(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022058306
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】電動アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
H02K 11/215 20160101AFI20220404BHJP
H02K 3/50 20060101ALI20220404BHJP
H02K 5/08 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
H02K11/215
H02K3/50 A
H02K5/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021161928
(22)【出願日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】P 2020164947
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】日本電産トーソク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188673
【弁理士】
【氏名又は名称】成田 友紀
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】白井 寛
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 倫紀
(72)【発明者】
【氏名】伊東 陽介
【テーマコード(参考)】
5H604
5H605
5H611
【Fターム(参考)】
5H604AA05
5H604AA08
5H604BB01
5H604BB14
5H604BB16
5H604CC01
5H604CC05
5H604CC16
5H604DA14
5H604DB01
5H604PB03
5H604PC03
5H604QA01
5H605AA07
5H605AA08
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5H605BB14
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5H605GG06
5H605GG18
5H611AA01
5H611BB07
5H611BB08
5H611PP05
5H611QQ03
5H611RR02
5H611TT01
5H611UA01
5H611UB01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】モータの性能低下を抑制できる電動アクチュエータを提供する。
【解決手段】電動アクチュエータの一つの態様は、モータ部20と、マグネット40と、バスバー150と、バスバー150を保持するバスバーホルダ140と、バスバーホルダ140に固定され、マグネット40の磁界を検出可能な磁気センサ63と、磁気センサ63と電気的に接続された導電線64と、モータ部20と電気的に接続された回路基板70と、を備える。磁気センサ63は、マグネット40の軸方向の一方側に隙間を介して対向して配置され、導電線64は、バスバーホルダ140の内部からバスバーホルダ140を貫通し、回路基板70に電気的に接続されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる中心軸を中心として回転可能なロータおよび前記ロータと隙間を介して径方向に対向するステータを有するモータ部と、
前記ロータに固定されたマグネットと、
前記モータ部に電気的に接続されたバスバーと、
前記ロータの軸方向一方側に配置され、前記バスバーを保持するバスバーホルダと、
前記バスバーホルダに固定され、前記マグネットの磁界を検出可能な磁気センサと、
前記磁気センサと電気的に接続された導電線と、
前記バスバーホルダの軸方向一方側に配置され、前記モータ部と電気的に接続された回路基板と、
を備え、
前記磁気センサは、前記マグネットの軸方向の一方側に隙間を介して対向して配置され、
前記導電線は、前記バスバーホルダの内部から前記バスバーホルダを貫通し、前記回路基板に電気的に接続されている、電動アクチュエータ。
【請求項2】
前記磁気センサと前記バスバーホルダとは、樹脂成形されて一体化した成形体である、請求項1に記載の電動アクチュエータ。
【請求項3】
前記導電線は、複数設けられ、
複数の前記導電線は、前記磁気センサから軸方向一方側に延びる第1導電線および第2導電線を含み、
前記第1導電線と前記第2導電線とは、軸方向と直交する直交方向に間隔を空けて配置され、
前記バスバーホルダは、
軸方向他方側に開口し、前記磁気センサを収容する磁気センサ収容穴と、
前記磁気センサ収容穴から軸方向一方側に延び、軸方向一方側に開口する第1貫通孔および第2貫通孔と、
前記磁気センサ収容穴の軸方向一方側の内面に設けられた、第1傾斜面および第2傾斜面と、を有し、
前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とは、前記直交方向に間隔を空けて配置され、
前記第1傾斜面と前記第2傾斜面とは、前記直交方向に間隔を空けて配置され、かつ、互いに前記直交方向に離れるに従って軸方向一方側に位置し、
前記第1傾斜面のうち前記直交方向における前記第2傾斜面から遠い側の端部は、前記第1貫通孔の軸方向他方側の端部と繋がり、
前記第2傾斜面のうち前記直交方向における前記第1傾斜面から遠い側の端部は、前記第2貫通孔の軸方向他方側の端部と繋がり、
前記第1導電線は、
前記第1貫通孔に通された第1端子部と、
前記磁気センサに繋がり、軸方向に見て前記第1傾斜面と重なる第1接続部と、
を有し、
前記第2導電線は、
前記第2貫通孔に通された第2端子部と、
前記磁気センサに繋がり、軸方向に見て前記第2傾斜面と重なる第2接続部と、
を有し、
前記第1傾斜面のうち前記直交方向における前記第2傾斜面に近い側の端部は、前記第1接続部よりも前記直交方向において前記第2傾斜面側に配置され、
前記第2傾斜面のうち前記直交方向における前記第1傾斜面に近い側の端部は、前記第2接続部よりも前記直交方向において前記第1傾斜面側に配置されている、請求項1に記載の電動アクチュエータ。
【請求項4】
前記ステータの外周面には、周方向に間隔をあけて径方向内側に窪み軸方向に延びる溝部が複数設けられ、
前記バスバーホルダは、前記ステータの外周面より径方向外側の位置に軸方向の他方側に向けて延び前記溝部と対向する周壁部を有し、
前記周壁部は、径方向内側に突出し前記溝部に挿入される突起部を有する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
【請求項5】
軸方向一方側に向く支持面を有し、前記モータ部を収容するケースを備え、
前記バスバーホルダは、軸方向の一方側に突出するスペーサーを有し、
前記回路基板の軸方向他方側は、前記スペーサーに接し、
前記バスバーホルダと前記回路基板とは、軸方向に見て前記スペーサーと重なる位置で軸方向一方側から前記支持面にネジ止めされる、請求項4に記載の電動アクチュエータ。
【請求項6】
前記ケースに軸方向の他方側から支持される支持部材を有し、
