(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022058309
(43)【公開日】2022-04-11
(54)【発明の名称】システム、及びプログラム等
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20220404BHJP
G07C 5/00 20060101ALI20220404BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20220404BHJP
【FI】
H04N7/18 D
G07C5/00 Z
G08B25/00 510M
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021162093
(22)【出願日】2021-09-30
(31)【優先権主張番号】P 2020166295
(32)【優先日】2020-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】391001848
【氏名又は名称】株式会社ユピテル
(74)【代理人】
【識別番号】100187322
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 直輝
(72)【発明者】
【氏名】上村 浩司
(72)【発明者】
【氏名】服部 哲也
【テーマコード(参考)】
3E138
5C054
5C087
【Fターム(参考)】
3E138AA07
3E138MA10
3E138MB08
3E138MC06
3E138MC13
3E138ME04
5C054CA04
5C054CC02
5C054GB02
5C054GD06
5C054GD07
5C054HA19
5C087DD14
5C087EE08
5C087FF04
5C087GG02
5C087GG17
5C087GG35
(57)【要約】
【課題】利便性の高いシステム、電源装置、及びプログラム等を提供すること。
【解決手段】車両100において撮像した映像を記録する録画機能を有するドライブレコーダ1を備え、録画機能として、駐車時用の録画を行う駐車記録モードを有し、当該駐車記録モードは駐車記録開始条件が成立した場合に、駐車時用の録画を開始せずに待機する機能を有し、例えば駐車記録開始条件が成立してから、待機状態を経た後に、駐車時用の録画を開始する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両において撮像した映像を記録する録画機能を有する録画機を備え、
前記録画機能として、駐車時用の録画を行う駐車記録モードを有し、駐車記録開始条件が成立した場合に、駐車時用の録画を開始せずに待機する機能を有するシステム。
【請求項2】
前記駐車記録モードは、前記駐車記録開始条件が成立してから、待機状態を経た後に、駐車時用の録画を開始する
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記駐車記録開始条件は、所定の命令入力が行われたことである
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記待機状態時は常時録画モードによる常時録画を行う
請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記録画機能として、前記車両の衝撃に応じて録画を行うイベント録画モードを有し、前記待機状態時は前記イベント録画モードを制限する
請求項2から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記車両のドアが閉じられたこと又は開けられたことである開閉を検出するドア開閉検出機能を有し、
前記待機状態は、前記ドア開閉検出機能により前記開閉が検出されたことに応じて終了する
請求項2から5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記車両のドアが閉じられたこと又は開けられたことである開閉を検出するドア開閉検出機能を有し、
前記駐車記録開始条件は、前記ドア開閉検出機能により前記開閉が検出されることである
請求項2から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記録画機能は、前記車両の内部の映像を撮像可能であり、
前記ドア開閉検出機能は、前記車両の内部の映像から前記車両のドアが開閉を検出する
請求項6又は7に記載のシステム。
【請求項9】
前記待機状態は、前記車両において撮像される映像から所定の状況が検出されたことに応じて終了する請求項2から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記駐車記録開始条件は、前記車両において撮像される映像から所定の状況が検出されることである
請求項2から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記駐車記録開始条件は、前記車両のアクセサリ電源がOFF状態となることである
請求項2から10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記車両のドアが閉じられたことを検出する機能を有し、
前記駐車記録開始条件は、前記車両において所定の衝撃の発生を検知したことを示す第1条件を含み、
前記駐車記録モードは、前記待機することとして、前記ドアが閉じられたことの検出結果に基づいて、前記第1条件が成立したことに基づく駐車時用の録画をキャンセルする機能を有する
請求項1から5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項13】
前記車両のドアが閉じられたことを検出する機能を有し、
前記駐車記録開始条件は、前記車両において所定の衝撃の発生を検知したことを示す第1条件を含み、
前記駐車記録モードは、前記ドアが閉じられたことが検知されたタイミングと前記第1条件が成立したタイミングとが所定時間内である場合は、駐車時用の録画を開始せずに待機する
請求項1から5、12のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項14】
前記駐車記録モードは、前記所定時間内に前記第1条件が成立した場合において、駐車時用の録画を開始せずに待機するか、待機せずに駐車時用の録画を開始するかを設定可能に構成されている
請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記車両の位置情報を検出する機能を有し、
前記駐車記録モードは、前記所定時間内に前記第1条件が成立した場合において、前記車両の位置情報が所定の条件を満たすときには、駐車時用の録画を開始せずに待機する
請求項12から14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
前記駐車記録モードは、所定の事象が発生したと判定した場合は、前記待機する条件が成立したときであっても、駐車時用の録画を開始する
請求項12から15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
コンピュータに請求項1から16のいずれか一項に記載のシステムの録画機の機能を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばシステム、及びプログラム等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば車両に搭載され、車両周辺の映像を撮像し、急ブレーキ、急ハンドルや衝突などのイベント(事象)により車両に衝撃が加わった際に周辺映像や車速などを記録する車載用録画装置、いわゆるドライブレコーダが一般に普及している(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載されているドライブレコーダ(車両用記録装置)は、車両が駐車状態ではなく動作している間は、映像の常時記録を行うとともにイベントの検出を行う。また当該ドライブレコーダは、車両の駐車中、車両のバッテリから電源が供給されている場合は、映像の常時記録を行うとともにイベントの検出を行い、ドライブレコーダ専用のバッテリで動作する場合は、イベントの検出を行うとともにイベントが検出された場合に映像の撮影を行う(特許文献1の段落0043参照)。当該ドライブレコーダでは、車両が駐車状態であることを、シフトポジションが「パーキング」になったことやサイドブレーキが操作されたこと、例えば5秒以上の時間、速度がゼロとなったこと、エンジンの停止などの状態を検出したこと、ユーザ操作などの任意のトリガが発生したこと、で判断している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年は、より利便性の高いドライブレコーダその他のシステムが望まれている。例えば特許文献1のように車両の駐車中に撮影を継続可能であるシステムにおいて、シフトポジションやサイドブレーキ、車両の速度、エンジン等の状態に関する情報を直接取得できないドライブレコーダもある。そのような車両側の情報を直接取得できないドライブレコーダに対しても、車両の状態を判定可能なシステムが望まれている。
