立ちの官能評価結果とを示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0018】
「洗浄料」とは、汚れを落とすことを目的とした製品をいう。また、水性洗浄料とは、水を基剤、分散媒ないし溶媒として含有する洗浄料をいう。また、「起泡性の洗浄料」とは、水を適量加えて泡立てることにより気泡を生成し、泡立つ性質を有する洗浄料をいう。
【0019】
本発明において、安定性とは、一定期間保存した場合の状態変化の程度をいう。すなわち、「安定性がある」、「安定性が高い」もしくは「安定性が良い」とは、一定期間経過後の状態変化が無いもしくは少ないこと、または、状態変化を生じるまでの期間が長いことをいう。反対に、「安定性が無い」、「安定性が低い」もしくは「安定性が悪い」とは、一定期間経過後に、液相が分離するなど状態変化が大きいこと、または、状態変化を生じるまでの保存期間が短いことをいう。安定性は、例えば、洗浄料を密閉容器に入れ、常温ないし40℃程度の比較的高温下にて一定期間保存した後、その状態を目視にて観察することにより評価することができる。
【0020】
本発明において「泡立ち」とは、洗浄料を泡立てた際の泡の立ち方ないし泡の状態をいい、「起泡力」と同義に用いることができる。すなわち、「泡立ちが良い」とは、洗浄料を泡立てた際の泡立ちが速いことや生成する泡の量が多いこと等をいう。反対に、「泡立ちが悪い」とは、洗浄料を泡立てた際の泡立ちが遅いことや生成する泡の量が少ないこと等をいう。
【0021】
泡立ちは、例えば、下記(1)~(4)の方法により評価することができる。後述する実施例では、下記(3)に準じた方法において、生じた泡の高さを測定して評価している。あるいは、簡便には、洗浄料を手に取って、手により泡立たせ、泡立ちの早さや泡の量、泡質等を、目視および触感により官能評価してもよい。
(1)落下法(ロス-マイルス法):垂直に立てたガラス管内で試験液を一定の高さから一定速度で底部に落下させ、そのとき生じる泡の高さを測定する。また、落下終了5分後の高さを測定して、泡の持続性を評価する。
(2)振とう法:試験液を入れた密閉容器を上下に振とうさせ、生じる泡の体積を測定する。
(3)攪拌法:試験液を入れたミキサー装置を一定速度で回転させ、生じる泡の体積を測定する。
(4)送気法:試験液中に取りつけた管から一定流量で空気を送り、泡の体積を測定する。
【0022】
本発明に係る洗浄料は、油性原料を多く配合できることから、使用後の皮膚に対して、しっとりした感触を与えることができる。よって、本発明に係る洗浄料は、例えば、化粧落とし(クレンジング)、洗顔料、ボディソープ、全身シャンプーなどの皮膚に用いられる洗浄料とすることができる。
【0023】
本発明に係る洗浄料は、油性原料を多く配合できることから、使用後の毛髪に対しては、しっとりした感触やまとまり感、良好な指通りを与えることができる。よって、本発明に係る洗浄料は、例えば、ヘアシャンプーなどの毛髪に用いられる洗浄料とすることができる。
【0024】
「油性原料」とは、油に溶けて水に溶けない性質をもつ物質をいう。本発明では、化粧品や医薬部外品、医薬品などに使用可能な油性原料を用いることができる。化粧料に用いられる油性原料は、一般に、その化学構造に基づいて、油脂、高級脂肪酸、ロウ類、炭化水素、エステル類、高級アルコールおよびシリコーン油などに分けられるが、これらのうちのいずれも用いることができる。また、常温で液体状、固体状、半固体状(ペースト状など)のいずれの油性原料も用いることができる。
【0025】
例えば、油脂としては、馬油、ヤシ油、シア脂、シア脂油、コメ胚芽油、オリーブ油、ツバキ油、グレープシードオイル、マカデミアナッツ油、ヒマシ油、アプリコット油、トリエチルヘキサノイン等を例示することができ、高級脂肪酸としては、ヤシ油脂肪酸、ベヘン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸等を例示することができ、ロウ類としては、ホホバ種子油、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ミツロウ、ラノリン等を例示することができ、炭化水素としては、水添ポリイソブテン、イソドデカン、テトラデセン等のオレフィン系炭化水素、ミネラルオイル(流動パラフィン)、パラフィン、ワセリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、スクワラン等を例示することができ、エステル類としては、パルミチン酸セチル、パルミチン酸エチルヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、2-エチルヘキサン酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル等を例示することができ、高級アルコールとしては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール等を例示することができ、シリコーン油としては、ジメチコン等のストレートシリコーン油、アモジメチコン等のアミノ変性シリコーン油、ステアリルジメチコン等のアルキル変性シリコーン油、PEG-12ジメチコン等のポリエーテル変性シリコーン油、メチルフェニルポリシロキサン等のフェニル変性シリコーン、シクロペンタシロキサン等の環状ポリシロキサン等を例示することができる。
【0026】
油性原料は1種類を単独で洗浄料に配合してもよく、2種以上を組み合わせて配合してもよい。油性成分の配合量は、洗浄料の用途や適用箇所、所望の使用感などに応じて適宜設定することができるが、安定性の観点からは、洗浄料全体を100とすると、0質量%以上75%未満を好適に例示することができ、0質量%以上70%以下がより好ましく、0質量%以上65%以下がさらに好ましい。