前記支持部材は、前記ステータの軸方向他方側に接し、
前記周壁部の軸方向の他方側の端部は、前記バスバーホルダが前記支持面にネジ止めされたときに、前記ステータの軸方向一方側に接する、請求項5に記載の電動アクチュエータ。
【請求項7】
前記磁気センサは、ホール素子である、請求項1から6のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
電動アクチュエータにおけるモータの回転制御では、磁気センサにより磁界の変化を検出することが知られている。例えば、特許文献1には、回路基板に配置された磁気センサにより、ロータの磁極と同位相になるようモータシャフトに磁石を取り付けた構成が開示されている。モータシャフトに磁石を取り付けずにロータの磁極を直接磁気センサで検出する方法も一般的に用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロータの磁極を直接磁気センサで検出する方法では、ロータの磁極と同位相となるように設置した磁石とロータの位相ずれが生じることで、センサによる検出タイミングのずれに起因した通電タイミングの遅れでモータの性能が低下する虞がある。
【0005】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、モータの性能低下を抑制できる電動アクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電動アクチュエータの一つの態様は、軸方向に延びる中心軸を中心として回転可能なロータおよび前記ロータと隙間を介して径方向に対向するステータを有するモータ部と、前記ロータに固定されたマグネットと、前記モータ部に電気的に接続されたバスバーと、前記ロータの軸方向一方側に配置され、前記バスバーを保持するバスバーホルダと、前記バスバーホルダに固定され、前記マグネットの磁界を検出可能な磁気センサと、前記磁気センサと電気的に接続された導電線と、前記バスバーホルダの軸方向一方側に配置され、前記モータ部と電気的に接続された回路基板と、を備え、前記磁気センサは、前記マグネットの軸方向の一方側に隙間を介して対向して配置され、前記導電線は、前記バスバーホルダの内部から前記バスバーホルダを貫通し、前記回路基板に電気的に接続されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一つの態様によれば、電動アクチュエータにおいて、モータの性能低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第1実施形態の電動アクチュエータを示す断面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の電動アクチュエータを示す断面図であって、
図1におけるII-II断面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態の電動アクチュエータの一部を示す概略的な断面図である。
【
図4】
図4は、第2実施形態のバスバーホルダを示す断面図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態のバスバーホルダを示す断面図であって、
図4におけるV-V断面図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態のバスバーホルダと磁気センサとを固定する手順の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る電動アクチュエータについて説明する。なお、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
【0010】
各図においてZ軸方向は、正の側を上側とし、負の側を下側とする上下方向である。各図に適宜示す中心軸J1の軸方向は、Z軸方向、すなわち上下方向と平行である。以下の説明においては、特に断りのない限り、中心軸J1の軸方向と平行な方向を単に「軸方向」と呼ぶ。また、特に断りのない限り、中心軸J1を中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸J1を中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
【0011】
以下の実施形態において、上側は、軸方向一方側に相当し、下側は、軸方向他方側に相当する。なお、上側および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0012】
<第1実施形態>
図1から
図3に示す本実施形態の電動アクチュエータ10は、例えば、車両に搭載される電動アクチュエータである。
図1および
図3に示すように、電動アクチュエータ10は、ケース11と、仕切部材15と、中心軸J1を中心として回転するモータシャフト21を有するモータ部20と、第1ベアリング53と、第2ベアリング51と、第3ベアリング52と、減速機構30と、出力シャフト41と、磁気センサ63と、回路基板70と、バスバーホルダ140と、を備える。
【0013】
図1に示すように、ケース11は、仕切部材15、モータ部20、モータシャフト21、減速機構30、出力シャフト41、磁気センサ63、回路基板70およびバスバーホルダ140を収容している。ケース11は、上側に開口する下ケース11Aと、下ケース11Aの開口部に固定された上ケース11Bとを有する。
【0014】
下ケース11Aは、中心軸J1を中心として軸方向に延びる円筒状である。下ケース11Aは、基板収容部13aと、ケース筒部13bと、出力部収容部13cと、ベアリング保持部13dとを有する。基板収容部13aは、回路基板70およびバスバーホルダ140を収容する部分である。基板収容部13aは、上側に開口する。基板収容部13aは、下ケース11Aの上側部分の径方向内側に構成される。基板収容部13aの底面は、回路基板70およびバスバーホルダ140を支持して固定する支持面12である。支持面12は、上側に向いている。
【0015】
ケース筒部13bは、モータ部20の径方向外側を囲む。出力部収容部13cは、後述する出力部46を収容する部分である。ベアリング保持部13dは、第3ベアリング52を保持する。ベアリング保持部13dは、中心軸J1を中心としてケース11の下端部から上側に延びている。
【0016】
上ケース11Bは、下側に開口する凹部16aを有する容器状の部材である。上ケース11Bと下ケース11Aとは、上ケース11Bを軸方向に貫通する複数のボルトにより締結されている。本実施形態において上ケース11Bは、下ケース11Aの開口を上側から覆う蓋部に相当する。上ケース11Bは、ベアリング保持部16bを有する。ベアリング保持部16bは、第1ベアリング53を保持する。ベアリング保持部16bは、中心軸J1を中心として下側に延びている。
【0017】
モータ部20の中心軸は、中心軸J1である。
図1に示すように、モータ部20は、ロータ22と、ステータ23と、を有する。ロータ22は、モータシャフト21と、ロータコア22aと、マグネット40と、を有する。
【0018】
