IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三井金属鉱業株式会社の特許一覧

特開2022-58356樹脂組成物、樹脂付銅箔、誘電体層、銅張積層板、キャパシタ素子及びキャパシタ内蔵プリント配線板
<>
  • 特開-樹脂組成物、樹脂付銅箔、誘電体層、銅張積層板、キャパシタ素子及びキャパシタ内蔵プリント配線板 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022058356
(43)【公開日】2022-04-12
(54)【発明の名称】樹脂組成物、樹脂付銅箔、誘電体層、銅張積層板、キャパシタ素子及びキャパシタ内蔵プリント配線板
(51)【国際特許分類】
   C08L 63/00 20060101AFI20220405BHJP
   C08L 79/08 20060101ALI20220405BHJP
   C08K 5/17 20060101ALI20220405BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20220405BHJP
   C08G 59/58 20060101ALI20220405BHJP
   H01G 4/30 20060101ALI20220405BHJP
   H05K 1/16 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
C08L63/00 Z
C08L79/08 B
C08K5/17
C08K3/22
C08G59/58
H01G4/30 515
H01G4/30 201L
H01G4/30 201K
H01G4/30 512
H05K1/16 D
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021202352
(22)【出願日】2021-12-14
(62)【分割の表示】P 2019569002の分割
【原出願日】2019-01-18
(31)【優先権主張番号】P 2018016464
(32)【優先日】2018-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006183
【氏名又は名称】三井金属鉱業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113365
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 雅晴
(74)【代理人】
【識別番号】100209336
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 悠
(74)【代理人】
【識別番号】100218800
【弁理士】
【氏名又は名称】河内 亮
(72)【発明者】
【氏名】米田 祥浩
(72)【発明者】
【氏名】細井 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】福田 堅志郎
(72)【発明者】
【氏名】松島 敏文
(57)【要約】
【課題】キャパシタの誘電体層として用いられた場合に、優れた誘電特性及び回路密着性を確保しながら、高温下におけるキャパシタンス低下ないし誘電率低下を抑制することが可能な樹脂組成物が提供される。
【解決手段】この樹脂組成物は、エポキシ樹脂、ジアミン化合物、及びポリイミド樹脂を含む樹脂成分と、樹脂組成物の固形分100重量部に対して60重量部以上85重量部以下の、Ba、Ti、Sr、Pb、Zr、La、Ta及びBiからなる群から選択される少なくとも2種を含む複合金属酸化物である誘電体フィラーとを含む。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂組成物であって、
エポキシ樹脂、ジアミン化合物、及びポリイミド樹脂を含む樹脂成分と、
前記樹脂組成物の固形分100重量部に対して60重量部以上85重量部以下の、Ba、Ti、Sr、Pb、Zr、La、Ta及びBiからなる群から選択される少なくとも2種を含む複合金属酸化物である誘電体フィラーと、
を含む、樹脂組成物。
【請求項2】
