(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022058466
(43)【公開日】2022-04-12
(54)【発明の名称】センサ、入力装置、ロボットおよび電子機器
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20220405BHJP
G06F 3/0362 20130101ALI20220405BHJP
H01H 36/00 20060101ALI20220405BHJP
G01B 7/16 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
G06F3/041 600
G06F3/041 422
G06F3/041 495
G06F3/0362 464
H01H36/00 J
G01B7/16 C
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021214494
(22)【出願日】2021-12-28
(62)【分割の表示】P 2018568637の分割
【原出願日】2018-02-16
(31)【優先権主張番号】P 2017028492
(32)【優先日】2017-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017100383
(32)【優先日】2017-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003236
【氏名又は名称】特許業務法人杉浦特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100123973
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 拓真
(74)【代理人】
【識別番号】100082762
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 正知
(74)【代理人】
【識別番号】100160440
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】小林 健
(72)【発明者】
【氏名】蛭子井 明
(72)【発明者】
【氏名】塚本 圭
(72)【発明者】
【氏名】西村 泰三
(72)【発明者】
【氏名】後藤 哲郎
(72)【発明者】
【氏名】川畑 智幹
(72)【発明者】
【氏名】山口 誠
(57)【要約】 (修正有)
【課題】荷重感度におけるダイナミックレンジを向上するセンサ、入力装置及び電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器10は、外装体と、センシング面(第1の面)20S及びその裏面(第2の面)有する2つの感圧センサ20と、外装体と第1の面とが対向するように感圧センサを支持する支持体としてのフレーム12と、第1の面と外装体との間及び第2の面と支持体との間の少なくとも一方に設けられた第1の変形層28とを備える。感圧センサは、センシング部30SEを有する静電容量式のセンサ電極部30と、リファレンス電極層21b、22bと、リファレンス電極層とセンサ電極部との間に設けられた第2の変形層23、24とを備え、第1の変形層及び第2の変形層が下記関係を満たす。(1)第1の変形層の弾性率≦第2の変形層の弾性率、(2)第1の変形層の厚み≧第2の変形層の厚み、(3)第1の変形層の面積占有率≦第2の変形層の面積占有率。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装体と、
第1の面および第2の面を有する感圧センサと、
前記外装体と前記第1の面とが対向するように前記感圧センサを支持する支持体と、
前記第1の面と前記外装体との間および前記第2の面と前記支持体との間の少なくとも一方に設けられた第1の変形層と
を備え、
前記感圧センサは、
センシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、
リファレンス電極層と、
前記リファレンス電極層と前記センサ電極部との間に設けられた第2の変形層と
を備え、
前記第1の変形層および前記第2の変形層が、以下の式(1)から(3)のうちの少なくとも1つの関係を満たす電子機器。
前記第1の変形層の弾性率≦前記第2の変形層の弾性率 ・・・(1)
前記第1の変形層の厚み≧前記第2の変形層の厚み ・・・(2)
前記第1の変形層の面積占有率≦前記第2の変形層の面積占有率 ・・・(3)
【請求項2】
前記第1の変形層および前記第2の変形層は、発泡樹脂を含んでいる請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第1の変形層は、形状パターンを有している請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記外装体は、金属または高分子樹脂を含んでいる請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記外装体は、側壁部を有し、
前記感圧センサおよび前記第1の変形層は、前記側壁部に設けられている請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
前記外装体は、筐体である請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
前記外装体は、該外装体を前記第1の面に向けて押圧することで、前記第1の面を押圧可能に構成されている請求項1に記載の電子機器。
【請求項8】
前記第1の変形層および前記第2の変形層が、上記式(1)から(3)のうちの少なくとも2つの関係を満たす請求項1に記載の電子機器。
【請求項9】
前記第1の変形層および前記第2の変形層が、上記式(1)から(3)のすべての関係を満たす請求項1に記載の電子機器。
【請求項10】
前記第1の変形層および前記第2の変形層が、以下の式(4)から(6)のうちの少なくとも1つの関係を満たす請求項1に記載の電子機器。
前記第1の変形層の弾性率<前記第2の変形層の弾性率 ・・・(4)
前記第1の変形層の厚み>前記第1の変形層の厚み ・・・(5)
前記第1の変形層の面積占有率<前記第1の変形層の面積占有率 ・・・(6)
【請求項11】
前記第1の変形層の弾性率が、0.04MPa以下であり、
前記第1の変形層の厚みが、10μm以上1000μm以下であり、
前記第1の変形層の面積占有率が、10%以上100%以下である請求項1に記載の電子機器。
【請求項12】
外装体と、
第1の面および第2の面を有する感圧センサと、
前記外装体と前記第1の面とが対向するように前記感圧センサを支持する支持体と、
前記第1の面と前記外装体との間および前記第2の面と前記支持体との間の少なくとも一方に設けられ、導電材料を含む第1の変形層と
を備え、
前記感圧センサは、
センシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、
前記第1の変形層と前記センサ電極部との間に設けられた第2の変形層と
を備え、
前記第1の変形層および前記第2の変形層が、以下の式(1)から(3)のうちの少なくとも1つの関係を満たす電子機器。
前記第1の変形層の弾性率≦前記第2の変形層の弾性率 ・・・(1)
前記第1の変形層の厚み≧前記第2の変形層の厚み ・・・(2)
前記第1の変形層の面積占有率≦前記第2の変形層の面積占有率 ・・・(3)
【請求項13】
第1の面および第2の面を有する感圧センサ本体と、
前記第1の面および前記第2の面の少なくとも一方に設けられた第1の変形層と
を備え、
前記感圧センサ本体は、
センシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、
リファレンス電極層と、
前記リファレンス電極層と前記センサ電極部との間に設けられた第2の変形層と
を備え、
前記第1の変形層および前記第2の変形層が、以下の式(1)から(3)のうちの少なくとも1つの関係を満たすセンサ。
前記第1の変形層の弾性率≦前記第2の変形層の弾性率 ・・・(1)
前記第1の変形層の厚み≧前記第2の変形層の厚み ・・・(2)
前記第1の変形層の面積占有率≦前記第2の変形層の面積占有率 ・・・(3)
【請求項14】
外装体と、
第1の面および第2の面を有する感圧センサと、
前記外装体と前記第1の面とが対向するように前記感圧センサを支持する支持体と、
前記第1の面と前記外装体との間および前記第2の面と前記支持体との間の少なくとも一方に設けられた第1の変形層と
を備え、
前記感圧センサは、
センシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、
リファレンス電極層と、
前記リファレンス電極層と前記センサ電極部との間に設けられた第2の変形層と
を備え、
前記第1の変形層および前記第2の変形層が、以下の式(1)から(3)のうちの少なくとも1つの関係を満たす入力装置。
前記第1の変形層の弾性率≦前記第2の変形層の弾性率 ・・・(1)
前記第1の変形層の厚み≧前記第2の変形層の厚み ・・・(2)
前記第1の変形層の面積占有率≦前記第2の変形層の面積占有率 ・・・(3)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、センサ、入力装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、入力操作を静電的に検出することが可能なセンサは、モバイルPC(Personal Computer)やタブレットPCなどの様々な電子機器に広く用いられている。電子機器用のセンサとして、容量素子を備え、入力操作面に対する操作子の操作位置と押圧力とを検出することが可能な構成を有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本技術の目的は、荷重感度におけるダイナミックレンジを向上することができるセンサ、入力装置および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の課題を解決するために、第1の技術は、外装体と、第1の面および第2の面を有する感圧センサと、外装体と第1の面とが対向するように感圧センサを支持する支持体と、第1の面と外装体との間および第2の面と支持体との間の少なくとも一方に設けられた第1の変形層とを備え、感圧センサは、センシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、リファレンス電極層と、リファレンス電極層とセンサ電極部との間に設けられた第2の変形層とを備え、第1の変形層および第2の変形層が、以下の式(1)から(3)のうちの少なくとも1つの関係を満たす電子機器である。
第1の変形層の弾性率≦第2の変形層の弾性率 ・・・(1)
第1の変形層の厚み≧第2の変形層の厚み ・・・(2)
第1の変形層の面積占有率≦第2の変形層の面積占有率 ・・・(3)
【0006】
第2の技術は、外装体と、第1の面および第2の面を有する感圧センサと、外装体と第1の面とが対向するように感圧センサを支持する支持体と、第1の面と外装体との間および第2の面と支持体との間の少なくとも一方に設けられ、導電材料を含む第1の変形層とを備え、感圧センサは、センシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、第1の変形層とセンサ電極部との間に設けられた第2の変形層とを備え、第1の変形層および第2の変形層が、以下の式(1)から(3)のうちの少なくとも1つの関係を満たす電子機器である。
第1の変形層の弾性率≦第2の変形層の弾性率 ・・・(1)
第1の変形層の厚み≧第2の変形層の厚み ・・・(2)
第1の変形層の面積占有率≦第2の変形層の面積占有率 ・・・(3)
【0007】
第3の技術は、第1の面および第2の面を有する感圧センサ本体と、第1の面および第2の面の少なくとも一方に設けられた第1の変形層とを備え、感圧センサ本体は、センシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、リファレンス電極層と、リファレンス電極層とセンサ電極部との間に設けられた第2の変形層とを備え、第1の変形層および第2の変形層が、以下の式(1)から(3)のうちの少なくとも1つの関係を満たすセンサである。
第1の変形層の弾性率≦第2の変形層の弾性率 ・・・(1)
第1の変形層の厚み≧第2の変形層の厚み ・・・(2)
第1の変形層の面積占有率≦第2の変形層の面積占有率 ・・・(3)
【0008】
第4の技術は、外装体と、第1の面および第2の面を有する感圧センサと、外装体と第1の面とが対向するように感圧センサを支持する支持体と、第1の面と外装体との間および第2の面と支持体との間の少なくとも一方に設けられた第1の変形層とを備え、感圧センサは、センシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、リファレンス電極層と、リファレンス電極層とセンサ電極部との間に設けられた第2の変形層とを備え、第1の変形層および第2の変形層が、以下の式(1)から(3)のうちの少なくとも1つの関係を満たす入力装置である。
第1の変形層の弾性率≦第2の変形層の弾性率 ・・・(1)
第1の変形層の厚み≧第2の変形層の厚み ・・・(2)
第1の変形層の面積占有率≦第2の変形層の面積占有率 ・・・(3)
【発明の効果】
【0009】
本技術によれば、荷重感度におけるダイナミックレンジを向上することができる。なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果またはそれらと異質な効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1Aは、本技術の第1の実施形態に係る電子機器の外観を示す平面図である。
図1Bは、
図1AのIB-IB線に沿った断面図である。
【
図2】
図2は、本技術の第1の実施形態に係る電子機器の構成を示す分解斜視図である。
【
図3】
図3Aは、センサの形状を示す斜視図である。