モータシャフト21は、第1軸部21aと、第2軸部21bと、貫通穴25と、を備えている。第1軸部21aは、軸方向に延びモータシャフト21の上側に位置する。第2軸部21bは、軸方向に延びモータシャフト21の下側に位置する。第2軸部21bの直径は、第1軸部21aの直径よりも大きい。より詳細には、第2軸部21bの外径は、第1軸部21aの外径よりも大きい。第2軸部21bは、中心軸J1に対して偏心した偏心軸J2を中心とする偏心軸部である。偏心軸J2は、中心軸J1と平行である。貫通穴25は、中心軸J1を中心として延びている。従って、第1軸部21aは、中心軸J1を中心として延びる円筒状である。第2軸部21bは、下側に軸方向の窪み部26を有する。窪み部26は、偏心軸J2を中心として延びている。従って、第2軸部21bは、偏心軸J2を中心として延びる円筒状である。窪み部26の上側は、貫通穴25の下側とつながっている。モータシャフト21は、第2軸部21bが第3ベアリング52によって、偏心軸J2回りに回転可能に支持される。
【0019】
出力シャフト41は、減速機構30を介してモータシャフト21の回転が伝達される。
出力シャフト41は、軸部41aと連結部42とを有する。軸部41aは上側に位置し、連結部42は下側に位置する。軸部41aは、中心軸J1を中心として延びる円柱状である。軸部41aの上側は、モータシャフト21の貫通穴25に通されている。軸部41aの上側端部は、モータシャフト21の上側に突出している。モータシャフト21の上側に突出する軸部41aの上側端部は、第1ベアリング53によって、中心軸J1回りに回転可能に支持される。モータシャフト21の上側端部は、第1ベアリング53を介してケース11に支持される。
【0020】
連結部42の下側端部は、モータシャフト21の下側に突出している。モータシャフト21の下側に突出する連結部42の下側端部は、第2ベアリング51によって、中心軸J1回りに回転可能に支持される。モータシャフト21の下側端部は、第2ベアリング51を介してケース11に支持される。出力シャフト41は、軸方向の端部が第1ベアリング53および第2ベアリング51によって中心軸J1回りに回転可能に支持される。従って、貫通穴25に出力シャフト41の軸部41aが通されたモータシャフト21は、軸部41aによって、中心軸J1回りに回転可能に支持される。
【0021】
第1ベアリング53、第2ベアリング51および第3ベアリング52は、それぞれ内輪と内輪の径方向外側に位置する外輪とを有する転がり軸受である。本実施形態において第1ベアリング53、第2ベアリング51および第3ベアリング52は、例えば、内輪と外輪とが複数のボールを介して連結されるボールベアリングである。
【0022】
連結部42の上側は、モータシャフト21の窪み部26に挿入されている。連結部42の上側がモータシャフト21の窪み部26に挿入されていることにより、出力シャフト41の軸方向の長さを短くできる。従って、電動アクチュエータ10の軸方向の長さを短くして小型化できる。
【0023】
連結部42は、中心軸J1を中心として延びる円筒状の筒部44を有する。筒部44の内径には、連結凹部45が設けられている。連結凹部45は、出力シャフト41の下側の端部から上側に窪む。連結凹部45は、軸方向に沿って視て、中心軸J1を中心とする略円形状である。連結凹部45の内周面には、周方向に沿って複数のスプライン溝が設けられる。連結凹部45には、電動アクチュエータ10の駆動力が出力される他の部材が挿入されて連結される。他の部材は、例えば、車両におけるマニュアルシャフトである。電動アクチュエータ10は、運転者のシフト操作に基づいてマニュアルシャフトを駆動させ、車両のギアを切り換える。
【0024】
連結部42が上側に窪む連結凹部45を有することにより、連結部42が下側に突出した軸状である場合と比較して出力シャフト41の軸方向の長さを短くできる。従って、電動アクチュエータ10の軸方向の長さを短くして小型化できる。第1ベアリング53がケース11に設けられたベアリング保持部16bに保持され、第2ベアリング51がケース11に設けられたベアリング保持部13dに保持されることで、中心軸J1に対する出力シャフト41の同軸度を向上させることができる。第1ベアリング53がケース11に設けられたベアリング保持部16bに保持され、第2ベアリング51がケース11に設けられたベアリング保持部13dに保持されることで、第1ベアリング53および第2ベアリング51を保持する別途設ける必要がなくなり、コスト減および電動アクチュエータ10の小型化に寄与できる。
【0025】
ロータコア22aは、モータシャフト21の外周面に固定される。より詳細には、ロータコア22aは、第1軸部21aの外周面に固定される。ロータコア22aの周縁部は、下ケース11Aに下側から支持された後述する仕切部材15に下側から支持される。仕切部材15は、ロータコア22aを下側から支持する支持部材である。マグネット40は、ロータコア22aの径方向外側に固定される。マグネット40は、周方向に間隔をあけて複数配置される。
【0026】
ステータ23は、ロータ22の径方向外側に位置する。ステータ23は、ステータコア23aと、複数のコイル23bと、を有する。ステータコア23aは、ロータ22の径方向外側を囲む円環状である。ステータコア23aの外周面24aは、ケース筒部13bの内周面に固定される。複数のコイル23bは、例えば図示しないインシュレータを介して、ステータコア23aのティースに装着される。
【0027】
ステータ23は、外周面24aよりも径方向内側に、
図2に示すように、外周面24bを有する。外周面24bは、磁極毎に配置されている。軸方向に見て外周面24bは、周方向の磁極中心と直交する。ステータ23の外周面24bには、径方向内側に窪む溝部27が設けられている。溝部27は、軸方向に延びている。溝部27は、ステータコア23aの外周面24aよりも上側と下側とにそれぞれ配置されている。溝部27は、周方向に間隔をあけて複数配置されている。
【0028】
バスバーホルダ140は、ロータ22の上側に配置されている。バスバーホルダ140は、円環板状である。
図1に示すように、バスバーホルダ140は、スペーサー143を有する。スペーサー143は、軸方向に延びる円筒状である。スペーサー143は、バスバーホルダ140の上側に突出する。スペーサー143の上端は、回路基板70の下側に接する。バスバーホルダ140と回路基板70とは、上側から回路基板70とスペーサー143とを貫通するボルト144により下ケース11Aの支持面12にネジ止めされている。ボルト144は、例えば、3つ設けられている。バスバーホルダ140と回路基板70とは、軸方向に見てスペーサー143と重なる位置で上側からボルト144によりネジ止めされる。ネジ止めされた回路基板70は、バスバーホルダ140の上側に隙間をあけて配置される。回路基板70とバスバーホルダ140との隙間の寸法は、スペーサー143がバスバーホルダ140の上側に突出する寸法である。
【0029】
バスバーホルダ140は、下側に延びる周壁部141を有する。周壁部141は、ステータ23の外周面24bより径方向外側に位置する。周壁部141は、ステータ23の外周面24aより径方向内側に位置する。周壁部141の下側の端部は、バスバーホルダ140が支持面12にネジ止めされたときに、ステータ23の上側に接する。
【0030】
バスバーホルダ140が下ケース11Aの支持面12にネジ止めされたときに、周壁部141の下側の端部がステータ23の上側に接することで、仕切部材15に下側から支持されたステータ23は、下ケース11Aに軸方向に位置決めされて固定される。