【0027】
「アニオン界面活性剤」は、本発明では、化粧品や医薬部外品、医薬品などに使用可能なものを用いることができる。アニオン界面活性剤として、例えば、スルホン酸塩(α-オレフィンスルホン酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、α-スルホ脂肪酸メチルエステル塩、ジアルキルスルホこはく酸塩、アルカンスルホン酸塩など)、N-アシルアミノ酸塩(N-アシルアスパラギン酸塩、N-アシルグルタミン酸塩、N-アシルグリシン、N-アシルサルコシン塩、N-アシルメチルアラニン塩、アシルイセチオン酸塩など)やN-アシルタウリン塩などのアミノ酸型界面活性剤、脂肪酸塩(脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウムなど)、カルボン酸塩(ヒドロキシエーテルカルボン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩など)、硫酸エステル塩(アルキル硫酸エステル塩、高級脂肪酸アルカノールアミド硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩など)、リン酸エステル塩(モノアルキルリン酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩など)、アシル乳酸塩、アルキル硫酸塩(アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩など)等を例示することができる。これらアニオン界面活性剤は、1種類を単独で洗浄料に配合してもよく、2種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0028】
モノグリセリン脂肪酸エステルは、カプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリル、ウンデシレン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリルまたはミリスチン酸グリセリルを用いる。これらのうち1種類を単独で洗浄料に配合してもよく、2種以上を組み合わせて配合してもよい。
【0029】
アニオン界面活性剤とモノグリセリン脂肪酸エステルとを所定の比率となるよう配合することにより、油性原料を多く含有していても安定性が高く、泡立ちが良好な洗浄料を製造できる。係る配合比(本発明では、アニオン界面活性剤を(b)、モノグリセリン脂肪酸エステルを(c)で示し、アニオン界面活性剤:モノグリセリン脂肪酸エステルを「(b):(c)」と略記する場合がある。)を
図1に模式的に示す。
図1に示すように、当該配合比は、用いるモノグリセリン脂肪酸エステルの種類によって異なる。後述する実施例で示すように、2種以上のモノグリセリン脂肪酸エステルを併用した場合は、各モノグリセリン脂肪酸エステルを単独で用いた場合の最小値から最大値に至る全ての数値範囲の配合割合において、安定性が高く、泡立ちが良好な洗浄料が得られる。
【0030】
本発明の洗浄料の第1の態様においては、上記のうち1種類のモノグリセリン脂肪酸エステルを用いる。すなわち、モノグリセリン脂肪酸エステルとしてカプリル酸グリセリルを用いる場合、配合比(質量比)は、(b)が1に対して、(c)の下限は10超、10.5以上、11以上、11.5以上または12以上を例示することができ、上限は30未満、29以下、28以下、27以下、26以下、25以下または24以下を例示することができる。
【0031】
また、第1の態様においてカプリン酸グリセリルを用いる場合、配合比(質量比)は、(b)が1に対して、(c)の下限は0.67超、0.7以上、0.8以上、0.9以上または1以上を例示することができ、上限は9未満、8.5以下、8以下、7.5以下、7以下、6.5以下、6以下または5.67以下を例示することができる。
【0032】
また、第1の態様においてウンデシレン酸グリセリルを用いる場合、配合比(質量比)は、(b)が1に対して、(c)の下限は0.25超、0.26以上、0.27以上、0.28以上、0.29以上、0.30以上、0.31以上、0.32以上または0.33以上を例示することができ、上限は9未満、8.5以下、8以下、7.5以下、7以下、6.5以下、6以下または5.67以下を例示することができる。
【0033】
また、第1の態様においてラウリン酸グリセリルを用いる場合、配合比(質量比)は、(b)が1に対して、(c)の下限は0.43超、0.5以上、0.6以上または0.67以上を例示することができ、上限は9未満、8.5以下、8以下、7.5以下、7以下、6.5以下、6以下、5.67以下、5以下、4.5以下または4以下を例示することができる。
【0034】
また、第1の態様においてミリスチン酸グリセリルを用いる場合、配合比(質量比)は、(b)が1に対して、(c)の下限は0.67超、0.7以上、0.8以上、0.9以上または1以上を例示することができ、上限は2.33未満、2.2以下、2.1以下、2以下、1.9以下、1.8以下、1.7以下、1.6以下または1.5以下を例示することができる。
【0035】
本発明の洗浄料の第2の態様においては、上記のうち2種類のモノグリセリン脂肪酸エステルを用いる。すなわち、モノグリセリン脂肪酸エステルとしてカプリル酸グリセリルおよびカプリン酸グリセリルを用いる場合、配合比(質量比)は、(b)が1に対して、(c)の下限は0.67超、0.7以上、0.8以上、0.9以上または1以上を例示することができ、上限は30未満、29以下、28以下、27以下、26以下、25以下または24以下を例示することができる。
【0036】