図3Bは、センサの配置形態を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、フレキシブルプリント基板の構成を示す平面図である。
【
図6】
図6は、センシング部の構成を示す平面図である。
【
図7】
図7は、第1の変形層の形状パターンの一例を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、本技術の第1の実施形態に係る電子機器の回路構成を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、本技術の第1の実施形態に係る電子機器の各領域を説明するための概略図である。
【
図10】
図10は、ウェイクアップ操作時における電子機器の動作について説明するためのフローチャートである。
【
図11】
図11は、スライド操作時における電子機器の動作について説明するためのフローチャートである。
【
図12】
図12は、カメラアプリケーションの自動立ち上げ操作時における電子機器の動作について説明するためのフローチャートである。
【
図13】
図13は、右手/左手の検出機能における電子機器の動作について説明するためのフローチャートである。
【
図14】
図14は、ユーザが電子機器を左手で保持したときの出力値(デルタ値)のプロファイルの一例を示す概略図である。
【
図16】
図16は、リファレンス電極層の変形例を示す断面図である。
【
図17】
図17Aは、フレキシブルプリント基板の変形例を示す概略図である。
図17Bは、
図17Aに示したフレキシブルプリント基板の配置形態を示す概略図である。
【
図18】
図18は、フレキシブルプリント基板の変形例を示す平面図である。
図18Bは、
図18AのXVIIIB-XVIIIB線に沿った断面図である。
【
図19】
図19は、ウェイクアップ操作時における電子機器の動作の変形例を説明するためのフローチャートである。
【
図21】
図21は、サンプル1-1~1-4のセンサの構成を示す概略断面図である。
【
図22】
図22Aは、サンプル1-1~1-4のセンサにおける荷重と変位量との関係を示すグラフである。
図22Bは、サンプル1-1~1-4のセンサにおける荷重とデルタとの関係を示すグラフである。
【
図23】
図23は、本技術の第2の実施形態に係る電子機器の構成を示す分解射視図である。
【
図24】
図24は、側壁部の一部を拡大して表す平面図である。
【
図26】
図26は、センサ支持部の構成の示す分解斜視図である。
【
図28】
図28Aは、センシング部または共振用のコンデンサーを兼ねるセンシング部の構成を示す平面図である。
図28Bは、グランド電極または自己容量方式のセンシング部となる構成を示す平面図である。
【
図29】
図29は、ボリューム操作時における電子機器の動作について説明するためのフローチャートである。
【
図30】
図30A、30Bはそれぞれ、センサの構成を示す断面図である。
【
図33】
図33Aは、センサ支持部の構成を示す分解斜視図である。
図33Bは、センサ支持部の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本技術において、センサの検出回路の方式としては、例えば、相互容量方式(例えば、タッチパネルなどに用いられる電荷転送方式で動作するもの)、自己容量方式(例えば、タッチスイッチなどに用いられる電荷転送方式で動作するもの、または液量計などに用いられる交流共振回路を利用し動作するもの)などを用いることができる。
【0012】
本技術において、センサ電極部としては、例えば、相互容量式の電極部、自己容量式の電極部、コイル(共振用のコイルを兼ねる)を用いることができる。相互容量式の電極部としては、例えば、格子状または櫛歯状のパルス電極とセンス電極とを備えるものを用いることができる。自己容量式の電極部としては、例えば、1つの薄膜状の電極を備えるもの、2つの格子状または櫛歯状の電極が共振用のコンデンサーを兼ねるもの、2つの薄膜状の電極が共振用のコンデンサーを兼ねるものを用いることができる
【0013】
本技術において、センサとしては、例えば、LC共振回路のコイル・コンデンサを用いることができる。より具体的には、センサとしては、センシング電極1つと、基板側に共振用のLとCの2チップとを備えるもの、センシング兼共振用のコイル1つと、基板側に共振用のCの1チップとを備えるもの、センシング兼共振用のコンデンサー1つと、基板側に共振用のLの1チップとを備えるものを用いることができる。
【0014】
本技術の実施形態について以下の順序で説明する。
1 第1の実施形態
1.1 概要
1.2 電子機器の構成
1.3 センサの動作
1.4 電子機器の動作
1.5 効果
1.6 変形例
2 第2の実施形態
2.1 電子機器の構成
2.2 センサ、弾性体およびスペーサの配置手順
2.3 電子機器の動作
2.4 効果
2.5 変形例
【0015】
[1.1 概要]
スマートフォンや携帯音楽プレイヤーなど筐体(特に筐体内部)にセンサを実装する場合、実装場所の制約が大きい。また、筐体の寸法や実装における交差(クリアランス)精度にバラツキがある。上記の実装制約の中でセンサを取り付けるためには、センサのセンシング面および裏面の少なくとも一方に変形層(以下「第1の変形層」という。)を設けることが好ましい。しかしながら、実装時に第1の変形層にプリテンションが加わった場合、センサ内部の変形層(以下「第2の変形層」という。)が潰れ、感度が低下する虞がある。そこで、本実施形態では、第2の変形層の潰れを抑制するために、第1、2の変形層が、後述の式(1)から(3)のうちの少なくとも1つの関係を満たすようにしている。
【0016】
[1.2 電子機器の構成]
以下、
図1A、
図1B、
図2を参照して、本技術の第1の実施形態に係る電子機器10について説明する。本技術の第1の実施形態に係る電子機器10は、いわゆるスマートフォンであり、筐体である外装体11と、センシング面(第1の面)20Sとそれとは反対側の裏面(第2の面)とを有する2つのセンサ20、20と、外装体11の内側面11SR、11SLとセンシング面20Sとが対向するようにセンサ20、20を支持する支持体としてのフレーム12と、センシング面20Sと内側面11SR、11SLとの間に設けられた第1の変形層28、28と、フレーム12内に配置された基板13と、フレーム12上に設けられたフロントパネル14とを備える。
【0017】
電子機器10では、その側面10SR、10SLを手や指などで押圧することで、(1)ウェイクアップ操作、(2)スライド操作、(3)カメラアプリケーションの自動立ち上げ操作、(4)右手/左手の検出機能などを実行可能である。
【0018】
外装体11と、センサ20と、第1の変形層28と、支持体としてのフレーム12とにより入力装置が構成される。入力装置は、必要に応じて、基板13をさらに備えていてもよい。
【0019】
(外装体)
外装体11は、電子機器10の裏面を構成する矩形状の主面部11Mと、この主面部11Mの両長辺側に設けられた側壁部11R、11Lとを備える。フレーム12は、側壁部11R、11Lの間に収容されている。側壁部11R、11Lは、側壁部11R、11Lをセンシング面20Sに向けて押圧することで、第1の変形層28を介してセンシング面20Sを押圧可能に構成されている。内側面11SRの先端部の近傍には凸部11aが設けられている。凸部11aは、フレーム12の支持面12SRに設けられた凹部12aと噛み合うように構成されている。内側面11SL、支持面12SLもそれぞれ、上記内側面11SR、支持面12SRと同様の構成を有している。
【0020】
外装体11は、例えば、金属、高分子樹脂または木材などを含んでいる。金属としては、例えば、アルミニウム、チタン、亜鉛、ニッケル、マグネシウム、銅、鉄などの単体、またはこれらを2種以上含む合金が挙げられる。合金の具体例としては、ステンレス鋼(Stainless Used Steel:SUS)、アルミニウム合金、マグネシウム合金、チタン合金などが挙げられる。高分子樹脂としては、例えば、アクリロニトリル、ブタジエンおよびスチレンの共重合合成樹脂(ABS樹脂)、ポリカーボネート(PC)樹脂、PC-ABSアロイ樹脂などが挙げられる。
【0021】
(フレーム)
主面部11Mに垂直な方向からフレーム12を平面視すると、フレーム12は、主面部11Mよりやや小さい矩形状を有している。フレーム12は、側壁部11R、11Lの内側面11SR、11SRそれぞれに対向する支持面12SR、12SLを有している。支持面12SRには、側壁部11Rの内側面11SRとセンシング面20Sとが対向するようにして、センサ20が支持されている。センシング面20Sと内側面11SRとの間には第1の変形層28が設けられている。支持面12SLには、側壁部11Lの内側面11SLとセンシング面20Sとが対向するようにして、センサ20が支持されている。センシング面20Sと内側面11SLとの間には第1の変形層28が設けられている。
【0022】
(基板)
基板13は、電子機器10のメイン基板であり、コントローラIC(Integrated Circuit)(以下単に「IC」という。)13aと、メインCPU(Central Processing Unit)(以下単に「CPU」という。)13bとを備える。IC13aは、2つのセンサ20を制御し、それぞれのセンシング面20Sに加わる圧力を検出する制御部である。CPU13bは、電子機器10の全体を制御する制御部である。例えば、CPU13bは、IC13aから供給される信号に基づき、各種処理を実行する。
【0023】
(フロントパネル)
フロントパネル14は表示装置14aを備え、この表示装置14aの表面には静電容量式のタッチパネルが設けられている。表示装置14aは、CPU13bから供給される映像信号などに基づき、映像(画面)を表示する。表示装置14aとしては、例えば、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence:EL)ディスプレイなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0024】
(センサ)
センサ20は、いわゆる感圧センサであり、
図3Aに示すように、長尺の矩形状を有している。センサ20の長辺の中央から接続部41が延設されている。より具体的には、センサ20は、
図5に示すように、長尺の矩形状を有するセンサ電極部30を含み、接続部41は、このセンサ電極部30の長辺の中央から延設されている。センサ電極部30と接続部41とは1つのフレキシブルプリント基板(Flexible Printed Circuits、以下「FPC」という。)40により一体的に構成されている。
【0025】
側壁部11R側のセンサ20は、
図3Bに示すように、接着層27を介してフレーム12の支持面12SRに貼り合わされている。側壁部11L側のセンサ20も、上記の側壁部11Rのセンサ20と同様に支持面12SLに貼り合わされている。また、FPC40に力が加わるとノイズが発生するため、接続部41は、フレーム12に対して接着層29を介して貼り合わされていることが好ましい。
【0026】
センサ20は、いわゆる感圧センサであり、
図4に示すように、複数のセンシング部30SEを含む静電容量式のセンサ電極部30と、電極基材21、22と、第2の変形層23、24と、接着層25~27とを備える。センサ20の裏面は支持面12SR、12SLに貼り合わされている。なお、本明細書において、センサ20の長手方向を±X軸方向といい、幅方向(短手方向)を±Y軸方向といい、長手方向および幅方向に垂直な方向(すなわちセンシング面20Sに垂直な方向)を±Z軸方向という。
【0027】
電極基材21とセンサ電極部30とは、電極基材21とセンサ電極部30との主面同士が対向するように配置されている。第2の変形層23は、電極基材21とセンサ電極部30との主面間に設けられ、センシング面20Sに加わる圧力により弾性変形する。第2の変形層23と電極基材21とは接着層25により貼り合わされ、第2の変形層23とセンサ電極部30とは接着層26により貼り合わされている。
【0028】
電極基材22とセンサ電極部30とは、電極基材22とセンサ電極部30との主面同士が対向するように配置されている。第2の変形層24は、電極基材22とセンサ電極部30との間に設けられ、センシング面20Sに加わる圧力により弾性変形する。第2の変形層24は、接着材を含み、接着層としての機能も有しており、電極基材22とセンサ電極部30とは第2の変形層24により貼り合わされている。
【0029】
(センサ電極部)
センサ電極部30は、上述したように、長尺の矩形状を有し、FPC40の一部である。このようにセンサ電極部30をFPC40の一部とすることで、部品点数を減らすことができる。また、センサ20と基板13との接続の衝撃耐久性を向上できる。FPC40は、
図5に示すように、センサ電極部30と、このセンサ電極部30の長辺の中央から延設された接続部41とを備える。
【0030】
センサ電極部30は、
図6に示すように、可撓性を有する基材31の一方の主面に設けられた複数のパルス電極32、1つのセンス電極33および1つのグランド電極34aと、基材31の他方の主面に設けられた1つのグランド電極34bとを備える。パルス電極32とセンス電極33とによりセンシング部30SEが構成されている。Z軸方向から複数のセンシング部30SEを平面視すると、複数のセンシング部30SEは、X軸方向に等間隔で一列をなすように1次元的に配置されている。
【0031】
接続部41は、基材31の一方の主面に設けられた配線32d、33eと接続端子42とを備える。配線32dは、センサ電極部30のパルス電極32およびグランド電極34a、34bと、接続部41の先端に設けられた接続端子42とを電気的に接続している。配線33eは、センサ電極部30のセンス電極33と、接続部41の先端に設けられた接続端子42とを電気的に接続している。接続端子42は基板13と電気的に接続される。
【0032】
FPC40は、パルス電極32、センス電極33および配線32d、33eを覆うカバーレイフルムなどの絶縁層(図示せず)を基材31の一方の主面にさらに備えるようにしてもよい。
【0033】