前記複合金属酸化物が、BaTiO、SrTiO、Pb(Zr,Ti)O、PbLaTiO、PbLaZrO、及びSrBiTaからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記複合金属酸化物が、BaTiOである、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記樹脂組成物の固形分100重量部に対して、前記誘電体フィラーを70重量部以上85重量部以下含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記ジアミン化合物の含有量が、前記エポキシ樹脂のエポキシ基数を1とした場合に、前記ジアミン化合物の活性水素基数が0.5以上1.5以下となる量である、請求項1~4のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記ジアミン化合物の含有量が、前記エポキシ樹脂のエポキシ基数を1とした場合に、前記ジアミン化合物の活性水素基数が0.8以上1.2以下となる量である、請求項1~5のいずれかに一項に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
前記樹脂成分100重量部に対して、前記ポリイミド樹脂を10重量部以上60重量部以下含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
前記樹脂成分100重量部に対して、前記ポリイミド樹脂を20重量部以上40重量部以下含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
銅箔と、前記銅箔の少なくとも一方の面に設けられた請求項1~8のいずれか一項に記載の樹脂組成物とを含む、樹脂付銅箔。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか一項に記載の樹脂組成物が硬化された層である、誘電体層。
【請求項11】
前記誘電体層の厚さが、0.2μm以上30μm以下である、請求項10に記載の誘電体層。
【請求項12】
前記誘電体層の厚さが、1μm以上10μm以下である、請求項10に記載の誘電体層。
【請求項13】
第一銅箔と、請求項10~12のいずれか一項に記載の誘電体層と、第二銅箔とを順に備えた、銅張積層板。
【請求項14】
請求項10~12のいずれか一項に記載の誘電体層を有する、キャパシタ素子。
【請求項15】
請求項10~12のいずれか一項に記載の誘電体層を有する、キャパシタ内蔵プリント配線板。
【請求項16】
エポキシ樹脂、ジアミン化合物、及びポリイミド樹脂を含む樹脂成分と、樹脂組成物の固形分100重量部に対して60重量部以上85重量部以下の、Ba、Ti、Sr、Pb、Zr、La、Ta及びBiからなる群から選択される少なくとも2種を含む複合金属酸化物である誘電体フィラーとを含む樹脂組成物を、銅箔に塗工し乾燥させることを含む、樹脂付銅箔の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物、樹脂付銅箔、誘電体層、銅張積層板、キャパシタ素子及びキャパシタ内蔵プリント配線板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
銅張積層板やプリント配線板の製造に用いられる樹脂組成物として、キャパシタ内蔵プリント配線板用樹脂組成物が知られている。かかる樹脂組成物は硬化されることでキャパシタにおける誘電体層として機能するものである。例えば、特許文献1(特許第4148501号公報)には、(樹脂成分100重量部として)エポキシ樹脂を20~80重量部及び芳香族ポリアミド樹脂を20~80重量部を含み、(樹脂組成物100wt%として)誘電体フィラー75~85wt%を含む、キャパシタ内蔵プリント配線板用樹脂組成物が記載されている。また、特許文献2(国際公開第2009/008471号)には、(樹脂成分100重量部として)エポキシ樹脂を25~60重量部、活性エステル樹脂を28~60重量部、ポリビニルアセタール樹脂を1~20重量部を含み、(樹脂組成物100wt%として)誘電体フィラーを65~85wt%含む、キャパシタ内蔵プリント配線板製造用樹脂組成物が記載されている。
【0003】
また、特許文献3(特開2007-231125号公報)には、GHz帯域での低誘電率や低誘電正接が要求されるフレキシブルプリント配線板等の製造に適した熱硬化性樹脂組成物として、ポリイミド樹脂成分、エポキシ樹脂成分、エポキシ硬化剤成分、及び充填材成分を含むものが開示されており、充填材としてシリカが好ましいことが記載されている。一方、特許文献4(特開2010-539285号公報)には、エポキシ含有ポリマー等を含むポリマー成分と、強誘電性セラミック粒子との混合物を含む、コンデンサ等に用いる複合材料が開示されており、強誘電性セラミック粒子としてチタン酸バリウム等を用いることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4148501号公報
