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特開2022-58305免税商品販売方法、宅配ロッカー、及び免税商品販売システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022058305
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】免税商品販売方法、宅配ロッカー、及び免税商品販売システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20120101AFI20220404BHJP
【FI】
G06Q30/06 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021161826
(22)【出願日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】P 2020164289
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】520380211
【氏名又は名称】株式会社トラベルテックラボ
(74)【代理人】
【識別番号】100170449
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 英彦
(72)【発明者】
【氏名】芝先 恵介
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB24
(57)【要約】
【課題】本発明は、人との接触機会を減らしつつ、免税対象者が免税対象物品を購入することができる免税商品販売方法、宅配ロッカー、及び免税商品販売システムの提供を目的とした。
【解決手段】本発明の免税商品販売方法は、免税対象者2のパスポートに係る情報と免税対象者2の本人顔画像41とを紐付けて登録する免税対象者登録ステップと、免税対象者2に免税対象物品3を引き渡す前に取得された受取人顔画像42と、本人顔画像41とを照合して、同一人物であるか否かを判定する免税対象者認証ステップと、を含み、免税対象者認証ステップにおいて、受取人顔画像42と本人顔画像41とが同一人物であると判定されたことを条件として、免税対象物品3を引き渡し可能となる。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
免税対象物品を免税対象者に販売する方法であって、
前記免税対象者が、前記免税対象物品をオンラインで購入可能であり、
前記免税対象者のパスポートに係る情報と前記免税対象者の本人顔画像とを紐付けて登録する免税対象者登録ステップと、
オンラインで購入された前記免税対象物品を所定の引渡場所に配送する配送ステップと、
前記免税対象者に前記免税対象物品を引き渡す前に取得された前記免税対象者の顔画像である受取人顔画像と、前記本人顔画像とを照合して、同一人物であるか否かを判定する免税対象者認証ステップと、
前記引渡場所で前記免税対象物品を引き渡す商品引渡ステップと、を含み、
前記免税対象者認証ステップにおいて、前記受取人顔画像と前記本人顔画像とが同一人物であると判定されたことを条件として、前記免税対象物品の引き渡しが可能となる、免税商品販売方法。
【請求項2】
前記免税対象物品の配送先が所定の引渡場所である場合、
前記引渡場所において、前記受取人顔画像を取得する、請求項1に記載の免税商品販売方法。
【請求項3】
前記引渡場所が、前記免税対象物品を収容可能な宅配ロッカーであり、
前記宅配ロッカーを介して前記受取人顔画像を取得可能である、請求項2に記載の免税商品販売方法。
【請求項4】
物品の引き渡しのために前記物品を収容して保管するものであって、
ロック状態と非ロック状態とを切り替え可能なロック装置と、
収容された前記物品を受け取ろうとする受取人の顔画像である受取人顔画像を取得可能な情報取得部と、を有し、
予め取得された前記物品の購入者の顔画像である購入者顔画像と、前記受取人顔画像とを照合して、同一人物であると判定されたことを条件として、前記ロック状態を解除可能である、宅配ロッカー。
【請求項5】
庫内の監視を行う監視部を備える、請求項4に記載の宅配ロッカー。
【請求項6】
免税対象物品を免税対象者に販売する免税商品販売システムであって、
サービス提供者が管理する事務局サーバと、ユーザが利用するユーザ端末に導入される免税商品購入アプリとを備え、
事務局サーバが、前記免税商品購入アプリにより購入された前記免税対象物品に対して、税金相当分の金額が含まれる第一の金額により、前記免税対象者に対して前記免税対象物品に関する取引額の請求を行い、前記免税対象者の前記免税対象物品の取引に関する免税手続が完了した後に、前記第一の金額と免税金額との差額のうち所定の金額を前記免税対象者に返金する、免税商品販売システム。
【請求項7】
前記免税商品購入アプリは、オンラインショップから前記免税対象物品を検索し、所望の前記免税対象物品を購入する、請求項6に記載の免税商品販売システム。
【請求項8】
前記免税商品購入アプリは、前記免税対象物品を購入する実店舗の店舗情報を取得した後に、オンラインショップから所望の前記免税対象物品を購入する、請求項7に記載の免税商品販売システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免税対象物品の販売方法及び免税対象者の認証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、訪日外国人の増加に伴い、免税店での免税対象物品の購買需要が高まっていた。ここで、免税対象者(外国人旅行者などの非居住者)が免税金額で商品を購入する、あるいは税額の還付を受ける場合には、免税店や免税手続カウンター等でパスポートを提示する、各種書類への記入(誓約書への署名等)を行うなど、各種手続きを要する。また、このようなインバウンド需要の高まりに伴い、免税店での免税手続きの効率化を図るための技術が提供されている。例えば、下記特許文献1には、購入者(免税対象者)の署名の負担を軽減することができる免税処理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-74242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、最近では新型コロナウイルス感染拡大の影響により、外国人が来日することができず、観光地やインバウンド需要に対応した店舗などが大きなダメージを受けている。一方で、訪日外国人旅行者の8割以上を占める中国・韓国・台湾などの東アジアでは、すでに感染の抑え込みに成功した国もあり、これらの国では自宅待機の反動で海外旅行に対する機運が高まっている。
【0005】
しかしながら、外国人旅行者が免税制度の恩恵(免税金額での購入や税額の還付など)を受けようとすると、免税店や免税手続カウンターにおける対面での手続きを行うなど、人との接触機会が増えることとなる。一方、新型コロナウイルスの感染拡大が減少したとしても、人と人との接触機会を抑えて買い物をしたいとの要望が根強く残ることが予想される。