基材31は、高分子樹脂を含み、可撓性を有する基板である。高分子樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、アクリル樹脂(PMMA)、ポリイミド(PI)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエステル、ポリアミド(PA)、アラミド、ポリエチレン(PE)、ポリアクリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン(PP)、ジアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂、尿素樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、環状オレフィンポリマー(COP)またはノルボルネン系熱可塑性樹脂などが挙げられる。
【0034】
第1電極であるパルス電極32は、
図6に示すように、1つの単位電極体32aを備える。複数のパルス電極32がそれぞれ備える単位電極体32aは、X軸方向に一定間隔で一列をなすように1次元的に配置されている。第2電極であるセンス電極33は、
図6に示すように、複数の単位電極体33aと、1つの接続部33dとを備える。複数の単位電極体33aは、X軸方向に一定間隔で一列をなすように1次元的に配置されており、隣接する単位電極体33aの間は、接続部33dにより接続されている。
【0035】
パルス電極32から配線32dが引き出され、基材31の一主面の周縁部に引き回れて接続部41を通って接続端子42に接続されている。センス電極33から配線33eが引き出され、基材31の一主面の周縁部に引き回れて接続部41を通って接続端子42に接続されている。
【0036】
単位電極体32a、33aは、櫛歯状を有し、櫛歯の部分を噛み合わせるようにして配置されている。具体的には、単位電極体32aは、線状を有する複数のサブ電極32bと、線状を有する連結部32cとを備える。単位電極体33aは、線状を有する複数のサブ電極33bと、線状を有する連結部33cとを備える。複数のサブ電極32b、33bは、X軸方向に延設され、Y軸方向に向かって所定間隔で交互に離間して設けられている。隣接するサブ電極32b、33bは、容量結合を形成可能に構成されている。
【0037】
連結部32cは、Y軸方向に延設されており、複数のサブ電極32bの一端を連結している。連結部33cは、Y軸方向に延設されており、複数のサブ電極33bの他端を連結している。サブ電極32b、33bの間隔は一定であってもよいし、変動していてもよい。噛み合わされるように配置された単位電極体32a、33aによって、センシング部30SEが構成されている。
【0038】
(電極基材)
電極基材21、22は、可撓性を有する電極フィルムである。電極基材21は、センサ20のセンシング面20Sを構成し、電極基材22は、センサ20の裏面を構成している。
【0039】
電極基材21は、可撓性を有する基材21aと、基材21aの一方の主面に設けられたリファレンス電極層(以下「REF電極層」という。)21bとを備える。電極基材21は、REF電極層21bがセンサ電極部30の一方の主面に対向するようにして、センサ電極部30の一方の主面側に配置されている。電極基材22は、可撓性を有する基材22aと、基材22aの一方の主面に設けられたREF電極層22bとを備える。電極基材22は、REF電極層22bがセンサ電極部30の他方の主面に対向するようにして、センサ電極部30の他方の主面側に配置されている。
【0040】
基材21a、22aは、フィルム状を有している。基材21a、22aの材料としては、上述の基材31と同様の高分子樹脂が例示される。REF電極層21b、22bは、いわゆる接地電極であり、グランド電位となっている。REF電極層21b、22bの形状としては、例えば、薄膜状、箔状、メッシュ状などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0041】
REF電極層21b、22bは、電気的導電性を有するものであればよく、例えば、無機系導電材料を含む無機導電層、有機系導電材料を含む有機導電層、無機系導電材料および有機系導電材料の両方を含む有機-無機導電層などを用いることができる。無機系導電材料および有機系導電材料は、粒子であってもよい。
【0042】
無機系導電材料としては、例えば、金属、金属酸化物などが挙げられる。ここで、金属には、半金属が含まれるものと定義する。金属としては、例えば、アルミニウム、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、マンガン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンテル、チタン、ビスマス、アンチモン、鉛などの金属、またはこれらの合金などが挙げられるが、これに限定されるものではない。金属酸化物としては、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化亜鉛、酸化インジウム、アンチモン添加酸化錫、フッ素添加酸化錫、アルミニウム添加酸化亜鉛、ガリウム添加酸化亜鉛、シリコン添加酸化亜鉛、酸化亜鉛-酸化錫系、酸化インジウム-酸化錫系、酸化亜鉛-酸化インジウム-酸化マグネシウム系などが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0043】
有機系導電材料としては、例えば、炭素材料、導電性ポリマーなどが挙げられる。炭素材料としては、例えば、カーボンブラック、炭素繊維、フラーレン、グラフェン、カーボンナノチューブ、カーボンマイクロコイル、ナノホーンなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。導電性ポリマーとしては、例えば、置換または無置換のポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、およびこれらから選ばれる1種または2種からなる(共)重合体などを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0044】
REF電極層21b、22bは、ドライプロセスおよびウエットプロセスのいずれで作製された薄膜であってもよい。ドライプロセスとしては、例えば、スパッタリング法、蒸着法などを用いることができるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0045】
電極基材21、22がセンサ電極部30の両主面側に設けられていることで、外部ノイズ(外部電場)がセンサ20の両主面側からセンサ電極部30内に入り込むことを抑制できる。したがって、外部ノイズによるセンサ20の検出精度の低下または誤検出を抑制できる。
【0046】
(第1、第2の変形層)
第1の変形層28は、側壁部11R、11Lに加えられる圧力により弾性変形するフィルムである。電子機器10では、センシング面20Sと内側面11SR、11SLとの間に弾性変形可能な柔らかい第1の変形層28、28を挟むことで、センサ20の荷重感度におけるダイナミックレンジを向上している。
【0047】
第1の変形層28は、センシング面20Sの全体を埋め尽くすように連続的に設けられていてもよいし、
図7に示すように、所定の形状パターンを有していてもよい。形状パターンは、規則的であってもよいし、不規則的であってもよい。形状パターンとしては、例えば、ストライプ状、メッシュ状、放射状、幾何学模様状、ミアンダ状、同心状、螺旋状、蜘蛛の巣状、ツリー状、魚の骨状、リング状、格子状または不定形状などが挙げられるが、これに限定されるものではない。なお、
図7では、第1の変形層28がストライプ状を有する例が示されている。
【0048】
第2の変形層23は、センサ20のセンシング面20Sに加えられる圧力により弾性変形するフィルムである。センサ20では、センサ電極部30と電極基材21との主面間に弾性変形可能な柔らかい第2の変形層23を挟むことで、センサ20の感度とダイナミックレンジを調整している。第2の変形層23は、貫通孔などの孔部(図示せず)を有することが好ましい。荷重感度を向上できるからである。
【0049】
第1、第2の変形層28、23は、発泡樹脂または絶縁性エラストマなどの誘電体を含んでいる。発泡樹脂は、いわゆるスポンジであり、例えば、発泡ポリウレタン、発泡ポリエチレン、発泡ポリオレフィンおよびスポンジゴムなどのうちの少なくとも1種である。絶縁性エラストマは、例えば、シリコーン系エラストマ、アクリル系エラストマ、ウレタン系エラストマおよびスチレン系エラストマなどのうちの少なくとも1種である。なお、第1、第2の変形層28、23が図示しない基材上に設けられていてもよい。
【0050】
第2の変形層24は、絶縁性を有する接着剤または両面接着テープにより構成される。接着剤としては、例えば、アクリル系接着剤、シリコーン系接着剤およびウレタン系接着剤などからなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。ここでは、粘着(pressure sensitive adhesion)は接着(adhesion)の一種と定義する。この定義に従えば、粘着層は接着層の一種と見なされる。第2の変形層24は、接着剤または両面接着テープにより構成されるが、接着層25~27に比べて厚いため、良好な第2の変形層として機能する。なお、第2の変形層24が、第2の変形層23と同様の材料により構成されていてもよい。
【0051】
第1の変形層28および第2の変形層23、24が、以下の式(1)から(3)のうちの少なくとも1つの関係を満たし、以下の式(1)から(3)のうちの少なくとも2つの関係を満たしていることが好ましく、以下の式(1)から(3)の3つすべてを満たしていることがより好ましい。例えば、少なくとも式(1)、(2)の関係を満たしていてもよいし、少なくとも式(1)、(3)の関係を満たしていてもよい。
第1の変形層28の弾性率≦第2の変形層23、24の弾性率 ・・・(1)
第1の変形層28の厚み≧第2の変形層23、24の厚み ・・・(2)
第1の変形層28の面積占有率≦第2の変形層23、24の面積占有率 ・・・(3)
ここで、第1の変形層28の面積占有率とは、センシング面20Sの面積SAに対する第1の変形層28の面積SBの割合[%](=(SB/SA)×100)を意味する。また、第2の変形層23、24の面積占有率とは、センシング面20Sの面積SAに対する第2の変形層23、24の面積SCの割合[%](=(SC/SA)×100)を意味する。
【0052】
第1の変形層28および第2の変形層23、24が、上記の式(1)から(3)のうちの少なくとも1つの関係を満たすと、外装体11の内側面11SR、11SLとフレーム12との間にセンサ20、20を配置する際に、外装体11およびフレーム12の寸法のバラツキ(公差)などによって、第2の変形層23、24が潰れるのを抑制することができる。すなわち、第1の変形層28が第2の変形層23、24に代わって外装体11およびフレーム12の寸法のバラツキ(公差)などを吸収することができる。したがって、荷重感度におけるダイナミックレンジを向上することができる。
【0053】
第1の変形層28および第2の変形層23、24が、ダイナミックレンジの向上の観点から、以下の式(4)から(6)のうちの少なくとも1つの関係を満たしていることが好ましく、以下の式(4)から(6)のうちの少なくとも2つの関係を満たしていることがより好ましく、以下の式(4)から(6)の3つすべてを満たしていることが更により好ましい。例えば、少なくとも式(4)、(5)の関係を満たしていてもよいし、少なくとも式(4)、(6)の関係を満たしていてもよい。
第1の変形層28の弾性率<第2の変形層23、24の弾性率 ・・・(4)
第1の変形層28の厚み>第2の変形層23、24の厚み ・・・(5)
第1の変形層28の面積占有率<第2の変形層23、24の面積占有率 ・・・(6)
【0054】
外装体11の寸法のバラツキと、センサ20の検出必要変位量との総和の範囲で、感度がノイズレベル以上、かつセンサ20の感度のリニアリティ範囲内であることが好ましい。ここで、センサ20の検出必要変位量とは、実際に加わる荷重に対する外装体11の変形量の範囲を意味する
【0055】
弾性率(25%CLD)は、好ましくは0.04Mpa以下、より好ましくは0.03Mpa以下である。弾性率が0.04Mpaを超えると、第1の変形層28が硬くなりすぎるため、第1の変形層28の機能が低下する虞がある。ここで、弾性率(25%CLD)は、JIS K 6254に準拠して測定される値である。
【0056】
第1の変形層28の厚みは、好ましくは10μm以上1000μm以下である。第1の変形層28の厚みが10μm未満であると、第1の変形層28の機能が低下する虞がある。一方、第1の変形層28の厚みが1000μmを超えると、微小変形感度が低下する虞がある。
【0057】
第1の変形層28の面積積占有率は、好ましくは100%以下、より好ましくは10%以上100%以下である。第1の変形層28の面積積占有率が100%以上を超えると、第1の変形層28の機能が低下する虞がある。一方、第1の変形層28の面積積占有率が、10%未満であると、第1の変形層28の加工が困難になる虞がある。
【0058】
なお、スマートフォン以外の硬い筐体を有する電子機器に本技術を適用する場合にも、上記弾性率、厚みおよび面積占有率の数値範囲を採用することが好ましい。
【0059】
(接着層)
接着層25~27は、例えば、絶縁性を有する接着剤または両面接着テープにより構成される。接着剤としては、上述の第2の変形層24の接着剤と同様のものを例示できる。
【0060】
[電子機器の回路構成]
電子機器10は、
図8に示すように、2つのセンサ20と、CPU13bと、IC13aと、GPS部51と、無線通信部52と、音声処理部53と、マイクロフォン54と、スピーカ55と、NFC通信部56と、電源部57と、記憶部58と、バイブレータ59と、表示装置14aと、モーションセンサ60と、カメラ61とを備える。
【0061】
GPS部51は、GPS(Global Positioning System)と称されるシステムの衛星からの電波を受信して、現在位置の測位を行う測位部である。無線通信部52は、例えばBluetooth(登録商標)の規格で他の端末と近距離無線通信を行う。NFC通信部56は、NFC(Near Field Communication)の規格で、近接したリーダー/ライタと無線通信を行う。これらのGPS部51、無線通信部52およびNFC通信部56で得たデータは、CPU13bに供給される。