【特許文献2】国際公開第2009/008471号
【特許文献3】特開2007-231125号公報
【特許文献4】特開2010-539285号公報
【発明の概要】
【0005】
ところで、プリント配線板は携帯用電子機器等の電子通信機器に広く用いられている。特に、近年の携帯用電子通信機器等の軽薄短小化及び高機能化に伴い、プリント配線板におけるノイズの低減等が課題となっている。ノイズ低減を可能にするにはキャパシタが重要となるが、高性能化を実現するために、このようなキャパシタにはプリント配線板の内層に組み込まれる程の小型化及び薄型化が望まれる。それに伴い、より過酷な環境である高温下でも所望のキャパシタンスを保持できる容量安定性が望まれる。
【0006】
したがって、携帯用電子機器等の電子通信機器の高性能化にあたり、プリント配線板内蔵キャパシタの高温下におけるキャパシタンス低下ないし誘電率低下を抑制することが望まれる。そのためには、キャパシタの誘電体層を構成する樹脂層の更なる改善が求められる。一方で、樹脂層と回路の高い密着性(すなわち回路密着性)も望まれる。
【0007】
本発明者らは、今般、エポキシ樹脂、ジアミン化合物及びポリイミド樹脂を所定の誘電体フィラーと共に所定の配合比で含む樹脂組成物を、キャパシタの誘電体層として用いることで、優れた誘電特性及び回路密着性を確保しながら、高温下におけるキャパシタンス低下ないし誘電率低下を抑制できるとの知見を得た。
【0008】
したがって、本発明の目的は、キャパシタの誘電体層として用いられた場合に、優れた誘電特性及び回路密着性を確保しながら、高温下におけるキャパシタンス低下ないし誘電率低下を抑制することが可能な樹脂組成物を提供することにある。
【0009】
本発明の一態様によれば、樹脂組成物であって、
エポキシ樹脂、ジアミン化合物、及びポリイミド樹脂を含む樹脂成分と、
前記樹脂組成物の固形分100重量部に対して60重量部以上85重量部以下の、Ba、Ti、Sr、Pb、Zr、La、Ta及びBiからなる群から選択される少なくとも2種を含む複合金属酸化物である誘電体フィラーと、
を含む、樹脂組成物が提供される。
【0010】
本発明の他の一態様によれば、銅箔と、前記銅箔の少なくとも一方の面に設けられた前記樹脂組成物とを含む、樹脂付銅箔が提供される。
【0011】
本発明の他の一態様によれば、前記樹脂組成物が硬化された層である、誘電体層が提供される。
【0012】
本発明の他の一態様によれば、第一銅箔と、前記誘電体層と、第二銅箔とを順に備えた、銅張積層板が提供される。
【0013】
本発明の他の一態様によれば、前記誘電体層を有する、キャパシタ素子が提供される。
【0014】
本発明の他の一態様によれば、前記誘電体層を有する、キャパシタ内蔵プリント配線板が提供される。
【0015】
本発明の他の一態様によれば、エポキシ樹脂、ジアミン化合物、及びポリイミド樹脂を含む樹脂成分と、樹脂組成物の固形分100重量部に対して60重量部以上85重量部以下の、Ba、Ti、Sr、Pb、Zr、La、Ta及びBiからなる群から選択される少なくとも2種を含む複合金属酸化物である誘電体フィラーとを含む樹脂組成物を、銅箔に塗工し乾燥させることを含む、樹脂付銅箔の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】例1~25における、樹脂付銅箔、銅張積層板及び評価用回路の作製工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、樹脂成分と、誘電体フィラーとを含む。この樹脂成分は、エポキシ樹脂、ジアミン化合物、及びポリイミド樹脂を含む。一方、誘電体フィラーはBa、Ti、Sr、Pb、Zr、La、Ta及びBiからなる群から選択される少なくとも2種を含む複合金属酸化物である。そして、誘電体フィラーの配合比は、樹脂組成物の固形分100重量部に対して60重量部以上85重量部以下である。このように、エポキシ樹脂、ジアミン化合物、ポリイミド樹脂及び誘電体フィラーを所定の誘電体フィラーと共に所定の配合比で含む樹脂組成物を、キャパシタの誘電体層として用いることで、優れた誘電特性及び回路密着性を確保しながら、高温下におけるキャパシタンス低下ないし誘電率低下を抑制することができる。すなわち、本発明の樹脂組成物を含む誘電体層は本来的に静電容量が高く、高温下においてもその高い静電容量が低下しにくい。そうでありながら、本発明の樹脂組成物を含む誘電体層は回路密着性にも優れており、キャパシタにおける回路剥がれが起こりにくい。