【0031】
図2に示すように、バスバーホルダ140の周壁部141は、径方向内側に突出する突起部142を有する。突起部142は、軸方向に延びている。突起部142は、突起部142の周方向の位置は、ステータ23の溝部27の周方向の位置と同一である。突起部142は、溝部27と径方向で対向する。周壁部141の径方向内側に突出する突起部142は、溝部27に挿入される。突起部142が溝部27に挿入されたバスバーホルダ140は、ステータ23と周方向に位置決めされる。上側に開口する溝部27に対して、上側から突起部142を挿入しながらバスバーホルダ140を基板収容部13aに収容したときに、バスバーホルダ140をステータ23および下ケース11Aに対して周方向に位置決めできる。従って、バスバーホルダ140が下ケース11Aの支持面12にネジ止めされたときに、バスバーホルダ140、ステータ23および下ケース11Aを、周方向および軸方向に互いに位置決めできる。
【0032】
バスバーホルダ140は、磁気センサ63と、導電線64と、複数のバスバー150と、を保持する。本実施形態においてバスバーホルダ140と磁気センサ63と導電線64とスペーサー143と複数のバスバー150とは、樹脂成形されて一体化した成形体である。より詳細には、バスバーホルダ140は、磁気センサ63と導電線64とスペーサー143とバスバー150とをインサート部材とするインサート成形によって作られている。
【0033】
磁気センサ63は、マグネット40の磁界を検出可能である。磁気センサ63は、例えば、ホール素子である。磁気センサ63は、バスバーホルダ140の下側に固定されている。磁気センサ63は、マグネットの上側に隙間を介して対向して配置されている。
図2に示すように、磁気センサ63は、周方向に間隔をあけて三つ配置されている。磁気センサ63同士の周方向の間隔は、磁極の周方向の間隔と同一である。磁気センサ63は、マグネット40の磁界を検出することでマグネット40の回転位置を検出してモータシャフト21の回転を検出する。
【0034】
本実施形態の電動アクチュエータ10によれば、バスバーホルダ140の下側にマグネット40と対向可能に配置された磁気センサ63がマグネット40の磁界を直接検出するため、磁気センサ63による検出タイミングにずれが生じづらい。従って、本実施形態の電動アクチュエータ10によれば、マグネット40とロータ22との位相ずれを抑制できる。マグネット40とロータ22との位相ずれを抑制することで、磁気センサ63による検出タイミングにずれに起因した通電タイミングの遅れを抑制して、モータの性能低下を抑制できる。本実施形態の電動アクチュエータ10によれば、バスバーホルダ140に磁気センサ63が設けられているため、磁気センサを実装させるための余剰な基板を別途要さない。本実施形態の電動アクチュエータ10によれば、磁気センサ63とバスバーホルダ140とは樹脂成形されて一体化した成形体であり、バスバーホルダ140は下ケース11Aの支持面12にネジ止めして組み立てたときに、ステータ23と周方向および軸方向に位置決めできる。本実施形態の電動アクチュエータ10によれば、組み立て精度によっては進角ずれが生じ、モータの回転制御の精度が低下することを抑制できる。
【0035】
導電線64は、一端が磁気センサ63と電気的に接続されている。導電線64は、磁気センサ63から延びる端子であってもよいし、一端側が磁気センサ63に接続されたバスバーであってもよい。導電線64は、バスバーホルダ140の内部からバスバーホルダ140を貫通し、他端側がはんだ付け、溶接、圧入などの接続方法によって回路基板70に電気的に接続されている。
【0036】
回路基板70は、軸方向と直交する平面に拡がる板状である。回路基板70は、下ケース11Aに収容される。より詳細には、回路基板70は、基板収容部13a内に収容される。回路基板70は、モータ部20と電気的に接続される基板である。回路基板70は、例えば、モータ部20に供給される電流を制御する。すなわち、回路基板70には、例えば、インバータ回路が搭載される。
【0037】
図3に示すように、バスバー150の一方側の端部150aは、ステータ23のコイル23bから引き出されるコイル引出線を把持し、半田付けまたは溶接によりコイル23bと接続されている。バスバー150の他方側の端部150bは、バスバーホルダ140の上面から上側へ突出している。本実施形態においてバスバー150の他方側の端部150bは、回路基板70を下側から上側に貫通している。端部150bは、回路基板70を貫通する位置で、はんだ付け、溶接、圧入などの接続方法によって回路基板70と電気的に接続されている。これにより、回路基板70は、バスバー150を介してモータ部20と電気的に接続されている。
【0038】
減速機構30は、モータシャフト21における第2軸部21bの径方向外側と、出力シャフト41における連結部42の径方向外側とに配置される。減速機構30は、モータ部20の下側に配置される。仕切部材15は、ステータ23と減速機構30との軸方向の間に配置される。減速機構30は、外歯ギア31と、内歯ギア32と、出力部46と、複数の突出部43と、を有する。
【0039】
外歯ギア31は、第2軸部21bの偏心軸J2を中心として、偏心軸J2の径方向に広がる円環板状である。外歯ギア31の径方向外側面には、歯車部が設けられている。外歯ギア31の歯車部は、外歯ギア31の外周に沿って並ぶ複数の歯部を有する。
【0040】
外歯ギア31は、モータシャフト21に連結されている。より詳細には、外歯ギア31は、モータシャフト21の第2軸部21bに第3ベアリング52を介して連結されている。これにより、モータシャフト21は、減速機構30に連結されている。外歯ギア31は、第3ベアリング52の外輪に径方向外側から嵌め合わされている。第2軸部21bは、第3ベアリング52の内輪に径方向外側から嵌め合わされている。これにより、第3ベアリング52は、モータシャフト21と外歯ギア31とを、偏心軸J2回りに相対的に回転可能に連結している。
【0041】
本実施形態において外歯ギア31は、複数の穴部31aを有する。本実施形態において穴部31aは、外歯ギア31を軸方向に貫通している。複数の穴部31aは、周方向に沿って配置されている。より詳細には、複数の穴部31aは、偏心軸J2を中心とする周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置されている。穴部31aは、軸方向に見て円形状である。穴部31aは、内径が突出部43の外径よりも大きい。なお、穴部31aは、底部を有する穴であってもよい。
【0042】
内歯ギア32は、外歯ギア31の径方向外側に位置し、外歯ギア31を囲む環状である。本実施形態において内歯ギア32は、中心軸J1を中心とする円環状である。内歯ギア32の径方向外縁部は、ケース筒部13bの内周面に設けられた径方向内側に窪む段差部13eに配置されて固定される。これにより、減速機構30は、下ケース11Aに保持される。内歯ギア32は、外歯ギア31と噛み合っている。内歯ギア32の径方向内側面には、歯車部が設けられている。内歯ギア32の歯車部は、内歯ギア32の内周に沿って並ぶ複数の歯部を有する。本実施形態において内歯ギア32の歯車部は、周方向の一部のみにおいて外歯ギア31の歯車部と噛み合っている。
