(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022058585
(43)【公開日】2022-04-12
(54)【発明の名称】マルチパスサンプルセル
(51)【国際特許分類】
G01N 21/03 20060101AFI20220405BHJP
G01N 21/3504 20140101ALI20220405BHJP
G01N 21/01 20060101ALI20220405BHJP
G01N 21/61 20060101ALI20220405BHJP
【FI】
G01N21/03 B
G01N21/3504
G01N21/01 D
G01N21/61
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022003191
(22)【出願日】2022-01-12
(62)【分割の表示】P 2018553408の分割
【原出願日】2017-04-18
(31)【優先権主張番号】15/133,517
(32)【優先日】2016-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】513187195
【氏名又は名称】カスケイド テクノロジーズ ホールディングス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100116850
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 隆行
(72)【発明者】
【氏名】ブラック ポール
(72)【発明者】
【氏名】ラムズデン コリン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】レーザ吸収分光法に基づくガス分析における使用のためのサンプルセルを提供する。
【解決手段】光学セルは、第1及び第2の対向した反射要素(80,82)と、第1の反射要素内の入射口(84)及び第2の反射要素内の射出口(86)とを含み、ここで入射口及び射出口は、作動時に、入射口を経由して導入される光が、射出口を経由してこのセルから離れる前に第2の反射要素によって少なくとも1回及び第1の反射要素によって少なくとも1回反射されるように構成されている。この光学セルは、セル内の光路長を修正すべく第1及び第2の反射要素の相対的な動き、例えば、並進又は回転を得るための調整装置を更に含んでいてもよい。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2の対向した反射要素と、
前記第1の反射要素内の入射口と、
前記第2の反射要素内の射出口と、
を含む光学セルにおいて、
前記入射口及び前記射出口は、作動時に、前記入射口を経由して前記セル内へ導入される光が、前記射出口を経由して前記セルから離れる前に前記第2の反射要素によって少なくとも1回及び前記第1の反射要素によって少なくとも1回反射されるように構成されている光学セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプルセル、例えばレーザ吸収分光法に基づくガス分析における使用のためのサンプルセルに関する。
【背景技術】
【0002】
公知の種々のガス分析システムは、分析されるべきガスサンプルを収容するための且つこのガスサンプルと相互作用をするためにそこを通ってレーザビームが通過する1個又はそれ以上のサンプルセル、例えば1個又はそれ以上のヘリオットセルも含んでいる。これらのサンプルセル及びその他の色々な光学部品のアレンジメントは、ガス分析システムのジオメトリ、寸法及び性能に影響を与える。例えば、システムをコンパクトに、例えばコンパクトで搬送可能なハウジング内にこのシステムを収容することを可能にするために、サンプルセル及び他の複数の光学部品の適切なアレンジメントを提供することが重要となる可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様において、第1及び第2の対向した反射要素と、第1の反射要素内の入射口と、第2の反射要素内の射出口とを含む光学セルが提供される。入射口及びイグジットアパチャは、作動時に(in operation)、入射口を経由してセル内に導入される光が、入射口を経由してこのセルから離れる前に第2の反射要素によって少なくとも1回及び第1の反射要素によって少なくとも1回反射されるように構成されていてもよい。
【0004】
この光はレーザ光線、例えば少なくとも1個のレーザビームを含んでいてもよい。この光は赤外光又は可視光、例えば赤外又は可視のレーザビームを含んでいてもよい。このレーザビームは、パルス化されたレーザ光線を含むパルス化されたレーザビームを含んでいてもよい。この光学セルは、マルチパス光学セルであってもよい。
【0005】
この光学セルは、ヘリオット型セルを含んでいてもよい。
【0006】
この光学セルは、適合化された又は修正されたヘリオットセルを含んでいてもよい。
【0007】
入射口と射出口との間の光が続くパスは経路長を決定することが可能であり、またこのセルはセルの経路長が修正されるように、第2の反射要素と第1の反射要素の相対的な動きを得るための調整装置を含んでいてもよい。
【0008】
この相対的な動きは、第1の反射要素と第2の反射要素の一つを固定位置に保持し、更に第1の反射要素と第2の反射要素の他方を移動(例えば、回転及び/又は並進)させることを含んでいてもよい。代替的に、この相対的な動きは、第1の反射要素と第2の反射要素の双方を移動(例えば、回転及び/又は並進)させることを含んでいてもよい。この調整装置は、第1の反射要素及び/又は第2の反射要素を移動(例えば、回転及び/又は並進)させてもよい。
【0009】
調整装置は、セルに入って来てセルから出ていく間の光の反射回数を修正することによって、経路長を修正するように構成されていてもよい。
【0010】
それに渡って光がセル内のサンプルガスと相互作用をする経路長は、光がセルから出ていく前に第1の反射要素と第2の反射要素によって光の反射数を変更することによって修正されてもよい。
【0011】
相対的な動きは、第2の反射要素及び/又は第1の反射要素の回転を含んでもよい。
【0012】
相対的な動きは、第2の反射要素及び/又は第1の反射要素の並進を含んでもよい。
