(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022058368
(43)【公開日】2022-04-12
(54)【発明の名称】排気ガス処理システム
(51)【国際特許分類】
B01D 53/50 20060101AFI20220405BHJP
B01D 53/78 20060101ALI20220405BHJP
B01D 53/14 20060101ALI20220405BHJP
B01D 53/18 20060101ALI20220405BHJP
B01D 53/92 20060101ALI20220405BHJP
F01N 3/04 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
B01D53/50 270
B01D53/50 230
B01D53/78 ZAB
B01D53/14 210
B01D53/18 150
B01D53/92 215
B01D53/92 331
F01N3/04 A
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021204807
(22)【出願日】2021-12-17
(62)【分割の表示】P 2019572654の分割
【原出願日】2018-08-20
(31)【優先権主張番号】10-2017-0107083
(32)【優先日】2017-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】514090153
【氏名又は名称】パンアジア カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】特許業務法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー,スー-タエ
(72)【発明者】
【氏名】リー,ス-キュ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヨン-ソプ
(72)【発明者】
【氏名】チン,ソン-ジェ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】排気ガス処理システムを提供する。
【解決手段】排気ガス処理システムは、燃焼により生成された排気ガスが流入し、排気ガスに洗浄液を噴射して排気ガス中の有害物質を除去する排気ガス処理装置1と、燃焼により排気ガスを生成する燃焼装置から前記排気ガス処理装置に排気ガスを移送させる移送配管2と、エアーの流動を起こさせる送風部7と、前記送風部によって流動の発生したエアーを、前記排気ガス処理装置の非稼動時に、前記排気ガス処理装置に供給して、前記排気ガス処理装置内に残っている排気ガスを排出させる換気部を有するエアー供給部8とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼により生成された排気ガスが流入し、前記排気ガスに洗浄液を噴射して前記排気ガス内の有害ガスを除去し、噴射された洗浄液を排出する排気ガス処理装置と、
前記排気ガス処理装置と連結されて前記排気ガス処理装置から排出される洗浄液内に気体状態で残っている有害ガスを除去し、気体状態の有害ガスが除去された洗浄液を排出する有害ガス除去手段と、
前記有害ガス除去手段内の洗浄液レベルを測定するレベル測定部と、
前記レベル測定部の測定結果に基づいて前記有害ガス除去手段の洗浄液排出流量を調節する流量調節部と、
前記有害ガス除去手段に移動するために前記排気ガス処理装置に留まっている洗浄液のレベルが予め設定された臨界レベルに到達したかを判定するレベル判断部と、
前記レベル判断部の判定結果、前記有害ガス除去手段に移動するために前記排気ガス処理装置に留まっている洗浄液のレベルが予め設定された臨界レベルに到達した場合、前記排気ガス処理装置内の洗浄液噴射を止める措置部を含み、
前記有害ガス除去手段は一端が前記排気ガス処理装置の洗浄液流出部と連通し、他端が前記流量調節部と連結された導管を含み、
前記レベル測定部は前記有害ガス除去手段内の圧力に基づいて前記有害ガス除去手段内の洗浄液レベルを測定し、
前記流量調節部は、前記有害ガス除去手段内の洗浄液レベルが予め設定された範囲内にあるように洗浄液排出流量をリアルタイム調節し、
前記排気ガス処理装置から排出される洗浄液を再循環させずに外部に排出させるオープンモードで運転されていることを特徴とする排気ガス処理システム。
【請求項2】
前記措置部は、排気ガス処理装置に留まっている洗浄液のレベルが予め設定された臨界レベルに到達した場合、危険警告を生成することを特徴とする請求項1に記載の排気ガス処理システム。
【請求項3】
前記レベル判断部は前記排気ガス処理装置の洗浄液流出部と連通して配置されたことを特徴とする、請求項1に記載の排気ガス処理システム。
【請求項4】
前記排気ガス処理システムは、船舶に設置されることを特徴とする、請求項1に記載の排気ガス処理システム。
【請求項5】
前記有害ガスは硫酸化物(SOx)であり、前記洗浄液は海水またはアルカリ添加剤が含まれた淡水であることを特徴とする、請求項4に記載の排気ガス処理システム。
【請求項6】
前記排気ガス処理装置は、
燃焼により生成された排気ガスから一次的に有害物質を減縮する前処理器と、前記前処理器により一次的に有害物質が減縮された排気ガスである前処理ガス内の有害物質を追加的に除去し、かつ前記有害ガス除去手段と連結された後処理器を含み、
前記前処理器は、
前記排気ガスが流入する排気ガス流入部と前記前処理器で一次的に有害物質が減縮された排気ガスである前処理ガスが流出する前処理ガス流出部を有し、内部に前記排気ガスの流動経路を形成する前処理器ハウジングと、前記流動経路上の排気ガスが曲線型に流動するように作ってくれる撹拌手段と、前記排気ガス流入部と前記撹拌手段との間に配置されて前記排気ガス流入部を通じて流入した排気ガスに洗浄液を噴射する第1前処理噴射手段と、前記撹拌手段と前記前処理ガス流出部との間に配置されて前記撹拌手段を経て前記流動経路を曲線型に進行する排気ガスに洗浄液を噴射する第2前処理噴射手段を含むことを特徴とする、請求項1乃至5のうち、いずれか一項に記載の排気ガス処理システム。
【請求項7】
前記後処理器は、
前記前処理ガスが流入する前処理ガス流入部と前記後処理器により有害物質が追加的に除去された後処理ガスが流出する後処理ガス流出部を有し、内部に前記前処理ガスの流動経路を形成する後処理器ハウジングと、
前記後処理器ハウジングの内壁を通じて上昇して前記後処理ガス流出部に流出する水滴を遮断する水滴遮断手段を含むことを特徴とする、請求項6に記載の排気ガス処理システム。
【請求項8】
前記後処理器は前記水滴遮断手段の下部に、
前記前処理ガスの流動経路上に配置されて前記前処理ガスに向けて洗浄液を噴射する第1後処理噴射手段と、
前記前処理ガスの流動経路上に配置されて前記前処理ガスに向けて洗浄液を噴射し、かつ前記第1後処理噴射手段と独立的に作動する第2後処理噴射手段をさらに含むことを特徴とする、請求項7に記載の排気ガス処理システム。
【請求項9】
前記後処理器は、
前記後処理器ハウジングの内部のうち、前記第1後処理噴射手段及び前記第2後処理噴射手段の下部に配置されたパッキングと、
前記パッキングを下部から支持し、かつ前記パッキングの下部で前記前処理ガスを拡散させてくれる拡散器能を有するパッキング支持手段をさらに含むことを特徴とする、請求項8に記載の排気ガス処理システム。
【請求項10】
前記後処理器は、前記前処理ガス流入部に隣接配置されて前記前処理ガス流入部を通じて流入する前処理ガスを拡散させてくれる拡散手段をさらに含むことを特徴とする、請求項9に記載の排気ガス処理システム。
【請求項11】
前記排気ガス処理装置はガス流入部の上に位置する拡散手段を含み、
前記拡散手段は上広下狭形状のガス拡散器を含んで前記ガス流入部を通じて流入した排気ガスがハウジング内に広く分散されて効率よい洗浄作業が可能であり、落下する洗浄液による圧力損失と拡散器自体による圧力損失が防止できることを特徴とする、請求項1乃至5のうち、いずれか一項に記載の排気ガス処理システム。
【請求項12】
前記排気ガス処理装置は前記拡散手段の上側に洗浄液噴射手段をさらに含み、
前記噴射手段は洗浄液を側方に噴射する側方噴射手段を含んで前記拡散手段で分散された排気ガスと洗浄液の接触面積を広げて作業効率を向上させながらもハウジングの高さを縮めて空間活用性を向上させることを特徴とする、請求項11に記載の排気ガス処理システム。
【請求項13】
前記排気ガス処理装置は前記噴射手段上側に分配手段をさらに含み、
前記分配手段は小さな貫通孔を多数個含むメッシュ構造で形成し、上部に行くほど拡径される上広下狭形状の傾斜部を含み、前記傾斜部の下側に大きな流入孔を形成することによって内壁面側に偏向された排気ガスの流れを均等に分配させて処理効率を向上させることを特徴とする、請求項12に記載の排気ガス処理システム。
【請求項14】
前記排気ガス処理装置は、前記分配手段の上側に第1噴射手段、第2噴射手段、及び第3噴射手段を有する多重噴射手段を含み、
前記第1噴射手段、第2噴射手段、及び第3噴射手段は上下に食違いに配置されて排気ガスと接触面積を拡大し、エンジンまたはボイラーの負荷によって選択的に稼働されて効率よい運用が可能であることを特徴とする、請求項13に記載の排気ガス処理システム。
【請求項15】
前記排気ガス処理装置は、前記多重噴射手段の上側に水滴分離手段を含み、
前記水滴分離手段はその中心に排気ガスが入る誘導部と前記誘導部の上側に形成された翼を1つ以上含んで前記誘導部から出た排気ガスの螺旋形流れが誘導されることを特徴とする、請求項14に記載の排気ガス処理システム。
【請求項16】
前記排気ガス処理装置は前記水滴分離手段により分離された水滴を捕集する水滴捕集手段を含んで有害物質の大気放出を防止することを特徴とする、請求項15に記載の排気ガス処理システム。
【請求項17】
前記排気ガス処理装置は前記水滴分離手段の上側にハウジングの傾斜面に乗って上昇する水滴を遮断する水滴遮断手段を含み、
前記水滴遮断手段は前記傾斜面の一側から下に延長形成される遮断壁を含んで内側壁に乗って上昇していた水滴が効果的に遮断できることを特徴とする、請求項16に記載の排気ガス処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ガス処理システムに関し、より詳しくは、燃焼により生成された排気ガスが流入し、排気ガスに洗浄液を噴射して排気ガス中の有害物質を除去する排気ガス処理装置と、燃焼により排気ガスを生成する燃焼装置から前記排気ガス処理装置に排気ガスを移送させる移送配管と、エアーの流動を起こさせる送風部と、前記排気ガス処理装置の非稼動時に、前記送風部によって流動の発生したエアーを前記排気ガス処理装置に供給して残っている排気ガスを排出させる換気部を有するエアー供給部とを備え、排気ガス処理装置の非稼動時に残存排気ガスを強制的に排出し、水分などによる腐食を防止することを特徴とする排気ガス処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現代の船舶は大部分が自体動力と暖房のためのエンジンとボイラーなどを備えている。前記エンジンとボイラーなどを駆動するためには燃料を燃さなければならないが、燃焼過程で発生する排気ガスには硫酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、PM(Particular Matter、粒子性物質)などの有害物質が含まれている。
【0003】
硫酸化物や窒素酸化物は人体の粘膜に作用して呼吸器疾患を起こすこともあり、世界保健機構(WHO)傘下国際癌研究所が1級発癌物質として指定した汚染物質でもある。また、前記SOxやNOxが空気中にそのまま放出されれば、大気中の水分(H2O)と反応して各々硫酸(H2SO4)、硝酸(NHO3)となって酸性雨の主な原因になることもある。
【0004】
PMはガス状の汚染物質に対比される小さな粒子の形態であって、排気ガスの中のPMがそのまま大気中に放出されれば可視距離を縮める視程障害を起こすか、または微細な粒子が肺や呼吸器を通じて人体に入って各種の疾患を発生させることがある。最近、国内で問題になる微細ホコリも前記PMによるものであって、大気汚染の主な原因と見ることができる。
【0005】
ここに、国際海事機構(International Maritime Organization、以下IMO)では排出規制地域(Emission Control Area、以下ECA)を設定して該当海域内で有害物質の排出量を制限している。特に、硫酸化物排出規制地域(Sox Emission Control Area、以下SECA)はNOxなどの他の有害物質も共に規制する前記ECAより広範囲に規定して強力な制裁を加えている。
【0006】
しかも2015年1月1日からは規制をより強化して前記SECAを過ぎる全ての船舶に対して環境汚染を起こす燃料内の硫黄(Sulphur)含有率を0.1%に制限した(IMO184(59))。前記SECAは2011年8月海洋汚染防止協約の修正を通じて既存のバルト海と北海地域から北米地域に拡大規定されており、2016年4月1日からは中国近海も指定されるなど、今後、続けて拡張されるはずなので、船舶の硫酸化物の管理はより重要になる展望である。
【0007】
また、ECAの以外の全世界海域でも排気ガス内のSOx含有量を3.5%以下に規正していたことを2016年10月28日付で開催されたIMO総会で0.5%に下げる法案が通過されて2020年から施行される予定にいるところ、地域を問わず硫酸化物の管理の必要性はより増大している。
【0008】
かかる国際的規制を遵守するために排気ガスの硫酸化物を節減するスクラバー(Scrubber)を使用する。スクラバーを用いて排気ガス処理工程を行うと、硫黄含有率が比較的高い安価の燃料でも前記規制を満たし、環境汚染を防止できるので、経済的に有利である。スクラバーは洗浄液でSOxをイオン化させるが、pH8.3前後の海水(Sea Water)又はアルカリ性添加剤を入れた淡水などを洗浄液として用いて、イオン化した硫酸化物を中和させる。また、粒子性物質を凝集させて洗浄液と共に排出することによって粒子性物質の大気中への放出を防止することもできる。
【0009】
スクラバーは、常時稼動するものではなく、エンジンやボイラーなどの燃焼装置の稼動状況やスクラバー自体の整備の必要性などによってその稼動が中断される場合がある。このようにスクラバーの稼動が中断されるとき、スクラバー内に排気ガス、水分などが残存すると、スクラバーやダンパーバルブなどのような遮断装置の腐食が進行することがある。このような腐食を防止するためには、スクラバーの非稼動時に、内部の残存排気ガスを強制換気し、水分を乾燥させる必要がある。しかしながら、現在、スクラバー内部における残存排気ガスの強制換気や水分の乾燥のための効率的な技術はない実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国登録特許公報US9,272,241号“COMBINED CLEANING SYSTEM AND METHOD FOR REDUCTION OF SOX AND NOX IN EXHAUST GASES FROM A COMBUSTION ENGINE ”、2016.03.01.登録
【特許文献2】大韓民国登録特許第10-1461255号「排気ガスの逆流防止のためのシーリングエアーダンパー」、2014.11.06.登録
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は前述した従来技術の問題点を解決するためのものであって、
本発明の目的は、排気ガス処理装置の非稼動時に、前記排気ガス処理装置の内部にエアーを供給して、残っている排気ガスを排出させる排気ガス処理システムを提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、前記排気ガス処理装置の換気及び水分の乾燥により、向上した腐食防止機能を有する排気ガス処理システムを提供することにある。
【0013】
本発明の更に他の目的は、エアーの流動を起こさせる送風部と、前記送風部によって流動の発生したエアーを、前記排気ガス処理装置の非稼動時に前記排気ガス処理装置に供給して、前記排気ガス処理装置内に残っている排気ガスを排出させる換気部を有するエアー供給部とによって、前記排気ガス処理装置の換気及び水分の乾燥が効率的に行われる排気ガス処理システムを提供することにある。