【0018】
エポキシ樹脂は、分子内に2個以上のエポキシ基を有し、電気及び電子材料用途に使用可能なものであれば特に限定されない。樹脂組成物におけるエポキシ樹脂の好ましい含有量は、樹脂成分100重量部に対して、15重量部以上80重量部以下であり、より好ましくは40重量部以上65重量部以下、さらに好ましくは45重量部以上60重量部以下である。エポキシ樹脂の例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、及びそれらの任意の組合せが挙げられる。硬化物の耐熱性を保持する点から芳香族エポキシ樹脂又は多官能エポキシ樹脂が好ましく、より好ましくはフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂又はビフェニルノボラック型エポキシ樹脂である。
【0019】
ジアミン化合物は、エポキシ樹脂の硬化剤として機能するものであり、かつ、分子内に2個のアミノ基を有し、電気及び電子材料用途に使用可能なものであれば特に限定されない。本発明の樹脂組成物におけるジアミン化合物の好ましい含有量は、エポキシ樹脂のエポキシ基数を1とした場合に、ジアミン化合物の活性水素基数が0.5以上1.5以下となる量であり、より好ましくはジアミン化合物の活性水素基数が0.8以上1.2以下となる量であり、さらに好ましくはジアミン化合物の活性水素基数が0.9以上1.1以下となる量である。ここで、「エポキシ樹脂のエポキシ基数」とは、樹脂成分中に存在するエポキシ樹脂の固形分質量をエポキシ当量で除した値である。また、「ジアミン化合物の活性水素基数」とは、樹脂成分中に存在するジアミン化合物の固形分質量を活性水素基当量で除した値である。ジアミン化合物の例としては、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン及びそれらの任意の組合せが挙げられ、好ましくは4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、ビス[4-(3-アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパンである。
【0020】
また、樹脂の反応を促進させるため、樹脂組成物に硬化促進剤を添加することができる。硬化促進剤の好ましい例として、イミダゾール系及びアミン系硬化促進剤が挙げられる。硬化促進剤の含有量は、樹脂組成物の保存安定性や硬化の効率化の観点から、樹脂組成物中の不揮発成分100重量部に対し、0.01~3重量部が好ましく、より好ましくは0.1~2重量部である。
【0021】
イミダゾール系硬化促進剤は、エポキシ樹脂との硬化反応後にイオンとして遊離することなくエポキシ樹脂の一部として分子構造に取り込まれるため、樹脂層の誘電特性や絶縁信頼性を優れたものとすることができる。イミダゾール系硬化促進剤の含有量は、樹脂層の組成等の諸条件を勘案しながら望ましい硬化をもたらす量を適宜決定すればよく、特に限定されない。イミダゾール硬化促進剤の例としては、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール、1-ドデシル-2-メチル-3-ベンジルイミダゾリウムクロライド、2-メチルイミダゾリン、2-フェニルイミダゾリン、及びそれらの任意の組合せが挙げられる。イミダゾール系硬化促進剤の好ましい例としては、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾールが挙げられ、この中でも、樹脂層の半硬化(Bステージ)状態での化学的安定性の点からフェニル基を有するイミダゾール系硬化促進剤である2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾールがより好ましい例として挙げられる。この中で特に好ましくは2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾールが挙げられる。
【0022】