【0013】
作動時に、この光は複数の第1の反射点において第1の反射要素から反射してもよく、更に複数の第2の反射点において第2の反射要素から反射してもよい。
【0014】
このセルは、第2の反射要素と第1の反射要素の相対的な動きを得ることによってこれらの第2の反射点の選択された一つに射出口を位置決めするための調整装置を含んでいてもよい。
【0015】
かくして、セルから出ていく前の光の反射回数は、射出口の適切な位置決めによって変更されてもよい。
【0016】
この調整装置は、複数の第2の反射点の一つからこれらの第2の反射点の更なる選択された一つへ射出口の位置をステップするような相対的な動きを得るように構成されてもよい。
【0017】
この調整装置は、複数の第2の反射点の夫々の分離に相当する夫々所定量だけ射出口と複数の第2の反射点の相対的な動きを引き起こすように構成されていてもよい。
【0018】
複数の第1の反射点の少なくとも幾つかは、随意的には各々は、第1の反射要素の軸からの略同じ半径方向の距離に配置されてもよい。複数の第2の反射点の少なくとも幾つかは、随意的には各々は、第2の反射要素の軸からの略同じ半径方向の距離に配置されてもよい。
【0019】
複数の第1の反射点の少なくとも幾つかは、随意的には各々は、略同じ第1の角度だけ複数の第1の反射点の各隣接する一つから離隔されていてもよい。複数の第1の反射点の少なくとも幾つかは、随意的には各々は、略同じ第2の角度だけ複数の第2の反射点の各隣接する一つから離隔されていてもよい。
【0020】
この第1の角度は第2の角度と略同じであってもよい。
【0021】
入射口は、第1の反射要素の中心軸に対して軸ずれ位置に配置されてもよい。射出口は第2の反射要素の中心軸に対して軸ずれ位置に配置されてもよい。
【0022】
第1の反射要素は、円対称である反射面を有していてもよい。第2の反射要素は、円対称である反射面を有していてもよい。
【0023】
第1の反射要素は、放物面鏡を含んでいてもよい。第2の反射要素は、放物面鏡を含んでいてもよい。
【0024】
独立に提供されてもよい本発明の更なる態様において、1個又はそれ以上の異なった化合物の励起用の少なくとも1個のレーザビームを発生するように構成された少なくとも1個のレーザと、一定容量のサンプルガスを収容するためのサンプルセルと、少なくとも1個のレーザビームをこのサンプルセルに方向付けるように構成された少なくとも1個の方向付けデバイスと、このセルから出力される光を検出するための検出装置とを含む検出システムが提供され、ここでこのサンプルセルは、第1と第2の対向した反射要素と、第1の反射要素内の入射口と、第2の反射要素内の射出口とを含んでおり、入射口及び射出口は、作動時に、入射口を経由してセル内へ導入される光が、射出口を経由してこのセルから離れる前に第2の反射要素によって少なくとも1回及び第1の反射要素によって少なくとも1回反射されるように構成されている。
【0025】
この検出装置は、サンプルセルの第1の側において配置されてもよく、そしてこの少なくとも1個のレーザはサンプルセルの第2の略対向した側において配置されてもよい。
【0026】
このシステムは、連続的なエミッションモニタリングシステムであってもよい。
【0027】
この少なくとも1個の化合物は、NO,NO2,H2O,CO,CO2,CH4,SO2,NH3,C2H2及びO2の少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0028】
独立に提供可能である本発明の更なる態様において、ガスの存在をテスト、測定又は検出する方法が提供され、この方法は:サンプルセルの第1の反射要素内で入射口を経由してガスを収容するサンプルセル内へ光を方向付け、第1の反射要素と第2の反射要素との間の光の反射に続いてこのサンプルセルの第2の反射要素内の射出口から光を受け取り、この受け取られた光を検出する。
【0029】
一つの態様における種々の特徴は、任意の適切な組合せでその他の態様における種々の特徴として適用可能である。例えば、方法、システム又はセルの夫々の特徴の任意の一つは、方法、システム又はセルの夫々の特徴の任意の他の一つとして適用可能である。
【0030】
本発明の種々の態様は、例によってのみ及び添付図面を参照して以下記載されるであろう
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図2】
図2はレーザ分光システムのレーザモジュールの概略図である。
【
図3】
図3はレーザ分光システム用のハウジングの斜視図である。
【
図5】
図5はマルチパス光学セルの反射要素の概略図である。
【発明の詳細な説明】
【0032】
図1はセンサ装置12のサンプルセル10内で収集されるガスを分析するためのレーザ分光システムの概略的な表現である。このシステムは、センサ装置12に光学的に結合されているレーザモジュール14を含んでいる。このシステムは、電子的に、電気的に又は別のやり方でレーザモジュール14及びセンサ装置12に接続されているコントローラ16も含んでいる。このレーザモジュール14は、
図2に関連して以下でより詳しく記載されるように、複数のレーザ18と、共通な光路に沿った複数のレーザからサンプルセル10内へ複数のレーザビームを方向付けるよう配置された複数の光学部品20の形態での少なくとも1個の方向づけデバイスとを含んでいる。
【0033】
サンプルセル10に加えて、センサ装置12は複数のステアリング光学部品22と、複数の検出器を含むセンサ装置24とをまた含んでいる。これらの検出器は、サンプルセルからの光を検出するように構成されている。この光は、赤外光又は可視光、又は任意の他の適切な波長の又は電磁スペクトルの任意の適切な部分からの光であってもよい。コントローラ16は、コントロールモジュール26と、信号プロセッサ28とを含んでいる。このコントロールモジュール26は複数のレーザの動作を制御するように構成されており、更に信号プロセッサ28は検出装置24から得られる複数の信号を処理するように構成されている。このコントローラ16は、例えば、適切にプログラムされたPC又は他のコンピュータの形態であってもよく、又は専用の回路又は他のハードウェア、例えば1個又はそれ以上のASICs又はFPGAs又はハードウェア及びソフトウエアの任意の適切な混合を含んでいてもよい。このコントロールモジュール26及び処理モジュールは、