【0014】
本発明の更に他の目的は、前記排気ガス処理装置の非稼動時に、前記排気ガス処理装置に排気ガスを移送する移送配管の遮断を行う移送配管遮断手段を備えることによって、前記換気部によって供給されるエアーが前記排気ガス処理装置に効率的に誘導される排気ガス処理システムを提供することにある。
【0015】
本発明の更に他の目的は、前記移送配管遮断手段が、閉じた状態でエアーを受け取って前記移送配管内の排気ガス流路を遮断する移送配管ダンパーバルブからなり、前記エアー供給部は、前記送風部によって流動の発生したエアーを、前記移送配管ダンパーバルブのシーリング(sealing)のために供給する移送配管シーリング部をさらに備えてエアーの供給及び活用の効率性が高い排気ガス処理システムを提供することにある。
【0016】
本発明の更に他の目的は、前記排気ガス処理装置の非稼動時に排気ガスを迂回させるバイパス配管、及び前記排気ガス処理装置の稼動時に排気ガスが前記移送配管に進行するように前記バイパス配管を遮断するバイパス配管遮断手段をさらに備え、排気ガスの迂回が効率的に行われる排気ガス処理システムを提供することにある。
【0017】
本発明の更に他の目的は、前記バイパス配管遮断手段が、前記バイパス配管に設置され、閉じた状態でシーリングエアーを受け取って前記バイパス配管内の排気ガス流路を遮断するバイパス配管ダンパーバルブからなり、前記エアー供給部は、前記送風部によって流動の発生したエアーを、前記移送配管ダンパーバルブのシーリングのために供給するバイパス配管シーリング部をさらに備えてエアーの供給及び活用の効率性が高い排気ガス処理システムを提供することにある。
【0018】
本発明の更に他の目的は、前記排気ガス処理装置と連結され、前記排気ガス処理装置から排出される洗浄液中に気体状態で残っている有害ガスを除去し、気体状態の有害ガスが除去された洗浄液を排出する有害ガス除去手段をさらに備え、前記エアー供給部は、前記送風部によって流動の発生したエアーを前記有害ガス除去手段に供給して前記有害ガスとの反応を誘導する反応誘導部をさらに備えて有害物質の排出を最小化する排気ガス処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、先の目的を達成するために次のような構成を有する実施形態により具現される。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、本発明の排気ガス処理システムは、燃焼により生成された排気ガスが流入し、排気ガスに洗浄液を噴射して排気ガス中の有害物質を除去する排気ガス処理装置と、燃焼により排気ガスを生成する燃焼装置から前記排気ガス処理装置に排気ガスを移送させる移送配管と、エアーの流動を起こさせる送風部と、前記送風部によって流動の発生したエアーを、前記排気ガス処理装置の非稼動時に、前記排気ガス処理装置に供給して、前記排気ガス処理装置内に残っている排気ガスを排出させる換気部を有するエアー供給部とを備える 。
【0021】
本発明の他の一実施形態によれば、本発明の排気ガス処理システムは、前記排気ガス処理装置の非稼動時に、前記移送配管内の排気ガスが前記排気ガス処理装置に流入することを遮断する移送配管遮断手段をさらに備え、前記換気部は、前記移送配管遮断手段による遮断がなされた状態で前記排気ガス処理装置に前記エアーを供給することを特徴とする。
【0022】
本発明の更に他の一実施形態によれば、本発明の排気ガス処理システムは、前記換気部は、一端は前記送風部に連結され、他端は、前記移送配管において前記移送配管遮断手段と前記排気ガス処理装置との間の区間に連通した換気用エアー供給管を有することを特徴とする。
【0023】
本発明の更に他の一実施形態によれば、本発明の排気ガス処理システムは、前記換気部は、前記換気用エアー供給管の流路を開閉する換気用エアー供給管バルブをさらに有することを特徴とする。
【0024】
本発明の更に他の一実施形態によれば、本発明の排気ガス処理システムは、前記移送配管遮断手段は、前記移送配管に設置され、閉じた状態でエアーを受け取って前記移送配管内の排気ガス流路を遮断する移送配管ダンパーバルブであることを特徴とする。
【0025】
本発明の更に他の一実施形態によれば、本発明の排気ガス処理システムは、前記エアー供給部は、前記送風部によって流動の発生したエアーを前記移送配管遮断手段に供給する移送配管シーリング部をさらに有することを特徴とする。
【0026】
本発明の更に他の一実施形態によれば、本発明の排気ガス処理システムは、前記移送配管から分岐した配管であり、前記移送配管遮断手段による遮断がなされた状態で排気ガスを迂回させるバイパス配管と、前記排気ガス処理装置の非稼動時には排気ガスが前記バイパス配管に迂回するようにし、前記排気ガス処理装置稼動時には排気ガスが前記移送配管に進行するように前記バイパス配管を遮断するバイパス配管遮断手段とをさらに備えることを特徴とする。
【0027】
本発明の更に他の一実施形態によれば、本発明の排気ガス処理システムは、前記バイパス配管遮断手段は、前記バイパス配管に設置され、閉じた状態でエアーを受け取って前記バイパス配管内の排気ガス流路を遮断するバイパス配管ダンパーバルブであることを特徴とする。
【0028】
本発明の更に他の一実施形態によれば、本発明の排気ガス処理システムは、前記エアー供給部は、前記送風部によって流動の発生したエアーを前記バイパス配管遮断手段に供給するバイパス配管シーリング部をさらに有することを特徴とする。
【0029】
本発明の更に他の一実施形態によれば、本発明の排気ガス処理システムは、前記排気ガス処理装置に連結され、前記排気ガス処理装置から排出される洗浄液中に気体状態で残っている有害ガスを除去し、気体状態の有害ガスが除去された洗浄液を排出する有害ガス除去手段をさらに備え、前記エアー供給部は、前記送風部によって流動の発生したエアーを前記有害ガス除去手段に供給して前記有害ガスとの反応を誘導する反応誘導部をさらに有することを特徴とする。
【0030】
本発明の更に他の一実施形態によれば、本発明の排気ガス処理システムは、前記反応誘導部は、一端は前記送風部に連結され、他端は前記有害ガス除去手段と連通した反応用エアー供給管を有することを特徴とする。
【0031】
本発明の更に他の一実施形態によれば、本発明の排気ガス処理システムは、前記反応誘導部は、前記反応用エアー供給管の流路を開閉する反応用エアー供給管バルブをさらに有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0032】
本発明は、上記の実施形態と以下に説明する構成との結合、使用関係によって次のような効果を得ることができる。
【0033】
本発明は、排気ガス処理装置の非稼動時に、前記排気ガス処理装置の内部にエアーを供給して、残っている排気ガスを排出させる排気ガス処理システムを提供する効果がある。
【0034】
本発明は、前記排気ガス処理装置の換気及び水分の乾燥により、向上した腐食防止機能を有する排気ガス処理システムを提供する効果を有する。
【0035】
本発明は、エアーの流動を起こさせる送風部と、前記送風部によって流動の発生したエアーを、前記排気ガス処理装置の非稼動時に前記排気ガス処理装置に供給して、前記排気ガス処理装置内に残っている排気ガスを排出させる換気部を有するエアー供給部とによって、前記排気ガス処理装置の換気及び水分の乾燥が効率的に行われる排気ガス処理システムを提供する効果を奏する。
【0036】
本発明は、前記排気ガス処理装置の非稼動時に、前記排気ガス処理装置に排気ガスを移送する移送配管の遮断を行う移送配管遮断手段を備えることによって、前記換気部によって供給されるエアーが前記排気ガス処理装置に効率的に誘導される排気ガス処理システムを提供する効果を奏する。
【0037】
本発明は、前記移送配管遮断手段が、閉じた状態でエアーを受け取って前記移送配管内の排気ガス流路を遮断する移送配管ダンパーバルブからなり、前記エアー供給部は、前記送風部によって流動の発生したエアーを、前記移送配管ダンパーバルブのシーリング(sealing)のために供給する移送配管シーリング部をさらに備えてエアーの供給及び活用の効率性が高い排気ガス処理システムを提供する効果を発揮する。
【0038】
本発明は、前記排気ガス処理装置の非稼動時に排気ガスを迂回させるバイパス配管、及び前記排気ガス処理装置の稼動時に排気ガスが前記移送配管に進行するように前記バイパス配管を遮断するバイパス配管遮断手段をさらに備え、排気ガスの迂回が効率的に行われる排気ガス処理システムを提供する効果を奏する。
【0039】
本発明は、前記バイパス配管遮断手段が、前記バイパス配管に設置され、閉じた状態でシーリングエアーを受け取って前記バイパス配管内の排気ガス流路を遮断するバイパス配管ダンパーバルブからなり、前記エアー供給部は、前記送風部によって流動の発生したエアーを、前記移送配管ダンパーバルブのシーリングのために供給するバイパス配管シーリング部をさらに備えてエアーの供給及び活用の効率性が高い排気ガス処理システムを提供する効果を有する。
【0040】
本発明は、前記排気ガス処理装置と連結され、前記排気ガス処理装置から排出される洗浄液中に気体状態で残っている有害ガスを除去し、気体状態の有害ガスが除去された洗浄液を排出する有害ガス除去手段をさらに備え、前記エアー供給部は、前記送風部によって流動の発生したエアーを前記有害ガス除去手段に供給して前記有害ガスとの反応を誘導する反応誘導部をさらに備えて有害物質の排出を最小化する排気ガス処理システムを提供する効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】本発明の一実施形態に従う排気ガス処理システムの構成図。
【
図2】本発明の排気ガス処理システムに備えられる移送配管ダンパーバルブの一実施形態の斜視図。
【
図3】本発明の一実施形態に従う排気ガス処理システムにおいて排気ガス処理装置の稼動時の作動様子を示す図。
【
図4】本発明の一実施形態に従う排気ガス処理システムにおいて排気ガス処理装置の非稼動時の作動様子を示す図。
【
図5】第1実施形態に従う排気ガス処理装置の斜視図。
【
図6】第1実施形態に従う排気ガス処理装置の切開斜視図。
【
図8】
図5の断面で排気ガスの処理過程を図示した参考図。
【
図9】第1実施形態に従う排気ガス処理装置の前処理器の切開斜視図。
【
図13】第1実施形態に従う排気ガス処理装置の撹拌手段の斜視図。
【
図16】第1実施形態に従う排気ガス処理装置の後処理器の切開斜視図。
【
図19】第1実施形態に従う排気ガス処理装置の拡散手段の斜視図。
【
図20】第1実施形態に従う排気ガス処理装置のパッキング支持手段の斜視図。
【
図28】第2実施形態に従う排気ガス処理装置の斜視図。
【
図29】第2実施形態に従う排気ガス処理装置の切開斜視図。
【
図31】第2実施形態に従う排気ガス処理装置の拡散手段を示す分解斜視図。
【
図33】船舶のローリングにより傾いた形態を示す
図27のA区間のa-a’断面図。
【
図34】排気ガスが流動する様子を示す
図29のA区間のa-a’断面図。
【
図35】第2実施形態に従う排気ガス処理装置の噴射手段を示す斜視図。
【
図38】第2実施形態に従う排気ガス処理装置の噴射手段が洗浄液を噴射する様子を示す概念図。
【
図39】第2実施形態に従う排気ガス処理装置の分配手段を示す斜視図。
【
図42】排気ガスが流動する様子を示す
図29のA、B、C区間のc1-c1’断面図。
【
図43】第2実施形態に従う排気ガス処理装置の多重噴射手段を示す斜視図。
【
図47】第2実施形態に従う排気ガス処理装置の第1タイプの水滴分離手段を示す分解斜視図。
【
図50】第2実施形態に従う排気ガス処理装置の第1タイプの水滴分離手段により排気ガスが流動する様子を示す斜視図。
【
図51】第2実施形態に従う排気ガス処理装置の第2タイプの水滴分離手段を示す分解斜視図。
【
図54】第2実施形態に従う排気ガス処理装置の第2タイプの水滴分離手段により排気ガスが流動する様子を示す斜視図。
【
図57】第2実施形態に従う排気ガス処理装置の水滴遮断手段を示す部分切断斜視図。
【
図59】本発明の他の実施形態に従う排気ガス処理システムの構成図。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明に従う排気ガス処理装置の排出洗浄液内の有害ガス除去システム及び方法を添付した図面を参照して詳細に説明する。特別な定義のない限り、本明細書の全ての用語は本発明が属する技術分野の通常の知識を有する技術者が理解する当該用語の一般的意味と同一であり、仮に本明細書に使われた用語の意味と衝突する場合には本明細書に使われた定義に従う。また、本発明の要旨を不必要に曖昧にすることがある公知機能及び構成に対して詳細な説明は省略する。
【0043】
本発明で、排気ガスということは、エンジン、ボイラーなどを駆動するために燃料を燃焼する過程で発生するガスを意味し、前記排気ガス内の有害物質は前記排気ガスに含まれた硫酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、PM(Particular Matter、粒子性物質)などを意味する。本発明に従う排気ガス処理装置の排出洗浄液内の有害ガス除去システム及び方法は船舶での排気ガス処理を主な目的とするが、船舶のみに適用されることに用途が限定されない。
【0044】
図1には、本発明の一実施形態に従う排気ガス処理システムの構成図を示している。これを参照すると、本発明の排気ガス処理システムは、排気ガス処理装置1、移送配管2、移送配管遮断手段3、バイパス配管4、バイパス配管遮断手段5、有害ガス除去手段6、送風部7及びエアー供給部8を備えることができる。
【0045】
前記排気ガス処理装置1は、燃焼により生成された排気ガスが流入し、排気ガスに洗浄液を噴射して排気ガス中の有害物質を除去する装置である。本発明が船舶に適用される場合において、前記有害物質は硫酸化物(SOx)を含み、前記洗浄液はアルカリ添加剤が含まれた淡水又は海水であることを特徴とし得る。前記排気ガス処理装置1は、アルカリ添加剤が含まれた淡水又は海水を洗浄液として受け取って噴射することによって、前記排気ガス中の硫酸化物(SOx)を溶解させて毒性を除去し、排出管Sから排出する。すなわち、前記排気ガス処理装置1は、洗浄液供給部(図示せず)が海水をポンピングして洗浄液として供給した後、排出される洗浄液を再循環させないで外部に排出するオープンモード(open mode)、又はアルカリ添加剤が含まれた淡水を洗浄液として供給した後、排出される洗浄液を再循環させて使用するクローズモード(close mode)で作動することができる。前記排気ガス処理装置1に関しては、第1実施形態(1a)及び第2実施形態(1b)で後述する。
【0046】
前記移送配管2は、燃焼により排気ガスを生成する燃焼装置Cから前記排気ガス処理装置1に排気ガスを移送させる部分である。燃焼装置Cとしては、船舶の主エンジン、補助エンジン、ボイラーなどを含むことができる。
図1に示すように、前記移送配管2は、前記燃焼装置Cと前記排気ガス処理装置1とを連結し、前記燃焼装置Cで生成された排気ガスを前記排気ガス処理装置1に移動可能にする。
【0047】
前記移送配管遮断手段3は、前記排気ガス処理装置1の非稼動時に、前記移送配管2内の排気ガスが前記排気ガス処理装置1に流入することを遮断する部分である。前記移送配管遮断手段3は、前記移送配管2内の排気ガス流路を遮断する役割を担うバルブとすることができる。
【0048】
具体的に、前記移送配管遮断手段3は、空気、工程ガスなどのような媒体を遮断する密閉型バルブであるダンパーバルブであることを特徴とし得る。ダンパーバルブの気密性の確保は、様々な方式で得ることができるが、ダンパーバルブのディスクを形成しつつ離隔配置されたブレードの間に供給されるシーリングエアー(sealing air)によって気密性を確保するシーリングエアーダンパーが使用されてもよい。すなわち、前記移送配管遮断手段3は、前記移送配管2に設置され、閉じた状態でエアーを受け取って前記移送配管2内の排気ガス流路を遮断する移送配管ダンパーバルブであることを特徴とし得る。
【0049】
図2には、本発明の排気ガス処理システムに備えられる移送配管遮断手段3の一実施形態の斜視図を示す。同図を参照すると、前記移送配管遮断手段3は移送配管ダンパーバルブからなり、バルブケーシング31、バルブディスク32及びアクチュエータ33を備えることができる。
【0050】
