(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022058586
(43)【公開日】2022-04-12
(54)【発明の名称】ケーブル掛け具
(51)【国際特許分類】
H02G 1/06 20060101AFI20220405BHJP
【FI】
H02G1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2022003200
(22)【出願日】2022-01-12
(71)【出願人】
【識別番号】522015537
【氏名又は名称】濱田電気工事有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100173819
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 龍太郎
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼田 文昭
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ケーブルの損傷を防ぐとともに、引掛部の交換が容易なケーブル掛け具を提供する。
【解決手段】ケーブル掛け具10は、ケーブルを取り付けるためのケーブル掛け具10であって、棒状の操作柄部12と、操作柄部12の端部に設けられ、線状の引掛部14とを備える。引掛部14は、操作柄部12側に開放する弧状部18を有する。弧状部18は、回動可能な円柱状の回転部16を軸支する。回転部16は、ケーブルによって、回動される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルを取り付けるためのケーブル掛け具であって、 棒状の操作柄部と、 前記操作柄部の端部に設けられ、線状の引掛部とを備え、 前記引掛部は、 前記操作柄部側に開放する弧状部を有し、 前記弧状部には、回動可能な円柱状の回転部が軸支され、 前記回転部は、前記ケーブルによって、回動される ことを特徴とするケーブル掛け具。
【請求項2】
請求項1に記載のケーブル掛け具において、 前記回転部は、長手方向中央部から、前記回転部の各端部に向かって拡経する ことを特徴とするケーブル掛け具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のケーブル掛け具において、 前記引掛部は、前記操作柄部に対して、着脱可能である ことを特徴とするケーブル掛け具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルを取り付けるためのケーブル掛け具に関する。
【背景技術】
【0002】
天井裏や床下等の作業空間で、ケーブル掛け具を用いて、ケーブルを配線や配管する場合がある。ここで、ケーブルには、電線や電話線等の配線ケーブルや、これらのケーブルを被膜する可撓性の電線保護管等を含む。このケーブル掛け具としては、特許文献1に係るケーブル掛け具が知られている。このケーブル掛け具は、棒状の操作柄部と、前記操作柄部の端部に引掛部とを備える。
【0003】
ケーブル掛け具を用いて、ケーブルを配線等の作業の1つとして、千鳥配線作業がある。この千鳥配線作業について、
図3を用いて説明する。ここで、
図3は、千鳥配線作業を説明するための説明図である。
図3Aは、ケーブル50を引っ掛けるためのポイントの説明図であり、
図3Bは、ケーブル50の配線後の説明図であり、
図3Cは、千鳥配線の別の作業手順の途中の状態の説明図である。
【0004】
図3Aに示されるように、ケーブル50が配線される施設等に配線するためのポイントが設けられている。このポイントは、例えば、照明器具が配置される場所である。
図3Aの点A~点Eは、ケーブル50を引っ掛けるためのポイントであり、各点間に、ケーブル50が配線される。
【0005】
作業者がケーブル50を配線する場合の一般的な作業手順としては、まず、作業者が、配線しようとするケーブル50の先端部に、ケーブル50をループ状にしたケーブル端部を設ける。作業者は、ケーブル掛け具の引掛部にケーブル端部を引っ掛ける。作業者が、ケーブル掛け具の引掛部で、点Aから点Bまで、ケーブル50を引っ張り、ケーブル端部を点Bに仮止めする。ここで、仮止めとは、例えば円環状の配線用部材にケーブルを通す等、ケーブルを遊動可能に止めることをいう(以下、同じ)。次に、作業者は、同様に、点Bから点C、点Cから点D、点Dから点Eへと、順次作業を繰り返し、最後に終端の点Eを固定することで、ケーブル50が点A~点Eまで、配線される(
図3B参照)。
【0006】
この作業手順は、正確にV字状のケーブル配線が可能であり、使用するケーブル50の長さに無駄を生じさせることなく引けるという利点がある。しかしながら、この一般的な千鳥配線作業では、作業者自身も各ポイントへの移動が必要であり、作業時間がかかる。この作業時間を短縮するために、次のような別の作業手順が知られている、
【0007】
この別の作業手順は、まず、作業者が、引掛部にケーブル端部を引っ掛け、ケーブル端部を点Cの仮止めを経由して、終端である点Eに固定する(
図3C参照)。次に、作業者が、点Cと点E間のケーブル50を引掛部で引っ掛け、矢印方向に引っ掛けたケーブル50を引っ張り、ケーブル50を点Dに仮止めし、次に、点Aと点C間のケーブルを引掛部で引っ掛け、引っ掛けたケーブル50を点Bに、仮止めすることにより、点A~点E間にケーブル50を配線することができる(
図3B参照)。この作業手順では、作業者の移動距離も削減され、作業時間の短縮が図られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記作業手順では、
図3Cに示されるように、点Cと点E間のケーブル50には張力がかかっており、点Cと点E間のケーブル50を点Dに仮止めする際に、点D方向にケーブル50を引き込む場合の力加減が難しく、必要以上に、ケーブル50を点Dに引き込み、ケーブル50が無駄になる場合がある。なお、説明の便宜のため、
図3はポイントを点A~点Eとしているが、実際の作業においては大量のポイントが存在し、このような作業手順による作業時間の短縮が有効である一方、各ポイント間に余分に引き込み、無駄になるケーブルの総量も多く、コスト的に無視できないものとなる。また、ケーブル50には張力がかかっているために、点D方向にケーブル50を引き込む場合に、ケーブル自体を傷つけるおそれがある。