【0006】
また、例えば、ユーザからの操作により車両の駐車状態を判別する場合、ユーザ操作が行われて、すぐに駐車中の録画を開始すると、操作したユーザが毎回映り込んでしまったり、乗客の降車時のドアの開閉等による衝撃をイベント発生と誤検知して不要なイベント録画が行われてしまうおそれがある。
【0007】
上述した課題に鑑み、本発明の目的の一つは、利便性の高いシステム、及びプログラム等を提供することである。
【0008】
本発明の目的はこれに限定されず、本明細書及び図面等に開示される構成の部分から奏する効果を得ることを目的とする構成についても分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。例えば本明細書において「~できる」「~可能である」などと記載した箇所を「~が課題である」と読み替えた課題が本明細書には開示されている。課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、各々の課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。課題が明細書の記載から黙示的に把握されるものであっても、本出願人は本明細書に記載の構成の一部を補正又は分割出願にて特許請求の範囲とする意思を有する。またこれら独立の課題を組み合わせた課題を解決する構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するため、本発明に係るシステムは、(1)車両において撮像した映像を記録する録画機能を有する録画機を備え、前記録画機能として、駐車時用の録画を行う駐車記録モードを有し、駐車記録開始条件が成立した場合に、駐車時用の録画を開始せずに待機する機能を有することを特徴とする。
【0010】
このように、駐車記録開始条件が成立した場合でも、駐車記録モードの駐車時用の録画を開始せずに待機する機能を有するから、ユーザにとって不要な録画が行われてしまうことを抑制することができる。このようにすると、利便性を高めることができる。駐車時用の録画を開始せずに待機することは、例えば、駐車記録モードでの動作は維持するが、駐車時用の録画を開始しないことをいうとよい。又は、駐車時用の録画を開始せずに待機している期間は、駐車記録モードの動作を停止して、他のモード(例えば、常時録画モード)で動作するようにしてもよい。
【0011】
また、本発明において、(2)前記駐車記録モードは、前記駐車記録開始条件が成立してから、待機状態を経た後に、駐車時用の録画を開始するとよい。このように、駐車記録モードにおける駐車時用の録画を開始する前に待機状態を設けておくことで、ユーザの不要な映り込みや、乗客の降車時のドアの開閉等による衝撃をイベント発生と誤検知して不要なイベント録画が行われてしまうことを抑制することができる。このようにすると、利便性を高めることができる。
【0012】
また、本発明において、(3)前記駐車記録開始条件は、所定の命令入力が行われたことであってもよい。このようにすると、車両の状態を検出できないようなモデルの録画機であっても、駐車記録モードの開始を容易に判定することができる。
【0013】
また、本発明において、(4)前記待機状態時は常時録画モードによる常時録画を行ってもよい。このようにすると、待機状態時における録画の抜けがなるくなるという利点がある。
【0014】
また、本発明において、(5)前記録画機能として、前記車両の衝撃に応じて録画を行うイベント録画モードを有し、前記待機状態時は前記イベント録画モードを制限してもよい。このようにすると、乗客の降車時のドアの開閉等の衝撃に起因する不要なイベント録画をより確実に抑制することができる。
【0015】
また、本発明において、(6)前記車両のドアが閉じられたこと又は開けられたことである開閉を検出するドア開閉検出機能を有し、前記待機状態は、前記ドア開閉検出機能により前記開閉が検出されたことに応じて終了してもよい。このようにすると、ドアの開閉の衝撃に起因する不要なイベント録画を抑制しつつ、適切なタイミングで待機状態を終了し、駐車記録モードによる録画を開始させることができる。
【0016】
また、本発明において、(7)前記車両のドアが閉じられたこと又は開けられたことである開閉を検出するドア開閉検出機能を有し、前記駐車記録開始条件は、前記ドア開閉検出機能により前記開閉が検出されることであってもよい。このようにすると、ユーザの操作がなくとも駐車記録モードに切り替えることができ、且つユーザの不要な映り込みやドアの開閉の衝撃に起因する不要なイベント録画を抑制することができる。
【0017】
また、本発明において、(8)前記録画機能は、前記車両の内部の映像を撮像可能であり、前記ドア開閉検出機能は、前記車両の内部の映像から前記車両のドアが開閉を検出してもよい。このように、車内の映像からドアの開閉を検出することで、車両からのドアの開閉情報を取得することなく、録画機の機能のみでドア開閉を検出することができる。
【0018】
また、本発明において、(9)前記待機状態は、前記車両において撮像される映像から所定の状況が検出されたことに応じて終了してもよい。このようにすると、ドアの開閉の衝撃に起因する不要なイベント録画を抑制しつつ、適切なタイミングで待機状態を終了し、駐車記録モードによる録画を開始させることができる。
【0019】
また、本発明において、(10)前記駐車記録開始条件は、前記車両において撮像される映像から所定の状況が検出されることであってもよい。このようにすると、ユーザの操作がなくとも駐車記録モードに切り替えることができる。
【0020】
また、本発明において、(11)前記駐車記録開始条件は、前記車両のアクセサリ電源がOFF状態となることであってもよい。これにより、ユーザの操作がなくとも駐車記録モードに切り替えることができる。
【0021】
また、本発明において、(12)前記車両のドアが閉じられたことを検出する機能を有し、前記駐車記録開始条件は、前記車両において所定の衝撃の発生を検知したことを示す第1条件を含み、前記駐車記録モードは、前記待機することとして、前記ドアが閉じられたことの検出結果に基づいて、前記第1条件が成立したことに基づく駐車時用の録画をキャンセルする機能を有してもよい。これにより、車両において所定の衝撃の発生を検知したことを示す第1条件が成立した場合に、駐車時用の録画を開始する構成のもと、ドアが閉じられたことによる衝撃をイベント発生と判定して不要な録画が行われることを抑制することができる。駐車時用の録画をキャンセルすることは、所定の衝撃の発生を検知したことに起因する駐車時用の録画を行う構成のもとで、その録画を行わないようにすることをいうとよい。
【0022】
また、本発明において、(13)前記車両のドアが閉じられたことを検出する機能を有し、前記駐車記録開始条件は、前記車両において所定の衝撃の発生を検知したことを示す第1条件を含み、前記駐車記録モードは、前記ドアが閉じられたことが検知されたタイミングと前記第1条件が成立したタイミングとが所定時間内である場合は、駐車時用の録画を開始せずに待機するようにしてもよい。これにより、車両において所定の衝撃の発生を検知したことを示す第1条件が成立した場合に、駐車時用の録画を開始する構成のもと、ドアが閉じられたことによる衝撃をイベント発生と判定して不要な録画が行われることを抑制することができる。ドアが閉じられたことが検知されたタイミングと車両において所定の衝撃の発生するタイミングとは同時又は近接した時間差になると考えられるから、所定時間はその時間差を考慮して決められているとよい。
【0023】
また、本発明において、(14)前記所定時間内に前記第1条件が成立した場合において、駐車時用の録画を開始せずに待機するか、待機せずに駐車時用の録画を開始するかを設定可能に構成されていてもよい。これにより、ドア閉めによる衝撃を含め所定の衝撃を検知したときは、駐車時用の録画を開始するようにして、事故等の所定の事象が発生したときに録画されていない状況になるのを抑制すること、及びドア開めによる衝撃をイベント発生と判定して不要な録画が行われることを抑制することのどちらを優先するかを、設定に従って動作できるようにすることができる。