【0006】
そこで本発明は、人との接触機会を減らしつつ、免税対象者が免税対象物品を購入することができる免税商品販売方法、宅配ロッカー、及び免税商品販売システムの提供を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上述の課題を解決すべく提供される本発明の免税商品販売方法は、免税対象物品を免税対象者に販売する方法であって、前記免税対象者が、前記免税対象物品をオンラインで購入可能であり、前記免税対象者のパスポートに係る情報と前記免税対象者の本人顔画像とを紐付けて登録する免税対象者登録ステップと、オンラインで購入された前記免税対象物品を所定の引渡場所に配送する配送ステップと、前記免税対象者に前記免税対象物品を引き渡す前に取得された前記免税対象者の顔画像である受取人顔画像と、前記本人顔画像とを照合して、同一人物であるか否かを判定する免税対象者認証ステップと、前記引渡場所で前記免税対象物品を引き渡す商品引渡ステップと、を含み、前記免税対象者認証ステップにおいて、前記受取人顔画像と前記本人顔画像とが同一人物であると判定されたことを条件として、前記免税対象物品の引き渡しが可能となる。
【0008】
本発明の免税商品販売方法によれば、免税対象者が免税店や免税手続カウンター等で免税に係る手続きを行うことを要さず、免税対象者が購入した商品を引き渡すことができる。その結果、免税手続きの際の免税対象者と他の者(免税店での手続担当者など)との接触機会を低減させ、ウイルス等への感染リスクを低下させることができる。
【0009】
また、上述の構成によれば、商品を選ぶ、あるいは購入する際、免税手続きの際、及び商品引き渡しの際の人と人との接触機会を低減することができる。これにより、免税対象者(外国人旅行者など)がウイルス等へ感染するリスクを低下させることができる。また、上述の構成によれば、外国人旅行者がお土産を選ぶ場合に、店舗に出向くことなく免税対象物品を購入し、空港やホテルなどの宅配ロッカー設置場所で商品を引き取ることができる。その結果、外国人旅行者がお土産を持ち歩くことなく、手ぶらで観光を楽しむことができる。
【0010】
(2)本発明の免税商品販売方法は、前記免税対象物品の配送先が所定の引渡場所である場合、前記引渡場所において、前記受取人顔画像を取得するものであるとよい。
【0011】
(3)本発明の免税商品販売方法は、前記引渡場所が、前記免税対象物品を収容可能な宅配ロッカーであり、前記宅配ロッカーを介して前記受取人顔画像を取得可能であるとよい。
【0012】
上述の構成によれば、免税対象者に商品(免税対象物品)を引き渡す際に、宅配ロッカーを介して行うことができる。その結果、商品引き渡しの際の免税対象者と他の者(商品取り置き場所での引き渡し担当など者)との接触機会を低減させ、ウイルス等への感染リスクを低下させることができる。より詳細に説明すると、例えば、外国人旅行者などが旅行中や旅行前にオンラインで商品を注文した場合に、日本の空港やホテルに設置された宅配ロッカーにて商品を受け取ることができる。そのため、土産物の買い回り、免税手続きで列に並ぶなどの人との接触機会を削減し、新型コロナウイルス感染を気にせず空港などでまとめて購入した商品を受け取ることができる。その結果、旅行者(免税対象者)に加えて店舗(免税店など)の店員の感染のリスクを抑えることができる。
【0013】
より詳細に説明すると、上述の構成によれば、ホテルや空港へ商品の配達を可能とし「手ぶら観光」を実現することに加え、免税手続をオンライン化し、引渡場所では商品を受け取るだけとすることができる。これにより、店舗など人が多い場所での滞在時間を減らして、感染リスクを減らすことができる。また、地方の名産や物産など、店舗を回らずに様々な商品を購入することができ、感染リスクを減らすことができる。さらに、親族や友達のお土産に煩わされず、「自分の旅行」をコロナ禍でも安心・安全に楽しむことができる。このように、上述の構成によれば、訪日外国人旅行者のお土産に関して、「探す・購入する・持ち帰る」といった作業を効率化し、コロナ感染リスクを減らすことができる。
【0014】
(4)本発明の宅配ロッカーは、物品の引き渡しのために前記物品を収容して保管するものであって、ロック状態と非ロック状態とを切り替え可能なロック装置と、収容された前記物品を受け取ろうとする受取人の顔画像である受取人顔画像を取得可能な情報取得部と、を有し、予め取得された前記物品の購入者の顔画像である購入者顔画像と、前記受取人顔画像とを照合して、同一人物であると判定されたことを条件として、前記ロック状態を解除可能なものである。
【0015】
本発明の宅配ロッカーによれば、免税対象者に商品(免税対象物品)を引き渡す際に、宅配ロッカーを介して行うことができる。その結果、商品引き渡しの際の免税対象者と他の者(商品取置き場所での引き渡し担当者)との接触機会を低減させ、ウイルス等への感染リスクを低下させることができる。
【0016】
(5)本発明の宅配ロッカーは、庫内の監視を行う監視部を備えるものであるとよい。
【0017】
上述の構成によれば、複数の配送業者8が一つの宅配ロッカーの庫内に荷物を宅配する場合に、荷物の過不足がないかなど(必要な荷物があるか、盗難されていないかなど)、庫内を監視することができる。また、ユーザは外国人旅行者である場合が多く、複数の販売店で商品を購入することが想定される。このような場合には、一つの宅配ロッカーに複数の配送業者が荷物を配送することとなり、配送業者が誤って中の荷物を持ち出すなど荷物の紛失等の懸念が高くなるが、宅配ロッカーの庫内を監視することで荷物紛失などの懸念を低減することができる。
【0018】
(6)本発明の免税商品販売システムは、免税対象物品を免税対象者に販売する免税商品販売システムであって、サービス提供者が管理する事務局サーバと、ユーザが利用するユーザ端末に導入される免税商品購入アプリとを備え、事務局サーバが、前記免税商品購入アプリにより購入された前記免税対象物品に対して、税金相当分の金額が含まれる第一の金額により、前記免税対象者に対して前記免税対象物品に関する取引額の請求を行い、前記免税対象者の前記免税対象物品の取引に関する免税手続が完了した後に、前記第一の金額と免税金額との差額のうち所定の金額を前記免税対象者に返金する。
【0019】
本発明の免税商品販売システムによれば、いったん税込額を請求し、サービス料相当額の手数料を徴収することができる。これにより、サービス提供者は免税対象物品の販売に関する様々なサービス(例えばオンラインでの免税手続や商品の配送、取り置きサービスなど)を提供することができる。また、ユーザ(免税対象者)の観点では、所定の手数料を支払うことで様々なサービスを受けることができる。
【0020】
(7)上述した免税商品販売システムにおいて、前記免税商品購入アプリは、オンラインショップから前記免税対象物品を検索し、所望の前記免税対象物品を購入するようにしてもよい。そのようにすれば、旅行者(免税対象者)と店舗(免税店など)の店員との接触頻度を減少させ、感染のリスクを抑えることができる。