【0062】
音声処理部53には、マイクロフォン54とスピーカ55とが接続され、音声処理部53が、無線通信部52での無線通信で接続された相手と通話の処理を行う。また、音声処理部53は、音声入力操作のための処理を行うこともできる。
【0063】
電源部57は、電子機器10に備えられたCPU13bや表示装置14aなどに電力を供給する。電源部57は、リチウムイオン二次電池などの二次電池、およびこの二次電池に対する充放電を制御する充放電制御回路などを備える。なお、
図8には示さないが、電子機器10は、二次電池を充電するための端子を備える。
【0064】
記憶部58は、RAM(Random Access Memory)などであり、OS(Operating System)、アプリケーション、動画、画像、音楽および文書などの各種データを記憶する。
【0065】
バイブレータ59は、電子機器10を振動させる部材である。例えば、電子機器10は、バイブレータ59により電子機器10を振動して、電話の着信や電子メールの受信などを通知する。
【0066】
表示装置14aは、CPU13bから供給される映像信号などに基づき、各種画面を表示する。また、表示装置14aの表示面に対するタッチ操作に応じた信号をCPU13bに供給する。
【0067】
モーションセンサ60は、電子機器10を保持するユーザの動きを検出する。モーションセンサ60としては、加速度センサ、ジャイロセンサ、電子コンパス、気圧センサなどが使用される。
【0068】
カメラ61は、レンズ群およびCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などの撮像素子を備え、CPU13bの制御に基づき静止画または動画などの画像を撮影する。撮影された静止画や動画などは記憶部58に記憶される。
【0069】
センサ20は、高感度かつ位置分解能の高い圧力センサであり、センシング面20Sに対応する押圧操作に応じた静電容量を検出し、それに応じた出力信号をIC13aに出力する。
【0070】
IC13aは、センサ20を制御するためのファームウェアを記憶しており、センサ20が有する各センシング部30SEの静電容量の変化(圧力)を検出し、その結果に応じた信号をCPU13bに出力する。
【0071】
CPU13bは、IC13aから供給される信号に基づく、各種の処理を実行する。また、CPU13bは、GPS部51、無線通信部52、NFC通信部56およびモーションセンサ60などから供給されるデータを処理する。
【0072】
[電子機器の各領域]
図9に示すように、センサ20は、接続部41を介してIC13aに接続されている。IC13aとCPU13bとはI
2Cなどのバス43により接続されている。
図9では、センサ20が16個のセンシング部30SEを有している場合が示されているが、センシング部30SEの個数はこれに限定されるものではなく、所望とするセンサ20の特性に応じて適宜設定することが可能である。また、センサ20の構成を理解しやすくするために、センシング面20SがXZ面に平行となるように図示されているが、実際にはセンシング面20SはXY面に平行に維持されている。
【0073】
(音量調整領域)
電子機器10は、音量を調整するための音量調整領域11VRを側面10SRに有している。音量調整領域11VRを指で上方向(第1方向)にスライドさせることで、音量を上げることが可能であり、音量調整領域11VRを指で下方向(第2方向)にスライドさせることで、音量を下げることが可能である。ここで、上方向とは+X軸方向を意味し、下方向とは-X軸方向を意味するものとする。なお、音量調整領域11VRは、スライド操作領域の一例である。
【0074】
なお、
図9に示した音量調整領域11VRの位置は一例であって、音量調整領域11VRの位置はこれに限定されるものではない。また、
図9では、電子機器10が、音量調整領域11VRを側面10SLのみに備える構成が示されているが、音量調整領域11VRを側面10SR、10SLの両方に備えるようにしてもよい。
【0075】
音量調整領域11VRは、2以上のセンシング部30SEを有している。IC13aは、音量調整領域11VRが有するセンシング部30SEから供給される信号に基づき、音量調整領域11VRに対して上方向または下方向にスライド操作がなされたか否かを判断する。上方向または下方向にスライド操作がなされたと判断された場合には、IC13aは、上方向または下方向にスライド操作がなされていることを通知する信号をCPU13bに供給する。
【0076】
(カメラ保持領域)
電子機器10は、側面10SR、10SLそれぞれの両端にカメラ保持領域11CRを有している。ユーザが4つのカメラ保持領域11CRを指で保持すると、カメラプリケーションが自動的に起動する。カメラ保持領域11CRは、少なくとも1つのセンシング部30SEを有している。
【0077】
IC13aは、各カメラ保持領域11CRが有するセンシング部30SEから供給される信号に基づき、ユーザが4つのカメラ保持領域11CRを指で保持されているか否かを判断する。4つのカメラ保持領域11CRが指で保持されていると判断された場合には、IC13aは、カメラプリケーションの起動を要求する信号をCPU13bに供給する。
【0078】
(シャッター操作領域)
電子機器10は、側面10SLの上方向の一端部にシャッター操作領域11SHRを有している。なお、
図9では、シャッター操作領域11SHRと4つのカメラ保持領域11CRのうちの1つとが同一領域である場合が示されているが、異なる領域であってもよい。
【0079】
IC13aは、シャッター操作領域11SHRが有するセンシング部30SEから供給される信号に基づき、シャッター操作領域11SHRが指で押圧されているか否かを判断する。シャッター操作領域11SHRが指で保持されていると判断された場合には、IC13aは、シャッター操作(すなわち画像の取り込み操作)を要求する信号をCPU13bに供給する。
【0080】
[1.3 センサの動作]
次に、本技術の第1の実施形態に係るセンサ20の動作について説明する。IC13aがパルス電極32およびセンス電極33の間、すなわちサブ電極32b、33b間に電圧を印加すると、サブ電極32b、33b間に電気力線(容量結合)が形成される。
【0081】
センサ20のセンシング面20Sが押圧されると、第2の変形層23、24が弾性変形し、電極基材21がセンサ電極部30に向けて撓むと共に、センサ電極部30が電極基材22に向けて撓む。これにより、電極基材21とセンサ電極部30とが接近すると共に、センサ電極部30と電極基材22とが接近し、サブ電極32b、33b間の電気力線の一部が電極基材21、22に流れて、センシング部30SEの静電容量が変化する。IC13aは、この静電容量の変化に基づいて、センサ20の一主面に加わる圧力を検出し、その結果をCPU13bに出力する。
【0082】
[1.4 電子機器の動作]
次に、(1)ウェイクアップ操作、(2)スライド操作、(3)カメラアプリケーションの自動立ち上げ操作、(4)右手/左手の検出機能における電子機器10の動作について順次説明する。
【0083】
(1)ウェイクアップ操作
ウェイクアップ操作は、ユーザがスリーピングモードにある電子機器10を握ることで、CPU13bがスリーピングモードから復帰し、表示装置14aを駆動させるものである。ウェイクアップ操作の具体例としては、ユーザが、机の上に置かれているスリーピングモードの電子機器10を取り上げ、電子機器10を握ることで、表示装置14aの画面を表示させる例が挙げられる。
【0084】
以下、
図10を参照して、ウェイクアップ操作時における電子機器10の動作について説明する。ここでは、ステップS11の前にはCPU13bはスリーピングモードにあり、
図10に示した処理は、例えば1フレーム内に実行されるものとする。なお、フレームとは、IC13aが接続されたセンサ20に対してスキャン動作を行い、信号処理を経て圧力分布(静電容量分布)を得、その結果を元に(場合によっては過去複数フレーム間の時系列的な圧力分布変化も併せ)ユーザが行った入力操作を解釈し、必要に応じて上位制御部(ここではCPU13b)にユーザの入力操作内容を出力するまでの一連の処理、またはその期間を意味する。通常、IC13aは予め決められた一定時間毎にこのフレーム処理を繰り返す事により、ユーザの入力操作を解釈し、その結果をCPU13bに出力する。
【0085】
まず、ステップS11において、IC13aは、各センシング部30SEの出力値(デルタ値)を検出する。次に、ステップS12において、IC13aは、全てのセンシング部30SEの出力値の合計が閾値以上であるか否かを判断する。
【0086】
ステップS12にて全てのセンシング部30SEの出力値の合計が閾値以上であると判断された場合には、ステップS13において、IC13aはウェイクアップ割り込み信号をCPU13bに出力する。ウェイクアップ割り込み信号は、CPU13bにウェイクアップ機能を実行させるための信号であり、IC13aからCPU13bにウェイクアップ割り込み信号が供給されると、CPU13bは、スリーピングモードからウェイクアップし、通常の起動状態に復帰する。一方、ステップS12にて全てのセンシング部30SEの出力値の合計が閾値以上でないと判断された場合には、処理は終了となる。
【0087】
(2)スライド操作
スライド操作は、ユーザが側面10SLに設けられた音量調整領域11VRを指で上下方向にスライドすることで、電子機器10の音量を調整する操作である。
【0088】
以下、
図11を参照して、スライド操作時における電子機器10の動作について説明する。ここでは、スライド操作は、例えばホーム画面が表示されている状態で行うことができる操作であり、
図11に示した処理は、例えば1フレーム内に実行されるものとする。
【0089】
まず、ステップS21において、IC13aは、各センシング部30SEの出力値(デルタ値)を検出する。次に、ステップS22において、IC13aは、音量調整領域11VRに含まれるすべてのセンシング部30SEの出力値の合計が閾値以上であるか否かを判断する。
【0090】
ステップS22にて音量調整領域11VRに含まれるすべてのセンシング部30SEの出力値の合計が閾値以上であると判断された場合には、ステップS23において、IC13aは、スライドする指の重心座標XG(以下「スライダ座標XG」という。)を計算する。具体的には、音量調整領域11VRに含まれる各センシング部30SE(連続した複数のセンシング部30SE)における出力値の重心値を、以下の式を用いて計算する。一方、ステップS22にて音量調整領域11VRに含まれるすべてのセンシング部30SEの出力値の合計が閾値以上でないと判断された場合には、処理は終了となる。
【0091】
【数1】
(但し、m
i:音量調整領域11VRのi番目のセンシング部30SEの出力値(デルタ値)、x
i:音量調整領域11VRのi番目のセンシング部30SEが配置された位置)
【0092】
なお、センシング部30SEの番号は、側面10SLの長手方向の一端から他端に向けて(すなわち+X軸方向に向けて)増加するものとする。また、座標xiの原点は、センシング部30SEの長手方向(すなわち+X軸方向)における音量調整領域11VRの中央位置とする。
【0093】
次に、ステップS24において、IC13aは、前フレームにて計算したスライダ座標XGと、今回のフレームにて計算したスライダ座標XGとの差分ΔXG(=(今回のフレームにて計算したスライダ座標XG)-(前フレームにて計算したスライダ座標XG))を計算する。次に、ステップS25において、IC13aは、スライダ座標XGとの差分値が閾値+ΔA以上であるか否かを判断する。
【0094】
ステップS24にてスライダ座標XGとの差分値が閾値+ΔA以上であると判断された場合には、ステップS26において、IC13aは、スライダ操作検出割り込み信号をCPU13bに出力する。
【0095】
一方、ステップS24にてスライダ座標XGとの差分値が閾値+ΔA以上でないと判断された場合には、ステップS27において、IC13aは、スライダ座標XGとの差分値が閾値-ΔA以下であるか否かを判断する。
【0096】
ステップS27にてスライダ座標XGとの差分値が閾値-ΔA以下であると判断された場合には、ステップS28において、IC13aは、スライダ操作検出割り込み信号をCPU13bに出力する。一方、ステップS27にてスライダ座標XGとの差分値が閾値-ΔA以下でないと判断された場合には、処理は終了となる。
【0097】
ここで、スライダ操作検出割り込み信号は、スライド操作の検出およびスライド操作の方向をCPU13bに通知するための信号であり、IC13aからCPU13bにスライダ操作検出割り込み信号が供給されると、CPU13bは、スライド操作の方向に応じて音量を調整する。具体的には、CPU13bは、スライド操作の方向が上方向である場合には(すなわちスライダ座標XGとの差分値が閾値+ΔA以上である場合には)、音量を増加するように、音量調整を制御する。一方、スライド操作の方向が下方向である場合には(すなわちスライダ座標XGとの差分値が閾値-ΔA以下である場合には)、音量を減少するように、音量調整を制御する。
【0098】
(3)カメラアプリケーションの自動立ち上げ操作
カメラアプリケーションの自動立ち上げ操作は、側面10SR、10SLに設けられた4つのカメラ保持領域11CRをユーザが指で保持することにより、カメラプリケーションを自動的に起動する操作である。
【0099】
以下、
図12を参照して、カメラアプリケーションの自動立ち上げ操作時における電子機器10の動作について説明する。ここでは、カメラアプリケーションの自動立ち上げ操作は、例えばホーム画面が表示されている状態で行うことができる操作であり、
図12に示した処理は、例えば1フレーム内に実行されるものとする。
【0100】
まず、ステップS31において、IC13aは、各センシング部30SEの出力値(デルタ値)を検出する。この際、センサ20の全てのセンシング部30SEの出力値を検出してもよいが、4つのカメラ保持領域11CRに含まれるセンシング部30SEの出力値のみを検出するようにしてもよい。
【0101】