また、第2の態様においてカプリル酸グリセリルおよびウンデシレン酸グリセリルを用いる場合、配合比(質量比)は、(b)が1に対して、(c)の下限は0.25超、0.26以上、0.27以上、0.28以上、0.29以上、0.30以上、0.31以上、0.32以上または0.33以上を例示することができ、上限は30未満、29以下、28以下、27以下、26以下、25以下または24以下を例示することができる。
【0037】
また、第2の態様においてカプリル酸グリセリルおよびラウリン酸グリセリルを用いる場合、配合比(質量比)は、(b)が1に対して、(c)の下限は0.43超、0.5以上、0.6以上または0.67以上を例示することができ、上限は30未満、29以下、28以下、27以下、26以下、25以下または24以下を例示することができる。
【0038】
また、第2の態様においてカプリル酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルを用いる場合、配合比(質量比)は、(b)が1に対して、(c)の下限は0.67超、0.7以上、0.8以上、0.9以上または1以上を例示することができ、上限は30未満、29以下、28以下、27以下、26以下、25以下または24以下を例示することができる。
【0039】
また、第2の態様においてカプリン酸グリセリルおよびウンデシレン酸グリセリルを用いる場合、配合比(質量比)は、(b)が1に対して、(c)の下限は0.25超、0.26以上、0.27以上、0.28以上、0.29以上、0.30以上、0.31以上、0.32以上または0.33以上を例示することができ、上限は9未満、8.5以下、8以下、7.5以下、7以下、6.5以下、6以下または5.67以下を例示することができる。
【0040】
また、第2の態様においてカプリン酸グリセリルおよびラウリン酸グリセリルを用いる場合、配合比(質量比)は、(b)が1に対して、(c)の下限は0.43超、0.5以上、0.6以上または0.67以上を例示することができ、上限は9未満、8.5以下、8以下、7.5以下、7以下、6.5以下、6以下または5.67以下することができる。
【0041】
また、第2の態様においてカプリン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルを用いる場合、配合比(質量比)は、(b)が1に対して、(c)の下限は0.67超、0.7以上、0.8以上、0.9以上または1以上を例示することができ、上限は9未満、8.5以下、8以下、7.5以下、7以下、6.5以下、6以下または5.67以下を例示することができる。
【0042】
また、第2の態様においてウンデシレン酸グリセリルおよびラウリン酸グリセリルを用いる場合、配合比(質量比)は、(b)が1に対して、(c)の下限は0.25超、0.26以上、0.27以上、0.28以上、0.29以上、0.30以上、0.31以上、0.32以上または0.33以上を例示することができ、上限は9未満、8.5以下、8以下、7.5以下、7以下、6.5以下、6以下または5.67以下を例示することができる。
【0043】
また、第2の態様においてウンデシレン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルを用いる場合、配合比(質量比)は、(b)が1に対して、(c)の下限は0.25超、0.26以上、0.27以上、0.28以上、0.29以上、0.30以上、0.31以上、0.32以上または0.33以上を例示することができ、上限は9未満、8.5以下、8以下、7.5以下、7以下、6.5以下、6以下または5.67以下を例示することができる。
【0044】
また、第2の態様においてラウリン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルを用いる場合、配合比(質量比)は、(b)が1に対して、(c)の下限は0.43超、0.5以上、0.6以上または0.67以上を例示することができ、上限は9未満、8.5以下、8以下、7.5以下、7以下、6.5以下、6以下、5.67以下、5以下、4.5以下または4以下を例示することができる。
【0045】
本発明の洗浄料の第3の態様においては、上記のうち3種類のモノグリセリン脂肪酸エステルを用いる。すなわち、モノグリセリン脂肪酸エステルとしてカプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリルおよびウンデシレン酸グリセリルを用いる場合、配合比(質量比)は、(b)が1に対して、(c)の下限は0.25超、0.26以上、0.27以上、0.28以上、0.29以上、0.30以上、0.31以上、0.32以上または0.33以上を例示することができ、上限は30未満、29以下、28以下、27以下、26以下、25以下または24以下を例示することができる。
【0046】
また、第3の態様においてカプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリルおよびラウリン酸グリセリルを用いる場合、配合比(質量比)は、(b)が1に対して、(c)の下限は0.43超、0.5以上、0.6以上または0.67以上を例示することができ、上限は30未満、29以下、28以下、27以下、26以下、25以下または24以下を例示することができる。
【0047】
また、第3の態様においてカプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルを用いる場合、配合比(質量比)は、(b)が1に対して、(c)の下限は0.67超、0.7以上、0.8以上、0.9以上または1以上を例示することができ、上限は30未満、29以下、28以下、27以下、26以下、25以下または24以下を例示することができる。