前記バルブケーシング31は前記移送配管2に設置され、前記移送配管2の排気ガス流路と連通して排気ガスの流動を可能にする流路を形成し、気密性確保のためのシーリングエアーが流入する通路であるシーリングエアー流入口311を有している。
【0051】
前記バルブディスク32は、2個のブレード32a,32bが相互離隔された構造となっている。それぞれのブレード32a,32bは、前記バルブケーシング31が形成する流路を閉鎖可能に、前記バルブケーシング31が形成する流路に対応する形状を有する。このような構造のバルブディスク32によれば、バルブディスク32によって流路が閉鎖された場合、両ブレード32a,32bの間には空間Sが形成され、この空間Sに前記シーリングエアー流入口311からエアーが注入されると、排気ガスの遮断又は逆流防止のための気密構造が形成される。このとき、エアーの供給圧力は前記移送配管2内の排気ガスの圧力よりも高い必要があり、エアーはシーリングエアーとしてエアーバリアー(air barrier)を形成し、前記バルブディスク32と前記バルブケーシング31の内壁との間の隙間に気密性を確保する。
【0052】
前記アクチュエータ33は、供給される高圧の流体や電気によって駆動してバルブディスク32を回転させて、バルブケーシング31内に設けられた流路を断続する役割を担う。前記バルブディスク32と前記アクチュエータ33とは、駆動軸(図示せず)によって連結することができ、、アクチュエータ33によるバルブディスク32の駆動は、本発明の属する技術の分野において広く用いられる技術であるので、アクチュエータ33の作動構造や原理については詳細な説明を省く。
【0053】
前記バイパス配管4は、前記移送配管2から分岐した配管であり、前記移送配管遮断手段3によって遮断された状態で排気ガスを迂回させる部分である。
図1を参照すると、前記バイパス配管4は、前記移送配管2の分岐部Pで分岐して排気部(EXHAUST STACK)と連結されている。前記排気ガス処理装置1の非稼動時に、排気ガスは、前記バイパス配管4を通って排気部(EXHAUST STACK)から排出される。
【0054】
前記バイパス配管遮断手段5は、前記排気ガス処理装置1の非稼動時には排気ガスが前記バイパス配管4に迂回するようにするが、前記排気ガス処理装置1の稼動時には排気ガスが前記移送配管2に進行するように前記バイパス配管4を遮断する部分である。前記バイパス配管遮断手段5は、前記バイパス配管4内の排気ガス流路を遮断する役割を担うバルブで構成することができる。
【0055】
前記バイパス配管遮断手段5としては、ダンパーバルブのディスクを形成しつつ離隔配置されたブレードの間に供給されるシーリングエアー(sealing air)によって気密性を確保するシーリングエアーダンパーが使用されてもよい。具体的に、前記バイパス配管遮断手段5は、
図2に示したような移送配管遮断手段3と同様の形態を有するダンパーバルブであり、前記バイパス配管4に設置され、閉じた状態でエアーを受け取って前記バイパス配管4内の排気ガス流路を遮断するバイパス配管ダンパーバルブであることを特徴とし得る。
【0056】
前記有害ガス除去手段6は、前記排気ガス処理装置1と連結され、前記排気ガス処理装置1から排出される洗浄液中に気体状態で残っている有害ガスを除去し、気体状態の有害ガスが除去された洗浄液を排出する部分である。前記有害ガス除去手段6は、一端は前記排気ガス処理装置1の洗浄液流出部と連通し、他端は、排出部が形成されたチューブ状の導管からなり、前記有害ガス除去手段6は、前記排気ガス処理装置1から排出される洗浄液を一時的に貯留し、貯留時間中に有害ガスを除去させる。
【0057】
具体的に、前記有害ガス除去手段6は、前記一端が上部に位置するように配置され、流入した洗浄液が下方に進行しつつ酸化反応及び有害ガスの排出がなされるようにするが、洗浄液が0.45m/secの落下流速及び4.5secの滞留時間を有するように構成できる。
【0058】
前記排気ガス処理装置1が排出する洗浄液中には、排気ガス中の有害ガス、すなわち、硫酸化物(SOx)が殆ど溶解されて毒性のない状態で含まれるが、一部は気体状態で残って洗浄液中に捕獲された状態で存在することもある。このような気体状態の有害ガスがそのまま洗浄液に含まれて外部に排出されると環境汚染を誘発するので、除去する必要がある。前記有害ガス除去手段6は、前記排気ガス処理装置1から排出される洗浄液に含まれた気体状態の有害ガスを除去させる。
【0059】
前記有害ガス除去手段6から排出された洗浄液は、
図1に示したように、洗浄液タンクTに流入して再使用されてもよい。また、これと違い、外部に排出されてもよい。一般に、クローズモードでは排出された洗浄液が洗浄液タンクTに流入して再使用され、オープンモードでは外部に排出される。
【0060】
前記送風部7は、エアーの流動を起こさせる部分である。前記送風部7は、後述するエアー供給部8の方向にエアーの流動を起こさせる。前記送風部7は、ファン(Fan)71、チェックバルブ72及び接続口73を備えることができる。
【0061】
前記ファン71は、エアーに流動力を発生させる装置である。前記ファン71は、流動力の形成のための羽根車と流動を案内するケーシングとを備えることができる。
図1を参照すると、前記送風部7は、前記ファン71を並列に2個有しているが、これは、エアーの流動を安定して発生させるためのものであり、2個のファン71のいずれか一方は、他方の故障に備えたリダンダンシー(redundancy)、すなわち、予備的な構成である。もちろん、前記ファン71は並列に3個以上設けられてもよい。
【0062】
前記チェックバルブ72は、エアーの流動圧力をチェックする役割を担う。前記チェックバルブ72の測定結果がフィードバックされ、前記ファン71の出力などの調節を行うことができる。
【0063】
前記接続口73は、前記ファン71によって流動の発生したエアーの供給を必要とする配管が接続する部分である。前記接続口73には1本以上の配管を連結することができ、前記ファン71によって流動の発生したエアーは、前記接続口73に連結された1本以上の配管に分配されて供給される。
【0064】
前記エアー供給部8は、前記送風部7によって流動の発生したエアーを供給する部分である。前記エアー供給部8は、換気部81、移送配管シーリング部82、バイパス配管シーリング部83及び反応誘導部84を備えることができる。
【0065】
前記換気部81は、前記送風部7によって流動の発生したエアーを、前記排気ガス処理装置1の非稼動時に、前記排気ガス処理装置1に供給して、前記排気ガス処理装置1内に残っている排気ガスを排出させる部分である。前記換気部81は、前記排気ガス処理装置1の非稼動時に、前記移送配管遮断手段3による遮断がなされた状態で前記排気ガス処理装置1に前記エアーを供給する。前記換気部81から供給されたエアーは、前記排気ガス処理装置1内部の換気及び乾燥などを行う。
【0066】
図1に示すように、前記換気部81は、換気用エアー供給管811及び換気用エアー供給管バルブ812を備えることができる。
【0067】
前記換気用エアー供給管811は、一端は前記送風部7に連結し、他端は、前記移送配管2において前記移送配管遮断手段3と前記排気ガス処理装置1との間の区間に連通した配管である。前記送風部7によって流動の発生したエアーは、前記換気用エアー供給管811を通って、前記移送配管2において前記移送配管遮断手段3と前記排気ガス処理装置1との間の区間に流入して前記排気ガス処理装置1の内部に進行し、前記排気ガス処理装置1内の残存排気ガスの強制換気及び水分の乾燥などを行う。
【0068】
前記換気用エアー供給管バルブ812は、前記換気用エアー供給管811の流路を開閉するバルブである。前記換気用エアー供給管バルブ812が開放される場合、前記送風部7によって流動の発生したエアーが、前記換気用エアー供給管811を通って前記排気ガス処理装置1に供給され、前記換気用エアー供給管バルブ812が閉鎖する場合、エアーの供給が遮断される。
【0069】
前記移送配管シーリング部82は、前記送風部7によって流動の発生したエアーを前記移送配管遮断手段3に供給する部分である。前記移送配管シーリング部82は、上述した通り、前記移送配管遮断手段3が閉じた状態でエアーを受け取って前記移送配管2内の流路を遮断する移送配管ダンパーバルブからなる場合に、前記移送配管遮断手段3にシーリングエアーを供給する。前記移送配管シーリング部82から供給されたエアーは、前記移送配管遮断手段3のシーリングを行う。
【0070】
図1に示すように、前記移送配管シーリング部82は、移送配管シーリング用エアー供給管821及び移送配管シーリング用エアー供給管バルブ822を備えることができる。
【0071】
前記移送配管シーリング用エアー供給管821は、一端は前記送風部7に連結され、他端は前記移送配管遮断手段3に連結された配管である。さらにいうと、前記移送配管シーリング用エアー供給管821の他端は、前記バルブケーシング31のシーリングエアー流入口311に連結され得る。前記移送配管シーリング用エアー供給管821を通って供給されるエアーは、シーリングエアーとしてエアーバリアー(air barrier)を形成し、前記バルブディスク32と前記バルブケーシング31の内壁との間の隙間に気密性を確保する。この時、前記移送配管シーリング用エアー供給管821を通したエアーの供給圧力は、500~700mmAqになり得る。
【0072】
前記移送配管シーリング用エアー供給管バルブ822は、前記移送配管シーリング用エアー供給管821の流路を開閉するバルブである。前記移送配管シーリング用エアー供給管バルブ822が開放される場合、前記送風部7によって流動の発生したエアーが前記移送配管シーリング用エアー供給管821を通って前記移送配管遮断手段3に供給され、前記移送配管シーリング用エアー供給管バルブ822が閉鎖される場合、エアーの供給が遮断される。
【0073】
前記バイパス配管シーリング部83は、前記送風部7によって流動の発生したエアーを前記バイパス配管遮断手段5に供給する部分である。前記バイパス配管シーリング部83は、上述した通り、前記バイパス配管遮断手段5が閉じた状態でエアーを受け取って前記バイパス配管4内の流路を遮断するバイパス配管ダンパーバルブからなる場合に、前記バイパス配管遮断手段5にシーリングエアーを供給する。前記バイパス配管シーリング部83から供給されたエアーは、前記バイパス配管遮断手段5のシーリングを行う。
【0074】
図1に示すように、前記バイパス配管シーリング部83は、バイパス配管シーリング用エアー供給管831及びバイパス配管シーリング用エアー供給管バルブ832を備えることができる。
【0075】
前記バイパス配管シーリング用エアー供給管831は、一端は前記送風部7に連結され、他端は前記バイパス配管遮断手段5に連結された配管である。前記バイパス配管シーリング用エアー供給管831を通って供給されるエアーはシーリングエアーとしてエアーバリアー(air barrier)を形成し、前記バイパス配管遮断手段5の気密性を確保する。この時、前記バイパス配管シーリング用エアー供給管831を通したエアーの供給圧力は、500~700mmAqになり得る。
【0076】
前記バイパス配管シーリング用エアー供給管バルブ832は、前記バイパス配管シーリング用エアー供給管831の流路を開閉するバルブである。前記バイパス配管シーリング用エアー供給管バルブ832が開放される場合、前記送風部7によって流動の発生したエアーが前記バイパス配管シーリング用エアー供給管831を通って前記バイパス配管遮断手段5に供給され、前記バイパス配管シーリング用エアー供給管バルブ832が閉鎖される場合、エアーの供給が遮断される。
【0077】
前記反応誘導部84は、前記送風部7によって流動の発生したエアーを前記有害ガス除去手段6に供給して前記有害ガスとの反応を誘導する部分である。前記反応誘導部84は、前記有害ガス除去手段6内部の洗浄液に含まれたSOxにエアーを供給して酸化反応を誘導する。これによって、前記有害ガス除去手段6に貯留された洗浄液中の有害ガスが円滑に除去可能になる。
【0078】
図1に示すように、前記反応誘導部84は、反応用エアー供給管841及び反応用エアー供給管バルブ842を備えることができる。
【0079】
前記反応用エアー供給管841は、一端は前記送風部7に連結され、他端は前記有害ガス除去手段6に連結された配管である。前記反応用エアー供給管841を通って供給されるエアーは、反応を誘導するためのエアーであり、内部の洗浄液に含まれた気体状態のSOxと反応して有害ガスを除去させる。
【0080】
前記反応用エアー供給管バルブ842は、前記反応用エアー供給管841の流路を開閉するバルブである。前記反応用エアー供給管バルブ842が開放される場合、前記送風部7によって流動の発生したエアーが前記反応用エアー供給管841を通って前記有害ガス除去手段6に供給され、前記反応用エアー供給管バルブ842が閉鎖される場合、エアーの供給が遮断される。
【0081】
図3には、本発明の一実施形態に従う排気ガス処理システムにおいて排気ガス処理装置の稼動時の作動様子を示し、
図4には、本発明の一実施形態に従う排気ガス処理システムにおいて排気ガス処理装置の非稼動時における作動様子を示す。これらの図を参照しつつ、本発明の排気ガス処理システムの作動過程について説明する。
【0082】
まず、
図3を参照すると、前記排気ガス処理装置1の稼動時には、前記バイパス配管遮断手段5によって前記バイパス配管4の遮断がなされる。前記換気用エアー供給管811、移送配管シーリング用エアー供給管821、バイパス配管シーリング用エアー供給管831及び反応用エアー供給管841の一端は前記接続口73に接続されているが、前記換気用エアー供給管バルブ812及び移送配管シーリング用エアー供給管バルブ822が閉じ、前記バイパス配管シーリング用エアー供給管バルブ832及び反応用エアー供給管バルブ842が開いた状態(閉じたバルブは黒色で表示され、開いたバルブは白色で表示)で前記送風部7のファン71が駆動すると、前記接続口73を通って前記バイパス配管シーリング用エアー供給管831及び前記反応用エアー供給管841にそれぞれエアーの流動供給がなされる(細い矢印で表示)。これによって、前記バイパス配管遮断手段5が閉じた状態で供給されるエアーによって前記バイパス配管4の遮断がなされ、前記有害ガス除去手段6には反応用エアーが供給される。また、排気ガスは、前記移送配管2を通って前記排気ガス処理装置1に流入し、有害物質が除去された後に排出管Sから排出される(太い矢印で表示)。
【0083】
次に、
図4を参照すると、前記排気ガス処理装置1の非稼動時には、前記移送配管遮断手段3によって前記移送配管2の遮断がなされる。前記換気用エアー供給管バルブ812及び移送配管シーリング用エアー供給管バルブ822が開き、前記バイパス配管シーリング用エアー供給管バルブ832及び反応用エアー供給管バルブ842が閉じた状態(閉じたバルブは黒色で表示され、開いたバルブは白色で表示)で前記送風部7のファン71が駆動すると、前記接続口73を通って前記換気用エアー供給管811及び前記移送配管シーリング用エアー供給管821にそれぞれエアーの流動供給がなされる(細い矢印で表示)。これによって、前記移送配管遮断手段3が閉じた状態で供給されるエアーによって前記移送配管2の遮断がなされ、前記換気用エアー供給管811を通って供給されるエアーによる残存排気ガスの強制換気、水分の乾燥などが行われる。また、排気ガスは、前記バイパス配管4を通って排出部(EXHAUST STACK)から排出される(太い矢印で表示)。これによって、前記排気ガス処理装置1、前記移送配管遮断手段3などの腐食を防止し、耐久性を向上させることができる。
【0084】
また、
図1に示した本発明の一実施形態に従う排気ガス処理システムは、前記送風部7のファン71とチェックバルブ72、前記移送配管遮断手段3、前記バイパス配管遮断手段5、前記換気用エアー供給管バルブ812、移送配管シーリング用エアー供給管バルブ822、前記バイパス配管シーリング用エアー供給管バルブ832及び反応用エアー供給管バルブ842などと有無線で連結されてそれらを制御する制御部(図示せず)をさらに備えることができる。前記制御部は、制御のためのプログラムが設置されたコンピュータ装置からなり、外部から制御命令を受けるための入力部又は操作部を備えることができる。また、本発明が船舶に適用される場合において、前記制御部は、前記排気ガス処理装置1などを含め、船舶の他の装置を制御する制御盤と一体に構成されてもよい。
【0085】