【0021】
(8)前記免税商品購入アプリは、前記免税対象物品を購入する実店舗の店舗情報を取得した後に、オンラインショップから所望の前記免税対象物品を購入するようにしてもよい。そのようにすれば、旅行者(免税対象者)は、店舗(免税店など)の店員との接触頻度を減少さることができるにもかかわらず、実店舗の商品を手に取りながら買い物を楽しむことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、人との接触機会を減らしつつ、免税対象者が免税対象物品を購入することができる免税商品販売方法、宅配ロッカー、及び免税商品販売システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態に係る免税商品販売システムを示す模式図である。
図2図1の免税商品販売システムのクライアント端末及び宅配ロッカーのブロック図である。
図3図1の免税商品販売システムにおける免税商品販売方法の一連の流れを示す模式図である。
図4図1の免税商品販売システムの免税対象者登録受付処理を示す図である。
図5図1の免税商品販売システムの荷物受付処理を示す図である。
図6図1の免税商品販売システムの商品引渡処理を示す図である。
図7図1の免税商品販売システムの免税対象者登録処理及び商品引渡処理において照合される画像を示す図である。
図8図1の免税商品販売システムにおいてユーザ端末に表示される画面の一例を示す図である。(a)はログイン画面、(b)は会員登録画面、(c)はトップ画面、(d)は検索画面である。
図9図1の免税商品販売システムにおいてユーザ端末に表示される画面の一例を示す図である。(a)は商品詳細画面、(b)は店舗詳細画面、(c)は買い物かご画面、(d)は購入確認及び決済画面である。
図10図1の免税商品販売システムにおいてユーザ端末に表示される画面の一例を示す図である。(a)はいいね商品画面、(b)は商品ピックアップ画面、(c)はプロフィール編集画面、(d)は注文履歴画面である。
図11図1の免税商品販売システムの店舗商品購入処理を示す図である。
図12】本実施例における免税商品販売システムにおいてユーザ端末に表示される画面の一例を示す図である。(a)はトップ画面、(b)はカテゴリ選択画面、(c)はカテゴリ内選択画面、(d)は商品画面である。
図13】本実施例における免税商品販売システムにおいてユーザ端末に表示される画面の他の一例を示す図である。(a)はマップ画面、(b)は店内商品選択画面、(c)は商品画面である。
図14】本実施例における免税商品販売システムにおいてユーザ端末に表示される画面の他の一例を示す図である。(a)はQRコード選択画面、(b)は店舗内商品選択画面、(c)は商品画面である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0025】
本発明の実施形態に係る免税商品販売システム1は、免税対象物品3の販売に際し、空港等に設置された宅配ロッカー30での商品の引き渡しや、免税手続の少なくとも一部をオンラインで行うなど、免税対象物品3を購入しようとする者(ユーザ2a)に対するサービスを提供することができる。なお、以下の説明では、免税商品販売システム1によるサービスを提供する者を「サービス提供者5」又は「事務局5」と記載して説明する場合がある。なお、宅配ロッカー30は、収容空間と扉からなるロッカータイプのものに限らず、箱と蓋からなるボックスタイプのものでもよく、免税対象物品3が収容できれば、他の構成であってもよい。
【0026】
ここで、本明細書において、「免税対象者」とは、免税販売の対象となる者である。「免税対象者」には、外国人旅行者や日本人一時帰国者などの非居住者が含まれる。また、本明細書において、「免税店」とは、免税店としての許可を税務署から受けた小売店(販売店)である。
【0027】
また、本明細書中の「販売店」には、小売店等の店舗や、地域商社、観光協会、物産協会、地方自治体のアンテナショップ、DMO(DestinationManagementOrganization)が主体となって運営する販売店などが含まれる。また、販売店は、実際の店舗を構えるもの(実店舗)のほか、オンライン上で物品を販売する店舗(仮想店舗)も含まれる。
【0028】
さらに、本明細書において、「免税対象物品」とは、免税の対象となる物品であって、輸出するために購入される物品のうち、通常生活の用に供する家電、バッグ、衣料品等などの一般物品や、飲食料品、医薬品、化粧品などの消耗品を含む物品である。
【0029】
免税商品販売システム1は、外国人旅行者などの免税対象者2に各種のサービスを提供することができる。以下の説明では、免税対象者2のうち、免税商品販売システム1によるサービスを利用する者、あるいは利用しようとする者を、単に「ユーザ2a」と記載して説明する場合がある。
【0030】
図1に示すとおり、免税商品販売システム1は、ユーザ2a(免税対象者2)のクライアント端末(以下、「ユーザ端末21」と記載して説明する場合がある)、サービス提供者5(事務局5)が管理するクライアント端末10(以下、「事務局サーバ20」と記載して説明する場合がある)、及び宅配ロッカー30(引渡場所7)を備えている。なお、販売店4には、クライアント端末(以下、「販売店端末」と記載して説明する場合がある)が設けられている。
【0031】
事務局サーバ20(クライアント端末10)は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置である。なお、クライアント端末10は、デスクトップPC、スマートフォン、タブレット端末、ノートPC等、固定型、形態型を問わずいかなる情報処理装置であってもよい。
【0032】
図2に示すとおり、クライアント端末10は、ハードウエアの構成として、CPU11、RAM12、ROM13、HDD14、表示装置15、操作装置16およびI/F17を含み、それぞれがバスを介して接続されている。
【0033】
CPU11は、従来よく知られる演算手段であり、クライアント端末10全体の動作を制御する。RAM12は、情報の読み書きを高速で行う揮発性の記憶媒体であり、CPU11が情報を処理する際の作業領域として機能する。ROM13は、読み出し専用の不揮発性記憶媒体であり、ファームウエア等のプログラムが格納されている。HDD14は、情報の読み書きを行う不揮発性の記憶媒体であり、OS(Operating System)や各種の制御プログラム、アプリケーション(以下単に「アプリ」とも称する。)等が格納される。
【0034】
表示装置15は、液晶ディスプレイなど、クライアント端末10の操作者に対するユーザインターフェースである。なお、表示装置15は、タッチパネル機能を有するディスプレイ(タッチパネル)であって、操作装置としての機能を兼ね備えるものであってもよい。操作装置16は、キーボード、マウス等を含み、クライアント端末10を操作するためのユーザインターフェースである。I/F17は、クライアント端末10と、他の各種のハードウエアやネットワーク等とを接続する。I/F17は、コネクタのような有線方式の接続装置であってもよいし、ブルートゥース(登録商標)のような無線方式の接続装置であってもよい。