図1に示されるような同じコントローラ部品内に設けられるというより、幾つかの実施の形態においては分離した区別される複数の部品、例えば分離した複数の処理リソースとして提供されてもよい。
【0034】
このサンプルセル10は、光学的な入射口と、光学的な射出口とを有している。このサンプルセル10は、例えば、ヘリオットセル又はサンプルセルの任意の他の適切なタイプであってもよい。
図1のサンプルセル10は、その中へガスのサンプルが導入及び収集できる容量を規定している。このガスは、関心のある1個又はそれ以上の異なった化合物を含むことができる。サンプルセル10内で収集されるガス中のこれらの化合物の存在の表示は、サンプルセル10を介して複数のレーザ18からの光を通過させることによって決定できる。光が関心のある化合物の吸収スペクトル又は各吸収線に相当する波長範囲内に存在する場合、それがセルを通過する時の光の任意の吸収は、サンプル内の関心のある化合物の存在に起因していてもよい。一旦決定されたら、吸収のレベルはサンプル内の関心のある化合物の物理的な性質、例えば、濃度を決定すべく使用することができる。異なった化合物が異なった波長において吸収スペクトルを夫々有しているので、光の異なった波長がサンプルセル10に供給される。
【0035】
図2は、
図1に示されるレーザ分光システムのレーザモジュール14の一部のより詳しい概略図である。これらの光学部品20は、一組の部分反射鏡32と、ダイクロイックミラー34とを含んでいる。これらの部分反射鏡32は、第1の鏡36と、第2の鏡38と、第3の鏡40と、第4の鏡42、及び第5の鏡44とを含んでいる。これらのレーザ18は、第1のレーザ46と、第2のレーザ48と、第3のレーザ50と、第4のレーザ52と、第5のレーザ54及び第6のレーザ56とを含んでいる。これらの部分反射鏡32及びダイクロイックミラー34は、共通の光路に沿った複数のレーザ18からポイント58への複数のレーザビームを方向付けるように構成されている。共通の光路に沿ったポイント58からサンプルセル10への合成されたレーザビーム30を導くための付加的な複数のステアリング光学部品がシステム内に含まれているが、
図2には示されていない。これらのレーザ46,48,50,52,54,56の各々は対応する鏡36,38,40,42,44,34を有している。これらの部分反射鏡32及びダイクロイックミラー34は、一直線に配置されている。各鏡は、45度の角度でこの直線に対して傾斜している。この直線は第1の鏡36からダイクロイックミラー34へ次いでポイント58の伝搬の方向を規定している。合成されたレーザビーム30は伝搬の方向に沿って伝搬する。
【0036】
種々の任意の適切な部分反射鏡を用いることが可能である。
図2の実施の形態において、これらの部分反射鏡の各々は前面の広帯域反射を制御すべく適用される光学的なコーティングを有する複数の被膜化赤外BaF
2又はCaF
2ウインドウを含んでいる。種々の任意の他の適切な材料が複数の代替的な実施の形態において使用することができる。
図2の実施の形態において、2つのコーティング、即ち80:20(80%透過、20%反射)及び50:50(50%透過、50%反射)が用いられる。これにより、出力パワーを(種々の実用限界内の)各レーザ用の一定の値に調和させるべく種々のレーザパワーが調整可能である。複数の代替的な実施の形態において、より多くの又はより少ないコーティングを使用することができる。
図2の複数の部分反射鏡の夫々のコーティングは、波長とくに関心のある複数の波長の前後における変化に対するそれらの応答における任意の変化分が減少又は最小化されるように、ブロードバンドとなるよう設計されている。
【0037】
種々の任意の適切なダイクロイックミラーを使用可能である。
図2の実施の形態において、ダイクロイックミラーは特定の波長よりも小さい光を反射させると共にこの特定の波長よりも大きい光を透過すべく適用される光学的なコーティングを有する被膜化赤外BaF2ウインドウを含んでいる。種々の他の任意の適切な材料が複数の代替的な実施の形態において使用できる。
図2の実施の形態においては、このコーティングは波長が1μm未満の光を反射すると共に波長が1μmより大である光を透過するようになっている。
【0038】
他の複数の実施の形態において、鏡の複数の他の適切なタイプ又は種々の光学的なデバイスが種々の部分反射鏡及びダイクロイックミラーの代わりに使用することが可能である。例えば、幾つかの実施の形態において、ダイクロイックミラー又は部分反射鏡以外の鏡が、ダイクロイックミラー34の位置において例えば、ポイント58より前の最後の鏡位置において、使用することが可能である。このような鏡は、より多くのパワーをセル内へ導入すべく最後の位置において使用可能である。これはいかなるレーザも最終位置を通過する必要がないように、最後の位置がその後ろに如何なる付加的な複数のレーザも有していないので、又はそうである場合、可能となることができる。複数の代替的な実施の形態において、複数の部分反射ミラーと複数のダイクロイックミラーの任意の適切な数及びその組み合わせが使用可能である。
【0039】
複数の部分反射鏡32の各々は、それに入射される光を部分的に反射及び部分的に透過させるように構成されている。この鏡の反射特性及び透過特性は、共通光路に沿って複数のレーザ18からの複数のレーザビームを方向付けるように選択される。
図2の実施の形態において、これらの部分反射鏡32の各々は、複数のレーザ18の相当する一つから入射光の20%を反射すると共に入射光の80%を透過する。これらの部分反射鏡32は、複数の代替的な実施の形態において、異なった反射特性及び透過特性を有していてもよい。ダイクロイックミラー34は、反射波長範囲によって規定され、そして反射波長範囲内のある波長を有する光を反射すると共に反射波長範囲外のある波長を備えた光を透過させるように構成されている。ダイクロイックミラー34の反射波長範囲は、第6のレーザ56からの光が反射され並びに第1から第5のレーザからの光が透過されるように、この第6のレーザ56の波長範囲に相当するように選択されている。これらの鏡は夫々平坦な又は非くさび形状の複数の光学部品である。有益には、これにより、システムが直交したやり方で動作させられる。例えば、このシステムは、第1の鏡36からダイクロイックミラー34への伝搬の方向が複数のレーザ18から出力される複数のレーザビームに略直交するような幾何学的配置を有している。