アミン系硬化促進剤の例としては、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのトリアルキルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセン、及びそれらの任意の組合せが挙げられる。
【0023】
ポリイミド樹脂は、誘電正接の低減に寄与する。樹脂組成物におけるポリイミド樹脂の好ましい含有量は、樹脂成分100重量部に対して、10重量部以上60重量部以下であり、より好ましくは20重量部以上40重量部以下、さらに好ましくは30重量部以上40重量部以下である。このような含有量であると、良好な耐熱性を確保しながら、優れた誘電特性を発現することができる。ポリイミド樹脂は所望の誘電特性、密着性及び耐熱性が得られるかぎり特に限定されないが、エポキシ樹脂と良好に相溶されたワニス及び塗膜を形成できる点から、有機溶剤に可溶なポリイミド樹脂(以下、有機溶剤可溶性ポリイミドという)が好ましい。ポリイミド樹脂が可溶とされるこの有機溶剤は溶解度パラメータ(SP値)が7.0以上17.0以下のものが好ましく、そのような有機溶剤の好ましい例としては、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、N-メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチレングリコール、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールアセテート、及びそれらの任意の組合せが挙げられる。特に、分子末端にエポキシ基と反応可能な官能基を少なくとも一つ有するものを用いるものが硬化後の耐熱性を保持する点で好ましい。具体的には、ポリイミド樹脂は、その末端ないし側鎖の官能基として、カルボキシル基、スルホン酸基、チオール基、及びフェノール性水酸基からなる群より選択される少なくとも1種の官能基を有するのが好ましい。このような官能基を有することで、ポリイミド樹脂の耐熱性を保持しつつ、有機溶剤可溶性及びエポキシ樹脂との相溶性が向上する。これらの中でも、末端又は側鎖の官能基としてカルボキシル基を有するポリイミド樹脂を用いるのがより好ましい。
【0024】
好ましい有機溶剤可溶性ポリイミドとしては、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物をイミド化反応させたものが挙げられる。テトラカルボン酸二無水物の例としては、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェニル)フェニル]プロパン二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,1-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6-ピリジンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物等、あるいはこれらの芳香族環にアルキル基やハロゲン原子の置換基を持つ化合物、及びそれらの任意の組合せ等が挙げられる。これらの中でも、樹脂組成物の耐熱性を向上させる点で、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェニル)フェニル]プロパン二無水物、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、又は2,2’,3,3’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を主とするポリイミド樹脂が好ましい。一方、ジアミン化合物の例としては、上述したとおりのものが挙げられる。
【0025】
特に、ポリイミド樹脂単体として、周波数1GHzにおいて、誘電率が2.0以上5.0以下、誘電正接が0.0005以上0.010以下の範囲を取り得るポリイミド樹脂が、本発明の樹脂組成物に供するものとして好ましく、より好ましくは誘電率が2.0以上4.0以下、誘電正接が0.001以上0.005以下の範囲を取り得るポリイミド樹脂である。
【0026】