【0035】
このようなハードウエア構成において、ROM13、HDD14または光ディスク等の記憶媒体に格納されたプログラムやアプリがRAM12に読み出され、CPU11がそれらのプログラムに従って演算を行うことにより、読み込まれたプログラムやアプリケーションに応じた機能ブロックが構成される。
【0036】
なお、ユーザ端末21や販売店端末(図示を省略)についても、事務局サーバ20(クライアント端末10)と同様に、ハードウエアの構成としてCPU、RAM、ROM、HDD、及び表示装置等を備えており、ROM、HDDまたは光ディスク等の記憶媒体に格納されたプログラムやアプリがRAMに読み出され、CPUがそれらのプログラムに従って演算を行うことにより、読み込まれたプログラムやアプリケーションに応じた機能ブロックが構成される。
【0037】
事務局サーバ20は、免税商品販売システム1における各種処理を行う。また、事務局サーバ20には、後述する免税対象者登録処理(ステップS2)において取得されたユーザ情報(氏名、住所、パスポート番号等のパスポート情報や本人顔画像41など)が格納されている。
【0038】
図1に示すとおり、サービス提供者5は、複数の販売店4が出店するオンラインショップ6(WEBサイト上の仮想店舗)を提供している。なお、各販売店4は、免税商品を販売するための販売管理システム(図示しない)について、サービス提供者5から提供を受けており、販売管理システムの管理画面から、商品の売上や発注などが確認できる。また、サービス提供者5は、免税商品購入アプリを提供しており、免税商品購入アプリはネットワークを介して事務局サーバ20からダウンロード可能となっている。なお、本実施形態では、ネットワークを介して免税商品購入アプリをダウンロードする例を示したが、免税商品購入アプリは、記憶媒体に記憶されたものをユーザ端末21で読み込み、インストールされるものであってもよい。
【0039】
ユーザ2a(免税対象者2)は、ユーザ端末21で免税商品購入アプリを起動させてオンラインショップ6にアクセスすることで、商品を選択して購入することができる。なお、ユーザ端末21の免税商品購入アプリを起動させると、表示装置21aには、トップ画面(図8(c)参照)が表示される。商品を選択すると商品詳細画面(図9(a)参照)が表示される。商品詳細画面から買い物かごへ入れると、買い物かご画面(図9(c)参照)が表示される。決済手続きへ進むと、ログイン画面(図8(a)参照)が表示される。また、ユーザ2aがログインした後には、会員登録画面(図8(b)参照)を表示させて会員登録を行うことができる。さらに、オンラインショップ6内で商品を検索する、商品詳細画面を閲覧する、店舗(販売店4)の詳細を確認する、商品を購入する、購入した商品の内容や金額を確認する等を行うことができる(図8及び図9参照)。
【0040】
宅配ロッカー30は、ユーザ2a(免税対象者2)が購入した商品(免税対象物品3)を収容するためのものである。より具体的に説明すると、宅配ロッカー30は、ユーザ2aが購入した商品をユーザ2aが引き取りに訪れるまでの間、収容して保管(取り置き)し、ユーザ2aが商品を引き取りに訪れた際に解錠して商品を引き渡すためのものである。別の観点から言えば、宅配ロッカー30は、ユーザ2a(免税対象者2)に商品(免税対象物品3)を引き渡す引渡場所7として機能する。
【0041】
本実施形態で一例として示す宅配ロッカーは、ロッカー型の収容体であり、内部に物品を収容可能とされた宅配ロッカー30とされている。宅配ロッカー30は、空港やホテルなど、免税対象者2が荷物(免税対象物品3)を受け取るのに便利な場所に複数台設置される。なお、宅配ロッカー30の設置場所は、空港やホテルに限定されず、駅や商業施設などいかなる場所であってもよい。また、本発明の宅配ロッカーは、ロッカー型に限定されず、置き箱型などであってもよい。
【0042】
また、宅配ロッカー30は、いわゆるIOT(InternetofThings)宅配ロッカーであり、常時インターネットを介して事務局サーバ20と接続され、モニタリングされている。また、宅配ロッカー30は、扉の開閉やロックなど、各種動作が事務局サーバ20から送信される情報に基づいて行われる。
【0043】
宅配ロッカー30にはロック装置34が設けられており、開閉可能な解錠状態(非ロック状態)と、開閉不能な施錠状態(ロック状態)とに切り替え可能とされている。また、宅配ロッカー30には、制御部31、情報取得部32、監視部33、及び通信部35が設けられている。
【0044】
本実施形態の宅配ロッカー30において、情報取得部32は、バーコードや、QRコード(登録商標)のような二次元コードを読み取り可能ないわゆるコードリーダーとしての機能を備えるとともに、写真を撮影する機能を備えている。なお、本実施形態においては、二次元コードを例に説明する。また、監視部33は、宅配ロッカー30の庫内に設けられた監視カメラとされている。以下においては、宅配ロッカー30は、通信部35によりインターネットに接続されており、二次元コードを読み取るなどして情報取得部32により取得された情報(荷物番号など)や、監視部33により撮影された庫内の状態、開閉動作に係る情報などがリアルタイムで事務局サーバ20に送信されてもよい。
【0045】
なお、本実施形態では、引渡場所7を宅配ロッカー30として、商品(免税対象物品3)を宅配ロッカー30に配送するものとした例を示したが、本発明の免税商品販売システム及び免税商品販売方法は本実施形態に限定されない。例えば、本発明の免税商品販売システムや免税商品販売方法において、商品(免税対象物品)をユーザに引き渡す引渡場所は、空港やホテル等の所定の場所(有人あるいは無人の荷物引き渡しカウンターなど)であってもよい。
【0046】
また、販売店4、サービス提供者5およびロッカー設置場所の管理者(空港、ホテル等)は、免税店としての許可(免税店登録)を受けていることが望ましい。特に、宅配ロッカー30の管理者としてサービス提供者5が免税店登録をしていてもよく、宅配ロッカー30の設置場所としてロッカー設置場所の管理者(空港、ホテル等)が免税店登録をしていてもよい。
【0047】
さらに、事務局5は、宅配ロッカー30を設置する場所(空港やホテルなど)にロッカー設置費(宅配ロッカー30の設置代)を支払っている。宅配ロッカー30の利用があった場合(宅配ロッカー30を利用して商品の受け渡しが行われた場合)、事務局5からロッカー設置場所の管理者(空港、ホテルなど)に対して、場所使用料として所定の金額の支払が行われる。
<商品購入から受け取りまでの流れ>
【0048】
続いて、免税商品販売システム1における免税対象物品3の購入から受け取りまでの一連の流れ(免税商品販売方法)について説明する。
【0049】