次に、ステップS32において、IC13aは、カメラモード中であることを通知する信号(以下「カメラモード通知信号」という。)がCPU13bからから供給されているか否かを判断する。ステップS32にてカメラモード通知信号がCPU13bからから供給されていないと判断された場合には、ステップS33において、IC13aは、4つのカメラ保持領域11CRに含まれるセンシング部30SEの出力の合計値が閾値以上であるか否かを判断する。
【0102】
ステップS33にて4つのカメラ保持領域11CRの出力の合計値が閾値以上であると判断された場合には、ステップS34において、IC13aは、カメラ持ち操作検出割り込み信号をCPU13bに出力する。カメラ持ち操作検出割り込み信号は、カメラアプリケーションの起動をCPU13bに通知するための信号であり、IC13aからCPU13bにカメラ持ち操作検出割り込み信号が供給されると、CPU13bは、カメラアプリケーションを起動する。一方、ステップS33にて4つのカメラ保持領域11CRの出力の合計値が閾値以上でないと判断された場合には、処理は終了となる。
【0103】
ステップS32にてカメラモード通知信号がCPU13bからから供給されていると判断された場合には、ステップS35において、IC13aは、シャッター操作領域11SHRに含まれるセンシング部30SEの出力の合計値が閾値以上であるか否かを判断する。なお、シャッター操作領域11SHRに含まれるセンシング部30SEの個数が1個のみである場合には、そのセンシング部30SEの出力が閾値以上であるか否かを判断する。
【0104】
ステップS35にてシャッター操作領域11SHRに含まれるセンシング部30SEの出力の合計値が閾値以上であると判断された合には、ステップS36において、IC13aは、シャッター操作検出割り込み信号をCPU13bに出力する。シャッター操作検出割り込み信号は、シャッター操作(すなわち画像の取り込み操作)をCPU13bに要求する信号であり、IC13aからCPU13bにシャッター操作検出割り込み信号が供給されると、CPU13bは、画像を取り込み、記憶部58に記憶する。一方、ステップS35にてシャッター操作領域11SHRに含まれるセンシング部30SEの出力の合計値が閾値以上でないと判断された場合には、処理は終了となる。
【0105】
なお、電子機器10が、シャッター操作領域11SHRによりフォーカス調整も行えるように構成されていてもよい。例えば、シャッター操作領域11SHRを半押しすると、フォーカス調整が行われるようにしてもよい。具体的には、IC13aは、センシング部30SEの出力の合計値が第1の閾値以上第2の閾値未満と判断した場合には、フォーカス調整検出割り込み信号をCPU13bに出力する。フォーカス調整検出割り込み信号は、カメラ61のカフォーカス調整をCPU13bに要求するための信号であり、IC13aからCPU13bにフォーカス調整検出割り込み信号が供給されると、CPU13bは、カメラ61のフォーカスを調整する。IC13aが第2の閾値以上と判断した場合には、シャッター操作検出割り込み信号をCPU13bに出力する。
【0106】
(4)右手/左手の検出機能
右手/左手の検出機能は、IC13aが、ユーザが電子機器10を右手および左手のいずれで保持しているかを判断し、保持している手に応じて画面表示(例えばアプリケーション表示や操作メニュー表示など)を自動的に変更する機能である。具体的には、ユーザが電子機器10を右手で保持していると判断した場合には、右手用の画面を表示し、ユーザが電子機器10を左手で保持していると判断した場合には、左手用の画面を表示する。
【0107】
例えば、アプリケーション表示であれば、IC13aは以下のように画面表示を自動的に変更する。すなわち、IC13aは、右手で電子機器10を保持していると判断した場合には、右手の親指が届き易い範囲にメニューを整列するか、もしくは右手の親指が届き易いように、メニューを画面の中心位置から右手の親指が位置する側面10SR側にずらして表示する。一方、IC13aは、左手で電子機器10を保持していると判断した場合には、左手の親指が届き易い範囲にメニューを整列するか、もしくは左手の親指が届き易いように、メニューを画面の中心位置から左手の親指が位置する側面10SL側にずらして表示する。
【0108】
以下、
図13を参照して、右手/左手の検出機能における電子機器10の動作について説明する。ここでは、右手/左手の検出機能は、ホーム画面またはメニュー画面などが表示されている状態で行うことができる操作であり、
図13に示した処理は、例えば1フレーム内に実行されるものとする。
【0109】
まず、ステップS41において、IC13aは、各センシング部30SEの出力値(デルタ値)を検出する。次に、ステップS42において、IC13aは、ステップS41にて検出した各センシング部30SEの出力値に基づき、ユーザが電子機器10を右手および左手のいずれで保持しているかを判断する。具体的には、IC13aは、全てのセンシング部30SEから出力される出力値(デルタ値)のプロファイルと、IC13aのメモリ内に予め記憶されている右手用および左手用のプロファイルとの相関性から、ユーザの持ち手を判断する。
図14は、ユーザが電子機器10を左手で保持してときの出力値(デルタ値)のプロファイルの一例を示している。
【0110】
ステップS42にてユーザが電子機器10を右手で保持していると判断された場合には、ステップS43において、IC13aは、右手持ち検出割り込み信号をCPU13bに出力する。右手持ち検出割り込み信号は、右手持ち用の画面表示をCPU13bに要求する信号であり、IC13aからCPU13bに右手持ち検出割り込み信号が供給されると、CPU13bは、右手持ち用の画面(例えばアプリケーション表示や操作メニュー表示など)を表示する。
【0111】
一方、S42にてユーザが電子機器10を左手で保持していると判断された場合には、ステップS44において、IC13aは、左手持ち検出割り込み信号をCPU13bに出力する。左手持ち検出割り込み信号は、左手持ち用の画面表示をCPU13bに要求する信号であり、IC13aからCPU13bに左手持ち検出割り込み信号が供給されると、CPU13bは、左手持ち用の画面(例えばアプリケーション表示や操作メニュー表示など)を表示する。
【0112】
[1.5 効果]
第1の実施形態に係る電子機器10は、外装体11と、センシング面20Sを有するセンサ20と、外装体11の内側面11SR、11SLとセンシング面20Sとが対向するようにセンサ20、20を支持するフレーム12と、センシング面20Sと内側面11SR、11SLとの間に設けられた第1の変形層28、28とを備える。センサ20は、複数のセンシング部30SEを有する静電容量式のセンサ電極部30と、REF電極層21b、22bと、電極基材21とセンサ電極部30との間に設けられた第2の変形層23と、電極基材22とセンサ電極部30との間に設けられた第2の変形層24とを備える。第1の変形層18および第2の変形層23、24が、上記の式(1)から(3)のうちの少なくとも1つの関係を満たす。これにより、外装体11の内側面11SR、11SLとフレーム12との間にセンサ20、20を配置する際に、外装体11およびフレーム12の寸法のバラツキ(公差)などによって、第2の変形層23、24が潰れるのを抑制することができる。したがって、荷重感度におけるダイナミックレンジを向上することができる。
【0113】
また、側壁部11R、11Lをセンシング面20Sに向けて押圧すると、内側面11SR、11SLによりセンシング面20Sが押圧される。したがって、IC13aにより電子機器10の側面10SR、10SLの押圧を検出することができる。
【0114】
[1.6 変形例]
(第1の変形層の配置形態の変形例)
第1の変形層28が、センシング面20Sと内側面11SR、11SLとの間に代えて、
図15Aに示すように、センサ20の裏面とフレーム12の支持面12SR、12SLとの間に設けられていてもよい。また、第1の変形層28が、
図15Bに示すように、センシング面20Sと内側面11SR、11SLとの間、およびセンサ20の裏面とフレーム12の支持面12SR、12SLとの間の両方に設けられていてもよい。
【0115】
(センサの変形例)
上述の第1の実施形態では、センサ20が電極基材22を備える構成について説明したが、センサ20が電極基材22を備えていなくてもよい。但し、外部ノイズ(外部電場)がセンサ20の裏面から内部に入り込むことを抑制する、すなわち外部ノイズによるセンサ20の検出精度の低下または誤検出を抑制するためには、センサ20が電極基材22を備えることが好ましい。
【0116】
(センサ層の変形例)
上述の第1の実施形態では、センサ20が相互容量方式のセンサ電極部30を備える場合について説明したが、センサ20が自己容量方式のセンサ層を備えるようにしてもよい。具体的には、センサ20が、薄板状の電極を有するセンサ層を備え、この電極が、センサ層の面内方向に、当該センサ層のほぼ全体に広がっていてもよい。
【0117】
(電極基材の変形例)
基材21aは無くてもよい。すなわち、センサ20が、電極基材21に代えてREF電極層21bを備えるようにしてもよい。同様に、基材22aも無くてもよい。すなわち、センサ20が、電極基材22に代えてREF電極層22bを備えるようにしてもよい。
【0118】
また、
図16に示すように、センサ20が電極基材21および第1の変形層28に代えて第1の変形層28の機能を有するREF電極層81を備えるようにしてもよい。この場合、REF電極層81が図示しない基材上に設けられていてもよい。なお、REF電極層81は、REF電極層21bの機能を有する第1の変形層とみなすこともできる。REF電極層81は、導電材料と、発泡樹脂または絶縁性エラストマなどの誘電体とを含んでいる。導電材料は誘電体に分散されていることが好ましい。導電材料は、無機系導電材料および有機導電材料のうちの少なくとも1種である。無機系導電材料および有機導電材料としては、REF電極層21b、22bに含まれるものと同様のものを例示することができる。REF電極層81の具体例としては、信越化学製の導電ゴム(EC-20BH、EC-40BH、EC-20BM、EC-40BMなど)、寺岡製作所製の導電性布粘着テープ(1825)などが挙げられる。
【0119】
同様に、センサ20が電極基材22に代えて、第1の変形層28の機能を有するREF電極層を備えるようにしてもよい。この場合にも、REF電極層が図示しない基材上に設けられていてもよい。なお、上記REF電極層は、REF電極層22bの機能を有する第1の変形層とみなすこともできる。
【0120】
(FPCの変形例)
図17Aに示すように、FPC40が長尺の矩形状を有していてもよい。この場合、FPC40の一端に設けられた接続部41は、
図17Bに示すように、フレーム12の支持面12SRの一端において屈曲され、支持面12SRの裏側の面にて接着層29を介して貼り合わされていてもよい。FPC40に力が加わると、ノイズが発生するため、上記のように接続部41をフレーム12に固定することが好ましい。
【0121】
図18に示すように、基材31が貫通孔としてのビアホール33f、33gを有していてもよい。この場合、ビアホール33f、33gは連結部32cを間に挟むようにして設けられる。接続部33dは、ビアホール33fを介して基材31の一主面から他主面に引き回されたのち、ビアホール33gを介して他主面から一主面に戻るようにして、隣接する単位電極体33a同士を接続する。これにより、ジャンパー配線などを用いずに、隣接する単位電極体33a同士を接続できる。したがって、カバーレイフルムなどの絶縁層(図示せず)が厚くなって電極基材21の変形を阻害することを抑制できる。また、ジャンパー配線などを用いる場合に比して単位電極体33a同士を安定して接続できる。
【0122】
また、上述の第1の実施形態では、基材31の同一面にパルス電極32およびセンス電極33が設けられた構成について説明したが、基材31の一方の面にパルス電極32が設けられ、他方の面にセンス電極33が設けられた構成を採用してもよい。この場合、単位電極体32A、33Aは、櫛歯状以外の形状を有していてもよく、例えば、メッシュ状、同心状または螺旋状などを有していてもよい。また、パルス電極32とセンス電極33との構成を入れ替えてもよい。
【0123】
(センサの配置形態の変形例)
上述の第1の実施形態では、電子機器10が外装体11の側壁部11R、11Lの内側面11SR、11SLにそれぞれセンサ20、20を備える構成について説明したが、外装体11の主面部11Mの内側面にセンサ20を備えるようにしてもよいし、フロントパネル14の内側面にセンサ20を備えるようにしてもよい。
【0124】
(電子機器の動作の変形例)
ウェイクアップ操作時に電子機器10が以下の動作を行うようにしてもよい。IC13aが、規定個数のフレーム連続して全てのセンシング部30SEの出力値の合計が閾値以上であるか否かを判断し、規定個数のフレーム連続して全てのセンシング部30SEの出力値の合計が閾値以上であると判断した場合に、CPU13bにウェイクアップ割り込み信号を出力するようにしてもよい。電子機器10が上記のように動作した場合には、電子機器10の側面10SR、10SLに物体が当たり瞬間的に衝撃が加えられた場合の誤検知を抑制できる。
【0125】
また、ウェイクアップ操作時に電子機器10が、
図19に示す以下の動作を行うようにしてもよい。まず、ステップS51において、IC13aは、各センシング部30SEの出力値(デルタ値)を検出する。次に、ステップS52において、IC13aは、規定個数のフレーム連続して全てのセンシング部30SEの出力値の合計が閾値以上であるか否かを判断する。
【0126】
ステップS52にて規定個数のフレーム連続して全てのセンシング部30SEの出力値の合計が閾値以上であると判断された場合には、ステップS53において、IC13aは、上記規定個数のフレームに続く規定個数のフレームに内に、全てのセンシング部30SEの出力値の合計が閾値以下となるフレームが少なくとも1つあるか否かを判断する。一方、ステップS52にて規定個数のフレーム連続して全てのセンシング部30SEの出力値の合計が閾値以上でないと判断された場合には、処理は終了となる。
【0127】