一方、以下では、本発明の排気ガス処理システムに適用可能な前記排気ガス処理装置1の具体的な実施形態として排気ガス処理装置1の第1実施形態(1a)及び第2実施形態(1b)について説明する。以下に挙げる排気ガス処理装置1の実施形態の他にも、前記排気ガス処理装置1は様々な形態が可能であり、第1実施形態(1a)及び第2実施形態(1b)によって前記排気ガス処理装置1が限定されるわけではない。
【0086】
図5から
図8を参考すると、第1実施形態に従う排気ガス処理装置1aは、前処理器11、連結部12、後処理器13を含む。
【0087】
図8を参考して、前記排気ガス処理装置1aで進行される排気ガスの処理過程を簡単に説明すると、次の通りである。
図8で太い矢印はガスの流れ、点線は噴射される洗浄液、細い矢印は排出される洗浄液を意味する。
【0088】
前記前処理器11は燃焼により生成された排気ガスが排気ガス流入部1112を通じて流入すれば、一次的に有害物質を減縮された前処理ガスに作って、前処理ガス流出部1113を通じて排出する。前記連結部12は、前記前処理ガスを前記後処理器13に移動させる。前記後処理器13は、前処理ガス流入部1312を通じて流入した前処理ガスから追加的に有害物質を除去して後処理ガス流出部1313を通じて排出する。
【0089】
前記前処理器11から前記排気ガス内の有害物質を除去するために前記前処理器11の洗浄液流入部1114に流入して使われた洗浄液及び前記後処理器13から前処理ガスの有害物質を除去するために前記後処理器13の洗浄液流入部1314に流入して使われた洗浄液は、前記前処理器11及び前記後処理器13の下部に各々形成された洗浄液流出部1115、1315を通じて排出される。
【0090】
本発明が船舶に適用される場合、前記洗浄液には海水またはアルカリ添加剤が混合された淡水などが使われることができ、前記排気ガスは前記船舶のエンジンまたはボイラーなどの燃焼過程で発生するものであって、前記有害物質は硫酸化物(SOx)及びPMを意味する。
【0091】
前記前処理器11は燃焼により生成された排気ガスから一次的に有害物質を減縮する役割を遂行する。
図6から
図9を通じて確認できるように、前記前処理器11は、前処理器ハウジング111、第1前処理噴射手段112、撹拌手段113、第2前処理噴射手段114を含む。
【0092】
前記前処理器ハウジング111は、前記前処理器11の外形を形成し、内部に前記排気ガスの流動経路を形成する部分である。前記前処理器ハウジング111は、内壁1111、排気ガス流入部1112、前処理ガス流出部1113、洗浄液流入部1114、及び洗浄液流出部1115を含む。
図5から
図9を参照すると、本発明の一実施形態で前記前処理器ハウジング111は円筒形タワーで形成されており、流入した排気ガスを前記前処理器ハウジング111の上部から下部に移動させ、前記排気ガス内の有害物質が一次的に除去できる流動経路を形成する。
【0093】
前記内壁1111は、前記前処理器ハウジング111の内部に前記排気ガスの流動経路を形成する部分である。
図6を参照すると、本発明の一実施形態で、前記内壁1111は前記前処理器ハウジング111の内部に前記排気ガスの流動経路を円筒形に形成している。
【0094】
前記排気ガス流入部1112は、前記前処理器ハウジング111の内部に排気ガスが流入する部分である。
図6から
図9を通じて確認できるように、前記排気ガス流入部1112は前記前処理器ハウジング111の上端に形成されており、前記排気ガス流入部1112を通じて流入した排気ガスは前記内壁1111が形成する円筒形の流動経路に沿って下部に移動するようになる。
【0095】
前記前処理ガス流出部1113は、前記前処理器11から一次的に有害物質が除去された排気ガスである前処理ガスが排出される部分である。
図6から
図9を通じて確認できるように、前記前処理ガス流出部1113は前記前処理器ハウジング111の下部の一側に形成されており、前記前処理ガス流出部1113を通じて排出される前処理ガスは前記連結部12を通じて前記後処理器13に移動するようになる。
【0096】
前記洗浄液流入部1114は、前記前処理器11の内部で噴射されるための洗浄液が流入する部分である。
図9を通じて確認できるように、前記洗浄液流入部1114は後述する第1前処理噴射手段112及び第2前処理噴射手段114に各々連結または形成されている。
【0097】
前記洗浄液流出部1115は、前記排気ガス流入部1112を通じて前記前処理器ハウジング111の内部に流入した排気ガスの有害物質除去のために前記第1前処理噴射手段112及び前記第2前処理噴射手段114により噴射された洗浄液が排出される部分である。
図6から
図9に示すように、前記洗浄液流出部1114は前記前処理器ハウジング111の下端に形成されているが、前記洗浄液流出部1114を通じて前記第1前処理噴射手段112及び前記第2前処理噴射手段114により噴射された洗浄液が前記排気ガス内の有害物質を捕集して前記前処理器ハウジング111の下端に移動して外部に排出できるようになる。前記洗浄液の円滑な排出のために、前記前処理器ハウジング111の下端は前記洗浄液流出部1114に向けて収束する形態に形成されることが好ましい。
【0098】
前記第1前処理噴射手段112は、前記前処理器ハウジング111の内部のうち、前記排気ガス流入部1112の付近に配置されて前記排気ガス流入部1112を通じて流入した排気ガスに洗浄液を噴射する部分である。前記洗浄液には前述したように、海水、アルカリ添加剤が混合された淡水などが使われることができる。
【0099】
前記第1前処理噴射手段112は、前記排気ガス流入部1112を通じて流入した排気ガスを冷却させる。前記ガス流入部1112を通じて流入した排気ガスは一般的に250~350℃の温度を有するが、前記第1前処理噴射手段112が噴射する洗浄液により50~50℃にその温度が下がり、体積が減るようになる。
【0100】
また、前記第1前処理噴射手段112は前記排気ガス内の有害物質の中でも特に、PMが洗浄液により一次的に捕集できるようにする。前記第1前処理噴射手段112が噴射した洗浄液と接触した排気ガスは前記撹拌手段113を経て、その流動経路が直線から螺旋形に変わるようになり、後述する第2前処理噴射手段114が噴射する洗浄液と接触するようになる。これによって、前記第1前処理噴射手段112が噴射して有害物質を捕集した洗浄液はそのサイズが増加するようになって、重力により前記前処理器ハウジング111の下部に移動するようになる。
【0101】
前記第1前処理噴射手段112は、前記第2前処理噴射手段114に比べて前記洗浄液を微細な液滴形態に噴射することを特徴とすることが好ましい。具体的に、前記第1前処理噴射手段112は前記洗浄液を粒径が100~200μmである液滴形態に噴射することを特徴とすることができる。前記排気ガスの有害物質のうち、PMは粒径が0.1~0.5μm程度であるが、前記洗浄液が粒径が100~200μmである液滴形態に噴射される場合、前記PMを効率よく凝集して洗浄液内に固まるようにすることに効率的である。
【0102】
図10及び
図11を参照すると、本発明の一実施形態で、前記第1前処理噴射手段112は棒型噴射胴体1121と、前記噴射胴体1121の一端部に形成された噴射口1122を含んでおり、前記噴射胴体1121は洗浄液供給手段(図示せず)から前記洗浄液流入部1114を通じて洗浄液と圧縮空気の供給を受けることができる。前記噴射胴体1121は洗浄液を圧縮空気と共に供給を受けて前記噴射口1122に伝達し、前記噴射口1122は洗浄液を前記排気ガスに向けて噴射する。
【0103】
一方、前記第1前処理噴射手段112は前記前処理器ハウジング111の内壁1111により形成された排気ガスの流動経路上に前記排気ガスの進行方向と垂直な断面に水平に配置され、かつ前記内壁1111で一定角度間隔で前記流動経路の中心に向けて各々突出して多数個が配置されている。このような配置を通じて前記排気ガス流入部1112に流入して前記撹拌手段113側に進行する排気ガスに効率よく洗浄液が噴射されるようにすることができる。
【0104】
前記第1前処理噴射手段112の具体的な形態と配置などは、前記第1前処理噴射手段112の噴射容量及び前記前処理器11の全体的な道が設計などによって変わることができる。
【0105】
前記撹拌手段113は前記前処理器ハウジング111の内部のうち、前記第1前処理噴射手段112及び前記第2前処理噴射手段114の間に配置されて前記流動経路上の排気ガスが曲線型、好ましくは螺旋形に流動するように作ってくれる役割を遂行する部分である。本発明の一実施形態で、前記前処理器ハウジング111は上部から下部に垂直下方向の排気ガス流動経路を形成するが、前記撹拌手段113は前記排気ガス流入部1112を通じて流入して直線下方向に進行する排気ガスの流れを曲線型、好ましくは螺旋形に変えてくれる。
【0106】
前記撹拌手段113により前記排気ガスの流動経路上での流れが直線から曲線型に変わる場合、前記流動経路が長くなり、その結果、前記第2前処理噴射手段114により噴射される洗浄液との接触時間が増えるようになる。これによって、前記排気ガスで前記PMや前記SOxなどの有害物質が前記洗浄液により捕獲される比率が高まるようになる。したがって、前記撹拌手段113は前記排気ガス流入部1112と隣接して配置されることが好ましい。
【0107】
このように、前記撹拌手段113を通じて前記前処理器ハウジング111の内部空間対比排気ガス内の有害物質除去時間を向上させることができるようになり、前記前処理器11の高さを増やさなくても、または延いてはその高さを縮めても排気ガス内の有害物質除去効率を向上させることができるようになる。その結果、設備の小型化が可能になる。
【0108】
図12及び
図13を参照すると、前記撹拌手段113は前記流動経路をカバーしながら配置され、かつ中央の胴体1131、多数個の翼1132及び空間部1133を含んでおり、前記翼1132の外側に結合されたフランジ部1334により前記前処理器ハウジング111の内壁1111に形成された段差部1111aに安着して配置されている。必要によって前記撹拌手段113は前記前処理器ハウジング111の内壁1111に熔接などの方式により結合される形態に配置されることもできる。
【0109】
前記胴体1131は前記撹拌手段113の中心になる部分であり、前記翼1132は前記胴体1131に所定のねじれ角を有して放射状に結合されている。また、前記空間部1133は各前記翼1132の間に前記排気ガスが各前記翼1132に触れないで通過できる空間を形成する部分である。
【0110】
図12に示すように、本発明の一実施形態で、前記撹拌手段113は、前記胴体1131の外側面に沿って30゜間隔で6個の翼1132が一定角度捩じれて結合されており、各前記翼1132の間に前記空間部1133が形成されていることを特徴とする。
【0111】
前記撹拌手段113がこのように構成される場合、前記撹拌手段113を通過した排気ガスの流れが螺旋形に形成され、かつ前記前処理器ハウジング111の内壁1111により形成される排気ガスの流動経路の移動方向中心に沿って対称的な形態に形成できるようになり、その流れが円滑になり、前記第1前処理噴射手段112及び前記第2前処理噴射手段114が噴射する洗浄液により捕獲された排気ガス内の有害物質が前記ハウジング111の内壁1111に乗って流れるようになる。
【0112】
一方、各前記翼1132の間に前記空間部1132が表れない場合、前記排気ガス流入部1112を通じて流入した排気ガスが前記撹拌手段113を通過する時、過度な圧力損失を被るようになるので、前記排気ガスの流れ上、好ましくない。
【0113】
また、前記撹拌手段113は回転せずに固定されたことを特徴とすることが好ましい。これは、前記排気ガス流入部1112を通じて流入する排気ガスは一般的に前記前処理ガス流出部1113に向けた流体供給速度は充分に備えているので、前記流動経路上の排気ガスに別途の直進エネルギーを供給する必要がないためである。
【0114】
前記第2前処理噴射手段114は、前記前処理器ハウジング111の内部のうち、前記撹拌手段113と前記前処理ガス流出部1113との間に配置されて前記撹拌手段113を経て前記流動経路を螺旋形に進行する排気ガスに洗浄液を噴射する部分である。
【0115】
前記第2前処理噴射手段114は、前記撹拌手段113を経て前記前処理器ハウジング111の下部に位置した前処理ガス流出部1113に向けて曲線型、好ましくは、螺旋形に進行する排気ガスに洗浄液を追加的に噴射することによって、前記第1前処理噴射手段112により噴射されて排気ガス内に含まれたPMなどの有害物質を捕集した状態である洗浄液の凝集を誘導することによって、そのサイズをより大きく作ってくれて、前記前処理器ハウジング111の内壁1111に乗って流れるか、または前記前処理器ハウジング111の下部に効率よく落下するようにする。
【0116】
前記第2前処理噴射手段114は前記のように前記第1前処理噴射手段112により噴射されて排気ガス内のPMなどの有害物質を捕集した状態である洗浄液のサイズを増加させるために前記第1前処理噴射手段112が噴射する洗浄液に比べてその粒径の大きい洗浄液を噴射してくれることが好ましい。具体的に、前記第2前処理噴射手段114は前記洗浄液を粒径が500~1,000μmである液滴形態に噴射することが好ましい。
【0117】
図14及び
図15を参照すると、本発明の一実施形態で、前記第2前処理噴射手段114は棒型の噴射胴体1141と、前記噴射胴体1141で一定間隔で並んで分枝された多数個の噴射台1142と、各前記噴射台1142に一定間隔で形成された多数個の噴射口1143を含んでいる。前記噴射胴体1141は洗浄液供給手段(図示せず)から前記洗浄液流入部1114を通じて洗浄液と圧縮空気の供給を受けることができる。前記噴射胴体1141は洗浄液を圧縮空気と共に供給を受けて各前記噴射台1142に伝達し、前記噴射口1143は洗浄液を前記排気ガスに向けて噴射する。
【0118】
前記第2前処理噴射手段114は、前記第1前処理噴射手段112に比べて前記洗浄液を噴射する噴射口1143がより緻密に配置された構造を形成しているが、これは前記撹拌手段113を経て前記流動経路を螺旋形に進行している排気ガスに向けて死角領域無しで洗浄液を均等に噴射することに有利なためである。
【0119】
前記第1前処理噴射手段112と関連して前述したように、前記第2前処理噴射手段114の具体的な形態と配置なども前記第2前処理噴射手段114の噴射容量及び前記前処理器11の全体的な長さ設計などによって変わることができる。
【0120】
前記連結部12は、前記前処理器11で一次的に有害物質が減縮された排気ガスである前処理ガスを前記後処理器13に移動させる部分である。
図6から
図8を参照すると、前記連結部12は一端が前記前処理器ハウジング111の前処理ガス流出部1113と連通し、他端が前記後処理器ハウジング131の前処理ガス流入部1312と連通した通路を含む。
【0121】
前記後処理器13は、前記前処理器11により一次的に有害物質が減縮された排気ガスである前処理ガス内の有害物質を追加的に除去する役割を遂行する。
図5から
図8及び
図16を参照すると、前記後処理器13は後処理器ハウジング131、拡散手段132、パッキング133、パッキング支持手段134、第1後処理噴射手段135、第2後処理噴射手段136、気水分離手段137、洗浄手段138、水滴遮断手段139を含む。
【0122】
前記後処理器ハウジング131は前記後処理器13の外形を形成し、内部に前記前処理ガスの流動経路を形成する部分である。前記後処理器ハウジング131は、内壁1311、前処理ガス流入部1312、後処理ガス流出部1313、及び洗浄液流出部1315を含む。
図6及び
図16に示すように、本発明の一実施形態で、前記後処理器ハウジング131は円筒形タワーで形成されており、下部の一側を通じて流入した前処理ガスを上方向に移動させ、前記前処理ガス内の有害物質が追加的に除去できる流動経路を形成する。
【0123】
前記内壁1311は、前記後処理器ハウジング131の内部に前記前処理ガスの流動経路を形成する部分である。
図6及び
図16を参照すると、前記内壁1311は前記後処理器ハウジング131の内部に前記排気ガスの流動経路を円筒形に形成している。
【0124】
前記前処理ガス流入部1312は、前記後処理器ハウジング131の内部に前処理ガスが流入する部分である。
図6から
図8及び
図16に示すように、前記前処理ガス流入部1312は前記後処理器ハウジング131の下部の一側に形成されており、前記前処理ガス流入部1312を通じて流入した前処理ガスは前記内壁1311が形成する円筒形の流動経路に沿って上部に移動するようになる。