誘電体フィラーは、誘電体層としての樹脂組成物に所望の高い静電容量をもたらす成分であり、Ba、Ti、Sr、Pb、Zr、La、Ta及びBiからなる群から選択される少なくとも2種を含む複合金属酸化物である。複合金属酸化物の好ましい例としては、静電容量が高く、かつ本発明の樹脂組成物に混入が可能なBaTiO、SrTiO、Pb(Zr,Ti)O、PbLaTiO、PbLaZrO、SrBiTa、及びそれらの任意の組合せの粒子が挙げられ、より好ましくはBaTiOである。なお、Pb(Zr,Ti)Oは、Pb(ZrTi1-x)O(式中0≦x≦1、典型的には0<x<1である)を意味する。樹脂組成物における誘電体フィラーの含有量は、樹脂組成物の固形分100重量部に対して、60重量部以上85重量部以下であり、好ましくは70重量部以上85重量部以下、より好ましくは75重量部以上85重量部以下である。また、誘電体フィラーの粒径は特に限定されないが、樹脂組成物と銅箔との密着性を維持する観点から、レーザー回折散乱式粒度分布測定により測定される平均粒径D50が0.01μm以上2.0μm以下が好ましく、より好ましくは0.05μm以上1.0μm以下、さらに好ましくは0.1μm以上0.5μm以下である。
【0027】
所望により、樹脂組成物はフィラー分散剤をさらに含んでいてもよい。フィラー分散剤をさらに含むことで、樹脂ワニスと誘電体フィラーを混練する際、誘電体フィラーの分散性を向上させることができる。フィラー分散剤は、使用可能な公知のものが適宜使用可能であり、特に限定されない。好ましいフィラー分散剤の例としては、イオン系分散剤である、ホスホン酸型、カチオン型、カルボン酸型、アニオン型分散剤の他、ノニオン系分散剤である、エーテル型、エステル型、ソルビタンエスエル型、ジエステル型、モノグリセライド型、エチレンオキシド付加型、エチレンジアミンベース型、フェノール型分散剤等が挙げられる。その他、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミネートカップリング剤等のカップリング剤が挙げられる。
【0028】
樹脂付銅箔
本発明の樹脂組成物は樹脂付銅箔の樹脂として用いられるのが好ましい。予め樹脂付銅箔の形態とすることで、樹脂層ないし誘電体層を別途形成することなく、キャパシタ素子やキャパシタ内蔵プリント配線板の製造を効率良く行うことができる。すなわち、本発明の好ましい態様によれば、銅箔と、銅箔の少なくとも一方の面に設けられた樹脂組成物とを含む、樹脂付銅箔が提供される。典型的には、樹脂組成物は樹脂層の形態であって、樹脂組成物を、銅箔に乾燥後の樹脂層の厚さが所定の値となるようにグラビアコート方式を用いて塗工し乾燥させ、樹脂付銅箔を得る。この塗工の方式については任意であるが、グラビアコート方式の他、ダイコート方式、ナイフコート方式等を採用することができる。その他、ドクターブレードやバーコータ等を使用して塗工することも可能である。樹脂付銅箔における樹脂組成物は、2枚の樹脂付銅箔を樹脂組成物が互いに向かい合うように積層して誘電体層を形成させる観点から、半硬化されているのが好ましい。
【0029】
樹脂層の厚さは、誘電体層としてキャパシタに組み込まれた場合に所望の静電容量を確保できる限り特に限定されないが、好ましくは0.1μm以上15μm以下であり、より好ましくは0.2μm以上10μm以下、特に好ましくは0.5μm以上5μm以下、最も好ましくは1μm以上3μm以下ある。これらの範囲内の厚さであると、高い静電容量を実現しやすい、樹脂組成物の塗布により樹脂層の形成がしやすい、銅箔との間で十分な密着性を確保しやすいといった利点がある。
【0030】
銅箔は、電解製箔又は圧延製箔されたままの金属箔(いわゆる生箔)であってもよいし、少なくともいずれか一方の面に表面処理が施された表面処理箔の形態であってもよい。表面処理は、金属箔の表面において何らかの性質(例えば防錆性、耐湿性、耐薬品性、耐酸性、耐熱性、及び基板との密着性)を向上ないし付与するために行われる各種の表面処理でありうる。表面処理は金属箔の少なくとも片面に行われてもよいし、金属箔の両面に行われてもよい。銅箔に対して行われる表面処理の例としては、防錆処理、シラン処理、粗化処理、バリア形成処理等が挙げられる。
【0031】
銅箔の樹脂層側の表面における、JIS B0601-2001に準拠して測定される十点平均粗さRzjisが2.0μm以下であるのが好ましく、より好ましくは1.5μm以下、さらに好ましくは1.0μm以下、特に好ましくは0.5μm以下である。このような範囲内であると、樹脂層の厚さをより薄くすることができる。銅箔の樹脂層側の表面における十点平均粗さRzjisの下限値は特に限定されないが、樹脂層との密着性向上の観点からRzjisは0.005μm以上が好ましく、より好ましくは0.01μm以上、さらに好ましくは0.05μm以上である。
【0032】