【0043】
出力部46は、中心軸J1を中心として径方向に拡がる円環板状である。出力部46は、外歯ギア31の下側に位置する。出力部46は、出力シャフト41の外周面に固定される。より詳細には、出力部46は、出力シャフト41の連結部42の外周面に固定される。
【0044】
複数の突出部43は、出力部46に、例えば、溶接により固定されている。複数の突出部43は、出力部46から上側に突出する。すなわち、複数の突出部43は、出力部46から外歯ギア31に向かって突出する。突出部43は、円柱状である。複数の突出部43は、周方向に沿って配置される。より詳細には、複数の突出部43は、中心軸J1を中心とする周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。突出部43の数は、例えば、8つである。
【0045】
複数の突出部43は、複数の穴部31aにそれぞれ挿入される。突出部43の外周面は、穴部31aの内周面と内接する。これにより、複数の突出部43は、穴部31aの内側面を介して、外歯ギア31を中心軸J1回りに揺動可能に支持する。
【0046】
本実施形態において穴部31aおよび突出部43は、径方向に沿って視て、第3ベアリング52および第2軸部21bと重なる。言い換えれば、穴部31aと突出部43と第3ベアリング52と第2軸部21bとのそれぞれは、軸方向において互いに同じ位置に位置する部分を有する。
【0047】
モータシャフト21が中心軸J1回りに回転されると、偏心軸部である第2軸部21bは、中心軸J1を中心として周方向に公転する。第2軸部21bの公転は第3ベアリング52を介して外歯ギア31に伝達され、外歯ギア31は、穴部31aの内周面と突出部43の外周面との内接する位置が変化しつつ、揺動する。これにより、外歯ギア31の歯車部と内歯ギア32の歯車部とが噛み合う位置が、周方向に変化する。したがって、内歯ギア32に、外歯ギア31を介してモータシャフト21の回転力が伝達される。
【0048】
ここで、本実施形態では、内歯ギア32は固定されているため回転しない。そのため、内歯ギア32に伝達される回転力の反力によって、外歯ギア31が偏心軸J2回りに回転する。このとき外歯ギア31の回転する向きは、モータシャフト21の回転する向きと反対向きとなる。外歯ギア31の偏心軸J2回りの回転は、穴部31aと突出部43とを介して、出力部46に伝達される。これにより、出力シャフト41が中心軸J1回りに回転する。このようにして、出力シャフト41には、減速機構30を介してモータシャフト21の回転が伝達される。
【0049】
出力シャフト41の回転は、減速機構30によって、モータシャフト21の回転に対して減速される。具体的に、本実施形態の減速機構30の構成では、モータシャフト21の回転に対する出力シャフト41の回転の減速比Rは、R=-(N2-N1)/N2で表される。減速比Rを表す式の先頭の負符号は、モータシャフト21の回転する向きに対して、減速される出力シャフト41の回転の向きが逆向きとなることを示している。N1は、外歯ギア31の歯数であり、N2は、内歯ギア32の歯数である。一例として、外歯ギア31の歯数N1が59で、内歯ギア32の歯数N2が60の場合、減速比Rは、-1/60となる。
【0050】
このように、本実施形態の減速機構30によれば、モータシャフト21の回転に対する出力シャフト41の回転の減速比Rを比較的大きくできる。そのため、出力シャフト41の回転トルクを比較的大きくできる。
【0051】
<第2実施形態>
図4から
図6において、X軸方向は軸方向と直交する方向である。X軸方向と平行な方向を直交方向と呼ぶ。直交方向のうちX軸の矢印が向く側を直交方向一方側と呼ぶ。直交方向のうちX軸の矢印が向く側と逆側を直交方向他方側と呼ぶ。直交方向は、磁気センサ263ごとに規定される方向である。本実施形態において各磁気センサ263における直交方向は、軸方向および各磁気センサ263を通る径方向の両方と直交する方向である。つまり、
図4から
図6において、X軸方向およびZ軸方向の両方と直交する方向は、径方向である。
【0052】
図4および
図5に示すように、本実施形態の電動アクチュエータ210において、バスバーホルダ240は、磁気センサ263と、複数のバスバー150と、を保持する。図示は省略するが、本実施形態において、バスバーホルダ240と複数のバスバー150とは、樹脂成形されて一体化した成形体である。より詳細には、バスバーホルダ240は、スペーサー143とバスバー150とをインサート部材とするインサート成形によって作られている。本実施形態では、第1実施形態と異なり、磁気センサ263と導電線264、265、および266は、インサート成形された後のバスバーホルダ240に取り付けられる。本実施形態において、バスバーホルダ240は、磁気センサ収容穴240dと、第1貫通孔240aと、第2貫通孔240bと、第3貫通孔240cと、を有している。
【0053】
磁気センサ収容穴240dは、下側に開口し、磁気センサ263を収容している。磁気センサ収容穴240dは、バスバーホルダ240の下側の面から上側に窪んでいる。磁気センサ収容穴240dは、上側に底部を有する穴である。軸方向に見て、磁気センサ収容穴240dは、略矩形状である。磁気センサ収容穴240dの内面のうち2つの面は、径方向を向いている。磁気センサ収容穴240dの内部には、磁気センサ263の上側の部分が収容されている。磁気センサ収容穴240dの直交方向の寸法は、磁気センサ263の直交方向の寸法よりも大きい。磁気センサ収容穴240dの径方向の寸法は、磁気センサ263の径方向の寸法とほぼ同じである。図示は省略するが、本実施形態において、磁気センサ収容穴240dは、周方向に間隔をあけて3つ配置されている。磁気センサ収容穴240dの内面には、第1傾斜面240eと、第2傾斜面240fと、第1支持面240gと、第2支持面240hと、が設けられている。
【0054】
図4に示すように、第1傾斜面240eおよび第2傾斜面240fは、磁気センサ収容穴240dの上側の内面に設けられている。第1傾斜面240eおよび第2傾斜面240fは、下側を向く面であり、軸方向と直交する平面に対して傾斜する面である。第1傾斜面240eと第2傾斜面240fとは、直交方向に間隔を空けて配置されている。本実施形態において、第1傾斜面240eと第2傾斜面240fとは、後述する第3貫通孔240cを直交方向に挟んで配置されている。第1傾斜面240eと第2傾斜面240fとは、直交方向に互いに対称に配置されている。第1傾斜面240eは、第2傾斜面240fの直交方向他方側(-X側)に位置する。
【0055】
第1傾斜面240eは、直交方向他方側(-X側)に向かうにしたがって、上側に位置している。第1傾斜面240eのうち直交方向における第2傾斜面240fから遠い側の端部は、第1貫通孔240aの下側の端部と繋がっている。第1傾斜面240eのうち直交方向における第2傾斜面240fに近い側の端部は、後述する第1接続部264aよりも直交方向において第2傾斜面240f側(+X側)に配置されている。本実施形態では、第1傾斜面240eのうち直交方向における第2傾斜面240fに近い側の端部は、直交方向において、第1接続部264aと後述する第3接続部266aとの間に位置している。
【0056】