【0125】
前記後処理ガス流出部1313は前記後処理器13で追加的に有害物質が除去された前処理ガスである後処理ガスが排出される部分である。
図6から
図8及び
図16に示すように、前記後処理ガス流出部1313は前記後処理器ハウジング131の上部に形成されており、前記後処理ガス流出部1313を通じて排出される後処理ガスは排気ガスから有害物質の除去が前記前処理器11及び前記後処理器13によりなされたもので大気に放出できる。
【0126】
前記洗浄液流入部1314は、前記後処理器13の内部から噴射されるための洗浄液が流入する部分である。
図6及び
図16を通じて確認できるように、前記洗浄液流入部1314は後述する第1後処理噴射手段135、第2後処理噴射手段136、及び洗浄手段138に各々連結または形成されている。
【0127】
前記洗浄液流出部1315は、前記前処理ガス流入部1312を通じて前記後処理器ハウジング131の内部に流入した前処理ガス内の有害物質除去のために前記第1後処理噴射手段135または前記第2後処理噴射手段136により噴射された洗浄液が排出される部分である。
図6から
図8及び
図16を通じて確認できるように、前記洗浄液流出部1315は前記後処理器ハウジング131の下端に形成されているが、前記洗浄液流出部1315を通じて前記第1後処理噴射手段135及び前記第2後処理噴射手段136により噴射された洗浄液が前記前処理ガス内の有害物質を捕集して前記後処理器ハウジング131の下端に移動して外部に排出できるようになる。前記洗浄液の円滑な排出のために前記後処理器ハウジング131の下端は前記洗浄液流出部1315に向けて収束する形態に形成されることが好ましい。
【0128】
前記拡散手段132は、前記後処理器ハウジング131の内部のうち、前記前処理ガス流入部1312に隣接配置されて前記前処理ガス流入部1312を通じて流入する前処理ガスを拡散させる部分である。
図17から
図19を参照すると、前記拡散手段132は前記前処理ガス流入部1312の前方に離隔した状態で配置されているが、胴体1321及び締結部1322を含んでいる。
【0129】
前記胴体1321は、前記前処理ガス流入部1312の前方をカバーしながら配置され、かつ前記前処理ガスが通過できる拡散部1321aを有する部材である。前記胴体1321は板形部材で形成できる。
図18及び
図19に示すように、前記胴体1321は全体的には前記前処理ガス流入部1312の前方を垂直にカバーする形態に形成され、かつ前記胴体1321の上端と下端が前記前処理ガス流入部1312側に傾斜または屈曲した形態に形成できる。
【0130】
より詳しく説明すると、前記胴体1321の上端は前記前処理ガス流入部1312側に上方向傾斜して形成され、前記胴体1321の下端は前記前処理ガス流入部1312側に下方向傾斜して形成されている。前記胴体1321のこのような形状を通じて前記前処理ガス流入部1312を通じて流入する前処理ガスが前方及び上下部に均等に拡散できるようになる。前記胴体1321は上端と下端のみ傾斜または屈曲した形態でなく、全体的に屈曲した形態に形成されることもできる。
【0131】
前記拡散部1321aは多数個の通孔を含むことができるが、前記拡散部1321aは均一に形成された多数個の通孔で形成できる。しかしながら、前記拡散部1321aが通孔に限定されるのでななく、前記拡散部1321aはスリットなどの形態になされることもできる。
【0132】
前記胴体1321の面積や形状、前記拡散部1321aのサイズや形態、個数などは前記後処理器13の処理容量などによって変わることができる。
【0133】
前記締結部1322は、前記後処理器ハウジング131の内部に形成された固定部1311bに締結されることによって、前記拡散手段132が前記後処理器ハウジング131の内部に固定できるようにする部分である。
図17及び
図18を参照すると、前記締結部1322は前記胴体1321の左右側端から前記前処理ガス流入部1312側に垂直延長または折り曲げられた形態に形成されているが、ボルトなどの締結手段により前記後処理器ハウジング131の内部に形成された固定部1311bに締結されることによって前記拡散手段132が前記後処理器ハウジング131の内部に固定できるようにする。
【0134】
前記前処理器11により一次的に有害物質の減縮がなされた排気ガスである前処理ガスは、前記撹拌手段113によりその流動経路が螺旋形に変更された状態であるので、前記前処理ガス流出部1312に流出して前記連結部12を経て前記前処理ガス流入部1312に流入する時にもある程度の回転エネルギーを有している状態である。したがって、前記後処理器ハウジング131の内部に進入しながら前記後処理器ハウジング131の内壁1311のうち、前記前処理ガス流入部1312側にその流れが集中するようになり、前記後処理器ハウジング131の内部に形成された前処理ガスの流動経路に均一に分散できない。
【0135】
前記拡散手段132は、前記前処理ガスが前記後処理器ハウジング131の内部に流入する時の断面積を狭くしてノズルのような役割を遂行することによって、前記前処理ガスが前記後処理器ハウジング131の内部に均一に拡散できるようにする。これを通じて前記前処理ガスが前記後処理器ハウジング131の内部に形成された前処理ガスの流動経路上に均等に分散できるようになる。即ち、前記拡散手段132を通じて前記パッキング133に流入する前処理ガスを均等に分散されるようにして前記パッキング133での前処理ガスのSOxの吸収効率を高めるようになり、その他の有害物質の捕集効率も向上させることができるようになる。
【0136】
一方、
図17及び
図18に示すように、前記拡散手段132は前記前処理ガス流入部1312の前方に2つが連続配置されているが、これを通じて前記拡散手段132による拡散がより均一になされるようにすることができる。
【0137】
前記パッキング(packing)133は後で説明する第1後処理噴射手段135及び第2後処理噴射手段136が噴射する洗浄液と前記前処理ガスの接触面積を大きくするための部分である。前記パッキング133は、前記後処理器ハウジング131の内部のうち、前記拡散手段132の上部、前記前処理ガスの流動経路上に配置されて前記前処理ガスと前記洗浄液の気/液接触面積を増やすことによって、海水またはアルカリ添加剤を含有した淡水などからなる洗浄液を通じての前記前処理ガス内の有害物質であるSOxの溶解が円滑になされることができるようにする。
【0138】
前記パッキング133の多数の充填材が集まっている構造をなすが、前記充填材は、鉄鋼(steel)、セラミック、プラスチック材質などで作られたものが使われることができる。また、前記パッキング133の形態は一定のパターン無しで充填材が集まっているランダム(random)パッキングと、一定のパターンがあるストラクチャード(structured)パッキングなどが適用できる。前記パッキング133は前記後処理器13の処理容量及び長さ設計などによってその種類と形態は変わることができる。
【0139】
前記パッキング支持手段134は、前記パッキング133を下部から支持し、かつ前記前処理ガスを拡散させる部分である。
図20及び
図21を参照すると、前記パッキング支持手段134は前記前処理ガスの流動経路をカバーし、前記後処理器ハウジング131の内壁1311に内側に突出形成された段差部1311aにその縁部が安着し、上部に置かれるパッキング133を支持する。本発明で、前記パッキング支持手段134は前記前処理ガスを前記パッキング133の下部で拡散させてくれる拡散機能を有していることを特徴とする。
【0140】
前記パッキング支持手段134は、前記前処理ガスが通過できるように形成された貫通部134a及び前記パッキングを支持する支持部134bを含んでいる。具体的に、前記支持部134aは交差構造を有するストランドであり、前記貫通部134aは前記支持部134bにより形成された通孔で形成されたことを特徴とする。即ち、前記パッキング支持手段134は交差構造を有する支持部134bによりメッシュ構造の貫通部134aを形成している。このようなメッシュ構造を通じて抵抗を低めることによって、前記前処理ガスの圧力損失を減らすことができる。
【0141】
前記パッキング支持手段134は前記拡散部134aの比率、即ち、メッシュ構造の通孔の比率を増やすことにより一般的なメッシュ構造に比べて前記前処理ガスの通過面積を増加させて前処理ガスの圧力損失を最小化することが好ましいが、具体的に、前記拡散部134aの面積と前記支持部134bの垂直投影面積が2~4対1程度に形成されることが好ましい。
【0142】
一方、
図20に示すように、前記支持部134bは少なくとも一部分がツイストされた構造を有することを特徴とすることが好ましい。前記支持部134bがこのようにツイストされた構造を有する場合、前記貫通部134aを通過する前処理ガスのうち、前記支持部134bに触れる前処理ガスは、前記ツイストされた方向に沿ってその進行方向を転換するようになる。その結果、前記前処理ガスがより広範囲に拡散できるようになり、より均一で、かつ活発な前処理ガスの分散及び拡散がなされるようになる。
【0143】
本発明で、前記パッキング支持手段134は単純に前記パッキング133を支持する役割に止まらず、前記パッキング133に流入する前処理ガスを前記パッキング133の下部全体面積に均等に分散されるようにする。その結果、前記パッキング支持手段134を通じて前記パッキング133での前処理ガスのSOxの吸収効率を高めるようになり、その他の有害物質の捕集効率も向上させることができるようになる。
【0144】
また一方、前記パッキング支持手段134は山部1341と谷部1342が連続して並んで繋がる屈曲構造を有することが好ましい。並んで連続して繋がる屈曲構造は、断面積対比支持力を向上させるので、前記パッキング133が前記山部1341により更に安定的に支持できるようにする。延いては、このような構造は前記パッキング133に向けて進行する前処理ガスの圧力が前記パッキング支持手段134に均一に分散できるようにすることによって、前記パッキング133の下部から前記パッキング133に向けて流動する前処理ガスが前記パッキング133の下部に全体的に均一に拡散されるようにする。
【0145】
前記第1後処理噴射手段135は、前記後処理器ハウジング131の内部のうち、前記前処理ガスの流動経路上に配置されて前記前処理ガスに向けて洗浄液を噴射する部分である。前記第1後処理噴射手段135は、前記パッキング133の上部に配置されて前記パッキング133に向けて洗浄液を噴射する。
【0146】
図16、
図22及び
図23を参照すると、本発明の一実施形態で、前記第1後処理噴射手段135は棒型の噴射胴体1351と、前記噴射胴体1351から一定間隔で並んで分枝された多数個の噴射台1352と、各前記噴射台1352に一定間隔で形成された多数個の噴射口1353を含んでおり、前記噴射胴体1351を通じて各前記噴射台1352に洗浄液と圧縮空気を供給する洗浄液供給手段(図示せず)をさらに含むことができる。前記洗浄液供給手段(図示せず)が供給する洗浄液及び圧縮空気は、前記洗浄液流入部1314を通じて前記噴射胴体1351に供給される。前記噴射胴体1351は洗浄液を圧縮空気と共に供給を受けて各前記噴射台1352に伝達し、前記噴射口1353は洗浄液を前記排気ガスに向けて噴射する。
【0147】
前記第1後処理噴射手段135の具体的な形態と配置などは、前記第1後処理噴射手段135の噴射容量及び前記後処理器13の全体的な長さ設計などによって変わることができる。
【0148】
前記第2後処理噴射手段136は、前記後処理器ハウジング131の内部のうち、前記前処理ガスの流動経路上に配置されて前記前処理ガスに向けて洗浄液を噴射し、かつ前記第1後処理噴射手段135と独立的に作動することを特徴とする。このような独立的な作動は、
図21に示すような制御部Cの制御によりなされることができる。前記制御部Cは、前記第1後処理噴射手段135及び前記第2後処理噴射手段136の洗浄液噴射が独立的になされることができるように制御を遂行する。
【0149】
図16、
図22及び
図23を参照すると、本発明の一実施形態で、前記第2後処理噴射手段136は、棒型の噴射胴体1361と、前記噴射胴体1361から一定間隔で並んで分枝された多数個の噴射台1362と、各前記噴射台1362に一定間隔で形成された多数個の噴射口1363を含んでおり、前記噴射胴体1361を通じて各前記噴射台1362に洗浄液と圧縮空気を供給する洗浄液供給手段(図示せず)をさらに含むことができる。前記洗浄液供給手段(図示せず)が供給する洗浄液及び圧縮空気は、前記洗浄液流入部1314を通じて前記噴射胴体1361に供給される。前記噴射胴体1361は洗浄液を圧縮空気と共に供給を受けて各前記噴射台1362に伝達し、前記噴射口1363は洗浄液を前記排気ガスに向けて噴射する。
【0150】
前記第2後処理噴射手段136の具体的な形態と配置などは、前記第1後処理噴射手段135と関連して説明したように、前記第2後処理噴射手段136の噴射容量及び前記後処理器13の全体的な長さ設計などによって変わることができる。
【0151】
前記第2後処理噴射手段136が前記第1後処理噴射手段135と独立的に作動するということは、前記第2後処理噴射手段136は前記第1後処理噴射手段135と選択的に、または同時に洗浄液が噴射できることを意味する。したがって、エンジンの負荷によって燃焼により生成された排気ガス及び前記前処理器11から流入する前処理ガスの量が変化する時、それに対応して適切な洗浄液の噴射がなされるようにすることができ、その結果、前記後処理器13の経済的な作動がなされるようになる。
【0152】
前記第2後処理噴射手段136は前記第1後処理噴射手段135の上部に一定間隔離隔して配置されている。前記第2後処理噴射手段136と前記第1後処理噴射手段135が前記前処理ガスの流動経路のうち、同一な水平面上に配置される場合、前記前処理ガスの流動を妨害する抵抗が大きくなるので、前記第2後処理噴射手段136と前記第1後処理噴射手段135はこのように互いに異なる高さに配置されることが好ましい。
【0153】
また、延いては前記第1後処理噴射手段135と前記第2後処理噴射手段136は互いに異なる高さに配置され、かつ前記前処理ガスの流動経路上に垂直投影時、互いに交差する形態に配置されることがより好ましい。このような配置を通じて前記前処理ガス流動経路上の前処理ガスに死角領域無しで均等に洗浄液が噴射できるようになり、前処理ガス内の有害物質除去がより効率よく進行できるようになる。
【0154】
ここで、前記第1後処理噴射手段135及び前記第2後処理噴射手段136が噴射する洗浄液を通じて前記前処理ガス内の有害物質が除去されるメカニズムを説明すると、次の通りである。
【0155】
前記前処理ガスは酸性物質である硫酸化物(SOx)及びPMなどの有害物質を含むが、前記第1後処理噴射手段135及び前記第2後処理噴射手段136はこのような有害物質を中和乃至凝集して除去するために洗浄液を噴射する。一般的に、0.1~0.5μmのPMが先に微細水滴(100~200μm)により凝集されてサイズが大きくなる。また、酸性の硫酸化物(SOx)を中和させるために塩基性の洗浄液が必要であるが、淡水を使用する場合には別途のアルカリ性添加剤を入れて中和反応を誘導する。
【0156】
この際、前記アルカリ性添加剤はNaOH(水酸化ナトリウム)、Na2CO3(炭酸ナトリウム)またはNaHCO3(中炭酸ナトリウム)などが可能である。NaOHを添加した洗浄液による硫酸化物(SOx)の中和反応は、次の通りである。
SO2(g)+2NaOH(aq)+(1/2)O2(g) → 2Na++SO4
2-+H2O
【0157】
しかしながら、前述したように本発明が船舶に適用される場合には塩水である海水(Sea Water)を洗浄液に使用することもできる。一般的に、海水は塩化ナトリウム(NaCl)、塩化マグネシウム(MgCl2)、塩化カリウム(KCl)などの塩分を含むが、これらが溶けて生じるCl-、SO4
2-、Br-などの陰イオンによってpHが7.8~8.3程度の弱塩基性を帯びるようになる。したがって、このような海水を洗浄液に使用すれば、別途のアルカリ性添加剤の投入無しで硫酸化物(SOx)の中和が可能であるという利点がある。
【0158】
この際、海水による中和反応式は次の通りであるが、まず気体状態の二酸化硫黄(SO2)水と混合される。
SO2(g)+H2O(l) ←→ H2SO3(aq)
【0159】