図3に示すとおり、免税商品販売システム1では、事務局サーバ20により、免税対象者登録受付処理(ステップS2)、発注受付処理(ステップS4)、荷物受付処理(ステップS8)、商品引渡処理(ステップS11)、及び支払処理(ステップS12)の各処理が行われる。また、免税対象者登録受付処理(ステップS2)において、免税対象者登録処理(免税対象者登録ステップ)が行われる。
<免税対象者登録受付処理>
【0050】
図3に示すとおり、免税対象者登録受付処理(ステップS2)は、ユーザ2aからの登録申請(ステップS1)に基づいて行われる。具体的に説明すると、ユーザ2aがユーザ端末21で免税商品購入アプリを起動させて登録申請を行うと、ユーザ端末21の表示装置21aには、パスポート情報(氏名、パスポート番号、パスポートに掲載されたパスポート写真画像40等)や、ユーザ2aの本人顔画像41を事務局サーバ20への送信を促す指示が行われる。ユーザ2aが当該指示に沿ってパスポート情報や本人顔画像41等を事務局サーバ20に送信し、事務局サーバ20がこれらのデータを受信すると、免税対象者登録受付処理が行われる。
【0051】
なお、免税対象者登録受付処理や免税対象者登録処理(免税対象者登録ステップ)は、商品引渡処理(ステップS11)が行われる前であれば、いかなるタイミングで行われるものであってもよい。例えば、ユーザ2aがユーザ端末21に免税商品購入アプリをダウンロードして会員登録を行うタイミングでは、氏名やクレジットカードの番号など、サービス提供の対象となる会員としての登録を行い、その後商品購入が行われた後のタイミングで免税対象者登録受付処理や免税対象者登録処理(免税対象者登録ステップ)が行われてもよい。言換すれば、免税対象者登録処理は、ユーザ2aの任意のタイミングであって商品の引き渡しが行われる前のタイミングに実行されればよい。
【0052】
図4を参照しつつ、免税対象者登録受付処理についてより詳細に説明する。
【0053】
ステップS2-1において、事務局サーバ20は、写真が同一人物であるか否かを判定する処理を行う。具体的には、図7に示すとおり、事務局サーバ20は、パスポート情報に含まれるパスポート写真画像40と本人顔画像41とを照合して、これらが同一人物の写真であるか否かを判定する処理を行う。写真が同一人物であると判定された場合(ステップS2-1=YES)にはステップS2-2に処理を移し、写真が同一人物であると判定されなかった場合(ステップS2-2=NO)にはステップS2-7に処理を移す。
【0054】
ステップS2-2において、事務局サーバ20は、ユーザ端末21にSMS認証要求を行い、ステップS2-3においてSMS認証が完了したか否かを判定する処理を行う。SMS認証が完了したと判定された場合(ステップS2-3=YES)にはステップS2-6に処理を移し、SMS認証が完了したと判定されなかった場合(ステップS2-3=NO)にはステップS2-4に処理を移す。
【0055】
ステップS2-4において、事務局サーバ20は、ユーザ端末21にメール認証要求を行い、ステップS2-5においてメール認証が完了したか否かを判定する処理を行う。メール認証が完了したと判定された場合(ステップS2-5=YES)にはステップS2-6に処理を移し、メール認証が完了したと判定されなかった場合(ステップS2-5=NO)にはステップS2-7に処理を移す。
【0056】
ステップS2-6において、事務局サーバ20は、免税対象者登録処理(免税対象者登録ステップ)を行う。具体的には、パスポート情報(氏名、パスポート番号、パスポート写真画像40等)と本人顔画像41とを紐付けて、ユーザ2a(免税対象者2)の情報を登録する。当該処理が終了すると、事務局サーバ20は一連の免税対象者登録受付処理を終了する。
【0057】
ステップS2-7において、事務局サーバ20は、エラー通知を行う。エラー通知は、認証が出来なかった旨や本人顔画像41とパスポート写真画像40とが同一人物であると認証できなかった旨などがユーザ端末21に通知される。当該処理が終了すると、事務局サーバ20は一連の免税対象者登録受付処理を終了する。
<発注受付処理>
【0058】
図3に示すとおり、発注受付処理は、ユーザ2aが免税商品購入アプリで商品を選択し、購入する商品選択購入処理(ステップS3)に基づいて行われる。より具体的に説明すると、ステップS3において、ユーザ2aが免税商品購入アプリ内のオンラインショップ6で商品を選択し、商品購入の決定を行うと、クレジットカード決済が行われるとともに、注文内容の情報が事務局サーバ20に送信され、当該情報を事務局サーバ20が受信したことに基づいて発注受付処理(ステップS4)が行われる。
【0059】
図3に示すとおり、事務局サーバ20は、発注受付処理(ステップS4)において、ユーザ端末21に商品の発注を受け付けた旨を通知するメール(発注受付メール)を送信する。また、事務局サーバ20は、販売店4の店舗端末(図示を省略)に対して発注内容(商品、配送先(宅配ロッカー30の指定)、配送日時等)を通知するメール(発注通知メール)を送信する。
【0060】
このように、免税商品販売システム1では、ユーザ2aにとっては課税額よりも少ない金額(商品代+5%)を支払うことで、免税対象商品を容易に購入することができる。また、WEB発注を可能とすることで、お土産を買うためにあちこち店を回ることを要さず、さらにお土産を持ち歩くことを要さずに、「手ぶら観光」を楽しむことができる。
【0061】
商品の発注を受け付けた販売店4は、商品の発送(ステップS5)や事務局5(事務局サーバ20)に対して荷物番号の連絡(ステップS6)を行う。また、配送業者8は、商品の引き取りや商品の配送(ステップS7)等を行う。
【0062】
また、図示を省略するが、商品の発送(ステップS5)が完了して事務局サーバ20が荷物番号の連絡を受け取ると、事務局サーバ20はユーザ端末21に発送完了メールを送信する。発送完了メールには、荷物番号、受取日時、引渡場所(宅配ロッカー30の場所や番号など)等の情報が含まれている。
【0063】
ここで、図3に示すとおり、免税商品販売システム1では、税込金額X1をユーザ2aに対する請求額としていったん決済し、ユーザ2aに対して所定の金額(返金額X3)を後日返金する。より詳細に説明すると、免税商品販売システム1では、商品購入時には税込金額X1を請求額として決済し、後日税込金額X1と免税金額X2との差額(10%の消費税に相当する税額X4)からサービス提供料X5(例えば、商品購入額の5%)および宅配ロッカー使用料X6を差し引いた金額を返金額X3として、ユーザ2aに返金する。
【0064】
そのため、ユーザ2aは、消費税相当額(10%)のうち、5%のサービス提供料および宅配ロッカー30の使用料である宅配ロッカー使用料X6を支払うことで、オンライン上で商品(免税対象物品3)の購入が出来ることに加え、宅配ロッカー30を利用した商品の引き取りを行うことができる。別の言い方をすれば、ユーザ2aは、税込金額よりも安い金額を支払うことで、宅配ロッカー30の利用やオンラインでの免税手続など、各種サービスを受けることができる。なお、宅配ロッカー使用料X6のうち、所定の金額または割合に相当する金額が、宅配ロッカー30を設置する場所使用料X7として、ロッカー使用場所の管理者(空港、ホテル等)に支払われる。