なお、本実施形態において、第1傾斜面240eのうち直交方向における第2傾斜面240fから遠い側の端部とは、第1傾斜面240eの直交方向他方側(-X側)の端部であり、第1傾斜面240eのうちで最も上側に位置する部分である。第1傾斜面240eのうち直交方向における第2傾斜面240fに近い側の端部とは、第1傾斜面240eの直交方向一方側(+X側)の端部であり、第1傾斜面240eのうちで最も下側に位置する部分である。
【0057】
第2傾斜面240fは、直交方向一方側(+X側)に向かうにしたがって、上側に位置している。つまり、第1傾斜面240eと第2傾斜面240fとは、互いに直交方向に離れるにしたがって上側に位置している。第2傾斜面240fのうち直交方向における第1傾斜面240eから遠い側の端部は、第2貫通孔240bの下側の端部と繋がっている。第2傾斜面240fのうち直交方向における第1傾斜面240eに近い側の端部は、後述する第2接続部265aよりも直交方向において第1傾斜面240e側(-X側)に配置されている。本実施形態では、第2傾斜面240fのうち直交方向における第1傾斜面240eに近い側の端部は、直交方向において、第2接続部265aと後述する第3接続部266aとの間に位置している。
【0058】
なお、本実施形態において、第2傾斜面240fのうち直交方向における第1傾斜面240eから遠い側の端部とは、第2傾斜面240fの直交方向一方側(+X側)の端部であり、第2傾斜面240fのうちで最も上側に位置する部分である。第2傾斜面240fのうち直交方向における第1傾斜面240eに近い側の端部とは、第2傾斜面240fの直交方向他方側(-X側)の端部であり、第2傾斜面240fのうちで最も下側に位置する部分である。
【0059】
図5に示すように、第1支持面240gおよび第2支持面240hは、それぞれ、磁気センサ収容穴240dの上側の内面の一部である。第1支持面240gは、磁気センサ収容穴240dの径方向内側の端部に位置している。第2支持面240hは、磁気センサ収容穴240dの径方向外側の端部に位置している。第1支持面240gおよび第2支持面240hは、それぞれ、下側を向いている。第1支持面240gおよび第2支持面240hは、それぞれ、磁気センサ263の上側を向く面と接触している。
【0060】
図4に示すように、第1貫通孔240a、第2貫通孔240b、および第3貫通孔240cは、それぞれ、磁気センサ収容穴240dから上側に延び、バスバーホルダ240の上側に開口する孔である。第1貫通孔240a、第2貫通孔240b、および第3貫通孔240cは、例えば、それぞれ、円形状の孔である。本実施形態において、第1貫通孔240a、第2貫通孔240b、および第3貫通孔240cは、直交方向に間隔をあけて配置されている。本実施形態において、第1貫通孔240aと第2貫通孔240bとは、第3貫通孔240cを直交方向に挟んで設けられている。
【0061】
第1貫通孔240aは、磁気センサ収容穴240dの直交方向他方側(-X側)の端部から上側に延びている。第2貫通孔240bは、磁気センサ収容穴240dの直交方向一方側(+X側)の端部から上側に延びている。第3貫通孔240cは、磁気センサ収容穴240dの直交方向の中央部から上側に延びている。第3貫通孔240cの下側の端部は、磁気センサ収容穴240dの上側の内面のうち第1傾斜面240eと第2傾斜面240fとの直交方向の間に位置する部分に開口している。第1貫通孔240aの下側の端部および第2貫通孔240bの下側の端部は、第3貫通孔240cの下側の端部よりも上側に位置する。
【0062】
第1貫通孔240aと第2貫通孔240bとの直交方向の間隔は、後述する、第1接続部264aと第2接続部265aとの直交方向の間隔よりも大きい。第1貫通孔240aと第3貫通孔240cとの直交方向の間隔は、後述する、第1接続部264aと第3接続部266aとの直交方向の間隔よりも大きい。第2貫通孔240bと第3貫通孔240cとの直交方向の間隔は、後述する、第2接続部265aと第3接続部266aとの直交方向の間隔よりも大きい。第1貫通孔240a、第2貫通孔240b、および第3貫通孔240cには、それぞれ、後述する、第1導電線264、第2導電線265、および第3導電線266が通されている。バスバーホルダ240のその他の構成は、第1実施形態のバスバーホルダ140のその他の構成と同様である。
【0063】
図4に示すように、本実施形態の電動アクチュエータ210において、磁気センサ263の上側の部分は、磁気センサ収容穴240dの内部に収容されている。より詳細には、磁気センサ263は、下側の端部を除く全体が磁気センサ収容穴240dの内部に収容されている。
図5に示すように、本実施形態において、磁気センサ263の径方向内側および径方向外側を向く面は、磁気センサ収容穴240dの内面と接触して固定されている。上述のように、磁気センサ263の上側を向く面は、第1支持面240gおよび第2支持面240hと接触している。これにより、軸方向における、バスバーホルダ240に対する、磁気センサ263の位置が決まる。図示は省略するが、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、磁気センサ263は周方向に間隔をあけて3つ配置されている。磁気センサ263のその他の構成は、第1実施形態の磁気センサ63のその他の構成と同様である。
【0064】
図4に示すように、本実施形態の電動アクチュエータ210において、各磁気センサ263には、第1導電線264と、第2導電線265と、第3導電線266の3本の導電線が接続されている。本実施形態において、第1導電線264と、第2導電線265と、第3導電線266は、それぞれ、下側の端部が磁気センサ263に電気的に接続される端子である。第1導電線264、第2導電線265、および第3導電線266は、それぞれ、磁気センサ263から上側に延びている。第1導電線264、第2導電線265、および第3導電線266は、直交方向に間隔をあけて配置されている。本実施形態において、第1導電線264と第2導電線265は、第3導電線266を直交方向に挟んで配置されている。第1導電線264は、第3導電線266よりも直交方向他方側(-X側)に配置されている。第2導電線265は、第3導電線266よりも直交方向一方側(+X側)に配置されている。第1導電線264の上側の端部と、第2導電線265の上側の端部と、第3導電線266の上側の端部とは、それぞれ、磁気センサ収容穴240dからバスバーホルダ240を貫通して、はんだ280によって回路基板270と電気的に接続されている。
【0065】
本実施形態において第1導電線264は、軸方向に直線状に延びる導電線の一部が、直交方向他方側(-X側)に折り曲げられることで作られている。本実施形態では、磁気センサ263をバスバーホルダ240に取り付ける際に、第1導電線264の一部が直交方向他方側(-X側)に折り曲げられる。第1導電線264は、第1接続部264aと、第1傾斜部264bと、第1端子部264cと、を有している。第1接続部264aは、磁気センサ263に繋がる部分である。第1接続部264aは、磁気センサ収容穴240dの内部に位置している。第1接続部264aは、磁気センサ263から上側に延びている。第1接続部264aの下側の端部は、磁気センサ263と繋がり、磁気センサ263と電気的に接続されている。第1接続部264aの上側の端部は、軸方向において、磁気センサ263と第1傾斜面240eとの間に位置している。第1接続部264aは、軸方向に見て、第1傾斜面240eと重なって配置されている。