次に、海水内の塩基と反応するようになるが、これは次の通りである。
2H2SO3(aq)+OH- ←→ 2HSO3
-
(aq)+H+
(aq)+H2O(aq)
2HSO3
-
(aq)+OH-
(aq)←→ 2SO3
2-
(aq)+H+
(aq)+H2O(aq)
【0160】
即ち、二酸化硫黄が海水に吸収されて前記反応を経て硫酸塩となる。
【0161】
前記気水分離手段137は、前記後処理器ハウジング131の内部のうち、前記第2後処理噴射手段136の上部に配置されて前記第2後処理噴射手段136を経て前記前処理ガスの流動経路を流動する微細液滴を分離する役割を遂行する部分である。前記気水分離手段137は、前記後処理器ハウジング131の内壁1311に内側に突出形成された段差部1311aにその縁部が安着する方式などにより配置される。
【0162】
前記気水分離手段137は、前記前処理ガスと洗浄液が出会って生成されるエアゾール形態の液滴またはミスト(mist)を分離、濾過、回収する役割を遂行するが、垂直方向の断面がジグザグ形態に表れるブレード(blade)が一定間隔で多数個配置される形態に構成できる。その他にも前記気水分離手段137は前記後処理器13の設計や温度及び化学的特性などによって具体的な形態などが変わることができる。
【0163】
前記洗浄手段138は前記後処理器ハウジング131の内部のうち、前記第2後処理噴射手段136の上部及び前記気水分離手段137の下部に配置されて前記気水分離手段137に向けて洗浄液を噴射する部分である。
【0164】
図16、
図24及び
図25を参照すると、本発明の一実施形態で、前記洗浄手段138は、棒型の噴射胴体1381と、前記噴射胴体1381から一定間隔で並んで分枝された多数個の噴射台1382と、各前記噴射台1382に一定間隔で形成された多数個の噴射口1383を含んでおり、前記噴射胴体1381を通じて各前記噴射台1382に洗浄液と圧縮空気を供給する洗浄液供給手段(図示せず)をさらに含むことができる。前記洗浄液供給手段(図示せず)が供給する洗浄液及び圧縮空気は、前記洗浄液流入部1314を通じて前記噴射胴体1381に供給される。前記噴射胴体1381は、洗浄液を圧縮空気と共に供給を受けて各前記噴射台1382に伝達し、前記噴射口1383は洗浄液を前記気水分離手段137に向けて噴射する。
【0165】
前記気水分離手段136は、前処理ガス内のPMなどの有害物質を捕集した状態の微細液滴またはミストを分離、濾過、回収する過程で汚染または閉塞されることがあるが、前記洗浄手段138は前記気水分離手段137が洗浄液により洗浄されるようにすることによって、前記気水分離手段136の汚染及び閉塞を防止してくれる。
【0166】
また、前記洗浄手段138は洗浄液を噴射して前記気水分離手段137により分離された微細液滴またはミストのサイズを増やすことによって、有害物質を捕集した微細液滴またはミストの大きい液滴となって前記後処理器ハウジング131の下部に効率よく落下するか、または前記後処理器ハウジング131の内壁1311に乗って下部に流れることができるようにする。
【0167】
前記水滴遮断手段139は、前記後処理器ハウジング131の内壁1311を通じて上昇して前記後処理ガス流出部1313に流出する水滴を遮断する役割を遂行する部分である。
図16、
図26及び
図27を参照すると、前記水滴遮断手段139は遮断壁1391を含んでいる。また、前記水滴遮断手段139は前記後処理ガス流出部1313付近で水滴を捕集する捕集空間1392を形成して水滴が外部に流出することを防止してくれる。前記捕集空間1392は、捕集された水滴が下部に落下できる形態に形成される。
【0168】
前記後処理ガス流出部1313は、前記後処理器ハウジング131の上部に上方向に形成されているが、前記水滴遮断手段139は前記後処理ガス流出部1313の縁から下方向に延びた遮断壁1391を含んでいる。前記遮断壁1391は、前記後処理器のハウジング131の上端内壁の間に捕集空間1392を形成してくれる。前記後処理器のハウジング131の上端内壁1311は、前記後処理ガス流出部に向けて収束し、傾斜した形態に形成されているが、前記遮断壁1391は前記捕集空間1392の効率的形成と液滴の外部排出の効率よい遮断のために垂直下方向に延長されたことを特徴とすることが好ましい。
【0169】
前記前処理ガスは、前記後処理器13の内部に形成された前処理ガスの流動経路に沿って上昇し、有害物質が追加的に除去されながら後処理ガスになって前記後処理ガス流出部1313を通じて外部に排出される。この過程で、前処理ガス内の有害物質を捕集した洗浄液からなる水滴のうちの一部は前記後処理器ハウジング131の内壁1311に乗って上昇して前記後処理器流出部1313に向けて移動するようになる。
【0170】
前記後処理器ハウジング131の上端内壁1311に乗って前記後処理ガス流出部1313の縁付近まで移動した水滴は前記遮断壁1391にかかるようになる。また、前記遮断壁1391と前記後処理ガス流出部1313の周囲の後処理器ハウジング131の内壁1311の間に水滴が互いに凝集できるようにしてくれる捕集空間1392が形成されるので、前記捕集空間1392で水滴が凝集してそのサイズと重さが増加して、前記後処理器ハウジング131の下部に落下できるようになる。
【0171】
このように、前記水滴遮断手段139は前処理ガス内の有害物質を捕集した水滴が前記後処理器流出部1313を通じて外部に排出されることを遮断し、前記後処理器ハウジング131の下部に分離されて落下するようにする。
【0172】
次に、第2実施形態に従う排気ガス処理装置1bに関して説明する。
【0173】
図28を参考すると、エンジンやボイラーから出た排気ガスは、硫酸化物(SOx)、硝酸化物(NOx)、粒子性物質(Particular Matter、以下PM)などの有害物質を含んだまま第2実施形態に従う排気ガス処理装置1b内に入るが、第2実施形態に従う排気ガス処理装置1bは前記有害物質を減縮する多数の手段が段階的に備えられたハウジング171を含むことができる。
【0174】
図29及び
図30を参考すると、前記ハウジング171は中空の巨大な筒の形態にさまざまな形状がありうるが、一般的には円筒形のハウジング171が多いが、側面にハウジング171の外観を形成する内壁面1711を、下部に排気ガスが入るガス流入部1712と噴射された洗浄液が抜ける洗浄液流出部1715を、上部に排気ガスが出るガス流出部1713を含むことができる。
【0175】
前記内壁面1711は上下にまっすぐに展開される垂直面1711aと、前記ガス流出部1713付近で前記垂直面1711aから中央に折り曲げられ、延長形成された傾斜面1711bを含むことができるが、前記内壁面1711は後述する噴射手段173などから流入した洗浄液が排気ガスの流動に沿って乗って上がる機能を有することもある。
【0176】
前記ガス流入部1712は、前記ハウジング171の内側に突出して後述する拡散手段172の一側と連通するガス流入管1712aを含むことができるが、さまざまな形態がありうるが、一般的には内部が空いている中空の円筒形に構成されて排気ガスが流入できる通路の機能をする。
【0177】
前記洗浄液流出部1715は有害物質を洗浄しながら下りた洗浄液がハウジング171の外部に排出される個所であって、前記ハウジング171の底面の一側から下部に一定長さだけ延長形成される洗浄液流出管1715aを含むことができるが、洗浄液の排出のために内部が空いている中空の円筒形に形成された場合が多い。船舶に設置される場合には船体が左右に傾くローリング(rolling)現象及び前後に傾くピッチング(pitching)現象のため、別途の底面傾斜無しで船舶の傾きによって一側に溜まっている洗浄液の円滑な排出が可能である。
【0178】
前記ガス流出部1713は第2実施形態に従う排気ガス処理装置1b内で有害物質を除去した清浄ガスが大気中に放出される個所であって、清浄ガスが排出できるように大きな孔が空いているが、後述する水滴遮断手段178と連通して前記内壁面1711に乗って上昇する水滴を遮断することもできる。
【0179】
次に、
図29から
図58を参考して前記排気ガス処理装置1bのハウジング171の内部に流入した排気ガスを段階別に洗浄して終局には硫酸化物(SOx)と粒子性物質(PM)が除去された清浄ガスを排出させる多様な手段に対して説明する。
【0180】
まず
図29及び
図30を参考して概略的に説明すると、前記排気ガス処理装置1bは前記ガス流入部1712の上に位置して排気ガスをハウジング171の内部に均等に分布させる拡散手段172と、その上側に洗浄液を噴射する噴射手段173、前記噴射手段173の上側に排気ガスを広める分配手段174、その上に複数の噴射手段が並列に羅列された多重噴射手段175、前記多重噴射手段175の上に排気ガスの螺旋流れを誘導する水滴分離手段176、前記水滴分離手段176の下部で分離された水滴を捕集する水滴捕集手段177、そして、前記ガス流出部1713付近で内壁面1711に乗って上がる水滴を落下させる水滴遮断手段178を含むことができる。
【0181】
図31乃至
図34を参考すると、前記拡散手段172は前記ガス流入部1712から流入する排気ガスをハウジング171の内に均等に分散させる機能を有するが、上に行くほど広くなる上広下狭形状のガス拡散器1721と、前記ガス拡散器1721の内側に溜まっている洗浄液を排気ガスの流動妨害無しで排出する排出路1722を含むことができる。
【0182】
図31及び
図32を参考すると、前記ガス拡散器1721はその内部が空いている薄い上広下狭の形状に構成して内側面1721aと外側面1721b、前記2つの面(1721a、b)の境界となる縁部1721及び前記外側面1721bの周りに沿ってガス拡散器1721の外側に延長形成される遮断部11721dを含むことができる。
【0183】
前記外側面1721bは、前記ガス流入部1712を通じて入った排気ガスが乗って上がってハウジング171の内部に広く分散される機能を有する。
【0184】
従来技術にもガス拡散器をガス流入部の上側に具備している場合がたびたびあったが、上に行くほど幅が狭くなる下広上狭形状を有して落下する洗浄液がガス拡散器の表面に沿って流れながら排気ガスの流れを妨害した。そして、これにより排気ガスの圧力損失が発生して排気ガス処理装置の全体の機能を弱化させる短所があった。また前記下広上狭形状は三角錐乃至円錐の形態を有する場合が多かったが、ガス流入部から流入した排気ガスが前記錐の下側面に触れた後に迂回してハウジングの内部に広く広めながら上部に上がる流動を形成するので、大きい圧力損失を引き起こすこともあった。排気ガス処理装置は単位高さ当たりどれだけの圧力損失があるか(mmAq/m)が数値化されて性能を示す指標に使われるだけに、重要な事項であるにも関わらず、従来技術は前記のような構成のガス拡散器によって圧力損失が莫大であった。
【0185】
したがって、本発明によるガス拡散器1721は上に行くほど広くなる形状を含んでガス流入部1712を通じて入った排気ガスが前記ガス拡散器1721の外側面1721bに沿って徐々に広くなるにつれて、自然に上昇することによって圧力損失無しでも排気ガスをハウジング171の内部に広く分散させることができる。特に、前記上広下狭形状のガス拡散器1721は逆円錐形の形状を含むことが好ましい。
【0186】
前記内側面1721aは後述する噴射手段173から噴射された洗浄液が捕集されて流れ落ちて下に集まる機能を有するが、これにより前記ガス拡散器1721の外側面1721bに沿って上昇する排気ガスの流動を妨害しないので圧力損失を防止することができる。
【0187】
前記遮断部1721dは、前記外側面1721bの周りに沿って外側に延長形成される構成であって、前記縁部1721cの下に位置するが、水平に展開される第1面172d-1と上下に展開される第2面1721d-2を含むことができる。
【0188】
図33を参考すると、前記排気ガス処理装置1bが船舶に使われて船体が波により前後に傾くピッチング(pitching)現象や、カーブなどにより左右に傾くローリング(rolling)現象を確認することができる。この際、ハウジング171も共に前後左右に傾けるようになるが、この瞬間にガス拡散器1721やはり傾けて外側面1721bが垂直以上に移れば、後述する噴射手段173から噴射された洗浄液がガス流入部1712に入ることがある。このように、ガス流入部1712に入った洗浄液が逆流してエンジンEやボイラーBにまで入ると、機器故障などの重大な事態を誘発する虞がある。したがって、このような現象を防止するために、前記遮断部1721dが船舶のサイズ、ローリング(rolling)、及びピッチング(pitching)角度などを考慮したサイズに設計されなければならない。より具体的には、前記第1面1721d-1の長さと第1面1721d-2の長さを変更することによって、外側面1721bから外側に突出する程度を調節して船体が傾ける時も洗浄液がガス流入部1712に逆流することを防止する。この際、前記外側面1721bが展開される角度やはりローリング及びピッチングなどを考慮して設計されることが好ましい。
【0189】
また、前記ローリング及びピッチングが発生する時、遮断部1721dに溜まっている洗浄液がガス流入部1712でないハウジング171の底にこぼれるように作ることができる。このために、前記第2面1721d-2の展開角度をローリング及びピッチングを考慮して設計する。
【0190】
前記排出路1722は前記ガス拡散器1721の内側面1721aで捕集された洗浄液があふれこぼれることを防止するためにハウジング171の底面に排出する機能を有する構成であって、前記ガス拡散器1721の下側で内側面1721aと連通して形成される。この際、排出路1722は前記ガス流入部1712がハウジング171の内側に突出し、延長形成されたガス流入管1712aの内側に長く延長形成されるが、洗浄液の排出のためにガス流入管1721aの内側面と連通した排出口1722aを含むことができる。この場合、前記排出口1722aが前記ガス流入管1712aの一側に形成されるために前記排出路1722は前記ガス拡散器1721の下側からガス流入管1712aの内側面まで傾いた形態に延長形成される。
【0191】
前記排出路1722から排出された洗浄液はハウジング171の底面に溜まるようになるが、ここに集まった洗浄液はハウジング171の底の一側から下に所定の角度に伸びる洗浄液流出部1715を通じて排気ガス処理装置1bの外部に放出される。この際、前記洗浄液流出部1715が一側のみに偏って形成され、ハウジング171の底面に別途の傾斜面が無しでも船舶の運行過程で波や加減速などによって船体が前後に傾くピッチング(pitching)現象及び回転などにより船体が左右に傾くローリング(rolling)現象などによりハウジング171の全体が傾けるようになるので、洗浄液の円滑な排出が可能で、底面に過度に蓄積される現象を防止することができる。このように、ハウジング171が傾いた様子は
図33でより詳細に確認可能である。
【0192】
図34を参考すると、このような構成により前記ガス拡散器1721の内側面1721aに捕集された洗浄液が前記ガス流入管1712aを通過する排気ガスの流れに影響を与えないので圧力損失を防止しながら落下し(点線で表示された部分)、排気ガスは構造物による圧力損失無しでハウジング171の内部に自然に分散(実線で表示された部分)される形態を確認することができる。
【0193】
図35から
図38を参考すると、前記噴射手段173は前記拡散手段172の上側から洗浄液を噴射し、硫酸化物(SOx)及びPMを含んだ排気ガスを洗浄する機能を有するが、特に洗浄液を排気ガスの流動方向の側面から噴射する側方噴射手段1731を1つ以上含むことができる。
【0194】
図35を参考すると、前記側方噴射手段1731は排気ガスに洗浄液を噴射する構成で噴射胴体1731aと噴射口1731bを含むことができる。
【0195】
前記噴射胴体1731aは洗浄液を供給する棒形態の供給管であって、ハウジング171の内壁面1711に結合されているが、ハウジング171が円筒形状の場合、噴射胴体1731aやはり円形に分布できるが、特に内側壁1711から外側に一定深さ陷入形成された空間に位置すれば、噴射手段1731自体が排気ガスの流動を遮って構造物による圧力損失も予防することができる。
【0196】
前記噴射口1731bは、前記噴射胴体1731aの一端部に形成されて洗浄液を噴射するが、側面に向けて形成されて洗浄液を側面に噴射する。
【0197】