【0040】
複数の実施の形態における平坦な又は非くさび形状の複数の光学部品を用いるその他の利点は、夫々のレーザビームを共通の光路に向けることが、例えば、これらの光学部品によって引き起こされる任意の種々の歪み効果又は他のアーティファクトが略波長とは独立であってもよいように略波長に独立であってもよいことである。しかしながら、複数の鏡を使用することによって、結果的に得られる光信号が色々な干渉縞効果を受ける可能性がある。これらの効果はシステムの自由スペクトル領域を制御すべく複数の光学部品の夫々の寸法、特に厚さを選択することによって減少できる。この自由スペクトル領域は2個の連続した最大値又は最小値間の波長差の量である。典型的には、これらの光学部品の適切な厚さは1mm未満である。この選択は最悪の場合でも4cm-1又はそれ以上の自由スペクトル領域を提示する。この自由スペクトル領域を制御することによって、種々の縞効果が生ずる周波数は、サンプルセル10内の種々の化合物の測定と一致しない及び/又はそれと干渉しないようにシフトできる。
【0041】
この大きさの自由スペクトル領域は、全体のレーザスキャンによってカバーされるスペクトルウインドウに幅が類似しているスペクトルウインドウを提供する。予測される効果は、レーザパルスのバックグラウンド上の湾曲である。このバックグラウンドは、信号を処理する部分として、種々のスペクトルフィティングアルゴリズムを用いて容易に取り除くことができる。種々の付加的な縞効果は、非平坦又はくさび形状の複数の光学部品の使用によってサンプルセル10へ光を導くべく使用されるセンサ装置12内の複数のステアリング光学部品22及び光学系内では避けられる。
【0042】
図2における各レーザは、一組の5個の部分反射鏡32に属する相当するミラーと1個のダイクロイックミラー34とを有している。作動時に、第1のレーザ46からのレーザビームは第1の鏡36へ、次いで第1のミラー36からポイント58へ通過する。この第1の鏡36は、第1のレーザ46からのレーザビームが第1の鏡36によって直角に反射されるように傾斜している。同様に、第2から第5のレーザの各々は、第2から第5の鏡によって画定される相当する光路を有している。第6の光路は、第6のレーザ56からダイクロイックミラー34へ更にポイント58へ同様なやり方で画定される。これらの鏡のすべては、それらの光路の各々がその相当する鏡を用いてその交差点において直角に曲がるように第1の鏡36と同じ傾度で配置されている。
【0043】
これらの鏡は、レーザ46,48,50,52,54,56からの夫々のレーザビームがそれらの相当する光学部品36,38,40,42,44,34による反射の後ポイント58を経由してセル10への共通の光路に沿って通過するように配置されている。この共通の光路は、例えば、第1の鏡36において一端を並びにサンプルセル10への入射口84において他端を有し、そしてポイント58を通って延在してもよく更に共通光路に沿って通過するように方向付けられる場合、各々のレーザの夫々の光路が共通光路に結合される。従って、各レーザの夫々の光路は略オーバラップしてもよい。
【0044】
作動時に、これらのレーザ18は、複数のパルスを順次発生すべく、コントロールモジュール26、又は他の複数の実施の形態における他のコントロール部品によって制御される。このシーケンス以下のようであってもよい。第1のレーザ46は、複数の光学部品によってポイント58へ向けられ、そしてサンプルセル10へ前方へ通過する第1のパルスを発生する。引き続いて、第2のレーザ48は、複数の光学部品によってポイント58へ向けられ、そしてサンプルセル10へ前方へ通過する第2のパルスを発生する。複数の光学部品によってポイント58へ向けられ、そしてサンプルセル10へ前方へ通過する第3のレーザ50によって発生する第3のパルスと、複数の光学部品によってポイント58へ向けられ、そしてサンプルセル10へ前方へ通過する第4のレーザ52によって発生する第4のパルスと、複数の光学部品によってポイント58へ向けられ、そしてサンプルセル10へ前方へ通過する第5のレーザ54によって発生する第5のパルスと、複数の光学部品によってポイント58へ向けられ、そしてサンプルセル10へ前方へ通過する第6のレーザ56によって発生する第6のパルスとが今度はこれに続く。この第6のパルスに続いて、このシーケンスが繰り返される。これらのレーザの各々からの複数のパルス化されたビームは、インターリーブされ及び/又は時間において非オーバラップであり、そしてサンプルセル10への共通パスに沿って伝搬する。
【0045】
上記シーケンスに続いて、第1のパルスは第1の鏡36に入射して、そしてそれによって反射され、次いで第2,3,4,及び5の鏡、更にダイクロイックミラー34によってポイント58へ伝達され、そしてサンプルセル10及び検出装置24に続く。引き続いて、第2のパルスは第2の鏡38に入射して、そしてそれによって反射され、次いで第3,4及び5の鏡、更にダイクロイックミラー34によってポイント58へ更にサンプルセル10及び検出装置24に前方に伝達される。引き続いて、第3のパルスは第3の鏡40に入射して、そしてそれによって反射され、次いで第4及び5の鏡、更にダイクロイックミラー34によってポイント58へ更にサンプルセル10及び検出装置24に前方に伝達される。引き続いて、第4のパルスは第4の鏡42に入射して、そしてそれによって反射され、次いで第5の鏡44及びダイクロイックミラー34によってポイント58へ更にサンプルセル10及び検出装置24に前方に伝達される。引き続いて、第5のパルスは第5の鏡44に入射して、そしてそれによって反射され、次いでダイクロイックミラー34によってポイント58へ更にサンプルセル10及び検出装置24に前方に伝達される。このシーケンスにおける最後のパルスは第6のパルスであり、そしてこのパルスはダイクロイックミラー34に入射して、そしてポイント58へ更にサンプルセル10及び検出装置24に前方にそれによって反射される。このパルスシーケンスが次いで繰り返される。
【0046】