【0066】
第1傾斜部264bは、第1接続部264aの上側の端部から上側かつ斜め直交方向他方側(-X側)に延びている。第1傾斜部264bは、直交方向他方側に向かうにしたがって、上側に位置している。第1傾斜部264bの直交方向他方側の端部は、第1貫通孔240aの下側に位置している。
【0067】
第1端子部264cは、第1傾斜部264bの直交方向他方側(-X側)の端部から上側に延びている。第1端子部264cは、第1接続部264aよりも直交方向他方側に位置する。第1端子部264cは、第1貫通孔240aに軸方向に通されている。第1端子部264cは、第1貫通孔240aを介して、バスバーホルダ240の上側に突出している。第1端子部264cの上側の端部は、回路基板270に設けられた第1開口270aを介して、回路基板270の上側に突出している。第1端子部264cのうち、回路基板270の第1開口270aに通された部分は、はんだ280によって、回路基板270に電気的に接続されている。
【0068】
本実施形態において第2導電線265は、軸方向に直線状に延びる導電線の一部が直交方向一方側(+X側)に折り曲げられることで作られている。本実施形態では、磁気センサ263をバスバーホルダ240に取り付ける際に、第2導電線265の一部が直交方向一方側(+X側)に折り曲げられる。第2導電線265は、第2接続部265aと、第2傾斜部265bと、第2端子部265cと、を有している。第2接続部265aは、磁気センサ263に繋がる部分である。第2接続部265aは、磁気センサ収容穴240dの内部に位置している。第2接続部265aは、磁気センサ263から上側に延びている。第2接続部265aの下側の端部は、磁気センサ263と繋がり、磁気センサ263と電気的に接続されている。第2接続部265aの上側の端部は、軸方向において、磁気センサ263と第2傾斜面240fとの間に位置している。第2接続部265aは、軸方向に見て、第2傾斜面240fと重なって配置されている。
【0069】
第2傾斜部265bは、第2接続部265aの上側の端部から上側かつ斜め直交方向一方側(+X側)に延びている。第2傾斜部265bは、直交方向一方側に向かうにしたがって、上側に位置している。第2傾斜部265bの直交方向一方側の端部は、第2貫通孔240bの下側に位置している。
【0070】
第2端子部265cは、第2傾斜部265bの直交方向一方側(+X側)の端部から上側に延びている。第2端子部265cは、第2接続部265aよりも直交方向一方側に位置する。第2端子部265cは、第2貫通孔240bに軸方向に通されている。第2端子部265cは、第2貫通孔240bを介して、バスバーホルダ240の上側に突出している。第2端子部265cの上側の端部は、回路基板270に設けられた第2開口270bを介して、回路基板270の上側に突出している。第2端子部265cのうち、回路基板270の第2開口270bに通された部分は、はんだ280によって、回路基板270に電気的に接続されている。
【0071】
第3導電線266は、第1導電線264および第2導電線265と異なり、軸方向に直線状に延びている。第3導電線266は、第3接続部266aと、第3端子部266cと、を有している。第3接続部266aは、磁気センサ263に繋がる部分である。第3接続部266aは、磁気センサ収容穴240dの内部に位置している。第3接続部266aは、磁気センサ263から上側に延びている。第3接続部266aの下側の端部は、磁気センサ263と繋がり、磁気センサ263と電気的に接続されている。第3接続部266aの上側の端部は、第3貫通孔240cの下側に位置している。
【0072】
第3端子部266cは、第3接続部266aの上側の端部から上側に延びている。第3接続部266aと第3端子部266cとは、軸方向に真っ直ぐに繋がっている。第3端子部266cは、第3貫通孔240cに軸方向に通されている。第3端子部266cは、第3貫通孔240cを介して、バスバーホルダ240の上側に突出している。第3端子部266cの上側の端部は、回路基板270に設けられた第3開口270cを介して、回路基板270の上側に突出している。第3端子部266cのうち、回路基板270の第3開口270cに通された部分は、はんだ280によって、回路基板270に電気的に接続されている。
【0073】
本実施形態の回路基板270において、上述した第1開口270a、第2開口270b、および第3開口270cは直交方向に間隔をあけて配置されている。本実施形態では、第1開口270aの内径、第2開口270bの内径、および第3開口270cの内径は、それぞれ、第1貫通孔240aの内径、第2貫通孔240bの内径、および第3貫通孔240cの内径よりも大きい。第1開口270aは、軸方向に見て、第1貫通孔240aと重なっている。第2開口270bは、軸方向に見て、第2貫通孔240bと重なっている。第3開口270cは、軸方向に見て、第3貫通孔240cと重なっている。上述のように、第1開口270a、第2開口270b、第3開口270cには、それぞれ、第1導電線264、第2導電線265、および第3導電線266が通されている。
【0074】
次に、本実施形態における、バスバーホルダ240への磁気センサ263の取り付け手順について説明する。
図6に示すように、磁気センサ263をバスバーホルダ240に取り付ける前において、第1導電線264、第2導電線265、および第3導電線266は、それぞれ、磁気センサ263から真っ直ぐ上側に直線状に延びている。バスバーホルダ240の下側から、直線状に延びる第1導電線264、第2導電線265、および第3導電線266を、磁気センサ収容穴240dに挿入すると、第1導電線264の上側の端部は、第1傾斜面240eに接触し、第2導電線265の上側の端部は、第2傾斜面240fに接触する。このとき、第1導電線264の上側の端部は、第1傾斜面240eに沿って第1貫通孔240aに案内され、第1貫通孔240aに挿入される。第2導電線265の上側の端部は、第2傾斜面240fに沿って第2貫通孔240bに案内され、第2貫通孔240bに挿入される。このとき、軸方向に直線状に延びていた第1導電線264の一部と第2導電線265の一部とは、互いに直交方向に離れる向きに変形する。第3導電線266の上側の端部は、第1導電線264および第2導電線265と異なり、直交方向に変形することなく第3貫通孔240cに挿入される。さらに、第1導電線264、第2導電線265、および第3導電線266を、磁気センサ収容穴240dに挿入すると、第1導電線264、第2導電線265、および第3導電線266は、それぞれ、第1貫通孔240a、第2貫通孔240b、および第3貫通孔240cを介して、バスバーホルダ240の上側に突出する。この際にも、第1導電線264の一部および第2導電線265の一部は、第1傾斜面240eまたは第2傾斜面240fによって直交方向に折り曲げられて変形していく。磁気センサ263が磁気センサ収容穴240dに挿入されると、磁気センサ263の上側を向く面は、第1支持面240gおよび第2支持面240hと接触し、磁気センサ263は、バスバーホルダ240に対して軸方向に位置決めされる。磁気センサ263がバスバーホルダ240に対して軸方向に位置決めされるまで磁気センサ263を磁気センサ収容穴240d内に挿入すると、第1導電線264および第2導電線265が