<荷物受付処理>
【0065】
荷物受付処理(荷物受付ステップ)は、宅配ロッカー30が荷物の受付要求(二次元コードの読み取り)を受信したことに基づき行われる。また、荷物受付処理では、二次元コードの読み取りや荷物番号の判定、宅配ロッカー30のロック解除処理等が行われる。
【0066】
荷物受付処理について、図5を参照しつつより詳細に説明する。
【0067】
ステップS8-1において、事務局サーバ20は、宅配ロッカー30の情報取得部32において、二次元コードの読み取りがあったか否かの判定を行う。より具体的に説明すると、荷物(商品)の配送を行う配送業者8が宅配ロッカー30の情報取得部32で二次元コードの読み取りを行い、宅配ロッカー30の情報取得部32が当該読み取りを検知した場合に、読み取り有りと判定する。読み取り有りと判定された場合(ステップS8-1=YES)にはステップS8-2に処理を移し、読み取り有りと判定されなかった場合(ステップS8-2=NO)には荷物受付処理を終了する。
【0068】
ステップS8-2において、事務局サーバ20は、読み取られた二次元コードに係る情報(荷物番号)が、受付待機中の荷物番号(収容予定の荷物に係る荷物番号)と一致するか否かを判定する処理を行う。荷物番号が一致する場合(ステップS8-2=YES)にはステップS8-3に処理を移し、荷物番号が一致しない場合(ステップS8-2=NO)にはステップS8-6に処理を移す。
【0069】
ステップS8-3において、事務局サーバ20は、ロック解除を行う。具体的には、事務局サーバ20は、宅配ロッカー30の制御部31に対してロックを解除するよう指示を行う。また、宅配ロッカー30は、当該指示を受信したことに基づき、ロック状態の解除を行う。これにより、配送業者8が宅配ロッカー30を開けることが可能となり、配送業者8が宅配ロッカー30に荷物(商品)を格納することができる。
【0070】
ステップS8-4において、事務局サーバ20は、荷物格納が完了したか否かを判定する処理を行う。荷物格納が完了したと判定された場合(ステップS8-4=YES)にはステップS8-5に処理を移し、荷物格納が完了していない場合(ステップS8-4=NO)にはステップS8-6に処理を移す。
【0071】
ステップS8-5において、事務局サーバ20は、宅配ロッカー30の施錠を行う。具体的には、事務局サーバ20は、宅配ロッカー30の制御部31に対して施錠の指示を行う。また、宅配ロッカー30は、当該指示を受信したことに基づき、ロック装置34を作動させて施錠を行う。
【0072】
ステップS8-6において、事務局サーバ20は、エラー通知を行う。エラー通知により、事務局5の担当者が配送業者8に連絡する、あるいは配送業者8が事務局5に連絡するなど、不具合(荷物が入らないなど)を解消するために必要な措置が行われることとなる。
<庫内監視>
【0073】
宅配ロッカー30に荷物が収容された後、事務局サーバ20は庫内の監視を開始する(ステップS9)。具体的には、宅配ロッカー30の監視部33(監視カメラなど)の画像をリアルタイムで監視して、必要な荷物があるか否かなどを監視する。
【0074】
これにより、複数の配送業者8が一つの宅配ロッカー30の庫内に荷物を宅配する場合に、荷物の過不足がないかなど(必要な荷物があるか、盗難されていないかなど)、庫内を監視することができる。また、ユーザ2aは外国人旅行者である場合が多く、複数の販売店4で商品を購入することが想定される。このような場合には、一つの宅配ロッカー30に複数の配送業者8が荷物を配送することとなり、配送業者8が誤って中の荷物を持ち出すなど荷物の紛失等の懸念が高くなるが、宅配ロッカー30の庫内を監視することで荷物紛失などの懸念を低減することができる。
<商品引渡処理>
【0075】
商品引渡処理(ステップS11)では、ユーザ2aに商品(免税対象物品3)を引き渡すための処理が行われる。商品引渡処理は、ユーザ端末21に通知された引渡場所7(指定された宅配ロッカー30)にユーザ2aが出向き、指定された宅配ロッカー30に対してユーザ2aが商品受取要求(ステップS10)を行うことに基づいて行われる。より具体的に説明すると、免税商品購入アプリによりユーザ端末21に表示された地図に従ってユーザ2aが指定された宅配ロッカー30に出向き、宅配ロッカー30に商品受取要求を行う。商品受取要求は、例えばユーザ端末21に所定の二次元コードを表示させ、その二次元コードを情報取得部32に読み取らせるなどにより行うことができる。
【0076】
商品引渡処理(ステップS11)では、免税対象者認証判定処理(免税対象者認証ステップ)や、宅配ロッカー30のロック解除等が行われる。
【0077】
商品引渡処理について、図6を参照しつつより詳細に説明する。
【0078】
ステップS11-1において、事務局サーバ20は、商品受取要求を検知したか否かの判定を行う。商品受取要求が検知された場合(ステップS11-1=YES)にはステップS11-2に処理を移し、商品受取要求が検知されなかった場合(ステップS11-1=NO)には商品引渡処理を終了する。
【0079】
ステップS11-2において、事務局サーバ20は、受取人顔画像42の送信要求を行う。より具体的に説明すると、事務局サーバ20は、ユーザ2aに対して受取人顔画像42を送信するよう促す。なお、受取人顔画像送信要求は、例えばユーザ端末21にメッセージを送信することにより行ってもよいし、宅配ロッカー30に報知部(スピーカや液晶表示部など)を設けてメッセージを表示するなどにより行ってもよい。
【0080】
ステップS11-3において、事務局サーバ20は、商品を受け取ろうとするユーザ2a(受取人)の受取人顔画像42を取得したか否かを判定する処理を行う。なお、受取人顔画像42の取得は、ユーザ端末21によりユーザ2aが自撮りを行い、自撮りされた写真データ(受取人顔画像42)を無線通信手段あるいは有線通信手段等を介して宅配ロッカー30に送信することにより行ってもよいし、宅配ロッカー30にカメラを設けて当該カメラにより撮影された画像データを取得することとしてもよい。受取人顔画像42を取得したと判定された場合(ステップS11-3=YES)にはステップS11-4に処理を移し、受取人顔画像42が取得されなかった場合(ステップS11-3=NO)には商品引渡処理を終了する。
【0081】
ステップS11-4において、事務局サーバ20は、免税対象者認証判定処理(免税対象者認証ステップ)を行う。免税対象者認証判定処理では、ステップS2-6の免税対象者登録処理(免税対象者登録ステップ)において登録された本人顔画像41と、宅配ロッカー30を介して取得された受取人顔画像42との照合が行われる(図7参照)。
【0082】