これらのパルスは、センサ装置12へサンプルセル10を通って伝搬する。センサ装置12におけるこれらのステアリング光学部品22は、セルから第1から第5のレーザへの光に感応する第1の検出器へ(第1から第5のレーザから発生する)光を導く。かくして、この実施の形態において、これらの検出器の一つは、これらのレーザの複数のものからの光に感応する。センサ装置12におけるこれらのステアリング光学部品22は、セルから第6のレーザ56からの光に感応する第2の検出器へ(第6のレーザから発生する)光を導く。これらのステアリング光学部品22は、第6のレーザ56の光を第2の検出器に向けて方向付けるべく且つ第1から第5のレーザの光を第1の検出器に方向付けるべく第2のダイクロイックミラーを含んでいる。この第2のダイクロイックミラーの種々の光学的な特性はレーザモジュール14のダイクロイックミラー34の種々の特性に整合してもよい。これらのステアリング光学部品22は、光の2個の異なった分岐を2個の検出器上に焦点を絞るべく、2個の分離した軸ずれ放物面鏡を含んでいる。コントロールモジュールは、複数の検出信号の各々がこれらのレーザの各一つから受け取られた光に相当するようにこれらのレーザと第1と第2の検出器の動作を同期化する。
【0047】
図1の複数のレーザ18は、夫々複数の波長のサブレンジに渡って光を発生するように動作可能である種々の半導体ダイオードレーザである。これらのレーザは、レーザの任意の他の適切な複数のタイプが複数の代替的な実施の形態において使用可能であるけれども、夫々様々な量子カスケードレーザ、例えば、様々なパルス化されたチャープト量子カスケードレーザであってもよい。これらのレーザは、例えば、直径で2から3mmの、又は任意の他の適切なサイズの複数のビームを発生してもよい。
【0048】
複数の波長の夫々のサブレンジは赤外スペクトル内に存在してもよい。複数の波長範囲は、1個又はそれ以上の化合物の測定に相当するように選択される。一緒に、この機器は光の複数の波長範囲を提供することが可能であり、例えば、各化合物のための複数の最も適切な波長を利用すべく、可視光、近赤外光及び/又は中間の赤外光を合成する。表1は、この波長範囲内の光によって検出される、これらのレーザ18用の夫々の波長範囲、相当する波数範囲、並びに相当する化合物の一実施例を示している。
【表1】
【0049】
これらのレーザの複数の波長範囲の慎重な選択は、レーザ波長毎の複数回の測定を許容する。表1において理解されるように、最初の5個のレーザの複数の波長範囲は、大きさの同じオーダを有している。しかしながら、酸素を検出するための第6のレーザの波長範囲は、より小さい大きさのオーダを有している。第1と第2の検出器は、夫々第1から第5のレーザの複数の波長範囲又は第6の検出器の波長範囲内の光を検出するように選択される。
【0050】
コントロールモジュール26は、1個又はそれ以上の電子的なコントロール信号を夫々のレーザ18に送出するように構成されている。これらの電子的なコントロール信号に応答して、これらのレーザ18は、合成されたレーザビーム30を発生する。コントロール信号は逐次的にこれらのレーザ18をパルス化するよう作用する。言い換えると、このコントロール信号は、サンプル時間間隔に渡って、1個のレーザからの光だけが複数の光学部品20に供給されるように、順次これらのレーザ18の各々を駆動するように作用する。これらの光学部品20は、サンプルセル10への共通パスに続くように、レーザの光路に沿って各レーザからの光を方向付けるよう構成されている。このようにして、コントロールモジュール26は、合成されたレーザビーム30を発生すると共に、この合成されたレーザビーム30をサンプルセル10に供給するようにレーザモジュール14を制御する。
【0051】
各レーザ間のスイッチング周波数は、センサ装置12における信頼性の高い測定を確かにするように選択される。特に、そのサンプルセル光路を横断するための光のパルスに対して要する時間は、このパルスの種々の物理的な性質及びサンプルセル10の夫々の寸法に依存している。複数のレーザからの光がサンプル時間間隔に渡ってサンプルセル10内に入射する場合、干渉が生じて信頼性のない測定となる可能性がある。それ故、複数のパルス長及び複数の続くレーザパルスの周波数が、1個のレーザのみからの光がサンプル時間間隔に渡ってサンプルセル10の内側に存在していることを確証するために、そのサンプルセル光路を横断する光によって要する時間を考慮するように制御されると共に選択される。これらのレーザ18からの複数のパルス用の夫々の適切なパルス持続時間は、100ナノ秒から5000ナノ秒の間であってもよい。逐次的なパルス化の周波数は幾つかの実施の形態において最大100kHzであってもよい。
【0052】
信号プロセッサ28は、調査中の異なった化合物の複数の濃度及び/又は複数のそれらの相対的な量を決定すべく、又は任意の他の複数の所望の特性を決定すべく複数の検出器からの夫々の検出信号を処理する。この信号プロセッサ28は、複数の濃度、複数の相対的な量又は他の複数の特性を決定するための種々の任意の適切な公知の処理技法を使用している。
【0053】
ある較正機構が設けられていてもよい。一例としての較正機構はカメラと、ミラー調整機構とを含んでいる。カメラは合成されたレーザビーム30の伝搬の所望の方向と交差するようポイント58において又はその近傍に位置決めされている。伝搬の所望の方法は合成されたレーザビーム30が共通光路を経由して、通常の動作ではサンプルセル10に入ることになるようなものである。較正工程の期間、複数のサンプルビームは複数のレーザ18によって発生され、そしてこれらのサンプルビームは複数の光学部品20によってカメラに方向付けられる。このカメラは、伝播の所望の方向に対してそれに入射される複数のサンプルビームの位置を検出する。このミラー調整機構は、これらのレーザ18の夫々の光路を伝播の所望の方向に略位置合わせすると共に、夫々の光路を互いに略位置合わせすべく、複数の部分反射鏡32及びダイクロイックミラー34の位置、とくに伝播の方向に対する傾斜を調整する。例えば、これらの光路は、1.1度の許容度内で略位置合わせされる。較正工程はこれらのレーザ18の各々に対して繰り返される。
【0054】