【0024】
また、本発明において、(15)前記車両の位置情報を検出する機能を有し、前記駐車記録モードは、前記所定時間内に前記第1条件が成立した場合において、前記車両の位置情報が所定の条件を満たすときには、駐車時用の録画を開始せずに待機してもよい。これにより、車両の位置情報が所定の条件を満たす場合には、車両のドアが閉じられたことが検知されたタイミングと所定の衝撃の発生を検知したタイミングとが所定時間内でないときであっても、駐車時用の録画を開始せずに待機することができ、衝撃をイベント発生と判定して不要な録画が行われることを抑制することができる。所定の条件は、例えば、所定の衝撃の発生に起因する駐車時用の録画をする必要性の低い位置の位置情報の条件とするとよく、特に、事故が発生する可能性が低い位置の位置情報の条件とするとよい。事故が発生する可能性が低い位置は、例えば、ユーザの自宅や職場の駐車場等の敷地内である等の、ユーザ又は信頼できる人物(例えば、家族や同僚)の目が届きやすい場所に属する位置とするとよい。また、所定の条件は、盗難や事件が発生する可能性が低い位置の位置情報とするとしてもよく、例えば、警備システムがしっかりとしている場所や、第三者の目が届きやすい場所等に属する位置とするとよい。
【0025】
また、本発明において、(16)前記駐車記録モードは、所定の事象が発生したと判定した場合は、前記待機する条件が成立したときであっても、駐車時用の録画を開始してもよい。これにより、所定の事象が発生したと判定した場合は、ここまでに説明した駐車時用の録画を待機する条件のときであっても、駐車時用の録画を行うことができる。そのような事象は、例えば録画をすべき状況であることを示す事象とするとよく、特に事故の可能性を判定するための事象とするとよい。
【0026】
(17)コンピュータに上記(1)から(16)のいずれか一つのシステムの機能を実現させるためのプログラムとするとよい。このようにすれば、上記(1)から(16)の機能をコンピュータに実行させることができる。
【0027】
上述した(1)から(17)に示した発明は、任意に組み合わせることができる。例えば、(1)に示した発明の全て又は一部の構成に、(2)以降の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加える構成としてもよい。特に、(1)に示した発明に、(2)以降の少なくとも1つの発明の少なくとも一部の構成を加えた発明とするとよい。また、(1)から(17)に示した発明から任意の構成を抽出し、抽出された構成を組み合わせてもよい。本願の出願人は、これらの構成を含む発明について権利を取得する意思を有する。また「~の場合」「~のとき」という記載があったとしても、その場合やそのときに限られる構成として記載はしているものではない。これらはよりよい構成の例を示しているものであって、これらの場合やときでない構成についても権利取得する意思を有する。また順番を伴った記載になっている箇所もこの順番に限らない。一部の箇所を削除したり、順番を入れ替えたりした構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、利便性を高めることができる。
【0029】
なお、本願の発明の効果はこれに限定されず、本明細書及び図面等に開示される構成の部分から奏する効果についても開示されており、当該効果を奏する構成についても分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。例えば本明細書において「~できる」「~可能である」などと記載した箇所などは奏する効果を明示する記載であり、また「~できる」「~可能である」などといった記載がなくとも効果を示す部分が存在する。またこのような記載がなくとも当該構成よって把握される効果が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】(a)本発明の一実施形態のドライブレコーダのフロントカメラの斜視図、(b)フロントカメラが設置された車両前方を示す図、(c)リアカメラが設置された車両後方を示す図である。
【
図2】一実施形態の概略システム構成を示すブロック図である。
【
図3】電源ユニットの配線構造を示す説明図である。
【
図4】ドライブレコーダのコントローラが実行する駐車記録モードへの切替処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明を提供した一つの実施形態であり、以下の記載に基づいて本願発明の内容が限定して解釈されるものではない。
【0032】
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態を説明する。
[システムの構成]
図1及び
図2を参照して、システムの構成の一例について説明する。「システム」は、システムの一部又は全部を移動体に取り付けるものとするとよい。また、「システム」の一部を移動体に取り付ける場合、特に例えばカメラ等の撮像部を移動体に取り付けることができるようにするとよく、制御部については、撮像部を取り付けた移動体から離れた場所に備えるようにしてもよい。また、「システム」は、ドライブレコーダその他の撮像装置の機能を備えるとよい。
【0033】
また、システムの一部又は全部が取り付けられる移動体は、自動車や電動移動車等の車両のみならず、車両以外の物体に搭載されるシステムであってもよい。車両以外の物体の例では、例えば、電車やリニアモーターカー、モノレール等の交通機関における車両、船舶、飛行機などの車両以外の移動体(例えば乗り物)に搭載されるシステムであってもよいが、特に車両に搭載されるシステムとするとよい。車両は、4輪自動車に限らず、例えばバイク等の2輪車や4輪以上の大型輸送車等とするとよく、特に車室内から車室外を観測できる4輪自動車とするとよい。車両としては、例えば、運送用の車両(例えば、トラックやフォークリフト等)、営業用の車両(例えば、タクシーやバス等)及び一般の車両等の車両全般のみならず、さらなる多用途に展開してもよい。本実施形態では、車両に搭載可能な録画機の一例であるドライブレコーダについて説明する。
【0034】
また、「撮像部」がカメラであるときは、カメラが車両の複数箇所に設けられてもよい。例えば、車両前方用のカメラとは別のカメラを車両後方用に備えて、車両前方用のカメラ(以下「フロントカメラ」という。)及び車両後方用のカメラ(以下「リアカメラ」という。)の2カメラで他の移動体等を撮像するものとするとよい。また、フロントカメラ又はリアカメラを視野角360度で撮像可能なカメラとして、車内の様子も撮像可能としてもよい。
【0035】
本実施形態に係るシステムは、車両100において撮像した映像を記録する録画機能を有するドライブレコーダ1(録画機の一例)を有している。
【0036】
ドライブレコーダ1は、車両前方に設けられたフロントカメラ10及び車両後方に設けられたリアカメラ20の2つの撮像部を有している。フロントカメラ10及びリアカメラ20は、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)の多色の色成分の映像を撮像するが、色成分の種類や数は種々の変形が可能である。
【0037】
図1(a)は、ドライブレコーダ1のフロントカメラ10を示す斜視図である。
図1(a)に示すように、フロントカメラ10の筐体の1つの側面に、メモリカード挿入口11が設けられている。筐体の背面に、ディスプレイ12、及び操作部13(
図1(a)に示される例では、複数の操作ボタン13a~13d)が設けられている。例えば、本実施形態では、操作ボタン13aは映像を切り替えるディスプレイボタン、操作ボタン13bは再生モードを表示するモードボタン、操作ボタン13cは録画の開始/停止を行うREC/STOPボタン、操作ボタン13dは設定メニューを表示するメニューボタン、操作ボタン13eは手動で後述するイベント録画を開始する記録ボタンである。
【0038】
また、筐体の上面にジョイントレール14が設けられている。
図1(a)には現れていないが、筐体の前面に撮像部の一例であるフロントカメラ10のレンズが設けられている。メモリカード挿入口11の側面とは逆側の側面には、接続端子15が設けられており、
図1(a)には現れていないが底面にスピーカ及びHD出力端子が設けられている。
【0039】
レンズを有するフロントカメラ10は、例えば車両の前方の映像を撮像する。メモリカード挿入口11はメモリカードを挿入するための挿入口である。スピーカは、音声等の音を出力する。HD出力端子は、ケーブルを介して他の情報機器に接続するための端子である。ジョイントレール14は、フロントカメラ10を車両に搭載するためのジョイント部材を取り付けるためのものである。ディスプレイ12は種々の映像を表示する。操作部13は、ユーザが操作することによってドライブレコーダ1に種々の指令を入力するためのものである。