ステップS11-5において、事務局サーバ20は、受取人が一致するか否かの判定を行う。具体的には、ステップS11-4の免税対象者認証判定処理において、本人顔画像41と、宅配ロッカー30により取得された受取人顔画像42とを照合した結果、同一人物であるか否かの判定が行われる。同一人物である(受取人が一致する)と判定された場合(ステップS11-5=YES)にはステップS11-6に処理を移し、同一人物ではない(受取人が一致しない)と判定された場合(ステップS11-5=NO)にはステップS11-7に処理を移す。
【0083】
ステップS11-6において、事務局サーバ20は、宅配ロッカー30のロックを解除する。これにより、ユーザ2aが庫内の荷物(免税対象物品3)を取り出し、ユーザ2aに商品を引き渡すことができる。
【0084】
ステップS11-7において、事務局サーバ20は、エラー通知を行う。これにより、ユーザ2aが事務局5に連絡を行う、あるいは事務局5の担当者がユーザ2aに連絡を行うなど、不具合(認証不可など)を解消するために必要な措置が行われることとなる。
【0085】
商品引渡処理(ステップS11)において商品(免税対象物品3)の引き渡しが完了した後、事務局サーバ20は、販売店4に対して商品代金(免税金額X2)を支払う支払処理を行う(ステップS12)。支払処理は、例えば、商品の引き渡しが完了した日の月末を締め日として、翌月末などに処理を行うことができる。また、事務局サーバ20は、ユーザ2aに対して所定のタイミングで返金額X3するための処理を行う。
【0086】
次に、実施形態にかかる免税商品販売システム1における免税対象物品3の購入から受け取りまでの一連の流れ(免税商品販売方法)についての変形例について説明する。本変形例では、上述の実施形態にかかる免税商品販売方法における商品選択購入処理(図3におけるステップS3)での商品購入方法が異なることを除いて、実施形態にかかる免税商品販売方法と同一の流れで行われる。具体的には、本変形例では、商品選択・商品購入が実店舗で行われる点で、上述の実施形態にかかる免税商品販売方法と相違し、その他の点では述の実施形態にかかる免税商品販売方法と同様になる。
<店舗発注受付処理>
【0087】
店舗発注受付処理は、ユーザ2aが実店舗で商品を選択し、商品選択購入処理(ステップS3)の一例である店舗商品購入処理に基づいて行われる。より具体的に説明すると、店舗商品購入処理では、ユーザ2aが実店舗を訪問し、実店舗および、実店舗におかれた商品を手に取って確認したうえで、免税商品購入アプリ内のオンラインショップ6で商品を選択し、商品購入の決定を行うと、クレジットカード決済が行われるとともに、注文内容の情報が事務局サーバ20に送信され、当該情報を事務局サーバ20が受信したことに基づいて発注受付処理(ステップS4)が行われる。
【0088】
図11に示すとおり、店舗商品購入処理では、ステップS3´-1において、ユーザ2aは、訪問した店舗にてクライアント端末10から免税商品購入アプリを起動する。
【0089】
ステップS3´-2において、免税商品購入アプリはユーザ2aの操作により、訪問した実店舗を特定する。具体的には、ユーザ2aは、ユーザ端末21のカメラ機能を起動し、実店舗に設けられたQRコードを読み取る。QRコードには、実店舗情報が紐づけされており、免税商品購入アプリは、ユーザ2aが訪問した実店舗を特定することができる。
【0090】
ステップS3´-3において、免税商品購入アプリは、ユーザ2aが訪問した店舗の取扱商品情報を表示する。具体的には、オンラインショップ6内で訪問した実店舗を選択し、実店舗の取扱商品一覧である取扱商品情報を表示する。
【0091】
ステップS3´-4において、免税商品購入アプリは、ユーザ2aの操作により免税対象物品3を特定する。具体的には、ユーザ2aは、取扱商品情報から購入したい商品を選択する。このとき、ユーザ2aは、店舗におかれた実際の商品を手に取りながら、商品を選択することができる。
【0092】
ステップ3´-5において、免税商品購入アプリは、ユーザ2aが他の商品を購入したいと判断した場合(ステップS3´-5=YES)には、ユーザ2aの操作により、ステップS3´-4に処理を移し、ユーザ2aが決済を行いたいと判断した場合(ステップS3´-5=NO)には、ユーザ2aの操作により、ステップS3´-6に処理を移行する。
【0093】
ステップ3´-6において、免税商品購入アプリは、ユーザの操作によりクレジットカード等による決済処理を行う。
【0094】
その後、図3に示すとおり、事務局サーバ20は、発注受付処理(ステップS4)において、ユーザ端末21に商品の発注を受け付けた旨を通知するメール(発注受付メール)を送信する。また、事務局サーバ20は、販売店4の店舗端末(図示を省略)に対して発注内容(商品、配送先(宅配ロッカー30の指定)、配送日時等)を通知するメール(発注通知メール)を送信する。
【0095】
このように、免税商品販売システム1では、実店舗においてもユーザ2aにとっては課税額よりも少ない金額(商品代+5%)を支払うことで、免税対象商品を容易に購入することができる。また、実店舗に訪問した状態で発注を可能とすることで、実際に購入したいお土産を手に取りながら買い物を楽しむことができる。
【0096】
本変形例において、免税商品購入アプリが、実店舗に設けられたQRコードによりユーザ2aが訪問した実店舗を特定した後に、店舗の取扱商品情報から商品を選択、購入する例について説明した。しかし、免税商品購入アプリは、実店舗の商品ごとに設けられたQRコードをユーザ2aがクライアント端末10のカメラ機能で読み取り、商品を選択し、購入できるようにしてもよい。このとき、商品ごとに設けられたQRコードは、商品情報に加え、店舗情報を有しており、商品を購入した店舗を特定することができる。
【0097】
本変形例において、免税商品購入アプリが、QRコードによりユーザ2aが訪問した店舗を特定する例について説明した。しかし、免税商品購入アプリは、実店舗を特定することができれば、他の方法であってもよく、例えば、バーコードや、アプリ内での店舗検索により店舗を特定するものであってもよい。
【0098】
次に、本実施形態にかかる免税商品販売システム1の免税商品購入アプリの画面の遷移図を用いて免税商品販売システム1の実施例について説明する。
【0099】
図12を用いて、実店舗に訪れることなくオンラインショップ6内で免税商品購入アプリを用いて免税対象物品を購入する例について説明する。まず、ユーザ端末21において免税商品購入アプリを起動すると、図12(a)に示すトップ画面が表示される。次いで、図12(a)のトップ画面から[カテゴリから探す]を選択すると図12(b)に示すカテゴリ選択画面が表示される。次いで、と図12(b)のカテゴリ選択画面から所望のカテゴリを選択(図12においては[お菓子]を選択)すると図12(c)に示すカテゴリ内選択画面が表示される。次いで、図12(c)の所望のカテゴリ内選択画面から所望の商品を選択(図12(c)においては[東京ばなな]を選択)すると図12(d)に示す商品画面が表示される。
【0100】
なお、図12(d)で表示する商品画面において、商品である[東京ばなな]は販売店が[山田商店]となっている。すなわち、本実施例では、商品を購入する際に販売店を特定することになる。また、図12(c)の[カテゴリ内選択画面]には、[山田商店]とは異なる他の販売店から販売される他の[東京ばなな]が存在してもよい。