図3は、レーザ分光システム用のハウジングの斜視図である。このハウジングは上方セクション60と、下方セクション62とを有している。この上方セクション60は、第1及び第2のリリースキャッチ66によって閉鎖位置で固着されているリフトオフカバー64を有している。サンプルセル10は、このハウジングの上方セクション60内に位置している。サンプル供給チューブ68の形態でのガス供給装置はガスをサンプルセルに供給する。サンプルリターンチューブ70はサンプルセルからのガス用のアウトレットを提供する。換気が上方セクション60内の通気口72を経由してサンプルセルに対して行われる。この下方セクション62はローカルオペレータユーザインプットディスプレイ74と、パージコントロールディスプレイ76とを有している。
図3の実施の形態において、ユーザインプットディスプレイはアナライザとの相互作用及び複数の測定及びステータスのビジュアルコミュニケーションのためである。幾らかのメンテナンス機能性がこの実施の形態においてユーザインプットディスプレイによって提供されるものの、その目的はほとんど複数の測定値及びステータスのコミュニケーションである。
【0055】
図3の実施の形態のパージコントロールディスプレイ76は、エンクロージャのエアパージを制御すべく使用されている。これは、火災の危険を防止すべく様々な措置を取らなければならない危険区域の設置要件であることができる。この場合、パージコントロールディスプレイ76を経由して制御されるエアパージは、爆発性環境が増進することを防止すべく、システムのエンクロージャ又はハウジングにクリーンエアを供給、例えば絶えず供給する。
【0056】
3個の出力導管78も下方のセクション62に接続されている。これらの導管は、パワー及びコントロール用の各信号がシステムに送出され且つデータをこのシステムから送られるようにする種々の電気的なブレークスルーを提供する。伝送されるデータは、例えば、種々のデジタル信号、種々のデジタルヘルス信号、例えば色々なガスの夫々の測定値を示す複数の4-20mA信号などの種々のアナログ信号、モッドバスなどのより洗練された種々のプロトコルの形態、又は任意の他の適切なフォーマットであってもよい。記載されたアレンジメントはコンパクトなシステムを提供する。幾つかの実施の形態において、ハウジングは長さが約550cmであってもよく、上方セクションは高さが約200cmであってもよく、更に下方セクションは高さが約370cmであってもよい。
【0057】
サンプル供給チューブ68及びサンプルリターンチューブ70は,サンプルセルを介して流体連通パスを提供する。サンプルガスは遠い位置から収集されることができ、そしてサンプルされるべきサンプルセルへサンプル供給チューブ68を経由して供給されることができる。このサンプルガスは、次いでサンプルリターンチューブ70を経由してサンプルセルから排出できる。一緒に、サンプル供給チューブ68及びサンプルリターンチューブ70は,インサイチュエミッションセンシングとは対照的に、機器が遠方で動作することを見込んでいる。任意の他の適切なガス供給装置は、色々な代替的な実施の形態において使用することが可能である。
【0058】
(図示しない)サンプルハンドリングシステム(SHS)ユニットは、サンプルセル10内のガスの圧力をコントロールすべく提供されてもよい。ポンプを含んでも又は含まなくてもよく、又はポンプによって駆動されても又はされなくてもよく、更に複数のバルブのアレンジメントなどの種々の他の圧力コントロール部品を含んでも又は含まなくてもよい、任意の適切なSHSユニット又は他の圧力コントロールデバイスが使用されてもよい。
図3の実施の形態においては、このSHSユニットは、ポンプ又は他の圧力コントロールデバイス又は複数の部品が色々な他の実施の形態において使用することが可能であるけれども、ポンプというよりむしろ、アスピレータを含んでいる。
【0059】
付加的に、ハウジングは、サンプルセル10への共通パスに沿って方向付けられていないレーザ光を吸収すべく、少なくとも1個の吸収材成分を含んでいる。この少なくとも1個のアブソーバ部品は、複数の付加的な光学部品、例えば複数のくさび形状の光学部品を含んでいてもよい。
【0060】
図4は、より詳しく
図1の実施の形態のサンプルセル10を示している。このセルは、第1の反射要素80と、第2の反射要素82と、入射口84と、射出口86とを含んでいる。この入射口84はレーザビームが入ることを可能にするのに十分に大きい直径を有している。例えば、レーザビームは、2から3mmの直径を有していてもよい。これらの反射要素は夫々複数の放物面鏡であってもよい。第1の反射要素80と第2の反射要素82は、互いに対向し且つ横方向の長さだけ分離されている。中心軸は横方向の長さに沿って第1の反射要素80の中心点と第2の反射要素82の中心点との間で延在している。入射口84は第1の反射要素80上に位置決めされ、そして射出口86は第2の反射要素82上に位置決めされている。この配置は入射及び射出を提供するたった1個の開口が1個の反射要素上に設けられている標準のヘリオットセルとは対照的である。
図4のサンプルセルは、入力光学系と出力光学系をセルの対向側部に空間的に分離して位置決めさせている。有益には、これにより、システムの全体的な容量が減少可能となり、そしてメンテナンス及び製造からのアクセスの容易さが改善可能である。セルの一方の側の複数のレーザと他方の側の複数の検出器の分離は、簡単化されたアレンジメントを提供可能であり、システムのハウジング内のステアリング光学系又は他の複数の部品のより複雑さの少ない種々のアレンジメントを要求可能である。
【0061】
射出口86は、入射口84を介してセル内へ導入される光が直接射出口86に進行せず、その代わりに射出口86に到達する前に第2の反射要素82から離れて少なくとも1回反射されるように位置決めされている。第2の反射要素82から離れて反射される光は、射出口86に到達する前に少なくとも1回第1の反射要素80から離れて反射されることになる。それ故、射出口86の位置は、セルから出ていく前の光によって得られる、第1の反射要素と第2の反射要素間の反射回数、従ってセル内の光路長を決定している。
【0062】
このサンプルセルは、第2の反射要素82を第1の反射要素80に対して移動させ(逆もまた同様に)従って射出口86を入射口84に対して移動させることにより、サンプルセル経路長を修正するための調整機構を有している。ある実施の形態において、調整機構は、中心軸の方向へ第2の反射要素82を第1の反射要素80に対して並進させるように構成されている並進機構を含んでいる。第2の反射要素82を並進させることにより、セル内の光路長は、反射回数が2個の対向した反射要素間の横方向の長さに依存しているので、変化させることができる。