図4に示す形状となる。
【0075】
したがって、本実施形態においては、第1導電線264、第2導電線265、および第3導電線266と、磁気センサ263とを、磁気センサ収容穴240dに挿入する工程によって、磁気センサ263から真っ直ぐ上側に直線状に延びる第1導電線264と、第2導電線265とを、第1傾斜面240eと第2傾斜面240fによって、それぞれ、第1貫通孔240aと、第2貫通孔240bに案内し、第1貫通孔240aと、第2貫通孔240bに容易に通すことができる。
【0076】
本実施形態によれば、バスバーホルダ240は、磁気センサ263を収容する磁気センサ収容穴240dと、磁気センサ収容穴240dから上側に延び、上側に開口する第1貫通孔240aおよび第2貫通孔240bと、磁気センサ収容穴240dの上側の内面に設けられた、第1傾斜面240eおよび第2傾斜面240fを有している。第1傾斜面240eのうち直交方向における第2傾斜面240fから遠い側の端部は、第1貫通孔240aの下側の端部と繋がり、第1傾斜面240eのうち直交方向における第2傾斜面240fに近い側の端部は、第1接続部264aよりも直交方向において第2傾斜面240f側に配置される。また、第2傾斜面240fのうち直交方向における第1傾斜面240eから遠い側の端部は、第2貫通孔240bの下側の端部と繋がり、第2傾斜面240fのうち直交方向における第1傾斜面240eに近い側の端部は、第2接続部265aよりも直交方向において第1傾斜面240e側に配置される。そのため、第1導電線264を第1傾斜面240eに沿って第1貫通孔240aに差し込み、かつ、第2導電線265を第2傾斜面240fに沿って第2貫通孔240bに差し込むことで、第1端子部264cと第2端子部265cとの直交方向の間隔を、第1接続部264aと第2接続部265aとの直交方向の間隔よりも大きくできる。これにより、回路基板270に接続される部分において複数の導電線同士の直交方向の間隔を大きくできる。本実施形態では、第1端子部264cと第3端子部266cとの直交方向の間隔、および、第2端子部265cと第3端子部266cとの直交方向の間隔を大きくできる。したがって、回路基板270と、各導電線とを、はんだ付けによって接続する位置の間隔を広げることができる。そのため、回路基板270と、各導電線とを、はんだ付けによって接続する工程を容易に行うことができる。これにより、当該はんだ付けの作業をはんだ付け装置で行う場合に、はんだ付け装置の作業精度が比較的低い場合であっても、回路基板270と各導電線とを容易にはんだ付けすることができる。よって、はんだ付け工程において、高い作業精度を有するはんだ付け装置を用いる必要が無くなる。そのため、比較的安価な汎用のはんだ付け装置を用いて、回路基板270と、各導電線とを、電気的に接続できる。したがって、電動アクチュエータ210の製造コストを削減できる。
【0077】
本実施形態によれば、第1傾斜面240eのうち直交方向における第2傾斜面240fに近い側の端部は、第1接続部264aよりも直交方向において第2傾斜面240f側に配置されている。第2傾斜面240fのうち直交方向における第1傾斜面240eに近い側の端部は、第2接続部265aよりも直交方向において第1傾斜面240e側に配置されている。そのため、各導電線と磁気センサ263とを磁気センサ収容穴240dに挿入する工程において、磁気センサ263から真っ直ぐ上側に直線状に延びる第1導電線264の上側の端部は、第1傾斜面240eに、磁気センサ263から真っ直ぐ上側に直線状に延びる第2導電線265の上側の端部は、第2傾斜面240fに容易に接触できる。このとき、第1導電線264の上側の端部は、第1傾斜面240eに沿って第1貫通孔240aに案内され、第1貫通孔240aに挿入される。第2導電線265の上側の端部は、第2傾斜面240fに沿って第2貫通孔240bに案内され、第2貫通孔240bに挿入される。そのため、第1導電線264および第2導電線265が磁気センサ263から真っ直ぐ上側に直線状に延びて設けられる場合であっても、第1導電線264の一部と第2導電線265の一部とを、互いに直交方向に離れる向きに容易に変形できる。つまり、磁気センサ263をバスバーホルダ240に取り付ける作業を行うことで、各導電線における回路基板270に接続される各端子部同士の直交方向の間隔を広げることができる。そのため、第1貫通孔240aおよび第2貫通孔240bに、第1導電線264および第2導電線265を通すために、あらかじめ屈曲させた、第1導電線264および第2導電線265を用いる必要が無くなる。したがって、導電線の製造コストおよび製造工数を削減できる。また、本実施形態では、第1導電線264と第2導電線265とを、それぞれ、第1貫通孔240aと第2貫通孔240bとに通すための、別途の工程を要しない。そのため、バスバーホルダ240に、各導電線と、磁気センサ263とを、組み付ける作業の作業性を向上できる。したがって、電動アクチュエータ210の製造工数を削減できる。
【0078】
なお、本実施形態において、磁気センサ263に接続される導電線の本数は、3本に限定されない。例えば、第3導電線266は設けられなくてもよく、4本以上の導電線を設けてもよい。また、バスバーホルダ240に設けられる貫通孔の個数および傾斜面の個数は、それぞれ、3個に限定されず、磁気センサ263に接続される導電線の本数や、各接続部と基板に設けられる開口との位置等に応じて、適切な個数の貫通孔および傾斜面を設けることができる。
【0079】
本発明が適用される電動アクチュエータは、電力が供給されることで対象となる物体を動かすことができる装置であればよく、減速機構を備えないモータであってもよい。また、電動アクチュエータは、モータ部によって駆動されるポンプ部を備える電動ポンプであってもよい。電動アクチュエータの用途は、特に限定されない。電動アクチュエータは、運転者のシフト操作に基づいて駆動されるシフト・バイ・ワイヤ方式のアクチュエータ装置に搭載されてもよい。また、電動アクチュエータは、車両以外の機器に搭載されてもよい。なお、本明細書において説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0080】
10,210…電動アクチュエータ、 11…ケース、 12…支持面、 15…支持部材(仕切部材)、 20…モータ部、 21…モータシャフト、21a…第1軸部、 21b…第2軸部(偏心軸部)、 22…ロータ、 23…ステータ、 24b…外周面、 25…貫通穴、 26…窪み部、 30…減速機構、 40…マグネット、 41…出力シャフト、 42…連結部、 44…筒部、 45…連結凹部、 51…第2ベアリング、52…第3ベアリング、 53…第1ベアリング、 63,263…磁気センサ、 64…導電線、 70,270…回路基板、 140,240…バスバーホルダ、 141…周壁部、 142…突起部、 143…スペーサー、 150…バスバー、 240a…第1貫通孔、 240b…第2貫通孔、 240e…第1傾斜面、 240f…第2傾斜面、 240d…磁気センサ収容穴、 264…第1導電線、 264a…第1接続部、 264c…第1端子部、 265…第2導電線、 265a…第2接続部、 265c…第2端子部、 J1…中心軸、 J2…偏心軸