【0101】
その後、免税商品購入アプリにおいて、選択された商品(商品情報)は、従来のオンラインショップでの買い物と同様に処理される。具体的には、ユーザ2aの操作により、商品情報が「買い物かご」に入れられ、当該商品単体でまたは、他の商品と一括で、クレジットカード等を利用した決済が行われる。また、従来のオンラインショップでの買い物では、選択した商品を「お気に入り」にいれられ、後から商品購入するようにすることもできる。
【0102】
次に、図12および図13を用いて、マップを用いて実店舗に訪れ免税商品購入アプリを用いて免税対象物品を購入する例について説明する。ユーザ端末21において免税商品購入アプリを起動すると図12(a)に示すトップ画面が表示される。次いで、図12(a)のトップ画面から[マップから探す]を選択すると図13(a)に示すマップ画面が表示される。次いで、マップ選択画面で示された実店舗に訪れ、マップ画面の当該店舗(図13(a)においては[山田商店])を選択すると図13(b)に示す店舗内商品選択画面が表示される。次いで、図13(b)の店舗内商品選択画面から所望の商品を選択(図13(b)においては[東京ばなな]を選択)すると図13(c)に示す東京ばなな画面が表示される。
【0103】
その後、免税商品購入アプリにおいて、選択された商品(商品情報)は、従来のオンラインショップでの買い物と同様に処理される。
【0104】
次に、図12および図14を用いて、カメラ機能を用いて実店舗を特定する免税対象物品を購入する例について説明する。まず、ユーザ端末21において免税商品購入アプリを起動すると図12(a)に示すトップ画面が表示される。次いで、図12(a)のトップ画面の[カメラ起動]ボタンを選択するとユーザ端末21のカメラが起動する。次いで、カメラで図14(a)に示すようにQRコード撮影画面で実店舗の[店舗QRコード]を撮影すると、図14(b)に示す店舗内商品選択画面が表示される。ここで、ユーザ2aは、実店舗で実際の商品を手に取りながら、店舗内商品選択画面の情報と比較し、商品を選択する。次いで、図14(b)の店舗内商品選択画面から所望の商品を選択(図14(b)においては[東京ばなな]を選択)すると図14(c)に示す商品画面が表示される。
【0105】
その後。免税商品購入アプリにおいて、選択された商品(商品情報)は、従来のオンラインショップでの買い物と同様に処理される。上述の実施例において、[店舗QRコード]にて店舗を特定する例について説明したが、店舗が特定できればバーコードを用いた特定方法であってもよい。また、上述の実施例において、[店舗QRコード]にて店舗を特定した後、商品を選択する例について説明したが、店舗により商品に設けられた免税商品購入アプリ用のQRコードを撮影し、商品(商品情報)を特定するとともに、実店舗(店舗情報)を特定し、商品を選択するようにしてもよい。
【0106】
本実施例においては、免税商品購入アプリの画面(ユーザインターフェース)の一例を用いて商品の選択方法を説明した。しかし、他の画面(ユーザインターフェース)により、免税対象物品の購入ができるようにしてもよい。
【0107】
上述の本実施形態において、免税商品販売システム1(免税商品販売方法)によれば、オンラインで本人確認を行うことができる。そのため、免税対象者2が免税店や免税手続カウンター等で免税に係る手続(本人確認)を行うことを要さず、免税手続(本人確認など)の際の免税対象者2と他の者(免税店での手続担当者など)との接触機会を減らし、ウイルス等への感染リスクを低下させることができる。
【0108】
また、免税商品販売システム1(免税商品販売方法)では、免税対象者2に商品(免税対象物品3)を引き渡す際に、宅配ロッカー30を介して商品の引き渡しが行われる。その結果、商品引き渡しの際の免税対象者2と他の者(商品取り置き場所での引き渡し担当者など)との接触機会を減らし、ウイルス等への感染リスクを低下させることができる。より詳細に説明すると、例えば、外国人旅行者などが旅行中や旅行前に免税商品購入アプリで商品を注文すると、日本の空港やホテルに設置された宅配ロッカー30にて商品を受け取ることができる。そのため、買い回りの際や、免税手続きで列に並ぶ際の人との接触機会を減らすことができる。そのため、新型コロナウイルス感染を気にせず、空港などでまとめて購入した商品を受け取ることができ、旅行者に加えて店舗(免税店など)の店員の感染のリスクを抑えることができる。
【0109】
さらに、免税商品販売システム1(免税商品販売方法)では、オンラインで商品(免税対象物品3)を購入することができるため、商品を選ぶ、あるいは購入する際、免税手続きの際、及び商品引き渡しの際の人と人との接触機会を減らすことができる。これにより、免税対象者2(外国人旅行者など)がウイルス等へ感染するリスクを低下させることができる。また、免税商品販売システム1(免税商品販売方法)では、外国人旅行者(免税対象者2)がお土産を選ぶ場合に、店舗に出向くことなく免税対象物品3を購入し、空港やホテルなどの宅配ロッカー30の設置場所で商品を引き取ることができる。その結果、外国人旅行者がお土産を持ち歩くことなく、手ぶらで観光を楽しむことができる。
【0110】
より詳細に説明すると、免税商品販売システム1(免税商品販売方法)では、ホテルや空港へ商品の配送を可能とし、「手ぶら観光」を実現している。また、免税手続をオンライン化するとともに、引渡場所(宅配ロッカー30)では商品を受け取るだけとして滞在時間を減らし、感染リスクを低減させることができる。また、地方の名産や物産など、店舗を回らずに様々な商品を購入することができ、感染リスクを低減させることができる。さらに、親族や友達のお土産に煩わされず、「自分の旅行」をコロナ禍でも安心・安全に楽しむことができる。このように、上述の構成によれば、訪日外国人旅行者のお土産に関して、「探す・購入する・持ち帰る」といった作業を効率化し、コロナ感染リスクを減らすことができる。
【0111】
本実施形態において、配達される商品は、特に限定されないが、宅配ロッカーは、冷凍保存された商品の配送、いわゆるクール宅配便に対応したクール宅配ロッカーであってもよい。この場合、宅配ロッカーは、冷蔵機能を備えていてもよい。
【0112】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明は、免税対象物品を非居住者などの免税対象者に販売するものとして好適に採用することができる。
【符号の説明】
【0114】
1 免税商品販売システム
2 免税対象者
2a ユーザ(免税対象者)
3 免税対象物品
5 サービス提供者
7 引渡場所
20 事務局サーバ
21 ユーザ端末
30 宅配ロッカー
40 パスポート写真画像
41 本人顔画像
42 受取人顔画像
X1 税込金額
X2 免税金額
X3 返金額

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14