【0063】
この調整機構の第2の実施の形態は、第2の反射要素82を第1の反射要素80に対して回転させるように構成されている回転機構を含んでいる。この回転は、中心軸を中心としている。第2の反射要素82の回転は、この第2の反射要素82の中心点に対して射出口86の位置を修正する。サンプルセル内の光路長は、第2の反射要素82を回転することによって離散的な距離間隔で容易に修正できる。例えば、この経路長は、全体で5mまで40cmのステップで変化させることができる。上述した第1又は第2の何れかの実施の形態における調整機構は、任意の適切な組み合わせ、又は種々の機械部品及び/又は種々の電気部品、及び/又は種々の電気-機械部品、及び/又は1個又はそれ以上のアクチュエータを含んでいてもよい。
【0064】
図5は、サンプルセルの第2の実施の形態の第2の反射要素82の図である。
図5は、サンプルセルの中心軸に沿って見た時の、第2の反射要素82の内側面を示している。この中心軸は第2の反射要素82の中心点88を通過する。理解できるように、第2の反射要素82は、この中心軸の回りに回転対称を有している。第2の反射要素82の周囲には、複数の反射点90が存在している。
図5において、中心軸に沿って見た時、第2の反射要素82は円形であり且つ12個の反射点を有している。本実施の形態における各反射点は、複数の反射点の任意の適切な代替的なアレンジメントが色々な代替的な実施の形態において提供できるけれども、中心点88から略同じ半径方向の距離に存在している。中心点88における30度の角度が
図5の実施の形態における各々続いた反射点を分離する。
【0065】
中心点88からの開口半径における第2の反射要素82の射出口86も
図5上に示されている。
図5は、射出口86のための2個の代替的なシフトされた位置、即ち第1のシフトされた位置92と第2のシフトされた位置94も示している。第1のシフトされた位置92は、射出口86の位置から30度の角度において存在しており、そして第2のシフトされた位置94は、射出口86の位置から60度の角度において存在している。2個の代替的なシフトされた位置だけが示されているけれども、複数の反射点90の各々は、以下に記載されるように射出口86のためのあり得るシフトされた位置を提供する。
【0066】
作動時に、第1の反射要素80の入射口84を経由してサンプルセル内へ導入される光は、複数の反射点90の第1の反射点において第2の反射要素82に入射され、そしてこの第1の反射点において第2の反射要素82から離れて反射する。この反射光は、第1の反射要素80に逆向きに進行し、そしてそれによって第1の反射要素80に入射し、再び反射されて第2の反射要素82に戻る。第1の反射要素80から第2の反射要素82へ更に逆向きに第1の反射要素80への光の通過は、サンプルセル内で単一の光路を決定する。一般的に、サンプルセル内へ導入される光は、第2の反射要素82の射出口86を通って出ていく前に、複数の通過を遂行することになる。それ以降の通過は夫々第2の反射要素82上の複数の反射点90の異なった反射点を訪れることになる。
【0067】
それ故、このサンプルセルは、これらの反射要素の種々の物理的性質及びセルの夫々の物理的寸法によって決定される固有の放射パターンを有している。複数の他の放射パターンを生成することができ、従って他のアレンジメント及び/又は反射点の夫々の数は、サンプルセルの種々の物理的性質を変更することによって、例えば、反射要素の夫々の物理的寸法又はこれらの反射要素間の横方向の長さを変化させることによって、作成できる。入射口84と射出口86との間の放射パスは、光がこれらの開口間通過中に訪れる複数の反射点90のサブセットによって特徴づけることができる。それ故、複数の反射点の一つに渡る射出口86の位置は、放射パスを決定する。光の各付加的な通過がある距離を全体のサンプルセル経路長に加えることになる。たとえば、図にあるように光が第1と第2の反射要素間を移動する距離は20cmであり、従って通過距離は40cmである。
【0068】
上述したように、調整機構の第2の実施の形態は、第2の反射要素82を第1の反射要素80に対して回転させるように構成されている回転機構を含んでいる。この回転は射出口86の回転を引き起こす。この第2の反射要素82は、射出口86が複数の反射点90の任意のものと重なるように回転できる。限定されないー例として、射出口86は、第1のシフトされた位置92又は第2のシフトされた位置94において存在することができる。第1のシフトされた位置92における入射口84と射出口との間の放射パスは、第1のシフトされた位置92における入射口84と射出口との間の放射パスに対して付加的な経路長を含むことになる。それ故、この回転機構は回転パス、従ってサンプルセル内へ導入される光のための経路長を設定できる。
【0069】
図4及び
図5について記載されたサンプルセルの複数の実施の形態は、複数のレーザセットアップ内での使用に限定されない。このサンプルセルは、異なった光学的な構成において使用することもできる。例えば、このサンプルセルは、
図1及び2のマルチレーザアレンジメントの代わりに、単一レーザ又は他の放射ソースを用いて使用することができる。そのようなセットアップにおいて、単一の放射ソースは、このソースによって発生した光線がセルの入射口84に入り、そして射出口86を通って出ていくように、配置されている。幾つかの代替的な実施の形態において、
図1のシステムのレーザモジュール14は、複数のレーザよりむしろレーザビームをセル10へ供給するための単一レーザを有するレーザモジュール又は他のレーザソースで置換される。他の複数の部品は、幾つかのそのような代替的な実施の形態において
図1のシステムの複数の部品と略同じであってもよい。複数の付加的な光学部品は、サンプルセル内への及びその外へ及び/又はフォトディテクタに向いた光を導くべく、幾つかの実施の形態において提供されてもよい。
【0070】