ステップS53にて規定個数のフレーム内に全てのセンシング部30SEの出力値の合計が閾値以下となるフレームが少なくとも1つあると判断された場合には、ウェイクアップ割り込み信号をCPU13bに出力する。一方、ステップS53にて規定個数のフレーム内に全てのセンシング部30SEの出力値の合計が閾値以下となるフレームが少なくとも1つないと判断された場合には、処理は終了となる。
【0128】
電子機器10が上記のように動作した場合には、満員電車などにおいて、鞄や衣服のポケットなどに収容した電子機器10が長時間押圧された場合におけるウェイクアップ機能の誤作動を抑制できる。
【0129】
また、ウェイクアップ操作時に電子機器10が以下の動作を行うようにしてもよい。IC13aが、全てのセンシング部30SEのうち規定位置にあるセンシング部30SEの出力値が閾値以上であるか否かを判断し、規定位置にあるセンシング部30SEの出力値が閾値以上である判断した場合に、CPU13bにウェイクアップ割り込み信号を出力するようにしてもよい。
【0130】
例えば、
図20Aに示すように、一方の側面10SLにあるセンサ20のセンシング部30SEが押圧されても、CPU13bは起動せずスリーピングモードが維持される。一方、
図20Bに示すように、両方の側面10SR、10SLにあるセンサ20、20のセンシング部30SEのうち規定位置にあるセンシング部30SEが押圧されると、CPU13bはスリーピングモードからウェイクアップし、通常の起動状態に復帰する。
【0131】
電子機器10が上記のように動作した場合には、ユーザが意識的に特定の握り方をした場合にのみ、CPU13bはスリーピングモードからウェイクアップし、通常の起動状態に復帰する。したがって、ウェイクアップ機能の誤作動を抑制できる。また、電子機器10のセキュリティ性を向上できる。
【0132】
(スマートフォン以外の電子機器の例)
上述の第1の実施形態では、電子機器がスマートフォンである場合を例として説明したが、本技術はこれに限定されるものではなく、筐体などの外装体を有する種々の電子機器に適用可能である。例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン以外の携帯電話、テレビ、リモートコントローラ、カメラ、ゲーム機器、ナビゲーションシステム、電子書籍、電子辞書、携帯音楽プレイヤー、スマートウオッチやヘッドマウンドディスプレイなどのウェアラブル端末、ラジオ、ステレオ、医療機器、ロボットに適用可能である。
【0133】
(電子機器以外の例)
本技術は電子機器に限定されるものではなく、電子機器以外の様々なものにも適用可能である。例えば、電動工具、冷蔵庫、エアコン、温水器、電子レンジ、食器洗浄器、洗濯機、乾燥機、照明機器、玩具などの電気機器に適用可能である。更に、住宅をはじめとする建築物、建築部材、乗り物、テーブルや机などの家具、製造装置、分析機器などにも適用可能である。建築部材としては、例えば、敷石、壁材、フロアータイル、床板などが挙げられる。乗り物としては、例えば、車両(例えば自動車、オートバイなど)、船舶、潜水艦、鉄道車両、航空機、宇宙船、エレベータ、遊具などが挙げられる。
【0134】
(その他の変形例)
第1の実施形態では、電子機器10の側面10SR、10SLに本技術を適用する例について説明したが、電子機器の背面または前面に本技術を適用してもよい。
第1の実施形態では、内側面11SR、11SLと第1の変形層28との間に空間が設けられていてもよいし、内側面11SR、11SLと第1の変形層28とが接するまたはほぼ接するように設けられていてもよいし、内側面11SR、11SLと第1の変形層28とが内側面11SR、11SLにより第1の変形層28が予め押圧されるように設けられていてもよい。
【0135】
第1の実施形態では、電子機器10が、電極基材21とセンサ電極部30との間に第2の変形層23を備えると共に、電極基材22とセンサ電極部30との間に第2の変形層24を備える例について説明したが、第2の変形層23、24のうち一方のみを備えるようにしてもよい。
【0136】
第1の実施形態では、複数のセンシング部30SEがX軸方向に一列をなすように配置された例について説明したが、二列以上の列をなすように配置されていてもよい。
電子機器10が、スライド操作領域として、スライド操作によりカメラのズームインおよびズームアウト操作が可能なズームイン/ズームアウト操作領域を側面10SR、10SLに備えるようにしてもよい。この場合、IC13aが、ズームイン/ズームアウト操作領域に対するスライド操作に応じて、カメラのズームインおよびズームアウトを制御するようにすればよい。
【0137】
電子機器10が、スライド操作領域として、スライド操作により画面スクロールまたはポインタ移動などの画面表示の操作を行うための画面操作領域を側面10SR、10SLに備えるようにしてもよい。この場合、IC13aが、画面操作領域に対するスライド操作に応じて、画面スクロールまたはポインタ移動などの画面表示を制御するようにすればよい。なお、音量調整領域VR、ズームイン/ズームアウト操作領域および画面操作領域は同一の領域であってもよいし、異なる領域であってもよい。
【0138】
第2の変形層23、24のうちの少なくとも一方は無くてもよい。第2の変形層23がない場合には、電極基材21とセンサ電極部30とは薄い接着層により貼り合わされる。一方、第2の変形層24がない場合には、電極基材22とセンサ電極部30とは薄い接着層により貼り合わされる。
【0139】
第2の変形層23、24が、所定の形状パターンを有していてもよいし、複数の柱状体により構成されていてもよい。所定の形状パターンとしては、第1の変形層28の形状パターンと同様のものを例示することができる。
【0140】
第1の変形層28は、センサ20のセンシング面20Sおよび裏面の少なくとも一方に貼り合わされ、センサ20のセンシング面20Sおよび裏面に予め設けられていてもよいし、側壁部11R、11Lの内側面11SR、11SLに貼り合わされ、側壁部11R、11Lの内側面11SR、11SLに予め設けられていてもよいし、フレーム12の支持面12SR、12SLに貼り合わされて、フレーム12の支持面12SR、12SLに予め設けられていてもよい。
【0141】
上述の第1の実施形態では、センサ20が複数のセンシング部30SEを有する構成について説明したが、1つのセンシング部30SEを有する構成を採用してもよい。
【0142】
上述の第1の実施形態では、側壁部11R、11Lの内側面11SR、11SLにセンサ20、20を設ける構成について説明したが、側壁部11R、11Lの外側面にセンサ20、20を設ける構成を採用してもよい。
【0143】
シート・体重計などの機器の柔らかい筐体内または筐体外にセンサ20を適用する場合には、第1の変形層28の弾性率(25%CLD)は、好ましくは0.4Mpa以下、より好ましくは0.3Mpa以下である。弾性率が0.4Mpaを超えると、第1の変形層28が硬くなりすぎるため、第1の変形層28の機能が低下する虞がある。ここで、弾性率(25%CLD)は、JIS K 6254に準拠して測定される値である。
また、第1の変形層28の厚みは、好ましくは100μm以上10000μm以下である。第1の変形層28の厚みが100μm未満であると、第1の変形層28の機能が低下する虞がある。一方、第1の変形層28の厚みが10000μmを超えると、変形感度が低下する虞がある。
また、第1の変形層28の面積占有率は、好ましくは100%以下、より好ましくは10%以上100%以下である。第1の変形層28の面積積占有率が100%を超えると、第1の変形層28の機能が低下する虞がある。一方、第1の変形層28の面積積占有率が10%未満であると、第1の変形層28の加工が困難になる虞がある。
【0144】
感圧や突起などを検出する業務用機器などの、面内分布を高感度に計測する機器にセンサ20を適用する場合には、第1の変形層28の弾性率(25%CLD)は、好ましくは0.04Mpa以下、より好ましくは0.03Mpa以下である。弾性率が0.04Mpaを超えると、第1の変形層28が硬くなりすぎるため、第1の変形層28の機能が低下する虞があるからである。ここで、弾性率(25%CLD)は、JIS K 6254に準拠して測定される値である。
また、第1の変形層28の厚みは、好ましくは10μm以上1000μm以下である。
第1の変形層28の厚みが10μm未満であると、第1の変形層28の機能が低下する虞がある。一方、第1の変形層28の厚みが1000μmを超えると、微小変形感度が低下する虞がある。
また、第1の変形層28の面積占有率は、好ましくは100%以下、より好ましくは50%以上100%以下である。第1の変形層28の面積積占有率が100%を超えると、第1の変形層28の機能が低下する虞がある。一方、第1の変形層28の面積積占有率が50%未満であると、面内感度均一性が劣化する虞がある。
【0145】
<2 第2の実施形態>
[2.1 電子機器の構成]
本技術の第2の実施形態に係る電子機器110は、
図23に示すように、いわゆるスマートフォンであり、一方の主面が解放された薄い箱状を有する、外装体としての筐体111と、筐体111内に収容された基板13と、解放された一方の主面を塞ぐように設けられたフロントパネル14とを備える。なお、第2の実施形態において、第1の実施形態と同様の箇所には同一の符号を付して説明を省略する。
【0146】
(筐体)
筐体111は、電子機器10の裏面を構成する矩形板状の底部111Mと、この底部111Mの周縁に設けられた壁部111Nとを備える。壁部111Nは、底部111Mに対して垂直に立てられており、底部111Mの両長辺側に設けられた側壁部111R、111Lを有している。筐体111の厚みは、好ましくは1mm以上、例えば1.08mmまたは1.4mmである。
【0147】
側壁部111Rの外側面111SAは、側壁部111Rの長さ方向(すなわち壁部111Nの周方向)に並んで設けられた窪み111A、111Bを有している。窪み111A、111Bは、擬似的なボリュームボタンとしての機能を有している。具体的には、一方の窪み111Aを指で押圧すると、ボリュームアップ処理が実行されるのに対して、他方の窪み111Bを指で押圧すと、ボリュームダウン処理が実行される。
【0148】
押圧部としての窪み111A、111Bの長さは、窪み111A、111Bそれぞれに指が一本かかるようにするために、好ましくは約10mm以上約20mm以下、例えば約12mmである。
【0149】
以下、
図24、25A、25B、26を参照して、上述の擬似的なボリュームボタンとしての機能を実現するための押圧検出部の構成について説明する。筐体111は、
図24、
図25A、25Bに示すように、側壁部111Rの内側面111SBに沿って設けられた溝部112を有している。この溝部112に、フィルム状を有する長尺のセンサ120、フィルム状を有する長尺の弾性体151およびフィルム状を有する長尺のスペーサ152が、それぞれの主面が内側面111SBと平行になるようにして収容されている。なお、本技術においては、フィルムには、シートも含まれるものとする。また、センサ120、弾性体151およびスペーサ152のうちの少なくとも1つが、板状を有していてもよい。
【0150】
溝部112内において、センサ120、弾性体151、スペーサ152は、内側面111SBの側から遠ざかる方向にセンサ120、弾性体151、スペーサ152の順序で重ね合わされている。弾性体151は、センサ120に対して両面接着テープなどにより貼り合わされていてもよい。
【0151】
第2の実施形態においては、筐体111とセンサ120とにより入力装置が構成される。この入力装置が、必要に応じて、基板13をさらに備えていてもよい。
【0152】
(弾性体)
弾性体151は、第1の実施形態の第1の変形層28と同様である。
【0153】
(スペーサ)
スペーサ152は、弾性体151と溝部112の側面との間に圧入されている。このようにスペーサ152を圧入することで、溝部112やセンサ120などの寸法のバラツキ(公差)により生じる隙間を埋めることができる。スペーサ152の幅方向の一端は、圧入を容易とするために、楔状となっている。スペーサ152は、弾性体151よりも高い弾性率を有している。スペーサ152は、例えば金属板、樹脂板またはそれらを積層した積層板などである。
【0154】
スペーサ152の両端部には、一方の主面に垂直な方向に突出する突出部152A、152Bが設けられている。そして、溝部112の両端には、突出部152A、152Bを嵌め合わせるための窪み112A、112Bが設けられている。
【0155】
(センサ)
センサ120は、
図26に示すように、細長の矩形状を有し、センサ120の一方の長辺の中央から接続部141が延設されている。延設された接続部141の先端には、
図24に示すように、コネクタ142が設けられており、このコネクタ142が、基板13に設けられた図示しないコネクタに接続される。センサ120の一方の主面が、押圧を検出するセンシング面120Sとなっており、センサ120は、センシング面120Sが内側面111SBに押し付けられるようにして溝部112に収容されている。
【0156】
センサ120と接続部141とは、T字状を有する1つのFPC140により一体的に構成されている。このような構成を採用することで、部品点数を減らすことができる。また、センサ120と基板13との接続の衝撃耐久性を向上できる。但し、センサ120と接続部141とが別体で構成されていてもよい。この構成の場合、センサ120が、例えばリジッド基板またはリジッドフレキシブル基板で構成されていてもよい。
【0157】
センサ120は、いわゆる感圧センサであり、
図27に示すように、第1、第2のセンシング部130SE1、130SE2を含むセンサ電極層130と、金属層121、122と、複数の支持体123と、接着層124とを備える。センサ120の幅は、好ましくは約2mm以上約4mm以下、例えば約2.5mmである。取付構造を含めたセンサ120の厚み、好ましくは2mm以下、例えば1.53mmである。
【0158】
金属層121とセンサ電極層130とは、金属層121とセンサ電極層130との主面同士が対向するように配置されている。複数の支持体123は、金属層121とセンサ電極層130との主面間に設けられ、金属層121とセンサ電極層130との間が離間するように、金属層121をセンサ電極層130の一方の主面にて支持する。
【0159】