銅箔の厚さは特に限定されないが、0.1μm以上100μm以下であるのが好ましく、より好ましくは0.5μm以上70μm以下であり、さらに好ましくは2μm以上70μm以下、特に好ましくは10μm以上70μm以下、最も好ましくは10μm以上35μm以下である。これらの範囲内の厚さであると、プリント配線板の配線形成の一般的なパターン形成方法である、MSAP(モディファイド・セミアディティブ)法、SAP(セミアディティブ)法、サブトラクティブ法等の工法が採用可能である。もっとも、銅箔の厚さが例えば10μm以下となる場合などは、本発明の樹脂付銅箔は、ハンドリング性向上のために剥離層及びキャリアを備えたキャリア付銅箔の銅箔表面に樹脂層を形成したものであってもよい。
【0033】
誘電体層
本発明の樹脂組成物は硬化されて誘電体層とされるのが好ましい。すなわち、本発明の好ましい態様によれば、本発明の樹脂組成物が硬化された層である、誘電体層が提供される。樹脂組成物の硬化は公知の手法に基づき行えばよいが、熱間真空プレスにより行うのが好ましい。誘電体層の厚さは、所望の静電容量を確保できる限り特に限定されないが、好ましくは0.2μm以上30μm以下であり、より好ましくは0.5μm以上20μm以下、特に好ましくは1μm以上10μm以下、最も好ましくは2μm以上6μm以下である。これらの範囲内の厚さであると、高い静電容量を実現しやすい、樹脂組成物の塗布により樹脂層の形成がしやすい、銅箔との間で十分な密着性を確保しやすいといった利点がある。
【0034】
銅張積層板
本発明の樹脂組成物ないしそれを含む誘電体層は銅張積層板に適用されるのが好ましい。すなわち、本発明の好ましい態様によれば、第一銅箔と、上述した誘電体層と、第二銅箔とを順に備えた、銅張積層板が提供される。銅張積層板の形態とすることで、本発明の樹脂組成物を誘電体層として含むキャパシタ素子やキャパシタ内蔵プリント配線板を望ましく作製することができる。銅張積層板の作製方法は特に限定されないが、例えば、2枚の上述した樹脂付銅箔を樹脂層が互いに向かい合うように積層して高温で真空プレスすることにより銅張積層板を製造することができる。
【0035】
キャパシタ素子及びキャパシタ内蔵プリント配線板
本発明の樹脂組成物ないしそれを含む誘電体層はキャパシタ素子に組み込まれるのが好ましい。すなわち、本発明の好ましい態様によれば、上述した誘電体層を有する、キャパシタ素子が提供される。キャパシタ素子の構成は特に限定されず、公知の構成が採用可能である。特に好ましい形態は、キャパシタないしその誘電体層がプリント配線板の内層部分として組み込まれた、キャパシタ内蔵プリント配線板である。すなわち、本発明の特に好ましい態様によれば、上述した誘電体層を有する、キャパシタ内蔵プリント配線板が提供される。特に、本発明の樹脂付銅箔を用いることで、キャパシタ素子やキャパシタ内蔵プリント配線板を公知の手法に基づき効率良く製造することができる。
【実施例0036】
本発明を以下の例によってさらに具体的に説明する。
【0037】
例1~25
(1)樹脂ワニスの調製
まず、樹脂ワニス用原料成分として、以下に示される樹脂成分、イミダゾール系硬化促進剤、誘電体フィラー及び分散剤を用意した。
‐ エポキシ樹脂:ビフェニル型エポキシ樹脂、日本化薬株式会社製、NC-3000H(ビフェニルアラルキル型、エポキシ当量288g/Eq)
‐ ジアミン化合物:和歌山精化工業株式会社製、BAPP(2,2-ビス[4-(4-アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、活性水素基当量102g/Eq)
‐ 活性エステル樹脂:DIC株式会社製、HPC-8000-65T(活性エステル当量223g/Eq)
‐ フェノール樹脂:明和化成株式会社製、MEH-7500(水酸基当量95g/Eq)
‐ 芳香族ポリアミド樹脂:日本化薬株式会社製、BPAM-155(フェノール性水酸基含有ポリブタジエン変性芳香族ポリアミド樹脂)
‐ ポリイミド樹脂:荒川化学工業株式会社製、PIAD-301(末端官能基:カルボキシル基、溶媒:シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサン及びエチレングルコールジメチルエーテルの混合液、誘電率(1GHz):2.70、誘電正接(1GHz):0.003)
‐ ブチラール樹脂:積水化学工業株式会社製、KS-5Z
‐ イミダゾール硬化促進剤:四国化成工業株式会社製、2P4MHZ、(樹脂成分100wt%に対して)添加量1.0wt%