【0048】
また、第3の態様においてカプリル酸グリセリル、ラウリン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルを用いる場合、配合比(質量比)は、(b)が1に対して、(c)の下限は0.43超、0.5以上、0.6以上または0.67以上を例示することができ、上限は30未満、29以下、28以下、27以下、26以下、25以下または24以下を例示することができる。
【0049】
また、第3の態様においてカプリル酸グリセリル、ウンデシレン酸グリセリルおよびラウリン酸グリセリルを用いる場合、配合比(質量比)は、(b)が1に対して、(c)の下限は0.25超、0.26以上、0.27以上、0.28以上、0.29以上、0.30以上、0.31以上、0.32以上または0.33以上を例示することができ、上限は30未満、29以下、28以下、27以下、26以下、25以下または24以下を例示することができる。
【0050】
また、第3の態様においてカプリル酸グリセリル、ウンデシレン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルを用いる場合、配合比(質量比)は、(b)が1に対して、(c)の下限は0.25超、0.26以上、0.27以上、0.28以上、0.29以上、0.30以上、0.31以上、0.32以上または0.33以上を例示することができ、上限は30未満、29以下、28以下、27以下、26以下、25以下または24以下を例示することができる。
【0051】
また、第3の態様においてカプリン酸グリセリル、ウンデシレン酸グリセリルおよびラウリン酸グリセリルを用いる場合、配合比(質量比)は、(b)が1に対して、(c)の下限は0.25超、0.26以上、0.27以上、0.28以上、0.29以上、0.30以上、0.31以上、0.32以上または0.33以上を例示することができ、上限は9未満、8.5以下、8以下、7.5以下、7以下、6.5以下、6以下または5.67以下を例示することができる。
【0052】
また、第3の態様においてカプリン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルを用いる場合、配合比(質量比)は、(b)が1に対して、(c)の下限は0.43超、0.5以上、0.6以上または0.67以上を例示することができ、上限は9未満、8.5以下、8以下、7.5以下、7以下、6.5以下、6以下または5.67以下を例示することができる。
【0053】
また、第3の態様においてカプリン酸グリセリル、ウンデシレン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルを用いる場合、配合比(質量比)は、(b)が1に対して、(c)の下限は0.25超、0.26以上、0.27以上、0.28以上、0.29以上、0.30以上、0.31以上、0.32以上または0.33以上を例示することができ、上限は9未満、8.5以下、8以下、7.5以下、7以下、6.5以下、6以下または5.67以下を例示することができる。
【0054】
また、第3の態様においてウンデシレン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルを用いる場合、配合比(質量比)は、(b)が1に対して、(c)の下限は0.25超、0.26以上、0.27以上、0.28以上、0.29以上、0.30以上、0.31以上、0.32以上または0.33以上を例示することができ、上限は9未満、8.5以下、8以下、7.5以下、7以下、6.5以下、6以下または5.67以下を例示することができる。
【0055】
本発明の洗浄料の第4の態様においては、上記のうち4種類のモノグリセリン脂肪酸エステルを用いる。すなわち、モノグリセリン脂肪酸エステルとしてカプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリル、ウンデシレン酸グリセリルおよびラウリン酸グリセリルを用いる場合、配合比(質量比)は、(b)が1に対して、(c)の下限は0.25超、0.26以上、0.27以上、0.28以上、0.29以上、0.30以上、0.31以上、0.32以上または0.33以上を例示することができ、上限は30未満、29以下、28以下、27以下、26以下、25以下または24以下を例示することができる。
【0056】
また、第4の態様においてカプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリル、ウンデシレン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルを用いる場合、配合比(質量比)は、(b)が1に対して、(c)の下限は0.25超、0.26以上、0.27以上、0.28以上、0.29以上、0.30以上、0.31以上、0.32以上または0.33以上を例示することができ、上限は30未満、29以下、28以下、27以下、26以下、25以下または24以下を例示することができる。
【0057】
また、第4の態様においてカプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルを用いる場合、配合比(質量比)は、(b)が1に対して、(c)の下限は0.43超、0.5以上、0.6以上または0.67以上を例示することができ、上限は30未満、29以下、28以下、27以下、26以下、25以下または24以下を例示することができる。
【0058】