金属層122とセンサ電極層130とは、金属層122とセンサ電極層130との主面同士が対向するように配置されている。接着層124は、金属層122とセンサ電極層130との間に設けられ、金属層122とセンサ電極層130とを貼り合わせる。
【0160】
金属層121、122は、センサ電極層130に電界または磁界について影響をあたえるために、どの電極とも接続せず配置されるか、またはグラウンド電圧の電極や電源電圧の電極と接続される場合がある。例えばグラウンド電圧の電極と接続する場合は、ACF(Anisotropic Conductive Film)などの接続部材132A、132Bを介してグランド電極端子131A、131Bに接続する。または、グラウンド電圧の電極の1つとして、筐体へと金網状ガスケットや銅箔導電テープなどの導電素材で接続する。
【0161】
(金属層)
金属層121、122は、例えば、可撓性を有する金属板である。金属層121、122は、例えば、アルミニウム、チタン、亜鉛、ニッケル、マグネシウム、銅、鉄などの単体、またはこれらを2種以上含む合金などを含む。合金の具体例としては、ステンレス鋼(Stainless Used Steel:SUS)、アルミニウム合金、マグネシウム合金またはチタン合金などが挙げられる。
【0162】
金属層121の厚みは、例えば30μmである。金属層122の厚みは、例えば金属層121の厚みと同様か、または金属層121の厚みよりも厚い。
【0163】
なお、センサ120が、金属層121、122に代えて、第1の実施形態の電極基材21、22を備えるようにしてもよい。電極基材21、22としては、PETフィルムと金属層とを備える導電性フィルム(例えばパナック株式会社製のアルペット(登録商標))が好ましい。電極基材22の厚みは、例えば電極基材21の厚みと同様か、または電極基材21の厚みよりも厚い。
【0164】
(支持体)
複数の支持体123は、第1、第2のセンシング部130SE1、130SE2の両端に対応する位置にて金属層121を支持可能なように、センサ120の長手方向に離して設けられている。支持体123は、例えば、絶縁性を有する接着剤または両面接着テープにより構成される。支持体123は、センシング面120Sに加わる圧力により弾性変形してもよい。
【0165】
(接着層)
接着層124は、例えば、絶縁性を有する接着剤または両面接着テープにより構成される。接着層124は、センシング面120Sに加わる圧力により弾性変形してもよい。支持体123および接着層124としては共に、例えば厚さ30μmの両面テープを用いることができる。また、支持体123として例えば厚さ30μmの両面テープを用い、接着層124として例えば厚さ100μmの両面テープを用いることもできる。両面テープの厚みは、PET基材の有無またはPET基材の厚みで調整するようにしてもよい。両面テープの具体例としては、日栄化工株式会社の商品名Neo Fixの両面テープが挙げられる。
【0166】
(センサ電極層)
センサ電極層130の一方の主面には、
図28に示すように、第1、第2電極134、135が設けられ、これらの第1、第2電極134、135により第1、第2のセンシング部130SE1、130SE2が構成されている。センサ電極層130の一方の主面に、第1、第2電極134、135を覆うカバーレイフィルムなどの絶縁層(図示せず)がさらに設けられていてもよい。
【0167】
第1、第2電極134、135は、櫛歯状を有し、櫛歯の部分を噛み合わせるようにして配置されている。具体的には、第1電極134は、線状を有する複数のサブ電極134Aを備える。第2電極135は、線状を有する複数のサブ電極135Aを備える。複数のサブ電極134A、135Aは、X軸方向に延設され、Y軸方向に向かって所定間隔で交互に離間して設けられている。隣接するサブ電極134A、135Aは、容量結合を形成可能に構成されている。
【0168】
隣接するサブ電極134A、135Aは、相互容量方式の2つの電極として動作するほか、自己容量方式の1つの電極として動作することもできる。また、隣接するサブ電極134A、135Aとの間の結合による静電容量を利用して、センシング兼LC共振回路の共振用のコンデンサーとして活用できる。
【0169】
センサ電極層130が、第1、第2のセンシング部130SE1、130SE2に代えて、グランド電極端子131A、131Bのような矩形の薄膜状の電極を備えるようにしてもよい。なお、薄膜状の電極の形状は、矩形状に限定されるものではなく、矩形状以外の形状を採用することも可能である。また、センサ電極層130の一方の主面に配置される薄膜状の電極の個数は、1個であってもよいし、複数個であってもよい。
【0170】
また、FPC140の一方の主面には、第1、第2のセンシング部130SE1、130SE2の周囲を囲むように線状のグランド電極136が設けられている。グランド電極136は、
図28Bに示すように、グランド電極端子131Aに接続されている。また、図示しないが、グランド電極136は、グランド電極端子131Bにも接続されている。
【0171】
第1、第2のセンシング部130SE1、130SE2は、センサ120の長手方向に列を構成するようにして設けられている。隣接する第1、第2のセンシング部130SE1、130SE2の間は、所定の間隔離されている。第1、第2のセンシング部130SE1、130SE2はそれぞれ、窪み111A、111Bに対応して設けられている。具体的には、第1、第2のセンシング部130SE1、130SE2がそれぞれ、側壁部111Rの厚さ方向に窪み111A、111Bに重なるように設けられている。
【0172】
[2.2 センサ、弾性体およびスペーサの配置手順]
まず、センサ120の他の主面に、弾性体151の一方の主面を貼り合わせる。次に、センシング面120Sが内側面111SBに対向するように、センサ120を溝部112に挿入する。続いて、弾性体151と溝部112の側面との間に、スペーサ152を楔状となった一端が溝部112の底部に対向するようにして圧入する。
【0173】
[2.3 電子機器の動作]
以下、
図29を参照して、ボリューム操作時における電子機器110の動作について説明する。ここでは、
図29に示した処理は、例えば1フレーム内に実行されるものとする。
【0174】
まず、ステップS61において、IC13aは、第1、第2のセンシング部130SE1、130SE2の出力値(デルタ値)を検出する。次に、ステップS62において、IC13aは、第1のセンシング部130SE1の出力値が閾値以上であるか否かを判断する。
【0175】
ステップS62にて第1のセンシング部130SE1の出力値が閾値以上であると判断された場合には、ステップS63において、IC13aは、窪み111Aが押圧されたことをCPU13bに通知する。そして、通知を受けたCPU13bは、ボリュームアップ処理を実行する。
【0176】
ステップS62にて第1のセンシング部130SE1の出力値が閾値以上でないと判断された場合には、ステップS64において、IC13aは、第2のセンシング部130SE2の出力値が閾値以上であるか否かを判断する。
【0177】
ステップS64にて第2のセンシング部130SE2の出力値が閾値以上であると判断された場合には、ステップS65において、IC13aは、窪み111Bが押圧されたことをCPU13bに通知する。そして、通知を受けたCPU13bは、ボリュームダウン処理を実行する。ステップS64にて第2のセンシング部130SE2の出力値が閾値以上でないと判断された場合には、処理は終了となる。
【0178】
[2.4 効果]
第2の実施形態では、側壁部111Rの外側面111SAには窪み111A、111Bが設けられ、側壁部111Rの内側面111SBには第1、第2のセンシング部130SE1、130SE2を有するセンサ120が設けられている。そして、第1、第2のセンシング部130SE1、130SE2の位置はそれぞれ、窪み111A、111Bの位置に対応している。これにより、窪み111A、111Bに擬似的なボリュームボタンとしての機能を付与することができる。
【0179】
[2.5 変形例]
第2の実施形態では、センサ120が第1、第2のセンシング部130SE1、130SE2を備える構成を例として説明したが、センシング部の数はこれに限定されるものではなく、1個であってもよいし、3個以上であってもよい。
【0180】
筐体111が金属筐体である場合には、センサ120が、金属層121を備えないようにしてもよい。この場合、支持体123が内側面111SBに押し当てられ、内側面111SBが支持体123により支持される。
また、スペーサ152が金属により構成されている場合は、金属層122を備えないようにしてもよい。この場合、スペーサ152が、接着層124によりセンサ電極層130に貼り合わされる。
【0181】
スペーサ152に代えて、板ばねを用いるようにしてもよい。板バネとしては、例えば、U字状またはW字状などに曲げられた金属板を用いることができる。なお、金属板が長尺状を有する場合、金属板の曲げ方向は長手方向であってもよいし、幅方向であってもよい。
【0182】
図30Aに示すように、センサ120が、センシング面120S(すなわち、金属層121の両主面のうち、センサ電極層130側とは反対側となる主面)に、複数の凸部125と複数の凸部126とを備えるようにしてもよい。
【0183】
凸部125は、センシング部130SEに対応する位置に設けられている。具体的には、凸部125は、センサ20の厚さ方向にセンシング部130SEと重なるように設けられている。一方、凸部126は、支持体123に対応する位置に設けられている。具体的には、凸部126は、センサ120の厚さ方向に支持体123と重なるように設けられている。
【0184】
凸部125、126は、例えば、金属層121の一方の主面に樹脂材料を印刷する、または片面もしくは両面粘着フィルムなどの樹脂片を貼り合わせることで形成される。
【0185】
凸部125の大きさは、センシング面120Sの長手方向の両端から中央に向かうにしたがって小さくなるようにしてもよい。これにより、センシング部130SEの感度を調整することができる。また、凸部125は、凸部126よりも高いことが好ましい。
【0186】
上述のように凸部125をセンシング面120Sに設けることで、溝部112やセンサ210などの寸法のバラツキ(公差)により生じる隙間(空隙)を埋め、センシング面120Sと側壁部111Rの内側面111Sとの接触を維持することができる。また、上述のように凸部126をセンシング面120Sに設けることで、凸部125を設けたことによりセンシング面120Sが変形しすぎてしまうことを抑制できる。したがって、ダイナミックレンジの低下を抑制できる。また、センシング面120Sの押圧時に、側壁部111Rの内側面111SBを凸部126により支持することができる。したがって、側壁部111Rの内側面111SBの変形をセンシング部120SEに対応する部分に集中させることができる。
【0187】
また、センシング面120Sに凸部125、126を設ける代わりに、側壁部111Rの内側面111SBに凸部125、126を設けるようにしてもよい。
【0188】
図30Bに示すように、センサ120が、センシング面120Sとは反対側となる裏面(すなわち、金属層122の両主面のうち、センサ電極層130側とは反対側となる主面)に、変形層128をさらに備えるようにしてもよい。変形層128としては、第1の実施形態の第1の変形層28と同様のものを用いることができる。変形層128としては、厚さ0.5mmであるマイクロセルポリマーシート(株式会社ロジャースイノアック製、PORON(登録商標))を用いることが好ましい。センサ120が変形層128を備えることで、溝部112やセンサ120などの寸法のバラツキ(公差)により生じる隙間を埋めることができる。
【0189】
センサ120が変形層128を備える場合、金属層122と変形層128との間に複数の支持体127を備えるようにしてもよい。支持体127は、支持体123に対応する位置に設けられる。具体的には、支持体127は、センサ120の厚さ方向に支持体123と重なるように設けられる。支持体127としては、支持体123と同様のものを用いることができる。センサ120が支持体127を備えることで、変形層128によりセンサ120の裏面が押圧されて、金属層122がセンシング部130SEに向けて変形することを抑制できる。
【0190】
図31に示すように、センサ120が、接着層124に代えて、複数の支持体129を備えるようにしてもよい。複数の支持体129は、金属層122とセンサ電極層130との主面間に設けられ、金属層122とセンサ電極層130との間が離間するように、金属層122をセンサ電極層130の他方の主面にて支持する。支持体129は、例えば、絶縁性を有する接着剤または両面接着テープにより構成される。支持体129は、センシング面120Sに加わる圧力により弾性変形してもよい。
【0191】
図32に示すように、センサ120と弾性体151とスペーサ152とを予め貼り合わせて積層体150を構成しておき、スペーサ152の幅方向の一端をセンサ120の方向に向けて屈曲または湾曲させることで、積層体150の幅方向の一端が楔状となるようにしてもよい。このような構成を採用することで、センサ120、弾性体151およびスペーサ152を溝部112に容易に圧入することができる。上記構成は、スペーサ152が薄い場合に特に有効である。スペーサ152が薄い場合には、第1の実施形態におけるようにスペーサ152を単体として溝部112に圧入することは難しい場合があるからである。
【0192】
例えば、センサ120の厚みを0.5mm、弾性体151の厚みを0.5mm、スペーサ152の厚みを0.2mm、溝部112の幅を1mmとした場合には、積層体150を溝部112に圧入した場合には、弾性体151が0.2mm潰れる。
【0193】
スペーサ152の一端に設けられた屈曲部分または湾曲部分は、センサ120の裏面を押圧せず、かつセンサ120の裏面に接触もしないように設けられていることが好ましい。具体的には例えば、スペーサ152の屈曲部分または湾曲部分よりも内側の位置に弾性体151の幅方向の一端が位置するようにし、かつ屈曲部分の屈曲量または湾曲部分の湾曲量を、溝部112に積層体150を圧入した状態における弾性体151の厚さ以下とすることが好ましい。上記構成を採用することで、屈曲部分または湾曲部分が弾性体151を介してセンサ120の裏面を押圧しないようにすることができるため、センサ120のダイナミックレンジの低下を抑制することができる。