‐ 誘電体フィラー:BaTiO、日本化学工業株式会社製、AKBT-S レーザー回折散乱式粒度分布測定により測定される平均粒径D50=0.3μm
‐ 分散剤:チタネート系カップリング剤、味の素ファインテクノ株式会社製、KR-44
【0038】
表1~3に示される配合比(重量比)で上記樹脂ワニス用原料成分を秤量した。その後、シクロペンタノン溶剤を秤量し、樹脂ワニス用原料成分及びシクロペンタノンをフラスコに投入し、60℃で攪拌した。樹脂ワニスが透明であることを確認した後、樹脂ワニスを回収した。
【0039】
(2)フィラーとの混練
シクロペンタノン溶剤、誘電体フィラー及び分散剤をそれぞれ秤量した。秤量した溶剤、誘電体フィラー及び分散剤を分散機でスラリー化した。このスラリー化が確認できた後、樹脂ワニスを秤量し、分散機で誘電体フィラー含有スラリーとともに混練して、樹脂組成物を得た。
【0040】
(3)樹脂塗工
図1に示されるように、得られた樹脂組成物4を、銅箔2(三井金属鉱業株式会社製、厚さ18μm、表面粗さRzjis=0.5μm)に乾燥後の樹脂層の厚さが1.5μmとなるようにバーコーターを用いて塗工し、その後160℃に加熱したオーブンにて3分間乾燥させ、樹脂を半硬化状態とした。こうして樹脂付銅箔6を得た。
【0041】
(4)プレス
図1に示されるように、2枚の樹脂付銅箔6を樹脂組成物4が互いに向かい合うように積層し、圧力40kgf/cm、200℃で90分間の真空プレスを行い、樹脂組成物4を硬化状態とした。こうして硬化された樹脂組成物4を誘電体層として含み、誘電体層の厚さが3.0μmの銅張積層板8を得た。
【0042】
(5)回路形成及び評価
得られた銅張積層板8の片面にエッチングを施して各種評価用の回路10を形成し、以下の各種評価を行った。
【0043】
<評価1:剥離強度>
銅張積層板8の片面にエッチングを施して10mm幅の直線状の回路10を作製した後、オートグラフにて引き剥がし速度50mm/分で回路10を引き剥がし、その剥離強度を測定した。この測定はIPC-TM-650 2.4.8に準拠して行った。測定された剥離強度を以下の基準に従い評価した。結果は表1~3に示されるとおりであった。
‐評価A:0.6kgf/cm以上(良)
‐評価B:0.4kgf/cm以上でかつ0.6kgf/cm未満(可)
‐評価C:0.4kgf/cm未満(不可)
【0044】
<評価2:静電容量の測定>
銅張積層板8の片面にエッチングを施して直径0.5インチ(12.6mm)の円形の回路10を作製した後、LCRメーター(日置電機株式会社製、LCRハイテスタ3532-50)にて周波数1kHzにおける静電容量を測定した。この測定はIPC-TM-650 2.5.2に準拠して行った。結果は表1~3に示されるとおりであった。
‐評価A:40nF/in以上(良)
‐評価B:20nF/in以上でかつ40nF/in未満(可)
‐評価C:20nF/in未満(不可)
【0045】
<評価3:熱処理後の静電容量の低下率>
評価2が終了したサンプルを230℃のオーブンに110分間投入した後、静電容量を再度測定し、熱処理前後での静電容量の低下率を算出した。さらに、同様の熱処理を繰り返し、熱処理3回での静電容量の低下率を算出し、静電容量低下率を以下の基準に従い評価した。結果は表1~3に示されるとおりであった。
‐評価A:2%未満(良)
‐評価B:2%以上でかつ5%未満(可)
‐評価C:5%以上(不可)
【0046】
<評価4:誘電正接の測定>
銅張積層板8の片面にエッチングを施して直径0.5インチ(12.6mm)の円形の回路10を作製した後、LCRメーター(日置電機株式会社製、LCRハイテスタ3532-50)にて周波数1kHzにおける誘電正接を測定した。この測定はIPC-TM-650 2.5.2に準拠して行った。結果は表1~3に示されるとおりであった。
‐評価A:0.010未満(良)
‐評価B:0.010以上でかつ0.020未満(可)
‐評価C:0.020以上(不可)
【0047】
<総合評価>
評価1~4の評価結果を以下の基準に当てはめることにより、総合評価を決定した。結果は表1~3に示されるとおりであった。
‐評価A:全ての評価においてA判定となるもの(良)
‐評価B:C判定となるものはないが、一方で、B判定となるものが少なくとも1つあるもの(可)
‐評価C:C判定が少なくとも1つあるもの(不可)
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
図1