エンジンEやボイラーBの内部で燃焼により発生した排気ガスは酸性物質である硫酸化物(SOx)及びPMなどの有害物質を含むが、前記噴射手段173はこのような有害物質を中和乃至凝集して除去するための洗浄液を噴射する。一般的に、0.1~0.5μmのPMがまず微細水滴(100~200μm)により凝集されてサイズが大きくなる。また、酸性の硫酸化物(SOx)を中和させるために塩基性の洗浄液が必要であるが、淡水を使用する場合には別途のアルカリ性添加剤を入れて中和反応を誘導する。
【0198】
この際、前記アルカリ性添加剤はNaOH(水酸化ナトリウム)、Na2CO3(炭酸ナトリウム)またはNaHCO3(中炭酸ナトリウム)などが可能である。NaOHを添加した洗浄液による硫酸化物(SOx)の中和反応は、次の通りである。
SO2(g)+2NaOH(aq)+(1/2)O2(g) → 2Na++SO42-+H2O
【0199】
しかしながら、前記排気ガス処理装置1bが海上で運航される船舶に設置される場合には、塩水である海水(Sea Water)を使用することもできる。一般的に、海水は塩化ナトリウム(NaCl)、塩化マグネシウム(MgCl2)、塩化カリウム(KCl)などの塩分を含むが、これらが溶けて生じるCl-、SO4
2-、Br-などの陰イオンによってpHが7.8~8.3程度である弱塩基性を帯びるようになる。したがって、このような海水を洗浄液に使用すれば、別途のアルカリ性添加剤の投入無しでも硫酸化物(SOx)の中和が可能であるという利点がある。
【0200】
この際、海水による中和反応式は次の通りであるが、まず気体状態の二酸化硫黄(SO2)水と混合される。
SO2(g)+H2O(l) ←→ H2SO3(aq)
【0201】
次に、海水内の塩基と反応するようになるが、これは次の通りである。
2H2SO3(aq)+OH- ←→ 2HSO3(aq)+H+
(aq)+H2O(aq)
2HSO3(aq)+OH-
(aq) ←→ 2SO3
2-
(aq)+H+
(aq)+H2O(aq)
【0202】
即ち、二酸化硫黄が海水に吸収されて前記反応を経て硫酸塩となる。
【0203】
前記噴射手段は海水または淡水で構成された洗浄液の他にも圧縮空気をさらに含んだ2流体を噴射して洗浄液がハウジング171内に広く分散されて排気ガスと接触する面積を拡大して洗浄効率を向上させることができる。
【0204】
また、前記洗浄液及び圧縮空気は排気ガス中の硫酸化物(SOx)乃至PMなどの有害物質を洗浄する他に、排気ガス自体の温度を低めて冷却させる機能を有することもある。一般的に、エンジンE及びボイラーBで燃焼の副産物として発生する排気ガスはハウジング171に流入する時点で温度が約250~300度程度になる高温のガスである。このような高温の排気ガスをそのまま大気中に放出すれば、多くの問題が発生し、ハウジング171内のさまざまな構成が熱損傷(Heat injury)を被ることもあり、洗浄液が早く蒸発して洗浄作業に支障が生じることもある。また、高温状態では洗浄液を噴射してもPMが凝集せず、そのまま通過してしまう現象が発生することもある。したがって、前記噴射手段173はガス流入部1712を通じてハウジング171の内部に入ってきた高温の排気ガスに海水乃至淡水と圧縮空気の混合である2流体を噴射して温度を50~60度程度に冷却する機能を有する。
【0205】
前述した噴射手段173の機能は排気ガスと接触面積と接触時間が増えてこそ、より効果的に作用するが、従来の排気ガス処理装置の噴射手段は洗浄液を排気ガスの流動方向と一致するように噴射して接触面積が狭くならざるをえず、接触時間も短かった。したがって、洗浄作業及び冷却作業が効果的に遂行できないという問題が存在した。
【0206】
また、硫酸化物(SOx)及びPMを洗浄し冷却する排気ガス処理装置は、上下に5mが超えるなど、非常に長い形状をしているが、地上にいる発電所に設置される場合には大きい問題でなくても、船舶に設置される場合には大きい体積のため、船舶設計に制限となり、美観を害する。しかしながら、従来技術による噴射手段は洗浄液を排気ガス流動方向に平行に噴射して充分の接触面積を確保するために排気ガス処理装置自体をより長くさせざるをえないという問題があった。
【0207】
そして、噴射手段が洗浄液を排気ガスの流れに逆行するように上から下に噴射する場合が多かったが、この場合、排気ガスの流動を正面から妨害して莫大な圧力損失を引き起こした。前述したように、排気ガス処理装置の圧力損失程度は数値化(mmAq/m単位)されてその性能を示す指標に活用されるだけに、重要な事項であるところ、従来技術は問題が多かった。
【0208】
しかしながら、
図35から
図37で確認できるように、前記排気ガス処理装置1bはハウジング171の内部に側方噴射手段1731を含んで洗浄液と圧縮空気などを排気ガスの流動の側面から噴射することによって、ハウジング171の長さを増やさなくても排気ガスと洗浄液の充分の接触面積と接触時間を確保して硫酸化物(SOx)の中和反応及びPMの凝集、排気ガス全体の冷却反応が円滑に発生するようにする。特に、後述する分配手段174の傾斜部1741の下側に設置すれば渦流が発生する地点に洗浄液を噴射するようになることによって、排気ガスと洗浄液の活発な混合が可能である。しかも、このような冷却により温度が低くなれば、空気が収縮することによって、体積が減って相対的にPM粒子が凝集して大きくなる効果も存在する。また、側面から力を加えるので、排気ガスの流動方向に対する圧力損失が発生しない利点も存在する。好ましくは、排気ガスの流動方向に垂直に噴射することが好ましい。
【0209】
また、
図38を参考すると、洗浄液及び圧縮空気の2流体を円錘形状に分布して排気ガスとの接触面積及び接触時間を極大化して作業の効率性を増大させることもできる。
【0210】
図39から
図42を参考すると、前記分配手段174は前記噴射手段173の上側に位置するが、小さな孔である貫通孔174aが多数含まれたメッシュ構造で形成され、一側に傾いた傾斜部1741と、前記傾斜部1741の下側から下に延長形成された案内部1742を含むことができる。
【0211】
図39及び
図40を参考すると、前記傾斜部1741は上側に行くほど拡径される上広下狭の形状を帯びるが、これは排気ガスの流動を中央に引いて、傾斜部1741の下側で渦巻き流れを形成して洗浄液と混合させるためのものである。
【0212】
前記排気ガス処理装置1bは、洗浄液と排気ガスの効果的な反応のためにハウジング171の内部に均等に分散されて接触面積と接触時間を増加させなければならないが、前記拡散手段172を経た排気ガスは逆円錐形のガス拡散器1721の影響によりハウジング171の内壁面1711側に偏って上昇する傾向がある。したがって、内壁面1711側に偏向された排気ガスの上昇流れを中央に変えておくために小さな貫通孔174aをたくさん含み、かつ全体的には上側に行くほど広くなるように構成する。このような構成によりハウジング171の内壁面1711に偏向されて上昇していた排気ガスは中央側に下向き傾斜した多数の貫通孔174aを通過しながら内側に屈折して中央に流動が分散される。また、前記貫通孔174aを通じて上昇できなかった一部の排気ガスの流動は傾斜部1741の下面に衝突して下に迂回する過程で渦巻き流れ(渦流)を構成して洗浄液と排気ガスの混合が起きて硫酸化物(SOx)の中和反応及びPMの凝集反応が活発に起きて洗浄効果がより向上する。
【0213】
図39及び
図41を参考すると、前記案内部1742は中央に大きな孔である流入孔1742aを含んで排気ガスが大量に過ぎることができるように内部が空いている形状を有する。
【0214】
前述した傾斜部1741自体も内壁面1711側の排気ガス流動を中央に引く効果がある程度存在するが、より確実な機能遂行のために中央に大きな流入孔1742aを含む。このような構成により前記傾斜部1741で渦巻きながら迂回した排気ガスを中央側に均一に分配して洗浄効率を増大させる。また、垂直に形成された案内部1742はこのような分配効果がより効果的に発生できるように排気ガスの流動をガイドする。このような排気ガスの流動は
図43で確認することができる。
【0215】
図43から
図46を参考すると、前記多重噴射手段175は前記分配手段174の上側に位置し、複数個の噴射手段が上下に配列されている。
【0216】
図44を参考すると、前記多重噴射手段175は第1噴射手段1751、第2噴射手段1752、及び第3噴射手段1753を含むことができる。
【0217】
図45を参考すると、前記第1噴射手段1751は棒型の噴射胴体1751aと、前記噴射胴体1751aから一定間隔で並んで分枝された多数個の噴射台1751bと、各前記噴射台1751bに一定間隔で形成された多数個の噴射口1751cを含むことができる。
【0218】
前記噴射胴体1751aは外部から洗浄液を供給する供給管であって、ハウジング171の内壁面1711に結合されている。
【0219】
前記噴射台1751bは前記噴射胴体1751aから分枝されてより広い空間に洗浄液を噴射するための構成であって、第2噴射手段1752の噴射台1752bとは食違いに配置されて排気ガスとの接触面積を最大化することができる。また、排気ガスの死角地帯を無くして有害物質がそのまま大気中に放出されることを阻止することができる。
【0220】
前記噴射口1751cは、前記噴射台1751bの一定位置に多数個形成されて洗浄液と圧縮空気の混合体を噴射する。
【0221】
図46を参考すると、第2噴射手段1752やはり同様に噴射胴体1752a、噴射台1752b、噴射口1752cを含み、かつ前述したことと同様に各噴射台は食違いに配置される。このような構成により各噴射手段が噴射する洗浄液と排気ガスの接触面積が最大になって硫酸化物(SOx)の中和反応及びPMの凝集反応が効果的に発生することができる。
【0222】
また、前記第1噴射手段1751及び第2噴射手段1752はエンジンEやボイラーBなどの作動状態によって選択的に稼働できる。この際、前記選択的噴射のために制御部1754をさらに含んでエンジンやボイラーの駆動状態によって柔軟に対応しながら噴射を制御することができる。
【0223】
一般的に、船舶に使われるエンジンEは船舶が加減速するか、海底ボーリングのためのドリルを稼動するか、または電力システムの使用量が増加する場合など、その稼動率が常時変わる。また、ボイラーBも日が蒸し暑い夏にはほとんど使用できない一方、日が寒い冬のような場合には船員の体温維持及び貨物の温度調節のためにたくさん用いられるなど、時間によって稼動量が変わる。このように、エンジンEやボイラーBの稼動状態は続けて変わるが、これは燃料の燃焼量が変わることを意味する。そして、燃料の燃焼量が変われば燃焼により発生する排気ガスも発生量を異にする。このように、排気ガスの排出量が変われば硫酸化物(SOx)とPMなどの有害物質の量やはり変わる。
【0224】
しかしながら、排気ガスの排出量が減っても排出ガス処理装置1bの洗浄液噴射量が一定であれば、不必要な洗浄液が噴射されているものである。洗浄液の噴射のためにはポンプを稼動しなければならないが、ポンプは電力で稼働されるものであるので、不必要な噴射は不必要な電力の浪費を意味する。また、pH8.3位の弱塩基性である海水(Sea Water)を用いた洗浄液を噴射する場合とは異なり、淡水を用いて洗浄液を作る場合にはアルカリ性添加剤を入れなければならないが、不必要な洗浄液が噴射される場合は、アルカリ性添加剤も浪費されるものである。したがって、エンジンEやボイラーBの稼動状態によって変わる排気ガスの排出量に対応して洗浄液の噴射量やはり調節する必要性が存在する。
【0225】
前記排気ガス処理装置1bの多重噴射手段175は、前記第1噴射手段1751と第2噴射手段1752をエンジンEやボイラーBの稼動率によって選択的に作動させて洗浄液を噴射して前記のような問題点を解決することができる。このような構成により排気ガス排出量が少ない場合には一部の噴射手段のみ稼動して洗浄液を噴射することによって、ポンプの作動のための電力の浪費を防止し、アルカリ性添加剤を節約することができる。
【0226】
また、前記多重噴射手段175は前記第1噴射手段1751及び第2噴射手段1752の上側に第3噴射手段1753をさらに含んで排気ガス内の有害物質に対する効率よい洗浄が可能である。
【0227】
この際、前記第1噴射手段1751と第2噴射手段1752の関係と同様に第3噴射手段1753は第2噴射手段1752と食違いに配置して洗浄液と排気ガスの接触面積を拡大することによって、硫酸化物(SOx)の中和反応とPMの凝集作用をより効果的に誘導することができる。
【0228】
そして、前記第3噴射手段1753やはりエンジンEやボイラーBの稼動率によって変わる排気ガスの排出量に対応して選択的に作動して洗浄液を供給するためのポンプの電力浪費を防止し、アルカリ性添加剤を節約することができる。
【0229】
前記第1噴射手段1751、第2噴射手段1752、及び第3噴射手段1753は、海水乃至淡水で構成される洗浄液だけでなく、圧縮空気も含んだ2流体を噴射して、より早くて広く噴射されることによって遠くまで到達し、これにより硫酸化物(SOx)と洗浄液の接触時間と接触面積を増大させて中和反応が円滑に発生できるように構成することができる。また、圧縮空気による冷却作用もより効果的に起きることができる。
【0230】
図47から
図54を参考すると、前記水滴分離手段176は前記多重噴射手段175の上側に位置するが、2つの種類に大別される。
【0231】
図47を参考すると、第1タイプは洗浄液により洗浄され、上がってきた排気ガスの流動をガイドする誘導部1761と、前記誘導部1761を通じて上昇した排気ガスの螺旋流動を形成する1つ以上の水平翼1762a、前記翼1762aの上/下部で排気ガスの流動を防いで一定の方向に流す栓1764、前記水平翼1762aの上側で差圧を防止する第1陰圧防止手段1763aを含むことができる。
【0232】
図51を参考すると、第2タイプは洗浄液により洗浄されながら上がってきた排気ガスの流動をガイドする誘導部1761と、前記誘導部1761を通じて上昇した排気ガスの螺旋流動を形成するねじれ翼1762b、前記ねじれ翼1762bの上側と側面で差圧を防止する第2陰圧防止手段1763bを含むことができる。
【0233】
図47、
図48、
図51、及び
図52を参考すると、2つタイプの共通した構成である前記誘導部1761は、上に行くほど狭くなる下広上狭形状の誘導板1761aと、前記誘導板1761aの上側から上に延長形成された誘導管1761bを含むことができる。
【0234】
前記誘導板1761aは、好ましくは中空の截頭円錐型の形状であって、前記多重噴射手段175を経て上がってきた排気ガスを中央に誘導する機能を有する。この際、漏れ出る排気ガス無しで全て一側のみに送るために前記ハウジング171の断面と相応する形状の周りを有して内壁面1711に当て嵌まるように気密に構成することができる。
【0235】
前記誘導管1761bは前記誘導板1761aの上側から上に延長形成されて前記誘導板1761aにより一側に誘導された排気ガスを上に上げて送る通路の機能を有するが、このために中空の円筒形の形状に構成できる。
【0236】
図48を参考すると、第1タイプの前記水平翼1762aは後述する下板1764bの上に1つ以上備えられるが、一定の曲率を有して横たわっている。また、各水平翼1762aはその間に排気ガスが過ぎることができるように一定間隔を維持したまま離隔している。このような形状の水平翼1762aにより誘導管1761bを通じて上昇した排気ガスが側面に螺旋を描き、流動する半径流(radial flow)が誘導される。
【0237】
前記多重噴射手段175から噴射された洗浄液は排気ガスの中に小さな水滴形態に存在するが、ここには硫酸化物(SOx)、PMなどの有害物質が多数含まれている。したがって、排気ガスのように大気中に放出されることを防止しなければならないが、このために前記翼1762が排気ガスの螺旋流動を形成し、この時に発生する遠心力により相対的に重い水滴が外側に偏って内壁面1711に集まるようになることによって排気ガスと水滴の分離がなされる。
【0238】
また、全ての水平翼1762aは停止した静翼(stator)で構成できるが、圧縮機と共に回転する場合、速度が過度に速くなって排気ガスと洗浄の接触時間が充分でなくて洗浄作業の効率が落ちるためである。
【0239】
前記栓1764は、前記水平翼1762aの上側と下側を各々覆って排気ガスが出た流動を形成しないまま上下に抜けることを防止する上板1764aと下板1764bを含むことができる。前記上板1764aと下板1764bは前記水平翼1762aが円形に分布する場合、円形板の形状をなすことができる。