また、第4の態様においてカプリル酸グリセリル、ウンデシレン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルを用いる場合、配合比(質量比)は、(b)が1に対して、(c)の下限は0.25超、0.26以上、0.27以上、0.28以上、0.29以上、0.30以上、0.31以上、0.32以上または0.33以上を例示することができ、上限は30未満、29以下、28以下、27以下、26以下、25以下または24以下を例示することができる。
【0059】
また、第4の態様においてカプリン酸グリセリル、ウンデシレン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルを用いる場合、配合比(質量比)は、(b)が1に対して、(c)の下限は0.25超、0.26以上、0.27以上、0.28以上、0.29以上、0.30以上、0.31以上、0.32以上または0.33以上を例示することができ、上限は9未満、8.5以下、8以下、7.5以下、7以下、6.5以下、6以下または5.67以下を例示することができる。
【0060】
本発明の洗浄料の第5の態様においては、上記5種類の全てのモノグリセリン脂肪酸エステルを用いる。この場合の配合比(質量比)は、(b)が1に対して、(c)の下限は0.25超、0.26以上、0.27以上、0.28以上、0.29以上、0.30以上、0.31以上、0.32以上または0.33以上を例示することができ、上限は30未満、29以下、28以下、27以下、26以下、25以下または24以下を例示することができる。
【0061】
アニオン界面活性剤およびモノグリセリン脂肪酸エステルの配合量は、洗浄料の用途や適用箇所、所望の使用感などに応じて適宜設定することができるが、安定性の観点からは、洗浄料全体を100とすると7質量%超25質量%未満を好適に例示することができ、8質量%以上がより好ましく、8質量%以上20%以下がさらに好ましく、8質量%以上19%以下、8質量%以上18%以下、8質量%以上17%以下、8質量%以上16%以下、8質量%以上15%以下がよりさらに好ましい。
【0062】
本発明の洗浄料には、本発明の効果を損なわない範囲で、上記(a)、(b)および(c)以外の成分を配合することができる。係る他の成分としては、例えば、水などの溶媒ないし分散媒、エタノール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンチレングリコール等の多価アルコール、ソルビトール等の糖類、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、pH調整剤、着色剤、動植物エキス、ビタミン及びその誘導体、キレート剤、無機又は有機塩類、可溶化剤、防腐剤、殺菌剤、湿潤剤、紫外線吸収剤、増粘剤、香料、カチオンポリマー、清涼剤、冷感剤等を例示することができ、これら他の成分は、必要に応じて洗浄料調製時または洗浄料調製後に配合できる。
【0063】
本発明の洗浄料の形態は特に限定されないが、例えば、液状、クリーム状、ジェル状とすることができる。
【0064】
本発明の洗浄料は、上記(a)、(b)および(c)ならびに水などの溶媒を常法に従って混合することにより製造することができる。より具体的には、後述する実施例で示すように、一方で(b)アニオン界面活性剤および水を混合し、他方で(a)油性原料および(c)モノグリセリン脂肪酸エステルを混合する。両混合物をそれぞれ加熱した後、併せて混合する製造手順を例示することができる。
【0065】
以下、本発明について各実施例に基づいて説明する。なお、本発明の技術的範囲は、これらの実施例によって示される特徴に限定されない。また、本実施例において、「%」は、特段の記載のない限り質量%((w/w)%)を表す。
【実施例0066】
<試験方法>試験は、特段の記載のない限り下記の方法により行った。
(1)使用原料
本実施例では、
図2に示す原料(全て市販品)を用いて洗浄料を製造した。
【0067】
(2)洗浄料の製造
本実施例では、以下1~5の手順で洗浄料を製造した。
1.精製水およびアニオン界面活性剤を室温にて均一に混合し、混合物Aを得た。
2.油性原料およびモノグリセリン脂肪酸エステルを混合し、混合物Bを得た。
3.混合物Aおよび混合物Bをそれぞれ80℃まで加温した。
4.混合物Aを加温した状態でプロペラ攪拌しながら、混合物Bをゆっくり添加した。添加終了後に10分間攪拌した。
5.放冷して室温まで温度を下げ、製造完了とした。
【0068】
(3)安定性の評価
洗浄料を密閉容器に入れ、40℃の環境下に1~4週間置いた。1週間(1W)後、2週間(2W)後、3週間(3W)後ないし4週間(4W)後に外観を目視で観察し、下記の基準により評価した。
○:1層のままである(状態変化が無いか、極めて少ない)。
×:2層に分離している。
【0069】
(4)泡立ちの評価
製造した洗浄料適量をビーカーに入れ、水を添加してホモミキサーにて攪拌することにより泡立てた。生成した泡の外観を目視にて確認し、評価した。
【0070】
<実施例1>カプリル酸グリセリルとアニオン界面活性剤との配合比率の検討
カプリル酸(炭素数8の脂肪酸)のモノグリセリドであるカプリル酸グリセリルについて、アニオン界面活性剤との配合比率を検討した。すなわち、オレフィン(C14-16)スルホン酸Na(テトラデセンスルホン酸ナトリウム)とカプリル酸グリセリルとの配合比率を1:2.33~30(質量比)に変化させて試料番号1~9の洗浄料を製造し、安定性および泡立ちを評価した。界面活性剤の総量は10%(純分)とした。試料番号1~9の組成および安定性の評価結果を
図3に示す。
【0071】
図3に示すように、No.5(アニオン界面活性剤:カプリル酸グリセリル=1:12)~No.8(同1:24)は、1週間以上安定であった。また、No.5~8は泡立ちも良好であった。泡立ち評価後、ビーカーやミキサーを水で濯いだ後のこれら器具への油性成分の付着の程度は、小さかった。この結果から、アニオン界面活性剤とカプリル酸グリセリルとの配合比率は、1:10超~1:30未満(質量比)が好ましく、1:12以上~1:24以下(質量比)がより好ましいことが明らかになった。