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するために、ケーブルの配線作業において効率的であり、ケーブルの損傷を防ぐとともに、千鳥配線作業の効率を高めることができ、さらに、引掛部の交換が容易なケーブル掛け具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るケーブル掛け具は、ケーブルを取り付けるためのケーブル掛け具であって、棒状の操作柄部と、前記操作柄部の端部に設けられ、線状の引掛部とを備え、前記引掛部は、前記操作柄部側に開放する弧状部を有し、前記弧状部には、回動可能な円柱状の回転部が軸支され、前記回転部は、前記ケーブルによって、回動されることを特徴とする。
【0012】
ケーブル掛け具において、前記回転部は、長手方向中央部から、前記回転部の各端部に向かって拡経することを特徴とする。
【0013】
ケーブル掛け具において、前記引掛部は、前記操作柄部に対して、着脱可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のケーブル掛け具によれば、ケーブルの配線作業において、ケーブルの損傷を防ぐとともに、千鳥配線作業の効率を高めることができる。また、回転部は、長手方向中央部から、回転部の各端部に向かって拡経することから、ケーブルを確実に捉えることができる。さらに、引掛部は、操作柄部に対して着脱可能であることから、他のケーブル掛け具で用いられる引掛部を使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係るケーブル掛け具を示した斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るケーブル掛け具でケーブルに引っ掛けた状態を示す図である。
【
図3】千鳥配線作業を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<ケーブル掛け具10の構成の説明> 以下、本発明の実施形態に係るケーブル掛け具10を
図1、
図2に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るケーブル掛け具10を示した斜視図であり、
図2は、本発明の実施形態に係るケーブル掛け具10でケーブル50に引っ掛けた状態を示す図である。
【0017】
ケーブル掛け具10は、操作柄部12、引掛部14及び回転部16を備える。操作柄部12は、棒状であり、例えば、ステンレスで形成される。また、操作柄部12は、約2m~約15mメートルまで伸長可能である。
【0018】
引掛部14は、ケーブル50を引っ掛ける線状部材である。引掛部14は、操作柄部12の端部に対して、着脱自在に設けられ、弧状部18を有する。弧状部18は、操作柄部12側に開放している弧状の部材である。弧状部18には、回転部16が軸支される。回転部16は、弧状部18に対して、回動可能な円柱状の部材である。
【0019】
<ケーブル掛け具10の使用方法の説明> 次に、ケーブル掛け具10の使用方法について、説明する。まず、作業者は、ケーブル50を
図3Cに示されるように、ケーブル50のケーブル端部を点Cの仮止めを経由して、点Eに固定する。
【0020】
作業者は、ケーブル掛け具10の引掛部14を点Cと点E間のケーブル50に引っ掛ける。
図2に示されるように、引掛部14をケーブル50に引っ掛けると、ケーブル50が回転部16に当接する。引掛部14で引っ掛けたケーブル50をそのまま矢印方向である点D方向に、引っ張り、点Dに仮止めする(
図3C参照)。
【0021】
次に、作業者は、ケーブル掛け具10の引掛部14を点Aと点C間のケーブル50に引っ掛け、引掛部14で引っ掛けたケーブル50をそのまま点B方向に、引っ張り、点Bに止める。作業者が、点Bにケーブル50を仮止めすることにより、点A~点E間にケーブル50が配線される(
図3B参照)。
【0022】
この作業手順においては、引掛部14で引っ掛けたケーブル50をそのまま点D又は点B方向に引っ張ると、ケーブル50が回転部16に当接しているために、回転部16が回転しながらケーブル50が引っ張られることとなる。そのために、作業者は、張力がかかっているケーブル50を容易にポイントである点D、点Cに引っ張ることができる。また、回転部16が回転しながらケーブル50上を移動することにより、引掛部14の位置調整が容易であるから、必要以上に、ケーブル50を引き込むことも少なくなる。
【0023】
ケーブル掛け具10は、ケーブル50を取り付けるためのケーブル掛け具10であって、棒状の操作柄部12と、前記操作柄部12の端部に設けられ、線状の引掛部14とを備え、前記引掛部14は、前記操作柄部12側に開放する弧状部18を有し、前記弧状部18には、回動可能な円柱状の回転部16が軸支され、前記回転部16は、前記ケーブル50によって、回動される。
【0024】
ケーブル掛け具10によれば、ケーブル50の配線作業において、ケーブルの損傷を防ぐとともに、千鳥配線作業の効率を高めることができる。
【0025】
ケーブル掛け具10において、前記回転部16は、長手方向中央部から、前記回転部16の各端部に向かって拡経する。
【0026】
回転部16は、長手方向中央部から、前記回転部16の各端部に向かって拡経することから、ケーブル50を確実に捉えることができる。
【0027】
ケーブル掛け具10において、前記引掛部14は、前記操作柄部12に対して、着脱可能である。
【0028】
前記引掛部14は、前記操作柄部12に対して着脱可能であることから、他のケーブル掛け具で用いられる引掛部を使用することができる。
【0029】
なお、本発明は、上述の実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【0030】
上述した実施形態では、操作柄部12は、ステンレスで形成されていたが、操作柄部12の材質は、作業者が、把持して作業できるものであれば、特に限定されるものではない。例えば、操作柄部12は、カーボン、グラスファイバー等で形成することができる。
【0031】
また、操作柄部12は、伸長可能であり、伸長の手段としては、特に限定されるものではない。例えば、伸縮式、折り畳み式、継ぎ足し式等であってもよい。
【符号の説明】
【0032】
10…ケーブル掛け具12…操作柄部14…引掛部16…回転部18…弧状部50…ケーブル