【0240】
前記翼1762により排気ガスが螺旋に流れるようになれば、遠心力が作用して流体が内壁面1711に偏るようになり、中心は相対的に圧力が低くなる。この場合、差圧により螺旋形流動が正しく形成できないか、または上側の空気より圧力が低くなって上昇運動に邪魔になることがある。したがって、螺旋流動の中心になる個所に質量を配置して陰圧を防止する必要性が存在する。
【0241】
したがって、前記第1陰圧防止手段1763aは前記水平翼1762aの上側に位置して排気ガスの螺旋流動による差圧を防止するが、好ましくは前記上板1764aの上で円錘形の形状を有する。これによる排気ガスの流動は
図25で確認することができる。
【0242】
図51及び
図53を参考すると、前記ねじれ翼1762bは誘導管1761bの外面に沿って1つ以上分布するが、前記誘導管1761bの外面から始めてハウジング171の内壁面1711に向けて放射状に一定の長さ延びる。この際、誘導管1761bの外面に接する根(root)面の弦(chord)が前記誘導管1761bの軸となす角度(stagger angle a);と、外側(tip)面の弦(chord)が誘導管1761bの軸となす角度(stagger angle b);は互いに異なるので全体的に捩じれた形態に構成できる。一般的には、bがaより大きく形成される。このように捩じれたねじれ翼1762bは前記誘導管1761bを抜け出した空気が螺旋を描きながら下に広まる斜流(oblique flow)を案内する。好ましくは、rootからtipに行くほど食違い角度(stagger angle)が持続的に大きくなって排気ガスの流動をより効果的に誘導する。
【0243】
図53を参考すると、前記ねじれ翼1762bは上面視して翼と翼との間に充分の空間が形成されるようにその間隔(pitch)が離隔しているが、好ましくは30度ずつ間隔をおくことができる。これにより前記誘導管1761bを抜け出した排気ガスの圧力損失を最小化し、螺旋迂回流動を作ることができる。また、全てのねじれ翼1762bは停止した静翼(stator)で構成できるが、圧縮機と共に回転する場合、速度が速過ぎて排気ガスと洗浄液の接触時間が充分でなくて、洗浄作業の効率が落ちるためである。
【0244】
前記第2陰圧防止手段1763bは誘導管1761bを通じて上昇した排気ガスが下に迂回して抜けることができるように前記ねじれ翼1762bの下部分まで延長形成されてねじれ翼1762bと誘導管1761bを全て覆うことができる。これにより排気ガス中の有害物質を含んだ洗浄液の水滴が遠心力により分離される時、下方にも力を受けて効果的な分離が可能である。前記第2陰圧防止手段1763bは排気ガスの流動のために中空の筒の形態を有するが、好ましくは円筒形の形状に差圧を効果的に防止する。または、前記第2陰圧防止手段1763bの上側に円錐型の第1陰圧防止手段1763aをさらに含むことができる。このような構成による排気ガスの螺旋迂回流動は
図54でより詳細な確認が可能である。
【0245】
図55及び
図56を参考すると、前記水滴捕集手段177は前記水滴分離手段176の下で排気ガスから分離された水滴を捕集する構成で前記誘導管1761bを覆いかぶせながらハウジング171の断面と同一な形状を有する隔板1771、前記誘導板と同一な構成またはそれと平行に展開される傾斜板1772、前記傾斜板1772の一側から下に延長形成される落下管1773、前記落下管1773の下端部に位置した捕集筒1774を含むことができる。
【0246】
前記水滴分離手段176は排気ガス中の水滴を分離するための構成であって、遠心力を用いて硫酸化物(SOx)、PMなどの有害物質を含んだ洗浄液を内壁面1711側に偏向させる。前記分離された水滴は排気ガスの流動影響を受けてまた上昇する前に下に落下させる手段が必要であるが、同時に前記水滴が落下する通路に排気ガスが上がってくることを防止しなければならない。
【0247】
図49、
図53、及び
図55を参考すると、前記隔板1771はその周り付近に多数の貫通孔1771aを含んで前記水滴分離手段176で分離された水滴を落下させる。この際、前記排気ガス処理装置1bが船舶に設置されれば船体のローリング(rolling)及びピッチング(pitching)により隔板1771の別途傾斜無しでも水滴が貫通孔1771aに流れ込むことができる。
【0248】
前記傾斜板1772は前記隔板1771の貫通孔1771aから落ちた水滴が外側に流れることができるように所定の傾斜を維持しながら展開されるが、好ましくは円錐形状を有する。このように外側に流れた水滴を落下させるために一側に落下孔1772aを1つ以上含むが、好ましくは90度毎に1つずつ総4個を備える。
【0249】
前記落下管1773は、前記傾斜板1772の一側に形成された落下孔1772aから下に長く延長形成されて水滴をハウジング171の下部に落下させる。さまざまな形状がありえるが、前記落下孔1772aと一致する断面を有することが好ましいが、
図29の場合は落下孔1772aが三角形で構成されるので、落下管1773やはり三角柱の形状を有する。
【0250】
図55及び
図56を参考すると、前記捕集筒1774は前記落下管1773に乗って下降した水滴を捕集する筒であって、前記第3噴射手段1753より下にあるので噴射された洗浄液が常に充満しているように構成する。また、前記落下管1773が捕集筒1774の内側まで延長形成されて前記第3噴射手段1753から噴射された洗浄液に完全に浸れば、排気ガスが落下管1773に乗って上昇して水滴分離手段176を経ないで放出されることを防止することができる。
【0251】
図57及び
図58を参考すると、前記水滴遮断手段178は第1遮断手段1781と第2遮断手段1782を含むことができるが、各々前記水滴分離手段176の上側に位置し、排気ガスから分離された水滴のうちの一部が落下せず、排気ガスの流動の影響を受けてハウジング171の内壁面1711に乗って上がることを遮断して大気中に有害物質を含んだ水滴が放出されることを防止する。
【0252】
前記噴射手段173、175から噴射された海水乃至淡水で構成された洗浄液は硫酸化物(SOx)を中和させ、PMを凝集させる機能を有するので、排気ガス処理装置1bの上部に存在する洗浄液水滴は排気ガスに入っていたさまざまな有害物質を含んでいる。このような洗浄液の水滴を洗浄された排気ガスと共に大気中に放出させれば排気ガス処理装置1b自体が無意味になるところ、水滴の大気放出を防がなければならない。
【0253】
このために、前記水滴分離手段176の水平翼1762aが洗浄液水滴を含んだ排気ガスの螺旋形流れを誘導して遠心力により相対的に重い液体である水滴をハウジング171の内壁面1711側に偏向させる。または、前記水滴分離手段176の傾斜翼1762bが排気ガスを下に迂回させながら螺旋流れを誘導して遠心力により水滴が内壁面1711側の下に偏るようになる。そして、前記内壁面1711側に偏った洗浄液の水滴は重力の作用により下に落ちて、前記水滴捕集手段177により捕集されてハウジング171の底側に落下し、大気中への放出が阻止される。
【0254】
しかしながら、前記水滴捕集手段177にも関わらず、前記水滴分離手段176により分離された洗浄液の水滴の一部がハウジング171の内壁面1711に偏った後に落下せず、圧力差により上昇する排気ガス流動の影響を受けてハウジング171の上側に内壁面1711に乗って上がることもある。このように内壁面1711に乗って上昇する水滴はハウジング171の上側まで上がって大気中に放出されることもできるところ、これを遮断して有害物質の排出を防がなければならない必要性が存在する。
【0255】
図57を参考すると、このために前記内壁面1711は上下にまっすぐに展開される垂直面1711aの他に、前記ガス流出部1713付近で前記垂直面1711aから中央に折り曲げられ、延長形成された傾斜面1711bを含むことができる。前記傾斜面1711bにより排気ガスの影響により垂直面1711aに沿って上昇していた水滴をある程度遮断することができる。しかしながら、排気ガスは傾斜面1711bに出会えば、その傾斜に沿って撓んで流動するようになるので、排気ガスの影響を受ける水滴やはり傾斜面1711bに沿って上がって大気中に放出される虞が相変らず存在する。
【0256】
これを防止するために、前記第1遮断手段1781は前記傾斜面1711bの一側から下に延長形成された遮断壁1781aを含むことができる。前記遮断壁1781はガス流出部1713の境界に沿って厚い帯形態に分布するが、前記ガス流出部1713が円形の場合、遮断壁1781aは中空の円筒形状を有する。これにより内壁面1711に沿って上昇していた水滴が傾斜面1711bを経て遮断壁1781aに沿って流れて、前記遮断壁1781aの下端部でこれ以上乗って上がる面がないので重力により下に落ちる。好ましくは、前記遮断壁1781を重力が作用する方向に展開して遮断効果をより向上させることができる。このような水滴の流動は
図31でより詳細に確認することができる。
【0257】
前記第2遮断手段1782は前記第1遮断手段1781の下に位置するが、下方傾斜面1782bと更に他の遮断壁1782aを含むことができる。
【0258】
前記下方傾斜面1782bは前記ハウジング171の垂直面1711aの一側で所定の角度で中央に向けて折り曲げられるが、垂直面1711aに乗って上昇する水滴を遮断壁1782aに誘導する機能を有する。この際、水滴の円滑な誘導のために前記角度を90度より大きく形成して傾斜面が下に傾くように形成することが好ましい。
【0259】
前記遮断壁1782aは、前記下方傾斜面1782bの端から下に延長形成されるが、好ましくは重力が作用する方向に展開される。前記下方傾斜面1782bに乗って下りていた水滴が遮断壁1782aに出会って垂直に下降するようになり、遮断壁1782aの端でこれ以上乗って流れる面を喪失して重力により下に落下するようになる。
【0260】
前記2つの遮断手段1781、1782により硫酸化物(SOx)、PMなどの有害物質を含む洗浄液の水滴が清浄ガスと共に大気中に放出されることを防止することができる。
【0261】
前述した構成に基づいて、エンジンやボイラーなどで燃焼により発生した排気ガスが前記排気ガス処理装置1bを通過しながら硫酸化物(SOx)、粒子性物質(PM)などの有害物質を除去して清浄ガスに変換される過程を
図29及び
図30を参考して説明する。
【0262】
図29及び
図30を参考すると、排気ガスはガス流入部1712を通じてハウジング171の内部に入る。ガス流入管1712aの上側で拡散手段172に出会って四方に広まるようになり、引き続いて直ぐ噴射手段173で噴射された洗浄液と圧縮空気の混合体により排気ガス中のPMが凝集される。この際、前記拡散手段172により排気ガスは内壁面1712側に偏向された流動を形成するが、分配手段174に通過し、また中央に均等に分配される。ハウジング171の断面の全域に均等に分配された排気ガスは多重噴射手段175から噴射された洗浄液により硫酸化物(SOx)の中和及びPMの凝集が起こり、水滴分離手段176により形成された螺旋形流動は遠心力を用いて水滴を外側に分離する。分離された水滴は水滴捕集手段177により落下し、排気ガスは螺旋形に回りながら続けて上昇する。しかしながら、排気ガス流動の影響により落下できなくて、内壁面1711に沿って上昇する一部の水滴は遮断手段178により遮られて落下されて有害物質の大気放出が阻止される。
【0263】
前述した構成と過程を通じて排気ガスは硫酸化物(SOx)、粒子性物質(PM)などの有害物質を分離し、清浄ガスとなって大気中に放出される。
【0264】
一方、
図59には、本発明の他の実施形態に従う排気ガス処理システムを示す。
【0265】
図59に示す排気ガス処理システムは、
図1に示した実施形態と比較して、前記有害ガス除去手段6の関連構成であるレベル測定部61、流量調節部62、レベル判断部63及び措置部64を備えている。
【0266】
前記レベル測定部61は、前記有害ガス除去手段6内の洗浄液レベルを測定する役割を遂行する。前記有害ガス除去手段6内には前記排気ガス処理装置1から排出された洗浄液が一定期間留まりながら洗浄液内に気体状態で残っている有害ガスの除去がなされるようになるが、前記レベル測定部4は前記有害ガス除去手段6内に留まっている洗浄液のレベル、即ち、水位を測定して前記有害ガス除去手段6の処理容量に符合する運転がなされることができるようにする。
【0267】
前記レベル測定部61は、前記有害ガス除去手段6内の圧力に基づいて前記有害ガス除去手段6内の洗浄液レベルを測定することを特徴とすることができる。この場合、前記レベル測定部61は前記有害ガス除去手段6の内部の洗浄液のレベル変化に従う圧力変化を感知する圧力センサー、即ち、トランスデューサー(transducer)と、前記トランスデューサーから伝達された電気信号を増幅するアンプリファイア(amplifier)と、前記アンプリファイアと前記トランスデューサーを連結するコネクタなどを含むことができる。
【0268】
前記レベル測定部61は、前記のような圧力に基づいた測定方式の他にも超音波を用いた測定方式など、多様な方式を採択することができ、それによって細部的な構成は変わることができる。即ち、前記レベル測定部61が前記有害ガス除去手段6内の洗浄液レベルを測定する方式は特定方式に特別に制限されない。
【0269】
前記流量調節部62は、前記レベル測定部61の測定結果に基づいて前記有害ガス除去手段6の洗浄液排出流量を調節する役割を遂行する。前記流量調節部5は、前記レベル測定部61と回路的に連結されるか、または有無線通信を通じて連結された制御部と前記制御部の制御を受けて前記有害ガス除去手段6の排出流量を調節する調節手段などを含むことができ、前記調節手段にはスロットルバルブ(throtle valve)が適用されることもできる。
【0270】
前記流量調節部62は、前記有害ガス除去部内の洗浄液レベルが予め設定された範囲内にあるように洗浄液排出流量をリアルタイム調節することが好ましい。これを通じて前記有害ガス除去手段6内に留まる洗浄液のレベルを有害ガス除去に適切な水準に維持できるようになる。
【0271】
前記レベル判断部63は、前記有害ガス除去手段6に移動するために前記排気ガス処理装置1に留まっている洗浄液のレベルが予め設定された臨界レベルに到達したかを判定する役割を遂行する。前記レベル判断部63は、前記排気ガス処理装置1内の洗浄液レベルが測定できる位置に設置されて一定水位に到達する場合、これを知らせるレベルスイッチなどを含むことができる。
【0272】
前記有害ガス除去手段6は、前記排気ガス処理装置1が排出する洗浄液の容量を考慮して設計されるので、前記有害ガス除去手段6の洗浄液排出流量の調節を通じて前記排気ガス処理装置1内の洗浄液レベルも適正水準に維持されることが一般的である。しかしながら、前記有害ガス除去手段6、前記レベル測定部61、及び前記流量調節部62のうち、1つ以上の故障などによって前記有害ガス除去手段6を通じて洗浄液の排出が円滑に行われず、これによって前記洗浄液の水位が前記排気ガス処理装置1の内部の臨界レベルを超えるようになる場合、前記排気ガス処理装置1の耐久性や性能に悪影響を及ぼすことがある。前記レベル判断部63はこのような問題を防止するためのものである。
【0273】
前記措置部64は、前記レベル判断部63の判定結果、前記有害ガス除去手段6に移動するために前記排気ガス処理装置1に留まっている洗浄液のレベルが予め設定された臨界レベルに到達した場合、危険警告の生成及び前記排気ガス処理装置1の洗浄液噴射中止制御のうち、いずれか1つ以上を遂行する部分である。前記措置部64は、前記レベル判断部63と回路的に連結されるか、または有無線通信を通じて連結されて警告の生成や前記排気ガス処理装置を制御する制御部などを含むことができる。
【0274】
前記措置部64は、前記危険警告を視覚的、聴覚的手段を通じて発生させることもでき、前記排気ガス処理装置1の洗浄液噴射中止のために前記排気ガス処理装置1の稼動を全面的に中断させることもできる。前記措置部64のこのような措置を通じて前記洗浄液の逆流による前記排気ガス処理装置1の耐久性悪化や故障などが防止できるようになる。
【0275】
以上、出願人は本発明の多様な実施形態を説明したが、このような実施形態は本発明の技術的思想を具現する一実施形態であり、本発明の技術的思想を具現する限り、いかなる変更例または修正例も本発明の範囲に属するものとして解釈されなければならない。