【0040】
なお、本実施形態において、ユーザとは、例えばドライブレコーダ1が搭載された車両等の運転者でもよいし、運転者とは異なる者、例えば同乗者であってもよい。
【0041】
図1(b)は、本実施形態のフロントカメラ10が設置された車両前方を示す図である。
図1(b)に示される例では、ドライブレコーダ1のフロントカメラ10は、車両100のフロントガラス101の上部であって左右方向中央付近のルームミラー102に隣接する助手席側の位置に配置されている。フロントカメラ10は、両面テープ等の取付部材によりフロントガラス101に貼りつけて固定されている。フロントカメラ10の接続端子15が電源ユニット16を介してアクセサリ電源110に接続されている。接続端子15及び電源ユニット16については後述する。
【0042】
図1(c)は、リアカメラ20が設置された車両後方を示す図である。
図1(c)に示される例では、リアカメラ20は、車両のリアガラス104の上部であって左右方向中央付近に、取付部材によりリアガラス104に貼り付けて固定されている。
図1(c)に示されるリアカメラ20はディスプレイ機能も備えているが、これは必須ではなく、リアカメラ20で撮像した画像を前方で見ることができるように、リアカメラ20で撮像した画像を表示するディスプレイをダッシュボード105に設けるようにするとよい。
【0043】
ドライブレコーダ1は、フロントカメラ10とリアカメラ20とを別に備える2カメラで撮像し、各種機能をフロントカメラ10の側のみに備え、フロントカメラ10にリアカメラ20が接続される構成とするとよい。また、ドライブレコーダ1は、各種設定もフロントカメラ10の側で行う機能を備え、フロントカメラ10及びリアカメラ20は、フロントカメラ10の側で行われた設定に従って動作するようにするとよい。ただし、これは必須ではなく、各種機能や各種設定を行うことができるシステムを車両前方及び車両後方にそれぞれ搭載するようにしてもよい。
【0044】
図1(a)に示されるように、ドライブレコーダ1の一部の部材が、この部材の用途に応じて、フロントガラス101とは異なる位置に設けられていてもよい。例えば、操作部13の一つである操作ボタン13fが、
図1(b)に示されるようにダッシュボード105に設けられるようにしてもよい。コントローラ30は、例えばカメラで撮像した映像データを外部に送信し、外部で映像データを記録するようにしてもよい。
【0045】
図2は、本実施形態のドライブレコーダの概略システム構成を示すブロック図である。ドライブレコーダ1は、上述のフロントカメラ10(撮像部の一例)及びリアカメラ20(撮像部の一例)、ディスプレイ12、操作ボタン13a~13fを含む操作部13、接続端子15、電源ユニット16の他に、コントローラ30(制御部の一例)、スピーカ40、GPS受信機41、加速度センサ42、無線通信回路43、メモリカードリーダ44を備えている。なお、メモリカードリーダ44は、読み書き機能を備えるものであり、厳密には「メモリカードリーダライタ」と称するべきであるが、本明細書において、単に「メモリカードリーダ」と称する。
【0046】
ディスプレイ12及びスピーカ40は、ユーザに種々の情報を知らせるための通知部として機能する。ディスプレイ12は、コントローラ30の制御に基づいて、種々の情報を画像表示で出力する。スピーカ40は、コントローラ30の制御に基づいて、警報や種々の情報を音で出力する。操作部13は、ユーザがドライブレコーダ1(より具体的にはコントローラ30)に対して種々の指令を与える入力手段として機能する。
【0047】
フロントカメラ10は、本実施形態ではレンズが車両100の前方に指向し、車両前方の画角内(視野内)の映像を撮像する撮像部として機能する。フロントカメラ10で撮像された映像は、映像データとしてコントローラ30に取り込まれる。フロントカメラ10は、少なくとも車両前方を撮像できるものである。フロントカメラ10は、例えば前方を撮像するカメラと自車両の車内を撮像するカメラとを別々に設けてそれぞれを撮像してもよく、例えば視野角360度のカメラを採用して前方の撮像と自車両の車内の撮像との両方を撮像できるようにすると尚よい。
【0048】
リアカメラ20は、本実施形態ではレンズが車両100の後方に指向し、車両後方の画角内(視野内)の映像を撮像する撮像部として機能する。リアカメラ20で撮像された映像は、映像データとしてコントローラ30に取り込まれる。なお、リアカメラ20は、少なくとも車両後方を撮像できるものであるが、後方に加えて側方も撮像できると尚よい。また、本実施形態の撮像部はフロントカメラ10及びリアカメラ20の2つであるが、撮像部の数は1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。
【0049】
GPS受信機41は、コントローラ30の指示に基づいて現在時刻における自車の位置情報を検出する。位置情報は、GPS衛星からの信号に基づいて求められた時刻、自車の速度、経度、緯度、高度等を検出する。コントローラ30は、これらの位置情報の履歴を記録する処理を行う。
【0050】
加速度センサ42は、3軸(x軸、y軸、z軸)それぞれの方向の加速度及び傾きを検出する3軸タイプのセンサが用いられる。加速度センサ42による計測値は、常時、コントローラ30に取り込まれる。コントローラ30は、例えば10msごとに3軸の加速度情報を取得する。
【0051】
無線通信回路43は、外部機器、例えばサーバ(例えば、警察等の公共機関のサーバ、誰もが閲覧できるインターネット上のサイト運営会社等のサーバ等)、パソコン、スマートフォン、タブレット端末等と無線通信を行うための通信部として機能する。コントローラ30は、無線通信処理プログラムを実行することにより、無線通信回路43を介して、外部機器に映像データを送信する機能を有する。無線通信回路43として、例えばWiFi規格、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信の規格、LTE(Long Term Evolution)、4G、5G等の移動通信システムの規格等に準拠した通信回路を用いるとよい。移動通信システムの規格は、例えば、より広範囲の領域内で移動する車両と外部機器との通信に適用することができる。
【0052】
メモリカードリーダ44は、メモリカード45を保持する媒体収容部として機能する。メモリカード45は、具体的にはSDカード、miniSDカード、microSDカード等であり、着脱可能な記録媒体として機能する。ユーザは、メモリカード挿入口11を通して、メモリカードリーダ44にメモリカードを装着することができる。メモリカードリーダ44は、コントローラ30からの制御に基づいて、メモリカードリーダ44に保持されているメモリカード45のデータを読み取り、又はメモリカード45にデータを記録させる。メモリカードリーダ44は、フロントカメラ10で撮像したデータを記録する領域と、リアカメラ20で撮像したデータを他方の記録する領域とを別々にするとよく、1枚のメモリカードに別々の記録領域を有してもよいが、メモリカードを2枚以上装着できるようにし、フロントカメラ10で撮像したデータを第1のメモリカードに記録し、リアカメラ20で撮像したデータを第2のメモリカードに記録するようにするとよい。
【0053】
コントローラ30は、周知のCPU31等の演算処理装置、ROM32及びRAM33等のメモリ、タイマ34、その他の周辺回路等を有する。コントローラ30のROM32内に各種プログラムが記録されている。コントローラ30はこれらのプログラムを実行することにより各種の機能を実現する。各種プログラムには、オペレーティングシステム(OS)、GPS情報処理プログラム、無線通信処理プログラム、録画処理プログラム、等が含まれる。GPS情報処理プログラム、無線通信処理プログラム、録画処理プログラムはそれそれ独立したプログラムである必要はなく、これらの機能を複数組み合わせたプログラムが用いられてもよい。
【0054】
コントローラ30はGPS情報処理プログラムを実行することにより、GPS受信機41で受信されたGPS情報を、メモリカードリーダ44に保持されたメモリカード45に記録することができる。
【0055】