【0072】
<実施例2>カプリン酸グリセリルとアニオン界面活性剤との配合比率の検討
カプリン酸(炭素数10の脂肪酸)のモノグリセリドであるカプリン酸グリセリルについて、アニオン界面活性剤との配合比率を検討した。すなわち、オレフィン(C14-16)スルホン酸Naとカプリン酸グリセリルとの配合比率を1:0.25~9(質量比)に変化させて試料番号1~9の洗浄料を製造し、安定性および泡立ちを評価した。界面活性剤の総量は10%(純分)とした。試料番号1~9の組成および安定性の評価結果を
図4に示す。
【0073】
図4に示すように、No.4(アニオン界面活性剤:カプリン酸グリセリル=1:1)~No.8(同1:5.67)は、4週間以上安定であった。また、No.4~8は泡立ちも良好であった。泡立ち評価後、ビーカーやミキサーを水で濯いだ後のこれら器具への油性成分の付着の程度は、小さかった。この結果から、アニオン界面活性剤とカプリン酸グリセリルとの配合比率は、1:0.67超~1:9未満(質量比)が好ましく、1:1以上~1:5.67以下(質量比)がより好ましいことが明らかになった。
【0074】
<実施例3>ウンデシレン酸グリセリルとアニオン界面活性剤との配合比率の検討
ウンデシレン酸(炭素数11の脂肪酸)のモノグリセリドであるウンデシレン酸グリセリルについて、アニオン界面活性剤との配合比率を検討した。すなわち、オレフィン(C14-16)スルホン酸Naとウンデシレン酸グリセリルとの配合比率を1:0.25~9(質量比)に変化させて試料番号1~10の洗浄料を製造し、安定性および泡立ちを評価した。なお、ウンデシレン酸グリセリルは、純度45%として配合比率を算出した。界面活性剤の総量は10%(純分)とした。試料番号1~10の組成および安定性の評価結果を
図5に示す。
【0075】
図5に示すように、No.9(アニオン界面活性剤:ウンデシレン酸グリセリル=1:5.67)は1週間以上安定であり、No.2(同1:0.33)~No.8(同1:4)は4週間以上安定であった。また、No.2~9は泡立ちも良好であった。泡立ち評価後、ビーカーやミキサーを水で濯いだ後のこれら器具への油性成分の付着の程度は小さかった。この結果から、アニオン界面活性剤とウンデシレン酸グリセリルとの配合比率は、1:0.25超~1:9未満(質量比)が好ましく、1:0.33以上~1:5.67以下(質量比)がより好ましいことが明らかになった。
【0076】
<実施例4>ラウリン酸グリセリルとアニオン界面活性剤との配合比率の検討
ラウリン酸(炭素数12の脂肪酸)のモノグリセリドであるラウリン酸グリセリルについて、アニオン界面活性剤との配合比率を検討した。すなわち、オレフィン(C14-16)スルホン酸Naとラウリン酸グリセリルとの配合比率を1:0.43~9(質量比)に変化させて試料番号1~5の洗浄料を製造し、安定性および泡立ちを評価した。界面活性剤の総量は10%(純分)とした。試料番号1~5の組成および安定性の評価結果を
図6に示す。
【0077】
図6に示すように、No.2(アニオン界面活性剤:ラウリン酸グリセリル=1:0.67)~No.4(同1:4)は1週間以上安定であり、No.2(同1:0.67)およびNo.3(同1:1)は4週間以上安定であった。また、No.2~4は泡立ちも良好であった。泡立ち評価後、ビーカーやミキサーを水で濯いだ後のこれら器具への油性成分の付着の程度は、小さかった。この結果から、アニオン界面活性剤とラウリン酸グリセリルとの配合比率は、1:0.43超~1:9未満(質量比)が好ましく、1:0.67以上(質量比)がより好ましく、1:0.67以上~1:4以下(質量比)がさらに好ましいことが明らかになった。
【0078】
<実施例5>ミリスチン酸グリセリルとアニオン界面活性剤との配合比率の検討
ミリスチン酸(炭素数14の脂肪酸)のモノグリセリドであるミリスチン酸グリセリルについて、アニオン界面活性剤との配合比率を検討した。すなわち、オレフィン(C14-16)スルホン酸Naとミリスチン酸グリセリルとの配合比率を1:0.67~2.33(質量比)に変化させて試料番号1~4の洗浄料を製造し、安定性および泡立ちを評価した。界面活性剤の総量は10%(純分)とした。表1の上段に試料番号1~4の組成を、下段に安定性の評価結果をそれぞれ示す。
【表1】
【0079】
表1に示すように、No.2(アニオン界面活性剤:ミリスチン酸グリセリル=1:1)およびNo.3(同1:1.5)は4週間以上安定であった。また、No.2およびNo.3は泡立ちも良好であった。泡立ち評価後、ビーカーやミキサーを水で濯いだ後のこれら器具への油性成分の付着の程度は、小さかった。この結果から、アニオン界面活性剤とミリスチン酸グリセリルとの配合比率は、1:0.67超~1:2.33未満(質量比)が好ましく、1:1以上~1:1.5以下(質量比)がより好ましいことが明らかになった。
【0080】
<実施例6>界面活性剤の配合量の検討
界面活性剤の配合量について検討した。すなわち、界面活性剤の総量を7%~25%に変化させて試料番号1~5の洗浄料を製造し、安定性および泡立ちを評価した。アニオン界面活性剤とモノグリセリン脂肪酸エステルとの配合比率は3:7(1:2.33)(質量比)とした。また、アニオン界面活性剤はオレフィン(C14-16)スルホン酸Naまたはココイルグルタミン酸TEA(N-ヤシ油脂肪酸アシル-L-グルタミン酸トリエタノールアミン液)を、モノグリセリン脂肪酸エステルはカプリン酸グリセリルを、それぞれ用いた。試料番号1~5の組成および安定性の評価結果を
図7に示す。
【0081】