【0194】
図33A、33Bに示すように、電子機器110が、センサ120と弾性体151とをそれぞれの主面が内側面111SBと平行になるように支持すると共に、弾性体151を介してセンサ120を内側面111SBに対して押し付ける支持部材153を備えるようにしてもよい。この場合、センサ120のセンシング面120Sに凸部125が設けられていてもよい。
【0195】
筐体111には、側壁部111Rの内側面111SBの近傍に孔部113A、113Bが設けられている。支持部材153は長尺の板状を有し、支持部材153の長手方向の両端には貫通孔153A、153Bが設けられている。支持部材153は、ネジ154A、154Bをそれぞれ貫通孔153A、153Bを通すようにして孔部113A、113Bに固定することで、内側面111SBの近傍に固定される。
【0196】
側壁部111Rの外側面111SAが3つの窪み111A、111B、111Cを備えると共に、センサ120が窪み111A、111B、111Cに対応する3つのセンシング部を備えるようにしてもよい。この場合、窪み111A、111Bの押圧によりボリューム増減の操作を行うことができ、窪み111Cの押圧により電源のオン/オフの操作を行うことができるようにしてもよい。
【0197】
第2の実施形態では、側壁部111Rの外側面111SAが、押圧位置(すなわち第1、第2のセンシング部130SE1、130SE2に対応する位置)に窪み111A、111Bを設ける構成を例として説明したが、押圧部を触覚的に把握可能とする構成はこれに限定されるものではない。例えば、凹凸の引っ掛かりを外側面111SAに設けるようにしてもよいし、突起を外側面111SAに設けるようにしてもよい。また、押圧部とその周辺部分との表面粗さを変化させてもよい。例えば、押圧部とその周辺部分とのうちの一方をざらついた表面とし、他方を平滑な表面としてもよい。また、押圧部とその周辺部分との体感温度を変えるようにしてもよい。例えば、押圧部とその周辺部分とのうちの一方を金属で構成し、他方を高分子樹脂で構成するようにしてもよい。
【0198】
押圧部を触覚的に把握可能とする代わりに、押圧部を視覚的に把握可能としてもよいし、押圧部を触覚的および視覚的に把握可能としてもよい。押圧部を視覚的に把握可能とするためには、例えば、記号、文字、マーク、模様および色のうちの少なくとも1種を筐体111の外側面111SAに印刷すればよい。また、押圧部に記号、文字、マークおよび模様のうちの少なくとも1種を筐体111の外側面111SAに刻印するようにしてもよい。例えば押圧部にボリュームボタンの機能が付与されている場合には、押圧部に“+”または“-”の記号を印刷または刻印すればよい。
【0199】
センサ120が、静電容量変化により温度を検出するための温度検出用の電極部をさらに備えるようにしてもよい。この場合、IC13aが、温度検出用の電極部の静電容量変化に基づき温度を検出し、検出した温度に基づき閾値(窪み111A、111Bの押圧を判別するための閾値)を補正するようにしてもよい。温度検出用の電極部としては、第1、第2のセンシング部130SE1、130SE2と同様の構成を有する電極部を用いるようにしてもよい。
【0200】
基板13が温度検出部をさらに備えるようにしてもよい。この場合、IC13aが、温度検出部により温度を検出し、検出した温度に基づき閾値(窪み111A、111Bの押圧を判別するための閾値)を補正するようにしてもよい。
【0201】
センサ120が、筐体111(具体的にはセンサ120)に加えられたねじり歪みで変形するが、外部から押圧されないように構成された歪み検出用の電極部をさらに備えるようにしてもよい。この場合、IC13aが、歪み検出用の電極部の静電容量変化に基づき歪みを検出し、検出した歪みに基づき閾値(窪み111A、111Bの押圧を判別するための閾値)を補正するようにしてもよい。歪み検出用の電極部としては、第1、第2のセンシング部130SE1、130SE2と同様の構成を有する電極部を用いるようにしてもよい。
【0202】
センサ120、弾性体151およびスペーサ152は、溝部112の長さ方向に複数に分割されていてもよい。これにより、筐体111に加えられたねじり歪みによるセンサ120の測定誤差を抑制することができる。また、溝部112が複数設けられ、それぞれの溝部112にセンサ120、弾性体151およびスペーサ152が収容されていてもよい。
【0203】
センサ120においてセンサ電極層130の第1、第2のセンシング部130SE1、130SE2は渦巻き状のコイル配線でもよい。この場合、第1、第2のセンシング部130SE1、130SE2の渦巻き状のコイル配線は、金属層121、122の変形を電界ではなく磁界の変動で検出する。
【実施例0204】
以下、実施例により本技術を具体的に説明するが、本技術はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0205】
以下のサンプルにおいて、弾性率(25%CLD)は、JIS K 6254に準拠して測定された値である。
【0206】
[サンプル1-1~1-4]
図21に示す構成を有するセンサを作製した。なお、第1、第2の変化層としては、具体的には以下のものを使用した。
<第1の変形層>
材料:発泡体(株式会社イノアックコーポレーション製、PureCell Sシリーズ)
弾性率(25%CLD):0.015MPa
厚み:0μm、60μm、100μm、200μm
面積占有率:100%
<第2の変形層>
材料:発泡体(株式会社イノアックコーポレーション製、PureCell S006)
弾性率(25%CLD):0.028MPa
厚み:60μm
面積占有率:100%
【0207】
[サンプル2-1~2-5]
第1の変形層として以下のものを使用したこと以外はサンプル1-1と同様にしてセンサを作製した。
<第1の変形層>
材料:発泡体(株式会社イノアックコーポレーション製、PureCell 020,S006,S010,S020または株式会社ロジャースイノアック製、PORON SR-S-20P)
弾性率(25%CLD):0.036MPa、0.028MPa、0.015MPa、0.012MPa、0.006MPa
厚み:200μm
面積占有率:100%
【0208】
[サンプル3-1~3-4]
第1の変形層として以下のものを使用したこと以外はサンプル1-1と同様にしてセンサを作製した。
<第1の変形層>
材料:発泡体(株式会社イノアックコーポレーション製、PureCell S006)
弾性率(25%CLD):0.028MPa
面積占有率:100%。75%、50%、10%
【0209】
[サンプル4]
第1の変形層として厚み20μm、面積占有率110%のPET基材を使用したこと以外はサンプル1-1と同様にしてセンサを作製した。なお、上記PET基材の弾性率(25%CLD)は測定不可能であった。
【0210】
[評価]
上述のようにして作製されたセンサについて、荷重と変位量との関係、および荷重とデルタとの関係を求めた。その結果を表1~表4、
図22に示す。
【0211】
表1は、サンプル1-1~1-4のセンサの評価結果を示す。
【表1】
【0212】
表2は、サンプル1-1~1-4のセンサの構成および評価結果を示す。
【表2】
【0213】
表3は、サンプル2-1~2-5のセンサの構成および評価結果を示す。
【表3】
【0214】
表4は、サンプル3-1~3-4、4のセンサの構成および評価結果を示す。
【表4】
【0215】
図22から、荷重変化に対するデルタは、第1の変形層の厚みによらずほぼ一定であるのに対して、荷重変化に対する変位は、第1の変形層の厚みの増加に応じて増加することがわかる。したがって、サンプル3-2~3-4では、第2の変形層の潰れを抑制でき、筐体およびセンサの厚みバラつきがあっても、感度を一定に保持できることがわかる。
【0216】
表1、表2から、第1の変形層の厚みを厚くするに従って、センサの変位量が大きくなることがわかる。表3から、第1の変形層の弾性率を低くするに従って、センサの変位量が大きくなることがわかる。表4から、第1の変形層の面積占有率を小さくするに従って、センサの変位量が大きくなることがわかる。
【0217】
以上、本技術の実施形態およびその変形例について具体的に説明したが、本技術は、上述の実施形態およびその変形例に限定されるものではなく、本技術の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0218】
例えば、上述の実施形態および変形例において挙げた構成、方法、工程、形状、材料および数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料および数値などを用いてもよい。
【0219】
また、上述の実施形態およびその変形例の構成、方法、工程、形状、材料および数値などは、本技術の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
【0220】
また、本技術は以下の構成を採用することもできる。
(1)
外装体と、
第1の面および第2の面を有する感圧センサと、
前記外装体と前記第1の面とが対向するように前記感圧センサを支持する支持体と、
前記第1の面と前記外装体との間および前記第2の面と前記支持体との間の少なくとも一方に設けられた第1の変形層と
を備え、
前記感圧センサは、
センシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、
リファレンス電極層と、
前記リファレンス電極層と前記センサ電極部との間に設けられた第2の変形層と
を備え、
前記第1の変形層および前記第2の変形層が、以下の式(1)から(3)のうちの少なくとも1つの関係を満たす電子機器。
前記第1の変形層の弾性率≦前記第2の変形層の弾性率 ・・・(1)
前記第1の変形層の厚み≧前記第2の変形層の厚み ・・・(2)
前記第1の変形層の面積占有率≦前記第2の変形層の面積占有率 ・・・(3)
(2)
前記第1の変形層および前記第2の変形層は、発泡樹脂を含んでいる(1)に記載の電子機器。
(3)
前記第1の変形層は、形状パターンを有している(1)または(2)に記載の電子機器。
(4)
前記外装体は、金属または高分子樹脂を含んでいる(1)から(3)のいずれかに記載の電子機器。
(5)
前記外装体は、側壁部を有し、
前記感圧センサおよび前記第1の変形層は、前記側壁部に設けられている(1)から(4)のいずれかに記載の電子機器。
(6)
前記外装体は、筐体である(1)から(5)のいずれかに記載の電子機器。
(7)
前記外装体は、該外装体を前記第1の面に向けて押圧することで、前記第1の面を押圧可能に構成されている(1)から(6)のいずれかに記載の電子機器。
(8)
前記第1の変形層および前記第2の変形層が、上記式(1)から(3)のうちの少なくとも2つの関係を満たす(1)から(7)のいずれかに記載の電子機器。
(9)
前記第1の変形層および前記第2の変形層が、上記式(1)から(3)のすべての関係を満たす(1)から(7)のいずれかに記載の電子機器。
(10)
前記第1の変形層および前記第2の変形層が、以下の式(4)から(6)のうちの少なくとも1つの関係を満たす(1)から(9)のいずれかに電子機器。
前記第1の変形層の弾性率<前記第2の変形層の弾性率 ・・・(4)
前記第1の変形層の厚み>前記第1の変形層の厚み ・・・(5)
前記第1の変形層の面積占有率<前記第1の変形層の面積占有率 ・・・(6)
(11)
前記第1の変形層の弾性率が、0.04MPa以下であり、
前記第1の変形層の厚みが、10μm以上1000μm以下であり、
前記第1の変形層の面積占有率が、10%以上100%以下である(1)から(10)のいずれかに記載の電子機器。
(12)
外装体と、
第1の面および第2の面を有する感圧センサと、
前記外装体と前記第1の面とが対向するように前記感圧センサを支持する支持体と、
前記第1の面と前記外装体との間および前記第2の面と前記支持体との間の少なくとも一方に設けられ、導電材料を含む第1の変形層と
を備え、
前記感圧センサは、
センシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、
前記第1の変形層と前記センサ電極部との間に設けられた第2の変形層と
を備え、
前記第1の変形層および前記第2の変形層が、以下の式(1)から(3)のうちの少なくとも1つの関係を満たす電子機器。
前記第1の変形層の弾性率≦前記第2の変形層の弾性率 ・・・(1)
前記第1の変形層の厚み≧前記第2の変形層の厚み ・・・(2)
前記第1の変形層の面積占有率≦前記第2の変形層の面積占有率 ・・・(3)
(13)
第1の面および第2の面を有する感圧センサ本体と、
前記第1の面および前記第2の面の少なくとも一方に設けられた第1の変形層と
を備え、
前記感圧センサ本体は、
センシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、
リファレンス電極層と、
前記リファレンス電極層と前記センサ電極部との間に設けられた第2の変形層と
を備え、
前記第1の変形層および前記第2の変形層が、以下の式(1)から(3)のうちの少なくとも1つの関係を満たすセンサ。
前記第1の変形層の弾性率≦前記第2の変形層の弾性率 ・・・(1)
前記第1の変形層の厚み≧前記第2の変形層の厚み ・・・(2)
前記第1の変形層の面積占有率≦前記第2の変形層の面積占有率 ・・・(3)
(14)
外装体と、
第1の面および第2の面を有する感圧センサと、
前記外装体と前記第1の面とが対向するように前記感圧センサを支持する支持体と、
前記第1の面と前記外装体との間および前記第2の面と前記支持体との間の少なくとも一方に設けられた第1の変形層と
を備え、
前記感圧センサは、
センシング部を有する静電容量式のセンサ電極部と、
リファレンス電極層と、
前記リファレンス電極層と前記センサ電極部との間に設けられた第2の変形層と
を備え、
前記第1の変形層および前記第2の変形層が、以下の式(1)から(3)のうちの少なくとも1つの関係を満たす入力装置。
前記第1の変形層の弾性率≦前記第2の変形層の弾性率 ・・・(1)
前記第1の変形層の厚み≧前記第2の変形層の厚み ・・・(2)
前記第1の変形層の面積占有率≦前記第2の変形層の面積占有率 ・・・(3)