コントローラ30は録画処理プログラムを実行することにより、フロントカメラ10及びリアカメラ20が撮像した映像を時刻と関連付けてメモリカード45が有する記録領域に記録することができる。コントローラ30は、メモリカードリーダ44に保持されたメモリカード45にアクセスする機能を持ち、メモリカードリーダ44に保持されたメモリカードに、フロントカメラ10及びリアカメラ20で撮像された映像を記録する録画機能を持つ制御部として機能する。具体的には、コントローラ30の録画機能は、フロントカメラ10及びリアカメラ20により撮像された映像データを、RAM33に一時的に書き込み、RAM33からメモリカードリーダ44を介してメモリカード45に書き込むことで記録する。
【0056】
コントローラ30の録画機能では、種々の設定が可能であり、以下録画機能の設定について詳しく説明する。
【0057】
本実施形態のコントローラ30は、録画モードとして、イベント録画モード、常時録画モード、駐車記録モードを有している。駐車記録モードは、車両100の駐車中に録画する駐車記録機能に関連付けられたモードである。駐車記録機能は、車両100の駐車中の録画に関する機能である。駐車記録機能は、駐車中の車両100の内部又は周辺を監視するという意味で、駐車監視機能と呼ばれることもある。駐車記録機能は、具体的にはタイムラプスモード、及び動体検知モードのうち少なくともいずれか1つの録画モードが選択されて実行される。イベント録画モードは、常時録画モード又は駐車記録モードが選択されている場合でも、並行してマルチタスク処理として実行可能である。
【0058】
イベント録画モードは、特定の事象(例えばイベント)の発生に応じてフロントカメラ10及びリアカメラ20により撮像した映像データを記録する録画モードである。特定の事象とは、例えば車両走行中におけるユーザの急ハンドル、急ブレーキ等の操作時、車両の他の物体との衝突時等の事象である。コントローラ30は、このような特定の事象を例えば加速度センサ42による計測値から判定する。具体的には、コントローラ30は、加速度センサ42による計測値が予め定めた所定の閾値以上となった場合又は所定の時間的変化を示した場合に、特定の事象が発生したと判定する。特定の事象の判定条件はこれに限られず、例えば車速や操舵状態等の車両状態を条件に含めてもよい。また、コントローラ30は、操作部13の特定の操作ボタン(例えば
図1(a)の操作ボタン13e)が押下された場合も、特定の事象が発生したと判定する。なお、操作ボタン13eの押下によるイベント録画モードによる撮像及び記録を、以下ワンタッチ録画ともいう。なお、録画開始の契機となる操作は、必ずしもワンタッチでなくてもよく、所定の操作であればよい。この場合の録画は、手動録画又はマニュアル録画と呼ばれる録画であり、ワンタッチ録画に代替可能である。
【0059】
コントローラ30は、イベント録画モードとして、上述の特定の事象が発生すると事象発生前後の一定時間において撮像された映像データを記録する。例えばコントローラ30は、事象発生前20秒、事象発生後20秒の合計40秒の映像データを1つの録画ファイルとしてメモリカード45に記録する。
【0060】
常時録画モードは、フロントカメラ10及びリアカメラ20により継続して映像データを撮像し記録する録画モードである。具体的には、コントローラ30は、常時録画モード時には少なくとも車両100のエンジンの始動から停止まで撮像した映像データを記録する。エンジンの始動は、例えば車両100のアクセサリ電源のONに対応し、エンジンの停止は、アクセサリ電源のOFFに対応する。このアクセサリ電源のON、OFFの判定については後述する。
【0061】
駐車記録モードの1つであるタイムラプスモードは、フロントカメラ10及びリアカメラ20により間欠的な撮像を行い記録する録画モードである。本実施形態において、間欠的な撮像は、基準となるフレームレートよりも間引いたフレームレートで撮像することである。本実施形態では、コントローラ30は、タイムラプスモードが選択されると、フロントカメラ10及びリアカメラ20による撮像のフレームレートを、基準となるフレームレートよりも落としたフレームレートに設定して、撮像及び記録を行う。基準となるフレームレートは、例えば、常時録画モード、イベント録画モード、ワンタッチ録画モード、及び動体検知モードのうちの少なくともいずれかで採用されているフレームレートとするとよい。例えば、他の録画モードのフレームレートが例えば20~30フレーム/秒(以下、「コマ/秒」と換言されてもよい。)であるのに対して、タイムラプスモードのフレームレートは例えば1フレーム/秒とする。
【0062】
本実施形態のコントローラ30は、タイムラプスモードにて撮像した映像を時間的に圧縮した動画像として記録する。例えば1フレーム/秒で撮像した映像データを他の録画モードのフレームレートと同等の30フレーム/秒に圧縮した映像データとして記録する。なお、タイムラプスモードにて撮像した映像データは、1秒1コマの動画像として記録してもよい。
【0063】
また、駐車記録モードの1つである動体検知モードは、移動体の検知に応じて撮像し記録を行う録画モードである。具体的には、コントローラ30は、動体検知モードが選択されると、フロントカメラ10及びリアカメラ20により撮像された映像の変化から動体を検知し、動きがあった場合(つまり、動体が検知された場合)に映像データの記録を行う。当該動体検知モードにおけるフレームレートは、タイムラプスモードのフレームレートよりも高く、例えば20~30フレーム/秒である。コントローラ30はRAM33に一時的に書き込んだ映像データに基づいて動体検知を行い、動体を検知した場合はRAM33上の映像データに基づいてメモリカード45に映像データを書き込むことで録画を行う。
【0064】
コントローラ30の録画機能は、所定時間動画を記録するごとに新たなファイルを作成して録画を行う。例えば、常時録画モードでは1分、タイムラプスモードでは30分、イベント録画モード及びワンタッチ録画では40秒単位又は30秒単位である。
【0065】
コントローラ30は、車両100のエンジンOFF状態又はアクセサリ電源のOFF状態を検出したことや、操作部13にてユーザによる駐車記録モードへの切替操作が行われたこと等の駐車記録開始条件が成立すると、待機状態を経た後に、駐車記録モード(具体的にはタイムラプスモード又は動体検知モード)による駐車時用の録画(撮像及び記録)を開始する。
【0066】
具体的には、駐車記録開始条件は、例えば本実施形態では操作ボタン13cに対して3秒以上の長押し操作が行われたことを有する。この長押し操作は、駐車記録を開始するための命令入力の一例であり、例えばコントローラ30が音声認識機能を有している場合には、音声操作による命令入力であってもよい。命令入力は、ユーザが明示的に駐車記録の開始を命令するために行う入力であれば、その方法は問わない。
【0067】
また、駐車記録開始条件としては、車両100の駐車を検出したことを有してもよい。車両100の駐車の検出は、例えばアクセサリ電源がOFFされたこと、エンジンがOFFされたこと、車速が0km/h又は所定速度以下であること等を検出すことで行ってもよい。具体的な車両のアクセサリ電源のOFF状態の検出方法については後述する。
【0068】
待機状態では、コントローラ30は、所定の待機時間(例えば1分間)駐車記録モードに基づく撮像及び記録を行わず、当該所定の待機時間が経過してから駐車記録モードに基づく撮像及び記録を開始する。
【0069】
待機状態中、コントローラ30は、例えば何も録画を行わない、即ちフロントカメラ10及びリアカメラ20による撮像した映像を記録しない又は撮像自体を停止する。又は、待機状態中は駐車記録条件成立前の状態を維持してもよい。つまり、駐車記録条件成立前に常時録画モードが実行されている場合は、待機状態でも常時録画モードを維持する。その一方で、本実施形態おける待機状態では、コントローラ30は、イベント録画モードを制限し、たとえこの待機状態時に加速度センサ42により衝撃を検知した場合でも、イベント録画を行わないようにする。なお、この待機状態時におけるイベント録画モードの制限は、完全にイベント録画を行わないようにすることに限られず、例えばイベント録画を行う所定の閾値を上げて、車両100のドア開閉程度の比較的弱い衝撃に対してはイベント録画を行わないが、他の物体との衝突等の比較的大きな衝撃に対してはイベント録画を行うようにしてもよい。
【0070】
また、待機状態を終了させる条件(以下、待機状態終了条件という)は時間に限られず、例えば車両100のドアが閉じられたことや、ドアロックがされたことを検出した時点、即ち運転者が降りたであろう状態を検出したことに応じて待機状態を終了し、駐車記録モードによる録画を開始してもよい。なお、車両100のドアが閉じられたことや、ドアロックがされたことを検出した時点から、すぐに駐車記録モードを実行するのではなく、さらに所定の待機維持時間を経てから駐車記録モードを実行してもよい。また、ドアが閉じられたことに代えて、ドアが開いたことを検出してもよい。このように、本実施形態においてドアの開閉はドアが閉じられたこと又は開けられたことの一方としても把握される。