図7に示すように、No.2(界面活性剤8%)~No.4(同20%)は1週間以上安定であり、No.2(同8%)およびNo.3(同10%)は4週間以上安定であった。また、No.2~4は泡立ちも良好であった。この結果から、界面活性剤の配合量(アニオン界面活性剤およびモノグリセリン脂肪酸エステルの総量)は、7%超25%未満が好ましく、8%以上20%以下がより好ましく、8%以上10%以下がさらに好ましいことが明らかになった。
【0082】
<実施例7>アニオン界面活性剤の種類の検討
アニオン界面活性剤の種類について検討した。すなわち、オレフィン(C14-16)スルホン酸Na(α-オレフィンスルホン酸塩)、ココイルグルタミン酸TEA(N-アシルアミノ酸塩)、ミリスチン酸K(テトラデカン酸カリウム、セッケン、脂肪酸塩)およびラウレス-6カルボン酸Na(ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸ナトリウム、カルボン酸塩)を用いて試料番号1~4の洗浄料を製造し、安定性および泡立ちを評価した。アニオン界面活性剤とモノグリセリン脂肪酸エステルとの配合比率は3:7(1:2.33)(質量比)、界面活性剤の総量は10%とした。表2の上段に試料番号1~4の組成を、下段に安定性の評価結果をそれぞれ示す。
【表2】
【0083】
表2に示すように、No.1~No.4はいずれも4週間以上安定であった。また、No.1~4はいずれも泡立ちが良好であった。この結果から、本発明では、アニオン界面活性剤の種類を問わず、安定性が高くて泡立ちが良好な洗浄料が得られることが明らかになった。
【0084】
<実施例8>油性原料の種類の検討
油性原料の種類について検討した。すなわち、炭化水素に属するものとしてミネラルオイル(流動パラフィン)およびワセリン、油脂に属するものとしてコメ胚芽油およびトリエチルヘキサノイン(トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル)、ロウに属するものとしてホホバ種子油、エステルに属するものとしてパルミチン酸エチルヘキシル(パルミチン酸2-エチルヘキシル)、ならびに、シリコーン油に属するものとしてジメチコン(メチルポリシロキサン)、シクロペンタシロキサン(デカメチルシクロペンタシロキサン)およびフェニルトリメチコン(メチルフェニルポリシロキサン)を用いて試料番号1~9の洗浄料を製造し、安定性および泡立ちを評価した。アニオン界面活性剤とモノグリセリン脂肪酸エステルとの配合比率は3:7(1:2.33)(質量比)、界面活性剤の総量は10%とした。試料番号1~9の組成および安定性の評価結果を
図8に示す。
【0085】
図8に示すように、No.1~9はいずれも2週間以上安定であった。また、No.1、No.3~5、No.7およびNo.8は3週間以上安定であった。さらに、No.1、No.3、No.5、No.7およびNo.8は4週間以上安定であった。また、No.1~9は泡立ちも良好であった。この結果から、本発明では、油性原料の種類を問わず、安定性が高くて泡立ちが良好な洗浄料が得られることが明らかになった。
【0086】
<実施例9>油性原料の配合量の検討
油性原料の配合量について検討した。すなわち、油性原料の配合量を0%~80%に変化させて試料番号1~6の洗浄料を製造し、安定性および泡立ちを評価した。アニオン界面活性剤とモノグリセリン脂肪酸エステルとの配合比率は3:7(1:2.33)(質量比)、界面活性剤の総量は10%とした。また、アニオン界面活性剤はオレフィン(C14-16)スルホン酸Naを、モノグリセリン脂肪酸エステルはカプリン酸グリセリルを、それぞれ用いた。試料番号1~6の組成および安定性の評価結果を
図9に示す。
【0087】
図9に示すように、No.1(油性原料0%)~No.4(同70%)は1週間以上安定であり、No.1(油性原料0%)~No.3(同60%)は4週間以上安定であった。また、No.1~4は泡立ちも良好であった。この結果から、油性原料の配合量は、75%未満が好ましく、70%以下がより好ましいことが明らかになった。
【0088】
<実施例10>泡立ちの定量評価
比較例および試料番号1~6の洗浄料を製造し、泡立ちを定量的に評価した。比較例は、界面活性剤としてアニオン界面活性剤(ココイルグルタミン酸TEA)および両性界面活性剤(コカミドプロピルベタイン)を、油性原料としてシクロペンタシロキサンを、それぞれ用いた。No.1は、両性界面活性剤に代えてモノグリセリン脂肪酸エステル(カプリン酸グリセリル)を用い、それ以外は比較例と同じ原料を用いた。No.2~6は、界面活性としてアニオン界面活性剤(オレフィン(C14-16)スルホン酸Na)およびモノグリセリン脂肪酸エステル(カプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリル、ウンデシレン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリルまたはミリスチン酸グリセリル)を、油性原料としてミネラルオイルを、それぞれ用いた。No.6は、油性原料の配合量を大きく(70%)した。全試料について、界面活性剤の総量は10%とした。
【0089】
調製した洗浄料10gと水190gとを、容量500mLのトールビーカーに入れ、泡立たないように注意しながら均一になるよう混合した。続いて、ホモミキサーを用いて5000回転/分にて30秒間撹拌し、泡を生成させた。これを5分間静置した後、残存している泡の高さを計測した。また、別途、調製した洗浄料約1gを手に取り、水約5gを加えて手で泡立てて、泡立ちの良否を目視および触感により官能評価した。その結果、手による泡立ちが良いものを○、泡立ちが悪いものを×として評点した。比較例および試料番号1~6の組成、泡の高さおよび手による泡立ちの官能評価結果を