当業者は、記載された複数の実施の形態の夫々の変化が主張された本発明の範囲から逸脱することなく可能であることを理解するであろう。例えば、コントローラ内のコントロールモジュールが各レーザの出力を順次パルス化して、合成されたビームを発生せしめるべく使用されることが論議されているものの、他の種々のコントローラアレンジメントを使用することもできる。一つの代替案は、たった一つのレーザが時間の所定のインターバルに渡って光を複数の光学部品に供給するように、レーザ光を物理的に制御する機械的な光学スイッチングアレンジメントである。他の例として、記載されたこれらのレーザは、波長範囲に渡って動作する種々の半導体ダイオードレーザである。しかしながら、これらのレーザは、光の複数の適切な波長を提供することができる任意の適切な放射ソースであってもよい。さらに、レーザは単一波長であってもよい。変形例の他の例は、任意の適切なフォーカシングアレンジメントで種々の軸ずれ放物面鏡を置換えることである。従って、複数の特定の実施の形態の上述した記載は、一例によってのみなされており色々な限定のためではない。種々のマイナーな修正が記載された色々な動作に対する重要な種々の変化無しでなされてもよいことが当業者にとって明らかになるであろう。
【手続補正書】
【提出日】2022-02-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出システムであって、
ハウジングと、
前記ハウジング内に位置するサンプルセルであって、第1の反射要素及び第2の反射要素を含むものと、
前記サンプルセルを通る流体連通パスを介してガスを供給するガス供給装置とを備え、
前記第1の反射要素及び第2の反射要素は、それぞれ入射口及び射出口を含み、前記入射口及び射出口は、作動時に、前記第1の反射要素の入射口を経由して前記セル内へ導入されたレーザ光が、前記第2の反射要素の射出口を経由して前記セルから離れる前に、前記第2の反射要素によって少なくとも1回、かつ、前記第1の反射要素によって少なくとも1回反射されて、前記サンプルセルの経路長を設定するように構成されており、
前記導入された光は、前記サンプルセル内に供給されたサンプルガスと少なくとも前記サンプルセルの経路長に亘って相互作用し、
前記システムは、前記第2の反射要素と前記第1の反射要素の相対的な動きを得て、前記サンプルセルの経路長を修正するための調整機構をさらに備える
検出システム。
【請求項2】
前記サンプルセルからの光を検出する検出装置と、1又は複数の異なる化合物を励起するための少なくとも1つのレーザビームを発生する少なくとも1つのレーザとをさらに備え、前記少なくとも1つのレーザと前記検出装置は前記ハウジング内に設けられている
請求項1に記載の検出システム。
【請求項3】
前記検出装置は、前記サンプルセルの第1の側に配置され、前記少なくとも1つのレーザは、前記サンプルセルの略反対側である第2の側に配置されている
請求項2に記載の検出システム。
【請求項4】
パワー、コントロール、ガス測定信号、及び/又はデジタルヘルスデータのうちの少なくとも1つを前記システムに送信する及び/又は前記システムから送信を受けるために、前記ハウジングに接続された少なくとも1つの導管をさらに備える
請求項1から請求項3のいずれかに記載の検出システム。
【請求項5】
前記レーザと前記検出装置の間で光が通過する光路は、前記ハウジング内に含まれている
請求項2に記載の検出システム。
【請求項6】
前記少なくとも1つのレーザは、複数のレーザを含み、前記システムは、一又は複数の電子コントロール信号を前記複数のレーザに送信し、前記複数のレーザを制御するコントロールモジュールをさらに備える
請求項2に記載の検出システム。
【請求項7】
前記コントロール信号は、前記サンプルセルの光路を光が横断する時間を考慮して後続のレーザパルスのパルス長及び周波数を制御及び選択するように、スイッチング周波数で前記レーザをパルス化するように前記複数のレーザを制御する
請求項6に記載の検出システム。
【請求項8】
前記ハウジング内に設けられた入力及び出力光学系と、前記少なくとも1つのレーザビームを前記サンプルセルに方向付けるように構成された少なくとも1つの方向付けデバイスと、前記ハウジング内のアブソーバ部品と、の少なくとも1つをさらに備える
請求項1から請求項7のいずれかに記載の検出システム。
【請求項9】
前記ハウジングは、少なくとも前記サンプルセルへのアクセスを提供するためのリフトオフカバーを含む
請求項1から請求項8のいずれかに記載の検出システム。
【請求項10】
前記調整機構は、少なくとも1つの機械部品、及び/又は、電子部品、及び/又は、機械-電子部品、及び/又は、一又は複数のアクチュエータを含む
請求項1から請求項8のいずれかに記載の検出システム。
【請求項11】
前記相対的な動きが、前記第2の反射要素及び/又は前記第1の反射要素の並進又は回転を含む
請求項1から請求項10のいずれかに記載の検出システム。
【請求項12】
前記調整機構は、前記第2の反射要素と前記第1の反射要素との相対的な回転運動を得るための回転機構を含み、それにより、前記射出口を複数の第2の反射点のうちの選択された一つに配置し、ここで、前記光は、作動時に、複数の第1の反射点で前記第1の反射要素から反射し、前記複数の第2の反射点で前記第2の反射要素から反射するものであり、
前記回転機構は、前記第2の反射点の分離に対応する所定量だけ前記射出口と前記第2の反射点の相対的な回転を引き起こすように構成されるとともに、前記射出口の位置を前記第2の反射点の1つから前記第2の反射点の更なる1つにステップさせて、離散的な距離間隔で前記経路長を修正するように構成されている
請求項1から請求項11のいずれかに記載の検出システム。
【請求項13】
前記ガス供給装置は、前記サンプルセルにガスを供給するために前記ハウジングに結合されたサンプル供給チューブ、及び/又は、前記サンプルセルからのガスのための出口を提供するサンプルリターンチューブを含む
請求項1から請求項12のいずれかに記載の検出システム。
【請求項14】
前記システムは、エアパージシステムを含む
請求項1から請求項13のいずれかに記載の検出システム。
【請求項15】
前記第1の反射要素が放物面鏡を含むか、
前記第2の反射要素が放物面鏡を含むか、の少なくともいずれか一方である
請求項1から請求項14のいずれかに記載の検出システム。
【請求項16】
前記少なくとも1つのレーザは、NO,NO
2
,H
2
O,CO,CO
2
,CH
4
,SO
2
,NH
3
,C
2
H
2
及びO
2
を含む化合物の群うちの少なくとも1つの化合物を検出するのに適した波長を有するレーザ光を生成するように構成されている
請求項2に記載の検出システム。