【0071】
ドアの開閉の検出(ドア開閉検出機能)や、ドアロックの検出は、車両100の制御装置から直接それらの情報を取得できる場合はその情報に基づいて検出を行い、それらの情報を取得できない場合は、例えばドライブレコーダ1が備えるマイクを用いて、ドアが閉じれられた時の音や、ドアロックされた時の音を検出することで行ってもよい。また、フロントカメラ10又はリアカメラ20が視野角360度のカメラであり、車内の撮像が可能である場合は、撮像された車内の映像から画像認識処理等によりドアの開閉や、ドアロックを検出してもよい。
【0072】
また、フロントカメラ10又はリアカメラ20が視野角360度のカメラである場合、コントローラ30は、例えば撮像された車内の映像から運転者等の乗客を認識し、乗客が車内にいるうちは待機状態を維持するようにしてもよい。この待機状態時は上述したように、例えば、何も録画を行わないか、常時録画モードを実行する。そして、コントローラ30は、撮像された車内の映像から乗客がいなくなったら、すぐに又は所定の待機維持時間後に駐車記録モードを実行する。撮像された車内の映像から乗客を認識する方法としては、例えば車内の乗客を認識することを機械学習した乗客認識AIを用いて行ってもよいし、画像認識処理により行ってもよい。また撮像された車内の映像からだけでなく、ドライブレコーダ1のマイクにより取得した車内の音から乗客の有無を判定してもよい。さらに、車内だけでなくフロントカメラ10及びリアカメラ20により撮像された車外の映像から、車両100から降りた乗客が所定の範囲(例えば画角外)を外れるまで待機状態を維持するようにしてもよい。また、車内の映像に基づく待機状態の終了条件は乗客に基づく状況に限られず、他の所定の状況が検出されたことでもよい。例えば車内に乗客がいない場合でも乗客の手荷物がある場合は、乗客が手荷物を取りに戻る可能性を考慮して、待機状態を所定時間維持する等してもよい。また、車内の映像から所定の状況が検出されたことを、駐車記録開始条件に用いてもよい。例えば、車内から乗客がいなくなってから所定時間の待機状態を経た後に、駐車時用の録画を開始してもよい。このような構成は運転者等のユーザの映り込みを防止する目的の構成であるから、所定の状況に含まれる乗客に基づく状況を車内の人に基づく状況と読み替えた構成としてもよい。
【0073】
駐車記録開始条件及び待機状態終了条件は、上述した条件のうちの1つでもよいし、複数を組み合わせてもよい。
【0074】
コントローラ30は、駐車記録モードの実行開始後、予め設定された所定のオフタイマ時間の間、駐車記録モードを実行する。なお、コントローラ30は、バッテリユニット53(電源装置の一例)の電圧が所定の電圧以下となった場合、つまりバッテリユニット53の充電量が所定の充電量になった場合、には駐車記録モードを終了してもよい。
【0075】
ドライブレコーダ1における映像データの記録先であるメモリカード45には、少なくとも第1記録領域及び第2記録領域の2つの記録領域が形成されている。コントローラ30が実行する録画処理プログラムにより実現される録画機能は、第1記録領域(本実施形態ではイベント録画フォルダ)には、イベント録画モード、即ち特定の事象の発生に応じて撮像した映像データを記録する。また、第2記録領域(本実施形態では通常録画フォルダ)には、上記常時録画モード、タイムラプスモード、及び動体検知モードにて撮像された映像データを記録する。
【0076】
コントローラ30は録画機能により記録された映像データを再生する再生機能を有している。当該再生機能は、フロントカメラ10により撮像された映像データと、リアカメラ20により撮像された映像データとを、選択的に再生する機能を有する。どちらの映像を再生するかについては、例えばユーザが、操作部13のうちの所定の操作ボタンを操作することにより切り替え可能である。
【0077】
ディスプレイ12は、コントローラ30がアクセスするメモリカード45の担う役割をユーザに知らせる通知部としても機能する。
【0078】
また、フロントカメラ10により撮像された映像データと、リアカメラ20により撮像された映像データとを同時に再生する機能を有するビューアプログラムが提供されてもよい。
【0079】
また、ディスプレイ12は上述した通り車両100のダッシュボード105に設けるようにしてもよいし、フロントカメラ10で撮像された映像及びリアカメラ20で撮像された映像のうち、リアカメラ20で撮像された映像だけを再生可能なディスプレイのみをダッシュボード105に設けてもよい。さらに、再生機能は、ドライブレコーダ1のディスプレイ12だけでなく、PC、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、等の他の情報端末が有するディスプレイに対して機能させてもよい。例えば当該再生機能を有するビューアプログラムが、他の情報端末にインストールされることで当該情報端末が有するディスプレイに対して再生機能を実現できる。ビューアプログラムは、ドライブレコーダ1から無線通信回路43を介して情報端末に提供したり、メモリカード45に記録して提供したり、インタ―ネット等の通信網を介して提供してもよい。
【0080】
以上のように構成されたドライブレコーダ1は接続端子15から電源ユニット16を介して車両100のアクセサリ電源110に接続されている。
【0081】
ドライブレコーダ1の接続端子15は、例えば10pinのminiUSB端子(メス端子)であり、少なくとも電源ライン、グランド(GND)ライン、UART通信ライン、を有した配線構造をなしている。UART通信ラインは、データ送信用のUART_TXと、データ受信用のUART_RXの2つの信号線を用いて非同期のシリアル通信を行う通信ラインである。ドライブレコーダ1は、接続端子15から電源ユニット16を介して車両100のアクセサリ電源110に接続されている。
【0082】
ここで、
図3には電源ユニットの接続構成を示す説明図が示されており、以下同図に基づきドライブレコーダ1と車両100のアクセサリ電源110との接続関係を説明する。
【0083】
図3に示すように、電源ユニット16は、第1ケーブル50(通信線の一例)、コンバータ51、第2ケーブル52(通信線の一例)、バッテリユニット53、第3ケーブル54を有している。
【0084】
第1ケーブル50は接続端子15とコンバータ51とを結ぶケーブルであり、接続端子15側の先端には当該接続端子15に挿入可能な端子(オス端子)が設けられている。
【0085】
コンバータ51には第1ケーブル50及び第2ケーブル52がそれぞれ一体をなすように接続されており。第2ケーブル52から入力されるDC(直流)12Vの電力をDC5Vに変換して第1ケーブル50に出力するDC/DCコンバータである。
【0086】
第2ケーブル52は、コンバータ51とバッテリユニット53とを接続するケーブルであり、バッテリユニット53側の先端には端子(オス端子)が設けられている。
【0087】
バッテリユニット53は、第2ケーブル52と接続される出力端子53aと、第3ケーブル54と接続される入力端子53bと、ドライブレコーダ1との間の通信を制御する通信制御部53cと、オフタイマ設定部53dとを有しており、内部には蓄電を行うバッテリパックが搭載されている。
【0088】
第3ケーブル54は、バッテリユニット53とアクセサリ電源110とを接続するケーブルであり、バッテリユニット53側の先端には当該バッテリユニット53に挿入可能なコネクタ54aが設けられている。第3ケーブル54は、例えば
図3に示すように、コネクタ54aから車両100の金属部分へ接続されるGND用コード54bと、アクセサリ電源110に接続される電源用コード54cがそれぞれ別の配線として延びている。電源用コード54cには途中に内部にヒューズが搭載されたヒューズホルダ54dが設けられている。
【0089】
[作用]
次に、ドライブレコーダ1のコントローラ30が実行する駐車記録モードへの切替処理の作用の一例について説明する。
【0090】
まず、
図4はドライブレコーダ1のコントローラ30が実行する駐車記録モードへの切替処理を示すフローチャートであり、以下同フローチャートに沿って、ドライブレコーダ1のコントローラ30が実行する駐車記録モードへの切替処理について説明する。
【0091】
まずステップS10において、コントローラ30は、駐車記録モードに関する駐車記録開始条件が成立したか否かを判定する。駐車記録開始条件は、上述したように、例えば操作ボタン13cに対して3秒以上の長押し操作が行われたこと、アクセサリ電源のOFF状態を検出したこと等の1又は複数の条件であり、当該長押し操作やアクセサリ電源のOFF状態が検出されない場合、当該判定結果は偽(No)となり、当該ルーチンをリターンする。つまり、駐車記録開始条件が成立しない限りは以下の処理は行われず、操作ボタン13cの長押し操作が検出されると当該判定結果は真(Yes)となり、次のステップS11に処理を進める。