図10に示す。
【0090】
図10に示すように、泡の高さは、比較例では0cmであったのに対して、No.1は5.5cmであった。手による泡立ちも、比較例では悪かった(×)のに対して、No.1は良かった(○)。すなわち、アニオン界面活性剤と両性界面活性剤とを併用してもほとんど泡立たないのに対して、アニオン界面活性剤とモノグリセリン脂肪酸エステルとを所定の質量比で配合することにより、優れた泡立ちが得られることが明らかになった。
【0091】
また、No.1~5の泡の高さはいずれも5cmを超えており、手による泡立ちも、いずれも良かった(○)。すなわち、モノグリセリン脂肪酸エステルとして、カプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリル、ウンデシレン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリルおよびミリスチン酸グリセリルのいずれを用いても、優れた泡立ちが得られることが明らかになった。
【0092】
また、No.6(油性原料を70%配合)の泡の高さは6.4cmであり、No.1~No.5(油性原料を50%配合)とほぼ同等であった。No.6は、手による泡立ちも良かった(○)。すなわち、アニオン界面活性剤とモノグリセリン脂肪酸エステルとを所定の質量比で配合することにより、油性原料を高い割合で配合しても、優れた泡立ちが得られることが明らかになった。
【0093】
さらに、No.1~6は、泡立ち評価後、ビーカーやミキサーを水で濯いだ後のこれら器具への油性成分の付着の程度は小さかった。手を水で濯いだ後は、手に油性原料が適度に残り、しっとり感が感じられた。
【0094】
<実施例11>複数種のモノグリセリン脂肪酸エステルとアニオン界面活性剤との配合比率の検討
複数種のモノグリセリン脂肪酸エステルを併用した場合について、アニオン界面活性剤との配合比率を検討した。すなわち、オレフィン(C14-16)スルホン酸Naとモノグリセリン脂肪酸エステル(カプリル酸グリセリルおよびカプリン酸グリセリルを1:1(質量比)で併用)との配合比率を1:2.33~20(質量比)に変化させて試料番号1~3の洗浄料を製造し、安定性および泡立ちを評価した。界面活性剤の総量は10%(純分)とした。表3の上段に試料番号1~3の組成を、下段に安定性の評価結果をそれぞれ示す。
【表3】
【0095】
No.1(アニオン界面活性剤:モノグリセリン脂肪酸エステル=1:2.33)は、モノグリセリン脂肪酸エステルとしてカプリル酸グリセリルのみを用いた場合は好適でなく(実施例1を参照)、カプリン酸グリセリルのみを用いた場合は好適であった(実施例2を参照)配合比率である。No.2(同1:10)は、モノグリセリン脂肪酸エステルとしてカプリル酸グリセリルのみを用いた場合およびカプリン酸グリセリルのみを用いた場合のいずれも、好適でなかった配合比率である(実施例1および実施例2を参照)。No.3(同1:20)は、モノグリセリン脂肪酸エステルとしてカプリル酸グリセリルのみを用いた場合は好適であり(実施例1を参照)、カプリン酸グリセリルのみを用いた場合は好適でなかった(実施例2を参照)配合比率である。
【0096】
表3に示すように、No.1(同1:1)~No.3(同1:20)はいずれも、1週間以上安定であった。また、No.1~3は泡立ちも良好であった。この結果から、アニオン界面活性剤およびモノグリセリン脂肪酸エステルを所定の配合比で含有する洗浄料において、複数種のモノグリセリン脂肪酸エステルを併用した場合は、それぞれのモノグリセリン脂肪酸エステルを単独で用いた場合の最小配合比率から最大配合比率に至る全ての数値範囲において、安定性が高く、泡立ちが良好な洗浄料が得られることが明らかになった。
【0097】
<実施例12>モノグリセリン脂肪酸エステルの検討
オレフィン(C14-16)スルホン酸Naとモノグリセリン脂肪酸エステルとを1:1.5(質量比)の比率で配合して試料番号1~4の洗浄料を製造した。モノグリセリン脂肪酸エステルは、ステアリン酸(炭素数18の脂肪酸)、イソステアリン酸(炭素数18の脂肪酸)、オレイン酸(炭素数18の脂肪酸)およびベヘン酸(炭素数22の脂肪酸)のモノグリセリドであるステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、オレイン酸グリセリルおよびベヘン酸グリセリルを用いた。試料1~4について、実施例10と同様の方法で泡の高さおよび手による泡立ちを評価した。試料番号1~4の組成、泡の高さおよび手による泡立ちの官能評価結果を
図11に示す。
【0098】
図11に示すように、No.1およびNo.4の泡の高さは0cmであり、No.2の泡の高さは5.3cm、No.3の泡の高さは3.8cmであった。一方、No.1~4はいずれも手では全く泡立たなかった。すなわち、ステアリン酸グリセリルおよびベヘン酸グリセリルを配合した洗浄料は全く泡立たなかった。また、イソステアリン酸グリセリルおよびオレイン酸グリセリルを配合した洗浄料はホモミキサーでは泡立ったものの、手では泡立たなかった。さらに、イソステアリン酸グリセリルおよびオレイン酸グリセリルを配合した洗浄料は、泡立ち評価後、水で濯いだ後に油性成分がビーカー壁面や手に大量に付着し、ベタベタしていて使用感が悪かった。このことから、いずれも、日常的に使用可能な洗浄料としての実用性に欠けることが明らかになった。
【0099】
この結果から、アニオン界面活性剤と所定の質量比で併用し、油性原料を多く配合していても泡立ちが良好な洗浄料を得るためには、モノグリセリン脂肪酸エステルは、カプリル酸グリセリル、カプリン酸グリセリル、ウンデシレン酸グリセリル、ラウリン酸グリセリルおよび/またはミリスチン酸グリセリルが好ましいことが明らかになった。