【0092】
ステップS11において、コントローラ30は、駐車記録モードの待機状態に移行する。当該待機状態において、コントローラ30は、上述したように、例えば常時録画モードでの録画を行う、又は録画を行わない。またコントローラ30は、イベント録画モードの制限を行う。
【0093】
ステップS12において、コントローラ30は、待機状態終了条件が成立したか否かを判定する。待機状態終了条件は、上述したように、例えば待機状態開始から所定時間経過したこと、車両100のドアが閉じられたこと等の1又は複数の条件であり、当該所定時間の経過やドアの閉じが検出されない場合、当該判定結果は偽(No)となり、ステップS11に戻り待機状態を維持する。一方、当該所定時間の経過やドアの閉じが検出された場合、当該判定結果は真(Yes)となり、次のステップS13に処理を進める。
【0094】
ステップS13において、コントローラ30は、待機状態を終了させ、駐車記録モードを実行する。駐車記録モードは、具体的には予め設定されたタイムラプスモード又は動体検知モードのいずれかのモードでの録画を実行する。なお、コントローラ30は、待機状態でイベント録画モードを制限していた場合は、当該制限を解除してイベント録画モードも並行して実行する。
【0095】
次のステップS14において、コントローラ30は、オフタイマ時間を経過したか否かを判定する。当該判定結果が偽(No)である場合は、オフタイマ時間を経過するまで当該ステップS14の判定を繰り返す。オフタイマ時間を経過した場合はステップS14の判定結果は真(Yes)となり、次のステップS15に進む。なお、ステップS14の判定はオフタイマ時間に基づくものに限られず、例えばバッテリユニット53の電圧が所定の電圧以下となったか否か、即ちバッテリユニット53の充電量が所定量以下となったか否かの判定をオフタイマ時間の判定とともに行ってもよい。この場合、バッテリユニット53の電圧が所定の電圧以下となった場合は判定結果が真(Yes)となる。
【0096】
ステップS15において、コントローラ30は、駐車記録モードを終了させ、当該ルーチンを終了する。
【0097】
[効果]
以上のように本実施形態のシステムにおけるドライブレコーダ1は、録画機能として、駐車時用の録画を行う駐車記録モードを有し、駐車記録モードは駐車記録開始条件が成立してから、待機状態を経た後に、駐車時用の録画を開始する。このように、駐車記録モードにおける駐車時用の録画を開始する前に待機状態を設けておくことで、ユーザの不要な映り込みや、乗客の降車時のドアの開閉等による衝撃をイベント発生と誤検知して不要な鵜ベント録画が行われてしまうことを抑制することができる。このようにすると、本実施形態のシステムの利便性を高めることができる。
【0098】
特に、駐車記録開始条件を、操作ボタン13cの長押しのように、所定の命令入力を行われたこととすることで、車両の状態を検出できないようなモデルのドライブレコーダ1であっても、駐車記録モードの開始を容易に判定することができる。
【0099】
また、待機状態時に常時録画モードによる常時録画を行うようにすると、待機状態時における録画の抜けがなるくなるという利点がある。
【0100】
また、待機状態時にイベント録画モードを制限することで、乗客の降車時のドアの開閉等の衝撃に起因する不要なイベント録画をより確実に抑制することができる。
【0101】
また、ドアの開閉やドアロックが検出されたときに、待機状態を終了させることで、ドアの開閉の衝撃に起因する不要なイベント録画を抑制しつつ、適切なタイミングで待機状態を終了し、駐車記録モードによる録画を開始させることができる。
【0102】
また、ドアの開閉やドアロックが検出されたことを駐車記録開始条件としてもよく、この場合、ユーザの操作がなくとも駐車記録モードに切り替えることができ、且つユーザの不要な映り込みやドアの開閉の衝撃に起因する不要なイベント録画を抑制することができる。
【0103】
特に、ドライブレコーダ1が車内も撮像可能である場合に、車内の映像からドアの開閉を検出することで、車両からのドアの開閉情報を取得することなく、ドライブレコーダ1の機能のみでドア開閉を検出することができる。
【0104】
また、ドライブレコーダ1が車内も撮像可能である場合に、車内の映像から、乗客がいなくなった等の所定の状況が検出されたときに待機状態を終了させることで、ドアの開閉の衝撃に起因する不要なイベント録画を抑制しつつ、適切なタイミングで待機状態を終了し、駐車記録モードによる録画を開始させることができる。
【0105】
また、車内の映像から所定の状況が検出されたことを駐車記録開始条件に用いてもよく、このようにすると、ユーザの操作がなくとも駐車記録モードに切り替えることができる。
【0106】
さらに、駐車記録開始条件を、車両100のアクセサリ電源110がOFF状態となったこととしてもよい。この場合も、ユーザの操作がなくとも駐車記録モードに切り替えることができる。
【0107】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を説明する。この実施形態では、ドライブレコーダ1のコントローラ30は、車両100において所定の衝撃の発生を検知した場合でも、それが車両100のドアが閉じられたことに基づく衝撃であるときには、駐車時用の録画としてのイベント録画をキャンセルする機能を有する。この実施形態は、例えば以下のように把握することもできる。ドライブレコーダ1のコントローラ30は、車両100において所定の衝撃の発生を検知した場合でも、車両100のドアが閉じられたことが検知されたタイミングと所定の衝撃を検知したタイミングとが所定時間内である場合は、駐車記録モードにおける駐車時用の録画を開始せずに待機する。以下、本実施形態のドライブレコーダ1の特徴的な構成及び動作を主に説明し、上述した第1実施形態と共通する構成及び動作については説明を省略又は簡略化する。
【0108】
本実施形態では、コントローラ300は、車両100のアクセサリ電源がOFF状態となった場合に、駐車記録モードに切り替えるとよいが、上述した第1実施形態で説明した他の条件が成立したときに切り替えてもよい。
【0109】
コントローラ300は、駐車記録モードの動作中において、加速度センサ42により所定の衝撃を検知したと判定した場合に、駐車記録開始条件が成立したと判定する。コントローラ300は、その検知したタイミングが、ドアが閉じられたことを検知したタイミングから、所定時間内かどうかを判定する。例えば、コントローラ300は、所定の衝撃を検知したタイミングが、ドアが閉じられたことを検知したタイミングから所定時間を経過する前かどうかを判定するとよい。所定の衝撃としては、上述した第1実施形態でイベントが発生したと判定するとしていた衝撃と同じ条件(第1条件の一例)とするとよい。コントローラ300は、所定時間内と判定した場合には、駐車時用の録画としてのイベント録画を開始せずに待機する。このように待機することは、この衝撃の検知をトリガとしたイベント録画をキャンセルすることとして把握することができる。又は、このように待機することは、駐車記録モードの動作は維持しているが、この衝撃をトリガとしてイベント録画を開始しないことをいうとよい。この場合において、コントローラ300は、待機している期間は、駐車記録モードの動作を停止して、他のモード(例えば、常時録画モード)で動作するようにしてもよい。ドアが閉じられたことが検知されたタイミングと車両において所定の衝撃の発生するタイミングとは同時又は近接した時間差になると考えられるから、所定時間はその時間差を考慮して決められているとよい。所定時間は、例えば、降車時において、ドアが閉じられたことが検知されるタイミングと、衝撃が検知されるタイミングとの関係を考慮して決められている構成とするとよい。
【0110】
このようにして、コントローラ300は、ドア閉めによるイベントトリガをキャンセルする機能を有する。これにより、車両100において所定の衝撃の発生を検知したことを示す駐車記録開始条件が成立した場合に、駐車時用の録画としてのイベント録画を開始する構成のもとであっても、ドア閉めによる衝撃をイベントの発生と判定して不要な録画が行われることを抑制することができる。
【0111】
ところで、ドライブレコーダは、事故等の所定の事象が発生した場合に、撮像した画像から事後的な検証を可能とするために、積極的に録画を行うべきという性質がある機器でもある。そのため、ドアが閉じられた場合であっても、それが例えば運転手が車外へ出たときなどの事故に遭遇したときのドア閉めであれば、ドライブレコーダは録画をすべきであって、安易に録画がキャンセルされるべきではない、ということができる。
【0112】
そこで、ドライブレコーダ1(コントローラ300)は、加速度センサ42により所定の衝撃を検知したタイミングが、ドアが閉じられたことを検知したタイミングから、所定時間内と判定した場合に、上述したようにイベント録画せずに待機するか、又は待機せずにイベント録画を開始するか、を設定可能に構成されると尚良い。例えば、ドライブレコーダ1は、所定のメニュー画面において、この待機をするか否かをユーザが設定できるように構成されるとよい。例えば、ドライブレコーダ1は、ドア閉めによるイベントトリガをキャンセルする機能のON/OFFを、ユーザが設定できるように構成されるとよい。これにより、ドライブレコーダ1は、ドア閉めによる衝撃を含む所定の衝撃を検知した場合は、イベント録画を開始するようにして、事故等の所定の事象が発生したときに録画されていない状況になるのを抑制するのか、又は、ドア閉めによる衝撃についてなるべく不要な録画が行われることを抑制するのかを、設定に従って制御することができる。
【0113】
このような、ON/OFF設定を可能にする構成に代えて又は加えて、ドライブレコーダ1(コントローラ300)は、加速度センサ42により所定の衝撃を検知したタイミングが、ドアが閉じられたことを検知したタイミングから所定時間内と判定した場合において、車両100の位置情報が所定の条件が成立したと判定したときには、上述したようにイベント録画せずに待機するようにしてもよい。コントローラ300は、車両100の位置情報に基づいて、当該位置情報が所定の条件が成立しないと判定した場合は、イベント録画を行うとよい。
【0114】
車両100の位置情報は、GPS受信機41により検出されるとよい。所定の条件については、例えば、ユーザの操作により設定できる構成としてもよいし、コントローラ300がユーザの操作なしに設定(いわゆる自動設定)してもよい。所定の条件は、例えば、所定の衝撃の発生に起因するイベント録画をする必要性の低い位置の位置情報の条件とするとく、特に、事故の発生する可能性が低い位置の位置情報の条件とするとよい。事故の発生する可能性が低い位置は、例えば、ユーザの自宅や職場の駐車場等の敷地内である等の、ユーザ又は信頼できる人物(例えば、家族や同僚)の目が届きやすい場所に属する位置とするとよい。例えば、このような敷地内であれば、事故が発生する可能性は低く、またアクセサリ電源のOFF後のドア閉め直後は、運転手がその場に居ると考えられる。このように、事故の発生する可能性が低い状況においては、不要な録画が行われるのを抑制することを優先させることができる。コントローラ300は、公道上等の事故が発生する可能性がある位置では、イベント録画をするとよい。また、所定の条件は、盗難や事件が発生する可能性が低い位置の位置情報とするとしてもよく、例えば、警備システムがしっかりとしている場所や、第三者の目が届きやすい場所等に属する位置とするとよい。
【0115】
また、コントローラ300は、所定の事象が発生したと判定した場合は、ここまでに説明した駐車時用の録画を待機する条件が成立したときであっても、駐車時用の録画としてのイベント録画を行うようにするとよい。そのような事象は、例えば録画をすべき状況であることを示す事象とするとよく、特に事故の可能性を判定するための事象とするとよい。コントローラ300は、例えば、フロントカメラ10とリアカメラ20で撮像された画像を画像認識することにより、人や、前方又は後方の車両の挙動を認識して、事故が発生した可能性があるかどうかを判定してもよい。所定の事象は、煽り運転や急ブレーキといった危険運転等の、それ以外の、録画をすべき状況であることを示す事象とするとよい。
【0116】
上述したような、車両100において所定の衝撃の発生を検知した場合でも、それが車両100のドアが閉じられたことに基づく衝撃であるときには、駐車時用の録画としてのイベント録画を開始しないことは、車両100のアクセサリ電源がOFFされたとき、又は駆動源(例えば、エンジン)がOFFされたときから、所定期間内に行われるようにし、それ以降は行われなくしてもよい。車両400からの人の降車は、車両100のアクセサリ電源がOFFされたとき、又は車両100の駆動源がOFFされたときからある程度近いうちに行われることも多いからである。所定期間は、上記所定時間の時間長よりも長い期間とするとよい。所定期間の起算点は、車両400が停車した時点又は停車したとみなした時点とする等、様々な設定方法が考えられる。
【0117】
なお、本実施形態で、ドアが閉じられたことを検知していたところは、更にドアが開けられたことが検知されてもよい。この場合、ドライブレコーダ1は、ドアが閉じられたことの検知結果とドアが開けられたことの検知結果とに基づいて処理を行うとよい。
【0118】
上述した各実施形態のドライブレコーダ1の録画処理プログラムは、上述のコントローラ30の録画機能、再生機能、検出機能、通知機能等をコンピュータに実現させるためのプログラムであり、上述の効果を奏することができる。
【0119】
以上で本発明の実施形態の説明を終えるが、上記実施形態の構成は適宜組み合わせてもよい。また、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。
【0120】
上述した実施形態では、駐車記録モードとして、タイムラプスモードと動体検知モードの2つの駐車時用の録画モードを有していたが、どちらか一つでもよいし、他の駐車時用の録画モードを加えてもよい。
【0121】
上記実施形態では、フロントカメラ10とリアカメラ20の2つの撮像部を車両100に設けているが、撮像部の数や設置箇所はこれに限られるものではない。例えば、車両側方に指向する撮像部や車内を撮像する撮像部が設置されていてもよい。
【0122】
また上記実施形態ではメモリカード45は、SDカード、miniSDカード、microSDカード等の記録媒体を例に説明したが、例えばUSBメモリ、SSD、小型のハードディスク、等の他の記録媒体であってもよい。また、メモリカードリーダ44も記録媒体に応じた書込み、読み取り装置に変更可能である。
【0123】
なお、本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求の範囲とする意思を有する。
【0124】
本願発明は上述した実施の形態に記載の構成に限定されない。上述した各実施の形態や変形例の構成要素は任意に選択して組み合わせて構成するとよい。また各実施の形態や変形例の任意の構成要素と、発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素又は発明を解決するための手段に記載の任意の構成要素を具体化した構成要素とは任意に組み合わせて構成するとよい。これらについても本願の補正又は分割出願等において権利取得する意思を有する。「~の場合」「~のとき」という記載があったとしてもその場合やそのときに限られる構成として記載はしているものではない。これらの場合やときでない構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。また順番を伴った記載になっている箇所もこの順番に限らない。一部の箇所を削除したり、順番を入れ替えた構成についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。
【0125】
また、意匠登録出願への変更により、全体意匠又は部分意匠について権利取得する意思を有する。図面は本装置の全体を実線で描画しているが、全体意匠のみならず当該装置の一部の部分に対して請求する部分意匠も包含した図面である。例えば当該装置の一部の部材を部分意匠とすることはもちろんのこと、部材と関係なく当該装置の一部の部分を部分意匠として包含した図面である。当該装置の一部の部分としては、装置の一部の部材としても良いし、その部材の部分としても良い。全体意匠はもちろんのこと、図面の実線部分のうち任意の部分を破線部分とした部分意匠を、権利化する意思を有する。また、装置の筐体の内部のモジュール・部材・部品等についても、図面に表示されているものは、いずれも独立して取引の対象となるものであって、同様に、意匠登録出願への変更を行って権利化を行う意思を有するものである。
【符号の説明】
【0126】
1 ドライブレコーダ(システム)
10 フロントカメラ
13 操作部
13a~13f 操作ボタン
15 接続端子
16 電源ユニット
50 第1ケーブル(通信線)
51 コンバータ
52 第2ケーブル(通信線)
53 バッテリユニット
53a 出力端子
53c 通信制御部
54 第3ケーブル
100 車両
110 アクセサリ電源